• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06F
管理番号 1349249
審判番号 不服2018-9256  
総通号数 232 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-04-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-07-04 
確定日 2019-03-18 
事件の表示 特願2016-100793「移動装置のアプリケーション管理のためのユーザインターフェイス」拒絶査定不服審判事件〔平成28年10月 6日出願公開、特開2016-177831、請求項の数(42)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は,2009年(平成21年)5月13日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2008年6月6日,米国,2009年1月15日,米国)を国際出願日とする特願2011-512509号の一部を平成26年2月21日に新たな特許出願とした特願2014-031795号の一部を平成28年5月19日に新たな特許出願としたものであって,平成28年5月27日付けで翻訳文及び上申書が提出されるとともに,手続補正がされ,平成29年3月24日付けで拒絶理由通知がされ,平成29年10月3日付けで意見書が提出されるとともに手続補正がされ,平成30年2月28日付けで拒絶査定(原査定)がされ,これに対し,平成30年7月4日に拒絶査定不服審判の請求がされたものである。

第2 原査定の概要
原査定(平成30年2月28日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

本願請求項1-11,14-24,27-37,40-42に係る発明は,以下の引用文献1-4に基づいて,その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下,「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
1.池田冬彦,大谷和利,山下洋一,iPhone2.0 Beta&ソフト開発キット(SDK)が公開!,Mac Fan,日本,株式会社毎日コミュニケーションズ,2008年 5月 1日,第16巻,第5号(通巻301号),pp.4-11
2.MacPeople編集部,ASCII.jp:試聴して即購入&再生!!すばらしいWi-Fi Storeの世界,ASCII.jp [online],日本,株式会社KADOKAWA,2007年 9月23日,[検索日:2007年3月24日],pp.1-5,URL,http://ascii.jp/elem/000/000/069/69364/(周知技術を示す文献)
3.特開2004-118365号公報
4.廣川淳哉,超簡単なiPod touchハックの始め方,MAC POWER 2008 Winter,日本,株式会社アスキー,2007年12月21日,初版,pp.56-57,ISBN 978-4-7561-5081-3(周知技術を示す文献)

第3 本願発明
本願請求項1-42に係る発明(以下,それぞれ「本願発明1」-「本願発明42」という。)は,平成29年10月3日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-42に記載された事項により特定される発明であり,本願発明1は以下のとおりである。

「 【請求項1】
移動装置のディスプレイにアプリケーション管理インターフェイスを表示することであって,該アプリケーション管理インターフェイスは,
アプリケーションストアサーバからのアプリケーションであって前記移動装置にインストール可能なアプリケーションに対応するアプリケーションオブジェクトのセットと,
支払を必要とするアプリケーションオブジェクトだけを表示することに関連付けられた第1ユーザ活性化要素と,
支払が不要なアプリケーションオブジェクトを表示することに関連付けられた第2ユーザ活性化要素と,を同時に表示する,表示することと,
支払を必要とするアプリケーションオブジェクトだけを表示することに関連付けられた前記第1ユーザ活性化要素の選択を検出することと,
前記第1ユーザ活性化要素の選択の検出に応じて,支払が不要なアプリケーションオブジェクトの表示を止め,支払を必要とする前記アプリケーションオブジェクトのうちの少なくともいくつかを表示することと,
前記表示されたアプリケーションオブジェクトからのアプリケーションオブジェクトの選択を検出することと,
前記選択されたアプリケーションオブジェクトに対応するアプリケーションを,前記アプリケーションストアサーバから受信することと,
前記選択されたアプリケーションオブジェクトに対応する前記アプリケーションを前記移動装置にインストールすることと,を含むコンピュータ実施方法。」

なお,本願発明2-42の概要は以下のとおりである。

本願発明2-13は,本願発明1を減縮した発明であり,
本願発明14-26は,それぞれ本願発明1-13に対応する装置の発明であって,本願発明1-13とカテゴリ表現が異なるだけの発明であり,
本願発明27-39は,それぞれ本願発明1-13に対応するコンピュータプログラムの発明であって,本願発明1-13とカテゴリ表現が異なるだけの発明であり,
本願発明40は,本願発明1-13を減縮した発明であり,
本願発明41は,本願発明14-26を減縮した発明であり,
本願発明42は,本願発明27-39を減縮した発明である。

第4 引用文献,引用発明等
1.引用文献1について
(1)原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献1には,図面とともに次の事項が記載されている。(下線は,参考のために当審で付与したものである。以下,同様。)

A 「iPhone向けソフトウェアは,すべてiPhone2.0で追加される「アップストア」を通じて配布されることが正式発表された。
これは,ジェイルブレイクしたiPhoneに追加される「インストーラ」と同じように,カテゴリ別にブラウス(当審注:「ブラウス」は,「ブラウズ」の誤記と認められる。)してソフトウェアを探すとともに,iTunesストアと連携した課金システムも備える。いわば,iTunesワイファイストアと同じような仕組みだ。もちろん,MacやPC上のiTunesからも利用が可能になるとのことだ。
しかも,インストールしたソフトウェアがバージョンアップすると,それを自動的にアップデートする機能も備える予定だ。
なお,繰り返しになるがアップルが開発者に対して請求する費用が価格の30%なので,それほどアプリケーションの価格はそれほど高くならないだろう。この条件では,ソフトの価格が上がるほど開発者の負担が大きくなるからだ。また,フリーウェアの場合もその計算式が使われるので,開発者の負担も0になる。このことから,ほぼフリーウェアが多くなるのではないだろうか?」(第10頁最上段1行-末行)

B 「iPhone OS 2.0に追加される「App Store」からネイティブアプリの購入およびダウンロードが可能になる。」(第10頁上段右図の下の記載)

C 「インターフェイスや機能は,iTunesワイファイストアと同じようなものになる予定だ。レートやランキングも用意されている。」(第10頁上段中央図の左の記載)

D 「iTunesからもアップストアにアクセス可能になる予定だ。MacやPCからじっくり選びたい時に最適だろう。」(第10頁上段左図の下の記載)

(2)ここで,上記引用文献1に記載されている事項について検討する。

ア 上記Bの「iPhone OS 2.0に追加される「App Store」からネイティブアプリの購入およびダウンロードが可能になる。」との記載から,引用文献1には,
「iPhone OS 2.0に追加されるApp Storeからネイティブアプリの購入およびダウンロードが可能になること」が記載されていると認められる。

イ 上記Aの「iPhone向けソフトウェアは,すべてiPhone2.0で追加される「アップストア」を通じて配布されることが正式発表された。
これは,ジェイルブレイクしたiPhoneに追加される「インストーラ」と同じように,カテゴリ別にブラウズしてソフトウェアを探すとともに,iTunesストアと連携した課金システムも備える。いわば,iTunesワイファイストアと同じような仕組みだ。」との記載及び上記Cの「インターフェイスや機能は,iTunesワイファイストアと同じようなものになる予定だ。レートやランキングも用意されている。」との記載から,引用文献1には,
「iPhone向けソフトウェアは,すべてiPhone2.0で追加されるアップストアを通じて配布され,
アップストアは,ジェイルブレイクしたiPhoneに追加されるインストーラと同じように,カテゴリ別にブラウズしてソフトウェアを探すとともに,iTunesストアと連携した課金システムも備え,いわば,iTunesワイファイストアと同じような仕組みであり,
インターフェイスや機能は,iTunesワイファイストアと同じようなものになる予定で,レートやランキングも用意されて」いることが記載されていると認められる。

ウ 上記Aの「MacやPC上のiTunesからも利用が可能になるとのことだ。」との記載及び上記Dの「iTunesからもアップストアにアクセス可能になる予定だ。MacやPCからじっくり選びたい時に最適だろう。」との記載から,引用文献1には,
「MacやPC上のiTunesからもアップストアにアクセス可能になる予定で,MacやPCからじっくり選びたい時に最適であ」ることが記載されていると認められる。

エ 上記Aの「インストールしたソフトウェアがバージョンアップすると,それを自動的にアップデートする機能も備える予定だ。
なお,繰り返しになるがアップルが開発者に対して請求する費用が価格の30%なので,それほどアプリケーションの価格はそれほど高くならないだろう。この条件では,ソフトの価格が上がるほど開発者の負担が大きくなるからだ。また,フリーウェアの場合もその計算式が使われるので,開発者の負担も0になる。このことから,ほぼフリーウェアが多くなるのではないだろうか?」との記載から,引用文献1には,
「インストールしたソフトウェアがバージョンアップすると,それを自動的にアップデートする機能も備える予定で,
アップルが開発者に対して請求する費用が価格の30%なので,アプリケーションの価格はそれほど高くならないと予想され,
また,フリーウェアの場合もその計算式が使われるので,開発者の負担も0になり,ほぼフリーウェアが多くなるのではないかと予想される」ことが記載されていると認められる。

(3)したがって,上記引用文献1には次の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「iPhone OS 2.0に追加されるApp Storeからネイティブアプリの購入およびダウンロードが可能になることであって,
iPhone向けソフトウェアは,すべてiPhone2.0で追加されるアップストアを通じて配布され,
アップストアは,ジェイルブレイクしたiPhoneに追加されるインストーラと同じように,カテゴリ別にブラウズしてソフトウェアを探すとともに,iTunesストアと連携した課金システムも備え,いわば,iTunesワイファイストアと同じような仕組みであり,
インターフェイスや機能は,iTunesワイファイストアと同じようなものになる予定で,レートやランキングも用意されており,
MacやPC上のiTunesからもアップストアにアクセス可能になる予定で,MacやPCからじっくり選びたい時に最適であり,
インストールしたソフトウェアがバージョンアップすると,それを自動的にアップデートする機能も備える予定で,
アップルが開発者に対して請求する費用が価格の30%なので,アプリケーションの価格はそれほど高くならないと予想され,
また,フリーウェアの場合もその計算式が使われるので,開発者の負担も0になり,ほぼフリーウェアが多くなるのではないかと予想されること。」

2.引用文献2について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献2には,図面とともに次の事項が記載されている。

E 「アップルは,iPod touchの国内出荷を開始した(Apple Storeで見る)。Apple Storeなどで発売直後に注文したユーザーの手元にはもう届いていることだろう。編集部でも実機を入手できたので,touchのさまざまな機能を操作画面主体でリポートしていく。第1回は,注目の「iTunes Wi-Fi Music Store。touch」。無線LAN経由でtouchから直接楽曲を購入できるのだ。
iTunes Wi-Fi Music Storeは,touchの下部の右端に用意された紫のアイコンをタップしてアクセスする。Music Storeは,トップ10や新譜などの項目でソートできるほか,ソフトウェアキーボードによる検索も可能だ。購入にはApple IDを使う。マシンで使っているApple IDがシンクロした際に反映されるので,touch側ではApple IDのパスワードを入力するだけでいい。」(第1段落1行-第2段落末行)

F 「iTunes Wi-Fi Music Storeのトップ画面。ニュースリリース,What’s Hot,ジャンルの3カテゴリーに分かれている」(「iTunes Wi-Fi Music Storeのブラウズ」の項の図の説明(1))

G 「画面下部の「トップ10」ボタンをタップすると,ジャンル選択画面が現れる。ここで任意のジャンルの項目をタップすると,文字通り売り上げのトップ10がリスト表示される。曲,アルバム別にトップ10をチェックできる」(「iTunes Wi-Fi Music Storeのブラウズ」の項の図の説明(2))

H 「画面下部の「検索」ボタンをタップすると,ソフトウェアキーボードが現れる。ここに探したい曲やアーティストの名称を入力。推測変換が行われるので,文字を入力するたびに変換候補が絞り込まれる。変換候補を確定すると,Music Store側での検索が始まる」(「iTunes Wi-Fi Music Storeでの検索」の項の図の説明)

I 「iPod touchがほかのiPodと決定的に異なるのは,PCに接続することなく楽曲を本体で購入できる点だ。アルバムや曲の価格が記載されているグレーのボタンをタップすると「今すぐ購入」というグリーンのボタンに切り替わる」(「iTunes Wi-Fi Music Storeでの購入」の項の図の説明(1))

J 「「今すぐ購入」ボタンをタップすると,パスワード画面が現れる。購入にはiTunes Storeのアカウントが必要。iPod touchと最後に同期したPC上で登録されているアカウントが自動的に設定されているので,iPod touchではそのアカウントのパスワードを入力するだけでいい」(「iTunes Wi-Fi Music Storeでの購入」の項の図の説明(2))

K 「パスワードを入力すると,ダウンロード画面が現れる。進捗状況はプログレスバーで確認できる。IEEE802.11gの環境では1曲を30秒程度でダウンロードできた」(「iTunes Wi-Fi Music Storeでの購入」の項の図の説明(3))

したがって,上記引用文献2には,次の引用文献2記載事項1及び引用文献2記載事項2が記載されている。

「無線LAN経由でtouchから直接楽曲を購入できるiTunes Wi-Fi Music Storeは,トップ10や新譜などの項目でソートできるほか,ソフトウェアキーボードによる検索も可能であり,
iTunes Wi-Fi Music Storeのトップ画面で,画面下部の「トップ10」ボタンをタップすると,ジャンル選択画面が現れ,ここで任意のジャンルの項目をタップすると,文字通り売り上げのトップ10がリスト表示され,曲,アルバム別にトップ10をチェックでき,
アルバムや曲の価格が記載されているグレーのボタンをタップすると「今すぐ購入」というグリーンのボタンに切り替わり,「今すぐ購入」ボタンをタップすると,パスワード画面が現れ,パスワードを入力すると,ダウンロード画面が現れること」(引用文献2記載事項1)

「iTunes Wi-Fi Music Storeのトップ画面で,画面下部の「検索」ボタンをタップすると,ソフトウェアキーボードが現れ,ここに探したい曲やアーティストの名称を入力すると推測変換が行われ,変換候補を確定すると,Music Store側での検索が始まること」(引用文献2記載事項2)

3.引用文献3について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献3には,図面とともに次の事項が記載されている。

L 「【0008】
【実施例】
以下,本発明の一実施例を図1により説明する。図1は本発明の一実施例を示すインターネットを用いたオンラインソフト(ファイル)流通システムの概念図である。いわゆるエンドユーザーがオンラインソフトを提供する業者にインターネットを経由してアクセスしている図を観念的に示す。現在のインターネットは複数のサーバーがお互いに接続して稼動しており,正確にはもう少し複雑であるが,わかりやすいように省略した。
【0009】
まず1,2,3で示されるのが,エンドユーザーA,エンドユーザーBとエンドユーザーCである。彼らはインターネットを経由してオンラインソフトのサーバーSにアクセスする。正確には,このオンラインソフトのサーバーのインターフェイスDを介してということになる。
このオンラインソフトのサーバーSには,オンラインソフトのデータベースOと会員のデータベースKと広告のデータベースAと有料ソフトの販売実績データベースJが接続されている。
【0010】
これらのオンラインソフトのインターフェイスDの動作について,フローチャートに基づいて記載する。」

M 「【0026】
次に第五実施例を図6に示す。これは対話形式でダウンロードしたいファイルを抽出してくれるシステムである。まずステップ601において,ユーザーの環境を指定してもらう。この環境とはユーザーのOS(例えば,OSがWindows98(マイクロソフト社の登録商標です)であるとかMac-OSかといった情報)などの情報である。
【0027】
次にステップ602において「無料ソフトか有料ソフトのいずれをダウンロードするか」を問う。オンラインソフトに関してはさまざまな考え方があり,無料のソフトしか使わない人も入れば,有料ソフトに優れたものが多いから有料ソフトしか使わないという人もいる。それを尋ねる。この選択肢は3つある。無料ソフトのみか,有料ソフトのみか,無料か有料かにこだわらないという回答である。
【0028】
次にステップ603において,ダウンロードしたいソフトウェアのジャンルが尋ねられる。例えば文書作成とか画像処理といったものであり,もっと細分化して指定しても良い。
【0029】
次にステップ604において,キーワードでダウンロードしたいものを検索し,抽出する。ここで説明する実施例においては,このキーワードとは類義語辞書が検索システムの中に入っている。例えば,「文書処理」でも「テキスト処理」でも抽出するものとなっている。
【0030】
このように構成することにより,オンラインソフトのダウンロードを行うエンドユーザーは,オンラインソフト流通システムが画面に表示する質問に次々と答えていくだけで,自動的に探したいソフトウェアを探し出すことができる。
【0031】
無料か有料ソフトのいずれかを絞って検索が行えるように構成する場合には,ダウンロードするエンドユーザーの希望に従った検索が行える。」

N 「【図1】



O 「【図6】



したがって,上記引用文献3には,次の引用文献3記載事項が記載されている。

「エンドユーザーがインターネットを経由し,オンラインソフトのサーバーのインターフェイスDを介してオンラインソフトのサーバーSにアクセスするオンラインソフト流通システムであって,対話形式でダウンロードしたいファイルを抽出してくれるシステムにおいて,
まずユーザーの環境を指定してもらい,
次に,「無料ソフトか有料ソフトのいずれをダウンロードするか」を尋ね,このとき,回答の選択肢には,無料ソフトのみ,有料ソフトのみ,無料か有料かにこだわらない,という3つがあり,
次に,ダウンロードしたいソフトウェアのジャンルが尋ねられ,
次に,キーワードでダウンロードしたいものを検索し,抽出する,ように構成することにより,
オンラインソフトのダウンロードを行うエンドユーザーは,オンラインソフト流通システムが画面に表示する質問に次々と答えていくだけで,自動的に探したいソフトウェアを探し出すことができ,
無料か有料ソフトのいずれかを絞って検索が行えるように構成する場合には,ダウンロードするエンドユーザーの希望に従った検索が行える,
システム。」

4.引用文献4について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献4には,図面とともに次の事項が記載されている。

P 「3 「Installer」の使い方
Springboardに追加された「Installer」は,インターネットに公開されているiPod touchとiPhone用のアプリケーションを閲覧する機能と,それらのソフトをダウンロードしてインストールする機能を備えたソフトだ。これを使っていろんなアプリケーションを組み込もう。
iPod touchでInstallerを立ち上げると,画面の一番下に,「Featured」「Install」「Update」「Uninstall」「Sources」-という5つのアイコンが現れる(図1)。「Install」をタップすると,カテゴリーのリストが表示される(図2)。カテゴリーを選んでインストールしたいパッケージをタップ(図3)。さらに,右上に表れる「Install」ボタンを押すと,データのダウンロードが始まり,その後自動的にインストールされる(図4,5)。
画面下部の「Update」はそれぞれのアプリが更新されているかを確認できる。また「Uninstall」は組み込んだソフトを削除する際に使う。」(第57頁左欄1行-右欄7行)

Q 「図1 アプリケーション「Installer」を立ち上げた状態。画面下に5つのアイコンが現れる
図2 5つのアイコンの中から「Install」を選ぶと,ソフトのカテゴリーが表示される
図3 カテゴリーを選択すると,ソフトのパッケージの名前が表示される
図4 インストールしたいアプリケーションを選択して,右上の「Install」ボタンをタップすると作業を進めてもいいかを確認するダイアログが出てくる。ここで「Install」を選択すれば,後は自動でデータのダウンロードとインストールが行われる
図5 Installerの処理が終わったら,ホームボタンを押す。すると,自動的にSpringboardが再起動して,インストールしたソフトのアイコンが追加される」(第57頁図1-図5の説明)

第5 対比・判断
1.本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると,次のことがいえる。

ア 引用発明の「iPhone」は「コンピュータ」であるということができ,引用発明の「iPhone OS 2.0に追加されるApp Storeからネイティブアプリの購入およびダウンロード」をすることは,「iPhone」という“コンピュータ”が実施する方法であるといえるから,引用発明と本願発明1とは,「コンピュータ実施方法」である点で一致する。

イ 引用発明の「iPhone」は,持ち運びや移動が可能である点で本願発明1の「移動装置」に相当する。
引用発明において,「インターフェイスや機能は,iTunesワイファイストアと同じようなものになる予定で,レートやランキングも用意されて」いるところ,当該インターフェイスが,ディスプレイに表示される視覚的なものであることは明らかであり,引用発明において,iPhoneの“ディスプレイ”には,“インターフェイス”として“レートやランキング”が表示されるものである。
そして,これらの“レートやランキング”は,iPhone向けソフトウェアであるアプリケーションに関するものであるから,引用発明における“レートやランキング”は,iPhone向けソフトウェアであるアプリケーションを“管理”するための“管理インターフェイス”であるといえる。
してみれば,上記アにおける検討も踏まえると,引用発明と本願発明1とは,「移動装置のディスプレイにアプリケーション管理インターフェイスを表示すること」「を含むコンピュータ実施方法」である点で一致する。

ウ 引用発明では,「App Storeからネイティブアプリ」を「購入」および「ダウンロード」するために,「カテゴリ別にブラウズしてソフトウェアを探」して“選択”することができるものと認められ,当該選択された“アプリケーション”は,“サーバ”からダウンロードされる,すなわち,“受信”されるものであり,当該“サーバ”は“アプリケーション”を“ストア”している“アプリケーションストアサーバ”といいうるものである。
してみれば,引用発明と本願発明1とは,後記する点で相違するものの,「選択されたアプリケーションを,アプリケーションストアサーバから受信すること」「を含むコンピュータ実施方法」である点で共通する。

エ 引用発明に「インストールしたソフトウェアがバージョンアップすると,それを自動的にアップデートする機能も備える予定」と特定されているように,引用発明において,「購入」され「ダウンロード」されたアプリケーションは,その後,“iPhone(移動装置)”に“インストール”されるものであるから,引用発明と本願発明1とは,後記する点で相違するものの,「選択されたアプリケーションを移動装置にインストールすること」「を含むコンピュータ実施方法」である点で共通する。

したがって,本願発明1と引用発明との間には,次の一致点,相違点があるといえる。

(一致点)
「移動装置のディスプレイにアプリケーション管理インターフェイスを表示することと,
選択されたアプリケーションを,アプリケーションストアサーバから受信することと,
前記選択された前記アプリケーションを前記移動装置にインストールすることと,を含むコンピュータ実施方法。」

(相違点)
(相違点1)
移動装置のディスプレイに表示されるアプリケーション管理インターフェイスに関して,
本願発明1では,「アプリケーション管理インターフェイスは,
アプリケーションストアサーバからのアプリケーションであって移動装置にインストール可能なアプリケーションに対応するアプリケーションオブジェクトのセットと,
支払を必要とするアプリケーションオブジェクトだけを表示することに関連付けられた第1ユーザ活性化要素と,
支払が不要なアプリケーションオブジェクトを表示することに関連付けられた第2ユーザ活性化要素と,を同時に表示する」のに対して,
引用発明では,「インターフェイスや機能は,iTunesワイファイストアと同じようなものになる予定で,レートやランキングも用意されて」いることは特定されるものの,アプリケーションに対応するアプリケーションオブジェクトのセットと,第1ユーザ活性化要素と,第2ユーザ活性化要素とを同時に表示することは特定されていない点。

(相違点2)
アプリケーション管理インターフェイスの動作に関して,
本願発明1は,「支払を必要とするアプリケーションオブジェクトだけを表示することに関連付けられた前記第1ユーザ活性化要素の選択を検出することと,
前記第1ユーザ活性化要素の選択の検出に応じて,支払が不要なアプリケーションオブジェクトの表示を止め,支払を必要とする前記アプリケーションオブジェクトのうちの少なくともいくつかを表示することと」を含むのに対して,
引用発明は,そのような動作について特定されていない点。

(相違点3)
本願発明1では,「表示されたアプリケーションオブジェクトからのアプリケーションオブジェクトの選択を検出する」と,「選択されたアプリケーションオブジェクトに対応するアプリケーション」を,前記アプリケーションストアサーバから受信し,また,「前記選択されたアプリケーションオブジェクトに対応する前記アプリケーション」を前記移動装置にインストールするのに対して,
引用発明では,アプリケーションを選択する際に,表示されたアプリケーションオブジェクトから所望のアプリケーションオブジェクトを選択することは特定されていない点。

(2)相違点についての判断
事案に鑑み,上記相違点1及び相違点2についてまとめて検討する。
まず,「アプリケーションストアサーバからのアプリケーションであって移動装置にインストール可能なアプリケーションに対応するアプリケーションオブジェクトのセット」について検討すると,引用文献2には,上記「第4」の「2.」に記載のとおり,
「無線LAN経由でtouchから直接楽曲を購入できるiTunes Wi-Fi Music Storeは,トップ10や新譜などの項目でソートできるほか,ソフトウェアキーボードによる検索も可能であり,
iTunes Wi-Fi Music Storeのトップ画面で,画面下部の「トップ10」ボタンをタップすると,ジャンル選択画面が現れ,ここで任意のジャンルの項目をタップすると,文字通り売り上げのトップ10がリスト表示され,曲,アルバム別にトップ10をチェックでき,
アルバムや曲の価格が記載されているグレーのボタンをタップすると「今すぐ購入」というグリーンのボタンに切り替わり,「今すぐ購入」ボタンをタップすると,パスワード画面が現れ,パスワードを入力すると,ダウンロード画面が現れること」(引用文献2記載事項1)が記載されており,ここでの「曲,アルバム別にトップ10をチェックでき」る,「売り上げのトップ10」として「リスト表示」される曲やアルバムは,「オブジェクト」といいうるものであり,「アルバムや曲の価格が記載されているグレーのボタンをタップする」ことは,「オブジェクト」を選択することに他ならないから,引用発明において引用文献2記載事項1を適用して,「アプリケーションストアサーバから受信する」「アプリケーション」を「選択」させるために,「アプリケーションに対応するアプリケーションオブジェクト」を表示し,これを「選択」可能とすることで,アプリケーションを「選択」できるようにすることは,当業者であれば,格別の困難性を要するものではないといえる。
他方で,引用文献2には,
「iTunes Wi-Fi Music Storeのトップ画面で,画面下部の「検索」ボタンをタップすると,ソフトウェアキーボードが現れ,ここに探したい曲やアーティストの名称を入力すると推測変換が行われ,変換候補を確定すると,Music Store側での検索が始まること」(引用文献2記載事項2)が記載されていて,探したい曲やアーティストの名称を入力することで,探したい曲やアーティストを「検索」できることが記載されている。
また,引用文献3には,引用文献3記載事項として,
「エンドユーザーがインターネットを経由し,オンラインソフトのサーバーのインターフェイスDを介してオンラインソフトのサーバーSにアクセスしするオンラインソフト流通システムであって,対話形式でダウンロードしたいファイルを抽出してくれるシステムにおいて,
まずユーザーの環境を指定してもらい,
次に,「無料ソフトか有料ソフトのいずれをダウンロードするか」を尋ね,このとき,回答の選択肢には,無料ソフトのみ,有料ソフトのみ,無料か有料かにこだわらないという3つがあり,
次に,ダウンロードしたいソフトウェアのジャンルが尋ねられ,
次に,キーワードでダウンロードしたいものを検索し,抽出する,ように構成することにより,
オンラインソフトのダウンロードを行うエンドユーザーは,オンラインソフト流通システムが画面に表示する質問に次々と答えていくだけで,自動的に探したいソフトウェアを探し出すことができ,
無料か有料ソフトのいずれかを絞って検索が行えるように構成する場合には,ダウンロードするエンドユーザーの希望に従った検索が行える,
システム。」が記載されている。
ここで引用文献3記載事項を参照すると,「無料ソフトのみ,有料ソフトのみ,無料か有料かにこだわらない」という3つの選択肢は記載されているものの,当該選択肢の選択は,対話形式でダウンロードしたいファイルを抽出するシステムにおいて,オンラインソフト流通システムが画面に表示する質問に次々と答えていく途中の段階での回答の一つであって,当該回答を含めた検索の条件に基づいて,ダウンロードするエンドユーザーの希望に従った検索が行えるものであり,この手法は,選択肢を提示するための絞り込みである「検索」に関する手法であるから,引用文献2記載事項1の「選択」のインターフェイスというよりは,むしろ引用文献2記載事項2の「検索」のインターフェイスにおいて採用されると考えることが自然である。
そうすると,引用発明において,引用文献2のインターフェイスや機能と同じようなものを採用したうえで,さらに引用文献3の「無料ソフトのみ,有料ソフトのみ,無料か有料かにこだわらない」という3つの選択肢を用いた検索技術を適用したとしても,例えば,一旦,「無料ソフトのみ」という検索条件で検索を実行した後に,検索条件を「有料ソフトのみ」に変更して,再度,新たな検索を実行することは想定されるものの,上記相違点1及び相違点2に係る構成である,
アプリケーション管理インターフェイスを,
「アプリケーションストアサーバからのアプリケーションであって前記移動装置にインストール可能なアプリケーションに対応するアプリケーションオブジェクトのセットと,
支払を必要とするアプリケーションオブジェクトだけを表示することに関連付けられた第1ユーザ活性化要素と,
支払が不要なアプリケーションオブジェクトを表示することに関連付けられた第2ユーザ活性化要素と,を同時に表示する」ものとし,
さらに,アプリケーション管理インターフェイスが,
「支払を必要とするアプリケーションオブジェクトだけを表示することに関連付けられた前記第1ユーザ活性化要素の選択を検出」すると,
「前記第1ユーザ活性化要素の選択の検出に応じて,支払が不要なアプリケーションオブジェクトの表示を止め,支払を必要とする前記アプリケーションオブジェクトのうちの少なくともいくつかを表示する」ように構成することを,当業者が容易に想到するということはできない。
また,そのように構成することは,引用文献4にも記載されておらず,さらに,そのように構成することが,当該技術分野における周知技術であったということもできない。
そうすると,当業者であっても,引用発明に引用文献2-4に記載の技術的事項及び周知技術を適用して,上記相違点1及び相違点2に係る事項を容易に想到することができたということはできない。

したがって,その余の相違点について判断するまでもなく,本願発明1は,当業者であっても,引用発明,引用文献2-4に記載の技術的事項及び周知技術に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

2.本願発明2-13について
本願発明2-13は,本願発明1を減縮した発明であり,上記相違点1及び相違点2に係る構成と同一の構成を備えるものであるから,本願発明1と同様の理由により,当業者であっても,引用発明,引用文献2-4に記載の技術的事項及び周知技術に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

3.本願発明14-26について
本願発明14-26は,それぞれ本願発明1-13に対応する装置の発明であり,上記相違点1及び相違点2に係る構成と同様の構成を備えるものであるから,本願発明1と同様の理由により,当業者であっても,引用発明,引用文献2-4に記載の技術的事項及び周知技術に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

4.本願発明27-39について
本願発明27-39は,それぞれ本願発明1-13に対応するコンピュータプログラムの発明であり,上記相違点1及び相違点2に係る構成と同様の構成を備えるものであるから,本願発明1と同様の理由により,当業者であっても,引用発明,引用文献2-4に記載の技術的事項及び周知技術に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

5.本願発明40-42について
本願発明40は,本願発明1-13を減縮した発明であり,本願発明41は,本願発明14-26を減縮した発明であり,本願発明42は,本願発明27-39を減縮した発明であり,いずれも,上記相違点1及び相違点2に係る構成と同様の構成を備えるものであるから,本願発明1と同様の理由により,当業者であっても,引用発明,引用文献2-4に記載の技術的事項及び周知技術に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

第6 むすび
以上のとおり,本願発明1-42は,当業者が引用発明,引用文献2-4に記載の技術的事項及び周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものではない。
したがって,原査定の理由によっては,本願を拒絶することはできない。
また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
 
審決日 2019-03-06 
出願番号 特願2016-100793(P2016-100793)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G06F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 坂庭 剛史  
特許庁審判長 辻本 泰隆
特許庁審判官 須田 勝巳
山崎 慎一
発明の名称 移動装置のアプリケーション管理のためのユーザインターフェイス  
代理人 高柳 司郎  
代理人 永川 行光  
代理人 木村 秀二  
代理人 大塚 康徳  
代理人 大塚 康弘  
代理人 下山 治  
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ