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審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 F28F
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 F28F
管理番号 1349251
審判番号 不服2017-18033  
総通号数 232 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-04-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-12-05 
確定日 2019-03-18 
事件の表示 特願2016-541198号「取付手段、ガスケット構造、熱交換プレートおよびアセンブリ」拒絶査定不服審判事件〔2015年6月25日国際公開、WO2015/090931、平成29年1月5日国内公表、特表2017-500531号、請求項の数(10)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2014年12月2日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2013年12月18日,欧州特許庁(EP))を国際出願日とする出願であって、平成29年5月16日付けで拒絶理由が通知され、平成29年8月1日に意見書及び手続補正書が提出され、平成29年9月7日付けで拒絶査定(以下、「原査定」という。)がされ、これに対して、平成29年12月5日に拒絶査定不服の審判が請求され、平成29年12月25日に審判請求書の請求の理由を補正する手続補正書が提出され、平成30年8月31日付けで拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という。)が通知され、平成30年11月14日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。

第2 原査定の概要
本願の請求項1に係る発明は、本願の出願(優先日)前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物1,2に記載された発明に基いて、また、本願の請求項2?10に係る発明は、本願の出願(優先日)前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物1?3に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧:
1.特表2002-519614号公報
2.国際公開第2010/092556号
3.特開平8-271178号公報

第3 当審拒絶理由
本願は、特許請求の範囲の請求項2?10の記載が、下記の点で特許法第36条第2項第2号に規定する要件を満たしていない。

1.請求項2記載の「第3の部分」が、どこを指すのか不明確である。
引用する請求項1に記載された「第1の部分」及び「第2の部分」との関係において明確にされたい。

2.請求項3及び4記載の「長さ方向の広がり」における「長さ方向」が、どの方向を指すのか不明確である。
明細書の段落【0025】の記載からすれば、図1?3におけるy方向であるが、そうであれば、請求項3及び4の記載は図1?3の記載と矛盾する。
請求項1記載の「長手方向」方向のことか。

3.請求項4の記載は主語がなく、何が「変化する幅を有し」ているのか不明である。

4.請求項5に「第2の反対の側」と記載されているが、「第2の」の意味するところが不明である。
「前記第1の側の反対の側」の意味か。

5.請求項7に「前記少なくとも1つの長さ」、「前記少なくとも1つの第1の部分」、「前記少なくとも1つの第2の部分」、「前記少なくとも1つの両側」及び「前記少なくとも1つの直近」と記載されているが、それ以前に対応する記載がなく「前記」の意味するところが不明である。
また、「少なくとも1つの」の意味するところも不明である。

6.請求項8に「前記隆起部(34,)の前記少なくとも1つは、」と記載されているが、「(34,)」の記載は、誤記と思われる。
また、「前記少なくとも1つ」の記載は、何を引用して「前記」と言っているのか不明である。

7.請求項9に「前記隆起部(34)の前記少なくとも1つの第3の部分」と記載されているが、「第3の部分」が、どこを指すのか不明確である。
引用する請求項7に記載された「第1の部分」及び「第2の部分」との関係において明確にされたい。
また、「前記少なくとも1つの第3の部分」と記載されているが、それ以前に対応する記載がなく「前記」の意味するところが不明である。

8.請求項9記載の「所定の方向」が、どの方向を意味するのか不明である。

よって、請求項2?10に係る発明は明確でない。

第4 本願発明
本願請求項1?10に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」?「本願発明10」という。)は、平成30年11月14日提出の手続補正書で補正された特許請求の範囲の請求項1?10に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1及び7は以下のとおりの発明である。

【請求項1】
熱交換プレート(4)の縁部(26,28)と係合するように構成された、前記熱交換プレートの第1の側(8)にガスケット(50)を固定するための、取付手段(52,90)であって、
第1の接続部材(54,92)と第2の接続部材(56,94)とブリッジ(58,96)とを備えており、
前記第1の接続部材の第1の部分(60)は、前記ガスケットと係合するように構成され、前記第1の接続部材の第2の部分(64)は、前記ブリッジと係合し、前記第2の接続部材の第1の部分(62)は、前記ガスケットと係合するよう構成され、かつ、前記第2の接続部材の第2の部分(66)は、前記ブリッジと係合し、
さらに前記第1および第2の接続部材間に配置されるフィンガ(74)を備えており、
前記フィンガの接続部分(76)は、前記ブリッジに係合し、
前記フィンガは、前記ガスケットへ向けて前記ブリッジから延在するよう構成され、
前記フィンガは、前記フィンガの長さに沿って変化する幅を有しており、前記フィンガの幅方向の広がりは、前記ブリッジの長手方向の広がりに平行であり、
前記フィンガ(74)は、第1の幅(wf1)を伴う第1の部分(80)と、第2の幅(wf2)を伴う第2の部分(82)と、を有しており、
前記第1の部分は、前記第2の部分よりも前記ブリッジ(58,96)に近接して配置されており、かつ前記第1の幅は前記第2の幅よりも小さいことを特徴とする取付手段(52,90)。

【請求項7】
熱交換プレート(4)であって、
前記熱交換プレート(4)の第1の側(8)において、
前記熱交換プレート(4)の縁(30,32)に沿って延在するガスケット溝(18)と、
前記縁と前記ガスケット溝との間に延在するとともに、前記第1の側から見て交互に形成された隆起部(34)および谷部(36)を備えるように波形状になされた、前記熱交換プレートの縁部(26,28)と、
を備えており、
前記縁部は、前記ガスケット溝にガスケット(50)を固定するための取付手段(52,90)と係合するよう構成されており、
前記隆起部および前記谷部の幅方向の広がりは、前記ガスケット溝の長さ方向の広がりに平行であり、
前記隆起部の少なくとも1つは、前記隆起部の少なくとも1つの長さに沿って変化する幅を有しており、
前記隆起部の少なくとも1つの第1の部分(38)が第1の幅(wr1)を有しており、かつ前記隆起部の少なくとも1つの第2の部分(40)が第2の幅(wr2)を有しており、
前記第1の部分は、前記第2の部分よりも前記ガスケット溝に近接するよう配置されており、かつ前記第1の幅は前記第2の幅よりも大きく、
前記谷部(36)の少なくとも1つは、前記谷部の少なくとも1つの長さに沿って変化する幅を有しており、
前記隆起部の前記少なくとも1つの両側の、前記隆起部の少なくとも1つの直近に隣接して形成された前記谷部は、前記ガスケット溝(18)に向かって開放されていることを特徴とする熱交換プレート(4)。

なお、本願発明2?6は、本願発明1を引用することにより減縮した発明であり、本願発明8?10は、本願発明7を引用することにより減縮した発明である。

第5 引用文献等
1.引用文献1について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1(特表2002-519614号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている。

(1)「熱交換機構において用いられる複数の熱交換板および熱交換板用シーリングガスケットであって、
前記各熱交換板は、第一側面および第二側面、端部、および、その前記第一側面内に形成された溝を有し、当該溝は前記端部に沿うとともに、そこから間隔をあけて伸長しており、
前記各シーリングガスケットは:
第一の熱交換板の前記溝内に設置されるとともに、当該第一の熱交換板と関連して第二の熱交換板が圧縮されつづけると、前記第一熱交換板と第二熱交換板との間を密閉する延長本体部;および
前記ガスケットを前記熱交換板の所定箇所に取り付けるためのものであって、前記本体部と一体に形成され、前記本体部の長手方向に沿い、そこから間隔をあけて位置するとともに、その横方向に伸長する複数の熱交換板把持部;を有しており、
前記把持部は、前記熱交換板の前記所定箇所において、組み立てを行なう者(assembler)に対し、前記把持部と前記熱交換板が正しく取り付けられているか否かを目視可能な表示を提供するよう構成されていること、
を特徴とするもの。」(【請求項1】)

(2)「【発明の概要】
本発明の目的は、板状熱交換機構に用いられるガスケットであって、熱交換板に対し横方向の正のグリッピング力を加えるための複数の把持部が各ガスケット上に形成され、これにより、積層体(stack)を固定する前に前記ガスケットを確実に前記熱交換板上に保持するものを提供することにある。」(段落【0012】)

(3)「本発明の他の目的は、板状熱交換機構に用いられるガスケットであって、対応する熱交換板を把持する複数の把持部が各ガスケット上に形成されており、組み立て途中に把持部が正しく位置されなかった場合、その位置に関する目視可能な表示が提供され、これにより、組み立て後の積層構造板を用いる前にかかる問題を是正することが容易となるものを提供することにある。」(段落【0013】)

(3)「図4?7Bについて説明すると、ガスケット420は、複数のプレート保持部430を有しており、そのそれぞれは1対の長い接続部432を有しており、当該接続部432は、主要ガスケット部418に必須要素として形成されており、かつ、プレート端部416を横切るように、主要ガスケット部418から離れる方向に延びている(図5?7B)。また、長い接続部432は、主要ガスケット部418に沿って、縦方向に離れて配置されている。一つの保持タブ436は、接続部432の間に配置され、また、必須要素として形成されたヒンジ440によって保持される。なお、ヒンジ440は、プレート端部416に平行なヒンジ軸441を定義する。
本実施形態において、ガスケット420の全体および保持部430の全ての部分は、望ましくは、一体形成のゴム状材料によって形成されている。それ応じて、保持タブ436は、プレートとかみ合うように持ってくるために、ヒンジ440に関する相対的な回転運動を要求する初期制止位置を持つように形成されている。それ故、保持タブ436の回転方向と反対の方向に弾力性のある回転力を生成する。その他の実施形態において、ヒンジ440を棒部材のように別個に形成してもよく、要求される保持力を提供するために、さらに弾力性がある手段を有するようにしてもよい。
図5A?6に関して、主要ガスケット部418は、プレート412の溝414に配置されるように形成されており、また、プレート上にガスケットを最初に配置した後、保持タブ436は、プレートおよび主要ガスケット部418から離れた角度を持つ初期静止位置を有する。タブ436の初期位置は、好ましくは、図5Aおよび図5Bに示すようにプレート412および接続部432のそれぞれに対して90度?180度の範囲であり、それにより、プレートの山を組み立てるときに、ガスケットに適切に固定されていない保持タブ436を簡単に見つけることができる。
矢印442(図4および6)が指し示すように、回転力が保持タブ436に加えられると、その結果、保持タブ436は図4において実線で示される静止位置から、プレート412の裏面もしくは第2の面425に完全にしっかりとかみ合う位置であって図5A、5Bおよび6における実線で示される位置まで、移動する。ヒンジ軸411に関して保持タブ436を回転させるために必要とされた力は、結果として、プレート412に関する横方向の保持力(図4における矢印444によって示される)となり、その結果、接続部432がプレート412に与えるのと同等かつ相反する力を引き起こす。保持力は、ヒンジ440によって与えられる回転抵抗の機能であり、次には、材料特性、ヒンジの断面積、そして保持タブ436を回転しなければならない角度の機能である。
図6から明らかなように、本発明の本実施形態では、保持タブ436は、くぼみ部428にしっかりと差し込むことができるように、ヒンジ440とプレート端部416との間の空間に差し込まれなければならない。ガスケット420の適切な位置は図7Aに示されており、当該図7Aは、プレート412とプレート保持部430とが完全にあわさり、そしてしっかりとかみ合う状態を含んでいる。一方、図7Bには、ガスケット420の不適切な配置、もしくは不完全な配置が示されており、当該配置は、保持タブ436が旗のように外側に突き出た状態によって表される。」(段落【0044】?【0048】)

(5)「図9Aおよび9Bは、ガスケット920およびプレート912の両方を示しており、図4?7Bに記述されているものとほぼ同様であるが、ロック機能が追加されている。当該ロック機能は、プレート端部910の山部926に形成されている開口927および一度、プレート保持部930の残りがプレート端部910に完全にかみ合うように持ち込まれると、開口927とかみ合うように調整されたロック用突起938によって形成されている。」(段落【0050】)

(6)



上記図9A及び9Bの記載からすれば、引用文献1記載のプレート端部の山部の間に谷部が形成されることにより、プレート端部は波形状にされ、当該山部には保持タブが係合されており、当該谷部はガスケットが設けられる溝に対して開放されている。

してみれば、上記引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されているものと認められる。

「ガスケットを固定するプレート保持部であって、1対の長い接続部を有しており、当該接続部は、主要ガスケット部に形成されており、かつ、プレート端部を横切るように、主要ガスケット部から離れる方向に延びており、また、長い接続部は、主要ガスケット部に沿って、縦方向に離れて配置されており、一つの保持タブは、接続部の間に配置され、また、ヒンジによって保持され、プレート及び主要ガスケット部から離れた角度を持つ初期静止位置を有し、ヒンジは、プレート端部に平行なヒンジ軸を定義し、ロック機能が追加されており、当該ロック機能は、プレート端部の山部に形成されている開口および一度、プレート保持部の残りがプレート端部に完全にかみ合うように持ち込まれると、開口とかみ合うように調整されたロック用突起によって形成されているプレート保持部。」

また、上記引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明2」という。)が記載されているものと認められる。

「主要ガスケット部が、プレートの溝に配置されるように形成されており、プレートの山部の間には谷部が形成されることにより、プレート端部は波形状にされ、当該山部には保持タブが係合されており、当該谷部は主要ガスケット部が挿入される溝に対して開放されているプレート。」

2.引用文献2について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2(国際公開第2010/092556号)には、図面とともに次の事項が記載されている。

(1)「The channel 3, together with the notches 4, is intended to house a gasket, which is composed of an annular body 8 and a predetermined number of protuberances 9 spaced from each other which are integrally made with the annular body 8 of the gasket and extend therefrom in a radial manner at the same mutual distance of the notches 4 of the channel 3, preferably according to a pre-established pitch (Fig. 1 ).

One or more notches or slots 4 have one or both lateral walls with at least one undercut portion, as is indicated with 4a and 4b. Advantageously each slot has an undercut portion. Preferably, the lateral walls of each notch 4 are connected with the adjacent wall of the channel 3 and are advantageously undercut also at their connected portion. Preferably, the lateral walls of a notch 4 have, starting from the bottom wall of the notch, a first flared section 4a followed by a recessed section 4b so as to delimit an internal opening of the slot with at least partially hexagonal section.

In addition, each notch 4 has a cross section area that advantageously increases towards the outside, in the direction moving away from the channel 3, at least at a terminal section thereof.
Similarly, the protuberances 9 of the gasket have slightly convex flanks and preferably are configured like the lateral walls of the respective housing notch 4, i.e. having a connection portion to the annual body 8 of the gasket and/or having a first flared section 9a followed by a recessed section 9b so as to delimit a cross section area at least partially hexagonal and/or advantageously increasing towards the outside, in the direction moving away from the annular body 8, at least at a terminal section thereof.」(9頁21行?10頁22行)
審決訳:
「チャンネル3とノッチ4は、予め定められたピッチで設けられたチャンネル3のノッチ4の間隔と同じ間隔で環状体8と一体的に設けられた所定数の突起9を有するガスケットを収容するように構成されている。

一方または両方の側壁に少なくとも1つのアンダーカット部分を有する一つ又は複数のノッチ又はスロット4が4a,4bとして示されている。有利なことに、各スロットは、アンダーカット部分を有している。好ましくは、各ノッチの側壁は、チャネル3の隣接壁部に接続されており、有利には、その接続部にもアンダーカットが設けられている。好ましくは、ノッチ4の側壁は、ノッチの下壁部から出発して、第1のフレアセクッション4aと、凹部4bによって、少なくとも部分的に六角形の断面形状を有するスロットの開口を画定するようになっている。

加えて、各ノッチ4は、チャネルから離れる方向に向かって増大する断面積を有している。
同様に、ガスケットの突起9は、僅かに凸状で、望ましくは対応するハウジングのノッチ4の側壁に対応した側壁を有すると共に、ガスケットの環状体8への接続部分を有し、及び/又は第1のフレアセクション9aと、凹部9bによって、少なくとも部分的に六角形の断面形状を有する。」

(2)「



第6 対比・判断
1.本願発明1について
(1)対比
引用発明1の「プレート端部」及び「プレート保持部」は、それぞれ本願発明1の「熱交換プレートの縁部」及び「取付手段」に相当する。
また、引用発明1の「1対の長い接続部」、「ヒンジ」並びに「保持タブ」は、それぞれ本願発明1の「第1の接続部材」及び「第2の接続部材」、「ブリッジ」並びに「フィンガ」に相当する。
よって、本願発明1と引用発明1は、次の一致点及び相違点を有している。

<一致点>
「熱交換プレートの縁部と係合するように構成された、前記熱交換プレートの第1の側にガスケットを固定するための、取付手段であって、
第1の接続部材と第2の接続部材とブリッジとを備えており、
前記第1の接続部材の第1の部分は、前記ガスケットと係合するように構成され、前記第1の接続部材の第2の部分は、前記ブリッジと係合し、前記第2の接続部材の第1の部分は、前記ガスケットと係合するよう構成され、かつ、前記第2の接続部材の第2の部分は、前記ブリッジと係合し、
さらに前記第1および第2の接続部材間に配置されるフィンガを備えており、前記フィンガの接続部分は、前記ブリッジに係合している取付手段。」

<相違点1>
本願発明1は、フィンガが、ガスケットへ向けてブリッジから延在するよう構成され、前記フィンガは、前記フィンガの長さに沿って変化する幅を有しており、前記フィンガの幅方向の広がりは、前記ブリッジの長手方向の広がりに平行であり、前記フィンガは、第1の幅(wf1)を伴う第1の部分と、第2の幅(wf2)を伴う第2の部分と、を有しており、前記第1の部分は、前記第2の部分よりも前記ブリッジに近接して配置されており、かつ前記第1の幅は前記第2の幅よりも小さいのに対し、引用発明1は、保持タブ(フィンガ)が、ガスケットへ向けてヒンジから延在するよう構成されてはおらず、ロック用突起が形成されており、当該ロック用突起が、プレート端部の山部に形成されている開口にかみ合う点

(2)判断
引用文献2には、突起の長さに沿って変化する幅を有しており、前記突起の幅方向の広がりは、前記ガスケットの長手方向の広がりに平行であり、前記突起は、第1の幅(wf1)を伴う第1の部分と、第2の幅(wf2)を伴う第2の部分と、を有しており、前記第1の部分は、前記第2の部分よりも前記ガスケットに近接して配置されており、かつ前記第1の幅は前記第2の幅よりも小さい突起が記載されている(図1参照)。
してみれば、引用文献2には本願発明1のフィンガに相当する構成を備えた突起が記載されているといえる。
そして、当該突起は、本願発明1のフィンガ同様、ガスケットを確実に熱交換板プレート上に保持するという作用効果(上記第5の1.(2)参照。)を奏するものであるといえる。
しかし、引用発明1の保持タブ(フィンガ)は、プレートおよび主要ガスケット部から離れた角度を持つ初期静止位置を有し、ロック用突起を備え、プレート端部の山部に形成されている開口に当該ロック用突起をかみ合わせることにより、ガスケットを確実に熱交換板プレート上に保持するものであり、上記作用効果に加えて、組み立て途中に把持部が正しく位置されなかった場合、その位置に関する目視可能な表示を提供するという作用効果(上記第5の1.(3)参照。)を奏するものであるから、このような作用効果を無視して、引用発明1の開口とかみ合うロック用突起を備えた保持タブの構成を引用文献2に記載された突起の構成に置き換える動機付けがあるとはいえない。
よって、本願発明1は、当業者であっても引用発明1及び引用文献2に記載された事項に基いて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

2.本願発明2?6について
本願発明2?6は、本願発明1を引用して減縮するものであり、上記相違点1に係る構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても引用発明1及び引用文献2に記載された事項に基いて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

3.本願発明7について
引用発明2の「プレート」、「主要ガスケット部が挿入される溝」、「山部」、「プレート端部」及び「保持タブ」は、それぞれ本願発明7の「熱交換プレート」、「ガスケット溝」、「隆起部」、「熱交換プレートの縁部」及び「取付手段」に相当する。
よって、本願発明7と引用発明2は、次の一致点及び相違点を有している。

<一致点>
熱交換プレートであって、前記熱交換プレートの第1の側において、前記熱交換プレートの縁に沿って延在するガスケット溝と、前記縁と前記ガスケット溝との間に延在するとともに、前記第1の側から見て交互に形成された隆起部および谷部を備えるように波形状になされた、前記熱交換プレートの縁部と、を備えており、前記縁部は、前記ガスケット溝にガスケットを固定するための取付手段と係合するよう構成されており、前記隆起部の前記少なくとも1つの両側の、前記隆起部の少なくとも1つの直近に隣接して形成された前記谷部は、前記ガスケット溝に向かって開放されていることを特徴とする熱交換プレート。

<相違点2>
本願発明7は、隆起部および谷部の幅方向の広がりは、ガスケット溝の長さ方向の広がりに平行であり、前記隆起部の少なくとも1つは、前記隆起部の少なくとも1つの長さに沿って変化する幅を有しており、前記隆起部の少なくとも1つの第1の部分が第1の幅(wr1)を有しており、かつ前記隆起部の少なくとも1つの第2の部分が第2の幅(wr2)を有しており、前記第1の部分は、前記第2の部分よりも前記ガスケット溝に近接するよう配置されており、かつ前記第1の幅は前記第2の幅よりも大きく、前記谷部の少なくとも1つは、前記谷部の少なくとも1つの長さに沿って変化する幅を有しているのに対し、引用発明2は、山部および谷部の長さに沿って変化する幅方向の広がりを有しておらず、山部にロック用突起にかみ合う開口が形成されている点

(2)判断
引用文献2には、ノッチの幅方向の広がりは、ガスケット溝の長さ方向の広がりに平行であり、前記ノッチの少なくとも1つは、前記ノッチの少なくとも1つの長さに沿って変化する幅を有しており、前記ノッチの少なくとも1つの第1の部分が第1の幅(wr1)を有しており、かつ前記ノッチの少なくとも1つの第2の部分が第2の幅(wr2)を有しており、前記第1の部分は、前記第2の部分よりも前記ガスケット溝に近接するよう配置されており、かつ前記第1の幅は前記第2の幅よりも小さく、前記谷部の少なくとも1つは、前記谷部の少なくとも1つの長さに沿って変化する幅を有している点が記載されている(図1参照)。
してみれば、引用文献2には本願発明7の隆起部及び谷部に相当する構成を備えたノッチが記載されているといえる。
そして、当該ノッチは、本願発明7の隆起部及び谷部同様、ガスケットを確実に熱交換板プレート上に保持するという作用効果(上記第5の1.(2)参照。)を奏するものであるといえる。
しかし、引用発明1の山部(隆起部)は、開口にプレートおよび主要ガスケット部から離れた角度を持つ初期静止位置を有するロック用突起をかみ合わせることにより、ガスケットを確実に熱交換板プレート上に保持するものであり、上記作用効果に加えて、組み立て途中に把持部が正しく位置されなかった場合、その位置に関する目視可能な表示を提供するという作用効果(上記第5の1.(3)参照。)を奏するものであるから、このような作用効果を無視して、引用発明1のロック用突起とかみ合う開口を備えた山部の構成を引用文献2に記載されたノッチの構成に置き換える動機付けがあるとはいえない。
よって、本願発明7は、当業者であっても引用発明2及び引用文献2に記載された事項に基いて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

4.本願発明8?10について
本願発明8?10は、本願発明7を引用して減縮するものであり、上記相違点2に係る構成を備えるものであるから、本願発明2と同じ理由により、当業者であっても引用発明2及び引用文献2に記載された事項に基いて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

第7 当審拒絶理由について
当審では、請求項2?10の記載が明確でないという拒絶の理由を通知しているが、平成30年11月14日提出の手続補正書による補正により請求項2?10の記載が補正された結果、この拒絶の理由は解消された。

第8 むすび
以上のとおり、本願発明1?10は、当業者が引用発明1及び2並びに引用文献2に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものではない。
したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2019-03-04 
出願番号 特願2016-541198(P2016-541198)
審決分類 P 1 8・ 537- WY (F28F)
P 1 8・ 121- WY (F28F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 石黒 雄一  
特許庁審判長 松下 聡
特許庁審判官 槙原 進
井上 哲男
発明の名称 取付手段、ガスケット構造、熱交換プレートおよびアセンブリ  
代理人 村山 靖彦  
代理人 実広 信哉  
代理人 阿部 達彦  
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