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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F
管理番号 1349327
審判番号 不服2018-1368  
総通号数 232 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-04-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-02-01 
確定日 2019-02-21 
事件の表示 特願2016- 69957号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成29年10月 5日出願公開、特開2017-176570号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1 手続の経緯・本願発明
(1)手続の経緯
本願は、平成28年3月31日の出願であって、平成29年5月31日付けで拒絶の理由が通知され、同年8月4日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、平成30年1月22日付けで拒絶査定がなされ、それに対して、同年2月1日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正書が提出され、これに対し、当審において、同年10月4日付けで拒絶の理由(以下「当審拒絶理由」という。)が通知され、同年11月27日に意見書(以下単に「意見書」という。)及び手続補正書が提出されたものである。

(2)本願発明
本願の請求項1に係る発明は、平成30年11月27日に提出された手続補正書によって補正された特許請求の範囲の請求項1に記載の事項により特定されるものであるところ、請求項1に係る発明は、その特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりの次のものであると認める。
「A 当否判定条件の成立を契機として取得された当否判定に関する当否判定情報を、所定数を限度として記憶することが可能な記憶手段と、
B 前記記憶手段に記憶されている前記当否判定情報である対象当否判定情報に対応する当否判定結果が当たりとなる蓋然性を示唆する演出であって、当該対象当否判定情報よりも前に取得された一または複数の先の前記当否判定情報に対応する当否判定結果を報知する演出が実行されているときに発生する先読み演出を実行する先読み演出実行手段と、
を備え、
C 前記先読み演出の少なくとも一種である特定先読み演出は、前記対象当否判定情報に対応する当否判定結果を報知する演出の開始前から開始後にかけて継続的に実行されるものであり、
D 前記対象当否判定情報に対応する当否判定結果を報知する演出を構成するものとして、当該対象当否判定情報に対応する当否判定結果が当たりとなる蓋然性を示唆する対象変動演出を実行することが可能であり、
E 前記対象当否判定情報に対応する当否判定結果を報知する演出が実行されている途中で前記特定先読み演出の結末が遊技者に有利な結末となったときには、当該特定演出の終了後に前記対象変動演出を進行させることで、当該対象当否判定情報に対応する当否判定結果が当たりとなる蓋然性が高まったことが示唆される
F ことを特徴とする遊技機。」(以下「本願発明」という。なお、記号AないしFは、分説するため合議体が付した。)

2 当審拒絶理由の概要
当審拒絶理由は、概略、次のとおりのものである。
(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用例に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

・請求項1
・引用例
引用例1.特開2014-200693号公報

3 引用例の記載及び引用発明
(1)引用例1の記載
当審拒絶理由で引用例1として引用され、本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2014-200693号公報(平成26年10月27日公開)(以下同じく「引用例1」という。)には、遊技台に関し、次の事項が図とともに記載されている。
ア 「【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を用いて、本発明の第一の遊技台(例えば、パチンコ機100等の弾球遊技機やスロット機等の回胴遊技機)の実施形態(第1実施形態)について詳細に説明する。
[実施形態1]
<全体構成>
まず、図1を用いて、本発明の第1実施形態に係るパチンコ機100の全体構成について説明する。なお、同図はパチンコ機100を正面側(遊技者側)から見た外観斜視図である。」
イ 「【0089】
<主制御部メイン処理>
次に、図6を用いて、図4に示す主制御部300のCPU304が実行する主制御部メイン処理について説明する。なお、同図は主制御部メイン処理の流れを示すフローチャートである。
【0090】
図4に示す主制御部300のRAM308には、大当り用特図1乱数カウンタ、小当り用特図1乱数カウンタ、ハズレ用特図1乱数カウンタ、およびこれらのカウンタの特図2用のカウンタが設けられている。また、そのRAM308には、特図1の保留数、特図1当選乱数値、大当り用特図1乱数値、小当り用特図1乱数値、ハズレ用特図1乱数値、特図1当否判定結果、特図1決定結果、特図1変動時間、およびこれらの、保留数や乱数値や結果の特図2用のものがそれぞれが記憶される。またRAM308には、当否判定(抽選)の開始を保留することができる最大数(この例では4つ)の領域に区分けされた保留記憶部が特図1と特図2で別々に用意されている。特図1の保留記憶部には、後述するように、特図1当選乱数値、大当り用特図1乱数値、小当り用特図1乱数値、ハズレ用特図1乱数値、および特図1変動時間決定用乱数値の5つの乱数値を1セットにしてこれら5つの乱数値が入賞順(保留順)に1セットずつ1領域ごとに格納される。
・・・略・・・
【0101】
<主制御部タイマ割込処理>
次に、図7を用いて、主制御部300のCPU304が実行する主制御部タイマ割込処理について説明する。なお、同図は主制御部タイマ割込処理の流れを示すフローチャートである。
・・・略・・・
【0111】
また、ステップS217では、入賞受付処理を行う。この入賞受付処理では、第1特図始動口230に入賞があり、且つ、保留している特図1変動遊技の数(特図1の保留数)が所定数(本実施形態では4)未満である場合には、所定の始動情報を取得する。すなわち、この場合に、保留条件が成立し、特図1当選乱数値、大当り用特図1乱数値、小当り用特図1乱数値、ハズレ用特図1乱数値、および特図1変動時間決定用乱数値を取得する。ここで取得した特図1当選乱数値は、ハードウェア乱数を加工した値(ハードウェア乱数の値+Rレジスタの値+1)である。一方、大当り用特図1乱数値、小当り用特図1乱数値、ハズレ用特図1乱数値、および特図1変動時間決定用乱数値は、RAM308に設けられたソフトウェア乱数カウンタから導出されたソフトウェア乱数を加工した値(ソフトウェア乱数の値+Rレジスタの値+1)である。図4に示す乱数値生成回路318、RAM308に設けられたソフトウェア乱数カウンタ、および乱数加工を施す主制御部300を併せたものが、始動情報を生成して導出するものであり、始動情報導出手段(第1の始動情報導出手段,第2の始動情報導出手段)の一例に相当する。ここで取得された各種乱数値(始動情報)は、RAM308に設けた特図1の保留記憶部の、入賞順(保留順)に応じた空いている領域に、1セットの始動情報として記憶される。この特図1の保留記憶部は、第1特図始動口230(第1の始動領域)に遊技球が進入した場合に取得した始動情報を所定の第1上限個数(ここでは4個)まで記憶可能な第1の始動情報記憶手段に相当する。このとき各種乱数値(始動情報)をRAM308に設けた一時領域に一旦記憶し、その一時領域に記憶された値を特図1の保留記憶部に記憶してもよく、この場合、一時領域を第1の始動情報記憶手段としてもよいし、特図1の保留記憶部および一時領域を第1の始動情報記憶手段としてもよい。また、主制御部300のCPU304は、RAM308に記憶されている特図1の保留数の値に1を加算し、特図1の保留数が1増加する。したがって、主制御部300のCPU304が保留手段の一例に相当する。
【0112】
また、特図2についても、特図1と同様に始動情報である各乱数値を取得し、取得した乱数値をRAM308に設けた特図2の保留記憶部に、1セットの始動情報として同様に記憶され、さらに、RAM308に記憶されている特図2の保留数の値に1を加算する。特図2の保留記憶部は、第2特図始動口232(第2の始動領域)に遊技球が進入した場合に取得した始動情報を所定の第2上限個数(ここでは4個)まで記憶可能な第2の始動情報記憶手段に相当する。このとき各種乱数値(始動情報)をRAM308に設けた一時領域に一旦記憶し、その一時領域に記憶された値を特図2の保留記憶部に記憶してもよく、この場合一時領域を第2の始動情報記憶手段としてもよいし、特図2の保留記憶部および一時領域を第2の始動情報記憶手段としてもよい。さらに、始動情報記憶手段は、CPU304のレジスタであってもよい。」
ウ 「【0147】
スーパーリーチA(以下、単に“リーチA”と称する場合がある)やスーパーリーチB(以下、単に“リーチB”と称する場合がある)は、ノーマルリーチにさらに特殊な変動表示等を加味して演出効果を向上させたリーチの一種である。
【0148】
なお、スーパーリーチとしては、ロングリーチ、ノーマル逆転リーチ、ダブルラインリーチ等が知られており、さらには、特別マルチラインリーチ、全回転リーチ、特別全回転リーチ等のスペシャルリーチも知られている。本明細書で単にリーチというときには、ノーマルリーチとスーパーリーチとスペシャルリーチを含んだ装飾図柄の変動態様を意味する。このリーチは、特図の当否判定(抽選)の結果が当りの判定結果になることを、その当否判定を行った後であってその当否判定の結果を報知する前に遊技者に予告する演出であり、リーチを行うか否かは、その当否判定を行った後に決定される。リーチなしは、特図の変動時間が相対的に短く、スーパーリーチは特図の変動時間が相対的に長く、ノーマルリーチは特図の変動時間がリーチなしとスーパーリーチの間の時間になる。
【0149】
特図2決定結果が特図Aあるいは特図Bであった場合(テーブル1参照)には、ともに電サポ付きの15Rの大当り図柄であり、テーブル1に示すように、65秒の最長変動時間が最も選ばれやすく、15秒の変動時間が最も選ばれにくい。なお、この場合には、装飾図柄表示装置208ではリーチ演出が行われ、装飾図柄表示装置208で、スーパーリーチBに発展すると15R大当りの可能性が高くなり、スーパーリーチAに発展しても15R大当りの可能性があることになる。すなわち、スーパーリーチBやスーパーリーチAは15R大当りの信頼度が他のリーチ態様よりも高いリーチ態様である。」
エ 「【0196】
<特図先読み処理>
次いで、図7に示す主制御部タイマ割込処理における特図先読み処理(ステップS224)について詳述する。
【0197】
図11(a)は、主制御部300のCPU304が実行する特図先読み処理の流れを示すフローチャートである。
【0198】
まず、ステップS224aでは、特図2の始動情報の増加があったか否か、すなわちRAM308に設けた特図2の保留記憶部に、特図2についての始動情報(1セット分の乱数値)が追加されたか否かを判定し、増加していれば(追加されていれば)、増加した特図2の始動情報を先読みして特図2の停止図柄を事前判定する(ステップS224b)。このステップS224bでは、まず、特図2の保留記憶部から特図2の始動情報を先読みする。すなわち、第2特図始動口232への入賞を契機にして、その入賞に基づいて生成された始動情報を先読みする。したがって、当否判定(図7に示すステップS229における特図2関連抽選処理)で始動情報が取得される前に、その始動情報が先読みされることになる。この先読みを行う主制御部300のCPU304が始動情報先読手段の一例に相当する。なおここでは、特図2の保留記憶部から特図2の始動情報を先読みしているが、特図2の保留記憶部以外の領域から特図2の始動情報を先読みしてもよい。また、例えば、入賞受付処理において、RAM308に用意された特図2の保留記憶部の他に、CPU304のレジスタにも始動情報を記憶しておき、特図2関連抽選処理における当否判定時には、RAM308とCPU304のレジスタのうちのいずれか一方から始動情報を取得し、ここでの先読み時には他方から始動情報を取得する態様であってもよい。さらに、ここでの先読みは、入賞分(保留増加分)だけを先読みしたが総てを先読みしてもよい。」
オ 「【0203】
ステップS224bに続くステップS224cでは、ステップS224bで得た特図2の停止図柄情報(特図2事前判定結果)を、RAM308に用意された特図2事前判定結果記憶領域に記憶し、ステップS224dに進む。
・・・略・・・
【0205】
ステップS224dでは、今度は、特図1の始動情報の増加があったか否か、すなわちRAM308に設けた特図1の保留記憶部に1セット分の乱数値が追加されたか否かを判定し、増加していれば(追加されていれば)、大当り遊技状態中であるか否かを判定する(ステップS224e)。大当り遊技中でなければ、今度は、現在の制御状態が電サポ状態であるか否かを、RAM308に用意された時短フラグを参照して判定し(ステップS224f)、現在の制御状態が非電サポ状態であれば(時短フラグがオフ状態であれば)、ステップS224gに進む。
【0206】
ステップS224gでは、上述のステップS224bと同様に、まず、特図1の保留記憶部から特図1の始動情報を先読みする。次いで、ステップS224bと同様に、先読みした始動情報に基づいて特図1当否事前判定結果を得る。続いて、ステップS224bと同様に、その特図1当否事前判定結果に応じて、特図1事前判定結果を取得する。
【0207】
ステップS224gに続くステップS224hでは、ステップS224gで得た特図1の停止図柄情報(特図1事前判定結果)を、RAM308に用意された特図1事前判定結果記憶領域に記憶し、図7に示す主制御部タイマ割込処理に復帰する。」
カ 「【0214】
<先読み予告制御処理>
次いで、図10(a)に示す第1副制御部メイン処理における演出制御処理(ステップS309)で実行される先読み予告制御処理について詳述する。
【0215】
図12は、先読み予告制御処理の流れを示すフローチャートである。
【0216】
図12に示す先読み予告制御処理は、第1副制御部メイン処理における演出制御処理(ステップS309)で実行されるルーチン処理である。まず、ステップS3091aでは、第1副制御部400のCPU404は、主制御部300から新たな保留情報が送られてきたか否かを判定する。すなわち、新たな特図保留増加コマンドを受信したか否かを判定し、受信していれば、現在の状態が、図柄停止中でないか否かを判定する(ステップS3091b)。本実施形態では、第1副制御部400のRAM408には、図柄停止中フラグが用意されている。第1副制御部400のCPU404は、主制御部300から図柄停止コマンドを受信すると、その図柄停止中フラグをオンにする。オンにされた図柄停止中フラグは、第1副制御部400が、入賞演出開始コマンドあるいは図柄変動開始コマンドを受信すると、オフされる。したがって、図柄停止中フラグは、第1副制御部400が、図柄停止コマンドを受信してから、入賞演出開始コマンドあるいは図柄変動開始コマンドを受信するまでオンされたままである。ステップS3091bにおける判定では、この図柄停止中フラグがオンであるか否かを判定し、オフされていれば図柄停止中ではなく、ステップS3091cにおいて先読み予告の実行可否抽選を行う。
【0217】
なおここでは、図柄停止中フラグを使用したが、図柄変動中であることを表す変動中フラグを使用してステップS3091bの判定を行ってもよい。
【0218】
本実施形態では、装飾図柄表示装置208の演出表示領域208dの左側には、特図1保留表示領域が用意されており、その右側には特図2保留表示領域が用意されている。演出表示領域208dの、特図1保留表示領域と特図2保留表示領域を併せた領域が第二の表示領域の一例に相当する。特図1保留表示領域には、特図1の保留記憶部に記憶されている1セットの始動情報に対応する保留表示が、特図1の保留記憶部に始動情報が記憶された順(入賞順)に古いものから順番に左側から並べて表示される。保留表示は、始動情報記憶手段(RAM308の特図の保留記憶部)に始動情報が記憶されていること、あるいは記憶されていたことを表す表示である。特図2保留表示領域には、特図2の保留記憶部に記憶されている1セットの始動情報に対応する保留表示が、特図2の保留記憶部に始動情報が記憶された順(入賞順)に古いものから順番に左側から並べて表示される。すなわち、始動情報記憶手段に記憶されている始動情報ごとに保留表示が行われ、保留表示の数は保留数に相当する。装飾図柄表示装置208は始動保留表示手段の一例に相当する。この保留表示におけるデフォルトの表示態様は、本実施形態では、丸い図形を無模様かつ一色で表示する態様になり、第一の態様の一例に相当する。第1副制御部400は、特図保留増加コマンドを受信する度に、第2副制御部500に保留増加コマンドを送信し、第2副制御部500は、その保留増加コマンドに基づいて、装飾図柄表示装置208を制御し、保留表示の数を1つ増加させる。一方、第1副制御部400は、保留消化の合図となる図柄変動開始コマンドを受信する度に第2副制御部500に保留減少信号を送信し、第2副制御部500は、その保留減少信号に基づいて、装飾図柄表示装置208を制御し、保留表示の数を1つ減少させる。
【0219】
図13(a)は、本実施形態における先読み予告の種類を示す図である。
【0220】
本実施形態における先読み予告は、図7に示す特図関連抽選処理(ステップS229,S231)で行われる当否判定の結果が大当りになる可能性があることを予告するための演出であって、本発明にいう予告の一例に相当する。より具体的に説明すれば、本実施形態では、大当りにも、遊技者に相対的に有利な大当り(例えば、15R特別大当り:特図A、15R大当り:特図B)と相対的に不利な大当り(例えば、2R系の大当り:特図C?特図F)が用意されており、先読み予告は、有利な大当りになる可能性があることを予告するための演出である。なお、2R系の大当りでも確変付きの大当り(特図C,特図E)は有利な大当りとしてもよい。また、本実施形態における先読み予告は、上記特図関連抽選処理(ステップS229,S231)で始動情報を取得するよりも先に取得した始動情報(先読みした始動情報)に基づいて行われる予告である。すなわち、先読み予告は、先読みした始動情報に基づく事前判定結果に基づいて行われる。
【0221】
また、ここでの先読み予告には、事前判定結果が有利な大当りでなくても、有利な大当りになるかのように偽りで予告する偽の先読み予告も含まれる。すなわち、先読み予告は、当否判定の結果が有利な大当りになる可能性があることを表したり、遊技者に示唆する予告であったり、あるいは当否判定の結果が有利な大当りになることを遊技者に期待させる予告であるといえる。」
キ 「【0365】
図29は、先読み予告の概念を説明するための図である。
【0366】
まず、先読み予告の体系について説明する。図29(a)は、先読み予告の体系を示す図である。
【0367】
先読み予告(以下、単に予告と称することがある)には、複数種類の予告(第1予告種別1、第1予告種別2・・・)が用意されている。例えば、保留アイコンと称されることもある保留表示の表示態様を先読み予告専用の表示態様に変化させて行う保留表示による先読み予告(第1予告種別1の先読み予告)や、図1に示す演出可動体224等の役物を用いた先読み予告(第1予告種別2の先読み予告)や、装飾図柄表示装置208の背景画像を変化させる先読み予告(第1予告種別3の先読み予告)や、装飾図柄表示装置208等に専用キャラクタや専用アニメーションを表示する先読み予告(第1予告種別4の先読み予告)や、音声出力による先読み予告(第1予告種別5の先読み予告)等があげられる。
【0368】
各第1予告種別の中には、複数種類の第2予告種別(例えば、予告態様)が用意されている。例えば、保留表示の表示態様として、爺のキャラクタの顔図柄(第2予告種別1)や、姫のキャラクタの顔図柄(第2予告種別2)や、殿のキャラクタの顔図柄(第2予告種別3)や、保留変化音(第2予告種別4)等が用意されている。」
ク 「【図29】


ケ 「【0394】
図32は、一種類の先読み予告と図柄変動表示との関係を示したタイムチャートであり、図の左から右に向かって時間が経過していく。
【0395】
この図32でも、矢印の範囲が先読み予告が実行されている期間を表す。また、図32には、連続して4回の図柄変動表示が行われる例が示されている。以下、1回目の図柄変動表示を第1変動と称し、4回目の図柄変動表示を第4変動と称する。この第4変動が、先読み予告の予告対象になる図柄変動表示に相当する。
【0396】
図32(a)に示す例では、第1変動が開始された後、すなわち第1変動の途中に先読み予告の契機が発生し、その契機発生直後に先読み予告が開始される。したがって、この例における先読み予告は、第1変動の途中から開始され、第4変動が開始されると同時に終了する。この例では、先読み予告は、連続予告であり、複数の図柄変動表示を跨いで、継続して行われる。この例は、例えば、第1変動の途中に特図始動口に入賞があり、その入賞を契機として開始された先読み予告が該当する。より具体的に言えば、第4変動の保留を表す保留表示による先読み予告が該当する。なお、この例における先読み予告は、第4変動が開始されると同時に終了しているが、第4変動が開始されても継続してもよく、第4変動の途中で終了してもよいし、第4変動の停止(終了)と同時に先読み予告も終了してもよい。」
コ 「【図32】


サ 「【0424】
続いて、第3実施形態のパチンコ機について説明する。以下、これまで説明したパチンコ機との相違点を中心に説明し、重複する説明は省略することがある。また、これまでに説明した構成要素と同じ構成要素には、これまでに用いた符号と同じ符号を付して説明する。
・・・略・・・
【0477】
次いで、第3実施形態における演出の具体例について説明する。
【0478】
図39は、スーパーリーチ演出から揺れ停止表示が行われる例を示す図である。
【0479】
この図39に示す例では、装飾図柄表示装置208における特図1保留表示領域を図示省略し、特図2保留表示領域のみを示している。図39に示す特図2保留表示領域には、RAM308の特図2保留記憶部に始動情報が記憶された順(入賞順)に古いものから順番に左側から並べて表示される。
【0480】
また、特図2保留表示領域の左横には、図柄変動表示を開始した保留、すなわち消化された保留を表す保留アイコンがシフト表示される消化保留表示領域2085が設けられている。
【0481】
図39(a)に示す装飾図柄表示装置208には、ハズレの装飾図柄の組み合わせである「装飾3」-「装飾7」-「装飾8」が停止表示されている。この装飾図柄表示装置208には、特図2の保留数を表す、3つの保留アイコン(以下、保留表示と称する)291?293が示されている。いずれの保留表示もデフォルトの表示態様(無模様かつ灰色一色)である。
【0482】
図39(b)では、第一保留表示291が表す保留1に基づく図柄変動表示が開始され、同図(b)に示す装飾図柄表示装置208では、装飾図柄の変動表示が開始されている。また、第一保留表示291が消化保留表示領域2085にシフト表示された様子が示されている。なお、図39(a)に示す第一保留表示291が表示されていた位置には、図39(a)に示す第二保留表示292が表示されている。消化保留表示領域2085にシフト表示された保留表示(変動中アイコン290)は、表示態様がキャラクタの顔の予告表示態様に変化し、予告演出が行われている。消化保留表示領域2085における予告演出は、先読み予告の一種であるが、予告対象は、現在行われている図柄変動表示(当該図柄変動表示)になる。なお、消化保留表示領域2085内に保留表示が表示されている時間は、図柄変動表示開始後数秒であるが、図柄変動表示終了前、あるいは図柄変動表示終了時まで表示するようにしてもよい。
【0483】
図39(b)で開始された装飾図柄の変動表示では、同図(c)に示すようにリーチ演出が開始され、次いで、スーパーリーチ演出に発展する。図39(c)に示す装飾図柄表示装置208では、スーパーリーチ演出の開始画面として、画面が真っ暗になっている(以下、暗転演出と称する)。この暗転演出が行われると、装飾図柄表示装置208にこれまで表示されていた、装飾図柄の変動表示や、保留表示、および消化保留表示領域2085総てが見えなくなる。
【0484】
暗転演出の後、装飾図柄表示装置208では、図39(e)に示すように、左側の主人公と右側の敵役の決闘シーンに画面が切り替わり、装飾図柄の変動表示は画面右上に縮小して表示されている。なお、保留表示や消化保留表示領域2085は消えている。
【0485】
やがて、図39(f)に示すように、スーパーリーチ演出の終了画面が表示され、敵役が逃亡し、画面右上に表示された装飾図柄の変動表示は、「装飾7」-「装飾8」-「装飾7」の組み合わせで揺れ停止表示が開始されている。なお、この場面でも保留表示や消化保留表示領域2085は非表示である。ここで、スーパーリーチ演出が終了する。このように、スーパーリーチ演出の開始(図39(d))から終了(図39(e))までの間、保留表示や消化保留表示領域2085は、非表示になる。すなわち、スーパーリーチ演出中には、先読み予告が行われない。また、スーパーリーチ演出中に、電チュー(第2特図始動口232の羽根部材2321)は開放し、1球の入球があるが、増加した保留を表す保留表示も非表示である。
【0486】
こうしてスーパーリーチ演出が終了すると、図39(g)に示すように、装飾図柄表示装置208では、「装飾7」-「装飾8」-「装飾7」の組み合わせによる揺れ停止表示が大きく表示される。このタイミングで、保留表示、および消化保留表示領域2085の表示が再開される。再開された保留表示では、スーパーリーチ演出中の電チュー入賞を表す第三保留表示293が追加表示されている。第三保留表示293は、星形の先読み予告の表示態様で表示されており、この第三保留表示293によって先読み予告が実行されていることになる。なお、上述のごとく、装飾図柄の揺れ停止表示中も、特図の図柄変動表示は継続している。
【0487】
やがて、特図の図柄変動表示が終了し、停止表示中(確定表示中)になり、図39(h)に示す装飾図柄表示装置208では、揺れ停止表示からの、装飾図柄の組み合わせの変更はなく、ハズレの装飾図柄の組み合わせである「装飾7」-「装飾8」-「装飾7」が停止表示(確定表示)されている。装飾図柄の確定表示中は、保留表示が非表示になり、先読み予告が行われていない。なお、保留表示を行い、第三保留表示293によって先読み予告を実行してもよい。
【0488】
次いで、主制御部300から、保留1に基づく図柄変動表示の開始を表す図柄変動開始コマンドが第1副制御部400に送られ、そのコマンドを受けた第1副制御部400は、第2副制御部500に、装飾図柄の変動表示の開始を指示する制御コマンドを送信する。図39(i)に示す装飾図柄表示装置208では、装飾図柄の変動表示が開始されている。装飾図柄の変動表示が開始されると、保留表示が再開され、ここでは第二保留表示292によって先読み予告が実行されていることになる。さらに、第一保留表示291が消化保留表示領域2085にシフト表示された様子が示されている。ここでも予告演出が行われているが、図39(i)に示す消化保留表示領域2085に表示された保留表示は、×印の表示態様である。
【0489】
以上説明した例は、特図1の図柄変動表示が行われる場合であても同様である(以下、同じ)。
【0490】
図40は、スーパーリーチ演出から揺れ停止表示が行われ、大当りした例を示す図である。以下、図39に示す例との相違点を中心に説明する。
【0491】
この図40に示す例でも、スーパーリーチ演出に発展し、装飾図柄表示装置208では、図40(e)に示すように、主人公と敵役の決闘シーンに画面が切り替わり、図40(f)では、主人公が敵役を倒し、画面右上に表示された装飾図柄の変動表示は、「装飾7」-「装飾7」-「装飾7」の組み合わせで揺れ停止表示が開始される。また、スーパーリーチ演出中に、電チュー(第2特図始動口232の羽根部材2321)は開放し、1球の入球があるが、増加した保留を表す保留表示を含めて、スーパーリーチ演出中は保留表示は非表示である。
【0492】
スーパーリーチ演出が終了すると、図40(g)に示すように、装飾図柄表示装置208では、「装飾7」-「装飾7」-「装飾7」の組み合わせによる揺れ停止表示が大きく表示される。このタイミングで、保留表示が再開され、追加表示された第三保留表示293は、星形の先読み予告の表示態様で表示されており、先読み予告が実行されていることになる。
【0493】
やがて、特図の図柄変動表示が終了する。図40(h)には、特図の図柄変動表示の終了時における装飾図柄表示装置208の表示画面が示されている。図40(h)に示す装飾図柄表示装置208では、揺れ停止表示からの、装飾図柄の組み合わせの変更はなく、大当りの装飾図柄の組み合わせである「装飾7」-「装飾7」-「装飾7」が停止表示されている。また、保留表示は、特図の図柄変動表示の終了と同時に消え、先読み予告が非実行になる。なお、図40(h)では、消化保留表示領域2085は表示されているが、この消化保留表示領域2085も、特図の図柄変動表示の終了と同時に消してもよい。図40(i)では、装飾図柄の確定表示中になり、「装飾7」-「装飾7」-「装飾7」の組み合わせは画面右上に移動し、「おめでとう」の文字表示がなされている。この装飾図柄の確定表示中にも、保留表示は非表示であり、先読み予告は行われていない。この例では、図40(g)における大当りになる図柄変動表示中よりも、図40(h)および同図(i)に示す大当りの図柄停止表示中の方が、先読み予告の実行確率は低い。したがって、大当りの図柄停止表示中であっても、大当りになる図柄変動表示中における実行確率よりも低い実行確率のもと、保留表示を用いた先読み予告が実行されることがある。なお、大当りの図柄停止表示中には、保留表示を用いた先読み予告の実行確率を0%にしてもよい。
【0494】
次いで、大当り遊技が開始される。大当り遊技中は、特図の図柄変動表示も装飾図柄の変動表示も行われず、いずれも停止表示中に相当する。図40(j)に示す装飾図柄表示装置208では、大当り遊技開始演出が行われている。大当り遊技開始演出中は、「装飾7」-「装飾7」-「装飾7」の組み合わせが画面右上で停止表示され、保留表示は非表示であり、先読み予告はここでも行われていない。図40(k)に示す装飾図柄表示装置208では、大当り中演出(ラウンド消化中の演出)が行われ、装飾図柄の組み合わせが画面右上で停止表示されている。ラウンド消化中でも、保留表示は非表示であり、先読み予告は非実行である。」
シ 「【図39】

【図40】


ス 「【0728】
また、先読み予告は、いわゆるステップアップ予告であってもよい。例えば、役物動作とエフェクト表示の組み合わせを先読み予告として、複数回の図柄変動表示にわたって行う場合に、エフェクト表示の色が銅、銀、金とステップアップしていってもよい。また、装飾図柄表示装置208とは別の、サブ表示手段(例えば、装飾図柄の変動表示が行われない表示手段)でも先読み予告を行う場合に、サブ表示手段では、図柄変動表示中や停止表示中とは無関係に先読み予告を行うようにしてもよい。」

(2)引用発明
上記(1)からみて、引用例1には、実施の態様として、次の発明が記載されているものと認められる(なお、引用箇所の段落番号等を併記した。)。
「a 当否判定の開始を保留することができる最大数の領域に区分けされた特図1と特図2で別々に用意され、第1特図始動口230に入賞があり、且つ、保留している特図1変動遊技の数が所定数未満である場合には、所定の始動情報を取得し、取得された始動情報を記憶するための保留記憶部であって、特図2についても、特図1と同様に始動情報を記憶する保留記憶部を設けたRAM308(【0090】、【0111】、【0112】)と、
b、c、d 先読みした始動情報に基づく事前判定結果に基づいて行われ、有利な大当りになる可能性があることを予告するための演出である先読み予告であり、連続して4回の図柄変動表示が行われ、第1変動の途中に、第4変動の先読み予告の契機が発生し、その契機発生直後に先読み予告が開始され、該先読み予告を、第4変動が開始されても継続させ、第4変動の途中で終了させる先読み予告制御処理を実行する第1副制御部(【0216】、【0220】、【0394】ないし【0396】、図32(a))とを、
備える、
f パチンコ機100(【0011】)。」(以下「引用発明」という。)

4 対比
(1)本願発明と引用発明とを対比する。なお、以下の見出し(a)ないし(f)は、本願発明のAないしFに対応させている。
(a)引用発明において、保留記憶部は、当否判定の開始を保留することができるものであり、第1特図始動口230に入賞がある場合には、所定の始動情報を取得して記憶するものであるから、引用発明の「始動情報」は、本願発明の「当否判定条件の成立を契機として取得された当否判定に関する当否判定情報」に相当するといえる。また、引用発明は、保留している特図1変動遊技の数が所定数未満である場合に、所定の始動情報を取得するのであるから、引用発明の「保留記憶部」は、本願発明の「所定数を限度として記憶することが可能な」構成を備えるものである。そうすると、引用発明の「保留記憶部を設けたRAM308」は、本願発明の「当否判定条件の成立を契機として取得された当否判定に関する当否判定情報を、所定数を限度として記憶することが可能な記憶手段」に相当する。
(b)引用発明の「始動情報」(当否判定情報)は、上記(a)のとおり、RAM308(記憶手段)に記憶されているのであるから、本願発明の「前記記憶手段に記憶されている」との事項を含むものである。また、引用発明の「事前判定結果」、「有利な大当り」、「先読み予告」、「図柄変動表示」及び「第1副制御部」は、それぞれ本願発明の「当否判定結果」、「当たり」、「先読み演出」、「当否判定結果を報知する演出」及び「先読み演出実行手段」に相当する。
そして、引用発明の「先読み予告」(先読み演出)は、先読みした「始動情報」(当否判定情報)に基づく「事前判定結果」(当否判定結果)に基づいて行われ、「有利な大当り」(当たり)になる可能性があることを予告するための演出であり、連続して4回の図柄変動表示(当否判定結果を報知する演出)が行われる場合、第1変動の途中に、第4変動の先読み予告の契機が発生し、その契機発生直後に先読み予告が開始されるものである。
そうすると、引用発明の「第1副制御部」(先読み演出実行手段)は、本願発明のように、「前記記憶手段に記憶されている前記当否判定情報である対象当否判定情報に対応する当否判定結果が当たりとなる蓋然性を示唆する演出であって、当該対象当否判定情報よりも前に取得された一または複数の先の前記当否判定情報に対応する当否判定結果を報知する演出が実行されているときに発生する先読み演出を実行する」ものであるといえる。
そうしてみると、引用発明の特定事項b、c、dは、本願発明の特定事項Bを備えるといえる。
(c)引用発明は、連続して4回の図柄変動表示が行われ、第1変動の途中に、第4変動の「先読み予告」(先読み演出)の契機が発生し、その契機発生直後に「先読み予告」が開始され、該「先読み予告」を、第4変動が開始されても継続させ、第4変動の途中で終了させるものである。そうすると、引用発明の特定事項b、c、dと、本願発明の「C 前記先読み演出の少なくとも一種である特定先読み演出は、前記対象当否判定情報に対応する当否判定結果を報知する演出の開始前から開始後にかけて継続的に実行されるものであり」とは、「C’前記先読み演出は、前記対象当否判定情報に対応する当否判定結果を報知する演出の開始前から開始後にかけて継続的に実行されるものであり」で一致する。
(d)引用発明の「図柄変動表示」(当否判定結果を報知する演出)は、技術常識からみて、「始動情報」(当否判定情報)に基づく「事前判定結果」(当否判定結果)に基づいて行われることが明らかであるから、本願発明のように「対象当否判定情報に対応する当否判定結果を報知する演出を構成するもの」といえ、本願発明の「対象変動演出」に相当するといえる。そうすると、引用発明の特定事項b、c、dと、本願発明の「D 前記対象当否判定情報に対応する当否判定結果を報知する演出を構成するものとして、当該対象当否判定情報に対応する当否判定結果が当たりとなる蓋然性を示唆する対象変動演出を実行することが可能であり」とは、「D’前記対象当否判定情報に対応する当否判定結果を報知する演出を構成するものとして、対象変動演出を実行することが可能である」で一致する。
(f)引用発明の「パチンコ機100」は、本願発明の「遊技機」に相当する。

(2)上記(1)からみて、本願発明と引用発明とは、
「A 当否判定条件の成立を契機として取得された当否判定に関する当否判定情報を、所定数を限度として記憶することが可能な記憶手段と、
B 前記記憶手段に記憶されている前記当否判定情報である対象当否判定情報に対応する当否判定結果が当たりとなる蓋然性を示唆する演出であって、当該対象当否判定情報よりも前に取得された一または複数の先の前記当否判定情報に対応する当否判定結果を報知する演出が実行されているときに発生する先読み演出を実行する先読み演出実行手段と、
を備え、
C’前記先読み演出は、前記対象当否判定情報に対応する当否判定結果を報知する演出の開始前から開始後にかけて継続的に実行されるものであり、
D’前記対象当否判定情報に対応する当否判定結果を報知する演出を構成するものとして、対象変動演出を実行することが可能である、
F 遊技機。」の点で一致し、次の点で相違する。

・相違点1(特定事項C)
「前記対象当否判定情報に対応する当否判定結果を報知する演出の開始前から開始後にかけて継続的に実行され」、その「終了後に」、「対象変動演出」が「継続的に実行される場合がある」「先読み演出」は、
本願発明では、「先読み演出の少なくとも一種である特定先読み演出」であるのに対し、
引用発明では、そのような特定がない点。

・相違点2(特定事項D)
「対象変動演出」は、
本願発明では、「当該対象当否判定情報に対応する当否判定結果が当たりとなる蓋然性を示唆する」ものであるのに対し、
引用発明では、そのような特定がない点。

・相違点3(特定事項E)
本願発明では、「前記対象当否判定情報に対応する当否判定結果を報知する演出が実行されている途中で前記特定先読み演出の結末が遊技者に有利な結末となったときには、当該特定演出の終了後に前記対象変動演出を進行させることで、当該対象当否判定情報に対応する当否判定結果が当たりとなる蓋然性が高まったことが示唆される」のに対し、
引用発明では、そのような特定がない点。

5 判断
上記相違点について検討する。
(1)相違点1について
ア 引用例1の【0221】(上記3(1)カ)の「先読み予告には、事前判定結果が有利な大当りでなくても、有利な大当りになるかのように偽りで予告する偽の先読み予告も含まれる。すなわち、先読み予告は、当否判定の結果が有利な大当りになる可能性があることを表したり、遊技者に示唆する予告であったり、あるいは当否判定の結果が有利な大当りになることを遊技者に期待させる予告であるといえる。」との記載や【0366】ないし【0368】(上記3(1)キ)及び図29(上記3(1)ク)等の記載からみて、引用発明の「先読み予告」(先読み演出)には、複数種類の先読み予告が存在し、そのうちの少なくとも一種を特定の先読み予告(特定先読み演出)ということができる。
イ 上記アからみて、特定の先読み予告、例えば、当否判定の結果が有利な大当りになる可能性がある先読み予告についてのみ、第1変動の途中に先読み予告を開始させ、該先読み予告は、第4変動が開始されても継続し、第4変動の途中で終了するようになすこと、すなわち、引用発明において、上記相違点1に係る本願発明の構成となすことは、当業者が引用例1の記載事項に基づいて適宜なし得たことである。

(2)相違点2について
ア 引用例1の【0478】ないし【0488】(上記3(1)サ)及び図39(上記3(1)シ)に、消化保留表示領域2085にシフト表示された保留表示(変動中アイコン290)において、表示態様がキャラクタの顔の予告表示態様に変化するという先読み予告の後に、リーチ演出が開始され、次いで、スーパーリーチ演出に発展する演出を実行することが、同じく【0147】ないし【0149】(上記3(1)ウ)に、スーパーリーチは大当りの信頼度が高いことが、それぞれ記載されている。
イ 上記アからみて、スーパーリーチは、大当りの信頼度が高いこと、言い換えると、当否判定結果が当たりとなる蓋然性を示唆するものであるところ、引用発明において、事前判定結果(当否判定結果)が当たりとなる蓋然性が高い場合に、特定の先読み予告(特定先読み演出)とともに、図柄変動表示(当否判定結果を報知する演出)として、スーパーリーチ演出を実行するようになすこと、すなわち、上記相違点2に係る本願発明の発明特定事項のようになすことは当業者が引用例1の記載事項に基づいて適宜なし得たことである。

(3)相違点3について
ア 引用例1の【0728】(上記3(1)ス)に、「先読み予告は、いわゆるステップアップ予告であってもよい。例えば、役物動作とエフェクト表示の組み合わせを先読み予告として、複数回の図柄変動表示にわたって行う場合に、エフェクト表示の色が銅、銀、金とステップアップしていってもよい。」と記載されている。当該記載からして、先読み予告として、ステップアップ予告であってもよいこと、そして、例として、エフェクト表示の色が銅、銀、金とステップアップしていくことが記載されており、いずれの色で演出が終了したとしても、演出としての結末を有するものであるといえ、前記先読み予告は、結末のある演出を含むといえる。
イ 上記アからみて、引用発明において、先読み予告を結末を有する演出とし、該先読み予告の演出の結末が、遊技者に有利な結末となったときに、上記(2)で言及したスーパーリーチ演出を引き続き行い、当否判定結果が当たりとなる蓋然性が高まったことを示唆するようになすこと、すなわち、上記相違点3に係る本願発明の発明特定事項のようになすことは当業者が引用例1の記載事項に基づいて容易になし得たことである。

(4)本願発明の奏する効果は、引用発明の奏する効果及び引用例1の記載事項の奏する効果から当業者が予測することができた程度のことである。

(5)したがって、本願発明は、当業者が引用例1に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものである。

(6)審判請求人の主張について
ア 審判請求人は、意見書において、概略、以下のとおり主張している。
「3.拒絶理由に対する反論
3-1)本願発明は、特定先読み演出が、対象当否判定情報に対応する当否判定結果を報知する演出の開始前から開始後にかけて継続的に実行されるものであること(上記発明特定事項(C))を前提とした上で、対象当否判定情報に対応する当否判定結果を報知する演出が実行されている途中で特定先読み演出の結末が遊技者に有利な結末となったときには、当該特定演出の終了後に対象変動演出を進行させることで、当該対象当否判定情報に対応する当否判定結果が当たりとなる蓋然性が高まったことが示唆されるものであること(上記発明特定事項(E))を特定する。
つまり、特定先読み演出の終了時点が、対象当否判定情報に対応する当否判定結果を報知する演出が実行されている途中となることを利用し、特定先読み演出の結末が遊技者に有利なものとなったときには、対象変動演出(対象当否判定情報に対応する当否判定結果を報知する演出を構成するものとして、当該対象当否判定情報に対応する当否判定結果が当たりとなる蓋然性を示唆する演出(発明特定事項(D)))が進行し、当否判定結果が当たりとなる蓋然性が高まったことが示唆されるというものである。
3-2)引用例1には、少なくとも本願発明の発明特定事項(E)に相当する事項は記載されていない。
今般の拒絶理由通知において、本願の特定先読み演出に相当するものと判断されていると思われる引用例1に記載の先読み予告は、第4変動の途中で終了してもよいことが記載されているだけ(段落0396)であり、当該先読み予告が第4変動の途中で終了した後の第4変動の進行については全く記載がない。また、上記発明特定事項(E)が単なる設計事項等であると認定することはできない。」
イ 審判請求人の主張について検討する。
上記(1)ないし(3)で検討したように、引用例1には、発明特定事項(C)ないし(E)に関する事項が記載されており、当該事項を引用発明に適用して本願発明の発明特定事項となすことは当業者が容易になし得たことである。
よって、審判請求人の主張は、採用することができない。

6 むすび
本願発明は、当業者が引用例1に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2018-12-20 
結審通知日 2018-12-25 
審決日 2019-01-07 
出願番号 特願2016-69957(P2016-69957)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 中村 祐一  
特許庁審判長 瀬津 太朗
特許庁審判官 松川 直樹
鉄 豊郎
発明の名称 遊技機  
代理人 特許業務法人上野特許事務所  

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