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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) B65D
管理番号 1349604
審判番号 不服2017-18833  
総通号数 232 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-04-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-12-19 
確定日 2019-03-07 
事件の表示 特願2017-500397「貨物コンテナ」拒絶査定不服審判事件〔平成28年9月9日国際公開、WO2016/139698〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は平成27年3月4日を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
平成29年1月5日 手続補正書提出
平成29年2月22日付け 拒絶理由通知
平成29年5月1日 意見書及び手続補正書提出
平成29年6月21日付け 拒絶理由通知
平成29年8月28日 意見書及び手続補正書提出
平成29年9月12日付け 拒絶査定
平成29年12月19日 本件審判請求書提出、同時に手続補正書提出
平成30年8月6日 上申書提出
平成30年9月10日付け 拒絶理由通知
平成30年11月12日 意見書提出
平成30年12月10日 上申書提出

第2 本願発明
本願の特許請求の範囲の請求項1?4に係る発明は、平成29年12月19日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1?4の各々に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。

「【請求項1】
海上輸送用の貨物コンテナであって、
ばら積み貨物を収容する外郭を備え、
上記外郭に、
上記外郭の上下面の4隅に配置され、コンテナクレーンのスプレッダに係合可能な係合部と、
上記外郭の上面に配置され、ばら積み貨物を流入させる開口部と、
上記外郭内の空気を排出させるフィルタと、
が設けられるとともに、
上記外郭の底部に、ばら積み貨物を排出する排出口が設けられ、
さらに、上記外郭の底部に上記排出口を回動軸回りの回動により開閉可能な扉が設けられていることを特徴とする貨物コンテナ。」

第3 当審が通知した拒絶理由
平成30年9月10日付けで、本願発明に対し、当審が通知した拒絶の理由の概要は下記のとおりである。


本願発明は、以下の引用文献1に記載された「床開きコンテナー」の発明に対して、同引用文献2及び3に例示される従来周知の係合部、及び、同引用文献4及び5に例示される、容器に対して空気を排出させるフィルタを備えるとの従来周知の構成を適用することで当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許をうけることができないものである。

引用文献1:実願昭50-102498号(実開昭52-17237号)のマイクロフィルム
引用文献2:実願昭61-11761号(実開昭62-125786号)のマイクロフィルム)
引用文献3:実願平1-117408号(実開平3-56593号)のマイクロフィルム)
引用文献4:特開平10-324389号公報
引用文献5:国際出願公開第2005/087622号

第4 引用文献
1.引用文献1に記載された事項
上記当審が通知した拒絶理由で引用された、本願出願前に頒布された刊行物である上記引用文献1には、図面とともに以下の事項が記載されている。
(1)「この考案は穀類、飼料、トーモロコシその他の収穫した植物の枝、葉など散物を輸送する為のコンテナーに係るものである。」(明細書1ページ17?19行)

(2)「・・・10は上面に蓋11を有する箱であり四隅には、これを吊下げる為の環12が設けてある。該蓋11は、この箱を数個積み重ねても充分耐えるだけの丈夫なものにしてある。」(明細書2ページ下から5?2行)

(3)「・・・これに穀類、飼料、その他の収穫物などを入れる場合は、箱10の蓋11を外し、装入し、蓋11を閉じ、クレーン又はフオークリフトなどを利用して、運搬する。箱の中のものを取出すには、この考案のコンテナーをクレーンにて吊下げた状態において綱19を牽引すると可動フック18はその枢軸を中心に回動し、掛合用フック17より外れ箱10の底板たるパレツト状板14及び内部の被包装物の重量によりパレツト状板14は、その枢軸を中心に回動して開放し、被包装物は全部落下する。」(明細書3ページ下から5行?4ページ6行)

(4)「叙上のように構成したこの考案のものにおいては、被包装物を装入するには、上部蓋11を開けて入れゝばよく、そのまゝ生産地から消費地まで途中、クレーン、フオークリフトなどを利用して貨車や、船舶に積降しでき、・・・」(明細書4ページ下6?2行)

(5)第1図及び第2図

(6)上記摘記事項(2)の記載から、箱10には、内部に穀物等を入れるための蓋11で覆われた開口部を有することが、当業者には自明である。また、箱10には、底部にパレツト状板14が枢軸を中心に回動して開放される排出口を有することが当業者には自明である。

2.引用発明
上記1.に示した摘記事項(1)?(4)、(5)の図示、及び、認定事項(6)を総合すると、引用文献1には以下の引用発明が記載されている。

「床開きコンテナーであって、
穀類、飼料、トーモロコシその他の収穫した植物の枝、葉など散物を収容する箱(10)を備え、
上記箱(10)に、
上記箱(10)の上面の四隅に配置され、クレーンにより吊下げるための環(12)と、
上記箱(10)の上面に配置され、穀類、飼料、トーモロコシその他の収穫した植物の枝、葉など散物を流入させる開口部と、
が設けられるとともに、
上記箱(10)の底部に、穀類、飼料、トーモロコシその他の収穫した植物の枝、葉など散物を排出する排出口が設けられ、
さらに、上記箱(10)の底部に上記排出口を枢軸回りの回動により開閉可能なパレツト状板(14)が設けられている床開きコンテナー。」

第5 対比
本願発明と引用発明を対比する。
引用発明の「床開きコンテナー」は、本願発明の「貨物コンテナ」に相当する。
引用発明の「箱(10)」は、本願発明の「外郭」に相当する。
引用発明の「環(12)」は、本願発明の「係合部」と、コンテナの上面の四隅に配置され、クレーンにより吊り下げる際に、吊り下げるための手段と係合する係合部である限りにおいて一致する。
引用発明の「穀類、飼料、トーモロコシその他の収穫した植物の枝、葉など散物」は、本願発明の「ばら積み貨物」に相当する。
引用発明の「排出口」は、本願発明の「排出口」に相当する。
引用発明の「パレット状板(14)」は、本願発明の「扉」に相当する。
そうすると、本願発明と引用発明とは、以下の点で一致し、かつ、相違する。
<一致点>
「貨物コンテナであって、
ばら積み貨物を収容する外郭を備え、
上記外郭に、
係合部と、
上記外郭の上面に配置され、ばら積み貨物を流入させる開口部と、
が設けられるとともに、
上記外郭の底部に、ばら積み貨物を排出する排出口が設けられ、
さらに、上記外郭の底部に上記排出口を回動軸回りの回動により開閉可能な扉が設けられていることを特徴とする貨物コンテナ。」
<相違点1>
本願発明は、「海上輸送用」のコンテナであるのに対し、引用発明は、そのような特定がない点。
<相違点2>
本願発明は、外郭の上下面の4隅に、コンテナクレーンのスプレッダに係合可能な係合部を有するものであるのに対し、引用発明はクレーンにより吊下げるための環(12)を上面の四隅に設けるものであるものの、下面の四隅にも設けられているか否かや、コンテナクレーンのスプレッダに係合可能であるか否かが不明である点。
<相違点3>
本願発明は、外郭内の空気を排出させるフィルタが設けられたものであるのに対し、引用発明がそのようなものであるか不明である点。

第6 相違点についての検討
1.相違点1及び2について
引用文献1の「・・・10は上面に蓋11を有する箱であり四隅には、これを吊下げる為の環12が設けてある。該蓋11は、この箱を数個積み重ねても充分耐えるだけの丈夫なものにしてある。」(2ページ下から5?2行)、「叙上のように構成したこの考案のものにおいては、被包装物を装入するには、上部蓋11を開けて入れゝばよく、そのまゝ生産地から消費地まで途中、クレーン、フオークリフトなどを利用して貨車や、船舶に積降しでき、・・・」(4ページ下6?2行)という記載から、引用発明の「床開きコンテナー」は、「クレーン、フオークリフトなどを利用して」、「船舶に積降し」することを想定しており、その際に「複数個積み重ねる」ことも想定されている。そして船舶に積載するコンテナについては、海上輸送用コンテナのISO規格が定められていることは技術常識である(例えば、上記引用文献3の3ページ6?9行を参照されたい。)。

そうすると、引用発明を「海上輸送用」コンテナとし、さらに複数個積み重ねて用いることの動機付けは、引用発明に存在するといえ、さらに、積み重ねて用いる海上輸送用コンテナにおいて、外郭の上下面の4隅にコンテナクレーンのスプレッダに係合可能な係合部を備えることは、例えば引用文献2(特に第5図の隅金具(2)に着目されたい。)及び引用文献3(特に吊上げ用及び積重ね用隅金具22に着目されたい。)に記載されているように、従来周知の事項である。
よって、引用発明を、相違点1及び2における本願発明にかかる構成を備えたものとすることは、当業者が容易になしえた事項である。

2.相違点3について
穀類、飼料、トーモロコシその他の収穫した植物の枝、葉など散物を輸送する容器から排出される空気にのって、粉塵がまき散らされることは、従来周知の課題である。そして、そのような容器に対して空気を排出させるフィルタを備えることは、例えば引用文献4(特に【0018】の「・・・該通気口4にフィルターを設けてもかまわない。」との記載に着目されたい。)及び引用文献5(特に、5ページ18行以下、及び、Fig.1及び5に記載された「filter arrangement 27」に着目されたい。)に記載されているように従来周知の事項である。
よって、引用発明を、相違点3における本願発明に係る構成を備えたものとすることは、当業者が容易になし得た事項である。

3.作用効果について
本願発明が奏する作用・効果については、当業者が予測し得る以上の格別なものであるとは認められない。

4.請求人の主張について
請求人は、以下のとおり主張しているから検討する。
(1)請求人は、平成30年12月10日提出の上申書の「(1)海上輸送用コンテナについて」において、「『海上輸送用の貨物コンテナ』が、単に船舶に積み降ろしするとされる引用文献1のコンテナとは全く異なる技術分野に属することは、・・・明らか。」及び「海上輸送用のコンテナを製造するメーカーは、実際上、上記のようなメーカーに限られ、引用文献1に記載されたようなコンテナを製造するマーカーは、業界を全く異にし、そのようなコンテナに対して例えばISO規格に準じた係合部を設ける必然性は全く伺え」ない旨主張している。
そこで検討する。例えば、実願昭57-12931号(実開昭58-116595号)のマイクロフィルムに記載されているように、専用船により輸送し、ホッパーやサイロ等に貯蔵していたバラ物などの粉粒体を、ISO規格の海上コンテナの寸法やコーナーハウジングの構成を有するコンテナで輸送等することは、従来周知の事項である。そうすると、バラ物等の粉粒体を専用船により輸送するという引用発明が属する技術分野の当業者であれば、関連するISO規格等の海上コンテナについての通常の知識を有しているということができるから、海上輸送用の貨物コンテナが、単に船舶に積み降ろしするとされる引用文献1のコンテナと全く異なる技術分野に属するとまではいえず、上記請求人の主張は失当である。

(2)請求人は上記同上申書の「(2)コンテナの多段積みについて」において、次のとおり主張している。「引用文献1には、船上で複数個積み重ねることは全く言及されていません。また、複数個積み重ねることについて、十分耐えるだけの丈夫なものであるという強度に関する事項以上に、そのための係合部等の構造については全く記載されていません。」「すなわち、引用発明に、単に船上で積み重ねるために、コンテナクレーンのスプレッダに係合可能な係合部をコンテナの上下面の4隅に配置することの動機付けが、引用発明に存在することの根拠は不明」である
そこで検討する。「船上」は、コンテナを置くスペースとして限られたものあることは技術常識であり、一度の航海でより多くの貨物を運搬しようとすることは引用発明の自明な課題である。よって引用発明には、限られたスペースでより多くの貨物を運搬するために、船上でコンテナを多段積みすることに格別の困難性は認められない。

(3)請求人は上記同上申書の「(3)本願発明の格別の効果について」において、「例えば鉄鉱石や石炭等の鉱物など、従来のコンテナでは実際上運搬できなかったようなばら積み貨物をコンテナ船で海上輸送することが可能となり、やはり、コンテナ船による輸送の自由度や岸壁の有効利用を図ることなどによる輸送施設の自由度を大幅に高め得るという特有の効果が得られます。」と主張している。
そこで検討する。出願人が主張する上記効果はいずれもばら積み貨物をコンテナ船で輸送したならば当然に奏する効果に過ぎず、当業者が容易に予測し得ないほど格別なものであるとはいえない。

5.小括
以上に示したとおり、本願発明は、引用発明及び従来周知の事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである。

第7 まとめ
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本願のその余の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2018-12-27 
結審通知日 2019-01-08 
審決日 2019-01-22 
出願番号 特願2017-500397(P2017-500397)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (B65D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 佐藤 正宗吉澤 秀明  
特許庁審判長 門前 浩一
特許庁審判官 久保 克彦
西藤 直人
発明の名称 貨物コンテナ  
代理人 特許業務法人前田特許事務所  
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