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審決分類 審判 一部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  H01M
審判 一部申し立て 2項進歩性  H01M
管理番号 1349640
異議申立番号 異議2017-700731  
総通号数 232 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2019-04-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2017-07-25 
確定日 2018-12-28 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6068702号発明「セパレータ洗浄方法、セパレータ製造方法、およびフィルム洗浄方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6068702号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-8〕、〔9-11〕、12、13及び14について訂正することを認める。 特許第6068702号の請求項1-3、5-11に係る特許を維持する。  
理由 第1 手続の経緯
特許第6068702号の請求項1ないし11に係る特許についての出願は、平成29年1月6日付けでその特許権の設定登録がされ、平成29年1月25日に特許掲載公報が発行された。その後、平成29年7月25日に特許異議申立人森本晋より請求項1ないし3並びに5ないし11に対して特許異議の申立てがされ、平成29年9月28日付けで取消理由が通知され、平成29年12月1日付けで意見書の提出及び訂正請求がされ、平成30年1月4日付けで特許異議申立人森本晋から意見書が提出され、平成30年3月30日付けで取消理由(決定の予告)が通知され、平成30年6月1日付けで意見書の提出及び訂正請求がされ、平成30年7月10日付けで特許異議申立人森本晋から意見書が提出され、平成30年9月11日付けで取消理由(決定の予告)が通知され、平成30年11月13日付けで意見書の提出及び訂正請求(以下「本件訂正」という。)がされたものである。
なお、平成29年12月1日付けの訂正請求及び平成30年6月1日付けの訂正請求は、取り下げられたものとみなす(特許法第120条の5第7項)。

第2 訂正の適否
1.訂正の内容
(1)訂正事項1
特許権者は、特許請求の範囲の請求項1を以下の事項により特定されるとおりの請求項1として訂正することを請求する(下線は訂正箇所を示す。以下同様。)。
「【請求項1】
長尺かつ多孔質の電池用セパレータを洗浄するためのセパレータ洗浄方法において、
上記電池用セパレータをその長手方向に搬送する工程と、
搬送中の上記電池用セパレ一タを、当該電池用セパレータの搬送経路において互いに隣り合う第一および第二の洗浄槽内に満たされた洗浄液中を順次通過させることにより洗浄を行う工程と、
上記第二の洗浄槽へ洗浄液を供給するとともに、上記第一の洗浄槽へは上記第二の洗浄槽内の洗浄液を供給することにより、上記第一および第二の洗浄槽内の洗浄液を更新する工程とを含み、
上記第一および第二の洗浄槽の各々には、上記電池用セパレータの搬送路を規定し、当該搬送路に沿って隣り合うとともに上記電池用セパレータの同一面側に配置された複数のローラーが設けられており、
上記第一および第二の洗浄槽の各々において、上記電池用セパレータを、上記複数の口ーラーを経て上記洗浄液中を通過させることを特徴とするセパレータ洗浄方法。」
(2)訂正事項2
特許権者は、特許請求の範囲の請求項4を以下の事項により特定されるとおりの請求項4、12、13及び14として訂正することを請求する。
「【請求項4】
長尺かつ多孔質の電池用セパレータを洗浄するためのセパレータ洗浄方法において、
上記電池用セパレータをその長手方向に搬送する工程と、
搬送中の上記電池用セパレータを、当該電池用セパレータの搬送経路において互いに隣り合う第一および第二の洗浄槽内に満たされた洗浄液中を順次通過させることにより洗浄を行う工程と、
上記第二の洗浄槽へ洗浄液を供給するとともに、上記第一の洗浄槽へは上記第二の洗浄槽内の洗浄液を供給することにより、上記第一および第二の洗浄槽内の洗浄液を更新する工程と、
上記第一の洗浄槽と上記第二の洗浄槽との間において上記電池用セパレータを搬送する搬送ローラーから洗浄液を除去する工程をさらに含むことを特徴とするセパレータ洗浄方法。 」
「【請求項12】
長尺かつ多孔質の電池用セパレータを洗浄するためのセパレータ洗浄方法において、
上記電池用セパレータをその長手方向に搬送する工程と、
搬送中の上記電池用セパレータを、当該電池用セパレータの搬送経路において互いに隣り合う第一および第二の洗浄槽内に満たされた洗浄液中を順次通過させることにより洗浄を行う工程と、
上記第二の洗浄槽へ洗浄液を供給するとともに、上記第一の洗浄槽へは上記第二の洗浄槽内の洗浄液を供給することにより、上記第一および第二の洗浄槽内の洗浄液を更新する工程と、
上記第一の洗浄槽と上記第二の洗浄槽との間において上記電池用セパレータを搬送する搬送ローラーから洗浄液を除去する工程とを含み、
上記電池用セパレータから上記第二の洗浄槽に満たされた洗浄液へ拡散した除去対象物質の濃度は、上記電池用セパレータから上記第一の洗浄槽に満たされた洗浄液に拡散した除去対象物質の濃度よりも小さいことを特徴とするセパレータ洗浄方法。」
「【請求項13】
長尺かつ多孔質の電池用セパレータを洗浄するためのセパレータ洗浄方法において、
上記電池用セパレータをその長手方向に搬送する工程と、
搬送中の上記電池用セパレータを、当該電池用セパレータの搬送経路において互いに隣り合う第一および第二の洗浄槽内に満たされた洗浄液中を順次通渦させることにより洗浄を行う工程と、
上記第二の洗浄槽へ洗浄液を供給するとともに、上記第一の洗浄槽へは上記第二の洗浄槽内の洗浄液を供給することにより、上記第一および第二の洗浄槽内の洗浄液を更新する工程と、
上記第一の洗浄槽と上記第二の洗浄槽との間において上記電池用セパレータを搬送する搬送ローラーから洗浄液を除去する工程と、
上記第一の洗浄槽と上記第二の洗浄槽との間において上記電池用セパレータから洗浄液を除去する工程とを含むことを特徴とするセパレータ洗浄方法。」
「【請求項14】
長尺かつ多孔質の電池用セパレータを洗浄するためのセパレータ洗浄方法において、
上記電池用セパレータをその長手方向に搬送する工程と、
搬送中の上記電池用セパレータを、当該電池用セパレータの搬送終路において互いに隣り合う第一および第二の洗浄槽内に満たされた洗浄液中を順次通渦させることにより洗浄を行う工程と、
上記第二の洗浄槽へ洗浄液を供給するとともに、上記第一の洗浄槽へは上記第二の洗浄槽内の洗浄液を供給することにより、上記第一および第二の洗浄槽内の洗浄液を更新する工程と、
上記第一の洗浄槽と上記第二の洗浄槽との間において上記電池用セパレータを搬送する搬送ローラーから洗浄液を除去する工程と、
上記第一の洗浄槽と上記第二の洗浄槽との間において上記電池用セパレータから洗浄液を除去する工程とを含み、
上記電池用セパレータから上記第二の洗浄槽に満たされた洗浄液へ拡散した除去対象物質の濃度は、上記電池用セパレータから上記第一の洗浄槽に満たされた洗浄液に拡散した除去対象物質の濃度よりも小さいことを特徴とするセパレータ洗浄方法。」
(3)訂正事項3
特許権者は、特許請求の範囲の請求項9を以下の事項により特定されるとおりの請求項9として訂正することを請求する。
「【請求項9】
長尺かつ多孔質の電池用セパレータを得るためのフィルム洗浄方法において、
上記電池用セパレータの中間製品である長尺のフィルムをその長手方向に搬送する工程と、
搬送中の上記フィルムを、当該フィルムの搬送経路において互いに隣り合う第一および第二の洗浄槽内に満たされた洗浄液中を順次通過させることにより洗浄を行う工程と、
上記第二の洗浄槽へ洗浄液を供給するとともに、上記第一の洗浄槽へは上記第二の洗浄槽内の洗浄液を供給することにより、上記第一および第二の洗浄槽内の洗浄液を更新する工程とを含み、
上記第一および第二の洗浄槽の各々には、上記フィルムの搬送路を規定し、当該搬送路に沿って隣り合うとともに上記フィルムの同一面側に配置された複数のローラーが設けられており、
上記第一および第二の洗浄槽の各々において、上記フィルムを、上記複数のローラーを経て上記洗浄液中を通過させることを特徴とするフィルム洗浄方法。」

2.訂正の目的の適否、新規事項の有無、一群の請求項及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(1)訂正事項1について
訂正事項1は、訂正前の請求項1の「洗浄を行う工程」に対して、「上記第一および第二の洗浄槽の各々には、上記電池用セパレータの搬送路を規定し、当該搬送路に沿って隣り合うとともに上記電池用セパレータの同一面側に配置された複数のローラーが設けられ」ること及び「上記第一および第二の洗浄槽の各々において、上記電池用セパレータを、上記複数の口ーラーを経て上記洗浄液中を通過させること」を特定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とし、本件特許明細書の段落【0069】及び【0070】並びに図4の記載に基づくものであるから、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(2)訂正事項2について
訂正事項2は、訂正前の請求項4が請求項1ないし3を引用するものであるところ、これをそれぞれ引用しないものとした上で、訂正後の請求項4、12、13及び14とするものであるから、引用関係の解消を目的とし、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことは明らかである。
(3)訂正事項3について
訂正事項3は、訂正前の請求項9の「洗浄を行う工程」に対して、「上記第一および第二の洗浄槽の各々には、上記フィルムの搬送路を規定し、当該搬送路に沿って隣り合うとともに上記フィルムの同一面側に配置された複数のローラーが設けられ」ること及び「上記第一および第二の洗浄槽の各々において、上記フィルムを、上記複数の口ーラーを経て上記洗浄液中を通過させること」を特定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とし、本件特許明細書の段落【0069】、【0070】、【0093】及び【0094】並びに図4の記載に基づくものであるから、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(4)一群の請求項であること
訂正前の請求項1ないし8は、請求項2ないし8が、訂正の請求の対象である請求項1の記載を引用する関係にあるから、訂正前において一群の請求項に該当するものである。
また、訂正前の請求項9ないし11は、請求項10及び11が、訂正の請求の対象である請求項9の記載を引用する関係にあるから、訂正前において一群の請求項に該当するものである。
したがって、訂正の請求は、一群の請求項ごとにされたものである。
そして、特許権者から、訂正後の請求項4、12、13及び14について、訂正が認められるときは、請求項1ないし3並びに5ないし8とは別の訂正単位として扱われることの求めがあったが、訂正後の請求項1及び訂正後の請求項4は、訂正後の請求項5、6、7及び8に直接または間接的に引用されるので、訂正後の請求項4は別の訂正単位とすることはできないので、訂正後の請求項〔1-8〕の一群で訂正の請求がされたものである。
したがって、訂正後の請求項〔1-8〕〔9-11〕、12、13及び14について訂正することを認める。

3.小括
したがって、上記訂正請求による訂正事項1ないし3は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号又は第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するので、訂正後の請求項〔1-8〕、〔9-11〕、12、13及び14について訂正を認める。

第3 本件発明
上記訂正請求により訂正された訂正後の請求項1ないし14に係る発明(以下「本件発明1」などという。)は、以下のとおりである。
【請求項1】
長尺かつ多孔質の電池用セパレータを洗浄するためのセパレータ洗浄方法において、
上記電池用セパレータをその長手方向に搬送する工程と、
搬送中の上記電池用セパレ一タを、当該電池用セパレータの搬送経路において互いに隣り合う第一および第二の洗浄槽内に満たされた洗浄液中を順次通過させることにより洗浄を行う工程と、
上記第二の洗浄槽へ洗浄液を供給するとともに、上記第一の洗浄槽へは上記第二の洗浄槽内の洗浄液を供給することにより、上記第一および第二の洗浄槽内の洗浄液を更新する工程とを含み、
上記第一および第二の洗浄槽の各々には、上記電池用セパレータの搬送路を規定し、当該搬送路に沿って隣り合うとともに上記電池用セパレータの同一面側に配置された複数のローラーが設けられており、
上記第一および第二の洗浄槽の各々において、上記電池用セパレータを、上記複数の口ーラーを経て上記洗浄液中を通過させることを特徴とするセパレータ洗浄方法。
【請求項2】
上記電池用セパレータから上記第二の洗浄槽に満たされた洗浄液へ拡散した除去対象物質の濃度は、上記電池用セパレータから上記第一の洗浄槽に満たされた洗浄液に拡散した除去対象物質の濃度よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載のセパレータ洗浄方法。
【請求項3】
上記第一の洗浄槽と上記第二の洗浄槽との間において上記電池用セパレータから洗浄液を除去する工程をさらに含むことを特徴とする請求項1または2に記載のセパレータ洗浄方法。
【請求項4】
長尺かつ多孔質の電池用セパレータを洗浄するためのセパレータ洗浄方法において、
上記電池用セパレータをその長手方向に搬送する工程と、
搬送中の上記電池用セパレータを、当該電池用セパレータの搬送経路において互いに隣り合う第一および第二の洗浄槽内に満たされた洗浄液中を順次通過させることにより洗浄を行う工程と、
上記第二の洗浄槽へ洗浄液を供給するとともに、上記第一の洗浄槽へは上記第二の洗浄槽内の洗浄液を供給することにより、上記第一および第二の洗浄槽内の洗浄液を更新する工程と、
上記第一の洗浄槽と上記第二の洗浄槽との間において上記電池用セパレータを搬送する搬送ローラーから洗浄液を除去する工程をさらに含むことを特徴とするセパレータ洗浄方法。
【請求項5】
上記電池用セパレータをその長手方向に搬送する工程において、上記電池用セパレータを上記第一の洗浄槽へ搬入する位置と上記第二の洗浄槽から搬出する位置との間で、上記電池用セパレータに搬送のための駆動力を加えることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のセパレータ洗浄方法。
【請求項6】
上記駆動力は、上記電池用セパレータを上記第一の洗浄槽の洗浄液中から搬出する位置と上記第二の洗浄槽の洗浄液中へ搬入する位置との間で、上記電池用セパレータに加えられることを特徴とする請求項5に記載のセパレータ洗浄方法。
【請求項7】
長尺かつ多孔質の電池用セパレータを成形する成形工程と、
上記成形工程の後に実行される、請求項1から6の何れか一項に記載のセパレータ洗浄方法の各工程とを含むことを特徴とするセパレータ製造方法。
【請求項8】
上記電池用セパレータが基材と当該基材に積層された機能層とを含む積層セパレータであって、
上記成形工程は、
上記機能層を積層するために、当該機能層を構成する物質を含む液状物質を上記基材に塗布する塗布工程と、
上記塗布工程の後に上記物質を凝固させる凝固工程と、
を含むことを特徴とする請求項7に記載のセパレータ製造方法。
【請求項9】
長尺かつ多孔質の電池用セパレータを得るためのフィルム洗浄方法において、
上記電池用セパレータの中間製品である長尺のフィルムをその長手方向に搬送する工程と、
搬送中の上記フィルムを、当該フィルムの搬送経路において互いに隣り合う第一および第二の洗浄槽内に満たされた洗浄液中を順次通過させることにより洗浄を行う工程と、
上記第二の洗浄槽へ洗浄液を供給するとともに、上記第一の洗浄槽へは上記第二の洗浄槽内の洗浄液を供給することにより、上記第一および第二の洗浄槽内の洗浄液を更新する工程とを含み、
上記第一および第二の洗浄槽の各々には、上記フィルムの搬送路を規定し、当該搬送路に沿って隣り合うとともに上記フィルムの同一面側に配置された複数のローラーが設けられており、
上記第一および第二の洗浄槽の各々において、上記フィルムを、上記複数のローラーを経て上記洗浄液中を通過させることを特徴とするフィルム洗浄方法。
【請求項10】
上記フィルムは、ポリオレフィンを主成分とすることを特徴とする請求項9に記載のフィルム洗浄方法。
【請求項11】
長尺かつ多孔質の電池用セパレータの中間製品である長尺のフィルムを成形する成形工程と、
上記成形工程の後に実行される、請求項9または10に記載のフィルム洗浄方法が含む各工程とを含むことを特徴とするセパレータ製造方法。
【請求項12】
長尺かつ多孔質の電池用セパレータを洗浄するためのセパレータ洗浄方法において、
上記電池用セパレータをその長手方向に搬送する工程と、
搬送中の上記電池用セパレータを、当該電池用セパレータの搬送経路において互いに隣り合う第一および第二の洗浄槽内に満たされた洗浄液中を順次通過させることにより洗浄を行う工程と、
上記第二の洗浄槽へ洗浄液を供給するとともに、上記第一の洗浄槽へは上記第二の洗浄槽内の洗浄液を供給することにより、上記第一および第二の洗浄槽内の洗浄液を更新する工程と、
上記第一の洗浄槽と上記第二の洗浄槽との間において上記電池用セパレータを搬送する搬送ローラーから洗浄液を除去する工程とを含み、
上記電池用セパレータから上記第二の洗浄槽に満たされた洗浄液へ拡散した除去対象物質の濃度は、上記電池用セパレータから上記第一の洗浄槽に満たされた洗浄液に拡散した除去対象物質の濃度よりも小さいことを特徴とするセパレータ洗浄方法。
【請求項13】
長尺かつ多孔質の電池用セパレータを洗浄するためのセパレータ洗浄方法において、
上記電池用セパレータをその長手方向に搬送する工程と、
搬送中の上記電池用セパレータを、当該電池用セパレータの搬送経路において互いに隣り合う第一および第二の洗浄槽内に満たされた洗浄液中を順次通渦させることにより洗浄を行う工程と、
上記第二の洗浄槽へ洗浄液を供給するとともに、上記第一の洗浄槽へは上記第二の洗浄槽内の洗浄液を供給することにより、上記第一および第二の洗浄槽内の洗浄液を更新する工程と、
上記第一の洗浄槽と上記第二の洗浄槽との間において上記電池用セパレータを搬送する搬送ローラーから洗浄液を除去する工程と、
上記第一の洗浄槽と上記第二の洗浄槽との間において上記電池用セパレータから洗浄液を除去する工程とを含むことを特徴とするセパレータ洗浄方法。
【請求項14】
長尺かつ多孔質の電池用セパレータを洗浄するためのセパレータ洗浄方法において、
上記電池用セパレータをその長手方向に搬送する工程と、
搬送中の上記電池用セパレータを、当該電池用セパレータの搬送終路において互いに隣り合う第一および第二の洗浄槽内に満たされた洗浄液中を順次通渦させることにより洗浄を行う工程と、
上記第二の洗浄槽へ洗浄液を供給するとともに、上記第一の洗浄槽へは上記第二の洗浄槽内の洗浄液を供給することにより、上記第一および第二の洗浄槽内の洗浄液を更新する工程と、
上記第一の洗浄槽と上記第二の洗浄槽との間において上記電池用セパレータを搬送する搬送ローラーから洗浄液を除去する工程と、
上記第一の洗浄槽と上記第二の洗浄槽との間において上記電池用セパレータから洗浄液を除去する工程とを含み、
上記電池用セパレータから上記第二の洗浄槽に満たされた洗浄液へ拡散した除去対象物質の濃度は、上記電池用セパレータから上記第一の洗浄槽に満たされた洗浄液に拡散した除去対象物質の濃度よりも小さいことを特徴とするセパレータ洗浄方法。

第4 取消理由通知に記載した取消理由について
通知した取消理由の概要は、以下のとおりである。
なお、取消理由通知において採用しなかった特許異議の申立ての理由はない。
<理由1>
本件特許の請求項1ないし3、5ないし11に係る発明は、その優先日前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであって、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。
甲第1号証 特開2013-142101号公報
甲第2号証 特開2012-31399号公報
甲第3号証 特開2006-187891号公報
甲第4号証 特開2011-208288号公報
甲第5号証 特開2000-89436号公報
甲第6号証 特開平11-60789号公報
甲第7号証 特開昭58-194255号公報
甲第8号証 特開2013-212673号公報
甲第9号証 特開2012-129115号公報
甲第10号証 特開2011-194593号公報
甲第11号証 特開2006-95346号公報

<理由2>
本件発明9には、「上記第一および第二の洗浄槽の各々には、上記電池用セパレータの搬送路を規定し、当該搬送路に沿って隣り合うとともに上記電池用セパレータの同一面側に配置された複数のローラーが設けられ」との記載があるが、当該記載の以前に「第一および第二の洗浄槽の各々」に、「電池用セパレータ」が搬送されることは規定されておらず(「フィルムの搬送経路」の誤記か。)、複数のローラがどのように配置されているか不明確である。
したがって、本件発明9の構成は不明確であり、本件発明9を引用する本件発明10及び11も同様である。
よって、請求項9ないし11に係る特許は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたものであり、取り消すべきものである。

第5 取消理由についての当審の判断
1.「第4<理由1>」について
(1)甲各号証に記載された事項及び発明について
ア.甲第1号証(特開2013-142101号公報)について
(ア)甲第1号証には、以下の事項が記載されている(下線は当審で付与。以下同様。)。
「【0001】
本発明は、例えば濾過膜や各種の電池やコンデンサーのセパレーターとして好適に使用されるポリオレフィン微多孔膜の製造方法に関する。より詳しくは、溶剤の高速乾燥を実現することにより、高速連続生産を可能にすると共に、優れた品質と優れた均一性が得られるポリオレフィン微多孔膜の製造方法に関する。」
「【0020】
本発明のポリオレフィン微多孔膜の製造方法によれば、高速連続生産が可能となるとともに、膜の収縮による空孔率の低下を防止でき、空孔率や膜圧の均一性を向上させることができる。また、乾燥時におけるポリオレフィンの配向の緩和が抑制され、強度の低下を防止できる。」
「【0022】
以下、本発明の実施形態について、詳細に説明する。本発明において使用するポリオレフィンとしては、エチレン、プロピレン、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテンなどのオレフィンの単独重合体又は共重合体を使用することができる。中でも、高延伸によって結晶化度を高くすることができ、かつ低価格な高密度ポリエチレンが特に好ましい。
【0023】
高密度ポリエチレンを用いる場合、重量平均分子量(ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定される)が1万以上が好ましく、より好ましくは5万以上である。分子量が小さすぎると、溶融成形のメルトテンションが小さくなって成形性が悪くなったり、延伸性が悪くなり低強度となるおそれがあるので好ましくない。重量平均分子量の上限は、溶融成形が可能で、均一な樹脂組成物が得られる範囲であれば特に制限はないが、通常100万以下、好ましくは70万以下である。
【0024】
本発明において使用する可塑剤としては、ポリオレフィン樹脂と混合した際にポリオレフィン樹脂の融点以上において均一溶液を形成しうる不揮発性溶媒である。具体的には、流動パラフィンやパラフィンワックス等の炭化水素類、フタル酸ジオクチルやフタル酸ジブチル等のエステル類、オレイルアルコールやステアリルアルコール等の高級アルコールが例示できる。これらのうち、入手しやすくかつハンドリングが容易である流動パラフィンやパラフィンワックスが特に好ましい。
【0025】
本発明において使用するポリオレフィン樹脂と可塑剤の比率は、ミクロ相分離を生じせしめ、可塑剤を抽出して除去した後に微多孔膜となるのに十分は比率であればいずれでも良い。具体的には、ポリオレフィン樹脂の含有比率が、10?70重量%、特に好ましくは20?50重量%である。
【0026】
ポリオレフィン樹脂と可塑剤との溶融混練は、多軸押出機や一軸押出機等を用いて、通常の方法によって行われる。
【0027】
ポリオレフィン樹脂と可塑剤からなる組成物には、目的に応じて、酸化防止剤、結晶核剤、帯電防止剤、難燃剤、滑剤、紫外線吸収剤等の添加剤を添加してもよい。
【0028】
溶融混練された樹脂組成物は、押出成形により、シート状又はフィルム状(以下、あわせて「膜状」という)に成形する。押出成形はTダイ(フラットダイ)を用いて膜状に押し出しても良いし、サーキュラーダイ等を用いて筒状に押し出してから膜状に加工しても良い。押出成形された膜の厚さは、好ましくは1?500μm、特に好ましくは5?100μmである。膜厚が薄すぎると強度不足になりやすく、厚すぎると、電池セパレータ等に使用したときにセパレータの占有体積が大きくなりすぎるおそれがある。
・・・
【0032】
延伸後、膜から可塑剤を抽出して除去する。可塑剤を抽出する方法は、抽出溶剤で満たされた槽の中に連続的に微多孔膜を送り込み、可塑剤を除去するのに充分な時間をかけて槽中に浸漬し、しかる後に付着した溶剤を乾燥させることにより行う。この際、槽内部を多段分割することにより濃度差がついた各槽に順次微多孔膜を送り込む多段法や、微多孔膜の走行方向に対し逆方向から抽出溶剤を供給して濃度勾配をつけるための向流法のような公知の手段を適用すると、抽出効率が高められ好ましい。可塑剤を微多孔膜から実質的に除去することが肝要である。また、抽出溶剤の温度を、溶剤の沸点未満の範囲内で加温すると、可塑剤と溶剤との拡散を促進することができるので抽出効率を高められ更に好ましい。」
「【0042】
[実施例1]
ポリオレフィン樹脂材料(高密度ポリエチレン(重量平均分子量30万、重量平均分子量/数平均分子量7、密度0.956)100重量部に2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール0.3重量部をドライブレンドしたもの)30重量部と流動パラフィン(37.78℃における動粘度75.9cSt)70重量部を二軸押出機を用いて溶融混練し、樹脂混合物をフラットダイ(ハンガーコートダイ)から表面温度40℃に制御された冷却ロール上に押し出し、厚み1.1mmのシート状の微多孔膜前駆体を得た。」
「【0043】
次いで、得られたシート状の微多孔膜前駆体をテンター式同時2軸延伸機を用いて119℃で5×5倍に延伸し、幅1,000mm、厚み40μmで均一な膜状微多孔膜前駆体を得た。
【0044】
得られた膜状微多孔膜前駆体を塩化メチレン(溶剤)と約2分間向流接触させ、流動パラフィン(可塑剤)を抽出除去した。」
「【0057】
本発明は、濾過膜や各種の電池やコンデンサーのセパレーター等に使用されるポリオレフィン微多孔膜の高速生産に利用できる。」
(イ)甲第1号証に記載された発明
上記記載事項及び図1の記載より、甲第1号証には以下の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認める。
「電池のセパレーターとして好適に使用されるポリオレフィン微多孔膜から可塑剤を抽出して除去する方法において、ポリオレフィン樹脂と可塑剤からなる組成物を押出成形により成形し得られた膜を延伸後、膜から可塑剤を抽出して除去し、当該可塑剤の抽出は、抽出溶剤で満たされた槽の中に連続的に微多孔膜を送り込んで行い、微多孔膜の走行方向に対し逆方向から抽出溶剤を供給して濃度勾配をつけるための向流法を適用するポリオレフィン微多孔膜から可塑剤を抽出する方法。」

イ.甲第2号証(特開2012-31399号公報)について
(ア)甲第2号証には、以下の事項が記載されている。
「【0001】
本発明は、熱硬化性樹脂多孔シートの製造方法及びこれを用いた複合分離膜に関する。」
「【0017】
次に、熱硬化性樹脂シートからポロゲンを抽出除去する。詳細には、ポロゲンを溶解しうる処理液を熱硬化性樹脂シートに接触させることによって、熱硬化性樹脂シートからポロゲンを抽出除去する。処理液を熱硬化性樹脂シートに接触させる方法は特に限定されない。処理液(浴液)を保持した液浴に熱硬化性樹脂シートを浸漬する方法が代表的である。すなわち、処理液として第1液及び第2液が、それぞれ、第1浴及び第2浴に保持されているとき、第1浴及び第2浴に熱硬化性樹脂シートをこの順に浸漬することによってポロゲンを抽出除去することができる。この方法によれば、熱硬化性樹脂シートに均一に処理液を接触させることができるので、均一な三次元網目状骨格と均一な空孔を有する樹脂多孔シートを得やすい。
【0018】
一般に液浴中でポロゲンを抽出する場合には、浴液の温度が高い方が、抽出効率が良い。熱硬化性樹脂シートは、ガラス転移温度を超える温度では軟化する。特に、熱硬化性樹脂シートにポロゲンが含まれているので、熱硬化性樹脂シートの見かけ上のガラス転移温度が低い。本実施形態では、順に温度が高くなる複数の液浴に温度が低い方から順に熱硬化性樹脂シートを浸漬してポロゲンの抽出除去を行う。例えば、第1浴の温度を低くし、第2浴以降について順に温度を高くする方法を用いる。詳細には、第1液の温度は、当該第1液に接触させる前(第1浴に浸漬する前)における熱硬化性樹脂シートのガラス転移温度以下でありうる。また、第2液の温度は、第1液に接触させた後(第1浴から引き上げた後)かつ当該第2液に接触させる前(第2浴に浸漬する前)における熱硬化性樹脂シートのガラス転移温度以下でありうる。複数の液浴は、それぞれ、その液浴を用いてポロゲンを抽出除去する直前の熱硬化性樹脂シートのガラス転移温度以下の温度に保たれていることが好ましい。これにより、高効率の抽出除去を実現でき、高品質の熱硬化性樹脂多孔シートが得られる。なお、第1液に接触させた後かつ第2液に接触させる前に、第1液よりも低温の処理液に熱硬化性樹脂シートを接触させてもよい。」
「【0024】
全体での液浴数は2つ以上であれば特に限定されるものではないが、多ければ多いほど使用液量と廃液量とが少なくなり、エネルギー効率がよくなるため、ランニングコストが低減できて好ましい。一方で初期費用やメンテナンスの手間を考慮すると、4つ以下が好ましい。
【0025】
各浴液は撹拌又は循環していることが好ましい。ポロゲンを抽出除去するほど浴液中のポロゲン濃度が高くなり、抽出しにくくなるため、浴液中のポロゲン濃度を管理する必要がある。この場合、浴中でポロゲン濃度の偏りが生じないように撹拌することと、浴液の温度を一定に保つことを目的として、浴液を外部循環させることが好ましい。また液浴は、後段になるほどポロゲン濃度が低く、温度が高くなるため、後段の浴液を前段の浴液に流入させてシートの搬送方向とは逆向きに浴液を流動させる対向流手段を用いてもよい。
【0026】
次に、ポロゲンを抽出除去する工程を実施するための装置の構成について図1に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0027】
図1は3浴構成の例について示す。熱硬化性樹脂シート1は45℃の浴液を有する第1浴A、60℃の浴液を有する第2浴B、80℃の浴液を有する第3浴Cを経てポロゲンが抽出除去される。一方で浴液の流動方向は熱硬化性樹脂シート1の流れとは逆向きである。浴液供給部3から80℃に加温された純水が第3浴Cに供給され、各浴間にある浴液流出口2から、第2浴B、第1浴Aへと浴液が移動する。なお、各浴では循環ポンプ4を介して夾雑物除去フィルター5、温度調整器6によって、各浴液の夾雑物の除去、浴液中のポロゲン濃度及び温度の管理が行なわれる。最終的に、浴液は第1浴Aに設けられた浴液排出口7より排出される。」
「【0032】
図1及び図2で説明した方法は、長尺の熱硬化性樹脂シート1を搬送しながらポロゲンを除去する連続処理であり、生産性に優れている。ただし、連続処理は必須でなく、図3に示すようにバッチ処理でポロゲンを除去することも可能である。具体的には、熱硬化性樹脂シート1をスペーサ16とともにコア14に巻き付け、巻回体20を作製する。スペーサ16は、熱硬化性樹脂シート1の周囲に処理液を流通させるための流路を形成する。スペーサ16としては、例えば、ネット又は編み物を使用できる。スペーサ16の構成材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタラートなどのポリエステル樹脂、ポリフェニレンサルファイドなどのポリフェニレン樹脂などが挙げられる。」
「【産業上の利用可能性】
【0098】
本発明の熱硬化性樹脂多孔シート及び複合分離膜は、排水の浄化、海水の脱塩、医療用成分の分離、食品有効成分の濃縮、気体成分の分離、正浸透処理などの用途に用いることができる。本発明の熱硬化性樹脂多孔シートは、デバイスのセパレータに用いることもできる。」
「図1




甲第2号証の図1には、前段の浴液中にローラを複数設け、後段の浴液中にローラを一つ設けていることが看取できる。
(イ)甲第2号証に記載された発明
上記記載事項及び図1の記載から、甲第2号証には、以下の発明(以下「甲2発明」という。)が記載されていると認める。
「デバイスのセパレータに用いることもできる熱硬化性樹脂シートからポロゲンを抽出除去する方法において、前段の浴液中にローラを複数設け、後段の浴液中にローラを一つ設け、熱硬化性樹脂シートからポロゲンを抽出除去する後段の浴液を前段の浴液に流入させてシートの搬送方向とは逆向きに浴液を流動させる対向流手段を用いて長尺の熱硬化性樹脂シートを搬送しながらポロゲンを除去するデバイスのセパレータに用いることもできる熱硬化性樹脂シートからポロゲンを抽出除去する方法。」

ウ.甲第3号証(特開2006-187891号公報)について
(ア)甲第3号証には、以下の事項が記載されている。
「【背景技術】
【0002】
近年、高容量、高電圧、高エネルギー密度の達成が可能である電池として、種々の有機電解液二次電池が開発されている。この有機電解液二次電池(例えば、リチウムイオン電池)において、対向配置される正極と負極との間に、電解液とともにイオンの流通が可能である多孔性フィルムがセパレータとして設けられている。」
「【0068】
次に、本発明の積層体の製造方法の一例について説明する(図4参照)。
本発明の積層体1aの製造方法は、多数の貫通孔5を有するとともにプラスチックA4を含有する基材層2と、閉塞層3aとを有する積層体1aの製造方法であって、形成工程と、除去工程とを含むことを特徴とする。
【0069】
(1)形成工程
基材層2として、多数の貫通孔5を有するとともにプラスチックA4を含有するものを用いる(図4a参照)。一方、樹脂組成液として、プラスチックA4より低い軟化温度を有するプラスチックB6aと所定温度以上で膨張する発泡剤7aと水溶性物質9とを含有するものを作製する。例えば、プラスチックB6a、発泡剤7a及び水溶性物質9を、水等の溶媒に投入して、スーパーミキサー、リボンブレンダー、V-ブレンダー等の混合機により充分攪拌し均一に分散させて樹脂組成液を調製する。そして、上記樹脂組成液を、基材層2の少なくとも1つの面に塗布して樹脂層10を形成する(図4b参照)。樹脂組成液の塗布の方法としては、例えば、ロールコータ、フローコータ、スプレー、ディッピング、刷毛塗り等が挙げられる。なお、樹脂層10を、プラスチックB6aの軟化温度以上発泡剤7aの膨張開始温度以下の温度で加熱してもよい。
【0070】
(2)除去工程
回分法、向流多段法等の一般的な抽出法により、樹脂層10から水溶性物質9を、20℃以上50℃以下の水等を用いて洗浄して除去する(図4c参照)。すなわち、水溶性物質9を溶解させることにより除去することにより、多数の貫通孔8を有するとともにプラスチックB6aと発泡剤7aとを含有する閉塞層3aを形成する。なお、水以外にも、樹脂層10形成後に水溶性物質9を溶解し得るものであり、かつ、樹脂層10形成後にプラスチックB6aを溶解しないものを用いてもよい。」
(イ)甲第3号証に記載された発明
上記記載事項より、樹脂層の洗浄に着目すると、甲第3号証には、以下の発明(以下「甲3発明」という。)が記載されていると認める。
「電池のセパレータに用いる積層体1aの洗浄方法において、多数の貫通孔5を有するとともにプラスチックA4を含有する基材層2と、基材層2の少なくとも1つの面に塗布して樹脂層10を形成されたものを、回分法、向流多段法等の一般的な抽出法により、樹脂層10から水溶性物質9を、20℃以上50℃以下の水等を用いて洗浄して除去することにより貫通孔を得る、電池のセパレータに用いる積層体1aの洗浄方法。」

エ.甲第4号証(特開2011-208288号公報)について
(ア)甲第4号証には、以下の事項が記載されている。
「【0013】
本発明の捺染処理装置は、基材の表面に染料および糊剤を含む転写剤から成る転写層が形成される転写紙の前記糊剤を湿潤して軟化させる転写層軟化手段と、予め定める搬送方向に布帛を巻き出す巻出し軸と、前記巻出し軸の前記搬送方向の下流側に設けられ、前記転写層軟化手段によって糊剤が軟化された転写紙を、前記転写層が対向するように前記布帛に対して積重し、一対の転写ローラによって加圧処理して、転写紙の転写層を布帛に転写する転写部と、前記転写部の前記搬送方向の下流側に設けられ、前記搬送方向に搬送される布帛を蒸気加熱処理して、転写層の染料を布帛に定着させる定着部と、前記定着部の前記搬送方向の下流側に設けられ、前記搬送方向に搬送される布帛を洗浄液を用いて洗浄処理する洗浄部と、前記洗浄部の前記搬送方向の下流側に設けられ、前記搬送方向に搬送される布帛を乾燥処理する乾燥部とを含むことを特徴とする。」
「【0060】
剥離部4の下流側には、基材剥離後の布帛Rを搬送するための搬送ローラ対91が設けられる。搬送ローラ対91は、駆動ローラと従動ローラとから成り、搬送制御部9Aによって制御される。各ローラはそれぞれ、各中心軸線が横方向Yと平行になるように配設されるとともに、該中心軸線まわりに回転自在に軸支されている。」
「【0079】
捺染処理装置100は、定着部5の下流側に、搬送ローラ対91を介して、洗浄部6を有している。洗浄部6は、定着部5において染料を定着させた後の布帛Rに対して、所定の温度に調節された洗浄液62を用いて、所定の量だけ洗浄処理するように構成されている。
【0080】
洗浄部6は、具体的には、複数(本実施形態では5)の洗浄槽61a?61eを備えるタンク61と、布帛Rを洗浄するための洗浄液62と、洗浄槽61a?61eと同数の搬送ローラ63と、布帛Rが保持する水分を搾り出すための複数(本実施形態では2)のスクイズローラ対64と、5つの洗浄槽61a?61eのうち使用する洗浄槽を設定するための槽調節機構65と、水温調節機構66と、搬送ローラ変位機構67と、スクイズローラ回転機構68とを備え、洗浄制御部6Aによって制御される。また、洗浄槽と洗浄槽との間には、布帛Rを搬送するための搬送ローラ対91が設けられている。
【0081】
タンク61は、上方に向かって開放している5つの洗浄槽61a?61eを列設して構成され、搬送方向X1に沿って5つの洗浄槽61a?61eが並ぶように配設される。洗浄液62は、染料定着後の布帛Rに付着している染料以外の物質および未定着の染料を洗い落とすことができる液体であり、水道水であってもよく、水道水にソーピング液を混入したものであってもよい。
【0082】
槽調節機構65は、各洗浄槽61a?61e間の隔壁の高さを調節するための隔壁高さ調節機構、洗浄液62を所定の洗浄槽に注入するための洗浄液注入機構、および洗浄液62を排出するための洗浄液排出機構などを含んで構成される。この槽調節機構65は、洗浄制御部6Aによって、所定の洗浄槽が使用されるように制御される。」
(イ)甲第4号証に記載された事項
上記記載事項より、甲第4号証には、以下の事項(以下「甲4記載事項」という。)が記載されていると認める。
「搬送方向に搬送される布帛を洗浄液を用いて洗浄処理する洗浄部において、各洗浄槽61a?61e間には、布帛Rを搬送するための搬送ローラ対91が設けられ、各洗浄槽61a?61e間の隔壁の高さを調節するための隔壁高さ調節機構、洗浄液62を所定の洗浄槽に注入するための洗浄液注入機構、および洗浄液62を排出するための洗浄液排出機構などを含んで構成される洗浄部。」

オ.甲第5号証(特開2000-89436号公報)について
(ア)甲第5号証には、以下の事項が記載されている。
「【0002】
【従来の技術】環境法規の規制上からはもちろん、一般水質環境保全の見地から、ハロゲン化銀写真感光材料の現像処理に伴う廃液は、現像処理廃液及び水洗廃水(以下両者をまとめて「現像処理廃液」又は単に「廃液」と呼ぶ)のいずれも一般河川にはいうまでもなく下水道にも排出できないので、現像所その他の現像場所では、従来より廃液の処分を外部へ委託している。したがって、廃液管理上、作業上、また経済上から現像処理廃液の低減が望まれている。
【0003】廃液の量を低減させるには、現像、漂泊、定着などの各処理工程において、感光材料処理量当たりの補充液量(容積)の減量(以下、低補充という)および処理済み液の再生使用などによる廃液量の低減が図られている。また、水洗又は安定浴工程では、いわゆる多段向流方式、すなわちこの工程を複数の処理槽によって構成し、水洗水または安定液補充液を感光材料の搬送方向の最終槽に補充してそのオーバーフローをカウンターカレントに順次直前の槽へ流入させる方式を採用して廃液の量を低減させている。」「【0020】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を、図面にもとづいて具体的に説明する。
(現像処理装置の一態様)図1は、本発明の典型的実施態様を示すためのカラー現像装置の構造略図である。この構造は、カラーフィルム用の装置に限られるものではないが、カラーフィルム用現像処理装置として説明を行う。カラーフィルムFは、ローディング部2においてリーダーと接合されて現像機ケーシング1の内部へ導入される。フィルムFは、ドライブローラー及び送りローラー(搬送経路中に図示してあるが、部材表示番号は付けない)、クロスオーバー14、15、16、17の各ローラーによって搬送されて現像槽11、漂白槽21、定着槽31、32、水洗槽41?43で浸漬処理されて乾燥部51で乾燥され、テイクアップ部3に処理を終えた順に送りだされてくる形を取っている。現像槽のオーバーフロー13、漂白槽のオーバーフロー23、定着槽31のオーバーフロー35、水洗槽41のオーバーフロー50は、それぞれ処理廃液として銀回収を行った後、あるいは直接に委託処分などが行われる。
【0021】一方、定着槽32のオーバーフロー33、水洗槽42のオーバーフロー44、水洗槽43のオーバーフロー45はそれぞれその直前槽31、41および42へ流入する構造を取っている。乾燥部にはヒーターHで加熱された空気が送り込まれてフィルムを乾燥し、その廃風は、矢印の表示のように外部に排出される。現像槽には、現像補充槽61、漂白槽には漂白補充槽62、定着槽(又は漂白定着槽)には定着補充槽63、最終水洗槽(又は最終安定浴槽、以下省略)には貯水槽(又は安定液貯槽、以下省略)64がそれぞれ送液ポンプ12、22、34、47によって接続されており、各槽へ補充がされる。第2水洗槽42には必要時に3方コック49が開いて貯水槽64から3方コック49と送液ポンプ46を経て水洗水が供給される仕組みになっている。またこの第2水洗槽42からは必要時にポンプ48が作動して定着槽32に水洗水を送液する。」
「【0025】図3は、比較のために示したもので、図1の処理装置の本発明の構成部分を本発明に近い従来公知の構成に変更した参考図である。図1の貯水槽64から送液ポンプ46をへて第2水洗槽42へ水洗水を送液する配管は、図3では設けられてなく、貯水槽64からは送液ポンプ47を経て最終水洗槽43への水洗水配管のみとなる。また、図1の第2水洗槽42から送液ポンプ48を経て第2定着槽32へ水洗水を送液する配管も図3には設けられてなく、代わりに公知の第1水洗槽41から第2定着槽32へ送液する配管となっている。」
「図1




(イ)甲第5号証に記載された事項
上記記載事項及び図1の記載から、甲第5号証には、以下の事項(以下「甲5記載事項」という。)が記載されていると認める。
「フィルムFは、ドライブローラー及び送りローラー、クロスオーバー14、15、16、17の各ローラーによって搬送されて現像槽11、漂白槽21、定着槽31、32、水洗槽41?43で浸漬処理されて、定着槽32のオーバーフロー33、水洗槽42のオーバーフロー44、水洗槽43のオーバーフロー45はそれぞれその直前槽31、41および42へ流入する構造の処理装置。」

カ.第6号証(特開平11-60789号公報)について
(ア)甲第6号証には、以下の事項が記載されている。
「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば各種の円筒型電池、角型電池、薄型電池、ボタン型電池、電解コンデンサー等の電池材料に使用されるセパレーターを製造するにあたって好適な手段を提供するものである。」
「【0013】即ち、本発明は、(a)ポリオレフィン樹脂と可塑剤からなる組成物を溶融混練し、押し出して冷却固化させシート状に成形する工程、(b)前記工程aの後に、少なくとも1軸方向に、少なくとも1回の延伸を行う工程、(c)前記工程bの後に、前記可塑剤を抽出する工程、(d)前記工程cの後に、少なくとも1軸方向に、少なくとも1回の延伸を行う工程、(e)前記工程dに続いて、または後に熱処理を施す工程を含むポリオレフィン微多孔膜の製造方法に関する。」
「【0018】可塑剤を抽出する第二の方法は、抽出溶剤で満たされた槽の中に連続的に微多孔膜を送り込み、可塑剤を除去するのに充分な時間をかけて槽中に浸漬し、しかる後に付着した溶剤を乾燥させることにより行う。この際、槽内部を多段分割することにより濃度差がついた各槽に順次微多孔膜を送り込む多段法や、微多孔膜の走行方向に対し逆方向から抽出溶剤を供給して濃度勾配をつけるための向流法のような公知の手段を適用すると、抽出効率が高められ好ましい。第一、第二の方法においては、何れも、可塑剤を微多孔膜から実質的に除去することが肝要である。また、抽出溶剤の温度を、溶剤の沸点未満の範囲内で加温すると、可塑剤と溶剤との拡散を促進することができるので抽出効率を高められ更に好ましい。」
(イ)甲第6号証に記載された事項
上記記載事項より、甲第6号証には、以下の事項(以下「甲6記載事項」という。)が記載されていると認める。
「電解コンデンサー等の電池材料に使用されるセパレーターを製造するにあたって、ポリオレフィン樹脂と可塑剤からなる組成物を溶融混練し、押し出して冷却固化させシート状に成形した後、可塑剤を抽出する方法において、抽出溶剤で満たされた槽の中に連続的に微多孔膜を送り込み、この際、槽内部を多段分割することにより濃度差がついた各槽に順次微多孔膜を送り込む多段法や、微多孔膜の走行方向に対し逆方向から抽出溶剤を供給して濃度勾配をつけるための向流法のような公知の手段を適用すると、抽出効率が高められること。」

キ.甲第7号証(特開昭58-194255号公報)について
(ア)甲第7号証には、以下の事項が記載されている。
「オレフィンの重合体もしくはオレフィンを主とする共重合体からなる多孔体をスルフォン化処理する工程と、次にスルフォン化のための溶液及び水に実質的に不溶性の有機溶媒に浸せきする工程と、前記有機溶媒を水で置換する工程とを有する電池用セパレータの製造法。」(公報1ページ左下欄5行ないし10行)
「第1図はセパレータの製造装置を示す。1はオレフィンの重合体からなる織布、不織布などの帯状のセパレータ材で、コイル2からくり出される。3はスルフォン化のための溶液4を収容したスルフォン化槽であり、セパレータ材1はローラ5、5により案内されて溶液4に浸漬された後、絞りローラ6、6によりスルフォン化溶液が絞り取られる。7は水及び前記の溶液4に対して実質的に不溶性の有機溶媒8を収容した有機溶媒槽であり、槽3を通過後のセパレータ材1はローラ9により溶媒8に浸漬され、ローラ10により溶媒が絞りとられる。11は水12を収容した水洗槽で、槽7を通過後のセパレータ材1をローラ13で水に浸せきし、ローラ14で水を絞りとるものである。15はアルカリ水溶液16を収容した槽で、ローラ17によりセパレータ材1を溶液16に浸せきし、ローラ18により液を絞りとる。なお、19はセパレータ材の送りローラであり、各槽には攪拌装置を備えている。」(公報3ページ左上欄4行ないし右上欄2行)
(イ)甲第7号証に記載された事項
上記記載事項より、甲第7号証には、以下の事項(以下「甲7記載事項」という。)が記載されていると認める。
「電解コンデンサー等の電池材料に使用されるセパレーターの製造における可塑剤を抽出する方法において、抽出溶剤で満たされた槽の中にセパレータを送りローラにより連続的に送り込み、槽を通過後にセパレータからローラにより液体を絞りとること。」

ク.甲第8号証(特開2013-212673号公報)について
(ア)甲第8号証には、以下の事項が記載されている。
「【0001】
本発明は、セパレータフィルムの湿式製造装置及び方法に関し、特に、ロールの少なくともロール上部に上部スクレーパを設けてロール上部のオイルを除去し、ロールとフィルム間に介在するオイル等による問題発生を防止するための新規な改良に関する。」
「【0020】
前記タッチロール66、ロール55、ロール56及びロール57によってセパレータフィルム68を冷却搬送する際に、各ロール66,55,56,57の表面には、このセパレータフィルム68から出てくるオイルが付着しているため、このオイルを除去回収するために上部スクレーパ10及び下部スクレーパ11が各々配設されている。
尚、この各スクレーパ10,11は、各ロール66,55,56,57のロール上部12とロール下部13に分けて配設され、それらの取り付けは、図示しない装置の固定側に設けられている。」
(イ)甲第8号証に記載された事項
上記記載事項より、甲第8号証には、以下の事項(以下「甲8記載事項」という。)が記載されていると認める。
「セパレータフィルムの湿式製造方法において、セパレータを搬送する各ロールに付着しているオイルを除去回収するために、上部スクレーパ10及び下部スクレーパ11がロールの上部とロールの下部に各々配設されること。」

ケ.甲第9号証(特開2012-129115号公報)について
(ア)甲第9号証には、以下の事項が記載されている。
「【0001】
本発明は、非水電解質電池用セパレータ及び非水電解質電池に関する。」
「【0019】
・・・ 本発明の非水電解質電池用セパレータの引張強度は、10N以上であることが好ましい。10N以上であると、長尺状にして非水電解質電池を作製するにあたり、セパレータに損傷を与えないようにセパレータを良好に捲回することができる点で好ましい。・・・」
「【0058】
?耐熱性多孔質層の製造法?
本発明の非水電解質電池用セパレータの製造法は、上述した構成の本発明のセパレータが製造できれば特に限定されるものではなく、耐熱性多孔質層については例えば下記(1)?(5)の工程を経て製造することが可能である。
【0059】
(1)塗工用スラリーの作製
耐熱性樹脂を溶剤に溶かし、塗工用スラリーを作製する。・・・
【0060】
(2)スラリーの塗工
スラリーをポリオレフィン多孔質基材の少なくとも一方の表面に塗工する。ポリオレフィン多孔質基材の両面に耐熱性多孔質層を形成する場合は、基材の両面に同時に塗工することが、工程の短縮という観点で好ましい。・・・
【0061】
(3)スラリーの凝固
スラリーが塗工された基材を、前記耐熱性樹脂を凝固させることが可能な凝固液で処理することにより、耐熱性樹脂を凝固させて、耐熱性樹脂からなる耐熱性多孔質層を形成する。・・・
【0062】
(4)凝固液の除去
凝固液を水洗することによって除去する。
(5)乾燥
シートから水を乾燥して除去する。乾燥方法は特に限定は無いが、乾燥温度は50?80℃が好適であり、高い乾燥温度を適用する場合は、熱収縮による寸法変化が起こらないようにするために、ロールに接触させるような方法を適用することが好ましい。」
(イ)甲第9号証に記載された事項
上記記載事項より、甲第9号証には、以下の事項(以下「甲9記載事項」という。)がそれぞれ記載されていると認める。
「電池用セパレータは、長尺状で加工されること。」及び「電池用セパレータの製造方法において、ポリオレフィン多孔質基材の少なくとも一方の表面にスラリーが塗工された基材を、耐熱性樹脂を凝固させることが可能な凝固液で処理し、凝固液を水洗することによって除去し耐熱性多孔質層とすること。」

コ.甲第10号証(特開2011-194593号公報)について
(ア)甲第10号証には、以下の事項が記載されている。
「【0001】
本発明は、長尺のポリマーフィルムの処理装置に関する。より詳しくは、有機ポリマーフィルムを搬送しながら液処理する際にフィルム表面に発生するキズ、シワ、乾燥ムラ等を低減し高品位のフィルムを得ることができるフィルム処理装置に関する。」
「【0039】
なお、フィルム洗浄部3における液中ガイドロールや空中ガイドロールも、それぞれ2本に限定されるものではなく、それぞれ1本でも2本以上の複数本を使用してもよい。複数本を使用して洗浄水中で複数回折り返すことで、洗浄槽自体の長さを長くしなくても洗浄水に浸漬されている部分のフィルムの長さを長くすることができる。
【0040】
そして、出ロール32に巻回された後立ち上がったフィルム10は、その両面に対向するように設けられた洗浄ノズル35よりRO水が噴出され仕上げ洗浄される。
【0041】
フィルム10を仕上げ洗浄したRO水は出ロール32の下部に設けられた洗浄水受け槽38に溜まる。洗浄水受け槽38の上部に設けられた排水口と第2洗浄槽37の底部は洗浄水連通管39bにより連結されており、洗浄水受け槽38に溜まったRO水は洗浄水連通管39bを通って第2洗浄槽37の底部に流入する。同様に第2洗浄槽37の上部に設けられた排水口と第1洗浄槽36の底部は洗浄水連通管39aにより連結されており、第2洗浄槽37に溜まった水は洗浄水連通管39aを通って第1洗浄槽36の底部に流入する。
【0042】
このように、フィルム洗浄部を、第1洗浄槽36、第2洗浄槽37というように複数の槽から構成し、該複数の槽を、フィルムの搬送方向に関して、下流側の槽の上部から流出した洗浄水が隣接する上流側の槽の底部から流入可能なように接続することで、各槽(第1洗浄槽36、第2洗浄槽37)共に底部から上部へ向かう流れが形成され効率的な洗浄を行うことができる。」
(イ)甲第10号証に記載された事項
上記記載事項より、甲第10号証には、以下の事項(以下「甲10記載事項」という。)がそれぞれ記載されていると認める。
「フィルム洗浄部における液中ガイドロールや空中ガイドロールは複数本を使用して洗浄水中で複数回折り返すことで、洗浄槽自体の長さを長くしなくても洗浄水に浸漬されている部分のフィルムの長さを長くすることができること。」及び「フィルム洗浄部を、複数の槽から構成し、該複数の槽を、フィルムの搬送方向に関して、下流側の槽の上部から流出した洗浄水が隣接する上流側の槽の底部から流入可能なように接続することで、各槽共に底部から上部へ向かう流れが形成され効率的な洗浄を行うこと。」

サ.甲第11号証(特開2006-95346号公報)について
(ア)甲第11号証には、以下の事項が記載されている。
「【0001】
本発明は、多段向流式(いわゆるカスケード式)の洗浄装置及び洗浄方法に関し、更に詳しくは、汚染の程度の少ない洗浄溶媒を処理して洗浄コストを低減させることができる洗浄装置及び洗浄方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
多段向流式(いわゆるカスケード式)の洗浄装置は、例えばめっき槽や薬品処理槽等で化学処理された被洗浄物を段階的に洗浄することができる装置であり、具体的には、図4に例示する洗浄装置51が知られている(例えば、特許文献1等を参照)。
【0003】
この洗浄装置51は、めっき槽や薬品処理槽等の処理槽52で処理された被洗浄物53の移動方向60と、その被洗浄物53を洗浄するための洗浄溶媒の流れ方向とが逆方向になっており、被洗浄物53の移動方向60の上流側Xから下流側Yに向かって第1洗浄槽54、第2洗浄槽55、第3洗浄槽56、第4洗浄槽57からなる複数の洗浄槽が連設されている。この洗浄装置51は、下流側Yの第4洗浄槽57に供給された洗浄溶媒58が上流側Xの第1洗浄槽54に向かって順次オーバーフローする多段向流式の洗浄装置である。」
(イ)甲11号証に記載された事項
上記記載事項より、甲第11号証には、以下の事項(以下「甲11記載事項」という。)が記載されていると認める。
「洗浄装置51は、めっき槽や薬品処理槽等の処理槽52で処理された被洗浄物53の移動方向60と、その被洗浄物53を洗浄するための洗浄溶媒の流れ方向とが逆方向になっており、被洗浄物53の移動方向60の上流側Xから下流側Yに向かって第1洗浄槽54、第2洗浄槽55、第3洗浄槽56、第4洗浄槽57からなる複数の洗浄槽が連設されており、下流側Yの第4洗浄槽57に供給された洗浄溶媒58が上流側Xの第1洗浄槽54に向かって順次オーバーフローする多段向流式の洗浄装置。」

(2)対比・判断
ア.本件発明1について
(ア-1)対比(甲1発明との対比)
本件発明1と甲1発明とを対比すると、両者は少なくとも下記の点で相違する。
本件発明1は、「第一および第二の洗浄槽の各々には、上記電池用セパレータの搬送路を規定し、当該搬送路に沿って隣り合うとともに上記電池用セパレータの同一面側に配置された複数のローラーが設けられて」、「上記電池用セパレータを、上記複数の口ーラーを経て上記洗浄液中を通過させ」ているのに対して、甲1発明は、そのような特定はなされていない点(以下「相違点」という。)。
(イ-1)判断
前記相違点について検討する。
長尺かつ多孔質の電池用セパレータを洗浄するためのセパレータ洗浄方法において、第一および第二の洗浄槽の各々には、上記電池用セパレータの搬送路を規定し、当該搬送路に沿って隣り合うとともに上記電池用セパレータの同一面側に配置された複数のローラーが設けられて、上記電池用セパレータを、上記複数の口ーラーを経て上記洗浄液中を通過させることについて、甲第1号証ないし甲第11号証のいずれの文献にも記載がない。
そして、本件発明1は、「長尺かつ多孔質の電池用セパレータを洗浄するためのセパレータ洗浄方法において、上記電池用セパレータをその長手方向に搬送する工程と、搬送中の上記電池用セパレ一タを、当該電池用セパレータの搬送経路において互いに隣り合う第一および第二の洗浄槽内に満たされた洗浄液中を順次通過させることにより洗浄を行う工程と、上記第二の洗浄槽へ洗浄液を供給するとともに、上記第一の洗浄槽へは上記第二の洗浄槽内の洗浄液を供給することにより、上記第一および第二の洗浄槽内の洗浄液を更新する工程」を含むもので、「第一および第二の洗浄槽の各々には、上記電池用セパレータの搬送路を規定し、当該搬送路に沿って隣り合うとともに上記電池用セパレータの同一面側に配置された複数のローラーが設けられて」、「上記電池用セパレータを、上記複数の口ーラーを経て上記洗浄液中を通過させる」構成を採用したことにより、「無孔フィルムに比べて機械的強度が低い多孔質のセパレータを、折れや破れの発生を抑制しつつ洗浄でき、充分な洗浄が可能となるため、透気度が従来よりも高い電池用セパレータを得ることができるという効果を奏する。」(【0036】)ものである。
したがって、本件発明1は、甲1発明及び甲2ないし甲11記載事項から、当業者が容易に想到し得たものではない。
(ウ-1)特許異議申立人の主張について
特許異議申立人は、甲第5号証には、「水洗槽41?43内のフィルムFが、U字型の経路で搬送されることが記載されているが、通常、このようなU字型の搬送路を規定するためには、言い換えるとフィルムFが水洗槽41?43内にて浮力によって浮き上ることを防止するためには、参考資料2に示すように、搬送路の曲がった部分にローラR’が少なくとも2箇所配置されることが必須であることは当業者にとって自明である。」と主張する(平成30年7月10日付け意見書2ページ末行ないし3ページ6行)。しかしながら、甲第5号証の図1ないし図3には、搬送路が曲がった部分にローラを設けている場合には、ドライブローラ及び送りローラが図示されているところ(【0020】)、U字型の搬送路の曲がった部分にローラは図示されていないことから、ローラが必ずしも配置されているとはいえず、当該主張は採用できない。
また、特許異議申立人は、甲第7号証には、「溶液4を収容した槽4内には、セパレータ材1を案内する複数のローラ5が記載されてされている。」(同意見書4ページ23行及び24行)と主張する。しかしながら、複数のローラが設けられている槽は、スルフォン化溶液を収容したスルフォン化槽3であって、第一および第二の洗浄槽からなり、長尺かつ多孔質の電池用セパレータを洗浄するものではないため、上記、「(イ-1)判断」」で述べたとおり、係るスルフォン化槽の構成をもって、当業者が本件発明1を容易に発明をすることができたものとすることができない。

(ア-2)対比(甲2発明との対比)
本件発明1と甲2発明とを対比すると、両者は少なくとも下記の点で相違する。
本件発明1は、「第一および第二の洗浄槽の各々には、上記電池用セパレータの搬送路を規定し、当該搬送路に沿って隣り合うとともに上記電池用セパレータの同一面側に配置された複数のローラーが設けられて」、「上記電池用セパレータを、上記複数の口ーラーを経て上記洗浄液中を通過させ」ているのに対して、甲2発明は、そのような特定はなされていない点。
(イ-2)判断
上記「(イ-1)判断」で示した判断と同様である。

(ア-3)対比(甲3発明との対比)
本件発明1と甲3発明とを対比すると、両者は少なくとも下記の点で相違する。
本件発明1は、「第一および第二の洗浄槽の各々には、上記電池用セパレータの搬送路を規定し、当該搬送路に沿って隣り合うとともに上記電池用セパレータの同一面側に配置された複数のローラーが設けられて」、「上記電池用セパレータを、上記複数の口ーラーを経て上記洗浄液中を通過させ」ているのに対して、甲3発明は、そのような特定はなされていない点。
(イ-3)判断
上記「(イ-1)判断」で示した判断と同様である。

(ウ)小括
本件発明1は、甲1発明、甲2発明または甲3発明並びに、甲1ないし甲11記載事項から、当業者が容易に想到し得たものではない。

イ.本件発明2、3、5、6、7及び8について
本件発明2、3、5、6、7及び8は、本件発明1を更に減縮したものであるか、特許異議の申立ての対象となっていない本件発明4を更に減縮したものであるから、上記本件発明1についての判断と同様の理由により、甲1発明、甲2発明または甲3発明並びに、甲1ないし甲11記載事項から、当業者が容易に想到し得たものではない。

ウ.本件発明9について
(ア)対比(甲1発明との対比)
本件発明9と甲1発明とを対比すると、両者は少なくとも下記の点で相違する。
本件発明9は、「第一および第二の洗浄槽の各々には、上記フィルムの搬送路を規定し、当該搬送路に沿って隣り合うとともに上記フィルムの同一面側に配置された複数のローラーが設けられて」、「上記フィルムを、上記複数の口ーラーを経て上記洗浄液中を通過させ」ているのに対して、甲1発明は、そのような特定はなされていない点(以下「相違点」という。)。
(イ)判断
前記相違点について検討する。
第一および第二の洗浄槽の各々には、上記フィルムの搬送路を規定し、当該搬送路に沿って隣り合うとともに上記フィルムの同一面側に配置された複数のローラーが設けられて、上記フィルムを、上記複数の口ーラーを経て上記洗浄液中を通過させることについて、甲第1号証ないし甲第11号証のいずれの文献にも記載がない。
そして、本件発明9は、「長尺かつ多孔質の電池用セパレータを得るためのフィルム洗浄方法において、上記電池用セパレータをその長手方向に搬送する工程と、搬送中の上記電池用セパレ一タを、当該電池用セパレータの搬送経路において互いに隣り合う第一および第二の洗浄槽内に満たされた洗浄液中を順次通過させることにより洗浄を行う工程と、上記第二の洗浄槽へ洗浄液を供給するとともに、上記第一の洗浄槽へは上記第二の洗浄槽内の洗浄液を供給することにより、上記第一および第二の洗浄槽内の洗浄液を更新する工程」を含むもので、「第一および第二の洗浄槽の各々には、上記フィルムの搬送路を規定し、当該搬送路に沿って隣り合うとともに上記フィルムの同一面側に配置された複数のローラーが設けられて」、「上記フィルムを、上記複数の口ーラーを経て上記洗浄液中を通過させる」構成を採用したことにより、「無孔フィルムに比べて機械的強度が低い多孔質のセパレータを、折れや破れの発生を抑制しつつ洗浄でき、充分な洗浄が可能となるため、透気度が従来よりも高い電池用セパレータを得ることができるという効果を奏する。」(【0036】)ものである。
したがって、本件発明9は、甲1発明及び甲2ないし甲11記載事項から、当業者が容易に想到し得たものではない。

エ.本件発明10及び11について
本件発明10及び11は、本件発明9を更に減縮したものであるから、上記本件発明9についての判断と同様の理由により、甲1発明及び甲2ないし甲11記載事項から、当業者が容易に想到し得たものではない。

2.「第4.<理由2>」について
平成30年6月1日提出の訂正請求は、特許法第120条の5第7項の規定により、取り下げられたものとみなされるため、取消理由は解消された。

第6 むすび
以上のとおりであるから、前記取消理由によっては、本件発明1ないし3並びに5ないし11に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件発明1ないし3並びに5ないし11に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺かつ多孔質の電池用セパレータを洗浄するためのセパレータ洗浄方法において、
上記電池用セパレータをその長手方向に搬送する工程と、
搬送中の上記電池用セパレータを、当該電池用セパレータの搬送経路において互いに隣り合う第一および第二の洗浄槽内に満たされた洗浄液中を順次通過させることにより洗浄を行う工程と、
上記第二の洗浄槽へ洗浄液を供給するとともに、上記第一の洗浄槽へは上記第二の洗浄槽内の洗浄液を供給することにより、上記第一および第二の洗浄槽内の洗浄液を更新する工程とを含み、
上記第一および第二の洗浄槽の各々には、上記電池用セパレータの搬送路を規定し、当該搬送路に沿って隣り合うとともに上記電池用セパレータの同一面側に配置された複数のローラーが設けられており、
上記第一および第二の洗浄槽の各々において、上記電池用セパレータを、上記複数のローラーを経て上記洗浄液中を通過させることを特徴とするセパレータ洗浄方法。
【請求項2】
上記電池用セパレータから上記第二の洗浄槽に満たされた洗浄液へ拡散した除去対象物質の濃度は、上記電池用セパレータから上記第一の洗浄槽に満たされた洗浄液に拡散した除去対象物質の濃度よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載のセパレータ洗浄方法。
【請求項3】
上記第一の洗浄槽と上記第二の洗浄槽との間において上記電池用セパレータから洗浄液を除去する工程をさらに含むことを特徴とする請求項1または2に記載のセパレータ洗浄方法。
【請求項4】
長尺かつ多孔質の電池用セパレータを洗浄するためのセパレータ洗浄方法において、
上記電池用セパレータをその長手方向に搬送する工程と、
搬送中の上記電池用セパレータを、当該電池用セパレータの搬送経路において互いに隣り合う第一および第二の洗浄槽内に満たされた洗浄液中を順次通過させることにより洗浄を行う工程と、
上記第二の洗浄槽へ洗浄液を供給するとともに、上記第一の洗浄槽へは上記第二の洗浄槽内の洗浄液を供給することにより、上記第一および第二の洗浄槽内の洗浄液を更新する工程と、
上記第一の洗浄槽と上記第二の洗浄槽との間において上記電池用セパレータを搬送する搬送ローラーから洗浄液を除去する工程をさらに含むことを特徴とするセパレータ洗浄方法。
【請求項5】
上記電池用セパレータをその長手方向に搬送する工程において、上記電池用セパレータを上記第一の洗浄槽へ搬入する位置と上記第二の洗浄槽から搬出する位置との間で、上記電池用セパレータに搬送のための駆動力を加えることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のセパレータ洗浄方法。
【請求項6】
上記駆動力は、上記電池用セパレータを上記第一の洗浄槽の洗浄液中から搬出する位置と上記第二の洗浄槽の洗浄液中へ搬入する位置との間で、上記電池用セパレータに加えられることを特徴とする請求項5に記載のセパレータ洗浄方法。
【請求項7】
長尺かつ多孔質の電池用セパレータを成形する成形工程と、
上記成形工程の後に実行される、請求項1から6の何れか一項に記載のセパレータ洗浄方法の各工程とを含むことを特徴とするセパレータ製造方法。
【請求項8】
上記電池用セパレータが基材と当該基材に積層された機能層とを含む積層セパレータであって、
上記成形工程は、
上記機能層を積層するために、当該機能層を構成する物質を含む液状物質を上記基材に塗布する塗布工程と、
上記塗布工程の後に上記物質を凝固させる凝固工程と、
を含むことを特徴とする請求項7に記載のセパレータ製造方法。
【請求項9】
長尺かつ多孔質の電池用セパレータを得るためのフィルム洗浄方法において、
上記電池用セパレータの中間製品である長尺のフィルムをその長手方向に搬送する工程と、
搬送中の上記フィルムを、当該フィルムの搬送経路において互いに隣り合う第一および第二の洗浄槽内に満たされた洗浄液中を順次通過させることにより洗浄を行う工程と、
上記第二の洗浄槽へ洗浄液を供給するとともに、上記第一の洗浄槽へは上記第二の洗浄槽内の洗浄液を供給することにより、上記第一および第二の洗浄槽内の洗浄液を更新する工程とを含み、
上記第一および第二の洗浄槽の各々には、上記フィルムの搬送路を規定し、当該搬送路に沿って隣り合うとともに上記フィルムの同一面側に配置された複数のローラーが設けられており、
上記第一および第二の洗浄槽の各々において、上記フィルムを、上記複数のローラーを経て上記洗浄液中を通過させることを特徴とするフィルム洗浄方法。
【請求項10】
上記フィルムは、ポリオレフィンを主成分とすることを特徴とする請求項9に記載のフィルム洗浄方法。
【請求項11】
長尺かつ多孔質の電池用セパレータの中間製品である長尺のフィルムを成形する成形工程と、
上記成形工程の後に実行される、請求項9または10に記載のフィルム洗浄方法が含む各工程とを含むことを特徴とするセパレータ製造方法。
【請求項12】
長尺かつ多孔質の電池用セパレータを洗浄するためのセパレータ洗浄方法において、
上記電池用セパレータをその長手方向に搬送する工程と、
搬送中の上記電池用セパレータを、当該電池用セパレータの搬送経路において互いに隣り合う第一および第二の洗浄槽内に満たされた洗浄液中を順次通過させることにより洗浄を行う工程と、
上記第二の洗浄槽へ洗浄液を供給するとともに、上記第一の洗浄槽へは上記第二の洗浄槽内の洗浄液を供給することにより、上記第一および第二の洗浄槽内の洗浄液を更新する工程と、
上記第一の洗浄槽と上記第二の洗浄槽との間において上記電池用セパレータを搬送する搬送ローラーから洗浄液を除去する工程とを含み、
上記電池用セパレータから上記第二の洗浄槽に満たされた洗浄液へ拡散した除去対象物質の濃度は、上記電池用セパレータから上記第一の洗浄槽に満たされた洗浄液に拡散した除去対象物質の濃度よりも小さいことを特徴とするセパレータ洗浄方法。
【請求項13】
長尺かつ多孔質の電池用セパレータを洗浄するためのセパレータ洗浄方法において、
上記電池用セパレータをその長手方向に搬送する工程と、
搬送中の上記電池用セパレータを、当該電池用セパレータの搬送経路において互いに隣り合う第一および第二の洗浄槽内に満たされた洗浄液中を順次通過させることにより洗浄を行う工程と、
上記第二の洗浄槽へ洗浄液を供給するとともに、上記第一の洗浄槽へは上記第二の洗浄槽内の洗浄液を供給することにより、上記第一および第二の洗浄槽内の洗浄液を更新する工程と、
上記第一の洗浄槽と上記第二の洗浄槽との間において上記電池用セパレータを搬送する搬送ローラーから洗浄液を除去する工程と、
上記第一の洗浄槽と上記第二の洗浄槽との間において上記電池用セパレータから洗浄液を除去する工程とを含むことを特徴とするセパレータ洗浄方法。
【請求項14】
長尺かつ多孔質の電池用セパレータを洗浄するためのセパレータ洗浄方法において、
上記電池用セパレータをその長手方向に搬送する工程と、
搬送中の上記電池用セパレータを、当該電池用セパレータの搬送経路において互いに隣り合う第一および第二の洗浄槽内に満たされた洗浄液中を順次通過させることにより洗浄を行う工程と、
上記第二の洗浄槽へ洗浄液を供給するとともに、上記第一の洗浄槽へは上記第二の洗浄槽内の洗浄液を供給することにより、上記第一および第二の洗浄槽内の洗浄液を更新する工程と、
上記第一の洗浄槽と上記第二の洗浄槽との間において上記電池用セパレータを搬送する搬送ローラーから洗浄液を除去する工程と、
上記第一の洗浄槽と上記第二の洗浄槽との間において上記電池用セパレータから洗浄液を除去する工程とを含み、
上記電池用セパレータから上記第二の洗浄槽に満たされた洗浄液へ拡散した除去対象物質の濃度は、上記電池用セパレータから上記第一の洗浄槽に満たされた洗浄液に拡散した除去対象物質の濃度よりも小さいことを特徴とするセパレータ洗浄方法。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2018-12-19 
出願番号 特願2016-52994(P2016-52994)
審決分類 P 1 652・ 537- YAA (H01M)
P 1 652・ 121- YAA (H01M)
最終処分 維持  
前審関与審査官 伊藤 秀行  
特許庁審判長 山崎 勝司
特許庁審判官 莊司 英史
窪田 治彦
登録日 2017-01-06 
登録番号 特許第6068702号(P6068702)
権利者 住友化学株式会社
発明の名称 セパレータ洗浄方法、セパレータ製造方法、およびフィルム洗浄方法  
代理人 長谷川 和哉  
代理人 鶴田 健太郎  
代理人 長谷川 和哉  
代理人 鶴田 健太郎  

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