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審決分類 審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  B65D
審判 全部申し立て 2項進歩性  B65D
審判 全部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備  B65D
管理番号 1349641
異議申立番号 異議2018-700114  
総通号数 232 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2019-04-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2018-02-14 
確定日 2018-12-25 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6187657号発明「ポリオレフィン樹脂フィルム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6187657号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項[1-7、9、10][8、11、12]について訂正することを認める。 特許第6187657号の請求項1?12に係る特許を維持する。 
理由 1.手続の経緯
特許第6187657号の請求項1?10に係る特許についての出願は、平成23年5月31日に特許出願された特願2011-122064号の一部を、平成27年10月27日に新たな特許出願とした特願2015-210636号の一部を、平成28年8月26日に新たな特許出願としたものであって、平成29年8月10日にその特許権の設定登録(特許掲載公報発行日:平成29年8月30日)がされた。
その後、請求項1?10に係る特許について、平成30年2月14日に特許異議申立人一條淳(以下、「申立人1」という。)により、同年同月27日に特許異議申立人奥村一正(以下、「申立人2」という。)により、各々、特許異議の申立てがなされ、平成30年6月18日付けで取消理由が通知され、その指定期間内である平成30年8月10日に意見書の提出及び訂正の請求(以下、「本件訂正請求」といい、本件訂正請求に係る訂正を「本件訂正」という。)があり、平成30年8月29日付けで申立人1及び2に対し訂正の請求があった旨の通知がされ、その指定期間内である平成30年9月21日に申立人1より意見書が提出されたが、申立人2からは意見書は提出されなかった。

2.訂正の適否についての判断
(1)訂正の内容
本件訂正請求による訂正の内容は以下のとおりである。(訂正箇所に下線を付す。)
ア.訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に「バイオマス由来のエチレンを含むモノマーが重合してなるバイオマス由来のポリオレフィンと、化石燃料由来のエチレンおよび/またはα-オレフィンを含むモノマーが重合してなる化石燃料由来のポリオレフィンと」とあるのを、
「バイオマス由来のエチレンを含むモノマーが重合してなるバイオマス由来のポリエチレンと、化石燃料由来のエチレンを含むモノマーまたは化石燃料由来のエチレンおよびα-オレフィンを含むモノマーが重合してなる化石燃料由来のポリエチレンと」に訂正する。

イ.訂正事項2
特許請求の範囲の請求項1に「5?90質量%の前記バイオマス由来のポリオレフィンと、10?95質量%の前記化石燃料由来のポリオレフィン」とあるのを、
「5?50質量%の前記バイオマス由来のポリエチレンと、50?95質量%の前記化石燃料由来のポリエチレン」に訂正する。

ウ.訂正事項3
特許請求の範囲の請求項6に「25?75質量%の前記バイオマス由来のポリオレフィンと、25?75質量%の前記化石燃料由来のポリオレフィン」とあるのを、
「25?50質量%の前記バイオマス由来のポリエチレンと、50?75質量%の前記化石燃料由来のポリエチレン」に訂正する。

エ.訂正事項4
特許請求の範囲の請求項9に「請求項1?8のいずれか一項」とあるのを、
「請求項1?7のいずれか一項」に訂正する。

オ.訂正事項5
特許請求の範囲の請求項8に「前記ポリオレフィンが、ポリエチレンである、請求項1?7のいずれか一項に記載のラミネートチューブ。」とあるのを、
「バイオマス由来のエチレンを含むモノマーが重合してなるバイオマス由来のポリエチレンと、化石燃料由来の直鎖状低密度ポリエチレンと、化石燃料由来の低密度ポリエチレンと、を含んでなる樹脂組成物からなる樹脂フィルムを備えるラミネートチューブであって、
前記樹脂組成物が、5?50質量%の前記バイオマス由来のポリエチレンと、50?95質量%の前記化石燃料由来のポリエチレンとを含んでなり、
前記樹脂組成物が、前記バイオマス由来のエチレンを前記樹脂組成物全体に対して5質量%以上含んでなり、前記樹脂組成物が、0.91?0.96g/cm^(3)の密度を有する、ラミネートチューブ。」に訂正する。

カ.訂正事項6
請求項11として「請求項8に記載のラミネートチューブの製造方法であって、前記樹脂組成物を押出成形することを特徴とする、製造方法。」を追加する。

キ.訂正事項7
請求項12として「前記押出成形が、Tダイ法またはインフレーション法により行われる、請求項11に記載の製造方法。」を追加する。

(2)訂正の目的の適否、一群の請求項、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
ア.一群の請求項
訂正前の請求項1及び請求項1を引用する請求項2?10は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項であり、本件訂正請求による訂正は当該一群の請求項1?10に対し請求されたものである。

イ.訂正事項1による訂正は、訂正前の請求項1の「バイオマス由来のエチレンを含むモノマーが重合してなるバイオマス由来のポリオレフィン」が「バイオマス由来のエチレンを含むモノマーが重合してなるバイオマス由来のポリエチレン」であること、及び、同請求項1の「化石燃料由来のエチレンおよび/またはα-オレフィンを含むモノマーが重合してなる化石燃料由来のポリオレフィン」が「化石燃料由来のエチレンを含むモノマーまたは化石燃料由来のエチレンおよびα-オレフィンを含むモノマーが重合してなる化石燃料由来のポリエチレン」であることを限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げられた特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、訂正事項1による訂正は、願書に添付した特許請求の範囲の請求項8の「前記ポリオレフィンが、ポリエチレンである、請求項1?7のいずれか一項に記載の・・・」との記載、同添付した明細書の段落【0017】の「本発明の態様においては、上記のポリオレフィンが、ポリエチレンであることが好ましい。」との記載、及び、【0035】?【0038】の「本発明において、バイオマス由来のポリオレフィンは、バイオマス由来のエチレンを含むモノマーが重合してなるものである。・・・上記のポリオレフィンが、ポリエチレンであることが好ましい。・・・」との記載からみて、願書に添付した明細書及び特許請求の範囲に記載した事項の範囲内においてしたものであり、また、実質的に特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

ウ.訂正事項2による訂正は、訂正前の請求項1の「5?90質量%の前記バイオマス由来のポリオレフィン」が「5?50質量%の前記バイオマス由来のポリエチレン」であること、及び、同請求項1の「10?95質量%の前記化石燃料由来のポリオレフィン」が「50?95質量%の前記化石燃料由来のポリエチレン」であることを限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げられた特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、訂正事項2による訂正は、願書に添付した特許請求の範囲の請求項8の記載、同添付した明細書の段落【0017】、【0035】?【0038】の記載及び【0069】の「実施例1 バイオマス由来の高密度ポリエチレン・・・50質量部と、化石燃料由来の低密度ポリエチレン・・・50質量部とをドライブレンドした樹脂・・・押し出して、積層フィルムを得た。・・・」との記載からみて、願書に添付した明細書及び特許請求の範囲に記載した事項の範囲内においてしたものであり、また、実質的に特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

エ.訂正事項3による訂正は、訂正前の請求項6の「25?75質量%の前記バイオマス由来のポリオレフィン」が「25?50質量%の前記バイオマス由来のポリエチレン」であること、及び、同請求項6の「25?75質量%の前記化石燃料由来のポリオレフィン」が「50?75質量%の前記化石燃料由来のポリエチレン」であることを限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げられた特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、訂正事項3による訂正は、願書に添付した特許請求の範囲の請求項8の記載、同添付した明細書の段落【0017】、【0035】?【0038】及び【0069】の記載からみて、願書に添付した明細書及び特許請求の範囲に記載した事項の範囲内においてしたものであり、また、実質的に特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

オ.訂正事項4による訂正は、請求項9が引用する請求項の記載を「請求項1?8のいずれか一項」から「請求項1?7のいずれか一項」へ限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げられた特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、訂正事項4による訂正は、願書に添付した明細書及び特許請求の範囲に記載した事項の範囲内においてしたものであり、また、実質的に特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

カ.訂正事項5による訂正は、訂正前の請求項8が訂正前の請求項1の記載を引用する記載であったところ、同請求項8の記載を他の請求項の記載を引用しないものとすると共に、訂正前の請求項1の「バイオマス由来のエチレンを含むモノマーが重合してなるバイオマス由来のポリオレフィン」が「バイオマス由来のエチレンを含むモノマーが重合してなるバイオマス由来のポリエチレン」であること、同請求項1の「化石燃料由来のエチレンおよび/またはα-オレフィンを含むモノマーが重合してなる化石燃料由来のポリオレフィン」が「化石燃料由来の直鎖状低密度ポリエチレンと、化石燃料由来の低密度ポリエチレン」であること、同請求項1の「5?90質量%の前記バイオマス由来のポリオレフィン」が「5?50質量%の前記バイオマス由来のポリエチレン」であること、及び、同請求項1の「10?95質量%の前記化石燃料由来のポリオレフィン」が「50?95質量%の前記化石燃料由来のポリエチレン」であることを限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げられた特許請求の範囲の減縮及び第4号に掲げられた他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものである。
そして、訂正事項5による訂正は、願書に添付した明細書の段落【0017】、【0035】?【0038】及び【0069】の記載からみて、願書に添付した明細書及び特許請求の範囲に記載した事項の範囲内においてしたものであり、また、実質的に特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

キ.訂正事項6及び7による訂正は、上記訂正事項4及び5による訂正に伴い、訂正前の請求項8を引用する請求項9、10に対応する発明を、各々、請求項11、12として追加したものであって、同請求項11、12は、訂正事項5に係る訂正により減縮された請求項8を引用するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げられた特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、訂正事項6及び7による訂正は、願書に添付した明細書及び特許請求の範囲に記載した事項の範囲内においてしたものであり、また、実質的に特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

(3)むすび
以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は特許法第120条の5第2項第1号及び第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するので、訂正後の請求項[1-7、9、10][8、11、12]について訂正を認める。

3.特許異議の申立てについて
(1)本件発明
【請求項1】
バイオマス由来のエチレンを含むモノマーが重合してなるバイオマス由来のポリエチレンと、化石燃料由来のエチレンを含むモノマーまたは化石燃料由来のエチレンおよびα-オレフィンを含むモノマーが重合してなる化石燃料由来のポリエチレンと、を含んでなる樹脂組成物からなる樹脂フィルムを備えるラミネートチューブであって、
前記樹脂組成物が、5?50質量%の前記バイオマス由来のポリエチレンと、50?95質量%の前記化石燃料由来のポリエチレンとを含んでなり、
前記樹脂組成物が、前記バイオマス由来のエチレンを前記樹脂組成物全体に対して5質量%以上含んでなり、前記樹脂組成物が、0.91?0.96g/cm^(3)の密度を有する、ラミネートチューブ。
【請求項2】
前記樹脂組成物が、1?30g/10分のメルトフローレートを有する、請求項1に記載のラミネートチューブ。
【請求項3】
前記樹脂組成物が、前記バイオマス由来のエチレンを、前記樹脂組成物全体に対して5?95質量%含んでなる、請求項1または2に記載のラミネートチューブ。
【請求項4】
前記バイオマス由来のエチレンを含むモノマーが、化石燃料由来のエチレンおよび/またはα-オレフィンをさらに含む、請求項1?3のいずれか一項に記載のラミネートチューブ。
【請求項5】
前記バイオマス由来のエチレンを含むモノマーが、バイオマス由来のα-オレフィンをさらに含む、請求項1?3のいずれか一項に記載のラミネートチューブ。
【請求項6】
前記樹脂組成物が、25?50質量%の前記バイオマス由来のポリエチレンと、50?75質量%の前記化石燃料由来のポリエチレンとを含んでなる、請求項1?5のいずれか一項に記載のラミネートチューブ。
【請求項7】
前記α-オレフィンが、ブチレン、ヘキセン、またはオクテンである、請求項1?6のいずれか一項に記載のラミネートチューブ。
【請求項8】
バイオマス由来のエチレンを含むモノマーが重合してなるバイオマス由来のポリエチレンと、化石燃料由来の直鎖状低密度ポリエチレンと、化石燃料由来の低密度ポリエチレンと、を含んでなる樹脂組成物からなる樹脂フィルムを備えるラミネートチューブであって、
前記樹脂組成物が、5?50質量%の前記バイオマス由来のポリエチレンと、50?95質量%の前記化石燃料由来のポリエチレンとを含んでなり、
前記樹脂組成物が、前記バイオマス由来のエチレンを前記樹脂組成物全体に対して5質量%以上含んでなり、前記樹脂組成物が、0.91?0.96g/cm^(3)の密度を有する、ラミネートチューブ。
【請求項9】
請求項1?7のいずれか一項に記載のラミネートチューブの製造方法であって、
前記樹脂組成物を押出成形することを特徴とする、製造方法。
【請求項10】
前記押出成形が、Tダイ法またはインフレーション法により行われる、請求項9に記載の製造方法。
【請求項11】
請求項8に記載のラミネートチューブの製造方法であって、
前記樹脂組成物を押出成形することを特徴とする、製造方法。
【請求項12】
前記押出成形が、Tダイ法またはインフレーション法により行われる、請求項11に記載の製造方法。

(2)取消理由の概要
取消理由通知書に記載した本件発明1?12に係る特許に対する取消理由の概要は、以下のとおりである。
なお、異議申立人が申立てた全ての理由は通知された。
ア.理由1
本件発明1?12は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物甲1-1?甲2-7に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

《刊行物》
甲1-1.特開昭53-31751号公報
甲1-2.杉山英路,外1名,“地球環境にやさしい「サトウキビ由来のポリエチレン」”,コンバーテック,株式会社加工技術研究会,2009年8月15日,第37巻,第8号,通巻437号,p.63-67
甲1-3.特表2010-511634号公報
甲1-4.特開平6-171657号公報
甲1-5.「プラスチック・機能性高分子材料辞典」編集委員会、「プラスチック・機能性高分子材料辞典」、産業調査会 辞典出版センター、初版第2刷、2005年8月1日、第734頁及び第2?24頁
甲2-1.特表2011-506628号公報
甲2-2.牧野太宣,“サトウキビから作られたプラスチック包装材料「Bipro-PE」”,コンバーテック,株式会社加工技術研究会,2011年2月15日,第39巻,第2号,通巻455号,p.83-85
甲2-3.杉山英路,“新しいバイオマスプラスチックの可能性?「サトウキビ由来のポリエチレン」の製品化から?”,高分子関連技術情報誌Polyfileポリファイル2009年12月号,株式会社大成社,2009年12月10日,p.28-30
甲2-4.“特集 自動車・複写機で採用進むバイオポリエチレンも登場 バイオプラスチック市場拡大へ”,日経バイオテク,日経BP社,2010年12月20日,第702号,p.3-8
甲2-5.“特集 こんなに使えるバイオプラのすべて Part3 期待の新顔 汎用プラもエンプラも身近な素材がバイオ化へ”,日経ものづくり8月号,日経BP社,2009年8月1日,第659号,p.54-61
甲2-6.特表2010-511634号公報(甲1-3に同じ)
甲2-7.特開2010-168460号公報

《備考》
甲1-1?甲1-5は、申立人1の特許異議申立書に添付された甲第1号証?甲第5号証であり、甲2-1?甲2-7は、申立人2の特許異議申立書に添付された甲第1号証?甲第7号証である。
甲1-1に記載された発明を甲1-1発明といい、甲1-1?甲1-5に記載された事項を甲1?1記載事項?甲1-5記載事項という。
甲2-1に記載された発明を甲2-1発明といい、甲2-1?甲2-7に記載された事項を甲2-1記載事項?甲2-7記載事項という。

(ア)理由1-1
本件発明1?12は、甲1-1発明及び甲1-1記載事項?甲1-5記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(イ)理由1-2
本件発明1?12は、甲2-1発明及び甲2-1記載事項?甲2-7記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

イ.理由2
本件特許は、明細書及び特許請求の範囲の記載が以下の点で不備のため、特許法第36条第4項第1号に規定する要件(実施可能要件)及び同条第6項第1号に規定する要件(サポート要件)を満たしていない。

本件特許の発明に関し、明細書においてその効果が確認され得るのは、実施例1?5の樹脂フィルム(樹脂組成物)のみであるから、課題を解決し得ないものをも含み得る本件発明1?12が記載された本件特許の特許請求の範囲の記載は、サポート要件を満たしておらず、本件特許明細書の記載は実施可能要件を満たしていない。

(3)判断
ア.理由2について
事案に鑑み、理由2から判断する。
本件発明1?12は、上記2.で示したとおり本件訂正請求が認められたことにより、「バイオマス由来のエチレンを含むモノマーが重合してなるバイオマス由来のポリエチレンと、化石燃料由来のエチレンを含むモノマーまたは化石燃料由来のエチレンおよびα-オレフィンを含むモノマーが重合してなる化石燃料由来のポリエチレンと、を含んでなる樹脂組成物からなる樹脂フィルムを備えるラミネートチューブであって、
前記樹脂組成物が、5?50質量%の前記バイオマス由来のポリエチレンと、50?95質量%の前記化石燃料由来のポリエチレンとを含んでな」ることを発明特定事項とするものとなった。
ここで、本件発明1のうち、「50質量%」の「バイオマス由来のポリエチレン」と、「50質量%」の「化石燃料由来のポリエチレン」とを含んでなるものは、本件特許明細書の段落【0065】?【0078】における実施例1に関する記載からみて、同明細書の段落【0008】に記載された「バイオマス由来のエチレンを用いたカーボンニュートラルなポリオレフィンを含む樹脂組成物からなる樹脂フィルムを提供することであって、従来の化石燃料から得られる原料から製造された樹脂フィルムと機械的特性等の物性面で遜色ないポリオレフィン樹脂フィルムを提供する」という課題を解決するものであり、同明細書の発明の詳細な説明は、その実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものといえることが、明らかである。
また、上記したように、「50質量%」の「バイオマス由来のポリエチレン」と、「50質量%」の「化石燃料由来のポリエチレン」とを含んでなるものが、従来の「化石燃料由来のポリエチレン」から製造された樹脂フィルムと機械的特性等の物性面で遜色ないものである以上、それよりも組成比を少なくした「5?50質量%」の「バイオマス由来のポリエチレン」と、残り「50?95質量%」の「化石燃料由来のポリエチレン」とを含んでなるものも、従来の「化石燃料由来のポリエチレン」から製造された樹脂フィルムと機械的特性等の物性面で遜色ないものであること、すなわち、上記課題を解決し得るものであり、同明細書の発明の詳細な説明は、その実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものといえることも明らかである。
以上のとおり、本件発明1?12は、本件特許明細書の発明の詳細な説明に記載された発明であり、同明細書の発明の詳細な説明は、その実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものとなったから、理由2は、理由のないものとなった。

イ.理由1について
(ア)理由1-1について
a.本件発明1について
(a)甲1-1発明
甲1-1の特許請求の範囲、2頁左上欄11行?右上欄13行、同頁左下欄10行?3頁右上欄12行、同頁左下欄13行?右下欄12行の記載事項からみて、甲1-1には、以下の甲1-1発明が記載されている。
《甲1-1発明》
チーグラー触媒を利用した重合法によって得られる密度0.920?0.945、メルトインデックス0.5以上のエチレン重合体またはエチレンを主体としたエチレンとα-オレフィン類との共重合体類と、高圧重合法によって得られるエチレン重合体との混合樹脂において、密度0.920?0.941、メルトインデックス1.0以上、破断点伸び700%以下の範囲内にある混合樹脂よりなる、包装フィルム。

(b)対比、一致点、相違点
甲1-1発明の「混合樹脂」、「エチレン重合体」は、各々、本件発明1の「樹脂組成物」、「ポリエチレン」に相当するところ、甲1-1発明の「チーグラー触媒を利用した重合法によって得られる密度0.920?0.945、メルトインデックス0.5以上のエチレン重合体またはエチレンを主体としたエチレンとα-オレフィン類との共重合体類と、高圧重合法によって得られるエチレン重合体との混合樹脂」と、本件発明1の「バイオマス由来のエチレンを含むモノマーが重合してなるバイオマス由来のポリエチレンと、化石燃料由来のエチレンを含むモノマーまたは化石燃料由来のエチレンおよびα-オレフィンを含むモノマーが重合してなる化石燃料由来のポリエチレンと、を含んでなる樹脂組成物」は、「ポリエチレンと、エチレンを含むモノマーまたはエチレンおよびα-オレフィンを含むモノマーが重合してなるポリエチレンと、を含んでなる樹脂組成物」という限りにおいて一致する。
そして、本件発明1と甲1-1発明とは、少なくとも以下の《相違点》で、相違する。
《相違点》
「樹脂組成物」が含む「ポリエチレン」及び「エチレンを含むモノマーまたはエチレンおよびα-オレフィンを含むモノマーが重合してなるポリエチレン」が、本件発明1では「バイオマス由来のエチレンを含むモノマーが重合してなるバイオマス由来のポリエチレン」及び「化石燃料由来のエチレンを含むモノマーまたは化石燃料由来のエチレンおよびα-オレフィンを含むモノマーが重合してなる化石燃料由来のポリエチレン」であるのに対し、甲1-1発明では、「高圧重合法によって得られるエチレン重合体」及び「チーグラー触媒を利用した重合法によって得られる密度0.920?0.945、メルトインデックス0.5以上のエチレン重合体またはエチレンを主体としたエチレンとα-オレフィン類との共重合体類」であって、かつ、前記「樹脂組成物」が、本件発明1では「5?50質量%の前記バイオマス由来のポリエチレンと、50?95質量%の前記化石燃料由来のポリエチレンとを含んでなり」、「前記バイオマス由来のエチレンを前記樹脂組成物全体に対して5質量%以上含んでな」るものであるのに対し、甲1-1発明ではバイオマス由来のポリエチレンを含んでなるものではない点。

(c)相違点の判断
甲1-1には、バイオマス由来の材料を用いることを示唆する記載はない。
一方、甲1-2の「・・・CO_(2)(炭酸ガス)の増加による地球温暖化等の問題が明確になってきた・・・ポリエチレン原料を従来の石油系原料から再生可能なサトウキビ(バイオマス系)に置き換えることは、植物の育成時のCO_(2)吸収と燃焼時の排出が同一(カーボンニュートラル)になり、地球上のCO_(2)を増やさないで地球環境にやさしく、また石油資源利用の節約にも貢献する。」(63頁左欄5?末行)、「サトウキビ由来ポリエチレンの製造フローを図1に示す。サトウキビ畑より刈り取ったサトウキビを圧延ローラーで糖液を取り出し、その糖液を加熱濃縮して結晶化する粗糖分(砂糖原料)と残糖液(廃糖蜜)を遠心分離機により分離する。この廃糖蜜を適切な濃度まで水で希釈して酵母菌により発酵させエタノールを作る。次にバイオエタノールを300?400℃に加熱してアルミナ等の触媒により分子内脱水反応させると高い収率でエチレンが生成される。生成物にはエチレン以外に水分、有機酸、一酸化炭素等の不純物が含まれるので、必要な純度までエチレンを精製して、次の工程のポリエチレン重合プラントへ導入する。ポリエチレン重合プラントで重合触媒によりエチレンを高分子化(重合)してポリエチレンを生産する。」(63頁中欄3?21行)、「当社とBraskem社は共同でトリウンフォ工場内の研究開発センターで図2にある試験設備により同等性を評価した。(1)エチレン 試験設備にバイオマス由来エタノールを導入し、出来上がったエチレンの成分分析を行った結果、従来の石油由来エチレンとの品質同等性を確認した。(2)ポリエチレン 試験重合機に石油系エチレンとバイオマスエチレンをそれぞれ投入し、同1条件でポリエチレン重合し、出来上がったポリマーの同等性を検討した。この結果を表1に示す。多少の数値上の差異はあるが、テスト重合機の条件設定に影響されていると考えられ、基本的にはいずれの用途グレードとも石油系、バイオマス系の品質は同等であることが確認できた。」(63頁右欄6?末行)との記載、図1(63頁)、表1(64頁)、表2(64頁)及び図9(66頁)の記載や甲1-3の「本発明による方法によって生成したプロピレン、エチレン及びブチレンは、それらの公知の誘導体を得るために、好ましくはポリプロピレン及びそのコポリマー並びにポリエチレン及びそのコポリマーを生成するために使用することができ、再生可能な天然源からの原料及び残渣のみを使用する本発明の最も好ましい実施形態が適用される場合、その組成が、ASTM D6866-06標準による試験法で決定して、再生可能な天然源からの炭素を100%含むポリマーが得られる。他の補完的な一代替は、中でも、例えばナフサ、天然ガス、石炭、再生プラスチック及び熱電力発生設備からの燃焼ガスなどの合成ガス生成のための非天然(化石)由来の他の原料を使用することにあり、但しASTM D6866-06標準による試験法で決定して、最終生成物(オレフィン及びそれらの公知の誘導体、並びにポリエチレン及びそのコポリマー、ポリプロピレン及びそのコポリマー、並びにPVCなどのポリマー)が、再生可能な天然源からの炭素を少なくとも50%、好ましくは少なくとも80%含む。」(段落【0084】を参照)との記載からみて、甲1-1発明の「ポリエチレン」の全部ないし一部を「バイオマス由来のエチレンを含むモノマーが重合してなるバイオマス由来のポリエチレン」とすることは、当業者が想起し得た事項といえる。
しかし、「樹脂組成物」が含む「ポリエチレン」及び「エチレンを含むモノマーまたはエチレンおよびα-オレフィンを含むモノマーが重合してなるポリエチレン」を、「バイオマス由来のエチレンを含むモノマーが重合してなるバイオマス由来のポリエチレン」及び「化石燃料由来のエチレンを含むモノマーまたは化石燃料由来のエチレンおよびα-オレフィンを含むモノマーが重合してなる化石燃料由来のポリエチレン」とした上で、前記「樹脂組成物」を「5?50質量%の前記バイオマス由来のポリエチレンと、50?95質量%の前記化石燃料由来のポリエチレンとを含んでなり」、「前記バイオマス由来のエチレンを前記樹脂組成物全体に対して5質量%以上含んでな」るものとすること(以下、「特徴的事項」という。)、特に、「樹脂組成物」における「バイオマス由来のポリエチレン」の含有量の上限を「50質量%」とすることは、前記甲1-2及び甲1-3はおろか、甲1-4?甲2-7には記載されていないし、また、これを示唆する記載もない。
そして、上記3.(3)ア.で示したように、本件発明1は、上記「特徴的事項」を発明特定事項とすることにより、「バイオマス由来のエチレンを用いたカーボンニュートラルなポリオレフィンを含む樹脂組成物からなる樹脂フィルムを提供することであって、従来の化石燃料から得られる原料から製造された樹脂フィルムと機械的特性等の物性面で遜色ないポリオレフィン樹脂フィルムを提供する」(段落【0008】を参照)という課題を解決したことが、本件特許明細書の発明の詳細な説明に記載された実施例1により実証されているものである。
したがって、本件発明1は、甲1-1発明及び甲1-1記載事項?甲1-5記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

なお、申立人1は、平成30年9月21日付け意見書において、本件発明1は、甲1-1発明及び甲1-1記載事項?甲1-5記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである旨を主張しているが、甲1-1発明が、上記「特徴的事項」を備えることが容易である具体的理由(特に、前記「樹脂組成物」を「5?50質量%の前記バイオマス由来のポリエチレンと、50?95質量%の前記化石燃料由来のポリエチレンとを含んでなり」、「前記バイオマス由来のエチレンを前記樹脂組成物全体に対して5質量%以上含んでな」るものとすることが容易である具体的理由)を何ら示していないから、上記主張は採用できない。

b.本件発明2?7、9及び10について
本件発明2?7、9及び10は、本件発明1の発明特定事項の全てを発明特定事項とし、さらに、技術的な限定を加える事項を発明特定事項としているところ、上記3.(3)イ.(ア)a.(c)で示した理由と同様の理由により、甲1-1発明及び甲1-1記載事項?甲1-5記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

c.本件発明8、11及び12について
本件発明8、11及び12は、本件発明1の発明特定事項の全てを発明特定事項とし、さらに、本件発明1における「化石燃料由来のエチレンを含むモノマーまたは化石燃料由来のエチレンおよびα-オレフィンを含むモノマーが重合してなる化石燃料由来のポリエチレン」を、「化石燃料由来の直鎖状低密度ポリエチレンと、化石燃料由来の低密度ポリエチレン」とするという、技術的な限定を加える事項を発明特定事項としているところ、上記3.(3)イ.(ア)a.(c)で示した理由と同様の理由により、甲1-1発明及び甲1-1記載事項?甲1-5記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

(イ)理由1-2について
a.本件発明1について
(a)甲2-1発明
甲2-1の【請求項1】(公報24?25頁を参照)、【請求項21】及び【請求項22】(公報27頁を参照)、段落【0001】?【0014】(公報5?7頁を参照)、【0022】?【0028】(公報8?9頁を参照)、【0090】?【0096】及び【表1】(公報16?18頁を参照)の記載事項からみて、甲2-1には、以下の甲2-1発明が記載されている。
《甲2-1発明》
再生可能な天然由来の炭素100%を有するエチレン-ブチレンコポリマーを含んでなり、前記エチレン-ブチレンコポリマーが0.925g/cm^(3)の密度を有する、包装フィルム。

(b)対比、一致点、相違点
甲2-1発明の「エチレン-ブチレンコポリマー」、「包装フィルム」は、各々、本件発明1の「樹脂組成物」及び「バイオマス由来のポリエチレン」、「樹脂フィルム」に相当するところ、本件発明1と甲2-1発明とは、少なくとも以下の《相違点》で、相違する。
《相違点》
「樹脂組成物」が含むものが、本件発明1では「バイオマス由来のエチレンを含むモノマーが重合してなるバイオマス由来のポリエチレン」及び「化石燃料由来のエチレンを含むモノマーまたは化石燃料由来のエチレンおよびα-オレフィンを含むモノマーが重合してなる化石燃料由来のポリエチレン」であって、「5?50質量%の前記バイオマス由来のポリエチレンと、50?95質量%の前記化石燃料由来のポリエチレンとを含んでな」るものであるのに対し、甲2-1発明では、「再生可能な天然由来の炭素100%を有するエチレン-ブチレンコポリマーを含んでな」るものであって、化石燃料由来のポリエチレンを含んでなるものではない点。

(c)相違点の判断
甲2-1発明は、「ASTM D 6866-06の技術規格に記載のアッセイ法によって規定される認定によって再生可能な起源からの炭素100%を含む、完全に再生可能な天然原料から製造されたエチレン-ブチレンコポリマー、コモノマーとしての1-ブチレンを提供すること」であって、「焼却されたときに非化石由来のCO_(2)を発生するというさらなる性質を有」し、「得られる製品は、そのライフサイクルの過程において、化石起源に基づくポリマー材料の燃焼によって通常発生されるいわゆる「温室効果」に対して責任のあるガスの放出の低減に有利に働く」ことを解決すべき課題としているものである(特に、甲2-1の段落【0026】?【0028】を参照)ことを踏まえると、甲2-1発明において、「エチレン-ブチレンコポリマー」の一部を、「化石起源に基づくポリマー材料」に置き換えることには、阻害要因があるというべきである。
したがって、例え、甲2-2に「Bipro-PEは、サトウキビから作られた植物由来PEを原料としている。」(84頁左欄35?36行を参照)、「Bipro-PEは、・・・化学的な構造は従来の石油由来のPEフィルムとまったく同じである。・・・石油由来PEとのブレンドも可能であることから、様々な機能性の付与も可能であり、幅広い用途で使用が可能である。」(84頁中央欄2?13行)等のことが記載されているとしても、甲2-1発明における「エチレン-ブチレンコポリマー」の一部を、「化石起源に基づくポリマー材料」に置き換えること、すなわち、甲2-1発明における「エチレン-ブチレンコポリマー」を「バイオマス由来のエチレンを含むモノマーが重合してなるバイオマス由来のポリエチレン」及び「化石燃料由来のエチレンを含むモノマーまたは化石燃料由来のエチレンおよびα-オレフィンを含むモノマーが重合してなる化石燃料由来のポリエチレン」とした上で、前記「樹脂組成物」を「5?50質量%の前記バイオマス由来のポリエチレンと、50?95質量%の前記化石燃料由来のポリエチレンとを含んでなり」、「前記バイオマス由来のエチレンを前記樹脂組成物全体に対して5質量%以上含んでな」るものとすること(以下、「特徴的事項」という。)は、当業者が容易になし得たこととはいえない。
また、前記特徴的事項は、前記甲2-2はおろか、甲2-3?甲2-7及び甲1-1?甲1-5にも記載されていないし、また、これを示唆する記載もないから、これらの甲号証は、上記阻害要因がある甲2-1発明において、「エチレン-ブチレンコポリマー」の一部を、「化石起源に基づくポリマー材料」に置き換えることを想起させるものではない。
そして、上記3.(3)ア.で示したように、本件発明1は、上記「特徴的事項」を発明特定事項とすることにより、「バイオマス由来のエチレンを用いたカーボンニュートラルなポリオレフィンを含む樹脂組成物からなる樹脂フィルムを提供することであって、従来の化石燃料から得られる原料から製造された樹脂フィルムと機械的特性等の物性面で遜色ないポリオレフィン樹脂フィルムを提供する」(段落【0008】を参照)という課題を解決したことが、本件特許明細書の発明の詳細な説明に記載された実施例1により実証されているものである。
したがって、本件発明1は、甲2-1発明及び甲2-1記載事項?甲2-7記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

b.本件発明2?7、9及び10について
本件発明2?7、9及び10は、本件発明1の発明特定事項の全てを発明特定事項とし、さらに、技術的な限定を加える事項を発明特定事項としているところ、上記3.(3)イ.(イ)a.(c)で示した理由と同様の理由により、甲2-1発明及び甲2-1記載事項?甲2-7記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものともいえない。

c.本件発明8、11及び12について
本件発明8、11及び12は、本件発明1の発明特定事項の全てを発明特定事項とし、さらに、本件発明1における「化石燃料由来のエチレンを含むモノマーまたは化石燃料由来のエチレンおよびα-オレフィンを含むモノマーが重合してなる化石燃料由来のポリエチレン」を、「化石燃料由来の直鎖状低密度ポリエチレンと、化石燃料由来の低密度ポリエチレン」とするという、技術的な限定を加える事項を発明特定事項としているところ、上記3.(3)イ.(イ)a.(c)で示した理由と同様の理由により、甲2-1発明及び甲2-1記載事項?甲2-7記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものともいえない。

(ウ)まとめ
以上のとおりであるから、理由1(理由1-1及び理由1-2)によって、本件発明1?12に係る特許を取り消すことはできない。

(4)小括
以上のとおり、本件発明1?12に係る特許は、特許法第29条第2項第36条第4項第1号及び同条第6項第1号の規定に違反してされたものではないから、同法第113条第2号又は第4号の規定に該当することを理由に取り消されるべきものとすることはできない。

4.むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由によっては、本件発明1?12に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件発明1?12に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
したがって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイオマス由来のエチレンを含むモノマーが重合してなるバイオマス由来のポリエチレンと、化石燃料由来のエチレンを含むモノマーまたは化石燃料由来のエチレンおよびα-オレフィンを含むモノマーが重合してなる化石燃料由来のポリエチレンと、を含んでなる樹脂組成物からなる樹脂フィルムを備えるラミネートチューブであって、
前記樹脂組成物が、5?50質量%の前記バイオマス由来のポリエチレンと、50?95質量%の前記化石燃料由来のポリエチレンとを含んでなり、
前記樹脂組成物が、前記バイオマス由来のエチレンを前記樹脂組成物全体に対して5質量%以上含んでなり、前記樹脂組成物が、0.91?0.96g/cm^(3)の密度を有する、ラミネートチューブ。
【請求項2】
前記樹脂組成物が、1?30g/10分のメルトフローレートを有する、請求項1に記載のラミネートチューブ。
【請求項3】
前記樹脂組成物が、前記バイオマス由来のエチレンを、前記樹脂組成物全体に対して5?95質量%含んでなる、請求項1または2に記載のラミネートチューブ。
【請求項4】
前記バイオマス由来のエチレンを含むモノマーが、化石燃料由来のエチレンおよび/またはα-オレフィンをさらに含む、請求項1?3のいずれか一項に記載のラミネートチューブ。
【請求項5】
前記バイオマス由来のエチレンを含むモノマーが、バイオマス由来のα-オレフィンをさらに含む、請求項1?3のいずれか一項に記載のラミネートチューブ。
【請求項6】
前記樹脂組成物が、25?50質量%の前記バイオマス由来のポリエチレンと、50?75質量%の前記化石燃料由来のポリエチレンとを含んでなる、請求項1?5のいずれか一項に記載のラミネートチューブ。
【請求項7】
前記α-オレフィンが、ブチレン、ヘキセン、またはオクテンである、請求項1?6のいずれか一項に記載のラミネートチューブ。
【請求項8】
バイオマス由来のエチレンを含むモノマーが重合してなるバイオマス由来のポリエチレンと、化石燃料由来の直鎖状低密度ポリエチレンと、化石燃料由来の低密度ポリエチレンと、を含んでなる樹脂組成物からなる樹脂フィルムを備えるラミネートチューブであって、
前記樹脂組成物が、5?50質量%の前記バイオマス由来のポリエチレンと、50?95質量%の前記化石燃料由来のポリエチレンとを含んでなり、
前記樹脂組成物が、前記バイオマス由来のエチレンを前記樹脂組成物全体に対して5質量%以上含んでなり、前記樹脂組成物が、0.91?0.96g/cm^(3)の密度を有する、ラミネートチューブ。
【請求項9】
請求項1?7のいずれか一項に記載のラミネートチューブの製造方法であって、
前記樹脂組成物を押出成形することを特徴とする、製造方法。
【請求項10】
前記押出成形が、Tダイ法またはインフレーション法により行われる、請求項9に記載の製造方法。
【請求項11】
請求項8に記載のラミネートチューブの製造方法であって、
前記樹脂組成物を押出成形することを特徴とする、製造方法。
【請求項12】
前記押出成形が、Tダイ法またはインフレーション法により行われる、請求項11に記載の製造方法。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2018-12-14 
出願番号 特願2016-166061(P2016-166061)
審決分類 P 1 651・ 537- YAA (B65D)
P 1 651・ 536- YAA (B65D)
P 1 651・ 121- YAA (B65D)
最終処分 維持  
前審関与審査官 小川 悟史  
特許庁審判長 千壽 哲郎
特許庁審判官 渡邊 豊英
蓮井 雅之
登録日 2017-08-10 
登録番号 特許第6187657号(P6187657)
権利者 大日本印刷株式会社
発明の名称 ポリオレフィン樹脂フィルム  
代理人 小島 一真  
代理人 佐藤 泰和  
代理人 永井 浩之  
代理人 浅野 真理  
代理人 浅野 真理  
代理人 小島 一真  
代理人 佐藤 泰和  
代理人 中村 行孝  
代理人 朝倉 悟  
代理人 朝倉 悟  
代理人 中村 行孝  
代理人 永井 浩之  

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