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審決分類 |
審判 全部申し立て 3項(134条5項)特許請求の範囲の実質的拡張 F21V 審判 全部申し立て 2項進歩性 F21V 審判 全部申し立て 特許請求の範囲の実質的変更 F21V 審判 全部申し立て ただし書き1号特許請求の範囲の減縮 F21V |
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管理番号 | 1349671 |
異議申立番号 | 異議2017-701007 |
総通号数 | 232 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 2019-04-26 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2017-10-24 |
確定日 | 2019-01-21 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第6119016号発明「表示・回転灯」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第6119016号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。 特許第6119016号の請求項1に係る特許を維持する。 |
理由 |
第1 手続の経緯 特許第6119016号の請求項1に係る特許についての出願は、平成24年11月30日に特許出願され、平成29年4月7日に特許権の設定登録がされ、同年4月26日に特許掲載公報が発行された。その後、同年10月24日に特許異議申立人松田 亘弘(以下「異議申立人」という。)により特許異議の申立てがされ、平成30年1月24日付けで取消理由が通知され、同年3月12日付けで訂正請求書及び意見書が提出され、同年4月27日付けで訂正拒絶理由が通知され、同年5月28日付けで手続補正書及び意見書が提出され、同年6月14日付けで異議申立人に対し訂正請求があった旨の通知(特許法第120条の5第5項)を行ったが、その指定期間内に意見書の提出はなく、同年8月21日付けで取消理由(決定の予告)が通知され、同年10月16日付けで訂正請求書及び意見書が提出され、同年10月26日付けで異議申立人に対し訂正請求があった旨の通知(同法第120条の5第5項)を行ったが、その指定期間内に意見書の提出はなかった。 第2 訂正の適否についての判断 1 訂正の内容 平成30年10月16日にされた訂正請求(以下「本件訂正請求」という。)の趣旨は、本件特許第6119016号の願書に添付した特許請求の範囲を、訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1について訂正することを求めるものであり、その訂正は、以下のとおりである(下線部は訂正箇所を示す。)。 なお、特許法第120条の5第7項の規定により、平成30年3月12日にされた訂正請求は取り下げられたものとみなす。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に 「一筐体内の平面上に複数の光源を配置し、光を遮断する仕切板で複数のブロックに前記光源を分け、 前記仕切板は前記お椀型カバーの内径に沿った形状とし、」 と記載されているのを、 「一筐体内の平面上に複数の光源を配置し、光を遮断する仕切板で複数のブロックに前記光源を分け、 前記仕切板は前記お椀型カバーの内径に沿った形状とし、 前記お椀型カバーは前記仕切板と接触して各前記ブロックの光が隣のブロックに漏れないようにし、」 に訂正する。 2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否 (1)訂正事項1について 訂正事項1は、訂正前の請求項1において「お椀型カバー」と「仕切板」との関係をさらに限定するものであって、特許請求の範囲の減縮を目的としたものであり、願書に添付した明細書の段落【0009】に「お椀型カバー7は本体4を覆った時に仕切板6と接触して各前記ブロックの光が隣のブロックに漏れないようにする。」と記載されていることより、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 (2)小括 上記のとおり、本件訂正請求による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 したがって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。 第3 訂正後の本件発明 本件訂正請求により訂正された請求項1に係る発明(以下「本件発明」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。 「【請求項1】 光を透過する材料を用いたお椀型カバーで覆われている表示機器において、 一筐体内の平面上に複数の光源を配置し、光を遮断する仕切板で複数のブロックに前記光源を分け、 前記仕切板は前記お椀型カバーの内径に沿った形状とし、 前記お椀型カバーは前記仕切板と接触して各前記ブロックの光が隣のブロックに漏れないようにし、 前記ブロック毎にそれぞれ光らせた場合の明るさを同一にしておき、 前記ブロック毎に順次点灯させることで回転灯とし、全ての前記ブロックを点灯させることで全体を表示する表示灯とする表示機器。」 第4 取消理由通知(決定の予告)で通知した取消理由について (1)取消理由通知の概要 当審が特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。 ア 平成30年5月28日に提出された手続補正書は、平成30年3月12日に提出された訂正請求書の請求の理由の欄と訂正明細書と訂正特許請求の範囲を補正するものであるが、訂正請求書の要旨を変更するものであるから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第131条の2第1項の規定により、当該補正は認められない。 イ 平成30年3月12日にされた訂正請求による訂正は、特許法第120条の5第2項第1号ないし第4号に掲げる事項を目的としないものであるし、また、同法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものでもないので、当該訂正は認められない。 ウ 取消理由については以下のとおりである。 本件特許の請求項1に係る発明は、本件特許の出願前日本国内または外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消されるべきものである。 記 引用文献1:登録実用新案第3150282号公報 (異議申立人が提出した甲第1号証) 引用文献2:特開2012-161500号公報(同甲第2号証) 引用文献3:特開2008-203385号公報(同甲第8号証) なお、引用文献3は、本件発明の「全ての前記ブロックを点灯させる」という事項に関し、光源が「点灯したまま」であって、後述する引用発明の「点滅」とは異なると解釈した場合について、予備的に示したものである。 (2)引用文献の記載事項並びに記載された発明及び技術的事項 ア 引用文献1について (ア)記載事項 取消理由で通知した引用文献1には、次の事項が記載されている。 a 「【実用新案登録請求の範囲】 【請求項1】 押下位置(2a)又はこの押下位置(2a)を取り囲んだ外周部(2b)を透光領域とさせて形成されたボタン部材(2)と、 このボタン部材(2)を押下状態と突出状態との間で移動自在に収納すると共に突出状態を常態として保持可能にするケーシング(3)と、 このケーシング(3)に対してボタン部材(2)が押下状態にされたことを検出してボタン部材(2)の内側から当該ボタン部材(2)の外側へ向けて照射を開始する照射手段(4)と、 ボタン部材(2)が押下によって移動動作を起こすときの移動軌跡まわりで上記照射手段(4)の一部又は全部を照射状態のまま回転させる照射光回転手段(5)とを有している ことを特徴とする押しボタン装置。」 b 「【0016】 ボタン部材2は、透明プラスチック等の透明素材によって半球ドーム形に形成されたもので、ドームの中央頂部を下方へ(ケーシング3へ向けて)押下するように促す形状となっている。このように透明素材によって形成されていることで、ボタン部材2は、押下位置(ドームの中央頂部)2aやこの押下位置2aを取り囲む外周部2bなどを含んだその全面が、透光領域として形成されたものである。 このボタン部材2には、外周部2b(ドームまわり)を下方へ延長させる袴部材10が連結されている。この袴部材10には、下端外周部の対向2位置で下方へ突出する抜止フック11が設けられていると共に、これら抜止フック11とは周方向に90°位置ズレした部分で下方突出する検出端12が設けられている(図3参照)。」 c 「【0027】 ・・・ [第3実施形態] 図5及び図6は、本考案に係る押しボタン装置1の第3実施形態を示している。本第3実施形態の押しボタン装置1も、上記第2実施形態(図4参照)と同様に、照射手段4が光源支持部材40を有していると共に、この光源支持部材40によって周方向に複数の光源20を保持したものとなっている。但し、この光源支持部材40は円錐台形ではなく、円板状に形成されている。 【0028】 また照射光回転手段5(図示は省略してある)は、光源支持部材40を回転駆動させるものではなく、複数の光源20に対して光源支持部材40の周方向に沿って順番に点灯と消灯とを行わせる発光制御回路を有したものとなっている。 各光源20にはチップLED(超小型のLED)を採用してある。また各光源20は、光源支持部材40に対し、その径方向外方(すなわち、回転の中心軸に直交した方向)へ照射光を発せられるように起立状態で設けてある。なお、光源支持部材40に対して平置き状態となるように光源20を設けて、光源20からの照射光が、回転の中心軸に平行するように(上方へ)発せられるようにすることも当然に可能である。 【0029】 なお、このように照射光回転手段5は、発光制御回路によって光源20の点灯と消灯とを制御する構成であるから、例えば光源20の点灯と消灯が1回転乃至数回転した後、全ての光源20を一斉に点滅させるような発光パターンに制御することも、自由に、また簡単に採用できるものである。 その他、ボタン部2を押下する構造や、押しボタン装置1としての使用方法、汎用性、及び作用効果などについては、第1、第2実施形態と基本的に同じであるので、ここでの詳説は省略する。 ・・・」 (イ)記載された発明 上記(ア)の記載事項及び【図5】、【図6】の記載からみて、引用文献1には、次の発明(特に「第3実施形態」に対応。以下「引用発明」という。)が記載されているものと認める。 「押下位置2a又はこの押下位置2aを取り囲んだ外周部2bを透光領域とさせて形成された透明素材によって半球ドーム形に形成されたボタン部材2を有する押しボタン装置1において、 このボタン部材2を押下状態と突出状態との間で移動自在に収納すると共に突出状態を常態として保持可能にするケーシング3と、 このケーシング3に対してボタン部材2が押下状態にされたことを検出してボタン部材2の内側から当該ボタン部材2の外側へ向けて照射を開始する照射手段4と、 前記照射手段4が円板状に形成された光源支持部材40を有していると共に、この光源支持部材40によって周方向に複数の光源20を保持し、 ボタン部材2が押下によって移動動作を起こすときの移動軌跡まわりで前記照射手段4の一部又は全部を照射状態のまま回転させる照射光回転手段5とを有し、 前記照射光回転手段5は、発光制御回路によって光源20の点灯と消灯とを制御する構成であり、光源20の点灯と消灯が1回転乃至数回転した後、全ての光源20を一斉に点滅させるような発光パターンに制御される 押しボタン装置1。」 イ 引用文献2について (ア)記載事項 取消理由で通知した引用文献2には次の事項が記載されている。 a 「【0030】 擬似回転灯60は、図5に示すように、大きく分けて、ベース61と、ベース61を覆うレンズ62と、ベース61及びレンズ62の間に収納設置される発光体基板70とから構成されている。 ベース61は、図5に示すように、円筒状のベース円筒部61Aに連続して形成された半球状のベース球面部61Bを備え、図8に示すように、円筒軸に沿った断面が略U字型に形成されたカップ型の非透光性部材である。前記ベース円筒部61Aの端部には、側方に張り出すフランジ部63が形成されており、ベース61は、フランジ部63を上側にしてスロットマシンSに設置される。前記ベース球面部61Bの頂点(スロットマシンSに設置したときのベース61の下端部)であるベース中央部61Cには、ベース61の内部空間と連通する長方形の開口部64が形成されている。開口部64は、後述する発光体基板70に設けられた基板コネクタ80をベース61の内部空間に露出させるためのものである。また、前記フランジ部63の下面には、図5及び図7に示すように、発光体基板70の脚部72を保持するための保持フック63Aが、ベース円筒部61Aの外周に沿って等間隔に7つ設けられている。」 【0031】 レンズ62は、図5に示すように、円筒状のレンズ円筒部62Aに連続して形成された半球状のレンズ球面部62Bを備え、図8に示すように、円筒軸に沿った断面が略U字型に形成されたカップ型の透光性部材である。また、レンズ62の筒内側には、図6に示すように、中心側に突出する7枚の仕切り板65が等間隔に形成されている。仕切り板65は、レンズ円筒部62Aの筒内面からレンズ球面部62Bの球内面に連続して設けられ、レンズ円筒部62Aの筒内面においては円筒軸方向に沿って形成されているとともに、レンズ球面部62Bの球内面においては、レンズ球面部62Bの頂点(スロットマシンSに設置したときのレンズ62の下端部)であるレンズ中央部63Cを除き、球面に沿って中心方向に湾曲して形成されている。」 【0032】 レンズ62は、ベース61をその内部空間に収納可能に形成されており、ベース61を収納したときには、図7及び図8に示すように、ベース61の外周面と、レンズ62の内周面との間に、一定間隔の間隙Pが形成される。そして、前記仕切り板65の突出長さは、前記間隙Pとほぼ同一に(実際にはやや短く)形成されている。 発光体基板70は、屈曲性を有するフレキシブル基板であって、図5及び図6に示すように、平板状の中央板部71と、7本の脚部72とを備えている。なお、脚部72は7本に限られず、6本以下でも8本以上でもよい。この脚部72には、それぞれ7個のLED73(赤色LED)が、脚部72の長さ方向に縦列配置されている。なお、LED73は7個に限られず、6個以下でも8個以上でもよい。」 b 「【0036】 次に、発光体基板70と一体化されたベース61をレンズ62の内部に収納する。このとき、発光体基板70の各脚部72が仕切り板65の間に位置し、かつネジボス67Aとネジボス67B、及びピン68Aとボス68Cが合致するように配置する。そして、ピン68Aをボス68Cのボス孔に挿入させ、ネジボス67Bをネジボス67Aに嵌入させた状態で、ネジボス67Aのネジ孔にネジ69をねじ込むことにより、図8に示すように、ベース61及びレンズ62が発光体基板70を挟み込んだ状態で固定される。なお、ネジボス67B及びネジボス67Aがスペーサーの役割を果たし、ベース中央部61Cとレンズ中央部62Cの間にも一定の間隔が保持される。 ベース61、レンズ62、発光体基板70が組み立てられた状態では、図8に示すように、発光体基板70の中央板部71は、ベース中央部61Cとレンズ中央部62Cの間に位置し、発光体基板70の脚部72は、保持フック63Aに保持されて、ベース61とレンズ62の隙間Pの間で湾曲形状を維持している。保持フック63Aの保持がなくなった(保持フック63Aが外れた)場合でも、フレキシブル基板の形状維持力により湾曲形状を維持可能であり、形状維持力が重力に抗えなくなっても、少なくともレンズ62の内面に沿った湾曲形状を維持することができる。また、仕切り板65は、間隙Pとほぼ同一の突出長さを有しているので、LED73の照射光が周囲に拡散するのを防止できる。」 c 「【0043】 また、上記した実施の形態では、仕切り板65をレンズ62に設けてあったので透光性を有するものとなっていたが、仕切り板65を非透光性部材で形成してもよい。あるいは、仕切り板65をベース61に設け、仕切り板65を非透光性部材としてもよい。透光性部材の仕切り板65をベース61に設けてもよいが、非透光性部材とするのが好適である。 また、上記した実施の形態では、LED73は脚部72にのみ設けられていたが、LED73を中央板部71に設けてもよい。例えば、擬似回転灯60が、円筒軸を後側から手前側に傾斜させて設置されている場合には、レンズ62の下端部(レンズ中央部62C)が正面側から視認可能となるため、中央板部71にLED73を設けることにより演出表示の態様をさらに増やすことができる。また、LED73としては、単価の安い赤色LEDを大量に使用して繊細な発光表示を行わせてもよいし、フルカラーLEDを用いて、様々な発光色による発光表示を実現させるのもよい。」 (イ)記載された技術的事項 上記(ア)の記載事項及び【図5】の記載からみて、引用文献2には、次の技術的事項(特に段落【0043】の変形例に対応。以下「引用文献2技術」という。)が記載されているものと認める。 「カップ型の非透光性部材であるベース61と、前記ベース61とを覆うカップ型の透光性部材であるレンズ62と、前記ベース61及び前記レンズ62の間に収納設置され、その脚部72にLED73が脚部72の長さ方向に縦列配置された発光体基板70と、から構成される疑似回転灯60において、 非透光性部材からなりLED73の照射光を周囲に拡散するのを防止する仕切り板65を前記ベース61に設けた 疑似回転灯60。」 (3)対比・判断 ア 対比 本件発明と引用発明を対比する。 (ア)後者の「光源20」は、前者の「光源」に相当する。 (イ)後者の「押しボタン装置1」は、「光源20と点灯と消灯が1回転乃至数回転した後、全ての光源20を一斉に点滅させるような発光パターン」に制御するものであり、「光源20」の点灯消灯により表示する機能を有しているといえるので、その意味では、「表示機器」といい得るものである。そして、後者の「半球ドーム形」は「お椀形」といい得るものであるので、後者の「透明素材によって半球ドーム形に形成されたボタン部材2」は、前者の「光を透過する材料を用いたお椀型カバー」に相当するといえる。 そうすると、後者の「押下位置2a又はこの押下位置2aを取り囲んだ外周部2bを透光領域とさせて形成された透明素材によって半球ドーム形に形成されたボタン部材2を有する押しボタン装置1」は、前者の「光を透過する材料を用いたお椀型カバーで覆われている表示機器」に相当するといえる。 (ウ)前者の「一筐体内」ということについて検討するに、筐体とは、「機器をおさめているはこ。」[株式会社岩波書店 広辞苑第六版]を意味する用語であるが、本件特許図面の【図3】を参酌するに、「光源5」が配置される「平面」は、「カバー7」により覆われる「本体4」の上面であることが把握できることから、前者の「筐体」とは「本体4」と「カバー7」により構成されるものを意図していると解される。そうすると、後者の「ボタン部材2」と「ケーシング3」とにより構成されるものが、前者の「筐体」に相当し、それは一つであることが明らかである。そして、後者の「円板状に形成された光源支持部材40」は、平板の形状をなし、「ボタン部材2」と「ケーシング3」により構成されるものの内部にあることも明らかである。 以上のことを踏まえると、後者の「このボタン部材2を押下状態と突出状態との間で移動自在に収納すると共に突出状態を常態として保持可能にするケーシング3と、このケーシング3に対してボタン部材2が押下状態にされたことを検出してボタン部材2の内側から当該ボタン部材2の外側へ向けて照射を開始する照射手段4と、前記照射手段4が円板状に形成された光源支持部材40を有していると共に、この光源支持部材40によって周方向に複数の光源20を保持し」は、前者の「一筐体内の平面上に複数の光源を配置し」に相当するといえる。 (エ)後者の「全ての光源20を一斉に点滅させる」状態は、「光源20の点灯と消灯が1回転乃至数回転」する状態とは異なる表示機能を有することは明らかといえる。また、後者の「点滅」について、少なくとも点灯する状態を含むことは明らかといえる。 そうすると、後者の「ボタン部材2が押下によって移動動作を起こすときの移動軌跡まわりで前記照射手段4の一部又は全部を照射状態のまま回転させる照射光回転手段5とを有し、前記照射光回転手段5は、発光制御回路によって光源20の点灯と消灯とを制御する構成であり、光源20の点灯と消灯が1回転乃至数回転した後、全ての光源20を一斉に点滅させるような発光パターンに制御される」ことと、後者の「前記ブロック毎に順次点灯させることで回転灯とし、全ての前記ブロックを点灯させることで全体を表示する表示灯とする」こととは、「順次点灯させることで回転灯とし、全てを点灯させることで全体を表示する表示灯とする」ことの限度で一致するといえる。 (オ)したがって、両者の一致点、相違点は次のとおりと認める。 [一致点] 「光を透過する材料を用いたお椀型カバーで覆われている表示機器において、 一筐体内の平面上に複数の光源を配置し、 順次点灯させることで回転灯とし、全てを点灯させることで全体を表示する表示灯とする表示機器。」 [相違点] 「光源」に関し、本件発明が、「光を遮断する仕切板で複数のブロックに前記光源を分け、前記仕切板は前記お椀型カバーの内径に沿った形状とし、前記お椀型カバーは前記仕切板と接触して各前記ブロックの光が隣のブロックに漏れないようにし、前記ブロック毎にそれぞれ光らせた場合の明るさを同一にしておき」というものであり、回転灯が「前記ブロック毎に順次点灯させる」ものであり、表示灯が「全ての前記ブロックを点灯させる」ものであるのに対し、引用発明は、仕切板及びブロックに係る事項を有していない点。 イ 判断 上記相違点について検討する。 引用文献2技術の「LED73」は、「仕切り板65」の間の「脚部72」毎に縦列配置されるものである。また、この「仕切り板65」は、認定した引用文献2技術の前提となる【図5】に係る実施の形態や、仕切り板としての「LED73の照射光を周囲に拡散するのを防止する」という機能を考慮すれば、「レンズ62」の内径に沿った形状であることは当業者にとって自明であるといえる。 しかしながら、引用発明は、「このボタン部材2を押下状態と突出状態との間で移動自在に収納すると共に突出状態を常態として保持可能にするケーシング3と、このケーシング3に対してボタン部材2が押下状態にされたことを検出してボタン部材2の内側から当該ボタン部材2の外側へ向けて照射を開始する照射手段4と」を有するものであるから、「ボタン部材2」を押下状態と突出状態との間で移動自在とするための可動領域が必要なものである。 そして、引用発明に引用文献2技術を適用し、その際に、本件発明の「前記お椀型カバーは前記仕切板と接触して各前記ブロックの光が隣のブロックに漏れないようにし」たという事項を有するものとしたのであれば、「ボタン部材」が「仕切板」に接触するため押下状態と突出状態との間で移動自在とならないものになり、「ボタン部材」として機能しないものとなってしまう。 したがって、引用発明において、上記相違点に係る本件発明の事項を有するものとすることは、当業者であっても容易に想到し得たとはいえない。 よって、本件発明は、引用発明及び引用文献2技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 第5 むすび 以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由によっては、請求項1に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に請求項1に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 光を透過する材料を用いたお椀型カバーで覆われている表示機器において、 一筐体内の平面上に複数の光源を配置し、光を遮断する仕切板で複数のブロックに前記光源を分け、 前記仕切板は前記お椀型カバーの内径に沿った形状とし、 前記お椀型カバーは前記仕切板と接触して各前記ブロックの光が隣のブロックに漏れないようにし、 前記ブロック毎にそれぞれ光らせた場合の明るさを同一にしておき、 前記ブロック毎に順次点灯させることで回転灯とし、全ての前記ブロックを点灯させることで全体を表示する表示灯とする表示機器。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
異議決定日 | 2019-01-07 |
出願番号 | 特願2012-262243(P2012-262243) |
審決分類 |
P
1
651・
855-
YAA
(F21V)
P 1 651・ 121- YAA (F21V) P 1 651・ 851- YAA (F21V) P 1 651・ 854- YAA (F21V) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 竹中 辰利 |
特許庁審判長 |
氏原 康宏 |
特許庁審判官 |
一ノ瀬 覚 出口 昌哉 |
登録日 | 2017-04-07 |
登録番号 | 特許第6119016号(P6119016) |
権利者 | 竹中エンジニアリング株式会社 |
発明の名称 | 表示・回転灯 |