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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H01L
管理番号 1350205
審判番号 不服2018-2342  
総通号数 233 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-05-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-02-19 
確定日 2019-04-10 
事件の表示 特願2014-261098「樹脂成形装置及び樹脂成形方法」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 7月 7日出願公開,特開2016-122712,請求項の数(10)〕について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は,特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は,平成26年12月24日の出願であって,その手続の経緯は以下のとおりである。
平成29年 5月31日付け 拒絶理由通知
平成29年 7月 7日 意見書提出・手続補正
平成29年12月11日付け 拒絶査定(以下,「原査定」という。)
平成30年 2月19日 審判請求・手続補正
平成30年11月20日付け 拒絶理由通知(以下,「当審拒絶理由通知」という。)
平成31年 1月16日 意見書提出・手続補正

第2 本願発明
本願請求項1-10に係る発明(以下,それぞれ「本願発明1」-「本願発明10」という。)は,平成31年1月16日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-10に記載された事項により特定される発明であり,本願発明1-本願発明10は以下のとおりの発明である。
「 【請求項1】
上型と,該上型に相対向して設けられた下型と,少なくとも前記下型に設けられた枠部材と,少なくとも前記下型に設けられ前記枠部材の内側において前記枠部材に対して相対的に昇降可能な底面部材と,前記枠部材と前記底面部材とによって囲まれた空間からなるキャビティと,前記キャビティに樹脂材料を供給する樹脂材料供給機構と,主面に電子部品が装着された基板を前記下型と前記上型との間に搬送する基板搬送機構と,前記枠部材を昇降させる第1の駆動機構と,前記底面部材を昇降させる第2の駆動機構とを備えた樹脂成形装置であって,
前記枠部材又は前記底面部材に設けられた基板押さえ部材である基板押さえピンと,
前記基板押さえピンに設けられた先端部と,
前記先端部に設けられ,前記基板の前記主面に設けられた所定の領域に形成された穴に入り込むような形状を有するテーパ部と,
前記テーパ部に設けられたテーパ面と,
前記テーパ面に形成されたエンジニアリングプラスチックの膜とを備え,
前記第1の駆動機構又は前記第2の駆動機構を用いて前記基板押さえピンを上昇させて前記テーパ部を前記穴内に挿入することによって前記エンジニアリングプラスチックの膜を前記穴の縁に密着させて押圧し,
前記枠部材と前記底面部材とを上昇させて前記上型と前記下型とが型締めされることによって前記エンジニアリングプラスチックの膜が前記穴の縁に密着されて押圧された状態において,前記キャビティにおいて前記樹脂材料から生成された流動性樹脂の中に前記電子部品が浸漬するとともに前記流動性樹脂が前記穴の周囲から前記穴の中に入り込むことが防止され,前記流動性樹脂が硬化して形成された硬化樹脂によって,前記穴の内側面を前記硬化樹脂から露出させて前記電子部品が樹脂封止されることを特徴とする樹脂成形装置。
【請求項2】
請求項1に記載された樹脂成形装置において,
前記上型と前記下型とが型開きされた状態において,前記基板押さえピンの前記先端部が前記枠部材の上面より高く形成されていることを特徴とする樹脂成形装置。
【請求項3】
請求項1に記載された樹脂成形装置において,
前記基板押さえピンを支持する弾性体を備えることを特徴とする樹脂成形装置。
【請求項4】
請求項1に記載された樹脂成形装置において,
1又は複数の前記基板押さえピンと,
1又は複数の前記基板押さえピンが取り付けられた取付板と,
前記取付板を支持する1又は複数の弾性体とを備えることを特徴とする樹脂成形装置。
【請求項5】
請求項1?4のいずれか1つに記載された樹脂成形装置において,
前記上型と前記下型とを型締めする型締め機構を有する少なくとも1個の成形モジュールと,
前記1個の成形モジュールに前記樹脂材料を供給する樹脂材料供給モジュールとを備え,
前記樹脂材料供給モジュールと前記1個の成形モジュールとが着脱可能であり,前記1個の成形モジュールが他の成形モジュールに対して着脱可能であることを特徴とする樹脂成形装置。
【請求項6】
主面に電子部品が装着された基板を上型と該上型に相対向する下型との間に配置する工程と,少なくとも前記下型に含まれる枠部材と底面部材とによって囲まれた空間からなるキャビティに樹脂材料を供給する工程と,第1の駆動機構によって前記枠部材を昇降させる工程と,前記枠部材内において第2の駆動機構によって前記底面部材を昇降させる工程とを備えた樹脂成形方法であって,
前記枠部材又は前記底面部材に設けられ先端部を有する基板押さえ部材である基板押さえピンを上昇させる工程と,
前記基板の所定の領域に形成された穴に入り込むような形状を有し前記先端部に設けられたテーパ部を前記穴内に挿入することによって,前記テーパ部のテーパ面に形成されたエンジニアリングプラスチックの膜を前記穴の縁に密着させて押圧する工程と,
前記枠部材を上昇させることにより前記枠部材によって前記基板の周縁部を押圧する工程と,
前記キャビティ内において前記樹脂材料から流動性樹脂を生成する工程と,
前記底面部材を上昇させることによって,前記エンジニアリングプラスチックの膜を前記穴の縁に密着させて押圧する状態において前記流動性樹脂に前記電子部品を浸漬させる工程と,
前記流動性樹脂を硬化させて硬化樹脂を形成する工程とを備え,
前記硬化樹脂を形成する工程では,前記エンジニアリングプラスチックの膜を前記穴の縁に密着させて押圧することによって前記流動性樹脂が前記穴の周囲から前記穴の中に入り込むことを防止して前記穴の内側面を前記硬化樹脂から露出させ,前記基板の主面において前記穴以外の領域において硬化した前記硬化樹脂によって前記電子部品を樹脂封止することを特徴とする樹脂成形方法。
【請求項7】
請求項6に記載された樹脂成形方法において,
前記樹脂材料を供給する工程においては,前記基板押さえピンの前記先端部が前記枠部材の上面よりも高く位置することを特徴とする樹脂成形方法。
【請求項8】
請求項6に記載された樹脂成形方法において,
前記押圧する工程においては,弾性体によって支持された前記基板押さえピンを使用することを特徴とする樹脂成形方法。
【請求項9】
請求項6に記載された樹脂成形方法において,
前記押圧する工程においては,1又は複数の前記弾性体によって支持された取付板に取り付けられた1又は複数の前記基板押さえピンを使用することを特徴とする樹脂成形方法。
【請求項10】
請求項6?9のいずれか1つに記載された樹脂成形方法において,
前記上型と前記下型とを型締めする型締め機構を有する少なくとも1個の成形モジュールを準備する工程と,
前記1個の成形モジュールに前記樹脂材料を供給する樹脂材料供給モジュールを準備する工程とを備え,
前記樹脂材料供給モジュールと前記1個の成形モジュールとが着脱可能であり,
前記1個の成形モジュールが他の成形モジュールに対して着脱可能であることを特徴とする樹脂成形方法。」

第3 引用文献及び引用発明
1 引用文献1について
(1)引用文献1の記載
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1(特開2013-158943号公報)には,図面とともに次の事項が記載されている。(下線は当審で付加した。以下同じ。)
「【技術分野】
【0001】
本発明は,半導体基板上に装着した所要数個のLEDチップ(半導体チップ)を透明樹脂材料にて封止成形するものに関し,特に,該基板のLEDチップ装着面における所定の部位に樹脂バリが付着するのを効率良く防止することができるように改善したLEDチップの圧縮樹脂封止成形方法と,この方法を実施するための装置に関する。」

「【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は,半導体基板の表面(LEDチップ装着面)側にパッド等の電気的接続部位や止着具の挿通用孔部等を開設した樹脂接触不可エリアを有する構造の半導体基板を樹脂封止成形することができる圧縮樹脂封止成形方法と,この方法を実施するための圧縮樹脂封止成形装置を提供することを目的とする。」

「【発明を実施するための形態】
【0023】
以下,図1乃至図5に示す本発明の第一実施例について説明する。
【実施例1】
【0024】
図1には,本発明方法に用いる樹脂封止前基板1を例示している。
この樹脂封止前基板1には製品として個々に切断分離する多数個の製品構成単位(最小分割単位)1aを形成している。
また,樹脂封止前基板1における各製品構成単位1aの表面に所要数個(図例では,3個)のLEDチップ(半導体チップ)2を装着しており,このLEDチップ装着部位はLEDチップ2を樹脂封止成形するための樹脂成形エリアAとして設定している。
更に,該各製品構成単位1aの表面にパッド等の電気的接続部位3や止着具の挿通用孔部4等を開設しており,これらの部位においては樹脂成形時に透明樹脂材料の一部が付着して樹脂バリを形成することがないように設定する必要がある。
従って,これらの部位においては樹脂成形時において透明樹脂材料が接触するのを防止するための,所謂,樹脂接触不可エリアBとして設定している。
【0025】
図2には,本発明方法を実施するために用いられる圧縮樹脂封止成形装置5の要部を例示している。
この成形装置5には樹脂成形用の上型6と下型7とを対設している。
また,この上型6には,例えば,減圧による吸引作用等を利用した樹脂封止前基板1の吸着支持手段(図示なし)を設けている。
また,この上型6と下型7との両型は適宜な型開閉機構(図示なし)を介して開閉させることができるように設けている。
【0026】
また,下型7は適宜な上下動機構(図示なし)を介して上下動可能に装設した可動板8の上部に配置している。
また,下型7は枠体7aと該枠体に嵌装させた樹脂加圧部材7bとから構成しており,この枠体7aと樹脂加圧部材7bとの両者が嵌合する上方の嵌合凹部は透明樹脂材料Rの供給部となり且つ樹脂成形部となる下型キャビティ7cを構成している。
更に,この枠体7aは下型7と可動板8との間に装設した弾性部材9の弾性押圧力によって上動するように設けている。
また,下型キャビティ7cの底面を構成する樹脂加圧部材7bの上面における所定位置には樹脂封止前基板1に装着したLEDチップ2を樹脂封止するためのレンズ成形部7dを設けている。
【0027】
また,枠体7aに嵌装させた樹脂加圧部材7bは可動板8の上面に止着させており,従って,可動板8と一体として上下動するように設けている。
なお,下型キャビティ7c内に透明樹脂材料Rを充填させると共に,図2(1)に示すように,樹脂封止前基板1を介して上型6と下型7との両型面間を接合させた型締時の状態において,樹脂加圧部材7b(可動板8)を上動させることにより,該下型キャビティ内の透明樹脂材料Rに対して所定の樹脂圧を加えることができる,所謂,圧縮成形による樹脂成形型構造を構成している。
【0028】
また,下型キャビティ7c部の所定位置(図例では,枠体7aの上面部)にセットした樹脂封止前基板1における樹脂接触不可エリアBの部位と対応する下型7の位置に,該樹脂接触不可エリアBの部位に対して押圧状に密接させる樹脂バリ防止用部材10を配設している。
この樹脂バリ防止用部材10は樹脂加圧部材7b及び可動板8に対して上下動可能に嵌装させると共に,該可動板8に装設した弾性部材11の弾性押圧力によって上動するように設けている。
【0029】
また,樹脂バリ防止用部材10は,図1(1)に示すように,樹脂封止前基板1における各樹脂接触不可エリアBの部位と対応する形状の板状体として個々に形成している。
更に,これらの樹脂バリ防止用部材10は,図2(1)に示すように,弾性部材11の弾性押圧力によって各別に上動し,且つ,その上端部10aは下型キャビティ7c内に突設するように設けている。
即ち,このとき,各樹脂バリ防止用部材10は,樹脂接触不可エリアBの各部位に各別に配設した構成となるため,該各樹脂バリ防止用部材10の夫々は独立して上下動することが可能な状態となる。
【0030】
また,各樹脂バリ防止用部材の上端部10aが突設していない下型キャビティ7c内の各部位は樹脂封止前基板1におけるLEDチップ2の装着位置と対応しており,従って,これらの部位は該LEDチップ2を樹脂封止成形するための樹脂成形エリアAとなる。
【0031】
なお,図1に示した樹脂封止前基板1には多数の製品構成単位(最小分割単位)1aを形成しているが,図例においては,6個所の樹脂成形エリアA及び樹脂接触不可エリアBを設定した場合を示している。
また,図2に示す下型7には,該樹脂封止前基板1の形状・構造に対応して,6個所の樹脂成形部(樹脂成形エリアA)を,更に,6個所の樹脂接触不可エリアBの部位に樹脂バリ防止用部材10を配設した場合を示している。
しかしながら,樹脂封止前基板1に設定する製品構成単位1aの数と,該樹脂封止前基板の構造等に基づいて決定される樹脂成形エリアA及び樹脂接触不可エリアBの数,そして,これらに対応して決定される樹脂バリ防止用部材10の数や形状及び配置の態様等は,使用される樹脂封止前基板の形状・構造に対応して適宜に変更して実施することが可能である。
また,各樹脂成形エリアAと対応する各樹脂成形部には所要量の透明樹脂材料Rを供給することになるが,その透明樹脂材料の供給態様としては,例えば,公知のディスペンサを用いて所要量の透明樹脂材料Rを各樹脂成形部内に順次に供給するようにしてもよく,或は,所要量の透明樹脂材料Rを各樹脂成形部内の夫々に同時に供給することができるように構成した専用のディスペンサやその他の適宜な樹脂材料供給手段(図示なし)を用いるようにしてもよい。
【0032】
以下,樹脂封止前基板1に設けた樹脂接触不可エリアBの各部位に樹脂バリを付着させることなく,該樹脂封止前基板1上のLEDチップ2を透明樹脂材料Rにて樹脂封止成形する工程・作用について説明する。
【0033】
まず,図1及び図2に示すように,半導体基板の表面にLEDチップ2を装着すると共に,半導体基板の表面側に樹脂接触不可エリアBを有する構造の樹脂封止前基板1を用意し,更に,該半導体基板における樹脂接触不可エリアBの各部位に対応する樹脂成形用下型キャビティ7c内の各部位に樹脂バリ防止用部材10を配設した樹脂封止成形用の上下両型6・7を用意する。
なお,この上下両型6・7は,予め,所要の樹脂成形温度にまで加熱する。
【0034】
次に,図3(1)に示すように,樹脂バリ防止用部材10の各部位を除いた下型キャビティ7c内,即ち,各樹脂成形エリアA内に所要量の透明樹脂材料Rを充填する透明樹脂材料の充填工程を行う。
なお,この透明樹脂材料の充填工程は,各樹脂成形エリアA内における樹脂成形条件の均一化を図るため,各樹脂成形エリアA内に加熱した所要量の透明樹脂材料(例えば,流動性を有する樹脂材料)を同時に供給するように設定することが好ましい。
【0035】
次に,図3(2)に示すように,樹脂封止前基板1をその表面側を下向きにした状態で樹脂封止成形用の上下両型6・7間に搬入する樹脂封止前基板1の搬入工程を行う。
【0036】
次に,図4(1)に示すように,上下両型6・7間に搬入した樹脂封止前基板1の表面側を下向きにした状態で下型キャビティ7c部の所定位置にセットする樹脂封止前基板1のセット工程を行う。
また,この樹脂封止前基板1のセット工程時において,樹脂封止前基板1における樹脂接触不可エリアBの各部位に下型キャビティ7c内に突設した各樹脂バリ防止用部材10の上端部10aを接合させる該樹脂接触不可エリアBの被覆工程を行う。
【0037】
次に,図4(2)に示すように,可動板8を介して樹脂加圧部材7bを押し上げることにより,下型キャビティ7c部にセットした樹脂封止前基板1の表面側を該下型キャビティ7c内に嵌入し且つ該樹脂封止前基板表面のLEDチップ2を下型キャビティ7c内の透明樹脂材料(流動性を有する樹脂材料)R中に浸漬させるLEDチップ2の透明樹脂材料R中への浸漬工程を行う。
更に,該樹脂加圧部材7bによって,下型キャビティ7c内の透明樹脂材料Rを圧縮して半導体基板表面のLEDチップ2を下型キャビティ7cの形状に対応して樹脂封止成形する圧縮樹脂封止成形工程を行う。
【0038】
次に,可動板8を介して樹脂加圧部材7b及び下型7を降下させると共に,上下両型6・7を開いて該上下両型間より樹脂封止済基板12を外部へ搬出する工程を行う。
【0039】
以上のように,樹脂封止前基板1に設けた樹脂接触不可エリアBの各部位に樹脂バリを付着させることなく,該樹脂封止前基板1上の各LEDチップ2を透明樹脂材料Rにて樹脂封止成形することができる。
そして,図5に示すように,樹脂封止済基板12上の各LEDチップ2は下型キャビティのレンズ成形部7dの形状に対応する形状の透明樹脂成形体(レンズ)12a内に夫々封止させることができる(例えば,熱硬化させることができる)。
【0040】
第一実施例によれば,半導体基板に装着したLEDチップ2を圧縮樹脂封止成形する際に,樹脂接触不可エリアBの各部位に樹脂バリが付着するのを効率良く且つ確実に防止することができる。
このため,樹脂接触不可エリアBを有する構造の半導体基板を圧縮樹脂封止成形方法を用いて封止成形することが可能となるので,この種の半導体基板を用いるLEDチップの樹脂封止成形品を高能率生産することができると云った優れた実用的な効果を奏する。」

(2)引用発明
前記(1)より,引用文献1には次の発明(以下,「引用発明1-1」,「引用発明1-2」という。)が記載されていると認められる。
ア 引用発明1-1
「 上型6と下型7とを対設し,
下型7は枠体7aと該枠体に嵌装させた樹脂加圧部材7bとから構成し,
枠体7aと樹脂加圧部材7bとの両者が嵌合する上方の嵌合凹部は透明樹脂材料Rの供給部となり且つ樹脂成形部となる下型キャビティ7cを構成し,
枠体7aは下型7と可動板8との間に装設した弾性部材9の弾性押圧力によって上動するように設けており,枠体7aに嵌装させた樹脂加圧部材7bは可動板8の上面に止着させており,従って,可動板8と一体として上下動するように設けている圧縮樹脂封止成形装置5であって,
樹脂接触不可エリアBの部位に対して押圧状に密接させる樹脂バリ防止用部材10を備え,
下型キャビティ7c部にセットした樹脂封止前基板1の表面側を該下型キャビティ7c内に嵌入し且つ該樹脂封止前基板表面のLEDチップ2を下型キャビティ7c内の透明樹脂材料(流動性を有する樹脂材料)R中に浸漬させるLEDチップ2の透明樹脂材料R中への浸漬工程を行う。
更に,該樹脂加圧部材7bによって,下型キャビティ7c内の透明樹脂材料Rを圧縮して半導体基板表面のLEDチップ2を下型キャビティ7cの形状に対応して樹脂封止成形する圧縮樹脂封止成形工程を行う圧縮樹脂封止成形装置5。」

イ 引用発明1-2
「 半導体基板の表面にLEDチップ2を装着した樹脂封止前基板1をその表面側を下向きにした状態で樹脂封止成形用の上下両型6・7間に搬入する樹脂封止前基板1の搬入工程と,
下型7は枠体7aと該枠体に嵌装させた樹脂加圧部材7bとから構成し,枠体7aと樹脂加圧部材7bとの両者が嵌合する上方の嵌合凹部は透明樹脂材料Rの供給部となり且つ樹脂成形部となる下型キャビティ7cを構成し,
次に,樹脂バリ防止用部材10の各部位を除いた下型キャビティ7c内,即ち,各樹脂成形エリアA内に所要量の透明樹脂材料Rを充填する透明樹脂材料の充填工程と,
枠体7aは下型7と可動板8との間に装設した弾性部材9の弾性押圧力によって上動するように設けており,枠体7aに嵌装させた樹脂加圧部材7bは可動板8の上面に止着させており,従って,可動板8と一体として上下動するように設けている圧縮樹脂封止成形工程であって,
上下両型6・7間に搬入した樹脂封止前基板1の表面側を下向きにした状態で下型キャビティ7c部の所定位置にセットする樹脂封止前基板1のセット工程を行い,
下型キャビティ7c部の所定位置にセットした樹脂封止前基板1における樹脂接触不可エリアBの部位と対応する下型7の位置に,該樹脂接触不可エリアBの部位に対して押圧状に密接させる樹脂バリ防止用部材10を配設し,この樹脂バリ防止用部材10は樹脂加圧部材7b及び可動板8に対して上下動可能に嵌装させると共に,該可動板8に装設した弾性部材11の弾性押圧力によって上動するように設けている
圧縮樹脂封止成形工程。」

2 引用文献2について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2(特開2005-088395号公報)には,図面とともに次の事項が記載されている。
「【技術分野】
【0001】
本発明は樹脂モールド方法および樹脂モールド装置に関し,より詳細には金型にエアベントを設けずに樹脂モールドすることを可能にする樹脂モールド方法および樹脂モールド装置に関する。」

「【0027】
図6?9は本発明に係る樹脂モールド装置の他の実施形態として,駆動シリンダを使用したフィードバック制御によって樹脂モールド金型を型締めし,クランパを駆動操作するように構成した樹脂モールド装置とこの樹脂モールド装置を使用した樹脂モールド工程を示す。
図6は型開きした状態でキャビティ駒22とクランパ26とによって形成されるキャビティ凹部25にリリースフィルム40と樹脂50とを供給した状態を示す。本実施形態の樹脂モールド装置は,下型21を型開閉方向に駆動する主駆動シリンダ70と,クランパ26を駆動する副駆動シリンダ72とを備え,上型は固定されている。
図6は主駆動シリンダ70および副駆動シリンダ72のピストンが下位置にあり,樹脂モールド金型が型開きしている状態である。
【0028】
この実施形態では,クランパ26の面圧およびキャビティ42の内圧を圧力センサーで測定し,測定した圧力値をもとに図11に示すフローによって各駆動シリンダの出力を制御するフィードバック制御をおこなっている。
図7は,主駆動シリンダ70を駆動して下型21を上動させ,クランパ26の上端面で被成形品30をクランプし,クランパ26によって被成形品30を押圧するクランプ面圧がセット圧となるよう出力制御した状態を示す。
図11に示す制御フロー図では,ステップ60によってクランプ面圧が規定のセット圧となるよう金型を駆動制御した状態にあたる。
【0029】
図8は,主駆動シリンダ70を駆動して,キャビティ42の内圧が充填圧に到達するまでキャビティ駒22を上動させた状態を示す。図11では,ステップ62によってキャビティの内圧が規定の充填圧となるよう金型を駆動制御した状態にあたる。被成形品30はクランパ26によってセット圧でクランプされているから,キャビティ駒22を上動させることによってキャビティ42からはエアのみが排出される。キャビティ駒22を上動させる際にスプリング26aが圧縮され,クランパ26の面圧は微増するが,クランパ26はキャビティ42からエアを排出させ,樹脂50を漏出させないセット圧で被成形品30をクランプする状態を維持している。エアが完全に排出されると,キャビティの内圧が急激に上昇して充填圧に到達するため,これをもってエアの排出が完了したものとすることができる。
【0030】
次に,図9は副駆動シリンダ72を駆動してクランパ26を押し上げ,被成形品30を閉鎖圧でクランプし,主駆動シリンダ70によって下型21を最終的に上動させて樹脂50に成型圧をかけた状態を示す。図11では,ステップ63によってクランプ面圧が規定の閉鎖圧となるよう金型を駆動制御した後,続くステップ64によってキャビティの内圧が規定の成形圧となるよう金型を駆動制御した状態にあたる。副駆動シリンダ72はキャビティ42から樹脂50が漏出しないように,被成形品30をクランパ26によって閉鎖圧でクランプするためのものであり,閉鎖圧で被成形品30をクランプした状態で,樹脂50に成形圧力を作用させることにより,樹脂50に成形圧力を加えた際にキャビティ42から樹脂50を漏出させずに樹脂モールドすることが可能となる。
以上のように,樹脂モールド金型にまったくエアベントを設けずに,キャビティ42からエアを排出して,樹脂ばりを生じさせずに樹脂モールドすることができる。
なお,図10は,樹脂モールド金型の上型と下型の構成を逆に配置した例を示す。
【0031】
本実施形態の樹脂モールド装置では,クランパ26をスプリング26aによって弾性的に押圧する構成とし,クランパ26を押動する副駆動シリンダ72とスプリング26aとを併用した構成としているが,スプリングをまったく使用せず,駆動シリンダのみで樹脂モールド装置を構成することも可能である。また,上記実施形態のように下型21の全体を主駆動シリンダ70によって駆動して制御することも可能であるし,キャビティ駒22とクランパ26とを別体の駆動シリンダで制御するようにすることも可能である。このように金型駆動方法としては,種々の方法を採用することができる。」

3 引用文献3について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献3(特開平9-304211号公報)には,図面とともに次の事項が記載されている。
「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は血圧計やガスメータあるいは安全弁装置など,圧力検出系を含む各種の機器に使用される静電容量型圧力センサに関し,特に,センサ本体を樹脂モールドするパッケージング構造およびパッケージング方法に関する。」

「【0024】成形ステーションでの加工のようすを図3?図5に示している。ここには,インサート成形機の上型80と下型90があり,これにより樹脂パッケージPが成形される。上型80には,樹脂パッケージPの上面導圧部8を形成するための可動式の中子ピン81が装備されている。下型90には,樹脂パッケージPの下面導圧部9を形成するための可動式の中子ピン91が装備されている。
【0025】具体的には,図2のキャリア部品の金属板6の上にセンサ本体Sを接合したものを,図3のようにインサート成形機の型内に搬送して位置決めし,図4のように型締めしてキャリア部品のリードフレーム1や周辺部分を上型80と下型90で挟み込んで固定する。また同時に,上型80の中子ピン81と,下型90の中子ピン91とがそれぞれスライドして型内に進入し,中子ピン81の先端がセンサ本体Sの上面に開口した導圧小穴5を塞ぎ,中子ピン91の先端がセンサ本体Sの下面の金属板6に開口した導圧穴6aを塞ぐ。この状態で図5のように,型内に樹脂を充填する。
【0026】樹脂が硬化したなら脱型し,次に図2のキャリア部品の周辺部をプレス機で切り離す。そうすると図1(A),(B)に示すパッケージングした静電容量型圧力センサが完成する。ここで,樹脂パッケージPの上面側には,中子ピン81により造られた上面導圧部8が形成され,センサ本体Sの導圧小穴5と連通している。また,樹脂パッケージPの下面側には,中子ピン91により造られた下面導圧部9が形成され,センサ本体Sの下面の導圧穴6aおよび導圧窓4と連通している。これで,ダイアフラム2aの両面に外部から導いた圧力を作用させる両面導圧タイプの静電容量型圧力センサのパッケージング製品となる。」

4 引用文献4について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献4(特開2010-062404号公報)には,図面とともに次の事項が記載されている。
「【技術分野】
【0001】
本発明は半導体装置の製造方法に関する。」

「【0028】
このようにして,熱硬化性樹脂の硬化物を有する固形状異物を含有し,かつ固形状異物を含めて微粉化された熱硬化性の封止樹脂材料16を用意する。微粉化された封止樹脂材料16は,上述したように樹脂封止装置11に供給される。具体的には,配線基板2に搭載された半導体素子4がセットされた上型12と対向する下型13上に供給される。上型12と下型13は予め加熱されている。供給された粉粒状の封止樹脂材料16が溶融するのを待って,図3に示すように下型13およびキャビティブロック14を上昇させる。」

5 引用文献5について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献5(特開2013-176875号公報)には,図面とともに次の事項が記載されている。
「【技術分野】
【0001】
本発明は,圧縮成形用の成形型を使用してチップ状の電子部品を樹脂封止する際に使用される,粉状又は粒状を呈する樹脂封止用材料及びその製造方法に関するものである。」

「【0050】
次に,図1(2)に示すように,キャビティ4に供給された樹脂封止用材料5を,ヒータ10を使用して加熱する。このことにより,第1の供給手段3を溶融させて流動性樹脂(図1(3)の溶融樹脂22を参照)を生成する。樹脂封止用材料5を加熱することに並行して,上型2を下降させる。なお,下型1を上昇させることもできる。要は,下型1と上型2とが相対的に近づけばよい。」

6 引用文献6について
当審拒絶理由通知に引用された引用文献6(特開2014-212251号公報)には,図面とともに次の事項が記載されている。
「【技術分野】
【0001】
この発明は,所謂,圧縮成形方法を用いて大形基板上に装着した多数個の電子部品(半導体チップ)を樹脂により一括して封止成形(樹脂モールド)する樹脂封止方法及び樹脂封止装置の改良に関する。」

「【0045】
上記した圧縮樹脂封止装置を用いて大形基板70上に装着した電子部品71を樹脂により一括して圧縮樹脂封止成形する場合について説明する。
【0046】
以下,図5(1)に基づいて,型開きした上下両型(31・32)の所定位置に離型フイルム60と大形基板70及びシート状樹脂80を供給してセットする工程について説明する。
【0047】
まず,型開閉機構50を介して,可動プラテン52上の下型32を下動させることにより,上下両型(31・32)を開く上下両型の型開工程を行う(図1参照)。
この上下両型の型開時において,適宜な係着手段(図示なし)を介して,上型31の型面(即ち,基板セットブロック31cの下面)に大形基板70を供給すると共に,その電子部品71の装着面側を下向きとして係着させる大形基板の供給セット工程を行う。
また,離型フイルム供給セット機構(図示なし)を介して,下型キャビティ33a部を含む下型32の型面(即ち,キャビティ底面部材32c及びキャビティ側面部材32dの上面)に離型フイルム60を張設する離型フイルムの供給セット工程を行う。
また,樹脂供給セット機構(図示なし)を介して,離型フイルム60を供給セットした下型キャビティ33a部にシート状樹脂80を供給するシート状樹脂の供給セット工程を行う。
【0048】
なお,上記した離型フイルムの供給セット工程を先に行い,次に,上記大形基板の供給セット工程及び上記シート状樹脂の供給セット工程を順次に或は同時的に行うようにしても差し支えない。
【0049】
上記したシート状樹脂の供給セット工程を経たシート状樹脂80は,キャビティ底面部材32cに内装した下型加熱用ヒータ32fによって加熱溶融化されることになる。
なお,該シート状樹脂80は定量で定型化されたものを用いているので,該シート状樹脂80は離型フイルム60を介して下型キャビティ33a内において加熱溶融化されると共に,該下型キャビティ33a内に効率良く充填させることができる。
また,このシート状樹脂80は,下型キャビティ33a内への充填量を超える余剰の樹脂量を含んでいる。
【0050】
また,均等加圧手段40を介して,加圧力調節機構43により所定の加圧力に調節された圧力媒体44を上型均等加圧手段41の弾性収容体41b内及び下型均等加圧手段42の弾性収容体42b内の夫々に導入し,上下両型(31・32)の型締時に該上下両型がその型締圧力によって弯曲変形されるのを防止する上下両型の弯曲変形防止工程を行う(図3参照)。
なお,この均等加圧手段40による上下両型(31・32)の弯曲変形防止工程は,樹脂成形作業中において常時行うようにしてもよく,または,後述する上下両型(31・32)の型締工程に先行して行うようにしてもよく,或は,該型締工程と同時的に行うようにしてもよい。要するに,上下両型(31・32)の型締工程における型締圧力によって該上下両型が弯曲変形されるのを防止することができる時期を選定すればよい。
【0051】
以下,図5(2)に基づいて,上下両型(31・32)の型締工程時における溶融樹脂材料の第一押圧工程について説明する。
【0052】
まず,型開閉機構50を介して,可動プラテン52上の下型32を上動させることにより,上下両型(31・32)を閉じる上下両型の型締工程を行う(図2参照)。
この型締工程においては,弾性部材32e(図4参照)の弾性押上力にてキャビティ側面部材32dの上面が離型フイルム60を介して大形基板70の周辺下面部を弾性押圧する。
【0053】
また,この型締工程においては,シール部材31e(図2参照)にて該上下両型の型面間をシールすることができるため,真空引機構(図示なし)の真空ポンプを作動させて該型面間(下型キャビティ33a内)を減圧する,所謂,真空引工程(減圧工程)を行うことができる。
なお,この真空引工程は,少なくとも,上下両型(31・32)の型締工程時において行うようにすればよい。
【0054】
また,前述したシート状樹脂の供給セット工程から上下両型(31・32)の型締工程において,上型加熱用ヒータ31d及び下型加熱用ヒータ32fを介して,シート状樹脂80を加熱溶融化するシート状樹脂の加熱溶融化を行うことができる。
即ち,離型フイルム60を介して樹脂成形部33に供給セットしたシート状樹脂80は,下型32のキャビティ底面部材32cを上動させて該シート状樹脂80に押圧力(加圧力)を加えることなく,該樹脂成形部33において溶融樹脂材料80aとなっている。そして,この溶融樹脂材料80aは該樹脂成形部33内に均一に充填された状態にある。
このため,キャビティ底面部材32cを上動させてシート状樹脂80を押圧することによる該シート状樹脂80の加熱溶融化作用と,樹脂成形部33(下型キャビティ33a)の全域に該溶融樹脂材料を充填させるための樹脂流動作用とを特別に行う必要がない。
従って,樹脂成形部33内の溶融樹脂材料80aに対する押圧作用を低速度で,且つ,低圧にて行う溶融樹脂材料の第一押圧工程を行うことができる。
なお,該第一押圧工程においては,溶融樹脂材料80aに対して該溶融樹脂材料80aを押し上げるときに作用する押圧力が加えられているに過ぎない。
【0055】
この溶融樹脂材料の第一押圧工程においては,樹脂成形部33内の溶融樹脂材料80aを低速度で且つ低圧にて押圧することができると共に,前述した下型キャビティ33a内への充填量を超える余剰樹脂80bを余剰樹脂の収容部33b内へ流入させる余剰樹脂流入工程を同時的に行うことができる。
【0056】
以下,図6(1)に基づいて,上下両型(31・32)の型締工程時における溶融樹脂材料の第二押圧工程について説明する。
【0057】
上記した第一押圧工程を更に継続させて,即ち,下型32のキャビティ底面部材32cを上動させることにより,樹脂成形部33内の溶融樹脂材料80aに対する押圧作用を低速度で且つ低圧にて行うことにより,該溶融樹脂材料80aが大形基板70における電子部品71の装着面側に触れる状態となる溶融樹脂材料の第二押圧工程を行う。
また,樹脂成形部33内の溶融樹脂材料80aに対する押圧作用は,第一押圧工程の場合と同様に,低速度で且つ低圧にて行うことができるので,溶融樹脂材料80aを押し上げるときに作用する押圧力が加えられているに過ぎない。
また,このとき,上型31の型面に係着させた大形基板70上の電子部品71を離型フイルム60を張設した樹脂成形部33(下型キャビティ33a)内の溶融樹脂材料80a中に浸漬させる電子部品の溶融樹脂浸漬工程を行う。
従って,樹脂成形部33内の溶融樹脂材料80aに対する低速度で且つ低圧による押圧作用とも相俟って,溶融樹脂材料80aの流動作用を防止し,若しくは,抑制できるので,該溶融樹脂材料80aの流動作用に基因するワイヤスイープ等の発生を効率良く防止することができる。
【0058】
なお,上記した第二押圧工程時においては,樹脂成形部33における下型キャビティ33aの底面がパッケージ厚さ33cの間隔と等しくなる高さ位置にまで上動していない。
また,この第二押圧工程時に,下型キャビティ33a内への充填量を超える余剰樹脂80bを余剰樹脂の収容部33b内へ流入させる余剰樹脂流入工程を行うことができる。
【0059】
以下,図6(2)に基づいて,上下両型(31・32)の型締工程時における溶融樹脂材料の第三押圧工程(樹脂圧縮工程)について説明する。
【0060】
上記した第二押圧工程を更に継続させて,即ち,下型32のキャビティ底面部材32cを上動させることにより,樹脂成形部33における下型キャビティ33aの底面が大形基板70における電子部品71を樹脂封止するためのパッケージ厚さ33cの間隔と等しくなる高さ位置にまで上動させる溶融樹脂材料の第三押圧工程(樹脂圧縮工程)を行う。
【0061】
この第三押圧工程において,少なくとも,樹脂成形部33内の溶融樹脂材料80aに対して所定の樹脂圧を加えることができる。
即ち,下型キャビティ33aの底面が大形基板70の電子部品71を樹脂封止するパッケージ厚さ33cの間隔と等しくなる高さ位置にまで上動することにより,下型キャビティ33a内に充填させた溶融樹脂材料80a(及び,収容部33b内の余剰樹脂80b)を押圧して所定厚さのパッケージを樹脂成形(樹脂圧縮成形)することができる。
【0062】
この第三押圧工程時に,樹脂成形部33(下型キャビティ33a)内の溶融樹脂材料80aに対して所定の樹脂圧を加えて大形基板70の電子部品71を所定のパッケージ厚さ33c内に樹脂封止成形できるのは,次の理由による。
即ち,前述した第二押圧工程から該第三押圧工程に移行する際に,下型キャビティ33a面の周辺部位に立設した突状部34の上端部34aが大形基板70上における電子部品71装着面に圧入する。
このとき,下型32のキャビティ底面部材32cを上動させても,下型キャビティ33a内の溶融樹脂材料80aは該下型キャビティ33a内から余剰樹脂の収容部33b内に流入しない状態となる。
また,この場合,上記した第二押圧工程の終了後において,余剰樹脂収容部33b内への余剰樹脂流入工程を停止させる余剰樹脂流入停止工程を行うことができる。
従って,キャビティ底面部材32cの上動に伴って下型キャビティ33aの底面が上動することにより,該下型キャビティ33a内の溶融樹脂材料80aを所定の樹脂圧にて押圧することができる。
更に,このとき,下型キャビティ33aの底面が上動する最終の高さ位置は,大形基板70における電子部品71の装着面との間隔と等しいパッケージ厚さ33cとなるように設定しているため,該大形基板70上に装着した電子部品71を均等厚さ(33c)のパッケージ内に一括して圧縮樹脂封止成形することができる。
【0063】
なお,上記した下型キャビティ33aの底面が上動する最終の高さ位置は,型開閉機構50によって下型32を上動させる限度(上死点)の位置と合致させるようにしてもよい(図2参照)。
【0064】
また,上記した下型キャビティ33aの底面が上動する最終の高さ位置は,型開閉機構50によって上動する下型32,或は,キャビティ底面部材32cの所定の高さ位置を検知して該下型32,或は,キャビティ底面部材32cの上動作用を停止させる高さ位置制御機構(図示なし)を介して設定するようにしてもよい。
【0065】
また,定量で定型化したシート状樹脂80を用いることによって,下型キャビティ33a内の全域に亘る樹脂材料の供給作用と,該シート状樹脂の加熱溶融化作用と,該溶融樹脂材料80aに対する低速度且つ低圧による押圧作用との相乗作用によって,該下型キャビティ内における溶融樹脂材料の流動作用に基因するワイヤスイープ等の発生を,より効率良く防止することができる。」

7 引用文献7について
当審拒絶理由通知に引用された引用文献7(特開平3-60146号公報)には,図面とともに次の事項が記載されている。
「〔産業上の利用分野〕
本発明は,放熱板を含めて全体を外装樹脂でモールドしたパワートランジスタ等の樹脂封止型半導体装置と,その製造に用いる樹脂モールド装置に関する。」(第1頁右欄第2行-第6行)

「この上金型14には,前記の止具挿通孔3を底形するための円形ポール17が下向きに突設され,更に,放熱板1のテーパ孔5に圧入される2本の放熱板保持ピン18(但し,第3図では1本の放熱板保持ピンのみ表れている)が該テーパ孔5の真上に位置して出没自在に設けられている。この放熱板保持ピン18は放熱板lより硬い材質のピンで,その下端部18aがテーパ状に加工されており,このテーパ状下端部18aをテーパ孔5に圧入すると,放熱板lが仮着状態となり,脱落することなく保持できるようになっている。
一方,下金型15には,放熱板lを下方から支持する2本の支持ピン19(但し,第3図では1本の支持ピンのみ表れている)が放熱板保持ピン18の真下にそれぞれ位置して出没自在に設けられており,ゲート20から外装樹脂をキャビティ16内へ射出するときには,該支持ピン19の平坦な上面がキャビティ16の底面と面一になるように下降して,放熱板lの支持を解除するようになっている。
上記のように構成された樹脂モールド装置によって樹脂モールドを行う場合は,まず上金型14を上昇させた状態で,リード2,8,9を下金型15に載置すると共に,半導体ベレット6がマウントされた放熱板1を下金型15のキャビティに入れて支持ピン19で下方から支持させ,放熱板1をキャビティ底面と平行に僅かに浮かせた状態でセットする。なお,リード2,8,9は前述のようにタイバーで連結されてリードフレームに取付いたままである。」(第3頁右下欄第7行-第4頁右上欄第18行)

第4 対比及び判断
1 本願発明1と引用発明1-1について
(1)本願発明1と引用発明1-1との対比
ア 引用発明1-1の「上型6」は,本願発明1の「上型」に相当する。
イ 引用発明1-1の「下型7」は,上型6と対設しているから,本願発明1の「該上型に相対向して設けられた下型」に相当する。
ウ 引用発明1-1の「枠体7a」は,下型7の一部を構成しているから,本願発明1の「前記下型に設けられた枠部材」に相当する。
エ 引用発明1-1の「樹脂加圧部材7b」は,下型7の一部を構成しており,枠体7aと樹脂加圧部材7bとの両者が嵌合している。
また,引用文献1には「樹脂加圧部材7b(可動板8)を上動させること」(第3の1(1)【0027】)が記載されている。
よって,引用発明1-1の「樹脂加圧部材7b」は,本願発明1の「前記下型に設けられ前記枠部材の内側において前記枠部材に対して相対的に昇降可能な底面部材」に相当する。
オ 引用発明1-1の「下型キャビティ7c」は,「枠体7aと樹脂加圧部材7bとの両者が嵌合する上方の嵌合凹部であり」,本願発明1の「前記枠部材と前記底面部材とによって囲まれた空間からなるキャビティ」に相当する。
カ 引用発明1-1は,「嵌合凹部は透明樹脂材料Rの供給部」を有しており,「前記キャビティに樹脂材料を供給する樹脂材料供給機構」を有しているといえる。
キ 引用発明1-1の「樹脂封止前基板1」は,半導体基板の表面にLEDチップ2を装着したものであり(第3の1(1)【0033】),本願発明1の「主面に電子部品が装着された基板」に相当する。
ク 引用発明1-1は,「樹脂封止前基板1をその表面側を下向きにした状態で樹脂封止成形用の上下両型6・7間に搬入する樹脂封止前基板1の搬入工程を行う」から,「前記下型と前記上型との間に搬送する基板搬送機構」を有しているといえる。
ケ 引用発明1-1の「弾性部材9」は,本願発明1の「前記枠部材を昇降させる第1の駆動機構」に相当する。
コ 引用発明1-1では,「枠体7aに嵌装させた樹脂加圧部材7bは可動板8の上面に止着させており,従って,可動板8と一体として上下動するように設けている」から,「前記底面部材を昇降させる第2の駆動機構」を有しているといえる。
サ 引用発明1-1の「圧縮樹脂封止成形装置5」は,本願発明1の「樹脂成形装置」に相当する。
シ 引用発明1-1の「樹脂バリ防止用部材10」は,本願発明1の「前記底面部材に設けられた基板押さえ部材」に相当する。
ス すると,本願発明1と引用発明1-1とは,下記セの点で一致し,下記ソの点で相違する。
セ 一致点
「 上型と,該上型に相対向して設けられた下型,前記下型に設けられた枠部材と,前記下型に設けられ前記枠部材の内側において前記枠部材に対して相対的に昇降可能な底面部材と,前記枠部材と前記底面部材とによって囲まれた空間からなるキャビティと,前記キャビティに樹脂材料を供給する樹脂材料供給機構と,主面に電子部品が装着された基板を前記下型と前記上型との間に搬送する基板搬送機構と,前記枠部材を昇降させる第1の駆動機構と,前記底面部材を昇降させる第2の駆動機構とを備えた樹脂成形装置であって,
前記底面部材に設けられた基板押さえ部材を備える樹脂成形装置。」

ソ 相違点
(ア)相違点1
本願発明1は,基板押さえ部材が「基板押さえピン」であるのに対して,引用発明1-1は,そうではない点。
(イ)相違点2
本願発明1は,「前記基板押さえピンに設けられた先端部と,
前記先端部に設けられ,前記基板の前記主面に設けられた所定の領域に形成された穴に入り込むような形状を有するテーパ部と,
前記テーパ部に設けられたテーパ面と,
前記テーパ面に形成されたエンジニアリングプラスチックの膜とを備え」るに対して,引用発明1-1は,そうではない点。
(ウ)相違点3
本願発明1は,「前記第1の駆動機構又は前記第2の駆動機構を用いて前記基板押さえピンを上昇させて前記テーパ部を前記穴内に挿入することによって前記エンジニアリングプラスチックの膜を前記穴の縁に密着させて押圧し,
前記枠部材と前記底面部材とを上昇させて前記上型と前記下型とが型締めされることによって前記エンジニアリングプラスチックの膜が前記穴の縁に密着されて押圧された状態において,前記キャビティにおいて前記樹脂材料から生成された流動性樹脂の中に前記電子部品が浸漬するとともに前記流動性樹脂が前記穴の周囲から前記穴の中に入り込むことが防止され,前記流動性樹脂が硬化して形成された硬化樹脂によって,前記穴の内側面を前記硬化樹脂から露出させて前記電子部品が樹脂封止される」のに対して,引用発明1-1は,そうではない点。

(2)相違点についての判断
相違点2,3について検討する。
引用文献3(【0024】-【0026】,【図3】-【図5】)に記載の樹脂を設けない領域を,先端部にテーパ形状を有した中子ピンで押圧した状態で樹脂封止を行う技術,また,引用文献7(第3頁右下欄第7行-第4頁右上欄第18行)に記載の下端がテーパー状に加工されたピンをテーパー孔に圧入し板を保持した後にモールドする技術が記載されているが,引用文献3,7には,基板押さえピンの先端部に設けられたテーパ面に形成された「エンジニアリングプラスチックの膜」に関して,何ら記載されていないし,当該技術分野において,基板押さえピンの先端部に設けられたテーパ面に「エンジニアリングプラスチックの膜」を形成することは,周知の技術とも認められない。
そして,本願発明1は,相違点2,3に係る基板押さえピンに設けられた先端部に設けられたテーパ面に形成された「エンジニアリングプラスチックの膜」を備えることによって,「基板6に傷や変形などが生じることが抑制される。」(本願明細書【0052】)という格別の効果を奏すると認められる。
よって,引用発明1-1に上記相違点2,3に係る構成を採用することは,当業者にとって容易に想到しえたことでなはい。

2 本願発明2-5について
本願発明2-5は,本願発明1の発明特定事項をすべて含むものであるから,本願発明1と同じ理由により,当業者であっても,引用文献1-7に記載された発明に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

3 本願発明6と引用発明1-2について
(1)本願発明6と引用発明1-2との対比
ア 引用発明1-2の「半導体基板の表面にLEDチップ2を装着した樹脂封止前基板1」は,本願発明6の「主面に電子部品が装着された基板」に相当する。
イ 引用発明1-2の「上下両型6・7」の「上型6」は,本願発明6の「上型」に相当する。
ウ 引用発明1-2の「上下両型6・7」の「下型7」は,上下両型6・7で「間」を形成しており,本願発明6の「上型に相対向する下型」に相当する。
エ 引用発明1-2の「樹脂封止前基板1を」「上下両型6・7間に搬入する樹脂封止前基板1の搬入工程」は,本願発明6の「主面に電子部品が装着された基板を上型と該上型に相対向する下型との間に配置する工程」に相当する。
オ 引用文献1-2の「「下型7」は,「枠体7a」と「樹脂加圧部材7b」とから構成されるから,引用文献1-2の「枠体7a」,「樹脂加圧部材7b」は「下型に含まれる」といえる。
カ 引用発明1-2の「枠体7a」,「樹脂加圧部材7b」は,本願発明6の「枠部材」,「底面部材」にそれぞれ相当する。
キ 引用発明1-2の「枠体7aと樹脂加圧部材7bとの両者が嵌合する上方の嵌合凹部」は,本願発明6の「枠部材と底面部材とによって囲まれた空間」に相当する。
ク 引用発明1-2の「下型キャビティ7c」は,本願発明6の「キャビティ」に相当する。
ケ 引用発明1-2の「下型キャビティ7c内」に「所要量の透明樹脂材料Rを充填する透明樹脂材料の充填工程」は,本願発明6の「キャビティに樹脂材料を供給する工程」に相当する。
コ 引用発明1-2の「枠体7a」は「下型7と可動板8との間に装設した弾性部材9の弾性押圧力によって上動するように設けており」「可動板8と一体として上下動するように設けている」から,「第1の駆動機構によって前記枠部材を昇降させる工程」を有しているといえる。
サ 引用発明1-2の「上下両型6・7間に搬入した樹脂封止前基板1の表面側を下向きにした状態で下型キャビティ7c部の所定位置にセットする樹脂封止前基板1のセット工程」は,枠体7aにより,樹脂封止前基板1の周縁部を押圧している(【図4】(1))から,「前記枠部材を上昇させることにより前記枠部材によって前記基板の周縁部を押圧する工程」といえる。
シ 引用発明1-2の「枠体7aに嵌装させた樹脂加圧部材7bは可動板8の上面に止着させており,従って,可動板8と一体として上下動するように設けている」から,「前記枠部材内において第2の駆動機構によって前記底面部材を昇降させる工程」を有しているといえる。
ス 引用発明1-2の「樹脂バリ防止用部材10」は,引用発明1-2の「前記底面部材に設けられ先端部を有する基板押さえ部材」に相当する。
セ 引用発明1-2の「樹脂バリ防止用部材10」は,「樹脂加圧部材7b及び可動板8に対して上下動可能に嵌装させると共に,該可動板8に装設した弾性部材11の弾性押圧力によって上動するように」設けられているから,「基板押さえ部材」「を上昇させる工程」を有しているといえる。
ソ 引用発明1-2の「可動板8を介して樹脂加圧部材7bを押し上げることにより」,「透明樹脂材料(流動性を有する樹脂材料)」,「LEDチップ2」は,本願発明6の「前記底面部材を上昇させることによって」,「流動性樹脂」,「電子部品」にそれぞれ相当する。
タ 引用発明1-2の「透明樹脂材料(流動性を有する樹脂材料)R中に浸漬させるLEDチップ2の透明樹脂材料R中への浸漬工程」は,「前記底面部材を上昇させることによって,」「前記流動性樹脂に前記電子部品を浸漬させる工程」といえる。
チ 引用発明1-2の「熱硬化させる工程」は,「前記流動性樹脂を硬化させて硬化樹脂を形成する工程」といえる。
ツ 引用発明1-2の「圧縮樹脂封止成形工程」は,本願発明6の「樹脂成形方法」に相当する。
テ すると,本願発明6と引用発明1-2とは,下記トの点で一致し,下記ナの点で相違する。
ト 一致点
「主面に電子部品が装着された基板を上型と該上型に相対向する下型との間に配置する工程と,少なくとも前記下型に含まれる枠部材と底面部材とによって囲まれた空間からなるキャビティに樹脂材料を供給する工程と,第1の駆動機構によって前記枠部材を昇降させる工程と,前記枠部材内において第2の駆動機構によって前記底面部材を昇降させる工程とを備えた樹脂成形方法であって,
前記枠部材又は前記底面部材に設けられ先端部を有する基板押さえ部材を上昇させる工程と,
前記枠部材を上昇させることにより前記枠部材によって前記基板の周縁部を押圧する工程と,
前記底面部材を上昇させることによって,前記流動性樹脂に前記電子部品を浸漬させる工程と,
前記流動性樹脂を硬化させて硬化樹脂を形成する工程とを備える樹脂成形方法。」

ナ 相違点
(ア)相違点1
本願発明6は,基板押さえ部材が「基板押さえピン」であるのに対して,引用発明1-2は,そうではない点。
(イ)相違点2
本願発明6は,「前記基板の所定の領域に形成された穴に入り込むような形状を有し前記先端部に設けられたテーパ部を前記穴内に挿入することによって,前記テーパ部のテーパ面に形成されたエンジニアリングプラスチックの膜を前記穴の縁に密着させて押圧する工程」を有するのに対して,引用発明1-2は,そうではない点。
(ウ)相違点3
本願発明6は,「前記キャビティ内において前記樹脂材料から流動性樹脂を生成する工程」を有するのに対して,引用発明1-2は,そうではない点。
(エ)相違点4
本願発明6は,「前記エンジニアリングプラスチックの膜を前記穴の縁に密着させて押圧する状態において」流動性樹脂に電子部品を浸漬させるのに対して,引用発明1-2は,そうではない点。
(オ)相違点5
本願発明6は,「前記硬化樹脂を形成する工程では,前記エンジニアリングプラスチックの膜を前記穴の縁に密着させて押圧することによって前記流動性樹脂が前記穴の周囲から前記穴の中に入り込むことを防止して前記穴の内側面を前記硬化樹脂から露出させ,前記基板の主面において前記穴以外の領域において硬化した前記硬化樹脂によって前記電子部品を樹脂封止する」のに対して,引用発明1-2では,そうではない点。

(2)相違点についての判断
相違点2,4,5について検討する。
引用文献3(【0024】-【0026】,【図3】-【図5】)に記載の樹脂を設けない領域を,先端部にテーパ形状を有した中子ピンで押圧した状態で樹脂封止を行う技術,また,引用文献7(第3頁右下欄第7行-第4頁右上欄第18行)に記載の下端がテーパー状に加工されたピンをテーパー孔に圧入し板を保持した後にモールドする技術が記載されているが,引用文献3,7には,基板押さえピンの先端部に設けられたテーパ面に形成された「エンジニアリングプラスチックの膜」に関して,何ら記載されていないし,当該技術分野において,基板押さえピンの先端部に設けられたテーパ面に「エンジニアリングプラスチックの膜」を形成することは,周知の技術とも認められない。
そして,本願発明6は,相違点2,4,5に係る基板押さえピンに設けられた先端部に設けられたテーパ面に形成された「エンジニアリングプラスチックの膜」を備えることによって,「基板6に傷や変形などが生じることが抑制される。」(本願明細書【0052】)という格別の効果を奏すると認められる。
よって,引用発明1-2に上記相違点2,4,5に係る構成を採用することは,当業者にとって容易に想到しえたことでなはい。

4 本願発明7-10について
本願発明7-10は,本願発明6の発明特定事項をすべて含むものであるから,本願発明6と同じ理由により,当業者であっても,引用文献1-7に記載された発明に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

第5 原査定の概要及び原査定についての判断
理由1(特許法第29条第2項)について
原査定は,平成29年7月7日付け手続補正により補正された請求項1-14に記載された発明について,上記引用文献1-5に記載された発明に基づいて,当業者が容易に発明できたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないというものである。
しかしながら,平成31年1月16日付け手続補正により補正された請求項1-10に記載された発明は,上記のとおり,引用文献1-7に記載された発明に基づいて,当業者が容易に発明できたものではない。
したがって,原査定の理由1を維持することはできない。

第6 当審拒絶理由について
特許法第29条第2項について
当審拒絶理由は,補正前の請求項1-14に係る発明について,上記引用文献1-7に記載された発明に基づいて,当業者が容易に発明できたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないというものである。
しかしながら,平成31年1月16日付け手続補正により補正された請求項1-10に記載された発明は,上記のとおり,引用文献1-7に記載された発明に基づいて,当業者が容易に発明できたものではない。

第7 むすび
以上のとおり,本願発明1-10は,当業者が引用文献1-5に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものではない。
したがって,原査定の理由によっては,本願を拒絶することはできない。
また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
 
審決日 2019-03-20 
出願番号 特願2014-261098(P2014-261098)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (H01L)
最終処分 成立  
前審関与審査官 柴山 将隆  
特許庁審判長 深沢 正志
特許庁審判官 加藤 浩一
河合 俊英
発明の名称 樹脂成形装置及び樹脂成形方法  

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