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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F
管理番号 1350217
審判番号 不服2017-18993  
総通号数 233 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-05-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-12-21 
確定日 2019-03-28 
事件の表示 特願2015-172617号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成28年2月18日出願公開、特開2016-26596号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1 手続の経緯の概要
本願は、平成24年8月7日に出願した特願2012-174536号の一部を平成27年9月2日に新たな特許出願(特願2015-172617号)としたものであって、平成27年9月28日に手続補正書が提出され、平成28年8月15日付けで拒絶の理由が通知され、平成28年10月17日に意見書及び手続補正書が提出され、平成29年3月14日付けで最後の拒絶の理由が通知され、平成29年5月18日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、平成29年10月4日付けで、前記平成29年5月18日になされた手続補正が却下されるとともに拒絶査定がなされ、それに対して、平成29年12月21日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされ、これに対し、当審において、平成30年8月31日付けで拒絶の理由が通知され、平成30年10月23日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。

2 本願発明
本願の請求項1?2に係る発明は、平成30年10月23日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1?2に記載されたとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。
「A 複数の識別情報による変動表示ゲームを実行し、前記変動表示ゲームの結果態様に応じて、遊技者にとって有利な特別遊技状態を発生可能な遊技機において、
B 遊技の進行を制御する遊技制御装置と、この遊技制御装置から送信されるコマンドに基づいて演出手段を制御して演出を行う演出制御装置と、を備え、
C 一つの前記コマンドは複数バイトのデータで構成され、
D 前記遊技制御装置は、所定の周期Twで最大数のデータ量Bsとなる数の前記コマンドを送信可能とし、
E 前記演出制御装置は、
受信領域のコマンドが複写されるリングバッファ方式であるコマンドバッファ領域と、前記コマンドバッファ領域のコマンドが複写されるコマンド格納領域と、を備え、
F 前記コマンド受信領域は、前記コマンドのサイズと等しいバイト数の領域であり、
G 前記コマンドバッファ領域は、前記コマンド受信領域の整数倍の大きさであり、
H 前記コマンドを構成する先頭バイトのデータを受信すると所定のタイマの計時を開始し、当該コマンドを構成する最終バイトのデータを受信した時に前記タイマによる計時が所定時間以上経過していた場合は、受信した当該コマンドを前記コマンドバッファ領域へ複写しないようにし、
I 前記タイマによる計時が前記所定時間経過する前に前記最終バイトのデータを受信した場合は、受信した当該コマンドの正当性確認を実行し、異常と判定されない場合に当該コマンドを前記コマンドバッファ領域へ複写し、
J 受信したコマンドの解析を行う際は、前記コマンドバッファ領域に複写された前記コマンドを前記コマンド格納領域へ複写し、該コマンド格納領域に格納されたコマンドに対して解析を行い、
K 所定の周期Trで最大数のデータ量Brとなる数のコマンドを解析可能とし、
L 前記遊技制御装置と前記演出制御装置の関係は、Bs/Tw<Br/Tr、Tw<Tr、及びBs<Brという条件式の全てが成立するようにしたことを特徴とする遊技機。」(記号A?Lは、分説するため当審で付した。)

3 拒絶の理由
平成30年8月31日付けの当審で通知した拒絶理由は、概略、次のとおりのものである。
本件出願の平成29年12月21日付け手続補正で補正された請求項1?2に係る発明は、その出願前日本国内において頒布された下記の刊行物1?6に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。


引用例1:特開2006-34412号公報
引用例2:特開2005-323919号公報
引用例3:特開2012-120729号公報
引用例4:特開昭56-162558号公報
引用例5:特開昭64-68044号公報
引用例6:特開2001-112983号公報

4 引用例に記載された発明
(1)引用例1について
当審による拒絶理由において引用例1として引用された、本願の遡及日前に頒布された刊行物である特開2006-34112号公報には、図面とともに次の事項が記載されていると認められる(下線は当審で付した。以下同じ。)。
ア 「【技術分野】
【0001】
本発明は、アレンジボール遊技機またはじゃん球等に関するものである。
【背景技術】
【0002】
アレンジボールゲーム機、じゃん球、パチンコゲーム機及びコインゲーム機などの遊技機では、遊技者が発射装置により遊技球を発射し、その遊技球が特定入球口やゲートを通過した場合に、当選やハズレなどの内部抽選が行われる。これらの遊技機には、この内部抽選の途中経過や結果を遊技者に提示する画像表示装置が設けられている。遊技者は、画像表示装置により内部抽選の途中経過や結果を見ることにより遊技を楽しむ。」

イ 「【0009】
以上より、刻々と変化するゲーム状況に応じて、入球状態、内部抽選の途中経過又は抽選結果などが遅延無く液晶表示装置に表示され、また他の不自然な演出もないため、遊技者は違和感を感じることがなく、またゲームに対する緊迫感や面白みを感じることができる。
また、入球状態の判断処理を分散させることで、各判断処理における判断手段の負荷、つまりCPUの負荷を低減することができる。よって、CPUを含むシステム全体を安定化することができる。」

ウ 「【0060】「遊技機1は、遊技機1で実行されるゲームの主たる制御を行うメイン制御基板100A、貸出球や賞球の払出制御を行う払出制御基板100B、遊技球の発射制御を行う発射装置制御基板100C、球の貸し出しを行うカード式球貸機の制御を行う貸出制御基板100D、画像表示や音の演出の制御を行うサブ制御基板100E、及び液晶表示装置70の制御を行う表示制御基板100Fを含む。以下に、各ハード構成について説明する。
・・・
(1-2)第1及び第2クロック発生回路
第1クロック発生回路102は、CPU101によるメインプログラムの実行タイミングを制御するCLK信号を発生する。第2クロック発生回路103は、第1クロック発生回路102の周期とは異なるタイミングのINTR信号を発生する。ここで、INTR信号のタイミングは、例えば1ミリ秒である。
・・・
(1-5)CPU
CPU101は、電源が投入されると第1クロック発生回路102で発生したCLK信号のタイミングに基づいて、ROM104に格納されたメインプログラムを読み出して実行する。これにより後述のメイン処理が行われる。また、CPU101は、第2クロック発生回路103で発生されたINTR信号に応じて割込プログラムを実行する。これによりメイン処理の実行中に割込処理が行われる。」
・・・
【0064】
・・・
(3)サブ制御基板
サブ制御基板100Eは、メイン制御基板100Aからデータ送出回路106を介して各種コマンドを受信し、遊技盤2に設けられた電飾LED170の点灯を制御したり、BGMなどサウンドデータをスピーカ171から出力する。また、サブ制御基板100Eは、液晶表示装置70の表示制御にかかる表示コマンドを受信した場合には、そのコマンドを表示制御基板100Fへ表示コマンドを送出する。」
(4)表示制御基板
図12は、表示制御基板100Fのハード構成を示すブロック図である。表示制御基板100Fは、サブCPU180、ROM181、コマンドメモリ182、コマンドキューバッファ183、コマンド開始アドレステーブル184、第1ワークRAM185、第2ワークRAM186、第3ワークRAM187、入賞済RAM188及びRAM189を含む。
・・・
(4-2)コマンドメモリ
コマンドメモリ182は、後述の図23(a)に示すように、メイン制御基板100Aからサブ制御基板100Eに送出される各種コマンドを格納する。
(4-3)コマンドキューバッファ
コマンドキューバッファ183は、後述の図23(b)に示すように、コマンドメモリ182内のコマンドと、コマンド開始アドレステーブル184から取得したそのコマンドのプログラムの開始アドレスとを1つのコマンドデータとして格納する。
・・・
【0070】
遊技機1では、遊技者が効率良く大当たりを獲得し、利益を獲得するための遊技方法をあらかじめ上記のように設定しているため、遊技者に対して遊技に対する強い興趣性を与えることができる。ただし、遊技者による遊技は上記の方法に拘束されるものでは全くない。なお、上記大当たり作動に関するプログラムは、メイン制御基板100AのROM104に格納されている。
(5-2)大当たり作動の具体的内容
図13(a)乃至(e)は、上記の各遊技方法をさらに詳細に説明するための説明図である。各図における個々の作動、処理等については、紙面に対して左から右に向かって時系列的にゲームが進行する。
(5-2-1)大当たり作動の全体の流れ
図13(a)は、大当たり作動中の全体の流れを示す説明図である。大当たり作動状態ではない通常状態のゲームN1の後、ゲームN2でVゾーン61に遊技球が入球した場合、当ゲームN2の途中から大当たりが作動し、大当たり作動が開始する。そして、当ゲームN2を含めて14ラウンドの間、大当たり作動中となる。ここで、大当たり作動中のゲームのことをラウンドという。なお、1ラウンドのことをR1とも言う。」

エ 「【0100】
以下に、図17?図20を用いて割込処理の流れを説明する。割込処理では、乱数更新処理、発射球カウント処理、入球口入球処理、ゲート通過処理、誘導図柄変動中処理、特別入球口入球処理、特定領域排出処理、大当たりゲート通過処理及び大当たり特別入球口入球処理が順に行われる。
(1-2-1)乱数更新処理(ステップS100)
ステップS100:CPU101は、1ミリ秒毎のINTR信号に応答して割込プログラムを実行し、まず乱数値の更新を行う。具体的には、擬似乱数値を1加算してカウントアップすることにより擬似乱数値の更新を行う。そして、CPU101は、更新後の擬似乱数値をRAM105に記憶する。そして、CPU101は、所定の契機に基づいてこの擬似乱数値をRAM105から読み出す。この読み出された擬似乱数値が抽出された乱数値となる。」

オ 「【0132】
なお、割込が生じたメイン処理は、割込処理が終了すると、割込が生じた次のアドレスから再開して実行される。
(2-2)データ受信割込み処理
図22は、データ受信割込処理の流れを示すフローチャートの一例である。ここで、図23(a)は表示制御基板100F内のコマンドメモリ182に記憶されているコマンドの構成図であり、図23(b)はコマンドキューバッファ183に記憶されているコマンドデータの構成図であり、図23(c)は表示制御基板100F内のコマンド開始アドレステーブル184に記憶されているコマンド毎の開始アドレスの対応図である。
【0133】
ステップS210:サブCPU180は、サブ制御基板100Eを介してデータ送出回路106から液晶表示装置70での表示のためのデータを受信すると、上記メイン処理に割りこんで、ROM104からデータ受信割込プログラムを読み出し実行する。このとき、サブCPU180は、メイン制御基板100Aのデータ送出回路106から、液晶表示装置70での表示のためのコマンドを1バイトデータ受信する。
ここで、遊技機1では、メイン制御基板100Aから送出されるコマンドは2バイトデータで構成されている。データ送出回路106は、1つのコマンドを送出する場合、まず先頭データを送出し、引き続いて後続データを送出する。先頭データでは、最上位ビット(Bit7)は“1”にセットされ、後続データでは、最上位ビットは“0”にセットされている。サブCPU180は、この最上位ビットを参照することにより受信した1バイトデータが先頭データか後続データかを識別する。ここで、先頭データはコマンドの機能を示し、後続データはそのパラメータを示す。例えば、メイン制御基板100Aから表示制御基板100Fに対して発射球数が5球であることを通知する場合には、先頭データとして80H、後続データとして05Hをセットする。
【0134】
ステップS211?S213:次に、サブCPU180は、受信した1バイトデータの最上位ビットをチェックし、先頭データか後続データかを判定する(S211)。受信した1バイトデータが先頭データであった場合には、コマンドメモリ182の先頭データ用のコマンドメモリ182に受信データを格納し割込み処理を終了する(S212)。一方、受信したデータが後続データであった場合には、コマンドメモリ182の後続データ用のコマンドメモリ182に受信データを格納する(S213)。
このコマンドメモリ182は、図23(a)に示すように2バイトのメモリから構成される。コマンドメモリ182は、サブCPU180から先頭データ及び後続データを受信し、先頭データ及び後続データを1つのコマンドデータとして一時的に保存する。
【0135】
ステップS214、S215:次に、コマンドメモリ182に格納され、先頭データ及び後続データから構成されるコマンドデータが正当性のあるデータであるかのチェックを行う(S214)。正当なコマンドデータであるか否かの判断とは、予め定義されたコマンドであるか、パラメータが適正な範囲のデータかをチェックすることである。正当なコマンドデータでない場合は割込み処理を終了し、正当なコマンドデータである場合には次のステップに進む(S215)。
ステップS216:サブCPU180は、受信したコマンドデータが正当なコマンドデータであると判定した場合には、コマンド開始アドレステーブル184を参照し、受信したコマンドに応じたプログラムの開始アドレスを取得する。コマンド開始アドレステーブル184は、例えば図23(c)に示すように構成される。図23(c)のコマンド開始アドレステーブル184では、コマンド毎に先頭データのコード、後続データのパラメータの種類及びプログラムの開始アドレスなどが1レコードに記憶されている。ここで、開始アドレスとは、各コマンドに応じた処理プログラムが格納されている位置を示すものである。」
・・・
【0137】
ステップS217:続いて、サブCPU180は、コマンドメモリ182に記憶されている2バイトデータのコマンドデータとステップS216で取得した2バイトデータの開始アドレスとの計4バイトデータを、1つのコマンドとして図23(b)に示すコマンドキューバッファ183に格納する。
このコマンドキューバッファ183は、例えば256バイトからなるリングバッファで構成され、最大64個のコマンドが記憶される。このリングバッファは、書込みポインタ及び読込みポインタの2つのアドレスで管理される。書込みポインタは、サブCPU180がリングバッファに新たにコマンドを書込む位置を示すアドレス情報である。また、読込みポインタは、リングバッファからコマンド処理を実行する際にサブCPU180が読み出す位置を示すアドレス情報である。コマンドキューバッファ183にデータが存在しない場合には、書込みポインタと読込みポインタと同一になる。
【0138】
ステップS218:次に、サブCPU180は、コマンドキューバッファ183の書込みポインタを4アドレス分加算する。これは、図23(b)に示すように1つのコマンドデータ及び開始アドレスが4バイトデータで構成されているからである。なお、コマンドキューバッファ183は256バイトのリングバッファとして構成されているので、加算したアドレスが256バイトを超えた場合はアドレスを最初に戻す。
ステップS219:引き続き、サブCPU180は、コマンドカウンタCeを1加算する。このコマンドカウンタCeは、コマンドキューバッファ183に格納されていてまだ処理が実行されていないコマンド数を示す。その後、割込み処理を終了する。
(2-3)タイマ割込処理
次に、2ミリ秒毎に発生するタイマ割込処理について説明する。図24は、タイマ割処理の流れを示すフローチャートの一例である。タイマ割込処理は、主にコマンド処理と入球チェック処理から構成される。コマンド処理は、図24に示すステップS220?S224の処理で行われる。ステップS224で行われるコマンドの実行処理の一例として、入球口図柄コマンドの実行処理を図25に示す。また、入球チェック処理は、ステップS230で行われ、その具体的処理の一例を図27及び図28に示す。
・・・
【0140】
ステップS224:次に、サブCPU180は、受信したコマンドに基づいてコマンド実行処理を行う。サブCPU180は、コマンド実行処理を行うため、まず、対応するコマンドの開始アドレスをコマンド処理終了後の戻りアドレスとしてスタックメモリに記憶し、ステップS221で取得した開始アドレスをサブCPUのプログラムカウンタにセットする。そして、当該開始アドレスにプログラムを移行する。例えば、サブCPU180が入球口図柄コマンドを受信した場合、サブCPU180は、後述の図25に示す入球口図柄を記憶するための入球口図柄コマンド処理を実行する。」

カ 「遊技機1のハード構成と遊技機1の各部との対応関係を示すブロック図」である【図11】には、遊技機1が、メイン制御基板100Aとサブ制御基板100Eを備え、サブ制御基板100Eに表示制御基板100Fが接続されることが図示されている。

キ 「表示制御基板100Fのハード構成を示すブロック図」である【図12】には、表示制御基板100Fが、コマンドメモリ182とコマンドキューバッファ183を備えることが図示されている。

ク 【図23】(b)は、コマンドキューバッファ183に記憶されているコマンドデータの構成図である。

ケ 上記ア?オの記載事項、及び、カ?クの図示内容を総合勘案すると、引用例1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認められる(a?lは、本願発明のA?Lに対応させて付与した。)。
「a 遊技者が大当たりを獲得可能な遊技機1(【0070】)において、
b 実行されるゲームの主たる制御を行うメイン制御基板100Aと、
メイン制御基板100Aからデータ送出回路106を介して各種コマンドを受信する、画像表示や音の演出の制御を行うサブ制御基板100Eを備え(【0060】、【0064】、【図11】)、
c 1つのコマンドは、1バイトの先頭データと1バイトの後続データからなる2バイトデータで構成され(【0133】、【0134】)、
d CPU101は、第2クロック発生回路103において、1ミリ秒のタイミングで発生されるINTR信号に応じて割込プログラムを実行し、データ送出回路106により1つのコマンドを送出する場合、まず先頭データを送出し、引き続いて後続データを送出し(【0060】、【0100】)、
e サブ制御基板100Eからコマンドが送出される表示制御基板100Fは、メイン制御基板100Aから送出される各種コマンドを格納するコマンドメモリ182と、コマンドメモリ182内のコマンドと、コマンド開始アドレステーブル184から取得したそのコマンドのプログラムの開始アドレスとを1つのコマンドデータとして格納するコマンドキューバッファ183を備え(【0064】、【図11】、【図12】)、
f コマンドメモリ182は、2バイトのメモリから構成され(【0134】、【図23】(a))、
g コマンドキューバッファ183は、256バイトからなるリングバッファで構成され(【0137】、【図23】(b))、
i サブCPU180は、コマンドメモリ182に格納された、先頭データ及び後続データから構成されるコマンドデータが正当性のあるデータであるかのチェックを行い、正当なコマンドデータである場合には1つのコマンドとしてコマンドキューバッファ183に格納する(【0133】、【0135】、【0137】)
j サブCPU180は、コマンドキューバッファ183に格納されているコマンドに対してコマンド実行処理を行い(【0137】、【0138】、【0140】)、
k、l サブCPU180は、2ミリ秒毎に発生するタイマ割込処理により、コマンドキューバッファ183に格納されていている、1つのコマンドとしての2バイトデータのコマンドデータと2バイトデータの開始アドレスとの計4バイトデータに基づいてコマンド実行処理を行う(【0137】、【0138】)
遊技機1(【0005】)。」

(2)引用例2について
当審による拒絶理由において引用例2として引用された、本願の遡及日前に頒布された刊行物である特開2005-323919号公報には、図面とともに次の事項が記載されていると認められる。
ア 「【請求項1】
遊技球が入賞または通過可能な始動遊技装置と、
少なくとも所定の図柄を変動表示して確定表示するスロットゲームを実行する画像表示装置と、
遊技者にとって有利となる状態と不利となる状態とに変換可能な可変入賞装置と、
上記始動遊技装置に入賞または通過した遊技球を検出する始動遊技球検出手段と、
該始動遊技球検出手段が遊技球を検出したことに基づいて、上記画像表示装置が実行する上記スロットゲームの表示制御を行う制御手段と、
上記スロットゲームの結果、上記画像表示装置に確定表示された図柄が大当り図柄である場合には、上記可変入賞装置を所定の態様に変換制御して遊技者にとって有利な特別遊技を発生させる特別遊技発生手段と、
上記スロットゲームの結果、上記画像表示装置に確定表示された図柄が特定の図柄である場合には、上記特別遊技の発生に係わり遊技者にとって有利な特定遊技を発生させる特定遊技発生手段と、
を備えた遊技機であって、
上記画像表示装置は、少なくとも第1画像表示装置と第2画像表示装置とが設けられ、
該第1画像表示装置と該第2画像表示装置とで、上記特定の図柄が確定表示される確率を異なるように設定する確率設定手段を備えたことを特徴とする遊技機。」

イ 「【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ機等の遊技機に係わり、特に画像表示装置に所定の図柄を変動表示させて大当りの抽選を行う表示制御機能を有する遊技機に関する。
・・・
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記従来技術1においては、単一の特別図柄表示装置、大入賞口及び始動入賞口にて構成されており、スロットゲームや大当り遊技は、同じ特別図柄表示装置や大入賞口を用いて実行されるようになっているので、遊技内容が単調となって今一興趣に欠けるものとなり、従って遊技者は、遊技性の面で物足りなさを感じるという問題点があった。
・・・
【0008】
本発明は、上記した問題点の少なくとも1つを解決するためになされたもので、その目的とするところは、スロットゲームや大当り遊技の興趣を向上させることができると共に、スロットゲームの消化を迅速にしてオーバーフローの発生を減少させることのできる遊技機を提供することにある。」

ウ 「【0050】
次に遊技機1の遊技機1の裏側に設けられた遊技機制御装置100を図3を用いて説明する。遊技機制御装置100は図3に示すように構成され、遊技機制御装置100を主に構成する主制御回路44は、入力回路101、出力回路110、ワンチップマイクロコンピュータ27及びこれらを接続するバス115(データバス、アドレスバス、コントロールバス等)とを備えており、入力回路101を介して取得した各センサやスイッチからの信号に基づいて、ワンチップマイクロコンピュータ27が出力回路110に接続されている各種回路や機器等を制御するための所定の制御プログラムを実行する。また、ワンチップマイクロコンピュータ27は、制御プログラムを実行するCPU102、CPU102が実行する制御プログラムを格納するROM103及びCPU102が処理するデータを一時的に記憶するRAM104が内蔵されている。
・・・
【0054】
次に、図4を参照して表示制御回路111について説明する。図4に示すように、表示制御回路111は、主制御回路44の出力回路110から一方向のストローブ信号や表示制御用コマンド信号等の制御信号が入力されることにより、特別図柄表示装置6a、6bの画像表示部30a、30bにて表示する2次元や3次元のスクロール表示等に係わる画像処理のための表示制御を実行すると共に、大当り演出画像に係わる画像データを出力する。このため、表示制御回路111は、CPU140と、RAM141と、ROM142と、VDP143と、VRAM(ビデオRAM)144と、キャラクタROM145と、入力インターフェース146と、リセット回路147と、発振回路148と、タイミングコントローラ149と、LCD駆動回路150a、150bとを備えている。」

エ 「【0215】
次に、表示制御回路111が実行する処理について詳述する。図45は、主制御回路44から出力されたストローブ信号が表示制御回路111のCPU140のINT端子に入力されることにより実行されるストローブ信号割込み処理である。INT端子にストローブ信号が入力されると、CPU140は、ステップS701の処理にて表示制御用コマンド信号を受信し、ステップS703の処理へ移行して、ここで受信した表示制御用コマンドをRAM141の所定の記憶エリアに格納する。

オ 「【0238】
図47は、表示制御回路111のCPU140が実行する表示メイン制御処理(メインルーチン)を示すフローチャートである。電源投入直後、CPU140は初期化処理(ステップS710)として、スタックの設定や以下の処理に必要な各フラグ、各レジスタ及び各記憶エリア等の初期化を行う。CPU140は、ステップS710の初期化処理を終了すると、ステップS712の処理に移行して、ここで上記したストローブ信号割込み処理にて表示制御用コマンド信号を受信しているか否かを判定する。そして、表示制御用コマンド信号を受信していない場合(ステップS712にてNO)には、ステップS724の処理へ移行する。
【0239】
一方、表示制御用コマンド信号を受信している場合(ステップS712にてYES)には、CPU140は、ステップS714の処理に移行して、受信している表示制御用コマンドの解読を行う。このステップS714の処理においては、CPU140は、上記したストローブ信号割込み処理のステップS703の処理にてRAM141の所定の記憶エリアに格納した表示制御用コマンドデータを、解読用に確保しているRAM141の所定の記憶エリアにコピーし、この解読用の記憶エリアからコピーしたデータを読み出すことにより表示制御用コマンドの解読を行うようになっている。このようにすると、上書きされること等により受信した表示制御用コマンドデータが消去されてしまうことを防止する効果がある。ステップS714の処理を終えると、CPU140は、ステップS724の処理に移行する。なお、このステップS714の処理では、CPU140は、表示制御用コマンド信号に付与された特別図柄表示装置6aまたは6bの何れに対する表示指示かを識別するための識別子も解読する。」

カ 上記ア?オの記載事項、及び、図面の図示内容を総合勘案すると、引用例2には、次の技術事項(以下「引用例2に記載された技術事項」という。)が記載されているものと認められる。
「a 所定の図柄を変動表示して確定表示するスロットゲームの結果に応じて遊技者にとって有利な特別遊技を発生させる遊技機(【請求項1】)において、
b 主制御回路44と、主制御回路44から表示制御用コマンド信号等の制御信号が入力される表示制御回路111(【0054】)と、を備え、
d 表示制御回路111のCPU140は、RAM141の所定の記憶エリアに格納した表示制御用コマンドデータをコピーする、解読用に確保しているRAM141の所定の記憶エリアを備え(【0215】、【0239】)、
i 解読用の所定の記憶エリアからコピーしたデータを読み出すことにより表示制御用コマンドの解読を行う(【0239】)
遊技機(【0001】)。」

(3)引用例3について
当審による拒絶理由において引用例3として引用された、本願の遡及日前に頒布された刊行物である特開2012-120729号公報には、図面とともに次の事項が記載されていると認められる。

ア 「【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技演出音を出力可能なスピーカと、識別情報を変動表示可能な表示装置と、スピーカから出力される遊技演出音の音量を所定の設定操作により変更可能な音量設定手段と、遊技の進行を管理する遊技制御手段からの制御指令信号に基づいて表示装置における表示の制御を行うとともにスピーカに出力する遊技演出音の制御を行う演出制御手段とを備えた遊技機に関する。」

イ 「【0151】
次に、上記演出制御装置300の主制御用マイコン(1stCPU)311によって実行される制御について説明する。
主制御用マイコン311による制御処理は、図18に示す1stメイン処理と、所定時間ごと(例えば2msecごと)に行われる図19に示すコマンド受信割込み処理とからなる。1stメイン処理では、プログラム全体の制御を行うようになっている。
【0152】
〔1stメイン処理〕
先ず、1stメイン処理について図18に示すフローチャートを用いて説明する。
図18に示すように、1stメイン処理においては、先ず、割込みを禁止する処理(ステップB1)を行ってから、RAMを0クリアする処理(ステップB2)を行い、1stCPU311の初期化処理(ステップB3)を行う。
次に、RAMに初期値を設定する処理(ステップB4)を行い、乱数初期化処理(ステップB5)を行う。その後、各種割込みのタイマを起動する処理(ステップB6)を行い、割込みを許可する(ステップB7)。その後、主制御用マイコン311は、メインループ処理ステップB8?B18を行う。
【0153】
このメインループ処理では、先ず、ウォッチドッグタイマ(WDT)をクリアする処理(ステップB8)を行う。そして、演出ボタンSW25aからの入力処理(ステップB9)を行い、遊技制御コマンド解析処理(ステップB10)を行う。
この遊技制御コマンド解析処理では、遊技制御装置100から送信される遊技に関するコマンドを正しく受信したかを判定し、正しく受信していた場合にはコマンドを確定する処理を行う。遊技制御装置100から送信される一つのコマンドは、第1コマンド(MODE)と、第2コマンド(ACTION)との一対のデータにより構成されている。
そして、受信した第1コマンド(MODE)と第2コマンド(ACTION)の組み合わせが矛盾しない場合(例えば、MODE→ACTIONの順に受信した場合)に正しくコマンドを受信したと判定し、第1コマンド(MODE)と第2コマンド(ACTION)の組み合わせが矛盾する場合(例えば、ACTION→ACTIONの順やMODE→MODE→MODEの順に受信した場合)にコマンドの受信が異常であると判定するようになっている。
【0154】
続いて、テストモード処理(ステップB11)を行った後、特図変動表示ゲームに関する処理を行うシーン制御処理(ステップB12)を行う。
次いで、前面枠(内枠)12やガラス枠15の開放などのエラー発生の監視を行う遊技機エラー監視処理(ステップB13)、特図変動表示ゲームにおける演出に関する演出コマンド編集処理(ステップB14)、音声の出力に関する処理(スピーカ19a、19bの駆動処理)であるサウンド制御処理(ステップB15)、前面枠12に設けられた枠装飾装置18の制御に関する処理である装飾制御処理(ステップB16)、センターケース40に設けられた役物等を駆動させる盤演出モータ/SOL制御回路334の制御に関するモータ/SOL制御処理(ステップB17)、飾り特図変動表示ゲームの変動態様(変動パターン)等の詳細を決定する乱数を更新する乱数更新処理(ステップB18)を行い、ウォッチドッグタイマをクリアする処理(ステップB8)に戻る。
【0155】
〔コマンド受信割込み処理〕
次に、コマンド受信割込み処理について図19に示すフローチャートを用いて説明する。
図19に示すように、このコマンド受信割込み処理では、先ず、遊技制御装置100から送信されたコマンドのポートの値を取り込む処理(ステップB21)を行う。そして、MODEコマンドの待機中であるか否かの判定(ステップB22)を行う。
ここで、MODEコマンドの待機中である場合(ステップB22;Yes)は、さらにデータストローブ信号SSTBがONの状態であるか否かを判定(ステップB23)し、データストローブ信号SSTBがONの状態である場合(ステップB23;Yes)は、受信したコマンドがMODEコマンドであるか否かを判定(ステップB24)する。
【0156】
そして、受信したコマンドがMODEコマンドである場合(ステップB24;Yes)は、受信ポインタに対応するコマンドバッファのアドレスを算出する処理(ステップB25)を行い、算出後のアドレスに当該コマンドをMODEコマンドとしてセーブする処理(ステップB26)を行う。
続いて、タイムアウト監視タイマに初期値を設定し、当該タイマをスタートさせる処理(ステップB27)を行った後、ACTIONコマンド待ち状態に設定する処理(ステップB28)を行い、コマンド受信割込み処理を終了する。
また、ステップB23において、データストローブ信号SSTBがONの状態でない(No)と判定した場合、又はステップB24において、受信したコマンドがMODEコマンドでない(No)と判定した場合は、タイムアウト監視タイマを停止する処理(ステップB37)を行い、MODEコマンド待ち状態に設定する処理(ステップB38)を行い、コマンド受信割込み処理を終了する。
【0157】
また、ステップB22において、MODEコマンド待機中でない場合、即ち、ACTIONコマンド待機中の場合(ステップB22;No)は、タイムアウト監視タイマがタイムアウトとなったか否かを判定する(ステップB29)。
ここで、タイムアウトとなっていない場合(ステップB29;No)は、データストローブ信号SSTBがONの状態であるか否かを判定(ステップB30)し、データストローブ信号SSTBがONの状態である(Yes)と判定した場合は、受信したコマンドがMODEコマンドであるか否かを判定する(ステップB31)。
【0158】
そして、受信したコマンドがMODEコマンドでない場合(ステップB31;No)は、受信ポインタに対応するコマンドバッファのアドレスを算出する処理(ステップB32)を行い、算出後のアドレスに当該コマンドをACTIONコマンドとしてセーブする処理(ステップB33)を行う。
続いて、受信済みコマンド数の値を+1更新する処理(ステップB34)を行った後、タイムアウト監視タイマを停止する処理(ステップB37)を行い、MODEコマンド待ち状態に設定する処理(ステップB38)を行い、コマンド受信割込み処理を終了する。
【0159】
また、ステップB29において、タイムアウト(Yes)となった場合、又はステップB30において、データストローブ信号SSTBがONの状態でない場合(ステップB30;No)は、ステップB35へ移行し、受信ポインタに対応するコマンドバッファのアドレスを算出する処理(ステップB35)を行い、算出されたアドレスのコマンドバッファにセーブされているMODEコマンドを破棄する処理(ステップB36)を行う。
それから、タイムアウト監視タイマを停止する処理(ステップB37)を行い、MODEコマンド待ち状態に設定する処理(ステップB38)を行い、コマンド受信割込み処理を終了する。また、ステップB31において、受信したコマンドがMODEコマンドである(Yes)と判定した場合は、ステップB25へ移行し、それ以降の処理を行う。」

ウ 上記ア?イの記載事項、及び、図面の図示内容を総合勘案すると、引用例3には、次の技術事項(以下「引用例3に記載された技術事項」という。)が記載されているものと認められる。
「一つのコマンドを、第1コマンド(MODE)と、第2コマンド(ACTION)との一対のデータにより構成し、
演出制御装置300は、
遊技制御コマンド解析処理により、遊技制御装置100から送信される第1コマンド(MODE)と第2コマンド(ACTION)の組み合わせが矛盾しない場合に正しくコマンドを受信したと判定するとともに、
コマンド受信割込み処理により、受信したコマンドがMODEコマンドである場合は、タイムアウト監視タイマをスタートさせる処理を行った後、ACTIONコマンド待ち状態に設定する処理を行い、
・次に受信したコマンドがMODEコマンドでない場合において、タイムアウト監視タイマがタイムアウトとなっていない場合は、ACTIONコマンドとしてセーブする処理を行い、
・タイムアウトとなった場合は、コマンドバッファにセーブされているMODEコマンドを破棄する処理を行う
遊技機(【0151】?【0159】)。」

5 対比
本願発明と引用発明とを、分説に従い対比する。
(a)引用発明における「遊技者が大当たりを獲得可能な」ことは、本願発明における「遊技者にとって有利な特別遊技状態を発生可能な」ことに相当する。
したがって、引用発明における構成aの「遊技者が大当たりを獲得可能な遊技機1」と、本願発明における構成Aの「複数の識別情報による変動表示ゲームを実行し、変動表示ゲームの結果態様に応じて、遊技者にとって有利な特別遊技状態を発生可能な遊技機」とは、「遊技者にとって有利な特別遊技状態を発生可能な遊技機」である点で共通する。

(b)引用発明における「実行されるゲームの主たる制御を行うメイン制御基板100A」は、本願発明における「遊技の進行を制御する遊技制御装置」に相当する。
そして、引用発明における「メイン制御基板100Aからデータ送出回路106を介して各種コマンドを受信する」ことは、本願発明における「遊技制御装置から送信されるコマンドに基づ」くことに相当する。
また、引用発明における「画像表示や音の演出の制御を行う」ことは、本願発明における「演出手段を制御して演出を行う」ことに相当する。
したがって、引用発明における「サブ制御基板100E」は、本願発明における「演出制御装置」に相当する。

(c)引用発明における「1つのコマンド」は、本願発明における「一つのコマンド」に相当する。
そして、引用発明における「1バイトの先頭データと1バイトの後続データからなる2バイトデータで構成され」ることは、本願発明における「複数バイトのデータで構成され」ることに相当する。
したがって、引用発明における「1つのコマンドは、1バイトの先頭データと1バイトの後続データからなる2バイトデータで構成され」ることは、本願発明における「一つのコマンドは複数バイトのデータで構成され」ることに相当する。

(d)引用発明は、1ミリ秒のタイミングで、1つのコマンドを送出しているので、引用発明における「1ミリ秒のタイミング」は、本願発明における「所定の周期Tw」に相当する。
そして、引用発明において、「先頭データ」と「後続データ」は、構成cより、コマンドの構成要素、すなわち、コマンド自体であるといえる。
そうすると、引用発明における「先頭データを送出し、引き続いて後続データを送出」することは、「先頭データ」あるいは、「後続データ」コマンドを、「1バイト」をデータ量の最大の送信単位とするものであるから、本願発明における「最大数のデータ量Bsとなる数のコマンドを送信可能と」することに相当する。
したがって、引用発明における構成dの「第2クロック発生回路103において、1ミリ秒のタイミングで発生されるINTR信号に応じて割込プログラムを実行し、データ送出回路106により1つのコマンドを送出する場合、まず先頭データを送出し、引き続いて後続データを送出」する「CPU101」は、本願発明における構成Dの「所定の周期Twで最大数のデータ量Bsとなる数のコマンドを送信可能と」する「遊技制御装置」としての機能を有する。

(e)引用発明の「サブ制御基板100E」は、構成bより「画像表示や音の演出の制御を行う」ものであって、「画像表示」「の演出の制御」は、「サブ制御基板100E」からの指令に基づき「表示制御基板100F」が行うものである。
そして、上記(b)より、引用発明における「サブ制御基板100E」は、本願発明における「演出制御装置」に相当することから、「サブ制御基板100E」からの指令に基づき制御を行う「表示制御基板100F」も、本願発明における「演出制御装置」に相当するものである。
そして、引用発明における「コマンドメモリ182」は、「各種コマンドを格納する」ものであるから、本願発明における「受信領域」に相当する。
また、引用発明において、「コマンドキューバッファ183」は、構成gにより「リングバッファで構成され」るものであることから、引用発明における「コマンドメモリ182内のコマンドと、コマンド開始アドレステーブル184から取得したそのコマンドのプログラムの開始アドレスとを1つのコマンドデータとして格納するコマンドキューバッファ183」は、本願発明における「受信領域のコマンドが複写されるリングバッファ方式であるコマンドバッファ領域」に相当する。
したがって、引用発明における構成eの「メイン制御基板100Aから送出される各種コマンドを格納するコマンドメモリ182、コマンドメモリ182内のコマンドと、コマンド開始アドレステーブル184から取得したそのコマンドのプログラムの開始アドレスとを1つのコマンドデータとして格納するコマンドキューバッファ183を備え」る「サブ制御基板100Eからコマンドが送出される表示制御基板100F」と、本願発明における「受信領域のコマンドが複写されるリングバッファ方式であるコマンドバッファ領域と、コマンドバッファ領域のコマンドが複写されるコマンド格納領域と、を備え」る「演出制御装置」とは、「受信領域のコマンドが複写されるリングバッファ方式であるコマンドバッファ領域」を備える「演出制御装置」である点で共通する。

(f)引用発明は、構成cより「1つのコマンドは」「2バイトデータで構成され」ることから、「2バイトのメモリから構成され」る「コマンドメモリ182」は、コマンドのサイズと等しいサイズのメモリ容量を有するものである。
また、上記(e)より引用発明における「コマンドメモリ182」は、本願発明における「受信領域」に相当する。
したがって、引用発明における構成fの「コマンドメモリ182は、2バイトのメモリから構成され」ることは、本願発明における構成Fの「コマンド受信領域は、コマンドのサイズと等しいバイト数の領域であ」ることに相当する。

(g)上記(e)より、引用発明における「コマンドキューバッファ183」は、本願発明における「コマンドバッファ領域」に相当する。
そして、引用発明において、「コマンドキューバッファ183は、256バイトからなる」ものである。
また、引用発明における「コマンドメモリ182」は、構成cより「2バイトのメモリから構成され」るものであり、上記(f)より本願発明における「コマンド受信領域」に相当するものである。
ここで、「コマンドキューバッファ183」のメモリ容量である「256バイト」は、「コマンドメモリ182」のメモリ容量である「2バイト」の128倍、すなわち、整数倍の大きさである。
したがって、引用発明における構成gの「コマンドキューバッファ183は、256バイトからなるリングバッファで構成され」ることは、本願発明における構成Gの「コマンドバッファ領域は、コマンド受信領域の整数倍の大きさであ」ることに相当する。

(i)引用発明における「コマンドメモリ182に格納された、先頭データ及び後続データから構成されるコマンドデータが正当性のあるデータであるかのチェックを行」うことは、本願発明における「受信したコマンドの正当性確認を実行」することに相当する。
そして、引用発明における「正当なコマンドデータである場合」は、本願発明における「異常と判定されない場合」に相当する。
また、引用発明における「1つのコマンドとしてコマンドキューバッファ183に格納する」ことは、本願発明における「コマンドをコマンドバッファ領域へ複写」することに相当する。
したがって、引用発明における構成iの「コマンドメモリ182に格納された、先頭データ及び後続データから構成されるコマンドデータが正当性のあるデータであるかのチェックを行い、正当なコマンドデータである場合には1つのコマンドとしてコマンドキューバッファ183に格納する」ことと、本願発明における構成Iの「タイマによる計時が所定時間経過する前に最終バイトのデータを受信した場合は、受信した当該コマンドの正当性確認を実行し、異常と判定されない場合に当該コマンドを前記コマンドバッファ領域へ複写」することとは、「受信したコマンドの正当性確認を実行し、異常と判定されない場合に当該コマンドをコマンドバッファ領域へ複写」することで共通する。

(j)引用発明における「コマンド実行処理を行」うことは、コマンドを解析して、解析された内容の処理を行うことであるから、引用発明における「コマンド実行処理を行」うことと、本願発明における「受信したコマンドの解析を行う」こととは、「受信したコマンドの解析を行う」ことで共通する。
同様に、引用発明における「コマンドキューバッファ183に格納されているコマンドに対してコマンド実行処理を行」うことと、本願発明における「コマンドバッファ領域に複写されたコマンドをコマンド格納領域へ複写し、該コマンド格納領域に格納されたコマンドに対して解析を行」うこととは、「コマンドバッファ領域に複写されたコマンドに対して解析を行」うことで共通する。
したがって、引用発明における「コマンドキューバッファ183に格納されているコマンドに対してコマンド実行処理を行」うことと、本願発明における「受信したコマンドの解析を行う際は、コマンドバッファ領域に複写されたコマンドを前記コマンド格納領域へ複写し、該コマンド格納領域に格納されたコマンドに対して解析を行」うこととは、「受信したコマンドの解析を行う際は、コマンドバッファ領域に複写されたコマンドに対して解析を行」うことで共通する。

(k)引用発明は、2ミリ秒毎に、コマンド実行処理を行うものであるので、引用発明における「タイマ割込処理」の「発生する」「2ミリ秒毎」は、本願発明における「所定の周期Tr」に相当する。
そして、引用発明において、「4バイトデータ」は、「コマンド実行処理を行」う際に処理されるデータ量の最大処理単位であるから、引用発明における「1つのコマンドとしての2バイトデータのコマンドデータと2バイトデータの開始アドレスとの計4バイトデータ」は、本願発明における「最大数のデータ量Brとなる数のコマンド」に相当する。
また、上記(j)より、引用発明における「コマンド実行処理」は、本願発明における「コマンドに対して解析を行」う処理に相当することから、引用発明における「コマンドに基づいてコマンド実行処理を行」うことは、本願発明における「コマンドを解析可能と」することに相当する。
したがって、引用発明における構成k、lの「2ミリ秒毎に発生するタイマ割込処理により、コマンドキューバッファ183に格納されていている、2バイトデータのコマンドデータと2バイトデータの開始アドレスとの計4バイトデータからなるコマンドに基づいてコマンド実行処理を行」うことは、本願発明における「所定の周期Trで最大数のデータ量Brとなる数のコマンドを解析可能と」することに相当する。

(l)上記(c)?(d)、(k)より、引用発明における「1ミリ秒のタイミング」、「1バイトの先頭データと1バイトの後続データ」、「2ミリ秒毎」、「2バイトデータのコマンドデータと2バイトデータの開始アドレスとの計4バイトデータ」は、それぞれ、本願発明における「所定の周期Tw」、「最大数のデータ量Bs」、「所定の周期Tr」、「最大数のデータ量Br」に相当する。
そして、引用発明において、「1バイトデータ」<「4バイトデータ」の条件が成立し、また、「1ミリ秒」<「2ミリ秒」の条件が成立し、さらに、「1バイトデータ」/「1ミリ秒」<「4バイトデータ」/「2ミリ秒」の条件が成立することから、引用発明における「1ミリ秒のタイミング」、「1つのコマンド」を「構成」する「1バイトデータ」、「2ミリ秒毎」、「2バイトデータのコマンドデータと2バイトデータの開始アドレスとの計4バイトデータ」は、本願発明における「Bs/Tw<Br/Tr、Tw<Tr 、及びBs<Brという条件式の全てが成立する」なる関係を満たすものである。
上記(a)より、引用発明における「遊技機1」は、本願発明における「遊技機」に相当する。
したがって、引用発明における構成k、lは、本願発明における構成Lに相当する。

上記(a)?(l)における本願発明と引用発明との対比から、本願発明と引用発明とは、
「A’遊技者にとって有利な特別遊技状態を発生可能な遊技機において、
B 遊技の進行を制御する遊技制御装置と、この遊技制御装置から送信されるコマンドに基づいて演出手段を制御して演出を行う演出制御装置と、を備え、
C 一つの前記コマンドは複数バイトのデータで構成され、
D 前記遊技制御装置は、所定の周期Twで最大数のデータ量Bsとなる数の前記コマンドを送信可能とし、
E’前記演出制御装置は、
受信領域のコマンドが複写されるリングバッファ方式であるコマンドバッファ領域を備え、
F 前記コマンド受信領域は、前記コマンドのサイズと等しいバイト数の領域であり、
G 前記コマンドバッファ領域は、前記コマンド受信領域の整数倍の大きさであり、
I’受信した当該コマンドの正当性確認を実行し、異常と判定されない場合に当該コマンドを前記コマンドバッファ領域へ複写し、
J’受信したコマンドの解析を行う際は、前記コマンドバッファ領域に複写された前記コマンドに対して解析を行い、
K 所定の周期Trで最大数のデータ量Brとなる数のコマンドを解析可能とし、
L 前記遊技制御装置と前記演出制御装置の関係は、Bs/Tw<Br/Tr、Tw<Tr 、及びBs<Brという条件式の全てが成立するようにした遊技機。」である点で一致し、構成A、E、H?Jに関し、次の点で相違する。

[相違点1](構成A)
特別遊技状態に関して、
本願発明は、複数の識別情報により実行される変動表示ゲームの結果態様に応じて発生可能であるのに対して、
引用発明は、そのような構成を備えていない点。

[相違点2](構成E)
演出制御装置に関して、
本願発明は、コマンドバッファ領域のコマンドが複写されるコマンド格納領域を備えるのに対して、
引用発明は、そのような構成を備えていない点。

[相違点3](構成H)
本願発明は、コマンドを構成する先頭バイトのデータを受信すると所定のタイマの計時を開始し、当該コマンドを構成する最終バイトのデータを受信した時にタイマによる計時が所定時間以上経過していた場合は、受信した当該コマンドをコマンドバッファ領域へ複写しないようにするのに対して、
引用発明は、そのような構成を備えていない点。

[相違点4](構成I)
受信したコマンドの正当性確認に関して、
本願発明は、タイマによる計時が所定時間経過する前に最終バイトのデータを受信した場合に実行されるのに対して、
引用発明は、そのような構成を備えるか否か明らかでない点。

[相違点5](構成J)
受信したコマンドの解析の実行に関し、
本願発明は、コマンドバッファ領域に複写されたコマンドをコマンド格納領域へ複写し、該コマンド格納領域に格納されたコマンドに対して解析を行うのに対して、
引用発明は、コマンドキューバッファ183に格納されているコマンドに対してコマンド実行処理を行うが、コマンド格納領域を備えないため、本願発明のコマンドバッファ領域に複写されたコマンドをコマンド格納領域へ複写し、該コマンド格納領域に格納されたコマンドに対して解析を行う構成を備えていない点。

6 当審の判断
(1)相違点1(構成A)について
相違点1について検討する。
パチンコ機の遊技機の技術分野において、複数の識別情報により実行された変動表示ゲームの結果態様に応じて特別遊技状態を発生可能とすることは、本願の遡及日前に広く行われていた技術事項である(例えば、特開2005-323919号公報(引用例2として提示した文献)の【請求項1】に「・・・所定の図柄を変動表示して確定表示するスロットゲームを実行する画像表示装置と、・・・上記スロットゲームの結果、上記画像表示装置に確定表示された図柄が大当り図柄である場合には、上記可変入賞装置を所定の態様に変換制御して遊技者にとって有利な特別遊技を発生させる特別遊技発生手段と、・・・を備えた遊技機・・・」と記載され、特開2012-120729号公報(引用例3として提示した文献)の【0040】に「遊技制御装置100は、・・・特図1表示器または特図2表示器(変動表示装置)で第1または第2特図変動表示ゲームを行う。・・・そして、特図変動表示ゲームの結果として、特図1表示器若しくは特図2表示器の表示態様が特別結果態様となった場合には、大当りとなって特別遊技状態(いわゆる、大当り状態)となる。」と記載されている。以下「周知の技術事項1」という。)。
そして、引用例1には、その背景技術として、【0002】に「アレンジボールゲーム機、じゃん球、パチンコゲーム機及びコインゲーム機などの遊技機では、遊技者が発射装置により遊技球を発射し、その遊技球が特定入球口やゲートを通過した場合に、当選やハズレなどの内部抽選が行われる。これらの遊技機には、この内部抽選の途中経過や結果を遊技者に提示する画像表示装置が設けられている。遊技者は、画像表示装置により内部抽選の途中経過や結果を見ることにより遊技を楽しむ。」と記載されている。この記載によると、アレンジボールゲーム機、じゃん球、パチンコゲーム機及びコインゲーム機などの遊技機は、その種類が異なっていても、内部抽選の途中経過や結果を遊技者に提示する画像表示装置が設けられ、遊技者は、画像表示装置により内部抽選の途中経過や結果を見ることにより遊技を楽しむ遊技機である点で共通する。
したがって、引用発明に記載された遊技機にパチンコ機に関する上記周知の技術事項1を適用して、複数の識別情報により実行された変動表示ゲームの結果態様に応じて特別遊技状態を発生可能とし、上記相違点1に係る本願発明の構成Aとすることは当業者が容易になし得たものである。

(2)相違点2、5(構成E、構成J)
相違点2、5は、コマンド格納領域に関するものであって、互いに関連する技術であるのでまとめて検討する。
引用例2に記載された技術事項における「コピーする」前における「表示制御用コマンドデータ」を「格納」する「RAM141の所定の記憶エリア」は、本願発明における「コマンドが複写される」「コマンドバッファ領域」に相当する。
同様に、引用例2に記載された技術事項における「解読用に確保しているRAM141の所定の記憶エリア」は、本願発明における「コマンド格納領域」に相当する。
そして、引用例2に記載された技術事項における「コピーする」こと、「表示制御用コマンドの解読を行う」ことは、それぞれ、本願発明における「複写される」こと、「コマンドに対して解析を行う」ことに相当する。
したがって、引用例2に記載された技術事項は、本願発明における「コマンドが複写される」「コマンドバッファ領域」と、「コマンドバッファ領域のコマンドが複写されるコマンド格納領域」「を備え、」「受信したコマンドの解析を行う際は、コマンドバッファ領域に複写されたコマンドをコマンド格納領域へ複写し、該コマンド格納領域に格納されたコマンドに対して解析を行」う構成に対応するといえる。
そして、引用例2に記載された技術事項は、構成dを備えることにより【0239】に記載された「受信した表示制御用コマンドデータが消去されてしまうことを防止する」という効果を奏するものである。
また、引用発明と引用例2に記載された技術事項とは、大当たりを発生可能であり、メイン制御基板からサブ制御基板に送信されたコマンドに基づく処理を行う遊技機である点で共通するものである。
ところで、引用発明は、「コマンドキューバッファ183に格納されているコマンドに対してコマンド実行処理を行」うものであって、コマンド実行処理を行うに際して、コマンドが消去されてしまうことを防止するという課題を内在するものであることは、当業者にとって自明である。
ゆえに、引用発明において、受信した表示制御用コマンドデータが消去されてしまうことを防止するために、引用例2に記載された技術事項を適用して、コマンドメモリ182に加えて、コマンドメモリ182に記憶されたコマンドをコピーするメモリを別途設け、当該別途設けたメモリに記憶されたコマンドに対して解析を行い、上記相違点2、5に係る本願発明の構成E、Jとすることは、当業者が容易になし得たものである。

(3)相違点3?4(構成H?I)
相違点3?4について検討する。
引用例3に記載された技術事項における「受信したコマンドがMODEコマンドである場合は、タイムアウト監視タイマをスタートさせる処理を行」うことは、本願発明における「コマンドを構成する先頭バイトのデータを受信すると所定のタイマの計時を開始」することに相当する。
そして、引用例3に記載された技術事項における「ACTIONコマンド待ち状態に設定する処理を行い、」「タイムアウトとなった場合は、コマンドバッファにセーブされているMODEコマンドを破棄する処理を行う」ことは、「タイムアウトとなった」後に、ACTIONコマンドを受信しても無効にすることであるから、本願発明における「コマンドを構成する最終バイトのデータを受信した時にタイマによる計時が所定時間以上経過していた場合は、受信した当該コマンドをコマンドバッファ領域へ複写しないようにする」ことに相当する。
また、引用例3に記載された技術事項における「遊技制御装置100から送信される第1コマンド(MODE)と第2コマンド(ACTION)の組み合わせが矛盾しない場合に正しくコマンドを受信したと判定する」「遊技制御コマンド解析処理」は、本願発明における「受信した当該コマンドの正当性確認を実行」することに相当する。
そして、引用発明と引用例3に記載された技術事項とは、遊技制御装置から演出制御装置へ第1コマンドと第2コマンドからなるコマンドを送信する技術である点で共通する。
また、引用発明と引用例3に記載された技術事項とは、正しいコマンドを受信するという共通の作用効果を奏する(引用例1の【0135】、引用例3の【0153】を参照。)ものである。

ところで、情報の通信処理一般の技術分野において、正しいデータを受信するために、データを最初に受信してから次のデータを受信するまでにタイムアウトしていないか否かを監視し、タイムアウトしていない場合、更に、データの正当性をチェックすることは、本願の遡及日前に広く行われている技術事項である(例えば、特開昭56-162558号公報の第2頁左下欄第17行?同右下欄第18行、第4図、特開昭64-68044号公報の第2頁左下欄第19行?第3頁左上欄第8行、第1図を参照。以下「周知の技術事項2」という。)。

したがって、引用発明におけるコマンドデータが正当性のあるデータであるかのチェック(構成i)を行うに際して、引用例3に記載された技術事項を適用して、正しくコマンドを受信したか否かの判断に加え、タイムアウト監視を行うようにすること、かつ、その際に、上記周知の技術事項2に倣って、タイムアウト監視をまず実行し、コマンドの受信がタイムアウトする前である場合に、更に、正しくコマンドを受信したか否かを判断するようにし、上記相違点3、4に係る本願発明の構成H?Iとすることは、当業者が容易になし得たものである。
あるいは、引用発明におけるコマンドデータが正当性のあるデータであるかのチェック(構成i)に上記周知の技術事項2を適用して、タイムアウト監視をまず実行し、コマンドの受信がタイムアウトする前である場合に、更に、コマンドデータが正当性のあるデータであるかのチェックを行うようにし、上記相違点3、4に係る本願発明の構成H?Iとすることは、当業者が容易になし得たものである。

(4)請求人の主張に対して
請求人は、平成30年10月23日付け意見書において、「本願発明1と各引用文献とは、少なくとも以下の構成で異なります。
即ち本願発明1は、前述した特徴イ、特徴ロ、特徴ハ、及び特徴ニに加えて、
「(J)前記遊技制御装置は、所定の周期Twで最大数のデータ量Bsとなる数の前記コマンドを送信可能とし、
前記演出制御装置は、
(K)所定の周期Trで最大数のデータ量Brとなる数のコマンドを解析可能とし、
(L)前記遊技制御装置と前記演出制御装置の関係は、Bs/Tw<Br/Tr、Tw<Tr、及びBs<Brという条件式の全てが成立するようにした」という特徴ホを有します。
本願発明1は、既述したように、上記特徴イ?ホを含む構成により優れた各種効果を実現します。特に、特徴ホによれば、使用するコマンドバッファのサイズを必要最小限に設定して効率良くコマンドを処理しつつ、コマンドのオーバーフローを防止することができるとともに、メモリの使用量が少なくなり、コマンド解析が時間的余裕を持って行えるという効果も実現します。
これに対して各引用文献には、少なくとも上記特徴ホを明示又は示唆する記載が見当たりません。」((2-4)本願発明と引用文献との対比)と主張する。

そこで、請求人の上記主張について検討する。
請求人が主張する構成(J)、(K)、(L)は、前記「2 本願発明」において分説した、本願発明の構成D、K、Lにそれぞれ対応するものである。
そして、引用発明における構成d、k、lが本願発明における構成D、K、Lに相当することは、前記「5 対比(d)、(k)、(l)」において検討したとおりである。
また、情報の通信処理一般の技術分野において、コマンドの送受信を行い、受信したコマンドの解析を行う際に、コマンド送信速度や、コマンドの解析に要する処理速度を考慮して、送信コマンドの容量や、受信バッファの容量等を決定することは、当業者が当然考慮すべき技術事項であって、引用発明においても奏される効果である。
したがって、上記請求人が主張する本願発明が奏すると主張する「使用するコマンドバッファのサイズを必要最小限に設定して効率良くコマンドを処理しつつ、コマンドのオーバーフローを防止することができるとともに、メモリの使用量が少なくなり、コマンド解析が時間的余裕を持って行える」なる効果は、本願発明における構成D、K、Lを備える引用発明においても奏される効果であるといえる。
よって、請求人の上記主張を採用することはできない。

(5)小括
上記(1)?(4)より、本願発明は、引用発明に引用例2?3に記載された技術事項、及び、上記周知の技術事項1?2を適用することにより当業者が容易になし得たものである。
よって、本願発明は、刊行物発明、刊行物2発明、及び、周知の技術事項1?2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

7 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、その余の請求項について検討するまでもなく拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2019-01-29 
結審通知日 2019-01-30 
審決日 2019-02-14 
出願番号 特願2015-172617(P2015-172617)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 酒井 保  
特許庁審判長 安久 司郎
特許庁審判官 松川 直樹
長崎 洋一
発明の名称 遊技機  
代理人 鹿嶋 英實  

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