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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 C08L
管理番号 1350237
審判番号 不服2018-4299  
総通号数 233 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-05-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-03-30 
確定日 2019-04-17 
事件の表示 特願2014- 16808「ポリ塩化ビニル樹脂組成物及び絶縁被覆電線」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 8月 6日出願公開、特開2015-143299、請求項の数(3)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は,特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は,平成26年1月31日の出願であって,平成29年8月10日付けで拒絶理由通知がされ,同年9月27日付けで意見書及び手続補正書が提出され,同年10月4日付けで拒絶理由通知がされ,同年11月17日付けで意見書が提出され,平成30年1月4日付けで拒絶査定がされ,これに対して,同年3月30日に拒絶査定不服審判の請求がされたものである。

第2 本願発明
本願の請求項1?3に係る発明は,平成29年9月27日付けの手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1?3に記載された事項により特定される以下のとおりのものである(以下,それぞれ「本願発明1」等という。また,平成29年9月27日付けの手続補正書により補正された明細書を「本願明細書」という。)。

【請求項1】
ポリ塩化ビニル100質量部に対して,可塑剤24?28質量部,有機酸金属塩とハイドロタルサイトとの混合物からなる非鉛系熱安定剤4?10質量部,及び,極性基が導入された酸化型変性ポリエチレンワックスからなる非鉛系滑剤0.2?0.5質量部を含有するポリ塩化ビニル樹脂組成物。
【請求項2】
前記酸化型変性ポリエチレンワックスの平均分子量が2600?3200である請求項1に記載のポリ塩化ビニル樹脂組成物。
【請求項3】
線状導体と,前記線状導体を被覆する絶縁部材とを有し,前記絶縁部材は,請求項1又は2に記載のポリ塩化ビニル樹脂組成物を用いて形成される絶縁被覆電線。

第3 原査定の概要
1 理由1-1(進歩性)
本願発明1?3は,下記3の引用文献1に記載された発明及び引用文献3?5に記載された事項に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。

2 理由1-2(進歩性)
本願発明1?3は,下記3の引用文献2に記載された発明及び引用文献3?5に記載された事項に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。

3 引用文献等
(1)特開昭62-283143号公報(引用文献1)
(2)特開平7-102184号公報(引用文献2)
(3)特開平11-240992号公報(引用文献3)
(4)特開2011-126980号公報(引用文献4)
(5)国際公開第2011/152295号(引用文献5)

第4 当審の判断
以下に述べるように,本願については,原査定の拒絶理由を検討してもその理由によって拒絶すべきものとすることはできない。

1 理由1-1(進歩性)
(1)引用文献1に記載された発明
引用文献1の記載(特許請求の範囲,1頁左下欄下から8行?2頁左上欄6行,2頁右上欄6?17行,2頁右下欄19行?右下欄,第1?3表,実験No.1?19)によれば,特に,実験No.1(第1表)に着目すると,引用文献1には,以下の発明が記載されていると認められる。

「塩化ビニル樹脂TK-1300(信越化学工業製商品名)100重量部,フタル酸ジオクチル(DOP)からなる可塑剤70重量部,炭酸カルシウムからなる充填剤20重量部,三塩基性硫酸鉛からなる安定剤2重量部,ポリエチレン(平均分子量約2,000のポリエチレン,アライドケミカル社製 AC 6)0.5重量部,及び酸化ポリエチレン(平均分子量約2,000の不完全酸化ポリエチレン,アライドケミカル社製 AC 629A)0.5重量部を配合し,140℃で押出したペレット。」(以下,「引用発明1」という。)

(2)本願発明1について
ア 対比
本願発明1と引用発明1とを対比する。
引用発明1における「塩化ビニル樹脂TK-1300(信越化学工業製商品名)」,「フタル酸ジオクチル(DOP)からなる可塑剤」,「酸化ポリエチレン(平均分子量約2,000の不完全酸化ポリエチレン,アライドケミカル社製 AC 629A)」は,それぞれ,本願発明1における「ポリ塩化ビニル」,「可塑剤」,「極性基が導入された酸化型変性ポリエチレンワックスからなる非鉛系滑剤」に相当する。
引用発明1における「ペレット」は,「塩化ビニル樹脂TK-1300(信越化学工業製商品名)」のほか,複数の成分を配合したものであり,組成物といえるから,本願発明1における「ポリ塩化ビニル樹脂組成物」に相当する。
本願発明1における「有機酸金属塩とハイドロタルサイトとの混合物からなる非鉛系熱安定剤」と,引用発明1における「三塩基性硫酸鉛からなる安定剤」とは,いずれも,「安定剤」である限りで共通する。
以上によれば,本願発明1と引用発明1とは,
「ポリ塩化ビニル100質量部に対して,可塑剤,安定剤,及び,極性基が導入された酸化型変性ポリエチレンワックスからなる非鉛系滑剤0.2?0.5質量部を含有するポリ塩化ビニル樹脂組成物。」
の点で一致し,以下の点で相違する。
・相違点1
本願発明1では,可塑剤の含有量が,「24?28質量部」であるのに対して,引用発明1では,「70重量部」である点。
・相違点2
本願発明1では,安定剤が「有機酸金属塩とハイドロタルサイトとの混合物からなる非鉛系熱安定剤」であり,その含有量が「4?10質量部」であるのに対して,引用発明1では,安定剤が「三塩基性硫酸鉛」であり,その含有量が「2重量部」である点。

イ 相違点1の検討
(ア)本願発明1は,ポリ塩化ビニル樹脂組成物に関するものであるところ,本願明細書の記載(【0003】,【0010】,【0011】,【0015】,【0017】,【0021】,【0025】,【0044】?【0047】,表1,表2,試料A1?A15,B1?B10)によれば,ポリ塩化ビニル100質量部に対して,「可塑剤24?28質量部」を含有させるとともに,「極性基が導入された酸化型変性ポリエチレンワックスからなる非鉛系滑剤0.2?0.5質量部」を含有させることにより,押出し成形が容易で成形安定性が良く,耐摩耗性及び耐寒性に優れたポリ塩化ビニル樹脂組成物を提供できるというものである。
(イ)一方,引用発明1は,塩化ビニル樹脂TK-1300(信越化学工業製商品名)100重量部に対して,「フタル酸ジオクチル(DOP)からなる可塑剤70重量部」を配合するとともに,「ポリエチレン(平均分子量約2,000のポリエチレン,アライドケミカル社製 AC 6)0.5重量部」を配合するものであり,可塑剤の含有量の点で本願発明1と異なるものである。
引用文献1には,本願発明1に関し上記(ア)で述べた事項,すなわち,ポリ塩化ビニル100質量部に対して,「可塑剤24?28質量部」を含有させるとともに,「極性基が導入された酸化型変性ポリエチレンワックスからなる非鉛系滑剤0.2?0.5質量部」を含有させることにより,押出し成形が容易で成形安定性が良く,耐摩耗性及び耐寒性に優れたポリ塩化ビニル樹脂組成物を提供できることについては,何ら記載されていない。
引用文献1には,可塑剤の含有量について,必要量であることが記載され(特許請求の範囲),また,目的とする成形品(軟質成形品)の軟らかさの種類に応じてその適量が添加配合されるものであり,従来と同様でよいことが記載されているものの(3頁左上欄13?15行),その具体的な含有量を「24?28質量部」とすることについては記載されていない。
また,引用文献1には,樹脂組成物から得られた成形品は表面つや消し効果に優れ,機械的物性も良好であるので,一般シート,合成皮革,合成樹脂タイル,電線シース,その他各種製品として広く応用されることが記載されているが(3頁右上欄4?16行),これらの用途に用いられるポリ塩化ビニル樹脂組成物において,可塑剤の含有量が,通常,「24?28質量部」であることが,本願出願時の技術常識であったともいえない。
以上によれば,引用文献1の記載から,引用発明1における「フタル酸ジオクチル(DOP)からなる可塑剤」の含有量を,「70重量部」に代えて,「24?28質量部」とすることが動機付けられるとはいえない。
(ウ)引用文献3?5にも,本願発明1に関し上記(ア)で述べた事項については,何ら記載されていない。
引用文献3には,電線被覆用塩化ビニル樹脂組成物において,塩化ビニル樹脂100重量部に対して,可塑剤20?50重量部を含有させることが記載されているが(請求項1,【0006】,第1表,第3表),可塑剤の含有量を「24?28質量部」とすることについては記載されていない。また,引用文献3には,非鉛系滑剤0.5?3重量部を含有させることも記載されているが(請求項1,【0009】,第1表,第3表,【0019】,【0025】),引用文献3に挙げられている非鉛系滑剤は,「極性基が導入された酸化型変性ポリエチレンワックスからなる非鉛系滑剤」とは異なるものである。
引用文献4には,電線被覆材料において,ポリ塩化ビニル100質量部に対して,トリメリット酸系可塑剤及びピロメリット酸系可塑剤から選択された1種又は2種以上を15質量部以上含む可塑剤15?30質量部を含有させることが記載され(請求項1?3,【0019】,【0024】),また,実施例7,9?12及び23(表1,表2)では,可塑剤25質量部を含有させることが記載されている。また,引用文献5にも,引用文献4と同様の事項が記載されている(請求項1?3,[0018],[0023],実施例7,8及び22(表1,表2))。しかしながら,引用文献4及び5のいずれにも,「極性基が導入された酸化型変性ポリエチレンワックスからなる非鉛系滑剤0.2?0.5質量部」を含有させることについては記載されていない。
以上によれば,引用文献3?5の記載から,引用発明1における「フタル酸ジオクチル(DOP)からなる可塑剤」の含有量を,「70重量部」に代えて,「24?28質量部」とすることが動機付けられるとはいえない。
(エ)以上のとおり,引用文献1及び3?5のいずれにも,本願発明1に関し上記(ア)で述べた事項については何ら記載されておらず,そのようなことが本願出願時の技術常識であったともいえないから,引用発明1における「フタル酸ジオクチル(DOP)からなる可塑剤」の含有量を,「70重量部」に代えて,「24?28質量部」とすることが動機付けられるとはいえない。
そして,本願発明1は,上記(ア)で述べたとおり,押出し成形が容易で成形安定性が良く,耐摩耗性及び耐寒性に優れたポリ塩化ビニル樹脂組成物を提供できるという,当業者が予測することができない格別顕著な効果を奏するものである。
そうすると,引用発明1において,「フタル酸ジオクチル(DOP)からなる可塑剤」の含有量を,「70重量部」に代えて,「24?28質量部」とすることが,当業者が容易に想到することができたということはできない。

ウ 小括
したがって,相違点2について検討するまでもなく,本願発明1は,引用文献1に記載された発明及び引用文献3?5に記載された事項に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

(3)本願発明2及び3について
本願発明2及び3は,本願発明1を直接又は間接的に引用するものであるが,上記(2)で述べたとおり,本願発明1が,引用文献1に記載された発明及び引用文献3?5に記載された事項に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない以上,本願発明2及び3についても同様に,引用文献1に記載された発明及び引用文献3?5に記載された事項に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

(4)まとめ
以上のとおり,本願発明1?3は,いずれも,引用文献1に記載された発明及び引用文献3?5に記載された事項に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
したがって,本願について,理由1-1(進歩性)によって拒絶すべきものとすることはできない。

2 理由1-2(進歩性)
(1)引用文献2に記載された発明
引用文献2には,塩化ビニル系樹脂用着色剤及び塩化ビニル系樹脂用着色剤マスターバッチについて記載されている(請求項1?4,【0001】,【0002】,【0007】?【0010】,【0015】,【0019】?【0026】,【0029】?【0042】,実施例1,2,第1?5表)。
引用文献2の実施例1(【0029】)では,第1表に示す着色剤と第3表に示す塩化ビニル組成物とを,第4表に示す添加量でプラストミルミキサーに投入し,混練したことが記載されているが,【0002】の記載も考慮すれば,混練により得られたものは,塩化ビニル系樹脂組成物ということができる。
当該塩化ビニル系樹脂組成物について,第1表,第3表及び第4表に示される数値に基づいて,塩化ビニル樹脂100重量部に対する各成分の含有量を計算すると,以下のとおりである。
・DOP(ジ-2-エチルヘキシルフタレート)からなる可塑剤(【0016】)40重量部
・三塩基性硫酸鉛,二塩基性ステアリン酸鉛及びステアリン酸カルシウムの混合物からなる安定剤(【0034】,【0038】)5重量部
・酸化変性ポリエチレン(分子量3200,酸価20)(【0034】)0.15重量部
・一般型ポリエチレンワックス(分子量5000)からなる滑剤(【0034】)0.07重量部
・カーボンブラックからなる顔料(【0034】)0.84重量部
・炭酸カルシウムからなる充填剤(【0026】)20重量部
以上によれば,引用文献2には,以下の発明が記載されていると認められる。

「塩化ビニル樹脂100重量部に対して,DOP(ジ-2-エチルヘキシルフタレート)からなる可塑剤40重量部,三塩基性硫酸鉛,二塩基性ステアリン酸鉛及びステアリン酸カルシウムの混合物からなる安定剤5重量部,酸化変性ポリエチレン(分子量3200,酸価20)0.15重量部,一般型ポリエチレンワックス(分子量5000)からなる滑剤0.07重量部,カーボンブラックからなる顔料0.84重量部,炭酸カルシウムからなる充填剤20重量部を含有する塩化ビニル系樹脂組成物。」(以下,「引用発明2」という。)

(2)本願発明1について
ア 対比
本願発明1と引用発明2とを対比する。
引用発明2における「塩化ビニル樹脂」,「DOP(ジ-2-エチルヘキシルフタレート)からなる可塑剤」,「酸化変性ポリエチレン(分子量3200,酸価20)」,「塩化ビニル系樹脂組成物」は,それぞれ,本願発明1における「ポリ塩化ビニル」,「可塑剤」,「極性基が導入された酸化型変性ポリエチレンワックスからなる非鉛系滑剤」,「ポリ塩化ビニル樹脂組成物」に相当する。
本願発明1における「有機酸金属塩とハイドロタルサイトとの混合物からなる非鉛系熱安定剤」と,引用発明2における「三塩基性硫酸鉛,二塩基性ステアリン酸鉛及びステアリン酸カルシウムの混合物からなる安定剤」とは,いずれも,「安定剤」である限りで共通する。
以上によれば,本願発明1と引用発明2とは,
「ポリ塩化ビニル100質量部に対して,可塑剤,安定剤4?10質量部,及び,極性基が導入された酸化型変性ポリエチレンワックスからなる非鉛系滑剤を含有するポリ塩化ビニル樹脂組成物。」
の点で一致し,以下の点で相違する。
・相違点3
本願発明1では,可塑剤の含有量が,「24?28質量部」であるのに対して,引用発明2では,「40重量部」である点。
・相違点4
本願発明1では,安定剤が,「有機酸金属塩とハイドロタルサイトとの混合物からなる非鉛系熱安定剤」であるのに対して,引用発明2では,「三塩基性硫酸鉛,二塩基性ステアリン酸鉛及びステアリン酸カルシウムの混合物からなる安定剤」である点。
・相違点5
本願発明1では,極性基が導入された酸化型変性ポリエチレンワックスからなる非鉛系滑剤の含有量が「0.2?0.5質量部」であるのに対して,引用発明2では,「0.15重量部」である点。

イ 相違点3及び5の検討
事案に鑑み,相違点3及び5をまとめて検討する。
(ア)本願発明1は,上記1(2)イ(ア)で述べたとおり,ポリ塩化ビニル100質量部に対して,「可塑剤24?28質量部」を含有させるとともに,「極性基が導入された酸化型変性ポリエチレンワックスからなる非鉛系滑剤0.2?0.5質量部」を含有させることにより,押出し成形が容易で成形安定性が良く,耐摩耗性及び耐寒性に優れたポリ塩化ビニル樹脂組成物を提供できるというものである。
(イ)一方,引用発明2は,塩化ビニル樹脂100重量部に対して,「DOP(ジ-2-エチルヘキシルフタレート)からなる可塑剤40重量部」を含有させるとともに,「酸化変性ポリエチレン(分子量3200,酸価20)0.15重量部」を含有させるものであり,可塑剤の含有量及び滑剤(酸化変性ポリエチレン)の含有量の点で,本願発明1と異なるものである。
引用文献2には,本願発明1に関し上記(ア)で述べた事項,すなわち,ポリ塩化ビニル100質量部に対して,「可塑剤24?28質量部」を含有させるとともに,「極性基が導入された酸化型変性ポリエチレンワックスからなる非鉛系滑剤0.2?0.5質量部」を含有させることにより,押出し成形が容易で成形安定性が良く,耐摩耗性及び耐寒性に優れたポリ塩化ビニル樹脂組成物を提供できることについては,何ら記載されていない。
引用文献2には,着色剤又は着色剤マスターバッチにおける可塑剤の含有量について,通常0?90重量%であり,着色剤の分散及び解膠性を良好にするために15?35重量%が好ましいことが記載されているものの(【0024】),塩化ビニル系樹脂組成物における可塑剤の含有量を「24?28質量部」とすることについては記載されていない。
また,引用文献2には,着色剤又は着色剤マスターバッチにおける酸化変性ポリエチレンの含有量について,着色剤の形態,配合剤中での外部滑剤の存在の有無等の条件によって異なるが,通常0.5?40重量%であることが記載されているものの(【0022】),塩化ビニル系樹脂組成物における酸化変性ポリエチレンの含有量を「0.2?0.5質量部」とすることについては記載されていない。
以上によれば,引用文献2の記載から,引用発明2における「DOP(ジ-2-エチルヘキシルフタレート)からなる可塑剤」の含有量を,「40重量部」に代えて,「24?28質量部」とするとともに,「酸化変性ポリエチレン(分子量3200,酸価20)」の含有量を,「0.15重量部」に代えて,「0.2?0.5質量部」とすることが動機付けられるとはいえない。
(ウ)引用文献3?5については,上記1(2)イ(ウ)で述べたとおりであり,引用文献3?5の記載から,引用発明2における「DOP(ジ-2-エチルヘキシルフタレート)からなる可塑剤」の含有量を,「40重量部」に代えて,「24?28質量部」とするとともに,「酸化変性ポリエチレン(分子量3200,酸価20)」の含有量を,「0.15重量部」に代えて,「0.2?0.5質量部」とすることが動機付けられるとはいえない。
(エ)以上のとおり,引用文献2?5のいずれにも,本願発明1に関し上記(ア)で述べた事項については何ら記載されておらず,そのようなことが本願出願時の技術常識であったともいえないから,引用発明2における「DOP(ジ-2-エチルヘキシルフタレート)からなる可塑剤」の含有量を,「40重量部」に代えて,「24?28質量部」とするとともに,「酸化変性ポリエチレン(分子量3200,酸価20)」の含有量を,「0.15重量部」に代えて,「0.2?0.5質量部」とすることが動機付けられるとはいえない。
そして,本願発明1は,上記(ア)で述べたとおり,押出し成形が容易で成形安定性が良く,耐摩耗性及び耐寒性に優れたポリ塩化ビニル樹脂組成物を提供できるという,当業者が予測することができない格別顕著な効果を奏するものである。
そうすると,引用発明2において,「DOP(ジ-2-エチルヘキシルフタレート)からなる可塑剤」の含有量を,「40重量部」に代えて,「24?28質量部」とするとともに,「酸化変性ポリエチレン(分子量3200,酸価20)」の含有量を,「0.15重量部」に代えて,「0.2?0.5質量部」とすることが,当業者が容易に想到することができたということはできない。

ウ 小括
したがって,相違点4について検討するまでもなく,本願発明1は,引用文献2に記載された発明及び引用文献3?5に記載された事項に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

(3)本願発明2及び3について
本願発明2及び3は,本願発明1を直接又は間接的に引用するものであるが,上記(2)で述べたとおり,本願発明1が,引用文献2に記載された発明及び引用文献3?5に記載された事項に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない以上,本願発明2及び3についても同様に,引用文献2に記載された発明及び引用文献3?5に記載された事項に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

(4)まとめ
以上のとおり,本願発明1?3は,いずれも,引用文献2に記載された発明及び引用文献3?5に記載された事項に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
したがって,本願について,理由1-2(進歩性)によって拒絶すべきものとすることはできない。

第5 むすび
以上のとおり,本願については,原査定の拒絶理由を検討してもその理由によって拒絶すべきものとすることはできない。
また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
 
審決日 2019-04-01 
出願番号 特願2014-16808(P2014-16808)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (C08L)
最終処分 成立  
前審関与審査官 中西 聡  
特許庁審判長 岡崎 美穂
特許庁審判官 佐藤 健史
井上 猛
発明の名称 ポリ塩化ビニル樹脂組成物及び絶縁被覆電線  
代理人 三好 秀和  
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