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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H04N |
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管理番号 | 1350258 |
審判番号 | 不服2016-10908 |
総通号数 | 233 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2019-05-31 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2016-07-20 |
確定日 | 2019-03-26 |
事件の表示 | 特願2013-165759「デコーダおよび復号方法」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 2月27日出願公開、特開2014- 39257〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成25年8月9日(パリ条約による優先権主張2012年8月13日、欧州特許庁)の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。 平成26年 6月30日:拒絶理由通知書 平成26年10月30日:意見書、誤訳訂正書、手続補正書の提出 平成27年 3月26日:拒絶理由通知書(最後) 平成27年 8月31日:意見書、手続補正書の提出 平成28年 3月30日:平成27年8月31日の手続補正についての 補正の却下の決定、拒絶査定 平成28年 7月20日:審判請求書、手続補正書の提出 平成28年10月31日:前置報告書 平成28年12月19日:上申書の提出 平成29年10月11日:拒絶理由通知書(当審) 平成30年 2月 2日:意見書、手続補正書の提出 第2 本願発明 本願の請求項に係る発明は、平成30年2月2日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1?4に記載された事項により特定されるものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は次のとおりである。 (本願発明) 「装置の処理手段がコンピュータプログラムを実行することにより、前記装置が遂行する方法において、符号化入力データ(20)を復号して対応する復号出力データ(30)を生成する方法であって、以下のステップ: (a)前記符号化入力データ(20)を処理することであって、前記符号化入力データ(20)からヘッダ情報を抽出し、前記ヘッダ情報は、前記符号化入力データ(20)に含まれるブロックおよび/またはパケットに関する符号化データを示し、かつ、前記ブロックおよび/またはパケットに関する符号化データとして含めるために、元のブロックおよび/またはパケットを圧縮符号化するのに使用された複数の異なる変換のうちの二つ以上を示す、前記処理することと; (b)復号ブロックおよび/またはパケットコンテンツを受信するために、データ記憶構成のデータフィールドを用意すること、ただし前記データフィールドは、前記符号化入力データの初期分割に対応する区画を有する、前記用意することと; (c)前記二つ以上の変換を記述する情報を読み出すことと;圧縮符号化された元のブロックおよび/またはパケットデータを復号するための、前記二つ以上の変換の逆変換を適用し、前記データフィールドに入力するための、対応する復号ブロックおよび/またはパケットコンテンツを生成することと; (d)前記符号化データに含まれる前記符号化入力データ(20)の分割情報に従って、前記データフィールドのブロックおよび/またはパケットを復号処理のために分割することと; (e)前記符号化入力データが少なくとも部分的に復号されると、前記データフィールドから復号出力データ(30)としてデータを出力することと; を含み、ここで、 (i)前記分割情報は、前記区画の各々について、対応するブロックおよび/またはパケットが分割されるべきか否かを示し、 (ii)前記複数の変換は、データベース参照,DC値,スライド,スケール,ライン,マルチレベル,不変,補間,外挿,DCT,パルス符号変調(PCM),差分パルス符号変調(DPCM),連長圧縮(RLE),SRLE,EM,LZO,VLC,ハフマン符号,算術符号化,レンジ符号化,変換符号化,差分符号化,ODelta符号化,bzip2特化型RLEのうちの少なくとも2つを含む、 方法。」 第3 当審における拒絶の理由 平成30年2月2日の当審が通知した拒絶理由のうちの理由1は、次のとおりのものである。 本件出願の請求項1?4に係る発明は、その出願前日本国内又は外国において頒布された引用文献1、2に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献1:特開2012-80212号公報 引用文献2:特開2003-204550号公報 第4 引用文献の記載事項及び引用発明 1.引用文献1の記載事項 当審における拒絶の理由に引用した引用文献1には、「動画像符号化装置、動画像復号装置、動画像符号化方法及び動画像復号方法」(発明の名称)に関し、図面と共に次に掲げる事項が記載されている。 なお、下線は強調のために当審で付したものである。 【0001】 この発明は、動画像を高効率で符号化を行う動画像符号化装置及び動画像符号化方法と、高効率で符号化されている動画像を復号する動画像復号装置及び動画像復号方法とに関するものである。 【0007】 この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、複雑なブロックの分割を実現することができると同時に、少ない符号量で分割状態を表現することができる動画像符号化装置及び動画像符号化方法を得ることを目的とする。 また、この発明は、ビットストリームから少ない符号量で分割状態を表現している情報を復号して、映像信号を再生することができる動画像復号装置及び動画像復号方法を得ることを目的とする。 【0008】 この発明に係る動画像符号化装置は、入力画像が分割される初期ブロックのサイズを決定するとともに、初期ブロックが階層的に分割されて符号化ブロックが生成される際の上限の分割階層数を決定し、利用可能な1以上の符号化モードの中から、階層的に分割されて生成される各々の符号化ブロックに適する符号化モードを選択する符号化制御手段を設け、可変長符号化手段が、画像圧縮手段から出力された圧縮データ及び符号化制御手段により選択された符号化モードを可変長符号化するとともに、初期ブロックの分割状態を示す情報と予測処理に用いられる参照ブロックの分割状態を示す情報との差分情報を可変長符号化し、その圧縮データ、符号化モード及び差分情報の符号化データが多重化されているビットストリームを生成するようにしたものである。 【0011】 実施の形態1. この実施の形態1では、映像の各フレーム画像を入力し、符号化済みの近傍画素からのイントラ予測処理または近接フレーム間で動き補償予測処理を実施することで予測画像を生成し、その予測画像とフレーム画像の差分画像である予測差分信号に対して、直交変換・量子化による圧縮処理を施した後に、可変長符号化を行ってビットストリームを生成する動画像符号化装置と、その動画像符号化装置から出力されるビットストリームを復号する動画像復号装置について説明する。 【0015】 図1はこの発明の実施の形態1による動画像符号化装置を示す構成図である。 図1において、符号化制御部1はイントラ予測処理(フレーム内予測処理)又は動き補償予測処理(フレーム間予測処理)が実施される際の処理単位となる符号化ブロックの最大サイズ(初期ブロックのサイズ)を決定するとともに、最大サイズの符号化ブロックが階層的に分割される際の上限の階層数を決定する処理を実施する。 また、符号化制御部1は利用可能な1以上の符号化モード(1以上のイントラ符号化モード、1以上のインター符号化モード)の中から、階層的に分割される各々の符号化ブロックに適する符号化モードを選択する処理を実施する。 また、符号化制御部1は各々の符号化ブロック毎に、差分画像が圧縮される際に用いられる量子化パラメータ及び変換ブロックサイズを決定するとともに、予測処理が実施される際に用いられるイントラ予測パラメータ又はインター予測パラメータを決定し、その量子化パラメータ及び変換ブロックサイズを含む予測差分符号化パラメータを変換・量子化部7、逆量子化・逆変換部8及び可変長符号化部13に出力し、そのイントラ予測パラメータをイントラ予測部4及び可変長符号化部13に出力し、そのインター予測パラメータを動き補償予測部5及び可変長符号化部13に出力する処理を実施する。 また、符号化制御部1は最大サイズの符号化ブロックの分割状態を示す最大符号化ブロック分割状態記述情報を可変長符号化部13に出力する処理を実施する。 なお、符号化制御部1は符号化制御手段を構成している。 【0019】 減算部6はブロック分割部2により分割された符号化ブロックから、イントラ予測部4又は動き補償予測部5により生成された予測画像を減算することで、差分画像(=符号化ブロック-予測画像)を生成する処理を実施する。なお、減算部6は差分画像生成手段を構成している。 変換・量子化部7は符号化制御部1から出力された予測差分符号化パラメータに含まれている変換ブロックサイズ単位で、減算部6により生成された差分画像の変換処理(例えば、DCT(離散コサイン変換)や、予め特定の学習系列に対して基底設計がなされているKL変換等の直交変換処理)を実施するとともに、その予測差分符号化パラメータに含まれている量子化パラメータを用いて、その差分画像の変換係数を量子化することで、量子化後の変換係数を差分画像の圧縮データとして出力する処理を実施する。なお、変換・量子化部7は画像圧縮手段を構成している。 【0023】 可変長符号化部13は変換・量子化部7から出力された圧縮データと、符号化制御部1から出力された符号化モード及び予測差分符号化パラメータと、イントラ予測部4から出力されたイントラ予測パラメータ又は動き補償予測部5から出力されたインター予測パラメータとを可変長符号化するとともに、最大サイズの符号化ブロックである最大符号化ブロックの分割状態を示す情報と予測処理に用いられる参照ブロックの分割状態を示す情報との差分情報を可変長符号化し、その圧縮データと、符号化モードと、予測差分符号化パラメータと、イントラ予測パラメータ又はインター予測パラメータと差分情報の符号化データが多重化されているビットストリームを生成する処理を実施する。なお、可変長符号化部13は可変長符号化手段を構成している。 【0024】 図2はこの発明の実施の形態1による動画像復号装置を示す構成図である。 図2において、可変長復号部51はビットストリームに多重化されている符号化データから差分情報を可変長復号し、その差分情報と予測処理に用いられる参照ブロックの分割状態を示す情報から最大符号化ブロックの分割状態を特定して、その最大符号化ブロックが階層的に分割されて生成されている符号化ブロックを特定する処理を実施する。 また、可変長復号部51はビットストリームに多重化されている符号化データから上記符号化ブロックに係る圧縮データ、符号化モード、予測差分符号化パラメータ、イントラ予測パラメータ/インター予測パラメータを可変長復号して、その圧縮データ及び予測差分符号化パラメータを逆量子化・逆変換部55に出力するとともに、その符号化モード及びイントラ予測パラメータ/インター予測パラメータを切替スイッチ52に出力する処理を実施する。 なお、可変長復号部51は可変長復号手段を構成している。 【0028】 逆量子化・逆変換部55は可変長復号部51から出力された予測差分符号化パラメータに含まれている量子化パラメータを用いて、可変長復号部51から出力された符号化ブロックに係る圧縮データを逆量子化し、その予測差分符号化パラメータに含まれている変換ブロックサイズ単位で、逆量子化の圧縮データの逆変換処理(例えば、逆DCT(逆離散コサイン変換)や、逆KL変換等の逆変換処理)を実施することで、逆変換処理後の圧縮データを復号予測差分信号(圧縮前の差分画像を示す信号)として出力する処理を実施する。なお、逆量子化・逆変換部55は差分画像生成手段を構成している。 【0029】 加算部56は逆量子化・逆変換部55から出力された復号予測差分信号とイントラ予測部53又は動き補償予測部54により生成された予測画像を示す予測信号を加算することで、復号画像を示す復号画像信号を生成する処理を実施する。なお、加算部56は復号画像生成手段を構成している。 イントラ予測用メモリ57はイントラ予測部53により次回のイントラ予測処理で用いられる画像として、加算部56により生成された復号画像信号が示す復号画像を格納するRAMなどの記録媒体である。 【0031】 図1では、動画像符号化装置の構成要素である符号化制御部1、ブロック分割部2、切替スイッチ3、イントラ予測部4、動き補償予測部5、減算部6、変換・量子化部7、逆量子化・逆変換部8、加算部9、ループフィルタ部11及び可変長符号化部13のそれぞれが専用のハードウェア(例えば、CPUを実装している半導体集積回路、あるいは、ワンチップマイコンなど)で構成されているものを想定しているが、動画像符号化装置がコンピュータで構成される場合、符号化制御部1、ブロック分割部2、切替スイッチ3、イントラ予測部4、動き補償予測部5、減算部6、変換・量子化部7、逆量子化・逆変換部8、加算部9、ループフィルタ部11及び可変長符号化部13の処理内容を記述しているプログラムを当該コンピュータのメモリに格納し、当該コンピュータのCPUが当該メモリに格納されているプログラムを実行するようにしてもよい。 図3はこの発明の実施の形態1による動画像符号化装置の処理内容を示すフローチャートである。 【0032】 図2では、動画像復号装置の構成要素である可変長復号部51、切替スイッチ52、イントラ予測部53、動き補償予測部54、逆量子化・逆変換部55、加算部56及びループフィルタ部58のそれぞれが専用のハードウェア(例えば、CPUを実装している半導体集積回路、あるいは、ワンチップマイコンなど)で構成されているものを想定しているが、動画像復号装置がコンピュータで構成される場合、可変長復号部51、切替スイッチ52、イントラ予測部53、動き補償予測部54、逆量子化・逆変換部55、加算部56及びループフィルタ部58の処理内容を記述しているプログラムを当該コンピュータのメモリに格納し、当該コンピュータのCPUが当該メモリに格納されているプログラムを実行するようにしてもよい。 図5はこの発明の実施の形態1による動画像復号装置の処理内容を示すフローチャートである。 【0033】 次に動作について説明する。 最初に、図1の動画像符号化装置の処理内容を説明する。 まず、符号化制御部1は、イントラ予測処理(フレーム内予測処理)又は動き補償予測処理(フレーム間予測処理)が実施される際の処理単位となる符号化ブロックの最大サイズを決定するとともに、最大サイズの符号化ブロックが階層的に分割される際の上限の階層数を決定する(図3のステップST1)。 【0036】 また、符号化制御部1は、各々の符号化ブロック毎に、差分画像が圧縮される際に用いられる量子化パラメータ及び変換ブロックサイズを決定するとともに、予測処理が実施される際に用いられるイントラ予測パラメータ又はインター予測パラメータを決定する。 また、符号化制御部1は、最大サイズの符号化ブロックの分割状態を示す最大符号化ブロック分割状態記述情報(詳細は後述する)を生成する。 符号化制御部1は、その量子化パラメータ及び変換ブロックサイズを含む予測差分符号化パラメータを変換・量子化部7、逆量子化・逆変換部8及び可変長符号化部13に出力し、その最大符号化ブロック分割状態記述情報を可変長符号化部13に出力する。 【0037】 ブロック分割部2は、入力画像を示す映像信号を入力すると、その映像信号が示す入力画像を符号化制御部1により決定された最大サイズの符号化ブロックに分割するとともに、符号化制御部1により決定された上限の階層数に至るまで、その符号化ブロックを階層的に分割する。 ここで、図7は最大サイズの符号化ブロックが階層的に複数の符号化ブロックに分割される様子を示す説明図である。 図7の例では、最大サイズの符号化ブロックは、第0階層の符号化ブロックB^(0)であり、輝度成分で(L^(0),M^(0))のサイズを有している。 また、図7の例では、最大サイズの符号化ブロックB^(0)を出発点として、4分木構造で、別途定める所定の深さまで階層的に分割を行うことによって、符号化ブロックB^(n)を得ている。 【0042】 符号化制御部1は、符号化対象のピクチャ(カレントピクチャ)の最大サイズの符号化ブロックである最大符号化ブロックの各々に対して、例えば、図8に示すようなブロック分割状態を生成して、符号化ブロックB^(n)を特定する。 図8(a)の点線で囲まれている領域は、符号化ブロックB^(n)として定義される領域であり、網がけ部分は符号化ブロックB^(n)内で予測処理の単位になるパーティションの分布を示している。 図8(b)は階層分割後のパーティションに符号化モードm(B^(n))が割り当てられる状況を4分木グラフで示している。 図8(b)において、□で囲まれているノードが、符号化モードm(B^(n))が割り当てられたノード(符号化ブロックB^(n))を示している。 【0053】 可変長符号化部13は、変換・量子化部7から出力された圧縮データと、符号化制御部1から出力された符号化モード及び予測差分符号化パラメータと、イントラ予測部4から出力されたイントラ予測パラメータ又は動き補償予測部5から出力されたインター予測パラメータとをエントロピー符号化するとともに、符号化制御部1から出力された最大符号化ブロック分割状態記述情報と予測処理に用いられる参照ブロックの分割状態を示す情報との差分情報をエントロピー符号化する。 可変長符号化部13は、エントロピー符号化の符号化結果である圧縮データ、符号化モード、予測差分符号化パラメータ、イントラ予測パラメータ/インター予測パラメータ、差分情報の符号化データを多重化してビットストリームを生成する(ステップST12)。 【0065】 図12及び図13は可変長符号化部13により生成されるビットストリーム(特にスライスレベルのデータ)を示す説明図である。 図12の例では、スライス符号化データがスライスヘッダと、それに続くスライス内の個数分の最大符号化ブロックの符号化データから構成されている様子を示している。 各々の最大符号化ブロックの符号化データは、最大符号化ブロック分割状態記述情報を含み、最大符号化ブロック分割状態記述情報は、分割初期状態指示情報と分割状態記述情報から構成されている。 【0068】 次に、図2の動画像復号装置の処理内容を説明する。 可変長復号部51は、図1の画像符号化装置から出力されたビットストリームを入力すると、そのビットストリームに対する可変長復号処理を実施して、1枚以上のピクチャから構成されるシーケンス単位あるいはピクチャ単位にピクチャサイズ(水平画素数・垂直ライン数)を規定する情報を復号する(図5のステップST31)。 可変長復号部51は、図1の符号化制御部1と同様の手順で、イントラ予測処理(フレーム内予測処理)又は動き補償予測処理(フレーム間予測処理)が実施される際の処理単位となる符号化ブロックの最大サイズを決定するとともに、最大サイズの符号化ブロック(最大符号化ブロック)が階層的に分割される際の上限の階層数を決定する(ステップST32)。 【0069】 例えば、動画像符号化装置において、符号化ブロックの最大サイズが、入力画像の解像度に応じて決定されている場合、先に復号しているピクチャサイズに基づいて符号化ブロックの最大サイズを決定する。符号化ブロックの最大サイズ及び上限の階層数を示す情報がビットストリームに多重化されている場合には、そのビットストリームから復号した情報を参照する。 また、可変長復号部51は、最大符号化ブロック単位に、最大符号化ブロック分割状態記述情報に含まれている分割初期状態指示情報に基づいて、最大符号化ブロックの分割状態を復号する。 【0079】 逆量子化・逆変換部55は、可変長復号部51から出力された予測差分符号化パラメータに含まれている量子化パラメータを用いて、可変長復号部51から出力された符号化ブロックに係る圧縮データを逆量子化し、その予測差分符号化パラメータに含まれている変換ブロックサイズ単位で、逆量子化の圧縮データの逆変換処理(例えば、逆DCT(逆離散コサイン変換)や、逆KL変換等の逆変換処理)を実施することで、逆変換処理後の圧縮データを復号予測差分信号(圧縮前の差分画像を示す信号)として加算部56に出力する(ステップST38)。 なお、予測差分符号化パラメータに含まれている量子化パラメータは、ビットストリームに多重化されている符号化データから符号化ブロックB^(n)の単位で復元し、変換ブロックサイズの情報は、符号化ブロックB^(n)を起点として、最大符号化ブロックの分割と同様に、四分木分割で表現された分割情報の形式や、選択可能な変換ブロックサイズをインデックス情報として表現された形式などで、ビットストリームから抽出して復元する。 変換ブロックサイズの情報は、符号化ブロックB^(n)ではなく、符号化ブロックB^(n)に属しているパーティションP_(i)^(n)を単位として決定するように構成されていてもよい。 【0080】 加算部56は、逆量子化・逆変換部55から復号予測差分信号を受けると、その復号予測差分信号とイントラ予測部53又は動き補償予測部54により生成された予測画像を示す予測信号を加算することで復号画像を生成して、その復号画像を示す復号画像信号をイントラ予測用メモリ57に格納するとともに、その復号画像信号をループフィルタ部58に出力する(ステップST39)。 2.引用文献に記載される発明 引用文献1に記載された発明を以下に認定する。 (1)動画像符号化/復号装置及び方法 引用文献1の段落【0001】、【0007】の記載によれば、引用文献1には、「複雑なブロックの分割を実現することができ、少ない符号量で分割状態を表現することができる動画像符号化装置及び動画像符号化方法」及び「ビットストリームから少ない符号量で分割状態を表現している情報を復号して、映像信号を再生する動画像復号装置及び動画像復号方法」に関する発明が記載されている。 そして、段落【0011】の記載によれば、引用文献1には、動画像符号化装置において、入力されるフレーム画像とその予測画像の差分画像である予測差分信号に対して、直交変換・量子化による圧縮処理を施した後に、可変長符号化を行ってビットストリームを生成し、動画像復号装置において、動画像符号化装置から出力されるビットストリームを復号することが記載されている。 さらに、段落【0031】、【0032】の記載によれば、引用文献1の動画像符号化装置及び動画像復号装置は、コンピュータで構成され、各処理部の処理内容を記述しているプログラムを実行するものであってもよいことが記載されている。 以上のことから、引用文献1には、『動画像復号装置をコンピュータで構成し、動画像復号装置の各処理部の処理内容を記述しているプログラムを実行することによって、動画像符号化装置から出力されるビットストリームの符号化データを復号する動画像復号方法』の発明が記載されている。 (2)動画像符号化装置の処理 引用文献1の段落【0008】、【0015】、【0023】、【0033】、【0036】、【0037】、【0042】、【0053】の記載によれば、引用文献1の動画像符号化装置は、入力画像が分割される初期ブロックのサイズと、初期ブロックが階層的に分割されて符号化ブロックが生成される際の上限の分割階層数を決定し、画像圧縮手段から出力された圧縮データを可変長符号化するとともに、最大サイズの符号化ブロック(初期ブロック)の4分木構造の分割状態を示す情報(最大符号化ブロック分割状態記述情報)と予測処理に用いられる参照ブロックの分割状態を示す情報との差分情報を可変長符号化し、その圧縮データ及び差分情報の符号化データが多重化されたビットストリームを生成する。 (3)動画像復号装置の処理 引用文献1の段落【0065】の記載によれば、引用文献1のビットストリーム(特にスライスレベルのデータ)のスライス符号化データは、スライスヘッダとそれに続くスライス内の個数分の最大符号化ブロックの符号化データから構成され、各々の最大符号化ブロックの符号化データは、最大符号化ブロック分割状態記述情報を含む。 引用文献1の段落【0024】、【0068】、【0069】の記載によれば、引用文献1の動画像復号装置は、入力されたビットストリームに可変長復号処理を実施し、符号化ブロックの最大サイズ及び最大サイズの符号化ブロック(初期ブロック)が階層的に分割される際の上限の階層数を決定する。また、ビットストリームに多重化されている符号化データから差分情報を可変長復号し、その差分情報と予測処理に用いられる参照ブロックの分割状態を示す情報から最大符号化ブロック(初期ブロック)の4分木構造の分割状態(最大符号化ブロック分割状態記述情報)を特定して、その最大符号化ブロック(初期ブロック)が階層的に分割されて生成されている符号化ブロックを特定する。さらに、ビットストリームに多重化されている符号化データから符号化ブロックに係る圧縮データを可変長復号して、その圧縮データを逆量子化・逆変換部に出力する。 そして、段落【0028】、【0029】、【0079】、【0080】の記載によれば、逆量子化・逆変換部は、圧縮データに逆量子化、逆変換処理を施して復号予測差分信号を加算部に出力し、加算部は、復号予測差分信号から復号画像信号を生成する。 以上のことから、引用文献1には、『スライスヘッダ及び最大符号化ブロック(初期ブロック)の符号化データから構成されるビットストリームのスライス符号化データに可変長復号処理を実施し、最大符号化ブロック(初期ブロック)の符号化データに含まれる最大符号化ブロック(初期ブロック)の4分木構造の分割状態(最大符号化ブロック分割状態記述情報)を特定すること』、『最大符号化ブロック分割状態記述情報を特定して、最大符号化ブロック(初期ブロック)が階層的に分割されて生成されている符号化ブロックを特定すること』及び『符号化データを可変長復号して得られる符号化ブロックの圧縮データに逆変換処理を実施して復号画像信号を生成すること』が記載されている。 (4)変換/逆変換処理 引用文献1の段落【0019】、【0028】、【0079】の記載によれば、動画像符号化装置の変換・量子化部は、差分画像の変換処理(例えば、DCT(離散コサイン変換)や、予め特定の学習系列に対して基底設計がなされているKL変換等の直交変換処理)を実施するものであり、画像復号装置の逆量子化・逆変換部は、逆量子化の圧縮データの逆変換処理(例えば、逆DCT(逆離散コサイン変換)や、逆KL変換等の逆変換処理)を実施する。 すなわち、画像復号装置は、例えば、逆DCTや逆KL変換等の逆変換処理を行うものである。 (5)まとめ 上記(1)?(4)から、引用文献1に記載される動画像復号方法の発明を抽出すると、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 なお、各構成に付した符号(a)?(d)は、本願発明の符号に対応させたものである。 (引用発明) 「動画像復号装置をコンピュータで構成し、動画像復号装置の各処理部の処理内容を記述しているプログラムを実行することによって、動画像符号化装置から出力されるビットストリームの符号化データを復号する動画像復号方法であって、 (a)スライスヘッダ及び最大符号化ブロック(初期ブロック)の符号化データから構成されるビットストリームのスライス符号化データに可変長復号処理を実施し、最大符号化ブロック(初期ブロック)の符号化データに含まれる最大符号化ブロック(初期ブロック)の4分木構造の分割状態(最大符号化ブロック分割状態記述情報)を特定することと、 (c)符号化データを可変長復号して得られる符号化ブロックの圧縮データに逆変換処理(例えば、逆DCTや逆KL変換等)を実施して復号画像信号を生成することと、 (d)最大符号化ブロック分割状態記述情報を特定して、最大符号化ブロック(初期ブロック)が階層的に分割されて生成されている符号化ブロックを特定することと、 を含む動画像復号方法。」 3.引用文献2に記載される事項 当審における拒絶の理由に引用した引用文献2には、「動画像符号化装置および動画像復号装置」(発明の名称)に関し、図面と共に次に掲げる事項が記載されている。 なお、段落【0025】の「実施の形態1.」、段落【0061】の「実施の形態5.」、段落【0079】の「上記実施の形態1?7についての補足事項.」以外の下線は、強調のために当審で付したものである。 【0008】 【発明が解決しようとする課題】従来の動画像符号化方式は、画像信号の周波数領域への変換方式として常にDCTを用いていたため、DCTの変換特性に合わない信号が入力された場合には、十分な圧縮特性が得られないという課題があった。 【0009】また、従来のDCTと量子化の組み合わせでは、符号化誤差をゼロにするロスレス符号化処理が事実上不可能に近い、という課題もある。 【0010】この発明は、上記のような問題点を解決するためになされたもので、画像信号の特性に合わせて最適な符号化処理が行えるように変換方式を選択でき、さらには変換方式を選択する際に、連動して量子化処理や可変長符号化処理の処理方式を変更できる画像符号化装置、または画像信号を圧縮・伸張した際に、完全にもとの画像信号に復号可能なロスレス符号化処理も適応的に可能とする画像符号化装置、およびこのような画像符号化装置の符号化出力を正しく復号処理することのできる動画像復号装置を提供することを目的とする。 【0011】 【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため、本発明では、動画像信号を圧縮した符号化データを生成する動画像符号化装置において、変換方式の異なる複数の変換部と、前記複数の変換部の中からいずれか一つを選択する変換方式制御部と、選択された変換方式を示すフラグを符号化データに含める可変長符号化部と、を有することを特徴とする。 【0012】また、圧縮された符号化データから動画像信号を復号する動画像復号装置において、符号化データから変換方式を選択するフラグを取り出す可変長復号部と、変換方式の異なる複数の逆変換部と、前記フラグに応じて前記複数の逆変換部の中からいずれか一つを選択する逆変換方式制御部と、を有することを特徴とする。 【0025】 【発明の実施の形態】実施の形態1.図3は、この発明の実施の形態1の画像符号化装置のブロック図である。図において、21は変換方式制御部、22は第一の変換部A、23は第二の変換部B、24は第一の逆変換部A、25は第二の逆変換部B、26,27はそれぞれ二つの変換部A22,B23、逆変換部A24,B25のいずれかを選択するためのスイッチである。他の構成要素は、図1に示す従来例と同じで、同じ番号のブロックは同じ機能であり、同じ動作を行う。 【0026】次に動作について説明する。変換方式制御部21は、符号化モード判定部11より出力される信号を空間領域から周波数領域に変換する処理として、2つ用意されている変換部A22と変換部B23のいずれかを用いて変換するように信号202を用いてスイッチ26を制御する。 【0027】また、変換方式制御部21は、逆量子化された係数を逆変換する際に、選択された変換処理の逆変換を行うように、スイッチ27を制御する。 【0028】さらに、変換方式制御部21は、変換部A22と変換部B23のいずれを選択して符号化処理を行ったかを示すための変換方式選択フラグ201を可変長符号化部19に出力する。変換方式選択フラグ201は量子化係数103や動きベクトル104などの符号化データと共に符号化・多重化されて出力される。 【0029】次に、変換方式制御部21の制御方法について以下に説明する。本実施の形態1では、いずれの方式が選択されているかを示す変換方式選択フラグ201を符号化データとして出力するため、任意のタイミングまたは単位で変換方式を切り替えることが可能である。例えばMPEG-2ビデオのビットストリームシンタックスのような階層構造をもった形式の符号化データを出力する場合、シーケンスヘッダに変換方式選択フラグ201を多重すれば、シーケンス単位に変換方式を切り替えることが可能となる。同様にGOP(Group Of Picture)ヘッダに多重すればGOP単位に、ピクチャヘッダに多重すればピクチャ単位に、スライスヘッダに多重すればスライス単位に、マクロブロックタイプの一部に多重すればマクロブロック単位に変換方式を切り替えることが可能となる。 【0030】このような制御により、動画像のシーケンス、またはGOP、ピクチャ、スライス、マクロブロック等といった所定の単位ごとに変換方式を選択することが可能となり、画像信号の状態に応じた最適な符号化処理を行うことができる。 【0031】このように、本実施の形態1の動画像符号化装置によれば、変換方式制御部21の制御によって変換部A22と変換部B23のいずれかを用いて変換するようにしたため、画像信号の特性に合わせて最適な符号化処理が行えるように変換方式を選択できる。 【0032】また、変換方式制御部21は、変換部A22と変換部B23のいずれを選択して符号化処理を行ったかを示すための変換方式選択フラグ201を可変長符号化部19に出力して、変換方式選択フラグ201を量子化係数103や動きベクトル104などの符号化データと共に符号化・多重化して出力するようにしたため、この符号化データを入力して復号する復号装置側では、変換方式選択フラグ201を基にその符号化データを正しく復号することが可能となる。 【0061】実施の形態5.次に、上記実施の形態1および実施の形態2(実施の形態2の尚下記部分で説明した実施の形態1,2の組み合わせも含む。)により生成された符号化データを入力し復号する実施の形態5の動画像復号装置について説明する。 【0062】図7は、実施の形態5の動画像復号装置のブロック図である。図において、90は逆変換方式制御部、91は第1の逆変換部A、92は第2の逆変換部B、93は2つの逆変換部のいずれかを選択するためのスイッチである。他の構成要素は、図2に示す従来例と同じで、同じ番号のブロックは同じ機能であり、同じ動作を行う。 【0063】次に動作について説明する。可変長復号部80は、上記実施の形態1の動画像符号化装置により生成された符号化データ151を入力すると、それと共に変換方式選択フラグ155が送られてきている場合に変換方式選択フラグ155を復号して、逆変換方式制御部90へ出力する。 【0064】逆変換方式制御部90は、復号された変換方式選択フラグ155に基づき上記実施の形態1の動画像符号化装置における変換方式を認識して、上記実施の形態1の動画像符号化装置において採用された変換方式に対応する逆変換方式を選択するようスイッチ93に対し選択指令を出力する。 【0065】スイッチ93は、逆変換方式制御部90からの選択指令に応じて逆変換部A91,B92の一方の逆変換方式を選択する。すると、スイッチ93の切替動作に応じて、逆変換部A91もしくは逆変換部B92のいずれかに逆量子化部81にて逆量子化された変換係数信号が入力してそれぞれの変換方式で逆変換され、逆変換された変換係数信号が出力されることになる。 【0066】このように、本実施の形態5の動画像復号装置によれば、符号化データ151に含まれている変換方式選択フラグ155に応じて逆変換方式を切り替えることにより、図3に示す実施の形態1の動画像符号化装置が出力する符号化データを正しく復号することが可能となる。 【0079】上記実施の形態1?7についての補足事項.なお、以上の実施の形態1?7の説明では、2組の変換部A22,B23により第1の変換方式、第2の変換方式として説明したが、本発明では、変換方式は3組以上合っても勿論良い。ここで、変換方式の組み合わせの一例を示す。なお、上記実施の形態1?4の動画像符号化装置において下記に示すような変換方式等を採用した場合には、それに対応する上記実施の形態5?7の動画像復号装置では、動画像符号化装置側の変換方式等とは逆の変換方式等を採用するようにする。 【0080】MPEGでも採用されているDCT変換方式は、実数演算を必要とするため演算処理負荷が大きく、また演算誤差の発生する可能性が含まれるが、一般的な画像信号の特性に合っているため効率的な符号化処理が可能である。 【0081】アダマール変換方式は、+1と-1の係数のみから構成されるため、整数演算のみで処理が可能であり演算処理負荷を大幅に軽減できると共に、演算誤差が発生しないために復号画像が完全に復元できる可逆符号化(ロスレス符号化)が可能となる。 【0082】このため、可逆符号化が要求されるような高ビットレートのときにはアダマール変換方式を選択する一方、可逆符号化は要求されない低ビットレートのときには従来のDCT変換方式を選択して用いることにより、ビットレートに応じた符号化処理を実現することにより、弾力的かつ高能率な符号化・復号処理が可能となる。 【0083】また、スラント変換方式は、低周波の信号を1次元関数で表記できるため、画面の一部が緩やかに変化している領域に対してはスラント変換方式を選択することにより、擬似輪郭のような符号化雑音の発生を抑制でき、符号化効率を高めることが可能となる。 以上の記載によれば、引用文献2には、以下の技術が記載されていると認められる。 「画像信号の特性に合わせて最適な符号化処理が行える変換方式を選択する技術であって、動画像符号化装置において、動画像のシーケンス、またはGOP、ピクチャ、スライス、マクロブロック等といった所定の単位ごとに、複数の異なる変換方式(DCT変換方式、アダマール変換方式、スラント変換方式等)の変換部のいずれを選択して符号化処理を行ったかを示すための変換方式選択フラグを可変長符号化し、符号化データと共に符号化・多重化して出力し、動画像復号装置において、符号化データから変換方式選択フラグを復号し、複数の異なる逆変換部からフラグに対応する逆変換方式を選択し、逆変換された変換係数信号を出力する技術」 第5 対比・判断 1.本願発明の選択的構成について 本願発明は、ステップ(a)に「前記符号化入力データ(20)に含まれるブロックおよび/またはパケット」及び「元のブロックおよび/またはパケット」、ステップ(b)に「復号ブロックおよび/またはパケットコンテンツ」、ステップ(c)に「元のブロックおよび/またはパケットデータ」及び「復号ブロックおよび/またはパケットコンテンツ」、ステップ(d)に「前記データフィールドのブロックおよび/またはパケット」及び構成(i)に「前記区画の各々について、対応するブロックおよび/またはパケット」という選択的記載を有している。 これらの構成は、本願発明の入力が『符号化されたブロックおよび/またはパケット』であることを示すものであり、それに対応して、方法発明のステップにおいて『復号されたブロックおよび/またはパケット』が処理されることを示すものである。 このような選択的記載があるから、本願発明は、符号化入力データを復号して対応する復号出力データを生成する方法において「ブロックおよび/またはパケット」を含む符号化入力データ(すなわち、「ブロック」を含む符号化入力データ、「パケット」を含む符号化入力データ及び「ブロックおよびパケット」を含む符号化入力データ)についての複数の発明を含むものである。 当審は、本願発明の複数の発明のうち、『「ブロック」を含む符号化入力データを復号して対応する復号出力データを生成する方法』の発明(以下、「本願第1発明」という。)について進歩性の検討を行う。 (本願第1発明) 「装置の処理手段がコンピュータプログラムを実行することにより、前記装置が遂行する方法において、符号化入力データ(20)を復号して対応する復号出力データ(30)を生成する方法であって、以下のステップ: (a)前記符号化入力データ(20)を処理することであって、前記符号化入力データ(20)からヘッダ情報を抽出し、前記ヘッダ情報は、前記符号化入力データ(20)に含まれるブロックに関する符号化データを示し、かつ、前記ブロックに関する符号化データとして含めるために、元のブロックを圧縮符号化するのに使用された複数の異なる変換のうちの二つ以上を示す、前記処理することと; (b)復号ブロックコンテンツを受信するために、データ記憶構成のデータフィールドを用意すること、ただし前記データフィールドは、前記符号化入力データの初期分割に対応する区画を有する、前記用意することと; (c)前記二つ以上の変換を記述する情報を読み出すことと;圧縮符号化された元のブロックデータを復号するための、前記二つ以上の変換の逆変換を適用し、前記データフィールドに入力するための、対応する復号ブロックコンテンツを生成することと; (d)前記符号化データに含まれる前記符号化入力データ(20)の分割情報に従って、前記データフィールドのブロックを復号処理のために分割することと; (e)前記符号化入力データが少なくとも部分的に復号されると、前記データフィールドから復号出力データ(30)としてデータを出力することと; を含み、ここで、 (i)前記分割情報は、前記区画の各々について、対応するブロックが分割されるべきか否かを示し、 (ii)前記複数の変換は、データベース参照,DC値,スライド,スケール,ライン,マルチレベル,不変,補間,外挿,DCT,パルス符号変調(PCM),差分パルス符号変調(DPCM),連長圧縮(RLE),SRLE,EM,LZO,VLC,ハフマン符号,算術符号化,レンジ符号化,変換符号化,差分符号化,ODelta符号化,bzip2特化型RLEのうちの少なくとも2つを含む、 方法。」 2.対比 本願第1発明と引用発明とを対比する。 (1)本願第1発明の「装置の処理手段がコンピュータプログラムを実行することにより、前記装置が遂行する方法において、符号化入力データ(20)を復号して対応する復号出力データ(30)を生成する方法」について 引用発明は、「動画像復号装置をコンピュータで構成し、動画像復号装置の各処理部の処理内容を記述しているプログラムを実行することによって、動画像符号化装置から出力されるビットストリームの符号化データを復号する動画像復号方法」であり、構成(c)において、符号化データを可変長復号して復号画像信号を生成するものである。 よって、この「動画像符号化装置から出力されるビットストリームの符号化データ」は、動画像復号装置の『符号化入力データ』といえ、「復号画像信号」は、動画像復号装置が符号化データを復号した『復号出力データ』といえる。 したがって、引用発明の「動画像復号方法」は、本願第1発明の「装置の処理手段がコンピュータプログラムを実行することにより、前記装置が遂行する方法において、符号化入力データ(20)を復号して対応する復号出力データ(30)を生成する方法」に相当する。 (2)本願第1発明のステップ(a)について 引用発明の構成(a)は、「スライスヘッダ及び最大符号化ブロック(初期ブロック)の符号化データから構成されるビットストリームのスライス符号化データに可変長復号処理を実施」するものであるから、ビットストリームのスライス符号化データ(『符号化入力データ』)を処理するものであって、スライスヘッダを抽出するものといえ、スライスヘッダは『ヘッダ情報』といえる。 また、構成(a)のスライスヘッダには、「最大符号化ブロック(初期ブロック)の4分木構造の分割状態(最大符号化ブロック分割状態記述情報)」などの、最大符号化ブロック(初期ブロック)から構成される複数のスライス符号化データに関するデータが格納されていることは明かであるから、構成(a)のスライスヘッダは、スライス符号化データに含まれる最大符号化ブロック(初期ブロック)、すなわち『ブロック』に関するデータを示すものといえる。 そうすると、引用発明の構成(a)は、本願第1発明のステップ(a)と、「前記符号化入力データ(20)を処理することであって、前記符号化入力データ(20)からヘッダ情報を抽出し、前記ヘッダ情報は、前記符号化入力データ(20)に含まれるブロックに関する符号化データを示す、前記処理すること」というものである点で一致する。 ただし、引用発明は、構成(c)の「符号化ブロックの圧縮データに逆変換処理(例えば、逆DCTや逆KL変換等)を実施して復号画像信号を生成する」ものであるように、ブロックを圧縮符号化するのにDCTやKL変換等の一つの変換処理を適用するものであって、ブロックを圧縮符号化するのに複数の異なる変換を使用するものではない。 このことから、本願第1発明のステップ(a)のヘッダ情報は、「かつ、前記ブロックに関する符号化データとして含めるために、元のブロックを圧縮符号化するのに使用された複数の異なる変換のうちの二つ以上を示す」ものであるのに対し、引用発明のスライスヘッダは、ブロックを圧縮符号化するのに使用された複数の異なる変換を示すものではない点で、両者は相違する。 (3)本願第1発明のステップ(b)について 引用発明は、本願第1発明のステップ(b)の「復号ブロックコンテンツを受信するために、データ記憶構成のデータフィールドを用意すること、ただし前記データフィールドは、前記符号化入力データの初期分割に対応する区画を有する、前記用意すること」という構成を備えていない点で、本願第1発明と相違する。 (4)本願第1発明のステップ(c)について 引用発明の構成(c)は、「符号化ブロックの圧縮データに逆変換処理(例えば、逆DCTや逆KL変換等)を実施して復号画像信号を生成する」ものであり、逆DCTや逆KL変換等の一つの逆変換処理を適用して、符号化ブロックに係る圧縮データを元のブロックデータを復号するものであるから、引用発明の構成(c)は、本願第1発明のステップ(c)の「圧縮符号化された元のブロックデータを復号するための、逆変換を適用し、対応する復号ブロックコンテンツを生成すること」に相当するものである。 ただし、引用発明は、上記(2)において検討したように、ブロックを圧縮符号化するのに複数の異なる変換を使用するものではない。 このことから、本願第1発明のステップ(c)は、「前記二つ以上の変換を記述する情報を読み出すこと」という構成を有し、「前記二つ以上の変換の」逆変換を適用するものであるのに対し、引用発明の構成(c)は、逆DCTや逆KL変換等の一つの逆変換処理を適用するものであって、二つ以上の変換を記述する情報を読み出すものではなく、二つ以上の変換の逆変換を適用するものではない点で、両者は相違する。 さらに、引用発明は、上記(3)において検討したように、「データ記憶構成のデータフィールドを用意する」構成を備えていない。 このために、本願第1発明のステップ(c)は、二つ以上の変換の逆変換を適用し、「前記データフィールドに入力するための、」コンテンツを生成するという構成を有しているのに対し、引用発明は、逆変換を実施した復号画像信号をデータフィールドに入力するという構成を備えていない点で、両者は相違する。 (5)本願第1発明のステップ(d)について 引用発明は、構成(d)において、「最大符号化ブロック分割状態記述情報を特定して、最大符号化ブロック(初期ブロック)が階層的に分割されて生成されている符号化ブロックを特定する」ものである。 ここで、引用発明の「最大符号化ブロック分割状態記述情報」は、構成(a)によれば、ビットストリームのスライス符号化データ(『符号化入力データ』)に含まれるものであり、スライス符号化データ(『符号化入力データ』)の最大符号化ブロック(初期ブロック)についての分割状態を示すものであるから、本願第1発明の「符号化データに含まれる符号化入力データ(20)の分割情報」に相当する。 また、引用発明の構成(d)の「最大符号化ブロック分割状態記述情報を特定して、最大符号化ブロック(初期ブロック)が階層的に分割されて生成されている符号化ブロックを特定する」ことは、最大符号化ブロック分割状態記述情報に従って、最大符号化ブロック(初期ブロック)を分割することといえる。 さらに、構成(d)の分割された符号化ブロックは、引用発明の構成(c)において、その符号化ブロックの圧縮データに逆変換処理(例えば、逆DCTや逆KL変換等)を実施して復号画像信号を生成するものであるから、構成(d)は、最大符号化ブロック(初期ブロック)を可変長復号するために分割するものといえるものである。 したがって、引用発明の構成(d)は、本願第1発明のステップ(d)と、「前記符号化データに含まれる前記符号化入力データ(20)の分割情報に従って、ブロックを復号処理のために分割すること」というものである点で一致する。 ただし、引用発明は、上記(3)において検討したように、「データ記憶構成のデータフィールドを用意する」構成を備えていない。 このために、本願第1発明のステップ(d)は、「前記データフィールドの」ブロックを分割するものであるのに対し、引用発明は、スライス符号化データの最大符号化ブロック(初期ブロック)を分割するものである点で、両者は相違する。 (6)本願第1発明のステップ(e)について 引用発明は、構成(c)において、符号化データを可変長復号して得られる符号化ブロックの圧縮データから復号画像信号を生成するものであるが、引用発明は、上記(3)において検討したように、「データ記憶構成のデータフィールドを用意する」構成を備えていない。 よって、引用発明は、本願第1発明のステップ(e)の「前記符号化入力データが少なくとも部分的に復号されると、前記データフィールドから復号出力データ(30)としてデータを出力すること」という構成を備えていない点で、本願第1発明と相違する。 (7)本願第1発明の構成(i)について 引用発明の構成(d)は、「最大符号化ブロック分割状態記述情報を特定して、最大符号化ブロック(初期ブロック)が階層的に分割されて生成されている符号化ブロックを特定する」ものであり、最大符号化ブロック分割状態記述情報は、構成(a)によれば、「最大符号化ブロック(初期ブロック)の4分木構造の分割状態」である。 ここで、4分木構造により分割状態を表現することは、各々のブロックがそれより下位の階層に分割されるべきか否かを示すものであることは周知の事項である。 したがって、引用発明の構成(d)の最大符号化ブロック分割状態記述情報は、本願第1発明の構成(i)と「前記分割情報は、対応するブロックが分割されるべきか否かを示す」ものである点で一致する。 ただし、引用発明は、上記(3)において検討したように、「データ記憶構成のデータフィールドを用意すること、ただし前記データフィールドは、前記符号化入力データの初期分割に対応する区画を有する、前記用意すること」という構成を備えていない。 このことから、本願第1発明の構成(i)は、『分割情報は、「前記区画の各々について、」対応するブロックが分割されるべきか否かを示すもの』であるのに対し、引用発明は、『最大符号化ブロック分割状態記述情報は、最大符号化ブロック(初期ブロック)の各々のブロックが分割されるべきか否かを示すもの』である点で、両者は相違する。 (8)本願第1発明の構成(ii)について 引用発明は、上記(2)及び(4)において検討したように、ブロックを圧縮符号化するのにDCTやKL変換等の一つの変換処理を適用するものであって、ブロックを圧縮符号化するのに複数の異なる変換を使用するものではないことから、本願第1発明の構成(ii)の「前記複数の変換は、データベース参照,DC値,スライド,スケール,ライン,マルチレベル,不変,補間,外挿,DCT,パルス符号変調(PCM),差分パルス符号変調(DPCM),連長圧縮(RLE),SRLE,EM,LZO,VLC,ハフマン符号,算術符号化,レンジ符号化,変換符号化,差分符号化,ODelta符号化,bzip2特化型RLEのうちの少なくとも2つを含む」という構成を備えていない点で、本願第1発明と相違する。 (9)まとめ 上記(1)?(8)の対比結果を踏まえると、本願第1発明と引用発明の一致点及び相違点は次の通りである。 [一致点] 装置の処理手段がコンピュータプログラムを実行することにより、前記装置が遂行する方法において、符号化入力データ(20)を復号して対応する復号出力データ(30)を生成する方法であって、以下のステップ: (a)前記符号化入力データ(20)を処理することであって、前記符号化入力データ(20)からヘッダ情報を抽出し、前記ヘッダ情報は、前記符号化入力データ(20)に含まれるブロックに関する符号化データを示す、前記処理することと; (c)圧縮符号化された元のブロックデータを復号するための、逆変換を適用し、対応する復号ブロックコンテンツを生成することと; (d)前記符号化データに含まれる前記符号化入力データ(20)の分割情報に従って、ブロックを復号処理のために分割することと; を含み、ここで、 (i)前記分割情報は、対応するブロックが分割されるべきか否かを示す、 方法。 [相違点1] 本願第1発明のステップ(a)のヘッダ情報は、「かつ、前記ブロックに関する符号化データとして含めるために、元のブロックを圧縮符号化するのに使用された複数の異なる変換のうちの二つ以上を示す」ものであるのに対し、引用発明のスライスヘッダは、ブロックを圧縮符号化するのに使用された複数の異なる変換を示すものではない点。 [相違点2] 引用発明は、本願第1発明のステップ(b)の「復号ブロックコンテンツを受信するために、データ記憶構成のデータフィールドを用意すること、ただし前記データフィールドは、前記符号化入力データの初期分割に対応する区画を有する、前記用意すること」という構成を備えていない点。 [相違点3] 本願第1発明のステップ(c)は、「前記二つ以上の変換を記述する情報を読み出すこと」という構成を有し、「前記二つ以上の変換の」逆変換を適用するものであるのに対し、引用発明の構成(c)は、逆DCTや逆KL変換等の一つの逆変換処理を適用するものであって、二つ以上の変換を記述する情報を読み出すものではなく、二つ以上の変換の逆変換を適用するものではない点。 [相違点4] 相違点2に関連して、本願第1発明のステップ(c)は、二つ以上の変換の逆変換を適用し、「前記データフィールドに入力するための、」コンテンツを生成するという構成を有しているのに対し、引用発明は、逆変換を実施した復号画像信号をデータフィールドに入力するという構成を備えていない点。 [相違点5] 相違点2に関連して、本願第1発明のステップ(d)は、「前記データフィールドの」ブロックを分割するものであるのに対し、引用発明は、スライス符号化データの最大符号化ブロック(初期ブロック)を分割するものである点。 [相違点6] 相違点2に関連して、本願第1発明のステップ(e)の「前記符号化入力データが少なくとも部分的に復号されると、前記データフィールドから復号出力データ(30)としてデータを出力すること」という構成を備えていない点。 [相違点7] 相違点2に関連して、本願第1発明の構成(i)は、分割情報は、「前記区画の各々について、」対応するブロックが分割されるべきか否かを示すものであるのに対し、引用発明は、最大符号化ブロック分割状態記述情報は、最大符号化ブロック(初期ブロック)の各々のブロックが分割されるべきか否かを示すものである点。 [相違点8] 引用発明は、本願第1発明の構成(ii)の「前記複数の変換は、データベース参照,DC値,スライド,スケール,ライン,マルチレベル,不変,補間,外挿,DCT,パルス符号変調(PCM),差分パルス符号変調(DPCM),連長圧縮(RLE),SRLE,EM,LZO,VLC,ハフマン符号,算術符号化,レンジ符号化,変換符号化,差分符号化,ODelta符号化,bzip2特化型RLEのうちの少なくとも2つを含む」という構成を備えていない点。 3.相違点の判断 (1)相違点1及び相違点3について 引用発明は、逆DCTや逆KL変換等の一つの逆変換処理を適用するものであって、符号化側での変換及び復号側での逆変換には、任意の最適な変換及び逆変換を用いれば良いことを示唆しているものである。 そして、上記「第4 3.引用文献2に記載される事項」に示したように、引用文献2には「画像信号の特性に合わせて最適な符号化処理が行える変換方式を選択する技術であって、動画像符号化装置において、動画像のシーケンス、またはGOP、ピクチャ、スライス、マクロブロック等といった所定の単位ごとに、複数の異なる変換方式(DCT変換方式、アダマール変換方式、スラント変換方式等)の変換部のいずれを選択して符号化処理を行ったかを示すための変換方式選択フラグを可変長符号化し、符号化データと共に符号化・多重化して出力し、動画像復号装置において、符号化データから変換方式選択フラグを復号し、複数の異なる逆変換部からフラグに対応する逆変換方式を選択し、逆変換された変換係数信号を出力する技術」が開示されている。 よって、符号化処理及び復号処理の方法において、マクロブロック等の単位ごとに、複数の異なる変換方式(DCT変換方式、アダマール変換方式、スラント変換方式等)の中から最適な変換及び逆変換を選択して適用する技術は、引用文献2に記載されるように公知のものである。 引用発明において、最適な変換及び逆変換を採用するという技術的観点を更に推し進めるために、引用発明と同じ符号化及び復号の技術分野に属する引用文献2記載の技術を適用し、符号化データに複数の異なる変換方式の中から最適な変換及び逆変換を選択する構成に、符号化データのブロック単位ごとに、複数の異なる変換方式の中から最適な変換及び逆変換を選択して適用する構成を採用することは、当業者が容易に想到し得ることである。 また、引用発明に複数の異なる変換方式の中から最適な変換及び逆変換を選択して適用する構成を採用する際には、符号化側から復号側へ、複数の異なる変換方式の中から最適な変換方式を選択したかという情報を、ヘッダ情報に含めて送信することも当業者が当然に想到し得ることである。 そして、引用発明において、符号化データに含まれる多数のブロック単位ごとに最適な変換方式を採用するのであるから、選択される変換方式として、符号化データについて、全てのブロックに共通の一つの変換方式が選択されることを選択肢として排除し、少なくとも二つ以上の異なる変換方式が選択されるようにすることも、当業者が普通に採用し得ることである。 以上の判断を総合すれば、引用発明に引用文献2記載の技術を適用することにより、相違点1に係る『ヘッダ情報は、「かつ、前記ブロックに関する符号化データとして含めるために、元のブロックを圧縮符号化するのに使用された複数の異なる変換のうちの二つ以上を示す」もの』とし、相違点3に係る『「前記二つ以上の変換を記述する情報を読み出すこと」という構成を有し、「前記二つ以上の変換の」逆変換を適用するものとする』ことは、当業者が容易に想到し得ることである。 (2)相違点2及び相違点4?7について 符号化データの復号処理は、逆量子化、逆変換、参照ブロックとの加算などの複数の処理を段階的に実施するものであり、当該複数の処理の各段階においてブロック単位ごとに一時的に記憶するメモリなどの記憶手段を設けることは、符号化データの復号処理において一般に実施されていることである。 したがって、引用発明において、逆変換などの復号処理を行った最大符号化ブロック(初期ブロック)を記憶するメモリなどの記憶手段を用意し、相違点2に係る「復号ブロックコンテンツを受信するために、データ記憶構成のデータフィールドを用意すること、ただし前記データフィールドは、前記符号化入力データの初期分割に対応する区画を有する、前記用意すること」という構成を採用することは、当業者が容易になし得ることである。 そして、引用発明において、符号化入力データの初期分割に対応する区画を有するデータ記憶構成のデータフィールドを用意する構成を採用すれば、相違点4に係る『逆変換を適用し、「前記データフィールドに入力するための、」コンテンツを生成する』という構成とすること、相違点5に係る『「前記データフィールドの」ブロックを分割するもの』とすること、相違点7に係る『分割情報は、「前記区画の各々について、」対応するブロックが分割されるべきか否かを示すもの』とすることは、当業者が当然なし得る設計事項である。 さらに、引用発明において、復号処理が実施された復号画像信号を出力するものとすることは当業者が普通になし得ることであり、復号画像信号を出力する際に、相違点6に係る「前記符号化入力データが少なくとも部分的に復号されると、前記データフィールドから復号出力データ(30)としてデータを出力すること」という構成を採用することも、当業者が容易になし得ることである。 (3)相違点8について 上記(1)において検討したように、引用発明において、複数の異なる変換方式の中から最適な二つ以上の逆変換を適用するものとすることは当業者が容易に想到し得ることである。 そして、符号化の変換方式として、データベース参照、DC値、スライド、スケール、ライン、マルチレベル、不変、補間、外挿、DCT、パルス符号変調(PCM)、差分パルス符号変調(DPCM)、連長圧縮(RLE)、SRLE、EM、LZO、VLC、ハフマン符号、算術符号化、レンジ符号化、変換符号化、差分符号化、ODelta符号化、bzip2特化型RLEは、それぞれ周知の変換方式であるから、引用発明において、最適な二つ以上の逆変換の変換方式の選択肢として上記周知の変換方式を選択肢として定めることは適宜なし得ることである。 よって、引用発明において、相違点1及び相違点3に係る構成を採用する際に、相違点8に係る「前記複数の変換は、データベース参照,DC値,スライド,スケール,ライン,マルチレベル,不変,補間,外挿,DCT,パルス符号変調(PCM),差分パルス符号変調(DPCM),連長圧縮(RLE),SRLE,EM,LZO,VLC,ハフマン符号,算術符号化,レンジ符号化,変換符号化,差分符号化,ODelta符号化,bzip2特化型RLEのうちの少なくとも2つを含む」ものとすることは、当業者が適宜なし得ることである。 4.効果について 本願第1発明の構成は、上記のように当業者が容易に想到できたものであるところ、本願第1発明が奏する効果は、当業者が予測しうる範囲内のものであって、格別顕著なものがあるとは認められない。 5.まとめ 以上のとおりであるから、本願第1発明は引用発明、引用文献2記載の技術及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 6.本願発明について 本願発明は、上記1において述べたように複数の発明を含むものである。 そして、そのうちの一つの発明である本願第1発明が、上記2?5において検討したように、引用発明、引用文献2記載の技術及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 したがって、本願発明の他の発明を検討するまでもなく、本願発明は進歩性を有していない発明である。 第7 むすび 以上のように、本願の請求項1に係る発明は、引用文献1に記載された発明、引用文献2記載の技術及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、本願は、その余の請求項について論及するまでもなく、拒絶をすべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審理終結日 | 2018-10-24 |
結審通知日 | 2018-10-25 |
審決日 | 2018-11-06 |
出願番号 | 特願2013-165759(P2013-165759) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WZ
(H04N)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 梅本 達雄、後藤 嘉宏、山▲崎▼ 雄介 |
特許庁審判長 |
鳥居 稔 |
特許庁審判官 |
小池 正彦 清水 正一 |
発明の名称 | デコーダおよび復号方法 |
代理人 | 川守田 光紀 |