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審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 G02B
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G02B
管理番号 1350427
審判番号 不服2017-18074  
総通号数 233 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-05-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-12-05 
確定日 2019-04-23 
事件の表示 特願2016-535704「表面上に堆積パターンを形成する方法」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 6月18日国際公開、WO2015/088771、平成29年 1月19日国内公表、特表2017-502328、請求項の数(4)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
特願2016-535704号(以下、「本件出願」という。)は、2014年(平成26年)11月25日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2013年12月9日 米国)を国際出願日とする出願であって、その手続等の経緯は、概略、以下のとおりである。

平成29年 5月10日付け:拒絶理由通知書
平成29年 7月24日 :意見書、手続補正書の提出
平成29年 7月31日付け:拒絶査定(以下、「原査定」という。)
平成29年12月 5日 :審判請求書の提出
平成30年11月20日付け:拒絶理由通知書(この拒絶理由通知書で
通知された拒絶理由を、以下、「当審拒絶
理由」という。)
平成31年 2月 6日 :意見書、手続補正書の提出(この手続補正
書による補正を、以下、「本件補正」と
いう。)

第2 本願発明
本件出願の請求項1-4に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明4」という。)は、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1-4に記載された事項により特定される、次のとおりのものである。

「【請求項1】
基板の選択された部分上に材料のコーティングを形成する方法であって、前記基板は、前記基板の第1の面の選択された部分に形成された複数のキャビティを有し、各キャビティが、底部分と、該底部分から前記基板の前記第1の面まで延在する外周側壁を有し、当該方法は、
上に離型剤を有する構造体を用意し、
前記キャビティの前記底部分を前記離型剤から離間させたまま、前記基板の前記第1の面を前記離型剤と接触させて、前記離型剤の一部を前記基板の前記第1の面に転写することで、前記キャビティの前記底部分が前記離型剤を欠いた状態で前記基板の前記第1の面上に前記離型剤が置かれた表面、を有する中間構造を作り出し、
前記中間構造の前記表面を前記材料に晒して、前記基板の前記第1の面上に置かれた前記離型剤と前記キャビティの前記底部分との双方の上に前記材料をブランケットコーティングし、
前記材料がブランケットコーティングされた前記中間構造を、前記キャビティの前記底部分上の前記材料を残しながら前記離型剤をその上の前記材料と一緒に前記基板の前記第1の面から選択的に除去するプロセスにかける
ことを有する、方法。
【請求項2】
光エネルギー透過ウエハの選択された部分上に反射防止コーティングを形成する方法であって、前記光エネルギー透過ウエハは、前記光エネルギー透過ウエハの第1の面の選択された部分に形成された複数のキャビティを有し、各キャビティが、底部分と、該底部分から前記光エネルギー透過ウエハの前記第1の面まで延在する外周側壁を有し、当該方法は、
上に離型剤を有する構造体を用意し、
前記キャビティの前記底部分を前記離型剤から離間させたまま、前記光エネルギー透過ウエハの前記第1の面を前記離型剤の一部と接触させて、前記離型剤を前記光エネルギー透過ウエハの前記第1の面に転写することで、前記キャビティの前記底部分が前記離型剤を欠いた状態で前記光エネルギー透過ウエハの前記第1の面上に前記離型剤が置かれた表面、を有する中間構造を作り出し、
前記中間構造の前記表面を反射防止コーティング材料に晒して、前記光エネルギー透過ウエハの前記第1の面上に置かれた前記離型剤と前記キャビティの前記底部分との双方の上に前記反射防止コーティング材料をブランケットコーティングし、
前記反射防止コーティング材料がブランケットコーティングされた前記中間構造を、前記キャビティの前記底部分上の前記反射防止コーティング材料を残しながら前記離型剤をその上の前記反射防止コーティング材料と一緒に選択的に除去するプロセスにかける
ことを有する、方法。
【請求項3】
各々が前記キャビティのうちの対応する1つと関連付けられた複数の検出器アレイ、を有する第2のウエハを用意し、
前記アレイの各々を前記キャビティのうちの前記対応する1つとアライメントし、
上に前記反射防止コーティング材料を有する前記キャビティの各々を、対応する前記アレイから離し、且つ前記光エネルギー透過ウエハの前記第1の面を前記第2のウエハに接合して、前記光エネルギー透過ウエハを前記第2のウエハに接合する、
ことを含む請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記離型剤はポリビニルアルコールであり、前記選択的に除去するプロセスは水への浸漬を有する、請求項1乃至3の何れか一項に記載の方法。」

第3 引用文献、引用発明等
1 引用文献3
(1)記載事項
原査定の拒絶の理由に引用され、本件出願の優先権主張の日前に頒布された引用文献3(特開2013-142759号公報)には、次の事項が記載されている。下線は当合議体にて付した。以下、同じ。

ア 「【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板をレンズ形状に加工したレンズ一体型基板、及びレンズ一体型基板を用いた光センサに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、火災報知機やトイレの自動洗浄機等に用いられている赤外線センサは、防犯や省エネルギ等の分野で注目されており、小型化や低コスト化のニーズが高まっている。小型化を進めるにあたり、赤外線検出素子を封止する基板の一部をレンズ形状にすることで新たに光学系を必要としないレンズ一体型基板を用いた赤外線センサが既に知られている。
【0003】
このような赤外線センサにおいて、レンズ一体型基板の材料がシリコンである場合、高い反射率のため透過率が低下し、センサの感度が低下する問題がある。この問題を回避するため、プラズマCVD法、イオンプレーティング法、スパッタリング法等を用いて、レンズ一体型基板に反射防止膜を成膜する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、反射防止膜をプラズマCVD法、イオンプレーティング法、スパッタリング法等を用いて成膜すると、レンズ一体型基板の全面に反射防止膜が成膜されることになる。レンズ一体型基板の全面に反射防止膜が成膜されると、レンズ一体型基板は反射防止膜を介して赤外線検出素子を搭載した素子基板と接合されることになる。
【0005】
この場合、反射防止膜が接合面に存在することによって、レンズ一体型基板と素子基板との間に介在する接合材との密着性の悪化や、反射防止膜の凹凸によって接合の気密性が劣化する問題があった。
【0006】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、気密性の高い封止が可能なレンズ一体型基板を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本レンズ一体型基板は、基板の光線入射側の面に形成された凸部と、前記基板の光線出射側の面に形成された凹部と、前記光線入射側の面において、少なくとも前記凸部の表面を含む領域に成膜された第1の反射防止膜と、を有し、前記光線出射側の面において、前記凹部の表面の少なくとも一部を含む第1の領域には第2の反射防止膜が成膜されており、前記第1の領域を除く第2の領域には前記基板を構成する材料が露出しており、前記第2の領域の少なくとも一部は、他の部材と接合される接合面となることを要件とする。
【発明の効果】
【0008】
開示の技術によれば、気密性の高い封止が可能なレンズ一体型基板を提供できる。」

イ 「【0043】
〈第3の実施の形態〉
第3の実施の形態では、第1の実施の形態とは形状の異なるレンズ一体型基板の他の例を示す。なお、第3の実施の形態において、既に説明した実施の形態と同一構成部品についての説明は省略する。
【0044】
図6は、第3の実施の形態に係るレンズ一体型基板を例示する断面図である。図6を参照するに、レンズ一体型基板10Bは、凹部22が凹部24に置換された点がレンズ一体型基板10(図1参照)と相違する。
【0045】
基板20の面20bには面20a側に窪んだ段差部20cが形成されており、凹部24は凹部22(図1参照)よりも基板20の厚さ方向の内側に形成されている。つまり、凹部24は段差部20cよりも更に面20a側に形成されている。又、反射防止膜29は凹部24に対応する第1の領域20b_(1)のみに成膜されており、接合面20b_(2)及び段差部20cには形成されていない。
【0046】
反射防止膜28及び29は、一般的にプラズマCVD法、イオンプレーティング法、スパッタリング法等を用いて成膜する。これらの方法で基板20の面20b全面に成膜を行った後に接合面20b_(2)の反射防止膜29のみを除去する場合、リフトオフ法によって反射防止膜29を除去する方法等が考えられる。
【0047】
第1の実施の形態では、反射防止膜29を面20b全面に成膜した場合、接合面20b_(2)と凹部22上の反射防止膜29は連続的に成膜される。そのため、例えば接合面20b_(2)の反射防止膜29をリフトオフ法で剥離させた場合、凹部22上の反射防止膜29も同時に剥離されてしまう場合が生じる。
【0048】
仮に、接合面20b_(2)上の反射防止膜29のみを剥離できた場合でも剥離端部にバリが生じ、接合面20b_(2)に反射防止膜29が残存する虞がある。特に、本実施の形態のように10μm周辺の波長帯を目的とした反射防止膜29は膜厚が1μm以上と厚くなるため、このような問題が生じやすい。以上のように、第1の実施の形態では、接合面20b_(2)から凹部22にかけて反射防止膜29が連続的に成膜されるため、接合面20b_(2)のみの反射防止膜29を除去することが困難な場合があった。
【0049】
本実施の形態では、基板20には段差部20cが形成されているため、反射防止膜29を面20b全面に成膜した場合、接合面20b_(2)と凹部24に成膜された反射防止膜29が連続的につながることがない。このことから、リフトオフを行った場合、接合面20b_(2)の反射防止膜29と同時に凹部24上の反射防止膜29も剥離されてしまうことがなく、又、接合面20b_(2)端部から溶剤が浸透できるので容易にリフトオフができ、バリが生じるのを防止できる。以上のように本実施の形態に係るレンズ一体型基板10Bの構造を用いることにより、接合面20b_(2)上の反射防止膜29を除去することが容易になる。」

ウ 「
【図6】




(2)引用発明
ア 引用文献3の【図6】からは、「第3の実施の形態にかかるレンズ一体型基板」の接合面20b_(2)は、面20bのうち凹部24に対応する第1の領域20b_(1)以外の領域であることが看取できる。また、引用文献3の【0045】の記載と、【図6】から看取される構成の対応関係からみて、【0045】でいう「面20a側」とは、面20bからみたときの、「基板20の厚さ方向の内側」のことである。

イ 前記(1)アないしウ及び前記アによると、引用文献3には、第3の実施の形態として、次の発明が記載されていると認められる(以下、「引用発明」という。)。

「基板20の面20bに基板20の厚さ方向の内側に窪んだ段差部20cが形成され、凹部24が段差部20cよりも更に基板20の厚さ方向の内側に形成され、反射防止膜29が凹部24に対応する第1の領域20b_(1)のみに成膜されており、凹部24に対応する第1の領域20b_(1)以外の領域である接合面20b_(2)及び段差部20cには形成されていない、レンズ一体型基板の反射防止膜29の成膜方法であって、
プラズマCVD法、イオンプレーティング法、スパッタリング法等で基板20の面20b全面に成膜を行った後にリフトオフ法によって接合面20b_(2)の反射防止膜29のみを除去する、方法。」

2 引用文献4
(1)記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献4(国際公開第2011/114926号)には、次の事項が記載されている。

ア 「技術分野
[0001] 本発明は、表面に凹凸形状の転写パターンが形成されたテンプレート上に離型剤を成膜するテンプレート処理方法、コンピュータ記憶媒体及びテンプレート処理装置に関する。
背景技術
[0002] 例えば半導体デバイスの製造工程では、例えば半導体ウェハ(以下、「ウェハ」という。)にフォトリソグラフィー処理を行い、ウェハ上に所定のレジストパターンを形成することが行われている。
[0003] 上述したレジストパターンを形成する際には、半導体デバイスのさらなる高集積化を図るため、当該レジストパターンの微細化が求められている。一般にフォトリソグラフィー処理における微細化の限界は、露光処理に用いる光の波長程度である。このため、従来より露光処理の光を短波長化することが進められている。しかしながら、露光光源の短波長化には技術的、コスト的な限界があり、光の短波長化を進める方法のみでは、例えば数ナノメートルオーダーの微細なレジストパターンを形成するのが困難な状況にある。
[0004] そこで、近年、ウェハにフォトリソグラフィー処理を行う代わりに、いわゆるインプリントと呼ばれる方法を用いてウェハ上に微細なレジストパターンを形成することが提案されている。この方法は、表面に凹凸形状の微細なパターンを有するテンプレート(モールドや型と呼ばれることもある。)をウェハ上に形成したレジスト表面に圧着させ、その後剥離し、当該レジスト表面に直接パターンの転写を行うものである(特許文献1)。
先行技術文献
特許文献
[0005] 特許文献1:日本国特開2009-43998号公報
発明の概要
発明が解決しようとする課題
[0006] 上述のインプリント方法で用いられるテンプレートの表面全面には、テンプレートをレジストから剥離し易くするため、通常、レジストに対して撥液性を有する離型剤が成膜されている。
[0007] しかしながら、上述したようにテンプレート上のパターンは非常に微細であり、しかも離型剤がレジストに対して撥液性を有するため、テンプレート上にレジスト液を塗布しても、転写パターンの凹部にレジスト液が入り込み難い。この場合、レジスト液が凹部の内部において液滴上の状態で留まってしまい、凹部に気泡が発生する。すなわち、転写パターンの凹部にレジスト液が隙間無く充填されない。そうすると、液滴の形状がウェハ上のレジストパターンにそのまま転写されてしまうため、ウェハ上に所定のレジストパターンを形成できない場合があった。
[0008] 本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、テンプレートを用いて基板上に所定のパターンが形成されるように、当該テンプレートの表面に離型剤を適切に成膜することを目的とする。
課題を解決するための手段
[0009] 前記の目的を達成するため、本発明は、基板上に形成される塗布膜に転写パターンを転写して当該塗布膜に所定のパターンを形成するために用いられ、かつ表面に凹凸形状の転写パターンが形成されたテンプレート上に、離型剤を成膜するテンプレート処理方法において、前記転写パターンの凸部の上面のみに離型剤を成膜する。
[0010] 本発明によれば、転写パターンの凸部上面のみに離型剤を成膜するので、この凸部上面は、転写パターンの凹部の内面に比して、その後テンプレート上に塗布される塗布液に対する接触角が大きくなる。このため、テンプレート上に塗布された塗布液は、転写パターンの凹部に流入し易くなる。すなわち、転写パターンの凹部に塗布液が隙間なく充填される。したがって、かかるテンプレートを用いて基板上の塗布膜に所定のパターンを形成することができる。」

イ 「[0068] 次に、以上のように構成されたインプリントユニット210で行われるインプリント処理について説明する。図17は、主な工程におけるテンプレートTとウェハWの状態を示している。
[0069] 先ず、テンプレートTとウェハWがインプリントユニット210に搬入され、テンプレート保持部220とウェハ保持部240にそれぞれ吸着保持される。このとき、テンプレートT上には、その転写パターンCの凸部C_(1)上面のみに離型剤Sが成膜されている。
[0070] その後、レジスト液ノズル232をテンプレートTの辺方向に移動させ、図17(a)に示すようにテンプレートT上にレジスト液を塗布し、塗布膜としてのレジスト膜Rを形成する。このとき、テンプレートTの転写パターンCの凹部C_(2)に対応する部分(ウェハW上に形成されるレジストパターンPにおける凸部に対応する部分)に塗布されるレジスト液の量は多く、凸部C_(1)に対応する部分(レジストパターンPにおける凹部に対応する部分)に塗布されるレジスト液の量は少なくなるように、テンプレートT上にレジスト液が塗布される。このように転写パターンCの開口率に応じてテンプレートT上にレジスト液が塗布される。
[0071] また、テンプレートTの転写パターンCには、その凸部C_(1)上面のみに離型剤Sが成膜されているため、凸部C_(1)上面は、凹部C_(2)の内面に比して、レジスト液に対する接触角が大きくなる。このため、テンプレートT上に塗布されたレジスト液は、凹部C_(2)に流入し易くなる。すなわち、凹部C_(2)にレジスト液が隙間なく充填される。
[0072] このようにテンプレートT上にレジスト膜Rが塗布されると、ウェハ保持部240に保持されたウェハWを水平方向の所定の位置に移動させて位置合わせを行うと共に、テンプレート保持部220に保持されたテンプレートTを所定の向きに回転させる。そして、図17(a)の矢印に示すようにテンプレートTをウェハW側に上昇させる。テンプレートTは所定の位置まで上昇し、テンプレートTの表面T_(1)がウェハW上のレジスト膜Rに押し付けられる。続いて、光源223から光が照射される。光源223からの光は、図17(b)に示すようにテンプレートTを透過してウェハW上のレジスト膜Rに照射され、これによりレジスト膜Rは光重合する。このようにしてウェハW上のレジスト膜RにテンプレートTの転写パターンCが転写され、レジストパターンPが形成される。
[0073] その後、図17(c)に示すようにテンプレートTを下降させて、ウェハW上にレジストパターンPを形成する。このとき、テンプレートTの転写パターンCにおける凸部C_(1)上面には離型剤Sが成膜されているので、ウェハW上のレジストがテンプレートTの表面T_(1)に付着することはない。すなわち、発明者らによれば、凸部C_(1)上面に離型剤Sが成膜されていれば、テンプレートTは十分に離型効果を発揮することが確認されている。なお、ウェハWをインプリントユニット210から搬出した後、図17(d)に示すようにウェハW上の残存膜Lを除去してもよい。こうしてインプリントユニット210におけるインプリント処理が終了し、ウェハW上に所定のレジストパターンPが形成される。」

ウ 「[0091] また、以上の実施の形態では、ローラ121、122、300を用いて転写パターンCの凸部C_(1)上面に離型剤Sを塗布していたが、図21に示すように表面に離型剤Sが付着した塗布プレート310を用いてもよい。塗布プレート310は、テンプレートTの少なくとも転写パターンCを覆う形状を有している。そして、昇降機構(図示せず)によって塗布プレート310をテンプレートT側に下降させ、当該塗布プレート310の表面を凸部C_(1)上面に当接させる。そうすると、凸部C_(1)上面に離型剤Sが塗布される。なお、塗布プレート310の表面に付着される離型剤Sは、液体状であってもよいし、あるいは乾燥して固化していてもよい。離型剤Sが液体状である場合、塗布プレート310を用いて凸部C_(1)の上面に離型剤Sを塗布した後、当該離型剤Sを、例えば気体によって乾燥させる。」

エ 図17




オ 図21




3 引用文献5
(1)記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献5(米国特許出願公開第2006/0048885号明細書)には、次の事項が記載されている。

ア 「[0019] In a first step of the process represented in FIGS.1 to 6, a thin layer of polymer 2 is deposited on a transfer substrate 1. A typically used deposition technique is spin coating. The polymer of the thin layer 2 and the material of the transfer substrate 1 must have a chemical affinity enabling the second and third steps described hereafter. In a preferred embodiment, the materials of the transfer substrate 1 and of the thin polymer layer 2 are both Polydimethylsiloxane (PDMS). One advantageous property of a PDMS transfer substrate 1 is its flexibility. Depending on the polymer used for the thin layer 2 and on the deposition technique, an additional intermediate cross-linking step, for example by heating, can be added just after deposition.
[0020] The second step (FIG.3) consists in bringing the thin polymer layer 2, supported by the transfer substrate 1, into contact with the micro-structured substrate 3. The chemical affinity between the thin polymer layer 2 and the micro-structured substrate 3 must be greater than the chemical affinity between the thin polymer layer 2 and the transfer substrate 1. Adjustment of the chemical affinity between the thin polymer layer 2 and the micro-structured substrate 3 can be performed, before the second step, by additional intermediate chemical activation steps. As represented in FIG.2, the chemical activation steps can be applied to the polymer layer 2 and/or to the micro-structured substrate 3. A chemical activation means used is an oxygen plasma. In FIG.2, simultaneous plasma oxidizing of the thin polymer layer 2 and of the micro-structured substrate 3 is represented. Moreover, the tenacity of the thin polymer layer 2 decreases after the plasma oxidizing, facilitating the third step of the method described below. The thin polymer layer can be irreversibly glued to the micro-structured substrate by suitably adjusting the chemical affinity by chemical activation steps before the second step (FIG. 2).
[0021] In a third step, the transfer substrate 1 is removed. Only the zones of the thin polymer layer 2 in contact with the micro-structured substrate 3 during the second step remain on the micro-structured substrate 3. As the chemical affinity between the micro-structured substrate 3 and the thin polymer layer 2 is greater than the chemical affinity between the thin polymer layer and the transfer substrate 1, the thin polymer layer 2 in fact tears, a part 4 remaining fixed to the micro-structured substrate 3, the rest 6 being removed with the transfer substrate 1. The zones of the thin polymer layer 2 that were not in contact with the micro-structured substrate 3 during the second step thus remain as residues 6 on the transfer substrate 1. The assembly joint 4 is thus formed by the zones of the thin polymer layer 2 remaining on the micro-structured substrate 3. In the case of a flat transfer substrate 1, the second step does not require any alignment, the micro-structured substrate 3 itself defining the contact zones with the thin polymer layer 2. For the thin polymer layer to tear at the edge of the patterns machined in the micro-structured substrate 3, the tenacity of the thin polymer layer 2 must be very weak. The tenacity can be reduced in particular by plasma oxidizing prior to the second step (FIG. 2).
[0022] The method described above enables an assembly joint 4 to be formed having the same shape as the micro-structured substrate 3 to be connected or assembled, without leaving any dead volume and without adding any matter above cavities 5 formed in the micro-structured substrate 3. The surface of the assembly joint 4 in contact with the materials (fluids, liquids, etc.) contained in the cavities 5 is therefore minimized, which enables a possible interaction between the material of the assembly joint 4 and the materials contained in the cavities 5 to be attenuated. The biological compatibility of the component is thus optimized.
[0023] This method enables a multitude of micro-assembly joints to be formed simultaneously, each joint being able to be very small (<20μm), on micro-structured substrates of large surface (treatment of a complete wafer), the micro-structured substrate itself confining the assembly joint. The method is quick, inexpensive and does not require any alignment for formation of the joints.
[0024] In a preferred embodiment, execution of the third step is facilitated by the use of a flexible transfer substrate that can be removed via one end (FIG. 4). This makes it possible to avoid using too great a force that might damage the component.
[0025] After the third step, a complementary element 7 can be fixed onto the micro-structured substrate 3 by means of the assembly joint 4, possibly in reversible manner, securing the complementary element 7 by means of a device (not shown) ensuring an intimate contact with the assembly joint 4. It is also possible to fix the complementary element 7 in irreversible manner on the micro-structured substrate 3 by adding one or more chemical activation steps of the assembly joint 4 and/or of the complementary element 7, for example by plasma oxidizing (FIG. 5). A component obtained in this way, comprising a micro-structured substrate 3 and a complementary element 7 assembled by means of an assembly joint 4, is represented in FIG. 6.」
(当合議体訳)
「[0019] 図1?図6に示された方法の第1工程では、薄いポリマーの層2を転移用基板1に被着させる。代表的に用いられる被着方法は、スピンコーティング法である。薄い層2のポリマーと転移用基板1の材料は、以下に説明する第2工程及び第3工程の実施を可能にする化学親和力を備えなければならない。好ましい実施形態では、転移用基板1の材料と薄いポリマー層2の材料は両方ともポリジメチルシロキサン(PDMS)である。PDMS転移用基板1の有利な特性の一つは、その可撓性である。薄い層2に用いられるポリマー及び被着方法に応じて、例えば加熱による追加の中間架橋工程を被着直後に追加してもよい。
[0020] 第2工程(図3)は、転移用基板1により支持された薄いポリマー層2を微細構造化基板3に接触させる工程から成る。薄いポリマー層2と微細構造化基板3との間の化学親和力は、薄いポリマー層2と転移用基板1との間の化学親和力よりも大きくなければならない。第2工程前に、薄いポリマー層2と微細構造化基板3との間の化学親和力の調節を追加の中間化学的活性化工程により行うことができる。図2に示すように、化学的活性化工程をポリマー層2及び(又は)微細構造化基板3に施すのがよい。用いられる化学的活性化手段は、酸素プラズマである。図2では、薄いポリマー層2と微細構造化基板3の同時プラズマ酸化が示されている。さらに、薄いポリマー層2のテナシティ又は靱性は、プラズマ酸化後減少し、それにより以下に説明する本方法の第3工程の実施が容易になる。第2工程(図2)前の化学的活性化工程により化学親和力を適切に調節することによって薄いポリマー層を微細構造化基板に非可逆的に膠着させるのがよい。
[0021] 第3工程では、転移用基板1を除去する。第2工程中に微細構造化基板3に接触していた薄いポリマー層2のゾーンだけが微細構造化基板3にくっついたままになる。微細構造化基板3と薄いポリマー層2との間の化学親和力が薄いポリマー層と転移用基板1との間の化学親和力よりも大きいので、薄いポリマー層2は実際に裂け、一部4が微細構造化基板3に固定されたままであり、残り6は転移用基板1と一緒に除去される。かくして、第2工程中に微細構造化基板3と接触していなかった薄いポリマー層2のゾーンは、残留物6として転移用基板1にくっついたままである。かくして、微細構造化基板3にくっついたままの薄いポリマー層2のゾーンにより組立用接合部4が形成される。平らな転移用基板1の場合、第2工程では、位置合わせは何ら必要でなく、微細構造化基板3それ自体が薄いポリマー層2との接触ゾーンを画定する。薄いポリマー層が微細構造化基板3に機械加工されたパターンのエッジで裂けるようにするため、薄いポリマー層2のテナシティは、非常に弱くなければならない。特に、第2工程(図2)前にプラズマ酸化によりテナシティを減少させるのがよい。
[0022] 上述の方法により、死空間を残さないで且つ微細構造化基板3に形成されたキャビティ5の上に何ら物質を付け足さないで、組立用接合部4を連結され又は組み立てられるべき微細構造化基板3と同一の形状を備えた状態で形成できる。したがって、キャビティ5内に入れられた物質(流体、液体等)と接触する組立用接合部4の表面は、最小限に抑えられ、それにより、組立用接合部4の材料とキャビティ5内に入れられる物質との相互作用の恐れを低減させることができる。かくして、コンポーネントの生物学的適合性が最適化される。
[0023] この方法により、多数の微小組立用接合部を同時に形成することができ、各接合部は、広い表面の微細構造化基板上で非常に小さい(<20μm)ものであることができ(ウェーハまる1個の処理)、微細構造化基板はそれ自体、組立用接合部を局限する。この方法は、迅速であって安価であり、しかも接合部の形成のための位置合わせを必要としない。
[0024] 好ましい実施形態では、第3工程の実施は、一端部を介して除去できる可撓性転移用基板を用いることにより容易になる(図4)。これにより、コンポーネントを損傷させる恐れのある大き過ぎる力が用いられるのを回避することができる。
[0025] 第3工程後、相補形状の要素7を組立用接合部4により場合によっては可逆的な仕方で微細構造化基板3上に固定するのがよく、相補形状要素7の固定は、組立用接合部4との密着を保証する装置(図示せず)によって行われる。また、組立用接合部4及び(又は)相補形状要素7の1回以上の化学的活性化工程を追加することにより、例えば、プラズマ酸化(図5)によって相補形状要素7を微細構造化基板3に非可逆な仕方で固定することも可能である。組立用接合部4により組み合わされた微細構造化基板3と相補形状要素7を有するこのようにして得られたコンポーネントが、図6に示されている。」

イ 「






第4 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比する。
ア 引用発明の「基板20」及び「面20b」は、技術的にみて、それぞれ、本願発明1の「基板」及び「第1の面」に相当する。
また、本件出願の明細書の「中間構造24が反射防止コーティング材料27に晒されて、ウエハの頂面17上に置かれた離型剤18とキャビティ11の底部分20との双方の上に反射防止材料27がブランケットコーティングされる」(【0012】)という記載によると、本願発明1の「材料のコーティング」には、反射防止コーティングが含まれると認められる。そうすると、引用発明の「反射防止膜29」は、本願発明1の「材料のコーティング」に相当する。

イ 引用発明は、「反射防止膜29が凹部24に対応する第1の領域20b_(1)のみに成膜されており、凹部24に対応する第1の領域20b_(1)以外の領域である接合面20b_(2)及び段差部20cには形成されていないレンズ一体型基板の反射防止膜29の成膜方法であ」る。そうしてみると、引用発明の「方法」は、基板20の面20bの凹部24に対応する第1の領域20b_(1)に反射防止膜を形成するものであるといえる。
また、引用発明の「反射防止膜29」は「凹部24に対応する第1の領域20b_(1)のみに成膜されて」いるから、「第1の領域20b_(1)」は、成膜のために選択された部分であるといえる。そうしてみると、引用発明の「第1の領域20b_(1)」は、本願発明1の「選択された部分」に相当する。
したがって、引用発明の「方法」は、本願発明1の「基板の選択された部分上に材料のコーティングを形成する方法」という要件を満たしている。

ウ 引用発明においては、「基板20の面20bに基板20の厚さ方向の内側に窪んだ段差部20cが形成され、凹部24が段差部20cよりも更に基板20の厚さ方向の内側に形成され」ているから、段差部20c及び凹部24は、基板20の面20bに形成された穴(空洞)であるといえる。また、凹部24は底部を有し、段差部20cは穴の側壁になっているといえる(引用文献3の【図6】も参照のこと。)。
そして、基板20の面20bに形成された穴であるといえる引用発明の「段差部20c」及び「凹部24」は、本願発明1の「キャビティ」に相当する。
そうすると、引用発明は、本願発明1の「前記基板は、前記基板の第1の面の選択された部分に形成された」「キャビティを有し、」「キャビティが、底部分と、該底部分から前記基板の前記第1の面まで延在する外周側壁を有し」という要件を満たしている。

(2)一致点及び相違点
ア 一致点
本願発明1と引用発明は、次の構成で一致する。

「基板の選択された部分上に材料のコーティングを形成する方法であって、前記基板は、前記基板の第1の面の選択された部分に形成されたキャビティを有し、キャビティが、底部分と、該底部分から前記基板の前記第1の面まで延在する外周側壁を有する、方法。」

イ 相違点
本願発明1と引用発明は、次の点で相違する。

(相違点1)
「基板」が、本願発明1は、前記基板の第1の面の選択された部分に形成された「複数の」キャビティを有し、「各」キャビティが、底部分と、該底部分から前記基板の前記第1の面まで延在する外周側壁を有するのに対して、引用発明は、このように特定されたものではない点。

(相違点2)
本願発明1は、「上に離型剤を有する構造体を用意し、前記キャビティの前記底部分を前記離型剤から離間させたまま、前記基板の前記第1の面を前記離型剤と接触させて、前記離型剤の一部を前記基板の前記第1の面に転写することで、前記キャビティの前記底部分が前記離型剤を欠いた状態で前記基板の前記第1の面上に前記離型剤が置かれた表面、を有する中間構造を作り出し、前記中間構造の前記表面を前記材料に晒して、前記基板の前記第1の面上に置かれた前記離型剤と前記キャビティの前記底部分との双方の上に前記材料をブランケットコーティングし、前記材料がブランケットコーティングされた前記中間構造を、前記キャビティの前記底部分上の前記材料を残しながら前記離型剤をその上の前記材料と一緒に前記基板の前記第1の面から選択的に除去するプロセスにかける」のに対し、引用発明は、このような構成を有するものとは特定されていない点。

(3)判断
事案に鑑み、相違点2について検討する。
ア 前記相違点2に係る本願発明1の構成が、その優先権主張の日前に公知又は周知であったことを示す証拠は見当たらない。
引用文献4及び5に記載された技術は、前記相違点2に係る本願発明1の構成に関連する技術(リフトオフ法)に関するものであるとはいえない。すなわち、引用文献4に記載された技術は、離型剤が付着した塗布プレートを用いて、インプリント方法用のテンプレートの転写パターン凸部上面に離型剤を塗布するものであるが、塗布された離型剤はテンプレートの転写パターン凸部上面から除去されるものではない。引用文献5に記載された技術では、基板の凸状部上に被着するのは薄いポリマー層であって、離型剤ではないし、被着した薄いポリマー層は基板の凸状部上から除去されるものでもない。
イ 引用発明は、「プラズマCVD法、イオンプレーティング法、スパッタリング法等で基板20の面20b全面に成膜を行った後にリフトオフ法によって接合面20b_(2)の反射防止膜29のみを除去する」ものである。ただし、引用文献1には、リフトオフ法による具体的な工程について、記載がない。したがって、リフトオフ法より最終的に反射防止膜29とともに除去される層を接合面20b_(2)のみに形成するために当業者が用いるのは、リフトオフ法における周知技術、すなわち、フォトリソグラフィ技術であると考えられる。引用発明において、リフトオフ法より最終的に反射防止膜29とともに除去される層を接合面20b_(2)のみに形成する工程を、フォトリソグラフィ技術以外の技術により行うようにする動機付けを見い出すことはできない。また、引用文献3には、リフトオフ法より最終的に反射防止膜29とともに除去される層を接合面20b_(2)のみに形成することを「凹凸を有する部材の凸部の頂面にのみ層を形成する」と一般化できることを示唆する記載もない。
そうすると、仮に、引用文献4及び5より、凹凸を有する部材の凸部の頂面にのみ層を形成する手法として、当該層の材料を有する構造体を凹凸を有する部材に接触させることが周知技術であると認定できるとしても、引用発明において、前記周知技術を採用することは、当業者が容易になし得たことであるとはいえない。
ウ そして、本願発明1は、前記相違点2に係る本願発明1の構成を備えることにより、「超音波洗浄器内の水又は溶剤の中で離型層が除去されるときに、離型層上のARC膜部分が容易に除去される。離型剤が単分子層のみである又はとても厚い場合にも、ARCの密着性がこの層によって弱められ、超音波洗浄器にて容易に除去される。この方法は、シャドーマスクや研磨設備を不要にし、また、例えばフォトレジスト噴霧器、UV露光・現像、及びリフトオフ設備などの、これら及び伝統的な代替のための資本設備を不要にする」(本件出願明細書【0008】)という効果を奏するものである。
エ 前記ア-ウによると、引用発明1において、前記相違点2に係る本願発明1の構成を得ることは、当業者が容易になし得たことであるとはいえない。
したがって、本願発明1は、引用文献3に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

2 本願発明2について
本願発明2は、本願発明1の「基板」及び「コーティング」を、それぞれ、「光エネルギー透過ウエハ」及び「反射防止コーティング」などとしたものである。
そうすると、本願発明2は、前記1の本願発明1についての判断と同様の理由により、引用文献3に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

3 本願発明3について
請求項3は、請求項2の記載を引用して記載されたものであって、かつ、本願発明3は、本願発明2の構成を全て具備し、さらに他の発明特定事項を加えたものに該当する。
そうすると、前記2の本願発明2についての判断と同じ理由により、本願発明3は、引用文献3に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

4 本願発明4について
請求項4は、請求項1-3の記載を引用して記載されたものであって、かつ、本願発明4は、本願発明1-3の構成を全て具備し、さらに他の発明特定事項を加えたものに該当する。
そうすると、前記1-3の本願発明1-3についての判断と同じ理由により、本願発明4は、引用文献3に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

第5 原査定の理由の概要
原査定の拒絶の理由は、概略、本件出願の請求項1-3に係る発明は、その優先権主張の日前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物である特開2013-142759号公報(引用文献3)に記載された発明及び周知技術に基づいて、その優先権主張の日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(当業者)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない、というものである。
ここで、前記周知技術は、凹凸を有する部材の凸部の頂面にのみ層を形成する手法として、当該層の材料を有する構造体を凹凸を有する部材に接触させる、というものである。
しかしながら、本願発明1-4は、前記「第4」1-4で述べたとおり、引用文献3に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
したがって、原査定を維持することはできない。

第6 当審拒絶理由の概要
当合議体は、平成30年11月20日付けで、明確性要件違反(特許法36条6項2号)の当審拒絶理由を通知したところ、平成31年2月6日に意見書及び手続補正書が提出された。
そして、この手続補正書による補正(本件補正)で特許請求の範囲が補正されたことにより、当審拒絶理由は解消した。

第7 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2019-04-08 
出願番号 特願2016-535704(P2016-535704)
審決分類 P 1 8・ 537- WY (G02B)
P 1 8・ 121- WY (G02B)
最終処分 成立  
前審関与審査官 吉川 陽吾  
特許庁審判長 樋口 信宏
特許庁審判官 関根 洋之
川村 大輔
発明の名称 表面上に堆積パターンを形成する方法  
代理人 大貫 進介  
代理人 伊東 忠彦  
代理人 伊東 忠重  

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