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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  A63F
管理番号 1350688
異議申立番号 異議2019-700029  
総通号数 233 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2019-05-31 
種別 異議の決定 
異議申立日 2019-01-18 
確定日 2019-04-15 
異議申立件数
事件の表示 特許第6360121号発明「遊技機」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6360121号の請求項1に係る特許を維持する。 
理由 1 手続の経緯
特許第6360121号(以下「本件特許」という。)の請求項1に係る特許についての出願は、平成23年10月28日に出願した特願2011-237875号の一部を平成28年10月7日に新たな特許出願としたものであり、平成30年6月29日にその特許権の設定登録がされ、同年7月18日に特許掲載公報が発行され、その後、平成31年1月18日に特許異議申立人日本電動式遊技機特許株式会社により特許異議の申立てがされたものである。

2 本件発明
本件特許の請求項1に係る発明(以下「本件発明」という。)は、特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである(当審において請求項1をA?Hに分説した。)。
「【請求項1】
A 各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部に表示結果を導出させることが可能な可変表示装置を備える遊技機であって、
B 前記遊技機に関する情報を表示するための表示パネルと、
C 演出表示が可能な演出表示面に対し立設された立設部と、
D 前記表示パネルを後方側から照射可能な照明装置と、
E 前記表示パネルを設置するために前記可変表示部よりも下方位置に設けられ、前記演出表示面よりも前方に突出して形成された表示パネル設置部と、
を備え、
F 前記表示パネルは、下部から上部に向けて前記遊技機の後方側に傾斜するように前記表示パネル設置部の前面に設置され、
G 前記表示パネル設置部の前面及び当該表示パネル設置部に設置された前記表示パネルよりも後方で、かつ該表示パネル設置部の左右側に、前方を向く発光部が設けられており、
H 前記立設部は前記演出表示面に表示された画像を反射表示可能な反射表示部を含むことを特徴とする遊技機。」

3 特許異議申立理由の概要
特許異議申立人日本電動式遊技機特許株式会社は、証拠方法として甲第1?5号証を提出し、本件発明は、甲第1?3号証に記載された事項及び周知技術(甲第4?5号証)に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、本件特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、同法第113条第2号の規定により取り消されるべきものである旨主張する。

<証拠方法>
甲第1号証:特開2005-328898号公報
甲第2号証:特開2005-287716号公報
甲第3号証:特開2004-24448号公報
甲第4号証:特開2005-185473号公報(周知技術を示す文献)
甲第5号証:特開2009-213578号公報(周知技術を示す文献)

4 甲各号証の記載
(1)甲第1号証
甲第1号証(特開2005-328898号公報)には、以下の事項が記載されている。

(1-a)「【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、液晶表示装置は、一般的にスロットマシンの前面側に固設されているものであるので、回胴や化粧パネルなどの多くの部材によりその大きさが規制されて、小型のものしか設けることができない。ゲーム性を向上させると液晶表示装置にて実行される演出の内容が高度なものとなるが、小型の液晶表示装置にて高度な演出を実行する、即ち多量の画像情報を表示すると画像情報の視認性を低下させてしまうという問題点があった。言い換えれば、演出内容の向上と画像情報の視認性との両立が困難であるという問題点があった。更には、遊技者は個々に体型や視界がまちまちであるので、スロットマシンに画一的に固設された液晶表示装置では、遊技者全てに良好な視認性を提供することは困難であるという問題点があった。
【0007】
液晶表示装置を可動可能に形成すれば、他の部材による制限が小さくなり液晶表示装置の大画面化による視認性の改善、更には配設位置の調節などが望めるが、液晶表示装置の移動経路や移動範囲が安易に設定されていると、遊技場に設けられた島設備などと接触するなどの不具合が生じてしまうという問題点があった。
【0008】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、表示手段における演出内容の向上と画像情報の視認性とを両立することができる上、移動される表示手段と他の装置との接触を回避することのできる遊技機を提供することを目的としている。」

(1-b)「【0014】
以下、スロットマシン遊技機(以下、単に「スロットマシン」という)の一実施形態を、図面に基づいて詳細に説明する。図1は、スロットマシン10の前面扉3が閉じた状態を示した斜視図であり、図2は、そのスロットマシン10の前面扉3が開いた状態を示した斜視図である。図1及び図2を参照して、スロットマシン10の全体構成について説明する。スロットマシン10は、図1に示すように、本体2(本体基部)と前面扉3(本体開閉部)とから正面視略矩形状の箱状体に構成されている。本体2は、図2に示すように、スロットマシン10の骨格をなす部材であり、回胴L,M,Rやホッパ47等を収納するために、前面側が開放した中空状の箱状体に形成されている。
【0015】
本体2の内部には、図2に示すように、各種の図柄等が表示され回転可能に構成された回胴L,M,Rと、スロットマシン10の遊技を制御する制御装置40、電源スイッチ41とリセットスイッチ42と設定キー挿入孔43とを備える電源ボックス44、メダルを貯留する補助タンク45とこの補助タンク45内のメダルを(制御装置40からのコマンドに基づいて)払出用通路61に通じる開口62を介してメダル払出口32へ払い出す払出装置46とを備えるホッパ47等が収納されている。」

(1-c)「【0023】
前面扉3は前面枠4によりその外形が形成されており、前面枠4は、枠部材視認部4aと枠部材操作部4bと枠部材貯留部4cとに3分割されて構成されている。前面扉3の上段部(前面枠4の枠部材視認部4a)には、図1に示すように、遊技の進行に伴って点灯・点滅する上部ランプ11及びサイドランプ80、遊技の進行に伴って種々の効果音等を発生するスピーカ12,12、左回胴Lと中回胴Mと右回胴Rとをそれぞれ透視可能な露出窓14L,14M,14R、メダルのベット数(賭け数)に応じて点灯する5つのベットランプ15,16,16,17,17、クレジット数表示部18、ゲーム数表示部19、払出枚数表示部20などが設けられている。上部ランプ11およびスピーカ12は、枠部材視認部4aの前面(露出窓14L,14M,14Rの形成面)から奥方に向かって嵌め込まれている。
【0024】
また、枠部材視認部4aの幅方向の両端部には、液晶表示装置13の上下方向への移動をガイドするための2の支柱81,81が設けられている。支柱81,81は、枠部材視認部4aの両端部において前方へ向かって突設された側壁を架台とし、その側壁の正面側にビス止めにより固設されている。支柱81,81は、それぞれ、各サイドランプ80,80の下方から前面扉3の中段部(前面枠4の枠部材操作部4b)に到達するまで、枠部材視認部4aの側壁の傾斜に沿って延設されている。また、支柱81は、正面側に配設される正面部材81aと、その正面部材に連設される2の側面部材81bと、正面部材81aの対向面に配設され、側壁(前面扉3)に固設される背面部材81cとにより中空の角柱状に形成されている。
・・・
【0027】
また、各支柱81の2の側面部材81bの内、内側となる一方の側面部材81bには、延設方向に沿って延びる穿設口81eが貫通形成されている。各支柱81のそれぞれに形成される穿設口81eには、液晶表示装置13を支持する支持軸82が貫入される。貫入された支持軸82は、支柱81の延設方向(上下方向)にスライド可能に保持される。穿設口81eの長手方向上端の縁部は、スロットマシン10の本体2(前面扉3)の上面から少なくとも液晶表示装置13の高さ分、下方に下がった位置に形成されている。ここで、液晶表示装置13を支持する支持軸82は、穿設口81eの長手方向下端の縁部から長手方向上端の縁部までの範囲で可動可能である。つまり、支持軸82の移動範囲の上限は、穿設口81eの長手方向上端の縁部である。このため、支持軸82が限界まで上昇した場合であっても、液晶表示装置13の上面は、スロットマシン10の本体2(前面扉3)の上面を超えない位置にセットされる。」

(1-d)「【0035】
また、前面扉3の中段部(前面枠4の枠部材操作部4b)には、前面扉3を装飾する化粧パネル110が連設されている。化粧パネル110は、機種名や遊技に関わるキャラクタ等(目視にて視認することのできる視覚情報)が表示された表示プレート31と、該表示プレート31の周縁に周設された枠体100とを備えている。枠体100の上方側の表面は、枠部材操作部4bと面一となるように形成されている。枠部材操作部4bの前面側は、前面側の周縁部から奥方に向かって凹となる矩形状に形成されており、化粧パネル110は、枠部材操作部4bの矩形状の内側に嵌め込まれている。
【0036】
更に、化粧パネル110は、裏面プレート111と表示プレート31との隙間に2本の蛍光灯103(103a,103b)を内包している。該蛍光灯103は、蛍光灯103の長手方向の両端部に取着された治具104(104a,104b)にて、表示プレート31の裏側に固定されている。各蛍光灯103a,103bの左方の端部には、電流を供給するケーブル108がそれぞれ接続されている。かかるケーブル108により各蛍光灯103a,103bに設けられた電極に電流が供給され、蛍光灯103a,103bは発光する。」

(1-e)「【0055】
液晶表示装置13にて実行される演出は、遊技状態に応じて各種用意されており、遊技状態が大当たり状態となる場合とハズレ状態となる場合とでは、異なる演出が実行されるようになっている。また、ストップボタン22?24の押下のタイミングや、ストップボタン22?24の押下順を通知する通知演出が、液晶表示装置13において実行される。この通知演出は、主に、制御装置40にて大当たり状態が抽選されることにより開始され、通知演出にて通知されるタイミングや押し順に従ってストップボタン22?24が操作されると、遊技状態は大当たり状態へ遷移するようになっている。
・・・
【0077】
次に図8から図10を参照して、第4の実施の形態において説明する。第1の実施の形態においては、スロットマシン10は、枠部材視認部4aに液晶表示装置13を備えたが、第4の実施の形態においては、スロットマシンは、化粧パネル110の背面側に液晶表示装置を備えるとともに、化粧パネル110を開放することにより、液晶表示装置をスロットマシンの前面側に露出するように構成されている。尚、第1の実施の形態と同じ部分には同じ符号を付し、その説明を省略する。」

(1-f)「【0086】
尚、表示プレート31に表示される視覚情報は、遊技者がスロットマシン310を選択する場合に必要な機種名等であるので、遊技者が遊技を開始した場合、即ちスロットマシン310の選択が終了することにより不要な情報となる。このため、化粧パネル110が開放され、表示プレート31が下側に配設されても、何ら問題が生じることはない。そして、本実施の形態のスロットマシン310では、遊技を開始する遊技者にとってより必要性の高い情報であるスロットマシン310のルールや役の表示や、遊技者に興趣を付与するべく遊技の演出が実行される(遊技の演出に関する画像情報が表示される)液晶表示装置200が、化粧パネル110の開放により本体の前面側に現出する。
・・・
【0089】
間隙115に収納される液晶表示装置200は、樹脂製のケース体200aに液晶画面200bと、その液晶画面200bに対する光源であるバックライトと、表示する画像(視覚情報)を制御する制御装置(表示用制御装置210、図10参照)とを備えた一般的な液晶表示装置である。この液晶表示装置200は、スロットマシン310の幅方向が長辺となる正面視略長方形に形成された2の画面部201,202を備えている。各画面部201,202のそれぞれには、液晶画面200bが(化粧パネル110が開放された場合)ケース体の前面側に露出するように配設されている。」

(1-g)段落【0036】には、「化粧パネル110は、裏面プレート111と表示プレート31との隙間に2本の蛍光灯103(103a,103b)を内包している」と記載されているから、裏面プレート11は、蛍光灯103を介してその前面に表示プレート31を設置するものといえる。
また、図1には、裏面プレート111を内包する化粧パネル110が、露出窓4L、14M、14Rよりも下方位置に設けられている点が示されている。
さらに、図3には、化粧パネル110が液晶表示装置13よりも前方に突出して形成される点が示されており、化粧パネル110には、裏面プレート111が内包されるから、裏面プレート111も液晶表示装置200よりも前方に突出して形成されているといえる。
よって、甲第1号証には、前記表示プレート31を設置するために前記露出窓14L、14M、14Rよりも下方位置に設けられ、液晶表示装置13よりも前方に突出して形成された裏面プレート111が記載されているといえる。

(1-h)図1には、表示プレート31が、上下方向を向く起立姿勢で設置されている点が示されている。また、上記(1-g)から、表示プレート31は、裏面プレート111の前面に設置されるものといえる。
よって、甲第1号証には、表示プレート31は、上下方向を向く起立姿勢で、裏面プレート111の前面に設置される点が記載されているといえる。

以上の記載によれば、甲第1号証には以下の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。

「a 各種の図柄等が表示され回転可能に構成された回胴L、M、Rと、当該回胴L、M、Rを透視可能な露出窓14L、14M、14Rとを備えるスロットマシン10であって(段落【0014】、【0015】、【0023】)、
b 機種名や遊技に関わるキャラクタ等が表示された表示プレート31と(段落【0035】)、
c 遊技状態に応じた演出を実行可能な液晶表示装置13の支持軸82を貫入する穿設口81eが形成された支柱81と(段落【0027】、【0055】)、
d 表示プレート31と裏面プレート111との隙間に設けられた蛍光灯103と(段落【0036】)、
e 前記表示プレート31を設置するために前記露出窓14L、14M、14Rよりも下方位置に設けられ、液晶表示装置13よりも前方に突出して形成された裏面プレート111と(認定事項(1-g))、
を備え、
f 前記表示プレート31は、上下方向を向く起立姿勢で、裏面プレート111の前面に設置されたスロットマシン10(認定事項(1-h))。」

(2)甲第2号証
甲第2号証(特開2005-287716号公報)には、以下の事項が記載されている。

「【0098】
図1ないし図3に示すように、表示装置5は第1種始動口4の上方に設けられており、液晶ディスプレイ(LCD)からなる表示画面5a(以下、端に画面5aともいう)を備えている。画面5aには多種類の画像が表示されるが、その1つとして、左図柄列8、中図柄列9及び右図柄列10(図5参照)が表示される(これら図柄列8ないし10が大当り特定図柄に相当する)。図柄列の数は前述したもの(3列)に限られず、1列、2列、4列以上であってもよい。各図柄列は、数字、記号等からなる複数の図柄によって構成されている。また、上下に図柄列が並ぶ構成であってもよい。例えば、上図柄列、中図柄列、下図柄列といったように並ぶ構成であってもよい。なお、図柄構成については後述する。
・・・
【0100】
さらに、パチンコ機1は大当り遊技状態の発生に先立ちリーチ遊技状態となる。ここで、リーチ遊技状態とは大当り遊技状態の直前の状態をいい、例えば、右図柄列での図柄変動が、大当りライン上において左図柄列での停止図柄と同一種類の図柄で停止し、かつ、その後に中図柄列での図柄変動が左右両図柄列での停止図柄と同一種類の図柄で停止されれば最終的に大当りの組合せとなる状態を含む。また、図柄変動が停止すると、大当り遊技状態となる組合せで変動し、その図柄で停止されれば最終的に大当り遊技状態となる場合において、その変動中の状態もリーチ遊技状態に含まれる。これは、通常、全回転(全図柄)リーチと呼ばれているものである。
・・・
【0104】
次に反射部について説明する。
本実施形態では、図1ないし図5に示すように、表示装置5の近傍に反射部100が配置されており、図5のように、表示装置5の表示が反射部100に映されるように構成され、表示装置5の表示のみならず、その表示と、反射部100に映されたものとが相乗的に作用して、連携した装飾がなされるようになっている。反射部100は、図4に示すように、反射面100a全体が略平坦に構成されており、その平坦に構成される反射面100aが遊技盤7の前面7dに対して傾斜して配置されている。なお、反射部において一部の反射面のみを平坦に構成してもよい。」

(3)甲第3号証
甲第3号証(特開2004-24448号公報)には、以下の事項が記載されている。

(3-a)「【0034】
操作部ユニット30は、操作部ユニット基部31、遊技情報を表示するための画像表示装置(図示せず)、表示窓32、メダル投入口、遊技メダルの投入を条件として上記リール装置の各リールの回転を開始させるためのスタートレバー(図示せず)、各リールに個別に対応して各リールの回転を停止させるための3個のストップスイッチ35(35L、35C及び35R)、その他の操作スイッチ、コネクタ(図示せず)等の各種複数個の機能部材をユニット化してなり、メインドアフレーム16の操作部ユニット取付領域19Cに、四隅をビス止めされて取り付けられる。
・・・
【0036】
サイドランプユニット50は、サイドレンズカバー51、そのサイドレンズカバー51に内蔵されたLEDユニット、LED用基板、コネクタ(ともに図示せず)、装飾用レンズ100(100Aから100C)等の各種複数個の機能部材をそれぞれユニット化してなる。これらサイドランプユニット50は、上述した如く、メインドアフレーム16に取り付けられた、上部ユニット20、操作部ユニット30、下部ユニット40、リールパネルユニット60、腰部ユニット70の各機能部材ユニットを左右両方向から挟むように、メインドアフレーム16の枠部17に取り付けるものである。
・・・
【0058】
化粧パネル71は、その前面71aには、スロットマシン10の機種名や製造元名等の固定情報を照明表示させる装飾効果を有する。このため、できるだけ広い面積を蛍光灯84により背面から照射されることが好ましいが、化粧パネル71の底面71b以外にも、別途支持部材を設けてもよく、この場合には、支持部材を、透光性を有する物質で形成することが好ましい。」

(3-b)図1、2には、表示窓32を下部から上部にかけてスロットマシン10の後方側に傾斜するように配置し、当該表示窓32の左右側にサイドランプユニット50を設けた点が示されている。

(4)甲第4号証
甲第4号証(特開2005-185473号公報)には、以下の事項が記載されている。

(4-a)「【0022】
図1?図7に示すように、本実施形態の封入球式遊技機100は、矩形枠状に構成された機枠110を備え、この機枠110の一側方には、該機枠110に対し回動可能に矩形枠状の前面枠120が軸支されている。また、前面枠120は、当該前面枠120に備えられる各種部材等の取付用のベースとなる前面枠本体(本体枠)130と、当該前面枠本体130に対して、その前面側に回動可能に軸支されたガラス枠140と、前面枠本体130の前面のガラス枠140の下側に取り付けられた発射操作ユニット150とを有する。
・・・
【0033】
前面機能体として遊技者に遊技情報を表示するタッチパネル表示ユニット151は、その表示面を斜め上方に傾斜した状態で、表示部取付部材165を介して取付枠体159に取り付けられている。すなわち、タッチパネル表示ユニット151の表示面の下部が前寄りになり且つタッチパネル表示ユニット151の表示面の上部が後ろ寄りになるように、タッチパネル表示ユニット151の表示面が傾斜している。」

(4-b)図1、2、7には、タッチパネル表示ユニット151を、下部から上部にかけて後方側に傾斜するように設置する点が示されている。

(5)甲第5号証
甲第5号証(特開2009-213578号公報)には、以下の事項が記載されている。

(5-a)「【0016】
なお、本実施形態においては、遊技機1を遊技媒体がメダル(コインを含む)とするスロットマシンとして説明するが、本発明は、これに特定されるものでなく、遊技機1を遊技媒体がパチンコ玉であるスロットマシンまたはパチンコ機としても良い。
【0017】
図3は、右側のサイドランプユニット8の分解斜視図、図4は、トップランプユニット7の分解斜視図、図5は、前扉3の右上隅部の拡大斜視図である。サイドランプユニット8は、前扉3の両側縁に沿って前扉3の裏側から複数のネジ(図示略)により着脱可能に取り付けられる不透光性の合成樹脂製のサイドカバー81と、サイドカバー81の後面に固定される上、下の基板82、83に実装される光源をなす複数の発光ダイオード84、85と、サイドカバー81の表面に固定される上、下の透光性のレンズ86、87と、上側の各発光ダイオード84の対応する透光性の筒状体88とを含む。
・・・
【0021】
下側のレンズ87は、サイドカバー81の下部に設けられた開口部813に嵌め込まれ、下側の発光ダイオード85の光によって裏側から照射される。」

(5-b)図1、2には、前扉3よりも後方で前扉3の左右側にレンズ87を斜めに設けた点が示されている。

5 当審の判断
(1)対比
本件発明と甲1発明とを対比する(下記の見出しの(a)?(f)は甲1発明の構成に対応している。)。
(a)甲1発明の「露出窓14L、14M、14R」、「回胴L、M、R」は、それぞれ、本件発明の「可変表示部」、「可変表示装置」に相当する。
よって、甲1発明の「各種の図柄等が表示され回転可能に構成された回胴L、M、Rと、当該回胴L、M、Rを透視可能な露出窓14L、14M、14Rとを備えるスロットマシン10」は、本件発明の「各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部に表示結果を導出させることが可能な可変表示装置を備える遊技機」に相当する。

(b)甲1発明の「遊技機に関する情報」について、本件特許の明細書の段落【0007】には「前記遊技機に関する情報とは、例えば、遊技機の機種名(タイトル)や型式、あるいは、遊技に関連する演出画像や演出部材、装飾図柄、役構成や大当り図柄の組合わせ等を含む。」と記載されている。
よって、甲1発明の「機種名や遊技に関わるキャラクタ等が表示された表示プレート31」は、本件発明の「遊技機に関する情報を表示するための表示パネル」に相当する。

(c)甲1発明において、支柱81には液晶表示装置13の支持軸81が貫入しているから、支柱81は液晶表示装置13の表示面に対して立設されているといえる。
よって、甲1発明の「遊技状態に応じた演出を実行可能な液晶表示装置13の支持軸82を貫入する穿設口81eが形成された支柱81」は、本件発明の「演出表示が可能な演出表示面に対し立設された立設部」に相当する。

(d)甲1発明の「表示プレート31」は、本件発明の「表示パネル」に相当する。
また、甲1発明の「蛍光灯103」は、表示プレート31と裏面プレート111との隙間に設けられているから、表示プレート31を後方から照射可能であることは明らかである。
よって、甲1発明の「表示プレート31と裏面プレート111との隙間に設けられた蛍光灯103」は、本件発明の「表示パネルを後方側から照射可能な照明装置」に相当する。

(e)甲1発明の「裏面プレート111」は、本件発明の「表示パネル設置部」に相当する。
よって、甲1発明の「前記表示プレート31を設置するために前記露出窓14L、14M、14Rよりも下方位置に設けられ、液晶表示装置13よりも前方に突出して形成された裏面プレート111」は、本件発明の「前記表示パネルを設置するために前記可変表示部よりも下方位置に設けられ、前記演出表示面よりも前方に突出して形成された表示パネル設置部」に相当する。

(f)甲1発明の「表示プレート31」が「裏面プレート111の前面に設置され」た点は、本件発明の「表示パネル」が「表示パネル設置部の前面に設置され」た点に相当する。
よって、甲1発明の「前記表示プレート31は、上下方向を向く起立姿勢で、裏面プレート111の前面に設置され」た点と、本件発明の「前記表示パネルは、下部から上部に向けて前記遊技機の後方側に傾斜するように前記表示パネル設置部の前面に設置され」た点とは、「前記表示パネルは、」「前記表示パネル設置部の前面に設置され」た点で共通する。

したがって、本件発明の甲1発明とは、
「A 各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部に表示結果を導出させることが可能な可変表示装置を備える遊技機であって、
B 前記遊技機に関する情報を表示するための表示パネルと、
C 演出表示が可能な演出表示面に対し立設された立設部と、
D 前記表示パネルを後方側から照射可能な照明装置と、
E 前記表示パネルを設置するために前記可変表示部よりも下方位置に設けられ、前記演出表示面よりも前方に突出して形成された表示パネル設置部と、
を備え、
F’ 前記表示パネルは、前記表示パネル設置部の前面に設置された遊技機。」
である点で一致し、以下の点で相違する。

[相違点1]
表示パネルに関して、本件発明は、「下部から上部に向けて前記遊技機の後方側に傾斜するように」設置されるのに対し、甲1発明は、「上下方向を向く起立姿勢で」設置される点(構成F)。

[相違点2]
本件発明は、「前記表示パネル設置部の前面及び当該表示パネル設置部に設置された前記表示パネルよりも後方で、かつ該表示パネル設置部の左右側に、前方を向く発光部が設けられて」いるのに対し、甲1発明は、そのように構成されていない点(構成G)。

[相違点3]
本件発明は、「前記立設部は前記演出表示面に表示された画像を反射表示可能な反射表示部を含む」のに対し、甲1発明は、そのように構成されていない点(構成H)。

(2)判断
上記相違点について検討する。
ア [相違点1]について
甲第3号証には、機種名や製造元名等の固定情報を表示する化粧パネル71を有するスロットマシン10において、表示窓32を下部から上部にかけてスロットマシン10の後方側に傾斜するように設置し、当該表示窓32の左右側にサイドランプユニット50を設けた点が記載されている(段落【0034】、【0036】、【0058】、図1、2参照、以下「甲3記載の事項」という。)。
甲第4号証には、タッチパネル表示ユニット151を下部から上部にかけて封入式遊技機100の後方側に傾斜するように設置する点が記載されている(段落【0022】、【0033】、図1、2、7参照、以下「甲4記載の事項」という。)。
しかしながら、甲3記載の事項の「表示窓32」及び甲4記載の事項の「タッチパネル表示ユニット151」は、いずれも遊技機に関する情報、すなわち、遊技機の機種名(タイトル)や型式等の情報を表示するものではないから、本件発明の「表示パネル」に相当するものではない。
よって、甲3記載の事項の「表示窓32」及び甲4記載の事項の「タッチパネル表示ユニット151」の構造を引用発明の表示プレート31に適用する動機付けがないから、引用発明の表示プレート31(表示パネル)を「下部から上部に向けて遊技機の後方側に傾斜するように」設置することは当業者が容易になし得たこととはいえない。

そして、本件発明は、上記相違点1に係る構成(構成F)により、「タイトルパネル設置部210は、表示手段であるタイトルパネル212を下部から上部に向けてスロットマシン1の奥行き側(背面側)に傾斜するように設置可能であることで、遊技者が遊技を行う際に最も注目される透過領域51bよりも下方位置にタイトルパネル設置部210が配設されていても、タイトルパネル212は上部が奥行き側に傾倒して設けられることで、タイトルパネル212の上方位置からの視認性が高まるため、遊技者は遊技を行いながら遊技に関する情報を目視することができる。また、スロットマシン1の手前に着座していない遊技者からも見えやすくなるため、興味を引き付けることが可能となる。」(段落【0095】)という効果を奏するものであり、当該効果は、甲1発明、甲3記載の事項及び甲4記載の事項から予測し得るものではない。

特許異議申立人日本電動式遊技機特許株式会社は、構成Fに関して、甲第1号証には、段落【0089】、図9、10に基づいて、「液晶画面200bは、下部から上方に向けてスロットマシン310の後方側に傾斜するように、ケース体200aの前面に設置され」た構成が記載されていると主張する(特許異議申立書第16頁第17?21行)。
しかしながら、「液晶画面200b」を備える液晶表示装置は、化粧パネル110の背面側に設けられたものであるとともに、化粧パネル110を開放することにより液晶表示装置をスロットマシンの前面側に露出するように構成されている(段落【0077】)。
また、「液晶画面200b」を備える液晶表示装置は、ルールや役の表示や、遊技者に興趣を付与するべく遊技の演出が実行されるものであって(段落【0086】)、化粧パネル110が開放されたことで下側に配置されることになる表示プレート31に表示される遊技機の機種名(タイトル)や型式等の情報を表示するものではない。
したがって、甲第1号証に記載された「液晶画面200b」は、本件発明の「表示パネル」に相当するものではないから、上記甲第1号証の記載は、本件発明の構成Fを開示するものとはいえない。

さらに、特許異議申立人日本電動式遊技機特許株式会社は、構成Fは、甲3記載の事項及び甲4記載の事項に記載されている周知技術に過ぎないと主張する(特許異議申立書第44頁第12?20行)。
しかしながら、遊技機の表示部を下部から上部にかけて遊技機の後方側に傾斜するように設置することが周知技術であったとしても、先に検討したとおり、周知技術の表示部の構造を引用発明の表示プレート31に適用する動機付けがないから、引用発明の表示プレート31(表示パネル)を「下部から上部に向けて遊技機の後方側に傾斜するように」設置することが当業者が容易になし得たこととはいえない。

イ [相違点2]について
甲3記載の事項には、下部から上部にかけてスロットマシン10の後方側に傾斜するよう設置した表示窓32の左右側にサイドランプユニット50を設けた点が記載されている。
しかしながら、上記甲3記載の事項には、表示窓32(表示パネル)の後方にサイドランプユニット50(発光部)を設けた点は記載されていない。
また、甲第5号証には、前扉3よりも後方で、前扉3の左右側に発光ダイオード85の光によって照射されるレンズ87を斜めに設けた点が記載されている(段落【0016】、【0017】、【0021】、図1、2参照、以下「甲5記載の事項」という。)。
しかしながら、上記甲5記載の事項には、レンズ87(発光部)を前方を向くように設けた点は記載されていない。
したがって、甲3記載の事項及び甲5記載の事項のいずれにも、「表示パネル設置部の前面及び当該表示パネル設置部に設置された表示パネルよりも後方で、かつ該表示パネル設置部の左右側に、前方を向く発光部が設けられ」た点は記載されていない。
よって、甲1発明に甲3記載の事項及び甲5記載の事項を適用したとしても、「前記表示パネル設置部の前面及び当該表示パネル設置部に設置された前記表示パネルよりも後方で、かつ該表示パネル設置部の左右側に、前方を向く発光部が設けられ」るように構成することが、当業者が容易になし得たこととはいえない。

そして、本件発明は、上記相違点2に係る構成(構成G)により、「枠状発光部251及び該枠状発光部251の外側後方位置に設けられる枠状発光部252、253を含むことで、枠状発光部251?253が枠状に発光することで、前後方向に重畳する2枚の透明パネルにて前面扉1bの前面が構成されているように見えるため、遊技者に対しスロットマシン1の奥行き感を与えることができる。」(段落【0102】)という効果を奏するものであり、当該効果は、甲1発明、甲3記載の事項及び甲5記載の事項から予測し得るものではない。

特許異議申立人日本電動式遊技機特許株式会社は、甲第3号証の図1及び図2には、「サイドランプユニット50が、表示窓32の前面の上端部分よりも後方であって、表示窓32の左右側に設置され、これらサイドランプユニット50のサイドレンズカバー51の前面側に、光を透過させる部分と想定される100A、100Bが設けられた」構成が記載されていると主張する(特許異議申立書第30頁第19?23行)。
しかしながら、甲第3号証の図1及び図2においては、サイドランプユニット50は、表示窓32の前面の上端部分よりも前方に設置されており、表示窓32の前面の上端部分よりも後方に設置されていると認めることはできない。

さらに、特許異議申立人日本電動式遊技機特許株式会社は、甲第5号証には、段落【0017】、【0021】、図2、3に基づいて、「表示パネルの左右側に、前方を向く発光ダイオード85が実装された遊技機1」が記載されていると主張する(特許異議申立書第38頁第14?17行)。
しかしながら、「発光ダイオード85」は、段落【0017】にも記載されているように光源であり、遊技者から直接見えるものではない。
本件発明の「枠状発光部252」(発光部)の効果は、上記のとおり前後方向に重畳する2枚の透明パネルで構成されているように見えるというものであるから、当該効果を参酌すれば、甲第5号証に記載された(遊技者から直接見えない光源である)「発光ダイオード85」は、本件発明の発光部に相当するとはいえない。

ウ [相違点3]について
甲第2号証には、表示装置5の表示画面5aに表示された画像が映されるように構成された反射部100を設けたパチンコ機1が記載されている(段落【0098】、【0100】、【0104】参照、以下「甲2記載の事項」という。)。
上記甲2記載の事項において、表示画面5aに表示された画像が反射部100に映されるためには、図4、5に示されるように表示画面5aと反射部100とが連続するように設ける必要がある。
一方、甲1発明においては、液晶表示装置13に支持軸82が設けられているため液晶表示装置13と支柱81との間には間隔が空いており、支柱81には支持軸82を貫入する穿設口81eが形成されている。さらに、液晶表示装置13と支柱81との間にはベッドランプ15、16、17が設けられているため(段落【0023】、図3)、液晶表示装置13と支柱81とを連続するように構成することはできない。
すなわち、甲1発明は、液晶表示装置13に設けられた支持軸82や支柱81に形成された穿設口81eといった、甲2記載の事項の反射部100を適用する阻害要因を有しており、当業者といえども、甲1発明の支持軸82に甲2記載の事項を適用して、液晶表示装置13の画像が支柱81に映される構成を採用することが容易に想到できたものとはいえない。

そして、本件発明は、上記相違点3に係る構成(構成H)により、「反射面255を利用すれば、表示領域51aに広がりを持たせることができるので、演出効果を向上させることができる。」(段落【0086】)という効果を奏するものであり、当該効果は、甲1発明、甲2記載の事項から予測し得るものではない。

特許異議申立人日本電動式遊技機特許株式会社は、「甲1発明と甲2発明とは、属する技術分野が遊技機という点で共通しており、これら甲1発明と甲2発明とを組合わせることに何ら技術的な阻害要因も存在しない。」と主張する(特許異議申立書第43頁第23?25行)。
しかしながら、阻害要因を有することは、先に検討したとおりである。

以上のことから、本件発明は、甲1発明、甲2記載の事項、甲3記載の事項及び周知技術(甲4記載の事項、甲5記載の事項)に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

6 むすび
したがって、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、請求項1に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2019-04-04 
出願番号 特願2016-198725(P2016-198725)
審決分類 P 1 651・ 121- Y (A63F)
最終処分 維持  
前審関与審査官 安藤 達哉  
特許庁審判長 安久 司郎
特許庁審判官 平城 俊雅
牧 隆志
登録日 2018-06-29 
登録番号 特許第6360121号(P6360121)
権利者 株式会社三共
発明の名称 遊技機  
代理人 特許業務法人 武和国際特許事務所  
代理人 石川 好文  
代理人 重信 和男  
代理人 大久保 岳彦  
代理人 溝渕 良一  
代理人 林 修身  
代理人 堅田 多恵子  
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