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審決分類 審判 訂正 ただし書き2号誤記又は誤訳の訂正 訂正する A61F
管理番号 1350877
審判番号 訂正2019-390014  
総通号数 234 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-06-28 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2019-01-31 
確定日 2019-03-27 
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6197122号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第6197122号の明細書、特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正明細書、特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-8〕について訂正することを認める。 
理由 第1 手続きの経緯
本件訂正審判の請求に係る特許第6197122号(以下、「本件特許」という。)は、2014年9月11日(パリ条約による優先権主張 外国庁受理 2013年9月12日 米国)を国際出願日とする外国語特許出願(PCT/US2014/055220,以下、「国際出願」という。)を特許法第184条の3第3項の規定により特許出願とみなされた出願(特願2016-542110号)であって、その請求項1ないし20に係る発明について、平成29年8月25日に特許権の設定登録がなされ、平成31年1月31日に本件訂正審判の請求がなされたものである。


第2 請求の趣旨及び訂正事項
1 請求の趣旨
本件訂正審判の趣旨は、「特許第6197122号の明細書、特許請求の範囲を本件審判請求書に添付した訂正明細書、特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1?8について訂正することを認める、との審決を求める。」というものである。

2 訂正事項
本件訂正審判の請求に係る訂正(以下、「本件訂正」という。)の内容は、以下の訂正事項1?2のとおりである(下線は、審判請求人が訂正箇所を示したものである。)。

(1)訂正事項1
明細書の段落[0002]、[0003]、[0005]、[0010]、[0016]、[0027]、[0045]、[0053]?[0055]、[0057]及び[0058]の記載において、「体腔」を「体管腔]に訂正する。

(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項1において、「前記人工器官が体腔に植え込まれた後に該人工器官が逸脱することを抑制するために、前記拡張状態において前記コネクタが体腔の壁と係合するように構成されており」と記載されているのを、「前記人工器官が体管腔に植え込まれた後に該人工器官が逸脱することを抑制するために、前記拡張状態において前記コネクタが体管腔の壁と係合するように構成されており」に訂正する。要するに、「体腔」の文言を「体管腔」に訂正する。また、請求項1の記載を引用する請求項2?8も同様に訂正する。


第3 当審の判断

1 一群の請求項について
本件訂正前の請求項1?8について、請求項2?8は、請求項1を引用しているから、本件訂正は、一群の請求項に対して請求されたものであり、特許法第126条第3項の規定に適合する。

2 訂正要件の検討
(1)訂正の目的
ア 訂正事項1
(ア)段落【0002】
a 国際出願の明細書、請求の範囲又は図面(以下、「本件国際出願時の明細書等」といい、国際公開2015/038790号を参照。なお、頁番号、行数(空行含む)は、当該国際公開公報のものを付記した。以下、同様。)の第1頁第14行?第24行には、「An endoprosthesis may be configured to be positioned in a body lumen for a variety of medical applications. For example, an endoprosthesis may be used to treat a stenosis in a blood vessel, used to maintain a fluid opening or pathway in the vascular, urinary, biliary, tracheobronchial, esophageal or renal tracts, or to position a device such as an artificial valve or filter within a body lumen, in some instances. ・・・. However, if it is desired to remove the endoprosthesis at some later time, the ingrown tissue must be cut away, causing significant trauma to the body lumen. ・・・ However, fully covered endoprostheses are prone to migrate through the body lumen.」と記載されているが、本件特許明細書の段落【0002】には、「人工器官は、様々な医療用途において体腔に留置されるように構成されている。例えば、人工器官は、血管狭窄の治療や、血管、尿管、胆管、気管、食道、腎臓管等における流体用の開口および通路の維持に用いられ、場合によっては、人工弁やフィルタ等の器具を体腔に留置するために用いられる。・・・しかし、後で人工器官を除去する必要がある場合には、内部成長した組織を切除しなければならないため、体腔に著しい外傷を与えてしまう。・・・。しかし、完全に被覆された人工器官は、体腔内において逸脱しやすい。」と記載されている(下線は、当審で付与した。以下、同様。)。

b ここで、本件国際出願時の明細書等における「body lumen」の翻訳について、「body lumen」における「body」は「体」を意味し、「body lumen」における「lumen」は「管腔」を意味することから、本件国際出願時の明細書等における「body lumen」の正しい翻訳は、「体管腔」と認められる。

c そうすると、本件特許明細書の段落【0002】の「人工器官は、様々な医療用途において体腔に留置されるように構成されている。例えば、人工器官は、血管狭窄の治療や、血管、尿管、胆管、気管、食道、腎臓管等における流体用の開口および通路の維持に用いられ、場合によっては、人工弁やフィルタ等の器具を体腔に留置するために用いられる。・・・しかし、後で人工器官を除去する必要がある場合には、内部成長した組織を切除しなければならないため、体腔に著しい外傷を与えてしまう。・・・。しかし、完全に被覆された人工器官は、体腔内において逸脱しやすい。」との翻訳は、「人工器官は、様々な医療用途において体管腔に留置されるように構成されている。例えば、人工器官は、血管狭窄の治療や、血管、尿管、胆管、気管、食道、腎臓管等における流体用の開口および通路の維持に用いられ、場合によっては、人工弁やフィルタ等の器具を体管腔に留置するために用いられる。・・・しかし、後で人工器官を除去する必要がある場合には、内部成長した組織を切除しなければならないため、体管腔に著しい外傷を与えてしまう。・・・。しかし、完全に被覆された人工器官は、体管腔内において逸脱しやすい。」の誤訳であることは明白であり、「体腔」を「体管腔」に訂正することは、誤訳の訂正を目的とするものである。

d したがって、訂正事項1における段落【0002】の訂正は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる誤訳の訂正を目的とするものに該当する。

(イ)段落【0003】
a 本件国際出願時の明細書等の第1頁第25行?第27行には、「Accordingly, it is desirable to provide endoprostheses that exhibit anti- migration features, while reducing the trauma to the body lumen of the patient if removal of the endoprosthesis is desired.」と記載されているが、本件特許明細書の段落【0003】には、「したがって、逸脱防止特性を有しながらも、人工器官の除去が必要になった場合に患者体腔に与える外傷を低減できる人工器官を提供することが望ましい。」と記載されている。

b ここで、上記(ア)bのとおりであるから、本件特許明細書の段落【0003】の「したがって、逸脱防止特性を有しながらも、人工器官の除去が必要になった場合に患者体腔に与える外傷を低減できる人工器官を提供することが望ましい。」との翻訳は、「したがって、逸脱防止特性を有しながらも、人工器官の除去が必要になった場合に患者体管腔に与える外傷を低減できる人工器官を提供することが望ましい。」の誤訳であることは明白であり、「体腔」を「体管腔」に訂正することは、誤訳の訂正を目的とするものである。

c したがって、訂正事項1における段落【0003】の訂正は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる誤訳の訂正を目的とするものに該当する。

(ウ)段落【0005】
a 本件国際出願時の明細書等の第2頁第7行?第9行には、「The connectors are configured to engage a wall of a body lumen in the expanded state to inhibit migration of the endoprosthesis subsequent implanting the endoprosthesis in the body lumen.」と記載されているが、本件特許明細書の段落【0005】には、「人工器官が体腔に植え込まれた後に人工器官が逸脱することを抑制するために、拡張状態においてコネクタが体腔の壁と係合するように構成されている。」と記載されている。

b ここで、上記(ア)bのとおりであるから、本件特許明細書の段落【0005】の「人工器官が体腔に植え込まれた後に人工器官が逸脱することを抑制するために、拡張状態においてコネクタが体腔の壁と係合するように構成されている。」との翻訳は、「人工器官が体管腔に植え込まれた後に人工器官が逸脱することを抑制するために、拡張状態においてコネクタが体管腔の壁と係合するように構成されている。」の誤訳であることは明白であり、「体腔」を「体管腔」に訂正することは、誤訳の訂正を目的とするものである。

c したがって、訂正事項1における段落【0005】の訂正は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる誤訳の訂正を目的とするものに該当する。

(エ)段落【0010】
a 本件国際出願時の明細書等の第4頁第18行?第19行には、「FIGS. 7 and 8 illustrate aspects of delivering the endoprosthesis of FIG. 1 into a body lumen.」と記載されているが、本件特許明細書の段落【0010】には、「【図7】体腔にて図1の人工器官を送達させる態様を示す図。【図8】体腔にて図1の人工器官を送達させる態様を示す図。」と記載されている。

b ここで、上記(ア)bのとおりであるから、本件特許明細書の段落【0010】の「【図7】体腔にて図1の人工器官を送達させる態様を示す図。【図8】体腔にて図1の人工器官を送達させる態様を示す図。」との翻訳は、「【図7】体管腔にて図1の人工器官を送達させる態様を示す図。【図8】体管腔にて図1の人工器官を送達させる態様を示す図。」の誤訳であることは明白であり、「体腔」を「体管腔」に訂正することは、誤訳の訂正を目的とするものである。

c したがって、訂正事項1における段落【0010】の訂正は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる誤訳の訂正を目的とするものに該当する。

(オ)段落【0016】
a 本件国際出願時の明細書等の第5頁第20行?第31行には、「An exemplary implantable endoprosthesis 10 is shown in FIG. 1. The endoprosthesis 10 may be configured to be positioned in a body lumen for a variety of medical applications. For example, the endoprosthesis 10 may be used to treat a stenosis in a blood vessel, used to maintain a fluid opening or pathway in the vascular, urinary, biliary, tracheobronchial, esophageal or renal tracts, or position a device such as an artificial valve or filter within a body lumen, in some instances. In some instances, the endoprosthesis 10 may be a prosthetic graft, a stent-graft, or a stent (e.g., a vascular stent, tracheal stent, bronchial stent, esophageal stent, etc.). Although illustrated as a stent, the endoprosthesis 10 may be any of a number of devices that may be introduced endoscopically, subcutaneously, percutaneously or surgically to be positioned within an organ, tissue, or lumen, such as a heart, artery, vein, urethra, esophagus, trachea, bronchus, bile duct, or the like.」と記載されているが、本件特許明細書の段落【0016】には、「図1に例示的な植え込み型人工器官10を示す。人工器官10は、様々な医療用途において体腔に留置されるように構成されている。例えば、人工器官10は、血管狭窄の治療や、血管、尿管、胆管、気管、食道、腎臓管等における流体用の開口および通路の維持に用いられ、場合によっては、人工弁やフィルタ等の器具を体腔に留置するために用いられる。いくつかの例において、人工器官10は、人工血管、ステントグラフトまたはステント(例えば、血管ステント、気管ステント、気管支ステント、食道ステント)である。ステントとして示されているが、人工器官10は、心臓、動脈、静脈、尿道、食道、気管、気管支、胆管等の器官、組織または体腔に留置されるために内視鏡的に、皮下に、経皮的にまたは外科的に導入される多くの器具のうちのいずれであってもよい。」と記載されている。

b-1 上記aにおける本件国際出願時の明細書の記載の「body lumen」について
上記(ア)bのとおりであるから、本件特許明細書の段落【0016】における「図1に例示的な植え込み型人工器官10を示す。人工器官10は、様々な医療用途において体腔に留置されるように構成されている。例えば、人工器官10は、血管狭窄の治療や、血管、尿管、胆管、気管、食道、腎臓管等における流体用の開口および通路の維持に用いられ、場合によっては、人工弁やフィルタ等の器具を体腔に留置するために用いられる。」との翻訳は、「図1に例示的な植え込み型人工器官10を示す。人工器官10は、様々な医療用途において体管腔に留置されるように構成されている。例えば、人工器官10は、血管狭窄の治療や、血管、尿管、胆管、気管、食道、腎臓管等における流体用の開口および通路の維持に用いられ、場合によっては、人工弁やフィルタ等の器具を体管腔に留置するために用いられる。」の誤訳であることは明白であり、「体腔」を「体管腔」に訂正することは、誤訳の訂正を目的とするものである。

b-2 上記aにおける本件国際特許明細書の記載の「lumen」について
上記「lumen」は、体の中にある「lumen」であることは、文理解釈上、明らかであるから、上記「lumen」は、「体管腔」を意味するものであり、段落【0016】における「ステントとして示されているが、人工器官10は、心臓、動脈、静脈、尿道、食道、気管、気管支、胆管等の器官、組織または体腔に留置されるために内視鏡的に、皮下に、経皮的にまたは外科的に導入される多くの器具のうちのいずれであってもよい。」との翻訳は、「ステントとして示されているが、人工器官10は、心臓、動脈、静脈、尿道、食道、気管、気管支、胆管等の器官、組織または体管腔に留置されるために内視鏡的に、皮下に、経皮的にまたは外科的に導入される多くの器具のうちのいずれであってもよい。」の誤訳であることは明白であり、「体腔」を「体管腔」に訂正することは、誤訳の訂正を目的とするものである。

c したがって、訂正事項1における段落【0016】の訂正は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる誤訳の訂正を目的とするものに該当する。

(カ)段落【0027】
a 本件国際出願時の明細書等の第8頁第18行?第20行には、「The plurality of connectors 22 may be configured to engage a wall of a body lumen in the expanded state to inhibit migration of the endoprosthesis 10 subsequent to implanting the endoprosthesis in the body lumen.」と記載されているが、本件特許明細書の段落【0027】には、「複数のコネクタ22は、人工器官10を体腔内に植え込んだ後に人工器官10が逸脱することを抑制するために、拡張状態において体腔の壁と係合するように構成されていてもよい。」と記載されている。

b ここで、上記(ア)bのとおりであるから、本件特許明細書の段落【0027】の「複数のコネクタ22は、人工器官10を体腔内に植え込んだ後に人工器官10が逸脱することを抑制するために、拡張状態において体腔の壁と係合するように構成されていてもよい。」との翻訳は、「複数のコネクタ22は、人工器官10を体管腔内に植え込んだ後に人工器官10が逸脱することを抑制するために、拡張状態において体管腔の壁と係合するように構成されていてもよい。」の誤訳であることは明白であり、「体腔」を「体管腔」に訂正することは、誤訳の訂正を目的とするものである。

c したがって、訂正事項1における段落【0027】の訂正は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる誤訳の訂正を目的とするものに該当する。

(キ)段落【0045】
a 本件国際出願時の明細書等の第14頁第23行?第28行には、「In one such embodiment, a greater thickness of the cover 30 throughout the first and second end regions of the expandable framework 12 may strengthen the cover 30 in these regions to prevent tearing and/or mucous buildup while implanted in a body lumen. The cover 30 throughout the intermediate region may be thinner to maintain a low axial extension force to prevent migration of the endoprosthesis 10 in the body lumen and enhance patient comfort.」と記載されているが、本件特許明細書の段落【0045】には、「このような実施形態では、拡張型フレーム構造12の第1端部領域および第2端部領域全体における被覆部30の厚さがより大きいため、これらの領域においては被覆部30が補強され、体腔に植え込まれた状態において裂けおよび/または粘液堆積が抑制される。中間領域全体において被覆部30がより薄いことにより、軸方向の拡張力が抑えられ、体腔内における人工器官10の逸脱が防止されるとともに患者の快適性が向上する。」と記載されている。

b ここで、上記(ア)bのとおりであるから、本件特許明細書の段落【0045】の「このような実施形態では、拡張型フレーム構造12の第1端部領域および第2端部領域全体における被覆部30の厚さがより大きいため、これらの領域においては被覆部30が補強され、体腔に植え込まれた状態において裂けおよび/または粘液堆積が抑制される。中間領域全体において被覆部30がより薄いことにより、軸方向の拡張力が抑えられ、体腔内における人工器官10の逸脱が防止されるとともに患者の快適性が向上する。」との翻訳は、「このような実施形態では、拡張型フレーム構造12の第1端部領域および第2端部領域全体における被覆部30の厚さがより大きいため、これらの領域においては被覆部30が補強され、体管腔に植え込まれた状態において裂けおよび/または粘液堆積が抑制される。中間領域全体において被覆部30がより薄いことにより、軸方向の拡張力が抑えられ、体管腔内における人工器官10の逸脱が防止されるとともに患者の快適性が向上する。」の誤訳であることは明白であり、「体腔」を「体管腔」に訂正することは、誤訳の訂正を目的とするものである。

c したがって、訂正事項1における段落【0045】の訂正は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる誤訳の訂正を目的とするものに該当する。

(ク)段落【0053】
a 本件国際出願時の明細書等の第16頁第31行?第17頁第5行には、「FIGS. 7 and 8 illustrate aspects of delivering the endoprosthesis 10 into a body lumen. As shown in FIG. 7, the endoprosthesis 10 may be advanced in a compressed state within a tubular sheath 80 to a target location within a body lumen 90, such as a body lumen of the vascular, urinary, biliary, tracheobronchial, esophageal or renal tracts.」と記載されているが、本件特許明細書の段落【0053】には、「図7および8に、体腔に人工器官10を送達する態様を示す。図7に示すように、人工器官10は、血管、尿管、胆管、気管、食道、腎臓管等の体腔90内の標的部位まで、圧縮状態にて管状シース80内を移動する。」と記載されている。

b ここで、上記(ア)bのとおりであるから、本件特許明細書の段落【0053】の「図7および8に、体腔に人工器官10を送達する態様を示す。図7に示すように、人工器官10は、血管、尿管、胆管、気管、食道、腎臓管等の体腔90内の標的部位まで、圧縮状態にて管状シース80内を移動する。」との翻訳は、「図7および8に、体管腔に人工器官10を送達する態様を示す。図7に示すように、人工器官10は、血管、尿管、胆管、気管、食道、腎臓管等の体管腔90内の標的部位まで、圧縮状態にて管状シース80内を移動する。」の誤訳であることは明白であり、「体腔」を「体管腔」に訂正することは、誤訳の訂正を目的とするものである。

c したがって、訂正事項1における段落【0053】の訂正は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる誤訳の訂正を目的とするものに該当する。

(ケ)段落【0054】
a 本件国際出願時の明細書等の第17頁第8行?第13行には、「As shown in FIG. 7, once a first strut row 20 exits the distal opening 82 of the delivery sheath 80, the first strut row 20 may automatically expand toward its expanded state and press against the luminal wall 92 of the body lumen 90. The connectors 22 may be of sufficient length such that the first strut row 20 may expand against the luminal wall 92 of the body lumen 90 while the adjacent, second strut row 20 may remain in a compressed state within the delivery sheath 80.」と記載されているが、本件特許明細書の段落【0054】には、「図7に示すように、第1ストラット列20が運搬シース80の先端開口82から出ると、第1ストラット列20が自動的に拡張状態に拡張して体腔90の内腔壁92を押す。コネクタ22は、第1ストラット列20に隣り合う第2ストラット列20が運搬シース80内にて圧縮状態に維持されていても、第1ストラット列20が拡張して体腔90の内腔壁92に当接できる長さを有している。」と記載されている。

b ここで、上記(ア)bのとおりであるから、本件特許明細書の段落【0054】の「図7に示すように、第1ストラット列20が運搬シース80の先端開口82から出ると、第1ストラット列20が自動的に拡張状態に拡張して体腔90の内腔壁92を押す。コネクタ22は、第1ストラット列20に隣り合う第2ストラット列20が運搬シース80内にて圧縮状態に維持されていても、第1ストラット列20が拡張して体腔90の内腔壁92に当接できる長さを有している。」との翻訳は、「図7に示すように、第1ストラット列20が運搬シース80の先端開口82から出ると、第1ストラット列20が自動的に拡張状態に拡張して体管腔90の内腔壁92を押す。コネクタ22は、第1ストラット列20に隣り合う第2ストラット列20が運搬シース80内にて圧縮状態に維持されていても、第1ストラット列20が拡張して体管腔90の内腔壁92に当接できる長さを有している。」の誤訳であることは明白であり、「体腔」を「体管腔」に訂正することは、誤訳の訂正を目的とするものである。

c したがって、訂正事項1における段落【0054】の訂正は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる誤訳の訂正を目的とするものに該当する。

(コ)段落【0055】
a 本件国際出願時の明細書等の第17頁第19行?第22行には、「The plurality of connectors 22 extending between the first strut row 20 and the second strut row 20 may have a length sufficient to allow the first strut row 20 to fully expand to the expanded state against the luminal wall 92 of the body lumen 90 without expansion of the second strut row 20.」と記載されているが、本件特許明細書の段落【0055】には、「第1ストラット列20と第2ストラット列20との間を延びる複数のコネクタ22は、第2ストラット列20を拡張させることなく第1ストラット列20が完全に拡張状態まで拡張して体腔90の内腔壁92に当接できる長さを有している。」と記載されている。

b ここで、上記(ア)bのとおりであるから、本件特許明細書の段落【0055】の「第1ストラット列20と第2ストラット列20との間を延びる複数のコネクタ22は、第2ストラット列20を拡張させることなく第1ストラット列20が完全に拡張状態まで拡張して体腔90の内腔壁92に当接できる長さを有している。」との翻訳は、「第1ストラット列20と第2ストラット列20との間を延びる複数のコネクタ22は、第2ストラット列20を拡張させることなく第1ストラット列20が完全に拡張状態まで拡張して体管腔90の内腔壁92に当接できる長さを有している。」の誤訳であることは明白であり、「体腔」を「体管腔」に訂正することは、誤訳の訂正を目的とするものである。

c したがって、訂正事項1における段落【0055】の訂正は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる誤訳の訂正を目的とするものに該当する。

(サ)段落【0057】
a 本件国際出願時の明細書等の第18頁第1行?第4行には、「Thus, unlike other expandable endoprostheses in which expansion of the endoprosthesis tends to cause adjacent strut rows to "jump" out of the delivery sheath 80 uncontrollably, the endoprosthesis 10 may allow for precise and controlled placement of the endoprosthesis 10 in the body lumen 90.」と記載されているが、本件特許明細書の段落【0057】には、「したがって、人工器官の拡張時に隣り合うストラット列が運搬シース80から制御不能に「跳ね出る」ことの多い他の拡張型人工器官と異なり、人工器官10は、体腔90において正確であるとともに制御された留置が可能である。」と記載されている。

b ここで、上記(ア)bのとおりであるから、本件特許明細書の段落【0057】の「したがって、人工器官の拡張時に隣り合うストラット列が運搬シース80から制御不能に「跳ね出る」ことの多い他の拡張型人工器官と異なり、人工器官10は、体腔90において正確であるとともに制御された留置が可能である。」との翻訳は、「したがって、人工器官の拡張時に隣り合うストラット列が運搬シース80から制御不能に「跳ね出る」ことの多い他の拡張型人工器官と異なり、人工器官10は、体管腔90において正確であるとともに制御された留置が可能である。」の誤訳であることは明白であり、「体腔」を「体管腔」に訂正することは、誤訳の訂正を目的とするものである。

c したがって、訂正事項1における段落【0057】の訂正は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる誤訳の訂正を目的とするものに該当する。

(シ)段落【0058】
a 本件国際出願時の明細書等の第18頁第7行?第11行には、「For example, a snapping effect or pulse generated at the moment the strut row 20 is fully exposed from the delivery sheath 80 and exits the delivery sheath 80 entirely may translate down the delivery sheath 80 to the operator and may allow the operator to feel when each strut row 20 has expanded in the body lumen 90.」と記載されているが、本件特許明細書の段落【0058】には、「例えば、ストラット列20が運搬シース80から完全に露出して運搬シース80から完全に出る瞬間の素早い作用もしくは瞬動は、運搬シース80を介してオペレータに伝わるため、オペレータは、各ストラット列20が体腔90内で拡張したことを感じることができる。」と記載されている。

b ここで、上記(ア)bのとおりであるから、本件特許明細書の段落【0058】の「例えば、ストラット列20が運搬シース80から完全に露出して運搬シース80から完全に出る瞬間の素早い作用もしくは瞬動は、運搬シース80を介してオペレータに伝わるため、オペレータは、各ストラット列20が体腔90内で拡張したことを感じることができる。」との翻訳は、「例えば、ストラット列20が運搬シース80から完全に露出して運搬シース80から完全に出る瞬間の素早い作用もしくは瞬動は、運搬シース80を介してオペレータに伝わるため、オペレータは、各ストラット列20が体管腔90内で拡張したことを感じることができる。」の誤訳であることは明白であり、「体腔」を「体管腔」に訂正することは、誤訳の訂正を目的とするものである。

c したがって、訂正事項1における段落[0058]の訂正は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる誤訳の訂正を目的とするものに該当する。

(ス)小括
上記(ア)?(シ)のとおりであるから、訂正事項1は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる誤訳の訂正を目的とするものである。

イ 訂正事項2
a 本件国際出願時の明細書等における請求の範囲の請求項1には、「wherein the connectors are configured to engage a wall of a body lumen in the expanded state to inhibit migration of the endoprosthesis subsequent implanting the endoprosthesis in the body lumen」と記載されているが、本件特許請求の範囲の請求項1には、「前記人工器官が体腔に植え込まれた後に該人工器官が逸脱することを抑制するために、前記拡張状態において前記コネクタが体腔の壁と係合するように構成されており」と記載されている。

b ここで、上記ア(ア)bのとおりであるから、本件特許請求の範囲の請求項1の「前記人工器官が体腔に植え込まれた後に該人工器官が逸脱することを抑制するために、前記拡張状態において前記コネクタが体腔の壁と係合するように構成されており」との翻訳は、「前記人工器官が体管腔に植え込まれた後に該人工器官が逸脱することを抑制するために、前記拡張状態において前記コネクタが体管腔の壁と係合するように構成されており」の誤訳であることは明白であり、「体腔」を「体管腔」に訂正することは、誤訳の訂正を目的とするものである。

c したがって、訂正事項2は、特許法第126条第1項ただし書き第2号に掲げる誤訳の訂正を目的とするものである。

(2)新規事項
本件訂正は、上記(1)のとおり、誤訳の訂正を目的とするものであって、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲及び図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではないから、特許法第126条第5項の規定に適合する。

(3)特許請求の範囲の拡張、変更
本件訂正は、上記(1)のとおり、誤訳の訂正を目的とするものであって、本件訂正の前後で特許請求の範囲を拡張又は変更するものではないから、特許法第126条第6項の規定に適合する。

(4)独立特許要件
本件訂正は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる事項を目的とするものを含むので、本件訂正後の請求項1?8に係る発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるか検討するに、本件訂正後の請求項1?8に係る発明が特許出願の際独立して特許を受けることができないとする新たな理由は発見しない。
したがって、本件訂正は、特許法第126条第7項の規定に適合する。

第4 むすび
以上のとおりであるから、本件訂正審判の請求は、特許法第126条第3項の規定に適合するものである。そして、本件訂正は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる事項を目的とし、同条第5項?第7項の規定に適合するものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
逸脱防止コネクタを備えたステント
【技術分野】
【0001】
本開示は、ステント等の、逸脱防止特性を有する人工器官に関し、より詳細には、ステントの選択部分内の組織の内部成長を許容するカバードステントに関する。
【背景技術】
【0002】
人工器官は、様々な医療用途において体管腔に留置されるように構成されている。例えば、人工器官は、血管狭窄の治療や、血管、尿管、胆管、気管、食道、腎臓管等における流体用の開口および通路の維持に用いられ、場合によっては、人工弁やフィルタ等の器具を体管腔に留置するために用いられる。被覆されていない人工器官や、部分的に被覆された人工器官は、人工器官の構造内に組織の内部成長(tissue ingrowth)を許容するため、人工器官の逸脱が抑制される。しかし、後で人工器官を除去する必要がある場合には、内部成長した組織を切除しなければならないため、体管腔に著しい外傷を与えてしまう。一方、完全に被覆されたステントは、組織の内部成長を防ぐため除去が容易である。しかし、完全に被覆された人工器官は、体管腔内において逸脱しやすい。
【0003】
したがって、逸脱防止特性を有しながらも、人工器官の除去が必要になった場合に患者体管腔に与える外傷を低減できる人工器官を提供することが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記した懸案を鑑みてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、医療器具の構造および組み立ての様々な代替の設計、材料、製造方法および使用に関する。
例示的実施形態による人工器官は、拡張型管状フレーム構造を備えており、拡張型管状フレーム構造は、第1端部と、第2端部と、拡張型管状フレーム構造を通って延びる管腔とを有している。拡張型管状フレーム構造は、複数のストラット列と、隣り合っているストラット列の間の隙間にわたって延びているとともに、隣り合っているストラット列を相互接続している複数のコネクタとを有している。拡張型管状フレーム構造は圧縮状態から拡張状態に拡張可能である。人工器官は、ストラット列を覆っているとともに、隣り合っているストラット列の間の隙間にまたがっているポリマー被覆部とを更に備えている。複数のストラット列は拡張状態における外径を有しており、コネクタは、拡張状態において複数のストラット列の外径を越えて径方向外側に延びている。人工器官が体管腔に植え込まれた後に人工器官が逸脱することを抑制するために、拡張状態においてコネクタが体管腔の壁と係合するように構成されている。コネクタと、該コネクタが相互接続されているストラット列の外径との間のスペースにはポリマー被覆部が存在しておらず、コネクタの周囲において組織の内部成長が許容されている。
【0006】
別の例示的実施形態による人工器官は、拡張型管状フレーム構造を備えており、拡張型管状フレーム構造は、第1端部と、第2端部と、拡張型管状フレーム構造を通って延びている管腔とを有している。拡張型管状フレーム構造は圧縮状態から拡張状態に拡張可能である。拡張型管状フレーム構造は、第1ストラット列、第2ストラット列、第3ストラット列および第4ストラット列を有している。拡張型管状フレーム構造は、第1ストラット列と第2ストラット列との間の間隙にわたって延びているとともに第1および第2ストラット列を相互接続している第1の複数のコネクタと、第2ストラット列と第3ストラット列との間の間隙にわたって延びているとともに第2および第3ストラット列を相互接続している第2の複数のコネクタと、第3ストラット列と第4ストラット列との間の間隙にわたって延びているとともに第3および第4ストラット列を相互接続している第3の複数のコネクタとを有している。人工器官は、第1、第2、第3および第4ストラット列を覆っているとともに、該第1、第2、第3および第4ストラット列の間の間隙にまたがっているポリマー被覆部を更に備える。第1、第2、第3および第4ストラット列は、拡張状態における外径を有しており、第1、第2および第3の複数のコネクタは、拡張状態において、複数のストラット列の外径を越えて、弧状経路を通って径方向外側に延びている。第1の複数のコネクタは第1螺旋方向に延び、第2の複数のコネクタは第1螺旋方向とは反対の第2螺旋方向に延び、第3の複数のコネクタは第1螺旋方向に延びている。第1の複数のコネクタと第1および第2ストラット列との間のスペースにはポリマー被覆部が存在しておらず、スペースを通る組織の内部成長を許容するために開いている。第2の複数のコネクタと第2および第3ストラット列との間のスペースにはポリマー被覆部が存在しておらず、スペースを通る組織の内部成長を許容するために開いている。第3の複数のコネクタと第3および第4ストラット列との間のスペースにはポリマー被覆部が存在しておらず、スペースを通る組織の内部成長を許容するために開いている。
【0007】
別の例示的実施形態は、人工器官の製造方法である。この方法は、管状部材から拡張型管状フレーム構造を形成することを含む。拡張型管状フレーム構造は、第1端部と、第2端部と、拡張型管状フレーム構造を通って延びている管腔とを有している。拡張型管状フレーム構造は、複数のストラット列と、隣り合っているストラット列の間の隙間にわたって延びているとともに、隣り合っているストラット列を相互接続している複数のコネクタとを有している。拡張型管状フレーム構造は、圧縮状態から拡張状態に拡張可能である。複数のストラット列は、拡張状態における外径を有する。コネクタは、拡張状態において複数のストラット列の外径を超えて径方向外側に延びる。拡張型管状フレーム構造にポリマー被覆部がコーティングされる。次いで、ストラット列を覆っているとともに、隣り合っているストラット列の間の隙間にまたがっているコーティングを維持しつつ、コネクタとストラット列との間のスペースからコーティングが選択的に除去されるか、または、このスペースにコーティングが施されることが阻止される。例えば、ストラット列を覆っているとともに、隣り合っているストラット列の間の隙間にまたがっているコーティングを維持しつつ、コネクタと、コネクタが相互接続されているストラット列との間のスペースに向かって流体を吹き付けることにより、このスペースからコーティングを選択的に除去する。または、ストラット列を覆っているとともに、隣り合っているストラット列の間の隙間にまたがっているコーティングを維持しつつ、噴霧コーティング処理を行うことにより、このスペースから選択的にコーティングが除去されるか、および/または、このスペースにコーティングが施されることが阻止される。
【0009】
上記の例示的実施形態の要旨は、開示された各実施形態または本開示の要素の各実施の説明を意図するものではない。
本開示の態様は、様々な実施形態の詳細な説明とともに添付の図面を考慮することによって、より完全に理解される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】例示的人工器官の斜視図。
【図2】図1の人工器官の一部を示す拡大図。
【図3】図1の人工器官の端面図。
【図4】圧縮状態における図1の人工器官の拡張型フレーム構造を、管状の拡張型フレーム構造が長手方向に切断されて平坦に置かれているかのように示す模式図。
【図5】拡張状態における人工器官の拡張型フレーム構造の模式図。
【図6】人工器官の拡張型フレーム構造にコーティングを施す例示的工程を示す図。
【図7】体管腔にて図1の人工器官を送達させる態様を示す図。
【図8】体管腔にて図1の人工器官を送達させる態様を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示の態様は種々の改変および代替形態が可能であるが、それらのうちの特定のものを例として図面に示し、詳細に説明する。しかし、本開示の態様は、説明された特定の実施形態に限定されない。本開示の態様は、本開示の趣旨および範囲内にあるすべての変更例、均等例および代替例を含む。
【0012】
以下に定義される用語については、特許請求の範囲または本明細書中において別に定義されない限り、以下の定義が適用されることとする。
本明細書のすべての数値は、記載の有無に関わらず、「約」という単語により修飾されているとみなされる。「約」という用語は、記載の数値と同等である(機能や結果が同じである)と当業者が判断する数値範囲を表す。多くの場合において、「約」という語は、最も近い有効数字に四捨五入された数を含み得る。
【0013】
上下限値による数値範囲の記載は、その範囲内のすべての数を含む(例えば、1?5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4および5を含む)。
様々な構成要素、特徴、および/または仕様に関するいくつかの最適な寸法、範囲および/または数値が開示されているが、当業者であれば、好適な寸法、範囲および/または数値が本明細書に明示されたものとは異なる場合もあることは、本明細書の開示内容から理解できる。
【0014】
本明細書および添付の特許請求の範囲においては、単数形で表された要素は、特に断らない限り、すべて複数である場合も含むものとする。また、「または」という表現は、特に断らない限り「および/または」という意味を含むものとする。
【0015】
以下の記載においては図を参照するが、異なる図における類似する構成要素には同一の符号が付されている。詳細な説明および図面は例示的実施形態を示すものであり、本開示の範囲を限定するものではない。また、図面は必ずしも縮尺どおりではない。図示された例示的実施形態は、例示のみを意図する。例示的実施形態のある特徴は、特に断らない限り、別の実施形態に組み込み可能である。
【0016】
図1に例示的な植え込み型人工器官10を示す。人工器官10は、様々な医療用途において体管腔に留置されるように構成されている。例えば、人工器官10は、血管狭窄の治療や、血管、尿管、胆管、気管、食道、腎臓管等における流体用の開口および通路の維持に用いられ、場合によっては、人工弁やフィルタ等の器具を体管腔に留置するために用いられる。いくつかの例において、人工器官10は、人工血管、ステントグラフトまたはステント(例えば、血管ステント、気管ステント、気管支ステント、食道ステント)である。ステントとして示されているが、人工器官10は、心臓、動脈、静脈、尿道、食道、気管、気管支、胆管等の器官、組織または体管腔に留置されるために内視鏡的に、皮下に、経皮的にまたは外科的に導入される多くの器具のうちのいずれであってもよい。
【0017】
いくつかの例においては、人工器官10は、人工器官に作用する拘束力が除かれると圧縮状態から拡張状態に自動的に拡張するように構成された自己拡張型人工器官である。他の例においては、人工器官10は、人工器官10に作用する機械的力(例えば、径方向に拡張するバルーン)によって拡張状態に拡張されるように構成された機械的に拡張可能な人工器官であってもよい。
【0018】
人工器官10は、第1端部14と第2端部16との間を延びる拡張型管状フレーム構造12を有する略管状の部材である。拡張型管状フレーム構造12は、外面を画定する外径と、拡張型管状フレーム構造12内を延びる管腔18を形成する内面を画定する内径とを有する。管状フレーム構造12は、人工器官10の長さに沿って配置された複数のストラット列20を有する。いくつかの例では、ストラット列20は拡張型管状フレーム構造12の周囲において周方向に延びる。
【0019】
本明細書において、拡張型管状フレーム構造12の外面は、人工器官10の外径に対応する、ストラット列20の径方向外側面を指す。内面は、人工器官10の内径に対応する、ストラット列20の径方向内側面を指す。
【0020】
拡張型フレーム構造12は、複数のストラット列20と、隣り合うストラット列20を相互接続する複数のコネクタ22を有する。例えば、拡張型フレーム構造12は、人工器官10の長さに沿って配置された2、3、4、5、6、7、8、9、10またはそれ以上のストラット列20を含む。隣り合うストラット列20の間には間隙もしくは隙間が位置し、間隙もしくは隙間によって隣り合うストラット列20が隔てられている。このように、人工器官の長さは、少なくとも部分的に、ストラット列20の数によって決まる。
【0021】
各ストラット列20は、波状ストラットを有し、波状ストラットの間には隙間スペースもしくは開口が画定されている。各ストラット列20の波状ストラットは、交互に配置された山部24および谷部26を有する。山部24および谷部26は、波状ストラットの各対の各部分が連結および/または分岐する箇所に対応している。ストラット列20の山部24は拡張型管状フレーム構造12の第1端部14側に位置し、ストラット列20の谷部26は拡張型管状フレーム構造12の第2端部16側に位置している。
【0022】
人工器官10は、生体適合性材料等の任意の所望の材料で形成可能である。生体適合性材料の例としては、生体安定性、生体吸収性、生分解性または生体侵食性を備えた材料等が挙げられる。例えば、人工器官10は、金属材料またはポリマー材料から形成できる。好適な金属材料の例としては、ステンレス鋼、タンタル、タングステン、一般にニチノールと称される、形状記憶特性を有するものを含むニッケル-チタン合金、ニッケル-クロム合金、ニッケル-クロム-鉄合金、コバルト-クロム-ニッケル合金もしくは他の好適な金属またはこれらの組み合わせもしくは合金が挙げられるが、これらに限定されない。好適なポリマー材料の例としては、ポリアミド、ポリエーテルブロックアミド、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリスルホンおよびこれらの共重合体、配合物、混合物もしくは組み合せが挙げられるが、これらに限定されない。
【0023】
いくつかの例では、人工器官10の拡張型管状フレーム構造12は、金属管等の管状部材から形成された一体構造である。例えば、拡張型フレーム構造12は、金属製の管状部材から切り出された(レーザー切断等)後に拡張される。したがって、いくつかの例においては、拡張型フレーム構造12の複数のストラット列20および複数のコネクタ22は、金属管から切り出された一体構造である。他の例においては、拡張型フレーム構造12の複数のストラット列20および複数のコネクタ22は、ポリマー製管状部材から切り出される。他の実施形態においては、拡張型フレーム構造12は、機械加工や化学的エッチング等の手段により管状部材から一体構造として形成される。
【0024】
各コネクタ22は、第1ストラット列20の山部24に接続された第1端部と、第1ストラット列20と隣り合う第2ストラット列20の山部24に接続された第2端部とを有する。したがって、コネクタ22は、第1ストラット列20の山部24から第2ストラット列20の山部24まで延びている。第1の複数のコネクタ22aは第1ストラット列20aから第2ストラット列20bまで延び、第2の複数のコネクタ22bは第2ストラット列20bから第3ストラット列20cまで延び、第3の複数のコネクタ22cは第3ストラット列20cから第4ストラット列20dまで延びる。
【0025】
第1の複数のコネクタ22aは、第1ストラット列20aから第2ストラット列20bまで第1螺旋方向(第1端部14から第2端部16に向かって、人工器官10の長手方向中心軸線に沿って見て反時計回り方向等)に延びる。第2の複数のコネクタ22bは、第2ストラット列20bから第3ストラット列20cまで、第1螺旋方向とは反対の第2螺旋方向(第1端部14から第2端部16に向かって、人工器官10の長手方向中心軸線に沿って見て時計回り方向等)に延びる。第3の複数のコネクタ22cは、第3ストラット列20cから第4ストラット列20dまで第1螺旋方向(第1端部14から第2端部16に向かって、人工器官10の長手方向中心軸線に沿って見て反時計回り方向等)に延びる。したがって、複数のコネクタ22は、人工器官10の長さに沿って隣り合うストラット列20の間において交互の螺旋方向に延びている。このようにコネクタ22が交互に配列されていることにより、人工器官10に作用するねじれまたはトーション力が打ち消されやすくなる。
【0026】
図2および3に示すように、人工器官10が拡張状態にあるときには、コネクタ22は隣り合うストラット列20の間において弧状の経路に沿って延び、この弧状経路は、拡張型フレーム構造12の複数のストラット列20の外径Dを越えて径方向外側に延びている。例えば、コネクタ22は、人工器官10の長手方向中心軸線から径方向距離Rをなして延びている。径方向距離Rは外径Dの2分の1(例えば、長手方向中心軸線からストラット列20の外面までの径方向距離)よりも大きい。
【0027】
複数のコネクタ22は、人工器官10を体管腔内に植え込んだ後に人工器官10が逸脱することを抑制するために、拡張状態において体管腔の壁と係合するように構成されていてもよい。例えば、コネクタ22を気管構造内の軟骨輪の間の組織と係合させて、人工器官10の逸脱が抑制されるように支持してもよい。
【0028】
図3に示すように、人工器官10の長手方向中心軸線に沿って見て、湾曲状もしくは弧状のコネクタ22とストラット列20の外径Dとの間にはスペースもしくは開口28が形成されている。スペースもしくは開口28は、人工器官10の他の構造によって遮られていない。したがって、人工器官10の植え込み後にこれらのスペースもしくは開口28を通って組織の内部成長が起こり、コネクタ22が被覆される。これにより、人工器官10が構造内の正しい位置に固定されやすくなり、人工器官10の逸脱が抑制される。
【0029】
再び図1を参照して、いくつかの実施形態では、人工器官10はポリマーコーティング等の被覆部30に覆われている。被覆部は、例えばポリウレタンコーティングまたはシリコーンコーティング等、任意の所望のポリマーコーティングである。いくつかの例において、被覆部30は必要に応じて治療薬を含む。
【0030】
いくつかの例では、ステント等の人工器官10は完全に被覆されたステントであるとされ、被覆部30が第1端部14から第2端部16まで人工器官10の全長にわたって延びている。被覆部30は、ストラット列20のストラット部分の間の隙間スペースを含むストラット列20を被覆し、隣り合うストラット列20の間の隙間もしくは間隙にまたがっている。図1に示すように、被覆部30は、第1、第2、第3および第4ストラット列20a,20b,20c,20dを含むストラット列20のすべてを被覆し、第1、第2、第3および第4ストラット列20a,20b,20c,20dの間の間隙にまたがっている。他の例においては、ステント等の人工器官10は部分的に被覆されたステントであるとされ、被覆部30が人工器官10の一部にわたって延びている。例えば、被覆部30は、ストラット列20のストラット部分の間の隙間スペースを含む1つまたは複数のストラット列20を被覆し、かつ/または、隣り合うストラット列20の間の隙間もしくは間隙にまたがっているが、すべてのストラット列20よりも少ない数のストラット列20および/または隣り合うストラット列20の間のすべての隙間もしくは間隙よりも少ない数の隙間もしくは間隙にまたがっている。
【0031】
しかしながら、被覆部30は、湾曲状もしくは弧状のコネクタ22とストラット列20との間のスペースもしくは開口28にわたって延びていない。したがって、コネクタ22と、コネクタ22が相互接続されたストラット列20との間のスペースもしくは開口28には被覆部30が存在せず、コネクタ22の周囲ならびにスペースもしくは開口28における組織の内部成長が許容されるようになっている。例えば、第1の複数のコネクタ22aと第1および第2ストラット列20a,20bとの間のスペース28には被覆部30が存在せず、組織の内部成長を許容するように開いた状態(遮られていない状態等)であり、第2の複数のコネクタ22bと第2および第3ストラット列20b,20cとの間のスペース28には被覆部30が存在せず、組織の内部成長を許容するように開いた状態(遮られていない状態等)であり、第3の複数のコネクタ22cと第3および第4ストラット列20c,20dとの間のスペース28には被覆部30が存在せず、組織の内部成長を許容するように開いた状態(遮られていない状態等)である。このため、人工器官10は、完全に被覆された人工器官の利点を有しながらも、組織の内部成長によって逸脱を抑制できるという特性も有している。
【0032】
このような実施形態においては、隣り合うストラット列20の間に延びるコネクタ22が露出しているため、コネクタ22の周囲ならびにスペースもしくは開口28における組織の内部成長が許容され、一方、人工器官10の他の部分および/またはその周囲においては組織の内部成長が被覆部30によって抑制される。したがって、人工器官10の植え込み後に、コネクタ22の周囲ならびにスペースもしくは開口28において組織が成長するため、植え込まれた人工器官10の逸脱が抑制される。しかしながら、組織の内部成長が起こった後に人工器官10を除去または再留置する必要が生じた場合には、内部成長した組織をコネクタ22から切除する等の手段により、内部成長した組織をコネクタ22から離すことができる。内部成長した組織は離散した部位(コネクタ22等)にのみ位置しているため、被覆されていない人工器官のように、ストラット列20を含んだ拡張型フレーム構造12の全体において組織が内部成長していた場合と比較して、人工器官10を除去する処置における外傷が少ない。
【0033】
前述のとおり、いくつかの例では、人工器官10の拡張型管状フレーム構造12は、例えばレーザーカット処理によって金属管から形成された一体構造である。図4は、図1の人工器官の拡張型フレーム構造12を形成するための金属管の切断パターンの模式図である。図4に示すパターンは、拡張型管状フレーム構造12が長手方向に切断されて平坦に置かれたように示されているが、このパターンは金属管の周方向に延びているものであることは当業者に理解される。図4に示すように、圧縮状態において、ストラット列20の山部24および谷部26は互いに近くに配置され、コネクタ22は、隣り合うストラット列20の間において拡張型管状フレーム構造12の長手方向軸線に対して鋭角をなして平行に配置されている。図4において、コネクタ22の1つが説明のために網掛けされている。コネクタ22は、第1ストラット列20aの山部24から第2ストラット列20bの山部24まで螺旋状に延び、第1ストラット列20aに接続されたコネクタ22の端部は、第2ストラット列20bに接続されたコネクタ22の端部から周方向にずれた位置に配置されている。他のコネクタ22も同様に配置されている。金属管をパターンに切り出した後の圧縮された状態において、拡張型フレーム構造12の中心軸線からコネクタ22までの径方向距離は、中心軸線からストラット列20までの径方向距離と同じである。
【0034】
金属管がパターンに切り出された後、拡張型フレーム構造12は、金属管から切り出された圧縮状態から拡張状態へと拡張される。例えば、径方向外向きの力が拡張型フレーム構造12の内面に加えられ、圧縮状態の第1の径から、拡張状態のより大きい第2の径にストラット列20が拡張する。これにより、ストラット列20の山部24および谷部26が互いから離れる。図5は、拡張状態における拡張型フレーム構造12のパターンの一部を示す拡大図である。拡張状態のコネクタ22が拡張型管状フレーム構造12の長手方向軸線に対してなす鋭角は、圧縮状態のコネクタ22の鋭角よりも小さい。
【0035】
図5において、コネクタ22の1つが説明のために網掛けされている。コネクタ22は、第1ストラット列20aの山部24から第2ストラット列20bの山部24まで螺旋状に延び、第1ストラット列20aに接続されたコネクタ22の第1端部36は、第2ストラット列20bに接続されたコネクタ22の第2端部38から周方向にずれた位置に配置されている。第2ストラット列20bと第3ストラット列20cとの間を延びる複数のコネクタ22のうちの1つのコネクタ22は、第2ストラット列20bの山部24に接続された第1端部と、第3ストラット列20cの山部24に接続された第2端部とを有し、このコネクタ22の第1端部および第2端部は周方向において互いからずれた位置に配置されている。第2ストラット列20bと第3ストラット列20cとの間のコネクタ22の第1端部は、周方向において、第1ストラット列20aと第2ストラット列20bとの間のコネクタ22の第1端部36と第2端部38との間に位置する。第3ストラット列20cと第4ストラット列20dとの間を延びる複数のコネクタ22のうちの1つのコネクタ22は、第3ストラット列20cの山部24に接続された第1端部と、第4ストラット列20dの山部24に接続された第2端部とを有し、このコネクタ22の第1端部および第2端部は周方向において互いからずれた位置に配置されている。第3ストラット列20cと第4ストラット列20dとの間のコネクタ22の第1端部は、周方向において、第2ストラット列20bと第3ストラット列20cとの間のコネクタ22の第1端部36と第2端部38との間に位置する。他のコネクタ22も同様に配置されている。
【0036】
図4および5に示すように、各コネクタ22は、第1ストラット列20に接続された第1端部36と、第1ストラット列20に隣り合う第2ストラット列20に接続された第2端部38とを有する。コネクタ22は、第1ストラット列20の山部24から延びる長手方向区分32と、第2ストラット列20の山部から延びる傾斜区分34とを有する。長手方向区分32は拡張型管状フレーム構造12の長手方向中心軸線と略平行に延び、傾斜区分34は拡張型管状フレーム構造12の長手方向中心軸線に対して鋭角をなして延びる。
【0037】
拡張型フレーム構造12が拡張状態に径方向に拡張すると、コネクタ22がストラット列20の外面から径方向外側に拡張する。例えば、コネクタ22は、コネクタ22の端部が接続された隣り合うストラット列20の間の曲線状もしくは弧状の経路に沿って延びる。したがって、拡張状態のコネクタ22は、拡張型フレーム構造12の長手方向中心軸線からストラット列20よりも遠くに位置し、コネクタ22がストラット列20の上方に延びている。
【0038】
隣り合うストラット列20の間におけるコネクタ22の螺旋配置の方向が交互になっていることにより、拡張型フレーム構造12が拡張状態に拡張する際の拡張型フレーム構造12のねじれが抑制または防止される。例えば、第1ストラット列20と第2ストラット列20との間の第1方向(例えば、時計回り方向または反時計回り方向)のねじれが、第2ストラット列20と第3ストラット列20との間の反対の第2方向(例えば、反時計回り方向または時計回り方向)の反対のねじれに相殺される。
【0039】
拡張型管状フレーム構造12をポリマー被覆部30で被覆する必要がある場合は、拡張型管状フレーム構造12に被覆部30が施される。例えば、拡張型管状フレーム構造12は、拡張型管状フレーム構造12をポリマー材溶液の入った容器内に浸漬させることにより、被覆部30に被覆される。別の例においては、ポリマー材料が拡張型管状フレーム構造12に噴霧されるか、他の方法によって拡張型管状フレーム構造12に施される。
【0040】
例えば、ポリマー材溶液の層が拡張型管状フレーム構造12の全体にわたって形成される。ポリマー材溶液の層は、ストラット列20を覆うとともに、隣り合うストラット列20の間の隙間にまたがり、さらに、コネクタ22上に延びるとともに、コネクタ22と、コネクタ22が相互接続されているストラット列20との間のスペースに広がっている。ポリマー材溶液の層は、拡張型フレーム構造12をマンドレルの周りに配置した状態にて、拡張型フレーム構造12に施してもよい。
【0041】
次に、拡張型フレーム構造12の管腔にマンドレルが通された状態において、ポリマー材溶液を選択的に除去する工程を拡張型フレーム構造12に対して行う。この工程において、コネクタ22と、コネクタ22が相互接続されたストラット列20との間のスペースからポリマー材溶液が除去され、一方、ストラット列20を覆うとともに隣り合うストラット列20の間の隙間にまたがっているポリマー材溶液は維持される。例えば、コネクタ22とストラット列20との間のスペース28に向かって流体(空気等)を吹き付けることにより、スペース28からコーティングが選択的に除去される。例えば、スペース28に向かって流体を吹き付けることによって、スペース28に広がるポリマー被覆材の膜が、はじけるか、もしくは破裂する。流体(空気等)は、例えば1つまたは複数の流体ノズルを用いてスペース28に向かって送られる。拡張型フレーム構造12内にマンドレルがあるため、ストラット列20の間の隙間にまたがっているポリマー被覆材の膜が流体により破裂させられることがなく、ストラット列20を覆うとともに隣り合うストラット列20の間の隙間にまたがっているコーティングを維持できる。別の例においては、スペース28に広がっているポリマー被覆材が機械的に破裂または破壊させられるか、スペース28に広がっているポリマー被覆材の表面張力が化学的手段等によって改変されることにより、スペース28に広がっているポリマー被覆材が破裂または破壊させられる。他の例においては、ストラット列20を覆うとともに隣り合うストラット列20の間の隙間にまたがっているコーティングを維持しつつも、コネクタ22とストラット列20との間のスペース28にポリマー被覆材を配置することが阻止される。例えば、ポリマー被覆材を施す前にスペース28がマスキングされ、その後、マスキングが取り除かれる。または、コネクタ22には、材料を被覆する等の前処理を施し、ポリマー被覆材を施す際にスペース28にポリマー被覆材がかからないようにする。
【0042】
いくつかの例においては、1層のポリマーコーティングを施すことによって被覆部30が形成されている。別の例においては、複数の層のポリマーコーティングを施すことによって被覆部30が形成されている。スペース28にわたって延びるコーティングは、コーティングの各層が施された後、または、複数の層のコーティングが施された後に破裂させられる。例えば、スペース28に向かって流体を吹き付けることによって、コーティングの各層が施された後、または、複数の層のコーティングが施された後に、スペース28に広がっているコーティングが破裂させられる。
【0043】
次いで、拡張型フレーム構造12を被覆しているポリマー材溶液が硬化することにより、拡張型フレーム構造12上に被覆部30が配置される。いくつかの例においては、被覆部30が拡張型フレーム構造12の全長にわたって延びる。別の例においては、必要に応じて、被覆部30が拡張型フレーム構造12の長さ方向の一部にわたってのみ延びる。
【0044】
いくつかの例において、拡張型フレーム構造12は、患者の気管に植え込まれた状態で、咳または深呼吸の最中に気管を最大で20%拡張するために必要な力に対応するように構成される。被覆部30は、拡張型フレーム構造12を軸方向に拡張する力を高め、これにより、気管の構造的動きに対する人工器官10の抵抗力が高まる。いくつかの実施形態においては、拡張型フレーム構造12の長さに沿った異なる部分において被覆部30の厚さを変えることにより、人工器官10の特定の領域において軸方向の拡張に対する抵抗力が減らされる。例えば、いくつかの例において、被覆部30は、拡張型フレーム構造12の第1端部14に隣接する第1端部領域全体および/または拡張型フレーム構造12の第2端部16に隣接する第2端部領域全体において第1の厚さを有し、拡張型フレーム構造12の第1端部領域と第2端部領域との間の中間領域においては、第1の厚さとは異なる第2の厚さを有している。例えば、中間領域全体における被覆部30の第2の厚さは、第1端部領域および/または第2端部領域全体の第1の厚さよりも小さい。別の例においては、中間領域全体における被覆部30の第2の厚さは、第1端部領域および/または第2端部領域全体の第1の厚さよりも大きい。
【0045】
このような実施形態では、拡張型フレーム構造12の第1端部領域および第2端部領域全体における被覆部30の厚さがより大きいため、これらの領域においては被覆部30が補強され、体管腔に植え込まれた状態において裂けおよび/または粘液堆積が抑制される。中間領域全体において被覆部30がより薄いことにより、軸方向の拡張力が抑えられ、体管腔内における人工器官10の逸脱が防止されるとともに患者の快適性が向上する。したがって、中間領域は組織の内部成長を抑制するように構成され、一方、被覆部30の厚い領域は、組織の内部成長が発生する人工器官10の端部領域に隣接しているため、被覆部30のより厚い端部領域が拡張型フレーム構造12の軸方向拡張に対する全体的な抵抗力に与える影響が最小限に抑えられている。人工器官10は端部領域において組織の内部成長によって気管に固定されるため、端部領域は、中間領域に比べて軸方向に拡張しにくい。
【0046】
図6に、拡張型フレーム構造12に沿って厚さの異なる被覆部30を噴霧コーティング法によって施す方法の例を示す。図に示す方法では、拡張型フレーム構造12の所望の部分にコーティング(シリコーンコーティング等)を噴霧するノズル52を含む装置が使用されている。
【0047】
拡張型フレーム構造12は、装置のマンドレル50の周りに配置される。例えば、拡張型フレーム構造12は、拡張状態(例えば、径方向に少なくとも部分的に拡張した状態)にてマンドレル50上(周囲等)に配置される。保護カバー54が拡張型フレーム構造12の一部、例えば拡張型フレーム構造12の中間領域46上に配置され、拡張型フレーム構造12の別の部分、例えば拡張型フレーム構造12の第1端部14に隣接する第1端部領域42および/または拡張型フレーム構造12の第2端部16に隣接する第2端部領域44は、露出した状態(つまり保護カバー54に覆われていない状態)に維持される。
【0048】
拡張型フレーム構造12の全長もしくはその一部に沿ってノズル52を軸方向(図6の矢印Xで示す)に移動させ、保護カバー54を中間領域46上に配置させた状態で、拡張型フレーム構造12の露出した部分(第1および第2端部領域42,44等)に1つまたは複数の層のコーティングが選択的に施される。保護カバー54があるため、拡張型フレーム構造12の保護カバー54に覆われた部分にはコーティング層が施されない。拡張型フレーム構造12の周囲にコーティングを設けるためにノズル52がコーティング層を施している間は、拡張型フレーム構造12を回転させるためにマンドレル50を回転させてもよいし、拡張型フレーム構造12の周囲においてノズル52を動かしてもよい。
【0049】
拡張型フレーム構造12の露出した部分(第1および第2端部領域42,44等)に1つまたは複数の層を施した後に、保護カバー54が取り除かれ、拡張型フレーム構造12の全長もしくはその一部に沿ってノズル52が軸方向(図6の矢印X)に移動させられて、拡張型フレーム構造12の露出した部分(中間領域46ならびに/または第1および第2端部領域42,44等)に対して1つまたは複数の層の追加のコーティングが選択的に施される。
【0050】
拡張型フレーム構造12に施された被覆部30は、拡張型フレーム構造12の第1端部14に隣接する第1端部領域42全体および/または拡張型フレーム構造12の第2端部16に隣接する第2端部領域44全体において第1の厚さを有し、拡張型フレーム構造12の第1端部領域42と第2端部領域44との間の中間領域46においては、第1の厚さとは異なる第2の厚さを有している。各領域における被覆部30の厚さは、特定の領域に施されるコーティングの層の数によって調節できる。例えば、中間領域46全体における被覆部30の第2の厚さは、第1端部領域および/または第2端部領域42,44全体の第1の厚さよりも小さい。別の例においては、中間領域46全体における被覆部30の第2の厚さは、第1端部領域および/または第2端部領域42,44全体の第1の厚さよりも大きい。
【0051】
別の例において、拡張型フレーム構造12は、保護カバー54とともに、または、保護カバー54なしで、マンドレル50上に配置される。ノズル52を制御する制御装置が、拡張型フレーム構造12の選択された部分にポリマーコーティングを施すように設定される。例えば、ノズル52は、図6に示す経路Aに沿って1つまたは複数の層のコーティングを施し、経路Bに沿って1つまたは複数の層のコーティングを施すように設定される。または、ノズル52は、図6に示す経路Aに沿って1つまたは複数の層のコーティングを施し、経路Cに沿って1つまたは複数の層のコーティングを施すように設定される。拡張型フレーム構造12に施された被覆部30は、第1および/または第2端部領域42,44全体において第1の厚さを有し、中間領域46においては、第1の厚さとは異なる第2の厚さを有している。各領域における被覆部30の厚さは、特定の領域に施されるコーティングの層の数によって調節できる。
【0052】
いくつかの例において、制御装置は、拡張型フレーム構造12からのノズル52の高さ、ノズル52の速度、コーティング材料の流量および/またはマンドレル50の回転を、拡張型フレーム構造12に沿って徐々に調節可能である。このため、必要に応じて、拡張型フレーム構造12の異なる部分に異なる厚さの被覆部を効果的に施すことができる。
【0053】
図7および8に、体管腔に人工器官10を送達する態様を示す。図7に示すように、人工器官10は、血管、尿管、胆管、気管、食道、腎臓管等の体管腔90内の標的部位まで、圧縮状態にて管状シース80内を移動する。所望の位置に配置されると、運搬シース80の先端の先端開口82から人工器官10が展開させられる。例えば、運搬シース80が人工器官10に対して基端側に移動させられることにより、人工器官10が先端開口82から展開させられる。
【0054】
第1ストラット列20もしくは最も先端側のストラット列20が、管状シース80の先端から出て、人工器官の残りのストラット列20がその後に出る。図7に示すように、第1ストラット列20が運搬シース80の先端開口82から出ると、第1ストラット列20が自動的に拡張状態に拡張して体管腔90の内腔壁92を押す。コネクタ22は、第1ストラット列20に隣り合う第2ストラット列20が運搬シース80内にて圧縮状態に維持されていても、第1ストラット列20が拡張して体管腔90の内腔壁92に当接できる長さを有している。第1ストラット列20は、第1ストラット列20の全体が管状シース80を出てからのみ拡張状態に拡張する。
【0055】
図7に示す第2ストラット列20は、運搬シース80の先端開口82から出ている途中である。図に示すように、第2ストラット列20は、第2ストラット列20全体が管状シース80から出るまで圧縮状態に維持される。第1ストラット列20と第2ストラット列20との間を延びる複数のコネクタ22は、第2ストラット列20を拡張させることなく第1ストラット列20が完全に拡張状態まで拡張して体管腔90の内腔壁92に当接できる長さを有している。
【0056】
人工器官10の後続のストラット列20、例えば、第3、第4、第5、第6、第7、第8および第9ストラット列20も、同様に運搬シース80から展開される。例えば、各ストラット列20は、そのストラット列20全体が管状シース80の先端から出るまで圧縮状態に維持される。したがって、各ストラット列20は隣のストラット列20から独立して拡張するため、あるストラット列20の拡張によって、運搬シース80から出ている途中の隣のストラット列20が跳ね出てしまうことがない。
【0057】
図8に、人工器官10の最後もしくは最も基端側のストラット列20が運搬シース80の先端側において展開される直前の状態を示す。他のストラット列20と同様に、最後もしくは最も基端側のストラット列20は、そのストラット列20全体が管状シース80の先端から出るまで圧縮状態に維持される。したがって、人工器官の拡張時に隣り合うストラット列が運搬シース80から制御不能に「跳ね出る」ことの多い他の拡張型人工器官と異なり、人工器官10は、体管腔90において正確であるとともに制御された留置が可能である。
【0058】
さらに、人工器官10が段階的に展開されるため、各ストラット列20が運搬シース80の先端開口82から出たことを、オペレータが手ごたえで確認できる。例えば、ストラット列20が運搬シース80から完全に露出して運搬シース80から完全に出る瞬間の素早い作用もしくは瞬動は、運搬シース80を介してオペレータに伝わるため、オペレータは、各ストラット列20が体管腔90内で拡張したことを感じることができる。
【0059】
本開示の態様は、本明細書において記載および想定した特定の実施形態以外の様々なかたちにて実施できることは当業者に理解される。したがって、添付の特許請求の範囲に記載される本開示の範囲および趣旨から逸脱することなく、形状および詳細を変更することが可能である。
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人工器官であって、
拡張型管状フレーム構造であって、第1端部と、第2端部と、前記拡張型管状フレーム構造を通って延びている管腔とを有しており、複数のストラット列と、隣り合っているストラット列の間の隙間にわたって延びているとともに、隣り合っているストラット列を相互接続している複数のコネクタとを有し、かつ、圧縮状態から拡張状態に拡張可能である拡張型管状フレーム構造と、
前記ストラット列を覆っているとともに、隣り合っているストラット列の間の隙間にまたがっているポリマー被覆部とを備えており、
前記複数のストラット列は、前記拡張状態における外径を有しており、
前記コネクタは、前記拡張状態において前記複数のストラット列の外径を越えて径方向外側に延びており、
前記人工器官が体管腔に植え込まれた後に該人工器官が逸脱することを抑制するために、前記拡張状態において前記コネクタが体管腔の壁と係合するように構成されており、
前記コネクタと、該コネクタが相互接続されているストラット列の外径との間のスペースには前記ポリマー被覆部が存在しておらず、前記コネクタの周囲において組織の内部成長が許容されている、人工器官。
【請求項2】
前記ポリマー被覆部が、前記第1端部に隣接している前記拡張型管状フレーム構造の第1端部領域の全体および前記第2端部に隣接している前記拡張型管状フレーム構造の第2端部領域の全体において第1の厚さを有しており、前記ポリマー被覆部が、前記第1端部領域と第2端部領域との間の中間領域の全体において前記第1の厚さよりも小さい第2の厚さを有している、請求項1に記載の人工器官。
【請求項3】
前記拡張型管状フレーム構造の複数のストラット列が、第1ストラット列、第2ストラット列、第3ストラット列および第4ストラット列を含んでおり、
前記複数のコネクタが、前記第1および第2ストラット列を相互接続している第1の複数のコネクタと、前記第2および第3ストラット列を相互接続している第2の複数のコネクタと、前記第3および第4ストラット列を相互接続している第3の複数のコネクタとを含んでおり、
前記第1の複数のコネクタが第1螺旋方向に延びており、前記第2の複数のコネクタが前記第1螺旋方向とは反対の第2螺旋方向に延びている、請求項1又は2に記載の人工器官。
【請求項4】
前記第3の複数のコネクタが前記第1螺旋方向に延びている、請求項3に記載の人工器官。
【請求項5】
前記複数のストラット列および複数のコネクタが、金属管から切り出された一体構造として形成されている、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の人工器官。
【請求項6】
前記複数のストラット列のそれぞれが、前記拡張型管状フレーム構造の周囲において周方向に延びている、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の人工器官。
【請求項7】
前記コネクタが、隣り合っているストラット列の間の弧状経路を延びている、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の人工器官。
【請求項8】
各ストラット列が、交互に配置されている複数の山部および谷部を画定している波状ストラットを有しており、
前記コネクタが、第1ストラット列の山部から第2ストラット列の山部まで延びている、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の人工器官。
【請求項9】
人工器官であって、
拡張型管状フレーム構造であって、第1端部と、第2端部と、前記拡張型管状フレーム構造を通って延びている管腔とを有しており、圧縮状態から拡張状態に拡張可能であり、
第1ストラット列と、
第2ストラット列と、
第3ストラット列と、
第4ストラット列と、
前記第1ストラット列と第2ストラット列との間の間隙にわたって延びているとともに第1および第2ストラット列を相互接続している第1の複数のコネクタと、
前記第2ストラット列と第3ストラット列との間の間隙にわたって延びているとともに第2および第3ストラット列を相互接続している第2の複数のコネクタと、
前記第3ストラット列と第4ストラット列との間の間隙にわたって延びているとともに第3および第4ストラット列を相互接続している第3の複数のコネクタと、
を有している拡張型管状フレーム構造と、
前記第1、第2、第3および第4ストラット列を覆っているとともに、該第1、第2、第3および第4ストラット列の間の間隙にまたがっているポリマー被覆部とを備え、
前記第1、第2、第3および第4ストラット列が前記拡張状態における外径を有しており、
前記第1、第2および第3の複数のコネクタは、前記拡張状態において、前記複数のストラット列の外径を越えて、弧状経路を通って径方向外側に延びており、
前記第1の複数のコネクタが第1螺旋方向に延び、前記第2の複数のコネクタが前記第1螺旋方向とは反対の第2螺旋方向に延び、前記第3の複数のコネクタが前記第1螺旋方向に延びており、
前記第1の複数のコネクタと前記第1および第2ストラット列との間のスペースには前記ポリマー被覆部が存在しておらず、該スペースを通る組織の内部成長を許容するために開いており、
前記第2の複数のコネクタと前記第2および第3ストラット列との間のスペースには前記ポリマー被覆部が存在しておらず、該スペースを通る組織の内部成長を許容するために開いており、
前記第3の複数のコネクタと前記第3および第4ストラット列との間のスペースには前記ポリマー被覆部が存在しておらず、該スペースを通る組織の内部成長を許容するために開いている、人工器官。
【請求項10】
前記第1ストラット列に接続されている前記第1の複数のコネクタのうちの第1コネクタの第1端部が、前記第2ストラット列に接続されている前記第1コネクタの第2端部から周方向においてずれた位置に配置されている、請求項9に記載の人工器官。
【請求項11】
前記第2ストラット列に接続されている前記第2の複数のコネクタのうちの第2コネクタの第1端部が、前記第3ストラット列に接続されている前記第2コネクタの第2端部から周方向においてずれた位置に配置されており、
前記第2コネクタの第1端部が、周方向において、前記第1コネクタの第1端部と第2端部との間に位置している、請求項10に記載の人工器官。
【請求項12】
前記第3ストラット列に接続されている前記第3の複数のコネクタのうちの第3コネクタの第1端部が、前記第4ストラット列に接続されている前記第3コネクタの第2端部から周方向においてずれた位置に配置されており、
前記第3コネクタの第1端部が、周方向において、前記第2コネクタの第1端部と第2端部との間に位置している、請求項11に記載の人工器官。
【請求項13】
前記第1、第2、第3および第4ストラット列のそれぞれが、交互に配置されている複数の山部および谷部を画定している波状ストラットを有しており、
前記第1の複数のコネクタのそれぞれが、前記第1ストラット列の山部から前記第2ストラット列の山部まで延びており、
前記第2の複数のコネクタのそれぞれが、前記第2ストラット列の山部から前記第3ストラット列の山部まで延びており、
前記第3の複数のコネクタのそれぞれが、前記第3ストラット列の山部から前記第4ストラット列の山部まで延びている、請求項9乃至12のいずれか一項に記載の人工器官。
【請求項14】
人工器官の製造方法であって、
拡張型管状フレーム構造であって、第1端部と、第2端部と、前記拡張型管状フレーム構造を通って延びている管腔とを有しており、複数のストラット列と、隣り合っているストラット列の間の隙間にわたって延びているとともに、隣り合っているストラット列を相互接続している複数のコネクタとを有している拡張型管状フレーム構造を管状部材から形成することと、
前記拡張型管状フレーム構造は、圧縮状態から拡張状態に拡張可能であることと、
前記複数のストラット列は、前記拡張状態における外径を有することと、
前記コネクタは、前記拡張状態において前記複数のストラット列の前記外径を超えて径方向外側に延びることと、
前記拡張型管状フレーム構造にポリマー被覆部をコーティングすることと、
前記ストラット列を覆っているとともに、隣り合っているストラット列の間の隙間にまたがっているコーティングを維持しつつ、前記コネクタと、該コネクタが相互接続されている前記ストラット列との間のスペースからコーティングを選択的に除去することと、からなる方法。
【請求項15】
前記拡張型管状フレーム構造にポリマー被覆部をコーティングする工程が、前記拡張型管状フレーム構造をポリマー材溶液の入っている容器内に浸漬させることを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記拡張型管状フレーム構造にポリマー被覆部をコーティングする工程が、前記拡張型管状フレーム構造にポリマー材溶液を噴霧することを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記ポリマー被覆部が、前記第1端部に隣接している前記拡張型管状フレーム構造の第1端部領域の全体および前記第2端部に隣接している前記拡張型管状フレーム構造の第2端部領域の全体において第1の厚さを有しており、前記ポリマー被覆部が、前記第1端部領域と第2端部領域との間の中間領域の全体において前記第1の厚さよりも小さい第2の厚さを有している、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記スペースからコーティングを選択的に除去する工程が、前記コネクタとストラット列との間のスペースに向かって流体を吹き付けることを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記ストラット列を覆っているとともに、隣り合っているストラット列の間の隙間にまたがっているコーティングの破裂を防止するために、前記スペースに向かって流体を吹き付けている間は、前記拡張型管状フレーム構造の管腔内にマンドレルが配置される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記コネクタとストラット列との間のスペースに向かって流体を吹き付けることが、前記スペースに向かってノズルから空気を送ることを含む、請求項18に記載の方法。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2019-02-28 
結審通知日 2019-03-04 
審決日 2019-03-15 
出願番号 特願2016-542110(P2016-542110)
審決分類 P 1 41・ 852- Y (A61F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 宮崎 敏長  
特許庁審判長 内藤 真徳
特許庁審判官 芦原 康裕
船越 亮
登録日 2017-08-25 
登録番号 特許第6197122号(P6197122)
発明の名称 逸脱防止コネクタを備えたステント  
代理人 本田 淳  
代理人 本田 淳  
代理人 恩田 博宣  
代理人 恩田 誠  
代理人 恩田 誠  
代理人 恩田 博宣  

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