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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 F21S
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 F21S
管理番号 1350989
審判番号 不服2017-18129  
総通号数 234 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-06-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-12-06 
確定日 2019-04-11 
事件の表示 特願2016-138151号「ランプ及び照明装置」拒絶査定不服審判事件〔平成28年11月17日出願公開、特開2016-195128号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成22年6月14日を出願日とする特願2010-135558号(以下「原出願」という。)の一部を、平成25年5月30日に新たな特許出願(特願2013-114329号)とし、当該新たな特許出願の一部を、同年8月30日に新たな特許出願(特願2013-178861号)とし、当該新たな特許出願の一部を、平成27年5月15日に新たな特許出願(特願2015-99849号)としたうえで、さらに、当該新たな特許出願の一部を、平成28年7月13日に新たな特許出願としたものであって、平成29年4月21日付けで拒絶理由が通知され、同年6月1日に意見書及び手続補正書が提出され、同年9月11日付けで拒絶査定がされ、同年12月6日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に手続補正書が提出されたものである。

第2 平成29年12月6日付けの手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成29年12月6日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1 補正の内容
平成29年12月6日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲の補正を含むものであって、請求項1について補正前後の記載を補正箇所に下線を付して示すと以下のとおりである。

(補正前の請求項1)
「【請求項1】
プレートと、
前記プレートの一面側に固定され、半田面で半田付けされるラジアル部品が部品面に配置され、前記半田面に面実装の電子部品が配置されている基板と、
前記プレートの前記一面側と反対側に固定され、前記基板に接続されたランプリード線が引き出されている発光部と、
口金が嵌合される口金嵌合部と、前記口金嵌合部から徐々に径が大きくなるテーパ部と、前記口金嵌合部と前記テーパ部との境に形成された段差部とを有するハウジングとを備え、
前記ラジアル部品が前記段差部に近接した状態で前記プレートが取り付けられており、
前記プレートは、
前記プレートの内周から離れて形成された基板載置面と、
前記基板載置面に載置された前記基板の外周に形成された複数の突出部と
を有するランプ。」

(補正後の請求項1)
「【請求項1】
プレートと、
前記プレートの一面側に固定され、半田面で半田付けされるラジアル部品が部品面に配置され、前記半田面に面実装の電子部品が配置されている基板と、
前記プレートの前記一面側と反対側に固定され、前記基板に接続されたランプリード線が引き出されている発光部と、
口金が嵌合される口金嵌合部と、前記口金嵌合部から徐々に径が大きくなるテーパ部と、前記口金嵌合部と前記テーパ部との境に形成された段差部とを有するハウジングとを備え、
前記ラジアル部品が前記段差部に近接した状態で前記プレートが取り付けられており、
前記プレートは、
前記プレートの前記ハウジング側の内周から離れて、周方向に沿って等間隔に形成された複数の基板載置面と、
前記複数の基板載置面に載置された前記基板の外周方向に沿って等間隔に形成された複数の突出部と
を有するランプ。」

2 補正の適否
(1)新規事項の追加の有無、シフト補正の有無、及び補正の目的の適否について
本件補正に係る請求項1の補正は、補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「基板載置面」及び「突出部」の構造を、本願の願書に最初に添付した明細書の段落【0023】及び図4、5等の記載を根拠に限定するものであるから、かかる補正は、発明特定事項を限定するものであって新規事項を追加するものではない。
また、上記補正は、特許法第17条の2第4項に規定する要件を満たすものである。
したがって、本件補正に係る請求項1の補正は、特許法第17条の2第3項及び同第4項の規定に適合するものであり、また、その補正前の請求項1に記載された発明とその補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号に掲げられた特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

そこで、本件補正後の請求項1に記載された事項により特定される発明(以下「本願補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否か(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか否か)について検討する。

(2)独立特許要件
(2-1)刊行物の記載事項等
(2-1-1)刊行物1の記載事項等
ア 刊行物1の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用文献1として示され、原出願の出願日前に頒布された特開2000-48634号公報(以下「刊行物1」という。)には、以下の事項が記載されている(下線は当審で付した。以下同様。)。
(1a)「【請求項1】 基板と;基板の外周部が嵌合される筒状の基板嵌合部およびこの基板嵌合部の端部に開口したチャック用溝部を設けた保持体と;保持体に装着された蛍光ランプと;保持体が取り付けられるとともに一端に口金を設けた基体と;を具備したことを特徴とする蛍光ランプ装置。
【請求項2】 チャック用溝部は基板嵌合部の端部に沿って所定間隔を介して複数設けられ、これらチャック用溝部の間に、弾性変形可能な腕部と、この腕部に設けられ基板に係合する係合部とが設けられたことを特徴とする請求項1記載の蛍光ランプ装置。
【請求項3】 保持体には、係合部との間に基板を挟持する複数の当接部が設けられるとともに、少なくとも1個の当接部には、基板に係合して位置決めする位置決め係合部が設けられたことを特徴とする請求項2記載の蛍光ランプ装置。」
(1b)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、基板を備えた蛍光ランプ装置に関する。」
(1c)「【0026】そして、基体11は、カバーなどとも呼ばれるもので、ポリブチレンテレフタレート(PBT)などの耐熱性を有する合成樹脂にて略円筒状に一体に形成されている。そして、この基体11には、下方に拡開する基体本体部21と、この基体本体部21の上側から略円筒状に延設された口金取付部22とが形成されている。そして、基体本体部21の下端の開口部の近傍には、係合部24が複数カ所から内側に爪状に突設されている。また、口金取付部22には、下端部に、径寸法の大きい径大部25が円環状に形成されているとともに、上端部には、上端に開口して、リード線用切欠部26と、図示しない案内用切欠部とが形成されている。
・・・
【0029】また、基板嵌合部45には、周方向に所定間隔で対をなすチャック用溝部46が上端部に開口して形成されている。そして、これら対をなすチャック用溝部46同士の間が弾性変形可能な突部としての腕部47となり、各腕部47の先端部から内側に向かって係合部48が爪状に突設されている。さらに、基板嵌合部45の内側には、各チャック用溝部46の側方に位置して、軸方向に沿って4カ所に突条49が形成され、各突条49の上端部が当接部49aとなっている。また、4カ所の突条49のうち、1カ所の突条49の当接部49aからは、さらに上側に向かって位置決め係合部49bが突設されている。なお、位置決め係合部49bの上端部は、基板嵌合部45の上端部とほぼ面一に形成されているのに対して、係合部48の下面は、基板嵌合部45の上端部より若干上側に位置し、当接部49aの上面は、基板嵌合部45の上端部より若干下側に位置している。
・・・
【0032】さらに、基板16の上面である一面には、あるいは、上面である一面および下面である他面には、複数の電気部品が実装され、高周波点灯を行うインバータ回路すなわち高周波点灯回路が構成されている。また、電気部品としては、中央部に配置される電解コンデンサ65、棒状のラッピングピン(ラッピングポスト)66、その他、トランジスタ、チップ状の整流素子、抵抗などの部品67が備えられている。また、基板16の下面には、比較的耐熱性が強く、厚さ寸法の小さい部品が実装されている。
・・・
【0034】次いで、電気部品を実装した基板16のラッピングピン66と、蛍光ランプ15のフィラメントとを電気的に接続するとともに、保持体14の上側の開口から基板嵌合部45に基板16を挿入し嵌合して固定する。すなわち、蛍光ランプ15のバルブ51の電極に接続されたワイヤを、保持体14の内側を通し、切欠部42aを介して外周側に導出した状態で、基板16の2カ所の直線縁部62の各両側の被チャック部62bを、製造装置を構成するチャックで把持し、各チャックをチャック用溝部46に位置合わせして、基板16をチャックで把持したまま、基板嵌合部45の内側に基板16を圧入し、各チャックは側方に退避させる。すると、基板16の曲線状の外周部が基板嵌合部45の内周面に嵌合するとともに、基板16の下面が突条49の当接部49aに当接し、基板16の直線縁部62の部分の上面が係合部48に係合して抜け止め保持される。また、この状態で、突条49の位置決め係合部49bが基板16の位置決め係合受部63に係合し、周方向に位置決めされるとともに回り止めして保持される。さらに、この状態で、基板16の一面である上面は、基板嵌合部45の上端部である一端部45aと面一か、あるいは一端部45aよりも上側に突出した状態で保持されている。
【0035】次いで、基板16の一面に実装した3本または4本のラッピングピン66に、製造装置を構成する巻付装置でそれぞれワイヤの一端を巻き付けて機械的および電気的に接続する。
・・・
【0037】そして、一方の入力線を口金12の先端口金部32に電気的に接続し、他方の入力線を口金12の螺合口金部33に電気的に接続するとともに、口金12の収納凹部を口金取付部22に被せて複数カ所をかしめ、基体11に固定することにより、蛍光ランプ装置10が組み立てられる。
・・・
【0040】そして、基板16は、基体11に形成した係合部48と当接部49aとの間に挟持して保持されるとともに、少なくとも1個の当接部49a には、基板16に設けた位置決め係合受部63に係合して位置決めする位置決め係合部49bを設けたため、保持体14の構成を簡略化し製造コストを低減できるとともに、基板16を確実に回り止めできる。」
(1d)刊行物1には、以下の図が示されている。

イ 刊行物1に記載された発明
(ア)刊行物1には、「基板を備えた蛍光ランプ装置」に関する技術について開示されているところ(摘示(1b))、その特許請求の範囲の請求項1?3には、上記「蛍光ランプ装置」の構成について摘示(1a)のとおり記載されている。
(イ)また、摘示(1c)によれば、上記「蛍光ランプ装置」の実施の態様について、
a 基体11には、下方に拡開する基体本体部21と、この基体本体部21の上側から略円筒状に延設された口金取付部22とが形成されており、口金取付部22には、下端部に、径寸法の大きい径大部25が円環状に形成されていること(段落【0026】)、
b 基板嵌合部45の内側には、各チャック用溝部46の側方に位置して、軸方向に沿って4カ所に突条49が形成され、各突条49の上端部が当接部49a となっており、4カ所の突条49のうち、少なくとも1カ所の突条49の当接部49aからは、さらに上側に向かって位置決め係合部49bが突設されていること(段落【0029】)、
なお、段落【0029】には、「4カ所の突条49のうち、1カ所の突条49の当接部49aからは、さらに上側に向かって位置決め係合部49bが突設されている。」と記載されているが、請求項3には「少なくとも1個の当接部には、基板に係合して位置決めする位置決め係合部が設けられた」と記載され、さらに、段落【0040】に「少なくとも1個の当接部49aには、基板16に設けた位置決め係合受部63に係合して位置決めする位置決め係合部49bを設けたため、保持体14の構成を簡略化し製造コストを低減できるとともに、基板16を確実に回り止めできる。」と記載されていることから、上記bのとおり認定した。
c 基板16の上面である一面には、あるいは、上面である一面および下面である他面には、複数の電気部品が実装されていること(段落【0032】)、
d 電気部品を実装した基板16のラッピングピン66と、蛍光ランプ15のフィラメントとを電気的に接続するとともに、保持体14の上側の開口から基板嵌合部45に基板16を挿入し嵌合して固定すること(段落【0034】)、及び、基板16と蛍光ランプ15の電気的な接続は、蛍光ランプ15のバルブ51の電極に接続されたワイヤを、基板16の一面に実装した3本または4本のラッピングピン66に巻き付けて機械的および電気的に接続するものであること(段落【0034】、【0035】)、及び、
e 口金12の収納凹部を口金取付部22に被せて複数カ所をかしめ、基体11に固定すること(段落【0037】)、が明らかである。

以上によれば、刊行物1には、
「基板16と;基板16の外周部が嵌合される筒状の基板嵌合部45およびこの基板嵌合部45の端部に開口したチャック用溝部46を設けた保持体14と;保持体14に装着された蛍光ランプ15と;保持体14が取り付けられるとともに一端に口金を設けた基体11と;を具備した蛍光ランプ装置であって、
チャック用溝部46は基板嵌合部45の端部に沿って所定間隔を介して複数設けられ、これらチャック用溝部46の間に、弾性変形可能な腕部と、この腕部に設けられ基板16に係合する係合部とが設けられ、
保持体14には、係合部との間に基板16を挟持する複数の当接部49aが設けられるとともに、少なくとも1個の当接部49aには、基板16に係合して位置決めする位置決め係合部49bが設けられ、
基体11には、下方に拡開する基体本体部21と、この基体本体部21の上側から略円筒状に延設された口金取付部22とが形成されており、口金取付部22には、下端部に、径寸法の大きい径大部25が円環状に形成され、
基板嵌合部45の内側には、各チャック用溝部46の側方に位置して、軸方向に沿って4カ所に突条49が形成され、各突条49の上端部が当接部49aとなっており、4カ所の突条49のうち、少なくとも1カ所の突条49の当接部49aからは、さらに上側に向かって位置決め係合部49bが突設され、
基板16の上面である一面には、あるいは、上面である一面および下面である他面には、複数の電気部品が実装され、
電気部品を実装した基板16のラッピングピン66と、蛍光ランプ15のフィラメントとを電気的に接続するとともに、保持体14の上側の開口から基板嵌合部45に基板16を挿入し嵌合して固定され、基板16と蛍光ランプ15の電気的な接続は、蛍光ランプ15のバルブ51の電極に接続されたワイヤを、基板16の一面に実装した3本または4本のラッピングピン66に巻き付けて機械的および電気的に接続するものであり、
口金12の収納凹部を口金取付部22に被せて複数カ所をかしめ、基体11に固定した、
蛍光ランプ装置。」の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

(2-1-2)刊行物2の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用文献2として示され、原出願の出願日前に頒布された特開2004-303619号公報(以下「刊行物2」という。)には、以下の事項が記載されている。
(2a)「【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、蛍光ランプ用点灯装置および電球型蛍光ランプに関し、特にインバータ回路を有する蛍光ランプ用点灯装置および電球型蛍光ランプに関する。」
(2b)「【0028】
図2(a)に示すように、プリント基板51には、略円板状をした樹脂板が用いられており、ランプ1への組み込み時に口金40の側に向けて配される面(以下、「オモテ面」という。)に、所定の位置に設けられたリード挿入孔を用いて、複数の挿入実装部品(例えば、チョークコイル52、電解コンデンサ素子53、共振用コンデンサ素子54、スイッチング素子であるところのトランジスタ素子としてのpMOS-FET素子55など)が実装されている。リード挿入孔から挿入された各部品のリードは、図2(b)に示すプリント基板51の裏面に所要のパターンをもって設けられた導電ランドの所定箇所に半田付けにより接続されている。
・・・
【0032】
また、図2(b)に示すように、プリント基板51における裏面の略中央部分には、nMOS-FET素子56が面実装されている。このnMOS-FET素子56は、オモテ面に挿入実装されたpMOS-FET素子55と機能的に対をなすものであり、スイッチング素子として機能するものである。ここで、nMOS-FET素子56の耐熱温度は、例えば、150℃であり、それ以下の温度域でスイッチング機能を果す。」
(2c)刊行物2には、以下の図が示されている。


(2-1-3)刊行物3の記載事項
当審で新たに示す原出願の出願日前に頒布された特開2005-183034号公報(以下「刊行物3」という。)には、以下の事項が記載されている。
(3a)「【0001】
本発明は、口金受け部に装着して使用する口金付き光源装置に関するものである。」
(3b)「【0005】
本発明は、上記事由に鑑みてなしたもので、その課題は、点灯回路基板を固定するためのケースの取り付け部の構造を単純化できる点灯回路基板を供給することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る発明の口金付き光源装置は、光源を有する点灯部と、略筒状をなし一方の開口端近傍に前記点灯部が取付けられたケースと、このケースの他方の開口端近傍に取付けられた口金と、前記ケースに収納された前記光源を点灯させる点灯回路基板と、点灯回路基板と口金との間に接続された複数の電線と、を備えた口金付き光源装置において、前記ケースの内面側であって点灯回路基板より口金側に点灯回路基板の口金方向への移動を阻止する基板当接部を形成するとともに前記複数の電線の少なくとも1本を点灯回路基板と口金との間で張力が働くように設けられた張力電線とし、この張力電線により前記点灯回路基板が口金の方に引っ張られて前記基板当接部に張着されてなることを特徴とする。」
(3c)「【0019】
ここで重要なことは、ケース5の内面側であって点灯回路基板3より口金7側に点灯回路基板3の口金7方向への移動を阻止する基板当接部5aを形成したことである。さらに電線8のうち張力電線8Lを点灯回路基板3と口金7との間で張力が働くように設け、この張力電線8Lにより点灯回路基板3が口金7の方に引っ張られて基板当接部5aに張着されているものとしたことである。
【0020】
これを詳しく述べると、基板当接部5aは、ケース5の内面側であってケース5の軸心に向かって突出したものである。そして、この基板当接部5aは、ケース5のない周面に略120°間隔で3ケ所設けられている。この基板当接部5aは、点灯回路基板3がこれに当接したときに、プリント基板3aがケース5の中心軸に対して略垂直になるように設けられている。
また、張力電線8は、点灯回路基板3(プリント基板3a)の略中心より点灯回路基板3(プリント基板3a)に対して垂直に設けられており、点灯回路基板3とアイレット部7bとの間で、点灯回路基板3(プリント基板3a)を引っ張るよう取り付けられている。」

(2-1-4)刊行物4の記載事項
当審で新たに示す原出願の出願日前に頒布された特開平3-37905号公報(以下「刊行物4」という。)には、以下の事項が記載されている。
(4a)「2.特許請求の範囲
(1) 一端に口金を備えたカバーの他端開口部に、けい光ランプを支持したランプホルダーを連結し、これらカバーとランプホルダーとで囲まれた空間に点灯回路部品を装着した回路基板を収容してなるけい光ランプ装置において、
上記回路基板は、カバーとランプホルダーとの間で挾持したことを特徴とするけい光ランプ装置。
(2) 上記カバーとランプホルダーとにそれぞれリブを設け、これらカバー側のリブとランプホルダー側のリブは互いに周方向の位置をずらせ、これらカバー側のリブとランプホルダー側のリブとの間で上記回路基板を挾持するとともに、これらカバー側のリブとランプホルダー側のリブの間隔を上記回路基板の厚さよりも小さくしたことを特徴とする第1の請求項に記載のけい光ランプ装置。」(1頁左下欄4?末行)
(4b)「(産業上の利用分野)
本発明は、一端に口金を備えたカバーの他端開口部に、屈曲形けい光ランプなどを支持したランプホルダーを連結し、これらカバーとランプホルダーとの間に点灯回路部品を装着した回路基板を収容してなるけい光ランプ装置に関する。」(1頁右下欄3?8行)
(4c)「(発明が解決しようとする課題)
しかしながら、上記従来の構造は、回路基板取付け用の支持台を特別に形成しなければならず、部品点数が増し、コストアップにつながる不具合がある。
また、接着剤を使用するので接着剤の乾燥時間が長く必要となり、組立て能率が低下する不具合がある。
本発明においては、格別な支持台などを用いることなく、回路基板を簡単に組み込むことができるけい光ランプ装置を提供しようとするものである。」(2頁左上欄9?末行)
(4d)「(実施例)
以下、本発明について、第1図ないし第4図に示す一実施例にもとづき説明する。
第1図は全体の断面を示し、1は合成樹脂製のカバーであり、このカバー1の一端には円筒部2が形成されている。この円筒部2には、例えばE26形のようなねじ込み形口金3が被着されており、この口金3は円筒部2に接着剤、またはかしめ等により固定されている。
上記カバー1の他端は開口しておりこの開口端部には、ランプホルダー4が取付けられている。このランプホルダー4は合成樹脂製の浅皿形状をなし、上記カバー1の開口端部に嵌り込む嵌合周壁5が形成されているとともに、この嵌合周壁5には上記カバー1の内部に延びる複数のリブ6・・・が形成されている。上記リブ6・・・は周方向に離間して例えば4本形成されており、これらリブ6・・・の先端には係止突起7・・・が形成されているとともに、それぞれ外面に係止爪8・・・が突設されている。これら係止爪8・・・は上記カバー1の内面に形成された係止凹部9・・・に嵌まり込み、したがってこれら係止爪8・・・と係止凹部9・・・の係合により、ランプホルダー4はカバー1に結合されている。
このため、カバー1の上記開口端部はこのランプホルダー4により閉塞され、これらカバー1とランプホルダー4の間に点灯回路部品を収容する部屋10を形成している。
この部屋10には上記点灯回路部品としての高周波点灯回路部品11が収容されている。高周波点灯回路部品11は回路基板12に取付けられており、この回路基板12は上記カバー1とランプホルダー4との間に挾持されている。
本実施例の場合、回路基板12の周縁に、第3図に示すように切欠部13・・・を設け、これら切欠部13・・・を上記リブ6・・・の先端に形成した係止突起7・・・に嵌合し、これによりリブ6・・・の先端で回路基板12の周縁部下面を支えている。
そして、カバー1の内面には、第3図にも示す通り複数の押え用リブ14・・・が形成され、これらカバー1側の押え用リブ14・・・は上記回路基板12の周縁部上面を押さえ付けるようになっている。
したがって、回路基板12は、ランプホルダー4側のリブ6・・・と、カバー1側の押え用リブ14・・・とで挾持されている。
この場合、回路基板12は、周縁に形成した切欠部13・・・が上記リブ6・・・の先端に形成した係止突起7・・・と嵌合するので、周方向の位置決めがなされる。」(2頁左下欄7行?3頁左上欄15行))
(4e)「このような構成の実施例によれば、回路基板12はカバー1とランプホルダー4との間で挾持されるから、他に格別な部品は必要なく、部品点数が少なくコストダウンが可能になる。
また、回路基板12はカバー1とランプホルダー4との間で軸方向の位置決めがなされ、しかも周縁に形成した切欠部13・・・がランプホルダー4側に形成したリブ6・・・先端の係止突起7・・・と嵌合するので、周方向の位置決めがなされる。
このようなことから、回路基板12の取付け位置が高精度に規制される。」(3頁右下欄5?15行)
(4f)刊行物4には、以下の図が示されている。



(2-2)対比
本願補正発明と引用発明とを対比する。
ア 引用発明の「保持体14」は、本願補正発明の「プレート」に相当する。
イ 引用発明の「基板16」は、本願補正発明の「基板」に相当する。
ウ 本願明細書の「インバータ部50は、基板51(片面基板)の部品面(図17の半田面の反対側の面)に、電子部品53(一つの電子部品、例えば、チョークコイル等)やその他の電子部品56が配置される。基板51(片面基板)の部品面に配置される電子部品53,56は、それらのリード線が基板51を貫通して半田面でパターン(図示せず)に半田付けされる。電子部品53,56のような電子部品を、挿入形部品もしくはラジアル部品と呼ばれる。」(段落【0038】)及び図17等の記載によれば、「ラジアル部品」とは、少なくとも、基板の部品面に配置される電子部品であって、部品本体の片側からリード線が配設されている電子部品と理解することができる。ここで、引用発明の「複数の電気部品」は、「基板16の上面である一面」に「実装され」るものであり、その実装の態様は、図1及び2(摘示(1d))にも示されているとおり、部品本体の片側に配設されたリード線を用いたものと理解することができる。
したがって、引用発明の「複数の電気部品」は、本願補正発明の「ラジアル部品」に相当し、また、引用発明の「基板16の上面である一面」は、本願補正発明の「部品面」に相当するものといえる。
エ 引用発明は「保持体14には、係合部との間に基板16を挟持する複数の当接部49aが設けられるとともに、少なくとも1個の当接部49aには、基板16に係合して位置決めする位置決め係合部49bが設けられ」るものであって、「保持体14の上側の開口から基板嵌合部45に基板16を挿入し嵌合して固定」するものであるから、基板16が、保持体14の一面側に固定されることは技術的に明らかである。
したがって、引用発明の「基板16」と、本願補正発明の「前記プレートの一面側に固定され、半田面で半田付けされるラジアル部品が部品面に配置され、前記半田面に面実装の電子部品が配置されている基板」とは、上記ア?ウをも踏まえると「前記プレートの一面側に固定され、ラジアル部品が部品面に配置されている基板」の限度で共通するものといえる。
オ 引用発明の「蛍光ランプ15」及び「蛍光ランプ15のバルブ51の電極に接続されたワイヤ」は、本願補正発明の「発光部」及び「ランプリード線」に相当する。
また、引用発明の「蛍光ランプ15」は、「保持体14に装着され」るものであって、その装着態様は、図2(摘示(1d))に示されるとおり、保持体14において、基板16を固定する側とは反対側に固定されることが明らかである。
さらに、引用発明は、「電気部品を実装した基板16のラッピングピン66と、蛍光ランプ15のフィラメントとを電気的に接続する」ものであって、「基板16と蛍光ランプ15の電気的な接続は、蛍光ランプ15のバルブ51の電極に接続されたワイヤを、基板16の一面に実装した3本または4本のラッピングピン66に巻き付けて機械的および電気的に接続する」というものであるから、上記「蛍光ランプ15」において、基板16に接続されたワイヤが引き出されていることも技術的に明らかである。
したがって、引用発明の「蛍光ランプ15」は、上記ア、イをも踏まえると、本願補正発明の「前記プレートの前記一面側と反対側に固定され、前記基板に接続されたランプリード線が引き出されている発光部」に相当するものといえる。
カ 引用発明は、「口金12の収納凹部を口金取付部22に被せて複数カ所をかしめ、基体11に固定」するものであるところ、上記「口金取付部22」には、「口金12の収納凹部」が「被せ」られることで、はめ合い状態(いわゆる「嵌合」した状態)をなすことが明らかであるから、引用発明の「略円筒状に延設された口金取付部22」は、本願補正発明の「口金が嵌合される口金嵌合部」に相当するものといえる。
キ 引用発明の「基体本体部21」は「下方に拡開する」形状をなし、その形状は、図2(摘示(1d))にも示されてるとおり、口金取付部22から徐々に径が大きくなる形状ということもできる。
したがって、引用発明の「下方に拡開する基体本体部21」は、本願補正発明の「前記口金嵌合部から徐々に径が大きくなるテーパ部」に相当するものといえる。
ク 引用発明は、「口金取付部22には、下端部に、径寸法の大きい径大部25が円環状に形成され」るものであるから、口金取付部22と基体本体部21との境には、径大部25による段差が生じることが技術的に明らかである。
したがって、引用発明の「径大部25」は、上記カ及びキをも踏まえると、本件補正発明の「前記口金嵌合部と前記テーパ部との境に形成された段差部」に相当するものといえる。
ケ 引用発明の「下方に拡開する基体本体部21と、この基体本体部21の上側から略円筒状に延設された口金取付部22とが形成されており、口金取付部22には、下端部に、径寸法の大きい径大部25が円環状に形成され」た「基体11」は、上記カ?クを踏まえると、本願補正発明の「口金が嵌合される口金嵌合部と、前記口金嵌合部から徐々に径が大きくなるテーパ部と、前記口金嵌合部と前記テーパ部との境に形成された段差部とを有するハウジング」に相当するものといえる。
コ 引用発明は、「保持体14には、係合部との間に基板16を挟持する複数の当接部49aが設けられる」ものであるところ、上記「複数の当接部49a」が基板16を載置する載置面を構成すること、及び周方向に沿って配置されていることは技術的に明らかであるから、引用発明の「複数の当接部49a」と、本願補正発明の「前記プレートの前記ハウジング側の内周から離れて、周方向に沿って等間隔に形成された複数の基板載置面」とは、「周方向に沿って形成された複数の基板載置面」の限度で共通するものといえる。
サ 引用発明は、「保持体14には、係合部との間に基板16を挟持する複数の当接部49aが設けられるとともに、少なくとも1個の当接部49aには、基板16に係合して位置決めする位置決め係合部49bが設けられ」るものであるところ、上記「位置決め係合部49b」が、複数の当接部49aに載置された基板16の外周方向に沿って形成された、突出した部位をなすことは技術的に明らかであるから、引用発明の「少なくとも1個の当接部49a」に「設けられ」た「基板16に係合して位置決めする位置決め係合部49b」と、本願補正発明の「前記複数の基板載置面に載置された前記基板の外周方向に沿って等間隔に形成された複数の突出部」とは、上記イ及びコをも踏まえると、「前記複数の基板載置面に載置された前記基板の外周方向に沿って形成された突出部」の限度で共通するものといえる。
シ 引用発明の「蛍光ランプ装置」は、本願補正発明の「ランプ」に相当する。

以上によれば、本願補正発明と引用発明とは、
「プレートと、
前記プレートの一面側に固定され、ラジアル部品が部品面に配置されている基板と、
前記プレートの前記一面側と反対側に固定され、前記基板に接続されたランプリード線が引き出されている発光部と、
口金が嵌合される口金嵌合部と、前記口金嵌合部から徐々に径が大きくなるテーパ部と、前記口金嵌合部と前記テーパ部との境に形成された段差部とを有するハウジングとを備え、
前記プレートは、
周方向に沿って形成された複数の基板載置面と、
前記複数の基板載置面に載置された前記基板の外周方向に沿って形成された突出部と
を有するランプ。」の点で一致し、以下の点で相違している。

<相違点1>
「基板」に関し、本願補正発明は、「半田面で半田付けされる」ラジアル部品が部品面に配置され、「前記半田面に面実装の電子部品が配置され」るものであるのに対し、引用発明は、「基板16の上面である一面には、あるいは、上面である一面および下面である他面には、複数の電気部品が実装され」るものである点。

<相違点2>
本願補正発明は、「前記ラジアル部品が前記段差部に近接した状態で前記プレートが取り付けられて」いるのに対し、引用発明は、そのように特定されていない点。

<相違点3>
「基板載置面」及び「突出部」に関し、本願補正発明は、基板載置面が、「前記プレートの前記ハウジング側の内周から離れて」、周方向に沿って「等間隔に」形成されるものであり、また、突出部が、「等間隔に」形成された「複数の」突出部であるのに対し、引用発明は、そのように特定されていない点。

(2-3)判断
ア 相違点1について
刊行物2には、「電球型蛍光ランプ」に関する技術について開示されており(摘示(2a))、具体的には、摘示(2b)(2c)のとおり、「プリント基板51には、・・・口金40の側に向けて配される面(以下、「オモテ面」という。)に、所定の位置に設けられたリード挿入孔を用いて、複数の挿入実装部品(例えば、・・・電解コンデンサ素子53・・・など)が実装されている。リード挿入孔から挿入された各部品のリードは、・・・プリント基板51の裏面に所要のパターンをもって設けられた導電ランドの所定箇所に半田付けにより接続されている」こと(段落【0028】)、及び「プリント基板51における裏面の略中央部分には、nMOS-FET素子56が面実装されている」こと(段落【0032】)が記載されており、要するに、ラジアル部品(電解コンデンサ素子53などの挿入実装部品)を基板(プラント基板51)の部品面(オモテ面)に配置するとともに半田面(裏面)で半田付けし、さらに、上記半田面(裏面)に面実装の電子部品(nMOS-FET素子56)を配置すること(以下「刊行物2に記載された技術事項」ということもある。)が記載されている。
ここで、引用発明は、「基板16の上面である一面には、あるいは、上面である一面および下面である他面には、複数の電気部品が実装され」るものであって、複数の電気部品は、基板16の上面あるいは下面をも含めて、適宜選択的にその実装位置を任意に設定可能なもということができるから、そのように複数の電気部品を基板16に配設するに際し、刊行物2に記載された「電球型蛍光ランプ」の構造を参考にする動機付けは十分存在する。
してみると、引用発明の基板16を構成するに際し、上記刊行物2に記載された技術事項をも参考にして、ラジアル部品を基板の部品面に配置するとともに半田面で半田付けし、さらに、上記半田面に面実装の電子部品を配置すること、すなわち、上記相違点1に係る本願補正発明の構成とすることは、当業者であれば容易に想到し得るものといえる。

イ 相違点2について
引用発明は、上記「(2-2)ク」で述べたとおり、本件補正発明の「前記口金嵌合部と前記テーパ部との境に形成された段差部」に相当する構成を備えるものである。
ここで、刊行物1の図2及び図3(摘示(1d))の図示内容からも明らかなとおり、引用発明において、「基体11」に「保持体14が取り付けられ」るならば、「基板16の上面である一面に」「実装され」た「複数の電気部品」は、少なくとも「基体11」に「形成され」た「下方に拡開する基体本体部21」の内部に位置することとなり、その結果、上記「複数の電気部品」が「基体11」に「形成され」た「径大部25」に近接した状態となることは技術的に明らかである。
したがって、上記相違点2は実質的な相違点とはいえないか、あるいは上記相違点2が実質的な相違点であるとしても、当業者が容易になし得るものといえる。

ウ 相違点3について
(ア)引用発明は、「基板嵌合部45の内側には、各チャック用溝部46の側方に位置して、軸方向に沿って4カ所に突条49が形成され、各突条49の上端部が当接部49aとなっており、4カ所の突条49のうち、少なくとも1カ所の突条49の当接部49aからは、さらに上側に向かって位置決め係合部49bが突設され」るものである。
ここで、引用発明の「当接部49a」は、上記「(2-2)コ」で述べたとおり、基板16の載置面として位置付けられるものであり、さらに、「4カ所に」「形成され」た「各突条49の上端部」に配設されるものであるから、周方向に沿って、所要な間隔を隔てて配置されていることも技術的に明らかである。そして、そのように配設された当接部49aによって、基板16を安定して載置すべきことは技術常識に照らして明らかである。
(イ)また、引用発明の「位置決め係合部49b」は、「少なくとも1カ所の突条49の当接部49aから」「さらに上側に向かって」「突設され」るものであるところ、刊行物1には、「少なくとも1個の当接部49aには、基板16に設けた位置決め係合受部63に係合して位置決めする位置決め係合部49bを設けたため、保持体14の構成を簡略化し製造コストを低減できるとともに、基板16を確実に回り止めできる。」(摘示(1c)段落【0040】)と記載されているから、引用発明の「位置決め係合部49b」は、「保持体14の構成を簡略化し」つつも、「基板16を確実に回り止めできる」構成として採用されていることが明らかである。
(ウ)以上を踏まえて検討する。
a 刊行物3には、「口金付き光源装置」に関する技術について開示されており(摘示(3a))、具体的には、摘示(3b)のとおり、「点灯回路基板を固定するためのケースの取り付け部の構造を単純化できる点灯回路基板を供給する」という課題を解決するために(段落【0005】)、「光源を有する点灯部と、略筒状をなし一方の開口端近傍に前記点灯部が取付けられたケースと、このケースの他方の開口端近傍に取付けられた口金と、前記ケースに収納された前記光源を点灯させる点灯回路基板と、点灯回路基板と口金との間に接続された複数の電線と、を備えた口金付き光源装置」において、少なくとも「前記ケースの内面側であって点灯回路基板より口金側に点灯回路基板の口金方向への移動を阻止する基板当接部を形成する」こと(段落【0006】)、より具体的には、摘示(3c)のとおり、「基板当接部5aは、ケース5の内面側であってケース5の軸心に向かって突出したものであ」り、「この基板当接部5aは、ケース5のない周面に略120°間隔で3ケ所設けられている」こと(段落【0020】)が記載されている。
b また、刊行物4には、「光ランプ装置」に関する技術について開示されており(摘示(4b)、具体的には、摘示(4c)のとおり、「格別な支持台などを用いることなく、回路基板を簡単に組み込むことができるけい光ランプ装置を提供」するという課題を解決するために、摘示(4a)のとおり、「一端に口金を備えたカバーの他端開口部に、けい光ランプを支持したランプホルダーを連結し、これらカバーとランプホルダーとで囲まれた空間に点灯回路部品を装着した回路基板を収容してなるけい光ランプ装置」において、少なくとも「上記回路基板は、カバーとランプホルダーとの間で挾持し」、「上記カバーとランプホルダーとにそれぞれリブを設け、これらカバー側のリブとランプホルダー側のリブは互いに周方向の位置をずらせ、これらカバー側のリブとランプホルダー側のリブとの間で上記回路基板を挾持するとともに、これらカバー側のリブとランプホルダー側のリブの間隔を上記回路基板の厚さよりも小さくした」こと、より具体的には、摘示(4d)のとおり、「ランプホルダー4は・・・嵌合周壁5が形成されているとともに、この嵌合周壁5には・・・複数のリブ6・・・が形成されている。上記リブ6・・・は周方向に離間して例えば4本形成されており、これらリブ6・・・の先端には係止突起7・・・が形成されている」こと、「回路基板12の周縁に、・・・切欠部13・・・を設け、これら切欠部13・・・を上記リブ6・・・の先端に形成した係止突起7・・・に嵌合し、これによりリブ6・・・の先端で回路基板12の周縁部下面を支えている」こと、「回路基板12は、周縁に形成した切欠部13・・・が上記リブ6・・・の先端に形成した係止突起7・・・と嵌合するので、周方向の位置決めがなされる」ことが記載されており、さらに、摘示(4f)に示す第1?3図より、リブ6が、周方向に沿って等間隔に形成されていることも看取できる。
c 以上によれば、複数の基板載置面(前者の「基板当接部5a」、後者の「リブ6の先端」)を有するランプ(前者の「口金付き光源装置」、後者の「けい光ランプ装置」)において、その構成の簡略化(前者の「ケースの取り付け部の構造を単純化」すること、後者の「回路基板を簡単に組み込む」こと)をも企図して、基板載置面を周方向に沿って等間隔に配設することは、かかる技術分野でごく普通に行われている周知技術ということができる。 また、そのように基板載置面を周方向に沿って等間隔に構成すれば、基板をバランス良く載置することができ、安定した基板の載置が行い得ることも技術的に明らかである。
d ここで、引用発明は、上記(ア)(イ)で述べたとおり、「保持体14の構成を簡略化し」つつも、「基板16を確実に回り止めできる」構成として採用されていることが明らかであって、当接部49aによって、基板16を安定して載置すべきことも明らかであるから、そのように基板16を載置するに際し、上記周知技術を参考にする動機付けは十分に存在する。
e さらに、引用発明は、上記(イ)で述べたとおり、「位置決め係合部49b」は、「少なくとも1カ所の突条49の当接部49aから」「さらに上側に向かって」「突設され」るものであって、「基板16を確実に回り止めできる」構成として採用されるものであるところ、その配設は、「少なくとも1カ所の突条49の当接部49aから」「突設され」ることを充足するように設定され得るものであるから、「1カ所の突条49」のみならず「4カ所の突条49」の全てにおいて、「位置決め係合部49b」を設けることも想定の範囲ということができ、そのように複数配設することで、より確実に基板16の回り止めができることも技術的に明らかである(刊行物4に記載された、複数の切欠部13と複数の係止突起7との嵌合に伴う「回路基板12の取付け位置が高精度に規制される」点からも裏付けられる。)。
さらに、図1(摘示(1d))にも示されるとおり、位置決め係合部49b及び当接部49aを備えた突条49において、当接部49aが、保持体14の内周から離れて形成されることも技術的に明らかである。
f したがって、引用発明の「基板載置面(当接部49a)」及び「突出部(位置決め係合部49b)」に関し、基板載置面を、「プレートのハウジング側の内周から離れて」、周方向に沿って「等間隔に」形成されるものとして、また、突出部を「等間隔に」形成された「複数の」突出部として構成することは、当業者が、かかる技術分野の周知技術をも参考の上、容易に想到し得たものといえる。
エ そして、本願補正発明の作用効果も、引用発明、刊行物2に記載された技術事項及び周知技術(例えば刊行物3や4を参照)から当業者が予測し得る範囲のものであって、格別なものとはいえない。

オ まとめ
したがって、本願補正発明は、引用発明、刊行物2に記載された技術事項及び周知技術(例えば刊行物3や4を参照)に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
よって、本願補正発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものではない。

(2-4)むすび
以上のとおりであるから、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、平成29年6月1日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、上記「第2 1」の「(補正前の請求項1)」に記載されたとおりのものである。

第4 引用刊行物とその記載事項等
原査定の拒絶の理由に引用された刊行物、その記載事項及び引用発明は、上記「第2 2(2)(2-1)(2-1-1)(2-1-2)」に記載したとおりである。

第5 当審の判断
本願発明は、上記「第2」で検討した本願補正発明から、「前記プレートの前記ハウジング側の内周から離れて、周方向に沿って等間隔に形成された」 として特定される 「基板載置面」の構成における下線部の事項、及び「前記複数の基板載置面に載置された前記基板の外周方向に沿って等間隔に形成された」として特定される 「突出部」の構成における下線部の事項を省いたものであるから、本願発明と引用発明とは、実質的に、上記「第2 2(2-2)」で述べた一致点の点で一致し、上記相違点1及び相違点2に加え、以下の相違点3Aで相違する。

<相違点3A>
「基板載置面」及び「突出部」に関し、本願発明は、基板載置面が、「前記プレートの前記ハウジング側の内周から離れて」形成されるものであり、また、突出部が、「複数の」突出部であるのに対し、引用発明は、そのように特定されていない点。

そして、上記相違点1及び相違点2の判断は、上記「第2 2(2-3)ア、イ」のとおりであり、また、上記相違点3Aについて検討すると、引用発明において、「位置決め係合部49b」は、「少なくとも1カ所の突条49の当接部49aから」「さらに上側に向かって」「突設され」るものであって、「基板16を確実に回り止めできる」構成として採用されるものであるところ、その配設は、「少なくとも1カ所の突条49の当接部49aから」「突設され」ることを充足するように設定され得るものであるから、「1カ所の突条49」のみならず「4カ所の突条49」の全てにおいて、「位置決め係合部49b」を設けることも想定の範囲ということができる。さらに、図1(摘示(1d))にも示されるとおり、位置決め係合部49b及び当接部49aを備えた突条49において、当接部49aが、保持体14の内周から離れて形成されることも技術的に明らかである。
してみると、引用発明の「基板載置面(当接部49a)」及び「突出部(位置決め係合部49b)」に関し、基板載置面を、「プレートのハウジング側の内周から離れて」形成されるものとして構成するともに、突出部を「複数の」突出部として構成することは、当業者にとって格別困難なことではないし、また、本願発明の作用効果も、引用発明及び刊行物2に記載された技術事項から当業者が予測し得る範囲のものであって、格別なものとはいえない。
したがって、本願発明は、引用発明及び刊行物2に記載された技術事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものといえる。

第6 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び刊行物2に記載された技術事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、その余の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2019-02-06 
結審通知日 2019-02-12 
審決日 2019-02-25 
出願番号 特願2016-138151(P2016-138151)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (F21S)
P 1 8・ 121- Z (F21S)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 當間 庸裕  
特許庁審判長 中川 真一
特許庁審判官 一ノ瀬 覚
氏原 康宏
発明の名称 ランプ及び照明装置  
代理人 溝井国際特許業務法人  

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