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審決分類 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 取り消して特許、登録 H01L
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H01L
管理番号 1351229
審判番号 不服2017-16883  
総通号数 234 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-06-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-11-14 
確定日 2019-05-22 
事件の表示 特願2014-559893「ロードロック構成内の除害・剥離処理チャンバ」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 9月 6日国際公開、WO2013/130191、平成27年 5月28日国内公表、特表2015-515742、請求項の数(9)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2013年1月18日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2012年2月29日、米国)を国際出願日とする出願であって、平成28年11月15日付けで拒絶理由通知がされ、平成29年5月19日付けで手続補正がされるとともに意見書が提出され、同年9月27日付けで拒絶査定(原査定)がされ、これに対し、同年11月14日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がされた。
その後、当審において、平成30年8月28日付けで拒絶理由通知がされ、平成31年3月4日付けで手続補正がされるとともに意見書が提出されたものである。

第2 本願発明
本願請求項1?9に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」?「本願発明9」という。)は、平成31年3月4日付け手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1?9に記載された事項により特定される発明であり、そのうちの本願発明1及び7は、それぞれ以下のとおりの発明である。

「【請求項1】
互いに分離した第1チャンバ容積及び第2チャンバ容積を画定するチャンバ本体アセンブリであって、第1チャンバ容積は、基板を搬送するために構成された2つの開口部を介して2つの環境に選択的に接続可能であり、第2チャンバ容積は、2つの環境のうちの少なくとも1つに選択的に接続され、第1チャンバ容積及び第2チャンバ容積は鉛直方向に積み重ねられているチャンバ本体アセンブリと、
第1チャンバ容積内に配置され、基板を上で支持して冷却するように構成された冷却基板支持アセンブリと、
第1チャンバ容積内の冷却基板支持アセンブリの上方に移動可能に配置された基板支持棚と、
冷却基板支持アセンブリに対して移動可能であり、冷却基板支持アセンブリと外部基板ハンドリング装置との間で基板を搬送するように操作可能なリフトピンアセンブリと、
リフトピンアセンブリと基板支持棚を同時に移動させるように構成されたリフトアセンブリと、
第2チャンバ容積内に配置され、基板を上で支持するように構成された加熱基板支持アセンブリと、
第2チャンバ容積内に配置されたガス分配アセンブリであって、
加熱基板支持アセンブリの上方に配置され、内部に配置された基板を処理するための第2チャンバ容積に処理ガスを供給するように構成されたガス分配シャワーヘッドを含むガス分配アセンブリを含むロードロックチャンバ。」

「【請求項7】
単一のチャンバ本体アセンブリ内に並んで配置された第1ロードロックチャンバ及び第2ロードロックチャンバであって、第1ロードロックチャンバ及び第2ロードロックチャンバの各々は、
互いに分離した第1チャンバ容積及び第2チャンバ容積であって、第1チャンバ容積は、基板を搬送するために構成された2つの開口部を介して2つの環境に選択的に接続可能であり、第2チャンバ容積は、2つの処理環境のうちの少なくとも1つに選択的に接続され、第1チャンバ容積及び第2チャンバ容積は鉛直方向に積み重ねられている第1チャンバ容積及び第2チャンバ容積と、
第1チャンバ容積内に配置され、基板を上で支持して冷却するように構成された冷却基板支持アセンブリと、
第1チャンバ容積内の冷却基板支持アセンブリの上方に移動可能に配置された基板支持棚と、
冷却基板支持アセンブリに対して移動可能であり、冷却基板支持アセンブリと外部基板ハンドリング装置との間で基板を搬送するように操作可能なリフトピンアセンブリと、
リフトピンアセンブリと基板支持棚を同時に移動させるように構成されたリフトアセンブリと、
第2チャンバ容積内に配置され、基板を上で支持するように構成された加熱基板支持アセンブリと、
第2チャンバ容積内に配置されたガス分配アセンブリであって、
加熱基板支持アセンブリの上に配置され、内部に配置された基板を処理するための第2チャンバ容積に処理ガスを供給するように構成されたガス分配シャワーヘッドを含むガス分配アセンブリを含む第1ロードロックチャンバ及び第2ロードロックチャンバを含むデュアルロードロックチャンバ。」

なお、本願発明2?6は、本願発明1を減縮した発明であり、本願発明8、9は、本願発明7を減縮した発明である。

第3 引用文献、引用発明等
1 引用文献1について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1(特開2006-303013号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【技術分野】
【0001】
本発明は、基板を処理する処理システム等に用いられるロードロック装置及び処理方法に関する。」
「【0028】
以下、本発明の第一の実施の形態を、基板の一例としてのLCD(Liquid Crystal Display;液晶表示装置)用のガラス基板Gに対して、プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)処理により薄膜を成膜する工程を実施する処理システムに基づいて説明する。図1は、本発明の実施の形態にかかる処理システム1の概略的な構成を示した平面図である。図1に示す処理システム1は、いわゆるマルチチャンバー型の処理システムであり、処理システム1の外部に対して基板Gを搬入出させる搬入出部2と、基板GのCVD処理を行う処理部3とを備えている。搬入出部2と処理部3との間には、ロードロック装置5が設置されている。
【0029】
搬入出部2には、複数枚の基板Gを収納したカセットCを載置する載置台11と、基板Gを搬送する第一の搬送装置12とが設けられている。載置台11上には、図1において略水平方向のX軸方向に沿って、複数のカセットCが並べられる。図2に示すように、載置台11上のカセットC内には、略長方形の薄板状の基板Gが、略水平な姿勢で複数枚上下に並べて収納されている。
…(略)…
【0031】
図2に示すように、ロードロック装置5は、一対のロードロック装置、即ち、第一のロードロック装置21及び第二のロードロック装置22によって構成されている。第一のロードロック装置21と第二のロードロック装置22は、上下に積み重ねて備えられており、図示の例では、第一のロードロック装置21の上に第二のロードロック装置22が設けられている。また、Y軸方向においてロードロック装置21の前側(図2においては左側)には、後述するロードロック装置21の搬入口63を開閉するゲートバルブ25が設けられており、Y軸方向においてロードロック装置21の後側には、後述するロードロック装置21の搬出口64を開閉するゲートバルブ26が設けられている。Y軸方向においてロードロック装置22の後側には、後述するロードロック装置22の搬入口103を開閉するゲートバルブ27が設けられており、Y軸方向においてロードロック装置22の前側には、後述するロードロック装置22の搬出口104を開閉するゲートバルブ28が設けられている。かかる構成において、各ゲートバルブ25、28を閉じることにより、搬入出部2の雰囲気とロードロック装置21、22内の雰囲気とをそれぞれ遮断できるようになっている。また、各ゲートバルブ26、27を閉じることにより、処理部3の雰囲気とロードロック装置21、22内の雰囲気とをそれぞれ遮断できるようになっている。各ロードロック装置21、22の構造については、後に詳細に説明する。
【0032】
図1に示すように、処理部3には、基板Gを収納してプラズマCVD処理を施す複数、例えば5つの基板処理装置30A?30E、及び、ロードロック装置5と各基板処理装置30A?30Eとの間で基板Gを搬送する第二の搬送装置31が備えられている。第二の搬送装置31は、密閉構造のチャンバ32内に設けられた搬送室33に格納されている。チャンバ32は、Y軸方向においてロードロック装置5の後方に設けられている。また、ロードロック装置5、及び、基板処理装置30A?30Eは、チャンバ32の周囲を囲むように配置されている。
【0033】
搬送室33とロードロック装置21、22の間には、前述したゲートバルブ26、27がそれぞれ設けられており、各ゲートバルブ26、27によって搬送室33内の雰囲気とロードロック装置21、22内の雰囲気とをそれぞれ遮断できるようになっている。搬送室33と各基板処理装置30A?30Eとの間には、それぞれゲートバルブ35が設けられており、各ゲートバルブ35によって基板処理装置30A?30Eの開口を気密に閉塞し、搬送室33内の雰囲気と各基板処理装置30A?30E内の雰囲気とをそれぞれ遮断できるようになっている。また、図2に示すように、搬送室33内を強制排気して減圧させるための排気路36が設けられている。処理システム1における処理時、処理部3の搬送室33、基板処理装置30A?30E内は、搬入出部2よりも減圧雰囲気にされ、例えば真空状態にされる。
…(略)…
【0035】
次に、前述したロードロック装置21の構成について詳細に説明する。図3に示すよう
に、ロードロック装置21は、密閉構造のチャンバ61を備えている。チャンバ61の内部は、基板Gを収納するロードロック室62となっている。
…(略)…
【0037】
ロードロック室62内には、基板Gを支持する複数の保持部材70が備えられている。各保持部材70は略棒状をなし、チャンバ61の底部から上方に突出するように設けられており、各保持部材70の上端部に基板Gの下面を載せることにより、基板Gを略水平に支持するようになっている。
【0038】
さらに、ロードロック室62内には、保持部材70に支持された基板Gを加熱する第一の加熱用プレートとしての上面加熱用プレート71、及び、第二の加熱用プレートとしての下面加熱用プレート72が備えられている。
【0039】
上面加熱用プレート71は、保持部材70に支持される基板Gの上面(例えばデバイスが形成される表面)側に配置され、チャンバ61に対して固定されている。図4に示すように、上面加熱用プレート71は、多孔質(porous)の基材からなり通気性を有するプレート本体75と、プレート本体75中に通過させる加熱用ガスを供給する加熱用ガス供給路76とを備えている。
…(略)…
【0042】
かかるプレート本体75を構成する多孔質材は、基質材の中に互いに連通した多数の細孔が形成された構造になっており、細孔同士の間で流体が流通可能である。そのため、加熱用ガス供給路76に加熱用ガスを供給すると、プレート本体75中に加熱用ガスを浸透させることができる。プレート本体75の上面及び外側面は非通気性保護材82によって覆われているので、供給管77から隙間75cに導入された加熱用ガスは、プレート本体75の下面に向かい、通気性保護膜81を通過して、下方に噴き出すようになっている。このようにプレート本体75の下面から加熱用ガスを吹き付けることによって、また、通過する加熱用ガスによって加熱されたプレート本体75から放射される熱によって、基板Gが加熱されるようになっている。なお、下部板75bに複数の溝75dが形成されていることにより、隙間75c内の加熱用ガスが溝75dから下部板75b中の細孔に流入しやすい構造になっている。
…(略)…
【0046】
図3に示すように、下面加熱用プレート72は、厚みを有する略長方形板状をなし、チャンバ61の底面に沿って略水平に備えられており、保持部材70に支持された基板Gの下面(例えばデバイスが形成されない裏面)側に配置される。前述した保持部材70は、下面加熱用プレート72に形成された複数の孔85内にそれぞれ配置されている。下面加熱用プレート72は、保持部材70によって保持された基板Gの下面に対して略平行な姿勢で対向する。なお、下面加熱用プレート72の上面の面積は、基板Gの下面の面積とほぼ同じ、又は、基板Gの下面の面積より大きくなっており、基板Gの下面全体を覆うようにして加熱することができる。
【0047】
下面加熱用プレート72の内部には、例えばシーズヒータ等の発熱体86が内蔵されている。発熱体86は、チャンバ61の外部に設けられた交流電源87に接続されている。即ち、交流電源87から供給される電力によって発熱体86の抵抗熱が発生し、発熱体86からの伝熱によって下面加熱用プレート72が昇温されるようになっている。
【0048】
また、下面加熱用プレート72は昇降可能になっている。例えば図3に示すように、チャンバ61の下方に昇降機構としてのシリンダ91が設けられており、シリンダ91に接続されたロット92が、チャンバ61の底部を上下に貫通するように設けられている。下面加熱用プレート72は、ロット92の下端部に取り付けられている。そして、シリンダ91の駆動によって、ロット92がZ軸方向に昇降することにより、下面加熱用プレート72がロット92と一体的に、各孔85をそれぞれ保持部材70に沿って移動させながら昇降するようになっている。
【0049】
さらに、下面加熱用プレート72の上面には、加熱時に基板Gを支持するための複数の支持部材93が設けられている。下面加熱用プレート72を待機位置P1に下降させたとき、支持部材93は、保持部材70の上端部より下方に位置する。そのため、保持部材70に基板Gが保持されていても、支持部材93は基板Gに接触しないようになっている。一方、下面加熱用プレート72を待機位置P1から上昇させることにより、保持部材70に保持された基板Gを、支持部材93によって持ち上げ、前述した上面加熱用プレート71に近接させることができる。即ち、上面加熱用プレート71と下面加熱用プレート72は、両者の間に収納された基板Gに対して、それぞれ相対的に近接及び離隔可能な構成となっている。このように、下面加熱用プレート72を昇降させる構成とすれば、基板Gを保持部材70に受け渡す際に下面加熱用プレート72を待機位置P1に下降させることで、余裕を持って受け渡しを行うことができ、基板Gの加熱時には加熱処理位置P2に上昇させることで、基板Gを効率的に加熱することができる。
…(略)…
【0051】
次に、前述したロードロック装置22の構成について詳細に説明する。図3に示すように、ロードロック装置22は、密閉構造のチャンバ101を備えている。図示の例では、チャンバ101は下段のロードロック装置21のチャンバ61の上面に載せられている。チャンバ101の内部は、基板Gを収納するロードロック室102となっている。
【0052】
チャンバ101の処理部3側、即ち、Y軸方向において後側には、ロードロック室102に基板Gを搬入するための搬入口103が設けられている。搬入口103には、前述し
たゲートバルブ27が設けられており、ゲートバルブ27によって気密に閉塞可能になっている。チャンバ101の搬入出部2側、即ち、Y軸方向において前側には、ロードロック室102から基板Gを搬出するための搬出口104が設けられている。搬出口104には、前述したゲートバルブ28が設けられており、ゲートバルブ28によって気密に閉塞可能になっている。
【0053】
ロードロック室102内には、基板Gを保持するための複数の支持部材110が備えられている。各支持部材110は略棒状をなし、チャンバ101の底部から上方に突出するように設けられており、各支持部材110の上端部に基板Gの下面を載せることにより、基板Gを略水平に保持するようになっている。
【0054】
さらに、ロードロック室102内には、基板Gを冷却する第一の冷却用プレートとしての上面冷却用プレート111、及び、第二の冷却用プレートとしての下面冷却用プレート112が備えられている。
【0055】
図5に示すように、上面冷却用プレート111は、支持部材110に支持された基板Gの上面(例えばデバイスが形成される表面)側に配置されている。上面冷却用プレート111は、多孔質材からなり通気性を有するプレート本体115と、プレート本体115中に通過させる冷却用ガスを供給する冷却用ガス供給路116とを備えている。
…(略)…
【0062】
また、上面冷却用プレート111は昇降可能に構成されており、支持部材110に支持された基板Gに対して近接及び離隔することができる。例えば図3に示すように、チャンバ101の上方に昇降機構としてのシリンダ125が設けられており、シリンダ125に接続されたロット126が、チャンバ101の天井を上下に貫通するように設けられている。上面冷却用プレート111は、ロット126の下端部に取り付けられている。そして、シリンダ125の駆動によって、ロット126がZ軸方向に昇降することにより、上面冷却用プレート111がロット126と一体的に昇降するようになっている。上面冷却用プレート111は、例えば支持部材110に支持された基板Gから離隔する上方の待機位置P3と、基板Gに近接する下方の冷却処理位置P4とに移動する。このように、上面冷却用プレート111を昇降させる構成とすれば、基板Gを支持部材110に受け渡す際に上面冷却用プレート111を待機位置P3に上昇させることで、余裕を持って受け渡しを行うことができ、基板Gの冷却時には冷却処理位置P4に下降させることで、基板Gを効率的に冷却することができる。なお、上面冷却用プレート111は多孔質材が使用されているので、軽量であり、少ない駆動力で容易に昇降させることができる。
【0063】
下面冷却用プレート112は、厚みを有する略長方形板状をなし、チャンバ61の底面に沿って略水平に備えられており、支持部材110に支持された基板Gの下面(例えばデバイスが形成されない裏面)側に配置され、チャンバ101に対して固定されている。前述した支持部材110は、下面冷却用プレート112に形成された複数の孔128内にそれぞれ配置されている。下面冷却用プレート112は、支持部材110によって支持された基板Gの下面に対して略平行な姿勢で対向する。下面冷却用プレート112の上面の面積は、基板Gの下面の面積とほぼ同じ、又は、基板Gの下面の面積より大きくなっており、基板Gの下面全体を覆うようにして冷却することができる。
【0064】
下面冷却用プレート112の内部には、冷却水を通過させる冷却水送水路130が内蔵されている。冷却水送水路130は、チャンバ101の外部に設けられた図示しない冷却水供給源に接続されている。冷却水は、冷却水供給源から供給され、下面冷却用プレート112内の冷却水送水路130を循環して、下面冷却用プレート112を冷却した後、下面冷却用プレート112の外に回収されるようになっている。
…(略)…
【0066】
次に、以上のように構成された処理システム1における基板Gの処理工程について説明する。先ず、複数枚の基板Gが収納されたキャリアCが、開口16を搬送装置12側に向けた状態で載置台11上に載置される。そして、搬送装置12の搬送アーム15が開口16に進入させられ、一枚の基板Gが取り出される。基板Gを保持した搬送アーム15は、下段に配置されたロードロック装置21のゲートバルブ25の前方に対向する位置に移動させられる。
【0067】
一方、ロードロック装置21では、ゲートバルブ25、26によって搬入口63、搬出口64がそれぞれ閉塞されており、ロードロック室62が密閉されている。ロードロック装置22では、ゲートバルブ27、28によって搬入口103、搬出口104が閉塞されており、ロードロック室102が密閉されている。従って、搬入出部2の雰囲気と処理部3の搬送室33内の雰囲気とは、ロードロック装置21、22を介して互いに遮断された状態となっている。搬入出部2は例えば大気圧となっているのに対して、搬送室33内は真空引きされている。
…(略)…
【0071】
下面加熱用プレート72の上面は、発熱体86からの伝熱により均一に昇温され、基板Gの下面は、下面加熱用プレート72の上面からの輻射熱によって均一に加熱される。一方、上面加熱用プレート71においては、供給管77から隙間75cに加熱用ガスが供給される。隙間75cに導入された加熱用ガスは、下部板75b中の細孔に流入する。そして、下部板75b内に拡散しながら下面に向かい、通気性保護膜81の細孔を通過して、通気性保護膜81から下方に噴き出し、基板Gの上面に向かって吐出される。こうして、基板Gに加熱用ガスが接触することにより、基板Gが効率的に加熱される。プレート本体75から基板Gの上面に供給された加熱用ガスは、基板Gの上面に沿って基板Gの周縁部側に流れ、非通気性保護材82の下縁部と下面加熱用プレート72の上面周縁部との間の隙間から、外側に流出し、排気路95によって排気される。
【0072】
なお、供給管77から隙間75cに導入された加熱用ガスは、基板Gの面積より大きく広がった隙間75c全体に広がり、隙間75cから下部板75bの上面全体に、均等に浸透する。隙間75cから下部板75bに浸透する際には、下部板75bに形成された複数の溝75dからそれぞれ均等に流入しやすくなっている。従って、下部板75b全体に均等に加熱用ガスが通過し、通気性保護膜81の下面の細孔全体から、加熱用ガスが均等な流量で噴き出すので、基板Gの上面全体を均等に加熱することができる。また、上述した隙間75c内の加熱用ガスは上部板75aにも浸透、拡散し、プレート本体75全体を昇温させる。そして、基板Gは、加熱されたプレート本体75からの輻射熱によっても加熱される。上述のように、下部板75bには全体に均等に加熱用ガスが通過することにより、下部板75b全体が加熱用ガスによって均等に加熱される。従って、プレート本体75の下面から輻射熱が均等に放射され、輻射熱による基板Gの加熱も均一に行うことができる。また、基板Gの周囲には非通気性保護材82の下縁部が配置されているので、加熱用ガス及び輻射熱は基板Gの上面に向かって集中的に供給される。従って、基板Gをさらに効率的に加熱できる。また、非通気性保護材82の下縁部により、基板Gが上面加熱用プレート71と下面加熱用プレート72の間からずれることを防止できる。
…(略)…
【0079】
一方、基板Gは上面冷却用プレート111と下面冷却用プレート112とによって両面から冷却される。冷却時は、上面冷却用プレート111を下降させて冷却処理位置P4に配置させる。即ち、基板Gの上面全体に上面冷却用プレート111の下面を近接させ、下面全体に下面冷却用プレート112の上面を近接させた状態にする。上面冷却用プレート111と基板Gとの間、下面冷却用プレート112と基板Gとの間には、それぞれ略均一な幅の隙間が形成される。上面冷却用プレート111の下面周縁部から突出するように設けられた非通気性保護材1222の下縁部は、図5に示すように下面冷却用プレート112の上面周縁部に近接し、基板Gを囲むように配置される。
…(略)…
【0098】
また、以上の実施形態では、上面冷却用プレート111をチャンバ101に対して昇降可能とし、基板Gに対して近接及び離隔させることが可能な構成とし、下面冷却用プレート112をチャンバ101に対して固定させた構成としたが、勿論、下面冷却用プレート112も基板Gに対して近接及び離隔させることが可能な構成としても良い。また、例えばロードロック装置21における下面加熱用プレート72と同様に、下面冷却用プレート112の上面に、基板Gを支持するための支持部材を設け、基板Gの冷却時に支持部材110から基板Gを受け取る構成としても良い。この場合、上面冷却用プレート111と下面冷却用プレート112を、両者の間に収納された基板Gに対して、それぞれ相対的に近接及び離隔可能な構成にすることができる。また、以上の実施形態では、上面冷却用プレート111と下面冷却用プレート112をそれぞれ基板Gに対して隙間を空けて近接させた状態で冷却を行うこととしたが、上面冷却用プレート111と下面冷却用プレート112を基板Gに接触させた状態で冷却するようにしても良い。
【0099】
以上の実施形態では、上面冷却用プレート111を多孔質材からなるプレート本体115及び冷却用ガスを噴き出す構成を備えることとしたが、上面冷却用プレート111に代えて下面冷却用プレート112を、多孔質材からなるプレート本体及び加熱用ガスを噴き出す構成を備えるものとしても良い。そうすれば、基板Gの裏面に冷却用ガスを均一に吹き付けて、基板Gの裏面を効率的かつ均一に冷却することができる。また、上面冷却用プレート111と下面冷却用プレート112の両方を、いずれも多孔質材からなるプレート本体及び加熱用ガスを噴き出す構成を備えるものにしても良い。
【0100】
また、上面冷却用プレート111又は下面冷却用プレート112の表面に静電吸着用電極を備え、基板Gを静電吸着させるようにしても良い。図11は、冷却用ガスを噴き出す構成を備えた下面冷却用プレートにおいて、静電吸着用電極を備えた場合の一例を示している。図11において、下面冷却用プレート190は、多孔質材からなり通気性を有するプレート本体191と、プレート本体191に冷却用ガスを供給する冷却用ガス供給路192とを備えている。プレート本体191は、プレート本体115と同様に、上部板191aと下部板191bとの間に略均一な幅の略水平方向に広がる隙間191cが形成された構造になっている。上部板191aの下面には、上に向かって凹状に窪んだ複数の溝191dが設けられている。冷却用ガス供給路192は、隙間161cに接続された供給管193の内部空間、隙間191c、溝191dによって構成されている。プレート本体191の上面には、通気性保護膜201が形成され、プレート本体191の下面及び外側面は、非通気性保護材202によって覆われている。また、通気性保護膜201の内部に、薄い層状の導体からなる静電吸着用電極203が内蔵されている。静電吸着用電極203は通気性を有し、また、通気性保護膜201によって全体が覆われ、保護されている。この場合における通気性保護膜201の材質としては、絶縁性を有する材質、例えばアルミナ等のセラミックス等が使用される。また、静電吸着用電極203は、チャンバ61の外部に設けられた直流電源205に接続されている。なお、静電吸着用電極203は、溶射等によって形成しても良い。例えばプレート本体191の表面に、通気性保護膜201、静電吸着用電極203、通気性保護膜201の順に溶射を行い、層状に形成すればよい。かかる構成において、基板Gは、下面冷却用プレート190の上面において通気性保護膜201の表面に発生する静電気力により、通気性保護膜201の表面に吸着される。従って、基板Gは下面冷却用プレート190に密着した状態で確実に保持される。また、冷却用ガスは、プレート本体191、通気性保護膜201、静電吸着用電極203、通気性保護膜201を順に通過して、基板Gの下面全体に供給される。これにより、基板Gを効率的かつ均一に冷却することができる。なお、かかる下面冷却用プレート190においても、図10に示した上面冷却用プレート111と同様に、プレート本体191内に例えば冷却水を送水する冷却水送水路を設け、プレート本体191及びプレート本体191中を通過するガスを冷却水送水路によって冷却できる構成にしても良い。」

図2?5、11は、それぞれ以下のとおりである。



したがって、上記引用文献1には、図11に示される下部冷却用プレート190を備えたロードロック装置に関して、次の発明(以下、「引用発明A」という。)が記載されていると認められる。

「搬入出部2と処理部3との間に設置されており、搬入口63、及び、搬出口64を有する第一のロードロック装置21と、搬入口103及び搬出口104を有する第二のロードロック装置22によって構成されているロードロック装置であって、
第一のロードロック装置21と第二のロードロック装置22は、上下に積み重ねて備えられており、
ロードロック装置21には、搬入口63を開閉するゲートバルブ25と、ロードロック装置21の搬出口64を開閉するゲートバルブ26が設けられており、
ロードロック装置22には、搬入口103を開閉するゲートバルブ27と、搬出口104を開閉するゲートバルブ28が設けられており、
かかる構成において、各ゲートバルブ25、28を閉じることにより、搬入出部2の雰囲気とロードロック装置21、22内の雰囲気とをそれぞれ遮断できるようになっており、また、各ゲートバルブ26、27を閉じることにより、処理部3の雰囲気とロードロック装置21、22内の雰囲気とをそれぞれ遮断できるようになっており、

ロードロック装置21は、密閉構造のチャンバ61を備え、チャンバ61の内部は、基板Gを収納するロードロック室62となっており、
ロードロック室62内には、基板Gを支持する複数の保持部材70が備えられており、各保持部材70は略棒状をなし、チャンバ61の底部から上方に突出するように設けられており、各保持部材70の上端部に基板Gの下面を載せることにより、基板Gを略水平に支持するようになっており、
ロードロック室62内には、保持部材70に支持された基板Gを加熱する上面加熱用プレート71、及び、下面加熱用プレート72が備えられており、
上面加熱用プレート71は、多孔質(porous)の基材からなり通気性を有するプレート本体75と、プレート本体75中に通過させる加熱用ガスを供給する加熱用ガス供給路76とを備えており、
加熱用ガス供給路76に加熱用ガスを供給すると、プレート本体75中に加熱用ガスを浸透させることができ、加熱用ガスは、プレート本体75の下面に向かい、通気性保護膜81を通過して、下方に噴き出すようになっており、このようにプレート本体75の下面から加熱用ガスを吹き付けることによって、また、通過する加熱用ガスによって加熱されたプレート本体75から放射される熱によって、基板Gが加熱されるようになっており、
上面加熱用プレート71においては、供給管77から導入された加熱用ガスは、下部板75b全体に均等に加熱用ガスが通過し、通気性保護膜81の下面の細孔全体から、加熱用ガスが均等な流量で噴き出すので、基板Gの上面全体を均等に加熱することができ、
下面加熱用プレート72は、保持部材70に支持された基板Gの下面側に配置され、前述した保持部材70は、下面加熱用プレート72に形成された複数の孔85内にそれぞれ配置されており、下面加熱用プレート72の内部には、発熱体86が内蔵され、発熱体86からの伝熱によって下面加熱用プレート72が昇温されるようになっており、さらに、下面加熱用プレート72の上面には、加熱時に基板Gを支持するための複数の支持部材93が設けられており、

ロードロック装置22は、密閉構造のチャンバ101を備え、チャンバ101は下段のロードロック装置21のチャンバ61の上面に載せられており、チャンバ101の内部は、基板Gを収納するロードロック室102となっており、
ロードロック室102内には、基板Gを冷却する上面冷却用プレート111、及び、下面冷却用プレート190が備えられており、
下面冷却用プレート190は、プレート本体191と、プレート本体191に冷却用ガスを供給する冷却用ガス供給路192とを備えており、プレート本体191の上面には、通気性保護膜201が形成され、基板Gは、下面冷却用プレート190の上面において通気性保護膜201の表面に発生する静電気力により、通気性保護膜201の表面に吸着され、従って、基板Gは下面冷却用プレート190に密着した状態で確実に保持され、また、冷却用ガスは、プレート本体191、通気性保護膜201、静電吸着用電極203、通気性保護膜201を順に通過して、基板Gの下面全体に供給され、
下面冷却用プレート190は、基板Gの下面側に配置され、チャンバ101に対して固定されている、ロードロック装置。」

さらに、引用文献1の段落【0098】に記載された、「下面冷却用プレート112も基板Gに対して近接及び離隔させることが可能な構成」とし、更に、「ロードロック装置21における下面加熱用プレート72と同様に、下面冷却用プレート112の上面に、基板Gを支持するための支持部材を設け、基板Gの冷却時に支持部材110から基板Gを受け取る構成」とする場合は、段落【0098】に記載の「基板Gを支持するための支持部材」は、段落【0048】の記載を参照すると、下面加熱用プレート72の上面の支持部材93(図3、4を参照。)が対応し、この場合、段落【0063】に記載された支持部材110(図5を参照。)は、段落【0046】、【0049】に記載の保持部材70(図3、4を参照。)と同様な構成となることと認められる。

したがって、上記引用文献1には、下部冷却プレートとして、図5に示される下部冷却用プレート112を、段落【0098】に記載の「下面冷却プレート112も基板Gに対して近接及び離隔させることが可能な構成」としたものを備えたロードロック装置5に関して、次の発明(以下、「引用発明B」という。)が記載されていると認められる。

「搬入出部2と処理部3との間に設置されており、搬入口63、及び、搬出口64を有する第一のロードロック装置21と、搬入口103及び搬出口104を有する第二のロードロック装置22によって構成されているロードロック装置5であって、
第一のロードロック装置21と第二のロードロック装置22は、上下に積み重ねて備えられており、
ロードロック装置21には、搬入口63を開閉するゲートバルブ25と、ロードロック装置21の搬出口64を開閉するゲートバルブ26が設けられており、
ロードロック装置22には、搬入口103を開閉するゲートバルブ27と、搬出口104を開閉するゲートバルブ28が設けられており、
かかる構成において、各ゲートバルブ25、28を閉じることにより、搬入出部2の雰囲気とロードロック装置21、22内の雰囲気とをそれぞれ遮断できるようになっており、また、各ゲートバルブ26、27を閉じることにより、処理部3の雰囲気とロードロック装置21、22内の雰囲気とをそれぞれ遮断できるようになっており、

ロードロック装置21は、密閉構造のチャンバ61を備え、チャンバ61の内部は、基板Gを収納するロードロック室62となっており、
ロードロック室62内には、基板Gを支持する複数の保持部材70が備えられており、各保持部材70は略棒状をなし、チャンバ61の底部から上方に突出するように設けられており、各保持部材70の上端部に基板Gの下面を載せることにより、基板Gを略水平に支持するようになっており、
ロードロック室62内には、保持部材70に支持された基板Gを加熱する上面加熱用プレート71、及び、下面加熱用プレート72が備えられており、
上面加熱用プレート71は、多孔質(porous)の基材からなり通気性を有するプレート本体75と、プレート本体75中に通過させる加熱用ガスを供給する加熱用ガス供給路76とを備えており、
加熱用ガス供給路76に加熱用ガスを供給すると、プレート本体75中に加熱用ガスを浸透させることができ、加熱用ガスは、プレート本体75の下面に向かい、通気性保護膜81を通過して、下方に噴き出すようになっており、このようにプレート本体75の下面から加熱用ガスを吹き付けることによって、また、通過する加熱用ガスによって加熱されたプレート本体75から放射される熱によって、基板Gが加熱されるようになっており、
上面加熱用プレート71においては、供給管77から導入された加熱用ガスは、下部板75b全体に均等に加熱用ガスが通過し、通気性保護膜81の下面の細孔全体から、加熱用ガスが均等な流量で噴き出すので、基板Gの上面全体を均等に加熱することができ、

下面加熱用プレート72は、保持部材70に支持された基板Gの下面側に配置され、前述した保持部材70は、下面加熱用プレート72に形成された複数の孔85内にそれぞれ配置されており、
下面加熱用プレート72の内部には、発熱体86が内蔵され、発熱体86からの伝熱によって下面加熱用プレート72が昇温されるようになっており、さらに、下面加熱用プレート72の上面には、加熱時に基板Gを支持するための複数の支持部材93が設けられており、

ロードロック装置22は、密閉構造のチャンバ101を備え、チャンバ101は下段のロードロック装置21のチャンバ61の上面に載せられており、チャンバ101の内部は、基板Gを収納するロードロック室102となっており、
ロードロック室102内には、基板Gを保持するための複数の支持部材110が備えられており、各支持部材110は略棒状をなし、チャンバ101の底部から上方に突出するように設けられており、各支持部材110の上端部に基板Gの下面を載せることにより、基板Gを略水平に保持するようになっており、
ロードロック室102内には、基板Gを冷却する上面冷却用プレート111、及び、下面冷却用プレート112が備えられており、
下面冷却用プレート112は、支持部材110に支持された基板Gの下面側に配置され、前述した支持部材110は、下面冷却用プレート112に形成された複数の孔128内にそれぞれ配置されており、
下面冷却用プレート112も基板Gに対して近接及び離隔させることが可能な構成とされており、また、ロードロック装置21における下面加熱用プレート72と同様に、下面冷却用プレート112の上面に、基板Gを支持するための支持部材を設け、基板Gの冷却時に支持部材110から基板Gを受け取る構成としても良い、ロードロック装置5。」

2 引用文献2について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2(特開2002-158273号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【0032】
図1はこの発明の真空処理装置の構成例を示す説明図である。また、図2は、図1のI-I線に沿って切った断面図である。図3は、図1のV-V線に沿って切った断面図である。
【0033】
図1に示す真空処理装置10は、枚葉式装置であって搬送機構を具える搬送室12に隣接させて、第1および第2真空処理室14および16が配置されている。また、搬送室12に隣接させて、ロードロック室18も配置されている。
【0034】
これら搬送室12と真空処理室14および16との間、搬送室12とロードロック室18との間は、基板の搬入および搬出ができ、かつ、各室をそれぞれ隔離するように、それぞれ仕切り弁(ゲートバルブ)20で仕切られている。また、各ロードロック室18と大気側との間にも仕切り弁20が設けられている、なお、この例では、真空処理室が2つ設けられているが、図1の点線で示すように、基板に対して行う処理の種類に応じてもう1つ処理室を増設することが可能である。この処理室は、基板に対する加熱処理あるいは冷却処理を行う熱処理室としてもよい。
【0035】
また、図2の断面図から明らかなように、この真空処理装置10において、ロードロック室18は2つ設けられている。これら2つのロードロック室18aおよび18bは搬送室12に、互いに離間した状態で鉛直方向(図2のZ方向)に重ねて配置されている。また、各ロードロック室18a(18b)は、基板19を水平保持している。すなわち、基板19の面積の広い被処理面19xが水平面と平行となっており、かつ基板の面積の狭い側面19yが鉛直方向(Z方向)と平行となるように保持されている。なお、水平面は、図1のX方向とY方向とで形成される平面(XY面と称する場合もある。)とする。」

「【0049】
図4は図1の装置を応用したものである。図4では、第1および第2ロードロック室18aおよび18bとは別に第3および第4ロードロック室18cおよび18dが設けられている。例えば第3ロードロック室18cは加熱手段を具え、第4ロードロック室18dは冷却手段を具えているものとする。これにより、第1および第3ロードロック室18aおよび18cでそれぞれ加熱処理を行うことができ、同様に第2および第4ロードロック室18bおよび18dでそれぞれ冷却処理を行うことができるので、装置の処理能力を向上させることができる。これら第1?第4ロードロック室18a?18dは、搬送室12の1つの壁面12aにそれぞれゲートバルブ20を介して設けられており、互いに離間した状態で鉛直方向(Z方向:垂直方向とも称する。)に重ねて配置されている(図4)。
【0050】
ロードロック室の数は、上限が4つに限定されるものではなく、配置に余裕があり、目標のスループットを達成するのに必要であれば、これ以上設けてあってもよい。
【0051】
また、真空処理装置で行う処理で冷却処理を行う必要が無い場合には、第1?第4ロードロック室18a?18dのうちの全ての室を加熱手段を具えたロードロック室としてもよい。逆に加熱処理を行う必要が無い場合には、第1?第4ロードロック室18a?18dのうちの全ての室を冷却手段が設けられたロードロック室としてもよい。加熱手段および冷却手段は、ヒートポンプその他の好適な加熱または冷却手段とする。複数のロードロック室のうち、加熱手段を設ける室の数および冷却手段を設ける室の数の設定は、装置の処理能力および処理条件によって、適宜設定すればよい。」

3 引用文献3について
原査定で、周知技術を示す文献として引用された引用文献3(特開2003-282462号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている。
「【0011】
【課題を解決するための手段】本発明のシャワープレートは、プロセスガスをウェハ表面に供給するプラズマ発生装置用のシャワープレートであって、アルミナを99.5重量%以上含有し、気孔率が30?65%のセラミック多孔質体からなることを特徴とするものである。」

4 引用文献4について
原査定で、周知技術を示す文献として引用された引用文献4(特開2008-205219号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている。
「【要約】 (修正有)
【課題】成膜用のガスのイオン化率を向上させ成膜効率を向上させるとともに、製作が容易なシャワーヘッドおよびこれを用いたCVD装置の提供。
【解決手段】処理チェンバー10内にワーク20に対向する配置にシャワーヘッド40が配置され、シャワーヘッドの背面側に設けられたガス導入口12からワークの表面に窒化物を成膜するためのガスをシャワーヘッドに供給し、シャワーヘッドとワークとの間に高周波を印加して、プラズマを発生させ、ワークに成膜するCVD装置であって、前記シャワーヘッドが、金属からなるシャワープレート42と、その背面側にシャワープレートに当接して配置される多孔質プレート44とを備え、前記シャワープレートのワークに対向するプレート部には、該プレート部を厚さ方向に貫通する複数のガス拡散孔42aが設けられ、前記多孔質プレートは前記ガス拡散孔をすべて遮蔽する形状および配置に設けられていることを特徴とする。」

5 引用文献5について
原査定で、周知技術を示す文献として引用された引用文献5(特開2011-11929号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている。
「【0025】
本発明のセラミックス多孔質焼結体において、多孔質とは、少なくとも10%の気孔率を有することを意味する。気孔率は10?40%とすることが好ましい。このような範囲であれば、フィルター、ガス分散板、真空吸着装置等に好適である。特に、本発明のセラミックス多孔質焼結体は、プラズマに対する耐食性に優れているので、プラズマに曝されるシャワープレート等の半導体製造装置用部材に適用することができる。」

第4 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
ア 本願発明1と引用発明Aとを対比すると、次のことがいえる。

(ア)引用発明Aの「第二のロードロック装置22」、「第一のロードロック装置21」、「下面冷却用プレート190」、「下面加熱用プレート72」は、それぞれ、本願発明1の「第1チャンバ容積」、「第2チャンバ容積」、「冷却基板支持アセンブリ」、「加熱基板支持アセンブリ」に相当する。

(イ)引用発明Aのロードロック装置は、「搬入出部2と処理部3との間に設置されており」、第一のロードロック装置21は、「搬入口63、及び、搬出口64を有する」ものであり、第二のロードロック装置22は、「搬入口103及び搬出口104を有する」ものであり、「第一のロードロック装置21と第二のロードロック装置22は、上下に積み重ねて備えられており」、「ロードロック装置21には、搬入口63を開閉するゲートバルブ25と、ロードロック装置21の搬出口64を開閉するゲートバルブ26が設けられており、ロードロック装置22には、搬入口103を開閉するゲートバルブ27と、搬出口104を開閉するゲートバルブ28が設けられており、かかる構成において、各ゲートバルブ25、28を閉じることにより、搬入出部2の雰囲気とロードロック装置21、22内の雰囲気とをそれぞれ遮断できるようになっており、また、各ゲートバルブ26、27を閉じることにより、処理部3の雰囲気とロードロック装置21、22内の雰囲気とをそれぞれ遮断できるようになって」いるから、本願発明1と引用発明Aとは、「第1チャンバ容積は、基板を搬送するために構成された2つの開口部を介して2つの環境に選択的に接続可能であり、第2チャンバ容積は、2つの環境のうちの少なくとも1つに選択的に接続され、第1チャンバ容積及び第2チャンバ容積は鉛直方向に積み重ねられている」ものである点で一致する。

また、引用発明Aでは、「第一のロードロック装置21と第二のロードロック装置22は、上下に積み重ねて備えられており」、「ロードロック装置21は、密閉構造のチャンバ61を備え」「ロードロック装置22は、密閉構造のチャンバ101を備え、チャンバ101は下段のロードロック装置21のチャンバ61の上面に載せられて」いるから、本願発明1と引用発明Aとは、「互いに分離した第1チャンバ容積及び第2チャンバ容積」を含むロードロック装置である点で共通する。

(ウ)引用発明Aにおける「下面冷却用プレート190」は、第二のロードロック装置22が備えるチャンバ101の内部のロードロック室102内に備えられており、「基板Gは下面冷却用プレート190に密着した状態で確実に保持され」、また、冷却用ガスは、「基板Gの下面全体に供給され、下面冷却用プレート190は、基板Gの下面側に配置され」ているから、本願発明1と引用発明Aとは、「第1チャンバ容積内に配置され、基板を上で支持して冷却するように構成された冷却基板支持アセンブリ」を含む点で一致する。

(エ)引用発明Aにおける「下面加熱用プレート72」は、第一のロードロック装置21が備えるチャンバ61の内部のロードロック室62内に備えられており、「下面加熱用プレート72の上面には、加熱時に基板Gを支持するための複数の支持部材93が設けられている」いるから、本願発明1と引用発明Aとは、「第2チャンバ容積内に配置され、基板を上で支持するように構成された加熱基板支持アセンブリ」を含む点で一致する。

(オ)引用発明Aにおける「上面加熱用プレート71」は、第一のロードロック装置21が備えるチャンバ61の内部のロードロック室62内に備えられており、「多孔質(porous)の基材からなり通気性を有するプレート本体75と、プレート本体75中に通過させる加熱用ガスを供給する加熱用ガス供給路76とを備えており、加熱用ガス供給路76に加熱用ガスを供給すると、プレート本体75中に加熱用ガスを浸透させることができ、加熱用ガスは、プレート本体75の下面に向かい、通気性保護膜81を通過して、下方に噴き出すようになっており、このようにプレート本体75の下面から加熱用ガスを吹き付けることによって、また、通過する加熱用ガスによって加熱されたプレート本体75から放射される熱によって、基板Gが加熱されるようになって」、「上面加熱用プレート71においては、供給管77から導入された加熱用ガスは、下部板75b全体に均等に加熱用ガスが通過し、通気性保護膜81の下面の細孔全体から、加熱用ガスが均等な流量で噴き出すので、基板Gの上面全体を均等に加熱することができ」るものであるから、供給管77から導入された加熱用ガスを分配し、基板に対してシャワー状にガスを供給するものといえる。
したがって、本願発明1と引用発明Aとは、「第2チャンバ容積内に配置されたガス分配アセンブリであって、加熱基板支持アセンブリの上方に配置され、内部に配置された基板を処理するための第2チャンバ容積に処理ガスを供給するように構成されたガス分配シャワーヘッドを含むガス分配アセンブリ」を含む点で一致する。

(カ)したがって、本願発明1と引用発明Aとの間には、次の一致点、相違点があるといえる。
<一致点A>
「互いに分離した第1チャンバ容積及び第2チャンバ容積を含み、
第1チャンバ容積は、基板を搬送するために構成された2つの開口部を介して2つの環境に選択的に接続可能であり、第2チャンバ容積は、2つの環境のうちの少なくとも1つに選択的に接続され、第1チャンバ容積及び第2チャンバ容積は鉛直方向に積み重ねられており、
第1チャンバ容積内に配置され、基板を上で支持して冷却するように構成された冷却基板支持アセンブリと、
第2チャンバ容積内に配置され、基板を上で支持するように構成された加熱基板支持アセンブリと、
第2チャンバ容積内に配置されたガス分配アセンブリであって、
加熱基板支持アセンブリの上方に配置され、内部に配置された基板を処理するための第2チャンバ容積に処理ガスを供給するように構成されたガス分配シャワーヘッドを含むガス分配アセンブリを含むロードロック装置。」

<相違点>
<相違点A1>
本願発明1は、「互いに分離した第1チャンバ容積及び第2チャンバ容積を画定するチャンバ本体アセンブリ」を含む「ロードロックチャンバ」であるのに対し、引用発明Aは、第二のロードロック装置22と第一のロードロック装置21は「互いに分離した」ものであるものの、本願発明1のように「チャンバ本体アセンブリ」であるか否か不明であり、また、ロードロック装置が「ロードロックチャンバ」であるか否か不明である点。
<相違点A2>
本願発明1は、「冷却基板支持アセンブリに対して移動可能であり、冷却基板支持アセンブリと外部基板ハンドリング装置との間で基板を搬送するように操作可能なリフトピンアセンブリ」を含むのに対し、引用発明Aでは、下面冷却用プレート190は、そのようなものではない点。
<相違点A3>
本願発明1は、「第1チャンバ容積内の冷却基板支持アセンブリの上方に移動可能に配置された基板支持棚」を含むのに対し、引用発明Aは、そのような構成を含むものではない点。
<相違点A4>
本願発明1は、「リフトピンアセンブリと基板支持棚を同時に移動させるように構成されたリフトアセンブリ」を含むのに対し、引用発明Aでは、本願発明1のようなリフトアセンブリを含むものではない点。

イ 同様に、本願発明1と引用発明Bとを対比する。
引用発明Bにおいて、「下面冷却用プレート112」は、「保持部材に沿って移動させながら昇降するようになって」おり、「略棒状」の「複数の保持部材」を含むから、本願発明1と引用発明Bとは、「ピンアセンブリ」を含み、「冷却基板支持アセンブリは、ピンアセンブリに対して相対移動可能」である点で共通する。

したがって、本願発明1と引用発明Bとの間には、次の一致点、相違点があるといえる。
<一致点B>
「互いに分離した第1チャンバ容積及び第2チャンバ容積を含み、
第1チャンバ容積は、基板を搬送するために構成された2つの開口部を介して2つの環境に選択的に接続可能であり、第2チャンバ容積は、2つの環境のうちの少なくとも1つに選択的に接続され、第1チャンバ容積及び第2チャンバ容積は鉛直方向に積み重ねられており、
第1チャンバ容積内に配置され、基板を上で支持して冷却するように構成された冷却基板支持アセンブリと、
ピンアセンブリと、
第2チャンバ容積内に配置され、基板を上で支持するように構成された加熱基板支持アセンブリと、
第2チャンバ容積内に配置されたガス分配アセンブリであって、
加熱基板支持アセンブリの上方に配置され、内部に配置された基板を処理するための第2チャンバ容積に処理ガスを供給するように構成されたガス分配シャワーヘッドを含み、
冷却基板支持アセンブリは、ピンアセンブリに対して相対移動可能である、ガス分配アセンブリを含むロードロック装置。」

<相違点>
<相違点B1>
本願発明1は、「互いに分離した第1チャンバ容積及び第2チャンバ容積を画定するチャンバ本体アセンブリ」を含む「ロードロックチャンバ」であるのに対し、引用発明Bは、第二のロードロック装置22と第一のロードロック装置21は「互いに分離した」ものであるものの、本願発明1のように「チャンバ本体アセンブリ」であるか否か不明であり、また、ロードロック装置5が「ロードロックチャンバ」であるか否か不明である点。
<相違点B2>
本願発明1は、「冷却基板支持アセンブリに対して移動可能であり、冷却基板支持アセンブリと外部基板ハンドリング装置との間で基板を搬送するように操作可能なリフトピンアセンブリ」を含むのに対し、引用発明Bでは、下面冷却用プレート112は、「保持部材に沿って移動させながら昇降するようになって」おり、保持部材に対して「相対移動可能」となっているものの、本願発明1のようなものではない点。
<相違点B3>
本願発明1は、「第1チャンバ容積内の冷却基板支持アセンブリの上方に移動可能に配置された基板支持棚」を含むのに対し、引用発明Bは、そのような構成を含むものではない点。
<相違点B4>
本願発明1は、「リフトピンアセンブリと基板支持棚を同時に移動させるように構成されたリフトアセンブリ」を含むのに対し、引用発明Bでは、本願発明1のようなリフトアセンブリを含むものではない点。

(2)相違点についての判断
ア 引用発明Aに対する進歩性について(相違点A1?A4について)
(ア)まず、相違点A2?A4について、まとめて検討する。
相違点2、3に係る本願発明1の「移動可能に配置された基板支持棚」という構成は、「冷却支持アセンブリに対して移動可能」である、「リフトピンアセンブリ」と「同時に移動させるように構成された」ものと解される。
一方、引用発明Aは、下面冷却用プレート190に対して移動可能なリフトピンアセンブリを含むものではなく、引用文献1には、第二のロードロック室22内に、下面冷却用プレート190に対して移動可能なリフトピンアセンブリに加え、更に、「移動可能に配置された基板支持棚」を含む構成は記載も示唆もされていない。
また、基板の冷却を行うロードロックチャンバにおいて、冷却を行う基板支持部材に対して移動可能なリフトピンを備えるものは周知であり、下記の周知例A?Cに記載されているものの、当該リフトピンに加え、更に、「移動可能に配置された基板支持棚」を含む構成は、周知例A?Cには記載も示唆もされていない。

a 周知例A:特開2011-166107号公報
「【0038】
<ロードロック装置>
次にロードロック装置について説明する。上記2つのロードロック装置20A、20Bは全く同様に構成されているで、ここでは一方のロードロック装置20Aの構成について説明する。
【0039】
まず、このロードロック装置20Aは、例えばアルミニウム合金等により箱状に成形されたロードロック用容器70を有している。このロードロック用容器70内に設けられる上記本発明に係る保持体構造26Aは、図3にも示すように容器底部より起立された支柱72の上端に取り付けられている。ここでは上記保持体構造26Aは、半導体ウエハWのサイズよりも少し大きな厚肉の円板状に形成されている。また、この保持体構造26A上には、半導体ウエハWの搬出入時にこの半導体ウエハWを押し上げ、押し下げるリフタ機構74が設けられる。
【0040】
具体的には、このリフタ機構74は、3本(図示例では2本のみ記す)の昇降ピン76を有しており、各昇降ピン76の下端部は円弧状になされた昇降板78により共通に支持されている。そして、この昇降板78は、容器底部を貫通させて設けた昇降ロッド80の上端で支持されると共に、この昇降ロッド80は、アクチュエータ82により昇降可能になされている。また上記昇降ロッド80の貫通部には、上記ロードロック用容器70内の気密性を維持しつつこの昇降ロッド80の昇降を許容するために伸縮可能になされた金属性のベローズ84が設けられる。
【0041】
そして、上記保持体構造26Aには、上記昇降ピン76を挿通させるためのピン挿通孔86が設けられており、半導体ウエハWの搬出入時に上記昇降ピン76を昇降させて、このピン挿通孔86より上方へ出没させることができるようになっている。またロードロック用容器70の底部には、ガス導入口88が設けられている。このガス導入口88には、途中に開閉弁90が介設されたガス導入通路92が接続されており、必要に応じて不活性ガスとして例えばN_(2 )ガスを供給できるようになっている。
【0042】
また容器底部には排気口94が設けられており、この排気口94には、ロードロック用容器70内の雰囲気を排気するための排気手段96が設けられる。具体的には、上記排気手段96は、上記排気口94に連結されたガス通路98を有している。そして、このガス通路98には、開閉弁100及び真空ポンプ102が順次介設されており、ロードロック用容器70内の雰囲気を真空引きできるようになっている。
【0043】
上記保持体構造26Aは、図3乃至図5にも示すように、上記半導体ウエハWの荷重を受けるための保持体本体104と、この上面に形成された複数の支持体収容部106と、この支持体収容部106内に収容されて上端で上記半導体ウエハWを当接して支持しつつ転動可能になされた支持体108とを主に有している。
【0044】
具体的には、上記保持体本体104は、上記半導体ウエハWの直径よりも僅かに大きな肉厚な円板状に成形されており、その上面は平坦面になされている。この保持体本体104は、例えばアルミニウム合金やニッケル合金、或いは窒化アルミニウムやアルミナ等のセラミック材により構成されている。この保持体本体104内には、半導体ウエハWを加熱及び/又は冷却する熱源部110が設けられている。ここでは上記熱源部110としては、冷媒を流す冷却ジャケット112が上記保持体本体104の略全面に亘って埋め込むようにして設けられており、この上面側に支持される半導体ウエハWに冷熱を与えてこれを冷却するようになっている。
【0045】
ここで処理されるべき半導体ウエハWを予熱する場合には、上記熱源部110として上記冷却ジャケット112に替えて抵抗加熱ヒータ等を設けて半導体ウエハWに温熱を与えるようにすればよい。また、半導体ウエハWの冷却と加熱とを選択的にできるようにする場合には、上記熱源部110としてペルチェ素子のような熱電変換素子を設けて、これに流れる電流の方向を必要に応じて切り替えることによって加熱と冷却とを選択的に行うことができるようにすればよい。
【0046】
そして、上記保持体本体104の平坦な上面に、上記支持体収容部106が凹部状に複数個形成されている。ここでは、支持体収容部106は、上記保持体本体104の中周部分に120度間隔で3個設けられ、外周部分に60度間隔で6個設けられ、全体で9個設けられている。尚、これらの個数は特に限定されるものではない。そして、上記各支持体収容部106内にそれぞれ1個の上記支持体108が収容されている。すなわち、上記1つの支持体収容部106とこれに収容される1つの支持体108とで1つの支持体ユニット114が形成され、ここでは全体で9つの支持体ユニット114が設けられることになる。」

b 周知例B:特開2011-174108号公報
「【0024】
図2は、この発明の一実施形態に係る冷却装置42が配置されたロードロック室41(41a又は41b)の一例を概略的に示す断面図である。
【0025】
図2に示すように、ロードロック室41(41a又は41b)は、内部の圧力を、真空処理の圧力と大気圧との間で変換することが可能な真空容器として構成される。このため、ロードロック室41(41a又は41b)は、ガス排気口43を介して内部を排気する排気装置44、及びガス供給口45を介して内部に冷却ガスや大気を供給するガス供給装置46に接続されている。冷却ガスの例としては、窒素(N_(2))ガスやヘリウム(He)ガスを挙げることができる。
【0026】
この発明の一実施形態に係る冷却装置42はロードロック室41(41a又は41b)の内部に配置される。
【0027】
冷却装置42は、下部冷却部材101と、下部冷却部材101の上方に設けられた上部冷却部材102と、加熱されたウエハWを、下部冷却部材101と上部冷却部材102との間で昇降させる被処理体昇降機構103と、を具備する。
【0028】
本例の下部冷却部材101は、内部に冷却機構104aを備え、ウエハWを接触又は近接させた状態で冷却するクーリングプレートとして構成されている。図2に示すクーリングプレートは、ウエハWとの対向面105上にストッパ106を備え、ウエハWを近接させた状態で冷却するタイプのクーリングプレートが示されている。クーリングプレートは、例えば、ロードロック室41(41a又は41b)の底壁上に載置される。
【0029】
上部冷却部材102もまた、内部に冷却機構104bを備え、ウエハWを接触又は近接させた状態で冷却するクーリングプレートとして構成される。冷却機構104a及び104bの例としては、冷却水循環型(水冷型冷却機構)や、ヒートパイプ型(空冷型冷却機構)を挙げることができる。
【0030】
被処理体昇降機構103は、下部冷却部材101の対向面105から突没可能に構成された複数のリフトピン107と、これら複数のリフトピン107を同時に昇降させるリフトピン昇降装置108とを含んで構成されている。
【0031】
また、一実施形態に係る冷却装置42には、上部冷却部材102を昇降させる上部冷却部材昇降機構109を備えている。本例の上部冷却部材昇降機構109は、ロードロック室41(41a又は41b)の底壁を介して上部冷却部材102を、本例では下部冷却部材101側から支持する複数の支持ピン110と、これら複数の支持ピン110を同時に昇降させる支持ピン昇降装置111とを含んで構成されている。
【0032】
次に、冷却装置42の動作について説明する。
【0033】
図3A?図3Cは、冷却装置42の動作の一例を示す側面図である。
【0034】
図3A?図3Cに示すように、冷却装置42は、ウエハWと下部冷却部材101との間隔d1と、ウエハWと上部冷却部材102との間隔d2とを互いに等しくしながら、ウエハWを下部冷却部材101に近づけていく。
【0035】
具体的には、図3Aに示すように、図1に示した搬送装置33を用いて、処理が終了し、加熱されているウエハWをロードロック室41(41a又は41b)に搬入し、ウエハWを、ピック35a又は35bからリフトピン107に受け渡す。この状態では、ロードロック室41(41a又は41b)の内部の圧力は搬送室31の内部と同等の真空度を保っており、ウエハWの放熱はさほど進まない。次いで、ピック35a又は35bを、ロードロック室41(41a又は41b)から引き出し、ゲートバルブG5又はG6を閉じる。次いで、被処理体昇降機構103を作動させ、ウエハWの裏面と下部冷却部材101との間隔d1と、ウエハWの表面と上部冷却部材102との間隔d2とが互いに等しくなるように、ウエハWを、例えば、降下させる。ウエハWを降下させている間は、ロードロック室41(41a又は41b)の内部の圧力は、搬送室31の内部と同等の真空度を保っておく。間隔d1と間隔d2とが等間隔になった時点以降で、ロードロック室41(41a又は41b)の内部に、冷却ガスを供給する。冷却ガスの供給開始と同時、又は供給開始後、冷却機構104a及び104bを作動させる。これにより、ウエハWは、その表面、及び裏面で同時に、冷却ガスによる熱伝達及び輻射による放熱による冷却が開始される。
【0036】
次いで、図3B及び図3Cに示すように、被処理体昇降機構103を用いてウエハWを、さらに、下部冷却部材101側に降下させていくとともに、上部冷却部材昇降機構109を用いて、上部冷却部材102を、間隔d1と間隔d2とが等間隔を保つように降下させていく。」

c 周知例C:特開2007-186757号公報
「【0043】
再び図2において、ロードロック・モジュールLLM_(j)は、ロードロック室14内に、ウエハWを載置して支持する載置台40を設けている。この載置台40の中には、ウエハWを搬送ロボットRB_(1),RB_(2)との受け渡しの際に水平姿勢で上げ下げするためのリフトピン機構(図示せず)が設けられている。また、ロードロック室14内でウエハWに加熱または冷却処理を施す場合は、載置台40にヒータまたは冷却機構が設けられる。」

(イ)したがって、引用発明Aにおいて、相違点A3に係る本願発明1の構成を採用することは、当業者が容易になし得たことということはできない。そうすると、相違点A4に係る本願発明1の構成を採用することも、当業者が容易になし得たことということはできない。
さらに、周知例A?Cを参照した当業者であっても、下面冷却用プレート190に対して、「移動可能」であるリフトピンアセンブリを含むものとする動機付けは見出せない。よって、相違点A2に係る本願発明1の構成を採用することも、当業者が容易になし得たことということはできない。

(ウ)したがって、上記相違点A1について判断するまでもなく、本願発明1は、周知例A?Cを参照したとしても、引用発明Aに基づいて、当業者が容易に発明できたものとはいえない。

イ 引用発明Bに対する進歩性について(相違点B1?B4について)
(ア)まず、相違点B2?B4について、まとめて検討する。
相違点B3とB4は、それぞれ、相違点A3とA4と同様な相違点であり、相違点B2も相違点A2と同様に、本願発明1の「冷却基板支持アセンブリに対して移動可能であり、冷却基板支持アセンブリと外部基板ハンドリング装置との間で基板を搬送するように操作可能なリフトピンアセンブリ」との構成に係る相違点である。
上記ア(ア)で検討したように、引用文献1には、第二のロードロック室22内に、下面冷却用プレート190、112に対して移動可能なリフトピンに加え、更に、「移動可能に配置された基板支持棚」を含む構成は記載も示唆もされていない。
また、上記の周知例A?Cに記載されているように、基板の冷却を行うロードロックチャンバにおいて、冷却を行う基板支持部材に対して移動可能なリフトピンを備えるものは周知であるものの、当該リフトピンに加え、更に、「移動可能に配置された基板支持棚」を含む構成は、周知例A?Cには記載も示唆もされていない。

(イ)したがって、引用発明Bにおいて、相違点B3に係る本願発明1の構成を採用することは、当業者が容易になし得たことということはできない。そうすると、相違点B4に係る本願発明1の構成を採用することも、当業者が容易になし得たことということはできない。
さらに、周知例A?Cを参照した当業者であっても、下面冷却用プレート190に対して、「移動可能」であるリフトピンアセンブリを含むものとする動機付けは見出せない。よって、相違点B2に係る本願発明1の構成を採用することも、当業者が容易になし得たことということはできない。

(ウ)したがって、上記相違点B1について判断するまでもなく、本願発明1は、周知例A?Cを参照したとしても、引用発明Bに基づいて、当業者が容易に発明できたものとはいえない。

ウ 小括
以上のとおり、本願発明1は、周知例A?Cを参照したとしても、引用発明Aまたは引用発明Bに基づいて、当業者が容易に発明できたものであるとはいえない。

2 本願発明2?6について
本願発明2?6も、本願発明1の「第1チャンバ容積内の冷却基板支持アセンブリの上方に移動可能に配置された基板支持棚」と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、周知例A?Cを参照したとしても、引用発明Aまたは引用発明Bに基づいて、当業者が容易に発明できたものとはいえない。

3 本願発明7?9について
本願発明7?9は、デュアルロードロックチャンバに係る発明であり、「第1ロードロックチャンバ及び第2ロードロックチャンバの各々」は、本願発明1の「第1チャンバ容積内の冷却基板支持アセンブリの上方に移動可能に配置された基板支持棚」と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、周知例A?Cを参照したとしても、引用発明Aまたは引用発明Bに基づいて、当業者が容易に発明できたものとはいえない。

第5 原査定の概要及び原査定についての判断
1 原査定は、請求項1、2、5、6、10、12に係る発明について、引用文献1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないというものであり、また、請求項1?6、10?13に係る発明について、上記引用文献1、引用文献2に記載された発明及び引用文献3?5に記載の周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないというものである。

2 しかしながら、平成31年3月4日付け手続補正において、請求項1に係る発明(本願発明1)は、「第1チャンバ容積内の冷却基板支持アセンブリの上方に移動可能に配置された基板支持棚」という構成を有するものとなっており、請求項7(原査定時の請求項10)に係る発明(本願発明7)は、「第1ロードロックチャンバ及び第2ロードロックチャンバの各々」は、「第1チャンバ容積内の冷却基板支持アセンブリの上方に移動可能に配置された基板支持棚」を含むという構成を有するものとなっているところ、上記第4の1(2)ア、イと3で検討したとおり、本願発明1、7は、周知例A?Cを参照したとしても、引用発明Aまたは引用発明B(上記引用文献1に記載された発明)に基づいて、当業者が容易に発明できたものとはいえない。
また、引用文献2?5には、第二のロードロック室22内に、下面冷却用プレート190、112に対して移動可能なリフトピンに加え、更に、「移動可能に配置された基板支持棚」を含む構成は記載も示唆もされていない。

したがって、本願発明1、7は、引用文献1、引用文献2に記載された発明並びに引用文献3?5及び周知例A?Cに記載の技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明できたものとはいえない。

3 そして、原査定時の請求項2、5、6及び12は、平成31年3月4日付けの補正において削除されているから、本願発明1、7は、引用文献1に記載された発明であるとはいえず、また、本願発明1?9は、引用文献1、引用文献2に記載された発明及び引用文献3?5及び周知例A?Cに記載の技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
したがって、原査定を維持することはできない。

第6 当審拒絶理由について
1 理由1:特許法第29条第2項(進歩性)について
(1)当審では、請求項1に係る発明は、引用文献1に記載された発明、及び下記の周知例1、2に記載の周知技術1、周知例3?5(それぞれ上記周知例A?C)に記載の周知技術2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、請求項2、3、10に係る発明は、引用文献1に記載された発明、並びに下記の周知例1、2に記載の周知技術1、周知例3?5(上記周知例A?C)に記載の周知技術2、周知例1、2及び下記の周知例6(原査定の拒絶の理由で引用された上記引用文献2)に記載の技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、請求項9に係る発明は、引用文献1に記載された発明、並びに下記の周知例1、2に記載の周知技術1、周知例3?5(上記周知例A?C)に記載の周知技術2、下記の周知例6(原査定の拒絶の理由で引用された上記引用文献2)及び下記の周知例7に記載の技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、請求項12に係る発明は、引用文献1に記載された発明、並びに下記の周知例1、2に記載の周知技術1、周知例3?5(上記周知例A?C)に記載の周知技術2、及び周知例1、2に記載の技術常識に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとの拒絶の理由を通知している。

ア 周知例1:特表2012-501549号公報
「【0016】
図1は、大面積基板(例えば、約1.0平方メートルを超える面積を有する基板)を処理するのに適したプロセスシステム150の一実施形態の上面図である。プロセスシステム150は、ロードロックチャンバ100によってファクトリインタフェース112に結合される搬送チャンバ108を含んでもよい。搬送チャンバ108は、複数の外接するプロセスチャンバ132とロードロックチャンバ100の間で基板を搬送するために適合される、少なくとも1つのデュアルブレード真空ロボット134を内部に配置してもよい。一実施形態では、プロセスチャンバ132のうちの1つは、システム150のスループットを高めるために、処理前に基板を熱的に調整するプレヒート(前加熱)チャンバである。搬送チャンバ108は真空状態に維持されてもよく、これによって夫々の基板の移動後に、搬送チャンバ108と個々のプロセスチャンバ132の間における圧力を調整する必要性を排除できる。
【0017】
ファクトリインタフェース112は、複数の基板格納カセット138及びデュアルブレード大気用ロボット136を含んでもよい。カセット138は、ファクトリインタフェース112の片側に形成される複数のベイ140内に取り外し可能に配置されてもよい。大気用ロボット136は、カセット138とロードロックチャンバ100の間で基板110を搬送してもよい。ファクトリインタフェース112は、大気圧に、又は大気圧より若干高く維持されてもよい。
【0018】
図2は、マルチチャンバロードロックチャンバ200の一実施形態の断面図である。ロードロックチャンバ200は、垂直に積み重ねられ、周囲から隔離される複数のチャンバを含むチャンバ本体212を有し、これらのチャンバは、耐真空性の水平な内壁214によって分離される。図2に示される実施形態には、3つの単一基板チャンバ220、222、224が示されているが、ロードロックチャンバ200のチャンバ本体212は、2以上の垂直に積み重ねられたチャンバを含んでもよいことが理解される。例えば、ロードロックチャンバ200は、N-1個の水平な内壁214によって分離されるN個の基板搬送チャンバを含んでもよく、ここでNは1より大きい整数である。基板チャンバ220、222、224は、単一の大面積基板201を収容するために夫々構成され、これによって夫々のチャンバ容積は、高速ポンピング及び通気サイクルを高めるために最小化できる。
【0019】
チャンバ本体212は、第1側壁202、第2側壁204、第3側壁206、底面208、及び上面210を含む。本体212は、真空条件下の使用に適した堅い材料で作られてもよい。一実施形態では、チャンバ本体212は、アルミニウムの単一ブロック(例えば、1つの部材)で作られる。あるいはまた、チャンバ本体212は、モジュールセクションで作られてもよく、夫々のモジュールセクションは、基板チャンバ220、222、224のうちの1つの部分を含み、真空保全を維持するのに適した方式(参照番号218で示される連続溶接など)で組み立てられてもよい。
【0020】
図2に示される実施形態では、内壁214と、第2側壁206以外のチャンバ本体212の残りの部分は、1つの接触する材料の塊から作られてもよい。第2側壁206は、チャンバ本体212の他の部分に密閉可能に結合されてもよく、これによって基板チャンバ220、222、224の機械加工を容易にし、製造及び組立の間に、チャンバ本体212の内部にアクセスできる。
【0021】
チャンバ本体212内に画定される夫々の基板チャンバ220、222、224は、2つの基板アクセスポートを含む。ポートは、ロードロックチャンバ200からの基板201の出入りを促進するように構成される。図2に示される実施形態では、チャンバ本体212の底部208に配置される第1基板チャンバ220は、第1基板アクセスポート及び第2基板アクセスポート232を含む。第1基板アクセスポート230は、チャンバ本体212の第1側壁202を貫通して形成され、第1基板チャンバ220を処理システムの中央の搬送チャンバ209に結合する。第2基板アクセスポート232は、チャンバ本体212の第2壁204を貫通して形成され、第1基板チャンバ220をファクトリインタフェース211に結合する。図2に示される実施形態では、基板アクセスポート230、232は、チャンバ本体212の反対側に配置される。しかしながら、ポート230、232は、その代わりに本体212の隣接する壁上に配置されてもよい。」

「【0031】
図5は、本発明の一実施形態に係るロードロックチャンバ500の概略図である。図5に示される実施形態では、ロードロックチャンバ500は、垂直に積み重ねられるモジュールセクション504、506、508を含むチャンバ本体502を含む。夫々のモジュールセクション504、506、508は、基板アクセスポート514、516、518を含む。夫々のモジュールセクション504、506、508の側壁上には、複数の真空ポート524、526、528がある。一実施形態では、真空ポート524、526、528は、基板平面の上方の側壁に配置されるかもしれない。別の実施形態では、真空ポート524、526、528は、基板平面の下方の側壁に配置されるかもしれない。真空ポート524、526、528は、1組として垂直にグループ化されてもよく、真空パイプ512を通して真空ポンプ510に接続されてもよい。この実施形態では、ただ1つの真空ポンプだけが示され、真空ポートの組に接続されている。しかしながら、他の実施形態は、夫々の組の垂直に積み重ねられた真空ポート用に1つの真空ポンプ、又はプロセスパラメータに依存する夫々の真空ポート用に1つの真空ポンプを使用してもよい。また、モジュールセクションを垂直方式で積み重ねることによって、モジュールセクションの保全は高められるかもしれず、真空吸引によって引き起こされるモジュールセクションへのひずみも軽減するかもしれない。」

イ 周知例2:特開2006-5348号公報
「【0014】
[0026]図2は、大面積基板(例えば、平面積が約0.16平方メートルより大きなガラス又はポリマー基板)を処理するのに適した処理システム250の一実施形態の平面図である。プロセスシステム250は、典型的には、ロードロックチャンバ200のによってファクトリインタフェース232に結合した搬送チャンバ208を含んでいる。搬送チャンバ208は、そこに配置される少なくとも1つの真空ロボット234を有し、複数の外接プロセスチャンバ232とロードロックチャンバ200との間で基板を搬送させるように適合している。任意により、プロセスチャンバ232の1つは、システム250の処理量を高めるために処理前に基板を熱的に調整する予熱チャンバであってもよい。典型的には、搬送チャンバ208は、各基板搬の送後に搬送チャンバ208と個々のプロセスチャンバ232間の圧力を調節する必要性を取り除くために真空条件に維持される。
【0015】
[0027]ファクトリインタフェース212は、一般的には、複数の基板保管カセット238と少なくとも1つの大気ロボット236を含んでいる。カセット238は、一般的には、ファクトリインタフェース212の片側に形成される複数のベイ240に移動可能に配置される。大気ロボット236は、カセット238とロードロックチャンバ200間で基板210を搬送するように適合している。典型的には、ファクトリインタフェース212は、大気圧で又は大気圧よりわずかに高い圧力で維持される。
【0016】
[0028]図3は、図2のロードロック200の一実施形態の断面図である。ロードロックチャンバ200は、ファクトリインタフェース212と搬送チャンバ208間で通路316をシールするように適合したスリットバルブドアアセンブリ300_(i)を含んでいる。…(略)…
【0017】
[0029]図3に示される実施形態においては、ロードロックチャンバ200は、真空密着水平内部壁314によって分けられた、垂直に積重ねた環境的に分離された複数の基板搬送チャンバを含むチャンバ本体312を有する。3つの単一基板搬送チャンバ320、322、324は図3に示される実施形態で示されているが、ロードロックチャンバ200のチャンバ本体312は、垂直に積重ねた2つ以上の基板搬送チャンバを含むことができる。例えば、ロードロックチャンバ200は、N-1個の水平内部壁314によって分けられたN個の基板搬送チャンバを含むことができ、ここで、Nは1を超える整数である。
【0018】
[0030]基板搬送チャンバ320、322、324は、各々単一大面積基板210を収容するように構成されるので、速い排気と吸気サイクルを強化するために各チャンバ容積は最小にすることができる。図3に示される実施形態においては、各基板搬送チャンバ320、322、324の内容積は、平面積が約3.7平方メートルである基板を収容するために約2000リットル未満、一実施形態においては1000リットルである。他の幅、長さ及び/又は高さを有する本発明の基板搬送チャンバは、異なるサイズの基板を収容するように構成することができることが予想される。
【0019】
[0031]チャンバ本体312は、第一側壁302、第二側壁304、第三側壁306、底面308及び最上面310を含んでいる。第四側壁318(部分的に図3に示されている)は、第三側壁306の反対側にある。本体312は、真空条件下に用いるのに適した剛体材料から製造される。チャンバ本体312は、アルミニウム又は他の適した物質の単一ブロック(例えばワンピース)から製造され、又はモジュラーセクションからも製造される。」

ウ 周知例6:特開2002-158273号公報(原査定の拒絶の理由で引用された上記引用文献2)
「【0052】次に図5に示す構成の真空処理装置30では、搬送室12に隣接させて、第1?第4真空処理室32,34,36,38、基板搬入用ロードロック室(単にロードロック室とも称する。)40および基板搬出用ロードロック室(単にアンロードロック室とも称する。)42が配設されている。
【0053】この構成例のロードロック室40および42は、互いに離間した状態で水平方向(X方向:ロードロック室と真空処理室とを結ぶ方向(Y方向)に直交する方向)に並べて配置されている。また、この例では、水平方向(X方向)に並べて配置されたロードロック室40および42のうち、一方を基板搬入用ロードロック室(ロードロック室)40とし、他方を基板搬出用ロードロック室(アンロードロック室)42とする。
【0054】これらロードロック室40,42と搬送室12との間、各真空処理室32,34,36,38と搬送室12との間は、基板の搬入および搬出ができるように、それぞれ仕切り弁(ゲートバルブ)20で仕切られている。
【0055】このような真空処理装置30での基板処理は、例えば、まず、基板をロードロック室40に搬送した後、このロードロック室40内を所定圧力まで真空排気する。次に、このロードロック室40内で基板に対する加熱処理を行った後、基板を搬送手段により搬送室12を介して例えば第1真空処理室32に搬送する。この装置には真空処理室が4つ設けられているが、基板に対して行う処理に応じて処理室を選ぶことができる。この例では、第1真空処理室32を選択する。第1真空処理室32で基板に対して所望の処理が行われた後、基板は、搬送室12に戻される。その後、基板に対して次に行う処理に応じて、搬送手段により第2真空処理室34、第3真空処理室36および第4真空処理室38のうちのいずれかの処理室に基板を搬送する。また、1つの処理室での処理終了後、他の処理室での処理を必要としない場合には、搬送手段により基板をアンロードロック室42に搬送する。基板に対する所望の処理が行われた後は、搬送手段を用いて基板をアンロードロック室42に搬送する。その後、アンロードロック室42で必要があれば、基板に対して冷却処理を行う。その後、アンロードロック室42内を真空雰囲気から大気圧雰囲気に戻して、処理済の基板を取り出す。
【0056】上記第1?第4真空処理室32,34,36,38は、それぞれ基板に対して異なる処理が行われる処理室であってもよいし、同じ処理が行われる処理室であってもよい。また、第1?第4真空処理室32,34,36,38内で、基板に対する処理を順次に行ってもよいし、必要な処理を、第1?第4真空処理室32,34,36,38から任意に選んで行ってもよい。また、真空処理室のうち、少なくとも1つ以上を熱処理室とする構成も当然可能である。
【0057】また、ロードロック室40を図6(A)に示すように、2つ、互いに離間した状態で垂直方向に重ねて配置してもよい。これを第1ロードロック室40aおよび第2ロードロック室40bとする。同様に、図6(B)に示すように、アンロードロック室42として、第1アンロードロック室42aおよび第2アンロードロック室42bの2つの室を、互いに離間した状態で垂直方向(Z方向)に重ねて配置してあってもよい。なお、第1および第2ロードロック室40aおよび40bは加熱手段を具え、第1および第2アンロードロック室42aおよび42bは冷却手段を具えている。
【0058】ロードロック室40は、第1および第2ロードロック室40aおよび40bの2つに限られるものではなく、垂直方向(Z方向)にさらに設けることが出来る。アンロードロック室42についても同様である。
【0059】以上、このような装置を用いることによって、ロードロック室内で、基板を1つずつ加熱処理および/または冷却処理することができる。また、ロードロック室およびアンロードロック室を複数設けてあるので、スループットを向上させることができる。また、ロードロック室およびアンロードロック室は、装置の鉛直(垂直)方向(Z方向)に重ねて配置されているので配置面積は小さくて済む。よって装置の小型化が図れる。
【0060】以上説明した実施の形態では、それぞれ、基板取り入れ専用のロードロック室、基板取り出し専用のアンロードロック室としたが、基板の取り入れに用いたロードロック室に処理済の基板を搬入させて、取り出すような構成としてもよい。

エ 周知例7:特表2006-506818号公報
「【請求項1】
二次元的に拡大化された基板を真空処理するための装置であって、
(a)運搬ロボット装置を備える真空運搬チャンバと、
(b)少なくとも1つの加工物通過開口部により前記真空運搬チャンバと連通する少なくとも1つの処理ステーションを備える処理装置と、
(c)少なくとも1つの加工物通過開口部により前記真空運搬チャンバと、少なくとも1つのさらなる加工物通過開口部により前記真空運搬チャンバおよび前記処理装置外部の雰囲気と連通するロードロック装置と、
(d_(1))1つずつ垂直に配置された前記処理装置と前記ロードロック装置とで形成された単一ロードロックおよび処理タワーとを含む装置。
【請求項2】
(d_(2))各々が1つのロードロック装置と1つの処理装置とで形成された、少なくとも2つのロードロックおよび処理タワーをさらに含む請求項1の特徴(a)(b)および(c)に記載の装置。
…(略)…
【請求項16】
前記ロードロック及び処理タワーのうち排他的2つは、前記真空運搬チャンバの一方の側に互いに並んで配置されるように設けられ、前記タワーと前記真空運搬チャンバは共にU字形設置面を画定する、請求項2に記載の装置。」

「【0033】
図1において、本発明の1つの要部としてロードロックおよび処理タワーLLPT1の側面図を概略的に示す。LLPTはロードロック装置LLAおよび処理装置PMAを含む垂直タワーである。後に例示されるように、ロードロック装置LLAは少なくとも1つの単一基板投入/排出ロードロックチャンバと、少なくとも1つの単一基板投入ロードロックチャンバと、少なくとも1つの単一基板排出ロードロックチャンバと、少なくとも1つの基板一括投入/排出ロードロックチャンバと、少なくとも1つの基板一括投入ロードロックチャンバと、少なくとも1つの基板一括排出ロードロックチャンバとを含み得る。
【0034】
このように、原則的にはLLPT1のロードロック装置LLAは、少なくとも1つのロードロックチャンバを含む。図1のようなロードロック装置LLAは、一方で周囲雰囲気としての外部雰囲気ATと連通し、他方で運搬装置TA2における真空雰囲気Vと連通する。図1における二重線/双方向矢印は、雰囲気AT、ロードロック装置LLAの内部および運搬装置TA2間における、1つ以上の基板の最も一般的な双方向ハンドリングを示す。」

「【0071】
図17乃至図19によると、図12および図13のようなI字型構成に装置を組み合わせる代わりに、U字型装置として設計される。図17によると、2つのLLPT1aおよび1bは、並んだ位置に設けられる。運搬装置TAの真空チャンバにおいて、2つのロボット9aおよび9bが設置され、それぞれは各開口部を介してLLPT1a、1bの一方のモジュールに対して機能する。各ロボット9a、9bは制御可能に駆動されて、垂直方向上下移動v_(a)、v_(b)を提供する。ロボット9a、9bのそれぞれは、さらに各LLPT1a、1bのモジュールに向かってその中に入る、またはそこから出るという水平方向前後移動h_(a)およびh_(b)を提供する。」

(2)しかしながら、平成31年3月4日付けの補正において、請求項1に係る発明(本願発明1)は、「第1チャンバ容積内の冷却基板支持アセンブリの上方に移動可能に配置された基板支持棚」という構成を有するものとなっており、請求項7(補正前の請求項9)に係る発明(本願発明7)は、「第1ロードロックチャンバ及び第2ロードロックチャンバの各々」は、「第1チャンバ容積内の冷却基板支持アセンブリの上方に移動可能に配置された基板支持棚」を含むという構成を有するものとなっているところ、上記第4の1(2)ア、イと3で検討したとおり、本願発明1、7は、周知例A?Cを参照したとしても、引用発明Aまたは引用発明B(上記引用文献1に記載された発明)に基づいて、当業者が容易に発明できたものとはいえない。

(3)また、周知例1?7(うち、周知例1?3は周知例A?Cと同じ。)には、第二のロードロック室22内に、下面冷却用プレート190、112に対して移動可能なリフトピンに加え、更に、「移動可能に配置された基板支持棚」を含む構成は記載も示唆もされていない。

(4)したがって、本願発明1?3(それぞれ補正前の請求項1?3に係る発明)、本願発明7?9(それぞれ補正前の請求項9、10、12に係る発明)は、引用文献1に記載された発明並びに周知技術1、2及び周知例1、2、6、7に記載の技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。よって、この拒絶の理由は解消した。

2 理由2:特許法第36条第6項第1号(サポート要件)について
当審では、請求項1、9では、第1チャンバ容積と第2チャンバ容積が、「鉛直方向に積み重ねられた」ものであることは特定されておらず、請求項1、9及び請求項1、9を引用する請求項4?8、11、12に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものではないとの拒絶の理由を通知しているが、平成31年3月4日付けの補正において、請求項1は、「第1チャンバ容積及び第2チャンバ容積は鉛直方向に積み重ねられているチャンバ本体アセンブリ」と補正され、請求項7(補正前の請求項9)は、「第1チャンバ容積及び第2チャンバ容積は鉛直方向に積み重ねられている第1チャンバ容積及び第2チャンバ容積」と補正された結果、この拒絶の理由は解消した。

3 理由3:特許法第36条第6項第2号(明確性)について
(1)当審では、請求項11には、「冷却基板支持体」と記載されているが、「冷却基板支持アセンブリ」の誤記と認められ、請求項11に係る発明は、明確でないとの拒絶の理由を通知しているが、平成31年3月4日付けの補正において、請求項11が削除された結果、この拒絶の理由は解消した。

第7 むすび
以上のとおり、本願発明1、7は、引用文献1に記載された発明であるとはいえず、また、本願発明1?9は、引用文献1、引用文献2に記載された発明及び引用文献3?5及び周知例A?Cに記載の技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2019-05-08 
出願番号 特願2014-559893(P2014-559893)
審決分類 P 1 8・ 113- WY (H01L)
P 1 8・ 121- WY (H01L)
最終処分 成立  
前審関与審査官 鈴木 聡一郎  
特許庁審判長 加藤 浩一
特許庁審判官 小田 浩
恩田 春香
発明の名称 ロードロック構成内の除害・剥離処理チャンバ  
代理人 安齋 嘉章  

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