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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06F 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 G06F |
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管理番号 | 1351266 |
審判番号 | 不服2017-14156 |
総通号数 | 234 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2019-06-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2017-09-25 |
確定日 | 2019-06-03 |
事件の表示 | 特願2014-524063「クラウドベースの分散永続性及びキャッシュデータモデル」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 2月 7日国際公開、WO2013/019913、平成26年10月23日国内公表、特表2014-528114、請求項の数(20)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は,2012年8月2日(パリ条約による優先権主張2011年8月2日(以下,「優先日」という。);米国)を国際出願日とする出願であって,平成28年8月26日付けで拒絶理由通知がされ,平成28年12月6日に意見書が提出されるとともに手続補正がされ,平成29年5月19日付けで拒絶査定(原査定)がされ,これに対し,平成29年9月25日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がされ,平成30年6月12日付けで当審より拒絶理由(以下,「当審拒絶理由」という。)の通知がなされ,平成30年12月17日に意見書が提出されるとともに手続補正がされたものである。 第2 本願発明 本願請求項1-20に係る発明(以下,それぞれ「本願発明1」-「本願発明20」という。)は,平成30年12月17日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-20に記載された事項により特定される発明であり,本願発明1-20は以下のとおりの発明である。 「 【請求項1】 ページベースのメモリアロケーションをすることなく,分散ファイルシステムの上部に位置するマシンのネットワーク化クラスタの少なくとも1つのノードにメモリの指定された部分を連続スペースとして確保するよう構成されたキャッシュアダプタを備える,分散キャッシュデータシステムであって, 軽量アプリケーションサーバコントローラが,前記キャッシュアダプタ内に,組み込まれ, 前記メモリの指定された部分は,外部クライアントからのデータを格納し,検索し,及び存続させるように構成されたデータセルを備える,前記少なくとも一つのノードにクライアントデータベースからの本質的に異なる物理位置に存在するキャッシュを形成し, 前記キャッシュアダプタは,前記分散キャッシュデータシステムのフロントエンドにある前記クライアントデータベース,及び前記分散キャッシュデータシステムのバックエンドにあり,前記クライアントデータベースと双方向に同期する分散ファイルシステムにインタフェースするよう構成され, 前記キャッシュアダプタは,前記データにアクセスするために,前記分散キャッシュデータシステムの前記フロントエンドにある前記外部クライアントのためのインタフェースを提供するよう構成され, 前記キャッシュアダプタは,ウェブサーバを介して前記外部クライアントに双方向に通信するよう構成され, 前記キャッシュアダプタは,データアクセス要求を前記データセルのうちの適当なデータセルに送るよう構成されていることを特徴とする分散キャッシュデータシステム。 【請求項2】 前記キャッシュアダプタは,前記データを関係又は非関係データベーステーブルフォーマットで格納するよう構成されている,請求項1に記載の分散キャッシュデータシステム。 【請求項3】 前記キャッシュアダプタは,ジャバデータベース接続性インタフェースを使用して前記クライアントデータベース及び前記分散ファイルシステムにインタフェースするよう構成されている,請求項1に記載の分散キャッシュデータシステム。 【請求項4】 前記キャッシュアダプタは,前記キャッシュを通過することなく前記分散ファイルシステムに存在する前記データに直接アクセスするよう構成されている,請求項1に記載の分散キャッシュデータシステム。 【請求項5】 前記キャッシュアダプタは,前記クライアントデータベースからのデータ要求に応じて,前記データが前記キャッシュ内で利用可能かどうか最初にチェックするよう構成されており, 前記キャッシュが前記要求されたデータを有する場合,前記キャッシュは,前記キャッシュから前記データを送出し, 前記データが前記キャッシュ内に存在しない場合,前記キャッシュアダプタは,前記分散ファイルシステムから前記データを検索し,次に前記要求されたデータを前記クライアントに直接送出するか又は前記データを前記クライアントデータベースに送信する前に前記データをキャッシュする,請求項1に記載の分散キャッシュデータシステム。 【請求項6】 前記キャッシュアダプタは,構造化関係データフォーマットで前記キャッシュから前記データを取り出し,次に前記データを分散ファイルシステム及び非構造化した中間データベースの1つに変換するよう構成されており, 前記キャッシュアダプタは,戻り経路で,分散ファイルシステム,又は前記中間データベースからの非構造化した前記データをキャッシュ準拠フォーマットに変換するよう更に構成されている,請求項1に記載の分散キャッシュデータシステム。 【請求項7】 前記クライアントデータベースは,移動マシン固有のアプリケーション又はHTMLアプリケーションクライアントの1つを含む,請求項1に記載の分散キャッシュデータシステム。 【請求項8】 前記クライアントデータベースは,プレゼンテーション層,クライアントデータベース,及び前記キャッシュアダプタへの永続ソケット接続を含む,請求項7に記載の分散キャッシュデータシステム。 【請求項9】 前記キャッシュは,分散ファイルシステムの上部の少なくとも1つのノードに位置する,請求項1に記載の分散キャッシュデータシステム。 【請求項10】 前記キャッシュアダプタは,前記キャッシュアダプタにインタフェースするアプリケーションのためのSQLインタフェースを備えた関係データベースとして機能する,各ユーザのためのキャッシュの固有のインスタンスを作成する,請求項1に記載の分散キャッシュデータシステム。 【請求項11】 前記キャッシュアダプタは,前記分散ファイルシステムの前に存在する,請求項1に記載の分散キャッシュデータシステム。 【請求項12】 前記キャッシュは,前記マシンのネットワーク化クラスタが構成ファイル内に記述する全ての指定された部分にわたって広がる連続スペースである,請求項1に記載の分散キャッシュデータシステム。 【請求項13】 データシステムにおいてキャッシュデータを分散させるための方法であって, ページベースのメモリアロケーションを用いることなく,キャッシュアダプタを用いて,分散ファイルシステムの上部に位置するマシンのネットワーク化クラスタの少なくとも1つのノードにメモリの指定された部分を連続スペースとして確保する段階と, 軽量アプリケーションサーバコントローラを,前記キャッシュアダプタ内に,組み込む段階と, 外部クライアントからのデータを格納し,検索し,及び存続させるよう構成されたデータセルを含む前記メモリの指定された部分を用いて,クライアントデータベースとは本質的に異なる物理的位置に存在するキャッシュを形成する段階と, 分散キャッシュデータシステムのフロントエンドにある前記クライアントデータベース及び,前記分散キャッシュデータシステムのバックエンドにあり,前記クライアントデータベースと双方向に同期する分散ファイルシステムをインタフェースする段階と, 前記キャッシュアダプタを用いて前記データにアクセスするためにウェブサーバを介して前記外部クライアントにインタフェースを提供する段階と, 前記キャッシュアダプタを用いて前記ウェブサーバを介して前記外部クライアントと双方向に通信する段階と, 前記キャッシュアダプタを用いてアクセス要求を前記データセルのうちの適当なデータセルに送る段階と, を含む方法。 【請求項14】 関係又は非関係データベーステーブルフォーマットで前記データを格納する段階を更に含む,請求項13に記載の方法。 【請求項15】 ジャバデータベース接続性を使用して前記データ及び前記分散ファイルシステムをインタフェースする段階を更に含む,請求項13に記載の方法。 【請求項16】 前記キャッシュを通過することなく前記分散ファイルシステムに存在する前記データに直接アクセスする段階を更に含む,請求項13に記載の方法。 【請求項17】 分散キャッシュデータシステムであって, キャッシュアダプタを備え, 前記キャッシュアダプタは, 前記キャッシュアダプタ内に,組み込まれる軽量アプリケーションサーバコントローラと, ページベースのメモリアロケーションを用いることなく,分散ファイルシステムの上部に位置するマシンのネットワーク化クラスタの少なくとも1つのノードにキャッシュを形成するためのメモリの指定された部分を連続スペースとして確保するための手段であって,前記メモリの指定された部分は,外部クライアントからのデータを格納し,検索し,及び存続させるよう構成されたデータセルを備える,クライアントデータベースとは本質的に異なる物理的位置に存在するキャッシュを形成する手段と, 前記分散キャッシュデータシステムのフロントエンドにある前記クライアントデータベース及び,前記分散キャッシュデータシステムのバックエンドにあり,前記クライアントデータベースと双方向に同期する分散ファイルシステムをインタフェースするための手段と, 前記分散キャッシュデータシステムのフロントエンドで前記外部クライアントにインタフェースを提供し,前記データにアクセスするための手段と, ウェブサーバを介して前記外部クライアントと双方向に通信するための手段と, アクセス要求を前記データセルのうちの適当なデータセルに送るための手段と, を備える,分散キャッシュデータシステム。 【請求項18】 前記キャッシュアダプタはさらに,関係又は非関係データベーステーブルフォーマットで前記データを格納する手段を備える,請求項17に記載の分散キャッシュデータシステム。 【請求項19】 前記キャッシュアダプタはさらに,ジャバデータベース接続性インタフェースを使用して前記分散ファイルシステムに前記クライアントデータベースをインタフェースする手段を備える,請求項17に記載の分散キャッシュデータシステム。 【請求項20】 前記キャッシュアダプタはさらに,前記キャッシュを通過することなく前記分散ファイルシステムに存在する前記データに直接アクセスする手段を備える,請求項17に記載の分散キャッシュデータシステム。」 第3 引用文献,引用発明等 1.引用文献1について 本願の優先日前に頒布され,原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1(特開2003-006036号公報)には,図面とともに次の事項が記載されている。(下線は当審により付与。) A 「【請求項1】少なくとも1個のクライアント計算機システムとネットワークで接続され,該クライアント計算機システムの要求を受け付け,自システム内もしくは他の計算機システムに処理を転送して結果を取得し,該結果を前記クライアントに対する結果として返す少なくとも1個のWebサーバ計算機システム(以下,Webサーバ)と,該Webサーバとネットワークで接続され,該Webサーバから転送された要求を処理するアプリケーションを実行する,少なくとも1個のアプリケーションサーバ計算機システム(以下,アプリケーションサーバ)と,該アプリケーションサーバとネットワークで接続され,前記アプリケーションが処理に必要とするデータを管理し,該アプリケーションからの要求に従って,データを参照・更新するデータベースを含む少なくとも1個のデータベースサーバ計算機(以下,データベースサーバ)と,前記アプリケーションサーバと前記データベースサーバにネットワークで接続され,該データベースサーバのデータの一部をキャッシュし,該アプリケーションサーバからの該データベースサーバへの要求のうち,自システムで処理可能な要求を処理し,処理が不可能な要求はデータベースサーバに転送する機能を有するキャッシュデータベースクラスタとを備え,該キャッシュデータベースクラスタは,キャッシュデータベースを備える少なくとも1個のキャッシュデータベースサーバ計算機(以下,キャッシュデータベースサーバ)を含むことを特徴とするWebシステム。」 B 「【0003】 【発明が解決しようとする課題】大規模構成のWebシステム構築においては,アプリケーションサーバおよびデータベースサーバのスケーラビリティの確保が困難であり,ユーザの増加,システム負荷の急激な増加への対応が課題となっていた。さらに,スケーラビリティの確保が困難であることに起因して,Webシステムの性能を確保するために,処理のボトルネックとなるアプリケーションサーバやデータベースサーバに高価な高多重SMPサーバを用いる必要があり,が不可能となっていた。本発明の一つの目的は,システムのスケーラビリティを高め,ひいては要求される規模の大小によらず性能を確保が容易なWebシステムを提供するにある。本発明の具体的な目的は,アプリケーションサーバのクラスタ化を可能とする方法を提供することである。本発明の別の具体的な目的は,データベースサーバのクラスタ化されたキャッシュ(以下,キャッシュデータベースクラスタと呼ぶ)を提供することである。さらに別の具体的な目的は,アプリケーションサーバやデータベースサーバに効果な項多重SMPサーバではなくクラスタを用い,ストパフォーマンスの高いWebシステム構築方法を提供することである。 【0004】 【課題を解決するための手段】前記の目的を達成するための本発明の代表的構成を以下に列挙する。まず,本発明ではアプリケーションの論理セッション状態を必要に応じてクラスタ化したキャッシュデータベースに保存し,該セッション状態をキャッシュデータベースから読み出す機構を提供する。本機構を利用することにより,前記アプリケーションの処理を異なるクラスタサーバ上で動作する該アプリケーションで継続実行することができ,アプリケーションサーバのクラスタ化が可能となる。また,本発明ではクラスタサーバ上に更新が可能なキャッシュデータベースクラスタを作成し,データベースサーバの負荷を削減する。該更新処理の整合性を確保するために,必要に応じてデータベースサーバと同期させる機構を提供する。キャッシュデータベースクラスタ内のキャッシュデータベースは,テーブルを部分的にキャッシュすることも可能であり,キャッシュの空き容量に応じて最適なキャッシングを実現する。本機構により,更新処理時のデータベースサーバへのアクセスも削減でき,データベースサーバのスケーラビリティを高めることができる。また,前記アプリケーションサーバのクラスタ化方法,前記キャッシュデータベースクラスタ構成方法に加えて,本発明ではキャッシュデータベースクラスタに対するキャッシュデータベースの自動追加機構を提供する。本機構を用いることにより,容易にコストパフォーマンスが高く,しかもスケーラビリティが高いクラスタシステムが構築できる。」 C 「 」 D 「【0005】 【発明の実施の形態】本発明を適用した好適なWebシステムの実施形態を図1に示す。図1ではクライアント計算機1(101)?クライアント計算機K(102)がネットワーク103を介してWebサーバ1(104)?WebサーバL(105)に接続されている。Webサーバはさらに,ネットワーク109を介してアプリケーションサーバ1(107)?アプリケーションサーバM(108)に接続されている。また,前記アプリケーションサーバはネットワーク109を介してキャッシュデータベースクラスタ110に接続されている。キャッシュデータベースクラスタは複数のキャッシュデータベースサーバで構成される。例えば,図1では前記キャッシュデータベースクラスタにはキャッシュデータベースサーバ1(111)?キャッシュデータベースサーバN(113)のN個のクラスタサーバが含まれている。それぞれのキャッシュデータベースサーバは,内部にキャッシュデータベース(112,118)を含む。キャッシュデータベースサーバの内部構成に関しては後述する。さらに,前記キャッシュデータベースクラスタはネットワーク117を介してデータベースサーバ1(114)?データベースサーバO(120)に接続されている。該データベースサーバはその内部に,元データを管理するデータベース116,120を含む。 ・・・(中略)・・・ 次に,データベースサーバのスケーラビリティを向上させるためのキャッシュデータベースクラスタの構成方法,およびその利用方法について説明する。最初にキャッシュデータベースクラスタを用いた問合せ処理方法を説明する。前述した通り,キャッシュデータベースクラスタ中の各キャッシュデータベースは,アプリケーションからのデータベースサーバへのアクセスの際にデータをキャッシュし,データベースサーバへのアクセスを削減することによって,システム全体のスケーラビリティを向上させる。図1の構成のWebシステムでは,アプリケーションサーバは所望のデータを取得するためにキャッシュデータベースクラスタ110にアクセスする。該アプリケーションが該キャッシュデータベースクラスタ中のどのキャッシュデータベースにアクセスするかを決定するための方法としては,例えば図17に示すような,アプリケーションで利用するデータと該データを格納するキャッシュデータベースの組合せを記述する,アプリケーション-キャッシュデータベースマッピングテーブルをアプリケーションサーバに保持し(121,122),該テーブルを参照すればよい。例えば,図17の該テーブルの参照により,アプリケーションcustomer_managementが参照するテーブルc_addressのc_id=100のデータを参照するためには,キャッシュデータベースサーバのキャッシュデータベース1を参照すればよいことがわかる。本発明のキャッシュデータベースクラスタでは,各キャッシュデータベースへ格納されるデータ自体は頻繁に更新されるが,キャッシュされるべきデータの範囲の変更は頻繁には行われない。そのため,該テーブルの更新は後述するキャッシュデータベース再編成処理時に実行するので差し支えない。アクセス対象となるキャッシュデータベースを決定した後の,キャッシュデータベースサーバでの問合せ処理ステップを図2,および図4のフローチャートを用いて説明する。但し,以下の例ではアプリケーションがアクセス対象のキャッシュデータベースとして,キャッシュデータベース1を選択したと仮定する。アプリケーションサーバより転送された問合せは,キャッシュデータベースサーバ1(111)のネットワークインタフェース部202を介して,キャッシュ利用可否判定部(203)に送られる。該キャッシュ利用可否判定部では,キャッシュデータベース内に所望のデータが存在するか否かを,格納データ管理テーブル223を用いてチェックする。該格納データ管理テーブルの具体例を図5に示す。格納データ管理テーブル223には,キャッシュデータベース1で管理されるキャッシュデータに関する情報が格納されている。データベースサーバ名(502)およびデータベース名(503)は,キャッシング対象のデータベースサーバ名と該データベースサーバ中のデータベース名を,テーブル名および属性名(504)はキャッシュ対象のテーブル名と属性名を,分割キー(505)は該テーブルをキャッシュデータベースクラスタ間で分割格納する際の分割キーを,キャッシュ対象データ条件(506)はキャッシュ対象となるデータの条件を,キャッシュ済みデータ条件(507)は前記キャッシュ対象データ条件を満たし,かつ実際にキャッシュデータベース1にキャッシュされているデータの範囲を,リフレッシュポリシー(508)はキャッシュデータのリフレッシュを行う際の置き換えポリシーを,そして更新可否(509)は,キャッシュデータベース1上でキャッシュデータに関する更新の可否を表している。例えば,格納データ管理テーブル203の1行目のレコードは,キャッシュデータベース1のキャッシングの対象が,データベースサーバ1のCustomerデータベース中のc_addressテーブルのc_id,c_name,c_address,c_phoneの4つの属性からなり,かつ1<=c_id<100000の条件を満たすレコードであること,また現在は該キャッシング対象のうち1<=c_id<50000の条件を満たすレコードが実際にキャッシングされていること,そして該キャッシングデータをリフレッシュする際のポリシーがLRUで,該データのキャッシュデータベース1上での更新は可であることを示している。該格納データ管理テーブルにおいて,キャッシュ済みデータ条件は範囲指定の条件で示されているが,格納データを表すビットマップを用いる実現も可能である。図4に戻って,キャッシュデータベース内にデータが存在する場合(ステップ402でYesが選択された場合)には,アプリケーションからデータベースサーバ向けの発行された問合せをキャッシュデータベース中のデータを参照するように変換する(ステップ403)。キャッシュデータベース内に存在するデータで,与えられた問合せを処理可能か否かの判定は,問合せと前記キャッシュ済みデータ条件を比較することによって行うことができる。判定のための方法としては,例えばJeffrey D.Ullman著,"PRINCIPLES OFDATABASE AND KNOWLEDGE-BASE SYSTEMS",VOLUME II,COMPUTER SCIENCE PRESS,ISBN 0-7167-8162-X,第14章"Optimizationfor Conjunctive Queries"(文献4)に開示されている,Query Equivalence,Query Containmentと呼ばれる方式を用いることにより,条件間の同値関係および包含関係を調べることができる。該方式を用いて前記キャッシュ済みデータ条件と問合せの条件の関係を判定し,キャッシュ済みデータ条件が問合せ条件を包含する,もしくは等しい場合にはキャッシュ内のデータを用いて問合せが処理可能と判定できる。該問合せが参照処理のみを含む場合(ステップ404でNoが選択された場合)には,キャッシュデータベースより結果を取得し,アプリケーションに返して(ステップ405),問合せ処理を終了する(ステップ406)。前記問合せ変換処理は図2における問合せ変換部204で,キャッシュデータベースに対する問合せ発行および結果取得は,問合せ発行部205で発行した問合せをデータ検索・更新部206がキャッシュデータベース112中のキャッシュ済みデータ210を検索し,その値を取得することで実行する。前記問合せがデータベースに対するデータ更新,データ削除,データ追加のいずれかの処理(データベースの標準問合せ言語SQLではUPDATE,INSERT,DELETEに相当する)を含む場合(ステップ404でYesが選択された場合)には,キャッシュデータベース更新処理を実行し(ステップ407),更新処理結果のステータスをアプリケーションに返して(ステップ408),キャッシュデータベースサーバでの問合せ処理を終了する(ステップ406)。 ・・・(中略)・・・ 再び図4のキャッシュデータベースサーバでの問合せ処理のステップ402に戻って,キャッシュデータベース内にデータが存在しない場合(ステップ402でNoが選択された場合)には,データベースサーバ向けに問合せを変換(ステップ413),転送し(ステップ409),該問合せに対する結果を取得して(ステップ410),アプリケーションに該取得した値を返す(ステップ411)。前記問合せ変換,および転送処理はそれぞれ,図2の問合せ変換部204および問合せ発行部205,ネットワークインタフェース部202で実行される。ステップ413のサーバ向けの問合せ変換に関して,図5の格納データ管理テーブルを用いて具体例を説明する。キャッシュデータベース1に対してアプリケーションから,図18の1801に示す問合せが発行された場合を考える。該問合せは顧客ID(c_id)が60000の顧客の氏名(c_name)を求めることに相当する。図5の1行目のレコードのキャッシュ済みデータ条件(507)が示す通り,該顧客氏名はキャッシュデータベース中にはなく,データベースサーバへの転送が必要となる。データベースサーバ114では,前記キャッシュデータベースサーバから転送された問合せをネットワークインタフェース部で受け付け,データ管理・検査部218がデータベース118を検索し,格納されている元データ221から問合せの条件を満足するレコードを取り出し,キャッシュデータベースサーバに返す。しかしながら,問合せ1801をそのままデータベースサーバに転送して結果を取得すると,取得結果はc_nameのみを含むことになり,図5のキャッシュしているテーブルおよび属性名を示す「テーブル名および属性名」のエントリ(504)のエントリとして必要な他の3つの属性(c_id,c_address,c_phone)の値を含まず,そのままではキャッシングが不可能である。そこで,問合せ1801はデータベースサーバに転送される前に,1802に示すようにキャッシングに必要な他の属性も含む形に変換される。問合せ処理は,該変換後の問合せによって取得したレコードを用いて,キャッシュデータベースリフレッシュ処理を実行して(ステップ412),終了する(ステップ406)。 ・・・(中略)・・・ 【0006】 【発明の効果】本発明を用いることにより,アプリケーションサーバのクラスタ化,および更新が可能なキャッシュデータベースクラスタの構成が可能となり,スケーラビリティの高いWebシステムが実現できる。さらに,高多重のSMPサーバではなく,安価なクラスタサーバを用いてシステム構築が可能となり,システムのコストパフォーマンスが向上する。」 以上,上記AないしDの記載から,上記引用文献1には次の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「少なくとも1個のクライアント計算機システムとネットワークで接続され,該クライアント計算機システムの要求を受け付け,自システム内もしくは他の計算機システムに処理を転送して結果を取得し,該結果を前記クライアントに対する結果として返す少なくとも1個のWebサーバと,該Webサーバとネットワークで接続され,該Webサーバから転送された要求を処理するアプリケーションを実行する,少なくとも1個のアプリケーションサーバと,該アプリケーションサーバとネットワークで接続され,前記アプリケーションが処理に必要とするデータを管理し,該アプリケーションからの要求に従って,データを参照・更新するデータベースを含む少なくとも1個のデータベースサーバと,前記アプリケーションサーバと前記データベースサーバにネットワークで接続され,該データベースサーバのデータの一部をキャッシュし,該アプリケーションサーバからの該データベースサーバへの要求のうち,自システムで処理可能な要求を処理し,処理が不可能な要求はデータベースサーバに転送する機能を有するキャッシュデータベースクラスタとを備え,該キャッシュデータベースクラスタは,キャッシュデータベースを備える少なくとも1個のキャッシュデータベースサーバを含むことを特徴とするWebシステムであって, 前記キャッシュデータベースクラスタを用いた問合せ処理方法は, アプリケーションサーバより転送された問合せを,キャッシュデータベースサーバのネットワークインタフェース部を介して,キャッシュ利用可否判定部に送り,該キャッシュ利用可否判定部では,キャッシュデータベース内に所望のデータが存在するか否かを,格納データ管理テーブルを用いてチェックし, キャッシュデータベース内にデータが存在する場合には,アプリケーションからデータベースサーバ向けの発行された問合せをキャッシュデータベース中のデータを参照するように変換し, 前記問合せが参照処理のみを含む場合には,キャッシュデータベースより結果を取得し,アプリケーションに返して,問合せ処理を終了し, 前記問合せがデータベースに対するデータ更新,データ削除,データ追加のいずれかの処理(データベースの標準問合せ言語SQLではUPDATE,INSERT,DELETEに相当する)を含む場合には,キャッシュデータベース更新処理を実行し,更新処理結果のステータスをアプリケーションに返して,キャッシュデータベースサーバでの問合せ処理を終了し, キャッシュデータベース内にデータが存在しない場合には,データベースサーバ向けに問合せを変換,転送し,該問合せに対する結果を取得して,アプリケーションに該取得した値を返し, 変換後の問合せによって取得したレコードを用いて,キャッシュデータベースリフレッシュ処理を実行して,終了する, Webシステム。」 2.引用文献2について 本願の優先日前に頒布され,原査定の拒絶理由に引用された,特開2004-295683号公報(以下,これを「引用文献2」という。)には,図面とともに次の事項が記載されている。(下線は当審により付与。) E 「【0023】 まず,この実施の形態にかかるアプリケーションサーバの概要構成について説明する。図1は,この実施の形態にかかるアプリケーションサーバの概要構成を説明する概要構成図である。図1に示すように,端末1および端末2は,ネットワーク10およびワールドワイドウェブ(WWW)サーバ20を介してアプリケーションサーバ30に接続している。さらにアプリケーションサーバ30は,データベースマネジメントシステム(DBMS)40を介してデータベース50に接続している。 【0024】 また,アプリケーションサーバ30は,その内部に主制御部31,キャッシュメモリ32,更新処理部33および更新間隔設定部34を有する。主制御部31は,アプリケーションサーバ30を全体制御する制御部であり,具体的にはWWWサーバ20およびネットワーク10を介して端末1,2から検索要求を受信した場合に,SQL(Structure Query Language)言語で記述したSQL検索式を作成してDBMS40に送信する処理や,DBMS40から受信した検索結果を端末に送信するとともに使用したSQL検索式と関連付けてキャッシュメモリ32に保存する処理などを行う。 【0025】 また,更新処理部33は,更新間隔設定部34が設定した更新間隔で,キャッシュメモリ32に保存されたキャッシュの更新(リフレッシュ)をおこなう。具体的には更新処理部33は,日付および時刻を監視し,更新間隔設定部34が設定した更新間隔に基づいて主制御部31に更新要求を送信する。主制御部31は,更新要求を受け取った場合にキャッシュメモリ32に保存したSQL検索式を読み出してデータベース50の検索を実行し,検索結果をキャッシュメモリ32に保存することで,キャッシュの内容を最新の状態に更新する。 【0026】 DBMS40は,アプリケーションサーバ30からSQL検索式を受信した場合に,このSQL検索式を用いてデータベース50を検索し,検索結果をアプリケーションサーバ30に送信する処理をおこなう。 ・・・(中略)・・・ 【0031】 つぎに,アプリケーションサーバ30がデータベース50からデータを検索する場合についてさらに説明する。図2は,アプリケーションサーバ30がデータベース50からデータを検索する場合について説明する説明図である。同図に示すように,端末1が検索条件を送信したならば,アプリケーションサーバ30は,端末1が送信した検索条件をもとにSQL検索式を作成する。さらにアプリケーションサーバ30は,同一のSQL検索式をキャッシュメモリ32に保存しているか否かを確認し,キャッシュメモリ32に同一の検索式がなければDBMS40にSQL検索式を送信する。 【0032】 DBMS40は,アプリケーションサーバ30から受信したSQL検索式を用いてデータベース50の検索を実行し,検索結果をアプリケーションサーバ30に送信するので,アプリケーションサーバ30は,DBMS40から受信した検索結果を検索の要求元である端末1に送信する。この時,アプリケーションサーバ30は,DBMS40に送信したSQL検索式とDBMS40から受信した検索結果とを関連付けてキャッシュメモリ32に記憶する。 【0033】 つぎに,アプリケーションサーバ30がキャッシュメモリ32からデータを検索する場合について説明する。図3は,アプリケーションサーバ30がキャッシュメモリ32からデータを検索する場合について説明する説明図である。同図に示すように,端末1が検索条件を送信したならば,アプリケーションサーバ30は,端末1が送信した検索条件をもとにSQL検索式を作成する。さらにアプリケーションサーバ30は,同一のSQL検索式をキャッシュメモリ32に保存しているか否かを確認し,キャッシュメモリ32に同一の検索式が有れば,キャッシュメモリ32から検索結果を読み出して検索の要求元である端末1に送信する。」 3.引用文献3について 本願の優先日前に頒布され,原査定の拒絶理由に引用された,特開2004-240575号公報(以下,これを「引用文献3」という。)には,図面とともに次の事項が記載されている。(下線は当審により付与。) F 「【0084】 ステップ1002では,前記読み出した管理ID,取得開始位置及び取得件数等の情報を引数として指定してキャッシュデータ抽出処理部412を呼び出し,前記管理IDで識別されるレコードデータのメモリキャッシュ408からの抽出をキャッシュデータ抽出処理部412に指示する。そして,その管理IDで識別されるキャッシュデータ510中の前記取得開始位置から取得件数までのレコードデータと,キャッシュデータ抽出処理の処理結果を示す戻り値をキャッシュデータ抽出処理部412から受け取る。 【0085】 ステップ1003では,前記受け取った戻り値の値を調べ,戻り値がNULLである場合には,キャッシュデータ抽出処理に失敗したものとしてステップ1004へ進む。 【0086】 ステップ1004では,ステップ1001でWebサーバ101から受信した取得要求から検索条件を読み出してDBサーバ103へ送信し,前記検索条件による検索処理で得られた検索結果をDBサーバ103から受信する。」 第4 対比・判断 1.本願発明1について (1)対比 本願発明1と引用発明とを対比する。 ア.引用発明は,「アプリケーションサーバとネットワークで接続され,前記アプリケーションが処理に必要とするデータを管理し,該アプリケーションからの要求に従って,データを参照・更新するデータベースを含む少なくとも1個のデータベースサーバ」を備えるものであり,サーバ中にデータをファイル形式で格納することはよく知られた構成であるから,引用発明の上記「少なくとも1個のデータベースサーバ」は,本願発明1の「分散ファイルシステム」に相当する。 また,引用発明は,「少なくとも1個のクライアント計算機システムとネットワークで接続され,該クライアント計算機システムの要求を受け付け,自システム内もしくは他の計算機システムに処理を転送して結果を取得し,該結果を前記クライアントに対する結果として返す少なくとも1個のWebサーバ」を備えるものであり,当該「クライアント計算機システム」が,本願発明1の「外部クライアント」に対応する。 そして,引用発明は,「アプリケーションサーバと前記データベースサーバにネットワークで接続され,該データベースサーバのデータの一部をキャッシュし,該アプリケーションサーバからの該データベースサーバへの要求のうち,自システムで処理可能な要求を処理し,処理が不可能な要求はデータベースサーバに転送する機能を有するキャッシュデータベースクラスタ」であって「キャッシュデータベースを備える少なくとも1個のキャッシュデータベースサーバを含む」「キャッシュデータベースクラスタ」を備えるものであって,当該「キャッシュデータベースクラスタ」が,本願発明1の「分散キャッシュデータシステム」に対応し,引用発明の上記「キャッシュデータベースクラスタ」に含まれる「少なくとも1個のキャッシュデータベースサーバ」が,本願発明1の「マシンのネットワーク化クラスタの少なくとも1つのノード」に相当する。 イ.本願発明1の「分散キャッシュデータシステム」が備える「キャッシュアダプタ」及びそれが確保する「メモリの指定された部分」に関し, 上記ア.の検討によれば,引用発明の「キャッシュデータベースクラスタ」は,「アプリケーションサーバと前記データベースサーバにネットワークで接続され」ていることから,「データベースサーバ」側とは反対の「アプリケーションサーバ」側に「ネットワークで接続され」ており,よって,引用発明の上記「キャッシュデータベースクラスタ」に含まれる「少なくとも1個のキャッシュデータベースサーバ」は,「データベースサーバ」に対し「アプリケーションサーバ」側に存在するものであるといえる。そして,引用発明の上記「キャッシュデータベースクラスタ」は,「アプリケーションサーバからの該データベースサーバへの要求のうち,自システムで処理可能な要求を処理」するものであるところ,上記「アプリケーションサーバから」の「要求」はデータに係るものであって,当該「データ」に係る「要求」に対し「自システムで処理可能」であるかを判断するために,メモリ上で「データ」の格納先を当然に指定し,かつその格納先は「少なくとも1個のキャッシュデータベースサーバ」上に確保されるものと解されることから,当該「キャッシュデータベースクラスタ」は,それを構成する「少なくとも1個のキャッシュデータベースサーバ」に「データ」の格納先となるメモリ上の指定される部分を確保するためのキャッシュに係る構成を備えているといえる。 それに対し,本願発明1の「マシンのネットワーク化クラスタの少なくとも1つのノード」が,「分散ファイルシステムの上部に位置する」とは,その意味は必ずしも明らかではないものの,発明の詳細な説明の段落【0052】「図2に示すように,データベース層は,分散ファイルシステム270の上部に位置するキャッシュアダプタ200から構成される。・・・(中略)・・・本発明のシステムには2つのデータキャッシュ構成要素が存在する。すなわち,1つはクライアントマシンに固有のクライアントデータベース(キャッシュ)240,241としてクライアントに存在し,他のデータキャッシュは,例えば,クラウドに存在するクラスタ化ノードに存在するノード260,261,262から成るCloudCacheである。CloudCacheは,分散ファイルシステム270の上部のノード,つまり図2に示すようにクラウドに存在するクラスタ化ノードに位置する。」(下線は当審により付与。)との記載を参酌すると,「マシンのネットワーク化クラスタの少なくとも1つのノード」が,「CloudCache」とともに「2つのデータキャッシュ」を構成するよう「分散ファイルシステム」から見て「クライアント」側に位置することを意味すると解することができる。 そうすると,引用発明の「キャッシュデータベースクラスタ」が備える上記キャッシュに係る構成が,本願発明1の「分散キャッシュデータシステム」が備える「キャッシュアダプタ」に対応するとともに,引用発明の上記キャッシュに係る構成が確保する,「アプリケーションサーバ」側に存在する「少なくとも1個のキャッシュデータベースサーバ」での「データ」の格納先となるメモリ上の指定される部分が,本願発明1の上記「キャッシュアダプタ」が確保する,「分散ファイルシステムの上部に位置するマシンのネットワーク化クラスタの少なくとも1つのノードにメモリの指定された部分」に相当し, そして,本願発明1の「ページベースのメモリアロケーションをすることなく,分散ファイルシステムの上部に位置するマシンのネットワーク化クラスタの少なくとも1つのノードにメモリの指定された部分を連続スペースとして確保するよう構成されたキャッシュアダプタ」と,引用発明の「少なくとも1個のキャッシュデータベースサーバ」での「データ」の格納先となるメモリ上の指定される部分を確保するためのキャッシュに係る構成とは,“分散ファイルシステムの上部に位置するマシンのネットワーク化クラスタの少なくとも1つのノードにメモリの指定された部分を確保するよう構成されたキャッシュに係る構成”である点で共通するといえる。 以上から,後記する点で相違するものの,本願発明1である「ページベースのメモリアロケーションをすることなく,分散ファイルシステムの上部に位置するマシンのネットワーク化クラスタの少なくとも1つのノードにメモリの指定された部分を連続スペースとして確保するよう構成されたキャッシュアダプタを備える,分散キャッシュデータシステム」と,引用発明における「アプリケーションサーバと前記データベースサーバにネットワークで接続され,該データベースサーバのデータの一部をキャッシュし,該アプリケーションサーバからの該データベースサーバへの要求のうち,自システムで処理可能な要求を処理し,処理が不可能な要求はデータベースサーバに転送する機能を有するキャッシュデータベースクラスタ」とは,“分散ファイルシステムの上部に位置するマシンのネットワーク化クラスタの少なくとも1つのノードにメモリの指定された部分を確保するよう構成されたキャッシュに係る構成を備える,分散キャッシュデータシステム”である点で共通するといえる。 ウ.上記イ.で検討のとおり,引用発明における「キャッシュデータベースクラスタ」は,それを構成する「少なくとも1個のキャッシュデータベースサーバ」に「データ」の格納先となるメモリ上の指定される部分を確保するためのキャッシュに係る構成を備えているといえるところ,当該メモリ上の指定される部分である「データ」の格納先は,「キャッシュデータベースサーバ」に存在することからしてキャッシュを形成するといえ,その際,上記イ.で検討のとおり,上記「キャッシュデータベースクラスタ」は,「アプリケーションサーバ」に「ネットワークで接続され」ており,さらに,当該「アプリケーションサーバ」は「Webサーバとネットワークで接続され」,かつ,当該「Webサーバ」は「クライアント計算機システムとネットワークで接続され」ていることから,上記「キャッシュデータベースクラスタ」及びそれが指定する「データ」の格納先としてのキャッシュは,上記「クライアント計算機システム」とは本質的に異なる物理的位置に存在するものであるといえる。 そして,引用発明における上記「アプリケーションサーバから」の「要求」とは,「クライアント計算機システムの要求を受け付け」た「Webサーバから転送された要求」を「アプリケーションサーバ」にて処理して転送するものであり,それについて,引用発明における「キャッシュデータベースクラスタを用いた問合せ処理方法」では,「問合せが参照処理のみを含む場合には,キャッシュデータベースより結果を取得し」,また「問合せがデータベースに対するデータ更新,データ削除,データ追加のいずれかの処理・・・を含む場合には,キャッシュデータベース更新処理を実行」していることから,引用発明の「キャッシュデータベース」を含む「キャッシュデータベースクラスタ」は,「クライアント計算機システムの要求」に対し「データ」の「参照」,「更新」,「追加」の処理を行うものといえる。その際,「データ」の「更新」及び「追加」とは,「データ」の「格納」を伴うものであり,また,「データ」の「参照」及び「更新」とは,「データ」の「検索」を伴うものであり,また,「データ」の「更新」とは,「データ」の「存続」を伴うものであるから,引用発明の上記「キャッシュデータベース」を含む「キャッシュデータベースクラスタ」は,「クライアント計算機システムの要求」に対し「データ」を「格納」し,「検索」し,及び「存続」させる機能を有しているといえ,そしてこの場合の,「データ」の「格納」,「検索」,及び「存続」とは,「キャッシュデータベースクラスタ」を構成する「少なくとも1個のキャッシュデータベースサーバ」で,「データ」の格納先としてメモリ上の指定を行ってなされるものと解されるから,上記「データ」を「格納」し,「検索」し,及び「存続」させる機能は,「少なくとも1個のキャッシュデータベースサーバ」におけるメモリ上で指定される部分である「データ」の格納先を用いて実現しているといえる。 そうすると,本願発明1の「クライアントデータベースからの本質的に異なる物理位置に存在するキャッシュ」と,引用発明の「クライアント計算機システム」とは異なる「キャッシュデータベースクラスタ」にある「少なくとも1個のキャッシュデータベースサーバ」において指定される「データ」の格納先は,“クライアントに係る構成からの本質的に異なる物理位置に存在するキャッシュ”である点で共通し, そして,後記する点で相違するものの,本願発明1の,「メモリの指定された部分は,外部クライアントからのデータを格納し,検索し,及び存続させるように構成されたデータセルを備える,前記少なくとも一つのノードにクライアントデータベースからの本質的に異なる物理位置に存在するキャッシュを形成し」と,引用発明の,メモリ上で指定された「データ」の格納先が,「クライアント計算機システム」とは異なる「キャッシュデータベースクラスタ」にある「少なくとも1個のキャッシュデータベースサーバ」にあり,「キャッシュデータベースクラスタを用いた問合せ処理方法」で,「問合せが参照処理のみを含む場合には,キャッシュデータベースより結果を取得し」,また「問合せがデータベースに対するデータ更新,データ削除,データ追加のいずれかの処理・・・を含む場合には,キャッシュデータベース更新処理を実行」するための構成となっていることとは,“メモリの指定された部分は,外部クライアントからのデータを格納し,検索し,及び存続させるための機能を備える,前記少なくとも一つのノードにクライアントに係る構成からの本質的に異なる物理位置に存在するキャッシュを形成し”という点で共通するといえる。 エ.上記イ.で検討のとおり,引用発明における「キャッシュデータベースクラスタ」は,それを構成する「少なくとも1個のキャッシュデータベースサーバ」に「データ」の格納先となるメモリ上の指定される部分を確保するためのキャッシュに係る構成を備え,また,上記ウ.における検討のとおり,「キャッシュデータベース」を含む「キャッシュデータベースクラスタ」が有する,「クライアント計算機システムの要求」に対し「データ」を「格納」し,「検索」し,及び「存続」させる機能は,「少なくとも1個のキャッシュデータベースサーバ」におけるメモリ上で指定される部分である「データ」の格納先を用いて実現しているといえることから,引用発明における「キャッシュデータベースクラスタ」の上記キャッシュに係る構成は,「データ」の格納先となるメモリ上の指定される部分を確保することで,「クライアント計算機システムの要求」に対し「データ」を「格納」し,「検索」し,及び「存続」させる機能を提供しているといえる。そして,この場合の「クライアント計算機システム」は,「キャッシュデータベースクラスタ」に対してユーザ側であるフロントエンドにあるといえるから,引用発明における「キャッシュデータベースクラスタ」の上記キャッシュに係る構成は,「ネットワーク」での「接続」をとおして「クライアント計算機システムの要求」を処理できるよう,フロントエンドにある「クライアント計算機システム」のためのインターフェースを提供するよう構成されていると解することができる。 そうすると,後記する点で相違するものの,本願発明1の,「キャッシュアダプタは,前記データにアクセスするために,前記分散キャッシュデータシステムの前記フロントエンドにある前記外部クライアントのためのインタフェースを提供するよう構成され」ることと,引用発明の,少なくとも1個のキャッシュデータベースサーバ」に「データ」の格納先となるメモリ上の指定される部分を確保するためのキャッシュに係る構成が,「データ」の格納先となるメモリ上の指定される部分を確保することで,「クライアント計算機システムの要求」に対し「データ」を「格納」し,「検索」し,及び「存続」させる機能を提供することとは,“キャッシュに係る構成は,前記分散キャッシュデータシステムの前記フロントエンドにある前記外部クライアントのためのインタフェースを提供するよう構成され”る点で共通するといえる。 オ 上記エ.で検討のとおり,引用発明における「キャッシュデータベースクラスタ」の上記キャッシュに係る構成は,「ネットワーク」での「接続」をとおして「クライアント計算機システムの要求」を処理できるよう,フロントエンドにある「クライアント計算機システム」のためのインターフェースを提供するよう構成されていると解することができ,一方で,上記「キャッシュデータベースクラスタ」と「クライアント計算機システム」とは,「少なくとも1個のクライアント計算機システムとネットワークで接続され,該クライアント計算機システムの要求を受け付け・・・前記クライアントに対する結果として返す少なくとも1個のWebサーバと,該Webサーバとネットワークで接続され・・・少なくとも1個のアプリケーションサーバと,・・・前記アプリケーションサーバと前記データベースサーバにネットワークで接続され,・・・該アプリケーションサーバからの該データベースサーバへの要求のうち,自システムで処理可能な要求を処理・・・キャッシュデータベースクラスタ」と記載されているとおり,「Webサーバ」及び「少なくとも1個のアプリケーションサーバ」を間に介して双方向に通信可能にネットワークで接続されていると解される。 してみると,引用発明の「Webサーバ」は,本願発明1の「ウェブサーバ」に相当することから,後記する点で相違するものの,本願発明1の,「キャッシュアダプタは,ウェブサーバを介して前記外部クライアントに双方向に通信するよう構成され」ることと,引用発明の,「キャッシュデータベースクラスタ」の上記キャッシュに係る構成が,「ネットワーク」での「接続」をとおして「クライアント計算機システムの要求」を処理できるよう,フロントエンドにある「クライアント計算機システム」のためのインターフェースを提供するよう構成されていることとは,“キャッシュに係る構成は,ウェブサーバを介して前記外部クライアントに双方向に通信するよう構成され”る点で共通するといえる。 したがって,本願発明1と引用発明との間には,次の一致点,相違点があるといえる。 [一致点] 分散ファイルシステムの上部に位置するマシンのネットワーク化クラスタの少なくとも1つのノードにメモリの指定された部分を確保するよう構成されたキャッシュに係る構成を備える,分散キャッシュデータシステムであって, 前記メモリの指定された部分は,外部クライアントからのデータを格納し,検索し,及び存続させるための機能を備える,前記少なくとも一つのノードにクライアントに係る構成からの本質的に異なる物理位置に存在するキャッシュを形成し, 前記キャッシュに係る構成は,前記分散キャッシュデータシステムの前記フロントエンドにある前記外部クライアントのためのインタフェースを提供するよう構成され, 前記キャッシュに係る構成は,ウェブサーバを介して前記外部クライアントに双方向に通信するよう構成されていることを特徴とする分散キャッシュデータシステム。 [相違点1] 分散キャッシュデータシステムに関し, 本願発明1は,「ページベースのメモリアロケーションをすることなく」,分散ファイルシステムの上部に位置するマシンのネットワーク化クラスタの少なくとも1つのノードにメモリの指定された部分を「連続スペースとして」確保するよう構成された「キャッシュアダプタ」を備えるものであるのに対し, 引用発明は,「キャッシュアダプタ」を備えることや,確保するメモリの態様について特定はなされていない点。 [相違点2] 本願発明1は,「軽量アプリケーションサーバコントローラが,前記キャッシュアダプタ内に,組み込まれ」ているのに対し, 引用発明は,そのような特定はなされていない点。 [相違点3] メモリの指定された部分に関し, 本願発明1は,外部クライアントからのデータを格納し,検索し,及び存続させ「るように構成されたデータセルを備える」,前記少なくとも一つのノードに「クライアントデータベース」からの本質的に異なる物理位置に存在するキャッシュを形成しているのに対し, 引用発明は,「データセル」に係る構成や「クライアントデータベース」について,そのような特定はなされていない点。 [相違点4] キャッシュに係る構成に関し, 本願発明1は,「キャッシュアダプタは,前記分散キャッシュデータシステムのフロントエンドにある前記クライアントデータベース,及び前記分散キャッシュデータシステムのバックエンドにあり,前記クライアントデータベースと双方向に同期する分散ファイルシステムにインタフェースするよう構成され」ているのに対し, 引用発明は,そのような特定はなされていない点。 [相違点5] キャッシュに係る構成に関し, 本願発明1は,「キャッシュアダプタ」は,「前記データにアクセスするために」,前記分散キャッシュデータシステムの前記フロントエンドにある前記外部クライアントのためのインタフェースを提供するよう構成されているのに対し, 引用発明は,そのような特定はなされていない点。 [相違点6] キャッシュに係る構成に関し, 本願発明1は,「キャッシュアダプタ」は,ウェブサーバを介して前記外部クライアントに双方向に通信するよう構成されているのに対し, 引用発明は,そのような特定はなされていない点。 [相違点7] 本願発明1は,「キャッシュアダプタは,データアクセス要求を前記データセルのうちの適当なデータセルに送るよう構成されている」のに対し, 引用発明は,そのような特定はなされていない点。 (2)相違点についての判断 事案に鑑みて,上記相違点4について先に検討する。 本願発明1の「クライアントデータベース」とは,発明の詳細な説明の段落【0052】「・・・1つはクライアントマシンに固有のクライアントデータベース(キャッシュ)240,241としてクライアントに存在し・・・」との記載,及び,平成30年12月17日提出の意見書における『(4)について 「クライアントデータベース」及び「クライアントキャッシュ」は同じ構成を意味するものですので,「クライアントキャッシュ」との記載を「クライアントデータベース」と補正しました。これにより,「クライアントデータベース」及び「クライアントキャッシュ」が同じ構成を意味することが明確になりました。』との説明を踏まえると,「外部クライアント」に存在するキャッシュであると解することができる。 そうすると,本願発明1の相違点4に係る構成によれば,「外部クライアント」に存在するキャッシュと,「分散ファイルシステム」とが,「キャッシュアダプタ」を介して,「双方向に同期」を行うことができるものであって,これにより,「バックエンドシステムは,定期的に最新のバックエンドデータキャッシュによってクライアントデータキャッシュを常にアップデートする」(段落【0056】)こととなり,その上で,「クライアント300は,クライアントマシンのローカルデータベースで利用可能である可能性のあるデータ310を要求し,利用可能である場合,要求はクライアントマシンを離れず,クライアントマシンの境界内で満たされる。データがクライアントマシンキャッシュに存在しないインスタンスでは,要求がバックエンドに提示される。要求されたデータがクライアントデータベースに存在しない場合,着信要求は,キャッシュアダプタの記憶マップ325によってインターセプトされ,要求されたデータの位置を要求に提供する。データ位置は,データがキャッシュにない場合はキャッシュされたデータのポインタであり,次にデータ(アーカイブデータ)が生の非構造化フォーマット360で分散ファイルシステムから検索される。分散ファイルシステムからのデータが最初に検索され,次にキャッシュ互換性フォーマット355に変換され最後にクライアントキャッシュに送信される。要求されたデータの受信に応じて,クライアントはクライアントのためのデータを表示」(段落【0054】)することで,「データを検索しアプリケーションサーバに戻す代わりに,要求がキャッシュアダプタに送られて,適当なデータが存在するクラスタの適切なノードにキャッシュアダプタが要求を送信する」(段落【0059】)との作用効果を奏することができるものである。 それに対し,引用発明は,「アプリケーションサーバおよびデータベースサーバのスケーラビリティの確保」(段落【0003】)を課題の前提とするものであり,そのために,「データベースサーバのデータの一部をキャッシュし,該アプリケーションサーバからの該データベースサーバへの要求のうち,自システムで処理可能な要求を処理し,処理が不可能な要求はデータベースサーバに転送する機能を有するキャッシュデータベースクラスタ」との構成を備えるものであって,「クライアント計算機システム」側のキャッシュ構成を設けることや,当該「クライアント計算機システム」側のキャッシュ構成と「データベースサーバ」とを双方向に同期させるよう構成する動機付けが直ちには認められない。 さらに,上記相違点4に係る本願発明1の構成である,「キャッシュアダプタは,前記分散キャッシュデータシステムのフロントエンドにある前記クライアントデータベース,及び前記分散キャッシュデータシステムのバックエンドにあり,前記クライアントデータベースと双方向に同期する分散ファイルシステムにインタフェースするよう構成され」ることは,上記引用文献2ないし3のいずれにも記載されておらず,また,本願優先日前において周知技術であるともいえない。 そうすると,引用文献2ないし3の記載を参酌しても,引用発明において,「クライアント計算機システム」側にキャッシュ構成を設け,当該「クライアント計算機システム」側のキャッシュ構成及び「データベースサーバ」とを双方向に同期するよう構成すること,すなわち,上記相違点4に係る構成とすることは,当業者が容易になし得たものであるとすることはできない。 したがって,本願発明1は,相違点1ないし3,5ないし7を検討するまでもなく,当業者であっても引用発明,引用文献2ないし3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。 2.本願発明2-20について 本願発明13,17は,本願発明1と実質同様の構成を有するか,カテゴリーが異なるだけであり,本願発明1の「相違点4に係る構成」と同一または同様の構成を備えるものであるから,本願発明1と同様の理由により,引用発明,引用文献2ないし3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。 本願発明2-12,14-16,18-20は,本願発明1,13,17を減縮したものであるから,本願発明1と同じ理由により,当業者であっても引用発明,引用文献2ないし3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。 第5 原査定の概要及び原査定についての判断 原査定は,請求項1-20について上記引用文献1ないし3に基づいて,当業者が容易に発明できたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないというものである。しかしながら,平成30年12月17日付けの手続補正により補正された請求項1-20は,それぞれ「相違点4に係る構成」を有するものとなっており, 上記第4のとおり,本願発明1-20は,上記引用発明,引用文献2ないし3に記載された技術的事項に基づいて,当業者が容易に発明できたものではない。したがって,原査定を維持することはできない。 第6 当審拒絶理由について <特許法第36条第6項第2号について> (1)当審では,請求項1の「ページベースのメモリアロケーションをすることなく,連続スペースとしてマシンのネットワーク化クラスタの少なくとも1つのノードにメモリの指定された部分を確保するよう構成されたキャッシュアダプタ」における「マシンのネットワーク化クラスタの少なくとも1つのノード」との記載は,具体的にどのような「ノード」を意味しているのか記載されておらず不明りょうであるとの拒絶の理由を通知しているが,平成30年12月17日付けの手続補正において,「ページベースのメモリアロケーションをすることなく,分散ファイルシステムの上部に位置するマシンのネットワーク化クラスタの少なくとも1つのノードにメモリの指定された部分を連続スペースとして確保するよう構成されたキャッシュアダプタ」と補正された結果,この拒絶の理由は解消した。 (2)当審では,請求項1の「連続スペースとしてマシンのネットワーク化クラスタの少なくとも1つのノードにメモリの指定された部分を確保するよう構成されたキャッシュアダプタ」における「連続スペースとして」との記載は,具体的に,その後のどの語に係るのか,日本語として不明りょうであるとの拒絶の理由を通知しているが,平成30年12月17日付けの手続補正において,「分散ファイルシステムの上部に位置するマシンのネットワーク化クラスタの少なくとも1つのノードにメモリの指定された部分を連続スペースとして確保するよう構成されたキャッシュアダプタ」と補正された結果,この拒絶の理由は解消した。 (3)当審では,請求項1の「ローカルノードからのデータを格納し,検索し,存続させるように構成されたデータセル」における「ローカルノード」との記載は,具体的にどのような「ノード」を意味しているのか記載されておらず,不明りょうであるとの拒絶の理由を通知しているが,平成30年12月17日付けの手続補正において,「外部クライアントからのデータを格納し,検索し,及び存続させるように構成されたデータセル」と補正された結果,この拒絶の理由は解消した。 (4)当審では,請求項1の 「前記メモリの指定された部分は,ローカルノードからのデータを格納し,検索し,存続させるように構成されたデータセルを備える,前記少なくとも一つのノードにクライアントデータベースからの本質的に異なる物理位置に存在するキャッシュを形成し」における「クライアントデータベース」との記載と,「前記キャッシュアダプタは,前記データ,前記分散キャッシュデータシステムのフロントエンドにあるクライアントキャッシュ及び前記分散キャッシュデータシステムのバックエンドにあり,前記クライアントキャッシュと双方向に同期する分散ファイルシステムにインタフェースするよう構成され」における「クライアントキャッシュ」との記載とは,実質的に同じ構成を意味すると解されるが異なる用語をもって記載されており,そのため,両者が同じものを意味するのか,或いは,異なるものを意味するのか,不明りょうであるとの拒絶の理由を通知しているが,平成30年12月17日付けの手続補正において,後者の記載を「前記キャッシュアダプタは,前記分散キャッシュデータシステムのフロントエンドにある前記クライアントデータベース,及び前記分散キャッシュデータシステムのバックエンドにあり,前記クライアントデータベースと双方向に同期する分散ファイルシステムにインタフェースするよう構成され」と補正された結果,この拒絶の理由は解消した。 (5)当審では,請求項1の「前記キャッシュ及びキャッシュアダプタは,前記分散ファイルシステムの上部に位置し」における,「キャッシュ」が「分散ファイルシステムの上部に位置」するとの記載は,具体的にどのような態様を指しているのか,不明りょうであるとの拒絶の理由を通知しているが,平成30年12月17日付けの手続補正において,上記記載を削除し,「分散ファイルシステムの上部に位置するマシンのネットワーク化クラスタの少なくとも1つのノードにメモリの指定された部分を連続スペースとして確保するよう構成されたキャッシュアダプタ」と補正された結果,この拒絶の理由は解消した。 第7 むすび 以上のとおり,本願発明1-20は,当業者が引用発明,引用文献2ないし3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものではない。 したがって,原査定の理由によっては,本願を拒絶することはできない。 また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2019-05-20 |
出願番号 | 特願2014-524063(P2014-524063) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(G06F)
P 1 8・ 537- WY (G06F) |
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 小林 哲雄 |
特許庁審判長 |
辻本 泰隆 |
特許庁審判官 |
仲間 晃 山崎 慎一 |
発明の名称 | クラウドベースの分散永続性及びキャッシュデータモデル |
代理人 | 岸 慶憲 |
代理人 | 大塚 文昭 |
代理人 | 田中 伸一郎 |
代理人 | 上杉 浩 |
代理人 | 西島 孝喜 |
代理人 | 近藤 直樹 |
代理人 | 須田 洋之 |
代理人 | 弟子丸 健 |
代理人 | ▲吉▼田 和彦 |