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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F
管理番号 1351278
審判番号 不服2017-19054  
総通号数 234 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-06-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-12-22 
確定日 2019-05-09 
事件の表示 特願2014-122500号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成28年1月12日出願公開、特開2016-2126号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1 手続の経緯
本願は、平成26年6月13日の出願であって、平成27年11月26日付けで拒絶の理由が通知され、平成28年1月25日に意見書及び手続補正書が提出され、同年7月4日付けで最後の拒絶理由が通知され、同年9月9日に意見書が提出され、平成29年2月21日付けで最後の拒絶理由が通知され、同年4月28日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、平成29年9月15日付けで、平成29年4月28日提出の手続補正書でした補正の却下の決定がされるとともに、平成29年9月15日付けで拒絶査定がなされた。これに対し同年12月22日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正書が提出され、これに対して、平成30年9月7日付けで当審において拒絶の理由(以下、「当審拒絶理由」という。)が通知され、同年11月7日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。

2 本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成30年11月7日に提出された手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである(A?Lは、本願発明を分説するため当審で付与した。)。

(本願発明)
「【請求項1】
A 遊技球を検知することに基づいて取得される取得情報を記憶する取得情報記憶手段と、
B 前記取得情報記憶手段に記憶された取得情報が特定情報であるか否かを当否判定する当否判定手段と、
C 前記当否判定の結果に基づいて、識別情報を変動表示する識別情報表示手段と、
D 表示態様が変化する特定表示手段と、
E 前記取得情報記憶手段に記憶された取得情報が特定情報であるか否かを、前記当否判定を行う前に事前判定する事前判定手段と、
F 前記事前判定の結果に基づいて、複数の変動表示を用いて先読み演出を実行可能な先読み演出実行手段と、
を備え、
G 前記識別情報の変動表示態様として、一の変動表示において前記識別情報を変動表示した後、停止表示する1回変動演出と、一の変動表示において前記識別情報を変動表示した後、一旦停止表示し、再度変動表示させる複数回変動演出と、を有し、
H 前記特定表示手段の表示態様によって、前記複数回変動演出の実行中であることを表示するよう構成されており、
I リーチ状態を示す態様にて識別情報を一旦停止表示した後であっても識別情報を再度変動表示させ得るよう構成されており、
J リーチ状態を示す態様にて識別情報を一旦停止表示した後で識別情報を再度変動表示させない場合には、前記特定表示手段の表示態様による前記複数回変動演出の実行中であることの表示が非表示となるよう構成されており、
K 前記特定表示手段の表示態様によって、前記先読み演出の実行中であることを表示するよう構成されている
L ことを特徴とする遊技機。」

3 拒絶の理由
当審拒絶理由は、平成29年12月22日に提出された手続補正書により補正がされた請求項1に係る発明は、本願の出願前に日本国内又は外国において、頒布された以下の引用文献1に記載された発明及び引用文献2、3にもみられる周知の技術に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。

引用文献1:特開2009-291435号公報
引用文献2:特開2010-233587号公報(周知の技術を示す文献)
引用文献3:特開2009-56148号公報(周知の技術を示す文献)

4 引用文献に記載された事項
当審拒絶理由に引用され、本願の出願前に頒布された上記引用文献1には、「遊技機」の発明に関し、図面と共に以下の事項が記載されている(下線は当審で付した。)。

(1)「【0006】
本発明は、かかる実情に鑑み考え出されたものであり、その目的は、再変動表示に関する演出の面白みを向上させ、遊技の興趣を向上させることができる遊技機を提供することである。
【課題を解決するための手段の具体例およびその効果】
【0007】
(1) 各々が識別可能な複数種類の識別情報(演出図柄)を変動表示する複数の変動表示領域(「左」、「中」、「右」の各図柄表示エリア9L、9C、9R)を有する変動表示部(演出表示装置9)を備え、該変動表示部に導出表示された識別情報の表示結果が予め定められた特定表示結果(大当り図柄)となったときに、遊技者にとって有利な特定遊技状態(大当り遊技状態)に制御する遊技機(パチンコ遊技機1)であって、
・・・」

(2)「【0021】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。なお、遊技機の一例としてパチンコ遊技機を示すが、・・・
・・・
【0025】
遊技領域7の中央付近には、液晶表示装置(LCD)で構成された演出表示装置9が設けられている。演出表示装置9の表示画面には、第1特別図柄または第2特別図柄の変動表示に同期した演出図柄の変動表示を行なう演出図柄表示領域がある。演出表示装置9は、各々が識別可能な複数種類の識別情報としての演出図柄の変動表示を行なう変動表示装置(変動表示部)に相当する。演出図柄表示領域には、たとえば「左」、「中」、「右」の3つの装飾用(演出用)の識別情報を変動表示する図柄表示エリアがある。図柄表示エリアには「左」、「中」、「右」の各図柄表示エリア9L、9C、9Rがあるが、図柄表示エリア9Aの位置は、演出表示装置9の表示画面において固定的でなくてもよいし、図柄表示エリア9L、9C、9Rの3つの領域が離れていてもよい。演出表示装置9は、演出制御基板に搭載されている演出制御用マイクロコンピュータによって制御される。演出制御用マイクロコンピュータが、第1特別図柄表示器8aで第1特別図柄の変動表示が実行されているときに、その変動表示に伴って演出表示装置9で演出表示を実行させ、第2特別図柄表示器8bで第2特別図柄の変動表示が実行されているときに、その変動表示に伴って演出表示装置で演出表示を実行させるので、遊技の進行状況を把握しやすくすることができる。」

(3)「【0042】
演出表示装置9は、第1特別図柄表示器8aによる第1特別図柄の変動表示時間中、および第2特別図柄表示器8bによる第2特別図柄の変動表示時間中に、装飾用(演出用)の図柄としての演出図柄の変動表示を行なう。第1特別図柄表示器8aにおける第1特別図柄の変動表示と、演出表示装置9における演出図柄の変動表示とは同期している。また、第2特別図柄表示器8bにおける第2特別図柄の変動表示と、演出表示装置9における演出図柄の変動表示とは同期している。また、第1特別図柄表示器8aにおいて大当り図柄が停止表示されるときと、第2特別図柄表示器8bにおいて大当り図柄が停止表示されるときとには、演出表示装置9において大当りを想起させるような特定表示結果としての演出図柄の組合せが停止表示される。
・・・
【0044】
演出表示装置9の周囲の飾り部において、右側には、上演出LED85a、中演出LED85bおよび下演出LED85cが設けられている。上演出LED85a、中演出LED85bおよび下演出LED85cは、特定演出としての擬似連の演出(1回の変動期間中におけるそれぞれの再変動期間(初回変動の期間も含む。)において関連する表示演出が実行されるような演出)が実行されるときに点滅する。ここで、擬似連とは、本来は1つの保留記憶に対応する1回の変動であるものの複数の保留記憶に対応する複数回の変動が連続して行なわれているように見せる演出表示である擬似連続変動を示す略語である。
・・・
【0046】
ここで、リーチ状態は、演出表示装置9の表示領域において停止表示された演出図柄が大当り組合せの一部を構成しているときに未だ停止表示されていない演出図柄の変動が継続している表示状態、または、全部もしくは一部の演出図柄が大当り組合せの全部または一部を構成しながら同期して変動している表示状態である。この実施形態において、リーチ状態は、たとえば、左,右の図柄表示エリア9L,9Rで同じ図柄が停止し、中の図柄表示エリア9Cで図柄が停止していない状態で形成される。リーチ状態が形成されるときの左,右の図柄表示エリア9L,9Rで停止された図柄は、リーチ形成図柄、または、リーチ図柄と呼ばれる。そして、リーチ状態における表示演出が、リーチ演出表示(リーチ演出)である。・・・」

(4)「【0057】
図2は、主基板(遊技制御基板)31における回路構成の一例を示すブロック図である。なお、図2は、払出制御基板37および演出制御基板80等も示されている。主基板31には、プログラムにしたがってパチンコ遊技機1を制御する遊技制御用マイクロコンピュータ(遊技制御手段に相当)560が搭載されている。遊技制御用マイクロコンピュータ560は、ゲーム制御(遊技進行制御)用のプログラム等を記憶するROM54、ワークメモリとして使用される記憶手段としてのRAM55、プログラムにしたがって制御動作を行なうCPU56およびI/Oポート部57を含む。この実施の形態では、ROM54およびRAM55は遊技制御用マイクロコンピュータ560に内蔵されている。すなわち、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、1チップマイクロコンピュータである。1チップマイクロコンピュータには、少なくともCPU56のほかRAM55が内蔵されていればよく、ROM54は外付けであっても内蔵されていてもよい。また、I/Oポート部57は、外付けであってもよい。遊技制御用マイクロコンピュータ560には、さらに、ハードウェア乱数(ハードウェア回路が発生する乱数)を発生する乱数回路503が内蔵されている。」

(5)「【0108】
次に、この実施の形態の遊技機における演出表示装置9で実行される擬似連の表示演出を説明する。以下に示すパターンa?パターンdのそれぞれは、擬似連の表示が実行されるときに、再変動が行なわれることを、演出表示装置9、上演出LED85a、中演出LED85b、下演出LED85c、および、可動部材78のような報知手段を用いて所定の報知態様で報知する報知演出を含む演出パターンを示している。
【0109】
図6は、擬似連の表示演出例を示す説明図である。図6(A)に示すパターンaは、それぞれの再変動(初回変動も含む。)の期間中に、上演出LED85a、中演出LED85bおよび下演出LED85cのうち点灯されるものが1つずつ増えていくように制御される。なお、仮停止期間において、LED(上演出LED85a、中演出LED85b、下演出LED85c)はすべて消灯状態であってもよい。また、再変動(初回変動も含む。)の期間中に、LEDは点滅するように制御されてもよいし、表示色が変わるように制御されてもよいし、点灯されるものが1つずつ増えていくように制御されるのではなく上演出LED85a、中演出LED85bおよび下演出LED85cのうちで点灯するものが変わるように制御されるようにしてもよい。また、図6(A)には、演出図柄の1回の変動中に2回の仮停止期間が設けられ、3回の再変動(初回変動も含む。)が行なわれる例が示されている。しかし、これに限らず、仮停止の回数は、1回の場合もあってもよいし、3回以上であってもよい。また、それぞれの再変動(初回変動も含む。)A1,A2,A3を、第1再変動演出態様の再変動演出ということがある。」

(6)「【0114】
なお、図6(D)において、「2つ点灯」のボックスが破線で示されているのは、その演出が実行される場合もあり、実行されない場合もあることを示す。実行されない場合には、初回変動においてLED(上演出LED85a、中演出LED85bまたは下演出LED85c)を用いた演出が実行され、次に実行される再変動において、可動部材78を用いた演出が実行されるが、LEDを用いた演出は実行されないことを示す。このように、擬似連において、リーチとなるときは、擬似連の再変動のうち最後の再変動においてリーチ状態となり、リーチ演出が行なわれる。」

(7)「【0143】
また、演出図柄の変動表示中に、リーチ演出とは異なり、演出図柄の変動表示状態がリーチ状態となる可能性があることや、変動表示結果が大当り図柄になる可能性があることを、演出図柄の変動表示態様等によって遊技者に報知するための特定演出が実行されることがある。この実施の形態では、「滑り」、「擬似連」といった特定演出が実行可能である。
・・・
【0150】
図15は、変動表示結果がはずれ図柄になる場合における演出図柄の変動表示態様が「非リーチ」である場合と「リーチ」である場合とのそれぞれに対応して予め用意された演出図柄の変動パターンを示す説明図である。」

(8)「【0251】
図34は、S312の始動口スイッチ通過処理を示すフローチャートである。第1始動口スイッチ13aと第2始動口スイッチ14aとのうちの少なくとも一方がオン状態の場合に実行される始動口スイッチ通過処理において、CPU56は、オンしたのが第1始動口スイッチ13aであるか否かを確認する(S211)。第1始動口スイッチ13aがオンしていれば、CPU56は、始動口ポインタに「第1」を示すデータ(たとえば「01(H)」)をセットする(S211A)。第1始動口スイッチ13aがオンしていなければ(すなわち、第2始動口スイッチ14aがオンしていれば)、CPU56は、始動口ポインタに「第2」を示すデータ(たとえば「02(H)」)をセットする(S211B)。
・・・
【0257】
始動口スイッチ通過処理において、CPU56は、乱数回路503やソフトウェア乱数を生成するためのカウンタから値を抽出し、それらを、始動口ポインタが指す方の保留記憶バッファ(第1保留記憶バッファまたは第2保留記憶バッファ)における保存領域に格納する処理を実行する(S215)。なお、S215の処理では、ランダムR(大当り判定用乱数)およびソフトウェア乱数であるランダム2-1(図17参照)が、保存領域に格納される。
・・・
【0264】
CPU56は、RAM55において、特別図柄ポインタが示す方の保留記憶数=1に対応する保存領域に格納されている各乱数値を読出してRAM55の乱数バッファ領域に格納する(S55)。具体的には、CPU56は、特別図柄ポインタが「第1」を示している場合には、第1保留記憶数バッファにおける第1保留記憶数=1に対応する保存領域に格納されている各乱数値を読出してRAM55の乱数バッファ領域に格納する。また、CPU56は、特別図柄ポインタが「第2」を示している場合には、第2保留記憶数バッファにおける第2保留記憶数=1に対応する保存領域に格納されている各乱数値を読出してRAM55の乱数バッファ領域に格納する。
・・・
【0270】
次いで、CPU56は、乱数バッファ領域からランダムR(大当り判定用乱数)を読出し(S61)、大当り判定モジュールを実行する(S62)。大当り判定モジュールは、予め決められている大当り判定値(図18参照)と大当り判定用乱数とを比較し、それらが一致したら大当りまたは小当りとすることに決定する処理を実行するプログラムである。すなわち、大当り判定の処理を実行するプログラムである。」

(9)「【0324】
次に、図51を参照して、擬似連において、1回目滑り後チャンス目仮停止演出が行なわれるときには、(A)に示すように、「左」、「中」、「右」の図柄表示エリア9L、9C、9Rの全部で演出図柄の変動が開始された後、(B)に示すように、図柄表示エリア9L、9C、9Rにおいて、「左」、「右」の順番で擬似連チャンス目とならないリーチ形成図柄(「左」、「右」が同じ図柄)が仮停止される。そして、(C),(D)に示すように、「中」の図柄表示エリア9Cで演出図柄が変動を継続している状態で、図柄表示エリア9L、9Rのうち、たとえば、「右」の図柄表示エリア9Rのような一部の図柄表示エリアで、仮停止していた演出図柄が所定図柄数分(たとえば1図柄数分)変更される滑り演出が行なわれる。そのような滑り演出が行なわれるときには、一部の図柄がリーチ形成図柄から擬似連チャンス目を形成することが可能な図柄に変更される。図51の場合には、「3」、「3」のリーチ形成図柄から「3」、「4」という擬似連チャンス目(たとえば、「3」、「4」、「4」)を形成することが可能な図柄に滑り演出によって図柄が変更される。その後、(E)に示すように、「中」の図柄表示エリア9Cで演出図柄が仮停止することにより、変動擬似連チャンス目(たとえば、「3」、「4」、「4」)を形成する図柄の組合せが仮停止される。その後、(F),(G)に示すように再変動が開始されることにより擬似連の変動が行なわれ、変動パターンごとに定められた変動時間が経過すると、演出図柄の変動が停止され、最終停止図柄が導出表示される。」

(10)変動表示結果がはずれ図柄になる場合における演出図柄の変動表示態様が「非リーチ」である場合と「リーチ」である場合とのそれぞれに対応して予め用意された演出図柄の変動パターンを示す説明図である図15(上記(7)【0150】参照)より、変動表示結果がはずれ図柄になる場合において、特定演出が「なし」となる場合があることを看て取ることができる。

そして、上記記載事項(1)?(9)に記載された事項及び図面に記載された事項(10)を総合すると、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる(a?lは、本願発明のA?Lに対応させて当審にて付与した。また、丸括弧内に示された段落番号は、引用文献における引用箇所を示す。)。

(引用発明)
「a 主基板31には、プログラムにしたがってパチンコ遊技機1を制御する遊技制御用マイクロコンピュータ560が搭載され(【0057】)、
遊技制御用マイクロコンピュータ560は、ワークメモリとして使用される記憶手段としてのRAM55、プログラムにしたがって制御動作を行なうCPU56を含み(【0057】)、
第1始動口スイッチ13aと第2始動口スイッチ14aとのうちの少なくとも一方がオン状態の場合に実行される始動口スイッチ通過処理において(【0251】)、ランダムR(大当り判定用乱数)が、保存領域に格納され(【0257】)、
CPU56は、保存領域に格納されている各乱数値を読出してRAM55の乱数バッファ領域に格納し(S55)(【0264】)、

b 乱数バッファ領域からランダムR(大当り判定用乱数)を読出し(S61)、予め決められている大当り判定値と大当り判定用乱数とを比較し、それらが一致したら大当りまたは小当りとすることに決定する処理を実行するプログラムである大当り判定モジュールを実行する、CPU56と(【0270】)、
c 遊技領域7の中央付近には、液晶表示装置(LCD)で構成された演出表示装置9が設けられ(【0025】)、
演出図柄を変動表示する複数の変動表示領域(「左」、「中」、「右」の各図柄表示エリア9L、9C、9R)を有し(【0007】)、
演出図柄の変動表示を行ない、大当り図柄が停止表示されるときには、演出表示装置9において大当りを想起させるような特定表示結果としての演出図柄の組合せが停止表示され(【0042】)、

d 演出表示装置9の周囲の飾り部において、右側には、上演出LED85a、中演出LED85bおよび下演出LED85cが設けられ(【0044】)、
再変動(初回変動も含む。)の期間中に、上演出LED85a、中演出LED85bおよび下演出LED85cのうち点灯されるものが1つずつ増えていくように制御され(【0109】)、

g 演出図柄の変動表示中に、演出図柄の変動表示状態がリーチ状態となる可能性があることや、変動表示結果が大当り図柄になる可能性があることを、演出図柄の変動表示態様等によって遊技者に報知するための「滑り」、「擬似連」といった特定演出が実行可能であり(【0143】)、
変動表示結果がはずれ図柄になる場合において、特定演出が「なし」となる場合があり(図15)、
擬似連とは、本来は1つの保留記憶に対応する1回の変動であるものの複数の保留記憶に対応する複数回の変動が連続して行なわれているように見せる演出表示である擬似連続変動であり(【0044】)、

hj 擬似連の表示が実行されるときに、再変動が行なわれることを、演出表示装置9、上演出LED85a、中演出LED85b、下演出LED85c、および、可動部材78のような報知手段を用いて所定の報知態様で報知する報知演出を含む演出パターンを有し(【0108】)、
演出図柄の1回の変動中に2回の仮停止期間が設けられ、3回の再変動(初回変動も含む。)が行なわれ、それぞれの再変動(初回変動も含む。)の期間中に、上演出LED85a、中演出LED85bおよび下演出LED85cのうち点灯されるものが1つずつ増えていくように制御され(【0109】)、
擬似連において、リーチとなるときは、擬似連の再変動のうち最後の再変動においてリーチ状態となり、リーチ演出が行なわれ(【0114】)、

i リーチ状態は、左,右の図柄表示エリア9L,9Rで同じ図柄が停止し、中の図柄表示エリア9Cで図柄が停止していない状態で形成され(【0046】)、
図柄表示エリア9L、9C、9Rにおいて、リーチ形成図柄(「左」、「右」が同じ図柄)が仮停止され、「中」の図柄表示エリア9Cで演出図柄が変動を継続している状態で、図柄表示エリア9L、9Rのうち、たとえば、「右」の図柄表示エリア9Rのような一部の図柄表示エリアで、仮停止していた演出図柄が所定図柄数分(たとえば1図柄数分)変更される滑り演出が行なわれ、一部の図柄がリーチ形成図柄から擬似連チャンス目を形成することが可能な図柄に変更され、その後、変動擬似連チャンス目を形成する図柄の組合せが仮停止され、その後、再変動が開始されることにより擬似連の変動が行なわれる(【0324】)、

l パチンコ遊技機(【0021】)。」

5 本願発明と引用発明の対比
本願発明と引用発明とを分説にしたがって対比する。

(a)引用発明の構成aの「第1始動口スイッチ13aと第2始動口スイッチ14aとのうちの少なくとも一方がオン状態の場合」は、本願発明の構成Aの「遊技球を検知すること」に相当するので、「第1始動口スイッチ13aと第2始動口スイッチ14aとのうちの少なくとも一方がオン状態の場合に実行される始動口スイッチ通過処理において」「保存領域に格納され」る「ランダムR(大当り判定用乱数)」は、本願発明の「遊技球を検知することに基づいて取得される取得情報」に相当する。
また、引用発明の構成aの「RAM55」は、その「乱数バッファ領域」に「保存領域に格納されている各乱数値」を「格納」しているのだから、本願発明の構成Aの「取得情報を記憶する取得情報記憶手段」に相当する。
そして、引用発明の構成aの「RAM55」は、同構成aによれば、「遊技制御用マイクロコンピュータ560」が「含」むものであって、その「遊技制御用マイクロコンピュータ560」は「主基板31」に「搭載され」るものである。そして、遊技機における主基板が遊技機自体に搭載されるものであることは自明なのだから、引用発明の構成aの「RAM55」は、遊技機に備えられたものである。
してみると、引用発明の構成aは、本願発明の構成Aに相当する。

(b)引用発明の構成bの「ランダムR(大当り判定用乱数)」(上記(a)より、本願発明の「取得情報」に相当する。)は、同構成bによれば「乱数バッファ領域」(上記(a)より、本願発明の「取得情報記憶手段」に相当する。)から「読出し」たものなのだから、本願発明の構成Bの「取得情報記憶手段に記憶された取得情報」に相当するものである。
また、引用発明の構成bの「大当り判定値」は本願発明の構成Bの「特定情報」に相当するとともに、引用発明の構成bの「大当り判定値と大当り判定用乱数とを比較し、それらが一致したら大当りまたは小当りとすることに決定する」ことは、本願発明の構成Bの「取得情報が特定情報であるか否かを当否判定する」「当否判定手段」としての機能を有する。
また、引用発明の構成bの「CPU56」は、本願発明の構成Bの「当否判定手段」に相当する。
そして、引用発明の「CPU56」(当否判定手段)は、同構成aによれば、「遊技制御用マイクロコンピュータ560」が「含」むものであって、その「遊技制御用マイクロコンピュータ」は「主基板31」に「搭載され」るものであるから、引用発明の構成bの「CPU56」(当否判定手段)は遊技機に備えられたものである。
してみると、引用発明の構成bは、本願発明の構成Bに相当する。

(c)引用発明の構成cの「演出図柄」、「演出表示装置9」は、それぞれ本願発明の構成Cの「識別情報」、「識別情報表示手段」に相当する。
また、引用発明の構成cでは、「演出図柄の変動表示を行ない、大当り図柄が停止表示されるときには」「大当りを想起させるような特定表示結果としての演出図柄の組合せが停止表示され」るのだから、「当否判定の結果に基づいて識別情報を変動表示」しているものといえる。
そして、引用発明の構成cの「演出表示装置9」(識別情報表示手段)は、「遊技領域7の中央付近に」「設けられ」ているのだから、遊技機に備えられたものである。
してみると、引用発明の構成cは、本願発明の構成Cに相当する。

(d)引用発明の構成dの「点灯されるものが1つずつ増えていく」、「上演出LED85a、中演出LED85bおよび下演出LED85c」は、それぞれ本願発明の構成Dの「表示態様が変化する」、「特定表示手段」に相当する。
そして、引用発明の構成dの「上演出LED85a、中演出LED85bおよび下演出LED85c」(特定表示手段)は、「演出表示装置9の周囲の飾り部において」「設けられ」ているのだから、遊技機に備えられたものである。
してみると、引用発明の構成dは、本願発明の構成Dに相当する。

(g)引用発明の構成gの「擬似連」は、同構成gによれば、「本来は1つの保留記憶に対応する1回の変動であるものの複数の保留記憶に対応する複数回の変動が連続して行なわれているように見せる演出表示である擬似連続変動であ」るのだから、本願発明の構成Eの「一の変動表示において前記識別情報を変動表示した後、一旦停止表示し、再度変動表示させる複数回変動演出」に相当する。
また、引用発明の構成gの「特定演出が「なし」となる場合」は、「滑り」や「擬似連」がないのだから、本願発明の構成Gの「一の変動表示において前記識別情報を変動表示した後、停止表示する1回変動演出」に相当する。
してみると、引用発明の構成gは、本願発明の構成Gに相当する。

(h)引用発明の構成hjの「擬似連の表示が実行されるときに、再変動が行なわれること」は、本願発明の構成Hの「複数回変動演出の実行中であること」に相当する。
また、引用発明の「上演出LED85a、中演出LED85bおよび下演出LED85c」が本願発明の「特定表示手段」に相当することは上記(d)にて説示のとおりであるところ、引用発明の構成hjの「それぞれの再変動(初回変動も含む。)の期間中に、上演出LED85a、中演出LED85bおよび下演出LED85cのうち点灯されるものが1つずつ増えていくように制御」することは、本願発明の構成Hの「特定表示手段の表示態様によって」「表示するよう構成」することに相当する。
してみると、引用発明の構成hjは、本願発明の構成Hに相当する。

(i)まず、本願発明の構成Iは「リーチ状態を示す態様にて識別情報を一旦停止表示」との事項を含むものであるが、本願発明においては、「リーチ状態を示す態様にて識別情報を一旦停止表示」との事項は、
「I リーチ状態を示す態様にて識別情報を一旦停止表示した後であっても識別情報を再度変動表示させ得るよう構成されており、」
「J リーチ状態を示す態様にて識別情報を一旦停止表示した後で識別情報を再度変動表示させない場合には、前記特定表示手段の表示態様による前記複数回変動演出の実行中であることの表示が非表示となるよう構成されており、」
との、分説した2つの構成にそれぞれ含まれている(下線は当審で付した。以下同様。)。
ここで、上記「リーチ状態を示す態様にて識別情報を一旦停止表示」との事項について、本願の発明の詳細な説明をみると、構成Iに関する記載としては、本願明細書の【0169】に、
「そして、疑似連続予告演出(複数回変動演出)中に複数回の仮停止を行う場合においても、仮停止図柄(疑似連図柄)は毎回同じ図柄(算用数字「2」、「5」、「8」を左から右に向かって並べて構成される図柄)とされる。但し、仮停止図柄(疑似連図柄)は、これに限定されず、他の組み合わせ図柄であってもよい。例えば、算用数字「7」を示す演出図柄(キャラクタG7を非表示)と、算用数字「5」を示す演出図柄(キャラクタG5を表示)と、算用数字「7」を示す演出図柄(キャラクタG7を非表示)とを左から右に向かって並べて構成される仮停止図柄等のように、外れリーチの態様に構成される仮停止図柄であってもよく、・・・」
と記載され、構成Jに関する記載としては、本願明細書の【0172】に、
「例えば、「左演出図柄」および「右演出図柄」でリーチ表示を行う場合には、停止表示領域LH、RHに帽子を脱いだ蝶のキャラクタG2に算用数字を重ね合わせた演出図柄F2(キャラクタ識別情報F)を表示したり、帽子を被った蝶のキャラクタG8に算用数字を重ね合わせた演出図柄F8(キャラクタ識別情報F8)を表示することができる。或いは、両停止表示領域LH、RHに、キャラクタを表示した状態の他の演出図柄F1、F3?F7、F9を表示することで、リーチ表示を行うこともできる。そして、「中演出図柄」を停止するタイミングが到来すると、「中演出図柄(キャラクタを表示した状態の演出図柄)」を停止表示領域CHに確定停止させ、演出図柄の確定表示を完成する(c12)。」
と記載されている。
そうすると、本願発明における「リーチ状態を示す態様にて識別情報を一旦停止表示」との事項は、
・左右の図柄が一致しつつも中図柄が一致せずに全図柄が仮停止した、外れリーチの態様の表示(以下、「前者解釈」という。)
であってもよく、
・左右の図柄が一致して停止しつつも、中図柄が停止していない表示(以下、「後者解釈」という。)
であってもよいものと解するのが相当である。
そして、(i)の対比においては、本願発明の「リーチ状態を示す態様にて識別情報を一旦停止表示」との事項を、「前者解釈」と「後者解釈」のうち、「後者解釈」に基づいて対比をすすめる。

引用発明の構成iの「リーチ状態」、「左,右の図柄表示エリア9L,9Rで同じ図柄が停止し、中の図柄表示エリア9Cで図柄が停止していない状態」は、それぞれ本願発明の構成Iの「リーチ状態」、「リーチ状態を示す態様」に相当する。
そして、引用発明の構成iの「リーチ状態」が「左,右の図柄表示エリア9L,9Rで同じ図柄が停止し、中の図柄表示エリア9Cで図柄が停止していない状態」であることからすると、引用発明の構成iの「図柄表示エリア9L、9C、9Rにおいて、リーチ形成図柄(「左」、「右」が同じ図柄)が仮停止され、「中」の図柄表示エリア9Cで演出図柄が変動を継続している状態」は、上記後者解釈に基づいて、本願発明の構成Iの「リーチ状態を示す態様にて識別情報を一旦停止表示した」状態に相当する状態といえる。
そうすると、「図柄表示エリア9L、9C、9Rにおいて、リーチ形成図柄(「左」、「右」が同じ図柄)が仮停止され、「中」の図柄表示エリア9Cで演出図柄が変動を継続している状態」の「その後、変動擬似連チャンス目を形成する図柄の組合せが仮停止され、その後、再変動が開始されること」は、本願発明の構成Iの「リーチ状態を示す態様にて識別情報を一旦停止表示した後」「識別情報を再度変動表示させ」ることに相当する。
してみると、引用発明の構成iは、本願発明の構成Iに相当する。

(j)引用発明の構成hjの「擬似連の再変動のうち最後の再変動においてリーチ状態とな」ることは、当該リーチ状態以降に再変動されることはないのだから、本願発明の構成Jの「リーチ状態を示す態様にて識別情報を一旦停止表示した後で識別情報を再度変動表示させない」ことに相当する。
また、引用発明において、「3回の再変動(初回変動も含む。)が行なわれ、それぞれの再変動(初回変動も含む。)の期間中に、上演出LED85a、中演出LED85bおよび下演出LED85cのうち点灯されるものが1つずつ増え」ていけば、「擬似連の再変動のうち最後の再変動においてリーチ状態とな」ったときには、「上演出LED85a、中演出LED85bおよび下演出LED85c」は3つとも点灯に変更され、当該LEDが3つとも点灯した状態は、本願発明の構成Jの「特定表示手段の表示態様による前記複数回変動演出の実行中であることの表示が非表示となる」との事項と、「特定表示手段の表示態様による前記複数回変動演出の実行中であることの表示」が別の表示となる点で共通する。
してみると、引用発明の構成jは、本願発明の構成Jと、「リーチ状態を示す態様にて識別情報を一旦停止表示した後で識別情報を再度変動表示させない場合には、前記特定表示手段の表示態様による前記複数回変動演出の実行中であることの表示が」「別表示」「となるよう構成されて」いる点で共通する。

(l)引用発明の「パチンコ遊技機」は、本願発明の「遊技機」に相当する。
引用発明の構成lは、本願発明の構成Lに相当するものである。

そうすると、上記(a)?(l)によれば、本願発明と引用発明との一致点及び相違点は以下のとおりである。

(一致点)
「A 遊技球を検知することに基づいて取得される取得情報を記憶する取得情報記憶手段と、
B 前記取得情報記憶手段に記憶された取得情報が特定情報であるか否かを当否判定する当否判定手段と、
C 前記当否判定の結果に基づいて、識別情報を変動表示する識別情報表示手段と、
D 表示態様が変化する特定表示手段と、
を備え、
G 前記識別情報の変動表示態様として、一の変動表示において前記識別情報を変動表示した後、停止表示する1回変動演出と、一の変動表示において前記識別情報を変動表示した後、一旦停止表示し、再度変動表示させる複数回変動演出と、を有し、
H 前記特定表示手段の表示態様によって、前記複数回変動演出の実行中であることを表示するよう構成されており、
I リーチ状態を示す態様にて識別情報を一旦停止表示した後であっても識別情報を再度変動表示させ得るよう構成されており、
J′リーチ状態を示す態様にて識別情報を一旦停止表示した後で識別情報を再度変動表示させない場合には、前記特定表示手段の表示態様による前記複数回変動演出の実行中であることの表示が別表示となるよう構成されている、
L 遊技機。」

(相違点1)
構成Jについて、本願発明は、
「リーチ状態を示す態様にて識別情報を一旦停止表示した後で識別情報を再度変動表示させない場合には、前記特定表示手段の表示態様による前記複数回変動演出の実行中であることの表示が非表示となるよう構成されて」いるのに対し、引用発明では、リーチ状態を示す態様にて識別情報を一旦停止表示した後で識別情報を再度変動表示させない場合には、特定表示手段の表示態様による複数回変動演出の実行中であることの表示は別表示となるものの「非表示」とはならない点。

(相違点2)
構成E、F、Kについて、本願発明は、
「E 前記取得情報記憶手段に記憶された取得情報が特定情報であるか否かを、前記当否判定を行う前に事前判定する事前判定手段と、
F 前記事前判定の結果に基づいて、複数の変動表示を用いて先読み演出を実行可能な先読み演出実行手段と、
を備え、」
「K 前記特定表示手段の表示態様によって、前記先読み演出の実行中であることを表示するよう構成されている」
のに対し、引用発明は係る構成を有しない点。

6 判断
上記相違点について検討する。

(1)相違点1について(構成J)
遊技機の分野において、識別情報を再度変動表示させない場合に、複数回変動演出の実行中であることの表示が非表示となるよう構成することにより、遊技者に再変動が継続することを報知することが、例えば以下の文献にみられるように周知である。
・特開2012-179278号公報
(特に、【0275】の
「・・・到達度メーター41eのメーター値は、この後実行される擬似連変動の擬似変動回数と等しいことから、遊技者は到達度メーター41eの表示によって次の特図変動表示ゲームにおける擬似連変動の擬似変動回数を知ることができる。」
との記載や【0276】の
「擬似連変動中は、単位変動表示が始まる毎に、到達度メーター41eのメーター値が一つずつ減少していく。図43(e)に示すように、到達度メーター41eのレベルが0になるとき、最後(4回目の)の単位変動表示が始まる。そして、最後の単位変動表示が終了すると、図43(f)に示すように、リーチ変動が開始される。」
との記載や、図43を参照。)
・特開2011-171号公報
(特に、【0125】の
「図18は、疑似連予告演出の一例を示す説明図である。
図18(a)では、保留1の特図1始動記憶表示511の中に☆マークが3つ表示され、この保留1に係る特図1変動表示ゲームにおいて疑似3連の疑似連予告演出が実行されることが報知された場合を示している。図18(a)に示すように、・・・当該特図変動表示ゲームに係る飾り特図始動記憶表示53として拡大表示される(図18(b))。」
との記載や、【0126】の
「そして、図18(c)に示すように、飾り特図始動記憶表示53から☆が1つとび出し、画面内で流れ星の演出表示がなされ、疑似1連目の特図1変動表示ゲームが開始されるとともに、飾り特図始動記憶表示53の☆マークは1減算されて2つとなる。つまり、飾り特図始動記憶表示53に表示されている☆マークの数は、残り何回疑似連が継続されるかを示している。
図18(d)に示すように、疑似1連目の特図1変動表示ゲームではハズレ結果態様(図18(d)では「334」)が導出され、変動表示が一旦停止される。その後、図18(e)に示すように、飾り特図始動記憶表示53から☆が1つとび出し、画面内で流れ星の演出表示がなされ、疑似2連目の特図1変動表示ゲームが開始されるとともに、飾り特図始動記憶表示53の☆マークは1減算されて1つとなる(残り疑似連数1)。遊技機100では、このような疑似連予告演出が実行される。」
との記載、【0132】の
「・・・これにより、遊技者は疑似連予告演出において実行される総疑似連数(疑似連が何変動継続するか)を遅くとも変動開始時に知得することができるとともに、疑似連予告演出の実行中に残りの疑似連数を知得することができるので、安心して疑似連予告演出を堪能することができる。」
との記載及び図18等を参照。
さらに、同文献の【0058】には、
「疑似連予告演出とは、1回の変動表示ゲームにおいて、例えば特定の図柄の並びで一時的に停止した後、再び図柄変動と停止を行い、擬似的に複数回変動表示ゲームが行われているように見せる予告演出である。以下において、図柄変動の停止→再変動がn回行われる疑似連予告を疑似(n+1)連と称し、このときの疑似連数を(n+1)で表すこととする。例えば、図柄変動が1回停止して再変動した場合は疑似2連となり、このときの疑似連数は2となる。」
と記載されており、再び一旦停止しない場合(識別情報を再度変動表示させない場合)に、☆マーク(複数回変動演出の実行中であることの表示)が非表示となることは明らかである。)
上記従来より周知の事項を考慮すれば、「擬似連の表示が実行されるときに、再変動が行なわれることを」「報知する」(構成hjを参照)との課題を有する引用発明において、同様の課題を有することが明らかな上記周知の技術を適用し、「リーチ状態を示す態様にて識別情報を一旦停止表示した後で識別情報を再度変動表示させない場合には、前記特定表示手段の表示態様による前記複数回変動演出の実行中であることの表示」が「非表示となるよう構成」することは、当業者が適宜なしうることというべきである。

(2)相違点2について(構成E、F、K)
遊技機の技術分野において、遊技の興趣向上のため、
記憶された取得情報が特定情報であるか否かを、当否判定を行う前に事前判定し、
前記事前判定の結果に基づいて、複数の変動表示を用いて先読み演出を実行し、
擬似連変動(複数回変動演出)と、複数の変動表示を用いた先読み演出とで、同様の演出を実行すること、
が、例えば以下の文献にみられるように周知である。
・当審拒絶理由にて周知の技術の例示として提示した引用文献2:特開2010-233587号公報
(特に、【請求項1】の
「遊技盤上に設けられた始動口への遊技球の入球に基づいて図柄変動情報を取得して記憶する変動情報記憶手段と、
・・・
前記図柄変動開始時判定の実行に先立ち、前記変動情報記憶手段に記憶されている前記図柄変動情報が特定変動情報であるか否かを判定する事前判定手段と、
前記事前判定手段により前記図柄変動情報が前記特定変動情報であると判定された場合に、次回の特別図柄変動から前記特定変動情報に基づく特別図柄変動まで前記図柄変動情報が前記特定変動情報であることを示唆する予告演出を、前記特別図柄の複数回の変動表示に渡って行う連続予告を実行する連続予告実行手段と、
・・・特別図柄の1回の変動表示中に前記演出図柄の仮停止を伴って複数回行う疑似連続予告を実行する疑似連続予告実行手段とを備え、」
との記載や、【0005】の
「そこで、本発明は上記点に鑑み、連続予告と疑似連続予告を採用した遊技機において、遊技興趣の低下を抑制することを目的とする。」
との記載や、【0056】の
「疑似連続予告は、上述の連続予告と同様の内容の予告演出が行われる。」
との記載を参照。)
・当審拒絶理由にて周知の技術の例示として提示した引用文献3:特開2009-56148号公報
(特に【請求項1】の
「始動条件が成立した後に開始条件が成立したことに基づいて、各々が識別可能な複数種類の識別情報を可変表示する複数の可変表示部を有する可変表示装置を備え、・・・
前記始動条件は成立したが前記開始条件は成立していない可変表示の保留データを記憶する保留記憶手段と、
前記保留記憶手段に記憶される保留データに基づいて、前記特定遊技状態に制御されるか否かを、前記開始条件が成立する以前に判定する事前判定手段と、」
との記載や、【0009】の
「この発明は上記実状に鑑みてなされたものであり、可変表示の開始条件が成立する以前に「大当り」とする判定がなされた場合における遊技の興趣を向上させることができる遊技機を提供することを目的とする。」
との記載や、【0050】の
「「擬似連」の特定演出では、特別図柄や飾り図柄の可変表示を開始するための開始条件が1回成立したことに基づき、「左」、「中」、「右」の飾り図柄表示部5L、5C、5Rにおける全部にて飾り図柄を変動させてから、全部の飾り図柄表示部5L、5C、5Rにて飾り図柄を仮停止表示させた後、全部の飾り図柄表示部5L、5C、5Rにて飾り図柄を再び変動(擬似連続変動あるいは擬似連再変動)させる演出表示を、所定回行うことができる。」
との記載や、【0058】の
「・・・開始条件が複数回成立したことに基づく複数回の可変表示ゲームにわたり、可変表示結果が当りとなることを予告する演出を、連続して実行することがある。このような複数回の可変表示ゲームにわたり連続して実行される演出を、連続演出ともいう。」
との記載や、【0442】の
「また、擬似連演出、・・・及び連続演出として実行される演出動作は、飾り図柄の変動回数に対応して、同様の演出動作となるように設定されてもよい。・・・」
との記載を参照。)

上記従来より周知の事項を考慮すれば、遊技機における遊技の興趣向上を課題(上記「4 引用文献に記載された事項」(1)の【0006】等を参照)とした引用発明において、遊技機における興趣の向上という共通の課題を有する上記周知の技術を採用し、記憶された取得情報が特定情報であるか否かを、当否判定を行う前に事前判定し、前記事前判定の結果に基づいて、複数の変動表示を用いて先読み演出を実行可能とし、擬似連変動(複数回変動演出)と、複数の変動表示を用いた先読み演出とで、同様の演出を実行可能とすることは、当業者が容易に想到し得たことというべきであり、引用発明に「複数の変動表示を用いた先読み演出」を付加するにあたり、当該先読み演出においても、引用発明における複数回変動演出と同様に「上演出LED85a、中演出LED85bおよび下演出LED85c」を用いた演出を行い、上記相違点に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

7 本願発明が奏する効果について
本願発明が奏する作用効果について検討してみても、本願発明が奏する作用効果は当業者が引用発明及び周知の技術から予測し得るものであって、格別のものということはできない。

8 請求人の主張について
審判請求人は、平成30年11月7日提出の意見書の「(3)拒絶理由について」において、本願発明では、疑似連続予告演出(複数回変動演出)を継続するのか、終了するのかを更に明確に理解できるとの効果を奏する旨の主張をするとともに、引用発明では、上記したような効果を得難いとの旨の主張がされている。

しかし、上記「6 判断」「(1)相違点1について(構成J)」にて説示のとおり、識別情報を再度変動表示させない場合に、複数回変動演出の実行中であることの表示が非表示となるよう構成することにより、遊技者に再変動が継続するか否かを報知することは、従来より周知の事項であり、引用発明において、「リーチ状態を示す態様にて識別情報を一旦停止表示した後で識別情報を再度変動表示させない場合には、前記特定表示手段の表示態様による前記複数回変動演出の実行中であることの表示」が「非表示となるよう構成」することは、当業者が適宜なしうることである。
さらに、請求人が主張する「疑似連続予告演出(複数回変動演出)を継続するのか、終了するのかを更に明確に理解できるとの効果」についても、上記周知の技術の例示として提示した特開2012-179278号公報の【0275】の
「遊技者は到達度メーター41eの表示によって次の特図変動表示ゲームにおける擬似連変動の擬似変動回数を知ることができる。」
との記載や、特開2011-171号公報の【0132】の
「これにより、遊技者は疑似連予告演出において実行される総疑似連数(疑似連が何変動継続するか)を遅くとも変動開始時に知得することができるとともに、疑似連予告演出の実行中に残りの疑似連数を知得することができるので、安心して疑似連予告演出を堪能することができる。」
との記載にもみられるように、周知の技術に付随する作用効果として当業者にとってよく知られたことであって、格別のものということはできない。

9 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2019-03-07 
結審通知日 2019-03-12 
審決日 2019-03-25 
出願番号 特願2014-122500(P2014-122500)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 廣瀬 貴理  
特許庁審判長 長崎 洋一
特許庁審判官 石井 哲
田付 徳雄
発明の名称 遊技機  
代理人 伊藤 温  
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