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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06F |
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管理番号 | 1351304 |
審判番号 | 不服2018-8162 |
総通号数 | 234 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2019-06-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2018-06-13 |
確定日 | 2019-06-03 |
事件の表示 | 特願2016-518365「2つ以上のディスプレイを同期させるためのデバイス、方法、及びグラフィカルユーザインタフェース」拒絶査定不服審判事件〔平成26年12月11日国際公開、WO2014/197339、平成28年 9月23日国内公表、特表2016-529580、請求項の数(12)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成26年5月30日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2014年5月30日、米国、2013年6月8日、米国)を国際出願日とする出願であって、平成28年9月20日付けで拒絶理由通知がされ、平成29年3月27日付けで手続補正がされ、平成29年7月20日付けで拒絶理由通知(最後)がされ、平成30年1月30日付けで手続補正がされ、平成30年2月5日付けで拒絶査定がなされ、これに対して平成30年6月13日に審判の請求がされると同時に手続補正がされたものである。 第2 原査定の概要 原査定(平成30年2月5日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。 本願請求項1-13に係る発明は、以下の引用文献1-2に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献等一覧 1.特開2004-28909号公報 2.自動運転と衝突防止技術2013-2014、日経BP社,2013年5月22日、初版、p.130-139、160-161 第3 本願発明 本願請求項1-12に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明12」という。)は、平成30年6月13日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-12に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1は以下のとおりの発明である。 「【請求項1】 車両の車両ディスプレイと通信する、携帯デバイス・ディスプレイを備える携帯電子デバイスにおいて、 複数の目的地候補を含む地図検索結果のセットを取得することと、 前記複数の目的地候補から目的地を選択可能な携帯デバイス・ナビゲーション・インタフェースを、前記携帯デバイス・ディスプレイ上に表示することと、 前記複数の目的地候補の中から第1の目的地を選択することと、 前記車両ディスプレイに車両ナビゲーション・インタフェースであって、前記複数の目的地候補のうち前記第1の目的地が、前記車両ナビゲーション・インタフェース内の選択された目的地である前記車両ナビゲーション・インタフェースを表示させることを可能とする情報を、前記車両ディスプレイに送信することと、 前記第1の目的地が前記車両ナビゲーション・インタフェース内の前記選択された目的地である間に、 前記複数の目的地候補のうちの前記第1の目的地以外の1つ以上の目的地候補に関する情報を表示するための要求に対応する、ユーザからの第1の入力を検出することと、 前記第1の入力を検出したことに応じて、前記車両ディスプレイ上の前記車両ナビゲーション・インタフェースが更新されること無しに、前記第1の入力に従って、前記携帯デバイス・ディスプレイ上の前記携帯デバイス・ナビゲーション・インタフェースを更新することと、 前記第1の入力に従って前記携帯デバイス・ナビゲーション・インタフェースを更新した後、前記複数の目的地候補のうち第2の目的地を前記選択された目的地として選択するための要求に対応する、ユーザからの第2の入力を検出することと、 前記第2の入力を検出したことに応じて、 前記第2の入力に従って、前記第2の目的地を前記選択された目的地として表示するように、前記携帯デバイス・ディスプレイ上の前記携帯デバイス・ナビゲーション・インタフェースを更新することと、 前記第2の目的地を前記選択された目的地として表示するように、前記車両ディスプレイが前記第2の入力に従って前記車両ナビゲーション・インタフェースを更新することを可能にする情報を前記車両ディスプレイに送信することと、 前記第2の目的地を前記選択された目的地として前記第1の目的地の代わりに表示するように、前記車両ディスプレイ上の前記車両ナビゲーション・インタフェースを更新することを可能にする前記情報を送信した後、 ディスプレイ同期モードに入ることと、 前記ディスプレイ同期モードの間に、 前記携帯デバイス・ナビゲーション・インタフェースを時間の経過と共に定期的に更新することと、 前記携帯デバイス・ナビゲーション・インタフェースが時間の経過と共に更新されるにしたがって、前記車両ディスプレイ上の前記車両ナビゲーション・インタフェースを前記携帯デバイス・ナビゲーション・インタフェースと同期させることを可能にする情報を提供することと、 を含むことを特徴とする、方法。」 なお、本願発明2-12の概要は以下のとおりである。 本願発明2-8は、本願発明1を減縮した発明である。 本願発明9は、方法の発明である本願発明1に対応する携帯電子デバイスの発明である。 本願発明10は、本願発明9を減縮した発明である。 本願発明11は、方法の発明である本願発明1に対応するコンピュータ・プログラムの発明である。 本願発明12は、本願発明11を減縮した発明である。 第4 引用文献、引用発明等 1.引用文献1について 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1(特開2004-28909号公報)には、図面とともに、以下の事項が記載されている(下線は当審付与。以下同様。)。 (1) 段落【0014】 「【0014】 制御部110は、車内携帯端末109の内部処理を行う手段であり、CPUなどによって実現可能である。また、表示部111は、ナビゲーション画面、又は、その他のサービス画面を表示する手段であって、液晶パネル(液晶表示画面)、有機ELパネルなどによって実現可能である。また、入力部112は、ユーザ(特に、同乗者)が車内携帯端末109を操作するための手段であり、タッチパネル、タッチパネルペン、ボタンなどによって実現可能である。また、メモリ113は、制御部110上で実行されるソフトウェア、その他のデータを格納するための手段であり、DRAM、SRAMなどによって実現可能である。なお、車内携帯端末109側に、カーナビゲーションシステム101が有する地図データベース106を設けることも可能であるが、この地図データベースは、現在高価であるため、カーナビゲーションシステム101側にのみ設け、必要に応じて、車内携帯端末109が、無線を介して、随時アクセスできるようにすることが好ましい。」 (2) 段落【0019】-【0028】 「【0019】 <リアルタイムナビ画面表示処理> まず、図3及び図4を参照しながら、本発明によって実現可能な車内携帯端末におけるリアルタイムナビ画面表示処理について説明する。図4は、本発明の車内無線通信システムに係る車内携帯端末におけるリアルタイムナビ画面表示処理のシーケンスチャートである。なお、図4に示すシーケンスチャートでは、左側に車内携帯端末における処理、右側にカーナビゲーションシステムにおける処理が示されており、また、図面の上から下に時間が経過しているものとする。 【0020】 カーナビゲーションシステム101の通常動作中、車内携帯端末109において、ユーザが入力部112を用いて「リアルタイムナビ情報要求」の指示を行う。これは、例えば、図2において、タッチパネルペン206を使用して、車内携帯端末109の本体204の液晶表示画面205上の「リアル」ボタンに触れることによって行われる。 ・・・(中略)・・・ 【0024】 ステップS413において、カーナビプロセスは、「リアルタイムナビ情報要求」のシグナル(7)を受けて、所定の処理(図3に示す状態遷移図では図示省略)を行う。例えば、カーナビプロセスでは、メモリ105上に展開された、表示部103に表示する画面と同じ画面データを読み出し、この画面データ、自車位置、周辺スポット情報表示のための付属情報リンクの3つのデータを、「リアルタイムナビ情報」のシグナル(9)として、対車内携帯端末プロセスに対して送出する処理が行われる。 【0025】 対車内携帯端末プロセスは、カーナビプロセスから「リアルタイムナビ情報」のシグナル(9)を受けて、[p:アイドル状態]から[s:送信データセット]に移行し、ステップS415において、「リアルタイムナビ情報」を示す送信データを生成して、送信バッファにセットする。次に、対車内携帯端末プロセスは、[s:送信データセット]から[t:送信]に移行し、ステップS417において、送信バッファにセットされたデータを車内携帯端末に送信する。以上のカーナビゲーションシステムの制御部110における処理によって、無線I/F部115を介して、車内携帯端末に「リアルタイムナビ情報」のデータが送信される。 【0026】 さらに、このカーナビゲーションシステム101からのデータを受けて、車内携帯端末109では以下の処理が行われる。ステップS419において、車内携帯端末109の対カーナビゲーションシステムプロセスは、無線I/F部108を介して、車内携帯端末109からのデータを受信して、[g:受信]から[f:受信データ解析]に移行し、ステップS421において、受信データを解析する。対カーナビゲーションシステムプロセスは、ステップS421での解析結果に応じて、「リアルタイムナビ情報」のシグナル(4)を表示プロセスに送出し、[c:アイドル状態]に戻る。 ・・・(中略)・・・ 【0028】 これらのステップS425及びS427におけるデータ合成後、[k:付属情報アイコン合成]から[m:地図表示]に移行し、ステップS429において、合成した画面データを表示部111上に表示し、[h:アイドル状態]に戻る。以上のステップS401からステップS429までの処理により、カーナビゲーションシステム101上の表示と車内携帯端末109上の表示とをリアルタイムで同一表示とすることが可能となる。例えば、図2において、車内携帯端末109の表示部111である液晶表示画面205と、カーナビゲーションシステム101の表示部103であるモニタ202とは、同じ地図画面を表示することが可能となり、さらに、自車位置を示す三角印と付属情報の存在を示す影付きボタン「動物園」とを、それぞれの地図画面上の同じ位置に表示することが可能となる。」 (3) 段落【0056】-【0061】 「【0056】 <行き先指定処理> 次に、図3及び図8を参照しながら、本発明によって実現可能な車内携帯端末109における行き先指定処理について説明する。図8は、本発明の車内無線通信システムに係る車内携帯端末における行き先指定処理のシーケンスチャートである。なお、図8に示すシーケンスチャートでは、左側に車内携帯端末109における処理、右側にカーナビゲーションシステム101における処理が示されており、また、図面の上から下に時間が経過しているものとする。 【0057】 例えば、図5を用いて説明したスクロール処理などの非リアルタイムナビ画面表示中、車内携帯端末109において、ユーザが入力部112を用いて「行き先変更」の指示を行う。これは、例えば、図2において、タッチパネルペン206を使用して、車内携帯端末の本体204の表示画面上の「行先変更」ボタンに触れることによって行われる。なお、スクロール画面表示の際、表示画面の中央に行き先を決めるための十字マークなどを表示することが望ましいが、このような表示は、すでに従来のカーナビゲーションシステムにおいても行われている。本発明では、従来の表示方式に基づいて、このような表示を行うようにしてもよい。 【0058】 ユーザからの入力を受けて、車内携帯端末109では以下の処理が行われる。まず、車内携帯端末109の対ユーザプロセスは、ステップS801において、ユーザからの入力を受けて、[a:アイドル状態]から[b:入力を解析]に移行し、ステップS803において、ユーザからの入力を解析する。対ユーザプロセスは、ステップS803での解析結果に応じて、行き先を指定する地図上の座標情報などを含む「行き先変更要求」のシグナル(1)を表示プロセスに送出し、[a:アイドル状態]に戻る。 【0059】 一方、対カーナビゲーションシステムプロセスは、「行き先変更要求」のシグナル(1)を受けて、[c:アイドル状態]から[d:送信データセット]に移行し、ステップS805において、「行き先変更要求」を示す送信データを生成して、送信バッファにセットする。次に、対カーナビゲーションシステムプロセスは、[d:送信データセット]から[e:送信]に移行し、ステップS807において、送信バッファにセットされたデータをカーナビゲーションシステム101に送信する。以上の車内携帯端末109の制御部110における処理によって、無線I/F部115を介して、カーナビゲーションシステム101に「行き先変更要求」のデータが送信される。 【0060】 車内携帯端末109からのデータを受けて、カーナビゲーションシステム101では以下の処理が行われる。まず、ステップS809において、カーナビゲーションシステム101の対車内携帯端末プロセスは、無線I/F部108を介して、車内携帯端末109からのデータを受信して、[q:受信]から[r:受信データ解析]に移行し、ステップS811において、受信データを解析する。対車内携帯端末プロセスは、ステップS811での解析結果に応じて、「行き先変更要求」のシグナル(7)をカーナビプロセスに送出して、[p:アイドル状態]に戻る。 【0061】 ステップS813において、カーナビプロセスは、「行き先変更要求」のシグナル(7)を受けて、行き先を指定する座標情報などに基づいて行き先を変更し、その後、ステップS815において、所定のナビゲーション処理を開始する。以上のステップS801からステップS815までの処理により、車内携帯端末109を使用して、カーナビゲーションシステム101に対して、行き先の変更の指示を行うことが可能となる。」 (4) 段落【0062】-【0063】 「【0062】 また、図1に示すように、携帯電話I/F部117を介して、車内携帯端末109と携帯電話116とを接続し、携帯電話116によるインターネット接続によって、車内携帯端末109上でインターネットサービスを利用することも可能である。また、さらに、カーナビゲーションシステム101と車内携帯端末109とは、無線I/F部108及び無線I/F部115を介した無線回線による通信が可能なので、カーナビゲーション101が車内携帯端末109及び携帯電話116を介して、インターネットサービスを利用することも可能である。 【0063】 このインターネット接続を利用することによって、例えば、車内携帯端末109を操作してナビゲーション支援サービスを行うインターネット上のWWWサーバに接続し、所望のスポットを検索して、その場所に向かうための座標データをダウンロードし、さらに、無線回線を介して車内携帯端末109からカーナビゲーションシステム101にこの座標データを転送することによって、自動的に行き先変更の指示及び行き先の指定を行うも可能である。」 (5) 段落【0066】 「【0066】 また、本発明によれば、車両の経路案内情報又は様々な情報の表示を行うカーナビゲーションシステムと、表示手段及びユーザからの入力を受ける入力手段を有する携帯端末とが通信を行えるようにし、携帯端末からの操作によって、カーナビゲーションシステムの表示手段で表示されていない情報を、携帯端末の表示手段に表示し、それぞれ独立して、カーナビゲーションシステムの表示及び操作と携帯端末の表示及び操作とが行われるようにしているので、カーナビゲーションシステム側でナビゲーション処理を継続した状態で、車内携帯端末側でスクロールや付属情報を参照したり、様々な付加機能(検索、インターネット、AV配信など)を活用したりすることができるようになる。したがって、運転者と同乗者が、互いに独立して、ナビゲーションシステムからのサービスを同時に受けられるようになり、同乗者は、運転者側のナビゲーション画面表示とは独立した表示を得ることが可能となって、運転に必要な情報の提供の阻害が起こらず、危険性も低減される。」 したがって、関連図面に照らし、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「車内携帯端末109側に、カーナビゲーションシステム101が有する地図データベース106を設けることも可能であり、 <リアルタイムナビ画面表示処理>では、 カーナビゲーションシステム101の通常動作中、車内携帯端末109において、ユーザが入力部112を用いて「リアルタイムナビ情報要求」の指示を行い、 表示部103に表示する画面と同じ画面データ、自車位置、周辺スポット情報表示のための付属情報リンクの3つのデータが、「リアルタイムナビ情報」のシグナル(9)として、カーナビゲーションシステムによって、車内携帯端末に送信され、 このカーナビゲーションシステム101からのデータを受けて、車内携帯端末109では、合成した画面データを表示部111上に表示し、 これにより、カーナビゲーションシステム101上の表示と車内携帯端末109上の表示とをリアルタイムで同一表示とすることが可能となり、 <行き先指定処理>では、 スクロール処理などの非リアルタイムナビ画面表示中、車内携帯端末109において、ユーザが入力部112を用いて「行き先変更」の指示を行い、 ユーザからの入力を受けて、行き先を指定する地図上の座標情報などを含む「行き先変更要求」のシグナル(1)をカーナビゲーションシステム101に送信し、 車内携帯端末109からのデータを受けて、カーナビゲーションシステム101では、行き先を指定する座標情報などに基づいて行き先を変更し、 これにより、車内携帯端末109を使用して、カーナビゲーションシステム101に対して、行き先の変更の指示を行うことが可能となり、 インターネット接続を利用することによって、車内携帯端末109を操作してナビゲーション支援サービスを行うインターネット上のWWWサーバに接続し、所望のスポットを検索して、その場所に向かうための座標データをダウンロードし、さらに、無線回線を介して車内携帯端末109からカーナビゲーションシステム101にこの座標データを転送することによって、自動的に行き先変更の指示及び行き先の指定を行うことも可能であり、 携帯端末からの操作によって、カーナビゲーションシステムの表示手段で表示されていない情報を、携帯端末の表示手段に表示し、それぞれ独立して、カーナビゲーションシステムの表示及び操作と携帯端末の表示及び操作とが行われるようにしているので、カーナビゲーションシステム側でナビゲーション処理を継続した状態で、車内携帯端末側でスクロールや付属情報を参照したり、様々な付加機能(検索、インターネット、AV配信など)を活用したりすることができるようになる、 方法。」 2.引用文献2について また、原査定の拒絶の理由に引用された、上記引用文献2(自動運転と衝突防止技術2013-2014、日経BP社,2013年5月22日、初版、p.130-139、160-161)には、以下の記載がある。 (1) 136ページ、下から3行目-1行目 「図4 スマートフォンの画面を車載ディスプレイに転送する「MirrorLink」 USB2.0などを介してスマートフォンの画面をそのまま車載ディスプレイに表示する(a)。IPを使って遠隔からコンピュータを利用するためのプロトコル「VNC(virtual network computing)」を使って画面を転送する(b)。」 (2) 161ページ左欄9-16行 「iPhoneとカーナビの情報のやり取りには最大データ伝送速度が3Mビット/秒の近距離無線通信「Bluetooth2.1+EDR(enhanced data rate)」を使う。画面移動の連動は、iPhoneにおける地図画面の縮尺情報と中心位置の座標情報をBluetoothを介してカーナビに送って実現する。」 第5 対比・判断 1.本願発明1について (1) 対比 本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。 ア 引用発明の「表示部111」を備える「車内携帯端末109」は、本願発明1の「携帯デバイス・ディスプレイを備える携帯電子デバイス」に相当する。 引用発明の「カーナビゲーションシステム101」の「表示部103」は、本願発明1の「車両の車両ディスプレイ」に相当する。 よって、引用発明の「無線回線を介して車内携帯端末109からカーナビゲーションシステム101にこの座標データを転送する」、「車内携帯端末109」は、本願発明1の「車両の車両ディスプレイと通信する、携帯デバイス・ディスプレイを備える携帯電子デバイス」に相当する。 イ 引用発明において「インターネット接続を利用することによって、車内携帯端末109を操作してナビゲーション支援サービスを行うインターネット上のWWWサーバに接続し、所望のスポットを検索して、その場所に向かうための座標データをダウンロードし、さらに、無線回線を介して車内携帯端末109からカーナビゲーションシステム101にこの座標データを転送することによって、自動的に行き先変更の指示及び行き先の指定を行うこと」は、ここで「ナビゲーション支援サービスを行うインターネット上のWWWサーバに接続し、所望のスポットを検索」するための操作において、車内携帯端末109において検索結果を「取得」してから「表示」して、ユーザが「選択」していることは明らかであるから、 本願発明1の「複数の目的地候補を含む地図検索結果のセットを取得することと、 前記複数の目的地候補から目的地を選択可能な携帯デバイス・ナビゲーション・インタフェースを、前記携帯デバイス・ディスプレイ上に表示することと、 前記複数の目的地候補の中から第1の目的地を選択することと、 前記車両ディスプレイに車両ナビゲーション・インタフェースであって、前記複数の目的地候補のうち前記第1の目的地が、前記車両ナビゲーション・インタフェース内の選択された目的地である前記車両ナビゲーション・インタフェースを表示させることを可能とする情報を、前記車両ディスプレイに送信すること」と、 「検索結果のセットを取得することと、 目的地を選択可能な携帯デバイス・ナビゲーション・インタフェースを、前記携帯デバイス・ディスプレイ上に表示することと、 第1の目的地を選択することと、 前記車両ディスプレイに車両ナビゲーション・インタフェースであって、前記第1の目的地が、前記車両ナビゲーション・インタフェース内の選択された目的地である前記車両ナビゲーション・インタフェースを表示させることを可能とする情報を、前記車両ディスプレイに送信すること」である点で共通するといえる。 ウ 引用発明の「携帯端末からの操作によって、カーナビゲーションシステムの表示手段で表示されていない情報を、携帯端末の表示手段に表示し、それぞれ独立して、カーナビゲーションシステムの表示及び操作と携帯端末の表示及び操作とが行われるようにしているので、カーナビゲーションシステム側でナビゲーション処理を継続した状態で、車内携帯端末側でスクロールや付属情報を参照したり、様々な付加機能(検索、インターネット、AV配信など)を活用したりすることができるようになる」ことは、ここで、カーナビゲーションシステム側での「ナビゲーション処理」の「目的地」が、上記「イ」のように、インターネット上で検索された「所望のスポット」(これは「第1の目的地」といえる。)であることを想定し、かつ、車内携帯端末側で「独立して」行われる「様々な付加機能(検索、インターネット、AV配信など)」も、上記「イ」のように、インターネット上で検索された、上記「所望のスポット」とは別の「所望のスポット」(これは「前記第1の目的地以外の1つ以上の目的地候補」であり「第2の目的地」といえる。)への「行き先変更の指示」を行うものであることを想定すると、 本願発明1の「前記第1の目的地が前記車両ナビゲーション・インタフェース内の前記選択された目的地である間に、 前記複数の目的地候補のうちの前記第1の目的地以外の1つ以上の目的地候補に関する情報を表示するための要求に対応する、ユーザからの第1の入力を検出することと、 前記第1の入力を検出したことに応じて、前記車両ディスプレイ上の前記車両ナビゲーション・インタフェースが更新されること無しに、前記第1の入力に従って、前記携帯デバイス・ディスプレイ上の前記携帯デバイス・ナビゲーション・インタフェースを更新することと、 前記第1の入力に従って前記携帯デバイス・ナビゲーション・インタフェースを更新した後、前記複数の目的地候補のうち第2の目的地を前記選択された目的地として選択するための要求に対応する、ユーザからの第2の入力を検出することと、 前記第2の入力を検出したことに応じて、 前記第2の入力に従って、前記第2の目的地を前記選択された目的地として表示するように、前記携帯デバイス・ディスプレイ上の前記携帯デバイス・ナビゲーション・インタフェースを更新することと、 前記第2の目的地を前記選択された目的地として表示するように、前記車両ディスプレイが前記第2の入力に従って前記車両ナビゲーション・インタフェースを更新することを可能にする情報を前記車両ディスプレイに送信すること」と、 「前記第1の目的地が前記車両ナビゲーション・インタフェース内の前記選択された目的地である間に、 前記第1の目的地以外の1つ以上の目的地候補に関する情報を表示するための要求に対応する、ユーザからの第1の入力を検出することと、 前記第1の入力を検出したことに応じて、前記車両ディスプレイ上の前記車両ナビゲーション・インタフェースが更新されること無しに、前記第1の入力に従って、前記携帯デバイス・ディスプレイ上の前記携帯デバイス・ナビゲーション・インタフェースを更新することと、 前記第1の入力に従って前記携帯デバイス・ナビゲーション・インタフェースを更新した後、第2の目的地を前記選択された目的地として選択するための要求に対応する、ユーザからの第2の入力を検出することと、 前記第2の入力を検出したことに応じて、 前記第2の入力に従って、前記第2の目的地を前記選択された目的地として表示するように、前記携帯デバイス・ディスプレイ上の前記携帯デバイス・ナビゲーション・インタフェースを更新することと、 前記第2の目的地を前記選択された目的地として表示するように、前記車両ディスプレイが前記第2の入力に従って前記車両ナビゲーション・インタフェースを更新することを可能にする情報を前記車両ディスプレイに送信すること」である点で共通するといえる。 エ 上記「ウ」のように、別の「所望のスポット」(「第2の目的地」)への「行き先変更の指示」を行った後に、引用発明において、「<リアルタイムナビ画面表示処理>では、 カーナビゲーションシステム101の通常動作中、車内携帯端末109において、ユーザが入力部112を用いて「リアルタイムナビ情報要求」の指示を行い、 表示部103に表示する画面と同じ画面データ、自車位置、周辺スポット情報表示のための付属情報リンクの3つのデータが、「リアルタイムナビ情報」のシグナル(9)として、カーナビゲーションシステムによって、車内携帯端末に送信され、 このカーナビゲーションシステム101からのデータを受けて、車内携帯端末109では、合成した画面データを表示部111上に表示し、 これにより、カーナビゲーションシステム101上の表示と車内携帯端末109上の表示とをリアルタイムで同一表示とすることが可能となる」ことは、 本願発明1の「前記第2の目的地を前記選択された目的地として前記第1の目的地の代わりに表示するように、前記車両ディスプレイ上の前記車両ナビゲーション・インタフェースを更新することを可能にする前記情報を送信した後、 ディスプレイ同期モードに入ることと、 前記ディスプレイ同期モードの間に、 前記携帯デバイス・ナビゲーション・インタフェースを時間の経過と共に定期的に更新することと、 前記携帯デバイス・ナビゲーション・インタフェースが時間の経過と共に更新されるにしたがって、前記車両ディスプレイ上の前記車両ナビゲーション・インタフェースを前記携帯デバイス・ナビゲーション・インタフェースと同期させることを可能にする情報を提供すること」と、 「前記第2の目的地を前記選択された目的地として前記第1の目的地の代わりに表示するように、前記車両ディスプレイ上の前記車両ナビゲーション・インタフェースを更新することを可能にする前記情報を送信した後、 ディスプレイ同期モードに入ること」で共通するといえる。 したがって、本願発明1と、引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。 [一致点] 「車両の車両ディスプレイと通信する、携帯デバイス・ディスプレイを備える携帯電子デバイスにおいて、 検索結果のセットを取得することと、 目的地を選択可能な携帯デバイス・ナビゲーション・インタフェースを、前記携帯デバイス・ディスプレイ上に表示することと、 第1の目的地を選択することと、 前記車両ディスプレイに車両ナビゲーション・インタフェースであって、前記第1の目的地が、前記車両ナビゲーション・インタフェース内の選択された目的地である前記車両ナビゲーション・インタフェースを表示させることを可能とする情報を、前記車両ディスプレイに送信することと、 前記第1の目的地が前記車両ナビゲーション・インタフェース内の前記選択された目的地である間に、 前記第1の目的地以外の1つ以上の目的地候補に関する情報を表示するための要求に対応する、ユーザからの第1の入力を検出することと、 前記第1の入力を検出したことに応じて、前記車両ディスプレイ上の前記車両ナビゲーション・インタフェースが更新されること無しに、前記第1の入力に従って、前記携帯デバイス・ディスプレイ上の前記携帯デバイス・ナビゲーション・インタフェースを更新することと、 前記第1の入力に従って前記携帯デバイス・ナビゲーション・インタフェースを更新した後、第2の目的地を前記選択された目的地として選択するための要求に対応する、ユーザからの第2の入力を検出することと、 前記第2の入力を検出したことに応じて、 前記第2の入力に従って、前記第2の目的地を前記選択された目的地として表示するように、前記携帯デバイス・ディスプレイ上の前記携帯デバイス・ナビゲーション・インタフェースを更新することと、 前記第2の目的地を前記選択された目的地として表示するように、前記車両ディスプレイが前記第2の入力に従って前記車両ナビゲーション・インタフェースを更新することを可能にする情報を前記車両ディスプレイに送信することと、 前記第2の目的地を前記選択された目的地として前記第1の目的地の代わりに表示するように、前記車両ディスプレイ上の前記車両ナビゲーション・インタフェースを更新することを可能にする前記情報を送信した後、 ディスプレイ同期モードに入ることと、 を含むことを特徴とする、方法。」 [相違点1] 2つの「目的地」について、本願発明1では、「複数の目的地候補を含む地図検索結果のセットを取得すること」、「前記複数の目的地候補から目的地を選択可能な携帯デバイス・ナビゲーション・インタフェースを、前記携帯デバイス・ディスプレイ上に表示すること」、「前記複数の目的地候補の中から第1の目的地を選択すること」、「前記車両ディスプレイに車両ナビゲーション・インタフェースであって、前記複数の目的地候補のうち前記第1の目的地が、前記車両ナビゲーション・インタフェース内の選択された目的地である前記車両ナビゲーション・インタフェースを表示させることを可能とする情報を、前記車両ディスプレイに送信すること」、「前記第1の目的地が前記車両ナビゲーション・インタフェース内の前記選択された目的地である間に」、「前記複数の目的地候補のうちの前記第1の目的地以外の1つ以上の目的地候補に関する情報を表示するための要求に対応する、ユーザからの第1の入力を検出すること」、「前記第1の入力に従って前記携帯デバイス・ナビゲーション・インタフェースを更新した後、前記複数の目的地候補のうち第2の目的地を前記選択された目的地として選択するための要求に対応する、ユーザからの第2の入力を検出すること」、「前記第2の入力を検出したことに応じて」、「前記第2の入力に従って、前記第2の目的地を前記選択された目的地として表示するように、前記携帯デバイス・ディスプレイ上の前記携帯デバイス・ナビゲーション・インタフェースを更新すること」を含むのに対して、引用発明では、「複数の目的地候補を含む地図検索結果のセット」である「前記複数の目的地候補」から選択された「第1の目的地」が前記車両ナビゲーション・インタフェース内の目的地である間に、同一の「複数の目的地候補を含む地図検索結果のセット」である「前記複数の目的地候補」から「第2の目的地」を選択して、「第2の目的地」を目的地として表示するように携帯デバイス・ナビゲーション・インタフェースを更新していない点。 [相違点2] 「ディスプレイ同期モード」(引用発明の「<リアルタイムナビ画面表示処理>」)において、携帯デバイス側(引用発明の「車内携帯端末109」側)で、本願発明1では、「前記携帯デバイス・ナビゲーション・インタフェースを時間の経過と共に定期的に更新する」のに対して、引用発明では、携帯デバイス側(引用発明の「車内携帯端末109」側)のインタフェースを「定期的に更新する」ことは特定されていない点。 [相違点3] 「ディスプレイ同期モード」(引用発明の「<リアルタイムナビ画面表示処理>」)において、車両ナビゲーション側(引用発明の「カーナビゲーションシステム」側)に対して、本願発明1では、「前記携帯デバイス・ナビゲーション・インタフェースが時間の経過と共に更新されるにしたがって、前記車両ディスプレイ上の前記車両ナビゲーション・インタフェースを前記携帯デバイス・ナビゲーション・インタフェースと同期させることを可能にする情報を提供する」のに対して、引用発明では、「カーナビゲーションシステム101からのデータ」に基づいて<リアルタイムナビ画面表示処理>を行うものであって、携帯デバイス側(引用発明の「車内携帯端末109」側)から、車両ナビゲーション側(引用発明の「カーナビゲーションシステム」側)に対して、「前記車両ディスプレイ上の前記車両ナビゲーション・インタフェースを前記携帯デバイス・ナビゲーション・インタフェースと同期させることを可能にする情報を提供」していない点。 (2) [相違点1]についての判断 ア 引用発明は、「インターネット接続を利用することによって、車内携帯端末109を操作してナビゲーション支援サービスを行うインターネット上のWWWサーバに接続し、所望のスポットを検索して、その場所に向かうための座標データをダウンロードし、さらに、無線回線を介して車内携帯端末109からカーナビゲーションシステム101にこの座標データを転送することによって、自動的に行き先変更の指示及び行き先の指定を行う」ものである。 引用発明では、「所望のスポット」や、その「座標データ」として、複数の候補が提示されることは特定されていない。 ここで、一般に、インターネット上での検索結果として、複数の候補を地図上で提示すること自体は周知技術であるといえる。 しかし、上記「(1)対比、ウ」記載のように、引用発明において、カーナビゲーションシステム側で「ナビゲーション処理を継続した状態」における「目的地」が、インターネット上の検索によって「所望のスポット」(「第1の目的地」)への「行き先の指定」を行うものであることを想定し、さらに、車内携帯端末側で「独立して」行われる「様々な付加機能(検索、インターネット、AV配信など)」も、インターネット上の上記「所望のスポット」とは別の「所望のスポット」(「第2の目的地」)の検索によって、「行き先変更の指示」を行うことを想定した上で、さらに、それぞれのインターネット上での検索結果として、複数の候補を地図上で提示する周知技術を付加したとしても、別の「所望のスポット」の検索結果における別の「複数の候補」から、それぞれ、「第1の目的地」と「第2の目的地」とを選択できるという構成にとどまるものであって、共通の「複数の目的地候補を含む地図検索結果のセット」である共通の「前記複数の目的地候補」から選択された「第1の目的地」と「第2の目的地」に関して、「第1の目的地」が前記車両ナビゲーション・インタフェース内の目的地である間に、「第2の目的地」を選択して、「第2の目的地」を目的地として表示するように携帯デバイス・ナビゲーション・インタフェースを更新するような、本願発明の[相違点1]に係る構成は必ずしも得られないことが明らかである。 イ 引用文献2には、携帯端末(スマートフォン)の表示内容をそのまま車載ディスプレイにも表示するために、携帯端末側から車載ディスプレイに対して、地図情報などの情報を提供することが記載されている(上記第4、2を参照。)。 しかし、引用文献2には、「複数の目的地候補を含む地図検索結果のセット」である「前記複数の目的地候補」から選択された「第1の目的地」が前記車両ナビゲーション・インタフェース内の目的地である間に、同じ「複数の目的地候補を含む地図検索結果のセット」である「前記複数の目的地候補」から「第2の目的地」を選択して、「第2の目的地」を目的地として表示するように携帯デバイス・ナビゲーション・インタフェースを更新するような、本願発明の[相違点1]に係る構成は記載されていない。 ウ また、「複数の目的地候補を含む地図検索結果のセット」である「前記複数の目的地候補」から選択された「第1の目的地」が前記車両ナビゲーション・インタフェース内の目的地である間に、同じ「複数の目的地候補を含む地図検索結果のセット」である「前記複数の目的地候補」から「第2の目的地」を選択して、「第2の目的地」を目的地として表示するように携帯デバイス・ナビゲーション・インタフェースを更新するような、本願発明の[相違点1]に係る構成が、周知技術であるともいえない。 よって、当業者といえども、引用発明及び引用文献2に記載された技術的事項、周知技術から、本願発明の[相違点1]に係る構成を容易に想到することはできない。 (3) まとめ したがって、本願発明1は、[相違点2]、[相違点3]について検討するまでもなく、当業者であっても、引用発明及び引用文献2に記載された技術的事項、周知技術に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。 2.本願発明2-8について 本願発明2-8も、本願発明1の[相違点1]に係る、「複数の目的地候補を含む地図検索結果のセットを取得すること」、「前記複数の目的地候補から目的地を選択可能な携帯デバイス・ナビゲーション・インタフェースを、前記携帯デバイス・ディスプレイ上に表示すること」、「前記複数の目的地候補の中から第1の目的地を選択すること」、「前記車両ディスプレイに車両ナビゲーション・インタフェースであって、前記複数の目的地候補のうち前記第1の目的地が、前記車両ナビゲーション・インタフェース内の選択された目的地である前記車両ナビゲーション・インタフェースを表示させることを可能とする情報を、前記車両ディスプレイに送信すること」、「前記第1の目的地が前記車両ナビゲーション・インタフェース内の前記選択された目的地である間に」、「前記複数の目的地候補のうちの前記第1の目的地以外の1つ以上の目的地候補に関する情報を表示するための要求に対応する、ユーザからの第1の入力を検出すること」、「前記第1の入力に従って前記携帯デバイス・ナビゲーション・インタフェースを更新した後、前記複数の目的地候補のうち第2の目的地を前記選択された目的地として選択するための要求に対応する、ユーザからの第2の入力を検出すること」、「前記第2の入力を検出したことに応じて」、「前記第2の入力に従って、前記第2の目的地を前記選択された目的地として表示するように、前記携帯デバイス・ディスプレイ上の前記携帯デバイス・ナビゲーション・インタフェースを更新すること」を含むという構成と同一の構成を備えるものである。 よって、本願発明1と同じ理由により、本願発明2-3も、当業者であっても、引用発明及び引用文献2に記載された技術的事項、周知技術に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。 3.本願発明9-12について 本願発明9は、方法の発明である本願発明1に対応する携帯電子デバイスの発明であり、本願発明10は、本願発明9を減縮した発明であり、本願発明11は、方法の発明である本願発明1に対応するコンピュータ・プログラムの発明であり、本願発明12は、本願発明11を減縮した発明であって、いずれも、本願発明1の[相違点1]に係る、「複数の目的地候補を含む地図検索結果のセットを取得すること」、「前記複数の目的地候補から目的地を選択可能な携帯デバイス・ナビゲーション・インタフェースを、前記携帯デバイス・ディスプレイ上に表示すること」、「前記複数の目的地候補の中から第1の目的地を選択すること」、「前記車両ディスプレイに車両ナビゲーション・インタフェースであって、前記複数の目的地候補のうち前記第1の目的地が、前記車両ナビゲーション・インタフェース内の選択された目的地である前記車両ナビゲーション・インタフェースを表示させることを可能とする情報を、前記車両ディスプレイに送信すること」、「前記第1の目的地が前記車両ナビゲーション・インタフェース内の前記選択された目的地である間に」、「前記複数の目的地候補のうちの前記第1の目的地以外の1つ以上の目的地候補に関する情報を表示するための要求に対応する、ユーザからの第1の入力を検出すること」、「前記第1の入力に従って前記携帯デバイス・ナビゲーション・インタフェースを更新した後、前記複数の目的地候補のうち第2の目的地を前記選択された目的地として選択するための要求に対応する、ユーザからの第2の入力を検出すること」、「前記第2の入力を検出したことに応じて」、「前記第2の入力に従って、前記第2の目的地を前記選択された目的地として表示するように、前記携帯デバイス・ディスプレイ上の前記携帯デバイス・ナビゲーション・インタフェースを更新すること」を含むという構成に対応する構成を備えるものであるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2に記載された技術的事項、周知技術に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。 第6 原査定について 審判請求時の補正により補正された、本願発明1-12は、本願発明1の[相違点1]に係る、「複数の目的地候補を含む地図検索結果のセットを取得すること」、「前記複数の目的地候補から目的地を選択可能な携帯デバイス・ナビゲーション・インタフェースを、前記携帯デバイス・ディスプレイ上に表示すること」、「前記複数の目的地候補の中から第1の目的地を選択すること」、「前記車両ディスプレイに車両ナビゲーション・インタフェースであって、前記複数の目的地候補のうち前記第1の目的地が、前記車両ナビゲーション・インタフェース内の選択された目的地である前記車両ナビゲーション・インタフェースを表示させることを可能とする情報を、前記車両ディスプレイに送信すること」、「前記第1の目的地が前記車両ナビゲーション・インタフェース内の前記選択された目的地である間に」、「前記複数の目的地候補のうちの前記第1の目的地以外の1つ以上の目的地候補に関する情報を表示するための要求に対応する、ユーザからの第1の入力を検出すること」、「前記第1の入力に従って前記携帯デバイス・ナビゲーション・インタフェースを更新した後、前記複数の目的地候補のうち第2の目的地を前記選択された目的地として選択するための要求に対応する、ユーザからの第2の入力を検出すること」、「前記第2の入力を検出したことに応じて」、「前記第2の入力に従って、前記第2の目的地を前記選択された目的地として表示するように、前記携帯デバイス・ディスプレイ上の前記携帯デバイス・ナビゲーション・インタフェースを更新すること」を含むという事項を有するものとなっており、当業者であっても、拒絶査定において引用された引用文献1-2に基づいて、容易に発明できたものとはいえない。したがって、原査定の理由を維持することはできない。 第7 むすび 以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2019-05-21 |
出願番号 | 特願2016-518365(P2016-518365) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(G06F)
|
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 菅原 浩二 |
特許庁審判長 |
▲吉▼田 耕一 |
特許庁審判官 |
稲葉 和生 白井 亮 |
発明の名称 | 2つ以上のディスプレイを同期させるためのデバイス、方法、及びグラフィカルユーザインタフェース |
代理人 | 大塚 康徳 |
代理人 | 木村 秀二 |
代理人 | 大塚 康弘 |
代理人 | 下山 治 |
代理人 | 高柳 司郎 |
代理人 | 永川 行光 |