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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F
管理番号 1351344
審判番号 不服2017-18839  
総通号数 234 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-06-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-12-19 
確定日 2019-05-07 
事件の表示 特願2013-118346号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成26年12月15日出願公開、特開2014-233559号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯

本願は、平成25年6月4日の出願であって、平成29年3月16日付けで拒絶の理由が通知され、平成29年5月26日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、平成29年10月4日付け(発送日:平成29年10月10日)で拒絶査定がなされ、それに対して、平成29年12月19日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされ、これに対し、当審において、平成30年10月29日付けで拒絶の理由が通知され、平成30年12月20日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。

第2 本願発明

本願請求項1に係る発明は、平成30年12月20日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載の事項により特定される発明(以下、「本願発明」という。)であり、分説してAないしGの符号を付与すると、次のとおりのものである(なお、下線は上記手続補正書による補正箇所を示す。)。

「【請求項1】
A 可変表示を行い、遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な遊技機であって、
B 可変表示に関する情報を、保留記憶として記憶する保留記憶手段と、
C 保留記憶に対応する保留表示を表示可能な保留表示手段と、
D 前記有利状態に制御するか否かを決定する決定手段と、
E 前記決定手段による決定よりも前に、前記保留記憶手段に記憶されている保留記憶について前記有利状態に制御されるか否かを判定する判定手段と、
F 前記判定手段の判定結果に基づいて、該判定の対象となった保留記憶に基づく可変表示が開始されるまでに、該可変表示によって前記有利状態に制御される可能性を予告する先読み予告演出と、可変表示中に前記有利状態に制御されるか否かを報知する特定演出とを実行可能な演出実行手段と、
G 遊技者が操作可能な操作手段と、
を備え、
前記演出実行手段は、
F-1 複数種類の演出情報のうちから前記操作手段の操作に基づいて選択された演出情報に対応する特定画像を、可変表示が実行されない非可変表示期間と、可変表示が実行される複数の可変表示期間とに亘って表示可能であり、
F-2 所定条件が成立したことに基づいて、演出情報として追加演出情報を追加するとともに、前記特定演出を実行していない場合には該追加演出情報の追加に関する特定報知を実行し、前記特定演出を実行している場合には前記特定報知を実行せず、
F-3 前記特定報知が実行されたときには、前記追加演出情報を、可変表示中であるか否かにかかわらずに前記操作手段の操作に基づいて選択可能であり、
F-4 前記操作手段の操作に基づいて選択可能な演出情報は、可変表示中である場合と可変表示中ではない場合とで共通であり、
前記演出実行手段は、
F-5 前記先読み予告演出として保留表示に対して前記特定画像を用いた作用演出を可変表示中に実行することによって該保留表示の表示態様を特別表示態様に変更し、
F-6 前記非可変表示期間において可変表示の表示結果の視認を妨げない態様により前記特定画像を表示可能である
ことを特徴とする遊技機。」

第3 平成30年10月29日付け拒絶理由の概要

当審による平成30年10月29日付け拒絶理由は、請求項1に係る発明に対する拒絶理由を含むものであって、請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないというものである。


刊行物1:特開2008-307156号公報
刊行物2:特開2006-158493号公報
刊行物3:特開2011-104216号公報

第4 刊行物に記載された事項

1 刊行物1

(1) 記載事項

刊行物1には以下の記載がある(下線は当審が付与した。以下同様。)。

刊1-ア
「【0016】
本実施例に用いたパチンコ機1について以下に説明すると、パチンコ機1は、縦長の方形状に形成された外枠(図示せず)と、外枠の内側に開閉可能に取り付けられた遊技枠とで構成される。遊技枠は、外枠に対して開閉自在に設置される前面枠(図示せず)と、機構部品等が取り付けられる機構板と、それらに取り付けられる種々の部品(後述する遊技盤を除く。)とを含む構造体である。
【0017】
図1に示すように、パチンコ機1は、額縁状に形成されたガラス扉枠2を有する。ガラス扉枠2の下部表面には打球供給皿(上皿)3がある。打球供給皿3の下部には、打球供給皿3に収容しきれない遊技球を貯留する余剰球受皿4と遊技球を発射する打球操作ハンドル(操作ノブ)5が設けられている。ガラス扉枠2の背面には、遊技盤6が着脱可能に取り付けられている。なお、遊技盤6は、それを構成する板状体と、その板状体に取り付けられた種々の部品とを含む構造体である。また、遊技盤6の前面には、打ち込まれた遊技球が流下可能な遊技領域7が形成されている。
【0018】
また、打球供給皿3の、外方正面位置には、図1並びに図4に示すように、遊技者が操作可能な十字キー操作部40が設けられた突出部3’が形成されており、遊技者が後述するパスワード入力操作やキャラクタ選択操作を、該十字キー操作部40において実施できるようになっている。
【0019】
つまり、本実施例の十字キー操作部40は、本発明のパラメータ特定情報となるパスワードを構成する各桁の数値(識別情報)を入力するための操作を遊技者から受付けており、該十字キー操作部40によって本発明の入力操作手段が形成されている。
【0020】
遊技領域7の中央付近には、所定の始動条件の成立(例えば、打球が第1始動入賞口13または第2始動入賞口14に入賞したこと)にもとづいて各々を識別可能な複数種類の演出用の飾り図柄を可変(変動)表示し表示結果を導出表示する可変表示装置9が配置されている。
【0021】
尚、本実施例の可変表示装置9は液晶表示装置(LCD)により構成され、左・中・右の3つの表示領域(飾り図柄表示エリア)に飾り図柄が表示制御されるように構成されている。なお、入賞とは、入賞口などのあらかじめ入賞領域として定められている領域に遊技球が入ったことである。また、表示結果とは、停止表示された図柄の組み合わせのことである(但し、いわゆる再変動の前の仮停止を除く)。」

刊1-イ
「【0025】
可変表示装置9の下部には、第1始動入賞口13および第2始動入賞口14に入った有効入賞球数すなわち保留記憶(始動記憶または始動入賞記憶ともいう。)数を表示する4つの表示器からなる特別図柄保留記憶表示器18が設けられている。有効始動入賞がある毎に、1つの表示器の表示色を変化させる。そして、特別図柄表示器8の可変表示が開始される毎に、1つの表示器の表示色をもとに戻す。
【0026】
尚、本実施例では、特別図柄表示器8と特別図柄保留記憶表示器18とが別個に設けられているので、可変表示中も保留記憶数が表示された状態にすることができる。なお、可変表示装置9の表示領域内に、保留記憶数を表示する4つの表示領域からなる特別図柄保留記憶表示領域を設けるようにしてもよい。また、本実施例では、保留記憶数の上限値を4とするが、上限値をより大きい値にしてもよい。さらに、上限値を、遊技状態に応じて変更可能としても良い。」

刊1-ウ
「【0035】
遊技機には、遊技者が打球操作ハンドル5を操作することに応じて駆動モータを駆動し、駆動モータの回転力を利用して遊技球を遊技領域7に発射する打球発射装置(図示せず)が設けられている。打球発射装置から発射された遊技球は、遊技領域7を囲むように円形状に形成された打球レールを通って遊技領域7に入り、その後、遊技領域7を下りてくる。遊技球が第1始動入賞口13または第2始動入賞口14に入り第1始動口スイッチ13aまたは第2始動口スイッチ14aで検出されると、特別図柄の可変表示を開始できる状態であれば(例えば、大当り遊技終了または前回の可変表示の終了)、特別図柄表示器8において特別図柄の可変表示(変動)が開始されるとともに、可変表示装置9において飾り図柄の可変表示(演出表示)が開始される。特別図柄の可変表示を開始できる状態でなければ、特別図柄保留記憶表示器18についての保留記憶数を1増やす。
【0036】
特別図柄表示器8における特別図柄および可変表示装置9の飾り図柄の可変表示(演出表示)は、所定時間が経過したときに停止する。停止時の停止図柄が大当り図柄のうちの確変図柄(後述する突然確変図柄を除く。)または非確変図柄になると、大当り遊技状態(確変大当りまたは非確変大当り(通常大当りともいう))に移行する。すなわち、一定時間(例えば29秒)が経過するまで、または、所定個数(例えば、10個)の遊技球が大入賞口に入賞するまで特別可変入賞装置が開放される。なお、特別可変入賞装置が開放されてから一定期間経過するまで、または、所定個数(例えば、10個)の打球が大入賞口に入賞するまでが大当り遊技状態における1ラウンドである。本実施例では、停止図柄が確変図柄または非確変図柄になったことにもとづいて大当り遊技状態に移行されたときは、大当り遊技状態が15ラウンド継続される。」

刊1-エ
「【0052】
図2は、本実施例のパチンコ機1の主基板(遊技制御基板)31における回路構成の一例を示すブロック図である。なお、図2には、払出制御基板37および演出制御基板80等も示されている。主基板31には、プログラムに従ってパチンコ機1を制御する遊技制御用マイクロコンピュータ560が搭載されている。遊技制御用マイクロコンピュータ560は、ゲーム制御(遊技進行制御)用のプログラム等を記憶するROM54、ワークメモリとして使用される記憶手段としてのRAM55、プログラムに従って制御動作を行うCPU56およびI/Oポート部57を含む。本実施例では、ROM54およびRAM55は遊技制御用マイクロコンピュータ560に内蔵されている。すなわち、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、1チップマイクロコンピュータである。1チップマイクロコンピュータには、少なくともCPU56のほかRAM55が内蔵されていればよく、ROM54は外付けであっても内蔵されていてもよい。また、I/Oポート部57は、外付けであってもよい。
【0053】
遊技制御用マイクロコンピュータ560には、さらに、ハードウエア乱数を発生する乱数回路503が内蔵されている。」

刊1-オ
「【0058】
また、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、特別図柄を可変表示する特別図柄表示器8、普通図柄を可変表示する普通図柄表示器10、特別図柄保留記憶表示器18および普通図柄保留記憶表示器41の表示制御を行う。」

刊1-カ
「【0060】
尚、本実施例では、演出制御基板80に搭載されている演出制御用マイクロコンピュータ100(図3参照)が、中継基板77を介して遊技制御用マイクロコンピュータ560からの演出制御コマンドを受信し、飾り図柄や各キャラクタによるリーチ演出表示を可変表示する可変表示装置9の表示制御を行う。
【0061】
つまり、本実施例の演出制御基板80と可変表示装置9は、キャラクタ(キャラクタA,A’,B,B’,C,C’,P)によるキャラクタ演出を含む演出表示を、所定の演出開始条件の成立となる有効始動入賞に基づいて遊技制御用マイクロコンピュータ560(主基板31)から出力される演出制御コマンドの受信に応じて実施しており、該演出制御基板80と可変表示装置9によって本発明における演出表示手段が形成されている。」

刊1-キ
「【0070】
また、演出制御用CPU101は、入力ポート106を介して十字キー操作部40の内部に設けられた十字キースイッチ基板40a(図4参照)に接続されており、該十字キー操作部40における操作に応じた信号が、演出制御用CPU101に対して入力されるようになっている。
【0071】
この本実施例に使用した十字キー操作部40には、上下左右方向に対応する十字状に配置された4つの十字キーと、これら4つの操作キーの中央部に設けられた中央キーを有しており、遊技者は、これら5つの各キーを可変表示装置9に表示される画面を見ながら操作することにより、キャラクタの選択操作やパスワードの入力操作を実施できるようになっている。」

刊1-ク
「【0185】
次に、遊技者が、前述したメニュー選択画面において「キャラクタ選択」の選択入力部が選択されることにより、演出制御用マイクロコンピュータ100(演出制御用CPU101)が実施するキャラクタ選択受付け処理において、キャラクタを選択する場合の流れについて、図21に基づいて以下に説明すると、本実施例のパチンコ機1では、予め記憶されている複数のキャラクタ、具体的には、キャラクタA、キャラクタB、キャラクタC、キャラクタAの別キャラクタであるキャラクタA’、キャラクタBの別キャラクタであるキャラクタB’、キャラクタCの別キャラクタであるキャラクタC’、プレミアムキャラクタPの内、レベルを向上させる対象を遊技者が選択できるようになっている。
【0186】
つまり、本実施例のキャラクタ選択受付け処理においては、複数のキャラクタであるキャラクタA,A’,B,B’,C,C’,Pの内から、遊技者が所望するキャラクタの選択を受付けており、該キャラクタ選択受付け処理を実施する演出制御用マイクロコンピュータ100によって、本発明におけるキャラクタ選択受付手段が形成されている。
【0187】
但し、プレミアムキャラクタPが選択可能とされるのは、図8の対決リーチ決定用テーブル(キャラクタA選択、大当り時)に示すように、キャラクタA(A’)とキャラクタB(B’)とキャラクタC(C’)のレベルが全て77で、表示結果が大当りとなるときであって、スーパーリーチとして対決リーチが選択されたときにのみ決定されるキャラクタPによる図24に示すプレミアムリーチが実施された場合に限られており、該キャラクタPによるプレミアムリーチが実施されたときには、キャラクタ情報テーブルのキャラクタPに対応する選択可否データが「0(選択不可)」から「1(選択可)」に更新されることで、該キャラクタPが選択可能とされる。
【0188】
尚、キャラクタPを選択しているときに、該キャラクタPによる対決リーチの内、特定の対決リーチ(本実施例では、キャラクタPとキャラクタA(A’)とキャラクタB(B’)とキャラクタC(C’)の合体技)が実施され、該対決リーチにおいて負けたとき、つまり、表示結果がハズレとなったときには、キャラクタPの選択が無効とされ、該キャラクタP以外のキャラクタで、その時点で選択可能な他のキャラクタの内、最もレベルの低いキャラクタが、キャラクタPに代え自動選択されるとともに、キャラクタPが選択不能とされる。」

刊1-ケ
「【0198】
遊技制御用マイクロコンピュータ560は、例えば、2ミリ秒毎のタイマ割り込み等で、図11のフローチャートに示す特別図柄プロセス処理を開始する。
【0199】
遊技制御用マイクロコンピュータ560は、まず、始動入賞口13,14への始動入賞の有無を判定する(S111)。始動入賞があった場合にはS112のステップに進み、入賞処理を実行し、始動入賞が無い場合には、入賞処理をスキップする。
【0200】
S112の入賞処理においては、図12に示すように、RAM55内の所定領域に形成された特図保留メモリ領域の保留数(特別図柄保留記憶表示器18の保留記憶数に同じ)が上限値の4以上であるか否かを判別する(S201)。
【0201】
そして、保留数が4以上であれば、今回の入賞による特図ゲームの始動は無効として該入賞処理を終了する一方、保留数が上限値の4未満である場合にはS202のステップに進み、乱数回路503を起動して乱数値を抽出する。次に、抽出した乱数値を前述の特図保留メモリの空エントリの先頭にセットする(S203)。
【0202】
次に、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、RAM55内の所定領域に記憶されている特図処理選択フラグの値に基づいて、図11に示すS100?S107の8つの処理のうちのいずれかを選択する。
【0203】
まず、ステップS100の特別図柄通常処理は、特図処理選択フラグが初期値「0」のときに実行される処理である。この処理において、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、特図保留メモリに保留情報が格納されているか否かを判別し、格納されているときに、第2?第4エントリの各保留情報を1エントリずつ上位にシフトし、新たに第1エントリに格納された乱数値を読み出し、特図処理選択フラグの値を「1」に更新する。
【0204】
また、ステップS101の特別図柄停止図柄設定処理は、特図処理選択フラグの値が「1」の場合に実行され、特図ゲームの表示結果を事前決定する処理である。この処理において、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、特図保留メモリの第1エントリに保持されている乱数値を用いて、表示結果を決定(事前決定)する。具体的には、図14に示すように、その時点での遊技状態(確変フラグ,時短フラグの内容で特定される確変状態、時短状態等)に応じたRAM55内に記憶されている図示しない大当り判定テーブルを選択し(S301)、ステップS100で特図保留メモリの第1エントリから読み出した乱数値を選択した抽選テーブルに適用して、大当りか否かを事前(特図ゲームが開始する前に)判定する(S302)。
【0205】
該判定結果が大当りの場合にはS303からS304のステップに進んで、さらに、乱数回路503を起動して乱数値を抽出して、図示しないRAM55内の確定図柄判定テーブルに適用して大当りの表示結果(最終停止図柄の組み合わせ)を決定する(S304)。一方、ハズレの場合には、S305のステップに進んで、各図柄について乱数値を抽出して、確定図柄判定テーブルに適用して、特別図柄表示器8に表示する表示結果(確定図柄)を決定した後、特図処理選択フラグの値を「2」に更新する(S306)。」

刊1-コ
「【0312】
また、Ss23の対決パターン決定処理において、プレミアムリーチが決定された場合には、図24(a)に示すように、初めに両側の飾り図柄として同一の飾り図柄(例えば7)が揃う表示がなされて「リーチ」の文字表示がなされた後、同一の飾り図柄が揃った状態で変動表示される全回転表示とともに、該全回転表示の背面にキャラクタPのアニメーション画像が表示される(図24(b))。
【0313】
そして、図24(c)に示すように、確定図柄が表示された後、図24(d)に示すように、キャラクタが追加されたことを示すメッセージ表示を含む大当り画面が表示される演出表示が実施され、該演出表示の終了時に、Ss22のアタリリーチ演出制御処理において、キャラクタ情報テーブルのキャラクタPの選択可否データが、「0(選択不可)」から「1(選択可)」に更新されるとともに、該キャラクタPのレベル値が0であれば、レベル値を21に更新することにより、遊技者が、前述の画面表示操作を実施して、メニュー選択画面を表示させて「キャラクタ選択」を実施すると、図21(b)に示す、キャラクタPが選択対象として追加されたキャラクタ選択画面が表示される。」

刊1-サ
「【0363】
また、前記実施例では、可変表示装置9において演出表示が実施されていない状態において、十字キー操作部40のいずれかのキーの連続した10回の操作がなされた場合にメニュー選択画面を表示して、「キャラクタ選択」と「パスワード」のいずれかのメニュー選択を受付けるようにしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、可変表示装置9において演出表示が実施されている状態において、十字キー操作部40のいずれかのキーの連続した10回の操作がなされた場合にも、可変表示装置9の所定の隅部位置に、メニュー選択画面を表示して、「キャラクタ選択」と「パスワード」のいずれかのメニュー選択を受付け、「パスワード」のメニュー選択の受付けに応じて、小型のパスワード受付け画面を、可変表示装置9の所定の隅部位置に表示して、パスワードを受付けるようにしても良い。」

刊1-シ
「図2



刊1-ス
「図24



(2) 認定事項

上記刊1-アないし刊1-スに摘記した刊行物1の記載より、以下の事項が導き出せる。なお、(a)ないし(g)の符号は、本願発明に付したAないしGの符号に対応するものである。

(a) 上記刊1-アに示した段落【0016】には、パチンコ機1である点が記載されている。
また、上記刊1-ウに示した段落【0036】には、「特別図柄表示器8における特別図柄および可変表示装置9の飾り図柄の可変表示(演出表示)は、所定時間が経過したときに停止する。停止時の停止図柄が大当り図柄のうちの確変図柄(後述する突然確変図柄を除く。)または非確変図柄になると、大当り遊技状態(確変大当りまたは非確変大当り(通常大当りともいう))に移行する。」と記載されていることから、「特別図柄表示器8における特別図柄の可変表示が、所定時間が経過したときに停止し、停止時の停止図柄が大当り図柄のうちの確変図柄または非確変図柄になると、大当り遊技状態に移行する」点が認定できる。

(b) 上記刊1-エに示した段落【0052】の記載を参照すると、上記刊1-シに示した図2には、「本実施例のパチンコ機1の主基板(遊技制御基板)31における回路構成の一例を示すブロック図」が示されており、加えて、「演出制御基板80等も示されている」ことから、パチンコ機1が「主基板31と演出制御基板80を有」する点が認定できる。
また、同段落【0052】の記載より、「主基板31には、プログラムに従ってパチンコ機1を制御する遊技制御用マイクロコンピュータ560が搭載され」る点、及び、「遊技制御用マイクロコンピュータ560は、RAM55を含」む点が認定でき、同段落【0053】の記載より、「遊技制御用マイクロコンピュータ560には、さらに、ハードウエア乱数を発生する乱数回路503が内蔵され」る点が認定できる。
そして、上記刊1-ウに示した段落【0035】には、「遊技球が第1始動入賞口13または第2始動入賞口14に入り第1始動口スイッチ13aまたは第2始動口スイッチ14aで検出されると、特別図柄の可変表示を開始できる状態であれば(例えば、大当り遊技終了または前回の可変表示の終了)、特別図柄表示器8において特別図柄の可変表示(変動)が開始されるとともに、可変表示装置9において飾り図柄の可変表示(演出表示)が開始される。特別図柄の可変表示を開始できる状態でなければ、特別図柄保留記憶表示器18についての保留記憶数を1増やす。」と記載され、上記刊1-ケに示した段落【0200】には、「RAM55内の所定領域に形成された特図保留メモリ領域の保留数(特別図柄保留記憶表示器18の保留記憶数に同じ)」と記載され、同段落【0201】には、「保留数が上限値の4未満である場合には」「乱数回路503を起動して乱数値を抽出する。次に、抽出した乱数値を前述の特図保留メモリの空エントリの先頭にセットする」と記載されていることから、「遊技球が第1始動入賞口13または第2始動入賞口14に入り第1始動口スイッチ13aまたは第2始動口スイッチ14aで検出されると、特別図柄の可変表示を開始できる状態であれば、特別図柄表示器8において特別図柄の可変表示が開始され、特別図柄の可変表示を開始できる状態でなければ、特別図柄保留記憶表示器18についての保留記憶数である、RAM55内の所定領域に形成された特図保留メモリの保留数を1増やし、乱数回路503を起動して乱数値を抽出し、次に、抽出した乱数値を前述の特図保留メモリの空エントリの先頭にセットする」点が認定できる。

(c) 上記刊1-イに示した段落【0025】より、「第1始動入賞口13および第2始動入賞口14に入った有効入賞球数すなわち保留記憶数を表示する4つの表示器からなる特別図柄保留記憶表示器18が設けられ」た点が認定できる。

(d) 上記刊1-ケに示した段落【0204】には、「遊技制御用マイクロコンピュータ560は、特図保留メモリの第1エントリに保持されている乱数値を用いて、表示結果を決定(事前決定)する。」「特図保留メモリの第1エントリから読み出した乱数値を選択した抽選テーブルに適用して、大当りか否かを事前(特図ゲームが開始する前に)判定する」と記載されていることから、「遊技制御用マイクロコンピュータ560は、特図保留メモリの第1エントリに保持されている乱数値を用いて、大当りか否かを事前(特図ゲームが開始する前に)判定」する点が認定できる。

(f) 上記刊1-カに示した段落【0060】には、「尚、本実施例では、演出制御基板80に搭載されている演出制御用マイクロコンピュータ100(図3参照)が、中継基板77を介して遊技制御用マイクロコンピュータ560からの演出制御コマンドを受信し、飾り図柄や各キャラクタによるリーチ演出表示を可変表示する可変表示装置9の表示制御を行う。」と記載されていることから、「演出制御基板80には、演出制御用マイクロコンピュータ100が搭載され、演出制御用マイクロコンピュータ100が、中継基板77を介して遊技制御用マイクロコンピュータ560からの演出制御コマンドを受信し、飾り図柄や各キャラクタによるリーチ演出表示を可変表示する可変表示装置9の表示制御を行」う点が認定できる。

(g) 上記刊1-アに示した段落【0018】には、「遊技者が操作可能な十字キー操作部40が設けら」る点が記載されており、また、上記刊1-キに示した段落【0070】には、「該十字キー操作部40における操作に応じた信号が、演出制御用CPU101に対して入力され」る点が記載されていることから、「遊技者が操作可能」であり、「操作に応じた信号が、演出制御用CPU101に対して入力され」る「十字キー操作部40が設けら」る点が認定できる。

(f-1) 上記刊1-キに示した段落【0071】には、「十字キー操作部40には、上下左右方向に対応する十字状に配置された4つの十字キーと、これら4つの操作キーの中央部に設けられた中央キーを有しており、遊技者は、これら5つの各キーを可変表示装置9に表示される画面を見ながら操作することにより、キャラクタの選択操作」「を実施できるようになって」いる点が記載されており、上記刊1-クに示した段落【0186】には、「本実施例のキャラクタ選択受付け処理においては、複数のキャラクタであるキャラクタA,A’,B,B’,C,C’,Pの内から、遊技者が所望するキャラクタの選択を受付けており、該キャラクタ選択受付け処理を実施する演出制御用マイクロコンピュータ100によって、本発明におけるキャラクタ選択受付手段が形成されている。」と記載されていることから、上記の記載より、「十字キー操作部40」「は、上下左右方向に対応する十字状に配置された4つの十字キーと、これら4つの操作キーの中央部に設けられた中央キーを有しており、遊技者は、これら5つの各キーを可変表示装置9に表示される画面を見ながら操作することにより、キャラクタの選択操作」「を実施できるようになって」おり、「演出制御用マイクロコンピュータ100は、複数のキャラクタの内から、遊技者が所望するキャラクタの選択を受付けるキャラクタ選択受付手段が形成され」る点が認定できる。

(f-2) 上記刊1-クに示した段落【0187】には、「キャラクタA(A’)とキャラクタB(B’)とキャラクタC(C’)のレベルが全て77で、表示結果が大当りとなるときであって、スーパーリーチとして対決リーチが選択されたときにのみ決定されるキャラクタPによる図24に示すプレミアムリーチが実施された場合に」「プレミアムキャラクタPが選択可能とされる」と記載されている。
一方、上記刊1-コに示した段落【0312】、【0313】、及び、上記刊1-スに示した図24を参照すると、「プレミアムリーチが決定された場合には、図24(a)に示すように、初めに両側の飾り図柄として同一の飾り図柄(例えば7)が揃う表示がなされて「リーチ」の文字表示がなされた後、同一の飾り図柄が揃った状態で変動表示される全回転表示とともに、該全回転表示の背面にキャラクタPのアニメーション画像が表示される(図24(b))。」「そして、図24(c)に示すように、確定図柄が表示された後、図24(d)に示すように、キャラクタが追加されたことを示すメッセージ表示を含む大当り画面が表示される演出表示が実施され」る点が記載されている。
よって、上記の記載より、「キャラクタAとキャラクタBとキャラクタCのレベルが全て77で、表示結果が大当りとなるときであって、スーパーリーチとして対決リーチが選択されたときにのみ、キャラクタPによるプレミアムリーチが決定され、プレミアムリーチが決定された場合には、初めに両側の飾り図柄として同一の飾り図柄(例えば7)が揃う表示がなされて「リーチ」の文字表示がなされた後、同一の飾り図柄が揃った状態で変動表示される全回転表示とともに、該全回転表示の背面にキャラクタPのアニメーション画像が表示され、確定図柄が表示された後、キャラクタが追加されたことを示すメッセージ表示を含む大当り画面が表示される演出表示が実施され」る点が認定できる。

(f-3) 上記刊1-クに示した段落【0187】には、「該キャラクタPによるプレミアムリーチが実施されたときには、キャラクタ情報テーブルのキャラクタPに対応する選択可否データが「0(選択不可)」から「1(選択可)」に更新されることで、該キャラクタPが選択可能とされる。」と記載されている。
一方、上記刊1-コに示した段落【0313】、及び、上記刊1-スに示した図24を参照すると、「そして、図24(c)に示すように、確定図柄が表示された後、図24(d)に示すように、キャラクタが追加されたことを示すメッセージ表示を含む大当り画面が表示される演出表示が実施され、該演出表示の終了時に、Ss22のアタリリーチ演出制御処理において、キャラクタ情報テーブルのキャラクタPの選択可否データが、「0(選択不可)」から「1(選択可)」に更新される」と記載されている。
上記の記載より、「キャラクタが追加されたことを示すメッセージ表示を含む大当り画面が表示される演出表示」の「実施」の後に「キャラクタPの選択可否データが、「0(選択不可)」から「1(選択可)」に更新される」ことが読み取れる。
したがって、「キャラクタが追加されたことを示すメッセージ表示を含む大当り画面が表示される演出表示の終了時に、該キャラクタPが選択可能とされ」る点が認定できる。

(3) 引用発明1

上記刊1-アないし刊1-スの記載を含む刊行物1に記載された事項、及び、上記(a)ないし(g)に示した認定事項を総合すると、刊行物1には、以下の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されているといえる。

「a 特別図柄表示器8における特別図柄の可変表示が、所定時間が経過したときに停止し、停止時の停止図柄が大当り図柄のうちの確変図柄または非確変図柄になると、大当り遊技状態に移行するパチンコ機1であり(【0016】、【0036】)、
b 前記パチンコ機1は、主基板31と演出制御基板80を有し、主基板31には、プログラムに従ってパチンコ機1を制御する遊技制御用マイクロコンピュータ560が搭載され、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、特別図柄を可変表示する特別図柄表示器8、特別図柄保留記憶表示器18の表示制御を行い、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、RAM55を含み、遊技制御用マイクロコンピュータ560には、さらに、ハードウエア乱数を発生する乱数回路503が内蔵され、遊技球が第1始動入賞口13または第2始動入賞口14に入り第1始動口スイッチ13aまたは第2始動口スイッチ14aで検出されると、特別図柄の可変表示を開始できる状態であれば、特別図柄表示器8において特別図柄の可変表示が開始され、特別図柄の可変表示を開始できる状態でなければ、特別図柄保留記憶表示器18についての保留記憶数である、RAM内の所定領域に形成された特図保留メモリの保留数を1増やし、乱数回路503を起動して乱数値を抽出し、抽出した乱数値を前述の特図保留メモリの空エントリの先頭にセットし(【0035】,【0052】、【0053】、【0058】、【0200】、【0201】、図2)、
c パチンコ機1には、第1始動入賞口13および第2始動入賞口14に入った有効入賞球数すなわち保留記憶数を表示する4つの表示器からなる特別図柄保留記憶表示器18が設けられ(【0025】)、
d 遊技制御用マイクロコンピュータ560は、特図保留メモリの第1エントリに保持されている乱数値を用いて、大当りか否かを事前(特図ゲームが開始する前に)判定し(【0204】)、
f 演出制御基板80には、演出制御用マイクロコンピュータ100が搭載され、演出制御用マイクロコンピュータ100が、中継基板77を介して遊技制御用マイクロコンピュータ560からの演出制御コマンドを受信し、飾り図柄や各キャラクタによるリーチ演出表示を可変表示する可変表示装置9の表示制御を行い(【0060】)、
g 遊技者が操作可能であり、操作に応じた信号が、演出制御用CPU101に対して入力される十字キー操作部40が設けられ(【0018】、【0070】)、
f-1 十字キー操作部40は、上下左右方向に対応する十字状に配置された4つの十字キーと、これら4つの操作キーの中央部に設けられた中央キーを有しており、遊技者は、これら5つの各キーを可変表示装置9に表示される画面を見ながら操作することにより、キャラクタの選択操作を実施できるようになっており、演出制御用マイクロコンピュータ100は、複数のキャラクタの内から、遊技者が所望するキャラクタの選択を受付けるキャラクタ選択受付手段が形成され(【0071】、【0186】)、
f-2 キャラクタAとキャラクタBとキャラクタCのレベルが全て77で、表示結果が大当りとなるときであって、スーパーリーチとして対決リーチが選択されたときにのみ、キャラクタPによるプレミアムリーチが決定され、プレミアムリーチが決定された場合には、初めに両側の飾り図柄として同一の飾り図柄(例えば7)が揃う表示がなされて「リーチ」の文字表示がなされた後、同一の飾り図柄が揃った状態で変動表示される全回転表示とともに、該全回転表示の背面にキャラクタPのアニメーション画像が表示され、確定図柄が表示された後、キャラクタが追加されたことを示すメッセージ表示を含む大当り画面が表示される演出表示が実施され(【0187】、【0312】、【0313】、図24)、
f-3 キャラクタが追加されたことを示すメッセージ表示を含む大当り画面が表示される演出表示の終了時に、該キャラクタPが選択可能とされる(【0187】【0313】、【0354】)
パチンコ機1。」

(4) 刊行物1に記載された事項

刊行物1の記載より、さらに、以下の点が認定できる。

ア 上記刊1-サに示した段落【0363】には「可変表示装置9において演出表示が実施されていない状態において、十字キー操作部40のいずれかのキーの連続した10回の操作がなされた場合にメニュー選択画面を表示して、「キャラクタ選択」と「パスワード」のいずれかのメニュー選択を受付けるようにしている」 と記載されていることから、「演出表示が実施されていない状態において、十字キー操作部40のいずれかのキーの連続した10回の操作がなされた場合にメニュー選択画面を表示して、「キャラクタ選択」」「のメニュー選択を受付けるようにしている」構成が記載されている。

イ 同刊1-サに示した段落【0363】には、続けて、「本発明はこれに限定されるものではなく、可変表示装置9において演出表示が実施されている状態において、十字キー操作部40のいずれかのキーの連続した10回の操作がなされた場合にも、可変表示装置9の所定の隅部位置に、メニュー選択画面を表示して、「キャラクタ選択」と「パスワード」のいずれかのメニュー選択を受付け」る点が記載されていることから、「可変表示装置9において演出表示が実施されている状態において、十字キー操作部40のいずれかのキーの連続した10回の操作がなされた場合にも、」「メニュー選択画面を表示して、「キャラクタ選択」」「のメニュー選択を受付け」る点が記載されている。

ウ したがって、刊行物1には、「演出表示が実施されていない状態」及び「演出表示が実施されている状態」のどちらの場合においても、「十字キー操作部40のいずれかのキーの連続した10回の操作がなされた場合にメニュー選択画面を表示して、「キャラクタ選択」」「のメニュー選択を受付け」るようにする点が記載されていると認められる。

エ また、上記刊1-クに示した段落【0185】には、「メニュー選択画面において「キャラクタ選択」の選択入力部が選択されることにより、演出制御用マイクロコンピュータ100(演出制御用CPU101)が実施するキャラクタ選択受付け処理」と記載され、同段落【0186】には、その処理として、「本実施例のキャラクタ選択受付け処理においては、複数のキャラクタであるキャラクタA,A’,B,B’,C,C’,Pの内から、遊技者が所望するキャラクタの選択を受付けて」いる点が記載されていることから、「演出表示が実施されていない状態」及び「演出表示が実施されている状態」のどちらの状態でも、「キャラクタ選択受付け処理」が実施される場合には、複数のキャラクタであるキャラクタA,A’,B,B’,C,C’,Pの内から、遊技者が所望するキャラクタの選択を受付けていると認定できる。

オ 上記アないしエより、刊行物1には、「演出表示が実施されていない状態及び演出表示が実施されている状態において、十字キー操作部40のいずれかのキーの連続した10回の操作がなされた場合にメニュー選択画面を表示して、「キャラクタ選択」のメニュー選択を受付けるようにし、メニュー選択画面において「キャラクタ選択」の選択入力部が選択されることにより、キャラクタ選択受付け処理が実施され、複数のキャラクタであるキャラクタA,A’,B,B’,C,C’,Pの内から、遊技者が所望するキャラクタの選択を受付ける点」(以下、「刊行物1記載事項」という。)が記載されていると認定できる。

2 刊行物2

(1) 記載事項

刊行物2には以下の記載がある。

刊2-ア
「【0005】
そこで、本発明は、容易な操作で遊技演出を選択することができ、また、遊技者の希望する遊技演出で効果的に遊技することができる遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明は、識別情報が変動表示する変動表示ゲームの演出をする表示手段と、所定条件の成立によって前記変動表示ゲームを実行する制御手段と、を備え、前記変動表示ゲームが特定の結果となる場合には遊技者に有利な特典を付与する遊技機において、遊技者の操作によって操作信号を発生する操作部を備え、前記制御手段は、前記操作信号に基づいて、予め定められた複数の演出用キャラクタから一つの演出用キャラクタを選択するキャラクタ選択手段と、前記キャラクタ選択手段によって選択された演出用キャラクタを確定するキャラクタ確定手段と、前記キャラクタ確定手段によって演出用キャラクタが確定したときに、前記確定した演出用キャラクタを前記表示手段に表示するキャラクタ確定表示手段と、前記キャラクタ確定表示手段による表示開始後の所定時間、前記操作部による前記演出用キャラクタの選択を規制する選択規制手段と、前記変動表示ゲームの開始時点で確定している演出用キャラクタに基づいて、当該変動表示ゲームにおける演出内容を決定する演出内容決定手段と、を備える。」

刊2-イ
「【0165】
図13?図15は、本発明の実施の形態の画像表示装置25の表示領域の表示例である。
【0166】
図13(A)は、デモ画面の表示例である。デモ表示画面は、操作受付処理において、スイッチ14からの操作信号を受信するまで、画像表示装置25に表示される。ここでは、表示領域のほぼ中央に、停止している識別情報が表示され、左下には、遊技者によって既に選択されているキャラクタとしてC子を表示する。また、識別情報及び選択されたキャラクタと合わせて、表示領域の上方にキャラクタを変更できる旨の文字情報を表示する。
【0167】
図13(B)及び(C)は、選択実行画面の表示例である。ここでは、図13(B)に選択実行画面として、A子?G子で示す7つのキャラクタが三次元的に奥行方向に円を為して並んでいる状態を示す。このとき、最前列にいるC子が、遊技者に選択されている。表示領域の上方には、キャラクタの選択を指示する文字情報を表示する。
【0168】
そして、スイッチ14の操作によって、キャラクタ番号が更新されると、画像表示装置25に表示されるこれらのキャラクタは、時計回りに回転して、次のキャラクタが最前列に表示される。なお、キャラクタ番号は、A子?G子をそれぞれ1?7とする。図13(C)は、遊技者がスイッチ14を2回操作することによって、キャラクタ番号が3から5に更新され、対応するキャラクタE子が最前列に表示されている状態を示す。
【0169】
図14(A)は、確定画面の表示例である。確定画面は、選択確定処理において、図9のステップS76で初期化された監視タイマがタイムアップするまで、又は、特図変動開始コマンドが受信されるまで表示される。ここでは、遊技者に選択されたキャラクタ番号5のE子が、画面左側に大きく表示される。そして、画面の右側には、キャラクタからの激励のメッセージが、文字情報として表示される。
【0170】
このとき、確定されたキャラクタの全身像を表示する。又は、キャラクタの頭頂部から足先までを、拡大してスクロール表示してもよい。
【0171】
図14(B)は、確定画面の表示例の別の形態である。ここでは、選択されたキャラクタ及びキャラクタからのメッセージに加えて、識別情報を表示する。このとき、変動表示ゲーム中ではないため、識別情報は停止している。
【0172】
図14(C)は、キャラクタが変更された後のデモ画面の表示例である。選択確定処理において、監視タイマがタイムアップすると(S83)、画像表示装置25の表示面は、確定画面からデモ画面に変更される。この場合のデモ画面では、確定画面で表示されていた選択キャラクタ(E子)が、画面の左下に表示される。そして、状態番号が0に設定されるため(S84)、操作受付処理へ戻り、新たにキャラクタの選択が可能となる。
【0173】
図15(A)は、変動表示画面の表示例である。変動表示画面は、図柄変動実行処理において、第1特別図柄を停止するまで表示される。ここでは、表示領域の中央に、変動表示する三つの特別図柄が表示され、画面左下に、選択されたキャラクタ(E子)が表示される。
【0174】
図15(B)は、変動表示画面の表示例の別の形態である。ここでは、選択されたキャラクタが、表示領域の左側に大きく表示され、また、変動表示する識別情報に加えて、キャラクタからの激励のメッセージが文字情報として表示される。
【0175】
なお、図15(B)に示す変動表示画面は、図14(B)に示す確定画面を用いた場合に、その後の特図変動表示ゲームの実行時に用いるとよい。つまり、図14(B)に示すように、確定画面として、キャラクタを表示した画面に識別情報を通常よりも小さく表示する。そして、当該確定画面を表示している間に識別情報の変動表示を開始させる条件が成立すると、図15(B)に示すように、キャラクタを表示したまま識別情報の変動表示を開始する。これによって、識別情報の変動表示の開始と同時に確定画面の表示が中断して、選択されたキャラクタの紹介が中断することを防止できる。特に、キャラクタを動画で表示する場合、確定画面の表示が途中で中断すると違和感が顕著になるため、識別情報の変動表示とあわせてキャラクタを連続して表示することによって、遊技者に違和感を与えることなく、キャラクタを紹介することができる。なお、変動表示の途中で、図15(A)と図15(B)とを切り替えて表示してもよい。
【0176】
図15(C)は、リーチ画面の表示例である。リーチ画面は、図柄変動実行処理において、第二特別図柄が停止してから第三特別図柄が停止するまで表示される。ここでは、表示領域の中央に停止している第一特別図柄(左図柄)、第二特別図柄(中図柄)、及び、変動表示中の第三特別図柄(右図柄)が表示されている。また、表示領域の右下には、キャラクタが表示され、上方には、リーチ演出中であることの表示が、文字情報として表示される。
【0177】
このとき、キャラクタは変動表示中の第三特別図柄の近傍に表示されるため、第三特別図柄の変動表示態様に遊技者の注意が惹きつけられて、遊技の興趣を向上することができる。なお、リーチ画面で表示されるキャラクタは、ステップS91のリーチ演出時のキャラクタ決定処理で決定される。」

刊2-ウ
「図13



刊2-エ
「図14



刊2-オ
「図15



(2) 認定事項

ア 上記刊2-アに示した段落【0005】及び【0006】の記載より、刊行物2に記載された事項が、識別情報が変動表示する変動表示ゲームの演出をする表示手段を備え、遊技演出を選択することができ、遊技者の希望する遊技演出で遊技することができる遊技機である点が理解できる。

イ 上記刊2-イに示した段落【0166】ないし【0168】の記載、及び、図13(A)ないし(C)の記載を参照すると、遊技者によるスイッチ14の操作によって、キャラクタが選択可能である点が理解できる。

ウ 上記刊2-イに示した段落【0171】及び上記刊2-エに示した図14(B)を参照すると、選択されたキャラクタ及び停止表示されている識別情報が表示された態様が記載されている。そして、その態様は、キャラクタと停止表示されている識別情報が重ならずに表示されるものであることが見てとれる。

エ 上記刊2-イに示した段落【0174】及び上記刊2-オに示した図15(B)を参照すると、変動表示画面の表示例が示され、選択されたキャラクタが、表示領域の左側に大きく表示され、また、変動表示する識別情報が表示された態様が記載されており、同段落【0175】には、図14(B)に示す確定画面を用いた場合に、識別情報の変動表示を開始させる条件が成立すると、図15(B)に示すように、キャラクタを表示したまま識別情報の変動表示を開始する点が記載されている。

(3) 引用発明2

上記刊2-アないし刊2-オの記載を含む刊行物2に記載された事項、及び、上記アないしエに示した認定事項を総合すると、刊行物2には、以下の事項(以下、「刊行物2記載事項」という。)が記載されていると認められる。

「2a 識別情報が変動表示する変動表示ゲームの演出をする表示手段を備え、遊技演出を選択することができ、遊技者の希望する遊技演出で遊技することができる遊技機であって(【0005】、【0006】)、
2g 遊技者の操作によって、キャラクタが選択可能なスイッチ14を備え(【0168】)、
2f-1、2f-6 表示手段には、選択されたキャラクタ及び停止表示されている識別情報が表示された態様に続いて、選択されたキャラクタと変動表示する識別情報が表示される態様が表示され、選択されたキャラクタ及び停止表示されている識別情報が表示された態様は、前記キャラクタと停止表示されている識別情報が重ならずに表示されるものである(【0171】、【0174】、【0175】、図14(B)、図15(B))
遊技機。」

3 刊行物3
刊行物3には以下の記載がある。

刊3-ア
「【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本願における第1の観点に係る遊技機は、遊技領域に設けられた所定の始動領域(例えば普通入賞球装置6Aが形成する第1始動入賞口や普通可変入賞球装置6Bが形成する第2始動入賞口など)を遊技媒体(例えば遊技球など)が通過した後に、可変表示の開始を許容する開始条件の成立(例えばステップS231にてYesの判定がなされたことなど)に基づいて、各々を識別可能な複数種類の識別情報(例えば飾り図柄など)の可変表示を行い表示結果を導出表示する可変表示手段(例えば画像表示装置5など)を備え、予め定められた特定表示結果(例えば大当り組合せの確定飾り図柄など)が前記識別情報の表示結果として導出表示されたときに、遊技者にとって有利な特定遊技状態(例えば大当り遊技状態など)に制御する遊技機(例えばパチンコ遊技機1など)であって、前記所定の始動領域を遊技媒体が通過したときに、前記可変表示手段での可変表示を行う権利(例えば保留データなど)を記憶する保留記憶手段(例えば第1特図保留記憶部151Aや第2特図保留記憶部151Bなど)と、前記開始条件が成立したときに、前記保留記憶手段に記憶された権利のうちの一の権利について、前記特定遊技状態に制御されるか否かを、前記表示結果が導出表示される以前に決定する事前決定手段(例えばCPU103がステップS110の特別図柄通常処理を実行する部分など)と、前記事前決定手段による決定結果に基づいて、前記一の権利に基づく前記識別情報の可変表示の制御を行う可変表示制御手段(例えば演出制御用CPU120がステップS161の飾り図柄変動設定処理を実行した後にステップS162の飾り図柄変動中処理を実行する部分など)と、前記事前決定手段によって前記特定遊技状態に制御されるとの決定がなされる権利があるか否かを示唆する報知を行う報知手段(例えば画像表示装置5や、スピーカ8L、8R、遊技効果ランプ9など)と、前記保留記憶手段に記憶されている権利のうちから、前記報知手段が行う報知の対象となる権利を選択する報知対象選択手段(例えば演出制御用CPU120がステップS826及びS827の処理を実行する部分など)と、前記遊技者によって操作可能な操作手段(例えば操作ボタン30など)と、を備え、前記報知対象選択手段は、前記遊技者が前記操作手段を操作したことに応じて、前記報知の対象となる権利を選択し(例えば演出制御用CPU120は、ステップS827の処理などを実行し)、前記報知手段は、前記選択された権利について前記報知を行う、ことを特徴とする。
上記遊技機によれば、操作手段による操作に応じて、報知の対象となる権利が変化するので、遊技興趣が向上する。」

刊3-イ
「【0042】
また、リーチ状態となったことに対応して、飾り図柄の変動速度を低下させたり、画像表示装置5の表示画面に飾り図柄とは異なるキャラクタ画像(人物等を模した演出画像)を表示させたり、背景画像の表示態様を変化させたり、飾り図柄とは異なる動画像を再生表示させたり、飾り図柄の変動態様を変化させたりすることで、リーチ状態となる以前とは異なる演出動作が実行される場合がある。このようなキャラクタ画像の表示や背景画像の表示態様の変化、動画像の再生表示、飾り図柄の変動態様の変化といった演出動作を、リーチ演出表示(あるいは単にリーチ演出)という。・・・リーチ演出における演出動作としては、互いに動作態様(リーチ態様)が異なる複数種類の演出パターン(「リーチパターン」ともいう)が、予め用意されていればよい。そして、それぞれのリーチ態様では「大当り」となる可能性(「信頼度」あるいは「大当り信頼度」ともいう)が異なる。すなわち、複数種類のリーチ演出のいずれが実行されるかに応じて、可変表示結果が「大当り」となる可能性を異ならせることができる。一例として、この実施の形態では、ノーマルリーチ、スーパーリーチα、スーパーリーチβといったリーチ態様が予め設定されている。そして、スーパーリーチαやスーパーリーチβといったスーパーリーチのリーチ態様が出現した場合には、ノーマルリーチのリーチ態様が出現した場合に比べて、可変表示結果が「大当り」となる可能性(大当り信頼度)が高くなる。」

刊3-ウ
「【0347】
そして、特図表示結果が「大当り」である場合や(ステップS1832;Yes)、変動パターン種別決定用の乱数値MR3を示す数値データが特定パターン共通範囲の範囲内である場合には(ステップS1833;Yes)、ジョグ回転カウント値と合致する先読保留番号に応じた大当り示唆先読演出となる演出動作を実行するための設定を行うことにより(ステップS1834)、図47(E)に示すように、キャラクタがハンマーでいずれか一つの表示部位を割る演出画像が表示された後、図47(F)に示すように、「成功」といった演出画像が表示される。
【0348】
これに対して、変動パターン種別決定用の乱数値MR3を示す数値データが特定パターン共通範囲の範囲外である場合には(ステップS1833;No)、ジョグ回転カウント値と合致する先読保留番号に応じたハズレ報知先読演出となる演出動作を実行するための設定を行うことにより(ステップS1835)、図47(E)に示すように、キャラクタがハンマーでいずれか一つの表示部位を割る演出画像が表示された後、図47(G)及び(H)に示すように、「失敗」といった演出画像が表示されてから「次の変動に期待!」といった演出画像が表示される。」

刊3-エ
「図47



(2) 認定事項

ア 上記刊3-イに示した段落【0042】の記載を参照すると、刊行物3に記載された遊技機は、飾り図柄の可変表示を行う画像表示装置5の表示画面に、リーチ状態となったことに対応して、飾り図柄とは異なるキャラクタ画像(人物等を模した演出画像)を表示させ、リーチ演出が実行され、「大当り」となる可能性を示唆するものであるから、キャラクタ画像を用いて「大当り」となる可能性を示唆するリーチ演出を実行するリーチ演出実行手段を有するものであることが理解できる。

イ 上記刊3-エに示した図47を参照すると、刊行物3に記載された遊技機は、保留記憶に対応する保留表示を表示可能な保留表示手段を備えることが見てとれる。

ウ 上記刊3-ウに示した段落【0347】の記載、及び、上記刊3-エに示した図47を参照すると、可変表示中にキャラクタが保留記憶に対応する保留表示をハンマーで割る演出画像が表示された後、保留表示を、「成功」と付記された保留表示に変更し、「大当り」であることの示唆が行われる点が記載されていると認められる。

(3) 引用発明3

上記刊3-アないし刊3-エの記載を含む刊行物3に記載された事項、及び、上記アないしウに示した認定事項を総合すると、刊行物3には、以下の発明(以下、「引用発明3」という。)が記載されているといえる。

「3a 可変表示を行い遊技者にとって有利な特定遊技状態に制御する遊技機であって(【0009】)、
3b 可変表示手段での可変表示を行う権利を記憶する保留記憶手段(【0009】)と、
3c 保留記憶に対応する保留表示を表示可能な保留表示手段と(図47)、
3e 前記保留記憶手段に記憶された権利のうちの一の権利について、前記特定遊技状態に制御されるか否かを、前記表示結果が導出表示される以前に決定する事前決定手段(【0009】)と、
3f キャラクタ画像を用いて「大当り」となる可能性を示唆するリーチ演出を実行するリーチ演出実行手段と、前記事前決定手段によって前記特定遊技状態に制御されるとの決定がなされる権利があるか否かを示唆する報知とを行う報知手段と、を備え(【0009】、【0042】)、
3f-5 可変表示中にキャラクタが保留記憶に対応する保留表示をハンマーで割る演出画像が表示され、保留表示を、「成功」と付記された保留表示に変更する(【0347】、図47)
遊技機。」

第5 対比

1 本願発明と引用発明1との対比

本願発明と引用発明1とを対比する。

(a) 本願発明のAの特定事項について
引用発明1の「大当り遊技状態」は、本願発明の「遊技者にとって有利な有利状態」に相当する。したがって、引用発明1の「a 特別図柄表示器8における特別図柄の可変表示が、所定時間が経過したときに停止し、停止時の停止図柄が大当り図柄のうちの確変図柄または非確変図柄になると、大当り遊技状態に移行するパチンコ機1」は、本願発明の「A 可変表示を行い、遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な遊技機」に相当する。

(b) 本願発明のBの特定事項について
引用発明1の構成bにおける「遊技制御用マイクロコンピュータ560」の「RAM55内の所定領域に形成された特図保留メモリ」は、「特別図柄保留記憶表示器18についての保留記憶数」を記憶するものであって、「乱数回路503を起動して」「抽出した乱数値」がセットされたものであり、「乱数値を用いて、」「特別図柄表示器8における特別図柄の可変表示」が行われるものであるから、本願発明の「B 可変表示に関する情報を、保留記憶として記憶する保留記憶手段」に相当する。

(c) 本願発明のCの特定事項について
引用発明1の構成cにおける「第1始動入賞口13および第2始動入賞口14に入った有効入賞球数すなわち保留記憶数を表示する4つの表示器からなる特別図柄保留記憶表示器18」は、本願発明の「C 保留記憶に対応する保留表示を表示可能な保留表示手段」に相当する。

(d) 本願発明のDの特定事項について
引用発明1の構成dにおける「遊技制御用マイクロコンピュータ560」は、「特図保留メモリの第1エントリに保持されている乱数値を用いて、大当りか否かを事前(特図ゲームが開始する前に)判定」するものであるから、本願発明の「D 前記有利状態に制御するか否かを決定する決定手段」としての機能を有するものである。

(e) 本願発明のEの特定事項について
引用発明1は、本願発明の構成Eに対応する構成を有さない。

(f) 本願発明のFの特定事項について
引用発明1の構成fにおける「リーチ演出表示」は、例えば、「可変表示」として行われるのであるから、本願発明における「可変表示中に前記有利状態に制御されるか否かを報知する特定演出」に相当する。
また、引用発明1の構成fにおける「演出制御用マイクロコンピュータ100」は、「中継基板77を介して遊技制御用マイクロコンピュータ560からの演出制御コマンドを受信し、飾り図柄や各キャラクタによるリーチ演出表示を可変表示する可変表示装置9の表示制御を行」うものであり、本願発明の「可変表示中に前記有利状態に制御されるか否かを報知する特定演出」「を実行可能な演出実行手段」としての機能を有するものである。

(g) 本願発明のGの特定事項について
引用発明1の「g 遊技者が操作可能であり、操作に応じた信号が、演出制御用CPU101に対して入力される十字キー操作部40」は、本願発明1の「G 遊技者が操作可能な操作手段」に相当する。

(f-1) 本願発明のF-1の特定事項について
引用発明1の構成f-1の「複数のキャラクタの内から、」「キャラクタ選択受付手段」により「選択を受付け」た「遊技者が所望するキャラクタ」は、本願発明1の「複数種類の演出情報のうちから前記操作手段の操作に基づいて選択された演出情報に対応する特定画像」に相当する。
また、引用発明1の構成fにおける「演出制御用マイクロコンピュータ100が、」「各キャラクタによるリーチ演出表示を可変表示する」ことと、本願発明1の「前記演出実行手段は、」「演出情報に対応する特定画像を、可変表示が実行されない非可変表示期間と、可変表示が実行される複数の可変表示期間とに亘って表示可能であ」ることとは、上記(f)より、「演出実行手段」が「演出情報に対応する特定画像を」「表示可能であ」る点で共通する。

(f-2) 本願発明のF-2の特定事項について
上記(f-1)より、引用発明1における「キャラクタ」は、本願発明における「演出情報に対応する特定画像」に相当することから、引用発明1の構成f-2における「キャラクタAとキャラクタBとキャラクタCのレベルが全て77で、表示結果が大当りとなるときであって、スーパーリーチとして対決リーチが選択されたときにのみ、キャラクタPによるプレミアムリーチが決定され」ることは、本願発明の「所定条件が成立したこと」に相当し、同構成f-2における「キャラクタが追加され」ることは、本願発明の「演出情報として追加演出情報を追加する」ことに相当する。
さらに、同構成f-2における「キャラクタが追加されたことを示すメッセージ表示」は、本願発明の「追加演出情報の追加に関する特定報知」に相当し、同構成f-2における「プレミアムリーチが決定された場合には、初めに両側の飾り図柄として同一の飾り図柄(例えば7)が揃う表示がなされて「リーチ」の文字表示がなされた後、同一の飾り図柄が揃った状態で変動表示される全回転表示とともに、該全回転表示の背面にキャラクタPのアニメーション画像が表示され、確定図柄が表示された後、キャラクタが追加されたことを示すメッセージ表示を含む大当り画面が表示される演出表示が実施され」ることは、「リーチ演出表示」が終了した後に「キャラクタが追加されたことを示すメッセージ表示」が行われることから、「リーチ演出表示」中は「キャラクタが追加されたことを示すメッセージ表示」が行われないものであり、本願発明の構成F-2における「前記特定演出を実行していない場合には該追加演出情報の追加に関する特定報知を実行し、前記特定演出を実行している場合には前記特定報知を実行」しないことに相当する。

(f-3) 本願発明のF-3の特定事項について
引用発明1の構成f-3における「キャラクタが追加されたことを示すメッセージ表示を含む大当り画面が表示される演出表示の終了時」は、本願発明における「前記特定報知が実行されたとき」に相当する。
また、同構成f-3における「該キャラクタPが選択可能であ」ることは、本願発明1における「前記追加演出情報を、」「前記操作手段の操作に基づいて選択可能であ」ることに相当する。
したがって、引用発明1の構成f-3と、本願発明の構成F-3は、「前記特定報知が実行されたときには、前記追加演出情報を、前記操作手段の操作に基づいて選択可能である」点で共通する。

(f-4) 本願発明のF-4の特定事項について
引用発明1は、本願発明の構成F-4に対応する構成を有さない。

(f-5) 本願発明のF-5の特定事項について
引用発明1は、本願発明の構成F-5に対応する構成を有さない。

(f-6) 本願発明のF-6の特定事項について
引用発明1は、本願発明の構成F-6に対応する構成を有さない。

2 一致点及び相違点
以上のことから、本願発明と引用発明1は、以下の点で一致する。

<一致点>
A 可変表示を行い、遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な遊技機であって、
B 可変表示に関する情報を、保留記憶として記憶する保留記憶手段と、
C 保留記憶に対応する保留表示を表示可能な保留表示手段と、
D 前記有利状態に制御するか否かを決定する決定手段と、
F’ 可変表示中に前記有利状態に制御されるか否かを報知する特定演出とを実行可能な演出実行手段と、
G 遊技者が操作可能な操作手段と、
を備え、
前記演出実行手段は、
F-1’ 複数種類の演出情報のうちから前記操作手段の操作に基づいて選択された演出情報に対応する特定画像を、表示可能であり、
F-2 所定条件が成立したことに基づいて、演出情報として追加演出情報を追加するとともに、前記特定演出を実行していない場合には該追加演出情報の追加に関する特定報知を実行し、前記特定演出を実行している場合には前記特定報知を実行せず、
F-3’ 前記特定報知が実行されたときには、前記追加演出情報を、前記操作手段の操作に基づいて選択可能である
遊技機。

そして、両者は、以下の点で相違する。

<相違点1> (本願発明のF-1,F-6の特定事項に関して)
本願発明は、特定画像を、可変表示が実行されない非可変表示期間と、可変表示が実行される複数の可変表示期間とに亘って表示可能であり、前記非可変表示期間において可変表示の表示結果の視認を妨げない態様により特定画像を表示可能であるのに対して、引用発明1は、そのような構成とはされていない点。

<相違点2> (本願発明のE,F,F-5の特定事項に関して)
本願発明は、決定手段による決定よりも前に、保留記憶手段に記憶されている保留記憶について有利状態に制御されるか否かを判定する判定手段を有し、演出実行手段が、前記判定手段の判定結果に基づいて、該判定の対象となった保留記憶に基づく可変表示が開始されるまでに、該可変表示によって前記有利状態に制御される可能性を予告する先読み予告演出を実行可能であり、前記先読み予告演出として保留表示に対して特定画像を用いた作用演出を可変表示中に実行することによって該保留表示の表示態様を特別表示態様に変更するものであるのに対して、引用発明1は、そのような構成とはされていない点。

<相違点3> (構成F-3、F-4に関して)
本願発明は、追加演出情報を、可変表示中であるか否かにかかわらずに操作手段の操作に基づいて選択可能であり、前記操作手段の操作に基づいて選択可能な演出情報は、可変表示中である場合と可変表示中ではない場合とで共通であるのに対して、引用発明1は、その点が不明である点。

第6 検討・判断

1 相違点についての検討
上記各相違点について以下に検討する。

(1) 相違点1について
本願発明の相違点1に係る構成と、引用発明2とを対比すると、引用発明2の「選択されたキャラクタ及び停止表示されている識別情報が表示された態様」は、相違点1に係る構成の「可変表示が実行されない非可変表示期間」に相当し、引用発明2の「選択されたキャラクタと変動表示する識別情報が表示される態様」は相違点1に係る構成の「可変表示が実行される複数の可変表示期間」に相当し、引用発明2の「選択されたキャラクタ及び停止表示されている識別情報が表示された態様は、前記キャラクタと停止表示されている識別情報が重ならずに表示されるものである」ことは、相違点1に係る構成の「前記非可変表示期間において可変表示の表示結果の視認を妨げない態様により特定画像を表示可能である」ことに相当する。
そして、引用発明2は、特定画像を、可変表示が実行されない非可変表示期間と、可変表示が実行される複数の可変表示期間とに亘って表示可能とした点に関しては不明であるが、特定画像、すなわち、キャラクタを、「可変表示が実行されない非可変表示期間と、可変表示が実行される複数の可変表示期間とに亘って表示可能」とする点は、以下のア及びイに示すように、本願出願前に周知の事項である。

ア 本願出願前に頒布された刊行物である特開2009-50744号公報には、以下の記載がある(下線は当審で付与した。)。

「【0129】
第1実施形態における特別図柄表示部9での具体的な表示として、まず、大当り(特定遊技状態)が終了すると、図29(A)に示すように、「大当り終了」の文字107が表示されるが、この大当りが例えば、「777」の図柄による大当りであった場合には、その後の遊技状態が特別遊技状態(例えば、時短)となり、特定のリーチパターンを決定するための所定条件が成立する。所定条件が成立すると、図29(B)に示すように、「ラッキーリーチ選択!」の文字108が表示される。表示108が表示されて所定時間の経過後、選択肢画像(図29(C),図17SL1)となる表示態様aに切り換わり(選択肢画像表示手段)、これと同時に光センサ61,62,65によるリーチ種類の選択指示の検出が有効に切り換わる。表示態様aは、図29(C)に示すように、各リーチA,B,Cと対応したキャラクタ104,105,106を特別図柄表示部9の下側領域に左・中・右に並列して表示すると共に、特別図柄表示部9の上下に「好きなリーチ画像にタッチしてください!」の文字109を表示することで、各リーチA,B,Cのいずれかを遊技者に選択させる演出表示となる。このようなリーチ選択の演出では、リーチ選択が可能な有効期間S1(図27参照)が予め設定されている(図17SL2)。具体的には、表示制御基板80内の表示制御用マイクロコンピュータが光センサ61,62,65の検出有効期間を設定し、これをリーチ選択の有効期間S1としている。」
「【0136】
なお、上記した第1実施形態においては、ラッキーリーチが決定した後、リーチ状態となったときに図28に示すように、ラッキーリーチの表示態様が特別図柄表示部9全体に表示されると共に、リーチ表示態様を停止表示した左右の可変表示部101,103と、図柄変動中となる中央の可変表示部102と、が縮小表示されるものを示したが、このようなものに限らず、図30及び図31の(F)?(I)に示すように、特別図柄表示部9全体で図柄の可変表示を行うと共に、決定したラッキーリーチのリーチパターンを示す画像を、特別遊技状態中に亘り表示制御手段によって特別図柄表示部9に表示するものであってもよい。このとき、ラッキーリーチのリーチパターンを示す画像は、図17のSL4でセットしたコマンドが遊技制御基板31のCPU56から送信されて表示制御基板80のCPUで受信され、この受信されたコマンドに基づいて特別図柄表示部9を制御することにより表示されるものである。」
「図29


「図30


「図31


上記段落【0129】の記載より、各リーチA,B,Cと対応したキャラクタは遊技者が選択可能であり、また、段落【0136】には、「決定したラッキーリーチのリーチパターンを示す画像を、特別遊技状態中に亘り表示制御手段によって特別図柄表示部9に表示するものであってもよい。」と記載されていることから、各リーチA,B,Cと対応したキャラクタを可変表示が実行されない非可変表示期間と、可変表示が実行される複数の可変表示期間とに亘って表示可能とした点が記載されていると認められる。

イ 同特開2013-5856号公報には、以下の記載がある。

「【0417】
この段階で、現在選択中のキャラクター画像S6の周囲には、ターゲットマークTMが表示されている。このターゲットマークTMは、パスワードの情報を元に選択されたキャラクター画像を指示するためのマークである。この例では、先に図29中(D)の「パスワード遊技画面」において、「あなたの指名嬢」として表示されたキャラクター画像S6(右側領域の右下隅)にターゲットマークTMが合わせられている。」
「【0420】
遊技者が特にキャラクター選択の変更を行わない場合、図31中(B)に示される状態で演出切替ボタン45を押下することにより、現在選択中のキャラクター画像S6を確定させることができる。あるいは、キャラクター画像S6にターゲットマークTMが合わせられた状態で、ある程度の時間(例えば数秒)にわたり演出切替ボタン45が押下されなければ、同じく現在選択中のキャラクター画像S6が確定する。この場合、演出制御装置124(演出制御CPU126)において演出図柄生成処理が行われる。」
「図50


上記段落【0417】、【0420】の記載より、キャラクタS6が遊技者が選択可能であることは明らかであり、上記図50には、キャラクタS6を可変表示が実行されない非可変表示期間と、可変表示が実行される複数の可変表示期間とに亘って表示可能とした点が記載されていると認められる。

そして、引用発明1と引用発明2及び上記周知の事項は、遊技者が操作することにより、遊技者が所望するキャラクタを選択可能であるという共通の機能を有するものであり、また、引用発明1と引用発明2及び上記周知の事項とは、遊技者が所望する演出効果を実現するという共通の課題を解決するものである。
したがって、引用発明1における遊技者が選択可能なキャラクタに関して、引用発明2及び本願出願前に周知の事項を適用し、遊技者が選択可能なキャラクタを可変表示が実行されない非可変表示期間と、可変表示が実行される複数の可変表示期間とに亘って表示可能とし、本願発明の相違点1に係る構成を成すことは、当業者が容易に想到し得ることである。

(2) 相違点2について
本願発明の相違点2に係る構成と、引用発明3とを対比すると、引用発明3の「前記保留記憶手段に記憶された権利のうちの一の権利について、前記特定遊技状態に制御されるか否かを、前記表示結果が導出表示される以前に決定する事前決定手段」は、相違点2に係る構成の「決定手段による決定よりも前に、保留記憶手段に記憶されている保留記憶について有利状態に制御されるか否かを判定する判定手段」に相当する。
また、引用発明3の「前記事前決定手段によって前記特定遊技状態に制御されるとの決定がなされる権利があるか否かを示唆する報知を行う報知手段」は、「前記表示結果が導出表示される以前に決定」された「前記特定遊技状態に制御されるとの決定がなされる権利があるか否かを示唆する」ものであるから、相違点2に係る構成の「前記判定手段の判定結果に基づいて、該判定の対象となった保留記憶に基づく可変表示が開始されるまでに、該可変表示によって前記有利状態に制御される可能性を予告する先読み予告演出を実行可能であ」る「演出実行手段」に相当する。
さらに、引用発明3の「可変表示中にキャラクタが保留記憶に対応する保留表示をハンマーで割る演出画像が表示され、保留表示を、「成功」と付記された保留表示に変更する」ことは、相違点2に係る構成の「前記先読み予告演出として保留表示に対して特定画像を用いた作用演出を可変表示中に実行することによって該保留表示の表示態様を特別表示態様に変更する」ことに相当する。
したがって、引用発明3は、本願発明の相違点2に係る構成をすべて有するものである。
そして、引用発明3は、先読み予告演出に加えて、キャラクタ画像を用いてリーチ演出を実行するリーチ演出実行手段を有するものであり、当該リーチ演出は、「大当り」となる可能性を示唆するものであり、本願発明の「特定演出」に相当するものであるから、引用発明1と引用発明3は、キャラクタを用いて特定演出を行うという共通の機能を有するものであり、また、引用発明1と引用発明3とは、キャラクタを用いることによって演出効果を高めるという共通の課題を解決するものである。
よって、引用発明1におけるキャラクタ用いた演出に関して、引用発明3を適用し、先読み予告演出として保留表示に対してキャラクタを用いた作用演出を可変表示中に実行することによって該保留表示の表示態様を特別表示態様に変更する演出を実行し、本願発明の相違点2に係る構成を成すことは、当業者が容易に想到し得ることである。

(3) 相違点3について
本願発明の相違点3に係る構成と、刊行物1記載事項とを対比する。
刊行物1記載事項における「キャラクタ」「P」を選択することは、相違点3に係る構成における「追加演出情報」を「選択」することに相当する。
また、刊行物1記載事項における「演出表示が実施されている状態」には、本願発明における「可変表示中」が含まれ、刊行物1記載事項における「演出表示が実施されていない状態」には、本願発明における「否か」、即ち、「可変表示中」ではない状態が含まれることは当業者の技術常識に照らして明らかであるから、刊行物1記載事項における「演出表示が実施されていない状態及び演出表示が実施されている状態において、十字キー操作部40のいずれかのキーの連続した10回の操作がなされた場合にメニュー選択画面を表示して、「キャラクタ選択」のメニュー選択を受付けるように」することは、相違点3に係る構成の「演出情報」を「可変表示中であるか否かにかかわらずに操作手段の操作に基づいて選択可能であ」ることに相当する。
そして、刊行物1記載事項は、「複数のキャラクタであるキャラクタA,A’,B,B’,C,C’,Pの内から、遊技者が所望するキャラクタの選択を受付ける」ものであるから、「キャラクタ」「P」を選択可能であることは明らかである。
したがって、刊行物1記載事項における「演出表示が実施されていない状態及び演出表示が実施されている状態において、十字キー操作部40のいずれかのキーの連続した10回の操作がなされた場合にメニュー選択画面を表示して、「キャラクタ選択」のメニュー選択を受付けるようにし、複数のキャラクタであるキャラクタA,A’,B,B’,C,C’,Pの内から、遊技者が所望するキャラクタの選択を受付ける」ことは、相違点3に係る構成の「追加演出情報を、可変表示中であるか否かにかかわらずに操作手段の操作に基づいて選択可能であ」ることに相当する。
また、刊行物1記載事項において、「キャラクタ選択受付け処理」は、「演出表示が実施されていない状態」と「演出表示が実施されている状態」のどちらにおいても、「メニュー選択画面において「キャラクタ選択」の選択入力部が選択される」ことによって実施されるものであり、キャラクタの選択は、「複数のキャラクタであるキャラクタA,A’,B,B’,C,C’,Pの内から、遊技者が所望するキャラクタの選択を受付ける」ものであるから、「演出表示が実施されていない状態」と「演出表示が実施されている状態」のどちらにおいても、キャラクタA,A’,B,B’,C,C’,Pの内から、選択することになり、選択可能なキャラクタの種類が共通するといえる。
したがって、刊行物1記載事項における「キャラクタ選択受付け処理が実施され、複数のキャラクタであるキャラクタA,A’,B,B’,C,C’,Pの内から、遊技者が所望するキャラクタの選択を受付ける」ことは、相違点3に係る構成の「操作手段の操作に基づいて選択可能な演出情報は、可変表示中である場合と可変表示中ではない場合とで共通である」ことに相当する。
ゆえに、刊行物1記載事項は、本願発明の相違点3に係る構成をすべて有するものである。
そして、引用発明1と刊行物1記載事項は、遊技者により選択可能なキャラクタを用いて演出を行うという共通の機能を有するものであり、また、引用発明1と刊行物1記載事項とは、遊技者により選択可能なキャラクタを用いることによって演出効果を高めるという共通の課題を解決するものである。
よって、引用発明1における遊技者により選択可能なキャラクタ用いた演出に関して、刊行物1記載事項を適用し、追加演出情報の追加に関する特定報知を実行後、追加演出情報に関するキャラクタであるキャラクタPを含むキャラクタの選択を、可変表示中であるか否かにかかわらずに選択可能とし、選択されるキャラクタを、可変表示中である場合と可変表示中ではない場合とで共通とすることによって、本願発明の相違点3に係る構成を成すことは、当業者が容易に想到し得ることである。

2 平成30年12月20日付け意見書における請求人の主張への反論
請求人は、平成30年12月20日付け意見書の「(4) 本発明と引用文献に記載の発明との対比」において、
「補正後の本発明は、特に、「所定条件が成立したことに基づいて、演出情報として追加演出情報を追加するとともに、前記特定演出を実行していない場合には該追加演出情報の追加に関する特定報知を実行し、前記特定演出を実行している場合には前記特定報知を実行せず」という構成Aを有しているので、追加演出情報の追加に遊技者が注目することにより、実行中の特定演出への注目が低下してしまい、該特定演出の実行による遊技興趣の向上が図れなくなってしまうことを防止できるという効果を奏します。
つまり、例えば、スーパーリーチなどの有利状態に制御されるか否かを報知する特定演出の実行中に、追加演出情報の追加に関する特定報知を行われてしまうと、遊技者が、特定演出よりも特定報知に注目してしまうことや、追加された追加演出情報がどのようなものであるのかに注目してしまい、実行中の特定演出への注目が低下してしまうことが起こり得ますが、本発明によれば、特定演出を実行している場合には追加演出情報の追加に関する特定報知を行わないようにすることで、遊技者が、特定演出よりも特定報知に注目してしまうことや、追加された追加演出情報がどのようなものであるのかに注目してしまうことによって実行中の特定演出への注目が低下してしまうことを防ぐことができ、実行中の特定演出に、遊技者が集中できるようになるため、該特定演出の実行によって、有利状態に制御されることへの遊技者の期待感を的確に高められるようになるので、特定演出の実行による遊技興趣の向上が図れなくなってしまうことを防止できるという効果を奏します。」
と主張している。
そして、引用文献1には、「特定演出であるプレミアムリーチの実行中にキャラクタPが追加されたことを示すメッセージ表示が表示されることで、プレミアムリーチ(特定演出)への注目が低下してしまうものに過ぎず、特定演出の実行による遊技興趣の向上が図れなくなってしまうことを防止するための本発明の構成Aについては、何ら記載されておりません。」と、主張し、さらに、「引用文献2、3にも、本発明の「所定条件が成立したことに基づいて、演出情報として追加演出情報を追加するとともに、前記特定演出を実行していない場合には該追加演出情報の追加に関する特定報知を実行し、前記特定演出を実行している場合には前記特定報知を実行せず」という構成Aについては、何ら開示も示唆もされておりません。」と主張している。
しかしながら、引用発明1は、「第4 刊行物に記載された事項」「1 刊行物1」「(2) 認定事項」「f-2」において認定したように、「初めに両側の飾り図柄として同一の飾り図柄(例えば7)が揃う表示がなされて「リーチ」の文字表示がなされた後、同一の飾り図柄が揃った状態で変動表示される全回転表示とともに、該全回転表示の背面にキャラクタPのアニメーション画像が表示され、リーチ終了後の確定図柄が表示された後、キャラクタが追加されたことを示すメッセージ表示を含む大当り画面が表示される演出表示が実施され」るものであるから、「キャラクタが追加されたことを示すメッセージ表示」は、「確定図柄が表示された後」であり、特定演出の実行中ではないことから、請求人が主張する上記の構成Aは、引用発明1も有するものである。
そして、引用発明1においても、キャラクタが追加されたことを示すメッセージ表示は、リーチ終了後の確定図柄が表示された後に行われるものであるから、「特定演出の実行による遊技興趣の向上が図れなくなってしまうことを防止する」という請求人が主張する効果を奏し得るものと認められる。
したがって、請求人の主張は採用できない。

第7 結語

以上のとおり、本願発明は、引用発明1に、刊行物1記載事項、引用発明2、引用発明3、及び、本願出願前に周知の事項を適用することによって、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであって、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2019-02-27 
結審通知日 2019-03-05 
審決日 2019-03-18 
出願番号 特願2013-118346(P2013-118346)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 進藤 利哉  
特許庁審判長 長崎 洋一
特許庁審判官 蔵野 いづみ
▲高▼橋 祐介
発明の名称 遊技機  
代理人 林 修身  
代理人 重信 和男  
代理人 石川 好文  
代理人 堅田 多恵子  
代理人 溝渕 良一  
代理人 大久保 岳彦  

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