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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F
管理番号 1351350
審判番号 不服2018-2049  
総通号数 234 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-06-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-02-14 
確定日 2019-05-07 
事件の表示 特願2013- 35898号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成26年9月8日出願公開、特開2014-161543号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成25年2月26日の出願であって、平成28年10月14日付けで拒絶の理由が通知され、同年12月15日に意見書及び手続補正書が提出され、平成29年4月26日付けで最後の拒絶の理由が通知され、同年6月29日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、同年11月14日付けで、同年6月29日付け手続補正が却下されるとともに拒絶査定がなされ、それに対して、平成30年2月14日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされ、これに対し、当審において、同年10月17日付けで拒絶の理由が通知され、同年12月14日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。

第2 本願発明
本願の請求項1?2に係る発明は、平成30年12月14日になされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1?2に記載されたとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりのものである(A?Fは、本願発明を分説するために当審で付与した。)。
「【請求項1】
A 遊技を統括的に制御する主制御手段と、該主制御手段から送信される制御指令に基づいて演出態様を決定して変動表示ゲームを実行する従制御手段と、遊技者が操作可能な操作手段と、を備える遊技機であって、
B 前記従制御手段は、外部装置に情報を伝達することが可能であり、
C 前記情報には、少なくとも前記演出態様に関する情報と、前記操作手段が操作されたことを示す情報と、演出による当該遊技機への負荷に関する情報と、を含み、
D 前記演出態様に関する情報には、前記変動表示ゲームを複数に分割した各期間の進行に対応する情報を含み、
E 前記操作手段が操作されたことを示す情報は、前記操作手段が操作されたタイミングに対応して変化する情報であり、
F 前記演出による当該遊技機への負荷に関する情報は、負荷に関する複数のパラメータ毎に独立した情報であることを特徴とする
G 遊技機。」

第3 当審拒絶理由の概要
平成30年10月17日付けの当審における拒絶の理由の概要は、以下の通りである。

(進歩性)本件出願の請求項1に記載された発明(以下、「本願発明」という。)は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

●理由(進歩性)について
・本願発明について
・引用例 1?4

引用例1:特許第5014722号公報
引用例2:特開2011-206468号公報
引用例3:特開2008-23373号公報(周知技術を示す文献)
引用例4:特開2005-160561号公報(周知技術を示す文献)

第4 引用例に記載された事項
1 引用例1
当審における拒絶の理由(平成30年10月17日付け拒絶理由通知書)に引用例1として引用された本願の出願日前に頒布された特許第5014722号公報(以下「引用例1」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審で付した。以下同じ。)。

(ア)「【0019】
図1は、本発明を遊技機に適用したパチンコ遊技機1であり、遊技枠10に本体11を開扉可能に支持している。本体11の前面上部には、丸窓12にガラス13を嵌めたフロント扉14を有し、その内方に遊技盤2を備える。本体11の前面下部には、貸球及び賞球を受止める上皿31、内方で溢れた球を受止める下皿32、遊技盤2に球を打出す発射ハンドル4、効果音等を出音する左右スピーカ51,52を備える。上皿31には、遊技中に遊技者操作を演出に関与させる左・中・右ボタン3L,3C,3Rから成る遊技者操作スイッチ30を備える。33,34は凸状のスイッチ間セパレータである。フロント扉14には、装飾や各種状態表示に用いるランプ類61?65を備える。
【0020】
遊技盤2には、次の1)?6)の遊技部品を備える。
1)センターユニット7
このユニット7は、飾り枠71の中央部に、次記始動口81,82への始動入賞を契機に起動する特別役たる大当りの内部抽選の当否結果を所定の導出演出を経て導出させる演出装置70を具備する。この演出装置70は、カラー液晶表示器から成る画像演出部7Aと、可動式のピストルフィギア7pと回転式のミニドラム7rとをもつ実動作演出部7Bとを含む。」

(イ)「【0032】
主制御部MCから周辺制御部SC1,SC2側へは、大当りの内部抽選結果等、主制御部MCでの各種抽選結果に基づいて生成した演出パターンコマンドを一方通行的に送信指令しており、周辺制御部SC1,SC2では、主制御部MCから送信指令される演出パターンコマンドを受信して、演出パターン番号等に従った演出制御のみを専ら受け持っている。主制御部MCでは、送信したコマンドで特定される演出時間の経過をタイマ管理し、図柄変動演出の終了等を擬制認知している。又、周辺制御部SC1,2相互間は、必要に応じて双方向のデータ送受信を可能にしている。
【0033】
主制御部MCのROMには、大当り抽選処理等の遊技の主制御を担う遊技プログラムを格納している。主制御部MCからは、ドライバ回路Dr0を介して大入賞口8の球受部材80を開閉させるソレノイド等による開閉用駆動部D2、電動チューリップ820の花弁82a,82bを開閉させる同ソレノイド等による開閉用駆動部D1、表示器ボード90上の表示装置及び各種表示器を制御している。
【0034】
第1周辺制御部SC1からは、ドライバ回路Dr1を介して、画像演出部7A並びに実動作演出部7Bにおけるピストルフィギア7pを駆動するステッピングモータ等の駆動源7m、同ミニドラム7rを駆動するステッピングモータ等の駆動源7nを制御している。第2周辺制御部SC2からは、ドライバ回路Dr2を介して、左右スピーカ51,52及びランプ類61?65を制御している。
【0035】
第1周辺制御部SC1のROMには、主制御部MCからの送信コマンドを受信して演出制御を担う演出プログラムを格納していると共に、同ROM及びRAMにより、演出装置70での実行中の演出を識別する演出識別情報と関連づけて遊技者操作スイッチ30の操作情報を記録する操作情報記録手段Xと、この操作情報記録手段Xの記録を演出識別情報と共に外部端子板OUTからホールコンピュータ等の外部の遊技管理装置に出力させる操作情報出力手段Yとを構築している。」

(ウ)「【0050】
図17に示すように、演出番号13の大当り表示中は、特別図柄変動後、左・中・右演出図柄DL,DC,DRが三つ揃いした大当り図柄例えば「7」-「7」-「7」で停止表示し、大当たりが確定的に導出された状態である。
・・・
【0055】
図22に示すように、演出番号3?13は、主制御部MCから第1周辺制御部SC1に送信される演出パターン番号21,22,41?44,81?84に応じて、所定の組合せ及び組合せ要素の出現タイミングが予め決まっている。演出パターン番号は、始動入賞に基づく一の大当り抽選結果の導出に対応した演出識別情報であり、複数の演出番号を含む。
・・・
【0058】
演出パターン番号81は、大当り時に稀に選択され、予告A「雨予告」の後にリーチA「ノーマルリーチ」に発展し、大当りを表示させる。
演出パターン番号82は、大当り時に低率で選択され、予告B「ミニドラム予告」の後にリーチB「シーソーリーチ」に発展し、大当りを表示させる。
演出パターン番号83は、大当り時に高率で選択され、予告C「竜巻予告」及び予告D「手配書予告」の後にリーチC「コンドルリーチ」に発展し、大当りを表示させる。
演出パターン番号84は、大当り時に最も高率で選択され、予告C「竜巻予告」及び予告D「手配書予告」の後にリーチD「列車リーチ」に発展し、大当りを表示させる。」

(エ)「【0063】
尚、ホールコンピュータHCへの送信タイミングは、各演出番号の演出がオンからオフに切り替わる毎とし、該当する演出番号とその間のボタン操作回数とをその都度送信するようにしてもよい。又、ホールコンピュータHCからの読み出し要求に応じて、それまでの各演出番号等に対応した積算回数を送信するようにしてもよい。
・・・
【0065】
内蔵ハードディスクHDにインストールするアプリケーションプログラムAPにより、遊技機側の前記記憶エリアXAからの送信データをシリアルポートSPを介して入力し、演出番号等の演出識別情報毎に遊技者操作情報であるボタン操作回数を集計する操作情報集計手段Zと、この操作情報集計手段Zの集計結果をタッチパネル式液晶ディスプレイから成る管理用表示装置Sに表示させる集計結果表示手段Uとを構築している。集計結果は、内蔵モデムMD及び汎用通信回線NTを介して本社管理室にも送信され、各店舗での状況が閲覧できると共に店舗毎の記録を保存等できるようにしている。」

(オ)「【0070】
図29に示すように、遊技機側から遊技管理装置たるホールコンピュータHCには、時々刻々変化し得る、遊技者操作スイッチ30からのボタン操作オンオフ信号と、各演出パターン番号21,22,41?44,81?84による演出の開始及び終了に対応したオンオフ信号と、演出パターン番号に包含されない演出番号0,1,2,14,15,16,17による演出の開始及び終了に対応したオンオフ信号とを、遊技制御装置CN(SC1)に設ける逐次情報出力手段YYにより、逐次ホールコンピュータHC側に出力させてもよい。」

(カ)図2

図2には、第1周辺制御部SC1は、操作情報出力手段Yを有している点が図示されている。

(キ)図22

図22には、演出パターン番号84など(演出パターン番号21,22,41?44,81?84)のとき、特別図柄変動、予告、外れ表示、大当り表示を含む演出を行う点が図示されている。
また、上記【0058】の「演出パターン番号84は・・・予告C「竜巻予告」及び予告D「手配書予告」の後にリーチD「列車リーチ」に発展し、大当りを表示させる」との記載、上記【0050】の「演出番号13の大当り表示中は・・・大当たりが確定的に導出された状態である」との記載を参酌すると、図22には、演出パターン番号84の演出は、特別図柄変動(3)において特別図柄変動(3)を開始し、予告C「竜巻予告」(6)及び予告D「手配書予告」(7)の実行後にリーチD「列車リーチ」(11)に発展し、特別図柄変動(3)が止まると、大当たりが確定的に導出された状態である大当り表示中(13)となる点が図示されている。

上記記載事項(ア)?(オ)及び上記図示内容(カ)?(キ)より、以下の事項が導かれる。
なお、(a)?(g)は、本願発明の構成A?Gに対応した事項を示している。
(a)上記【0033】には「主制御部MC・・・は、大当り抽選処理等の遊技の主制御を担う」と記載され、上記【0032】には「主制御部MCから・・・大当りの内部抽選結果等・・・の各種抽選結果に基づいて生成した演出パターンコマンドを・・・送信・・・し」と記載され、上記【0055】には「演出番号3?13は、主制御部MCから第1周辺制御部SC1に送信される演出パターン番号21,22,41?44,81?84に応じて・・・決まっている」と記載され、図22には、演出パターン番号84など(演出パターン番号21,22,41?44,81?84)のとき、特別図柄変動、予告、外れ表示、大当り表示を含む演出を行う点が図示され、上記【0032】には「周辺制御部SC1・・・では・・・演出パターンコマンドを受信して、演出パターン番号等に従った演出制御のみを専ら受け持っている」と記載され、上記【0019】には「パチンコ遊技機1・・・遊技中に遊技者操作を演出に関与させる左・中・右ボタン3L,3C,3Rから成る遊技者操作スイッチ30を備える」と記載されているから、引用例1には、大当り抽選処理等の遊技の主制御を担う主制御部MCと、主制御部MCからの大当りの内部抽選結果等の各種抽選結果に基づいて生成した演出パターンコマンドを受信し、演出パターン番号21,22,41?44,81?84に応じて決定される演出パターン番号84などの特別図柄変動、予告、外れ表示、大当り表示を含む演出を行う第1周辺制御部SC1と、遊技中に遊技者操作を演出に関与させる左・中・右ボタン3L,3C,3Rから成る遊技者操作スイッチ30と、を備えるパチンコ遊技機1が記載されている。

(b)上記【0020】には「演出装置70は、カラー液晶表示器から成る画像演出部7Aと、可動式のピストルフィギア7pと回転式のミニドラム7rとをもつ実動作演出部7Bとを含む」と記載され、図2には、第1周辺制御部SC1は、操作情報出力手段Yを有している点が図示され、上記【0035】には「演出装置70での実行中の演出を識別する演出識別情報と・・・遊技者操作スイッチ30の操作情報を・・・外部端子板OUTからホールコンピュータ等の外部の遊技管理装置に出力させる操作情報出力手段Y」と記載され、上記【0055】には「演出パターン番号は・・・演出識別情報であり、複数の演出番号を含む」と記載され、上記【0063】には「演出番号とその間のボタン操作回数とを・・・送信する」と記載され、上記【0065】には「操作情報であるボタン操作回数」と記載され、上記【0034】には「第2周辺制御部SC2・・・は、・・・左右スピーカ51,52及びランプ類61?65を制御し」と記載されているから、引用例1には、演出装置70は、カラー液晶表示器から成る画像演出部7Aと、可動式のピストルフィギア7pと回転式のミニドラム7rとをもつ実動作演出部7Bとを含み、第1周辺制御部SC1は、演出装置70での実行中の演出を識別する演出識別情報である演出パターン番号の演出番号と、遊技者操作スイッチ30の操作情報であるボタン操作回数を、外部端子板OUTからホールコンピュータ等の外部の遊技管理装置に出力させる操作情報出力手段Yを有し、第2周辺制御部SC2は、左右スピーカ51,52及びランプ類61?65を制御していることが記載されている。

(c、d、e) 図22には、演出パターン番号84の演出は、特別図柄変動(3)において特別図柄変動(3)を開始し、予告C「竜巻予告」(6)及び予告D「手配書予告」(7)の実行後にリーチD「列車リーチ」(11)に発展し、特別図柄変動(3)が止まると、大当たりが確定的に導出された状態である大当り表示中(13)となる点が図示され、上記【0063】には「該当する演出番号とその間のボタン操作回数とを・・・送信する」と記載され、上記【0070】には「時々刻々変化し得る、遊技者操作スイッチ30からのボタン操作オンオフ信号・・・ホールコンピュータHC側に出力させてもよい」と記載されているから、引用例1には、演出パターン番号84の演出は、特別図柄変動(3)において特別図柄変動(3)を開始し、予告C「竜巻予告」(6)及び予告D「手配書予告」(7)の実行後にリーチD「列車リーチ」(11)に発展し、特別図柄変動(3)が止まると、大当たりが確定的に導出された状態である大当り表示中(13)となり、ボタン操作回数は時々刻々変化し得る遊技者操作スイッチ30からのボタン操作オンオフ信号に対応する該当する演出番号の間のボタン操作回数であることが記載されている。

(g)上記【0019】には「パチンコ遊技機1」と記載されている。

上記記載事項(ア)?(オ)、上記図示内容(カ)?(キ)及び上記(a)?(g)の認定事項から、引用例1には、次の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されていると認められる(a?gは、発明の構成を分説するため当審で付与した。)。
「a 大当り抽選処理等の遊技の主制御を担う主制御部MCと、主制御部MCからの大当りの内部抽選結果等の各種抽選結果に基づいて生成した演出パターンコマンドを受信し、演出パターン番号21,22,41?44,81?84に応じて決定される演出パターン番号84などの特別図柄変動、予告、外れ表示、大当り表示を含む演出を行う第1周辺制御部SC1と、遊技中に遊技者操作を演出に関与させる左・中・右ボタン3L,3C,3Rから成る遊技者操作スイッチ30と、を備えるパチンコ遊技機1であって、
b 演出装置70は、カラー液晶表示器から成る画像演出部7Aと、可動式のピストルフィギア7pと回転式のミニドラム7rとをもつ実動作演出部7Bとを含み、
第1周辺制御部SC1は、演出装置70での実行中の演出を識別する演出識別情報である演出パターン番号の演出番号と、遊技者操作スイッチ30の操作情報であるボタン操作回数を、外部端子板OUTからホールコンピュータ等の外部の遊技管理装置に出力させる操作情報出力手段Yを有し、第2周辺制御部SC2は、左右スピーカ51,52及びランプ類61?65を制御し、
c、d、e 演出パターン番号84の演出は、特別図柄変動(3)において特別図柄変動(3)を開始し、予告C「竜巻予告」(6)及び予告D「手配書予告」(7)の実行後にリーチD「列車リーチ」(11)に発展し、特別図柄変動(3)が止まると、大当たりが確定的に導出された状態である大当り表示中(13)となり、ボタン操作回数は時々刻々変化し得る遊技者操作スイッチ30からのボタン操作オンオフ信号に対応する該当する演出番号の間のボタン操作回数である
g パチンコ遊技機1」

2 引用例2
当審における拒絶の理由(平成30年10月17日付け拒絶理由通知書)に引用例2として引用された本願の出願日前に頒布された特開2011-206468号公報(以下「引用例2」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。

(ア)「【背景技術】
【0002】
遊技機の制御基板に実装されたCPUは様々な処理を行うので、他の制御素子(電子部品)に比べて発熱し易い。近年では、液晶表示装置による演出の高度化・複雑化から、その液晶表示装置を制御する画像制御基板のCPU(GPU)の処理数が増加している。これに伴って、画像制御基板のCPUに必要なクロック周波数が大きくなるので、画像制御基板のCPUによる発熱作用も大きくなる。この結果、画像制御基板、特にCPU自体が過熱(オーバーヒート)状態になる。このように画像制御基板のCPUが過熱状態になると、CPUや他の制御素子等が誤作動し、遊技機の演出の中心的な役割を果たす液晶表示装置の演出に不具合が生じる。また、この過熱状態が続くと、CPUが焼き付いて再利用不可能になると共に、周辺の制御基板に悪影響を与える。
【0003】
このような不具合等を防止すべく、CPUが実装された制御基板に、冷却フィンが一体化されたカバー部材と、温度センサとが設置された遊技機がある。冷却フィンは、小型モータと当該小型モータの回転軸に接続された回転翼とを備えており、検出温度の範囲と回転翼の回転速度とが対応付けられているので、温度センサの検出温度に応じて回転翼(小型モータの回転軸)の回転速度が変化する(例えば、特許文献1参照)。例えば、検出温度が25℃未満では回転翼の回転速度を0rpm.とし(回転翼を停止させ)、25℃以上30℃未満では回転速度を180rpm.とし、30℃以上では360rpm.とする。このように、CPUを空冷することによってCPUの過熱を抑えることで、演出等の不具合が防止されている。
・・・
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、この場合、冷却ファンの故障や、冷却ファンの回転翼への異物の挿入等によって、冷却ファンが作動しなくなると、CPU等の電子部品の過熱を抑えることができなくなり、電子部品が故障してしまう。
【0006】
本発明の目的は、上記の背景を鑑みて、電子部品の過熱を抑える遊技機を提供することである。
・・・
【0015】
【図1】本実施形態の遊技機の正面図である。
【図2】図1の遊技機の背面図である。
【図3】制御手段のブロック図である。
【図4】(a)は図3の画像制御基板のブロック図、(b)は図4(a)の冷却装置の斜視図である。
【図5】主制御基板におけるメイン処理を示すフローチャートである。
【図6】主制御基板におけるタイマ割込処理を示すフローチャートである。
【図7】主制御基板における入力制御処理を示すフローチャートである。
【図8】主制御基板における特図特電制御処理を示すフローチャートである。
【図9】演出制御基板におけるメイン処理を示すフローチャートである。
【図10】演出制御基板におけるタイマ割込処理を示すフローチャートである。
【図11】演出制御基板におけるコマンド受信処理を示すフローチャートである。
【図12】(a)は、演出制御基板における警告演出実行処理を示すフローチャート、(b)は演出制御基板における警告演出終了処理を示すフローチャートである。
【図13】演出制御基板における電断エラー報知処理を示すフローチャートである。
【図14】演出制御基板における警告演出継続判定処理を示すフローチャートである。
【図15】画像制御基板におけるメイン処理を示すフローチャートである。
【図16】画像制御基板におけるタイマ割込処理を示すフローチャートである。
【図17】画像制御基板における入力制御処理を示すフローチャートである。
【図18】画像制御基板における温度管理制御処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
・・・
【0017】
遊技機1は、遊技盤2を備えており、この遊技盤2の中央部には液晶表示装置等からなる画像出力装置13が枠体14に嵌め込まれて一体化されたセンター役物が設けられている。すなわち、センター役物を構成する枠体14の周囲に臨む遊技盤2上には遊技領域5が形成されている。また、遊技機1は遊技球を発射するための遊技球発射機構を備えており、遊技球発射機構は回動可能に配置された操作ハンドル3を有している。遊技者が操作ハンドル3に触れると、操作ハンドル3内にあるタッチセンサ3bが、操作ハンドル3に遊技者が触れたことを検知し、発射制御基板106にタッチ信号を送信する。」

(イ)「【0029】
画像出力装置13には、主に遊技の進行に応じた画像が表示される。そのなかでも高い頻度で行われる演出は、遊技球の第1始動口6または第2始動口7への有効な入賞に基づき特別図柄の抽選に対応して行われる抽選演出である。抽選演出では、基本的には、まず演出図柄を構成する装飾図柄が所定の態様で所定時間変動した後に、停止する(以下、演出図柄が停止状態で表示されることを「演出図柄の停止表示」といい、演出図柄が変動状態で表示されることを「演出図柄の変動表示」という)。演出図柄の停止表示は、当該抽選演出が終了することを意味する。なお、演出図柄が複数の装飾図柄で構成される場合、全ての装飾図柄が停止表示されることをもって演出図柄の停止表示という。」

(ウ)「【0051】
ランプ制御基板104は、上記各基板と同様に、ランプCPU104a、ランプROM104b、ランプRAM104cを備えており、遊技盤2に設けられた演出用照明装置16を点灯制御したり、演出用照明装置16の光の照射方向を変更するためのモータに対する駆動制御をしたりする。また、演出用役物装置15を作動させるソレノイドやモータ等の駆動源を通電制御する。このランプ制御基板104は、演出制御基板102に接続されており、演出制御基板102から送信されたコマンドに基づいて、上記の各制御を行うこととなる。
・・・
【0053】
画像制御基板105の統括部105Aは、演出制御基板102から送信される演出確定コマンド等を受信し、統括部105Aの統括CPU105Aaが、画像出力装置13に表示される画像及び音声出力装置17から出力される音声の全体的な制御を行う。統括CPU105Aaには、統括ROM105Abが接続されており、統括ROM105Abには、統括CPU105Aaに命令するオペレーティングシステムやアプリケーション等の制御プログラムが格納されている。
・・・
【0059】
なお、画像CPU105Baは、画像出力装置13に対して、背景画像表示処理、装飾図柄表示処理、キャラクター画像表示処理など各種画像処理を実行するが、背景画像、装飾図柄画像、キャラクター画像は、画像出力装置13の表示画面上において重畳表示される。すなわち、装飾図柄画像やキャラクター画像は背景画像よりも手前に見えるように表示される。このとき、同一位置に背景画像と図柄画像が重なる場合、Zバッファ法など周知の陰面消去法により各画像データのZバッファのZ値を参照することで、図柄画像を優先してVRAM105Bcに記憶させる。
・・・
【0063】
演出情報出力端子板110は、画像CPU105Baが過熱状態になったことを示す画像制御基板温度エラー信号をホールコンピュータに出力するための中継的な基板である。本実施形態においては、演出情報出力端子板110も遊技情報表示装置700を介してホールコンピュータに接続されている。演出情報出力端子板110は、画像制御基板105と配線接続され、遊技店のホールコンピュータ等と接続をするためのコネクタが設けられている。」

(エ)「【0133】
(ステップS1222-2)
画像制御基板温度エラー信号を演出情報出力端子板110に送信する。演出情報出力端子板110に送信された画像制御基板温度エラー信号は遊技情報出力装置700に送信される。そして、遊技情報出力装置700では画像制御基板温度エラー報知が行われる。本実施の携帯では、遊技情報出力装置700において「画像・音声が停止します。遊技は継続します。店員をお呼び下さい!!」というフレーズがスクロール表示される。」

(オ)「【0166】
本実施の形態では、第1閾値は、画像CPU105Baの耐熱限界温度(本実施の形態においては115℃)に設定されている。耐熱限界温度とは、画像CPU105Baの機能が損なわれず耐えることができる限界(許容)の温度のことである。本実施の形態では、第1閾値として、耐熱限界温度が設定されているが、第1閾値は耐熱限界温度より低くてもよい。画像CPU105Baの故障を防止することができるからである。
【0167】
(ステップS2218-3)
当該検知温度が、予め設定された第2閾値(本実施の形態においては110℃)以上であるか否かを判定する。第2閾値は第1閾値より低く設定されている。当該検知温度が第2閾値以上であれば、ステップS2218-7に処理を移し、第2閾値以上ではなければ、ステップS2218-4に処理を移す。なお、第2閾値、すなわち、警告範囲の広さは特に限定されるものではない。
・・・
【0172】
(ステップS2218-8)
警告演出指定コマンドを統括RAM105Acの送信バッファにセットする。このコマンドは演出制御基板102に送信される。ここで、警告演出指定コマンドが演出制御基板102に送信されるのは、当該温度管理制御処理が行われるまでは、当該検知温度は第2閾値未満であり、警告演出が行われていなかったが、当該検知温度が第2閾値以上第1閾値未満になり、警告演出を行う必要になったからである。
・・・
【0178】
さらに、画像制御基板105による画像制御及び音声制御を停止する直前において、画像出力装置13に画像が表示されなくなることが、遊技は継続される旨が報知されるので、遊技者は慌てることなく安心して遊技を継続することができる。
【0179】
また、温度検知センサ50が検知した温度が第1閾値より低い第2閾値に達すると、画像CPU105Baの温度が耐熱限界温度に近い(警告範囲内である)ことが報知(明確に表示)される。つまり、結果的に、画像CPU105Baが第1閾値に達して、画像出力装置13に画像が表示されなくなったとしても、そのことが事前に示唆されるので、突然画像出力装置13から画像が出力されなくなるよりは、遊技者が抱く不快感を軽減することができる。また、「店員を呼ぶ」旨も報知されるので、画像及び音声による演出の停止を防ぐことができる。なお、温度検知センサ50が検知した温度が第2閾値に達した際に、そのことを示す信号を遊技情報出力装置700に送信し、ホールコンピュータにも送信することで、確実に当該事実を店員に気付かせて、画像及び音声による演出の停止を防ぐことができる。」

(カ)図18

上記【0178】の「画像制御基板105」との記載、上記【0015】の「【図18】画像制御基板における温度管理制御処理を示すフローチャートである」との記載、上記【0179】の「温度検知センサ50が検知した温度が第1閾値より低い第2閾値に達すると、画像CPU105Baの温度が耐熱限界温度に近い・・・ことが報知・・・される」との記載、上記【0166】の「第1閾値は、画像CPU105Baの耐熱限界温度(本実施の形態においては115℃)」との記載、上記【0167】の「第2閾値(本実施の形態においては110℃)」との記載、上記【0172】の「(ステップS2218-8) 警告演出指定コマンド・・・このコマンドは演出制御基板102に送信・・・警告演出指定コマンドが演出制御基板102に送信される・・・当該検知温度が第2閾値以上・・・になり、警告演出を行う必要になった」との記載を参酌すると、図18には、S2218-8があるので、図18には、画像制御基板105は、温度検知センサ50が検知した画像CPU105Baの温度が第1閾値(耐熱限界温度。115℃)より低い第2閾値(110℃)に達すると、警告演出指定コマンドを演出制御基板102に送信する点が図示されている。

(キ)図13

上記【0172】の「演出制御基板102」との記載、上記【0015】の「【図13】演出制御基板における電断エラー報知処理を示すフローチャートである」との記載、上記【0133】の「(ステップS1222-2) 画像制御基板温度エラー信号を演出情報出力端子板110に送信する」との記載、上記【0063】の「演出情報出力端子板110は、画像CPU105Baが過熱状態になったことを示す画像制御基板温度エラー信号をホールコンピュータに出力するための中継的な基板である」との記載、上記【0179】の「温度検知センサ50が検知した温度が第2閾値に達した際に、そのことを示す信号を・・・ホールコンピュータにも送信する」との記載を参酌すると、図13には、ステップS1222-2があるので、図13には、演出制御基板102は、画像CPU105Baの温度が第2閾値に達したことを示す信号をホールコンピュータに送信する点が図示されている。

上記記載事項(ア)?(オ)及び上記図示内容(カ)?(キ)より、以下の事項が導かれる。
上記【0051】には「ランプ制御基板104は・・・演出用照明装置16を点灯制御し・・・また、演出用役物装置15を作動させるソレノイドやモータ等の駆動源を通電制御する」と記載され、上記【0053】には「画像制御基板105の統括部105Aは、・・・画像出力装置13に表示される画像及び音声出力装置17から出力される音声の全体的な制御を行う」と記載され、上記【0059】には「画像CPU105Baは、画像出力装置13に対して・・・装飾図柄表示処理・・・など各種画像処理を実行する」と記載され、上記【0029】には「画像出力装置13には・・・画像が表示される。そのなかでも高い頻度で行われる演出は・・・特別図柄の抽選に対応して行われる抽選演出である」と記載され、図18には、画像制御基板105は、温度検知センサ50が検知した画像CPU105Baの温度が第1閾値(耐熱限界温度。115℃)より低い第2閾値(110℃)に達すると、警告演出指定コマンドを演出制御基板102に送信する点が図示され、図13には、演出制御基板102は、画像CPU105Baの温度が第2閾値に達したことを示す信号をホールコンピュータに送信する点が図示され、上記【0017】には「遊技機1」と記載されているから、引用例2には、ランプ制御基板104は、演出用照明装置16の点灯制御と、演出用役物装置15を作動させるソレノイドやモータ等の駆動源の通電制御をし、画像制御基板105の統括部105Aは、画像出力装置13に表示される画像及び音声出力装置17から出力される音声の全体的な制御を行い、画像CPU105Baは、特別図柄の抽選に対応して行われる抽選演出が高い頻度で行われる画像出力装置13に対して、装飾図柄表示処理など各種画像処理を実行するものであり、画像制御基板105は、温度検知センサ50が検知した画像CPU105Baの温度が第1閾値(耐熱限界温度。115℃)より低い第2閾値(110℃)に達すると、警告演出指定コマンドを演出制御基板102に送信し、演出制御基板102は、画像CPU105Baの温度が第2閾値に達したことを示す信号をホールコンピュータに送信する遊技機1が記載されている。

上記記載事項(ア)?(オ)、上記図示内容(カ)?(キ)及び上記認定事項から、引用例2には、次の発明(以下、「引用発明2」という。)が記載されていると認められる。
「ランプ制御基板104は、演出用照明装置16の点灯制御と、演出用役物装置15を作動させるソレノイドやモータ等の駆動源の通電制御をし、画像制御基板105の統括部105Aは、画像出力装置13に表示される画像及び音声出力装置17から出力される音声の全体的な制御を行い、
画像CPU105Baは、特別図柄の抽選に対応して行われる抽選演出が高い頻度で行われる画像出力装置13に対して、装飾図柄表示処理など各種画像処理を実行するものであり、
画像制御基板105は、温度検知センサ50が検知した画像CPU105Baの温度が第1閾値(耐熱限界温度。115℃)より低い第2閾値(110℃)に達すると、警告演出指定コマンドを演出制御基板102に送信し、演出制御基板102は、画像CPU105Baの温度が第2閾値に達したことを示す信号をホールコンピュータに送信する遊技機1。」

第5 対比
本願発明と引用発明1とを対比する。

(a)引用発明1の「大当り抽選処理等の遊技の主制御を担う主制御部MC」は、遊技の主制御を担っているので、遊技を統括的に制御しているといえるから、本願発明の「遊技を統括的に制御する主制御手段」に相当する。
また、引用発明1の「特別図柄変動、予告、外れ表示、大当り表示を含む演出」は、変動表示ゲームを実行するときに行う演出であるから、引用発明1の「主制御部MCからの大当りの内部抽選結果等の各種抽選結果に基づいて生成した演出パターンコマンドを受信し、演出パターン番号21,22,41?44,81?84に応じて決定される演出パターン番号84などの特別図柄変動、予告、外れ表示、大当り表示を含む演出を行う第1周辺制御部SC1」は、本願発明の「該主制御手段から送信される制御指令に基づいて演出態様を決定して変動表示ゲームを実行する従制御手段」に相当する。
そして、引用発明1の「遊技中に遊技者操作を演出に関与させる左・中・右ボタン3L,3C,3Rから成る遊技者操作スイッチ30」及び「パチンコ遊技機1」は、それぞれ、本願発明の「遊技者が操作可能な操作手段」及び「遊技機」に相当する。
したがって、引用発明1の「大当り抽選処理等の遊技の主制御を担う主制御部MCと、主制御部MCからの大当りの内部抽選結果等の各種抽選結果に基づいて生成した演出パターンコマンドを受信し、演出パターン番号21,22,41?44,81?84に応じて決定される演出パターン番号84などの特別図柄変動、予告、外れ表示、大当り表示を含む演出を行う第1周辺制御部SC1と、遊技中に遊技者操作を演出に関与させる左・中・右ボタン3L,3C,3Rから成る遊技者操作スイッチ30と、を備えるパチンコ遊技機1」は、
本願発明の「遊技を統括的に制御する主制御手段と、該主制御手段から送信される制御指令に基づいて演出態様を決定して変動表示ゲームを実行する従制御手段と、遊技者が操作可能な操作手段と、を備える遊技機」に相当する。

(b)引用発明1の「ホールコンピュータ等の外部の遊技管理装置」は、本願発明の「外部装置」に相当する。
また、引用発明1の「演出装置70での実行中の演出を識別する演出識別情報である演出パターン番号」、「演出番号」及び「遊技者操作スイッチ30の操作情報であるボタン操作回数」は、本願発明の「情報」に相当する。
したがって、引用発明1の「演出装置70は、カラー液晶表示器から成る画像演出部7Aと、可動式のピストルフィギア7pと回転式のミニドラム7rとをもつ実動作演出部7Bとを含み、第1周辺制御部SC1は、演出装置70での実行中の演出を識別する演出識別情報である演出パターン番号の演出番号と、遊技者操作スイッチ30の操作情報であるボタン操作回数を、外部端子板OUTからホールコンピュータ等の外部の遊技管理装置に出力させる操作情報出力手段Yを有し、第2周辺制御部SC2は、左右スピーカ51,52及びランプ類61?65を制御し」ていることは、
本願発明の「前記従制御手段は、外部装置に情報を伝達することが可能であ」ることに相当する特定事項を含んでいる。

(c、d、e)引用発明1の「演出パターン番号84」は、「特別図柄変動(3)において特別図柄変動(3)を開始し、予告C「竜巻予告」(6)及び予告D「手配書予告」(7)の実行後にリーチD「列車リーチ」(11)に発展し、特別図柄変動(3)が止まると、大当たりが確定的に導出された状態である大当り表示中(13)とな」る「演出」であるから、本願発明の「前記演出態様に関する情報」に相当する。
また、引用発明1の「時々刻々変化し得る遊技者操作スイッチ30からのボタン操作オンオフ信号に対応する該当する演出番号の間のボタン操作回数である」「ボタン操作回数」は、本願発明の「前記操作手段が操作されたことを示す情報」に相当する。
そして、引用発明1の「演出パターン番号84の演出」は、「特別図柄変動(3)が止まると、大当たりが確定的に導出された状態である大当り表示中(13)とな」るから、「特別図柄変動(3)中」と「大当り表示中(13)」とに分割することができると共に、「特別図柄変動(3)中」において、「予告C「竜巻予告」(6)及び予告D「手配書予告」(7)の実行後にリーチD「列車リーチ」(11)に発展し、特別図柄変動(3)が止ま」るまでの期間と、「大当り表示中(13)」の期間とに分けた場合の、各期間に対応する演出を実行するための情報を含んでいるといえるから、本願発明の「前記演出態様に関する情報には、前記変動表示ゲームを複数に分割した各期間の進行に対応する情報を含」む構成を有しているといえる。
さらに、引用発明1の「ボタン操作回数」は「時々刻々変化し得る遊技者操作スイッチ30からのボタン操作オンオフ信号に対応する該当する演出番号の間のボタン操作回数である」から、本願発明の「前記操作手段が操作されたことを示す情報は、前記操作手段が操作されたタイミングに対応して変化する情報であ」る構成を有している。
しかしながら、引用発明1には「演出による当該遊技機への負荷に関する情報」が含まれていない。
したがって、引用発明1の「演出パターン番号84の演出は、特別図柄変動(3)を開始し、特別図柄変動(3)中において、予告C「竜巻予告」(6)及び予告D「手配書予告」(7)の後にリーチD「列車リーチ」(11)に発展し、特別図柄変動(3)が終了すると、大当り(13)を表示させるものであり、ボタン操作回数は時々刻々変化し得る遊技者操作スイッチ30からのボタン操作オンオフ信号に対応する該当する演出番号の間のボタン操作回数である」ことは、
本願発明の「前記情報には、少なくとも前記演出態様に関する情報と、前記操作手段が操作されたことを示す情報と、演出による当該遊技機への負荷に関する情報と、を含み、前記演出態様に関する情報には、前記変動表示ゲームを複数に分割した各期間の進行に対応する情報を含み、前記操作手段が操作されたことを示す情報は、前記操作手段が操作されたタイミングに対応して変化する情報であ」ることと、「前記情報には、少なくとも前記演出態様に関する情報と、前記操作手段が操作されたことを示す情報と、」「を含み、前記演出態様に関する情報には、前記変動表示ゲームを複数に分割した各期間の進行に対応する情報を含み、前記操作手段が操作されたことを示す情報は、前記操作手段が操作されたタイミングに対応して変化する情報であ」る点で共通している。

(g)引用発明1の「パチンコ遊技機1」と本願発明の「遊技機」とは、共に「遊技機」である点で一致する。

上記(a)?(g)から、本願発明と引用発明1とは、
[一致点]
である点で一致し、以下の点で相違する。
「A 遊技を統括的に制御する主制御手段と、該主制御手段から送信される制御指令に基づいて演出態様を決定して変動表示ゲームを実行する従制御手段と、遊技者が操作可能な操作手段と、を備える遊技機であって、
B 前記従制御手段は、外部装置に情報を伝達することが可能であり、
C’ 前記情報には、少なくとも前記演出態様に関する情報と、前記操作手段が操作されたことを示す情報と、を含み、
D 前記演出態様に関する情報には、前記変動表示ゲームを複数に分割した各期間の進行に対応する情報を含み、
E 前記操作手段が操作されたことを示す情報は、前記操作手段が操作されたタイミングに対応して変化する情報である
G 遊技機。」
である点で一致し、以下の点で相違する。

[相違点1](特定事項C)
「少なくとも前記演出態様に関する情報と、前記操作手段が操作されたことを示す情報と、」「を含」む「前記情報」に関して、
本願発明は「演出による当該遊技機への負荷に関する情報」「を含」むのに対して、
引用発明1は、そのような構成でない点。

[相違点2](特定事項F)
本願発明は「前記演出による当該遊技機への負荷に関する情報は、負荷に関する複数のパラメータ毎に独立した情報である」のに対して、
引用発明1は、そのような構成でない点。

以下、上記相違点について検討する。

1 相違点1?2について
相違点1?2は、遊技機から外部装置に伝達される負荷に関する情報についてのものであって、互いに関連するのでまとめて検討する。

上記第4 2において既に検討したように、引用例2には次の引用発明2が記載されている。
「ランプ制御基板104は、演出用照明装置16の点灯制御と、演出用役物装置15を作動させるソレノイドやモータ等の駆動源の通電制御をし、
画像制御基板105の統括部105Aは、画像出力装置13に表示される画像及び音声出力装置17から出力される音声の全体的な制御を行い、
画像CPU105Baは、特別図柄の抽選に対応して行われる抽選演出が高い頻度で行われる画像出力装置13に対して、装飾図柄表示処理など各種画像処理を実行するものであり、
画像制御基板105は、温度検知センサ50が検知した画像CPU105Baの温度が第1閾値(耐熱限界温度。115℃)より低い第2閾値(110℃)に達すると、警告演出指定コマンドを演出制御基板102に送信し、演出制御基板102は、画像CPU105Baの温度が第2閾値に達したことを示す信号をホールコンピュータに送信する遊技機1。」

ここで、引用発明2の「画像制御基板105」、「ホールコンピュータ」及び「遊技機1」は、それぞれ、本願発明の「従制御手段」、「外部装置」及び「遊技機」に相当する。
また、引用発明2の「画像CPU105Ba」は、「特別図柄の抽選に対応して行われる抽選演出が高い頻度で行われる画像出力装置13に対して、装飾図柄表示処理など各種画像処理を実行するものであ」るから、引用発明2の「温度検知センサ50が検知した画像CPU105Baの温度が第1閾値(耐熱限界温度。115℃)より低い第2閾値(110℃)に達する」こと、及び「画像CPU105Baの温度が第2閾値に達したこと」は、本願発明の「演出による当該遊技機への負荷に関する情報」に相当すると共に、本願発明と「負荷に関する」「パラメータ」の「情報」である点で共通している。
これらのことから、引用発明2が「従制御手段は、外部装置に情報を伝達することが可能であり、前記情報には、」「演出による当該遊技機への負荷に関する情報と、を含み、」「前記演出による当該遊技機への負荷に関する情報は、負荷に関するパラメータの情報である」「遊技機」の発明であるといえる。

そして、引用発明1のカラー液晶表示器から成る画像演出部7A、可動式のピストルフィギア7p、回転式のミニドラム7r、左右スピーカ51,52及びランプ類61?65は、それぞれ演出装置であり、引用発明2の画像出力装置13、演出用役物装置15、演出用照明装置16、音声出力装置17も、それぞれ演出装置であり、引用発明1及び引用発明2のこれらの複数の演出装置が、演出を実行することにより遊技機に負荷を与えることは明らかである。
また、遊技機において、複数の異なる対象の温度をそれぞれ測定することは、特開2005-137474号公報(【0001】、【0049】には、サーミスタ122を設置して、演出用ランプ103a,104a,104bやサイドランプ106等の駆動に起因して変化する温度を対象毎に夫々算出(検出)し、複数の検出温度tを夫々規定値と比較し、これらの内のいずれかが規定値に達した(規定値以上になった)と判定した時点で、その結果を信号出力手段114に出力する遊技機が記載されている。また、【0057】には、発熱要素の発熱で温度上昇したとしても規定値に達した時点で然るべき安全移行処理を施されることになり、従って、規定値を大きく超えて異常発熱状態になるような不具合の発生を確実に回避でき、これにより、電子部品等に対する温度上昇時の悪影響を確実に回避することができることが記載されている。)、特開2011-204号公報(【0045】、【0055】、図3には、演出装置200(垂直可動部材202と水平可動部材204)の左モータ240、右モータ242、上モータ244、および下モータ246における温度を個別に検出することが記載されている。また、【0121】には、役物Aを駆動するモータの温度が所定温度以上になったことを検出すること、及び、役物Bを駆動するモータの温度が所定温度以上になったことを検出することが記載されている。さらに、役物A(または役物B)の発熱時に役物A(または役物B)の動作を伴わない演出(モータの温度が所定温度以上になった一方の役物以外の他方の役物の動作を伴う演出)だけを実行させることによって、役物を駆動するモータを休止させてモータの温度を下げるように構成していることが記載されている。そして、【0166】には、可動部材と駆動手段を複数備えている場合でも、一部の駆動手段の負荷を減らしながら、同時に、他の駆動手段を継続して動作させることができるので、遊技者に違和感や不信感を感じさせることなく(遊技者に気づかれずに)、発熱時において駆動手段の負荷を減らし、駆動手段の発熱に伴う故障や不具合を未然に防止することができることが記載されている。)、特開平9-152575号公報(【0014】には、液晶パネル3に直接又はその近傍に設けられた第3の温度センサ5bと上記光源6の近傍に設けられた第4の温度センサ5cとを備え、上記光源6及び液晶パネル3の異常温度を検出する第2の温度検出回路4aと、該第2の温度検出回路4aが異常温度を検出した際に冷却装置2および光源6等への電力供給を遮断することが記載されている。また、【0018】には、何らかの不具合により液晶パネル3又は光源6の温度がより上昇した場合には、第3又は第4の温度センサ5b,5cを介して第2の温度検出回路4aがオンオフスイッチ8aを介して電源端子7から駆動回路1を遮断すべく駆動して光源6への電力供給は完全に停止し、液晶パネル3又は光源6の破壊を防止することができることが記載されている。)に記載されているように周知であり、温度は負荷に関するパラメータであるといえるから、複数の負荷に関するパラメータをそれぞれ独立して扱うことは、周知技術であるといえる。
そして、引用発明1と引用発明2とは、共に従制御装置が外部装置(ホールコンピュータ)に情報を伝達する遊技機の技術であり、技術分野及び機能が共通している。
それに、引用発明2は、演出等の不具合を防止するために、電子部品の過熱を抑えるという課題を有し、上記課題の下に画像CPU105Baの過熱を防止する発明である。
さらに、引用発明2は、画像出力装置13だけでなく、演出用役物装置15(を作動させるソレノイドやモータ等)、演出用照明装置16、音声出力装置17という複数の演出装置を有しており、これらの複数の演出装置も、演出等の不具合を防止するために、電子部品の過熱を抑えるという課題を内在していることは、明らかである。
しかも、引用発明1も「カラー液晶表示器から成る画像演出部7Aと、可動式のピストルフィギア7pと回転式のミニドラム7rとをもつ実動作演出部7Bとを含む」「演出装置70」、及び「左右スピーカ51,52及びランプ類61?65」という複数の演出装置を有しているから、引用発明2と同様に、演出等の不具合を防止するために、電子部品の過熱を抑えるという課題を内在していることは、明らかである。
これらのことから、引用発明1の「パチンコ遊技機1」の「第1周辺制御部SC1」(従制御手段)に、引用発明2を適用することは、容易である。
また、引用発明1に引用発明2を適用する際に、複数の負荷に関するパラメータをそれぞれ独立して扱うという上記周知技術を考慮することに、何ら困難性は認められない。
したがって、引用発明1の「パチンコ遊技機1」に引用発明2及び上記周知技術を適用して、上記相違点1?2に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。

また、本願発明の作用効果も、引用発明1?2及び周知技術から当業者が予測できる範囲のものである。

第6 請求人の主張について
審判請求人は、平成30年12月14日付け意見書において、次のとおり主張している。
「しかし、本願発明1と各引用文献とは、少なくとも以下の構成で異なります。
即ち本願発明1は、
「前記従制御手段は、外部装置に情報を伝達することが可能であり、
前記情報には、少なくとも前記演出態様に関する情報と、前記操作手段が操作されたことを示す情報と、演出による当該遊技機への負荷に関する情報と、を含み、
前記演出態様に関する情報には、前記変動表示ゲームを複数に分割した各期間の進行に対応する情報を含み、
前記操作手段が操作されたことを示す情報は、前記操作手段が操作されたタイミングに対応して変化する情報であり、」という特徴Aに加えて、
「前記演出による当該遊技機への負荷に関する情報は、負荷に関する複数のパラメータ毎に独立した情報である」という特徴Bを有します。
本願発明1は、既述したように、上記特徴Aと特徴Bを含む構成により優れた各種効果を実現します。特に、特徴Bによれば、遊技機に掛かる負荷に関する情報を、影響するパラメータ毎に外部に出力可能であるため、演出制御装置等の発熱等に異常が発生した場合に原因を特定しやすくなり、的確な対応をしやすくなる効果が得られます。
これに対して各引用文献には、少なくとも上記特徴Bを明示又は示唆する記載が見当たりません。
なお、引用文献2には、演出による遊技機への負荷に影響を受ける画像CPUの温度に関する情報を外部出力することが記載されていますが、この引用文献2に開示された構成は、画像CPUの温度のみを監視するもの(即ち、負荷をトータルに監視するもの)であって上記特徴Bを有する本願発明1とは異なるため、例えば異常な発熱が生じた場合に、異常な温度上昇を検知できるのみであり、本願発明1のように負荷に関する複数のパラメータのうちの何れに問題があるかを判別して原因を特定することはできません。
このため、各引用文献に記載された構成を組み合わせることができたとしても、本願発明1の構成及び効果を実現することはできません。」

しかしながら、上記「1 相違点1?2について」において既に検討したように、引用発明1,2の遊技機においても、演出により遊技機に負荷を与える部材が複数あることは明らかであり、引用発明1に引用発明2を適用する際に、複数の負荷に関するパラメータをそれぞれ独立して扱うという上記周知技術を考慮して、上記相違点1?2に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。
また、負荷に関する複数のパラメータのうちの何れに問題があるかを判別して原因を特定することはできるという効果は、上記周知技術が有する自明の効果にすぎない。
したがって、引用発明1の「パチンコ遊技機1」に引用発明2及び上記周知技術を適用して、上記相違点1?2に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たことであるから、請求人の主張を採用することはできない。

第7 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明1?2及び上記周知技術に基づいて当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。
したがって、その余の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2019-03-07 
結審通知日 2019-03-08 
審決日 2019-03-19 
出願番号 特願2013-35898(P2013-35898)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 遠藤 孝徳  
特許庁審判長 長崎 洋一
特許庁審判官 瀬津 太朗
田邉 英治
発明の名称 遊技機  
代理人 鹿嶋 英實  

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