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審決分類 審判 一部申し立て 1項3号刊行物記載  H01L
審判 一部申し立て 2項進歩性  H01L
管理番号 1351431
異議申立番号 異議2018-700143  
総通号数 234 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2019-06-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2018-02-22 
確定日 2019-04-11 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6183760号発明「太陽電池及びその製造方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6183760号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された特許請求の範囲のとおり訂正後の請求項〔1?7、11?25〕について訂正することを認める。 特許第6183760号の請求項1ないし3、5ないし7、11ないし14及び19ないし22に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6183760号の請求項1ないし16に係る特許についての出願は、平成26年9月17日(国際出願日)に出願され、平成29年8月4日付けでその特許権が設定登録され、平成29年8月23日に特許掲載公報が発行された。その後、その特許について、平成30年2月22日に特許異議申立人成田隆臣(以下「申立人」という。)により請求項1?3、5?7及び11?14に係る特許に対する特許異議申立てがされ、当審は、平成30年4月27日に取消理由を通知した。特許権者は、その指定期間内である平成30年7月3日に、意見書の提出及び訂正の請求を行い、その訂正の請求に対して、申立人は、平成30年9月21日に意見書を提出した。当審は、平成30年10月19日に取消理由(決定の予告)を通知し、特許権者は、その指定期間内である平成30年12月25日に、意見書の提出及び訂正の請求を行い、平成31年1月25日付けで当審から申立人に対し訂正請求があった旨の通知(特許法第120条の5第5項)をするとともに期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、申立人から意見書は提出されなかったたものである。

第2 訂正の適否についての判断可否
1 訂正の内容
平成30年12月25日の訂正の請求(以下「本件訂正請求」という。)による訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は、以下の(1)?(12)のとおりである。
(1)請求項1ないし3、5ないし7に係る「シアノ基含有有機化合物の中から選択される一以上の有機化合物」を「シアノ基含有有機化合物の中から選択される一以上の有機化合物(電解質の溶媒として用いられる有機化合物を除く)」に訂正する。

(2)本件訂正前の請求項4が請求項1?3のいずれか1項を引用する記載であったところ、請求項1を引用していた請求項4を請求項4とし、請求項2を引用していた請求項4を請求項17とし、請求項3を引用していた請求項4を請求項18とし、独立形式請求項へ改めるために訂正をする。

(3)本件訂正前の請求項11が「請求項1?10」のいずれか1項を引用する記載であったところ、「請求項1?3、5?7」のいずれか1項を引用する記載に訂正する。

(4)本件訂正前の請求項12が「請求項1?11」のいずれか1項を引用する記載であったところ、「請求項1?3、5?7、11」のいずれか1項を引用する記載に訂正する。

(5)本件訂正前の請求項13が「請求項1?12」のいずれか1項を引用する記載であったところ、「請求項1?3、5?7、11、12」のいずれか1項を引用する記載に訂正する。

(6)本件訂正前の請求項14が請求項13を引用する記載であったところ、上記(5)に記載されたとおり請求項13の引用する請求項が減縮されたことにともない訂正する。

(7)本件訂正前の請求項15が請求項1?3のいずれか1項を引用する記載であったところ、請求項1を引用していた請求項15を請求項15とし、請求項2を引用していた請求項15を請求項23とし、請求項3を引用していた請求項15を請求項24とし、独立形式請求項へ改めるために訂正をする。

(8)本件訂正前の請求項16が請求項15を引用する記載であったところ、上記(7)に記載されたように本件訂正前の請求項15が独立形式請求項に改められたことにともない、本件訂正後の請求項15を引用する請求項16とし、本件訂正後の請求項23または24を引用する請求項25とする訂正をする。

(9)本件訂正前の請求項11が「請求項1?10」のいずれか1項を引用する記載であったところ、請求項11の一部を請求項19とし、「請求項4、17、18、8?10」のいずれか1項を引用する記載に訂正する。

(10)本件訂正前の請求項12が「請求項1?11」のいずれか1項を引用する記載であったところ、請求項12の一部を請求項20とし、「請求項4、17、18、8?10、19」のいずれか1項を引用する記載に訂正する。

(11)本件訂正前の請求項13が「請求項1?12」のいずれか1項を引用する記載であったところ、請求項13の一部を請求項21とし、「請求項4、17、18、8?10、19、20」のいずれか1項を引用する記載に訂正する。

(12)本件訂正前の請求項14が請求項13を引用する記載であったところ、請求項14の一部を請求項22とし、「請求項21」を引用する記載に訂正する。

本件訂正は、一群の請求項[1?7、11?25]に対して請求されたものである。

2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(1)請求項1ないし3、5ないし7に係る訂正について
請求項1ないし3、5ないし7に係る「シアノ基含有有機化合物の中から選択される一以上の有機化合物(電解質の溶媒として用いられる有機化合物を除く)」は、「シアノ基含有有機化合物の中から選択される一以上の有機化合物」の電解質の溶媒として用いられる有機化合物を除くように特定したものであるから、「シアノ基含有有機化合物の中から選択される一以上の有機化合物」を「シアノ基含有有機化合物の中から選択される一以上の有機化合物(電解質の溶媒として用いられる有機化合物を除く)」とする訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、上記のとおり、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(2)請求項4、17、18に係る訂正について
本件訂正前の請求項4が請求項1?3のいずれか1項を引用する記載であったところ、請求項1を引用していた請求項4を請求項4とし、請求項2を引用していた請求項4を請求項17とし、請求項3を引用していた請求項4を請求項18とし、独立形式請求項へ改めるための訂正は、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものである。
また、上記のとおり、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(3)請求項11に係る訂正について
本件訂正前の請求項11が「請求項1?10」のいずれか1項を引用する記載であったところ、「請求項1?3、5?7」のいずれか1項を引用する記載に変更する訂正は、上記(1)に記載したとおり、請求項1ないし3、5ないし7に係る訂正が特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるので、当該訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、上記のとおり、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(4)請求項12に係る訂正について
本件訂正前の請求項12が「請求項1?11」のいずれか1項を引用する記載であったところ、「請求項1?3、5?7、11」のいずれか1項を引用する記載に変更する訂正は、上記(1)、(3)に記載したとおり、請求項1ないし3、5ないし7、11に係る訂正が特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるので、当該訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、上記のとおり、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(5)請求項13に係る訂正について
本件訂正前の請求項13が「請求項1?12」のいずれか1項を引用する記載であったところ、「請求項1?3、5?7、11、12」のいずれか1項を引用する記載に変更する訂正は、上記(1)、(3)、(4)に記載したとおり、請求項1ないし3、5ないし7、11、12に係る訂正が特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるので、当該訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、上記のとおり、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(6)請求項14に係る訂正について
本件訂正前の請求項14が請求項13を引用する記載であったところ、上記(5)に記載されたとおり請求項13の引用する請求項が減縮されたことにともない訂正されたものであるので、当該訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、上記のとおり、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(7)請求項15、23、24に係る訂正について
本件訂正前の請求項15が請求項1?3のいずれか1項を引用する記載であったところ、請求項1を引用していた請求項15を請求項15とし、請求項2を引用していた請求項15を請求項23とし、請求項3を引用していた請求項15を請求項24とし、独立形式請求項へ改めるための訂正は、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものである。
また、上記のとおり、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(8)請求項16、25に係る訂正について
上記(7)に記載されたように本件訂正前の請求項15が請求項1?3のいずれか1項を引用する記載であったところ、請求項1を引用していた請求項15を請求項15とすることにともない、本件訂正後の請求項15を引用する本件訂正後の請求項16とする訂正は、間接的に引用していた請求項2、3を引用しないようにする訂正であるから、当該訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、上記のとおり、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

請求項16の一部を請求項25とし、上記(7)に記載されたように本件訂正前の請求項15が請求項1?3のいずれか1項を引用する記載であったところ、請求項2を引用していた請求項15を請求項23とし、請求項3を引用していた請求項15を請求項24とすることにともない、本件訂正後の請求項23、24を引用する本件訂正後の請求項25とする訂正は、間接的に引用していた請求項1を引用しないようにする訂正であるから、当該訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、上記のとおり、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(9)請求項19に係る訂正について
本件訂正前の請求項11が「請求項1?10」のいずれか1項を引用する記載であったところ、請求項11の一部を請求項19とし、「請求項4、17、18、8?10」のいずれか1項を引用する記載に変更する訂正は、引用していた請求項1?3、5?7を引用しないものとするものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、上記のとおり、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(10)請求項20に係る訂正について
本件訂正前の請求項12が「請求項1?11」のいずれか1項を引用する記載であったところ、請求項12の一部を請求項20とし、「請求項4、17、18、8?10、19」のいずれか1項を引用する記載に変更する訂正は、直接又は間接的に引用していた請求項1?3、5?7を引用しないものとするものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、上記のとおり、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(11)請求項21に係る訂正について
本件訂正前の請求項13が「請求項1?12」のいずれか1項を引用する記載であったところ、請求項13の一部を請求項21とし、「請求項4、17、18、8?10、19、20」のいずれか1項を引用する記載に変更する訂正は、直接又は間接的に引用していた請求項1?3、5?7を引用しないものとするものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、上記のとおり、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(12)請求項22に係る訂正について
本件訂正前の請求項14が請求項13を引用する記載であったところ、請求項14の一部を請求項22とし、「請求項21」を引用する記載に変更する訂正は、上記(11)に記載したとおり、請求項21に係る訂正が特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるので、請求項22に係る訂正も特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、上記のとおり、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(13)請求項16、25についての独立特許要件について
特許異議が申し立てられていない請求項16について、請求項16の一部を請求項16と請求項25とに、それぞれ訂正された。そして、上記(8)に記載したように、本件訂正後の請求項16、25に係る訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるので、独立特許要件について検討する。
請求項16、25に係る発明は、請求項16に係る発明を減縮したものであるところ、本件訂正前の請求項16について取消理由を通知していないので、同取消理由によっては、特許出願の際独立して特許を受けることができないとはいえない。

また、他に請求項16、25に係る発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができないとする理由を発見しない。

したがって、請求項16、25についての訂正は、特許法第120条の5第9項の規定によって準用する第126条第7項に適合するものである。

3 小括
以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は特許法第120条の5第2項ただし書第1号又は第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、特許法第120条の5第9項において準用する特許法第126条第5項及び第6項までの規定に適合するので、訂正後の請求項〔1?7、11?25〕について訂正することを認める。

第3 本件発明
本件訂正請求により訂正された訂正請求項1?25に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」?「本件発明25」という。)は、下記のとおりのものである。

「【請求項1】
少なくとも第一の半導体層及び第二の半導体層を有し、
前記第一の半導体層が、平均粒子径が1nm以上、500nm以下の金属酸化物粒子と比誘電率が5以上の有機化合物とを含む層であり、
前記金属酸化物粒子は、酸化銅(I)、酸化銅(II)、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化銀、酸化チタン、アルミニウムをドープした酸化亜鉛(AZO)、ガリウムをドープした酸化亜鉛(GZO)、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化スズ、フッ素ドープの酸化スズ(FTO)、酸化インジウム、インジウム・ガリウム・亜鉛酸化物、酸化ニッケル、CuAlO_(2)、CuGaO_(2)、SrCu_(2)O_(2)、LaCuOS、LaCuOSe、CuInO_(2)、ZnRh_(2)O_(4)、12CaO・7Al_(2)O_(3)(C12A7)、Ga_(2)O_(3)、の中から選択される一以上の金属酸化物粒子であり、
前記有機化合物は、シアノ基含有有機化合物の中から選択される一以上の有機化合物(電解質の溶媒として用いられる有機化合物を除く)である、太陽電池。
【請求項2】
少なくとも第一の半導体層及び第二の半導体層を有し、
前記第一の半導体層が、平均粒子径が1nm以上、500nm以下の金属酸化物粒子と比誘電率が5以上、1000以下の有機化合物とを含む層であり、
前記第一の半導体層中の前記有機化合物の含有量が10質量%以上、90質量%以下であり、
前記金属酸化物粒子は、酸化銅(I)、酸化銅(II)、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化銀、酸化チタン、アルミニウムをドープした酸化亜鉛(AZO)、ガリウムをドープした酸化亜鉛(GZO)、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化スズ、フッ素ドープの酸化スズ(FTO)、酸化インジウム、インジウム・ガリウム・亜鉛酸化物、酸化ニッケル、CuAlO_(2)、CuGaO_(2)、SrCu_(2)O_(2)、LaCuOS、LaCuOSe、CuInO_(2)、ZnRh_(2)O_(4)、12CaO・7Al_(2)O_(3)(C12A7)、Ga_(2)O_(3)、の中から選択される一以上の金属酸化物粒子であり、
前記有機化合物は、シアノ基含有有機化合物の中から選択される一以上の有機化合物(電解質の溶媒として用いられる有機化合物を除く)である、太陽電池。
【請求項3】
少なくとも第一の半導体層及び第二の半導体層を有し、
前記第一の半導体層が、平均粒子径が1nm以上、500nm以下の金属酸化物粒子と、比誘電率が10以上、200以下の有機化合物とを含む層であり、
前記第一の半導体層中の前記有機化合物の含有量が20質量%以上、70質量%以下であり、
前記金属酸化物粒子は、酸化銅(I)、酸化銅(II)、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化銀、酸化チタン、アルミニウムをドープした酸化亜鉛(AZO)、ガリウムをドープした酸化亜鉛(GZO)、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化スズ、フッ素ドープの酸化スズ(FTO)、酸化インジウム、インジウム・ガリウム・亜鉛酸化物、酸化ニッケル、CuAlO_(2)、CuGaO_(2)、SrCu_(2)O_(2)、LaCuOS、LaCuOSe、CuInO_(2)、ZnRh_(2)O_(4)、12CaO・7Al_(2)O_(3)(C12A7)、Ga_(2)O_(3)、の中から選択される一以上の金属酸化物粒子であり、
前記有機化合物は、シアノ基含有有機化合物の中から選択される一以上の有機化合物(電解質の溶媒として用いられる有機化合物を除く)である、太陽電池。
【請求項4】
少なくとも第一の半導体層及び第二の半導体層を有し、
前記第一の半導体層が、平均粒子径が1nm以上、500nm以下の金属酸化物粒子と比誘電率が5以上の有機化合物とを含む層であり、
前記金属酸化物粒子は、酸化銅(I)、酸化銅(II)、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化銀、酸化チタン、アルミニウムをドープした酸化亜鉛(AZO)、ガリウムをドープした酸化亜鉛(GZO)、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化スズ、フッ素ドープの酸化スズ(FTO)、酸化インジウム、インジウム・ガリウム・亜鉛酸化物、酸化ニッケル、CuAlO_(2)、CuGaO_(2)、SrCu_(2)O_(2)、LaCuOS、LaCuOSe、CuInO_(2)、ZnRh_(2)O_(4)、12CaO・7Al_(2)O_(3)(C12A7)、Ga_(2)O_(3)、の中から選択される一以上の金属酸化物粒子であり、
前記有機化合物は、シアノ基含有有機化合物の中から選択される一以上の有機化合物であり、
前記シアノ基含有有機化合物は、シアノエチルプルラン、シアノエチルポリビニルアルコール、およびシアノエチルサッカロース(シアノエチルスクロース)である、太陽電池。
【請求項5】
少なくとも第一の半導体層及び第二の半導体層を有し、
前記第一の半導体層が、平均粒子径が1nm以上、500nm以下の金属酸化物粒子と比誘電率が5以上の有機化合物とを含む層であり、
前記金属酸化物粒子は、酸化銅(I)、酸化銅(II)、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化銀、酸化チタン、アルミニウムをドープした酸化亜鉛(AZO)、ガリウムをドープした酸化亜鉛(GZO)、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化スズ、フッ素ドープの酸化スズ(FTO)、酸化インジウム、インジウム・ガリウム・亜鉛酸化物、酸化ニッケル、CuAlO_(2)、CuGaO_(2)、SrCu_(2)O_(2)、LaCuOS、LaCuOSe、CuInO_(2)、ZnRh_(2)O_(4)、12CaO・7Al_(2)O_(3)(C12A7)、Ga_(2)O_(3)、の中から選択される一以上の金属酸化物粒子であり、
前記有機化合物は、フッ素系樹脂及びシアノ基含有有機化合物の中から選択される一以上の有機化合物(電解質の溶媒として用いられる有機化合物を除く)であり、
前記第二の半導体層がシリコンを含む層である太陽電池。
【請求項6】
少なくとも第一の半導体層及び第二の半導体層を有し、
前記第一の半導体層が、平均粒子径が1nm以上、500nm以下の金属酸化物粒子と比誘電率が5以上、1000以下の有機化合物とを含む層であり、
前記第一の半導体層中の前記有機化合物の含有量が10質量%以上、90質量%以下であり、
前記金属酸化物粒子は、酸化銅(I)、酸化銅(II)、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化銀、酸化チタン、アルミニウムをドープした酸化亜鉛(AZO)、ガリウムをドープした酸化亜鉛(GZO)、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化スズ、フッ素ドープの酸化スズ(FTO)、酸化インジウム、インジウム・ガリウム・亜鉛酸化物、酸化ニッケル、CuAlO_(2)、CuGaO_(2)、SrCu_(2)O_(2)、LaCuOS、LaCuOSe、CuInO_(2)、ZnRh_(2)O_(4)、12CaO・7Al_(2)O_(3)(C12A7)、Ga_(2)O_(3)、の中から選択される一以上の金属酸化物粒子であり、
前記有機化合物は、フッ素系樹脂及びシアノ基含有有機化合物の中から選択される一以上の有機化合物(電解質の溶媒として用いられる有機化合物を除く)であり、
前記第二の半導体層がシリコンを含む層である太陽電池。
【請求項7】
少なくとも第一の半導体層及び第二の半導体層を有し、
前記第一の半導体層が、平均粒子径が1nm以上、500nm以下の金属酸化物粒子と、比誘電率が10以上、200以下の有機化合物とを含む層であり、
前記第一の半導体層中の前記有機化合物の含有量が20質量%以上、70質量%以下であり、
前記金属酸化物粒子は、酸化銅(I)、酸化銅(II)、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化銀、酸化チタン、アルミニウムをドープした酸化亜鉛(AZO)、ガリウムをドープした酸化亜鉛(GZO)、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化スズ、フッ素ドープの酸化スズ(FTO)、酸化インジウム、インジウム・ガリウム・亜鉛酸化物、酸化ニッケル、CuAlO_(2)、CuGaO_(2)、SrCu_(2)O_(2)、LaCuOS、LaCuOSe、CuInO_(2)、ZnRh_(2)O_(4)、12CaO・7Al_(2)O_(3)(C12A7)、Ga_(2)O_(3)、の中から選択される一以上の金属酸化物粒子であり、
前記有機化合物は、フッ素系樹脂及びシアノ基含有有機化合物の中から選択される一以上の有機化合物(電解質の溶媒として用いられる有機化合物を除く)であり、
前記第二の半導体層がシリコンを含む層である太陽電池。
【請求項8】
少なくとも第一の半導体層及び第二の半導体層を有し、
前記第一の半導体層が、平均粒子径が1nm以上、500nm以下の金属酸化物粒子と比誘電率が5以上の有機化合物とを含む層であり、
前記金属酸化物粒子は、酸化銅(I)、酸化銅(II)、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化銀、酸化チタン、アルミニウムをドープした酸化亜鉛(AZO)、ガリウムをドープした酸化亜鉛(GZO)、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化スズ、フッ素ドープの酸化スズ(FTO)、酸化インジウム、インジウム・ガリウム・亜鉛酸化物、酸化ニッケル、CuAlO_(2)、CuGaO_(2)、SrCu_(2)O_(2)、LaCuOS、LaCuOSe、CuInO_(2)、ZnRh_(2)O_(4)、12CaO・7Al_(2)O_(3)(C12A7)、Ga_(2)O_(3)、の中から選択される一以上の金属酸化物粒子であり、
前記有機化合物は、フッ素系樹脂及びシアノ基含有有機化合物の中から選択される一以上の有機化合物であり、
前記第二の半導体層は、前記第一の半導体層と対向する面とは反対の面側に、厚みが1nm以上のシリコン酸化膜を備えた太陽電池。
【請求項9】
少なくとも第一の半導体層及び第二の半導体層を有し、
前記第一の半導体層が、平均粒子径が1nm以上、500nm以下の金属酸化物粒子と比誘電率が5以上、1000以下の有機化合物とを含む層であり、
前記第一の半導体層中の前記有機化合物の含有量が10質量%以上、90質量%以下であり、
前記金属酸化物粒子は、酸化銅(I)、酸化銅(II)、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化銀、酸化チタン、アルミニウムをドープした酸化亜鉛(AZO)、ガリウムをドープした酸化亜鉛(GZO)、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化スズ、フッ素ドープの酸化スズ(FTO)、酸化インジウム、インジウム・ガリウム・亜鉛酸化物、酸化ニッケル、CuAlO_(2)、CuGaO_(2)、SrCu_(2)O_(2)、LaCuOS、LaCuOSe、CuInO_(2)、ZnRh_(2)O_(4)、12CaO・7Al_(2)O_(3)(C12A7)、Ga_(2)O_(3)、の中から選択される一以上の金属酸化物粒子であり、
前記有機化合物は、フッ素系樹脂及びシアノ基含有有機化合物の中から選択される一以上の有機化合物であり、
前記第二の半導体層は、前記第一の半導体層と対向する面とは反対の面側に、厚みが1nm以上のシリコン酸化膜を備えた太陽電池。
【請求項10】
少なくとも第一の半導体層及び第二の半導体層を有し、
前記第一の半導体層が、平均粒子径が1nm以上、500nm以下の金属酸化物粒子と、比誘電率が10以上、200以下の有機化合物とを含む層であり、
前記第一の半導体層中の前記有機化合物の含有量が20質量%以上、70質量%以下であり、
前記金属酸化物粒子は、酸化銅(I)、酸化銅(II)、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化銀、酸化チタン、アルミニウムをドープした酸化亜鉛(AZO)、ガリウムをドープした酸化亜鉛(GZO)、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化スズ、フッ素ドープの酸化スズ(FTO)、酸化インジウム、インジウム・ガリウム・亜鉛酸化物、酸化ニッケル、CuAlO_(2)、CuGaO_(2)、SrCu_(2)O_(2)、LaCuOS、LaCuOSe、CuInO_(2)、ZnRh_(2)O_(4)、12CaO・7Al_(2)O_(3)(C12A7)、Ga_(2)O_(3)、の中から選択される一以上の金属酸化物粒子であり、
前記有機化合物は、フッ素系樹脂及びシアノ基含有有機化合物の中から選択される一以上の有機化合物であり、
前記第二の半導体層は、前記第一の半導体層と対向する面とは反対の面側に、厚みが1nm以上のシリコン酸化膜を備えた太陽電池。
【請求項11】
前記金属酸化物の粒子径が1nm以上、100nm以下である、請求項1?3、5?7のいずれか1項に記載の太陽電池。
【請求項12】
前記第一の半導体層と前記第二の半導体層との間に位置し、比誘電率が5以上の有機化合物を含む接合界面層をさらに有する、請求項1?3、5?7、11のいずれか1項に記載の太陽電池。
【請求項13】
前記金属酸化物粒子がアナターゼ型の酸化チタン粒子であり、該酸化チタン粒子のX線回折スペクトルにおいて、回折角2θが24°以上26°以下で現れる回折ピークから得られる半値幅が、0.2°以上5.0°以下である、請求項1?3、5?7、11、12のいずれか1項に記載の太陽電池。
【請求項14】
前記第一の半導体層の、波長550nmの光に対する透過率が50%以上100%未満である、請求項13に記載の太陽電池。
【請求項15】
少なくとも第一の半導体層及び第二の半導体層を有し、
前記第一の半導体層が、平均粒子径が1nm以上、500nm以下の金属酸化物粒子と比誘電率が5以上の有機化合物とを含む層であり、
前記金属酸化物粒子は、酸化銅(I)、酸化銅(II)、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化銀、酸化チタン、アルミニウムをドープした酸化亜鉛(AZO)、ガリウムをドープした酸化亜鉛(GZO)、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化スズ、フッ素ドープの酸化スズ(FTO)、酸化インジウム、インジウム・ガリウム・亜鉛酸化物、酸化ニッケル、CuAlO_(2)、CuGaO_(2)、SrCu_(2)O_(2)、LaCuOS、LaCuOSe、CuInO_(2)、ZnRh_(2)O_(4)、12CaO・7Al_(2)O_(3)(C12A7)、Ga_(2)O_(3)、の中から選択される一以上の金属酸化物粒子であり、
前記有機化合物は、シアノ基含有有機化合物の中から選択される一以上の有機化合物である、太陽電池の製造方法であって、
無機粒子と、比誘電率が5以上の有機化合物と、1種以上の分散剤とを含む塗布液であり、且つ、前記無機粒子が金属酸化物粒子又はシリコン粒子であり、前記塗布液中の前記無機粒子の含有量が0.1質量%以上、49.9質量%以下であり、前記塗布液中の前記有機化合物の含有量が0.1質量%以上、49.9質量%以下であり、前記塗布液中の前記分散剤の含有量が0.2質量%以上、99.8質量%以下であり、前記金属酸化物粒子は、酸化銅(I)、酸化銅(II)、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化銀、酸化チタン、アルミニウムをドープした酸化亜鉛(AZO)、ガリウムをドープした酸化亜鉛(GZO)、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化スズ、フッ素ドープの酸化スズ(FTO)、酸化インジウム、インジウム・ガリウム・亜鉛酸化物、酸化ニッケル、CuAlO_(2)、CuGaO_(2)、SrCu_(2)O_(2)、LaCuOS、LaCuOSe、CuInO_(2)、ZnRh_(2)O_(4)、12CaO・7Al_(2)O_(3)(C12A7)、Ga_(2)O_(3)、の中から選択される一以上の金属酸化物粒子であり、前記有機化合物は、シアノ基含有有機化合物の中から選択される一以上の有機化合物である塗布液を用意し、
用意した前記塗布液を半導体層又は、電極を有する基板に塗布する工程と、
塗布した前記塗布液を乾燥させて該塗布液から前記分散剤の少なくとも一部を除去する工程と、を含む太陽電池の製造方法。
【請求項16】
前記シアノ基含有有機化合物は、シアノエチルプルラン、シアノエチルポリビニルアルコール、およびシアノエチルサッカロース(シアノエチルスクロース)である、請求項15に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項17】
少なくとも第一の半導体層及び第二の半導体層を有し、
前記第一の半導体層が、平均粒子径が1nm以上、500nm以下の金属酸化物粒子と比誘電率が5以上、1000以下の有機化合物とを含む層であり、
前記第一の半導体層中の前記有機化合物の含有量が10質量%以上、90質量%以下であり、
前記金属酸化物粒子は、酸化銅(I)、酸化銅(II)、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化銀、酸化チタン、アルミニウムをドープした酸化亜鉛(AZO)、ガリウムをドープした酸化亜鉛(GZO)、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化スズ、フッ素ドープの酸化スズ(FTO)、酸化インジウム、インジウム・ガリウム・亜鉛酸化物、酸化ニッケル、CuAlO_(2)、CuGaO_(2)、SrCu_(2)O_(2)、LaCuOS、LaCuOSe、CuInO_(2)、ZnRh_(2)O_(4)、12CaO・7Al_(2)O_(3)(C12A7)、Ga_(2)O_(3)、の中から選択される一以上の金属酸化物粒子であり、
前記有機化合物は、シアノ基含有有機化合物の中から選択される一以上の有機化合物であり、
前記シアノ基含有有機化合物は、シアノエチルプルラン、シアノエチルポリビニルアルコール、およびシアノエチルサッカロース(シアノエチルスクロース)である、太陽電池。
【請求項18】
少なくとも第一の半導体層及び第二の半導体層を有し、
前記第一の半導体層が、平均粒子径が1nm以上、500nm以下の金属酸化物粒子と、比誘電率が10以上、200以下の有機化合物とを含む層であり、
前記第一の半導体層中の前記有機化合物の含有量が20質量%以上、70質量%以下であり、
前記金属酸化物粒子は、酸化銅(I)、酸化銅(II)、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化銀、酸化チタン、アルミニウムをドープした酸化亜鉛(AZO)、ガリウムをドープした酸化亜鉛(GZO)、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化スズ、フッ素ドープの酸化スズ(FTO)、酸化インジウム、インジウム・ガリウム・亜鉛酸化物、酸化ニッケル、CuAlO_(2)、CuGaO_(2)、SrCu_(2)O_(2)、LaCuOS、LaCuOSe、CuInO_(2)、ZnRh_(2)O_(4)、12CaO・7Al_(2)O_(3)(C12A7)、Ga_(2)O_(3)、の中から選択される一以上の金属酸化物粒子であり、
前記有機化合物は、シアノ基含有有機化合物の中から選択される一以上の有機化合物であり、
前記シアノ基含有有機化合物は、シアノエチルプルラン、シアノエチルポリビニルアルコール、およびシアノエチルサッカロース(シアノエチルスクロース)である、太陽電池。
【請求項19】
前記金属酸化物の粒子径が1nm以上、100nm以下である、請求項4、17、18、8?10のいずれか1項に記載の太陽電池。
【請求項20】
前記第一の半導体層と前記第二の半導体層との間に位置し、比誘電率が5以上の有機化合物を含む接合界面層をさらに有する、請求項4、17、18、8?10、19のいずれか1項に記載の太陽電池。
【請求項21】
前記金属酸化物粒子がアナターゼ型の酸化チタン粒子であり、該酸化チタン粒子のX線回折スペクトルにおいて、回折角2θが24°以上26°以下で現れる回折ピークから得られる半値幅が、0.2°以上5.0°以下である、請求項4、17、18、8?10、19、20のいずれか1項に記載の太陽電池。
【請求項22】
前記第一の半導体層の、波長550nmの光に対する透過率が50%以上100%未満である、請求項21に記載の太陽電池。
【請求項23】
少なくとも第一の半導体層及び第二の半導体層を有し、
前記第一の半導体層が、平均粒子径が1nm以上、500nm以下の金属酸化物粒子と比誘電率が5以上、1000以下の有機化合物とを含む層であり、
前記第一の半導体層中の前記有機化合物の含有量が10質量%以上、90質量%以下であり、
前記金属酸化物粒子は、酸化銅(I)、酸化銅(II)、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化銀、酸化チタン、アルミニウムをドープした酸化亜鉛(AZO)、ガリウムをドープした酸化亜鉛(GZO)、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化スズ、フッ素ドープの酸化スズ(FTO)、酸化インジウム、インジウム・ガリウム・亜鉛酸化物、酸化ニッケル、CuAlO_(2)、CuGaO_(2)、SrCu_(2)O_(2)、LaCuOS、LaCuOSe、CuInO_(2)、ZnRh_(2)O_(4)、12CaO・7Al_(2)O_(3)(C12A7)、Ga_(2)O_(3)、の中から選択される一以上の金属酸化物粒子であり、
前記有機化合物は、シアノ基含有有機化合物の中から選択される一以上の有機化合物である、太陽電池の製造方法であって、
無機粒子と、比誘電率が5以上の有機化合物と、1種以上の分散剤とを含む塗布液であり、且つ、前記無機粒子が金属酸化物粒子又はシリコン粒子であり、前記塗布液中の前記無機粒子の含有量が0.1質量%以上、49.9質量%以下であり、前記塗布液中の前記有機化合物の含有量が0.1質量%以上、49.9質量%以下であり、前記塗布液中の前記分散剤の含有量が0.2質量%以上、99.8質量%以下であり、前記金属酸化物粒子は、酸化銅(I)、酸化銅(II)、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化銀、酸化チタン、アルミニウムをドープした酸化亜鉛(AZO)、ガリウムをドープした酸化亜鉛(GZO)、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化スズ、フッ素ドープの酸化スズ(FTO)、酸化インジウム、インジウム・ガリウム・亜鉛酸化物、酸化ニッケル、CuAlO_(2)、CuGaO_(2)、SrCu_(2)O_(2)、LaCuOS、LaCuOSe、CuInO_(2)、ZnRh_(2)O_(4)、12CaO・7Al_(2)O_(3)(C12A7)、Ga_(2)O_(3)、の中から選択される一以上の金属酸化物粒子であり、前記有機化合物は、シアノ基含有有機化合物の中から選択される一以上の有機化合物である塗布液を用意し、
用意した前記塗布液を半導体層又は、電極を有する基板に塗布する工程と、
塗布した前記塗布液を乾燥させて該塗布液から前記分散剤の少なくとも一部を除去する工程と、を含む太陽電池の製造方法。
【請求項24】
少なくとも第一の半導体層及び第二の半導体層を有し、
前記第一の半導体層が、平均粒子径が1nm以上、500nm以下の金属酸化物粒子と、比誘電率が10以上、200以下の有機化合物とを含む層であり、
前記第一の半導体層中の前記有機化合物の含有量が20質量%以上、70質量%以下であり、
前記金属酸化物粒子は、酸化銅(I)、酸化銅(II)、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化銀、酸化チタン、アルミニウムをドープした酸化亜鉛(AZO)、ガリウムをドープした酸化亜鉛(GZO)、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化スズ、フッ素ドープの酸化スズ(FTO)、酸化インジウム、インジウム・ガリウム・亜鉛酸化物、酸化ニッケル、CuAlO_(2)、CuGaO_(2)、SrCu_(2)O_(2)、LaCuOS、LaCuOSe、CuInO_(2)、ZnRh_(2)O_(4)、12CaO・7Al_(2)O_(3)(C12A7)、Ga_(2)O_(3)、の中から選択される一以上の金属酸化物粒子であり、
前記有機化合物は、シアノ基含有有機化合物の中から選択される一以上の有機化合物である、太陽電池の製造方法であって、
無機粒子と、比誘電率が5以上の有機化合物と、1種以上の分散剤とを含む塗布液であり、且つ、前記無機粒子が金属酸化物粒子又はシリコン粒子であり、前記塗布液中の前記無機粒子の含有量が0.1質量%以上、49.9質量%以下であり、前記塗布液中の前記有機化合物の含有量が0.1質量%以上、49.9質量%以下であり、前記塗布液中の前記分散剤の含有量が0.2質量%以上、99.8質量%以下であり、前記金属酸化物粒子は、酸化銅(I)、酸化銅(II)、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化銀、酸化チタン、アルミニウムをドープした酸化亜鉛(AZO)、ガリウムをドープした酸化亜鉛(GZO)、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化スズ、フッ素ドープの酸化スズ(FTO)、酸化インジウム、インジウム・ガリウム・亜鉛酸化物、酸化ニッケル、CuAlO_(2)、CuGaO_(2)、SrCu_(2)O_(2)、LaCuOS、LaCuOSe、CuInO_(2)、ZnRh_(2)O_(4)、12CaO・7Al_(2)O_(3)(C12A7)、Ga_(2)O_(3)、の中から選択される一以上の金属酸化物粒子であり、前記有機化合物は、シアノ基含有有機化合物の中から選択される一以上の有機化合物である塗布液を用意し、
用意した前記塗布液を半導体層又は、電極を有する基板に塗布する工程と、
塗布した前記塗布液を乾燥させて該塗布液から前記分散剤の少なくとも一部を除去する工程と、を含む太陽電池の製造方法。
【請求項25】
前記シアノ基含有有機化合物は、シアノエチルプルラン、シアノエチルポリビニルアルコール、およびシアノエチルサッカロース(シアノエチルスクロース)である、請求項23または24に記載の太陽電池の製造方法。」

第4 当審が通知した取消理由の概要
1 平成30年10月19日付け取消理由(決定の予告)の概要
本件発明1?3、5?7及び11?14は、甲第1号証に記載された発明及び周知技術に基いて容易に発明をすることができたものである。
以上のとおりであるから、本件請求項1?3、5?7及び11?14に係る特許は、いずれも特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであり、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。

甲第1号証:特開2013-191273号公報

平成30年10月19日付け取消理由(決定の予告)で追加された周知技術を示す文献

甲第9号証:特開2012-129203号公報
甲第10号証:再公表特許2012-057325号
甲第11号証:再公表特許2009/157175号
甲第12号証:「スリーボンド・テクニカルニュース65 色素増感型太陽電池シール剤」株式会社スリーボンド(平成17年7月1日発行)

2 平成30年4月27日付け取消理由の概要

理由1.(新規性)本件特許の請求項1?3、5?7及び11?14に係る発明は、その最先の優先日前日本国内または外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。
理由2.(進歩性)本件特許の請求項1?3、5?7及び11?14に係る発明は、その最先の優先日前日本国内または外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その最先の優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。

甲第1号証:特開2013-191273号公報
甲第2号証:浅原照三他編「溶剤ハンドブック」株式会社講談社サイエンティフィク(1996年1月20日 第14刷発行)表紙、642、648?649頁及び奥付の写し
甲第3号証:「ウィキペディア 比誘電率」の写し(出力日:平成30年2月5日)
(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%AF%94%E8%AA%98%E9%9B%BB%E7%8E%87)
甲第4号証:「各種液体の導電率」(静電気安全指針(1988)労働省産業安全研究所)72頁?73頁の写し(出力日:平成30年2月5日)
(http://www.city.himeji.1g.jp/var/rev0/0097/0081/201549172852.pdf)
甲第5号証:「ナノサイズ酸化チタンについて」日本酸化チタン工業会(2008年11月27日)47?55頁の写し(出力日:平成30年2月5日)
(http://www.meti.go.jp/committee/kenkyukai/seisan/nanomaterial_kanri/001_s02_03.pdf)
甲第6号証:Journal of the Ceramic Society of Japan,107[1]47-53(1999)47?53頁の写し
甲第7号証:特開平11-335121号公報
甲第8号証:特開2005-302509号公報

第5 甲第1号証の記載
1 本件特許の最先の優先日前に頒布された甲第1号証(特開2013-191273号公報 )には、以下の記載がある(下線は、当審で付した。以下同じ。)。

(1)「【請求項1】
透明電極(1)、
前記透明電極(1)上に形成した酸化チタンを含有する緻密層(2)、
前記緻密層(2)の上に形成した金属酸化物半導体粒子を含有する伝導層(3)、
及び前記伝導層(3)の上に形成した、シリカナノ構造体と金属酸化物半導体粒子とを含有する光散乱層(4)
の構成を有することを特徴とする光電極。」

(2)「【請求項7】
受光面を有する光電極と、該受光面の反対面に設けられた電解質相、これを封止する封止剤、電解質相の下部に設けられた対極とを有する色素増感太陽電池において、当該光電極が請求項1?5の何れか1項記載の光電極であることを特徴とする色素増感太陽電池。」

(3)「【0018】
〔伝導層(3)〕
本発明の光電極において、伝導層(3)を構成する金属酸化物半導体粒子は特に限定されるものではなく、種々の酸化物半導体等を使用することができる。酸化物半導体としては、例えば、TiO_(2)、ZnO、SnO_(2)、Nb_(2)O_(5)、In_(2)O_(3)、WO_(3)、ZrO_(2)、La_(2)O_(3)、Ta_(2)O_(5)、SrTiO_(3)、BaTiO_(3)等を用いることができる。これらの中でもTiO_(2)を用いることが好ましい。また酸化物半導体粒子の粒子径は実質的に太陽光を散乱しない5nm?100nmの平均粒子径を有するものが好ましく、さらには8nm?80nmの範囲であることが好ましく、比表面積と空隙サイズの観点から10nm?30nmの範囲であることが特に好ましい。」

(4)「【0024】
〔光散乱層(4)〕
本発明の最大特徴部分は光電極の全体構成における光散乱層である。特に、その光散乱層は、絶縁体であるシリカナノ構造体と金属酸化物半導体粒子とを含有することを特徴とする。
【0025】
光散乱層(4)で使用する金属酸化物半導体粒子は特に限定されるものではなく、前述の伝導層(3)と同様のものを使用することができる。この時、伝導層(3)中の金属酸化物半導体粒子と、光散乱層(4)中の金属酸化物半導体粒子とが、同一のものであっても、異なるものであってもよい。中でもTiO_(2)が好ましい。また、光散乱層(4)で使用する金属酸化物半導体粒子の平均粒子径としては、成膜性の観点から150nm以下であることが好ましい。」

(5)「【0042】
前述した緻密層(2)、伝導層(3)及び光散乱層(4)を総称して半導体層ということもある。この半導体層、とくに伝導層(3)と光散乱層(4)には、色素を吸着させる必要、並びに色素増感太陽電池としたときの電解質との十分な拡散の必要がある。このため、この半導体層における比表面積は、色素吸着量を増加させるために、10?200m^(2)/gの範囲であることが好ましい。また、半導体層の空隙率は、色素を吸着させたり、電解質中のイオンが十分に拡散して電荷輸送を行わせたりする観点から、40?80%であることが好ましい。ここで「空隙率」とは、半導体層の全体積に対する細孔が占める体積の割合(%)を意味する。」

(6)「【0057】
電解質を溶解するために使用される溶媒は、酸化還元系構成物質を溶解しイオン伝導性に優れた化合物が好ましい。溶媒としては水性溶媒及び有機溶媒の何れも使用できるが、酸化還元系構成物質をより安定するため、有機溶媒が好ましい。例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネ-ト化合物、酢酸メチル、プロピオン酸メチル、ガンマーブチロラクトン等のエステル化合物、ジエチルエーテル、1,2-ジメトキシエタン、1,3-ジオキソシラン、テトラヒドロフラン、2-メチルーテトラヒドラフラン等のエーテル化合物、3-メチル-2-オキサゾジリノン、2-メチルピロリドン等の複素環化合物、アセトニトリル、メトキシアセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル化合物、スルフォラン、ジジメチルスルフォキシド、ジメチルフォルムアミド等の非プロトン性極性化合物などが挙げられる。これらはそれぞれ単独で用いることもできるし、また、2種類以上を混合して併用することもできる。中でも、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネ-ト化合物、3-メチル-2-オキサゾジリノン、2-メチルピロリドン等の複素環化合物、アセトニトリル、メトキシアセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル化合物が特に好ましい。電解質相としては、液体、固体、あるいは、ゲル状電解質のいずれも使用することができる。特に光電変換効率の向上には液体電解質が好ましい。」

(7)「【0074】
実施例1
蒸留水10mlに酸化チタン(P25:日本アエロジル社製)2gとアセチルアセトン0.68ml、ヒドロキシプロピルセルロース(分子量:80000)2g、Zrビーズ(直径0.3mm)25gを加えてペイントコンディショナーで混合し、ペースト1を得た。
【0075】
ペースト1に合成例1で作製したシリカナノ構造体粒子(A1)を、酸化チタンとシリカナノ構造体のモル比が70/30になるように加え、ペースト2を作製した。
【0076】
ATOコートガラス基板(10Ω/□、大きさ:2cm×2cm、ジオマテック社製)上に、スピンコーターを用いてチタニアゾル(チタン(IV)ブトキシド:0.3mol/l、硝酸:0.01mol/lを含む)を塗布し後、乾燥し、500℃で30分加熱処理をした。これにより、ATO基板上に酸化チタンの緻密層が作製された。
【0077】
粘着テープ(厚さ:58μm)をマスク兼スペーサーとして貼付し、上記ペースト1をスキージ方により0.25cm^(2)の面積に塗布した後、乾燥し、500℃で30分加熱処理をした。この操作を繰り返し、ATOコートガラス基板上に伝導層(厚さ:7μm)を有する電極を作製した。
【0078】
上記の伝導層を有する透明電極上に、粘着テープ(厚さ:58μm)をマスク兼スペーサーとして貼付し、上記ペースト2をスキージ方により0.25cm2の面積に塗布した後、乾燥し、500℃で30分加熱処理をした。この操作を繰り返し、伝導層上に光散乱層(厚さ:7μm)を作製した。
【0079】
この電極をルテニウム系色素N719(ダイソル社製)のエタノール溶液(濃度:2.0×10^(-4)mol/l)に50℃にて24時間浸漬させることにより、半導体層に色素を吸着させ、光電極としてのパーツを作製した。
【0080】
イオンスパッタ法を用いて白金を10nm蒸着させたATOコートガラス基板(10Ω/□、大きさ:2cm×2cm、ジオマテック社製)を対極とし、この対極と上記の光電極を対向させその間にヨウ素系電解液(ヨウ素:0.05mol/l、ヨウ化リチウム:0.1mol/l、ヨウ化1,2-ジメチル-3-n-プロピルイミダゾリウム:0.6mol/l、t-ブチルピリジン:0.5mol/lを含むアセトニトリル溶液)を満たしその周りを封止する事により、色素増感太陽電池を作製した。」

2 上記(1)ないし(7)から、甲第1号証には、以下の甲1発明が記載されている。
「透明電極、
前記透明電極上に形成した酸化チタンを含有する緻密層、
前記緻密層の上に形成した金属酸化物半導体粒子を含有する伝導層、
及び前記伝導層の上に形成した、シリカナノ構造体と金属酸化物半導体粒子とを含有する光散乱層の構成を有する光電極、
伝導層を構成する金属酸化物半導体粒子は、TiO_(2)、ZnO、SnO_(2)、In_(2)O_(3)を用いることができ、5nm?100nmの平均粒子径を有する、
伝導層と光散乱層は半導体層といい、
半導体層の空隙率は、電解質中のイオンが十分に拡散して電荷輸送を行わせたりする観点から、40?80%であり、ここで空隙率とは、半導体層の全体積に対する細孔が占める体積の割合(%)を意味し、
電解質を溶解するために使用される溶媒は、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル化合物であり、
受光面を有する光電極と、該受光面の反対面に設けられた電解質相、これを封止する封止剤、電解質相の下部に設けられた対極とを有する色素増感太陽電池。」

第6 当審の判断
1 取消理由通知に記載した取消理由2(特許法第29条第2項)について
(1)本件発明1について
ア 対比
(ア)甲1発明の「伝導層」は、本件発明1の「第一の半導体層」に、甲1発明の「光散乱層」は、本件発明1の「第二の半導体層」に、甲1発明の「『5nm?100nmの平均粒子径を有する』『金属酸化物半導体粒子』」は、本件発明1の「平均粒子径が1nm以上、500nm以下の金属酸化物粒子」に、甲1発明の「アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル化合物」は、本件発明1の「有機化合物」に、甲1発明の「色素増感太陽電池」は、本件発明1の「太陽電池」に、それぞれ相当する。

(イ)甲1発明の「『TiO_(2)、ZnO、SnO_(2)、In_(2)O_(3)を用いることができ』る『金属酸化物半導体粒子』」は、本件発明1の「金属酸化物粒子は、酸化銅(I)、酸化銅(II)、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化銀、酸化チタン、アルミニウムをドープした酸化亜鉛(AZO)、ガリウムをドープした酸化亜鉛(GZO)、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化スズ、フッ素ドープの酸化スズ(FTO)、酸化インジウム、インジウム・ガリウム・亜鉛酸化物、酸化ニッケル、CuAlO_(2)、CuGaO_(2)、SrCu_(2)O_(2)、LaCuOS、LaCuOSe、CuInO_(2)、ZnRh_(2)O_(4)、12CaO・7Al_(2)O_(3)(C12A7)、Ga_(2)O_(3)、の中から選択される一以上の金属酸化物粒子」の「金属酸化物粒子は、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化スズ、酸化インジウムの中から選択される一以上の金属酸化物粒子」に相当する。

(ウ)アセトニトリル、プロピオニトリルの比誘電率は5以上であることは技術常識(必要ならば、甲第2号証:浅原照三他編「溶剤ハンドブック」株式会社講談社サイエンティフィク(1996年1月20日 第14刷発行)表紙、642、648?649頁及び奥付の写し、甲第3号証:「ウィキペディア 比誘電率」の写し(出力日:平成30年2月5日)、(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%AF%94%E8%AA%98%E9%9B%BB%E7%8E%87) 、甲第4号証:「各種液体の導電率」(静電気安全指針(1988)労働省産業安全研究所)72頁?73頁の写し(出力日:平成30年2月5日)(http://www.city.himeji.1g.jp/var/rev0/0097/0081/201549172852.pdf)を参照されたい。)であり、アセトニトリル、プロピオニトリルはシアノ基含有有機化合物である。
そうすると、甲1発明の「アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル化合物」は、本件発明1の「比誘電率が5以上の有機化合物」に相当し、本件発明1の「前記有機化合物は、シアノ基含有有機化合物の中から選択される一以上の有機化合物(電解質の溶媒として用いられる有機化合物を除く)である」と、「前記有機化合物は、シアノ基含有有機化合物の中から選択される一以上の有機化合物である」点で一致する。

(エ)上記(ウ)で述べたように、甲1発明の「アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル化合物」は、本件発明1の「比誘電率が5以上の有機化合物」に相当する。また、甲1発明には「伝導層と光散乱層は半導体層といい、半導体層の空隙率は、電解質中のイオンが十分に拡散して電荷輸送を行わせたりする観点から、40?80%であり、ここで空隙率とは、半導体層の全体積に対する細孔が占める体積の割合(%)を意味し、電解質を溶解するために使用される溶媒」とあることから、伝導層の細孔にも電解質を溶解するために使用される溶媒を含んでいる。
そうすると、甲1発明の「『伝導層』『は半導体層といい、半導体層の空隙率は、電解質中のイオンが十分に拡散して電荷輸送を行わせたりする観点から、40?80%であり、ここで空隙率とは、半導体層の全体積に対する細孔が占める体積の割合(%)を意味し、電解質を溶解するために使用される溶媒は、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル化合物であり』、『5nm?100nmの平均粒子径を有する』『金属酸化物半導体粒子を含有する伝導層』」は、本件発明1の「第一の半導体層が、平均粒子径が1nm以上、500nm以下の金属酸化物粒子と比誘電率が5以上の有機化合物とを含む層」に相当する。

(オ)以上のことから、本件発明1と甲1発明とは、
「少なくとも第一の半導体層及び第二の半導体層を有し、
前記第一の半導体層が、平均粒子径が1nm以上、500nm以下の金属酸化物粒子と比誘電率が5以上の有機化合物とを含む層であり、
前記金属酸化物粒子は、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化スズ、酸化インジウムの中から選択される一以上の金属酸化物粒子であり、
前記有機化合物は、シアノ基含有有機化合物の中から選択される一以上の有機化合物である、太陽電池。」である点で一致し、以下の点で相違している。

(相違点)
シアノ基含有有機化合物の中から選択される一以上の有機化合物が、本件発明1では、「電解質の溶媒として用いられる有機化合物を除く」ものであるのに対し、甲1発明では、「電解質を溶解するために使用される溶媒」である点。

相違点の判断
甲1発明は、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル化合物は、電解質を溶解するために使用される溶媒として用いており、甲第1号証の他の記載を参酌しても、当該ニトリル化合物を溶媒以外に用いている記載はない。
また、甲第2号証ないし甲第12号証においていも、色素増感太陽電池に用いられるアセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル化合物が、電解質の溶媒以外に用いられるとの記載もなく、甲1発明においては、当該ニトリル化合物として電解質の溶媒以外のものを用いる動機付けもない。

ウ 小括
以上のとおり、本件発明1は、当業者が甲第1号証に記載された発明及び周知技術に基いて容易に発明をすることができたものではない。

(2)本件発明2について
ア 対比・判断
本件発明2の第一の半導体層の有機化合物の「比誘電率が5以上、1000以下」及び「前記第一の半導体層中の前記有機化合物の含有量が10質量%以上、90質量%以下であり」以外は、上記(1)で、対比・判断したとおりである。
そして、上記相違点については、(1)で検討したとおりである。

イ 小括
以上のとおり、本件発明2は、当業者が甲第1号証に記載された発明及び周知技術に基いて容易に発明をすることができたものではない。

(3)本件発明3について
ア 対比・判断
本件発明3の第一の半導体層の有機化合物の「比誘電率が10以上、200以下」及び「前記第一の半導体層中の前記有機化合物の含有量が20質量%以上、70質量%以下であり」以外は、上記(1)で、対比・判断したとおりである。
そして、上記相違点については、(1)で検討したとおりである。

イ 小括
以上のとおり、本件発明3は、当業者が甲第1号証に記載された発明及び周知技術に基いて容易に発明をすることができたものではない。

(4)本件発明5について
ア 対比・判断
本件発明5の「第二の半導体層がシリコンを含む層」以外は、上記(1)で、対比・判断したとおりである。
そして、上記相違点については、(1)で検討したとおりである。

イ 小括
以上のとおり、本件発明5は、当業者が甲第1号証に記載された発明及び周知技術に基いて容易に発明をすることができたものではない。

(5)本件発明6について
ア 対比・判断
上記(2)、(4)で、対比・判断したとおりである。
そして、上記相違点については、(1)で検討したとおりである。

イ 小括
以上のとおり、本件発明6は、当業者が甲第1号証に記載された発明及び周知技術に基いて容易に発明をすることができたものではない。

(6)本件発明7について
ア 対比・判断
上記(3)、(4)で、対比・判断したとおりである。
そして、上記相違点については、(1)で検討したとおりである。

イ 小括
以上のとおり、本件発明7は、当業者が甲第1号証に記載された発明及び周知技術に基いて容易に発明をすることができたものではない。

(7)本件発明11について
ア 対比・判断
本件発明11は、本件発明1?3、5?7について「金属酸化物の粒子径が1nm以上、100nm以下である」と限定したものであり、上記(1)に記載した相違点を含むものである。
そして、上記相違点については、(1)で検討したとおりである。

イ 小括
以上のとおり、本件発明11は、当業者が甲第1号証に記載された発明及び周知技術に基いて容易に発明をすることができたものではない。

(8)本件発明12について
ア 対比・判断
本件発明12は、本件発明1?3、5?7、11について「第一の半導体層と前記第二の半導体層との間に位置し、比誘電率が5以上の有機化合物を含む接合界面層をさらに有する」と限定したものであり、上記(1)に記載した相違点を含むものである。
そして、上記相違点については、(1)で検討したとおりである。

イ 小括
以上のとおり、本件発明12は、当業者が甲第1号証に記載された発明及び周知技術に基いて容易に発明をすることができたものではない。

(9)本件発明13について
ア 対比・判断
本件発明13は、本件発明1?3、5?7、11、12について「前記金属酸化物粒子がアナターゼ型の酸化チタン粒子であり、該酸化チタン粒子のX線回折スペクトルにおいて、回折角2θが24°以上26°以下で現れる回折ピークから得られる半値幅が、0.2°以上5.0°以下である、」と限定したものであり、上記(1)に記載した相違点を含むものである。
そして、上記相違点については、(1)で検討したとおりである。

イ 小括
以上のとおり、本件発明13は、当業者が甲第1号証に記載された発明及び周知技術に基いて容易に発明をすることができたものではない。

(10)本件発明14について
ア 対比・判断
本件発明14は、本件発明13について「前記第一の半導体層の、波長550nmの光に対する透過率が50%以上100%未満である」と限定したものであり、上記(1)に記載した相違点を含むものである。
そして、上記相違点については、(1)で検討したとおりである。

イ 小括
以上のとおり、本件発明14は、当業者が甲第1号証に記載された発明及び周知技術に基いて容易に発明をすることができたものではない。

(11)本件発明19について
ア 判断
上記「第2 2(9)」に記載したように、本件訂正前の請求項11が「請求項1?10」のいずれか1項を引用する記載であったところ、請求項11の一部を請求項19とし、「請求項4、17、18、8?10」のいずれか1項を引用する記載に変更し、引用していた請求項1?3、5?7を引用しないものとするものである。
そうすると、請求項19は、取消理由を通知していない本件訂正前の請求項4、8?10を引用していることになるから、請求項19に対しては、取消理由は、通知されていないことになる。

イ 小括
以上のとおり、本件発明19は、当業者が甲第1号証に記載された発明及び周知技術に基いて容易に発明をすることができたものではない。

(12)本件発明20について
ア 判断
上記「第2 2(10)」に記載したように、本件訂正前の請求項12が「請求項1?11」のいずれか1項を引用する記載であったところ、請求項12の一部を請求項20とし、「請求項4、17、18、8?10、19」のいずれか1項を引用する記載に変更し、直接又は間接的に引用していた請求項1?3、5?7を引用しないものとするものである。
そうすると、請求項20は、取消理由を通知していない本件訂正前の請求項4、8?10を直接又は間接的に引用していることになるから、請求項20に対しては、取消理由は、通知されていないことになる。

イ 小括
以上のとおり、本件発明20は、当業者が甲第1号証に記載された発明及び周知技術に基いて容易に発明をすることができたものではない。

(13)本件発明21について
ア 判断
上記「第2 2(11)」に記載したように、本件訂正前の請求項13が「請求項1?12」のいずれか1項を引用する記載であったところ、請求項13の一部を請求項21とし、「請求項4、17、18、8?10、19、20」のいずれか1項を引用する記載に変更する訂正は、引用していた請求項1?3、5?7を直接又は間接的に引用しないものとするものである。
そうすると、請求項21は、取消理由を通知していない本件訂正前の請求項4、8?10を直接又は間接的に引用していることになるから、請求項21に対しては、取消理由は、通知されていないことになる。

イ 小括
以上のとおり、本件発明21は、当業者が甲第1号証に記載された発明及び周知技術に基いて容易に発明をすることができたものではない。

(14)本件発明22について
ア 判断
上記「第2 2(12)」に記載したように、本件訂正前の請求項14が請求項13を引用する記載であったところ、請求項14の一部を請求項22とし、「請求項21」を引用する記載に変更しており、請求項21と同様に請求項22も直接又は間接的に引用していた請求項1?3、5?7を引用しないものとするものである。
そうすると、請求項22は、取消理由を通知していない本件訂正前の請求項4、8?10を直接又は間接的に引用していることになるから、請求項22に対しては、取消理由は、通知されていないことになる。

イ 小括
以上のとおり、本件発明22は、当業者が甲第1号証に記載された発明及び周知技術に基いて容易に発明をすることができたものではない。

2 取消理由通知に記載した取消理由1(特許法第29条第1項第3号)について
上記1に記載したように、本件発明1ないし3、5ないし7、11ないし14及び19ないし22と甲1発明とは、相違しているので、特許法第29条第1項第3号に該当しない。

第7 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項1ないし3、5ないし7、11ないし14及び19ないし22に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1ないし3、5ないし7、11ないし14及び19ないし22に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも第一の半導体層及び第二の半導体層を有し、
前記第一の半導体層が、平均粒子径が1nm以上、500nm以下の金属酸化物粒子と比誘電率が5以上の有機化合物とを含む層であり、
前記金属酸化物粒子は、酸化銅(I)、酸化銅(II)、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化銀、酸化チタン、アルミニウムをドープした酸化亜鉛(AZO)、ガリウムをドープした酸化亜鉛(GZO)、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化スズ、フッ素ドープの酸化スズ(FTO)、酸化インジウム、インジウム・ガリウム・亜鉛酸化物、酸化ニッケル、CuAlO_(2)、CuGaO_(2)、SrCu_(2)O_(2)、LaCuOS、LaCuOSe、CuInO_(2)、ZnRh_(2)O_(4)、12CaO・7Al_(2)O_(3)(C12A7)、Ga_(2)O_(3)、の中から選択される一以上の金属酸化物粒子であり、
前記有機化合物は、シアノ基含有有機化合物の中から選択される一以上の有機化合物(電解質の溶媒として用いられる有機化合物を除く)である、太陽電池。
【請求項2】
少なくとも第一の半導体層及び第二の半導体層を有し、
前記第一の半導体層が、平均粒子径が1nm以上、500nm以下の金属酸化物粒子と比誘電率が5以上、1000以下の有機化合物とを含む層であり、
前記第一の半導体層中の前記有機化合物の含有量が10質量%以上、90質量%以下であり、
前記金属酸化物粒子は、酸化銅(I)、酸化銅(II)、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化銀、酸化チタン、アルミニウムをドープした酸化亜鉛(AZO)、ガリウムをドープした酸化亜鉛(GZO)、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化スズ、フッ素ドープの酸化スズ(FTO)、酸化インジウム、インジウム・ガリウム・亜鉛酸化物、酸化ニッケル、CuAlO_(2)、CuGaO_(2)、SrCu_(2)O_(2)、LaCuOS、LaCuOSe、CuInO_(2)、ZnRh_(2)O_(4)、12CaO・7Al_(2)O_(3)(C12A7)、Ga_(2)O_(3)、の中から選択される一以上の金属酸化物粒子であり、
前記有機化合物は、シアノ基含有有機化合物の中から選択される一以上の有機化合物(電解質の溶媒として用いられる有機化合物を除く)である、太陽電池。
【請求項3】
少なくとも第一の半導体層及び第二の半導体層を有し、
前記第一の半導体層が、平均粒子径が1nm以上、500nm以下の金属酸化物粒子と、比誘電率が10以上、200以下の有機化合物とを含む層であり、
前記第一の半導体層中の前記有機化合物の含有量が20質量%以上、70質量%以下であり、
前記金属酸化物粒子は、酸化銅(I)、酸化銅(II)、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化銀、酸化チタン、アルミニウムをドープした酸化亜鉛(AZO)、ガリウムをドープした酸化亜鉛(GZO)、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化スズ、フッ素ドープの酸化スズ(FTO)、酸化インジウム、インジウム・ガリウム・亜鉛酸化物、酸化ニッケル、CuAlO_(2)、CuGaO_(2)、SrCu_(2)O_(2)、LaCuOS、LaCuOSe、CuInO_(2)、ZnRh_(2)O_(4)、12CaO・7Al_(2)O_(3)(C12A7)、Ga_(2)O_(3)、の中から選択される一以上の金属酸化物粒子であり、
前記有機化合物は、シアノ基含有有機化合物の中から選択される一以上の有機化合物(電解質の溶媒として用いられる有機化合物を除く)である、太陽電池。
【請求項4】
少なくとも第一の半導体層及び第二の半導体層を有し、
前記第一の半導体層が、平均粒子径が1nm以上、500nm以下の金属酸化物粒子と比誘電率が5以上の有機化合物とを含む層であり、
前記金属酸化物粒子は、酸化銅(I)、酸化銅(II)、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化銀、酸化チタン、アルミニウムをドープした酸化亜鉛(AZO)、ガリウムをドープした酸化亜鉛(GZO)、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化スズ、フッ素ドープの酸化スズ(FTO)、酸化インジウム、インジウム・ガリウム・亜鉛酸化物、酸化ニッケル、CuAlO_(2)、CuGaO_(2)、SrCu_(2)O_(2)、LaCuOS、LaCuOSe、CuInO_(2)、ZnRh_(2)O_(4)、12CaO・7Al_(2)O_(3)(C12A7)、Ga_(2)O_(3)、の中から選択される一以上の金属酸化物粒子であり、
前記有機化合物は、シアノ基含有有機化合物の中から選択される一以上の有機化合物であり、
前記シアノ基含有有機化合物は、シアノエチルプルラン、シアノエチルポリビニルアルコール、およびシアノエチルサッカロース(シアノエチルスクロース)である、太陽電池。
【請求項5】
少なくとも第一の半導体層及び第二の半導体層を有し、
前記第一の半導体層が、平均粒子径が1nm以上、500nm以下の金属酸化物粒子と比誘電率が5以上の有機化合物とを含む層であり、
前記金属酸化物粒子は、酸化銅(I)、酸化銅(II)、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化銀、酸化チタン、アルミニウムをドープした酸化亜鉛(AZO)、ガリウムをドープした酸化亜鉛(GZO)、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化スズ、フッ素ドープの酸化スズ(FTO)、酸化インジウム、インジウム・ガリウム・亜鉛酸化物、酸化ニッケル、CuAlO_(2)、CuGaO_(2)、SrCu_(2)O_(2)、LaCuOS、LaCuOSe、CuInO_(2)、ZnRh_(2)O_(4)、12CaO・7Al_(2)O_(3)(C12A7)、Ga_(2)O_(3)、の中から選択される一以上の金属酸化物粒子であり、
前記有機化合物は、フッ素系樹脂及びシアノ基含有有機化合物の中から選択される一以上の有機化合物(電解質の溶媒として用いられる有機化合物を除く)であり、
前記第二の半導体層がシリコンを含む層である太陽電池。
【請求項6】
少なくとも第一の半導体層及び第二の半導体層を有し、
前記第一の半導体層が、平均粒子径が1nm以上、500nm以下の金属酸化物粒子と比誘電率が5以上、1000以下の有機化合物とを含む層であり、
前記第一の半導体層中の前記有機化合物の含有量が10質量%以上、90質量%以下であり、
前記金属酸化物粒子は、酸化銅(I)、酸化銅(II)、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化銀、酸化チタン、アルミニウムをドープした酸化亜鉛(AZO)、ガリウムをドープした酸化亜鉛(GZO)、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化スズ、フッ素ドープの酸化スズ(FTO)、酸化インジウム、インジウム・ガリウム・亜鉛酸化物、酸化ニッケル、CuAlO_(2)、CuGaO_(2)、SrCu_(2)O_(2)、LaCuOS、LaCuOSe、CuInO_(2)、ZnRh_(2)O_(4)、12CaO・7Al_(2)O_(3)(C12A7)、Ga_(2)O_(3)、の中から選択される一以上の金属酸化物粒子であり、
前記有機化合物は、フッ素系樹脂及びシアノ基含有有機化合物の中から選択される一以上の有機化合物(電解質の溶媒として用いられる有機化合物を除く)であり、
前記第二の半導体層がシリコンを含む層である太陽電池。
【請求項7】
少なくとも第一の半導体層及び第二の半導体層を有し、
前記第一の半導体層が、平均粒子径が1nm以上、500nm以下の金属酸化物粒子と、比誘電率が10以上、200以下の有機化合物とを含む層であり、
前記第一の半導体層中の前記有機化合物の含有量が20質量%以上、70質量%以下であり、
前記金属酸化物粒子は、酸化銅(I)、酸化銅(II)、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化銀、酸化チタン、アルミニウムをドープした酸化亜鉛(AZO)、ガリウムをドープした酸化亜鉛(GZO)、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化スズ、フッ素ドープの酸化スズ(FTO)、酸化インジウム、インジウム・ガリウム・亜鉛酸化物、酸化ニッケル、CuAlO_(2)、CuGaO_(2)、SrCu_(2)O_(2)、LaCuOS、LaCuOSe、CuInO_(2)、ZnRh_(2)O_(4)、12CaO・7Al_(2)O_(3)(C12A7)、Ga_(2)O_(3)、の中から選択される一以上の金属酸化物粒子であり、
前記有機化合物は、フッ素系樹脂及びシアノ基含有有機化合物の中から選択される一以上の有機化合物(電解質の溶媒として用いられる有機化合物を除く)であり、
前記第二の半導体層がシリコンを含む層である太陽電池。
【請求項8】
少なくとも第一の半導体層及び第二の半導体層を有し、
前記第一の半導体層が、平均粒子径が1nm以上、500nm以下の金属酸化物粒子と比誘電率が5以上の有機化合物とを含む層であり、
前記金属酸化物粒子は、酸化銅(I)、酸化銅(II)、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化銀、酸化チタン、アルミニウムをドープした酸化亜鉛(AZO)、ガリウムをドープした酸化亜鉛(GZO)、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化スズ、フッ素ドープの酸化スズ(FTO)、酸化インジウム、インジウム・ガリウム・亜鉛酸化物、酸化ニッケル、CuAlO_(2)、CuGaO_(2)、SrCu_(2)O_(2)、LaCuOS、LaCuOSe、CuInO_(2)、ZnRh_(2)O_(4)、12CaO・7Al_(2)O_(3)(C12A7)、Ga_(2)O_(3)、の中から選択される一以上の金属酸化物粒子であり、
前記有機化合物は、フッ素系樹脂及びシアノ基含有有機化合物の中から選択される一以上の有機化合物であり、
前記第二の半導体層は、前記第一の半導体層と対向する面とは反対の面側に、厚みが1nm以上のシリコン酸化膜を備えた太陽電池。
【請求項9】
少なくとも第一の半導体層及び第二の半導体層を有し、
前記第一の半導体層が、平均粒子径が1nm以上、500nm以下の金属酸化物粒子と比誘電率が5以上、1000以下の有機化合物とを含む層であり、
前記第一の半導体層中の前記有機化合物の含有量が10質量%以上、90質量%以下であり、
前記金属酸化物粒子は、酸化銅(I)、酸化銅(II)、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化銀、酸化チタン、アルミニウムをドープした酸化亜鉛(AZO)、ガリウムをドープした酸化亜鉛(GZO)、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化スズ、フッ素ドープの酸化スズ(FTO)、酸化インジウム、インジウム・ガリウム・亜鉛酸化物、酸化ニッケル、CuAlO_(2)、CuGaO_(2)、SrCu_(2)O_(2)、LaCuOS、LaCuOSe、CuInO_(2)、ZnRh_(2)O_(4)、12CaO・7Al_(2)O_(3)(C12A7)、Ga_(2)O_(3)、の中から選択される一以上の金属酸化物粒子であり、
前記有機化合物は、フッ素系樹脂及びシアノ基含有有機化合物の中から選択される一以上の有機化合物であり、
前記第二の半導体層は、前記第一の半導体層と対向する面とは反対の面側に、厚みが1nm以上のシリコン酸化膜を備えた太陽電池。
【請求項10】
少なくとも第一の半導体層及び第二の半導体層を有し、
前記第一の半導体層が、平均粒子径が1nm以上、500nm以下の金属酸化物粒子と、比誘電率が10以上、200以下の有機化合物とを含む層であり、
前記第一の半導体層中の前記有機化合物の含有量が20質量%以上、70質量%以下であり、
前記金属酸化物粒子は、酸化銅(I)、酸化銅(II)、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化銀、酸化チタン、アルミニウムをドープした酸化亜鉛(AZO)、ガリウムをドープした酸化亜鉛(GZO)、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化スズ、フッ素ドープの酸化スズ(FTO)、酸化インジウム、インジウム・ガリウム・亜鉛酸化物、酸化ニッケル、CuAlO_(2)、CuGaO_(2)、SrCu_(2)O_(2)、LaCuOS、LaCuOSe、CuInO_(2)、ZnRh_(2)O_(4)、12CaO・7Al_(2)O_(3)(C12A7)、Ga_(2)O_(3)、の中から選択される一以上の金属酸化物粒子であり、
前記有機化合物は、フッ素系樹脂及びシアノ基含有有機化合物の中から選択される一以上の有機化合物であり、
前記第二の半導体層は、前記第一の半導体層と対向する面とは反対の面側に、厚みが1nm以上のシリコン酸化膜を備えた太陽電池。
【請求項11】
前記金属酸化物の粒子径が1nm以上、100nm以下である、請求項1?3、5?7のいずれか1項に記載の太陽電池。
【請求項12】
前記第一の半導体層と前記第二の半導体層との間に位置し、比誘電率が5以上の有機化合物を含む接合界面層をさらに有する、請求項1?3、5?7、11のいずれか1項に記載の太陽電池。
【請求項13】
前記金属酸化物粒子がアナターゼ型の酸化チタン粒子であり、該酸化チタン粒子のX線回折スペクトルにおいて、回折角2θが24°以上26°以下で現れる回折ピークから得られる半値幅が、0.2°以上5.0°以下である、請求項1?3、5?7、11、12のいずれか1項に記載の太陽電池。
【請求項14】
前記第一の半導体層の、波長550nmの光に対する透過率が50%以上100%未満である、請求項13に記載の太陽電池。
【請求項15】
少なくとも第一の半導体層及び第二の半導体層を有し、
前記第一の半導体層が、平均粒子径が1nm以上、500nm以下の金属酸化物粒子と比誘電率が5以上の有機化合物とを含む層であり、
前記金属酸化物粒子は、酸化銅(I)、酸化銅(II)、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化銀、酸化チタン、アルミニウムをドープした酸化亜鉛(AZO)、ガリウムをドープした酸化亜鉛(GZO)、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化スズ、フッ素ドープの酸化スズ(FTO)、酸化インジウム、インジウム・ガリウム・亜鉛酸化物、酸化ニッケル、CuAlO_(2)、CuGaO_(2)、SrCu_(2)O_(2)、LaCuOS、LaCuOSe、CuInO_(2)、ZnRh_(2)O_(4)、12CaO・7Al_(2)O_(3)(C12A7)、Ga_(2)O_(3)、の中から選択される一以上の金属酸化物粒子であり、
前記有機化合物は、シアノ基含有有機化合物の中から選択される一以上の有機化合物である、太陽電池の製造方法であって、
無機粒子と、比誘電率が5以上の有機化合物と、1種以上の分散剤とを含む塗布液であり、且つ、前記無機粒子が金属酸化物粒子又はシリコン粒子であり、前記塗布液中の前記無機粒子の含有量が0.1質量%以上、49.9質量%以下であり、前記塗布液中の前記有機化合物の含有量が0.1質量%以上、49.9質量%以下であり、前記塗布液中の前記分散剤の含有量が0.2質量%以上、99.8質量%以下であり、前記金属酸化物粒子は、酸化銅(I)、酸化銅(II)、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化銀、酸化チタン、アルミニウムをドープした酸化亜鉛(AZO)、ガリウムをドープした酸化亜鉛(GZO)、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化スズ、フッ素ドープの酸化スズ(FTO)、酸化インジウム、インジウム・ガリウム・亜鉛酸化物、酸化ニッケル、CuAlO_(2)、CuGaO_(2)、SrCu_(2)O_(2)、LaCuOS、LaCuOSe、CuInO_(2)、ZnRh_(2)O_(4)、12CaO・7Al_(2)O_(3)(C12A7)、Ga_(2)O_(3)、の中から選択される一以上の金属酸化物粒子であり、前記有機化合物は、シアノ基含有有機化合物の中から選択される一以上の有機化合物である塗布液を用意し、
用意した前記塗布液を半導体層又は、電極を有する基板に塗布する工程と、
塗布した前記塗布液を乾燥させて該塗布液から前記分散剤の少なくとも一部を除去する工程と、を含む太陽電池の製造方法。
【請求項16】
前記シアノ基含有有機化合物は、シアノエチルプルラン、シアノエチルポリビニルアルコール、およびシアノエチルサッカロース(シアノエチルスクロース)である、請求項15に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項17】
少なくとも第一の半導体層及び第二の半導体層を有し、
前記第一の半導体層が、平均粒子径が1nm以上、500nm以下の金属酸化物粒子と比誘電率が5以上、1000以下の有機化合物とを含む層であり、
前記第一の半導体層中の前記有機化合物の含有量が10質量%以上、90質量%以下であり、
前記金属酸化物粒子は、酸化銅(I)、酸化銅(II)、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化銀、酸化チタン、アルミニウムをドープした酸化亜鉛(AZO)、ガリウムをドープした酸化亜鉛(GZO)、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化スズ、フッ素ドープの酸化スズ(FTO)、酸化インジウム、インジウム・ガリウム・亜鉛酸化物、酸化ニッケル、CuAlO_(2)、CuGaO_(2)、SrCu_(2)O_(2)、LaCuOS、LaCuOSe、CuInO_(2)、ZnRh_(2)O_(4)、12CaO・7Al_(2)O_(3)(C12A7)、Ga_(2)O_(3)、の中から選択される一以上の金属酸化物粒子であり、
前記有機化合物は、シアノ基含有有機化合物の中から選択される一以上の有機化合物であり、
前記シアノ基含有有機化合物は、シアノエチルプルラン、シアノエチルポリビニルアルコール、およびシアノエチルサッカロース(シアノエチルスクロース)である、太陽電池。
【請求項18】
少なくとも第一の半導体層及び第二の半導体層を有し、
前記第一の半導体層が、平均粒子径が1nm以上、500nm以下の金属酸化物粒子と、比誘電率が10以上、200以下の有機化合物とを含む層であり、
前記第一の半導体層中の前記有機化合物の含有量が20質量%以上、70質量%以下であり、
前記金属酸化物粒子は、酸化銅(I)、酸化銅(II)、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化銀、酸化チタン、アルミニウムをドープした酸化亜鉛(AZO)、ガリウムをドープした酸化亜鉛(GZO)、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化スズ、フッ素ドープの酸化スズ(FTO)、酸化インジウム、インジウム・ガリウム・亜鉛酸化物、酸化ニッケル、CuAlO_(2)、CuGaO_(2)、SrCu_(2)O_(2)、LaCuOS、LaCuOSe、CuInO_(2)、ZnRh_(2)O_(4)、12CaO・7Al_(2)O_(3)(C12A7)、Ga_(2)O_(3)、の中から選択される一以上の金属酸化物粒子であり、
前記有機化合物は、シアノ基含有有機化合物の中から選択される一以上の有機化合物であり、
前記シアノ基含有有機化合物は、シアノエチルプルラン、シアノエチルポリビニルアルコール、およびシアノエチルサッカロース(シアノエチルスクロース)である、太陽電池。
【請求項19】
前記金属酸化物の粒子径が1nm以上、100nm以下である、請求項4、17、18、8?10のいずれか1項に記載の太陽電池。
【請求項20】
前記第一の半導体層と前記第二の半導体層との間に位置し、比誘電率が5以上の有機化合物を含む接合界面層をさらに有する、請求項4、17、18、8?10、19のいずれか1項に記載の太陽電池。
【請求項21】
前記金属酸化物粒子がアナターゼ型の酸化チタン粒子であり、該酸化チタン粒子のX線回折スペクトルにおいて、回折角2θが24°以上26°以下で現れる回折ピークから得られる半値幅が、0.2°以上5.0°以下である、請求項4、17、18、8?10、19、20のいずれか1項に記載の太陽電池。
【請求項22】
前記第一の半導体層の、波長550nmの光に対する透過率が50%以上100%未満である、請求項21に記載の太陽電池。
【請求項23】
少なくとも第一の半導体層及び第二の半導体層を有し、
前記第一の半導体層が、平均粒子径が1nm以上、500nm以下の金属酸化物粒子と比誘電率が5以上、1000以下の有機化合物とを含む層であり、
前記第一の半導体層中の前記有機化合物の含有量が10質量%以上、90質量%以下であり、
前記金属酸化物粒子は、酸化銅(I)、酸化銅(II)、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化銀、酸化チタン、アルミニウムをドープした酸化亜鉛(AZO)、ガリウムをドープした酸化亜鉛(GZO)、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化スズ、フッ素ドープの酸化スズ(FTO)、酸化インジウム、インジウム・ガリウム・亜鉛酸化物、酸化ニッケル、CuAlO_(2)、CuGaO_(2)、SrCu_(2)O_(2)、LaCuOS、LaCuOSe、CuInO_(2)、ZnRh_(2)O_(4)、12CaO・7Al_(2)O_(3)(C12A7)、Ga_(2)O_(3)、の中から選択される一以上の金属酸化物粒子であり、
前記有機化合物は、シアノ基含有有機化合物の中から選択される一以上の有機化合物である、太陽電池の製造方法であって、
無機粒子と、比誘電率が5以上の有機化合物と、1種以上の分散剤とを含む塗布液であり、且つ、前記無機粒子が金属酸化物粒子又はシリコン粒子であり、前記塗布液中の前記無機粒子の含有量が0.1質量%以上、49.9質量%以下であり、前記塗布液中の前記有機化合物の含有量が0.1質量%以上、49.9質量%以下であり、前記塗布液中の前記分散剤の含有量が0.2質量%以上、99.8質量%以下であり、前記金属酸化物粒子は、酸化銅(I)、酸化銅(II)、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化銀、酸化チタン、アルミニウムをドープした酸化亜鉛(AZO)、ガリウムをドープした酸化亜鉛(GZO)、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化スズ、フッ素ドープの酸化スズ(FTO)、酸化インジウム、インジウム・ガリウム・亜鉛酸化物、酸化ニッケル、CuAlO_(2)、CuGaO_(2)、SrCu_(2)O_(2)、LaCuOS、LaCuOSe、CuInO_(2)、ZnRh_(2)O_(4)、12CaO・7Al_(2)O_(3)(C12A7)、Ga_(2)O_(3)、の中から選択される一以上の金属酸化物粒子であり、前記有機化合物は、シアノ基含有有機化合物の中から選択される一以上の有機化合物である塗布液を用意し、
用意した前記塗布液を半導体層又は、電極を有する基板に塗布する工程と、
塗布した前記塗布液を乾燥させて該塗布液から前記分散剤の少なくとも一部を除去する工程と、を含む太陽電池の製造方法。
【請求項24】
少なくとも第一の半導体層及び第二の半導体層を有し、
前記第一の半導体層が、平均粒子径が1nm以上、500nm以下の金属酸化物粒子と、比誘電率が10以上、200以下の有機化合物とを含む層であり、
前記第一の半導体層中の前記有機化合物の含有量が20質量%以上、70質量%以下であり、
前記金属酸化物粒子は、酸化銅(I)、酸化銅(II)、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化銀、酸化チタン、アルミニウムをドープした酸化亜鉛(AZO)、ガリウムをドープした酸化亜鉛(GZO)、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化スズ、フッ素ドープの酸化スズ(FTO)、酸化インジウム、インジウム・ガリウム・亜鉛酸化物、酸化ニッケル、CuAlO_(2)、CuGaO_(2)、SrCu_(2)O_(2)、LaCuOS、LaCuOSe、CuInO_(2)、ZnRh_(2)O_(4)、12CaO・7Al_(2)O_(3)(C12A7)、Ga_(2)O_(3)、の中から選択される一以上の金属酸化物粒子であり、
前記有機化合物は、シアノ基含有有機化合物の中から選択される一以上の有機化合物である、太陽電池の製造方法であって、
無機粒子と、比誘電率が5以上の有機化合物と、1種以上の分散剤とを含む塗布液であり、且つ、前記無機粒子が金属酸化物粒子又はシリコン粒子であり、前記塗布液中の前記無機粒子の含有量が0.1質量%以上、49.9質量%以下であり、前記塗布液中の前記有機化合物の含有量が0.1質量%以上、49.9質量%以下であり、前記塗布液中の前記分散剤の含有量が0.2質量%以上、99.8質量%以下であり、前記金属酸化物粒子は、酸化銅(I)、酸化銅(II)、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化銀、酸化チタン、アルミニウムをドープした酸化亜鉛(AZO)、ガリウムをドープした酸化亜鉛(GZO)、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化スズ、フッ素ドープの酸化スズ(FTO)、酸化インジウム、インジウム・ガリウム・亜鉛酸化物、酸化ニッケル、CuAlO_(2)、CuGaO_(2)、SrCu_(2)O_(2)、LaCuOS、LaCuOSe、CuInO_(2)、ZnRh_(2)O_(4)、12CaO・7Al_(2)O_(3)(C12A7)、Ga_(2)O_(3)、の中から選択される一以上の金属酸化物粒子であり、前記有機化合物は、シアノ基含有有機化合物の中から選択される一以上の有機化合物である塗布液を用意し、
用意した前記塗布液を半導体層又は、電極を有する基板に塗布する工程と、
塗布した前記塗布液を乾燥させて該塗布液から前記分散剤の少なくとも一部を除去する工程と、を含む太陽電池の製造方法。
【請求項25】
前記シアノ基含有有機化合物は、シアノエチルプルラン、シアノエチルポリビニルアルコール、およびシアノエチルサッカロース(シアノエチルスクロース)である、請求項23または24に記載の太陽電池の製造方法。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2019-04-03 
出願番号 特願2015-540371(P2015-540371)
審決分類 P 1 652・ 121- YAA (H01L)
P 1 652・ 113- YAA (H01L)
最終処分 維持  
前審関与審査官 佐竹 政彦河村 麻梨子  
特許庁審判長 森 竜介
特許庁審判官 星野 浩一
野村 伸雄
登録日 2017-08-04 
登録番号 特許第6183760号(P6183760)
権利者 旭化成株式会社 国立大学法人東北大学
発明の名称 太陽電池及びその製造方法  
代理人 森 哲也  
代理人 田中 秀▲てつ▼  
代理人 田中 秀▲てつ▼  
代理人 田中 秀▲てつ▼  
代理人 森 哲也  
代理人 森 哲也  

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