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審決分類 審判 一部申し立て 2項進歩性  H01R
管理番号 1351436
異議申立番号 異議2018-700237  
総通号数 234 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2019-06-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2018-03-20 
確定日 2019-04-11 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6284991号発明「外部接点を有する双配向電子コネクタ」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6284991号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔15-20〕について訂正することを認める。 特許第6284991号の請求項15ないし20に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許6284991号の請求項1?20に係る特許についての出願は、2012年11月7日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2011年11月7日 米国、2011年11月30日 米国、2012年8月29日 米国)を国際出願日とする特願2014-541204号の一部を、平成27年7月29日に新たな特許出願として特願2015-149767号とし、その一部を平成28年8月30日に新たな特許出願としたものであって、平成30年2月9日に特許の設定登録がされ、同年2月28日に特許掲載公報が発行され、その後、平成30年3月20日に、その請求項15に係る特許に対し特許異議申立人株式会社ホライズン(以下「異議申立人」という。)により特許異議の申立て(以下「異議申立1」という。)がされ、同年8月28日に、その請求項15?20に係る特許に対し異議申立人より特許異議の申立て(以下「異議申立2」という。)がされ、同年11月28日付けで取消理由が通知され(以下「取消理由通知」という。)、その指定期間内である平成31年3月4日に意見書の提出及び訂正の請求があったものである。
なお、異議申立人は、異議申立1及び2において、意見書の提出の希望の有無について「希望しない」としている。

第2 訂正の適否についての判断
1 訂正の内容
平成31年3月4日の訂正の請求による訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は以下のとおりである。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項15における、「第1の接点、電源接点及び接地接点を含み」との記載を、
「第1の接点、電源接点、互いに隣り合った第1及び第2のデータ接点、及び接地接点を含み」に訂正する(請求項15の記載を引用する請求項16ないし20も同様に訂正する。)
(下線は、特許権者が付与。以下同様。)

(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項15における、「前記電子デバイスに関連する識別、構成及び認証情報」との記載を、
「前記電子デバイスに関連する識別情報、接点構成情報及び認証情報」に訂正する(請求項15の記載を引用する請求項16ないし20も同様に訂正する。)

(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項15における、「コンピュータ読み取り可能なメモリと、」との記載を、
「コンピュータ読み取り可能なメモリと、前記タブが前記リセプタクルコネクタに挿入されるとき、前記接点構成情報は、前記第1及び第2のデータ接点で電気的に接触する前記リセプタクルコネクタの接点を介して前記第2のデバイスが用いることができる複数の異なる通信プロトコルの一つを識別し、」に訂正する(請求項15の記載を引用する請求項16ないし20も同様に訂正する。)

(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項15における、「前記タブの前記第1の面に形成される一連の接点を含む」との記載を、
「タブの前記第1の面に形成される一連の接点を含む」に訂正する(請求項15の記載を引用する請求項16ないし20も同様に訂正する。)

本件訂正は、一群の請求項〔15-20〕に対して請求されたものである。

2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(1)訂正事項1について
訂正事項1は、訂正前の請求項15に、プラグコネクタが「互いに隣り合った第1及び第2のデータ接点」を含むことを特定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

本件特許の願書に添付した明細書(以下「本件特許明細書」という。)の段落【0070】には、「データ接点106(2)及びデータ接点106(3)が、第1のデータ接点のペアとして動作し、データ接点106(6)、106(7)が、第2のデータ接点のペアとして動作することにより」と記載されており、また、本件特許の願書に添付した図面(以下「本件特許図面」という。)の【図13A】?【図14B】を参照すると、ペアとして動作するデータ接点106(2)とデータ接点106(3)(すなわち「第1及び第2のデータ接点」)とが「互いに隣り合った」ものであり、更にペアとして動作するデータ接点106(6)とデータ接点106(7)とが「互いに隣り合った」ものであることがわかる。
したがって、訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内での訂正である。

(2)訂正事項2について
訂正事項2は、訂正前の請求項15の電子デバイスに関連する、「識別」が情報であること、及び「構成」が接点の構成に関する情報であることを明らかにすることで、「識別」及び「構成」の内容を限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

本件特許明細書の段落【0077】の「これらのIDモジュール及び認証モジュールはそれぞれ、嵌合イベント中にホストデバイスに通信することができる、コネクタ及び/又はその関連アクセサリについての識別情報、構成情報、並びに認証情報でプログラムすることができる、コンピュータ可読メモリを含む。」との記載に、「識別情報」と「構成情報」とが開示されており、また、同段落【0062】の「1つ以上の集積回路(IC)を、PCB 104に動作可能に接続することにより、コネクタ100に関する情報、及びコネクタ100がその一部となる任意のアクセサリ若しくはデバイスに関する情報を提供し、かつ/あるいは認証、識別、接点構成、及び電流若しくは電力調整などの特定の機能を実行することができる。」との記載において、認証や識別と同列に接点構成を記載しており、更に同段落【0145】の「(37)」に、「前記第1及び第2のデータ接点によって使用される前記通信プロトコルを指定する接点構成情報を記憶する」との記載があることから、前記「構成情報」が「接点構成情報」であることがわかる。
したがって、訂正事項2は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内での訂正である。

(3)訂正事項3について
訂正事項3は、訂正前の請求項15の電子デバイスに関連する「構成」が、「接点構成情報」であって、この接点構成情報が「前記タブが前記リセプタクルコネクタに挿入されるとき」、「前記第1及び第2のデータ接点で電気的に接触する前記リセプタクルコネクタの接点を介して前記第2のデバイスが用いることができる複数の異なる通信プロトコルの一つを識別」するものであることを限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

本件特許明細書には、段落【0076】に「それらの4つのデータ接点は、次の3つの通信インターフェース、USB 2.0、Mikey Bus、又は汎用非同期受信/送信(UART)インターフェースのうちの2つに適応させることができる。デバイスのデバッグ及び試験のために特に有用な別の実施例として、それらのデータ接点のセットは、USB 2.0、UART、又はJTAG通信プロトコルのいずれかのうちの2つに適応させることができる。いずれの場合にも、所定のデータ接点を介して通信するために使用される実際の通信プロトコルは、以下で論じられるように、アクセサリに応じて決定することができる。」と記載され、更に同段落【0077】に、「これらのIDモジュール及び認証モジュールはそれぞれ、嵌合イベント中にホストデバイスに通信することができる、コネクタ及び/又はその関連アクセサリについての識別情報、構成情報、並びに認証情報でプログラムすることができる、コンピュータ可読メモリを含む。例えば、コネクタ100が、ホスト電子デバイス内のレセプタクルコネクタと嵌合されると、ホストデバイスは、ハンドシェークアルゴリズムの一部として、(対応するプラグコネクタのID接点と位置合わせされるように位置決めされる)そのホストデバイスのアクセサリID接点を介してコマンドを送信することにより、そのアクセサリに、ホストと通信及び動作する権限が与えられるか否かを判定することができる。IDモジュールは、そのコマンドを受信して、ID接点を介して既定の応答を返送することによって、応答することができる。この応答は、コネクタ100が一部となるアクセサリ又はデバイスのタイプ、並びに、そのデバイスの様々な能力又は機能性を識別する情報を含み得る。この応答はまた、コネクタ100が、データ接点のペア106(2)、106(3)、及びペア106(6)、106(7)のそれぞれで、いずれの通信インターフェース若しくは通信プロトコルを採用するかを、ホストデバイスに通信することもできる。」と記載されている。
そうすると、本件特許明細書には、通信プロトコルは、データ接点のペア(すなわち、第1及び第2のデータ接点。)を介して通信されること、及び接点構成情報は、コネクタ100が、レセプタクルコネクタと嵌合する嵌合イベント中(すなわち、タブがリセプタクルコネクタに挿入されるとき。)に、USB 2.0、UART、又はJTAG通信プロトコルなど複数の異なる通信プロトコルの中からどれを採用するかを識別するもの(すなわち、第2のデバイスが用いることができる複数の異なる通信プロトコルの一つを識別すること。)であることが開示されている。
したがって、訂正事項3は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内での訂正である。

(4)訂正事項4について
訂正事項4は、訂正前の請求項15においては、「前記タブ」と記載していたところ、当該記載の前に「タブ」に相当する記載はないから、「前記タブ」は誤記で、正しくは「タブ」であることは明白である。そうすると、訂正事項4は、誤記の訂正を目的とするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

「タブ」は、本件特許明細書(例えば、段落【0015】の【図8A】の説明を参照。)において、「タブ44」として開示されている。
したがって、訂正事項4は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内での訂正である。

(5)小括
以上のとおりであるから、本件訂正は特許法第120条の5第2項第1号及び第2号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項、及び第9項において準用する同法第126条第4項から第6項までの規定に適合する。
したがって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正後の特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔15-20〕について訂正することを認める。

第3 訂正後の本件発明
上述のとおり本件訂正は認められるので、本件特許の請求項15?20に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」?「本件発明6」という。)は、その訂正特許請求の範囲の請求項15?20に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。
「【請求項15】
電子デバイスであって、
嵌合イベント中に第2のデバイスのリセプタクルコネクタに挿入されるように構成され、対向する第1及び第2の面並びに、第1の列に沿って間隔を空けて配置され、第1の接点、電源接点、互いに隣り合った第1及び第2のデータ接点、及び接地接点を含み、タブの前記第1の面に形成される一連の接点を含む接点領域を備えるタブを有するプラグコネクタと、
嵌合イベント中に前記第2のデバイスと通信することが可能である前記電子デバイスに関連する識別情報、接点構成情報及び認証情報を用いてプログラムされるコンピュータ読み取り可能なメモリと、前記タブが前記リセプタクルコネクタに挿入されるとき、前記接点構成情報は、前記第1及び第2のデータ接点で電気的に接触する前記リセプタクルコネクタの接点を介して前記第2のデバイスが用いることができる複数の異なる通信プロトコルの一つを識別し、
前記第1の接点に結合し、前記プラグコネクタが前記リセプタクルコネクタに挿入される嵌合イベントの後に、
(i)前記第1の接点を介して、前記電子デバイスと前記第2の電子デバイスとの間で情報を交換して、前記第2のデバイスに対して前記電子デバイスを認証する認証ルーチンに関与し、
(ii)前記第2のデバイスから、前記第1の接点を介してコマンドを受け取ること及び、前記電子デバイスに関する接点構成情報を含む前記コマンドに対する応答を、前記第1の接点を介して前記第2のデバイスに送信することを含むハンドシェークアルゴリズムに関与する、
ように構成される回路と、
前記電源接点に接続され、電力を送り、前記プラグコネクタを介して前記電子デバイスに結合するデバイスを充電する電源回路と、
を備える電子デバイス。
【請求項16】
前記接点領域は、ペアの差異データ接点を更に含む、
ことを特徴とする請求項15に記載の電子デバイス。
【請求項17】
前記ペアの差異データ接点は、ペアのUSBデータ接点である、
ことを特徴とする請求項16に記載の電子デバイス。
【請求項18】
前記電子デバイスは、充電ケーブルであり、USB雄型コネクタと、前記USB雄型コネクタに前記プラグコネクタを結合させるケーブルとを更に備える、
ことを特徴とする請求項17に記載の電子アクセサリ。
【請求項19】
前記電源回路は、入力電圧が一過性の方式で変動する場合に、前記電源接点を介して送られる定電流を提供するように構成される電流調整器を含む、
ことを特徴とする請求項15に記載の電子アクセサリ。
【請求項20】
前記タブは、前記タブの外側表面を画定し、前記接点領域が形成される前記タブの前記第1の面に開口を含む金属フレームを備え、
誘電材料が、前記複数の接点の各接点を囲み、前記金属フレームから前記接点を電気的に絶縁する、
ことを特徴とする請求項15に記載の電子デバイス。」

第4 取消理由通知に記載した取消理由について
訂正前の請求項15?18及び20に係る特許に対して、平成30年11月28日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。

本件特許の請求項15?18及び20に係る発明(本件発明1?4及び6)は、本件特許の優先日前日本国内または外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。
引用文献1:特表2010-503134号公報
(異議申立1の甲第2号証、異議申立2の甲第8号証)
引用文献2:米国特許第5442243号明細書
(異議申立1の甲第3号証、異議申立2の甲第9号証)
引用文献3:特表2007-500921号公報
(異議申立1の甲第4号証、異議申立2の甲第10号証)

第5 対比・判断
1 本件発明1について
(1)引用発明
引用文献1の【図1】及び【図3】の記載を参照すると、メディア装置310は、ケーブル100のコネクタ110が接続されるコネクタを備えていることは、当業者であれば明らかな事項である。
そして、引用文献1(特に、段落【0014】?【0032】、及び【図1】?【図7】を参照。)には、本件発明1の記載ぶりに則って整理すると、「スマートケーブル」に関して、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。
「ケーブル100であって、
接続のときにメディア装置310のコネクタに挿入されるように構成され、
信号のpin3?10及び18?29、電力のpin11?13、並びに接地のpin1、2、15、16及び30?32を有するコネクタ110と、
メディア装置310との接続に応じて前記メディア装置310と通信することが可能であるケーブル100に関するケーブルタイプ(USB、Firewire、アナログ音声、デジタル音声、コンポジット映像、コンポーネント映像、Sビデオ、HDMI、DVI等)を識別するケーブル識別信号、及び認証応答を送信するマイクロコントローラ210及び認証用コプロセッサ220と、
前記信号のpin3?10及び18?29は、FireWire用の信号のpin3、5、7及び9、USB用の信号のpin4、6及び8、外部アクセサリ識別の用のpin10、受信データ用のpin18、送信データ用のpin19、アクセサリ検出用のpin20、Sビデオ用のpin21及び22、コンポジット映像のpin23、リモート検出用のpin24、移動体装置のライン入力・出力のpin25?28、並びに音声リターンのpin29からなり、pinに対する信号の割当てがされており、
前記信号のpinに結合し、前記コネクタ110が前記メディア装置310のコネクタに挿入される接続の後に、
(i)前記信号のpinを介して、メディア装置310からケーブル100に認証処理が照会され、ケーブルからメディア装置310へ認証応答されて、前記メディア装置310に対して前記ケーブル100の認証処理をし、
(ii)前記メディア装置310から、前記信号のpinを介して識別処理が照会されること及び、前記ケーブル100に関するケーブルタイプ(USB、Firewire、アナログ音声、デジタル音声、コンポジット映像、コンポーネント映像、Sビデオ、HDMI、DVI等)を識別するケーブル識別信号の送信を、前記信号のpinを介して前記メディア装置310へ送信する、
ように構成される回路と、
ケーブルライン140のうちの一つとしてUSBケーブルと、
を備えるケーブル100。」

(2)対比
本件発明1と引用発明とを対比する。
ア 引用発明の「ケーブル100」は、本件発明1の「電子デバイス」に相当する。
以下同様に、「接続」は、「嵌合イベント」に、
「メディア装置310」は、「第2のデバイス」に、
「メディア装置310のコネクタ」は、「第2のデバイスのリセプタクルコネクタ」に、
「コネクタ110」は、「プラグコネクタ」に、
「信号のpin3?10及び18?29」は、「第1の接点」及び「第1及び第2のデータ接点」に、
「電力のpin11?13」は、「電源接点」に、
「接地のpin1、2、15、16及び30?32」は、「接地接点」に、
「メディア装置310からケーブル100に認証処理が照会され、ケーブルからメディア装置310へ認証応答」することは、「電子デバイスと前記第2のデバイスとの間で情報を交換」することに、
「ケーブル100の認証処理」することは、「電子デバイスを認証する認証ルーチンに関与」することに、
「メディア装置310から、前記信号のpinを介して識別処理が照会されること」は、「第2のデバイスから、前記第1の接点を介してコマンドを受け取ること」に、それぞれ相当する。

イ 引用発明の「ケーブル100に関するケーブルタイプ(USB、Firewire、アナログ音声、デジタル音声、コンポジット映像、コンポーネント映像、Sビデオ、HDMI、DVI等)を識別するケーブル識別信号」は、USB、Firewire、アナログ音声、デジタル音声、コンポジット映像、コンポーネント映像、Sビデオ、HDMI、DVI等のいずれのケーブルが使用されるかを示す信号を含むと解されるから、本件発明1の「電子デバイスに関する接点構成情報」を含んでいるといえる。
そうすると、引用発明の「前記メディア装置310から、前記信号のpinを介して識別処理が照会されること及び、前記ケーブル100に関するケーブルタイプ(USB、Firewire、アナログ音声、デジタル音声、コンポジット映像、コンポーネント映像、Sビデオ、HDMI、DVI等)を識別するケーブル識別信号の送信を、前記信号のpinを介して前記メディア装置310へ送信する」ことは、本件発明1の「前記第2のデバイスから、前記第1の接点を介してコマンドを受け取ること及び、前記電子デバイスに関する接点構成情報を含む前記コマンドに対する応答を、前記第1の接点を介して前記第2のデバイスに送信すること」に相当する。

ウ 引用発明は、「メディア装置310から、前記信号のpinを介して識別処理が照会されること及び、前記ケーブル100に関するケーブルタイプ(USB、Firewire、アナログ音声、デジタル音声、コンポジット映像、コンポーネント映像、Sビデオ、HDMI、DVI等)を識別するケーブル識別信号の送信を、前記信号のpinを介して前記メディア装置310へ送信する」ことを行うことにより、接続のときにメディア装置310とケーブル100との間で信号を送受信しているから、本件発明1でいうところの「ハンドシェークアルゴリズムに関与」しているといえる。

また、USBにより供給する電力により充電を行えることは、当業者であれば明らかな事項であるから、引用発明の「ケーブルライン140のうちの一つとしてUSBケーブル」は、「電源接点に接続される、電力を送り、前記プラグコネクタを介して前記電子デバイスに結合するデバイスを充電する電源回路」ということができる。

[一致点]
「電子デバイスであって、
嵌合イベント中に第2のデバイスのリセプタクルコネクタに挿入されるように構成され、第1の接点、電源接点、第1及び第2のデータ接点、及び接地接点を含むプラグコネクタと、
前記第1の接点に結合し、前記プラグコネクタが前記リセプタクルコネクタに挿入される嵌合イベントの後に、
(i)前記第1の接点を介して、前記電子デバイスと前記第2の電子デバイスとの間で情報を交換して、前記第2のデバイスに対して前記電子デバイスを認証する認証ルーチンに関与し、
(ii)前記第2のデバイスから、前記第1の接点を介してコマンドを受け取ること及び、前記電子デバイスに関する接点構成情報を含む前記コマンドに対する応答を、前記第1の接点を介して前記第2のデバイスに送信することを含むハンドシェークアルゴリズムに関与する、
ように構成される回路と、
前記電源接点に接続され、電力を送り、前記プラグコネクタを介して前記電子デバイスに結合するデバイスを充電する電源回路と、
を備える電子デバイス。」

[相違点1]
プラグコネクタに関して、本件発明1においては、「対向する第1及び第2の面並びに、第1の列に沿って間隔を空けて配置」され、「タブの前記第1の面に形成される一連の接点を含む接点領域を備えるタブを有する」との構成、及び接点として「互いに隣り合った第1及び第2のデータ接点」を備えているのに対して、
引用発明においては、各pinが対向する第1及び第2の面並びに第1の列に沿って間隔を空けて配置されているか否か、タブの前記第1の面に形成される一連の接点を含む接点領域を備えるタブを有するか否か、及び信号のpin3?10及び18?29のうちデータ接点として機能するものが互いに隣り合ったものか否かは、いずれも明らかでない点。

[相違点2]
本件発明1においては、「嵌合イベント中に前記第2のデバイスと通信することが可能である前記電子デバイスに関連する識別情報、接点構成情報及び認証情報を用いてプログラムされるコンピュータ読み取り可能なメモリと、前記タブが前記リセプタクルコネクタに挿入されるとき、前記接点構成情報は、前記第1及び第2のデータ接点で電気的に接触する前記リセプタクルコネクタの接点を介して前記第2のデバイスが用いることができる複数の異なる通信プロトコルの一つを識別し」との構成を備えているのに対して、
引用発明においては、かかる構成を備えているとはいえないものの(下方の(3)も参照)、「メディア装置310との接続に応じて前記メディア装置310と通信することが可能であるケーブル100に関するケーブルタイプ(USB、Firewire、アナログ音声、デジタル音声、コンポジット映像、コンポーネント映像、Sビデオ、HDMI、DVI等)を識別するケーブル識別信号、及び認証応答を送信するマイクロコントローラ210及び認証用コプロセッサ220」を備え、
更に「前記信号のpin3?10及び18?29は、FireWire用の信号のpin3、5、7及び9、USB用の信号のpin4、6及び8、外部アクセサリ識別の用のpin10、受信データ用のpin18、送信データ用のpin19、アクセサリ検出用のpin20、Sビデオ用のpin21及び22、コンポジット映像のpin23、リモート検出用のpin24、移動体装置のライン入力・出力のpin25?28、並びに音声リターンのpin29からなり、pinに対する信号の割当てがされて」いる点。

(3)判断
事案に鑑みて、相違点2について先に検討する。
引用発明においては、「前記信号のpin3?10及び18?29は、FireWire用の信号のpin3、5、7及び9、USB用の信号のpin4、6及び8、外部アクセサリ識別の用のpin10、受信データ用のpin18、送信データ用のpin19、アクセサリ検出用のpin20、Sビデオ用のpin21及び22、コンポジット映像のpin23、リモート検出用のpin24、移動体装置のライン入力・出力のpin25?28、並びに音声リターンのpin29からなり、pinに対する信号の割当てがされて」いるから、各通信プロトコルは専用のpinを用いている。
そうすると、引用発明は、信号用の各pinに異なる通信プロトコルが適用されることはないから、本件発明1の「第1及び第2のデータ接点で電気的に接触する前記リセプタクルコネクタの接点を介して前記第2のデバイスが用いることができる複数の異なる通信プロトコル」に相当する構成を備えておらず、且つ、当該構成を備える必要性もない。
また、引用発明において、「第1及び第2のデータ接点で電気的に接触する前記リセプタクルコネクタの接点を介して前記第2のデバイスが用いることができる複数の異なる通信プロトコル」に相当する構成を備えることが、引用文献2又は引用文献3に開示されているものでもない。
したがって、引用発明において、前記相違点2に係る本件発明1の構成のうちの「前記タブが前記リセプタクルコネクタに挿入されるとき、前記接点構成情報は、前記第1及び第2のデータ接点で電気的に接触する前記リセプタクルコネクタの接点を介して前記第2のデバイスが用いることができる複数の異なる通信プロトコルの一つを識別し」との構成は、当業者が容易に想到し得たとはいえない。
よって、相違点1について検討するまでもなく、本件発明1は、引用発明並びに引用文献2及び3に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

2 本件発明2?4及び6について
本件発明2?4及び6は、本件発明1を更に減縮したものであるから、上記本件発明1についての判断と同様の理由により、引用発明並びに引用文献2及び3に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

第6 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
1 異議申立1について
異議申立人は、下記甲第1?5号証を挙げ、本件特許の訂正前の請求項15に係る発明は、甲第1?5号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである旨主張する。
甲第1号証:特開2002-7010号公報
甲第2号証:特表2010-503134号公報
甲第3号証:米国特許第5442243号明細書
甲第4号証:特表2007-500921号公報
甲第5号証:米国特許出願公開2009/0292835号明細書

そこで、異議申立人の上記主張について検討する。
上記甲第2?4号証は、前記「第5」で検討した引用文献1?3と同じものであるから、これらの証拠についての検討は省略する。
(1)甲第1号証について
甲第1号証には、「また、好ましい態様として、データ通信用の接続端子を除く所定の接続端子を、複数種の接続規格について共通用の第5接続端子として設定することができる。」(段落【0009】)、及び「特許請求の範囲との関係について補充説明すると、1番ピン49a、2番ピン49bが、第1の接続規格(USB規格)専用のデータ通信を行う第1接続端子となる。3番ピン49c乃至49gが、第2の接続規格(RS232C)専用のデータ通信を行う第2接続端子となる。また、12番ピン49lが、接続規格の識別信号が付与される第3接続端子となる。10番ピン49jが、識別信号を付与するトリガ信号を付与するための第4接続端子となる。8番ピン49h乃至49mが、複数の接続規格共通用の第5接続端子となる。なお、第10番ピンj、12番ピン49lは、接続規格を識別するために用いられる関係上複数の接続規格共通用とされるが、接続規格の識別後は特に必要とされないものである(この意味において、接続規格の識別後も複数の接続規格について共用とされるその他の第5接続端子49h、49i、49k、49mとは区別される得る)。なお、上記第3接続端子、第4接続端子は、接続規格に応じたデータ通信用としては用いられない(接続規格として3種類以上設けたときも同じ)。」(段落【0046】)と記載されており、また、【図19】を参照すると、接続規格共通用の第5接続端子としての8番ピン49hは「DCIN」用、9番ピン49iは「DC+B」用、10番ピン49jは「HOT SYNC」用、11番ピン49kは「DCOUT」用、12番ピン49lは「CHT」用、13番ピン49mは「GND」用であることが分かる。
上記の事項から、甲第1号証に記載された発明においては、データはUSB専用のピンとRS232C専用のピンを用いて、それぞれデータ通信され、接続規格共通用の第5接続端子(49h?49m)は、データ通信には用いられないから、データ用の各ピンに異なる通信プロトコルが適用されることはないといえる。
そうすると、甲第1号証に記載された発明は、本件発明1の「第1及び第2のデータ接点で電気的に接触する前記リセプタクルコネクタの接点を介して前記第2のデバイスが用いることができる複数の異なる通信プロトコル」に相当する構成を備えておらず、当該構成を備える必要性もない。
したがって、甲第1号証に記載された発明は、前記相違点2に係る本件発明1の構成のうちの「前記タブが前記リセプタクルコネクタに挿入されるとき、前記接点構成情報は、前記第1及び第2のデータ接点で電気的に接触する前記リセプタクルコネクタの接点を介して前記第2のデバイスが用いることができる複数の異なる通信プロトコルの一つを識別し」との構成を開示するものではない。

(2)甲第5号証について
甲第5号証のFIG.3Aには、「Firewire signal」用としてピンPin3、5、7及び9が、「USB signal」用としてPin4及び6が、「Line level input」用及び「Line level output」用としてPin25?28が、「Audio return-Signal」用としてPin29が、それぞれ記載されている。
そうすると、甲第3号証に記載された発明は、「Firewire signal」、「USB signal」、「Line level input」及び「Line level output」の3種類が、異なるピンを用いて通信されるから、各ピンに異なる通信プロトコルが適用されることはなく、したがって、本件発明1の「第1及び第2のデータ接点で電気的に接触する前記リセプタクルコネクタの接点を介して前記第2のデバイスが用いることができる複数の異なる通信プロトコル」に相当する構成を備えておらず、当該構成を備える必要性もない。
したがって、甲第5号証に記載された発明は、前記相違点2に係る本件発明1の構成のうちの「前記タブが前記リセプタクルコネクタに挿入されるとき、前記接点構成情報は、前記第1及び第2のデータ接点で電気的に接触する前記リセプタクルコネクタの接点を介して前記第2のデバイスが用いることができる複数の異なる通信プロトコルの一つを識別し」との構成を開示するものではない。

(3)小括
以上のことから、本件発明1は、甲第1?5号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。
したがって、異議申立1の特許異議申立理由によっては、本件発明1に係る特許を取り消すことはできない。

2 異議申立2について
異議申立人は、下記甲第1?11号証を挙げ、本件特許の訂正前の請求項15?20に係る発明は、甲第1?11号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである旨主張する。
甲第1号証:「株式会社アーバン御中 納入仕様書 通称名:USB-Serial変換ケーブル 型番:REX-USB60F-UB」,ラトックシステム株式会社システムソリューション事業部,(文書管理番号:SSMS2009-064),2009年11月27日,p1-p7
甲第2号証:ラトックシステム株式会社,“USBシリアルコンバーターREX-USB60F”,[online],[2018年7月26日検索],インターネット
<URL:http://www.ratocsystems.com/company/oem/usb60f.html>
甲第3-1号証:インターフェイス株式会社,“バスパワーとは”,[online],[2018年7月9日検索],インターネット
<URL:https://www.itf.co.jp/tech/road-to-usb-master/buspower>
甲第3-2号証:インターフェイス株式会社,“USBデバイス状態遷移図”,[online],[2018年8月20日検索],インターネット
<URL:https://www.itf.co.jp/tech/road-to-usb-master/usb-status>
甲第4号証:Wikipedia,“ユニバーサル・シリアル・バス”,[online],2018年8月13日,[2018年8月20日検索],インターネット
<URL:https://ja.wikipedia.org/wiki/ユニバーサル・シリアル・バス>
甲第5号証:Future Technology Devices International Limited,「Future Technology Devices International Ltd.FT232BL/BQ USB UART IC」,FTDI Chip,Document No.:FT_000329,FT232BL/BQ USB UART IC Datasheet Version 2.2,Clearance No.:FTDI#171,2011年11月7日,p1-p34
甲第6号証:CQ出版社,“USBの基礎知識--パケットのフォーマットからプロトコルの詳細まで”,[online],2007年3月22日,[2018年8月20日検索],インターネット
<URL:http://www.kumikomi.net/archives/2007/03/22usbl.php?page=7>
甲第7号証:特開2002-7010号公報
甲第8号証:特表2010-503134号公報
甲第9号証:米国特許第5442243号明細書
甲第10号証:特表2007-500921号公報
甲第11号証:米国特許出願公開2009/0292835号明細書

そこで、異議申立人の上記主張について検討する。
上記甲第8?10号証は、前記「第5」で検討した引用文献1?3と同じものであり、また、上記甲第7及び11号証は、前記「1」で検討した甲第1及び5号証と同じものであるから、これらの証拠についての検討は省略する。
(1)甲第1号証について
甲第1号証は、ラトックシステム株式会社システムソリューション事業所が株式会社アーバン向けに作成した納入仕様書にすぎず、その公知日も示されていない。
そうすると、甲第1号証は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において頒布された刊行物であるとも、また、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において電気通信回線を通じて公衆に利用可能となったものともいえない。
したがって、甲第1号証を基にして、本件発明1は当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。

また、甲第1号証には、ラトックシステム株式会社のUSB-Serial変換ケーブルで型番:REX-USB60F-UBについての製品概要、製品特徴、製品スペック、外観、主要部品リスト、ハードウェア・ブロック図、シリアル側ピンアサイン図及びケーブル結線図、検査手順等が記載されており、4ページの「[5]外観」及び「[6]ハードウェア・ブロック図」を参照すると、変換基板部を介してUSBコネクタとRS232Cコネクタとが接続されていることがわかる。
ところで、甲第1号証に記載された発明は、USB-Serial変換ケーブルであるから、変換基板部とUSBコネクタとの間はUSBの通信プロトコルで、変換基板部とRS232Cコネクタとの間はRS232の通信プロトコルで、それぞれ通信されると理解するのが自然であって、各コネクタに複数の異なる通信プロトコルが適用されることはないといえる。
そうすると、甲第1号証に記載された発明は、本件発明1の「第1及び第2のデータ接点で電気的に接触する前記リセプタクルコネクタの接点を介して前記第2のデバイスが用いることができる複数の異なる通信プロトコル」に相当する構成を備えておらず、且つ、当該構成を備える必要性もない。
したがって、甲第1号証に記載された発明は、前記相違点2に係る本件発明1の構成のうちの「前記タブが前記リセプタクルコネクタに挿入されるとき、前記接点構成情報は、前記第1及び第2のデータ接点で電気的に接触する前記リセプタクルコネクタの接点を介して前記第2のデバイスが用いることができる複数の異なる通信プロトコルの一つを識別し」との構成を開示するものではない。

(2)甲第2証について
甲第2号証は、2018年7月26日に異議申立人によりアクセスされたものであるから、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において電気通信回線を通じて公衆に利用可能となったものではなく、更に、甲第2号証に記載された発明と同じ内容のものが、アクセス先において、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において電気通信回線を通じて公衆に利用可能となっていたことも示されていない。

また、甲第2号証には、ラトックシステム株式会社の「USBシリアルコンバータREX-USB60F」のカスタマイズ例、特徴、使用例等が記載されており、1ページの「<使用例>」に記載の図面、及び2ページの「<使用例>」に記載の図面を参照すると、REX-USB60Fの本体部分を介してUSBコネクタとRS232Cコネクタとが接続されていることがわかる。
ところで、甲第2号証に記載された発明は、USBシリアルコンバータであるから、前記本体部分とUSBコネクタとの間はUSBの通信プロトコルで、前記本体部分とRS232Cコネクタとの間はRS232の通信プロトコルで、それぞれ通信されると理解するのが自然であって、各コネクタに複数の異なる通信プロトコルが適用されることはないといえる。
そうすると、甲第2号証に記載された発明は、本件発明1の「第1及び第2のデータ接点で電気的に接触する前記リセプタクルコネクタの接点を介して前記第2のデバイスが用いることができる複数の異なる通信プロトコル」に相当する構成を備えておらず、且つ、当該構成を備える必要性もない。
したがって、甲第2号証に記載された発明は、前記相違点2に係る本件発明1の構成のうちの「前記タブが前記リセプタクルコネクタに挿入されるとき、前記接点構成情報は、前記第1及び第2のデータ接点で電気的に接触する前記リセプタクルコネクタの接点を介して前記第2のデバイスが用いることができる複数の異なる通信プロトコルの一つを識別し」との構成を開示するものではない。

(3)甲第3-1、3-2、4及び6号証について
甲第3-1号証は2018年7月9日に、甲第3-2号証は2018年8月20日に、甲第4号証は2018年8月20日に、甲第6号証は2018年8月20日に、それぞれ異議申立人によりアクセスされたものであるから、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において電気通信回線を通じて公衆に利用可能となったものではなく、更に、甲第3-1、3-2、4及び6号証に記載された発明と同じ内容のものが、各アクセス先において、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において電気通信回線を通じて公衆に利用可能となっていたことも示されていない。

また、甲第3-1号証には「バスパワー」についての技術解説が、甲第3-2号証には「USBデバイス状態遷移図」についての技術解説が、甲第4号証には「ユニバーサル・シリアル・バス」についてのウィキペディアによる解説が、甲第6号証にはUSBに関して「データ転送を伴うコントロール転送の動作」について解説が、それぞれ記載されている。
しかし、甲第3-1、3-2、4及び6号証は、前記相違点2に係る本件発明1の構成のうちの「前記タブが前記リセプタクルコネクタに挿入されるとき、前記接点構成情報は、前記第1及び第2のデータ接点で電気的に接触する前記リセプタクルコネクタの接点を介して前記第2のデバイスが用いることができる複数の異なる通信プロトコルの一つを識別し」との構成を開示するものではない。

(4)甲第5号証について
甲第5号証の34ページには「Version 2.2」及び「07^(th)Nov 2011」と記載されており、当該記載によれば、甲第5号証は、2011年11月7日に改訂された第2.2版であるから、本件特許の優先日(最先の優先日:2011年11月7日)前に日本国内又は外国において頒布された刊行物であるとも、また、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において電気通信回線を通じて公衆に利用可能となったものともいえない。

進んで、甲第5号証に記載された事項に関して検討する。
甲第5号証には、FTDI社の「FT232B」について記載されており、「ハンドシェーキング」及び「バスパワー」についての記載がある。
しかし、甲第5号証は、本件発明1の「嵌合イベント中に前記第2のデバイスと通信することが可能である前記電子デバイスに関連する識別情報、接点構成情報及び認証情報を用いてプログラムされるコンピュータ読み取り可能なメモリと、前記タブが前記リセプタクルコネクタに挿入されるとき、前記接点構成情報は、前記第1及び第2のデータ接点で電気的に接触する前記リセプタクルコネクタの接点を介して前記第2のデバイスが用いることができる複数の異なる通信プロトコルの一つを識別し、・・・ (i)前記第1の接点を介して、前記電子デバイスと前記第2の電子デバイスとの間で情報を交換して、前記第2のデバイスに対して前記電子デバイスを認証する認証ルーチンに関与し、(ii)前記第2のデバイスから、前記第1の接点を介してコマンドを受け取ること及び、前記電子デバイスに関する接点構成情報を含む前記コマンドに対する応答を、前記第1の接点を介して前記第2のデバイスに送信することを含むハンドシェークアルゴリズムに関与する」との構成を開示するものではない。

(5)小括
以上のことから、本件発明1は、甲第1?11号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
また、本件発明2?6は、本件発明1を更に減縮したものであるから、上記本件発明1についての判断と同様の理由により、甲第1?11号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
したがって、異議申立2の特許異議申立理由によっては、本件発明1?6に係る特許を取り消すことはできない。

第7 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由、並びに異議申立1及び2の特許異議申立理由によっては、本件発明1?6に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件発明1?6に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子アクセサリであって、
第1及び第2の端部を有するケーブルと、
前記ケーブルの第1の端部に接続されたUSB雄型コネクタと、
前記ケーブルの第2の端部に接続された外部接点プラグコネクタであって、第1の配向若しくは、前記第1の配向から180度回転した第2の配向にあり、嵌合イベント中に、リセプタクルコネクタに挿入されるように適合し、対向する第1及び第2の面を含むタブを有する外部接点プラグコネクタと、
前記タブの前記第1の面に形成され、第1の列に沿って間隔を空けて配置され、第1のID接点及び第1の電源接点を含む第1の一連の接点を含む第1の接点領域と、
前記タブの前記第2の面に形成され、第2の列に沿って間隔を空けて配置され、第2のID接点及び第2の電源接点を含む第2の一連の接点を含む第2の接点領域と、
前記第1及び第2のID接点と結合し、嵌合イベントに応答してハンドシェークアルゴリズムに関与するように構成され、前記ハンドシェークアルゴリズムは、前記第1又は第2のID接点を介してコマンドを受け取ること、及び前記コマンドを受け取った同一のID接点を介して、前記プラグコネクタに関する構成情報を提供する、前記コマンドに対する応答を送信することを含む識別回路と、
前記第1及び第2の電源接点と結合し、電力を送り、前記プラグコネクタを介して前記電子アクセサリに結合するデバイスを充電するように構成される電源回路と、
を備える電子アクセサリ。
【請求項2】
前記第1及び第2のID接点に結合し、前記デバイスに前記電子アクセサリを認証する認証ルーチンに関与するように構成される認証回路を更に備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の電子アクセサリ。
【請求項3】
前記タブは、対向する前記第1及び第2の面の間に延びる、対向する第3及び第4の面と、前記第3の面に形成された第1の保持特徴部と、前記第1の保持特徴部と反対側にある前記第4の面に形成された第2の保持特徴部とを更に含み、前記第1及び第2の保持特徴部は、対応するリセプタクルコネクタの保持特徴部と係合する、
ことを特徴とする請求項1に記載の電子アクセサリ。
【請求項4】
前記第1の接点領域が形成される前記タブの前記第1の面に第1の開口と、前記第2の接点領域が形成される前記タブの前記第2の面に第2の開口とを含み、前記タブの外側表面を囲む金属フレームを更に備え、誘電材料が、前記第1及び第2の列にある各接点を囲み、前記金属フレームから前記接点を電気的に絶縁する、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の電子アクセサリ。
【請求項5】
電子アクセサリであって、
第1の配向若しくは、前記第1の配向から180度回転した第2の配向にあり、嵌合イベント中にリセプタクルコネクタに挿入されるように適合し、対向する第1及び第2の面を含むタブを有するプラグコネクタと、
前記タブの前記第1の面に形成され、第1の列に沿って間隔を空けて配置され、第1のID接点及び第1の電源接点を含む第1の一連の接点を含む第1の接点領域と、
前記タブの前記第2の面に形成され、前記第1の列の鏡写しとなる第2の列に沿って間隔を空けて配置され、前記第1のID接点と結合した第2のID接点及び前記第1の電源接点と結合した第2の電源接点を含む第2の一連の接点を含む第2の接点領域と、
前記第1及び第2のID接点と結合し、嵌合イベントに応答してハンドシェークアルゴリズムに関与するように構成され、前記ハンドシェークアルゴリズムは、前記第1又は第2のID接点を介してコマンドを受け取ること、及び、前記コマンドを受け取った同一のID接点を介して、前記プラグコネクタに関する構成情報を提供する、前記コマンドに対する応答を送信することを含む識別回路と、
前記第1及び第2のID接点に結合し、前記デバイスに前記電子アクセサリを認証する認証ルーチンに関与するように構成される認証回路と、
前記第1及び第2の電源接点と結合し、電力を送り、前記プラグコネクタを介して前記電子アクセサリに結合するデバイスを充電するように構成される電源回路と、
を備える電子アクセサリ。
【請求項6】
前記電源回路は、入力電圧が、一過性の方式で変動する場合に、前記第1及び第2の電源接点を介して送られる定電流を提供するように構成される電流調整器を含む、
ことを特徴とする請求項5に記載の電子アクセサリ。
【請求項7】
前記タブは、対向する前記第1及び第2の面の間に延びる、対向する第3及び第4の面と、前記第3の面に形成された第1の保持特徴部と、前記第1の保持特徴部と反対側にある前記第4の面に形成された第2の保持特徴部とを更に含み、前記第1及び第2の保持特徴部は、対応するリセプタクルコネクタの保持特徴部と係合する、
ことを特徴とする請求項5に記載の電子アクセサリ。
【請求項8】
前記タブは、前記第1の接点領域が形成される前記タブの前記第1の面に第1の開口と、前記第2の接点領域が形成される前記タブの前記第2の面に第2の開口とを含む、前記タブの外側表面に沿った金属フレームを備え、
誘電材料が、前記第1及び第2の列にある各接点を囲み、前記金属フレームから前記接点を電気的に絶縁する、
ことを特徴とする請求項5に記載の電子アクセサリ。
【請求項9】
前記第1及び第2の接点領域の各々は、一連の8つの外部接点を含む、
ことを特徴とする請求項5に記載の電子アクセサリ。
【請求項10】
前記第1の接点領域は、第1のペアのユニバーサルシリアルバス(USB)データ接点を更に含み、
前記第2の接点領域は、前記第1のペアのUSBデータ接点に電気的に結合する第2のペアのUSBデータ接点を更に含む、
ことを特徴とする請求項5に記載の電子アクセサリ。
【請求項11】
前記第1の接点領域は、前記タブを長手方向に二等分する中心線に対する第1側に第1のペアのユニバーサルシリアルバス(USB)データ接点を、前記第1側と反対にある前記中心線に対する第2側に第1のペアのシリアル送受信データ接点を更に含み、
前記第2の接点領域は、中心線に対する前記第1側に、前記第1のペアのUSBに結合した第2のペアのUSBデータ接点を、中心線に対する前記第2側に、前記第1のペアのシリアル送受信データ接点と結合した第2のペアのシリアル送受信データ接点を更に含む、
ことを特徴とする請求項5に記載の電子アクセサリ。
【請求項12】
前記電子アクセサリは、充電ケーブルであり、USB雄型コネクタと、前記USB雄型コネクタに前記プラグコネクタを結合させるケーブルとを更に備える、
ことを特徴とする請求項5から11のいずれか1項に記載の電子アクセサリ。
【請求項13】
前記電子アクセサリは、ハウジングを更に備えるドッキングステーションであり、前記プラグコネクタは、前記ハウジングの表面から上向きに延出する、
ことを特徴とする請求項5から11のいずれか1項に記載の電子アクセサリ。
【請求項14】
前記電子アクセサリは、(i)前記プラグコネクタと物理的に互換性がないアダプタリセプタクルコネクタと、(ii)前記アダプタリセプタクルコネクタの接点を介して受け取った信号を、前記プラグコネクタの前記第1及び第2の一連の接点を介して送信されることが可能な信号に変換するように動作可能に結合した変換回路と、を備えるアダプタである、
ことを特徴とする請求項5から11のいずれか1項に記載の電子アクセサリ。
【請求項15】
電子デバイスであって、
嵌合イベント中に第2のデバイスのリセプタクルコネクタに挿入されるように構成され、対向する第1及び第2の面並びに、第1の列に沿って間隔を空けて配置され、第1の接点、電源接点、互いに隣り合った第1及び第2のデータ接点、及び接地接点を含み、タブの前記第1の面に形成される一連の接点を含む接点領域を備えるタブを有するプラグコネクタと、
嵌合イベント中に前記第2のデバイスと通信することが可能である前記電子デバイスに関連する識別情報、接点構成情報及び認証情報を用いてプログラムされるコンピュータ読み取り可能なメモリと、前記タブが前記リセプタクルコネクタに挿入されるとき、前記接点構成情報は、前記第1及び第2のデータ接点で電気的に接触する前記リセプタクルコネクタの接点を介して前記第2のデバイスが用いることができる複数の異なる通信プロトコルの一つを識別し、
前記第1の接点に結合し、前記プラグコネクタが前記リセプタクルコネクタに挿入される嵌合イベントの後に、
(i)前記第1の接点を介して、前記電子デバイスと前記第2の電子デバイスとの間で情報を交換して、前記第2のデバイスに対して前記電子デバイスを認証する認証ルーチンに関与し、
(ii)前記第2のデバイスから、前記第1の接点を介してコマンドを受け取ること及び、前記電子デバイスに関する接点構成情報を含む前記コマンドに対する応答を、前記第1の接点を介して前記第2のデバイスに送信することを含むハンドシェークアルゴリズムに関与する、
ように構成される回路と、
前記電源接点に接続され、電力を送り、前記プラグコネクタを介して前記電子デバイスに結合するデバイスを充電する電源回路と、
を備える電子デバイス。
【請求項16】
前記接点領域は、ペアの差異データ接点を更に含む、
ことを特徴とする請求項15に記載の電子デバイス。
【請求項17】
前記ペアの差異データ接点は、ペアのUSBデータ接点である、
ことを特徴とする請求項16に記載の電子デバイス。
【請求項18】
前記電子デバイスは、充電ケーブルであり、USB雄型コネクタと、前記USB雄型コネクタに前記プラグコネクタを結合させるケーブルとを更に備える、
ことを特徴とする請求項17に記載の電子アクセサリ。
【請求項19】
前記電源回路は、入力電圧が一過性の方式で変動する場合に、前記電源接点を介して送られる定電流を提供するように構成される電流調整器を含む、
ことを特徴とする請求項15に記載の電子アクセサリ。
【請求項20】
前記タブは、前記タブの外側表面を画定し、前記接点領域が形成される前記タブの前記第1の面に開口を含む金属フレームを備え、
誘電材料が、前記複数の接点の各接点を囲み、前記金属フレームから前記接点を電気的に絶縁する、
ことを特徴とする請求項15に記載の電子デバイス。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2019-03-29 
出願番号 特願2016-167664(P2016-167664)
審決分類 P 1 652・ 121- YAA (H01R)
最終処分 維持  
前審関与審査官 前田 仁  
特許庁審判長 大町 真義
特許庁審判官 内田 博之
小関 峰夫
登録日 2018-02-09 
登録番号 特許第6284991号(P6284991)
権利者 アップル インコーポレイテッド
発明の名称 外部接点を有する双配向電子コネクタ  
代理人 田中 伸一郎  
代理人 弟子丸 健  
代理人 弟子丸 健  
代理人 西島 孝喜  
代理人 アイアット国際特許業務法人  
代理人 大塚 文昭  
代理人 田中 伸一郎  
代理人 大塚 文昭  
代理人 西島 孝喜  
代理人 アイアット国際特許業務法人  
代理人 那須 威夫  
代理人 那須 威夫  
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