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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  G06Q
管理番号 1351454
異議申立番号 異議2019-700063  
総通号数 234 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2019-06-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2019-01-30 
確定日 2019-05-16 
異議申立件数
事件の表示 特許第6369968号発明「情報提供システム、情報提供方法、プログラム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6369968号の請求項1ないし6に係る特許を維持する。 
理由 1 手続の経緯
特許第6369968号の請求項1?6に係る特許についての出願は,平成30年3月15日に特許出願され,平成30年7月20日にその特許権の設定登録がされ,平成30年8月8日に特許掲載公報が発行された。その後,その特許に対し,平成31年1月30日に特許異議申立人坂口弘明により特許異議の申立てがされたものである。

2 本件発明
特許第6369968号の請求項1?6の特許に係る発明(以下,請求項1?6に係る発明をそれぞれ「本件発明1」?「本件発明6」という)は,それぞれ,その特許請求の範囲の請求項1?6に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】
従業員が属する企業の企業情報及び経営者が経営する企業の企業情報の少なくとも何れかを記憶する第1記憶手段と,
従業員の属性を示す属性情報及び経営者の属性を示す属性情報の少なくとも何れかを記憶する第2記憶手段と,
通信端末に表示したWebサイト内での従業員及び経営者の少なくとも何れかの行動に関するログを示す行動ログを取得する取得手段と,
前記取得手段が取得した行動ログ,前記第1記憶手段にて当該行動ログが取得された従業員及び経営者の少なくとも何れかに対応づけられている企業情報,並びに前記第2記憶手段にて当該行動ログが取得された従業員及び経営者の少なくとも何れかに対応づけられている属性情報を基に,当該企業に紹介する企業を選定する選定手段と,
を有する情報提供システム。
【請求項2】
前記Webサイトは,従業員及び経営者の少なくとも何れかがアクセス可能な複数種類の情報を含み構成されており,
前記行動ログは,前記Webサイトに表示される前記複数種類の情報に対して従業員及び経営者の少なくとも何れかがアクセスしたアクセスログである請求項1に記載の情報提供システム。
【請求項3】
前記行動ログは,前記Webサイト内で従業員及び経営者の少なくとも何れかと他者との会話のやり取りのログである請求項1又は2に記載の情報提供システム。
【請求項4】
前記企業の企業情報は,当該企業を第三者が評価した評価情報を含んでおり, 前記選定手段は,選定した企業が複数あるとき,前記評価情報を基に,選定した複数の企業に優先順位を付ける請求項1乃至3の何れか1項に記載の情報提供システム。
【請求項5】
記憶手段,取得手段,及び選択手段を有するコンピュータが実行する情報提供方法であって,
記憶手段が,従業員が属する企業の企業情報及び経営者が経営する企業の企業情報の少なくとも何れかと,従業員の属性を示す属性情報及び経営者の属性を示す属性情報の少なくとも何れかとを記憶する記憶ステップと,
取得手段が,通信端末に表示したWebサイト内での従業員及び経営者の少なくとも何れかの行動に関するログを示す行動ログを取得する取得ステップと,
選択手段が,前記取得ステップで取得した行動ログ,前記記憶手段にて当該行動ログが取得された従業員及び経営者の少なくとも何れかに対応づけられている企業情報,並びに前記記憶手段にて当該行動ログが取得された従業員及び経営者の少なくとも何れかに対応づけられている属性情報を基に,当該企業に紹介する企業を選定する選定ステップと,
を有する情報提供方法。
【請求項6】
記憶手段が,従業員が属する企業の企業情報及び経営者が経営する企業の企業情報の少なくとも何れかと,従業員の属性を示す属性情報及び経営者の属性を示す属性情報の少なくとも何れかとを記憶する記憶ステップと,
取得手段が,通信端末に表示したWebサイト内での従業員及び経営者の少なくとも何れかの行動に関するログを示す行動ログを取得する取得ステップと,
選択手段が,前記取得ステップで取得した行動ログ,前記記憶手段にて当該行動ログが取得された従業員及び経営者の少なくとも何れかに対応づけられている企業情報,並びに前記記憶手段にて当該行動ログが取得された従業員及び経営者の少なくとも何れかに対応づけられている属性情報を基に,当該企業に紹介する企業を選定する選定ステップと,
をコンピュータに実行させるプログラム。」

3 申立理由の概要
特許異議申立人坂口弘明は,以下の甲第1号証?甲第13号証を証拠方法として提出した。
そして,甲第1号証を主たる証拠とし,また,甲第2号証?甲第13号証を従たる証拠として,請求項1?6に係る特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから,請求項1?6に係る特許を取り消すべきものである旨主張している。

<証拠方法>
甲第 1号証:特開2016-118957号公報
甲第 2号証:特開2007-79963号公報
甲第 3号証:特開2011-76360号公報
甲第 4号証:特開2016-91301号公報
甲第 5号証:特開2003-303274号公報
甲第 6号証:特開2002-169986号公報
甲第 7号証:特開2006-331358号公報
甲第 8号証:特開2003-186975号公報
甲第 9号証:Fuji Sankei Business i.,2017年10月2日,9ページ
甲第10号証:中部経済新聞,2017年10月27日,第4面
甲第11号証:日本経済新聞,地方経済面 北陸,2018年1月24日,第37面
甲第12号証:ニッキン,2018年1月26日,第7面
甲第13号証:特開2006-215797号公報

4 各甲号証の記載
(1)甲第1号証(特開2016-118957号公報)
甲第1号証には以下の記載がある。なお下線は当審において付加したものである。
ア 「【0009】
<実施形態1>
図1は,取引先情報出力システムのシステム構成の一例を示す図である。A社,B社,C社は,銀行の取引先企業であるとする。以下では,銀行の取引先企業のことを銀行取引先企業とする。
取引先情報出力システムは,管理サーバ100,銀行内システム101,IPアドレス企業名マッチングシステム102,Webサイト106?108等を含む。
Webサイト106?108は,それぞれA社,B社,C社のWebサイトである。Webサイト106?108は,アクセスを受けると,アクセス元のCookie情報をアクセス履歴情報としてIPアドレス企業名マッチングシステム102へ送信する。Webサイト106?108は,それぞれA社,B社,C社の製品等についてのWebページを含む。
【0010】
IPアドレス企業名マッチングシステム102は,Webサイト106?108からアクセス元のCookie情報をアクセス履歴情報として取得する。IPアドレス企業名マッチングシステム102は,取得したアクセス履歴情報のIPアドレスに基づいて,前記アクセス履歴情報に対応するWebサイトにアクセスした企業を特定する。IPアドレス企業名マッチングシステム102は,銀行取引先企業ごとにアクセス履歴情報を記憶する記憶装置を含むサーバ装置で構成されるものとする。
また,IPアドレス企業名マッチングシステム102は,アクセス履歴情報DB103?105を含む。アクセス履歴情報DB103?105は,それぞれWebサイト106?108のアクセス履歴情報を記憶する。
【0011】
管理サーバ100は,IPアドレス企業名マッチングシステム102からWebサイト106?108のアクセス履歴情報を取得し,銀行取引先企業の抽出を行う。また,管理サーバ100は,抽出した銀行取引先企業に関する情報を銀行内システム101に対して出力する。本実施形態では,管理サーバ100は,単体のサーバ装置で構成されているものとする。管理サーバ100は,IPアドレス企業名マッチングシステム102からアクセス履歴情報から特定されたアクセス元の企業情報や,Webサイトのアクセス数等の情報を定期的に取得する。管理サーバ100は,前記情報を取得するタイミングを,Webサイトへのアクセスごと,Webサイトへのアクセスが一定数を超えるごと,1週ごと,半月ごと,1月ごと,等のように任意に設定できる。
銀行内システム101は,有線又は無線で管理サーバ100と接続され,管理サーバ100から出力された出力データをユーザインターフェースに表示したり,記憶装置に記憶したりする。銀行内システム101は,銀行内のコンピュータ,銀行内のデータベースサーバ等で構成される。
【0012】
図2は,管理サーバ100のハードウェア構成の一例を示す図である。管理サーバ100は,CPU200,RAM201,記憶装置202,ネットワークI/F203等を含む。
CPU200は,RAM201に読み出された制御プログラム等を実行し,管理サーバを統括的に制御するCPUである。RAM201は,CPU200の主メモリ又は,ワークメモリとして機能する主記憶装置である。記憶装置202は,プログラム,データ等を記憶する記憶装置であり,ROMやハードディスク等で構成される。ネットワークI/F203は,銀行内システム101,IPアドレス企業名マッチングシステム102等との接続に利用されるネットワークインターフェースである。
CPU200が記憶装置202等の記憶装置に記憶されたプログラムに基づき処理を実行することによって,後述する管理サーバ100の機能及びフローチャートの処理が実現される。」

イ 「【0024】
[ビジネスマッチング目的の取引先情報出力処理]
CPU200は,IPアドレス企業名マッチングシステム102から取得したWebサイト106?108のアクセス履歴情報に基づいて,設定された条件が示す期間における銀行取引先企業ごとのWebサイトへのアクセス数の集計をアクセス元ごとに行う。前記条件は,予め管理サーバ100内にファイル等として保持されていてもよい。銀行内システム101内のコンピュータは,ディスプレイや入力装置等のユーザインターフェースを介して前記条件の設定情報を取得し,管理サーバ100に前記設定情報を送信することができる。管理サーバ100は,前記コンピュータから送信された設定情報に基づいて,ファイル等として保持している前記条件の内容を変更することができる。
図10は,集計結果の一例を示す図である。図10は,直近30日間におけるA社のWebサイトへのアクセス数をアクセス元ごとに集計した例を示している。テーブル1000には,「A社サイトへの訪問企業」と「アクセス数」との項目がある。テーブル1000の「A社サイトへの訪問企業」の項目は,A社のWebサイトにアクセスしてきた企業を示し,テーブル1000の「アクセス数」の項目は,対応する「A社サイトへの訪問企業」がA社のWebサイトへアクセスした回数の集計結果を示している。
【0025】
図11は,評価情報算出処理の一例を示す図である。「直近30日間におけるWebサイトへのアクセス数が100回以上のアクセス元の企業が存在する銀行取引先企業を抽出」という条件が定められている場合の処理を説明する。CPU200は,各銀行取引先企業についてアクセス元ごとにアクセス数を集計する。直近30日間におけるA社のWebサイトへのアクセス数をアクセス元ごとに集計した結果は,図10のテーブル1000であるとする。CPU200は,まず,Webサイトへのアクセス数が100回以上のアクセス元の企業(E社)が存在するので,A社を抽出する。
S1101において,CPU200は,テーブル1000のA社サイトへの訪問企業のすべてについてS1102?S1103の処理が完了したか否かを判定する。CPU200は,テーブル1000のA社サイトへの訪問企業のすべてについてS1102?S1103の処理が完了したと判定した場合,図11の処理を終了する。CPU200は,テーブル1000のA社サイトへの訪問企業のすべてについてS1102?S1103の処理が完了していないと判定した場合,S1102の処理へ進む。
S1102において,CPU200は,テーブル1000のA社サイトへの訪問企業のうちまだ処理が完了していない1つの企業について,アクセス数が基準値以上であるか否かを判定する。CPU200は,前記企業について,アクセス数が基準値以上であると判定した場合,S1103の処理へ進む。CPU200は,前記企業について,アクセス数が基準値以上でないと判定した場合,S1101の処理へ進む。CPU200は,E社についてアクセス数が基準値以上であると判定し,D,F社についてアクセス数が基準値以上でないと判定する。
【0026】
S1103において,CPU200は,S1102でアクセス数が基準値以上であると判定されたA社サイトへの訪問企業に対して,A社への関心度に関する評価値を付与する。CPU200は,E社に対して,A社への関心度の評価値を付与する。CPU200は,関心度評価値テーブルを参照することで,付与するA社への関心度の評価値を決定する。
図12は,関心度評価値テーブルの一例を示す図である。関心度は,評価値「C」?「A」の順で高くなり,評価値「A」が最も関心が高いことを示し,評価値「C」が最も関心が低いことを示す。図12の関心度評価値テーブル1200は,30日間のアクセス数に対応する評価値を保持している。
CPU200は,関心度評価値テーブル1200のアクセス数の項目を参照して,E社のアクセス数がどの範囲に属するかを決定する。CPU200は,E社によるA社サイトへのアクセス数が123なので「100回以上」の範囲に属すると決定する。CPU200は,「100回以上」に対応する評価値である「A」を参照し,評価値「A」をE社に対して付与する。
CPU200は,以上の処理をB社,C社等の他の銀行取引先企業に対しても行う。
CPU200は,銀行取引先企業名と銀行取引先行に対応するアクセス元に付与した評価値とを銀行内システム101へ出力する。
【0027】
取引先情報出力システムのユーザ(銀行員等)は,銀行内システム101のコンピュータ等を利用し,管理サーバ100により付与された各銀行取引先企業のWebサイトのアクセス元の評価値を参照する。そして,前記ユーザは,銀行取引先企業と前記銀行取引先企業のWebサイトのアクセス元の企業とのビジネスマッチングの可能性を判断することになる。
例えば,前記ユーザは,A社への関心が通常よりも高いとされたE社が前記銀行の取引先である場合,A社をE社へ紹介する。CPU200は,銀行取引先企業に通常よりも高い関心を持っているとした企業が前記銀行の取引先であるか否かを判定し,判定結果を銀行内システム101に出力することとしてもよい。CPU200は,前記企業が前記銀行の取引先であるか否かの判定として,前記銀行が有する取引先リストから前記企業を検索する処理を行い,検索された場合,前記企業が前記銀行の取引先であると判定する。前記取引先リストの一例を図13に示す。」

ウ 以上のア及びイの記載から,甲第1号証には以下の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。
「管理サーバ100,銀行内システム101,IPアドレス企業名マッチングシステム102,Webサイト106?108等を含む,取引先情報出力システムであって,
Webサイト106?108は,それぞれA社,B社,C社のWebサイトであり,Webサイト106?108は,アクセスを受けると,アクセス元のCookie情報をアクセス履歴情報としてIPアドレス企業名マッチングシステム102へ送信するものであり,
IPアドレス企業名マッチングシステム102は,Webサイト106?108からアクセス元のCookie情報をアクセス履歴情報として取得し,取得したアクセス履歴情報のIPアドレスに基づいて,前記アクセス履歴情報に対応するWebサイトにアクセスした企業を特定するものであり,
管理サーバ100は,IPアドレス企業名マッチングシステム102からWebサイト106?108のアクセス履歴情報を取得し,銀行取引先企業の抽出を行い,抽出した銀行取引先企業に関する情報を銀行内システム101に対して出力するものであり,
銀行内システム101は,有線又は無線で管理サーバ100と接続され,管理サーバ100から出力された出力データをユーザインターフェースに表示したり,記憶装置に記憶したりするものであり,
管理サーバ100は,CPU200,RAM201,記憶装置202,ネットワークI/F203等を含み,
管理サーバ100のCPU200は,IPアドレス企業名マッチングシステム102から取得したWebサイト106?108のアクセス履歴情報に基づいて,設定された条件が示す期間における銀行取引先企業ごとのWebサイトへのアクセス数の集計をアクセス元ごとに行うものであり,
一例として「直近30日間におけるWebサイトへのアクセス数が100回以上のアクセス元の企業が存在する銀行取引先企業を抽出」という条件が定められている場合に,CPU200は,各銀行取引先企業についてアクセス元ごとにアクセス数を集計し,直近30日間におけるA社のWebサイトへのアクセス数をアクセス元ごとに集計し,まず,Webサイトへのアクセス数が100回以上のアクセス元の企業(E社)が存在するので,A社を抽出し,アクセス数が基準値以上であると判定されたA社サイトへの訪問企業に対して,A社への関心度に関する評価値を付与し,銀行取引先企業名と銀行取引先行に対応するアクセス元に付与した評価値とを銀行内システム101へ出力する処理を行うものであり,
取引先情報出力システムのユーザ(銀行員等)は,銀行内システム101のコンピュータ等を利用し,管理サーバ100により付与された各銀行取引先企業のWebサイトのアクセス元の評価値を参照し,前記ユーザは,銀行取引先企業と前記銀行取引先企業のWebサイトのアクセス元の企業とのビジネスマッチングの可能性を判断し,前記ユーザは,A社への関心が通常よりも高いとされたE社が前記銀行の取引先である場合,A社をE社へ紹介するすることになる,
取引先情報出力システム。」

(2)甲第2号証(特開2007-79963号公報)
甲第2号証には以下の記載がある。なお下線は当審において付加したものである。
ア 「【0050】
末端仲介装置10は,提携希望企業基本DB11に登録されている基本情報と,中央仲介装置30から受信した相手先条件とを,条件判定手段15によりマッチングする(ステップ19)。
そして,基本情報が相手先条件に一致した場合,末端仲介装置10は,条件一致のステータスと署名を,中央仲介装置30に送信する(ステップ20)。
中央仲介装置30は,受信したステータスを交渉ステータスDB32に登録するとともに,署名を証明ステータスDB33に登録する(ステップ21)。
【0051】
同様にして,末端仲介装置20は,中央仲介装置30から相手先条件を取り出して(ステップ22),基本情報と相手先条件とのマッチングを行い(ステップ23),条件が一致する場合に,条件一致のステータスと署名を中央仲介装置30に送信し(ステップ24),中央仲介装置30は,受信したステータスと署名を登録する(ステップ25)。
【0052】
次に,中央仲介装置30は,ステータスチェック手段38により,交渉ステータスDB32の中から双方の基本情報が互いに相手先条件にマッチ(以下,二重マッチと称する場合がある。)しているものを検出する(ステップ26)。
そして,中央仲介装置30は,両社の基本情報が互いに相手先条件にマッチしているものが存在する場合には,末端仲介装置10及び末端仲介装置20に対して,これを示す一致情報を送信する(ステップ27)。この一致情報は,企業コード,相手先条件コード,交渉ステータスコードを含むものとすることができる。
また,中央仲介装置30は,両社の基本情報が互いに相手先条件にマッチしているものが存在しない場合には,末端仲介装置10及び末端仲介装置20に対して,二重マッチするものがなかったことを示す不一致情報を送信する(ステップ28)。」

イ 以上のアの記載から,甲第2号証には以下の発明(以下「甲2発明」という。)が記載されていると認められる。
「末端仲介装置10は,提携希望企業基本DB11に登録されている基本情報と,中央仲介装置30から受信した相手先条件とを,条件判定手段15によりマッチングし,同様にして,末端仲介装置20は,中央仲介装置30から相手先条件を取り出して,基本情報と相手先条件とのマッチングを行い,中央仲介装置30は,両社の基本情報が互いに相手先条件にマッチしているものが存在する場合には,末端仲介装置10及び末端仲介装置20に対して,これを示す一致情報(企業コード,相手先条件コード,交渉ステータスコードを含む)を送信する。」

(3)甲第3号証(特開2011-76360号公報)
甲第3号証には以下の記載がある。なお下線は当審において付加したものである。
ア 「【0022】
情報処理装置10は,質問文とその質問文に対する回答とをユーザと対話的に交換し,ユーザから取得した回答に基づいて(回答を検索条件の一部として)検索対象データを絞り込み,その結果をユーザに提供する。質問文の提供と回答の取得はその結果及び用意された質問の数に応じて複数回繰り返される。
【0023】
例えば,図2に情報処理装置10がユーザ装置20に提供する画面の一例を示した。図2は,ユーザ装置の画面表示の一例を示す説明図である。例えば,レストラン検索において,初めに「ご希望の場所はどこですか?」という質問文を提供し,それに対してユーザが「田町」という回答を送信したとする。情報処理装置10は,「田町にあるレストラン」を,検索対象データの中から抽出し,ユーザに提供する。次に情報処理装置10は,「どんなものが食べたいですか?」と,料理のカテゴリを質問してもよいし,「駐車場はあったほうがいいですか?」と,駐車場の要否を質問してもよい。」

イ 以上のアの記載から,甲第3号証には以下の発明(以下「甲3発明」という。)が記載されていると認められる。
「情報処理装置10は,質問文とその質問文に対する回答とをユーザと対話的に交換し,ユーザから取得した回答に基づいて(回答を検索条件の一部として)検索対象データを絞り込む。」

(4)甲第4号証(特開2016-91301号公報)
甲第4号証には以下の記載がある。なお下線は当審において付加したものである。
ア 「【0021】
図3は,サプライヤ情報共有システム104の構成例を示す図である。サプライヤ情報共有システム104は,アプリケーションサーバ201,DBサーバ207,およびネットワーク接続部202を具備する。これらアプリケーションサーバ201,DBサーバ207,ネットワーク接続部202はLAN等のネットワーク216を介して接続され,アプリケーションサーバ201の主導で必要なデータ授受を行いつつ協働する構成となっている。勿論,サプライヤ情報共有システム104が単体のサーバ装置で構成されているとしてもよい。その場合のサーバ装置は,記憶装置において,アプリケーションサーバ201の機能203?206に応じたプログラムと,DBサーバ207の保持するデータ208?215とを格納し,ネットワーク接続部202に対応する通信装置で外部装置とのデータ通信を実行する構成となる。
・・・(途中省略)・・・
【0026】
他方,DBサーバ207は,ユーザ情報208,ログ情報209,取引先企業情報210,SNSコメント情報211,ログ情報分析結果212,SNSコメント情報分析結果213,取引先企業情報内コメント情報分析結果214,および更新履歴情報215の各情報を保持,管理している。
【0027】
このうちユーザ情報208は,図4に示すように,当該サプライヤ情報共有システム104を利用する発注者たるバイヤー企業と取引先たるサプライヤ企業の,企業名,ユーザID,担当者名,連絡先のメールアドレス,およびバイヤー/サプライヤの属性といった情報から構成されている。
【0028】
また,ログ情報209は,図5に示すように,日時,ログデータ,および関係ユーザといった情報から構成されている。なお,上述のログデータは,ユーザ端末101,102によるサプライヤ情報共有システム104へのログイン,SNSサイトでの書込,取引先企業情報210へのアクセスといった,ログの起源となった処理の種別および対象に関する情報であり,関係ユーザはそうしたログの起源となった処理を行ったバイヤー企業/サプライヤ企業のユーザIDである。
【0029】
また,取引先企業情報210は各サプライヤ企業に関する情報であって,図6に示すように,サプライヤ企業の本社所在地や資本金,従業員数といった企業に関する基本情報のテーブル2101(“テーブルA”としている),サプライヤ企業の事業所や工場など拠点に関する情報のテーブル2102(“テーブルB”としている),サプライヤ企業の工場が保有する製造設備に関する情報のテーブル2103(“テーブルC”としている),各サプライヤ企業に対して取引関係にあるバイヤー企業がメモしているコメント(すなわち取引先企業情報内コメント)のテーブル2104(“テーブルD”としている)などといった複数のテーブルで構成されている。
【0030】
また,SNSコメント情報212は,図7に示すように,上述のSNS機能205がネットワーク103上で提供するSNSサイトにユーザ端末102から投稿されている書込(以下,コメント)のうち,バイヤー企業がサプライヤ企業について書き込みした各コメントとその書込日時,および書込を行ったバイヤー企業のユーザIDから構成されている。上述のコメントとしては,例えば,「D社製造の〇〇部品が今月中に必要」や,「先日T社の中国工場を訪問したが3Sが徹底されていました」などといった内容を想定出来る。」

イ 「【0037】
また,ログ情報209はログ情報分析部310に振り分けられ,ログの示すユーザIDに基づいて該当バイヤー企業またはサプライヤ企業を特定し,その企業情報の紐付けを行う更新履歴情報分析機能311,上述の紐付け後のログを該当企業の所在国,ログ取得期間ごとなど所定条件に応じて分類するデータ分割機能312,分類後のログについて所定項目の集計(例:所定のサプライヤ企業の企業情報にバイヤー企業がアクセスした回数)を行った際の集計値が所定閾値以上か判定するなどして,バイヤー企業のニーズに対応する要望を特定する要望項目特定機能313の各機能により分析され,その分析結果ごとにIDが付与されたログ情報分析結果の1つとなる。」

ウ 「【0053】
他方,上述のステップ906の結果,ステップ905で抽出したSNSコメント情報211から,コメント対象のサプライヤ企業を特定できた場合(906:特定可能),SNSコメント情報分析部302は,上述のステップ904で抽出しているSNSコメント情報211と取引先企業情報210内の全項目とを1項目毎に比較していき,SNSコメント情報211が示す情報が,取引企業情報210内のどの項目と一致するか特定する(ステップ907)。
【0054】
このステップ907の結果,SNSコメント情報211が示す情報が取引先企業情報210のいずれかの項目と一致すると特定できた場合(907:特定可能),SNSコメント情報分析部302は,上述のステップ904で抽出したSNSコメント情報211,ステップ906で特定したサプライヤ企業の企業名,ステップ907で特定した取引先企業情報210内の項目の項目名の各情報を含む分析結果を,サプライヤ情報共有システム104に送信し(ステップ908),本フローを終了する。」

エ 以上のア?ウの記載から,甲第4号証には以下の発明(以下「甲4発明」という。)が記載されていると認められる。
「アプリケーションサーバ201,DBサーバ207,およびネットワーク接続部202を備えたサプライヤ情報共有システム104であって,
DBサーバ207は,ユーザ情報208,ログ情報209,取引先企業情報210,SNSコメント情報211,ログ情報分析結果212,SNSコメント情報分析結果213,取引先企業情報内コメント情報分析結果214,および更新履歴情報215の各情報を保持,管理し,
このうちユーザ情報208は,発注者たるバイヤー企業と取引先たるサプライヤ企業の,企業名,ユーザID,担当者名,連絡先のメールアドレス,およびバイヤー/サプライヤの属性といった情報から構成され,
ログ情報209は,日時,ログデータ,および関係ユーザといった情報から構成され,ログデータは,ユーザ端末101,102によるサプライヤ情報共有システム104へのログイン,SNSサイトでの書込,取引先企業情報210へのアクセスといった,ログの起源となった処理の種別および対象に関する情報であり,関係ユーザはそうしたログの起源となった処理を行ったバイヤー企業/サプライヤ企業のユーザIDであり,
取引先企業情報210は各サプライヤ企業に関する情報であり,
SNSコメント情報212は,上述のSNS機能205がネットワーク103上で提供するSNSサイトにユーザ端末102から投稿されている書込(以下,コメント)のうち,バイヤー企業がサプライヤ企業について書き込みした各コメントとその書込日時,および書込を行ったバイヤー企業のユーザIDから構成され, また,ログ情報209はログ情報分析部310に振り分けられ,バイヤー企業のニーズに対応する要望を特定するものであり,
SNSコメント情報分析部302は,抽出したSNSコメント情報211から,コメント対象のサプライヤ企業を特定できた場合,SNSコメント情報211と取引先企業情報210内の全項目とを1項目毎に比較していき,SNSコメント情報211が示す情報が,取引企業情報210内のどの項目と一致するか特定し,SNSコメント情報211が示す情報が取引先企業情報210のいずれかの項目と一致すると特定できた場合,抽出したSNSコメント情報211,特定したサプライヤ企業の企業名,特定した取引先企業情報210内の項目の項目名の各情報を含む分析結果を,サプライヤ情報共有システム104に送信する,
サプライヤ情報共有システム104。」

(5)甲第5号証(特開2003-303274号公報)
甲第5号証には以下の記載がある。なお下線は当審において付加したものである。
ア 「【0032】
【発明の実施の形態】
実施の形態1
本発明のネットワーク型の双方向で継続的マーケティング強化型事業および人材育成システム(以下,システムという)の一実施の形態を図1を使用して説明する。まず人材育成実施機関(ないしは人材育成者)14はインターネット21に接続可能で閲覧,検索,集計,分析などのソフトウェアを搭載したサーバ10を用意する。このサーバ10の内部かもしくは外部に電子記憶媒体であるデータベース11をLANなどのネットワークを用いて接続する。データベース11に存在している情報の内容を集計,分析,検索,加工し,教材や資料として活用できる形にしたのが教材・資料12である。この教材・資料12はデータベース11と電子的もしくは別の形で連動しており,リアルタイムもしくは定期的(月毎,または週毎)に更新される。
・・・(途中省略)・・・
【0041】
参加者は,インターネット21上の仮想空間上のバーチャル・スクーリング13において,人材育成実施機関14内の講師の指導の元で,教材・資料12や記録手段に蓄積されているデータを活用し,自己の起業させたい目標達成に要求される能力向上の教育プログラムを受講するのである。本実施の形態における講師は,企業または個人の受講者以外の第三者とは限らず,むしろ前述のマッチングの結果組み合わせの機会が与えられた企業と個人,ないしは一方の企業と他方の企業双方がときとして講師になり,受講者となるところに従来にはない最大の特徴がある。
【0042】
とくに,参加者各人(ないしは各社)が直面している実際のマーケティング課題について集められたマーケティング・データは教材・資料12としてリアルタイムに集計されている。参加者は,講師ないしはマッチングの相手側より,当該教材・資料に基づき,適宜面接および/またはペーパーテストを受けて参加者が抱える問題(たとえば,新規のビジネス創生の実現という課題)の解決につながる指導を受け,参加者各人は各自のマーケティング活動に活用することができる。
【0043】
添付の特許請求の範囲において規定されている,DBにもとづいて,企業が現に所有している商品および/またはサービスを教材とする教材開発をする手段は,(I)本発明の各企業のネットワーク型の双方向で継続的マーケティング強化型事業および人材育成システムにかかわる各企業の商品および/またはサービスのDBを作成する工程,(II)該データベースを製品,流通,価格およびプロモーション(コミュニケーション)の4つの側面からフィルターにかける工程,(III)前記工程(II)において処理された結果とテレマーケティングによる市場調査結果とにもとづきターゲットとするマーケット像を設定する工程から構成される。
【0044】
本発明の実施の形態にかかわるネットワーク型の双方向で継続的マーケティング強化型事業および人材育成システムの内容をまとめるとつぎのようになる。
※1マッチングにより新規事業を創出することを目的として必要とされるコンサルティング的なサポートがコンサルティング的なスクーリングとして組み合わされている。
※2固定される設定項目は参加者とスクーリング期間のみであり,内容については緩やかな流れが設定されるだけであり,個別の課題(問題)の解決のために内容が変化するコンサルティング型のマーケティングを取り入れている。
※3したがって,参加者は現場主体(OJT)となり,たとえば,週1回程度の(現実および/または仮想の)スクーリングで必要なノウハウ,ネットワーク,初期データによるマッチング準備,意見交換,情報交換によって発生したマッチングのための条件整備(課題解決)が当該スクーリングの内容となっている。」(なお,※は丸数字を示ものである。)

イ 「【0046】
実施の形態2
本発明のマッチングのためのデータ構築法について述べる。
【0047】
図2の(a)は,企業の入力用のフォーマットの一例である。表中のC標本1,C標本2,C標本3,・・・,C標本nは本システムの企業側の任意のユーザーを示している。表中の入力項目A,B,C,D,E,・・・,Xはそれぞれの企業ユーザーがインターネットに接続されている端末を用いて直接入力した,もしくは記入フォーマット用紙に記入した該企業の企業情報である。ここでのXはアルファベット順のXという意味でなく,任意の項目を抽象的に表現したものである。入力項目A,B,C,D,E,・・・,Xの一例として年間売上高,営業利益,純売上高,従業員数,資本金,社長の年齢,社長のコミットメント度合い,年間商品企画数,新たにパートナーを必要とする分野,営業年数など企業経営に関する項目を入力する。
【0048】
図2の(b)は個人の入力用のフォーマットの一例である。表中のP標本1,P標本2,P標本3,・・・,P標本nは本システムの個人の任意のユーザーを示している。表中の入力項目a,b,c,d,e,・・・,xはそれぞれのユーザーがインターネットに接続されている端末を用いて直接入力した,もしくは記入フォーマット用紙に記入した該個人の企業情報である。ここでのxはアルファベット純のxという意味でなく,任意の項目を抽象的に表現したものである。入力項目a,b,c,d,e,・・・,xの一例として性別,年齢,業界経験年数,活躍を希望する業種,ネットワークなど個人に関する情報を入力する。」

ウ 以上のア及びイの記載から,甲第5号証には以下の発明(以下「甲5発明」という。)が記載されていると認められる。
「企業ユーザーがインターネットに接続されている端末を用いて直接入力した,もしくは記入フォーマット用紙に記入した該企業の企業情報の一例としての年間売上高,営業利益,純売上高,従業員数,資本金,社長の年齢,社長のコミットメント度合い,年間商品企画数,新たにパートナーを必要とする分野,営業年数など企業経営に関する項目と,
ユーザーがインターネットに接続されている端末を用いて直接入力した,もしくは記入フォーマット用紙に記入した該個人の企業情報の一例としての性別,年齢,業界経験年数,活躍を希望する業種,ネットワークなど個人に関する情報と,から構築されるマッチングのためのデータ構築法。」

(6)甲第6号証(特開2002-169986号公報)
甲第6号証には以下の記載がある。なお下線は当審において付加したものである。
ア 「【0024】
サプライヤコンテンツデータ19は,サプライヤAが登録したコンテンツの他にサプライヤB,サプライヤC,・・・が登録した商品情報や商談情報を開示するためのコンテンツを含んでいる。サプライヤBのコンテンツ群30もサプライヤAのコンテンツ群と同様に,コンテンツ31,コンテンツ33,・・・,から構成され,それぞれのコンテンツは,コンテンツにアクセスできるユーザを選択するための条件式32,条件式35,・・・,が関連づけられている。」

イ 「【0034】
ユーザプロファイルの各属性と各コンテンツに設定された条件式は商談仲介プログラム中のマッチングモジュール51によって照合され,条件式を満たすコンテンツのみ該ユーザに発行されたマイページ53からアクセスできるようになっている。」

ウ 「【0050】
ユーザID欄72には,商談仲介プログラムがユーザがユーザ登録画面71にアクセスした際に自動的にユーザ割り振ったIDが表示される。また,ユーザが自由にIDを指定できる構成にした場合は,ユーザがユーザID欄72に適当なIDを入力するようにする。
パスワード欄73は,ユーザが任意に設定したパスワードを入力する欄である。
氏名欄74は,ユーザの氏名を入力する欄である。
ニックネーム欄75は,ユーザがサプライヤと商談を交わしたりなどサプライヤにアクセスする際に使用するための,ユーザが任意に設定したニックネームを入力する欄である。
【0051】
Eメールアドレス欄77は,ユーザのEメールアドレスを入力する欄である。
会社名欄78は,ユーザの所属する会社の名称を入力する欄である。
所属欄79は,ユーザが所属団体で所属する部署を入力する欄である。
電話番号欄80及びFAX番号欄81は,ユーザの連絡先の電話番号とFAX番号を入力する欄である。通常,所属欄79で入力した部署の番号を入力する。
職種欄82,業種欄83及び役職欄84は,それぞれユーザの属する職種,業種及び役職を入力する欄である。この欄はプルダウンメニューとなっており,ユーザが各欄の右側に表示された三角形の部分に,マウスなどを用いてポインタを合わせクリックすると,項目の一欄が表示されるようになっている。ユーザはこれらの項目の一覧から自分が属する項目を選択するようになっている。
【0052】
以上の各欄が記入された後,登録ボタン85をマウスなどを用いてクリックすると入力したデータがインターネット3を介して仲介サーバ5に送られ,ユーザ登録データ20に記憶される。ユーザが入力した各項目は,以降ユーザの属性としてマッチングモジュール51で使用される。
ユーザの属性が,ユーザ登録データ20に記憶された後は,ユーザは,パスワードをログイン画面から入力すると認証モジュールにより認証され,商談仲介システム1が提供する各種サービスを受けることができる。」

エ 以上のア?ウの記載から,甲第6号証には以下の発明(以下「甲6発明」という。)が記載されていると認められる。
「サプライヤコンテンツデータ19は,サプライヤAが登録したコンテンツの他にサプライヤB,サプライヤC,・・・が登録した商品情報や商談情報を開示するためのコンテンツを含んでおり,それぞれのコンテンツは,コンテンツにアクセスできるユーザを選択するための条件式32,条件式35,・・・,が関連づけられており,
ユーザの所属する会社の名称,ユーザが所属団体で所属する部署,ユーザの連絡先の電話番号とFAX番号,ユーザの属する職種,業種及び役職などがユーザプロファイルに登録され,
該ユーザプロファイルの各属性と各コンテンツに設定された条件式は商談仲介プログラム中のマッチングモジュール51によって照合され,条件式を満たすコンテンツのみ該ユーザに発行されたマイページ53からアクセスできるようにする技術」

(7)甲第7号証(特開2006-331358号公報)
甲第7号証には以下の記載がある。なお下線は当審において付加したものである。
ア 「【0022】
実施例4は,実施例1の全体システムおよび実施例2,実施例3を使用して,求職者が,履歴書,職務経歴書,希望情報を登録を行う例である。
その工程は,以下のとおりである。
(1)求職者は,PCA?Eを使用し,ネットワーク5を介してサーバ1のインターフェース2のパソコンで閲覧可能なインターフェースA1,携帯端末で閲覧可能なインターフェースA2にアクセスして,そのトップページの「新規登録」ボタンをクリックする。
すると規約同意ページが開き,同意できれば,「同意する」ボタンをクリックする。
(2)メンバーエントリーページが開き,本サイトで使用するニックネームとメールアドレスを入力し,「確認」ボタンをクリックする。すると,入力内容を表示する確認ページが開き,間違いなければ,「登録」ボタンをクリックする。すると,登録完了ページが開く。それと同時に,求職者機能制御システムB1が作動し,個人情報データベースD1に保存する。
(3)登録したメールアドレスに,本登録を行うためのページが開くURLが送られ,そのURLを指定するとログインパスワードページが開き,パスワードを入力し,「発行」ボタンをクリックする。すると,求職者機能制御システムB1が作動し,個人情報データベースD1にパスワードを保存し,完了ページが開き,自動的にIDを発行する。IDは個人情報データベースD1に保存する。
(4)求職者はトップページにアクセスして,ID,パスワードを所定箇所に入力し,「ログイン」ボタンをクリックする。すると求職者機能制御システムB1が作動し,個人情報データベースD1に接続する。入力されたID,パスワードと個人情報データベースD1に保存されているものと同一かを自動的に判別し,同一であれば,求職者のマイページが開く。
求職者のマイページの画面例を図3に示す。
以上の工程を示すフローチャートを図8に示す。
(5)次に,「履歴書編集」ボタンをクリックし,履歴書編集ページが開く。職歴,学歴,資格スキル,自己PR,求人情報をマッチングさせるための希望条件を入力し,「確認」ボタンをクリックする。すると入力した情報を表示する確認ページが開き,あっていれば,「登録」ボタンをクリックする。すると求職者機能制御システムB1が作動し,希望情報データベースD2に保存する。
(6)次に,個人情報を登録する場合,個人情報を読み出すための呼び出しパスワード(初期時は,マイページに接続するパスワードと同一となっており,任意に変更できる。)を所定箇所に入力し,「呼び出し」ボタンをクリックすると,個人情報入力ページが開く。このページに名前,性別,生年月日,住所,電話番号,携帯番号等を入力し,「確認」ボタンをクリックする。すると入力した内容を表示する確認ページが開き,合っていれば,「登録」ボタンをクリックする。すると求職者機能制御システムB1が作動し,個人情報データベースD1に保存する。
この個人情報を入力するかどうかは任意である。
以上の工程を示すフローチャートを図9に示す。
【実施例5】
【0023】
次いで,実施例5は,実施例1の全体システムおよび実施例2,実施例3を使用して,求人企業が登録を行う例である。
その工程は,以下のとおりである。
(1)求人企業は,PCFを使用し,ネットワーク5を介して,インターフェース2のパソコンで閲覧可能なインターフェースA1にアクセスして,そのトップページの「法人ユーザーの方」の「人材をお探しの方」の欄にある「詳しくはこちら」ボタンをクリックすると,「人材をお探しの方」のページが開き,「求人企業新規登録」ボタンをクリックする。
(2)次に規約同意ページが開き,規約に同意できれば,「同意する」ボタンをクリックする。すると企業エントリーページが開き,企業名,住所,担当者名など企業に関する基本情報を入力すると同時に,求人企業のマイページにアクセスするパスワードを入力し,「確認」ボタンをクリックする。確認ページが開き,合っていれば「登録」ボタンをクリックする。すると,求人企業機能制御システムB2が作動し,基本情報は企業情報データベースD4に,パスワードは企業個別情報データベースD3に保存する。
(3)このほかにサイト運営者,もしくは営業代理店が紙で申込書を求人企業からもらい,各自のマイページから求人企業の情報を入力する方法もある。
(4)サイト運営会社,もしくは営業代理店の管理者は,トップページにアクセスし,事前に付与されているID,パスワードを入力し,サイト運営者,もしくは営業代理店のマイページに接続する。
サイト運営者,もしくは営業代理店のマイページの画面例を図4に示す。
(5)サイト運営者,もしくは営業代理店の管理者は「与信管理」ボタンをクリックすると,与信管理ページが開き,求人企業機能制御システムB2が作動して企業情報データベースD4に接続し,エントリーしてきた求人企業を表示する。そして,求人企業に対してサイト運営会社,もしくは営業代理店が所定の審査を行い,その結果を入力する。
次に,「確認」ボタンをクリックすると,入力した情報が表示される与信情報入力(確認)ページが開き,合っていれば,「登録」ボタンをクリックする。すると,求人企業機能制御システムB2が作動し,企業データベースD4に保存される。
以上の工程を示すフローチャートを図10に示す。
(6)サイト運営者,もしくは営業代理店の担当者は,トップページにアクセスし,事前に付与されているID,パスワードを入力すると,サイト運営者,もしくは営業代理店のマイページが開く。
(7)「アカウント発行」ボタンをクリックすると,アカウント発行ページが開き,サイト運営者,営業代理店の管理者が審査の結果,通過した求人企業が表示される。
(8)アカウントを発行する求人企業にチェックを入れ,「アカウント発行」ボタンをクリックすると,アカウント発行(確認)ページが開き,合ってあれば「登録」ボタンをクリックする。すると,求人企業機能制御システムB2が作動し,アカウントIDを自動的に付与し,企業個別情報データベースD3に保存すると同時に,アカウント発行(完了)ページが開き,アカウントIDを表示する。
この際,課金制御システムB4が作動し,参画料が課金され,そのデータは課金データベースD7に保存される。
(9)サイト運営者,営業代理店の担当者は,表示されたアカウントIDを求人企業にE-mailや郵送で知らせる。
(10)求人企業は,トップページにアクセスして,ID,パスワードを所定箇所に入力し,「ログイン」ボタンをクリックすると求人企業機能制御システムB2が作動し,企業個別情報データベースD3に接続,入力されたID,パスワードと企業個別情報データベースD3に保存されているものと同一かどうかを自動的に判別し,同一であれば,求人企業のマイページが開く。
求人企業のマイページの画面例を図5に示す。
以上の工程を示すフローチャートを図11に示す。
(11)次に,「企業情報編集」ボタンをクリックすると企業情報編集ページが開き,求人企業機能制御システムB2が作動して企業情報データベースD4に接続し,求人企業の基本情報を表示する。そして,追加情報として資本金や従業員数,事業内容,支店情報などを入力し,「確認」ボタンをクリックすると確認ページが開き,入力された内容を表示する。合っていれば,「登録」ボタンをクリックする。すると求人企業機能制御システムB2が作動し,企業情報データベースD4に保存し,登録完了ページが開く。
(12)次に,「募集情報編集」ボタンをクリックすると募集情報編集ページが開き,「新規追加」ボタンをクリックすると募集情報編集ページ1/3が開き,求人情報を入力し,「次へ」ボタンをクリックする。
そして,募集情報編集ページ2/3が開き,この求人情報に応募されてきた情報を対応する担当者をセレクトし,「次へ」ボタンをクリックする。
次に募集情報編集ページ3/3が開き,求人企業の希望する条件をマッチング情報として入力する。
(13)「確認」ボタンをクリックすると,入力した情報を表示する確認ページが開き,あっていれば,「登録」ボタンをクリックする。すると,求人企業機能制御システムB2が作動し,募集情報データベースD5に保存し,登録完了ページが開き,「完了」ボタンをクリックすると募集情報編集ページが開く。
(14)続いて,求職者が応募時に答えてもらうアンケートなども入力できる。
(15)次に,サイト上で情報提供する求人情報にチェックを入れ,「公開」ボタンをクリックする。すると,公開設定ページが開き,公開期間を設定し,「確認」ボタンをクリックする。入力した情報を表示する確認ページが開き,合っていれば「公開」ボタンをクリックする。求人企業機能制御システムB2が作動し,募集情報データベースD5に保存し,制御システム3がサイト上に求人情報を提供する。
以上の工程を示すフローチャートを図12に示す。」

イ 「【実施例9】
【0027】
実施例9は,実施例1の全体システムおよび実施例2,実施例3を使用し,実施例4および実施例5で登録された情報を元に,求職者が匿名で応募を行う行うプロセスである。
その工程は,以下のとおりである。
(1)求職者はトップページにアクセスして,ID,パスワードを所定箇所に入力し,「ログイン」ボタンをクリックする。すると,求職者機能制御システムB1が作動し,個人情報データベースD1に接続し,入力されたID,パスワードと個人情報データベースD1に保存されているものとが同一かどうかを自動的に判別し,同一であれば,求職者のマイページが開く。
(2)次に,求職者の登録した情報と,求人企業の登録した情報をマッチングさせるマッチング制御システムB9が作動し,求職者にマッチする求人情報の内,トップ3を表示する。
その他の情報を見たい場合は,「マッチング検索」ボタンをクリックする。するとマッチング検索ページが開き,マッチング制御システムB9が作動し,マッチング点数の高い順に求人情報名,PRなどを表示する求人情報のサマリー情報を表示すると同時に,マッチングスコアを表示する。
(3)次に,この表示された中から,詳細を見たい場合は,「この求人情報の詳細を見る」ボタンをクリックすると,求人情報詳細ページが開く。
(4)この情報に対して匿名で応募する場合は「匿名応募」をクリックする。すると応募ページが開く。
(5)そして,求職者機能制御システムB1が作動し,求職者の希望情報データベースD2に接続し,事前に登録した職歴や学歴などの情報が表示される。
内容を修正したい場合は,このページで修正することも可能である。
「確認」ボタンをクリックすると確認ページが開き,応募する情報を表示し,合っていれば,「応募」ボタンをクリックする。すると,求職者機能制御システムB1が作動し,応募データベースD11に保存する。
以上の工程を示すフローチャートを図25に示す。」

ウ 以上のア及びイの記載から,甲第7号証には以下の発明(以下「甲7発明」という。)が記載されていると認められる。
「求職者のマイページから,職歴,学歴,資格スキル,自己PR,求人情報をマッチングさせるための希望条件を入力し,希望情報データベースD2に保存し,
求人企業のマイページから,求人企業の希望する条件をマッチング情報として入力し,募集情報データベースD5に保存し,
求職者の登録した情報と,求人企業の登録した情報をマッチングさせ,求職者にマッチする求人情報の内,トップ3を表示する技術。」

(8)甲第8号証(特開2003-186975号公報)
甲第8号証には以下の記載がある。なお下線は当審において付加したものである。
ア 「【0218】
なお,情報300においては,先に登録された適合測定者の登録情報である適合測定者の集団の属性情報309及び被検査者側の登録情報である被検査者の属性情報310が関連付けられている。
【0219】
ここに集団の属性情報309とは,例えば,集団例えばX社における待遇,年収,雇用形態等の情報をいい,属性情報310は,被検査者側の氏名,年齢,住所等をいう。
【0220】
これらが関連付けられていることにより,適合計測者側からの要望に応じた人材を抽出するための演算を行うことができる。」

イ 「【0240】
なお,本発明にかかる装置と方法は,そのいくつかの特定の実施の形態に従って説明してきたが,当業者は本発明の主旨および範囲から逸脱することなく本発明の本文に記述した実施の形態に対して種々の変形が可能である。例えば,上述の各実施の形態では,個人と集団,集団と集団等において心理検査で仕事に関する人材探しの場合の適合評価する場合を例示したが,これに限定されるものではなく,適合評価は,例えば,お見合い,分野(資格,学科,職種,業種,部門)等,マーケティング,M&A・企業合併での応用,学者や政治での適合に関する分析において,種々のものが想定され,また,適合評価の2つの対象は,個人と集団(企業,学校(専修学校,各種学校を含む),NPO,老人ホーム等),集団と集団,趣味のコミュニティーと個人,個人と個人,分野と分野,個人と分野,集団と分野等は問わない。」

ウ 以上のア及びイの記載から,甲第8号証には以下の発明(以下「甲8発明」という。)が記載されていると認められる。
「適合測定者の登録情報である適合測定者の集団の属性情報309及び被検査者側の登録情報である被検査者の属性情報310が関連付けられ,ここに集団の属性情報309とは,例えば,集団例えばX社における待遇,年収,雇用形態等の情報をいい,属性情報310は,被検査者側の氏名,年齢,住所等をいうものであり,
これらが関連付けられていることにより,適合計測者側からの要望に応じた人材を抽出するための演算を行うことができるものであり,
個人と集団,集団と集団等において心理検査で仕事に関する人材探しの場合の適合評価する場合に限定されるものではなく,適合評価は,例えば,お見合い,分野(資格,学科,職種,業種,部門)等,マーケティング,M&A・企業合併での応用,学者や政治での適合に関する分析において,種々のものが想定され,また,適合評価の2つの対象は,個人と集団(企業,学校(専修学校,各種学校を含む),NPO,老人ホーム等),集団と集団,趣味のコミュニティーと個人,個人と個人,分野と分野,個人と分野,集団と分野等は問わない技術。」

(9)甲第9号証(Fuji Sankei Business i.,2017年10月2日,9ページ)
甲第9号証には以下の記載がある。なお下線は当審において付加したものである。
ア 「「関心のある分野」「得意分野」「職歴」などの情報を登録。AIがそれらの情報を基にマッチング対象となる経営者を抽出し,毎日3人ずつ提示する。」

イ 以上のアの記載から,甲第9号証には以下の発明(以下「甲9発明」という。)が記載されていると認められる。
「「関心のある分野」「得意分野」「職歴」などの情報を登録し,AIがそれらの情報を基にマッチング対象となる経営者を抽出する技術。」

(10)甲第10号証(中部経済新聞,2017年10月27日,第4面)
甲第10号証には以下の記載がある。なお下線は当審において付加したものである。
ア 「関心のある分野,得意分野,職歴などの情報を登録。それらをAIが分析し,対象となる経営者を探し出してマッチングする。毎日3人ずつ提示する。」

イ 以上のアの記載から,甲第10号証には以下の発明(以下「甲10発明」という。)が記載されていると認められる。
「関心のある分野,得意分野,職歴などの情報を登録し,それらをAIが分析し,対象となる経営者を探し出してマッチングする技術。」

(11)甲第11号証(日本経済新聞,地方経済面 北陸,2018年1月24日,第37面)
甲第11号証には以下の記載がある。なお下線は当審において付加したものである。
ア 「まず利用を希望する企業に依頼内容のほか,自社の商材やサービスを入力してもらう。営業店にいる行員は情報が登録されたシステムにアクセスし,全店に備えるタブレット端末で関連しそうな顧客企業に紹介する。」

イ 以上のアの記載から,甲第11号証には以下の発明(以下「甲11発明」という。)が記載されていると認められる。
「利用を希望する企業に依頼内容のほか,自社の商材やサービスを入力してもい,営業店にいる行員は情報が登録されたシステムにアクセスし,全店に備えるタブレット端末で関連しそうな顧客企業に紹介すること。」

(12)甲第12号証(ニッキン,2018年1月26日,第7面)
甲第12号証には以下の記載がある。なお下線は当審において付加したものである。
ア 「実験は,同行の事業データなどに帝国データバンクのデータを加え,AIにより実験企業のマッチング先を探し出すもの。同行の過去のビジネスマッチング先の成約・非成約事例における,業態や業種,規模,社歴,エリアの相関特性などのノウハウを分析に活用する。これに,帝国データバンクが持つ各企業のプロフィールや販売・仕入先など各種データも加え,日立製作所のAIシステム「Hitachi AI Technology/H」で企業分析する。今回の実験企業として,製造業で裾野が広く山口県の主要産業である鉄道車両製造工場が選ばれた。今後,同工場に対するマッチング候補先企業をAI分析で抽出。これを基に,実際に法人戦略部や事業性評価部の担当者がマッチング提案を進め,AI分析の有効性を検証する。実験は3月末までの予定。「実験企業とAIで抽出される候補企業との相関関係をさらに分析することで,マッチングの制度を高めていきたい」(中村圭事業性評価部副部長)としている。」

イ 以上のアの記載から,甲第12号証には以下の発明(以下「甲12発明」という。)が記載されていると認められる。
「過去のビジネスマッチング先の成約・非成約事例における,業態や業種,規模,社歴,エリアの相関特性などのノウハウを分析に活用し,これに各企業のプロフィールや販売・仕入先など各種データも加え,マッチング候補先企業をAI分析で抽出する技術。」

(13)甲第13号証(特開2006-215797号公報)
甲第13号証には以下の記載がある。なお下線は当審において付加したものである。
ア 「【0019】
本発明の協業開発仲介システムの進行ステージ管理手段によって,技術提携は次のステージ・ステップで進行する。
(1)準備ステージ
このステージは準備段階であり,ベンチャ企業と技術提携仲介者との間で「覚書」程度の契約書を取り交わした後,ベンチャ企業の開示する「種」技術を評価者連絡手段を介して有識者,専門技術者へ第三者評価を依頼する。この第三者による評価結果は,ベンチャ企業へも回答し,技術レベルの評価結果に対して合意を得た後に,当該「種」技術を提供するのに好適な製品化企業へ連絡する。製品化企業側への連絡は判断権限を有するトップ・マネージャ,すなわち責任権限者へなされる。製品化企業側にて,「種」技術,ならびに第三者による評価結果をもとにし,かつ該製品化企業が収集した製品化ニーズとの照合など,当該ベンチャ企業との連携可能性を検討する。なお,製品化企業と技術提携仲介者との間でも「覚書」程度の契約書は事前に取り交わしている。」

イ 以上のアの記載から,甲第13号証には以下の発明(以下「甲13発明」という。)が記載されていると認められる。
「製品化企業側にて,「種」技術,ならびに第三者による評価結果をもとにし,かつ該製品化企業が収集した製品化ニーズとの照合など,当該ベンチャ企業との連携可能性を検討すること。」

5 当審の判断
(1)請求項1に係る発明(本件発明1)について
異議申立の理由によれば,本件発明1は,甲第1号証,甲第2号証,甲第4号証?甲第12号証に基づいて,当業者が容易に発明することができたものであると異議申立人は主張している。
そこで,本件発明1が甲第1号証,甲第2号証,甲第4号証?甲第12号証に基づいて,当業者が容易に発明することができたものであるか否かを検討する。

まず,本件発明1と甲第1号証に記載された前記甲1発明を対比する。
ア 本件発明1の「従業員が属する企業の企業情報及び経営者が経営する企業の企業情報の少なくとも何れかを記憶する第1記憶手段」との事項について
甲1発明には,従業員が属する及び経営者が経営する企業の企業情報を記憶する手段については特定されていない。
よって,上記本件発明1の事項は相違点である。

イ 本件発明1の「従業員の属性を示す属性情報及び経営者の属性を示す属性情報の少なくとも何れかを記憶する第2記憶手段」との事項について
甲1発明には,従業員及び経営者の属性を示す属性情報を記憶する手段については特定されていない。
よって,上記本件発明1の事項は相違点である。

ウ 本件発明1の「通信端末に表示したWebサイト内での従業員及び経営者の少なくとも何れかの行動に関するログを示す行動ログを取得する取得手段」との事項について
甲1発明の「Webサイト106?108は,それぞれA社,B社,C社のWebサイトであり,Webサイト106?108は,アクセスを受けると,アクセス元のCookie情報をアクセス履歴情報としてIPアドレス企業名マッチングシステム102へ送信するものであり」,及び,「IPアドレス企業名マッチングシステム102は,Webサイト106?108からアクセス元のCookie情報をアクセス履歴情報として取得し,取得したアクセス履歴情報のIPアドレスに基づいて,前記アクセス履歴情報に対応するWebサイトにアクセスした企業を特定するものであり」によると,各企業のWebサイトは,アクセスを受けると,そのアクセス元のCookie情報をアクセス履歴情報としてIPアドレス企業名マッチングシステムへ送信し,IPアドレス企業名マッチングシステムにおいて各企業のWebサイトにアクセスした企業を特定するものである。
そうすると,甲1発明も,アクセス元の企業からWebサイトへのアクセス,つまり通信端末に表示したWebサイト内のアクセス履歴情報を取得する手段を備えていることから,甲1発明のアクセス履歴情報は,本件発明1の「行動に関するログを示す行動ログ」に相当するものである。
よって,本件発明1と甲1発明は,
「通信端末に表示したWebサイト内での行動に関するログを示す行動ログを取得する取得手段」
を備える点で共通し,
取得する行動ログの取得対象が,本件発明1では「従業員及び経営者の少なくとも何れか」であるのに対し,甲1発明ではアクセス元企業である点で相違する。

エ 本件発明1の「前記取得手段が取得した行動ログ,前記第1記憶手段にて当該行動ログが取得された従業員及び経営者の少なくとも何れかに対応づけられている企業情報,並びに前記第2記憶手段にて当該行動ログが取得された従業員及び経営者の少なくとも何れかに対応づけられている属性情報を基に,当該企業に紹介する企業を選定する選定手段」との事項について
甲1発明の「管理サーバ100のCPU200は,IPアドレス企業名マッチングシステム102から取得したWebサイト106?108のアクセス履歴情報に基づいて,設定された条件が示す期間における銀行取引先企業ごとのWebサイトへのアクセス数の集計をアクセス元ごとに行うものであり」,及び,「一例として「直近30日間におけるWebサイトへのアクセス数が100回以上のアクセス元の企業が存在する銀行取引先企業を抽出」という条件が定められている場合に,CPU200は,各銀行取引先企業についてアクセス元ごとにアクセス数を集計し,直近30日間におけるA社のWebサイトへのアクセス数をアクセス元ごとに集計し,まず,Webサイトへのアクセス数が100回以上のアクセス元の企業(E社)が存在するので,A社を抽出し,アクセス数が基準値以上であると判定されたA社サイトへの訪問企業に対して,A社への関心度に関する評価値を付与し,銀行取引先企業名と銀行取引先行に対応するアクセス元に付与した評価値とを銀行内システム101へ出力する処理を行うものであり」との事項によれば,上記アクセス履歴情報に基づいて,設定された条件により抽出された銀行取引先企業に対して,当該企業のWebサイトへのアクセス数が高い訪問企業の関心度に関する評価値を付与する処理が行われる。
そして,甲1発明の「取引先情報出力システムのユーザ(銀行員等)は,銀行内システム101のコンピュータ等を利用し,管理サーバ100により付与された各銀行取引先企業のWebサイトのアクセス元の評価値を参照し,前記ユーザは,銀行取引先企業と前記銀行取引先企業のWebサイトのアクセス元の企業とのビジネスマッチングの可能性を判断し,前記ユーザは,A社への関心が通常よりも高いとされたE社が前記銀行の取引先である場合,A社をE社へ紹介するすることになる」との事項によれば,上記処理により付与された銀行取引先企業のWebサイトのアクセス元の評価値を参照し,当該銀行取引先企業と前記銀行取引先企業のWebサイトのアクセス元の企業とのビジネスマッチングの可能性を判断し,アクセス元の企業が銀行取引先である場合に当該アクセス元の企業に前記銀行取引先企業を紹介するというものであるが,この評価値を参照し,ビジネスマッチングの可能性を判断するのはユーザである銀行員等の人間であり,当該人間による知的判断により紹介する企業を選定することは明らかである。
そうすると,甲1発明は,本件発明1の上記「選定手段」を備えていない。

オ 本件発明1の「情報提供システム」との事項について
甲1発明の「取引先情報出力システム」も,銀行取引先企業と前記銀行取引先企業のWebサイトのアクセス元の企業とのビジネスマッチングの可能性を判断するための評価値をユーザである銀行員等に提供するシステムであり,提供する情報の内容は異なるものの上位概念での情報提供システムであるといえる。
よって,本件発明1と甲1発明は,「情報提供システム」である点で共通する。

カ 以上のア?オによれば,本件発明1と甲1発明との一致点,及び,相違点は以下のとおりである。
<一致点>
通信端末に表示したWebサイト内での行動に関するログを示す行動ログを取得する取得手段,
を有する情報提供システム。

<相違点1>
本件発明1の「従業員が属する企業の企業情報及び経営者が経営する企業の企業情報の少なくとも何れかを記憶する第1記憶手段」を,甲1発明では備えていない点。
<相違点2>
本件発明1の「従業員の属性を示す属性情報及び経営者の属性を示す属性情報の少なくとも何れかを記憶する第2記憶手段」を,甲1発明では備えていない点。
<相違点3>
取得する行動ログの取得対象が,本件発明1では「従業員及び経営者の少なくとも何れか」であるのに対し,甲1発明ではアクセス元企業である点。
<相違点4>
本件発明1の「前記取得手段が取得した行動ログ,前記第1記憶手段にて当該行動ログが取得された従業員及び経営者の少なくとも何れかに対応づけられている企業情報,並びに前記第2記憶手段にて当該行動ログが取得された従業員及び経営者の少なくとも何れかに対応づけられている属性情報を基に,当該企業に紹介する企業を選定する選定手段」を,甲1発明では備えていない点。

キ 上記相違点について検討する。
上記相違点1?3は,相違点4の「選定手段」において使用する情報についての相違点であることから,まず相違点4について検討する。
上記相違点4における「選定手段」は,企業に紹介する企業を選定するものであって,選定するために必要な情報として,「従業員が属する企業の企業情報及び経営者が経営する企業の企業情報」,「従業員の属性を示す属性情報及び経営者の属性を示す属性情報の少なくとも何れか」,及び,「通信端末に表示したWebサイト内での従業員及び経営者の少なくとも何れかの行動に関するログを示す行動ログ」の3つの情報を使用するものである。
これに対し,一般に,紹介する企業を選定するためのいわゆる企業同士でのマッチングにおいては,例えば甲第2号証の甲2発明,甲第5号証の甲5発明,甲第11号証の甲11発明,及び,甲第12号証の甲12発明等に記載されているように,企業の各種企業情報を使用してマッチング処理が行われることは周知の事項であると認められる。
しかしながら,本件発明1では,この企業情報に加えてさらに「従業員の属性を示す属性情報及び経営者の属性を示す属性情報の少なくとも何れか」,及び,「通信端末に表示したWebサイト内での従業員及び経営者の少なくとも何れかの行動に関するログを示す行動ログ」を使用するものであり,紹介する企業を選定するためのいわゆる企業同士でのマッチングにおいて,これらの情報を使用する点については異議申立人の主張する甲2発明,甲4発明?甲12発明には記載も示唆もない。
したがって,上記相違点4については,甲1発明,甲2発明,甲4発明?甲12発明に基づいて当業者が容易に想到し得たものではない。
また,紹介する企業を選定するためのいわゆる企業同士でのマッチングにおいては,企業の各種企業情報の使用が周知であることから,上記相違点1については当業者が容易に想到し得たものといえるとしても,上記相違点2及び3については上記したように甲2発明,甲4発明?甲12発明には記載も示唆もないことから,当業者が容易に想到し得たものとはいえないものである。

ク まとめ
以上ア?キに記載したとおり,本件発明1は,甲1発明,甲2発明,甲4発明?甲12発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(2)請求項2?4に係る発明(本件発明2?4)について
本件発明2?4は,上記(1)で検討した本件発明1に対し,さらに技術的事項を追加して限定したものである。
そして,本件発明1は上記(1)で示したように甲1発明,甲2発明,甲4発明?甲12発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではなく,また,さらに甲第3号証の甲3発明及び甲第13号証の甲13発明を検討しても,本件発明1をさらに限定した本件発明2?4については,当業者が容易に想到し得たものということはできない。
よって,本件発明2?4は,甲1発明,甲2発明?甲13発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(3)請求項5に係る発明(本件発明5)について
本件発明5は,本件発明1の「情報提供システム」において行われる各情報処理を,処理ステップとして特定し方法の発明としたものである。
よって,本件発明5は,上記(1)に示した理由と同様の理由により,甲1発明,甲2発明,甲4発明?甲12発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(4)請求項6に係る発明(本件発明6)について
本件発明6は,本件発明1の「情報提供システム」において行われる各情報処理を,処理ステップとして特定しプログラムの発明としたものである。
よって,本件発明6は,上記(1)に示した理由と同様の理由により,甲1発明,甲2発明,甲4発明?甲12発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(5)まとめ
以上(1)?(4)のとおりであるから,特許異議申立人が提出した甲第1号証?甲第13号証によっては,請求項1?6に係る特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるということはできない。

6 むすび
したがって,特許異議の申立ての理由及び証拠によっては,請求項1?6に係る特許を取り消すことはできない。
また,他に請求項1?6に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2019-05-07 
出願番号 特願2018-47376(P2018-47376)
審決分類 P 1 651・ 121- Y (G06Q)
最終処分 維持  
前審関与審査官 今井 悠太加舎 理紅子  
特許庁審判長 佐藤 智康
特許庁審判官 金子 幸一
田中 秀樹
登録日 2018-07-20 
登録番号 特許第6369968号(P6369968)
権利者 株式会社ココペリ 横浜信用金庫
発明の名称 情報提供システム、情報提供方法、プログラム  

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