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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 B24D
管理番号 1351757
審判番号 不服2018-6326  
総通号数 235 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-07-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-05-09 
確定日 2019-06-04 
事件の表示 特願2015-539667「成形研磨材粒子、その製造方法、及びそれを含む研磨材物品」拒絶査定不服審判事件〔平成26年5月8日国際公開、WO2014/070468、平成28年1月14日国内公表、特表2016-500581、請求項の数(3)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2013年(平成25年)10月17日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2012年10月31日、アメリカ合衆国)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
平成29年 6月30日付け:拒絶理由通知書
平成29年10月 6日 :意見書、手続補正書の提出
平成29年12月27日付け:拒絶査定
平成30年 5月 9日 :審判請求書と同時に手続補正書の提出

第2 原査定の概要
原査定(平成29年12月27日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

請求項1-3に係る発明は、以下の引用文献1-4に基づいて、その発明の属する技術分野における通常の技術を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
1.特表平9-505101号公報
2.特表2012-512045号公報
3.国際公開第2011/068724号
4.国際公開第2011/068714号

第3 本願発明
本願請求項1-3に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明3」という。)は、平成30年5月9日提出の手続補正書で補正された特許請求の範囲の請求項1-3に記載された事項により特定される、以下のとおりの発明である。

「【請求項1】
研磨材粒子を作製する方法であって、
非コロイド固体粒子及び液体媒体を含むスラリーを提供する工程であって、少なくともいくつかの前記非コロイド固体粒子は、αアルミナ又はαアルミナ前駆体のうちの少なくとも1つを含み、前記非コロイド固体粒子は、前記スラリーの少なくとも30体積%を構成する、工程と、
前記スラリーの少なくとも一部を、基材と接触する成形体に形成する工程であって、前記成形体は規定形状に実質的にしたがって形成される、工程と、
前記成形体を少なくとも部分的に乾燥させて、成形研磨材前駆体粒子を得る工程と、
前記基材から前記成形研磨材前駆体粒子の少なくとも一部を分離する工程と、
前記成形研磨材前駆体粒子の少なくとも一部を成形研磨材粒子に変換する工程であって、前記成形研磨材粒子のそれぞれは切頭ピラミッド形状であり、前記成形研磨材粒子はαアルミナを含み、前記αアルミナは、0.8?8マイクロメートルの平均結晶粒径、及び少なくとも真密度の92%である見かけ密度を有する、工程と、を含み、
前記非コロイド固体粒子は、等量ベースで、前記成形研磨材前駆体粒子の総重量に対して、0.03?0.25%の酸化ナトリウムを含有する、方法。
【請求項2】
αアルミナを含む成形研磨材粒子であって、前記αアルミナは、0.8?8マイクロメートルの平均結晶粒径を有し、前記αアルミナは、少なくとも真密度の92%である見かけ密度を有し、各成形研磨材粒子は、それぞれが切頭ピラミッド形状であり、前記成形研磨材粒子は、公称の規定形状に一致すると共に、等量ベースで、前記成形研磨材粒子の総重量に対して、0.03?0.25%の酸化ナトリウムを含有する、成形研磨材粒子。
【請求項3】
バインダーに保持された成形研磨材粒子を含む研磨材物品であって、前記成形研磨材粒子のそれぞれは切頭ピラミッド形状であり、前記成形研磨材粒子はαアルミナを含み、前記αアルミナは、0.8?8マイクロメートルの平均結晶粒径を有し、前記αアルミナは、少なくとも真密度の92%である見かけ密度を有し、前記成形研磨材粒子は、公称の規定形状に一致すると共に、等量ベースで、前記成形研磨材粒子の総重量に対して、0.03?0.25%の酸化ナトリウムを含有する、研磨材物品。」

第4 引用文献、引用発明等
1.引用文献1について
(1)原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は理解の便のため当審にて付与。以下同。)。

ア 「発明の要約
本発明は、結晶性セラミック、アルファアルミナ-ベースの砥粒、を調製する第1の方法を提供する。この方法は次のステップを含む:
(a)液体媒体及び充分な量のアルミナ粒子を含む分散液を調製すること、但し、この分散液は脱液して前駆体物質を与え、この物質は焼結して結晶性セラミック、アルファアルミナ-ベースの物質を与え、この物質は硬度少なくとも16GPa(好ましくは、少なくとも18GPa、より好ましくは少なくとも19GPa)、密度少なくとも3.58g/cm^(3)(好ましくは、少なくとも3.78g/cm^(3)、より好ましくは、少なくとも3.88g/cm^(3))、平均アルファアルミナ結晶サイズ2マイクロメーター未満(好ましくは1.5マイクロメーター未満、より好ましくは1マイクロメーター未満)、及び理論酸化物ベースで、この材料の全重量を基準にして0.3wt%未満のSiO_(2)及び0.4wt%以下のNa_(2)Oを有し;前記アルミナ粒子はアルファアルミナ粒子、10wt%未満の化学的に結合した水を含む遷移アルミナ粒子、及びこれらの混合物からなる群から選ばれ、前記アルミナ粒子は平均サイズが2マイクロメーター未満(好ましくは、1.5マイクロメーター未満、より好ましくは、1マイクロメーター未満)であり、前記分散液は分散液の重量マイナスこの分散液中に存在する液体媒体の全重量を基準として1wt%以下のアルファアルミナ一水和物含む;
(b)この分散液を脱液して前駆体物質を作ること;並びに
(c)硬度少なくとも16GPa(好ましくは、少なくとも18GPa、より好ましくは少なくとも19GPa)、密度少なくとも3.58g/cm^(3)、平均アルファアルミナ結晶サイズ2マイクロメーター未満(好ましくは1.5マイクロメーター未満、より好ましくは1マイクロメーター未満)、及び理論酸化物ベースで、この砥粒の全重量を基準にして0.3wt%未満のSiO_(2)及び0.4wt%以下のNa_(2)Oを有する結晶性セラミック、アルファアルミナ-ベースの砥粒を与えるに充分な温度及び時間、前記前駆体物質を焼結すること、但しここに、前記焼結は1600.0℃以下の温度及び100.0気圧以下の圧力で行う;
ここで、ステップ(c)に先立って、前駆体物質は砥粒前駆体の形で与えられる。」(公報第12頁第27行-第13頁第28行。)

イ 「アルミナの分散液の調製
最初に形成された分散液は無水アルミナ物質、例えばアルファアルミナ粒子、遷移アルミナ粒子、又はこれらの両方を含む。当初の分散液における固体は、好ましくは、重量基準で約1%以下(好ましくは、0.5%未満)のアルミナ水和物(例えば、アルファ酸化アルミニウム一水和物(ベーマイト))を含み、本質的にアルミナ水和物が存在しない(例えば、本質的にベーマイトが存在しない)。
・・・
分散液を形成する粒状アルミナ材料は、約0.5wt%以下がサイズ(直径又は最大長さ)で約2μm以下であり、好ましくは5.0wt%以下が1μmより大きいような粒子サイズ分布を有する粉末状材料を含む。好ましくは、この粒子サイズは少なくとも約75wt%が約0.7μm未満、より好ましくは、99wt%が約0.7μm未満である。そのような粒状材料は、典型的には分散液を容易に形成するだけでなく、望みの焼結製品の有用な前駆体を提供する。好ましい範囲の粒子サイズは、商業的に入手可能であり、また、例えばアルミナ原料を圧潰もしくはボールミル粉砕(湿式もしくは乾式)することによって調製することができる。
・・・
この分散液の液体として、種々の液体媒体、有機又は無機の媒体が利用できる。適当な液体は、水、アルコール(典型的にはC_(1)?C_(6)アルコール)、ヘキサン、及びヘプタンを含む。一般に、水(最も好ましくは、脱イオン水)が好ましく、主として便利さとコストの故に、最も広く利用される液体媒体である。更に、水は、種々の添加剤又は補助物質の便利で望ましい液体媒体を提供する。
一般に、液体媒体対粉末状にしたアルミナの比は、それが粉末状にした材料の表面積に関連するので粒子サイズ分布に関連する。もし、水が使用されるときは、一般に重量比が約1:6(即ち、液体媒体対粉末状の原料)?15:1の範囲が使用できる。」(公報第23頁第17行-第25頁第3行。)

ウ「脱液又は乾燥
一般に、前記分散液は乾燥されて(脱液されて)固体にされ、粒状物質が圧潰され又は砕かれて、砂状材料又は砥粒前駆体になることを可能にする。即ち、固体は分散液から分離される。分離し、乾燥し、又は脱液する(例えば、ろ過、沈殿及びデカンテーション、ロート蒸発(rotoevaporating)、及び遠心分離)ために、従来法を使用できる。種々の押し出し法だけでなく、空気乾燥ステップを用いうる。乾燥は、例えば強制空気循環炉中、約50℃?約200℃(好ましくは、約75℃?約125℃)の範囲の温度で達成できる。一般に、分散液は、泡立ちを防ぎ、割れを減らすために、乾燥している間、ゆっくりと加熱する。典型的には、この分散液は脱液して、分散液を形成するために使用される液体媒体の少なくとも95wt%を除く。」(公報第31頁第25行-第32頁第8行。)

エ 「分散液の任意の成形
充分に濃い又は部分的に脱液されれば、分散液は、乾燥して砂の形にする前に、従来の方法、例えばプレス、成形、被覆、押し出し、切断、又はこれら方法の何らかの組み合わせにより成形できる。それは段階的に行うことができ、例えば、最初に部分的に乾燥されたスラリーの可塑性塊を押し出しにより成形し、次いで得られた可塑性塊を何らかの都合のよい方法で造形し、最後に乾燥して望みの形状、例えば、軸、ピラミッド、円盤、ダイヤモンド、三角形、又は円筒を作る。」(公報第32頁第21行-第33頁第1行。)

オ 「焼成
一般には、脱液された材料は焼結の前に焼成される。焼成の間に、約400℃?約1200℃(好ましくは約600℃?約1100℃)の範囲の温度に加熱することにより、本質的に全ての揮発性物質及び無機添加物は前駆体から除かれる。自由水及び好ましくは90wt%の全ての結合された揮発性物質は除かれるまで、材料はこの温度範囲内に保持される。焼成は、任意の含浸ステップの前又は任意の含浸ステップの後、又はこの両方で行うことができる。一般に、好ましい加工は焼結の直前又は焼結の前の最後のステップで焼成することを含む。
砥粒前駆体の焼結
種々の酸化物及び全ての変性剤を含む材料は砥粒前駆体を含む。焼結すると、砥粒前駆体はセラミック砥粒を形成する。
粒子の焼結は種々の従来法により達成できる。典型的には、焼結は、ロータリーキルン中で、約1200℃?1600℃の範囲の温度で、焼結されたセラミック砥粒への転化が完了するに充分な時間行われる。材料が焼結温度に曝されるべき時間の長さは、セラミック前駆体及び焼結温度のような因子に依存して変化するが、一般に焼結は数秒?120分以内に達成することができ、またすべきである。過剰の粒子成長を抑制し、また好ましい微細構造を得るために、比較的短い時間及び比較的低い焼結温度が、一般に好ましい。焼結は酸化性雰囲気(例えば、空気)又は非酸化性雰囲気(例えば、アルゴン、窒素、又は水素/窒素)中で行われる。焼結はまた、静止型キルン中で行うことができる。典型的には、クロム物質を含む砥粒前駆体は、好ましくは還元性の雰囲気(例えば、水素/窒素)中で焼結される。
焼結は100.0気圧、好ましくは約10気圧未満の圧力下で行われる。典型的には、焼結は約大気圧(即ち、約1気圧)で行われる。」(公報第34頁第25行-第35頁第20行。)

カ 「本発明方法によって作った砥粒は、被覆された研磨材、接合された研磨材、不織研磨材及び研磨ブラシのような研磨・研削(以下単に研磨ということがある)製品に組み込むことができる。一般には、研磨製品又は研磨物品はバインダーと複数の砥粒(この砥粒は前記研磨物品中にバインダーで固定される)を含む。
被覆された研磨材は一般にバッキング(backing)、砥粒、及び少なくとも1つのバインダーを含み、前記バインダーは前記砥粒を前記バッキングに保持する。」(公報第36頁第17-23行。)

(2)上記(1)での記載から、引用文献1には、次の技術的事項が開示されていると認められる。

ア 上記(1)ア?オから、引用文献1には、砥粒及び砥粒を作製する方法が開示されていると認められる。

イ 上記(1)カから、引用文献1には、バインダーに保持された砥粒を含む研磨製品又は研磨物品が開示されていると認められる。

ウ 上記(1)イから、粒状アルミナ材料を含む固体粒子及び液体媒体を含む分散液を提供する工程であって、少なくともいくつかの前記粒状アルミナ材料を含む固体粒子は、アルファアルミナ粒子を含み、液体媒体対アルファアルミナ粒子の比が、重量比で約1:6?15:1の範囲である工程が開示されている。

エ 上記(1)ウから、分散液を少なくとも部分的に乾燥させて、砥粒前駆体を得る工程が開示されている。

オ 上記(1)ア、オから、砥粒前駆体の少なくとも一部を砥粒に変換する工程であって、前記砥粒はアルファアルミナ粒子を含み、前記アルファアルミナ粒子は、2マイクロメートル未満の平均結晶粒径、及び好ましくは少なくとも3.88g/cm^(3)の密度を有する、工程が開示されている。

カ 上記(1)エから、充分に濃い又は部分的に脱液された分散液は、上記ウより砥粒前駆体であり、それがピラミッド等の望みの形状であることが開示されている。

キ 上記(1)アから、粒状アルミナ材料を含む固体粒子は、理論酸化物ベースで、この材料の全重量を基準にして0.4wt%以下のNa_(2)Oを有することが開示されている。

(3)上記(2)から、上記引用文献1には次の3つの発明(以下、それぞれ「引用発明1」-「引用発明3」という。)が記載されていると認められる。

ア 引用発明1
「砥粒を作製する方法であって、
粒状アルミナ材料を含む固体粒子及び液体媒体を含む分散液を提供する工程であって、少なくともいくつかの前記粒状アルミナ材料を含む固体粒子は、アルファアルミナ粒子を含み、液体媒体対アルファアルミナ粒子の比が、重量比で約1:6?15:1の範囲である工程と、
前記分散液を少なくとも部分的に乾燥させて、砥粒前駆体を得る工程と、
前記砥粒前駆体がピラミッド等の望みの形状であり、
前記砥粒前駆体の少なくとも一部を砥粒に変換する工程であって、前記砥粒はアルファアルミナ粒子を含み、前記アルファアルミナ粒子は、2マイクロメートル未満の平均結晶粒径、及び好ましくは少なくとも3.88g/cm^(3)の密度を有する、工程と、を含み、
前記粒状アルミナ材料を含む固体粒子は、理論酸化物ベースで、この材料の全重量を基準にして0.4wt%以下のNa_(2)Oを有する、方法。」

イ 引用発明2
「アルファアルミナ粒子を含む砥粒であって、前記アルファアルミナ粒子は、2マイクロメートル未満の平均結晶粒径を有し、前記アルファアルミナ粒子は、好ましくは少なくとも3.88g/cm^(3)の密度を有し、各砥粒前駆体は、それぞれがピラミッド等の望みの形状であり、前記砥粒は、理論酸化物ベースで、この材料の全重量を基準にして0.4wt%以下のNa_(2)Oを有する、砥粒」

ウ 引用発明3
「バインダーに保持された砥粒を含む研磨製品又は研磨物品であって、砥粒前駆体のそれぞれはピラミッド等の望みの形状であり、前記砥粒はアルファアルミナ粒子を含み、前記アルファアルミナ粒子は、2マイクロメートル未満の平均結晶粒径を有し、前記アルファアルミナ粒子は、好ましくは少なくとも3.88g/cm^(3)の密度を有し、前記砥粒は、理論酸化物ベースで、この材料の全重量を基準にして0.4wt%以下のNa_(2)Oを有する、研磨製品又は研磨物品」

2.引用文献2について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献2の段落【0060】-【0063】、【0079】-【0081】等の記載からみて、当該引用文献2には、研磨材粒子を作製する方法であって、スラリーの少なくとも一部を、基材と接触する成形体に形成する工程であって、前記成形体は規定形状に実質的にしたがって形成される、工程と、前記成形体を少なくとも部分的に乾燥させて、成形研磨材前駆体粒子を得る工程と、前記基材から前記成形研磨材前駆体粒子の少なくとも一部を分離する工程と、を含む方法という技術的事項が記載されていると認められる。

3.その他の文献について
原査定において周知技術を示す文献として引用された上記引用文献3の図2A、2B及び引用文献4の図3A、3B、3Cには、成形研磨材粒子が切頭ピラミッド形状であることが開示されている。

第5 対比・判断
1.本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明1とを対比すると、次のことがいえる。

ア 引用発明1における「砥粒」、「粒状アルミナ材料を含む固体粒子」、「分散液」、「アルファアルミナ粒子」、「砥粒前駆体」、「Na_(2)O」は、それぞれ、本願発明1における「研磨材粒子」、「非コロイド固体粒子」、「スラリー」、「αアルミナ」、「成形研磨材前駆体粒子」、「酸化ナトリウム」に相当する。

イ 引用発明1における「少なくともいくつかの前記粒状アルミナ材料を含む固体粒子は、アルファアルミナ粒子を含み」という事項は、本願発明1の「少なくともいくつかの前記非コロイド固体粒子は、αアルミナ又はαアルミナ前駆体のうちの少なくとも1つを含み」という事項と対比すると、「少なくともいくつかの前記非コロイド固体粒子は、αアルミナを含み」という事項で一致する。

ウ 引用発明1の「前記分散液を少なくとも部分的に乾燥させて、砥粒前駆体を得る工程」と本願発明1の「前記成形体を少なくとも部分的に乾燥させて、成形研磨材前駆体粒子を得る工程」とは、本願発明1の「成形体」が「スラリー」から形成されるものであることから、「前記スラリーを少なくとも部分的に乾燥させて、成形研磨材前駆体粒子を得る工程」という点で一致する。

エ 引用発明1における「前記アルファアルミナ粒子は、・・・好ましくは少なくとも3.88g/cm^(3)の密度を有する」は、アルファアルミナ粒子の真密度が、3.97g/cm^(3)であることが技術常識であるから、「前記アルファアルミナ粒子は、・・・少なくとも真密度の97%である見かけ密度を有する」と言い換えることができ、これは本願発明1の「前記αアルミナは、・・・少なくとも真密度の92%である見かけ密度を有する」と一致する。

オ したがって、本願発明1と引用発明1との間には、次の一致点、相違点があるといえる。

(一致点)
「研磨材粒子を作製する方法であって、
非コロイド固体粒子及び液体媒体を含むスラリーを提供する工程であって、少なくともいくつかの前記非コロイド固体粒子は、αアルミナを含む工程と、
前記スラリーを少なくとも部分的に乾燥させて、成形研磨材前駆体粒子を得る工程と、
前記成形研磨材前駆体粒子の少なくとも一部を成形研磨材粒子に変換する工程であって、前記成形研磨材粒子はαアルミナを含み、前記αアルミナは、少なくとも真密度の92%である見かけ密度を有する、工程と、を含む、方法。」

(相違点1)
本願発明1は、「前記非コロイド固体粒子は、前記スラリーの少なくとも30体積%を構成する」のに対し、引用発明1は、液体媒体対アルファアルミナ粒子の比が、重量比で約1:6?15:1の範囲である点。

(相違点2)
本願発明1は、「前記スラリーの少なくとも一部を、基材と接触する成形体に形成する工程であって、前記成形体は規定形状に実質的にしたがって形成される、工程と、前記成形体を少なくとも部分的に乾燥させて、成形研磨材前駆体粒子を得る工程と、前記基材から前記成形研磨材前駆体粒子の少なくとも一部を分離する工程と、」を含むのに対し、引用発明1にはそのような工程が記載されていない点。

(相違点3)
本願発明1は、「成形研磨材粒子のそれぞれは切頭ピラミッド形状」であるのに対し、引用発明1は、「ピラミッド等の望みの形状」であるが、「切頭ピラミッド形状」については言及がない点。

(相違点4)
本願発明1は、「αアルミナは、0.8?8マイクロメートルの平均結晶粒径」を有するのに対し、引用発明1は、「アルファアルミナ粒子は、2マイクロメートル未満の平均結晶粒径」を有する点。

(相違点5)
本願発明1は、「非コロイド固体粒子は、等量ベースで、前記成形研磨材前駆体粒子の総重量に対して、0.03?0.25%の酸化ナトリウムを含有する」のに対し、引用発明1は、「粒状アルミナ材料を含む固体粒子は、理論酸化物ベースで、この材料の全重量を基準にして0.4wt%以下のNa_(2)Oを有する」点。

(2)相違点についての判断
(上記相違点4、5について)
相違点4について、第4 1.(1)イに記載のとおり、引用発明のアルファアルミナ粒子は、最も好適なサイズが「99wt%が約0.7μm未満」であるとされており、引用文献1の実施例においてもアルファアルミナ微結晶の平均微結晶直径は0.5μm未満とされている(例82、85)ことから、引用文献1には、アルファアルミナ粒子の平均結晶粒径の下限値を0.8マイクロメートルにすることは一切記載されていない。
また、相違点5について、引用文献1に「酸化カルシウム及び酸化ナトリウム(又はそれらの前駆体)は、液体媒体から、分散された固体中に導入されるので、その中に存在する酸化カルシウム、酸化ナトリウム、及び/又はそれらの前駆体は最小にされるのが好ましい。」(公報第31頁第14-17行。)と記載されているとおり、引用発明においては、Na_(2)Oの含有量をできるだけ少なくしようとしており、その下限値を設定することは考えていない。よって、引用発明において、Na_(2)Oの含有量について、材料の全重量を基準にして0.03wt%という下限値を設定しようとは考えないはずである。
また、引用文献2-4にも、αアルミナの平均結晶粒径の下限値を0.8マイクロメートルにすること、及び、成形研磨材前駆体粒子の総重量に対する酸化ナトリウムの含有量の下限値を0.03%にすることは記載されていない。
したがって、上記相違点4、5に係る構成は、当業者であっても、引用発明、引用文献2に記載された技術的事項及び上記周知技術に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

したがって、本願発明1は、相違点1?3を検討するまでもなく、引用発明、引用文献2に記載された技術的事項及び上記周知技術に基づいて当業者が容易に発明できたものであるとはいえない。

2.本願発明2について
(1)対比
本願発明2と引用発明2とを対比すると、次のことがいえる。

ア 引用発明2における「アルファアルミナ粒子」、「砥粒」、「Na_(2)O」は、それぞれ、本願発明2における「αアルミナ」、「成形研磨材粒子」、「酸化ナトリウム」に相当する。

イ 引用発明2における「前記アルファアルミナ粒子は、好ましくは少なくとも3.88g/cm^(3)の密度を有し」は、アルファアルミナ粒子の真密度が、3.97g/cm^(3)であることが技術常識であるから、「前記アルファアルミナ粒子は、少なくとも真密度の97%である見かけ密度を有し」と言い換えることができ、これは本願発明2の「前記αアルミナは、少なくとも真密度の92%である見かけ密度を有し」と一致する。

ウ したがって、本願発明2と引用発明2との間には、次の一致点、相違点があるといえる。

(一致点)
「αアルミナを含む成形研磨材粒子であって、前記αアルミナは、少なくとも真密度の92%である見かけ密度を有する、成形研磨材粒子。」

(相違点1)
本願発明2は、「αアルミナは、0.8?8マイクロメートルの平均結晶粒径」を有するのに対し、引用発明2は、「アルファアルミナ粒子は、2マイクロメートル未満の平均結晶粒径」を有する点。

(相違点2)
本願発明2は、「各成形研磨材粒子は、それぞれが切頭ピラミッド形状」であるのに対し、引用発明2は、「ピラミッド等の望みの形状」であるが、「切頭ピラミッド形状」については言及がない点。

(相違点3)
本願発明2は、「前記成形研磨材粒子は、公称の規定形状に一致すると共に、等量ベースで、前記成形研磨材粒子の総重量に対して、0.03?0.25%の酸化ナトリウムを含有する」のに対し、引用発明2は、「砥粒は、理論酸化物ベースで、この材料の全重量を基準にして0.4wt%以下のNa_(2)Oを有する」点。

(2)相違点についての判断
(上記相違点1、3について)
本願発明2についての相違点1、3は、第5 1.(1)に記載のとおり、本願発明1についての相違点4、5と実質的に同じである。よって、第5 1.(2)に記載の理由と同様の理由で、上記相違点1、3に係る構成は、当業者であっても、引用発明、引用文献2に記載された技術的事項及び上記周知技術に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

したがって、本願発明2は、相違点2を検討するまでもなく、引用発明、引用文献2に記載された技術的事項及び上記周知技術に基づいて当業者が容易に発明できたものであるとはいえない。

3.本願発明3について
(1)対比
本願発明3と引用発明3とを対比すると、次のことがいえる。

ア 引用発明3における「砥粒」、「研磨製品又は研磨物品」、「アルファアルミナ粒子」、「Na_(2)O」は、それぞれ、本願発明3における「成形研磨材粒子」、「研磨材物品」、「αアルミナ」、「酸化ナトリウム」に相当する。

イ 引用発明3における「前記アルファアルミナ粒子は、好ましくは少なくとも3.88g/cm^(3)の密度を有し」は、アルファアルミナ粒子の真密度が、3.97g/cm^(3)であることが技術常識であるから、「前記アルファアルミナ粒子は、少なくとも真密度の97%である見かけ密度を有し」と言い換えることができ、これは本願発明3の「前記αアルミナは、少なくとも真密度の92%である見かけ密度を有し」と一致する。

ウ したがって、本願発明3と引用発明3との間には、次の一致点、相違点があるといえる。

(一致点)
「バインダーに保持された成形研磨材粒子を含む研磨材物品であって、前記成形研磨材粒子はαアルミナを含み、前記αアルミナは、少なくとも真密度の92%である見かけ密度を有する、研磨材物品。」

(相違点1)
本願発明3は、「成形研磨材粒子のそれぞれは切頭ピラミッド形状」であるのに対し、引用発明3は、「ピラミッド等の望みの形状」であるが、「切頭ピラミッド形状」については言及がない点。

(相違点2)
本願発明3は、「αアルミナは、0.8?8マイクロメートルの平均結晶粒径」を有するのに対し、引用発明3は、「アルファアルミナ粒子は、2マイクロメートル未満の平均結晶粒径」を有する点。

(相違点3)
本願発明3は、「前記成形研磨材粒子は、公称の規定形状に一致すると共に、等量ベースで、前記成形研磨材粒子の総重量に対して、0.03?0.25%の酸化ナトリウムを含有する」のに対し、引用発明3は、「砥粒は、理論酸化物ベースで、この材料の全重量を基準にして0.4wt%以下のNa_(2)Oを有する」点。

(2)相違点についての判断
(上記相違点2、3について)
本願発明3についての相違点2、3は、第5 1.(1)に記載のとおり、本願発明1についての相違点4、5と実質的に同じである。よって、第5 1.(2)に記載の理由と同様の理由で、上記相違点2、3に係る構成は、当業者であっても、引用発明、引用文献2に記載された技術的事項及び上記周知技術に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

したがって、本願発明3は、相違点1を検討するまでもなく、引用発明、引用文献2に記載された技術的事項及び上記周知技術に基づいて当業者が容易に発明できたものであるとはいえない。

第6 むすび
以上のとおり、本願発明1-3は、当業者が引用発明、引用文献2に記載された技術的事項及び上記周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものではない。したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2019-05-20 
出願番号 特願2015-539667(P2015-539667)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (B24D)
最終処分 成立  
前審関与審査官 亀田 貴志  
特許庁審判長 栗田 雅弘
特許庁審判官 青木 良憲
平岩 正一
発明の名称 成形研磨材粒子、その製造方法、及びそれを含む研磨材物品  
代理人 吉野 亮平  
代理人 佃 誠玄  
代理人 赤澤 太朗  
代理人 野村 和歌子  
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