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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 B01J
管理番号 1351830
審判番号 不服2018-9941  
総通号数 235 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-07-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-07-20 
確定日 2019-06-10 
事件の表示 特願2015-557426「不均一系触媒気相反応を行うためのリアクタにモノリスを組み込む方法」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 8月21日国際公開、WO2014/125024、平成28年 5月12日国内公表、特表2016-513006、請求項の数(9)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2014年(平成26年)2月13日(優先権主張外国庁受理 2013年(平成25年)2月14日、欧州特許庁(EP))を国際出願日とする出願であって、平成29年9月28日付けで拒絶理由通知がされ、同年12月8日付けで意見書及び補正書が提出され、平成30年3月26日付けで拒絶査定(以下、「原査定」という。)がされ、これに対し、同年7月20日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がされ、同年9月27日付けで前置報告がされたものである。

第2 原査定の概要
原査定の概要は、本願の補正前の請求項1?10に係る発明は、以下の引用文献1に記載された発明、及び、引用文献2?7に記載された事項に基いて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、また、本願の補正前の請求項11及び12に係る発明は、以下の引用文献1に記載された発明であるか、引用文献1に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、又は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。
<引用文献>
1.米国特許出願公開第2013/0035531号明細書
2.欧州特許出願公開第00192417号明細書
3.特開2008-261339号公報
4.特開昭57-146954号公報
5.実願平02-005104号(実開平03-097521号)のマイクロフィルム
6.特開平01-240715号公報
7.実願昭54-168541号(実開昭56-085012号)のマイクロフィルム

第3 本願発明
本願請求項1?9に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」?「本願発明9」という。)は、平成30年7月20日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1?9に記載された事項により特定される発明であり、請求項1?9には、次のように記載されている。
「【請求項1】
複数のモノリス(2)を組み込む方法であって、
前記複数のモノリス(2)は、それぞれ、互いに平行に配置された複数の流路を有するセラミックのブロックから構成されており、
不均一性触媒気相反応の反応ガス混合物が、前記流路を通って、不均一性触媒気相反応を行うためのリアクタ(1)に通流可能であり、
前記複数のモノリス(2)は、リアクタ内部空間において横方向および上下方向にスタックされている、方法において、
それぞれ膨張マットを含むマット(3)を用い、前記複数のモノリスを、互いにシーリングし、および、前記リアクタ(1)の内壁に対してシーリングし、
前記膨張マットは、前記リアクタ(1)に組み込む前は全面がプラスチックシートに包まれており、
前記プラスチックシートによって取り囲まれておりかつ前記マット(3)を含む内部空間を真空化し、
前記リアクタ(1)に組み込んだ後、前記プラスチックシートを突き刺して孔を開け、
および/または、焼き切ることにより、前記プラスチックシートによって取り囲まれておりかつ前記マット(3)を含む前記内部空間の減圧状態を解除する、
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
1つまたは複数の水平方向の層において前記複数のモノリス(2)を横方向に並べ、複数の流路を垂直方向に配置して、前記リアクタ(1)に組み込み、これによって各層が、
リアクタ断面を完全に塞ぐようにし、
連続している複数の層間に、温度測定のための複数の測定要素が挿入可能な空所を空けておく複数のスペーサを設ける、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
複数の流路を互いに平行に配向して、2つまたはそれ以上のモノリス(2)を互いに横方向および/または上下方向に配置し、前記モノリス(2)が、前記モノリス(2)の外周において、前記流路の長手方向に金属フレーム(5)によって包囲されてモノリスモジュール(4)を形成し、
複数のマット(3)を用い、前記モノリス(2)を互いにシーリングし、および、前記金属フレーム(5)に対してシーリングし、
流路を水平方向に配置して前記モノリスモジュール(4)を前記リアクタ(1)に組み込む、
請求項1に記載の方法。
【請求項4】
2つまたはそれ以上のモノリスモジュール(4)を互いに上下にスタックしてモノリスモジュールスタック(6)を形成する、
請求項3に記載の方法。
【請求項5】
2つまたはそれ以上のモノリスモジュールスタック(6)を前後に前記リアクタ(1)
に組み込む、
請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記マット(3)は、膨張マットから構成されている、
請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記マット(3)は、膨張マットの他に酸化物繊維からなる繊維マットを含む結合マットであり、
前記膨張マットおよび前記繊維マットは、それぞれ、大きい方の面積領域において互いに結合される面状構成体である、
請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記結合マットは、1つずつの膨張マットと、1つずつの繊維マットと、が上下に続く複数の層を含む、
請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記プラスチックシート用のプラスチックとして、1つまたは複数のポリアミドを使用するか、または、1つまたは複数のポリアミドと、ポリエチレンおよび/またはポリプロピレンと、からなる混合物を使用する、
請求項1から8までのいずれか1項に記載の方法。」

第4 引用文献1?4の記載
1.引用文献1(括弧内の和訳は当審による仮訳。以下、同じ。)
引用文献1には、「REACTOR FOR CARRYING OUT AN AUTOTHERMAL GAS-PHASE DEHYDROGENATION(自熱式の気相脱水素を行うための反応器)」(発明の名称)について、次の記載がある。
「[0002] The invention relates to a reactor for carrying out autothermal gas-phase dehydrogenations using a heterogeneous catalyst configured as a monolith and also a process using the reactor.
(本発明は、モノリスの形態の不均一系触媒を用いて、自熱式の気相脱水素を行うための反応器及びその反応器を用いた反応プロセスに関する。)」
「[0025] The object is achieved by a reactor in the form of an essentially horizontal cylinder or prism for carrying out an autothermal gas-phase dehydrogenation of a hydrocarbon-comprising gas stream by means of an oxygen-comprising gas stream to give a reaction gas mixture over a heterogeneous catalyst configured as monolith, where
(本発明の目的は、本質的に水平に円筒状または角柱状の反応器によって達成され、該反応器では、反応ガス混合物をモノリスの形態の不均一系触媒上に供給するための酸素含有ガス流を用いて、炭化水素含有ガス流の自熱式の気相脱水素が行われる。)」
「[0069] The autothermal gas-phase dehydrogenation takes place over a heterogeneous catalyst which is present in the form of monoliths.
(自熱式の気相脱水素化は、モノリスの形態で存在する不均一系触媒を用いて行われる。)
[0070] For the present purposes, a monolith is a one-piece, parallelepipedal block having a plurality of continuous channels which are arranged parallel to one another and have a narrow cross section in the range from about 0.5 to 4 mm.
(本発明の目的のために、一つのモノリスは、互いに平行に配置された複数の連続した通路を有する一つの平行六面体ブロックであり、該通路は、約0.5?4mmの範囲の狭い断面を有している。)」
「[0072] The monoliths which are stacked next to one another, above one another and behind one another to form a packing are preferably enclosed in an expandable mat or in a mineral fiber nonwoven and inserted in a casing having a clamping device. As mineral fiber nonwovens, preference is given to using nonwovens as are known for use for offgas catalysts, for example Interam○R(審決注:原文は○内にR。以下同じ); mats from 3M○R.
(複数のモノリスは、互いに隣接して、互いに上下にかつ互いに相前後して積層されたものであり、充填物を形成し、望ましくは、膨張性マット、又は、鉱物繊維の不織布で包装され、クランプ装置を備えたケーシング内に挿入される。鉱物繊維の不織布として、好ましくは、排ガス触媒として用いられるものが知られて用いられ、例えば、Interam○Rという、3M○Rによって売られているマットが用いられる。」
「[0074] The mineral nonwovens or expandable mats are selected so that they expand on heating and seal the generally ceramic monoliths against the housing, in particular prevent rubbing of the monoliths against the housing and bypass flow of the reaction gas mixture along the inner wall of the housing.
(加熱によって膨張し、一般にセラミックでできたモノリスをハウジングから密封し、とりわけ、ハウジングの内壁に対するモノリスのこすれを防ぎ、ハウジングの内壁に沿って流れる反応ガスの混合物の流れが迂回しないような、鉱物の不織布又は膨張性マットが選択される。)」
「[0076」 The monoliths enclosed in expandable mats are arranged in a housing.
(膨張性マットに囲まれた複数のモノリスがハウジング内に配置されている。)」
「[0124]The invention will be illustrated below with the aid of an example. A preferred embodiment of a reactor 1 on an industrial scale will be described in detail by way of example:
(本発明は、具体例を用いて以下に説明する。工業的規模で反応器1の好ましい実施例は、具体例によって詳細に説明する。)」
「[0144] The monoliths are preassembled to form larger packs for the purpose of easier installation. One pack comprises 6×4 monoliths which are separated by expanded mats. The mats are protected against disintegration and abrasion at the end face in the flow direction by means of an adhesively bonded metal screen. The individual monoliths 4 are secured against movement by spacers.
(モノリスは、設置を比較的容易にするために、比較的大きい束を形成するよう予め組み立てられている。1つの束は、膨張マットにより分離された6×4個のモノリスを含む。接着剤によって接着された金属網を用いて、流れの方向の端面で、該マットは破壊及び摩耗から保護される。個々のモノリス4は、スペーサによって動かないようにされる。)
[0145] Each packing module is clamped on the outside by means of a robust box. The individual packing modules are configured as push-in modules. Sealing of the push-in modules against the actual reactor housing is effected by means of a thin sealing mat.
(各充填物モジュールは、堅牢な箱によって外側からクランプされる。各充填物モジュールは、押込みモジュールとして構成されている。実際の反応器ハウジングに対する押込みモジュールのシールは、薄いシールマットによって行われる。)」

2.引用文献2
引用文献2には、「Fibrous material packages, method of making same and their use(繊維質材料のパッケージ、その製造方法及び使用方法)」(発明の名称)について、次の記載がある。
「1. A package of fibrous material comprising fibrous material wrapped under vacuum or at least reduced pressure and sealed in a substantially air impervious material.
(真空または少なくとも減圧下で巻かれ、実質的に空気不透過性の材料で封止された繊維質材料のパッケージ。
2. A package as claimed in claim 1, wherein the air impervious material is plastics sheet material.
(空気不透過性の材料は、プラスチックのシート材料である請求項1に記載のパッケージ。)」(9頁2?7行)
「Finally in Figure 3, a catalytic converter 40 of a motor vehicle exhaust system comprises flanged steel half shells 42 and 44 welded together at their flanges and contains a ceramic porous catalytic converter block 46 cushioned above and below by mats 20 of fibrous material. The polyethylene wrapping 22 may be destroyed during the welding process but will certainly be destroyed as soon as hot exhaust gases through the converter.
(最後に、図3において、自動車の排気システムの触媒コンバータ40は、それらのフランジで一緒に溶接されたフランジ付きの鋼製のハーフシェル42及び44と繊維材料のマット20によるクッションが、上下に設けられているセラミック多孔質触媒変換器ブロック46を含む。ポリエチレン包装材22は、溶接工程中に破壊されることがなく、確実に変換器を介して高温排ガスと直ちに破壊されてもよい。)

3.引用文献3
引用文献3には、「装着マット及び汚染制御装置」(発明の名称)について、次の記載がある。
「【技術分野】
【0001】
本発明は、汚染制御装置に関し、特に、自動車排気システム用触媒コンバーター及びジーゼル粒子フィルタまたはトラップに関する。本発明はまた、汚染制御装置に備えられる装着マットに関する。汚染制御装置は一般に、弾性及び可撓性を有した装着マットによってケーシング内に固定的に装着されたモノリシック要素を備えた金属ハウジングを具備する。装着マットは、非発泡性セラミック繊維複合材料から形成されるインサートを有する発泡性シート材料から構成される。」
「【0043】
非発泡性のインサート28に好適な繊維材料は一般に0.020?0.060g/cmの密度範囲のものが利用可能であるため、触媒モノリス20を装着するのに使用するときには、約10倍で圧縮しなければならない。非発泡性のインサート材料のマットは、触媒コンバーター10の組立中に材料の取り扱いを容易にする圧縮状態で一般に圧縮され保持される。インサート28は様々な方法で物理的に圧縮することができ、樹脂結合、ステッチボンディング、またはニードルパンチまたは真空パッキングの使用を含む。
【0044】
樹脂結合は非発泡性材料を、高温排気ガスの存在下で燃えつきインサート28の材料を使用の間に膨張させる有機結合材で飽和することによって達成される。ショットフリーの繊維の低密度及び嵩の高い性質、及び所望の装着密度を得るために通常約10倍で圧縮されなければならないという事実のため、これらの材料を有機糸で縫うかステッチボンドするかして、使用における最終厚さにより近い圧縮マットを形成することが有用であることもわかった。繊維マットの両面に裏打ち層として非常に薄いシート材料を加えて、ステッチが繊維マットを切断するかまたはマットを通るのを防ぐことが有用なこともある。ステッチの間隔あけは通常3?30mmであるため、繊維はマットの領域全体にわたって均一に圧縮される。有機材料は高温排気ガスにさらされると燃えつき、圧縮されたマットを膨張させる。」

4.引用文献4
引用文献4には、「熱発泡性シール部材の取付方法」(発明の名称)について、次の記載がある。
「本発明は圧入により熱発泡性シール部材を二つの物体間の空隙に介装しなければならない場合に於ても、その二つの物質間に熱発泡性シール部材を破砕を生じることなく正常状態にて介装でき、しかも熱発泡性シール部材本来のシール性能を阻害することがない熱発泡性シール部材の取付方法を提供することを目的としている。
かかる目的は、本発明によれば、熱発泡性シール部材を介装に先立って薄膜により真空パックする如き取付方法によって達成される。
真空パックはいわゆるスキンパッケージング(密着包装)であって良く、未発泡の熱発泡性シール部材は真空パックされることにより大気圧下の於ける時に比して体積収縮し、また剛性を増大し、またその表面を薄膜により被覆されることにより二つの物体間に大きい挿入力を要することなく挿入介装される。従って、熱発泡性シール部材はその介装時に大きい力が及ぼされることがなく、また直接二つの物体の対向面に摺接することがないので、介装時に破砕されることがなく、正常状態に二つの物体間に介装されるようになる。
真空パックを行なう薄膜はポリエステル系フィルムや塩化ビニールフィルム等の焼失性合成樹脂によって構成され、熱発泡性シール部材が加熱されて発泡するときその熱により焼失されて良い。」(2頁左上欄7行?右上欄11行)

第5 引用文献1に記載された発明(引用発明)
引用文献1には、「モノリスの形態の不均一系触媒を用いて、自熱式の気相脱水素を行うための反応器」([0002])が記載され、反応は、「反応ガス混合物をモノリスの形態の不均一系触媒上に供給」([0025])することで行われ、「一つのモノリスは、互いに平行に配置された複数の連続した通路を有する一つの平行六面体ブロックであり」([0070])、「モノリス」について、「セラミックでできた」([0074])ものであり、「複数のモノリスは、互いに隣接して、互いに上下にかつ互いに相前後して積層されたもの」([0072])であり、反応器には、「膨張性マットに囲まれた複数のモノリスがハウジング内に配置され」([0076])、「膨張性マット」は、「ハウジングの内壁に対するモノリスのこすれを防ぎ、ハウジングの内壁に沿って流れる反応ガスの混合物の流れが迂回しないように」するためのものである([0074])ことが記載されている。
また、引用文献1には、「複数のモノリス」を備えた「反応器」が記載されているのであるから、「複数のモノリスを反応器に組み込む方法」が記載されているといえる。

そうすると、引用文献1には、
「反応器に複数のモノリスを組み込む方法であって、
反応器は、モノリスの形態の不均一系触媒を用いて、自熱式の気相脱水素を行うための反応器であり、
反応は、反応ガス混合物をモノリスの形態の不均一系触媒上に供給して行われ、
一つのモノリスは、セラミックであり、互いに平行に配置された複数の連続した通路を有する一つの平行六面体ブロックであり、
複数のモノリスは、互いに隣接して、互いに上下にかつ互いに相前後して積層されて、膨張性マットに囲まれて、ハウジング内に配置され、
該膨張性マットは、ハウジングの内壁に対するモノリスのこすれを防ぎ、ハウジングの内壁に沿って流れる反応ガスの混合物の流れが迂回しないようにするためのものである、
反応器に複数のモノリスを組み込む方法。」(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

第6 対比・判断
1.本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明1とを対比する。
ア 引用発明は、「自熱式の気相脱水素を行う」ものであり、「反応は、反応ガス混合物をモノリスの形態の不均一系触媒上に供給して行われ」ることから、該「反応は」、本願発明1の「不均一性触媒気相反応」に相当する。
イ 引用発明の「反応ガス混合物」、「反応器」及び「膨張性マット」は、本願発明1の「反応ガス混合物」、「リアクタ」及び「膨張マット」に、それぞれ相当する。
ウ 引用発明は、複数のモノリスを備えるものであり、引用発明の「モノリス」の「通路」は、本願発明1の「モノリス」の「流路」に相当し、引用発明の「一つのモノリスは、セラミックであり、互いに平行に配置された複数の連続した通路を有する一つの平行六面体ブロックであ」る構成は、本願発明1の「複数のモノリス(2)は、それぞれ、互いに平行に配置された複数の流路を有するセラミックのブロックから構成されて」いる構成に相当する。
エ 引用発明は、「反応は、反応ガス混合物をモノリスの形態の不均一系触媒上に供給して行われ」、「一つのモノリスは」「互いに平行に配置された複数の連続した通路を有する」から、該「通路」を通り、「反応ガス混合物」が、「反応器」に通流するものといえることから、引用発明の「反応ガス混合物をモノリスの形態の不均一系触媒上に供給して行われ」る構成は、本願発明1の「不均一性触媒気相反応の反応ガス混合物が、前記流路を通って、不均一性触媒気相反応を行うためのリアクタ(1)に通流可能であ」る構成に相当する。
オ 引用発明の「複数のモノリスは、互いに隣接して、互いに上下にかつ互いに相前後して積層され」る構成は、引用発明の「隣接」、「上下」及び「積層」が、本願発明1の「横方向」、「上下方向」及び「スタック」にそれぞれ相当するから、引用発明の該構成は、本願発明1の「複数のモノリス(2)は、リアクタ内部空間において横方向および上下方向にスタックされている」構成に相当する。
カ 引用発明の「複数のモノリスは」、「膨張性マットに囲まれて、ハウジング内に配置され」、「該膨張性マットは、ハウジングの内壁に対するモノリスのこすれを防ぎ、ハウジングの内壁に沿って流れる反応ガスの混合物の流れが迂回しないようにするためのものである」構成は、本願発明1の「膨張マットを含むマット(3)を用い、リアクタ(1)の内壁に対してシーリング」する構成に相当する。

キ 上記ア?カより、本願発明1と引用発明1とは、
「複数のモノリスを組み込む方法であって、
複数のモノリス(2)は、それぞれ、互いに平行に配置された複数の流路を有するセラミックのブロックから構成されており、
不均一性触媒気相反応の反応ガス混合物が、前記流路を通って、不均一性触媒気相反応を行うためのリアクタ(1)に通流可能であり、
前記複数のモノリス(2)は、リアクタ内部空間において横方向および上下方向にスタックされており、
それぞれ膨張マットを含むマット(3)を用い、前記リアクタ(1)の内壁に対してシーリングする方法。」である点で一致し、次の点で相違が認められる。

(相違点1)
本願発明1は「複数のモノリス(2)を組み込む方法」であるのに対し、引用発明は、そのような方法の発明ではない点。
(相違点2)
膨張マットを含むマット(3)について、本願発明1は、「複数のモノリスを、互いにシーリング」するのに対し、引用発明の「膨張性マット」は、そのような機能を有しているかどうか不明な点。
(相違点3)
本願発明1は、「リアクタ(1)に組み込む前は全面がプラスチックシートに包まれており、前記プラスチックシートによって取り囲まれておりかつ前記マット(3)を含む内部空間を真空化し、前記リアクタ(1)に組み込んだ後、前記プラスチックシートを突き刺して孔を開け、および/または、焼き切ることにより、前記プラスチックシートによって取り囲まれておりかつ前記マット(3)を含む前記内部空間の減圧状態を解除する」のに対し、引用発明は、そのようなことは行われていない点。

(2)判断
事案に鑑み、まず、相違点1及び2について、検討する。
引用文献1には、「加熱によって膨張し、一般にセラミックでできたモノリスをハウジングから密封し、とりわけ、ハウジングの内壁に対するモノリスのこすれを防ぎ、ハウジングの内壁に沿って流れる反応ガスの混合物の流れが迂回しないような、鉱物の不織布又は膨張性マットが選択される。」([0074])と記載され、「モノリスは、設置を比較的容易にするために、比較的大きい束を形成するよう予め組み立てられている。1つの束は、膨張マットにより分離された6×4個のモノリスを含む。」([0144] )と記載されていることから、「膨張性マット」は、ハウジングとモノリスとの間のシーリングを行うものだといえても、モノリスとモノリスとを互いにシーリングするものとまではいうことができない。
そして、引用文献2?4には、モノリスの周囲に配置される膨張マットについては記載されているとしても、「複数のモノリスを、互いにシーリング」する膨張マットについては、記載も示唆もされていない。また、拒絶査定で引用された、引用文献5には「排気ガス浄化用触媒コンバータ」が記載され、引用文献6には「触媒コンバータ」が記載され、引用文献7には、「自動車排気ガス浄化器の触媒担持体用保護シート」が記載されているものの、いずれの文献にも、「複数のモノリスを、互いにシーリング」する膨張マットについては、記載も示唆も認められない。

そうすると、引用発明において、引用文献2?7の記載に基いて、上記相違点2に係る本願発明の発明特定事項は、当業者が容易に想到し得ることではない。

さらに、引用文献2?4に、モノリスに対する膨張マットの取付に関する技術が記載されているとしても、引用発明においては、複数のモノリスに対して、具体的に、どのようにして「膨張性マット」を取付けるかについては不明というほかなく、引用発明に引用文献2?4に開示されたようなモノリスに対する膨張マットの取付に関する技術を採用する動機付けも見出すことができない。

そして、本願発明1は、上記相違点1?3に係る本願発明1の発明特定事項を備えることで、モノリスと膨張マットからなるバイパスのないモノリスシステムの作製にあたって、補強のための複数の大きな力の作用を加える必要がないという(本願明細書【0003】?【0004】)、引用発明からは予測し得ない格別顕著な作用効果を奏するものである。

したがって、相違点3について、検討するまでもなく、本願発明1は、引用発明及び引用文献2?7の記載に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである、ということはできない。

2.本願発明2?9について
本願発明2?9は、本願発明1を直接的又は間接的に引用し、さらに限定するものであるから、本願発明1と同様に、引用発明及び引用文献2?7の記載に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。

第7 むすび
以上のとおり、本願発明1?9は、引用発明及び引用文献2?7の記載に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2019-05-27 
出願番号 特願2015-557426(P2015-557426)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (B01J)
最終処分 成立  
前審関与審査官 中村 泰三  
特許庁審判長 蔵野 雅昭
特許庁審判官 川端 修
日比野 隆治
発明の名称 不均一系触媒気相反応を行うためのリアクタにモノリスを組み込む方法  
代理人 森田 拓  
代理人 前川 純一  
代理人 二宮 浩康  
代理人 アインゼル・フェリックス=ラインハルト  
代理人 上島 類  
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