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審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 G02B
審判 査定不服 特174条1項 取り消して特許、登録 G02B
管理番号 1351856
審判番号 不服2018-5275  
総通号数 235 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-07-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-04-17 
確定日 2019-06-04 
事件の表示 特願2013- 83202「コンバイナ」拒絶査定不服審判事件〔平成26年10月30日出願公開、特開2014-206593、請求項の数(4)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続等の経緯
本願は、平成25年4月11日に出願された特許出願であって、その手続等の経緯の概要は、以下のとおりである。

平成29年 1月13日付け:拒絶理由通知書
平成29年 3月16日 :意見書、手続補正書
平成29年 3月27日付け:拒絶理由通知書
平成29年 5月30日 :意見書、手続補正書
平成29年 9月15日付け:拒絶理由(最後の拒絶理由)通知書
平成29年11月22日 :意見書、手続補正書
平成30年 1月31日付け:平成29年11月22日の手続補正につい ての補正の却下の決定、拒絶査定(以下「 原査定」という。)
平成30年 4月17日 :審判請求書、手続補正書
平成31年 1月29日付け:拒絶理由通知書
平成31年 4月 4日 :意見書、手続補正書

第2 本願発明
本願の請求項1-請求項4に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明4」という。)は、平成31年4月4日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-請求項4に記載された事項により特定された事項により特定される発明であり、以下のものである。

「 【請求項1】
透明な板状の光学部材であるコンバイナ本体と、
前記コンバイナ本体の表面上に配置されたフィルムと、
を備え、
前記フィルムは、前記コンバイナ本体の表面と近接する一方の面とは反対側の他方の面に凹部または凸部が周期的に連続して形成され、一周期分の前記凹部または前記凸部の間隔が可視光の波長よりも短く、
前記凸部の高さ方向の位置が底側から頂側へ移動するにつれて、前記凸部の断面積が徐々に小さくなり、前記凸部におけるフィルムの材料と空気の平均屈折率は、高さに応じて連続的に、かつ緩やかに変化し、前記凸部におけるフィルムの材料と隣接する空気との境界では反射は生じない、
ことを特徴とするコンバイナ。
【請求項2】
前記コンバイナ本体は、前記コンバイナ本体からの反射光を観察する位置であるアイポイントと前記コンバイナ本体とを結ぶ直線に交差する2つの面を有し、
前記フィルムは、前記コンバイナ本体の2つの面のうちのいずれか一方の面上に配置される、
ことを特徴とする請求項1に記載のコンバイナ。
【請求項3】
前記フィルムは、前記コンバイナ本体の2つの面のうちの、前記アイポイントからの距離が大きい一方の面上に配置される、
ことを特徴とする請求項2に記載のコンバイナ。
【請求項4】
前記フィルムは、前記コンバイナ本体の面と近接する一方の面が、前記フィルムの屈折率と同等の屈折率を有する所定の接着層を介して前記コンバイナ本体の表面に接着されることにより、前記コンバイナ本体の表面上に配置される、
ことを特徴とする請求項3に記載のコンバイナ。」

第3 原査定の概要及び原査定についての判断
原査定は、平成29年5月30日付け手続補正書でした補正は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「出願当初の明細書等」という。)には、当該手続補正書の請求項1に係る「凹部または凸部の高さが一周期分の前記凹部または前記凸部の間隔の略3倍」であることについて具体的な記載がなされていない点、及び、出願当初の明細書等には、当該手続補正書の請求項1に係る「凹部または凸部の高さ方向の位置が底側から頂側へ移動するにつれて前記凹部または前記凸部の断面積が徐々に小さくなっている」ことについて具体的な記載がなされていない点で出願当初の明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていないというものである。

しかしながら、平成30年4月17日付けの手続補正及び平成31年4月4日付けの手続補正により、「凹部または凸部の高さが一周期分の前記凹部または前記凸部の間隔の略3倍」との表現を用いないようにされるとともに、「前記凹部の高さ方向の位置が底側から頂側へ移動するにつれて、前記凹部の断面積が徐々に小さくな」るとの事項が削除され、さらに、出願当初の明細書等に記載した事項の範囲内の補正がされた結果、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面についてした補正が、出願当初の明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであるとの要件を満たすものとなった。
したがって、原査定を維持することはできない。

第4 当審拒絶理由について
特許法第36条第6項第2号について
1 当審では、平成30年4月17日付けの手続補正書で補正された請求項1には「『前記凹部』『の高さ方向の位置が底側から頂側へ移動するにつれて、前記凹部』『の断面積が徐々に小さくなり』」と記載されているが、当該記載ではどのような構造なのか不明確であるとの拒絶理由を通知したが、平成31年4月4日付けの手続補正により、「前記凹部の高さ方向の位置が底側から頂側へ移動するにつれて、前記凹部の断面積が徐々に小さくなり」が削除される補正がされた結果、この拒絶理由は解消した。

2 当審では、平成30年4月17日付けの手続補正書で補正された請求項1には「前記凹部または前記凸部の高さは、」「前記フィルムの材料と空気とにより求められる平均屈折率が直線的に変化するとみなせるよう、一周期分の前記凹部または前記凸部の間隔の略3倍である」と記載されているが、当該記載では「直線的に変化するとみなせる」、「略3倍」と「みなせる」、「略」との表現を用いているので、どこまでの範囲を含むのか不明確な記載であり、発明の構成が不明確とあるとの拒絶理由を通知したが、平成31年4月4日付けの手続補正により、「直線的に変化するとみなせる」、「略3倍」との表現を用いないように補正された結果、この拒絶理由は解消した。

第5 むすび
以上のとおり、原査定の拒絶理由及び当審の拒絶理由によっては、拒絶することができない。
また、他に本件出願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2019-05-21 
出願番号 特願2013-83202(P2013-83202)
審決分類 P 1 8・ 55- WY (G02B)
P 1 8・ 537- WY (G02B)
最終処分 成立  
前審関与審査官 右田 昌士  
特許庁審判長 森 竜介
特許庁審判官 野村 伸雄
近藤 幸浩
発明の名称 コンバイナ  
代理人 特許業務法人栄光特許事務所  

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