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審決分類 審判 査定不服 4項4号特許請求の範囲における明りょうでない記載の釈明 特許、登録しない。 D04H
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない。 D04H
審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 D04H
管理番号 1351898
審判番号 不服2018-7952  
総通号数 235 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-07-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-06-08 
確定日 2019-05-21 
事件の表示 特願2016-210631「繊維媒体並びにその形成方法及び装置」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 1月26日出願公開、特開2017-20159〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本件出願に関する手続の経緯は、以下のとおりである。
平成21年 1月28日 米国特許仮出願(優先基礎1)
平成22年 1月27日 米国特許出願(優先基礎2)
平成22年 1月27日 米国特許出願(優先基礎3)
平成22年 1月28日 上記3件の出願のパリ条約による優先権を主張した国際特許出願(PCT/US/2010/022427)
平成23年 7月27日 国内移行(特願2011-548304号、原原出願)
平成26年12月 1日 原原出願の一部を分割出願(特願2014-243159号、原出願)
平成28年10月27日 原出願の一部を分割して本願を出願
平成29年 7月28日付 拒絶理由通知
平成30年 1月31日 意見書提出
平成30年 2月 6日付 拒絶査定
平成30年 2月 8日 拒絶査定発送
平成30年 6月 8日 審判請求書提出と同時に手続補正
平成30年12月21日付 審理終結通知(発送は、同月25日)
平成30年12月26日 上申書

第2 平成30年 6月 8日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成30年 6月 8日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 本件補正の内容について
本件補正の内容は、以下の(1)に示した本件補正前の特許請求の範囲の記載を、以下の(2)に示したとおりに補正するものである。
(1)補正前の本願発明(以下「補正前発明」という。)
本件補正による補正前の発明は次のとおりのものである。
「【請求項1】
明細書または図面に記載の発明。」
(2)補正後の本願発明
本件補正による補正後の発明(以下「補正後発明1」?「補正後発明10」という。)は次のとおりのものである。
「【請求項1】
z方向勾配を含む領域を含むウェットレイド不織フィルタの媒体であって、前記媒体が
第1の融点を有する第1の熱可塑性部分と、より低い融点を有する第2の熱可塑性部分を含む二成分繊維であって、前記二成分繊維が少なくとも1ミクロンかつ大きくとも40ミクロンの直径を有する、二成分繊維と;
ガラスを含みそして少なくとも0.5ミクロンかつ大きくとも6ミクロンの繊維の直径を有する効率繊維であって、ここで、前記二成分繊維が直径において前記効率繊維よりも大きい、効率繊維と;
少なくとも0.3ミクロンの直径を有し、前記効率繊維より大径のスペーサー繊維と;
厚さを画定する第1の表面と第2の表面と
を含み、
前記領域が、二成分繊維、効率繊維およびスペーサー繊維のブレンドを含み、ここで、前記効率繊維は、前記効率繊維の濃度が前記領域にわたり前記第1の表面から前記第2の表面に至る方向に連続勾配で増加するように、前記領域において濃度が変化し、前記媒体は、30?85wt%の二成分繊維と、10?70wt%の効率繊維と、2?45wt%のスペーサー繊維とを含み、
ここで、前記媒体は、5?15ミクロンサイズ粒子についてのβ_(200)の捕捉効率により特徴付けられる、
フィルタ媒体。
【請求項2】
前記効率繊維が大きくとも5ミクロンの直径を有する、請求項1に記載のフィルタ媒体。
【請求項3】
前記領域が前記媒体の前記厚さの一部分に及ぶ、請求項1に記載のフィルタ媒体。
【請求項4】
前記二成分繊維が、前記フィルタ媒体の少なくとも30wt%且つ多くとも80wt%の量である、請求項1に記載のフィルタ媒体。
【請求項5】
前記効率繊維が、前記フィルタ媒体の最小30wt%且つ多くとも70wt%の量である、請求項1に記載のフィルタ媒体。
【請求項6】
前記第1の表面と前記第2の表面とが0.5?20mmの範囲の前記媒体の前記厚さを画定し、前記領域の前記一部分が0.1mmより大きい、請求項1に記載のフィルタ媒体。
【請求項7】
前記媒体が、膜、セルロース系媒体、合成媒体、スクリム又はエキスパンドメタル支持体を含む基層と組み合わされる、請求項1に記載のフィルタ媒体。
【請求項8】
前記効率繊維の濃度が前記第1の表面から前記第2の表面にかけて非線形的に増加する、請求項1に記載のフィルタ媒体。
【請求項9】
前記媒体が、透過率、細孔径、繊維径、繊維長、効率、固体度、湿潤性、耐化学性、及び耐温度性からなる群の少なくとも1つの勾配を有する、請求項1に記載のフィルタ媒体。
【請求項10】
前記フィルタ媒体が空気、水性流体、又は潤滑剤若しくは油圧油をろ過するように適合された、請求項1に記載のフィルタ媒体であって、少なくとも約30wt%且つ多くとも約70wt%の二成分繊維と、少なくとも約30wt%且つ多くとも約70wt%の効率繊維とがあり、効率繊維の前記濃度が、前記第1の表面から前記第2の表面にかけて増加する連続勾配で形成される、フィルタ媒体。」
2 原審の経過及び審判請求について
(1)拒絶理由通知
原審が通知した平成29年7月28日付の拒絶理由通知は、以下のとおりのものである。
「この出願は、次の理由によって拒絶をすべきものです。これについて意見がありましたら、この通知書の発送の日から3か月以内に意見書を提出してください。
理由
(実施可能要件明確性)この出願は、特許請求の範囲及び発明の詳細な説明の記載が下記の点で、特許法第36条第4項第1号及び第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

・請求項1
本願請求項1には、「明細書または図面に記載の発明。」と記載されているが、上記「明細書または図面に記載の発明」とは、如何なる発明を意味するのか不明である。
よって、請求項1に係る発明は明確でない。

なお、
(1)この出願は、出願内容が著しく不明確であるから、請求項1に係る発明については、新規性進歩性等の特許要件についての審査を行っていない。
(2)平成28年10月27日付け上申書において、出願人は、「出願人は、後日、本分割出願の原出願の審査結果等を考慮して、本分割出願について自発補正書を提出することを予定しています。自発補正書により特許請求の範囲を補正するまで本分割出願の審査を待っていただきたく、ここに上申いたします。」と述べている。
しかしながら、本願については、上申書が提出された平成28年10月27日から9か月以上経過しているが、依然として「自発補正書を提出すること」に関する応答がないことから、拒絶理由を通知する。」
(2)意見書
上記(1)の拒絶理由通知において指定された期間を3月延長請求した期間内である平成30年1月31日に提出された意見書の「2.本願の進行について」には以下のとおり記載されている。
「本願は分割出願であり、本分割出願と同日で提出しました上申書におきましては、本願出願人は、後日、本分割出願の原出願の審査結果等を考慮して、本分割出願について自発補正書を提出することを予定していることをご説明させて頂き、そして自発補正書により特許請求の範囲を補正するまで本分割出願の審査を待って頂くことをお願いしておりました。
本願は分割出願であり、本願の原出願につきましては、現在、拒絶査定不服審判に係属中です。本願出願人は、本分割出願の原出願の拒絶査定不服審判の結果を考慮して、本分割出願の特許請求の範囲を補正することを希望しています。
このように、本願出願人は、本分割出願よりも原出願の拒絶査定不服審判の審理を先に進めて頂くことを希望しています。そして、本願出願人は、本分割出願の原出願の拒絶査定不服審判の結果を考慮して、本分割出願の特許請求の範囲を補正することにより本願の拒絶理由については解消させて頂くことを希望しております。
そのため、大変恐縮ですが、本願出願人は、本願特許請求の範囲を補正するべき内容について未だに検討中であり、その内容を確定することができておりません。
本願出願人が審査を希望する特許請求の範囲ではない特許請求の範囲をご審査頂いて拒絶理由通知を出して頂くことになり、さらには、その拒絶理由通知に対する応答の際においても本願出願人が審査を希望する特許請求の範囲を提出できないことについては、大変心苦しく存じますが、そのような希望を出願人が有しているという事情を何卒ご理解頂きたく、お願い致します。」
(3)拒絶査定
平成30年2月6日付の拒絶査定には、次のように記載されている。
「この出願については、平成29年 7月28日付け拒絶理由通知書に記載した理由によって、拒絶をすべきものです。
なお、意見書の内容を検討しましたが、拒絶理由を覆すに足りる根拠が見いだせません。
備考
●理由(特許法第36条第6項第2号)について
・請求項 1
・備考
請求項1における「明細書または図面に記載の発明。」との記載では、発明の詳細な説明及び図面の記載並びに出願時の技術常識を参酌しても、具体的にどのような発明を意図しているかを把握することができない。
ここで、出願人は平成30年1月31日付け意見書において、請求項1に係る発明は明確であることについて何ら具体的に釈明を行っていない。
また、出願人は、同意見書において、今後補正を行う予定である旨を述べているが、現在のところ補正できる機会はない。
よって、本願請求項1に係る発明は、明確ではない。」
(4)審判請求書
平成30年6月8日に提出された審判請求書と、当該審判請求書を補正する平成30年7月20日付け手続補正書において、補正後発明1については、明瞭でない記載の釈明を補正の目的とする旨主張され、補正後発明2?10については、新規事項の追加ではなく、審判請求時の補正に求められる要件を満たすと主張されている。
3 検討
(1)補正後発明1について
ア 上記のとおり、拒絶査定において、補正前発明について明確性要件違反について指摘があるから、本件補正のうち、補正後発明1に係る部分は、特許法第17条の2第5項第4号のうち括弧書きの規定、すなわち拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてするもの、との規定は満たしている。
イ 規定の趣旨
特許法第17条の2第5項の規定は、迅速かつ的確な権利付与を確保する審査手続を確立するために、最後の拒絶理由通知以降の補正を、既になされた審査結果を有効に活用できる範囲内に制限する趣旨で設けられたものと解される。
ウ 「釈明」について
(ア)本願明細書及び図面には、段落【0001】?【0246】及び【図1】?【図32】に多数の技術事項が記載されている。
(イ)補正前発明においては、そのうち本願明細書または図面のどの部分を特定しているのかが、不明りょうであったが、補正後発明1においては、明細書における発明を特定する部分を明らかにしたという意味で、釈明したと解する余地はある。
(ウ)しかしながら、「明りょうでない記載」とは、文理上、意味が明らかでない記載など、不備を生じている記載と解される。また、「釈明」とは、明りょうでない記載の不明瞭さを正して、「その記載本来の意味内容」を明らかにすることと解されるから、補正前発明に記載された文言自体の意味内容を明らかにするものに限られるというべきである。そうでないと、上記イの規定の趣旨と齟齬が生じるからである。したがって、上記(イ)の解釈は成り立たない。
(エ)そうすると、補正前発明を補正後発明1に補正する本件補正は、明りょうでない記載の釈明に該当するということはできず、また、請求項の削除、請求項の限定的減縮、誤記の訂正を目的とするものでもないことは明らかであるので、特許法第17条の2第5項に規定された目的要件を満たさないものである。
(2)補正後発明2?10について
ア 本件補正により、請求項数が1から10に増加しているが、このような補正は、原則として、特許法第17条の2第5項で補正の目的とし得る事項として規定された「請求項の削除」(1号)、「特許請求の範囲の減縮」(2号)、「誤記の訂正」(3号)、「明りょうでない記載の釈明(拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてのものに限る。)」(4号)のいずれにも該当しないことは、規定の文言上明らかである(東京高裁平成15年(行ケ)230号)。
イ 補正後発明2?10を増項補正した目的が、例外的に認められるかについて検討する。
(ア)請求項の削除
本件補正は、明らかに請求項の削除を目的とするものではない。
(イ)特許請求の範囲の減縮
補正前発明において、請求項2?10は存在せず、本件補正が特許請求の範囲を減縮することを目的とするとはいえない。
(ウ)誤記の訂正
「誤記の訂正」とは、「本来その意であることが明細書、特許請求の範囲又は図面の記載などから明らかな字句、語句の誤りを、その意味内容の字句・語句に正す」ことと解される。「明細書または図面に記載の発明」には、本願明細書及び図面から多数の発明が把握できることから、本来その意であることが把握できる発明も多数あることから、「正す」ことが可能とはいえないので、本件補正が誤記の訂正を目的とするものともいえない。
(エ)明りょうでない記載の釈明
「明りょうでない記載」とは、文理上、意味が明らかでない記載など、不備を生じている記載と解される。また、「釈明」とは、明りょうでない記載の不明瞭さを正して、「その記載本来の意味内容」を明らかにすることと解される。そうすると、そもそも、補正前に存在しなかった請求項2?10について、記載本来の意味内容も存在しないから、それを明らかにすることもできない。本件補正は、明りょうでない記載の釈明を目的とするものでもない。
ウ 上記から、補正後発明2?10の追加を含む本件補正は、特許法第17条の2第5項に規定された目的要件を満たさないものである。
4 補正の却下の決定のむすび
以上(1)、(2)より、本件補正は、特許法第17条の2第5項に規定する要件を満たさないものであり、不適法であるから、[補正の却下の決定の結論]のとおり本件補正を却下する。

第3 本願発明
1 上記第2のように本件補正は却下されたので、本願発明は、補正前発明である。
2 判断
(1)明確性要件
ア 特許法第36条第6項第2号は、特許請求の範囲の記載について、特許を受けようとする発明が明確でなければならないことを規定している。
イ 特許請求の範囲の記載は、これに基いて新規性進歩性等が判断され、これに基いて特許発明の技術的範囲が定められるという点において、重要な意義を有するものであり、一の請求項から発明が明確に把握されることが必要であると解される。
(2)当てはめ
ア 本願発明の記載は、「明細書または図面に記載の発明」である。本願発明が、本願明細書または図面のどの部分を発明特定事項にしようとしているのかは、手がかりがなく、「明細書または図面に記載の発明」という記載から、発明が明確に把握できるということはできない。
イ したがって、本願は特許法第36条第6項第2号に規定された要件を満たさないから、特許を受けることができない。

第4 平成30年12月26日提出の上申書について
請求人は、平成30年12月26日提出の上申書において、面接を希望した。しかしながら、上記第1に記載したように、本件審理は終結しているため、面接は行うことができない。また、前記上申書が事実上審理の再開を申し出ているとも解されるが、再開の必要性は認められない。

第5 むすび
以上のとおりであるから、本願は、特許法第36条第6項第2号に規定された要件を満たさないから、特許を受けることができない。
したがって、本願は、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
別掲
 
審理終結日 2018-12-21 
結審通知日 2018-12-25 
審決日 2019-01-07 
出願番号 特願2016-210631(P2016-210631)
審決分類 P 1 8・ 537- Z (D04H)
P 1 8・ 574- Z (D04H)
P 1 8・ 572- Z (D04H)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 相田 元  
特許庁審判長 久保 克彦
特許庁審判官 白川 敬寛
門前 浩一
発明の名称 繊維媒体並びにその形成方法及び装置  
代理人 高柳 司郎  
代理人 大塚 康徳  
代理人 大塚 康弘  
代理人 木村 秀二  
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