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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 取り消して特許、登録 G05B
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G05B
管理番号 1352013
審判番号 不服2018-6594  
総通号数 235 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-07-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-05-14 
確定日 2019-06-18 
事件の表示 特願2016-538738「データ記録および分析するシステム、方法、およびデータレコーダ」拒絶査定不服審判事件〔平成28年4月7日国際公開、WO2016/049923、平成29年1月5日国内公表、特表2017-500650、請求項の数(42)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2014年(平成26年)9月30日を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
平成28年 6月20日 :手続補正書の提出
平成29年 1月16日付け:拒絶理由通知書
平成29年 4月17日 :意見書、手続補正書の提出
平成29年 7月10日付け:拒絶理由通知書
平成29年10月13日 :意見書、手続補正書の提出
平成30年 1月10日付け:拒絶査定
平成30年 5月14日 :審判請求書と同時に手続補正書の提出
平成30年 6月 6日付け:前置報告書
平成30年 8月 9日 :上申書の提出

第2 原査定の概要
原査定(平成30年1月10日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

請求項1-44に係る発明は、以下の引用文献1-7に基づいて、その発明の属する技術分野における通常の技術を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。(平成29年7月10日付け拒絶理由通知書における理由2)

引用文献等一覧
1.特開平7-306998号公報
2.特開2005-349871号公報
3.特開2004-359071号公報(周知技術を示す文献)
4.特開2002-222014号公報(周知技術を示す文献)
5.特開平3-2907号公報(周知技術を示す文献)
6.特開2014-63411号公報(周知技術を示す文献)
7.国際公開第03/004352号(周知技術を示す文献)

第3 審判請求時の補正について
審判請求時の補正は、特許法第17条の2第3項から第6項までの要件に違反しているものとはいえない。
審判請求時の補正によって請求項1、14及び32に以下の事項を追加する補正(以下、それぞれ「補正1」、「補正2」という。)は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるか、また、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであるかについて検討する。

(補正1)
「前記特性評価に基づいて、前記プラットフォーム操作者に対する操作者プロフィールを設定」し、「前記操作者プロフィールに基づいて、前記プラットフォームの動作パラメータの初期の動作制限を設定」し、「前記センサデータが前記動作パラメータの前記初期の動作制限を超えるかどうかを決定」する

(補正2)
「前記センサデータとして高度が最低高度を下回ることで前記初期の動作制限を超える場合に、前記プラットフォームの動作パラメータとして対気速度を変更」し、「前記センサデータとして高度が前記初期の動作制限内である場合に、前記プラットフォームの前記動作パラメータとして対気速度を維持する」

1.補正1について
補正1は、動作パラメータを更新する条件として、センサデータが動作パラメータの初期の動作制限を超える場合という条件に限定するものであるから、当該補正1は特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
当初明細書の段落【0089】には、「図2は、方法100の代替的実施形態を示す。図2を参照すると、110において動作センサデータを分析することは、112においてプラットフォーム操作者についてのプロフィールを確立することを含むように示されている。」(下線は理解の便のため当審にて付与。以下同。)、段落【0095】には、「ひとたび操作者プロフィールがロードされると、操作者プロフィールに基づいて、114において動作パラメータが確立される。動作パラメータは、加速度制限、速度制限、高度制限、または、これらの制限の1または複数の様々な組み合わせを含むことができる。例えば、動作パラメータは低高度における速度制限の組み合わせであることができる。」、段落【0097】には、「・・・確立された複数の動作パラメータから動作データが外れているかどうかを決定するために、116において、動作データは、確立された複数のパラメータと比較される。・・・」と記載されていることから、補正1で追加された事項は、当初明細書の段落【0089】、【0095】、【0097】、図2等に記載された事項であり、新規事項を追加するものではなく、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであるといえる。

2.補正2について
補正2は、動作パラメータを更新する際、具体的にどのような条件でどのように動作パラメータを更新するかを限定したものであるから、当該補正2は特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
当初明細書の段落【0087】には、「別のアプローチは、いくつかの動作パラメータを監視することを含む。複数の分析結果に基づいて、その他複数の動作制限から外れた場合にのみ、選択された動作パラメータが変更されてよい。例えば、このアプローチを用いると、もしもプラットフォーム200がある最低高度を下回る場合に、対気速度制限が適用されるであろう。対気速度制限は、より高い高度においては影響が無いだろう。」と記載されている。ここで、「その他複数の動作制限から外れた場合にのみ、選択された動作パラメータが変更されてよい」という記載は、他の(複数の)動作パラメータが動作制限から外れた場合にのみ、選択された動作パラメータが変更されると解釈することができる。
そして、その後に記載された、プラットフォーム200(の高度)が最低高度を下回る場合に、対気速度制限が適用されるという例示を踏まえると、他の動作パラメータである高度が動作制限である最低高度から外れて下回る場合に、対気速度制限が適用され、選択された動作パラメータである対気速度が変更されることを意味するものと認められる。よって、「前記センサデータとして高度が最低高度を下回ることで前記初期の動作制限を超える場合に、前記プラットフォームの動作パラメータとして対気速度を変更」という補正は、当初明細書の段落【0087】等に記載された事項であり、新規事項を追加するものではないといえる。
また、「対気速度制限は、より高い高度においては影響が無いだろう。」という例示を踏まえると、他の動作パラメータである高度が動作制限である最低高度より高い高度で動作制限内である場合には、選択された動作パラメータである対気速度は変更されず維持されることを意味するものと認められる。よって、「前記センサデータとして高度が前記初期の動作制限内である場合に、前記プラットフォームの前記動作パラメータとして対気速度を維持する」という補正は、当初明細書の段落【0087】等の記載から自明な事項であり、新規事項を追加するものではなく、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであるといえる。

そして、「第4 本願発明」から「第6 対比・判断」までに示すように、補正後の請求項1-42に係る発明は、独立特許要件を満たすものである。

第4 本願発明
本願請求項1-42に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明42」という。)は、平成30年5月14日提出の手続補正書で補正された特許請求の範囲の請求項1-42に記載された事項により特定される発明であり、そのうち本願発明1、14及び32は以下のとおりの発明である。

「【請求項1】
移動する無人航空機であるプラットフォームに配置されたセンサにより収集されて記録された複数の以前のイベントのセンサデータを取得するステップと、
プラットフォーム操作者の経験レベルを決定するために、前記センサデータを分析するステップと、
前記センサデータを分析するステップに基づいて前記プラットフォーム操作者の前記経験レベルを特性評価するステップと、
前記特性評価に基づいて、前記プラットフォーム操作者に対する操作者プロフィールを設定するステップと、
前記操作者プロフィールに基づいて、前記プラットフォームの動作パラメータの初期の動作制限を設定するステップと、
前記センサデータが前記動作パラメータの前記初期の動作制限を超えるかどうかを決定するステップと、
前記特性評価により決定された経験があるプラットフォーム操作者が操作する場合にプラットフォーム性能特性を増大させるステップ、および、前記特性評価により決定された初心者が操作する場合にプラットフォーム性能特性を低減するステップの少なくとも一方を行うことで、前記プラットフォームの動作パラメータを更新するステップと、
を含み、
前記特性評価するステップは、
前記無人航空機により受信されるコントローラ入力及び加速度計に基づく、前記無人航空機の以前の飛行における前記無人航空機の姿勢および速度の相対的な滑らかさに基づいて、前記経験レベルを特性評価するステップを含み、
前記更新するステップは、
前記センサデータとして高度が最低高度を下回ることで前記初期の動作制限を超える場合に、前記プラットフォームの動作パラメータとして対気速度を変更するステップと、
前記センサデータとして高度が前記初期の動作制限内である場合に、前記プラットフォームの前記動作パラメータとして対気速度を維持するステップと、
を有する、方法。」

「【請求項14】
移動する無人航空機であるプラットフォームに配置されたセンサと、
プラットフォーム操作者の経験レベルを決定するために、前記センサにより収集されて記録された複数の以前のイベントのセンサデータを取得し、前記センサデータを分析し、前記センサデータの分析に基づいて、前記プラットフォーム操作者の前記経験レベルを特性評価し、前記特性評価により決定された経験があるプラットフォーム操作者が操作する場合にプラットフォーム性能特性を増大させること、および、前記特性評価により決定された初心者が操作する場合にプラットフォーム性能特性を低減することの少なくとも一方を行うことで、前記プラットフォームの動作パラメータを更新するプロセッサと、
前記記録されたセンサデータを格納するデータ格納ユニットを有するデータレコーダと、
を備え、
前記プロセッサは、
前記無人航空機により受信されるコントローラ入力及び加速度計に基づく、前記無人航空機の以前の飛行における前記無人航空機の姿勢および速度の相対的な滑らかさに基づいて、前記経験レベルを特性評価し、
前記特性評価に基づいて、前記プラットフォーム操作者に対する操作者プロフィールを設定し、
前記操作者プロフィールに基づいて、前記動作パラメータの初期の動作制限を設定し、
前記センサデータが前記動作パラメータの前記初期の動作制限を超えるかどうかを決定し、
前記センサデータとして高度が最低高度を下回ることで前記初期の動作制限を超える場合に、前記プラットフォームの動作パラメータとして対気速度を変更し、
前記センサデータとして高度が前記初期の動作制限内である場合に、前記プラットフォームの前記動作パラメータとして対気速度を維持する、システム。」

「【請求項32】
移動する無人航空機であるプラットフォームに配置されたセンサからセンサデータを受信するように構成されたデータレコーダであって、
前記センサデータを記録するためのデータ格納ユニットと、
プラットフォーム操作者の経験レベルを決定するために、前記センサにより収集されて、前記データ格納ユニットに記録された複数の以前のイベントのセンサデータを取得し、前記センサデータを分析し、前記センサデータの分析に基づいて、前記プラットフォーム操作者の前記経験レベルを特性評価し、前記特性評価により決定された経験があるプラットフォーム操作者が操作する場合にプラットフォーム性能特性を増大させること、および、前記特性評価により決定された初心者が操作する場合にプラットフォーム性能特性を低減することの少なくとも一方を行うことで、前記プラットフォームの動作パラメータを更新するプロセッサと、
を備え、
前記プロセッサは、
前記無人航空機により受信されるコントローラ入力及び加速度計に基づく、前記無人航空機の以前の飛行における前記無人航空機の姿勢および速度の相対的な滑らかさに基づいて、前記経験レベルを特性評価し、
前記特性評価に基づいて、前記プラットフォーム操作者に対する操作者プロフィールを設定し、
前記操作者プロフィールに基づいて、前記動作パラメータの初期の動作制限を設定し、
前記センサデータが前記動作パラメータの前記初期の動作制限を超えるかどうかを決定し、
前記センサデータとして高度が最低高度を下回ることで前記初期の動作制限を超える場合に、前記プラットフォームの動作パラメータとして対気速度を変更し、
前記センサデータとして高度が前記初期の動作制限内である場合に、前記プラットフォームの前記動作パラメータとして対気速度を維持する、データレコーダ。」

また、本願発明2-13、15-31及び33-42の概要は以下のとおりである。

本願発明2-13は、本願発明1の構成全てを引用した発明である。

本願発明15-31は、本願発明14の構成全てを引用した発明である。

本願発明33-42は、本願発明32の構成全てを引用した発明である。

第5 引用文献、引用発明等
1.引用文献1について
(1)原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。

ア 段落【0010】
「一方、運転者の技量を判断するために、ドライバ技量計測手段115においては、ステアリング角度を検知するために操舵角検出手段112と車両の左右方向の加速度を計測する加速度検出手段113と,タイヤと路面との滑りを検出するスリップ率検出手段114を入力として、ドライバの技量を初級,中級,上級の3段階に評価する。」

イ 段落【0012】
「図2にシステム構成の例を示す。ロケータ装置201は自車の地図上の位置をGPS202,角速度センサ203,地磁気センサ204,車輪速センサ205,FM多重放送受信器206,ビーコン受信器207、及び地図208からの情報により決定する。安全走行コントローラ209はI/Oインターフェイス210,CPU211,メモリ212で構成される。ロケータ装置210からの位置情報と,操舵角センサ223のステアリング情報と,加速度センサ224からの車両運動情報と,クランク角センサ222からの点火時期情報に演算を施し、安全に走行するための目標車速や目標エンジントルクを算出する。安全走行コントローラ209での処理結果を基にスピーカ214,ディスプレイ215を駆動し、ドライバに警告を促す。また、変速機コントローラ216,点火時期コントローラ217,スロットルコントローラ218,燃料噴射コントローラ224,バルブタイミングコントローラ223に安全走行コントローラ209の処理結果を入力し、その処理結果を基にそれぞれの制御を行う。」

ウ 段落【0027】
「次に、運転者の技量判定を行う実施例について述べる。本実施例では運転技量を判定する為に、運転者のステアリング操作に着目する。図7はドライバ技量検出手段のフローチャートである。ステップ701において経路形状(長さ,曲率半径,幅員等)の情報をメモリから読み出す。ステップ702においてタイヤと路面のスリップ率μを、ステップ703では操舵角φを、ステップ704においては横方向の加速度αをそれぞれのセンサから読み込む。ステップ705においては最適操舵角φ_(op)(t)を先に読み込んだ経路形状とタイヤのスリップ率μから算出する。ステップ706においては、最適操舵角と実操舵角との差である操舵角偏差ΔΦを算出する。運転者は周りの環境に応じてステアリングを回し、その操作量はステアリング角度センサで検出され、実操舵角φとして偏差算出手段に入力される。ステップ706においては次の数5式の演算を行う。」

エ 段落【0028】
「【数5】
ΔΦ=φ_(op)-φ …(数5)
この操舵角偏差ΔΦが小さい場合には適切な運転行動をとっているものとし、ΔΦが大きい場合には外乱が大きいか不適切な運転行動を行っている。」

オ 段落【0029】
「一方、後半では操舵遅れを検出する。操舵遅れは突発現象に対する運転者の反応時間Δtを計測し、そのΔtを運転技量の指標に使うものである。ステップ707においては横加速度αから横ジャークΔα(t)を数6式で算出する。」

カ 段落【0030】
「【数6】
Δα(t)=α(t-τ)-α(t) …(数6)
ここでτは横加速度αを取り込む周期で、横ジャークΔαは数6式は前回の横加速度の値α(t-τ)かと現在の横加速度αとの差分である。ステップ708においては、あらかじめ設定した閾値ΔαTと比較し、閾値を越えた場合には操舵遅れの検知を開始する。越えない場合は処理を終了する。検知を開始した場合にはステップ709において計測用のタイマを起動する。ステップ710ではステップ709で起動したタイマがオーバーフローした場合には処理が終了する。ステップ711では操舵角の変化率を数7式で算出する。」

キ 段落【0031】
「【数7】
Δφ(t)=φ(t-τ)-φ(t) …(数7)
ステップ12においては、数7式で算出されたΔφが閾値ΔφTを越えた場合には次のステップ713へ、越えない場合にはステップ710の処理へ戻る。ステップ713ではタイマの値を反応時間Δtとして読み込む。そしてステップ714では操舵偏差の平均値ΔΦ^(*)を、ステップ715では反応時間の平均値Δt^(*) を算出する。そしてステップ716において、ステアリングの最適操舵角φ_(op)と実操舵角φとの偏差の平均値ΔΦ^(*) と、横加速度変化分(横ジャーク)Δαと、操舵角変化分Δφとの時間差の平均値Δt^(* )を入力とし、出力に上級又は中級もしくは初心の3段階に運転者を評価する。図8に時間tに対する横加速度α,横ジャークΔα,操舵角φ,操舵角変化分Δφの一例を示す。この例は、車両がカーブの途中でグリップを失い、その後の運転者のコントロールでグリップを回復する例である。横ジャークに閾値±ΔαTを設けておく。また、操舵角変化分にも閾値ΔφTを設けておく。カーブに進入し、t_(1) で運転者がステアリングを回し始め、車両が回頭し、それに伴い横加速度αが増加していく。適切な操舵になった後はカーブが終了するまでその操舵角を保持する。ところがt_(2) に於いて、タイヤのグリツプが急激に低下し(スリップ率μが小さくなる)、車両が横方向に流れ出す。その時の横加速度α(t_(2) )はゼロとなる。したがって横ジャークΔα(t_(2) )は急激に大きな値を出力する。事前に設定した閾値ΔαTを越えた場合、すなわち数8式の関係を満たすときに反応時間Δtの計測を開始する。」

ク 段落【0032】
「【数8】
Δα(t)>ΔαT …(数8)
車両が横方向に流れ出したのを修正しようと、運転者は車両の旋回方向と逆方向にステアリングホイールを操舵する(カウンターを当てる)。したがって操舵角変化分も大きく変化する。」

ケ 段落【0033】
「【数9】
Δφ(t)>ΔφT …(数9)
数9の関係を満たしたとき、運転者がカウンターを当てたと判断し、反応時間Δtの計測を終了する。この反応時間Δtが早い場合は運転操作が的確であり、上級の技量とし、反応時間が長い場合は運転操作が未熟があり、初心の技量とする。図9は前述の操舵角偏差Δφ^(* )と反応時間Δt^(* )とを用いた総合技量判定のためのマップである。図9のように操舵角偏差Δφ^(* )と反応時間Δt^(* )が共に短い場合には上級の技量を持ち、操舵角偏差Δφ^(* )が大きいか反応時間Δt^(* )が長い場合には初心の技量と判定する。中間に位置するケースは中級の技量と判定する。」

コ 段落【0040】
「この道のりH_(j) を走行している間に車両速度V_(0) をV_(j) まで低下させる必要がある。ステップ808では、運転技量判定の結果に基づき減速度の加え方を変化させる。上級の運転技量の判定を受けた場合には減速度を加えず、減速は行わない。中級の技量判定を受けている場合には、道のりH_(j) の間に等しく減速度をかけることで車両を減速する。車両速度をV_(s )にするのに必要な減速度(加速度g)は数13式で算出する。」

サ 段落【0060】
「ここでT_(el)は推定された現在のエンジントルクである。数22式で得られた目標エンジントルクT_(ob)を達成するために、3つの制御手段の中から適当なものを選択する。選択の基準は必要な応答時間をパラメータとして用いる。図13は制御手段の選択を行うアルゴリズムである。(1)急速な応答時間が必要なケース(急に減速したい場合)は点火時期を最適な点火進角よりも遅くしてエンジントルクを低減する。低減したいエンジントルクが大きい場合には、特定の気筒の燃料カットと未点火によりエンジントルクを低減する。(3)緩慢な応答時間で十分なケース(ゆっくり減速したいケース)ではスロットル開度を制御する。(1)と(3)の間の中庸な(2)のケースでは空燃比を制御する。空燃比を大きくすることでエンジントルクを低減する。この際、同時に点火時期も最適な値に制御される。」

(2)上記(1)での記載から、引用文献1には、次の技術的事項が開示されていると認められる。

ア 上記(1)ウの「・・・ステップ703では操舵角φを、ステップ704においては横方向の加速度αをそれぞれのセンサから読み込む。」の記載から、引用文献1には、センサにより収集されて記録された操舵角φや横方向の加速度α等を取得するステップが開示されていると認められる。

イ 上記(1)ウ?ケから、引用文献1には、運転者の経験量を決定するために、操舵角φや横方向の加速度α等を分析するステップと、前記操舵角φや横方向の加速度α等を分析するステップに基づいて前記運転者の前記経験量を評価するステップと、前記評価に基づいて、前記運転者に対する技量を初級、中級、上級の3段階に判定するステップが開示されていると認められる。

ウ 上記(1)ウ?ケから、引用文献1には、運転者の経験量を決定するために、前記センサにより収集されて記録された操舵角φや横方向の加速度α等を取得し、前記操舵角φや横方向の加速度α等を分析し、前記操舵角φや横方向の加速度α等の分析に基づいて、前記運転者の前記経験量を初級、中級、上級の3段階に評価することが開示されていると認められる。

エ 上記(1)ア、コ、サから、引用文献1には、運転者の経験量を評価し、車両を減速する制御手段が開示されていると認められる。

(3)上記(2)から、上記引用文献1には次の3つの発明(以下、それぞれ「引用発明1」-「引用発明3」という。)が記載されていると認められる。

ア 引用発明1
「移動する車両に配置されたセンサにより収集されて記録された操舵角φや横方向の加速度α等を取得するステップと、
運転者の経験量を決定するために、前記操舵角φや横方向の加速度α等を分析するステップと、
前記操舵角φや横方向の加速度α等を分析するステップに基づいて前記運転者の前記経験量を評価するステップと、
前記評価に基づいて、前記運転者に対する技量を初級、中級、上級の3段階に判定するステップと、
上級の運転技量の判定を受けた場合には減速度を加えず、減速は行わず、中級の技量判定を受けている場合には、等しく減速度をかけることで車両を減速するステップと、
を含む、方法。」

イ 引用発明2
「移動する車両に配置されたセンサと、
運転者の経験量を決定するために、前記センサにより収集されて記録された操舵角φや横方向の加速度α等を取得し、前記操舵角φや横方向の加速度α等を分析し、前記操舵角φや横方向の加速度α等の分析に基づいて、前記運転者の前記経験量を初級、中級、上級の3段階に評価し、上級の運転技量の判定を受けた場合には減速度を加えず、減速は行わず、中級の技量判定を受けている場合には、等しく減速度をかけることで車両を減速する制御手段と、
を備える、システム。」

ウ 引用発明3
「移動する車両に配置されたセンサから操舵角φや横方向の加速度α等を受信し、
運転者の経験量を決定するために、前記センサにより収集された操舵角φや横方向の加速度α等を取得し、前記操舵角φや横方向の加速度α等を分析し、前記操舵角φや横方向の加速度α等の分析に基づいて、前記運転者の前記経験量を初級、中級、上級の3段階に評価し、上級の運転技量の判定を受けた場合には減速度を加えず、減速は行わず、中級の技量判定を受けている場合には、等しく減速度をかけることで車両を減速する制御手段、
を備える、安全走行コントローラ。」

2.引用文献2について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献2の段落【0055】-【0061】等の記載からみて、当該引用文献2には、移動する無人航空機であるプラットフォームに配置されたセンサにより収集された複数のセンサデータを取得して、無人航空機の高度維持を自動的に実現する方法という技術的事項が記載されていると認められる。

3.その他の文献について
原査定において周知技術を示す文献として引用された上記引用文献3には、無人ヘリコプタ操縦システム100には、オペレータの操作によって機体2に操縦信号を送信する複数の送信機(無線操縦手段)1が備えられていることが開示されている。
原査定において周知技術を示す文献として引用された上記引用文献4には、飛行装置の本体部2は、外部に周囲の画像を取り込むためのカメラ16を有することが開示されている。
原査定において周知技術を示す文献として引用された上記引用文献5には、各移動ロボットが自ら走行ルートの探索を行い、走行できなくなった場合は、自ら走行できなくなった原因を検知することが開示されている。
原査定において周知技術を示す文献として引用された上記引用文献6には、遠隔制御システム1は、リモコンヘリコプタ等の被遠隔操作装置10(移動装置)と、この被遠隔操作装置10を遠隔操作するための制御を行うスマートフォン等の無線通信端末20(制御装置)とを含むことが開示されている。
原査定において周知技術を示す文献として引用された上記引用文献7には、基地局120の基地本体121内には、 蓄電器128とガスボンベ129とが収容され、蓄電器128は給気制御部128aを経て基地台122の充電部122aに接続されていることが開示されている。

第6 対比・判断
1.本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明1とを対比すると、次のことがいえる。

ア 引用発明1における「操舵角φや横方向の加速度α等」、「運転者」、「経験量」、「技量」、「評価」、「技量を初級、中級、上級の3段階に判定するステップ」は、それぞれ、本願発明1における「(複数の以前のイベントの)センサデータ」、「プラットフォーム操作者」、「経験レベル」、「操作者プロフィール」、「特性評価」、「操作者プロフィールを設定するステップ」に相当する。

イ 引用発明1における「車両」と、本願発明1の「無人航空機であるプラットフォーム」とは、どちらも「プラットフォーム」である点では一致する。

ウ 引用発明1の「上級の運転技量の判定を受けた場合には減速度を加えず、減速は行わず、中級の技量判定を受けている場合には、等しく減速度をかけることで車両を減速するステップ」は、中級が上級よりも初心者であるとともに、上級では運転に制限がかからないため車両の性能特性は増大する一方、中級(初心者)では運転に制限がかかり車両の性能特性が低減するので、本願発明1の「特性評価により決定された経験があるプラットフォーム操作者が操作する場合にプラットフォーム性能特性を増大させるステップ、および、前記特性評価により決定された初心者が操作する場合にプラットフォーム性能特性を低減するステップの少なくとも一方を行うことで、前記プラットフォームの動作パラメータを更新するステップ」に相当する。

エ したがって、本願発明1と引用発明1との間には、次の一致点、相違点があるといえる。

(一致点)
「移動するプラットフォームに配置されたセンサにより収集されて記録された複数の以前のイベントのセンサデータを取得するステップと、
プラットフォーム操作者の経験レベルを決定するために、前記センサデータを分析するステップと、
前記センサデータを分析するステップに基づいて前記プラットフォーム操作者の前記経験レベルを特性評価するステップと、
前記特性評価に基づいて、前記プラットフォーム操作者に対する操作者プロフィールを設定するステップと、
前記特性評価により決定された経験があるプラットフォーム操作者が操作する場合にプラットフォーム性能特性を増大させるステップ、および、前記特性評価により決定された初心者が操作する場合にプラットフォーム性能特性を低減するステップの少なくとも一方を行うことで、前記プラットフォームの動作パラメータを更新するステップと、
を含む、方法。」

(相違点1)
本願発明1は、プラットフォームが「無人航空機」であるのに対し、引用発明1は、プラットフォームが「車両」である点。

(相違点2)
本願発明1は、「前記操作者プロフィールに基づいて、前記プラットフォームの動作パラメータの初期の動作制限を設定するステップと、前記センサデータが前記動作パラメータの前記初期の動作制限を超えるかどうかを決定するステップと、」を含むのに対し、引用発明1にはそのようなステップが記載されていない点。

(相違点3)
本願発明1は、「前記特性評価するステップは、前記無人航空機により受信されるコントローラ入力及び加速度計に基づく、前記無人航空機の以前の飛行における前記無人航空機の姿勢および速度の相対的な滑らかさに基づいて、前記経験レベルを特性評価するステップを含」むのに対し、引用発明1にはそのような構成が記載されていない点。

(相違点4)
本願発明1は、「前記更新するステップは、前記センサデータとして高度が最低高度を下回ることで前記初期の動作制限を超える場合に、前記プラットフォームの動作パラメータとして対気速度を変更するステップと、前記センサデータとして高度が前記初期の動作制限内である場合に、前記プラットフォームの前記動作パラメータとして対気速度を維持するステップと、を有する」のに対し、引用発明1にはそのような構成が記載されていない点。

(2)相違点についての判断
(上記相違点4について)
相違点4について、引用発明1は車両の制御方法に関する発明であることから、高度が最低高度を下回る場合にプラットフォームの対気速度を変更し、高度が初期の動作制限内である場合にプラットフォームの対気速度を維持することは一切記載されていない。
また、引用文献2-7にも、高度が最低高度を下回る場合にプラットフォームの対気速度を変更し、高度が初期の動作制限内である場合にプラットフォームの対気速度を維持することは記載されていない。
したがって、上記相違点4に係る構成は、当業者であっても、引用発明1、引用文献2に記載された技術的事項及び上記周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

したがって、本願発明1は、相違点1?3を検討するまでもなく、引用発明1、引用文献2に記載された技術的事項及び上記周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

2.本願発明2-13について
本願発明2-13は、本願発明1の構成全てを引用した発明であるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明1、引用文献2に記載された技術的事項及び上記周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

3.本願発明14について
(1)対比
本願発明14と引用発明2とを対比すると、次のことがいえる。

ア 引用発明2における「運転者」、「経験量」、「操舵角φや横方向の加速度α等」、「初級、中級、上級の3段階に評価」、「制御手段」は、それぞれ、本願発明14における「プラットフォーム操作者」、「経験レベル」、「(複数の以前のイベントの)センサデータ」、「特性評価」、「プロセッサ」に相当する。

イ 引用発明2における「車両」と、本願発明14の「無人航空機であるプラットフォーム」とは、どちらも「プラットフォーム」である点では一致する。

ウ 引用発明2の「上級の運転技量の判定を受けた場合には減速度を加えず、減速は行わず、中級の技量判定を受けている場合には、等しく減速度をかけることで車両を減速する」は、中級が上級よりも初心者であるとともに、上級では運転に制限がかからないため車両の性能特性は増大する一方、中級(初心者)では運転に制限がかかり車両の性能特性が低減するので、本願発明14の「特性評価により決定された経験があるプラットフォーム操作者が操作する場合にプラットフォーム性能特性を増大させること、および、前記特性評価により決定された初心者が操作する場合にプラットフォーム性能特性を低減することの少なくとも一方を行うことで、前記プラットフォームの動作パラメータを更新する」に相当する。

エ したがって、本願発明14と引用発明2との間には、次の一致点、相違点があるといえる。

(一致点)
「移動するプラットフォームに配置されたセンサと、
プラットフォーム操作者の経験レベルを決定するために、前記センサにより収集されて記録された複数の以前のイベントのセンサデータを取得し、前記センサデータを分析し、前記センサデータの分析に基づいて、前記プラットフォーム操作者の前記経験レベルを特性評価し、前記特性評価により決定された経験があるプラットフォーム操作者が操作する場合にプラットフォーム性能特性を増大させること、および、前記特性評価により決定された初心者が操作する場合にプラットフォーム性能特性を低減することの少なくとも一方を行うことで、前記プラットフォームの動作パラメータを更新するプロセッサと、
を備える、システム」

(相違点1)
本願発明14は、プラットフォームが「無人航空機」であるのに対し、引用発明2は、プラットフォームが「車両」である点。

(相違点2)
本願発明14は、「前記記録されたセンサデータを格納するデータ格納ユニットを有するデータレコーダ」を備えるのに対し、引用発明2にはそのような構成が記載されていない点。

(相違点3)
本願発明14は、「前記プロセッサは、前記無人航空機により受信されるコントローラ入力及び加速度計に基づく、前記無人航空機の以前の飛行における前記無人航空機の姿勢および速度の相対的な滑らかさに基づいて、前記経験レベルを特性評価し、前記特性評価に基づいて、前記プラットフォーム操作者に対する操作者プロフィールを設定し、前記操作者プロフィールに基づいて、前記動作パラメータの初期の動作制限を設定し、前記センサデータが前記動作パラメータの前記初期の動作制限を超えるかどうかを決定」するのに対し、引用発明2にはそのような構成が記載されていない点。

(相違点4)
本願発明14は、「前記センサデータとして高度が最低高度を下回ることで前記初期の動作制限を超える場合に、前記プラットフォームの動作パラメータとして対気速度を変更し、前記センサデータとして高度が前記初期の動作制限内である場合に、前記プラットフォームの前記動作パラメータとして対気速度を維持する」のに対し、引用発明2にはそのような構成が記載されていない点。

(2)相違点についての判断
(上記相違点4について)
本願発明14についての相違点4は、第6 1.(1)に記載のとおり、本願発明1についての相違点4と実質的に同じである。よって、第6 1.(2)に記載の理由と同様の理由で、上記相違点4に係る構成は、当業者であっても、引用発明2、引用文献2に記載された技術的事項及び上記周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

したがって、本願発明14は、相違点1?3を検討するまでもなく、引用発明2、引用文献2に記載された技術的事項及び上記周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

4.本願発明15-31について
本願発明15-31は、本願発明14の構成全てを引用した発明であるから、本願発明14と同様の理由により、当業者であっても、引用発明2、引用文献2に記載された技術的事項及び上記周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

5.本願発明32について
(1)対比
本願発明32と引用発明3とを対比すると、次のことがいえる。

ア 引用発明3における「操舵角φや横方向の加速度α等」、「運転者」、「経験量」、「初級、中級、上級の3段階に評価」、「制御手段」は、それぞれ、本願発明32における「(複数の以前のイベントの)センサデータ」、「プラットフォーム操作者」、「経験レベル」、「特性評価」、「プロセッサ」に相当する。

イ 引用発明3における「車両」と、本願発明32の「無人航空機であるプラットフォーム」とは、どちらも「プラットフォーム」である点では一致する。

ウ 引用発明3における「安全走行コントローラ」と、本願発明32の「データレコーダ」とは、どちらも「システム構成要素」である点では一致する。

エ 引用発明3の「上級の運転技量の判定を受けた場合には減速度を加えず、減速は行わず、中級の技量判定を受けている場合には、等しく減速度をかけることで車両を減速する」は、中級が上級よりも初心者であるとともに、上級では運転に制限がかからないため車両の性能特性は増大する一方、中級(初心者)では運転に制限がかかり車両の性能特性が低減するので、本願発明32の「特性評価により決定された経験があるプラットフォーム操作者が操作する場合にプラットフォーム性能特性を増大させること、および、前記特性評価により決定された初心者が操作する場合にプラットフォーム性能特性を低減することの少なくとも一方を行うことで、前記プラットフォームの動作パラメータを更新する」に相当する。

オ したがって、本願発明32と引用発明3との間には、次の一致点、相違点があるといえる。

(一致点)
「移動するプラットフォームに配置されたセンサからセンサデータを受信し、
プラットフォーム操作者の経験レベルを決定するために、前記センサにより収集された複数の以前のイベントのセンサデータを取得し、前記センサデータを分析し、前記センサデータの分析に基づいて、前記プラットフォーム操作者の前記経験レベルを特性評価し、前記特性評価により決定された経験があるプラットフォーム操作者が操作する場合にプラットフォーム性能特性を増大させること、および、前記特性評価により決定された初心者が操作する場合にプラットフォーム性能特性を低減することの少なくとも一方を行うことで、前記プラットフォームの動作パラメータを更新するプロセッサ、
を備えるシステム構成要素」

(相違点1)
本願発明32は、プラットフォームが「無人航空機」であるのに対し、引用発明3は、プラットフォームが「車両」である点。

(相違点2)
本願発明32は、「センサデータを受信するように構成されたデータレコーダであって、前記センサデータを記録するためのデータ格納ユニット」を備えるのに対し、引用発明3にはそのようなデータレコーダの構成が記載されていない点。

(相違点3)
本願発明32は、「前記プロセッサは、前記無人航空機により受信されるコントローラ入力及び加速度計に基づく、前記無人航空機の以前の飛行における前記無人航空機の姿勢および速度の相対的な滑らかさに基づいて、前記経験レベルを特性評価し、前記特性評価に基づいて、前記プラットフォーム操作者に対する操作者プロフィールを設定し、前記操作者プロフィールに基づいて、前記動作パラメータの初期の動作制限を設定し、前記センサデータが前記動作パラメータの前記初期の動作制限を超えるかどうかを決定」するのに対し、引用発明3にはそのような構成が記載されていない点。

(相違点4)
本願発明32は、「前記センサデータとして高度が最低高度を下回ることで前記初期の動作制限を超える場合に、前記プラットフォームの動作パラメータとして対気速度を変更し、前記センサデータとして高度が前記初期の動作制限内である場合に、前記プラットフォームの前記動作パラメータとして対気速度を維持する」のに対し、引用発明3にはそのような構成が記載されていない点。

(2)相違点についての判断
(上記相違点4について)
本願発明32についての相違点4は、第6 1.(1)に記載のとおり、本願発明1についての相違点4と実質的に同じである。よって、第6 1.(2)に記載の理由と同様の理由で、上記相違点4に係る構成は、当業者であっても、引用発明3、引用文献2に記載された技術的事項及び上記周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

したがって、本願発明32は、相違点1?3を検討するまでもなく、引用発明3、引用文献2に記載された技術的事項及び上記周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

6.本願発明33-42について
本願発明33-42は、本願発明32の構成全てを引用した発明であるから、本願発明32と同様の理由により、当業者であっても、引用発明3、引用文献2に記載された技術的事項及び上記周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

第7 原査定について
1.理由2(特許法第29条第2項)について
審判請求時の補正により、本願発明1-42は「前記センサデータとして高度が最低高度を下回ることで前記初期の動作制限を超える場合に、前記プラットフォームの動作パラメータとして対気速度を変更」し、「前記センサデータとして高度が前記初期の動作制限内である場合に、前記プラットフォームの前記動作パラメータとして対気速度を維持する」という事項を有するものとなっており、当業者であっても、拒絶査定において引用された引用文献1-7に基づいて、容易に発明をすることができたものとはいえない。したがって、原査定の理由2を維持することはできない。

第8 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2019-06-03 
出願番号 特願2016-538738(P2016-538738)
審決分類 P 1 8・ 575- WY (G05B)
P 1 8・ 121- WY (G05B)
最終処分 成立  
前審関与審査官 稲垣 浩司  
特許庁審判長 平岩 正一
特許庁審判官 栗田 雅弘
青木 良憲
発明の名称 データ記録および分析するシステム、方法、およびデータレコーダ  
代理人 龍華国際特許業務法人  

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