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審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 A61B
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 A61B
管理番号 1352015
審判番号 不服2017-18115  
総通号数 235 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-07-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-12-06 
確定日 2019-06-18 
事件の表示 特願2014-555748「弾性的な骨接合術のための骨プレート」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 8月 8日国際公開、WO2013/116642、平成27年 3月16日国内公表、特表2015-507953、請求項の数(23)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2013年2月1日(優先権主張2012年2月3日、米国、2013年1月31日、米国)を国際出願日とする出願であって、平成28年11月7日付けで拒絶理由通知がされ、平成29年2月15日に手続補正がされ、平成29年7月31日付けで拒絶査定がされ、これに対し、平成29年12月6日に拒絶査定不服審判の請求がされ、平成31年2月20日付けで拒絶理由通知がされ、平成31年4月22日に意見書が提出されたものである。

第2 本願発明
本願請求項1?23に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」?「本願発明23」という。)は、平成29年2月15日の手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1?23に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1は以下のとおりの発明である。

「【請求項1】
外面と、骨に面する表面と、第1の面と、第2の面と、第1の面と第2の面との間で延びる長手方向軸線とを有する骨折部位固定プレートを含む器具であって、
前記骨折部位固定プレートは該骨折部位固定プレートに対して弾性的に遊動状態で支持されている1つまたは2つ以上の摺動要素を含んでおり、前記骨折部位固定プレート内の各摺動要素の弾性遊動支持は前記摺動要素と前記骨折部位固定プレートの間の弾性材料によって達成され、各摺動要素は、骨ねじのための1つ又は2つ以上のねじ山付き受容穴を含んでおり、前記骨ねじは、該受容穴内に固定的な角度でロック可能な対応するねじ山付きヘッドを有しており、
前記1つまたは2つ以上の摺動要素は、前記骨折部位固定プレートの前記長手方向軸線に対して平行に、制御された状態で変位させられるが、前記骨折部位固定プレートの長手方向軸線に対して垂直な変位に抗して実質的に拘束され、
前記1つまたは2つ以上の摺動要素は、前記骨折部位固定プレート又は摺動要素を骨表面に押し付けることなしに前記骨ねじに堅固に固定されるように形成されている、器具。」

なお、本願発明2-23は、本願発明1を減縮した発明である。

第3 引用文献、引用発明等
1 引用文献1について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1(米国特許第6540746号明細書)には、図面とともに次の事項が記載されている。
(1)「The figures show a bone plate for splinting a fracture 10 of a bone 12 with a plurality of bone screws 2 . An elastic cushion of plastic 8 is provided between the bone screws 2 and the bone plate 1 in the direction towards the fracture 10 . 」(第2欄第66行?第3欄第2行)
(2)「The screw head 2 a penetrates completely through the bone plate 1 and lies with a contact surface 15 in contact on the bone under a bias force. A ring body 11 which can be mounted with the cushion of plastic 8 at the lower side 6 of the bone plate is molded onto the cushion of plastic 8 . The ring body 11 and the contact surface 15 of the screw head 2 a project beyond the lower side of the bone plate by distances ε_(2) and ε_(1), respectively, which need not be equally large.」(第3欄第3?10行)
(3)「An exemplary embodiment is shown in FIGS. 1 to 5 . The same reference symbols are used in all figures. In FIG. 1 a bone screw 2 with its thread having a nominal diameter 7 of 3.5 mm is anchored in a bone 12 and is braced against the bone 12 with a contact surface 15 of its screw head 2 a having a diameter 17 of 5.5 mm. ・・・The screw head 2 a , which is completely sunk in the bone plate 1 and which has an inner hexagon 3 , has in its upper region a shoulder 5 which lies in contact with a ring-shaped ledge 4 in a bore 19 of the bone plate 1 and limits the plate#s upward movement in the direction of the screw axis 18 . On the lower side of the bone plate 1 a ring body 11 is pressed in and held by a snap connection 20 . The contact surface 15 projects beyond lower side 6 of the bone plate by a distance ε_(1) , which is at least so large that the lower side 6 does not lie in contact with the bone 12 . The amount ε_(1) is chosen in each case to be greater than 0.2 mm in order that the lower side 6 of the bone plate reliably lies spaced apart from the bone between the bone screws 2 . The ring body 11 likewise projects beyond the lower side 6 at its contact surface 16 by a distance ε_(2) , which can be smaller than the distance ε_(1) for the screw contact surface 15 , in order that the bone plate 1 is braced with only a limited force between the ring body 11 and the shoulder 5 .」(第3欄第11?34行)
(4)「A compression of the bone and a moving back is possible insofar as the elastic cushion of plastic 8 , which is molded onto the ring body 11 , and the friction between the shoulder 5 and the ledge 4 , which is produced by the bias force, permit. In FIG. 5 three bores 19 which lie one behind the other are arranged at both sides of the fracture 10 with ring bodies 11 , the cushions of plastic 8 of which are in each case arranged in the direction towards the fracture 10 . The bores 19 are formed as elongated holes in order that the cushions 8 have room next to the circular screw head 2 a which is to be inserted. Between the bores 19 and the lower side 6 of the bone plate 1 is a gap, and bone plate 1 has cut-outs 9 at the upper side which facilitate the adaptation to the bone shape in the longitudinal direction. Cut-outs for the reduction of the resistance torque are likewise possible on the sides of the bone plate between the bores. In the transverse direction the lower side 6 and the ring body 11 are concavely arched in order to conform to the bone shape in the transverse direction. Because the material for the cushion of plastic and the ring body is bio-absorbable, the deflections of the micro-movements can be controlled temporally in such a manner that during the backward movement of the surfaces of the cushion and the ring body, pressure peaks which become ever greater but still remain tractable are permitted at the fracture. The bone can thus take over its carrying function in accordance with the healing process, which has a very positive effect on bone forming. 」(第3欄第34?60行)

(5)Fig.1の記載から、骨プレート(1)は、骨に面する表面と、その表面の反対側の表面と、を有する構造であることが窺える。
(6)Fig.5の記載から、骨プレート(1)は、第1の面と、第2の面とを有するとともに、第1の面と第2の面との間で延びる長手方向軸線を有する構造であることが窺える。

(7)骨プレート(1)、骨ねじ(2)、弾性クッション(8)及びリング体(11)からなるもの(Fig.1及び5を参照。)は、骨(12)の骨折部(10)を固定するための器具といえる(以下、「骨折治療具」という。)。

上記(1)?(4)の記載事項、上記(5)?(6)の図示内容及び上記(7)の認定事項を総合して、上記引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「骨に面する表面の反対側の表面と、骨に面する表面と、第1の面と、第2の面と、第1の面と第2の面との間で延びる長手方向軸線とを有する骨プレート(1)を含む骨折治療具であって、
前記骨プレート(1)は複数の弾性クッション(8)を装着したリング体(11)を含んでおり、前記骨プレート(1)内の各弾性クッション(8)を装着したリング体(11)の支持は前記弾性クッション(8)を装着したリング体(11)と前記骨プレート(1)の間のスナップ結合部(20)によって達成され、各複数の弾性クッション(8)を装着したリング体(11)は、骨ねじ(2)のための1つの穴の一部を形成する弾性クッション(8)を有しており、
前記複数の弾性クッション(8)を装着したリング体(11)は、前記骨プレート(1)の前記長手方向軸線に対して平行に、前記穴に挿入される骨ねじ頭部(2a)により弾性クッション(8)が圧縮されるが、骨プレート(1)の長手方向軸線に対して垂直な変位に抗して実質的に拘束される、骨折治療具。」

第4 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、その構造または機能からみて、引用発明の「骨に面する表面の反対側の表面」は、本願発明1の「外面」に相当し、以下同様に、「骨に面する表面」は「骨に面する表面」に、「第1の面」は「第1の面」に、「第2の面」は「第2の面」に、「長手方向軸線」は「長手方向軸線」に、「骨プレート(1)」は「骨折部位固定プレート」に、「骨折治療具」は「器具」に、「骨ねじ(2)」は「骨ねじ」に、それぞれ相当する。
また、引用発明の「弾性クッション(8)を装着したリング体(11)」と本願発明1の「摺動要素」とは「骨ねじを弾性支持する手段」である点で共通する。
また、引用発明の「穴」と本願発明1の「ネジ山付きの受容穴」とは、「穴」である点で共通する。
そして、引用発明の「各複数の弾性クッション(8)を装着したリング体(11)は、骨ねじ(2)のための1つの穴の一部を形成する弾性クッション(8)を有しており」と、本願発明1の「各摺動要素は、骨ねじのための1つ又は2つ以上のねじ山付き受容穴を含んでおり、前記骨ねじは、該受容穴内に固定的な角度でロック可能な対応するねじ山付きヘッドを有しており」とは、「各骨ねじを弾性支持する手段は、骨ねじのための1つ又は2つ以上の穴を形成する部分を有しており」である限りにおいて共通する。

よって、両者は、
「外面と、骨に面する表面と、第1の面と、第2の面と、第1の面と第2の面との間で延びる長手方向軸線とを有する骨折部位固定プレートを含む器具であって、
前記骨折部位固定プレートは1つまたは2つ以上の骨ねじを弾性支持する手段を含んでおり、
各骨ねじを弾性支持する手段は、骨ねじのための1つ又は2つ以上の穴を形成する部分を有しており、
前記1つまたは2つ以上の骨ねじを弾性支持する手段は、前記骨折部位固定プレートの長手方向軸線に対して垂直な変位に抗して実質的に拘束されている、器具。」である点で一致し、次の点で相違する。

(相違点1)
骨ねじを弾性支持する手段について、本願発明1は、「骨折部位固定プレートに対して弾性的に遊動状態で支持されている1つまたは2つ以上の摺動要素」であり、前記摺動要素は、「骨折部位固定プレートに対して弾性的に遊動状態で支持されている」ものであり、「骨折部位固定プレート内の各摺動要素の弾性遊動支持は前記摺動要素と前記骨折部位固定プレートの間の弾性材料によって達成され、」「摺動要素は、前記骨折部位固定プレートの前記長手方向軸線に対して平行に、制御された状態で変位させられる」ものであるのに対し、引用発明は、「弾性クッション(8)を装着したリング体(11)」であり、「弾性クッション(8)を装着したリング体(11)の支持は前記弾性クッション(8)を装着したリング体(11)と前記骨プレート(1)の間のスナップ結合部(20)によって達成され、」「弾性クッション(8)を装着したリング体(11)は、前記骨プレート(1)の前記長手方向軸線に対して平行に、前記穴に挿入される骨ねじ頭部(2a)により弾性クッション(8)が圧縮される」ものである点。

(相違点2)
骨ねじと穴との関係について、本願発明1は、穴は、ネジ山付きの受容穴であって、ねじは、該受容穴内に固定的な角度でロック可能な対応するねじ山付きヘッドを有しており、骨ねじを弾性支持する手段は、骨折部位固定プレート又は骨ねじを弾性支持する手段を骨表面に押し付けることなしに骨ねじに堅固に固定されるように形成されているものであるのに対し、引用発明は、穴は、ネジ山付きのものでなく、ねじは、ネジ山付きヘッドを有するものでなく、それ故、骨ねじを弾性支持する手段は、骨折部位固定プレート又は骨ねじを弾性支持する手段を骨表面に押し付けることなしに骨ねじに堅固に固定されるように形成されているものでもない点。

(2)相違点についての判断
上記相違点1について検討する。
本願発明1の骨折部位固定プレートは、摺動要素を含むものであるところ、その摺動要素は、「骨折部位固定プレートに対して弾性的に遊動状態で支持されている」ものであり、「骨折部位固定プレート内の各摺動要素の弾性遊動支持は前記摺動要素と前記骨折部位固定プレートの間の弾性材料によって達成され、」るものである。
これに対して、引用発明の骨折部位固定プレート(骨プレート(1))は、「弾性クッション(8)を装着したリング体(11)」を含むものであるところ、リング体(11)は、骨折部位固定プレートとスナップ結合部(20)によって結合されるものであり、また、弾性クッション(8)は、骨折部位固定プレートの長穴19に挿入され、穴の一部を形成するものである(摘記事項(4)を参照。)から、いずれも、骨折部位固定プレートに対して、弾性材料によって弾性的に遊動状態で支持されている部材とはいえない。
また、引用文献1のその以外の記載をみても、骨折部位固定プレートに対して、弾性材料によって弾性的に遊動状態で支持されている部材について記載も示唆もない。
さらに、本願発明2?23に対する原査定の拒絶の理由において引用された、引用文献2(米国特許出願公開第2011/0319942号明細書)、引用文献3(国際公開第2010/037984号)及び引用文献4(国際公開第2010/111350号)にも、この点について記載も示唆もない。

したがって、引用発明において、骨ねじを弾性支持する手段について、「骨折部位固定プレートに対して弾性的に遊動状態で支持されている1つまたは2つ以上の摺動要素」であり、前記摺動要素は、「骨折部位固定プレートに対して弾性的に遊動状態で支持されている」ものであり、「骨折部位固定プレート内の各摺動要素の弾性遊動支持は前記摺動要素と前記骨折部位固定プレートの間の弾性材料によって達成され、」「摺動要素は、前記骨折部位固定プレートの前記長手方向軸線に対して平行に、制御された状態で変位させられる」ものとすることは、当業者が容易になし得るものではない。

よって、上記相違点2について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても引用発明に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

2 本願発明2?23について
本願発明2?23も、本願発明1の「骨折部位固定プレートは該骨折部位固定プレートに対して弾性的に遊動状態で支持されている1つまたは2つ以上の摺動要素を含んでおり、前記骨折部位固定プレート内の各摺動要素の弾性遊動支持は前記摺動要素と前記骨折部位固定プレートの間の弾性材料によって達成され」と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

第5 原査定の概要及び原査定についての判断
原査定は、本願発明1については、上記引用文献1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない、また、上記引用文献1に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないというものである。
しかしながら、請求項1は、「骨折部位固定プレートは該骨折部位固定プレートに対して弾性的に遊動状態で支持されている1つまたは2つ以上の摺動要素を含んでおり、前記骨折部位固定プレート内の各摺動要素の弾性遊動支持は前記摺動要素と前記骨折部位固定プレートの間の弾性材料によって達成され」に対応する構成を有するものであるところ、上記のとおり、本願発明1は、上記引用文献1に記載された発明ではなく、また、引用文献1に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明できたものではない。したがって、原査定を維持することはできない。

第6 当審拒絶理由について
1 特許法第36条第6項第2号について
(1)当審では、請求項1の「前記1つまたは2つ以上の摺動要素は、・・・、前記骨折部位固定プレートの長手方向軸線に対して垂直な変位に抗して実質的に拘束され、」との記載は、その技術的意味を特定できないから不明確である。」との拒絶の理由を通知したが、平成31年4月22日付けの意見書における、「「骨折部位固定プレートの長手方向軸線」は、骨折部位固定プレートの長手方向に延びる軸線(すなわち仮想線)を意味しております。そして、「骨折部位固定プレートの長手方向軸線に対して垂直な変位」は、この軸線に対して垂直な或る方向への変位を意味しております。
したがいまして、上記拒絶理由通知書に記載された「(イ)『骨折部位固定プレートの面に対し垂直な方向の変位』」も「骨折部位固定プレートの長手方向軸線に対して垂直な変位」の一つの態様であると言えますが、「骨折部位固定プレートの長手方向軸線に対して垂直な変位」必ずしも「骨折部位固定プレートの面」に対して垂直な方向に限られるものではありません(あくまでも、「骨折部位固定プレートの長手方向軸線」に対して垂直な方向の変位を意味するものです)。」との主張を踏まえれば、上記「垂直な変位」という記載は、「骨折部位固定プレートの長手方向軸線」は、骨折部位固定プレートの長手方向に延びる軸線を意味し、「骨折部位固定プレートの長手方向軸線に対して垂直な変位」は、この軸線に対して垂直な或る方向への変位を意味することが明確であるから、請求項1に係る上記記載は明確である。

(2)また、当審では、請求項1の「前記骨ねじは、該受容穴内に固定的な角度でロック可能な対応するねじ山付きヘッドを有しており、」との記載は、その技術的意味を特定できないから不明確である。」との拒絶の理由を通知したが、同じく意見書における、「本願の明細書には、以下のような記載があります。
「ロック式プレートは、典型的には、対応するネジ山付きねじヘッドを有するロック式ねじを、ポジティブに角度安定的に固定するためのネジ山付き受容穴を有している」(段落〔0003〕)
「ロック式骨ネジ11は、・・・ねじ山付きねじヘッド3とを有するねじであってよい」(段落〔0018〕)
「摺動要素に設けられたねじ山付き穴14が円錐形であるものを示している。これは、摺動要素3内に対応するねじ山付きの円錐形ねじヘッドをポジティブにロックすることを可能にする。」(段落〔0019〕)
「骨ペグ20はネジ山付きヘッド21を有しており、摺動要素3の対応するねじ山付きの貫通穴14内にポジティブにロックされている」(段落〔0026〕)
これらの記載からは、摺動要素の設けられたネジ山付き穴に対して、ネジ山付きヘッドを有する骨ネジ(骨ペグ)がポジティブにロックされることがわかります。そして、このようにロックされると、ネジ山付き受容穴に対してねじがポジティブに角度安定的に固定されることがわかります。」との主張を踏まえれば、上記「固定的な角度でロック可能」という記載は、骨ねじが摺動要素に角度安定的に固定されることを意味することが明確であるから、請求項1に係る上記記載も明確である。

(3)さらに、当審では、請求項1の「前記1つまたは2つ以上の摺動要素は、前記骨折部位固定プレート又は摺動要素を骨表面に押し付けることなしに前記骨ねじに堅固に固定されるように形成されている」との記載は、同項に係る器具の作用により発明を特定しようとするものであるが、どのような構成により当該作用を実現するのか不明であり、その技術的意味を特定できないから不明確である。」との拒絶の理由を通知したが、請求人の上記(1)及び(2)の主張と、同じく意見書における、「請求項1に係る発明では、「骨折部位固定プレートの長手方向軸線に対して垂直な変位に抗して実質的に拘束され」ていると共に、・・・骨ねじのネジ山付きヘッドが摺動要素のネジ山付き穴内に固定できるように構成されております。そして、当業者であれば、このような構成を有することにより、摺動要素は骨折部位固定プレート又は摺動要素を骨表面に押し付けることなしに骨ねじに堅固に固定され得ることは明らかであり」との主張とを踏まえれば、上記「押し付けることなしに前記骨ねじに堅固に固定される」という記載は、明細書内の記載から、当業者にとってどのような構成により当該「押し付けることなしに前記骨ねじに堅固に固定される」との作用を実現するのか明確であるから、請求項1に係る上記記載も明確である。

第7 むすび
以上のとおり、本願発明1?23は、当業者が引用発明に基づいて容易に発明をすることができたものではない。
したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2019-06-03 
出願番号 特願2014-555748(P2014-555748)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (A61B)
P 1 8・ 537- WY (A61B)
最終処分 成立  
前審関与審査官 宮崎 敏長井上 哲男  
特許庁審判長 林 茂樹
特許庁審判官 高木 彰
沖田 孝裕
発明の名称 弾性的な骨接合術のための骨プレート  
代理人 伊藤 公一  
代理人 伊藤 健太郎  
代理人 三橋 真二  
代理人 青木 篤  
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