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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G03F 審判 査定不服 出願日、優先日、請求日 取り消して特許、登録 G03F 審判 査定不服 特174条1項 取り消して特許、登録 G03F 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 G03F 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 取り消して特許、登録 G03F |
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管理番号 | 1352067 |
審判番号 | 不服2018-3316 |
総通号数 | 235 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2019-07-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2018-03-07 |
確定日 | 2019-06-21 |
事件の表示 | 特願2016-138497「支持装置、リソグラフィ装置及びデバイス製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成28年11月 4日出願公開、特開2016-189027、請求項の数(8)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成25年5月17日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 平成24年5月29日・米国、平成24年6月29日・米国)を国際出願日とする特願2015-514415号の一部を平成28年7月13日に新たな特許出願としたものであって、その手続の経緯は次のとおりである。 平成28年 8月12日 :手続補正書(以下、この手続補正書による補正を「第1次補正」という。) 平成29年 4月14日付け:拒絶理由通知書 平成29年 7月19日 :意見書・手続補正書(以下、この手続補正書による補正を「第2次補正」という。) 平成29年11月 1日付け:拒絶査定(同年11月7日謄本送達) 平成30年 3月 7日 :審判請求書・手続補正書(以下、この手続補正書による補正を「第3次補正」という。) 平成30年11月12日付け:拒絶理由通知書(当審) 令和 元年 5月13日 :意見書・手続補正書(以下、この手続補正書による補正を「第4次補正」という。) 第2 原査定の拒絶の理由及び当審拒絶理由の概要 1 原査定の拒絶の理由の概要 第2次補正後の請求項1?4,6?9に係る発明は、引用文献1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 なお、第2次補正後の請求項5に係る発明は、原査定の対象とはなっていない。 2 当審拒絶理由の概要 (1)理由1 第4次補正前の請求項1?9に係る発明は発明の詳細な説明に記載したものではないから、本願は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。 (2)理由2 第1次補正、第2次補正及び第3次補正は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものではないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。 (3)理由3 第4次補正前の請求項1?9に係る発明は明確でないから、本願は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。 (4)理由4 第4次補正前の請求項1?4及び9に係る発明は、引用文献1に記載された発明及び周知技術(周知例2、周知例3)に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 (5)理由5 第4次補正前の請求項5?8に係る発明は、引用文献1に記載された発明及び引用文献4に記載された発明並びに周知技術(周知例2、周知例3)に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 (6)理由6 本願は分割要件を満たさないから、本願の出願日は現実の出願日である平成25年5月17日であると認められ、よって、引用文献5に記載された発明が特許法第29条第1項3号の発明に該当することになる。 その上で、第4次補正前の請求項1?9に係る発明は、引用文献5に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当する。 また、第4次補正前の請求項1?9に係る発明は、引用文献5に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。 3 引用文献等について 上記1及び2における引用文献その他の文献は、次のとおりである。 1.特開2007-266504号公報 2.特表2010-251745号公報(周知例) 3.特開2010-267961号公報(周知例) 4.特開2010-212713号公報 5.特表2015-519755号公報 (以下、これらの文献を、文献番号を添えて、「引用文献1」などという。) 第3 本願発明の認定 本願の請求項1?8に係る発明(以下「本願発明1」?「本願発明8」といい、これらを総称して「本願発明」という。)は、第4次補正後の請求項1?8に記載された事項により特定される発明であり、そのうち、独立項である請求項1,4及び8に係る本願発明1,4及び8は、次のとおりである。 [本願発明1] 「リソグラフィ装置のための支持装置であって、 オブジェクトを支持するオブジェクトホルダと、 前記オブジェクトホルダの半径方向外側の抽出本体であって、前記オブジェクトの周縁部の下に部分的に延出する抽出本体と を備え、 前記抽出本体は、第1開口及び第2開口を有し、前記第1開口及び前記第2開口は異なるチャネルと流体連通されており、 前記第1開口は、前記第2開口の半径方向内側に配置され、かつ、前記オブジェクトと前記抽出本体との間の前記抽出本体の上面から流体を抽出するように構成され、 前記第2開口は、前記オブジェクトの縁部と前記抽出本体との間のギャップを通って流体を抽出するように構成され、 前記抽出本体は、前記抽出本体と前記オブジェクトホルダとの間の中間ギャップによって、前記オブジェクトホルダから実質的に機械的及び熱的に分離するように前記オブジェクトホルダから離間している、支持装置。」 [本願発明4] 「リソグラフィ装置のための支持装置であって、 オブジェクトを支持するオブジェクトホルダと、 前記オブジェクトホルダの半径方向外側の抽出本体であって、前記オブジェクトの周縁部の下に部分的に延出する抽出本体と を備え、 前記抽出本体は、第1開口及び第2開口を有し、前記第1開口及び前記第2開口は異なるチャネルと流体連通されており、 前記第1開口は、前記第2開口の半径方向内側に配置され、かつ、前記オブジェクトと前記抽出本体との間の前記抽出本体の上面から流体を抽出するように構成され、 前記第2開口は、前記オブジェクトの縁部と前記抽出本体との間のギャップを通って流体を抽出するように構成され、 前記抽出本体は、前記抽出本体と前記オブジェクトホルダとの間の中間ギャップによって、前記オブジェクトホルダから実質的に機械的及び熱的に分離するように前記オブジェクトホルダから離間しており、 前記抽出本体は、前記中間ギャップをシールするように構成されたシール材によって前記オブジェクトホルダと接続された、支持装置。」 [本願発明8] 「リソグラフィ装置を用いたデバイス製造方法であって、 支持装置によって基板を支持しながら、パターニングデバイスによってパターニングしたビームを前記基板上に投影することを含み、 前記支持装置は、 オブジェクトを支持するオブジェクトホルダと、 前記オブジェクトホルダの半径方向外側の抽出本体であって、前記オブジェクトの周縁部の下に部分的に延出する抽出本体と を備え、 前記抽出本体は、第1開口及び第2開口を有し、前記第1開口及び前記第2開口は異なるチャネルと流体連通されており、 前記第1開口は、前記第2開口の半径方向内側に配置され、かつ、前記オブジェクトと前記抽出本体との間の前記抽出本体の上面から液体を抽出するように構成され、 前記第2開口は、前記オブジェクトの縁部と前記抽出本体との間のギャップを通って流体を抽出するように構成され、 前記抽出本体は、前記抽出本体と前記オブジェクトホルダとの間の中間ギャップによって、前記オブジェクトホルダから実質的に機械的及び熱的に分離するように前記オブジェクトホルダから離間している、方法。」 なお、本願発明2?3は、本願発明1をさらに限定したものであり、本願発明5?7は、本願発明1又は4をさらに限定したものである。 第4 当審の判断 1 引用文献についての認定 (1)引用文献1(特開2007-266504号公報) ア 原査定の拒絶の理由及び当審拒絶理由が引用した引用文献1には、次の記載がある(下線は、当審が付した。以下同じ。)。 (ア)【特許請求の範囲】、 「投影光学系と基板との間を液体で満たした状態で原版のパターンを前記基板に露光する露光装置であって、 基板ステージ上に保持されている前記基板と、前記基板の外周部の周辺領域とを略同一面にして前記基板の外周部に液体を保持する同面部材と、 前記同面部材を前記基板ステージ上に取り付けるための取付部材と、 を備え、 前記取付部材は、前記同面部材に生じた変形を弾性変形により吸収し、前記基板ステージに伝達される変形を低減させることを特徴とする露光装置。」(【請求項2】)、 「前記同面部材は、前記保持した液体を回収することが可能な回収機構を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の露光装置。」(【請求項4】) (イ)「【技術分野】」、 「本発明は、デバイス(半導体デバイスや液晶表示デバイス等)を製造するためのリソグラフィー工程において使用される露光装置に関するものである。」(【0001】) (ウ)「(第1実施形態)」、 「(液浸露光装置の構成)」、 「図1は本発明の第1実施形態に係る液浸型の露光装置1(以下、単に「露光装置」ともいう)の構成を示す図である。」(【0013】)、 「露光装置1は、投影光学系30のウエハ40側にある最終面と、ウエハ40との間に供給される液体(液浸液)LWを介して、レチクル20に形成された回路パターンをステップ・アンド・スキャン方式でウエハ40に露光することが可能である。ここで、「ステップ・アンド・スキャン方式」とは、レチクル20に対してウエハ40を連続的に走査してレチクルパターンをウエハの露光領域に露光すると共に、1ショットの露光終了後にウエハを次の露光領域にステップ移動させて露光する方法である。」(【0014】)、 「露光装置1は、照明装置10、レチクル20を載置するレチクルステージ25、投影光学系30、ウエハ40を載置するウエハステージ45を有する。また、露光装置1は、測距装置(52、56、54、58)、ステージ制御部60、液体供給部70、液浸制御部80、液体回収部90を有する。」(【0016】)、 「照明装置10は、照明装置10は、光源部12と、照明光学系14とを有し、回路パターンが形成されたレチクル20を照明する。」(【0017】)、 「ウエハ40は、図示しないウエハ搬送系により露光装置1の外部から搬送され、ウエハステージ45により保持され、所定の位置に位置決めされる。ウエハ40の表面にはフォトレジストが塗布されており、投影光学系30を介した回折光の結像によりレチクル20に形成されたパターンが露光される。尚、本発明の適用は、ウエハ40に限定されるものではなく、例えば、液晶基板、その他の感光剤が塗布された基板を広く含むことが可能である。」(【0024】)、 「同面部材44は、ウエハ40の表面とウエハ40が保持されている周辺部の面の高さとを略同一面にするための補助部材であり、同面部材44の厚さは、ウエハ40と略同の高さに設定されているものとする。同面部材44は、投影光学系30の最終面とウエハ40の外周部表面との間に局所的に液浸液LWを保持し、ウエハ40の外周部と同面部材44の内周部とにより形成される領域において液膜を形成して、液浸露光を可能にする。」(【0025】)、 「ウエハステージ45は、ウエハステージ定盤47に取り付けられており、ウエハステージ45上に設けられているウエハステージ天板41及びウエハチャック42(図3)を介してウエハ40を保持することが可能である。ウエハステージ45は、ウエハ40の上下方向(Z方向)の位置やXYZ軸周りの回転方向及び傾きを調整する機能を有し、ステージ制御部60はウエハステージ45の位置、回転、傾斜を制御することが可能である。露光時は、ステージ制御部60により投影光学系30の焦点面にウエハ40の表面が常に高精度に合致するようにウエハステージ45が制御される。」(【0026】)(当審注:「ウエハチャックを42(図3)介して」は、「ウエハチャック42(図3)を介して」の誤記であると認められるので、誤記を正して認定した。)、 「同面部材44は、ウエハステージ45上に保持されているウエハ40と、ウエハ40の外周部の周辺領域とを略同一面にしてウエハ40の外周部に液浸液LWを保持する。また、同面部材44は、ウエハと同面部材44との隙間に入り込んだ液浸液LWを回収することが可能な回収機構を有する。液浸制御部80は、同面部材44に設けられている回収機構の動作を制御して、液浸液LWの回収を行うことも可能である。また、同面部材44には、液浸液LWにより冷却される同面部材44の温度を制御するために、温度制御された温調液49を循環させるための循環流路が設けられている。液浸制御部80は、液浸液LWによる冷却で同面部材44に生じた温度低下に起因した熱変形を抑制するために、低下した温度を補償するように、不図示の温度計測ユニットの計測結果に基づいて、温調液49の温度制御を行う。また、液浸液LWによる冷却量次第では、温度計測ユニットの結果を用いずに、単に一定温度の温調液49を循環させるだけでも十分な効果が得られる。」(【0036】)、 「(同面部材の構造)」、 「次に、本発明の実施形態に係る同面部材44の構造を、図2?図4の参照により説明する。図2は、ウエハ40、同面部材44、及びウエハステージ45の天板41と同面部材44とを結合させる取付部材43のXY平面内における配置を示す図である。図3は図2の構成を側面(XZ平面)から見た図であり、図4は図3の一部を拡大した図である。」(【0038】)、 「同面部材44には、図4に示すようにウエハ40と同面部材44との隙間に入り込んだ液浸液LWを回収するための多孔質もしくは多数の微細孔で構成された吸引部材48が構成されている。吸引部材48に連通して形成されている吸引空間50を不図示の真空ポンプなどの吸引装置で負圧に吸引することで、吸引部材48の表面に接する液浸液LWを吸引回収することが可能である。」(【0039】) 「吸引部材48および吸引空間50における液浸液LWの気化熱(潜熱)の影響で、同面部材44の温度が少しでも低下するのを抑制するために、同面部材44には温調液49を循環させる流路が設けられている。温調液49により同面部材44は加熱され、温調液4 9による加熱で、液浸液LWの気化熱(潜熱)による同面部材44の温度低下を抑制することができる。」(【0040】)、 「温調液49を流して同面部材44の温調を行っても、発生する気化熱(潜熱)によっては、例えば、0.1℃レベルの温度変化が生じてしまう場合がある。発生した温度変化により、同面部材44は構成材料の線膨張係数に応じて熱変形が生じる。従来の同面部材44はステージ天板41と取付部材43を介してネジ締結等により剛に締結されている。そのため、同面部材44に熱変形が生じると、ステージ天板41に取付部材43を介して熱変形による応力が伝わり、ステージ天板41が数ナノメートルレベルで変形することが確認されている。ステージ天板41の変形により、ウエハステージ45の位置計測を行うための計測ミラー54とウエハ40との相対位置関係が変化してしまい、露光精度の悪化が予測される。」(【0041】)、 「同面部材44の熱変形の影響を排除するために、本実施形態では、取付部材43を弾性部材にして同面部材44の熱変形による応力がステージ天板41に伝達されないように構成している。取付部材43としては、例えば、弾性ゴムや板バネなどが好適である。」(【0042】)、 「同面部材44の熱変形が天板41に伝わりにくい構成としたことで、同面部材44の熱変形に起因するステージ天板41の変形はサブナノメートル以下となり、露光精度を良好に保つことが可能になる。また、本実施例では、更に、同面部材44を温調しているので、より良好に露光精度を保つことが可能になる。」(【0043】) イ 上記アの各記載から、第1実施形態に係る液浸露光装置について、次の事実が認められる。 (ア)ステージ天板41上にあるウエハチャック42が、ウエハ40を保持している。(【0026】・図4) (イ)同面部材44が設けられており、これは、ウエハ40の表面とウエハ40が保持されている周辺部の面の高さとを略同一面にするための補助部材である。同面部材44は、その熱変形による応力がステージ天板41に伝達されないように、ステージ天板41に、弾性部材からなる取付部材43を介して取り付けられている。同面部材44の熱変形が天板41に伝わりにくい構成としたことで、同面部材44の熱変形に起因するステージ天板41の変形はサブナノメートル以下となり、露光精度を良好に保つことが可能になる。(【0025】・【0042】・【0043】) (ウ)同面部材44は、回収機構を有する。回収機構は、ウエハ40と同面部材44との隙間に入り込んだ液浸液LWを回収するための多孔質もしくは多数の微細孔で構成された吸引部材48を含み、吸引部材48に連通して形成されている吸引空間50を真空ポンプなどの吸引装置で負圧に吸引することで、吸引部材48の表面に接する液浸液LWを吸引回収することが可能である。吸引部材48は、ウエハ40の周縁部からみて半径方向内側から半径方向外側までの範囲を占めるとともに、ウエハ40の周縁部からみて下方向に離間している。(【0036】・【0039】・図4) (エ)同面部材44は、ウエハチャック42の半径方向外側に離間して設けられ、ウエハ40の周縁部の下に部分的に延出している。(図4) (オ)ウエハチャック42と同面部材44は、リソグラフィー装置のための支持装置を構成する。(【0001】・上記(ア)及び(イ)) ウ 上記イの認定によれば、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。 「リソグラフィー装置のための支持装置であって、 ステージ天板41上にある、ウエハ40を保持するウエハチャック42と、 ステージ天板41に、弾性部材からなる取付部材43を介して取り付けられている同面部材44と、 を備え、 前記同面部材44は、ウエハチャック42の半径方向外側に離間して設けられ、ウエハ40の周縁部の下に部分的に延出しており、 同面部材44は、回収機構を有し、 回収機構は、ウエハ40と同面部材44との隙間に入り込んだ液浸液LWを回収するための多孔質もしくは多数の微細孔で構成された吸引部材48を含み、吸引部材48に連通して形成されている吸引空間50を真空ポンプなどの吸引装置で負圧に吸引することで、吸引部材48の表面に接する液浸液LWを吸引回収することが可能であり、 吸引部材48は、ウエハ40の周縁部からみて半径方向内側から半径方向外側までの範囲を占めるとともに、ウエハ40の周縁部からみて下方向に離間している、 支持装置。」 (2)引用文献2(特表2010-251745号公報) 当審拒絶理由が周知例として提示した引用文献2は、次の技術的事項を開示するものと認められる。 「基板テーブルWTが、基板に対して半径方向外向きの位置にあるギャップ開口110と基板の下にある下開口120とを備えていること。」(【0069】・図12)、 「ギャップ開口110は、動作時にギャップから液体を除去するものであること。」(【0069】)、 「下開口120は、基板の下から液体を除去するものであること。」(【0069】) (3)引用文献3(特開2010-267961号公報) 当審拒絶理由が周知例として提示した引用文献3は、次の技術的事項を開示するものと認められる。 「基板テーブルWTが、基板に対して半径方向外向きの位置にあるギャップ抽出導管31と基板の下にある流体抽出開口50とを備えていること。」(【0057】・【0059】・図10)、 「ギャップ抽出導管31は、ギャップに入った液浸液を除去するものであること。」(【0057】)、 「流体抽出開口50は、基板の下に漏れる液体を除去するものであること。」(【0059】) (4)引用文献5(特表2015-519755号公報) 引用文献5は、本願のいわゆる親出願である特願2015-514415号に係る公表公報であって、その公表日は、平成27年7月9日であると認められる。 2 当審拒絶理由に対する判断 (1)理由1(サポート要件違反)について 理由1は、第4次補正前の各請求項に係る発明と本願明細書及び図面との対応関係が不明であることを指摘したところである。 しかしながら、第4次補正により、本願発明が、図30及びこれに関係する記載に対応することが明らかとなった。 したがって、理由1は、解消した。 (2)理由2(新規事項追加)について ア 理由2は、その第1の理由として、第1次補正?第3次補正により、第4次補正前の各請求項に係る発明と本願明細書及び図面との対応関係が不明となったから、第1次補正?第3次補正は、新規事項を追加するものであることを指摘したところである。 しかしながら、上記(1)のとおり、第4次補正によって、本願発明が、図30及びこれに関係する記載に対応することが明らかとなった。 したがって、第1の理由は、解消した。 イ 理由2は、その第2の理由として、第1次補正?第3次補正により、第4次補正前の請求項5(第4次補正後の請求項4が対応する。)に係る発明が、第1開口及び第2開口の存在を特定しているのみであって、所定の位置関係や機能関係を特定していないものとなったから、第1次補正?第3次補正は、新規事項を追加するものであることを指摘したところである。 しかしながら、第4次補正によって、請求項4に、第1開口及び第2開口の位置関係や機能関係が特定されることとなった。 したがって、第2の理由は、解消した。 ウ 理由2は、その第3の理由として、第1次補正?第3次補正により、第4次補正前の請求項5(第4次補正後の請求項4が対応する。)に係る発明が、「シール材」を設けるようになったから、第1次補正?第3次補正は、新規事項を追加するものであることを指摘したところである。 しかしながら、本願の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「当初明細書等」という。)の図6及び図7には、シール材であるステッカ70が中間ギャップに設けられているか否かのみが異なる実施形態が記載されていると認められる。したがって、当初明細書等では、シール材を中間ギャップに設けるか否かは、任意であったと解される。そうすると、図30に係る実施形態においても、中間ギャップ75が存在する以上、そこにシール材を設けることは、当業者にとって自明であるということができる。 したがって、第3の理由は、維持できない。 エ 当審拒絶理由は、その付言として、第1次補正?第3次補正により、各請求項に係る発明が、図30における突起30を特定しないものとなったことをもって、第1次補正?第3次補正は、新規事項追加の可能性がある旨指摘したところである。 この点、当初明細書等の【0162】には、図30について、「抽出本体65は、基板ホルダ61から実質的に熱的に分離され、及び/又は実質的に機械的に分離されている。」旨記載されており、同【0163】には、「ある実施形態では、抽出本体65は突起30を含む。」と記載されている。そうすると、突起30は、図30に係る実施形態において、任意であると解される。 したがって、この点を根拠として、第1次補正?第3次補正が、新規事項を追加したものということにはならない。 オ 理由2の小括 以上のとおりであるから、当審拒絶理由の理由2は、維持できない。 (3)理由6(引用文献5に記載された発明に基づく新規性欠如又は進歩性欠如)について 事案にかんがみ、次に、理由6を判断する。 理由6は、本願が分割要件を満たさないことを前提としたものであるところ、分割要件を満たさないと判断した根拠は、理由2が存在すると判断したことにあった。 しかしながら、上記(2)のとおり、理由2は維持できない。そして、本願は、分割要件を満たすと認められる。 したがって、本願の出願日は、平成25年5月17日である。 しかるところ、引用文献5の公表日は、平成27年7月9日であるから、引用文献5に記載された発明は、特許法第29条第1項第3号の発明に該当しない。 よって、当審拒絶理由の理由6は、維持できない。 (4)理由3(明確性要件違反)について ア 当審拒絶理由は、本願発明の「チャネル」の意味が明確でない旨指摘したところである。 これに対し、請求人は、補正を行うことなく、令和元年5月13日提出の意見書において、図30には、オブジェクトと抽出本体の上面から流体を抽出するための通路301を通ったチャネル68と、ギャップ5を通って流体を抽出するための通路67を通ったチャネル300とが異なることが示されているから、「チャネル」の意味は明確である旨主張する。 そこで、検討するに、本願明細書は、【0176】に「通路80から通路301を通ってチャネル300内に流体を吸引するように、チャネル300は真空と連通している。」と記載するとともに、【0176】?【0180】に、チャネル300を用いた圧力制御について記載している。また、本願明細書は、【0170】に「ギャップ5を通って流れる液体は、抽出本体65の抽出開口66、通路67、及びチャネル68を介して抽出することができる。」と記載するとともに、【0054】に「チャネル68は、基板支持装置60の上面69から開口66を介して流体を抽出するように、負圧に接続されている。」と記載している。 そうすると、チャネル300とチャネル68は、それぞれ異なる圧力制御が可能となるように、真空ないし負圧に連通している構造であると解するのが相当である。 よって、「チャネル」の意味は明確である。上記理由は、維持できない。 イ 当審拒絶理由は、第4次補正前の各請求項の記載では、「第1開口」について、「第2開口」と同様に、「ギャップを通って流体を抽出する」ことが特定されているため、「ギャップを通って流体を抽出する」「開口」の意味が明確でなくなっている旨指摘したところである。 しかしながら、第4次補正により、「第1開口」については、「前記オブジェクトと前記抽出本体との間の前記抽出本体の上面から流体を抽出するように構成され」ていることだけが特定されることになった。 よって、上記理由は、解消した。 ウ 当審拒絶理由は、第4次補正前の各請求項の記載では、「第1開口」について、「ギャップを通って流体を抽出する」ことに加えて、「前記オブジェクトと前記オブジェクトホルダとの間の前記オブジェクトホルダの上面から流体を抽出する」ことが特定されているため、両者の相互関係が不明となっている旨指摘したところである。 しかしながら、第4次補正により、「第1開口」については、「前記オブジェクトと前記抽出本体との間の前記抽出本体の上面から流体を抽出するように構成され」ていることだけが特定されることになった。 よって、上記理由は、解消した。 エ 当審拒絶理由は、第4次補正前の請求項5の記載では、「シール材」が何を「シール」しているのかが不明である旨指摘したところである。 しかしながら、第4次補正により、「シール材」が「前記中間ギャップをシールするように構成された」ものであることが特定されることになった。 よって、上記理由は、解消した。 オ 当審拒絶理由は、第4次補正前の請求項6に記載された「ギャップ」は、用語の統一性の観点から、「中間ギャップ」と記載されるべきであるにもかかわらず、そのように記載されていないから、明確でない旨指摘したところである。 しかしながら、第4次補正により、「ギャップ」が「中間ギャップ」と補正されたので、上記理由は、解消した。 カ なお、当審拒絶理由は、請求人に対し、「開口」を有しているのが、「オブジェクトホルダ」ではなく、「抽出本体」であるとする判断基準は、オブジェクトに最も近接した位置に存在する口部が抽出本体に備わっているかどうか、ということでよいか否か確認したところ、請求人からは特に反論がなかった。そこで、当審は、上記のとおり解することとする。 キ 理由3の小括 以上のとおりであるから、当審拒絶理由の理由3は、維持できない。 (5)理由4,5(引用文献1に記載された発明に基づく進歩性欠如)について ア 本願発明1について (ア)対比 a 本願発明1の「リソグラフィ装置のための支持装置であって、」との特定事項について (a)引用発明1の「リソグラフィー装置のための支持装置」は、本願発明1の「リソグラフィ装置のための支持装置」に相当する。 (b)よって、引用発明1は、本願発明1の「リソグラフィ装置のための支持装置であって、」との特定事項を備える。 b 本願発明1の「オブジェクトを支持するオブジェクトホルダと、」との特定事項について (a)引用発明1の「ウエハ40」は、本願発明1の「オブジェクト」に相当する。 (b)引用発明1の「ウエハ40を保持するウエハチャック42」は、上記(a)に照らせば、本願発明1の「オブジェクトを支持するオブジェクトホルダ」に相当する。 (c)よって、引用発明1は、本願発明1の「オブジェクトを支持するオブジェクトホルダと、」との特定事項を備える。 c 本願発明1の「前記オブジェクトホルダの半径方向外側の抽出本体であって、前記オブジェクトの周縁部の下に部分的に延出する抽出本体と」との特定事項について (a)引用発明1の「回収機構を有」する「同面部材44」は、本願発明1の「抽出本体」に相当する。 (b)引用発明1の「ウエハチャック42の半径方向外側に離間して設けられ」た「同面部材44」は、上記(a)に照らせば、本願発明1の「前記オブジェクトホルダの半径方向外側の抽出本体」に相当する。 (c)引用発明1の「ウエハ40の周縁部の下に部分的に延出して」いる「同面部材44」は、上記(a)及び上記b(a)に照らせば、本願発明1の「前記オブジェクトの周縁部の下に部分的に延出する抽出本体」に相当する。 (d)よって、引用発明1は、本願発明1の「前記オブジェクトホルダの半径方向外側の抽出本体であって、前記オブジェクトの周縁部の下に部分的に延出する抽出本体と」との特定事項を備える。 d 本願発明1の「前記抽出本体は、第1開口及び第2開口を有し、前記第1開口及び前記第2開口は異なるチャネルと流体連通されており、 前記第1開口は、前記第2開口の半径方向内側に配置され、かつ、前記オブジェクトと前記抽出本体との間の前記抽出本体の上面から流体を抽出するように構成され、 前記第2開口は、前記オブジェクトの縁部と前記抽出本体との間のギャップを通って流体を抽出するように構成され、」との特定事項について (a)引用発明1の「同面部材44」(本願発明1の「抽出本体」に相当。)が備える「ウエハ40と同面部材44との隙間に入り込んだ液浸液LWを回収するための多孔質もしくは多数の微細孔で構成された吸引部材48」は、本願発明1でいう「開口」を有しているといえる。 また、引用発明1は、「吸引部材48に連通して形成されている吸引空間50を真空ポンプなどの吸引装置で負圧に吸引する」ものであるから、引用発明1の「開口」は、「吸引空間50」と流体「連通」されており、よって、本願発明1でいう「チャネルと流体連通されて」いるものといえる。 (b)したがって、本願発明1と引用発明1とは、「前記抽出本体は、」「開口」「を有し、前記」「開口」「は」「チャネルと流体連通されて」いる点で一致する。 他方で、引用発明1は、同発明における「チャネルと流体連通されて」いる「開口」が、「ウエハ40の周縁部からみて半径方向内側から半径方向外側までの範囲を占めるとともに、ウエハ40の周縁部からみて下方向に離間して」いる「吸引部材48」であって、かつ、「ウエハ40と同面部材44との隙間に入り込んだ液浸液LWを回収するための多孔質もしくは多数の微細孔で構成された」「吸引部材48」に設けられた多数の孔であり、そして、それらの孔は、「吸引空間50」と流体「連通」されているものであるけれども、 「第1開口及び第2開口を有し、前記第1開口及び前記第2開口は異なるチャネルと流体連通されており、 前記第1開口は、前記第2開口の半径方向内側に配置され、かつ、前記オブジェクトと前記抽出本体との間の前記抽出本体の上面から流体を抽出するように構成され、 前記第2開口は、前記オブジェクトの縁部と前記抽出本体との間のギャップを通って流体を抽出するように構成され」ていることを、明記しない。 e 本願発明1の「前記抽出本体は、前記抽出本体と前記オブジェクトホルダとの間の中間ギャップによって、前記オブジェクトホルダから実質的に機械的及び熱的に分離するように前記オブジェクトホルダから離間している、」との特定事項について (a)引用発明1の「同面部材44」(本願発明1の「抽出本体」に相当。)は、「ウエハチャック42」(本願発明1の「オブジェクトホルダ」に相当。)と「離間して」いるから、引用発明1は、本願発明1の「前記抽出本体は、前記抽出本体と前記オブジェクトホルダとの間の中間ギャップによって、」「前記オブジェクトホルダから離間している、」との特定事項を備える。 (b)しかし、引用発明1は、同発明における「抽出本体」の「オブジェクトホルダから」の「離間」が、本願発明1でいう「前記オブジェクトホルダから実質的に機械的及び熱的に分離するように」なっていることを、明記しない。 (イ)一致点及び相違点の認定 上記(ア)によれば、本願発明1と引用発明1とは、 「リソグラフィ装置のための支持装置であって、 オブジェクトを支持するオブジェクトホルダと、 前記オブジェクトホルダの半径方向外側の抽出本体であって、前記オブジェクトの周縁部の下に部分的に延出する抽出本体と を備え、 前記抽出本体は、開口を有し、前記開口はチャネルと流体連通されており、 前記抽出本体は、前記抽出本体と前記オブジェクトホルダとの間の中間ギャップによって、前記オブジェクトホルダから離間している、支持装置。」である点で一致し、次の点で相違する。 [相違点1] 「チャネルと流体連通されて」いる「開口」について、 本願発明1は、「第1開口及び第2開口を有し、前記第1開口及び前記第2開口は異なるチャネルと流体連通されており、 前記第1開口は、前記第2開口の半径方向内側に配置され、かつ、前記オブジェクトと前記抽出本体との間の前記抽出本体の上面から流体を抽出するように構成され、 前記第2開口は、前記オブジェクトの縁部と前記抽出本体との間のギャップを通って流体を抽出するように構成され」ているのに対し、 引用発明1は、「ウエハ40の周縁部からみて半径方向内側から半径方向外側までの範囲を占めるとともに、ウエハ40の周縁部からみて下方向に離間して」おり、かつ、「多孔質もしくは多数の微細孔で構成された」「吸引部材48」に設けられた多数の孔であって、それらの孔は、「吸引空間50」と流体「連通」されているものである点。 [相違点2] 「中間ギャップによって、前記オブジェクトホルダから離間している」ことについて、 本願発明1は、「前記オブジェクトホルダから実質的に機械的及び熱的に分離するように」なっているのに対し、 引用発明1は、そのような明記がない点。 (ウ)相違点1の判断 a 引用発明1の「開口」は、「多孔質もしくは多数の微細孔で構成された」「吸引部材48」に設けられた多数の孔であるから、本願発明1でいう「第2開口」と「第2開口の半径方向内側に配置され」た「第1開口」とを備えると解する余地がある。加えて、引用発明1の「吸引部材48」は、「ウエハ40の周縁部からみて半径方向内側から半径方向外側までの範囲を占めるとともに、ウエハ40の周縁部からみて下方向に離間して」おり、かつ、「ウエハ40と同面部材44との隙間に入り込んだ液浸液LWを回収するための」ものであるから、前記「第1開口」が、「前記オブジェクトと前記抽出本体との間の前記抽出本体の上面から流体を抽出するように構成され」ているとともに、前記「第2開口」が、「前記オブジェクトの縁部と前記抽出本体との間のギャップを通って流体を抽出するように構成され」ていると解する余地もある。 しかしながら、そのように解するとしても、引用発明1の前記「第1開口」及び前記「第2開口」は、本願発明1でいう「異なるチャネルと流体連通されて」はいない。すなわち、引用発明1の前記「第1開口」及び前記「第2開口」は、いずれも「吸引空間50」と流体「連通」されているのであり、この「吸引空間50」は、第1開口にも第2開口にも使用されているという意味で、1つのチャネルである。よって、引用発明1の前記「第1開口」及び前記「第2開口」は、本願発明1でいう「異なるチャネルと流体連通されて」はいない。 そこで、「第1開口」及び「第2開口」が「異なるチャネルと流体連通されて」いることを示す証拠があるのかが、問題となる。 b この点、引用文献2及び引用文献3は、上記1(2)及び(3)で認定したとおり、いずれも、リソグラフィー装置の技術分野において、オブジェクトホルダが、オブジェクトに対して半径方向外向きの位置にある第2開口とオブジェクトの下にある第1開口を備える構造を開示していると認められる。 しかしながら、引用文献2及び引用文献3は、いずれも、「第1開口」及び「第2開口」が「異なるチャネル」と「流体連通されて」いることを開示しない。 したがって、引用発明1に、引用文献2ないし引用文献3に記載された技術的事項を適用できたとしても、相違点1に係る構成に至らない。 c 仮に、引用文献2ないし引用文献3が、「第1開口」及び「第2開口」が「異なるチャネル」と「流体連通されて」いることを開示していたとすると、当業者は、かえって、引用発明1に、引用文献2ないし引用文献3に記載された技術的事項を適用しない。 すなわち、引用発明1の「チャネルと流体連通されて」いる「開口」は、「多孔質もしくは多数の微細孔で構成された吸引部材48」に設けられた多数の孔であって、それらの孔は、「吸引空間50」と流体「連通」されているものであるところ、「吸引空間50」は、上記aのとおり、1つのチャネルである。そして、「多孔質もしくは多数の微細孔で構成された吸引部材48」は、「ウエハ40の周縁部からみて半径方向内側から半径方向外側までの範囲を占める」ものであるところ、引用発明1は、そのような広い範囲を占める「吸引部材48」を用いたからこそ、1つのチャネルと流体連通させることができたものということができる。 しかるところ、そのような、1つのチャネルで既に作用効果を奏している引用発明1において、あえて、「異なるチャネル」と「流体連通されて」いる第1開口及び第2開口を備える技術を採用する動機はない。 よって、当業者は、引用発明1に、引用文献2ないし引用文献3に記載された技術的事項を適用しないというべきである。 d このように、当業者が、引用発明1並びに引用文献2に記載された技術的事項及び引用文献3に記載された技術的事項に基づいて、相違点1に係る構成に至ることはない。 そして、引用文献4に記載された技術的事項を考慮しても、上記の判断を左右しない。 (エ)本願発明1についての小括 したがって、相違点2について判断するまでもなく、本願発明1は、引用発明1及び引用文献2?4に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 イ 本願発明2?3について 本願発明2?3は、本願発明1をさらに限定したものである。 したがって、上記アと同様の理由で、本願発明2?3は、引用発明1及び引用文献2?4に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 ウ 本願発明4について 本願発明4は、本願発明1に「前記抽出本体は、前記中間ギャップをシールするように構成されたシール材によって前記オブジェクトホルダと接続された、」との特定事項を付加したものに相当する。 そうすると、上記アと同様の理由で、本願発明4は、引用発明1及び引用文献2?4に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 エ 本願発明5?7について 本願発明5?7は、本願発明1又は4をさらに限定したものである。 したがって、上記アと同様の理由で、本願発明5?7は、引用発明1及び引用文献2?4に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 オ 本願発明8について 本願発明8は、「リソグラフィ装置を用いたデバイス製造方法」に係るものであるけれども、その特定事項である「支持装置」は、本願発明1に係る「支持装置」となっている。 したがって、上記アと同様の理由で、本願発明8は、引用発明1及び引用文献2?4に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 カ 理由4,5についての小括 以上のとおりであるから、当審拒絶理由の理由4,5は、維持できない。 (6)当審拒絶理由に対する判断の小括 このように、当審拒絶理由は、維持できない。 3 原査定の拒絶の理由に対する判断 原査定の拒絶の理由は、要するに、引用文献1に記載された発明のみに基づく進歩性欠如である。しかるに、上記2(5)のとおり、当審拒絶理由の理由4及び5(引用文献1に記載された発明に基づく進歩性欠如)が維持できない以上、原査定の拒絶の理由も、維持できないことに帰する。 第5 むすび 以上のとおり、当審拒絶理由及び原査定の拒絶の理由によっては、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2019-06-11 |
出願番号 | 特願2016-138497(P2016-138497) |
審決分類 |
P
1
8・
03-
WY
(G03F)
P 1 8・ 121- WY (G03F) P 1 8・ 55- WY (G03F) P 1 8・ 113- WY (G03F) P 1 8・ 537- WY (G03F) |
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 今井 彰 |
特許庁審判長 |
森 竜介 |
特許庁審判官 |
小松 徹三 山村 浩 |
発明の名称 | 支持装置、リソグラフィ装置及びデバイス製造方法 |
代理人 | 大貫 敏史 |
代理人 | 内藤 和彦 |
代理人 | 稲葉 良幸 |
代理人 | 江口 昭彦 |