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審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 G01T
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G01T
管理番号 1352088
審判番号 不服2018-6793  
総通号数 235 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-07-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-05-18 
確定日 2019-06-18 
事件の表示 特願2013-166430「核医学診断装置」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 2月19日出願公開、特開2015- 34779、請求項の数(5)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の概要
本願は、平成25年8月9日の出願であって、平成29年7月13日付けで拒絶理由が通知され、平成29年9月21日付けで意見書及び手続補正書が提出されたが、平成30年2月7日付けで拒絶査定(以下、「原査定」という。)がなされた。
本件は、これに対して、平成30年5月18日に拒絶査定に対する審判請求がなされたものである。
その後、当審において、平成31年3月6日付けで拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という。)が通知され、同年4月22日に意見書及び手続補正書が提出された。


第2 原査定の概要
原査定の概要は次のとおりである。

本願請求項1、3?9に係る発明は、以下の引用文献1?7に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
なお、請求項2は、意見書における出願人の説明のとおり、補正前の特許請求の範囲に対して新たに追加されたものであるから、拒絶査定の対象に含まれない。しかし、引用文献1、8に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
1.特許第3310080号公報
2.特表2008-503259号公報(周知技術を示す文献)
3.特表2008-526270号公報(周知技術を示す文献)
4.特許第4111826号公報
5.特開平7-229969号公報
6.国際公開第2010/032472号(周知技術を示す文献)
7.特表2012-502669号公報(周知技術を示す文献)
8.特開2011-142974号公報(周知技術を示す文献;新たに引用された文献)


第3 当審拒絶理由の概要
当審拒絶理由の概要は次のとおりである。

1 本願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

(1)本願発明1について
「入力した前記他の3次元画像に対して前記解剖学的基準面を設定する手段」では、どのように解剖学的基準面を設定するのかが明らかでない。

(2)本願発明8について
「異なる複数の被検体から生成された複数の前記3次元核医学画像を保存し、標準脳データベースを構築する手段」では、「標準脳データベース」が、「保存」された「3次元核医学画像」により、どのように「構築」されるものであるのかが不明である。

2 本願請求項8?9に係る発明は、以下の引用文献Aに記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
A.特許第3310080号公報(拒絶査定時の引用文献1)


第4 本願発明
本願の請求項1?5に係る発明(以下、それぞれ、「本願発明1」?「本願発明5」という。)は、平成31年4月22日に提出された手続補正書でした手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1?5に記載された事項により特定されるものと認められるところ、本願発明1は、次のとおりのものである。

「 【請求項1】
天板に横臥する被検体に線状の光を投光する投光器と、
前記被検体の眼窩中心と外耳孔の中心を結ぶ左右の眼窩外耳孔線(OM(Orbitomeatal)ライン)又は、眼窩上縁と外耳孔の中心を結ぶ左右の眼窩上縁外耳孔線(SOM(Supra Orbitomeatal)ライン)を含む平面である解剖学的基準面と前記線状の光によって定まる投光面とが合致するように調整された前記投光器の投光情報と前記天板の位置情報とを取得する手段と、
前記被検体に投与された核種が放出する放射線を複数の方向から検出して収集した投影データを再構成して3次元核医学画像を生成する一方、前記投光器の投光情報と前記天板の位置情報とを用いて前記3次元核医学画像に前記解剖学的基準面を対応付ける再構成手段と、
再構成した前記3次元核医学画像とは異なる他の3次元画像を入力する手段と、
入力した前記他の3次元画像に対して前記解剖学的基準面を設定する手段と、
再構成した前記3次元核医学画像の中の解剖学的基準面と、入力した前記他の3次元画像に対して設定された前記解剖学的基準面とが合致するように、前記3次元核医学画像と前記他の3次元画像とを位置合わせする手段と、
位置合わせされた前記3次元核医学画像と前記他の3次元画像とを融合して融合画像を生成する手段と、
表示器と、
を備え、
前記他の3次元画像はCT(Computed Tomography)画像、又は、MRI(Magnetic Resonance Imaging)画像であり、
前記表示器は、入力した前記他の3次元画像を表示し、
前記他の3次元画像に対する解剖学的基準面は、前記表示器に表示された前記他の3次元画像に対するユーザ操作によって設定される、
ことを特徴とする核医学診断装置。」

なお、本願発明2?5は、本願発明1を減縮した発明である。


第5 引用文献、引用発明等
1 引用文献1について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、次の事項が記載されている。(下線は、当審が付したものである。)

(1)「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、被検体中のスライス面におけるRI分布像(RI分布断層像)を作成するエミッションCT装置に関する。
【0002】
【従来の技術】エミッションCT装置(以下、ECTと称する)は、放射線(γ線)を検出する検出器を被検体のまわりに回転(以下、SPECT回転ともいう)させながら、被検体の体内に投与したRI(ラジオアイソトープ)から放射される放射線をその検出器で検出し、得られた放射線データに基づいて断層像(ECT像ともいう)を再構成するものである。
・・・(中略)・・・
【0004】一方、近年における装置性能の向上とともに、例えば脳血管障害の検査等を目的として頭部断層像を撮影する場合が増加しつつある。この際、人体の目と耳孔とを結んだ線(以下、OMラインと称する)を参照する必要がある。」

(2)「【0024】
【実施例】以下、本発明の一実施例を添付図面を参照して説明する。
【0025】図1は本実施例に係るECT(シンチレーションカメラということもある)の側面図、図2はそのECTの正面図をそれぞれ示している。
【0026】ECT1は、γ線を検出する検出器2を備えた架台3と、被検体Hを載置するための支持装置である寝台4とを備えている。
【0027】架台3は、検出器2を支持するアーム5と、このアーム5を支持するアーム支持部6を備えている。このアーム支持部6は、架台3に回動可能に取り付けられている。また、架台3は、アーム支持部6を被検体Hの体軸周りに回転させる回転駆動部7と、このアーム支持部6の回転角度を検出する角度センサ8とを備えている。
【0028】さらに、架台3は、寝台4の天板4aに載置された被検体Hに向けて撮影基準線を投光する投光器9aを備えている。この投光器9aは、アーム5の検出器2近傍に設けられ、図3に示すように、被検体Hに対し水平投光線e-e′、垂直投光線g-g′、並びにOMライン入力用設定線f-f′を投影する。これらの投影線のうちOMライン入力用設定線f-f′は、投光器9aに連結して設けられた投光器回転具9bを操作することによって、被検体のサジタル面に沿って(図2のθ方向)に回転するようになっている。なお、投光器4aは、図2に明瞭に示されているように、検出器2を支持するアーム5に、検出器2の放射線検出には支障が生じないように設けられている。このような投光器9a、投光器回転具9bのセットは、被検体Hを挟む反対側にも必要に応じて符号9c、9dで示すように設けることができる。また、OMライン入力用設定線f-f′の垂直投光線g-g′に対する回転角θを検出するエンコーダ10をアーム5に設けている。
【0029】さらに、架台3は、この架台本体3を被検体の体軸方向へ走行させる走行駆動部11を設けている。また、架台3の寝台4(天板4a)に対する位置(以下、走行位置という)を検出する位置センサ12を設けている。
【0030】一方、寝台4には、寝台4の寝台操作部4bを操作することにより、寝台4上の天板4aを体軸方向へスライドさせ、または昇降させる寝台駆動部13を備えている。
【0031】次に、本実施例に係るECT1の概略システム構成図を図4に示す。
【0032】ECT1には、架台3全体の制御を行なう架台制御部14と、オペレータが操作して架台制御部14に対して種々の指令を送る例えばキーボード等を備えた入力部15と、検出器2から送られた放射線データを基にして所要の演算を行ない、断層像を再構成する画像再構成装置17と、この画像再構成装置17で行なわれた演算結果等を格納しておくメモリ16とを備えている。なお、この架台制御部14,入力部15,画像再構成装置17,メモリ16でコンソール18を構成している。
【0033】架台制御部14は、回転駆動部7及び走行駆動部11に駆動信号を送り、架台3のアーム支持部6を体軸周りに回転させるようになっている。また、走行駆動部11に駆動信号を送り、架台3を体軸方向に沿って走行させるようになっている。
【0034】一方、角度センサ8及び位置センサ12からの検出結果は、架台制御部14を介して画像再構成装置17に送られる。
【0035】画像再構成装置17は、角度センサ8、エンコーダ10、及び位置センサ12から送られるデータに基づいて再構成する断層面の位置を決定するようになっている。
【0036】なお、アーム5、支持アーム6、回転駆動部7が本発明の検出器回転装置及び基準線回転手段(第1の基準線回転手段)を形成する。また、それぞれ線状の光を投光する投光器9a、9cが本発明の基準線設定手段を形成する。
【0037】さらに、回転具9b、9dが本発明の第2の基準線回転手段を形成する。また、回転角検出器8が本発明の第1の回転角検出手段を形成し、エンコーダ10が本発明の第2の回転角検出手段を形成する。
【0038】次に全体動作について説明する。
【0039】図5は、患者に対して撮影基準線(例えばOMライン)を設定して撮影を実行するまでの手順を示すフローチャートである。
【0040】先ず、RIが注入された患者(被検体)Hを寝台4の天板4aに載置する。その後、寝台操作部4bを操作し寝台駆動部13を駆動させて、天板4aの高さを最適状態に調節し、被検体Hの頭部が投光器9aに対して最適位置になるようにする(ステップ101)。
【0041】この状態でオペレータは、投光器9aを点灯して図3に示すような各種投投影線、すなわち水平投光線e-e′、垂直投光線g-g′、並びにOMライン入力用設定線f-f′を投影する。
【0042】このとき被検体Hが、例えば背骨,首等に疾患があり等の理由から、図6に示すように体軸周りにα°回転している場合、被検体のOMラインは、x側とy側とでズレが生じてしまう(x側OMラインrx、y側OMラインry)。どちらか一方のOMラインでは正確な再構成が不可能であるため、オペレータは、再度入力部15を操作し架台制御部14に対して、アーム支持部6(つまり、架台3の回転部分)を体軸が回転している方向と同じ方向へα°回転させる指令を入力する。
【0043】架台制御部14は、この指令に基づいて回転駆動部7に駆動信号を送る。この結果、アーム支持部6は、体軸が回転している方向と同じ方向へα°回転する。投光器9aは、アーム支持部6に支持されたアーム5に設けられているため、アーム支持部6と共に回転し、図7に示す状態となる。つまり、各種投影線(水平投光線e-e′、垂直投光線g-g′、並びにOMライン入力用設定線f-f′)がそれぞれα°回転する。このときの元の投影線とα°だけ回転した投影線との位置関係を図8に示す。図8は、被検体の耳孔部分を拡大したものである。図7に示すように、水平投光線e-e′、垂直投光線g-g′、及びOMライン入力用設定線f-f′(都合上OMライン入力用設定線f-f′は図示しなかった)は、新たに水平投影線をe1-e1′、垂直投光線g1-g1′、及びOMライン入力用設定線f1-f1′となる。
【0044】次に、オペレータは、投光器回転具9dを操作することにより、OMライン入力用設定線f1-f1′を被検体Hの耳孔Oと目を結ぶ線、すなわちOMラインと一致するまで回転させる(図3には、その回転角がθとして示されている)。このようにして被検体HのOMラインの設定が完了する(ステップ102)。なお、この回転角θは、エンコーダ10により検出され、画像再構成装置16に送られる。また、被検体Hの体軸周りの回転角αは、アーム支持部6の回転角αとして角度センサ8により検出され、架台制御部14を介して画像再構成装置10に送られる。
【0045】上記したようなOMラインの設定後、被検体Hの頭部に対する投影データを収集するために、オペレータは入力部15を操作し架台制御部14に対し架台3を、図1におけるA位置(破線位置)からB位置(実線位置)まで距離Lだけ移動させる指令を入力する。
【0046】架台制御部14は、この指令に基づいて走行駆動部11に駆動信号を送る。この結果、架台3は、図1のA位置からB位置までLだけ移動する(ステップ103)。なお、この移動量Lは、位置センサ12により検出され、架台制御部14を介して画像再構成装置17に送られる。
【0047】次いで、この状態で撮影が行なわれ、検出器2により放射線データが収集される。
【0048】ここで、収集された放射線データに基づいてOMライン上のRI分布像を作成するまでに、画像再構成装置17で行なわれる工程を図9を用いて説明する。
【0049】画像再構成装置17では、エンコーダ10により検出された回転角θ、角度センサ8により検出された回転角α、及び位置センサ12により検出された移動量Lを読み込み、内部メモリ16に一旦格納する(ステップ201)。そして、この回転角θ、回転角α、及び移動量Lに基づいて実際のOMラインの位置を演算する(ステップ202)。
【0050】ここで、このステップ202での処理について図10により説明する。図10は、支持アーム6、つまり検出器2がα°回転したときに収集された投影像PとOMライン上に設定された設定線f1-f1′との架台3の移動量Lを加味した相対位置関係を示している。この図10において、x方向の画像の中心aとy方向のLの位置[(x,y)=(a,L)]を中心として、垂線g1-g1′からθだけ回転した線f1-f1′が実際のOMラインの位置となる。
【0051】その後、検出器2から送られる投影データを読み込み(ステップ202)、次いで内部メモリ17から回転角αを読み出し、検出器2がα°だけ回転したときのECT像を再構成する(ステップ203)。このECT像I1を図11の実線に示す。
【0052】得られたECT像I1を基にして、これらの像に対してOMラインがなす角度θだけ傾けた断面像I2に変換する(点線で示す)。これらの像が最終的に求めようとするOMライン上のRI断層像を含んだ断層像群となる(ステップ204)。
【0053】このようにして得られた撮影結果に、例えば各傾斜断層像にOMラインからの距離情報を付加することにより、X線CT装置等との比較がより簡単に行なうことができるようになる。」

(3)「【図3】

【図11】



すると、上記引用文献1には、以下の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されている。

「γ線を検出する検出器2を備えた架台3と、被検体Hを載置するための支持装置である寝台4とを備え、また、架台3全体の制御を行なう架台制御部14と、オペレータが操作して架台制御部14に対して種々の指令を送る例えばキーボード等を備えた入力部15と、検出器2から送られた放射線データを基にして所要の演算を行ない、断層像を再構成する画像再構成装置17と、この画像再構成装置17で行なわれた演算結果等を格納しておくメモリ16とを備えたエミッションCT装置(ECT1)であって、
架台3は、検出器2を支持するアーム5と、このアーム5を支持するアーム支持部6を備えており、このアーム支持部6は、架台3に回動可能に取り付けられていて、架台3は、アーム支持部6を被検体Hの体軸周りに回転させる回転駆動部7と、このアーム支持部6の回転角度を検出する角度センサ8とを備えており、
さらに、架台3は、寝台4の天板4aに載置された被検体Hに向けて撮影基準線を投光する投光器9a、9cを備えており、この投光器9a、9cは、アーム5の検出器2近傍に設けられ、被検体Hに対し水平投光線e-e′、垂直投光線g-g′、並びにOMライン(人体の目と耳孔とを結んだ線)入力用設定線f-f′を投影し、これらの投影線のうちOMライン入力用設定線f-f′は、投光器9a、9cに連結して設けられた投光器回転具9b、9dを操作することによって、被検体のサジタル面に沿って回転するようになっていて、オペレータは、投光器回転具9b、9dを操作することにより、OMライン入力用設定線f-f’を被検体Hの耳孔Oと目を結ぶ線、すなわち、OMラインと一致するまで回転させ、また、OMライン入力用設定線f-f′の垂直投光線g-g′に対する回転角θを検出するエンコーダ10をアーム5に設けており、
さらに、架台3は、この架台本体3を被検体の体軸方向へ走行させる走行駆動部11を設けていて、架台3の寝台4(天板4a)に対する位置(以下、走行位置という)を検出する位置センサ12を設けており、
一方、寝台4には、寝台4の寝台操作部4bを操作することにより、寝台4上の天板4aを体軸方向へスライドさせ、または昇降させる寝台駆動部13を備えており、
画像再構成装置17では、エンコーダ10により検出された回転角θ、角度センサ8により検出された回転角α、及び位置センサ12により検出された移動量Lを読み込み、内部メモリ16に一旦格納して、この回転角θ、回転角α、及び移動量Lに基づいて実際のOMラインの位置を演算し、
検出器2から送られる投影データを読み込み、次いで内部メモリ16から回転角αを読み出し、検出器2がα°だけ回転したときのECT像を再構成し、
得られたECT像I1を基にして、これらの像に対してOMラインがなす角度θだけ傾けた断面像I2に変換し、これらの像が最終的に求めようとするOMライン上のRI断層像を含んだ断層像群となり、
このようにして得られた撮影結果に、各傾斜断層像にOMラインからの距離情報を付加する、
エミッションCT装置。」

2 引用文献2について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2には、次の事項が記載されている。

(1)「【0003】
単光子放出コンピュータ断層撮影(SPECT)および陽電子放出断層撮影(PET)を使用する機能的なイメージングは、様々な医学的疾患の診断において極めて有益である。しかしながら、SPECT画像およびPET画像に関する解剖学的な定義における不確実性は、時として、それらの実用性を制限する。これを克服するため、身体の同じ領域の機能的SPECT画像またはPET画像と、磁気共鳴画像(MRI)およびX線コンピュータ断層撮影(CT)画像との統合画像が時として使用される。これは、研究、診断、および処置にとって非常に重要な相補的な解剖学的(MRIまたはCT)および生理学的(SPECTまたはPET)な情報を与える。」

(2)「【0056】
本発明の典型的な実施形態においては、幾つかのレジストレーション方法/アルゴリズムが使用されてもよい。それらは、例えば、自動/相互情報レジストレーション(例えば、自動レジストレーション)、ランドマークを用いたレジストレーションおよび視覚による位置合わせ(例えば手動マッチング)であってもよい。
【0057】
自動レジストレーションは相互情報または正規化された相互情報に基づいて完全に自動化されたマッチングアルゴリズムである。しかしながら、自動レジストレーションを始める前に、ユーザは、自動レジストレーションの性能を向上させるために視覚による位置合わせを行なうことができる。また、自動レジストレーションは1つまたは複数のローディングステップと同時に行なうこともできる。
【0058】
自動レジストレーションは、第1の時点の第1の画像データセットの第1の画像列を第1の時点の第1の画像データセットの第2の画像列にレジストレーションするステップと、第1の時点の第1の画像データセットの第1の画像列を第2の時点の第2の画像データセットの第1の画像列にレジストレーションするステップと、第2の時点の第2の画像データセットの第1の画像列を第2の時点の第2の画像データセットの第2の画像列にレジストレーションするステップとを含む。
【0059】
例えば、2つのCT-PETスキャンがロードされると、CT-PETスキャンのレジストレーションが第1の時点および第2の時点の両方において順次に始まる。CT-PETレジストレーションが完了すると、第1の時点および第2の時点にわたって2つのCT検査対象を一致させるためにレジストレーションが開始される。自動レジストレーションが行なわれる間、レジストレーションの進行をアルファ混合画像(例えば融合画像)で視覚化することができる。自動レジストレーションの現在の進行を示す進行テキストが表示されてもよい。
【0060】
ランドマークを用いたレジストレーションは、両方の画像列内の一致する位置における既知のマークの識別である。その識別から、アルゴリズムがレジストレーションを計算する。視覚による位置合わせは融合データセットに関して行なわれる。基準画像列は固定されたままであり、また、例えば視覚による位置合わせ制御を使用して、モデル画像列を翻訳し/回転させて、基準画像との位置合わせを行なうことができる。」

3 引用文献3について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献3には、次の事項が記載されている。

「【0017】
図1を参照し続け、更に図3A及び3Bを参照すると、撮像技師は、画像処理機能及び操作を実行するCPUプロセッサ又はハードウェア手段48及びソフトウェア手段50を含むワークステーション46を使用してスキャンを実行する。ワークステーション46は、好ましくは、1つ以上の入力デバイス52(例えばコンピュータキーボード、マウス等)及び1つ以上のモニタ又はディスプレイ54を含む。ユーザは、入力デバイス52を介して、ワークステーション46及び/又は全体のシステム10を選択的に制御することができる。対象を運ぶ寝台34は、相補又はPET画像56がPETスキャナ30により生成されるように検査領域42内に寝台移動手段44により移動される。電子データは、PET再構成プロセッサ58によりPET画像に再構成され、PET画像メモリ60に記憶される。寝台移動手段44は、一次又はCT画像62が撮られる前記CTスキャナの検査領域26内に前記対象を運ぶ前記寝台を配置するように寝台34を移動する。より具体的には、前記対象と共にある寝台34は、PETイメージング領域42内の撮像位置と同じであると幾何学的及び機械的に予測されるCT検査領域26内の位置まで移動される。電子データは、CT再構成プロセッサ64により3次元CT画像に再構成され、CT画像メモリ66に記憶される。
【0018】
相補画像56及びCT画像62は、相補画像56及びCT画像62内の共通の基準点が一致するように画像位置調整プロセッサ又は手段70により互いに位置調整又は位置合わせされる。より具体的には、位置調整プロセッサ70は、スキャナ30とスキャナ14との間の対象運動を補償するために前記画像の相対的なスケーリング、平行移動及び/又は回転を実行し、両方の画像内の共通の基準点の位置合わせを達成するために追加のスケーリング、平行移動、回転並びに他の線形及び非線形変換を使用する。前記基準点は、好ましくは容易に識別可能であり、例えば、相補画像56からCT画像62まで互いに対してほとんど又は全く運動又は相対的な変位を体験しない明確な解剖学的ランドマークである。例えば、前記基準点は、考慮中の組織塊(tissue mass)により体験される運動を考慮して又は前記運動と相対的に実質的に静止している骨の先端でありうる。随意に、前記画像において視覚化されることができる基準又は他の同様な人工的ランドマークが、イメージング中に利用され、位置調整目的で基準点として使用される。
【0019】
一実施例において、位置調整プロセッサ70は、各画像内の前記基準点のユーザ選択に応答して画像56及び62を自動的に位置合わせする。代替的には、位置調整プロセッサ70は、前記ユーザによる手動位置合わせ又は位置合わせ調整を可能にする。いずれの場合にも、前記位置調整は、前記画像がマークされた後又はマーキングの前に行われることができる。前記位置調整された画像は、位置調整画像メモリ72に記憶される。位置調整された画像56及び62の人間が見ることができる描写(例えば、3次元表現、2次元断面、表面レンダリング等)を提供するために、位置調整画像メモリ72内の画像データは、モニタ54に表示するためにビデオプロセッサ74により適切にフォーマットされる。好ましくは、PET画像56及びCT画像62は、隣り合わせの関係(side-by-side relationship)でディスプレイ54に示される。代替的には、画像56及び62は、重ねられた形式で示される。前記ユーザは、画像56及び62の表示を制御するために入力手段52を使用する。」

4 引用文献4について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献4には、次の事項が記載されている。

「【0012】
次に、従来の撮影法について説明する。
従来の撮影方法(1)を図4で説明する。図4中、符号1は目を、符号2は眼窩(orbital)上縁を、符号3は耳介を、符号4は脳幹を、符号5は外耳道(meatus)を、符号6は大脳辺縁系を、符号7は符号Aの線を基準にした面に平行な複数の面を、符号8は撮影の移動方向を、符号Aは眼窩上縁と外耳道を結ぶ線(OMライン)を表す。図4の符号7と図3(b)の符号Bとは、対応している。
このように従来の撮影方法(1)は、OMラインを基準とし、その面に平行な面を複数撮影し脳の断層画像を得るというものである。」

5 引用文献5について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献5には、次の事項が記載されている。

「【0012】
【実施例】以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。図1は、本発明のポジトロンCT装置の検出器リングの構成及び検出器リングと被検体の位置関係を示す図であり、(a)は、被検体の頭頂方向からみた図、(b)は、被検体の側面から見た断面図である。なお、図3に示す従来のポジトロンCT装置と同じ構成要素については、同じ符号を付してその説明は省略する。
【0013】図1に示すように、2台の投光器10a、10bが検出器リング近傍に配置されている。投光器10a、10bは、被検体1の両側面、すなわち体軸を挟んで左右両側に、水平方向において体軸7と直交する直線上に配置されており、図1に矢印で示す方向に、すなわち、体軸と直交する方向を中心に任意に回転させることができるように構成されている。図1は、投光器10a、10bから、被検体1のOMライン6に一致した方向に直線状の光ビーム11を投光している様子を示している。図1(a)に示すように、直線状光ビーム11は、被検体1に向かって扇状に広がっている。
【0014】図2は、本発明のポジトロンCT装置の制御機能を示すブロック図である。ここで、符号10(a、b)は投光器、12は投光器の回転駆動制御系、13は、投光器10の回転角をエンコードするエンコーダ回路、14はエンコーダ回路13でエンコードされた角度信号を演算制御部15に入力するインターフェイス回路である。
【0015】ポジトロンCT装置のオペレータは、被検体1を検出器リングの視野内に設置するまえに、投光器10の回転駆動制御系12を用いて、投光器10から投光される直線状ビーム11の投影方向と、被検体1のOMラインとが一致するように投光器10を回転駆動させる。直線状ビーム11の投影方向と被検体1のOMラインとが一致したところで、回転駆動制御系12を停止させ、投光器10の回転位置を決定する。この時の、投光器10の回転角度ψは、エンコーダ回路13によって適宜バイナリー信号にエンコードされて、インターフェース14を介して演算制御部15に自動的に入力される。このようにして、投光器の回転角度ψを演算制御部13で読み込んだ後、被検体1を検出器リングの視野内の適当な位置に設置して、計測を開始する。
【0016】演算制御部15では、データを収集して体軸方向に画像を積み上げた後、インターフェース14を介して読み込んだ投光器の回転角度ψだけ傾けた位置で裁断面を取って、この画像を出力装置(図示せず)に出力する。なお、投光器の回転駆動は、手動で行っても、あるいは自動的に行うようにしてもよい。
【0017】
【発明の効果】上述したとおり、本発明のポジトロンCT装置によれば、投光器を利用することにより、被検体のOMラインに平行なスライス面を容易に得ることができる。また、重量のある検出器リングをチルトさせるための駆動系が不要となるため、検出器リングを収納するガントリの小型化を図ることができると共に、製造コストの低減を図ることができる。」

6 引用文献6、7について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献6、引用文献7には、次の事項が記載されている。

「この発明は、PET画像やSPECT画像などの脳機能画像に基づいて、疾患の診断等を行う際に用いる代替正常脳データベースの生成に関するものである。」(引用文献6の[0001]、引用文献7の【0001】)

7 引用文献8について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献8には、次の事項が記載されている。

「【0043】
位置合わせ方式選択受付部33は、ユーザに3次元医用画像データV1とV2の位置合わせを自動で行うか、手動で行うかを選択させるためのユーザインターフェースを表示装置に表示させる。図4はこのユーザインターフェースの具体例である。図に示したように、ユーザは、ラジオボタンに対するマウスのクリック操作によって、自動・手動を選択することができる。
・・・
【0045】
手動位置合わせ受付部35は、ユーザに3次元医用画像データ(例えばV1とV2)の位置合わせを手動で行わせるためのユーザインターフェースを表示装置に表示させ、ユーザによる手動位置合わせ操作に応じて、3次元医用画像データ(例えばV1とV2)の位置合わせを行い、位置合わせ後の3次元医用画像データ(例えばV1, V2B)を出力する。
・・・
ユーザがマウス等の操作により実行ボタンを押下すると、手動位置合わせ受付部35は、コロナル断面画像SC2の当初の位置からの移動量を算出し、3次元医用画像データV2をこの移動量だけ体軸方向に移動する座標変換を行い、3次元医用画像データV2Bを出力する。なお、図3を用いて後述するように、自動位置合わせ処理部34による位置合わせ結果を修正する際にも上記と同様のユーザインターフェースを用いることができる。」


第6 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明1を対比する。
ア 引用発明1の「架台3は、寝台4の天板4aに載置された被検体Hに向けて撮影基準線を投光する投光器9a、9cを備えて」いることは、本願発明1の「天板に横臥する被検体に線状の光を投光する投光器と、」「を備え」ることに相当する。

イ 引用発明1の
「架台3は、検出器2を支持するアーム5と、このアーム5を支持するアーム支持部6を備えており、このアーム支持部6は、架台3に回動可能に取り付けられていて、架台3は、アーム支持部6を被検体Hの体軸周りに回転させる回転駆動部7と、このアーム支持部6の回転角度を検出する角度センサ8とを備えており、」
「この投光器9a、9cは、アーム5の検出器2近傍に設けられ、被検体Hに対し水平投光線e-e′、垂直投光線g-g′、並びにOMライン(人体の目と耳孔とを結んだ線)入力用設定線f-f′を投影し、これらの投影線のうちOMライン入力用設定線f-f′は、投光器9a、9cに連結して設けられた投光器回転具9b、9dを操作することによって、被検体のサジタル面に沿って回転するようになっていて、オペレータは、投光器回転具9b、9dを操作することにより、OMライン入力用設定線f-f’を被検体Hの耳孔Oと目を結ぶ線、すなわち、OMラインと一致するまで回転させ、また、OMライン入力用設定線f-f′の垂直投光線g-g′に対する回転角θを検出するエンコーダ10をアーム5に設けており、
さらに、架台3は、この架台本体3を被検体の体軸方向へ走行させる走行駆動部11を設けていて、架台3の寝台4(天板4a)に対する位置(以下、走行位置という)を検出する位置センサ12を設けており、
一方、寝台4には、寝台4の寝台操作部4bを操作することにより、寝台4上の天板4aを体軸方向へスライドさせ、または昇降させる寝台駆動部13を備えており、
画像再構成装置17では、エンコーダ10により検出された回転角θ、角度センサ8により検出された回転角α、及び位置センサ12により検出された移動量Lを読み込み、内部メモリ16に一旦格納」することは、
本願発明1の
「前記被検体の眼窩中心と外耳孔の中心を結ぶ左右の眼窩外耳孔線(OM(Orbitomeatal)ライン)又は、眼窩上縁と外耳孔の中心を結ぶ左右の眼窩上縁外耳孔線(SOM(Supra Orbitomeatal)ライン)を含む平面である解剖学的基準面と前記線状の光によって定まる投光面とが合致するように調整された前記投光器の投光情報と前記天板の位置情報とを取得する手段と、」
「を備え」ることに相当する。

ウ 引用発明1の
「画像再構成装置17では、」「この回転角θ、回転角α、及び移動量Lに基づいて実際のOMラインの位置を演算し、
検出器2から送られる投影データを読み込み、次いで内部メモリ16から回転角αを読み出し、検出器2がα°だけ回転したときのECT像を再構成し、
得られたECT像I1を基にして、これらの像に対してOMラインがなす角度θだけ傾けた断面像I2に変換し、これらの像が最終的に求めようとするOMライン上のRI断層像を含んだ断層像群となり、
このようにして得られた撮影結果に、各傾斜断層像にOMラインからの距離情報を付加する」ことは、
本願発明1の
「前記被検体に投与された核種が放出する放射線を複数の方向から検出して収集した投影データを再構成して3次元核医学画像を生成する一方、前記投光器の投光情報と前記天板の位置情報とを用いて前記3次元核医学画像に前記解剖学的基準面を対応付ける再構成手段と、」
「を備え」ることに相当する。

(一致点)
上記ア?ウでの検討から、本願発明1と引用発明1は、
「天板に横臥する被検体に線状の光を投光する投光器と、
前記被検体の眼窩中心と外耳孔の中心を結ぶ左右の眼窩外耳孔線(OM(Orbitomeatal)ライン)又は、眼窩上縁と外耳孔の中心を結ぶ左右の眼窩上縁外耳孔線(SOM(Supra Orbitomeatal)ライン)を含む平面である解剖学的基準面と前記線状の光によって定まる投光面とが合致するように調整された前記投光器の投光情報と前記天板の位置情報とを取得する手段と、
前記被検体に投与された核種が放出する放射線を複数の方向から検出して収集した投影データを再構成して3次元核医学画像を生成する一方、前記投光器の投光情報と前記天板の位置情報とを用いて前記3次元核医学画像に前記解剖学的基準面を対応付ける再構成手段と、
を備える、
核医学診断装置。」
で一致し、次の点で相違する。

(相違点)
本願発明1では、
「再構成した前記3次元核医学画像とは異なる他の3次元画像を入力する手段と、
入力した前記他の3次元画像に対して前記解剖学的基準面を設定する手段と、
再構成した前記3次元核医学画像の中の解剖学的基準面と、入力した前記他の3次元画像に対して設定された前記解剖学的基準面とが合致するように、前記3次元核医学画像と前記他の3次元画像とを位置合わせする手段と、
位置合わせされた前記3次元核医学画像と前記他の3次元画像とを融合して融合画像を生成する手段と、
表示器と、
を備え、
前記他の3次元画像はCT(Computed Tomography)画像、又は、MRI(Magnetic Resonance Imaging)画像であり、
前記表示器は、入力した前記他の3次元画像を表示し、
前記他の3次元画像に対する解剖学的基準面は、前記表示器に表示された前記他の3次元画像に対するユーザ操作によって設定される」のに対して、
引用発明1は、3次元核医学画像とCTやMRIのような他の3次元画像との融合についての発明特定事項を有さない点。

(2)判断
上記相違点について、以下、検討する。
引用文献2には、身体の同じ領域の機能的SPECT画像またはPET画像と、磁気共鳴画像(MRI)およびX線コンピュータ断層撮影(CT)画像との統合画像を作成する際、自動レジストレーション、両方の画像列内の一致する位置における既知のマークであるランドマークを用いたレジストレーション、手動マッチングを行うことが記載されている。
引用文献3には、相補又はPET画像56及びCT画像62は、共通の基準点が一致するように画像位置調整プロセッサにより互いに位置調整又は位置合わせされ、その基準点は、骨の先端や他の同様な人工的ランドマークがイメージング中に利用され、位置調整目的で基準点として使用されることが記載されている。
引用文献2及び3に記載されるように、SPECT画像またはPET画像のような3次元核医学画像と、磁気共鳴画像(MRI)およびX線コンピュータ断層撮影(CT)画像のような他の3次元画像との融合画像を生成することは周知である。
また、引用文献1には、「このようにして得られた撮影結果に、例えば各傾斜断層像にOMラインからの距離情報を付加することにより、X線CT装置等との比較がより簡単に行なうことができるようになる。」(【0053】)と、各傾斜断層像のOMラインからの距離情報により、SPECT画像とX線CT画像との比較がより簡単になることが記載されている。
しかし、引用文献1には画像を融合すること及びその際にOMラインにより位置合わせすることのいずれも記載されておらず、また、引用文献2及び3には画像を融合する際にランドマークを用いた位置合わせ等が記載されているが、OMラインを用いた位置合わせは記載されていない。
すると、引用発明及び上記周知技術から、OMライン上のRI断層像を含み、OMラインからの距離情報を付加された各傾斜断層像からなる断層像群とX線CT画像とを融合することが当業者であれば容易に想到し得るとはいえるが、その際、位置合わせとしては、引用文献2及び3に記載されるランドマークを用いた位置合わせ等を行うことが想起されるとはいえるものの、OMラインを用いて、断層像群とX線CT画像との位置合わせを行うことまで、当業者が容易に想到し得たということはできない。

さらに、引用文献4?8には、OMラインを用いて、三次元核医学画像と他の3次元画像の位置合わせを行うことの開示も示唆もない。

したがって、引用発明1に、引用文献2?8に記載された技術事項を組み合わせても、上記相違点に係る本願発明1の発明特定事項が容易に想到し得るとはいえない。

(3)小括
よって、本願発明1は、引用発明1及び引用文献2?8に記載された技術事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

2 本願発明2?5について
本願発明2?5も、本願発明1の上記相違点に係る発明特定事項を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、引用発明1及び引用文献2?8に記載された技術事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。


第7 原査定についての判断
原査定は、上記第2で示したとおりであって、上記第5及び6で説示したとおり、本願発明1?5は、引用発明1及び引用文献2?8に記載された技術事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえないから、原査定を維持することはできない。
なお、原査定の対象である請求項8及び9は、平成31年4月22日に提出された手続補正書でした手続補正により削除されている。


第8 当審拒絶理由について
1 理由1(1)について
本願発明1が、
「表示器と、
を備え、
前記他の3次元画像はCT(Computed Tomography)画像、又は、MRI(Magnetic Resonance Imaging)画像であり、
前記表示器は、入力した前記他の3次元画像を表示し、
前記他の3次元画像に対する解剖学的基準面は、前記表示器に表示された前記他の3次元画像に対するユーザ操作によって設定される」
と補正された結果、この拒絶理由は解消した。

2 理由1(2)及び理由2について
拒絶理由の対象である請求項8及び9が、平成31年4月22日に提出された手続補正書でした手続補正により削除された結果、この拒絶理由は解消した。


第9 むすび
以上のとおり、原査定の理由及び当審の拒絶理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2019-06-03 
出願番号 特願2013-166430(P2013-166430)
審決分類 P 1 8・ 537- WY (G01T)
P 1 8・ 121- WY (G01T)
最終処分 成立  
前審関与審査官 原 俊文  
特許庁審判長 福島 浩司
特許庁審判官 伊藤 昌哉
▲高▼見 重雄
発明の名称 核医学診断装置  
代理人 特許業務法人東京国際特許事務所  

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