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審決分類 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G06F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G06F
管理番号 1352242
審判番号 不服2017-14126  
総通号数 235 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-07-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-09-25 
確定日 2019-06-05 
事件の表示 特願2015-245664「音声検索を行う方法及び装置」拒絶査定不服審判事件〔平成28年12月15日出願公開、特開2016-212826〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯

本願は、平成27年12月16日(パリ条約による優先権主張2015年4月28日、中国)の出願であって、平成28年11月11日付けで拒絶理由通知がなされ、平成29年2月22日に手続補正がなされたが、平成29年5月11日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成29年9月25日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされ、当審において、平成30年7月25日付けで拒絶理由通知がなされ、平成30年10月31日に手続補正がなされたものである。

第2 本願発明

本願請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成30年10月31日の手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される以下のとおりの発明である。

<本願発明>
「【請求項1】
ユーザが入力した音声を受信するステップと、
前記音声を文字に変換するとともに、変換された文字に対してセマンティック認識してユーザの意図を判別するステップと、
前記セマンティック認識により判別した前記ユーザの意図に基づき、前記ユーザの検索行為のコンテキストを踏まえて、前記ユーザの検索ニーズを特定するステップと、
前記検索ニーズに基づき検索を行い、前記検索ニーズを満たすサービスを取得し、前記サービスを前記ユーザに提供するステップと、
前記ユーザが提供されたサービスの中から選択したサービスを取得し、前記選択されたサービスを完了させるための後続操作を実行するステップと、を含む、
ことを特徴とする音声検索を行う方法。」

第3 拒絶の理由
平成30年7月25日付けで当審が通知した拒絶理由は、次のとおりのものである。

1.(新規性)本願発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
2.(進歩性)本願発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献1:特開2014-106927号公報

第4 引用文献、引用発明等

当審の拒絶の理由に引用された引用文献1(特開2014-106927号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は、当審において付与した。)。

ア.「【0017】
〔構成例〕
図2は、本実施形態の音声対話システム500のシステム構成図の一例を示す。音声対話システム500は、ネットワーク300を介して通信可能なサーバー200と車載機100と有している。」

イ.「【0020】
<車載機>
図3は、音声対話システム500の機能ブロック図の一例を示す。車載機100は、表示部11、制御部12、通信制御部16、及び、入出力インタフェース部15を有しており、入出力インタフェース部15にはスピーカ31、マイク32、操作部33及び位置取得部34が接続されている。また、制御部12は音声・データ送信部13と検索結果対話データ受信部14を有している。」

ウ.「【0021】
・・・(中略)・・・マイク32は人間の音声に相当する周波数帯をフィルタリングして集音し、電圧信号又は電流信号に変換して入出力インタフェース部15に送信する。・・・(中略)・・・入出力インタフェース部15は電圧信号又は電流信号をA/D変換して制御部12に出力する。制御部12の音声・データ送信部13は信号を周波数分析して時系列の周波数スペクトルを作成する。これにより運転者や乗員などのユーザが話したフレーズの音声データが得られる。」

エ.「【0022】
・・・(中略)・・・通信制御部16には通信キャリアからIPアドレスが与えられており、予め設定されているか又はユーザが設定したサーバー200のIPアドレスを指定することでサーバー200に接続し、音声データを送信する。また、通信制御部16はサーバー200から対話データを受信して検索結果対話データ受信部14に出力する。検索結果対話データ受信部14は対話データを表示部11に表示させると共に、スピーカ31から出力させる。」

オ.「【0031】
・・・(中略)・・・
ユーザが指先でジョグダイヤル331を回転させると、表示部11に表示されるリストが回転方向に応じて切り替わる。・・・(中略)・・・したがって、対話データのリストが表示された状態では、例えばラーメン屋の検索結果が次々と表示され、音楽データの再生のサービスにおいては曲名が次々と表示される。ユーザがジョグダイヤル331を押し込めばサービスに応じた処理が実行される。音声対話システムではラーメン屋までの経路を探索してナビ用の画面に表示したり、ラーメン屋の詳細な情報をナビ用の画面に表示する。また、音楽データの再生サービスにおいては選択された曲の再生が始まる。」

カ.「【0039】
単語カテゴリ化部222は、単語をカテゴリに分類する。カテゴリは予め決まっており、本実施形態では一例として地域カテゴリ、検索カテゴリ、フリーワード(本実施形態では主に日付が入る)カテゴリの3つのカテゴリがある。」

キ.「【0042】
機械学習DB212は、テキストマイニングするためのデータベースである。テキストマイニングは、単語や各単語が分類されたカテゴリの出現頻度や相関関係を分析して有益な情報を見つける情報処理である。本実施形態の有益な情報とは、ユーザがどのような検索結果を望んでいるかという情報であり、これをタスク判定と称する。タスク判定部223は機械学習DB212を参照してカテゴリと単語からタスクを判定する。機械学習DB212は、例えば、地域カテゴリと天気という検索カテゴリの組み合わせを天気予報検索というタスクに紐づける学習結果が登録されている。また、例えば、地域カテゴリとラーメンという単語の組み合わせを食事検索というタスクに紐づける学習結果が登録されている。このほかタスクには、ガソリンスタンド検索、交通情報検索というタスク、ニュース検索というタスク、株価検索というタスク、ラジオ番組検索というタスク、音楽データの検索というタスク、電話番号の検索というタスク等がある。」

ク.「【0044】
意図推定部226はフレーズに全ての検索要素が含まれない場合は、デフォルトの検索要素で補う。例えば、ユーザが日付を指定しなかった場合、フリーワードカテゴリにデフォルトの「今日」という単語が設定され、ユーザが地域を指定しなかった場合、地域カテゴリにはデフォルトである現在位置から判断された地域が設定される。これも意図推定の一種である。」

ケ.「【0048】
・・・(中略)・・・検索カテゴリによっては、複数の検索結果が得られる。例えば、ラーメン屋の屋号のように複数の検索結果がありうる場合、回答作成部225は上位のN件を取り出し対話データを作成する。」

コ.「【0080】
〔処理フロー〕
図12は、サーバー200の処理手順を示すフローチャート図の一例を示す。
音声・データ受信部25は音声データを受信し、音声認識エンジン23がテキストデータに変換する(S10)。
【0081】
次に、単語解析部221が単語に分解し、単語カテゴリ化部222が単語を各カテゴリに分類する(S20)。
【0082】
次に、対話データ生成部22は過去の対話履歴があるか否かを判定する(S30)。対話履歴がない場合(S30のNo)、ユーザが音声対話システム500を使ったことがないか又は対話履歴を消去したと判断し対話履歴を使用しない。
【0083】
対話履歴がある場合(S30のYes)、まず、意図推定部226は戻る操作有りが車載機100から送信されたか否かを判定する(S40)。戻る操作有りが送信されない場合(S40のNo)、処理はステップS60に進む。
【0084】
戻る操作有りが送信された場合(S40のYes)、意図推定部226は車載機100から送信された検索番号まで対話履歴を遡り、その検索番号の対話履歴を読み出す(S50)。
【0085】
次に、意図推定部226は、ステップS20で単語が分類されなかったカテゴリを、過去の対話履歴のカテゴリで穴埋めする(S60)。戻る操作有りの場合は、遡った検索番号より過去の対話履歴のカテゴリで穴埋めされる。なお、ステップS30でNoと判定された場合、単語が分類されないカテゴリはデフォルトの単語(例えば日付カテゴリに「今日」)を設定する。なお、穴埋めには対話履歴以外に操作履歴(例えばジョグダイヤルを操作して決定した複数の検索番号)を用いてもよい。
【0086】
これでカテゴリが揃うので、タスク判定部223は機械学習DB212を参照してタスクを判定する(S70)。
【0087】
次に、検索部224はタスクに応じて検索DB211を選択し、各カテゴリの単語を検索キーにして検索する(S80)。
【0088】
回答作成部225は、対話シナリオDB213のテンプレートに検索結果をあてはめて対話データを作成する(S90)。検索結果対話データ送信部26は対話データを車載機100に送信する(S100)。」

前記ア.?コ.によれば、引用文献1には、次の事項が記載されているといえる。

・前記ア.の「音声対話システム500は、ネットワーク300を介して通信可能なサーバー200と車載機100と有している。」の記載によれば、引用文献1には、「ネットワーク300を介して通信可能なサーバー200と車載機100と有した音声対話システム500」が記載されているといえる。

・前記イ.の「車載機100は、表示部11、制御部12、通信制御部16、及び、入出力インタフェース部15を有しており、入出力インタフェース部15にはスピーカ31、マイク32、操作部33及び位置取得部34が接続されている。」の記載、
前記ウ.の「マイク32は人間の音声に相当する周波数帯をフィルタリングして集音し、電圧信号又は電流信号に変換して入出力インタフェース部15に送信する。・・・(中略)・・・入出力インタフェース部15は電圧信号又は電流信号をA/D変換して制御部12に出力する。制御部12の音声・データ送信部13は信号を周波数分析して時系列の周波数スペクトルを作成する。これにより運転者や乗員などのユーザが話したフレーズの音声データが得られる。」の記載によれば、
引用文献1には、「車載機100は、運転者や乗員などのユーザが話したフレーズの音声データを得て」が記載されているといえる。

・前記イ.の「車載機100は、表示部11、制御部12、通信制御部16、及び、入出力インタフェース部15を有しており、」の記載、
前記エ.の「通信制御部16には通信キャリアからIPアドレスが与えられており、予め設定されているか又はユーザが設定したサーバー200のIPアドレスを指定することでサーバー200に接続し、音声データを送信する。」の記載によれば、
引用文献1には、「車載機100は音声データをサーバー200に送信し」が記載されているといえる。

・前記コ.の「【0080】・・・(中略)・・・図12は、サーバー200の処理手順を示すフローチャート図の一例を示す。音声・データ受信部25は音声データを受信し、音声認識エンジン23がテキストデータに変換する(S10)。 」の記載によれば、引用文献1には、サーバー200の処理手順S10として、「音声・データ受信部25において、音声データを受信し、音声認識エンジン23において、音声データをテキストデータに変換し」が記載されているといえる。

・前記コ.の「【0081】 次に、単語解析部221が単語に分解し、単語カテゴリ化部222が単語を各カテゴリに分類する(S20)。 」の記載、
前記カ.の「単語カテゴリ化部222は、単語をカテゴリに分類する。カテゴリは予め決まっており、本実施形態では一例として地域カテゴリ、検索カテゴリ、フリーワード(本実施形態では主に日付が入る)カテゴリの3つのカテゴリがある。」 の記載によれば、
引用文献1には、サーバー200の処理手順S20として、「単語解析部221において、テキストデータを単語に分解し、
単語カテゴリ化部222において、単語を、地域カテゴリ、検索カテゴリ、フリーワードカテゴリに分類し、」が記載されているといえる。

・前記コ.の「【0082】 次に、対話データ生成部22は過去の対話履歴があるか否かを判定する(S30)。」の記載によれば、引用文献1には、サーバー200の処理手順S30として、「対話データ生成部22において、過去の対話履歴があるか否かを判定し」が記載されているといえる。

・前記コ.の「【0083】
対話履歴がある場合(S30のYes)、まず、意図推定部226は戻る操作有りが車載機100から送信されたか否かを判定する(S40)。戻る操作有りが送信されない場合(S40のNo)、処理はステップS60に進む。
【0084】
戻る操作有りが送信された場合(S40のYes)、意図推定部226は車載機100から送信された検索番号まで対話履歴を遡り、その検索番号の対話履歴を読み出す(S50)。
【0085】
次に、意図推定部226は、ステップS20で単語が分類されなかったカテゴリを、過去の対話履歴のカテゴリで穴埋めする(S60)。戻る操作有りの場合は、遡った検索番号より過去の対話履歴のカテゴリで穴埋めされる。なお、ステップS30でNoと判定された場合、単語が分類されないカテゴリはデフォルトの単語(例えば日付カテゴリに「今日」)を設定する。」の記載、
前記ク.の「意図推定部226はフレーズに全ての検索要素が含まれない場合は、デフォルトの検索要素で補う。例えば、ユーザが日付を指定しなかった場合、フリーワードカテゴリにデフォルトの「今日」という単語が設定され、ユーザが地域を指定しなかった場合、地域カテゴリにはデフォルトである現在位置から判断された地域が設定される。これも意図推定の一種である。」 の記載によれば、
引用文献1には、サーバー200の処理手順S40?S60として、「意図推定部226において、対話履歴がある場合、単語が分類されなかったカテゴリを、過去の対話履歴のカテゴリで穴埋めし、対話履歴がない場合、単語が分類されないカテゴリにデフォルトの単語を設定し、すなわち、ユーザが日付を指定しなかった場合、フリーワードカテゴリにデフォルトの今日という単語を設定し、ユーザが地域を指定しなかった場合、地域カテゴリにはデフォルトである現在位置から判断された地域を設定し」が記載されているといえる。

・前記コ.の「【0086】 これでカテゴリが揃うので、タスク判定部223は機械学習DB212を参照してタスクを判定する(S70)。」の記載、
前記キ.の「機械学習DB212は、テキストマイニングするためのデータベースである。テキストマイニングは、単語や各単語が分類されたカテゴリの出現頻度や相関関係を分析して有益な情報を見つける情報処理である。本実施形態の有益な情報とは、ユーザがどのような検索結果を望んでいるかという情報であり、これをタスク判定と称する。タスク判定部223は機械学習DB212を参照してカテゴリと単語からタスクを判定する。機械学習DB212は、例えば、地域カテゴリと天気という検索カテゴリの組み合わせを天気予報検索というタスクに紐づける学習結果が登録されている。また、例えば、地域カテゴリとラーメンという単語の組み合わせを食事検索というタスクに紐づける学習結果が登録されている。このほかタスクには、ガソリンスタンド検索、交通情報検索というタスク、ニュース検索というタスク、株価検索というタスク、ラジオ番組検索というタスク、音楽データの検索というタスク、電話番号の検索というタスク等がある。」の記載によれば、
引用文献1には、サーバー200の処理手順S70として、「タスク判定部223において、機械学習DB212を参照してカテゴリと単語からタスクを判定し、タスク判定は、ユーザがどのような検索結果を望んでいるかという情報を見つける処理であり、タスクには、天気予報検索、食事検索、株価検索というタスクがあり」が記載されているといえる。

・前記コ.の「【0087】 次に、検索部224はタスクに応じて検索DB211を選択し、各カテゴリの単語を検索キーにして検索する(S80)。」の記載によれば、引用文献1には、サーバー200の処理手順S80として、「検索部224において、タスクに応じて検索DB211を選択し、各カテゴリの単語を検索キーにして検索し」が記載されているといえる。

・前記コ.の「【0088】 回答作成部225は、対話シナリオDB213のテンプレートに検索結果をあてはめて対話データを作成する(S90)。検索結果対話データ送信部26は対話データを車載機100に送信する(S100)。」の記載、
前記ケ.の「検索カテゴリによっては、複数の検索結果が得られる。例えば、ラーメン屋の屋号のように複数の検索結果がありうる場合、回答作成部225は上位のN件を取り出し対話データを作成する。」の記載によれば、
引用文献1には、サーバー200の処理手順S90、S100として、「回答作成部225において、検索結果の対話データを作成して車載機100に送信し、複数の検索結果がある場合は上位のN件を取り出して対話データを作成し」が記載されている。

・前記イ.の「車載機100は、表示部11、制御部12、通信制御部16、・・・(中略)・・・を有しており、入出力インタフェース部15にはスピーカ31、・・・(中略)・・・が接続されている。また、制御部12は音声・データ送信部13と検索結果対話データ受信部14を有している。」 の記載、
前記エ.の「通信制御部16はサーバー200から対話データを受信して検索結果対話データ受信部14に出力する。検索結果対話データ受信部14は対話データを表示部11に表示させると共に、スピーカ31から出力させる。」の記載によれば、
引用文献1には、車載機において、「サーバー200から受信した対話データを表示部11に表示すると共に、スピーカ31から出力」することが記載されているといえる。

・前記オ.の「ユーザが指先でジョグダイヤル331を回転させると、表示部11に表示されるリストが回転方向に応じて切り替わる。・・・(中略)・・・したがって、対話データのリストが表示された状態では、例えばラーメン屋の検索結果が次々と表示され、音楽データの再生のサービスにおいては曲名が次々と表示される。ユーザがジョグダイヤル331を押し込めばサービスに応じた処理が実行される。音声対話システムではラーメン屋までの経路を探索してナビ用の画面に表示したり、ラーメン屋の詳細な情報をナビ用の画面に表示する。また、音楽データの再生サービスにおいては選択された曲の再生が始まる。」の記載によれば、
引用文献1には、車載機において、「ユーザがジョグダイヤル331を回転させると、表示部11に表示されるリストを切り替え、すなわち、ラーメン屋を検索する場合はその検索結果を次々に表示し、音楽データの再生のサービスにおいては曲名を次々に表示し、
ユーザがジョグダイヤル331を押し込めばサービスに応じた処理を実行し、すなわち、ラーメン屋までの経路を探索してナビ用の画面に表示したり、ラーメン屋の詳細な情報をナビ用の画面に表示し、また、選択された曲の再生を始める」ことが記載されているといえる。

したがって、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。

<引用発明>
「 ネットワーク300を介して通信可能なサーバー200と車載機100と有し、
車載機100は、運転者や乗員などのユーザが話したフレーズの音声データを得て、音声データをサーバー200に送信し、
サーバー200は、
音声・データ受信部25において、前記音声データを受信し、
音声認識エンジン23において、前記音声データをテキストデータに変換し、
単語解析部221において、テキストデータを単語に分解し、
単語カテゴリ化部222において、単語を、地域カテゴリ、検索カテゴリ、フリーワードカテゴリに分類し、
対話データ生成部22において、過去の対話履歴があるか否かを判定し、
意図推定部226において、対話履歴がある場合、単語が分類されなかったカテゴリを、過去の対話履歴のカテゴリで穴埋めし、対話履歴がない場合、単語が分類されないカテゴリにデフォルトの単語を設定し、すなわち、ユーザが日付を指定しなかった場合、フリーワードカテゴリにデフォルトの今日という単語を設定し、ユーザが地域を指定しなかった場合、地域カテゴリにはデフォルトである現在位置から判断された地域を設定し、
タスク判定部223において、機械学習DB212を参照してカテゴリと単語からタスクを判定し、タスク判定は、ユーザがどのような検索結果を望んでいるかという情報を見つける処理であり、タスクには、天気予報検索、食事検索、株価検索というタスクがあり、
検索部224において、タスクに応じて検索DB211を選択し、各カテゴリの単語を検索キーにして検索し、
回答作成部225において、検索結果の対話データを作成して車載機100に送信し、複数の検索結果がある場合は上位のN件を取り出して対話データを作成し、
車載機100は、
サーバー200から受信した対話データを表示部11に表示すると共に、スピーカ31から出力し、
ユーザがジョグダイヤル331を回転させると、表示部11に表示されるリストを切り替え、すなわち、ラーメン屋を検索する場合はその検索結果を次々に表示し、音楽データの再生のサービスにおいては曲名を次々に表示し、
ユーザがジョグダイヤル331を押し込めばサービスに応じた処理を実行し、すなわち、ラーメン屋までの経路を探索してナビ用の画面に表示したり、ラーメン屋の詳細な情報をナビ用の画面に表示し、また、選択された曲の再生を始める、
音声対話システム500。」

第5 対比

次に、本願発明と引用発明とを対比する。

・引用発明においては、「車載機100は、運転者や乗員などのユーザが話したフレーズの音声データを得て、音声データをサーバー200に送信し、サーバー200は、音声・データ受信部25において、前記音声データを受信」するのであるから、引用発明の「音声・データ受信部25において、前記音声データを受信し」は、本願発明の「ユーザが入力した音声を受信するステップ」に相当する。

・引用発明の「音声認識エンジン23において、音声データをテキストデータに変換し」は、本願発明の「前記音声を文字に変換するとともに」に相当する。

・引用発明の「タスク判定部223において、機械学習DB212を参照してカテゴリと単語からタスクを判定し、タスク判定は、ユーザがどのような検索結果を望んでいるかという情報を見つける処理であり、タスクには、天気予報検索、食事検索、株価検索というタスクがあり」は、ユーザがどのような検索結果を望んでいるかという、ユーザの意図を判別する処理といえるから、本願発明の「変換された文字に対してセマンティック認識してユーザの意図を判別するステップ」に相当する。

・引用発明は、意図推定部226において、「対話履歴がある場合、単語が分類されなかったカテゴリを、過去の対話履歴のカテゴリで穴埋めし、対話履歴がない場合、単語が分類されないカテゴリにデフォルトの単語を設定し、すなわち、ユーザが日付を指定しなかった場合、フリーワードカテゴリにデフォルトの今日という単語を設定し、ユーザが地域を指定しなかった場合、地域カテゴリにはデフォルトである現在位置から判断された地域を設定」するが、これらの過去の対話履歴、今日という単語、現在位置から判断された地域は、それぞれ、ユーザの検索行為の履歴、検索行為をした日、検索行為をした地域にあたることから「ユーザの検索行為のコンテキスト」に相当する。
そして、引用発明の検索部224が、このようにして設定された各カテゴリの単語を検索キーにすることは、ユーザの検索行為のコンテキストを踏まえて、ユーザの検索ニーズを特定することといえる。
また、引用発明の検索部224が、「タスクに応じて検索DB211を選択」することは、「タスク」すなわち「前記セマンティック認識により判別した前記ユーザの意図」に基づいて、ユーザの検索ニーズを特定することといえる。
したがって、引用発明の「検索部224において、タスクに応じて検索DB211を選択し、各カテゴリの単語を検索キーにして」は、本願発明の「前記セマンティック認識により判別した前記ユーザの意図に基づき、前記ユーザの検索行為のコンテキストを踏まえて、前記ユーザの検索ニーズを特定するステップ」 に相当する。

・引用発明の検索部224が、「タスクに応じて検索DB211を選択し、各カテゴリの単語を検索キーにして」「検索」することは、上記のとおりユーザの検索ニーズを特定し、当該検索ニーズに基づく検索を行うことであり、また、検索後に「回答作成部225において、検索結果の対話データを作成して車載機100に送信し、複数の検索結果がある場合は上位のN件を取り出して対話データを作成し、
車載機100は、
サーバー200から受信した対話データを表示部11に表示すると共に、スピーカ31から出力し、
ユーザがジョグダイヤル331を回転させると、表示部11に表示されるリストを切り替え、すなわち、ラーメン屋を検索する場合はその検索結果を次々に表示し、音楽データの再生のサービスにおいては曲名を次々に表示」することは、上記ユーザの検索ニーズに基づく検索を行い、当該ユーザの検索ニーズを満たす検索結果として、例えばラーメン屋の情報提供サービスや音楽データの再生のサービスをサーバーから受信して表示、すなわち取得して提供することである。
したがって、引用発明の「検索部224において、タスクに応じて検索DB211を選択し、各カテゴリの単語を検索キーにして検索し、
回答作成部225において、検索結果の対話データを作成して車載機100に送信し、複数の検索結果がある場合は上位のN件を取り出して対話データを作成し、
車載機100は、
サーバー200から受信した対話データを表示部11に表示すると共に、スピーカ31から出力し、
ユーザがジョグダイヤル331を回転させると、表示部11に表示されるリストを切り替え、すなわち、ラーメン屋を検索する場合はその検索結果を次々に表示し、音楽データの再生のサービスにおいては曲名を次々に表示」することは、本願発明の「前記検索ニーズに基づき検索を行い、前記検索ニーズを満たすサービスを取得し、前記サービスを前記ユーザに提供するステップ」に相当する。

・引用発明の「ユーザがジョグダイヤル331を回転させると、表示部11に表示されるリストを切り替え、すなわち、ラーメン屋を検索する場合はその検索結果を次々に表示し、音楽データの再生のサービスにおいては曲名を次々に表示し、
ユーザがジョグダイヤル331を押し込めばサービスに応じた処理を実行し、すなわち、ラーメン屋までの経路を探索してナビ用の画面に表示したり、ラーメン屋の詳細な情報をナビ用の画面に表示し、また、選択された曲の再生を始める」は、本願発明の「前記ユーザが提供されたサービスの中から選択したサービスを取得し、前記選択されたサービスを完了させるための後続操作を実行するステップ」に相当する。

・引用発明の音声対話システム500を用いた検索手順は、本願発明の「音声検索を行う方法」に相当する。

したがって、本願発明は、引用発明の音声対話システムに係る検索手順と差異がない。

第6 当審の判断

本願発明は、引用文献1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号の規定により、特許を受けることができない。
また、本願発明は、引用文献1に記載された発明に基づいて、当業者であれば容易になし得たものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。

第7 むすび

以上のとおり、本願発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号の規定により、特許を受けることができない。
また、本願発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献1に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく、拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
別掲
 
審理終結日 2018-12-19 
結審通知日 2019-01-08 
審決日 2019-01-21 
出願番号 特願2015-245664(P2015-245664)
審決分類 P 1 8・ 113- WZ (G06F)
P 1 8・ 121- WZ (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 田中 秀樹吉田 誠小太刀 慶明後藤 昂彦  
特許庁審判長 佐藤 智康
特許庁審判官 宮久保 博幸
金子 幸一
発明の名称 音声検索を行う方法及び装置  
代理人 木村 満  
代理人 美恵 英樹  
代理人 森川 泰司  
代理人 桜田 圭  

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