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審決分類 |
審判 一部申し立て 2項進歩性 B21D 審判 一部申し立て 4項(134条6項)独立特許用件 B21D 審判 一部申し立て 1項3号刊行物記載 B21D |
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管理番号 | 1352295 |
異議申立番号 | 異議2018-700406 |
総通号数 | 235 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 2019-07-26 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2018-05-16 |
確定日 | 2019-05-10 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第6238948号発明「成形金属容器への垂直荷重を遮断して容器の変形を緩和する方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第6238948号の特許請求の範囲を平成31年3月5日に提出された訂正請求書に対する手続補正書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔12-16〕について訂正することを認める。 本件特許異議の申立てを却下する。 |
理由 |
第1 手続の経緯 特許第6238948号の請求項1-16に係る特許についての出願は、2010年(平成22年)11月2日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2009年11月13日 アメリカ合衆国)を国際出願日とする特願2012-538855号の一部を平成27年11月13日に新たな特許出願としたものであって、平成29年11月10日にその特許権の設定登録がされ、平成29年11月29日に特許掲載公報が発行された。その特許についての本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。 平成30年 5月16日 :特許異議申立人伊澤武登(以下、「特許異議 申立人」という。)による特許異議の申立て 平成30年 9月20日付け:取消理由通知書 平成30年12月18日 :特許権者による意見書の提出及び訂正の請求 平成31年 1月10日付け:訂正拒絶理由通知書 平成31年 3月 5日 :特許権者による意見書及び訂正の請求に対す る手続補正書の提出 なお、以下の第2で説示するとおり、平成31年3月5日に手続補正された平成30年12月18日の訂正請求(以下、「本件訂正請求」という。)は、特許異議の申立ての対象とされた請求項12を削除するものであるから、特許法第120条の5第5項ただし書の「特別の事情があるとき」に該当し、特許異議申立人に意見書を提出する機会を与えない。 第2 訂正の適否についての判断 1 訂正の内容 本件訂正請求は、平成30年12月18日の訂正請求により訂正するとした請求項12を、平成31年3月5日の手続補正により、請求項12を削除すると補正したものであり、その訂正の内容は、以下の(1)-(5)のとおりである。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項12を削除する。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項13に「請求項11または12に記載の方法」と記載されいているのを、「請求項11に記載の方法」に訂正する。 (3)訂正事項3 特許請求の範囲の請求項14に「請求項11または12に記載の方法」と記載されいているのを、「請求項11に記載の方法」に訂正する。 (4)訂正事項4 特許請求の範囲の請求項15に「請求項11または12に記載の方法」と記載されいているのを、「請求項11に記載の方法」に訂正する。 (5)訂正事項5 特許請求の範囲の請求項16に「請求項11または12に記載の方法」と記載されいているのを、「請求項11に記載の方法」に訂正する。 (6)一群の請求項 訂正前の請求項12-16は、請求項13-16が訂正の対象である請求項12の記載を引用する関係にあるから、訂正前において一群の請求項に該当するものである。したがって、訂正の請求は、一群の請求項ごとにされたものである。 2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否 (1)訂正事項1 訂正事項1は、訂正前の請求項12を削除するものである。 したがって、訂正事項1は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 (2)訂正事項2-5 訂正事項2-5は、訂正前は請求項11、12を引用していたものを、請求項11のみを引用する形にする、すなわち、引用する請求項の数を削減する訂正であることから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 3 特許出願の際に独立して特許を受けることができること 訂正の対象である請求項12-16のうち、請求項13-16については、特許異議の申立てがされていないので、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際に独立して特許を受けることができるものであるか)について検討する。 (1)本件訂正発明 本件訂正に係る訂正後の請求項13に係る発明(以下、「本件訂正発明」という。)は、以下のとおりのものである。 「【請求項13】 円筒状金属管を金属シートまたは金属塊から成形することをさらに包含する請求項11に記載の方法。」 ここで、引用する請求項11に係る発明は次のとおりのものである。 「【請求項11】 成形金属容器への垂直荷重を遮断して容器の変形を緩和する方法であって、 円筒状金属管を成形して、封止端と開口端とを含む成形金属容器を形成し、 成形金属容器の開口端の周囲に、保持リングを挟み込みまたは接着により取り付け、 成形金属容器の開口端の周囲に、金属製アウトサート部品を取り付け、 保持リングで成形金属容器を支持し、そして 成形金属容器をクロージャーで密封し、その際、クロージャーの取り付け中に封止端と保持リングとの間における成形金属容器の垂直荷重による変形が最小限に抑制される、 ことを包含する方法。」 (2)刊行物1 本件優先日前に頒布された刊行物である特開昭61-60439号公報には、図面とともに、容器本体2の上部体5の口頸部3の上端に設けられたカール部9と下端に設けられた段部7との間に保持リング15を有する筒状体4が挟み込まれている技術が示されている。 また、刊行物1の第3ページ左上欄第2?3行には、「容器本体2は、アルミニウム合金板や錫めっき鋼板等の金属板よりプレス成形によって形成され」と記載されている。 (3)刊行物2 本件優先日前に頒布された刊行物である実願昭57-179578号(実開昭59-83732号)のマイクロフィルムには、図面とともに、ボトルの口栓部2に「保持リング」であるネックリング3のみを挟み込んで取り付ける技術が示されている。 (4)対比 本件訂正発明と刊行物1に記載された発明とを対比すると、少なくとも次の点で相違する。 <相違点> 本件訂正発明は、「成形金属容器の開口端の周囲に、保持リングを挟み込みまたは接着により取り付け、成形金属容器の開口端の周囲に、金属製アウトサート部品を取り付け、」との特定事項が示すように「保持リング」及び「金属製アウトサート部品」を順次取り付けているのに対し、刊行物1に記載された発明においては口頸部3に「保持リング15を有する筒状体4」を取り付けるのみであり、「保持リング」及び「金属製アウトサート部品」を別の部材として順次取り付ける工程については示されていない点。 (5)判断 上記相違点に係る、「保持リング」及び「金属製アウトサート部品」を順次取り付けることに関しては、刊行物2にも示されておらず、他に公知と認められる証拠も存在しないため、上記相違点は実質的な相違点であり、本件訂正発明は、刊行物1及び2に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。 また、他に本件訂正発明を取り消すべき理由を発見しない。 よって、本件訂正発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができないとはいえない。 さらに、訂正後の請求項14-16に係る発明も、本件訂正発明と同様に上記相違点を有するものであるから、特許出願の際独立して特許を受けることができないとはいえない。 4 小括 以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 したがって、特許請求の範囲を、訂正請求書に対する手続補正書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔12-16〕について訂正することを認める。 第3 取消理由通知に記載した取消理由について 本件訂正前の請求項12に係る特許に対して、当審は平成30年9月20日付けで、特許権者に取消理由を通知したが、請求項12に係る特許は、本件訂正により削除されたため、取消理由の対象となる請求項が存在しないものとなった。 また、取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由はない。 第4 むすび 以上のとおりであるから、請求項12に係る特許は、訂正により削除されたため、特許異議申立人がした請求項12に係る特許異議の申立ては、申立ての対象が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 成形金属容器への垂直荷重を遮断して容器の変形を緩和する方法であって、 円筒状金属管を成形して成形金属容器を得、ただし、該成形金属容器は、封止端と、開口端と、薄厚側壁とを含むものであり、 成形金属容器の開口端の近傍に、該容器と一体的な保持リングを形成し、ただし、該保持リングは、該容器の薄厚側壁の中に形成され、該開口端の直径より小さい直径を有するものであり、 保持リングで成形金属容器を支持し、そして 成形金属容器をクロージャーで密封し、その際、クロージャーの取り付け中に封止端と保持リングとの間における成形金属容器の垂直荷重による変形が最小限に抑制される、 ことを包含する方法。 【請求項2】 成形金属容器に製品を充填することをさらに包含する請求項1に記載の方法。 【請求項3】 円筒状金属管の成形中に加工性を増すために該金属管を加熱することをさらに包含する請求項1に記載の方法。 【請求項4】 成形金属容器を装飾することをさらに包含する請求項1に記載の方法。 【請求項5】 円筒状金属管を金属シートまたは金属塊から成形することをさらに包含する請求項1に記載の方法。 【請求項6】 成形金属容器の表面に溝を形成することをさらに包含する請求項1に記載の方法。 【請求項7】 成形金属容器の表面にエンボス加工またはデボス加工により表示記号を形成することをさらに包含する請求項1に記載の方法。 【請求項8】 円筒状金属管の成形を、ブロー成形、圧力ラム、スタンピングにより成形された一対の半部材の使用、ダイ ネッキング、液圧成形または空気圧成形により行なうことを特徴とする請求項1に記載の方法。 【請求項9】 クロージャーが、王冠、ねじ込み式蓋栓、スナップ式蓋栓またはロールオン ピルファー プルーフ(ROPP)蓋栓であることを特徴とする請求項1に記載の方法。 【請求項10】 一体的な保持リングの形成が、円周状の外周縁部を有する一体的な保持リングを形成することを含む、請求項1に記載の方法。 【請求項11】 成形金属容器への垂直荷重を遮断して容器の変形を緩和する方法であって、 円筒状金属管を成形して、封止端と開口端とを含む成形金属容器を形成し、 成形金属容器の開口端の周囲に、保持リングを挟み込みまたは接着により取り付け、 成形金属容器の開口端の周囲に、金属製アウトサート部品を取り付け、 保持リングで成形金属容器を支持し、そして 成形金属容器をクロージャーで密封し、その際、クロージャーの取り付け中に封止端と保持リングとの間における成形金属容器の垂直荷重による変形が最小限に抑制される、 ことを包含する方法。 【請求項12】(削除) 【請求項13】 円筒状金属管を金属シートまたは金属塊から成形することをさらに包含する請求項11に記載の方法。 【請求項14】 円筒状金属管の成形中に加工性を増すために該金属管を加熱することをさらに包含する請求項11に記載の方法。 【請求項15】 成形金属容器を装飾することをさらに包含する請求項11に記載の方法。 【請求項16】 クロージャーが、王冠、ねじ込み式蓋栓、スナップ式蓋栓またはロールオン ピルファー プルーフ(ROPP)蓋栓であることを特徴とする請求項11に記載の方法。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
異議決定日 | 2019-04-23 |
出願番号 | 特願2015-222562(P2015-222562) |
審決分類 |
P
1
652・
121-
XA
(B21D)
P 1 652・ 856- XA (B21D) P 1 652・ 113- XA (B21D) |
最終処分 | 決定却下 |
前審関与審査官 | 石川 健一 |
特許庁審判長 |
栗田 雅弘 |
特許庁審判官 |
青木 良憲 平岩 正一 |
登録日 | 2017-11-10 |
登録番号 | 特許第6238948号(P6238948) |
権利者 | ザ コカ・コーラ カンパニー |
発明の名称 | 成形金属容器への垂直荷重を遮断して容器の変形を緩和する方法 |
代理人 | 渡邉 潤三 |
代理人 | 渡邉 潤三 |