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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G09F |
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管理番号 | 1352727 |
審判番号 | 不服2018-12018 |
総通号数 | 236 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2019-08-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2018-09-07 |
確定日 | 2019-07-16 |
事件の表示 | 特願2016-252170号「ディスプレイ装置」拒絶査定不服審判事件〔平成29年7月6日出願公開、特開2017-120419号、請求項の数(7)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成28年12月27日(パリ条約による優先権主張:平成27年12月28日、大韓民国)の出願であって、平成29年9月15日付けの拒絶理由通知に対し、同年12月25日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、平成30年5月2日付けで拒絶査定(以下、「原査定」という。)がなされ、同8日に査定の謄本が送達され、これに対して、同年9月7日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされたものである。 第2 原査定の概要 原査定の概要は、次のとおりである。 本願請求項1?9に係る発明は、本願の優先権主張の日(以下、「優先日」という。)前に日本国内又は外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 記 刊行物1:特開2015-210521号公報 (以下、「引用文献1」という。) 刊行物2:特開2000-267191号公報 (以下、「引用文献2」という。) 刊行物3:実願平2-57617号(実開平4-16275号)のマイクロフィルム (以下、「引用文献3」という。) 刊行物4:米国特許出願公開第2013/0155655号明細書 (以下、「引用文献4」という。) 刊行物5:中国特許出願公開第103985322号明細書 (以下、「引用文献5」という。) なお、引用文献2?5は、周知技術を示す文献として引用されている。 第3 本願発明 本願の請求項1?7に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」?「本願発明7」という。)は、平成30年9月7日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1?7に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1は、以下のとおりの発明である。 「【請求項1】 ディスプレイパネルの後方面を支持するバックカバーと、 湾曲した曲率を有するようにベンディングし、前記バックカバーの後方面に装着される1本のベンディング部材と、 前記バックカバーの後方面に結合されて前記1本のベンディング部材を回転させて前記ディスプレイパネルと前記バックカバーの曲率を変更する曲率変更部材と、 を含み、 前記曲率変更部材は、 前記ベンディング部材の外周面に結合されて前記ベンディング部材を回転させるウォームホイールギアと、 前記ウォームホイールギアと噛合されて前記ウォームホイールギアを回転させるウォームギアと、 前記ウォームホイールギアとウォームギアが内蔵されて前記バックカバーの後方面に結合される支持部材と、 を含み、 前記ウォームホイールギアは、リング形状で前記ベンディング部材が貫通結合されるハブと、前記ハブの外周面の一部から径方向に突き出したギア部を具備し、 前記ウォームホイールギアは、前記ハブの内周面と外周面を貫通する貫通ホールを具備し、前記ベンディング部材は、前記貫通ホールと連通する固定ホールを具備して、前記貫通ホールを通って固定ホールに固定部材が結合され、 利用者により前記曲率変更部材に作動力が加えられることで、前記ディスプレイパネルの曲率を変更可能とする、 ディスプレイ装置。」 本願発明2?7は、本願発明1を減縮した発明である。 第4 引用文献、引用発明等 1 引用文献1について 原査定において引用された上記引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審で付した。)。 ア 「【0031】 図面に示すように、本発明の実施例に係る可変型ディスプレイ装置100は、画像を大きく具現化するためのディスプレイパネルモジュール110と、ディスプレイパネルモジュール110を収容するアウターケース120と、アウターケース120の下段部若しくは背面部に連結されて机や壁面に固定されるように形成された足部130とからなる。」 イ 「【0048】 図面に示すように、可変システム200はディスプレイパネルモジュール110のバックカバーの背面に装着される。可変システム200は、ロッド(rod)210と、ロッド210の固定装置230と、ロッド210に動力を伝達する駆動システム220とからなる。 【0049】 それについて詳しく説明すると、ロッド210は、湾曲された曲面を有するように撓んでいる形でディスプレイパネルモジュール110の背面の長さ方向に沿って両側縁部に装着される。その時、ロッド210は、曲面の頂点(A)がディスプレイパネルモジュール110の中心に位置するように装着される。」 ウ 「【0055】 駆動システム220は、回転力を発生させるモーター221と、モーター221の回転運動を直線運動に変換させるブラケットとを含む。歯の付けられたラックギア225は、ブラケット223上に設けられる。 【0056】 ロッド210には、曲面の頂点(A)に該当する領域に小さい歯車状のピニオン213が装着されている。ピニオン213は、駆動システム220のラックギア225と互いに歯合し、噛み合って形成される。」 エ 「【0062】 モーター(図3の221)を時計回りに駆動させるとモーター(図3の221)の回転力がブラケット223に伝達され、ブラケット223に伝達された回転力は直線運動に変換される。その結果、ブラケット223に設けられたラックギア225がロッド210の曲面の頂点(A)方向、即ち、図面上の+Y軸方向に移動することになる。 【0063】 ラックギア225が図面上の+Y軸方向に移動することにより、ラックギア225の歯車に互いに歯合し、噛み合って形成されたピニオン213は、ラックギア225の移動方向と反対方向である図面上の-Y軸方向に回転することになる。その結果、ピニオン213に固定されたロッド210は-Y軸方向に回転する。 【0064】 その時、ロッド210は-45度回転する。ロッド210が-45度回転することにより、ロッド210の曲面の頂点(A)はディスプレイパネルモジュール110の後方に向かうことになる。その結果、ロッド210の全体的形状は、ディスプレイパネルモジュール110の後方に凸状に湾曲された形状となる。 【0065】 剛性に優れている(即ち、十分な剛性を有する)ロッド210がディスプレイパネルモジュール110のバックカバーの背面に装着されることにより、ロッド210の荷重による圧力がディスプレイパネルモジュール110に加えられる。その結果、ディスプレイパネルモジュール110の背面がディスプレイパネルモジュール110の後方に凸状に湾曲されて撓みが発生する。 【0066】 即ち、図5aに示すように、ロッド210を含む可変システム(図3の200)の装着されたディスプレイパネルモジュール110は、画像の具現化される一面がディスプレイパネルモジュール110の前方から凹状に湾曲された形を有する。」 オ 上記ア?エの記載事項を総合すると、引用文献1には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 [引用発明] 「ディスプレイパネルモジュール110と、(上記ア【0031】) 前記ディスプレイパネルモジュール110のバックカバーと、 (上記イ【0048】) 前記バックカバーの背面に装着され、ロッド210と、前記ロッド210の固定装置230と、前記ロッド210に動力を伝達する駆動システム220とからなる可変システム200と、(上記イ【0048】) を含み、 前記ロッド210は、湾曲された曲面を有するように撓んでいる形で、曲面の頂点(A)が前記ディスプレイパネルモジュール110の中心に位置し、前記ディスプレイパネルモジュール110の背面の長さ方向に沿って両側縁部に装着されており、(上記イ【0049】) 前記駆動システム220は、回転力を発生させるモーター221と、前記モーター221の回転運動を直線運動に変換させるブラケット223とを含み、(上記ウ【0055】) 前記モーター221を時計回りに駆動させると、前記ブラケット223上に設けられたラックギア225が+Y軸方向に移動し、前記ラックギア225と噛み合ったピニオン213に固定された前記ロッド210は-Y軸方向に-45度回転して、前記ロッド210の全体的形状は、前記ディスプレイパネルモジュール110の後方に凸状に湾曲された形状となり、 (上記ウ【0056】、上記エ【0062】?【0064】) 前記ロッド210の荷重による圧力が前記ディスプレイパネルモジュール110に加えられて、前記ディスプレイパネルモジュール110の背面が前記ディスプレイパネルモジュール110の後方に凸状に湾曲されて撓みが発生し、前記ディスプレイパネルモジュール110は、画像の具現化される一面が前記ディスプレイパネルモジュール110の前方から凹状に湾曲された形を有するようになる、(上記エ【0065】?【0066】) 可変型ディスプレイ装置100。(上記ア【0031】)」 2 引用文献2について 原査定において周知技術を示す文献として引用された上記引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審で付した。)。 ア 「【0012】図1に示されるように、プロジェクタ装置100は、キャビネット110内に取付けられ、前方のスクリーン120に画像を投射するプロジェクターユニット130を有している。プロジェクターユニット130の先端部には、投射レンズ140が設けられている。なお、キャビネット110とスクリーン120とは、一体的に構成されており、プロジェクターユニット130は、調整器150上に載置されている。」 イ 「【0016】図3ないし図5に示されるように、調整器150は、プロジェクターユニット130および調整器150の荷重を支えるベース台1を有している。 【0017】ベース台1には、プロジェクターユニット130を回転させる回転ベース2とプロジェクターユニット130を任意の方向に傾斜させる揺動ベース3とが積層状態で配置されている。なお、揺動ベース3には、プロジェクターユニット130を左右方向に移動可能とするスラストベース4が一体的に設けられている。 【0018】(省略) 【0019】 回転ベース2には、図2に示した調整ハンドル群が設けられる側の左右方向に2本、プロジェクターユニット130の投射レンズ140が位置される側の概ね中央に1本、それぞれ配列され、揺動ベース3を支持する第1ないし第3の高さ調整器151ないし153の脚部となるボルト6が固定されている。 【0020】揺動ベース3は、図6を用いて以下に説明するように、それぞれのボルト6に形成される高さ調整器151ないし153の所定位置に、セットされる。なお、ボルト6の揺動ベース3から突出された部分には、スプリング7が装着される。これにより、揺動ベース3は、常時、ベース台1の方向に押し下げられる。」 ウ 「【0021】図6は、図1ないし図5に示した調整器150に組み込まれる第1ないし第3の高さ調整器151ないし153の構成を説明するもので、図6(A)は、正面図、図6(B)は、ウォームホイールギヤの断面図、および図6(C)は、平面図である。なお、第1ないし第3の高さ調整器151ないし153は、いづれも同一の構成であるから、第1の調整器151を代表させて説明する。 【0022】高さ調整器151は、回転軸8の所定の位置に固定されたウォームギヤ10により回転されることでボルト6に対して相対位置が変化されるウォームホイールギヤ11を含み、回転軸8と接続された調整ハンドル14aが回転されることで回転されるウォームギヤ10の回転により、ウォームホイールギヤ11をベース台1に対して上下動させるものである。すなわち、調整ハンドル14aが任意の方向に回転されることでウォームギヤ10が時計回りあるいは反時計回り方向に回転されると、ウォームホイールギヤ11が回転され、ギヤ11自身のボルト6に対する位置が変位される。これにより、揺動ベース3が上下動される。なお、図3に示されるように、高さ調整器153のみ、長さの異なる回転軸8´が用いられることはいうまでもない。」 エ 上記ア?ウの記載事項を総合すれば、引用文献2には、以下の周知技術が記載されていると認められる(以下、「周知技術1」という。)。 [周知技術1] 「前方のスクリーン120に画像を投射するプロジェクターユニット130を有するプロジェクタ装置100において、(上記ア【0012】) 上記プロジェクターユニット130は調整器150上に載置されており、 (上記ア【0012】) 上記調整器150の高さ調整器151の脚部となるボルト6の所定位置に揺動ベース3がセットされ、 (上記イ【0019】?【0020】、上記ウ【0021】) 上記高さ調整器151においては、回転軸8と接続された調整ハンドル14aが回転されることで、上記回転軸8の所定の位置に固定されたウォームギヤ10が回転し、(上記ウ【0022】) 上記ウォームギヤ10の回転により、ウォームホイールギヤ11が回転して、上記ウォームホイールギヤ11自身の上記ボルト6に対する位置が変位して、上記ウォームホイールギヤ11をベース台1に対して上下動させ、上記揺動ベース3を上下動させることにより、上記プロジェクターユニット130を任意の方向に傾斜させること。 (上記イ【0016】?【0017】、上記ウ【0022】)」 3 引用文献3について 原査定において周知技術を示す文献として引用された上記引用文献3には、以下の周知技術が記載されていると認められる(以下、「周知技術2」という。)。 [周知技術2] 「開き窓2の窓框2aの室内側には、複数可逆回転式の室内側ハンドル8が設けられ、上記室内側ハンドル8は、回転盤9を備え、上記回転盤9には直径方向に収納溝10が設けられ、上記収納溝10内に折込み式のハンドルバー11が出入自在とされ、上記ハンドルレバー11の先端に回転ノブ12が取付けられていること。(第8頁第4?10行、第1図)」 4 引用文献4について 原査定において周知技術を示す文献として引用された上記引用文献4には、以下の周知技術が記載されていると認められる(以下、「周知技術3」という。)。 [周知技術3] 「ディスプレイパネル11のバックカバー12の背面に結合された1本の固定バー630が左右方向に延びており、上記固定バー630は、左右の端では相対的に前に突き出ており、中心部では相対的に後ろに突き出ており、全体として曲がった形状を有しており、これによりディスプレイ部10が曲面形状に維持されること。([0099]?[0107]、FIG.19)」 5 引用文献5について 原査定において周知技術を示す文献として引用された上記引用文献5には、以下の周知技術が記載されていると認められる(以下、「周知技術4」という。)。 [周知技術4] 「曲率を調整可能なディスプレイスクリーン3の背面に2つの載置部111が設けられ、一方の載置部111の端部には凸柱部151が設けられ、他方の載置部111の端部には凹孔部153が設けられ、上記凸柱部151が凹孔部153に挿入されて結合部15となって1本の支持部11を構成し、その1本の支持部11の長さを挿入の程度(完全挿入又は部分挿入)で調整することにより、上記ディスプレイスクリーン3の曲率を調整すること。 ([0032]?[0034]、図2、図4)」 第5 対比・判断 1 本願発明1について (1)対比 本願発明1と引用発明とを対比する。 ア 引用発明の「ディスプレイパネルモジュール110」は、本願発明1の「ディスプレイパネル」に相当するから、引用発明の「前記ディスプレイパネルモジュール110のバックカバー」は、本願発明1の「ディスプレイパネルの後方面を支持するバックカバー」に相当する。 イ 引用発明の「ロッド210」は、「湾曲された曲面を有するように撓んでいる形で」、「前記ディスプレイパネルモジュール110の背面の長さ方向に沿って」「装着されて」いるから、本願発明1の「湾曲した曲率を有するようにベンディングし、前記バックカバーの後方面に装着される」「ベンディング部材」に相当する。 ウ 引用発明の「可変システム200」は、「前記バックカバーの背面に装着され、ロッド210と、前記ロッド210の固定装置230と、前記ロッド210に動力を伝達する駆動システム220とから」なり、「前記駆動システム220」の「モーター221」の「時計回り」の「駆動」により、「ロッド210」を「回転」させて、「前記ロッド210の荷重による圧力」により、「前記ディスプレイパネルモジュール110は、画像の具現化される一面が前記ディスプレイパネルモジュール110の前方から凹状に湾曲された形を有するようになる」ことから、本願発明1の「前記バックカバーの後方面に結合されて...ベンディング部材を回転させて前記ディスプレイパネルと前記バックカバーの曲率を変更する曲率変更部材」に相当する。 エ 上記ウより、本願発明1の「ディスプレイ装置」と引用発明の「可変型ディスプレイ装置100」とは、「前記ディスプレイパネルの曲率を変更可能とする、ディスプレイ装置。」である点で共通する。 オ 上記ア?エより、本願発明1と引用発明とは、 「ディスプレイパネルの後方面を支持するバックカバーと、 湾曲した曲率を有するようにベンディングし、前記バックカバーの後方面に装着されるベンディング部材と、 前記バックカバーの後方面に結合されて前記ベンディング部材を回転させて前記ディスプレイパネルと前記バックカバーの曲率を変更する曲率変更部材と、 を含み、 前記ディスプレイパネルの曲率を変更可能とする、ディスプレイ装置。」 である点で一致し、以下の相違点1?3で相違する。 [相違点1] 「前記バックカバーの後方面に装着され」、「前記バックカバーの後方面に結合されて」「回転」する「ベンディング部材」について、本願発明1では、「1本」であると特定しているのに対して、引用発明では、「ロッド210」は「前記ディスプレイパネルモジュール110」の「両側縁部に装着されており」、「1本」ではない点。 [相違点2] 「曲率変更部材」について、本願発明1では、「前記ベンディング部材の外周面に結合されて前記ベンディング部材を回転させるウォームホイールギアと、前記ウォームホイールギアと噛合されて前記ウォームホイールギアを回転させるウォームギアと、前記ウォームホイールギアとウォームギアが内蔵されて前記バックカバーの後方面に結合される支持部材と、を含み、 前記ウォームホイールギアは、リング形状で前記ベンディング部材が貫通結合されるハブと、前記ハブの外周面の一部から径方向に突き出したギア部を具備し、 前記ウォームホイールギアは、前記ハブの内周面と外周面を貫通する貫通ホールを具備し、前記ベンディング部材は、前記貫通ホールと連通する固定ホールを具備して、前記貫通ホールを通って固定ホールに固定部材が結合され、」と特定しているのに対して、引用発明では、そのような構成を備えていない点。 [相違点3] 「ディスプレイパネルの曲率を変更可能」とすることについて、本願発明1は、「利用者により前記曲率変更部材に作動力が加えられること」により行われるのに対して、引用発明は、「回転力を発生させるモーター221」を含む「駆動システム220」により行われる点。 (2)判断 事案に鑑みて、上記相違点2について先に検討する。 ア 上記周知技術1には、「ウォームギヤ10の回転により、ウォームホイールギヤ11が回転」することが開示されているが、引用発明では、「ブラケット223上に設けられたラックギア225が+Y軸方向に移動し、前記ラックギア225と噛み合ったピニオン213に固定された前記ロッド210は-Y軸方向に-45度回転」するものであるから、ラックギア225の直線運動をピニオン213の回転運動に変換して、ロッド210を回転させるものであり、ギアの回転運動を別のギアの回転運動に伝達するという上記周知技術1を適用しようとする契機が引用発明にはそもそも見当たらないというべきである。 また、上記周知技術1における「ウォームホイールギヤ11」の「回転」は、「上記ウォームホイールギヤ11自身の上記ボルト6に対する位置が変位して、上記ウォームホイールギヤ11をベース台1に対して上下動させ、上記揺動ベース3を上下動させる」ためのものであり、ウォームホイールギヤ11と結合した部材を回転させるためのものではないから、上記周知技術1を引用発明に適用したとしても、上記相違点2に係る「前記ベンディング部材の外周面に結合されて前記ベンディング部材を回転させるウォームホイールギア」という本願発明1の構成を得ることはできない。 イ さらに、上記周知技術1の「ウォームホイールギヤ11」は、リング形状で他の部材が貫通結合されるハブを具備していないから、上記周知技術1を引用発明に適用したとしても、上記相違点2に係る「前記ウォームホイールギアは、前記ハブの内周面と外周面を貫通する貫通ホールを具備し、前記ベンディング部材は、前記貫通ホールと連通する固定ホールを具備して、前記貫通ホールを通って固定ホールに固定部材が結合され、」という本願発明1の構成を得ることはできない。 ウ そして、上記周知技術2?4は、上記相違点2に係る本願発明1の構成を開示するものではない。 エ したがって、上記相違点1及び3について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても、引用発明及び上記周知技術1?4に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。 2 本願発明2?7について 本願発明2?7も、本願発明1の「前記曲率変更部材は、前記ベンディング部材の外周面に結合されて前記ベンディング部材を回転させるウォームホイールギアと、前記ウォームホイールギアと噛合されて前記ウォームホイールギアを回転させるウォームギアと、前記ウォームホイールギアとウォームギアが内蔵されて前記バックカバーの後方面に結合される支持部材と、を含み、前記ウォームホイールギアは、リング形状で前記ベンディング部材が貫通結合されるハブと、前記ハブの外周面の一部から径方向に突き出したギア部を具備し、前記ウォームホイールギアは、前記ハブの内周面と外周面を貫通する貫通ホールを具備し、前記ベンディング部材は、前記貫通ホールと連通する固定ホールを具備して、前記貫通ホールを通って固定ホールに固定部材が結合され、」という構成を備えているから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び上記周知技術1?4に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。 第6 原査定について 上記「第5」で述べたとおり、本願発明1?7は、当業者であっても、引用発明及び上記周知技術1?4に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。 したがって、原査定の理由を維持することはできない。 第7 むすび 以上のとおりであるから、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2019-07-03 |
出願番号 | 特願2016-252170(P2016-252170) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(G09F)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 笹野 秀生、後藤 亮治 |
特許庁審判長 |
小林 紀史 |
特許庁審判官 |
中塚 直樹 濱野 隆 |
発明の名称 | ディスプレイ装置 |
代理人 | 園田・小林特許業務法人 |