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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G01S
管理番号 1352944
審判番号 不服2018-13349  
総通号数 236 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-08-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-10-05 
確定日 2019-07-22 
事件の表示 特願2016-531760「湾曲基板上の光検出器アレイ」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 2月 5日国際公開、WO2015/017213、平成28年11月10日国内公表、特表2016-535269、請求項の数(15)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
この審判事件に関する出願(以下、「本願」という。)は、平成25年7月31日にアメリカ合衆国でされた特許出願に基づくパリ条約の優先権を主張して平成26年7月23日にされた国際特許出願である。
本願については、平成29年2月17日付けで拒絶理由が通知され、同年5月18日に意見書が提出されるとともに特許請求の範囲についての補正がなされ、同年10月20日付けで再度拒絶理由が通知され、翌平成30年1月22日に意見書が提出されるとともに特許請求の範囲についての補正がなさたが、同年6月25日付けで拒絶査定(以下、「原査定」という。)がなされ、査定の謄本が同年同月27日に送達された。
これに対し、平成30年10月5日に拒絶査定不服審判が請求され、同時に特許請求の範囲についての補正(以下、「本件補正」という。)がされた。


第2 本願発明
本願の請求項1ないし請求項15に係る発明(以下、「本願発明1」ないし「本願発明15」という。)は、本件補正がされた特許請求の範囲の請求項1ないし請求項15に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。

「 【請求項1】
湾曲形状を有する焦点面を設定する光学システムと、
フレキシブルプリント回路基板と、
前記フレキシブルプリント回路基板上に搭載された複数の光検出器と、
少なくとも第1の締具および第2の締具を備えるクランプと
を備え、
前記第1の締具が、前記焦点面の前記湾曲形状に対応する凸面を有し、前記第2の締具が、前記焦点面の前記湾曲形状に対応する凹面を有し、前記フレキシブルプリント回路基板が、前記焦点面の前記湾曲形状と実質的に共形になり、前記複数の光検出器中の光検出器のそれぞれが、前記焦点面上のそれぞれの位置に来るように、前記クランプが、前記第1の締具と前記第2の締具との間に前記フレキシブルプリント回路基板を保持するように構成され、前記フレキシブルプリント回路基板が、前記第1の締具の前記凸面と前記第2の締具の前記凹面に追従することによって前記複数の光検出器の各光検出器が前記焦点面上のそれぞれの位置に配置され、
前記複数の光検出器中の各光検出器が、前記第1の締具と前記第2の締具との間において、前記フレキシブルプリント回路基板の少なくとも1つのそれぞれの伝導トレースに電気的に接続される、装置。
【請求項2】
前記フレキシブルプリント回路基板が複数の位置合わせ孔を備え、前記クランプに対して前記フレキシブルプリント回路基板を位置決めするように、前記クランプが前記複数の位置合わせ孔を貫通して延在する複数のダウエルピンを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記複数のダウエルが、前記第1の締具または前記第2の締具の少なくとも1つにある対応する孔を通って延在する、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記複数の光検出器中の各光検出器が、それぞれアバランシェフォトダイオードを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記複数の光検出器中の光検出器が、複数の列に配置される、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記光学システムがレンズを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記レンズが、非球面およびトロイダル面を有する、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記複数の光検出器中の光検出器が複数の列に配置され、前記トロイダル面が、前記列に平行な方向に第1の曲率を有し、前記列に垂直な方向に第2の曲率を有する、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
平坦な形のフレキシブルプリント回路基板上に複数の光検出器を、各光検出器が前記フレキシブルプリント回路基板上にそれぞれの2次元位置を有するように搭載すること、
前記複数の光検出器が搭載された前記フレキシブルプリント回路基板を、湾曲された前記フレキシブルプリント回路基板が光学システムによって設定される焦点面の湾曲形状に実質的に共形になるように湾曲させること、および、
前記複数の光検出器中の各光検出器が、前記焦点面上のそれぞれの3次元位置に来るように、前記湾曲されたフレキシブルプリント回路基板を前記光学システムに対して配置すること
を含み、
前記フレキシブルプリント回路基板を湾曲させることが、少なくとも第1の締具と第2の締具との間に前記フレキシブルプリント回路基板を挟持することを含み、前記第1の締具が、前記焦点面の前記湾曲形状に対応する凸面を有し、前記第2の締具が、前記焦点面の前記湾曲形状に対応する凹面を有し、
前記湾曲されたフレキシブルプリント回路基板を前記光学システムに対して配置することが、前記第1の締具と前記第2の締具との間に前記フレキシブルプリント回路基板を保持すること、及び、前記フレキシブルプリント回路基板が、前記第1の締具の前記凸面と前記第2の締具の前記凹面に追従することによって前記複数の光検出器の各光検出器を前記焦点面上のそれぞれの位置に配置することを含み、
前記フレキシブルプリント回路基板上に前記複数の光検出器を搭載することが、前記第1の締具と前記第2の締具との間において、前記複数の光検出器中の各光検出器を前記フレキシブルプリント回路基板の少なくとも1つのそれぞれの伝導トレースに電気的に接続するステップを含む、方法。
【請求項10】
前記複数の光検出器中の光検出器が、前記フレキシブルプリント回路基板上の複数の列に配置される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記フレキシブルプリント回路基板を湾曲させることが、前記列に平行な方向に前記フレキシブルプリント回路基板を湾曲させることを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記フレキシブルプリント回路基板を湾曲させることが、前記列に垂直な方向に前記フレキシブルプリント回路基板を湾曲させることを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記フレキシブルプリント回路基板が複数の位置合わせ孔を有し、少なくとも1つの前記締具が複数の対応する孔を有し、前記複数の位置合わせ孔および対応する孔を貫通して複数のダウエルピンを挿入することによって、前記フレキシブル基板が前記締具に対して位置決めされる、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記光学システムがレンズを備える、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
前記レンズが、非球面およびトロイダル面を有する、請求項14に記載の方法。」


第3 原査定における拒絶理由の概要
この出願の請求項1ないし請求項15に係る発明は、以下の引用文献1ないし引用文献4に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献1.米国特許第5818035号明細書
引用文献2.特開平4-203997号公報
引用文献3.特開2004-253509号公報
引用文献4.特開2001-284567号公報


第4 引用文献に記載された発明等
1 引用文献1
引用文献1には、以下の記載がある。なお、下線及び訳文は合議体が付したものである。

(1) 第1欄第14行から第2欄第7行まで
「BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates in general to the detection of light images by a solid state imaging device and, more particularly, to the detection of electron images from an electron microscope by converting them into light images and detecting them with a large-format solid state imaging device.
Transmission electron microscopes use a beam of accelerated electrons which pass through a sample to provide an electron image and/or diffraction pattern of the sample. To provide a record of these images and/or diffraction patterns, the electrons have been converted into light images using scintillator materials (e.g., phosphors), and the light images and/or patterns have then been captured by a camera. While photographic film has long been used, solid state imaging devices such as charge-coupled devices (CCD) of the type originally developed for astronomy to read light images into a computer have found increasing use in this field.
Such CCD cameras offer excellent resolution, sensitivity, linearity, up to 4,096.times.4,096 or more pixels, are reusable, and make the image available for viewing within seconds of detection and recording. However, the final resolution of any camera recording these images and patterns is determined, in part, by the resolution of the transfer optics from the scintillator to camera. Both fiber optics and lens optics have been used as transfer optics.
Current charge-coupled devices can have a large area, up to 5 cm×5 cm and larger. When a light image is projected onto such a large-area or large-format device, problems arise if the surface of the charge-coupled imaging device deviates from absolute flatness by more than about 10 μm.
…(略)…
If, on the other hand, light images are projected onto the solid state imaging device using lens optics, such images attain maximum sharpness only on an image plane or on a surface which deviates only very slightly from a plane. If the optical image is incident on a curved or bowed imaging device, loss of sharpness occurs wherever the actual surface of the charge-coupled device deviates from the image plane.
(訳文: 発明の背景
本発明は、一般には、固体撮像素子による光画像の検出に関連し、またより詳細には、電子画像を光画像に変換し、大型の固体撮像素子を用いてそれを検出することによる、電子顕微鏡からの電子画像の検出に関連する。
透過電子顕微鏡は、試料の電子画像及び/又は回折パターンを提供するためにサンプルを通過する加速された電子のビームを使用する。これらの画像及び/又は回折パターンの記録を提供するために、電子は、シンチレータ材料(例えば、燐光物質)を使用して光画像に変換され、光の画像及び/又はパターンが、カメラによって記録される。かつては長らく写真フィルムが使用されていたが、元来、天文学において光画像をコンピュータに読み込むために開発された電荷結合素子(CCD)等の固体撮像素子の使用が、この分野で増加してきている。
…(略)…しかしながら、これらの画像及びパターンを記録するカメラの最終的な解像度は、シンチレータからカメラへの伝達光学系の解像度によって部分的に決定される。ファイバ光学系とレンズ光学系が、共に、伝達光学系として使用されている。
現在の電荷結合素子は、5cm×5cm及びそれ以上に達するような大きな面積を有する。このような大きな面積あるいは大型の装置の上に光画像が投影される場合、電荷結合撮像素子の表面が、絶対平坦度から約10μm以上を逸脱すると問題が生じる。
…(略)…
一方、光画像がレンズ光学系を用いて固体撮像素子上に投影される場合、そのような画像は、像平面上もしくは像平面から僅かにずれた面上でのみ、最大のシャープネスを達成する。光画像が湾曲した又は弓形の撮像素子に入射した場合、電荷結合素子の実際の表面が像平面からずれていれば、シャープネスの損失が生じる。 )」

(2) 第2欄第40行から第2欄第3行まで
「SUMMARY OF THE INVENTION
The present invention meets that need by providing a large-format solid state imaging apparatus and methods for making such apparatus which can detect optical images without loss of sharpness or resolution. In accordance with one aspect of the invention, an optically coupled solid state imaging apparatus is provided and includes a solid state imaging device supported by a frame. …(略)… The frame may be annular or it may extend beneath and support the image sensing area of the solid state imaging device. However, in an embodiment where the support frame extends beneath the image sensing area, the frame must be flexible and capable of conforming to an adjacent surface.
The apparatus also includes an optical coupling plate and a support plate each having at least one surface which matches the curvature of the other. That is, the optical coupling plate and support plate have mating surfaces with matching curvatures such that their shapes match within a precision which will permit the solid state imaging device to detect optical images without loss of sharpness or resolution. Generally, this precision will be on the order of about 5 μm or less.
(訳文: 発明の概要
本発明は、シャープネス又は解像度を損失することなく、光画像を検出することができる大型の固体撮像装置及びそのような装置を製造するための方法を提供することによって、この必要性を満たすものである。本発明の一態様によれば、光学的に結合された固体撮像装置が提供され、これがフレームによって支持された固体撮像素子を備えている。…(略)…フレームは、環状であってもよく、また、固体撮像素子の撮像領域の下側に延びてこれを支持してもよい。しかし、支持フレームが撮像領域の下側に延びる実施例では、フレームが可撓性を有し、隣接する面に適合できなければならない。
装置はまた、光結合プレート及び支持プレートを含んでおり、それぞれが相手の曲率と一致する1つの表面を少なくとも有している。すなわち、光結合プレート及び支持プレートは、固体撮像素子が、シャープネス又は解像度を損失することなく光画像を検出することを可能にする精度の範囲内で形状が一致するような、同一曲率の合わせ面を有している。一般に、この精度は、約5μm以下のオーダーである。)」

(3) 第3欄第65行から第4欄第7行まで
「BRIEF DESCRIPTION OF THE DRAWINGS
FIG. 1 is an enlarged cross-sectional view of the optically coupled solid state imaging apparatus of the present invention where the matching surfaces of the optical coupling plate and support plates are flat;
FIG. 2 is an enlarged cross-sectional view of another embodiment of the optically coupled solid state imaging apparatus of the present invention where the matching surfaces of the optical coupling plate and support plates have a simple radius of curvature;
(訳文: 図面の簡単な説明
図1は、光結合プレート及び支持プレートの合わせ面が平坦である場合の、本発明の光学的に結合された固体撮像装置の拡大断面図である。
図2は、光結合プレート及び支持プレートの合わせ面が単純な曲率半径を有する場合の、本発明の光学的に結合された固体撮像素子の他の実施例の拡大断面図である。)」

【図2】


(4) 第4欄第27行から第52行まで
「Referring to FIG. 1, a large-format, solid state imaging device 43 is shown having an image sensing area 43a formed on a semiconductor wafer 43b. An annular frame 52 contacts and supports the underside of the imaging device 43 about its peripheral edges. Alternatively, frame 52 may extend completely beneath the imaging device 43. An optical coupling plate 42 and a support plate 50 define matching surfaces 42a, 50a which are flat and deviate from absolute flatness by an amount which permits the solid state imaging device 43 to detect optical images without loss of sharpness or resolution. Preferably, the deviation from absolute flatness of the matching surfaces 42a, 50a is less than about 5 μm.
As shown in FIGS. 1 and 2, the annular frame 52 is sealed to the imaging device 43 and provides support during the connection of electrical contacts 56, 58 to the imaging device 43 via bonding wires 59. The imaging device 43 is sandwiched between the optical coupling plate 42 and the support plate 50. The respective matching surfaces 42a, 50a of plates 42 and 50 which contact the imaging device 43 are polished so that they match with a precision of preferably about 5 μm. As shown, at least the image sensing area 43a of the solid state imaging device 43 is positioned between the respective matching surfaces 42a, 50a of the optical coupling plate 42 and the support plate 50 and conforms to the curvature of those matching surfaces.
(訳文: 図1を参照すると、大型の固体撮像素子43は、半導体ウェハ43b上に形成された撮像領域43aを有するように示されている。環状のフレーム52は、撮像素子43の下側を、その周縁部で接触支持する。代替的に、フレーム52は、撮像素子43の下側に完全に延在していてもよい。光結合プレート42及び支持プレート50は、合わせ面42a、50aを形成し、これらの面は平坦で、固体撮像素子43が、シャープネス又は解像度を損失することなく光画像を検出することを可能にする量だけ、絶対平坦度からずれている。好ましくは、合わせ面42a、50aの絶対平坦度からのずれは、約5μm未満である。
図1及び図2に示すように、環状のフレーム52は撮像素子43に接続され、電気的接点56、58をボンディングワイヤ59を介して撮像素子43に接続する間の支持を提供する。撮像素子43は、光結合プレート42と支持プレート50との間に挟まれている。プレート42及び50の、撮像素子43と接触するそれぞれの合わせ面42a、50aは、好ましくは約5μmの精度で一致するように研磨される。図示されるように、少なくとも固体撮像素子43の撮像領域43aは、光結合プレート42及び支持プレート50のそれぞれの合わせ面42a、50aの間に配置され、それらの合わせ面の曲率に適合している。)」

(5) 第5欄第10行から第41行まで
「In the alternative embodiment where the support frame extends beneath solid state imaging device 43, that portion of the frame will also be pressed to conform to the support plate 50. …(略)…
In one embodiment of the invention, the optical coupling plate 42 comprises a fiber optic plate. Alternatively, the optical coupling plate 42 may be a uniform, transparent glass plate so that images from a lens optic (not shown) can be transmitted to the solid state imaging device 43 with good efficiency. …(略)…
In the embodiment of the invention shown in FIG. 2, wherein like elements are represented by like reference numerals, the coupling plate 42 is made of transparent glass and the matching surfaces 42a, 50a of the coupling plate 42 and the support plate 50 are curved. Simple or even complex curvatures are possible for the present invention to conform the image sensing area 43a of the solid state imaging device 43 for use in lens optical systems whose focal plane is not flat.
(訳文: 支持フレームが固体撮像素子43の下側に延びる代替的な実施形態では、フレームのその部分もまた、支持プレート50に適合するように押圧される。…(略)…
本発明の一実施例では、光結合プレート42が、ファイバ光学プレートからなる。代替的には、光結合プレート42は、レンズ光学系(図示せず)からの画像を効率よく固体撮像素子43に伝達できるように、均一で透明なガラス板であってもよい。…(略)…
同様の要素が同様の参照番号で表される図2で示す本発明の実施例では、結合プレート42が透明なガラスで形成され、結合プレート42及び支持プレート50の合わせ面42a、50aが湾曲している。本発明では、焦点面が平坦でないレンズ光学系での使用に、固体撮像素子43の撮像領域43aを適合させるため、単純な曲面が採用でき、あるいは複雑な曲面さえも採用できる。)」

(6) 第6欄第23行から第30行まで
「Charge coupled devices which can be used as the imaging device 43 are commercially available from several manufacturers including Kodak, Ford, Scientific Imaging Technologies (SITe), Hamamatsu, Thomson CSF, and English Electric Valve Ltd. Preferred large-format solid state imaging devices are scientific grade CCDs whose imaging areas comprise 1024×1024 or more pixels that are 19 μm×19 μm in size or larger.
(訳文: 撮像素子43として使用できる電荷結合素子は、Kodak、Ford、Scientific Imaging Technologics(SITe)、Hamamatsu、Thomson CSF、English Electric Valve Ltd.などのいくつかの製造業者から商業的に入手可能である。好適な大型の固体撮像素子は、サイエンティフィックグレードのCCDであり、その撮像領域は、1024×1024以上の画素からなり、大きさとしては、19μm×19μm以上のものである。)」

(7) 第6欄第56行から第7欄第23行まで
「As noted, the annular frame 52 can be filled in such that it extends beneath the solid state imaging device 43 and is also pressed to conform to the support plate 50. For such a filled frame and with the imaging device 43 bonded to the filled frame around its entire periphery, the forces required to conform the imaging device 43 may be sufficient to damage the imaging device 43. …(略)…
The image device conforming forces can be further reduced by reducing the bonding of the imaging device 143 to the frame 52 to less than the entire periphery of the imaging device 143. Such reduced bonding is accomplished by bonding the imaging device 43 to the frame 52 by bonds at spaced positions around the frame 52, for example, by at least two spaced bonds. …(略)…
Typically, the imaging device 43 and the frame 52 are generally rectangular with the illustrated embodiment of FIG. 4 substantially square. Spaced bonds 68 are located around the periphery 43p of the imaging device 43 with at least two spaced bonds 68 being positioned on opposite sides of the imaging device 43. The spaced bonds 68 are illustrated as relatively small bonds often referred to as point bonds; however, a large variety of bond sizes are contemplated for use in the present invention. The spaced bonds 68 can be thermoplastic glue, elemental indium or other appropriate bonding materials as will be known to those skilled in the art.
(訳文: 上述したように、環状のフレーム52は、固体撮像素子43の下側に延び、支持プレート50に適合して押圧されるように、代替されることができる。そのように代替されたフレームでは、撮像素子43がその全周にわたって代替されたフレームと接合されたときに、撮像素子43を適合させるために必要となる力が、撮像素子43を損傷させるのに十分なものとなり得る。…(略)…
画像素子を適合させる力は、撮像素子143とフレーム52の接合を、撮像素子143の全周よりも少なくすることで、さらも軽減され得る。そのように少なくされた接合は、フレーム52の周りの離間した位置での接合、例えば、少なくとも2箇所の接合によって達成される。…(略)…
典型的には、撮像素子43とフレーム52は一般に矩形であり、図4に示した実施形態では実質的に正方形である。離間した接合部68は、撮像素子43の周囲43pに配置され、撮像素子43の相対する側に少なくとも2つの離間した接合部が位置するようになっている。接合部68は、しばしば点接合と呼ばれるような比較的小さな接合部として図示されているが、多様な接合サイズが、本発明の用途に企図される。離間した接合部68は、熱可塑性接着剤、元素インジウム又は当業者に知られているような他の適切な接合材料とすることができる。)」

【図4】


上記(1)ないし(7)の記載によれば、引用文献1には、図2に示される「他の実施例」として、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。

「電子画像を光画像に変換し、大型の固体撮像素子を用いてそれを検出する電子顕微鏡であって、
シンチレータからカメラへの伝達光学系として使用されるレンズ光学系と、
半導体ウェハ43b上に形成された撮像領域43aを有する大型の固体撮像素子43と、
撮像素子43の下側に完全に延在し、撮像素子43を接触支持するフレーム52と、
撮像装置43を間に挟む光結合プレート42及び支持プレート50と
を備え、
光結合プレート42及び支持プレート50の合わせ面42a、50aは単純な曲率半径を有し、
少なくとも固体撮像素子43の撮像領域43aは、光結合プレート42及び支持プレート50のそれぞれの合わせ面42a、50aの間に配置され、それらの合わせ面の曲率に適合しており、
結合プレート42は透明なガラスで形成され、結合プレート42及び支持プレート50の合わせ面42a、50aは、レンズ光学系の平坦でない焦点面に、固体撮像素子43の撮像領域43aを適合させるための曲面となっており、
フレーム52は可撓性を有し、固体撮像素子43の下側に延びる部分が、支持プレート50に適合するように押圧され、
撮像装置43は、ボンディングワイヤ59を介して電気的接点56、58と接続され、
撮像素子43として使用できる電荷結合素子は、その撮像領域が、1024×1024以上の画素からなっており、
撮像素子43がその全周にわたってフレーム52と接合されたときには、撮像素子43を適合させるために必要となる力が、撮像素子43を損傷させるのに十分なものとなり得るため、撮像素子143とフレーム52の接合を、撮像素子143の全周よりも少なくした
電子顕微鏡。」

2 引用文献2
引用文献2には、以下の記載がある。なお、下線は合議体が付したものである。

(1) 第2頁左上欄第1行から左下欄第8行まで
「従来の技術
以下に従来の放射線検出器について説明する。…(略)…この放射線検出器は放射線を検出する検出素子21を検出素子基板22の上に直線上に複数個配列しており、検出素子21の1個毎に初段増幅回路、パルス増幅回路、コンパレータ回路等からなる信号処理回路23が回路基板24の同一面上に構成されている。なお検出素子21の上面に形成された電極25と検出素子基板22に設けられた導電性パターン26とは金(Au)線等のリード線27で接続され、さらに信号処理回路23の入力部と金(Au)線28で接続するリード線2本を用いて電気的接続を行なっている。
発明が解決しようとする課題
このような従来の放射線検出器では、低被曝線量において放射線量子の検出効率を上げるためには検出素子と初段増幅回路の電気的接続距離をできるだけ短くし、また検出素子の固定には外圧からの保護と機械的、熱的強度および、電磁、放射線遮蔽等を確保する必要がある。しかし、上記従来の構成では検出素子数が増大し検出素子間のピッチが小さくなる程信号処理回路を搭載する回路基板の面積が増大し検出素子を直線または円弧状に複数個配置した検出素子基板が熱膨張および外圧によってそりやすくなるという課題を有していた。…(略)…
本発明は、上記従来の課題を解決するもので検出素子を電磁、機械的に保護し、熱影響を最小限に抑えることのできる放射線検出器を提供することを目的とする。」

(2) 第3頁右上欄第4行から左下欄第12行まで
「第1図は本発明の一実施例における放射線検出器の要部斜視図である。一面に電圧印加用共通電極が、他の一面には放射線検出部が設けられた複数個の検出素子1は、中央部に検出素子1の長さと幅より広く、厚さと同等の深さの溝を形成した検出素子基板2の溝の底面に直線または円弧状に並べられている。また検出素子基板2の下部に凸部が設けられ、検出素子基台3の上面に設けた凹部に装着し接着剤で固定されている。また放射線遮蔽体4は上面中央部に検出素子1の長さおよび幅と同等の放射線透過孔を有しており、その下面にスルホール5を有したフレキシブル基板6が接着剤で固着され、検出素子基板2の上面で位置決めピン7a、7bで位置決めして固定され放射線検出部を構成している。また初段増幅回路、パルス増幅回路、コンパレータ回路およびパルスカウント回路を含む信号処理回路部8は回路基板9に搭載され、放射線検出部とは独立して、かつ検出素子1を配列した長手方向の幅以内に回路基板9が構成されている。また信号処理回路8と放射線検出部との電気的接続は、フレキシブル基板6の端部に設けた回路接続部10ではんだ等で接続される構成としている。検出素子1は金属材料を用いた放射線遮蔽体4と検出素子基台3で囲むため機械的保護と電磁シールドが確保される。また熱影響による検出素子基板2の伸縮およびそりは放射線検出部と回路基板9とが分離独立した構成およびフレキシブル基板6の弾性で吸収できる。」

【第1図】


(3) 第3頁右下欄第13行から第4頁左上欄第4行まで
「第3図は、検出素子1とフレキシブル基板6との電気的接続構成を示した断面図である。検出素子1の上面に電極15が形成され、検出素子1の幅より広く、厚さと同等の深さの溝を有した検出素子基板2の溝底面に、検出素子1が固着され、検出素子基板2の上面にスルホール5が絶縁体16a、16b、16cで圧着されたフレキシブル基板6が載置されている。電極15の上部に絶縁体16cが密着して固定され、絶縁体16aでスルホール5を囲む状態で段差を構成し、この段差の部分で電極15とスルホール5とを導電性接着剤17で電気的接続を行なっている。」

【第3図】


上記(1)ないし(3)の記載によれば、引用文献2には、以下の技術事項が記載されている。

「検出素子を検出素子基板の上に直線上に複数個配列した放射線検出器において、検出素子を電磁、機械的に保護し、熱影響を最小限に抑えるため、
複数個の検出素子1を、検出素子基板2の溝の底面に固着し、
検出素子1の長さ及び幅と同等の放射線透過孔を有する放射線遮蔽体4の下面にフレキシブル基板6を固着し、それを検出素子基板2の上面で位置決めピン7a、7bで位置決めして固定し、
検出素子1の上面に形成された電極15とフレキシブル基板6が有するスルーホール5とを導電性接着剤17で電気的に接続し、
また、信号処理回路8と放射線検出部との電気的接続を、フレキシブル基板6の端部に設けた回路接続部10ではんだ等で接続する構成とし、
それによって、検出素子1が金属材料を用いた放射線遮蔽体4で囲まれるため機械的保護と電磁シールドを確保でき、また熱影響による検出素子基板2の伸縮及びそりをフレキシブル基板6の弾性で吸収できるようにする。」

3 引用文献3
引用文献3には、以下の記載がある。なお、下線は合議体が付したものである。

(1) 段落0034から段落0035まで
「【0034】
次に、撮像素子チップ31を、湾曲部を有する下地基板37(アルミ基板)の所定の位置に位置合わせする。そして、加圧治具34とシール36とを備えたカバー35で撮像素子チップ31を覆い、カバー35内の空気を真空ポンプ(図示せず)で10-3torr程度になるように排気する。次に、排気したまま加圧治具34で撮像素子チップ31を徐々に湾曲させ、最大78.4N/cm2(8Kg/cm2)の圧力で、撮像素子チップ31ないし接着剤シート33を下地基板37(アルミ基板)の湾曲部に密着させる。
【0035】
さらに、加熱処理手段39により、70℃で10分間加熱した後、室温まで冷却することにより、撮像素子チップ31を下地基板37に湾曲させたまま固定し、撮像素子モジュールを得る。得られた撮像素子チップ31の表面形状を、KEYENCE-LK010レーザ変位計で測定したところ、±0.1μmの精度の湾曲面が形成されていることが分かった。」

上記(1)の記載によれば、引用文献3には、以下の技術事項が記載されている。

「撮像素子チップ31を、湾曲部を有する下地基板37(アルミ基板)の所定の位置に位置合わせし、加圧治具34とシール36とを備えたカバー35で撮像素子チップ31を覆い、カバー35内の空気を真空ポンプで10-3torr程度になるように排気したまま加圧治具34で撮像素子チップ31を徐々に湾曲させ、最大78.4N/cm2(8Kg/cm2)の圧力で、撮像素子チップ31ないし接着剤シート33を下地基板37(アルミ基板)の湾曲部に密着させ、さらに、加熱処理手段39により、70℃で10分間加熱した後、室温まで冷却することにより、撮像素子チップ31を下地基板37に湾曲させたまま固定し、撮像素子モジュールを得る。」

4 引用文献4
引用文献4には、以下の記載がある。なお、下線は合議体が付したものである。

(1) 段落0032
「【0032】
【発明の実施の形態】以下に本発明の第1の好ましい実施態様を図1により説明する。ここで、図1は焦点面10の一部の略断面図を示す。焦点面10は1つまたは複数の検出器11を含み、この場合、図1には1つの検出器11のみがライン・センサの形で示されている。検出器11は比較的大きい長さ/幅比を有するCMOSライン検出器であり、この場合における長さ/幅比は約40である。検出器11はチップないしシリコン素子からなり、チップないしシリコン素子は第1の結合層12を介してたわみ支持基板13と結合されている。この場合、第1の結合層12は接着コーティングであり、接着コーティングは特に薄く形成され且つ10μm未満、好ましくは約1ないし2μmの厚みを有している。支持基板13はたわみフォイルから形成され、たわみフォイルは約50ないし100μmの厚みを有している。たわみ支持基板13は、その上に存在するチップと共に、同様に接着層である第2の結合層14により検出器支持体15と結合されている。したがって、検出器支持体15は検出器11を有する多数の検出器モジュールまたは検出器要素を支持するための焦点面背板を形成している。検出器支持体15はその検出器支持体表面15aに曲率を有し、検出器11はその曲率に適合されている。即ち、検出器11は同様に湾曲され、ないしたわみ性を有している。検出器11は、その表面11aの湾曲により、検出器支持体15上に存在するその他の検出器と共に、湾曲像領域を撮像(record)するために適している。」

【図1】


(2) 段落0037から段落0039まで
「【0037】検出器11およびたわみ支持基板13を有する検出器モジュールないしライン・モジュールが図3に略平面図で示されている。支持基板の表面13a上に、電気接点16が、操作電子装置および読取電子装置に対する電気結線のための外部接続端子として形成されている。電気接点16は検出器モジュールの幅に沿った縁に存在している。チップないし検出器11から支持基板13への電気結線17はチップ・エッジから引き出されている。したがって、接点は同一面ボンディングにより形成されているので、接点形成において、例えばワイヤ・ボンディングの場合のように極めて薄いチップに高い局部圧着力が作用することはない。電気結線17はスクリーン印刷技術により形成されている。
【0038】本発明の好ましい実施態様においては、検出器11としてCMOS-APSライン検出器が使用される。しかしながら、CCD検出器を使用することもまた可能である。検出器ラインは、例えば10,240、8,192、6,144、4,096、2,048または1,024画素を有している。使用されるライン検出器ないしシリコン構成素子(component)の長さは約100mmであり、一方その幅は約3mmにすぎないので、これから極めて大きな長さ/幅比が得られる。検出器11を形成するためのシリコン素子ないしシリコン・ディスクは約25μmに薄くされ、ないしはこの厚みに低減される。検出器11の厚みないしは支持基板13により支持される本来のライン・センサの厚みは約20μmである。
【0039】約2,000ないし10,000画素を有するライン・センサないし検出器11は、さらに図1には図示されていない光透過性カバー(coating)を有している。このために、対応CMOSラインは2つのフォイルの間に挟み込まれ、この場合、下部フォイルは上記の接続端子構造物を有する支持基板13を形成し、一方、上部フォイルは光透過性であり且つ保護としての働きをするにすぎない。これにより、たわみ支持基板13上でのライン・モジュールないし検出器ラインのその他の取扱いが本質的に容易となり且つ単結晶として形成されている薄いシリコン・チップの破損の危険性は明らかに低減される。」

【図3】


上記(1)及び(2)の記載によれば、引用文献4には、以下の技術事項が記載されている。

「CMOS-APSライン検出器又はCCD検出器であって約2,000ないし10,000画素を有する検出器11を、たわみフォイルから形成されるたわみ支持基板13と結合し、そのたわみ支持基板13を検出器支持体15と結合することで、検出器支持体15が検出器11を有する多数の検出器モジュールまたは検出器要素を支持するための焦点面背板を形成するようにした装置において、
支持基板13の表面13a上に、外部接続端子としての電気接点16を形成し、電気結線17をスクリーン印刷技術により形成し、電気結線17はチップ・エッジから引き出されるようにする。」

第5 対比・判断
1 本願発明1について
(1) 対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、以下のとおりである。

ア 引用発明の「電子画像を光画像に変換し、大型の固体撮像素子を用いてそれを検出する電子顕微鏡」が、本願発明1の「装置」に相当する。

イ 引用発明における「シンチレータからカメラへの伝達光学系として使用されるレンズ光学系」は、「平坦でない焦点面」を有するものであるから、本願発明1における「湾曲形状を有する焦点面を設定する光学システム」に相当する。

ウ 引用発明における「撮像素子43の下側に完全に延在し、撮像素子43を接触支持するフレーム52」は「可撓性を有」するものであるから、本願発明1における「フレキシブルプリント回路基板」とは、「可撓性を有する基板」であるという点で共通する。

エ 引用発明における「1024×1024以上の画素」と、本願発明1における「複数の光検出器」とは、「複数の光検出要素」であるという点で共通する。
そして、引用発明における「1024×1024以上の画素からな」る「撮像領域」は、「大型の固体撮像素子43」が有するものであり、この「撮像素子43」は「フレーム52」に「接触支持」されているから、このような「大型の固体撮像素子43」が有する「1024×1024以上の画素」と、本願発明1における「前記フレキシブルプリント回路基板上に搭載された複数の光検出器」とは、「可撓性を有する基板上に支持された複数の光検出要素」であるという点で共通する。

オ 引用発明における「光結合プレート42及び支持プレート50」は「撮像装置43を間に挟む」ものであるから、本願発明1における「クランプ」に相当する。
そして、「光結合プレート42及び支持プレート50の合わせ面42a、50a」は、「単純な曲率半径を有」する面であるから、「合わせ面42a、50a」のうちの一方が凸面、他方が凹面であることが明らかであり、更にこれらの面は、「レンズ光学系の平坦でない焦点面に、固体撮像素子43の撮像領域43aを適合させるための曲面となって」いるから、「光結合プレート42及び支持プレート50」のうち、凸面である「合わせ面」を有する方が、本願発明1において、「前記焦点面の前記湾曲形状に対応する凸面を有」するとされている「第1の締具」に相当し、凹面である「合わせ面」を有する方が、本願発明1において、「前記焦点面の前記湾曲形状に対応する凹面を有」するとされている「第2の締具」に相当する。

カ 引用発明では、「結合プレート42及び支持プレート50の合わせ面42a、50aは、レンズ光学系の平坦でない焦点面に、固体撮像素子43の撮像領域43aを適合させるための曲面となって」いるから、引用発明における「フレーム52は可撓性を有し、固体撮像素子43の下側に延びる部分が、支持プレート50に適合する」ということと、本願発明1における、「前記フレキシブルプリント回路基板が、前記焦点面の前記湾曲形状と実質的に共形にな」るということとは、「可撓性を有する基板が、前記焦点面の前記湾曲形状と実質的に共形になる」という点で共通し、引用発明における「少なくとも固体撮像素子43の撮像領域43aは、光結合プレート42及び支持プレート50のそれぞれの合わせ面42a、50aの間に配置され、それらの合わせ面の曲率に適合して」いるということと、本願発明1における、「前記複数の光検出器中の光検出器のそれぞれが、前記焦点面上のそれぞれの位置に来るように、前記クランプが、前記第1の締具と前記第2の締具との間に前記フレキシブルプリント回路基板を保持する」ということとは、「複数の光検出要素中の光検出要素のそれぞれが、前記焦点面上のそれぞれの位置に来るように、前記クランプが、前記第1の締具と前記第2の締具との間に可撓性を有する基板を保持する」という点で共通する。
更に、引用発明では、「フレーム52は可撓性を有し、固体撮像素子43の下側に延びる部分が、支持プレート50に適合するように押圧され」るのであるから、「フレーム52」が、一方が凸面であり他方が凹面である「合わせ面42a、50a」に追従し、これによって「少なくとも固体撮像素子43の撮像領域43aは、光結合プレート42及び支持プレート50のそれぞれの合わせ面42a、50aの間に配置され」ることになっていることが明らかであり、このことと、本願発明1における、「前記フレキシブルプリント回路基板が、前記第1の締具の前記凸面と前記第2の締具の前記凹面に追従することによって前記複数の光検出器の各光検出器が前記焦点面上のそれぞれの位置に配置され」るということとは、「可撓性を有する基板が、前記第1の締具の前記凸面と前記第2の締具の前記凹面に追従することによって複数の光検出要素の各光検出要素が前記焦点面上のそれぞれの位置に配置される」という点で共通するといえる。

(2) 一致点及び相違点
上記(1)の対比の結果をまとめると、本願発明1と引用発明との一致点及び相違点は、以下のとおりである。

ア 一致点
「 湾曲形状を有する焦点面を設定する光学システムと、
可撓性を有する基板と、
前記可撓性を有する基板上に支持された複数の光検出要素と、
少なくとも第1の締具および第2の締具を備えるクランプと
を備え、
前記第1の締具が、前記焦点面の前記湾曲形状に対応する凸面を有し、前記第2の締具が、前記焦点面の前記湾曲形状に対応する凹面を有し、前記可撓性を有する基板が、前記焦点面の前記湾曲形状と実質的に共形になり、前記複数の光検出要素中の光検出要素のそれぞれが、前記焦点面上のそれぞれの位置に来るように、前記クランプが、前記第1の締具と前記第2の締具との間に前記可撓性を有する基板を保持するように構成され、前記可撓性を有する基板が、前記第1の締具の前記凸面と前記第2の締具の前記凹面に追従することによって前記複数の光検出要素の各光検出要素が前記焦点面上のそれぞれの位置に配置される、
装置。」

イ 相違点
本願発明1では、可撓性を有する基板が「フレキシブルプリント回路基板」であり、その上に複数の光検出要素である「複数の光検出器」が「搭載」され、「前記複数の光検出器中の各光検出器が、前記第1の締具と前記第2の締具との間において、前記フレキシブルプリント回路基板の少なくとも1つのそれぞれの伝導トレースに電気的に接続される」のに対して、引用発明では、可撓性を有する基板が「撮像素子43の下側に完全に延在」する「フレーム52」であって、「プリント回路」を備えるものではなく、また、その上に複数の光検出要素である「1024×1024以上の画素」を有する1つの検出器(「固体撮像素子43」)が「接触支持」され、そのような1つの「固体撮像素子43」は「ボンディングワイヤ59を介して電気的接点56、58と接続され」ており、「固体撮像素子43」は「フレーム52」とは電気的に接続されておらず、また、「固体撮像素子43」が有する各「画素」と外部との電気的な接続も行われていない点。

(3) 相違点についての判断
引用発明が上記(2)のイで述べた相違点に係る本願発明1の構成を備えるようにするには、引用発明において、「フレーム52」を「フレキシブルプリント基板」に変更し、「1024×1024以上の画素」を有する1つ「固体撮像素子43」を、「複数の光検出器」に変更し、更に、第1の締具と第2の締具との間において「複数の光検出器中の各検出器」を「フレキシブルプリント回路基板の少なくとも1つのそれぞれの伝導トレースに電気的に接続」する必要がある。
ところが、引用発明における「フレーム52」は「撮像素子43を接触支持する」ものにすぎず、また、「撮像素子43がその全周にわたってフレーム52と接合されたときには、撮像素子43を適合させるために必要となる力が、撮像素子43を損傷させるのに十分なものとなり得る」ため、敢えて「撮像素子143とフレーム52の接合を、撮像素子143の全周よりも少なくした」ものである。よって、「フレーム52」を「フレキシブルプリント基板」に変更し、「撮像素子43」を当該「フレキシブルプリント基板」と電気的に接続するようにすれば、上述のように敢えて「少なくした」両者の「接合」が逆に増加することになり、そこには阻害要因があるといえる。また、「固体撮像素子43」を、「複数の光検出器」に変更するといったことは、引用文献1において記載も示唆もされていない。
更に、引用文献2ないし引用文献4のいずれも、引用発明において、「フレーム52」を「フレキシブルプリント基板」に変更し、「1024×1024以上の画素」を有する1つ「固体撮像素子43」を、「複数の光検出器」に変更し、更に、第1の締具と第2の締具との間において「複数の光検出器中の各検出器」を「フレキシブルプリント回路基板の少なくとも1つのそれぞれの伝導トレースに電気的に接続」するといったことを示唆するものではない。
特に、引用文献2には、「検出素子を検出素子基板の上に直線上に複数個配列した放射線検出器」において、複数の「検出素子1」を「フレキシブル基板6」に「電気的に接続」するという技術事項が記載されているが、これは「熱影響による検出素子基板2の伸縮及びそりをフレキシブル基板6の弾性で吸収できるようにする」という課題を解決するために「フレキシブル基板6」を採用したものであって、そのような課題が記載も示唆もされていない引用文献1に記載された引用発明において、かかる技術事項を採用する動機はない。
また、引用文献4には、「CMOS-APSライン検出器又はCCD検出器であって約2,000ないし10,000画素を有する検出器11を、たわみフォイルから形成されるたわみ支持基板13と結合」した装置において、「支持基板13の表面13a上に、外部接続端子としての電気接点16を形成し、電気結線17をスクリーン印刷技術により形成し、電気結線17はチップ・エッジから引き出されるようにする」という技術事項が記載されており、ここでは、1つの検出器をフレキシブルプリント回路基板の少なくとも1つの伝導トレースに電気的に接続することが示唆されているということができるが、本願発明1のように、「複数の光検出器中の各検出器」をフレキシブルプリント回路基板の少なくとも1つの「それぞれの伝導トレース」に電気的に接続するといったことまでは、示唆されているとは認められない。また、引用発明において、引用文献4に記載された技術事項を採用する動機もない。
更に、引用文献3は、「フレキシブルプリント回路基板」に関する技術事項を開示するものではない。
したがって、上記(2)のイで述べた相違点に係る本願発明1の構成は、引用発明と、引用文献2ないし引用文献4に記載された技術事項とに基づいて、当業者が容易に想到し得るものであるということはできない。

(4) 本願発明1についてのまとめ
以上のとおりであるから、本願発明1は、引用文献1ないし引用文献4に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。

2 本願発明2ないし本願発明8について
本願発明2ないし本願発明8は、本願発明1の構成を全て含むから、少なくとも本願発明1と引用発明との相違点で引用発明と相違する。
そして、上記1(3)のとおり、相違点に係る本願発明1の構成は、引用発明と引用文献2ないし引用文献4に記載された技術事項とに基づいて、当業者が容易に想到し得るものであるということはできないから、相違点に係る本願発明2ないし本願発明8の構成も同様である。
したがって、本願発明2ないし本願発明8は、引用文献1ないし引用文献4に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。

3 本願発明9ないし本願発明15について
本願発明9は、本願発明1に係る装置を製造する方法の発明であって、上記1(2)のイで述べた相違点に係る本願発明1の構成に対応する事項、すなわち、「フレキシブルプリント回路基板上に複数の光検出器」を「搭載」し、「前記複数の光検出器中の各光検出器を前記フレキシブルプリント回路基板の少なくとも1つのそれぞれの伝導トレースに電気的に接続する」という事項を備えるものである。
そして、上記1(3)で述べたのと同様に、引用発明において、「フレーム52」を「フレキシブルプリント基板」に変更し、「撮像素子43」を当該「フレキシブルプリント基板」と電気的に接続することには阻害要因があり、また、引用文献2ないし引用文献4のいずれも、引用発明において、「フレーム52」を「フレキシブルプリント基板」に変更し、「1024×1024以上の画素」を有する1つ「固体撮像素子43」を、「複数の光検出器」に変更し、更に、第1の締具と第2の締具との間において「複数の光検出器中の各検出器」を「フレキシブルプリント回路基板の少なくとも1つのそれぞれの伝導トレースに電気的に接続」するといったことを示唆するものではないことから、本願発明9の上記事項も、引用発明と引用文献2ないし引用文献4に記載された技術事項とに基づいて、当業者が容易に想到し得るものであるということはできない。
更に、本願発明10ないし本願発明15は、本願発明9の事項を全て含むから、少なくとも「フレキシブルプリント回路基板上に複数の光検出器」を「搭載」し、「前記複数の光検出器中の各光検出器を前記フレキシブルプリント回路基板の少なくとも1つのそれぞれの伝導トレースに電気的に接続する」という事項を備えており、かかる事項は、引用発明と引用文献2ないし引用文献4に記載された技術事項とに基づいて、当業者が容易に想到し得るものであるということはできない。
したがって、本願発明9ないし本願発明15は、引用文献1ないし引用文献4に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。


第6 原査定について
上記第5のとおり、本願発明1ないし本願発明15は、引用文献1ないし引用文献4に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。
したがって、原査定の理由は、維持することができない。


第7 むすび
以上のとおりであるから、原査定の理由によっては、本願は拒絶をするべきものであるということはできない。
また、他に、本願は拒絶をするべきものであるとする理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2019-07-10 
出願番号 特願2016-531760(P2016-531760)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G01S)
最終処分 成立  
前審関与審査官 佐々木 龍東 治企  
特許庁審判長 中塚 直樹
特許庁審判官 櫻井 健太
濱野 隆
発明の名称 湾曲基板上の光検出器アレイ  
代理人 佐藤 睦  
代理人 稲葉 良幸  

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