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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06Q
管理番号 1353009
審判番号 不服2018-2033  
総通号数 236 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-08-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-02-14 
確定日 2019-07-04 
事件の表示 特願2016- 25439「サーバ装置」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 8月24日出願公開、特開2017-146634〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続
本願は、平成28年2月15日を出願日とする出願であって、手続の概要は以下のとおりである。

拒絶理由通知 :平成29年 6月28日(起案日)
手続補正、意見書提出 :平成29年 9月11日
拒絶査定 :平成29年11月10日(起案日)
拒絶査定不服審判請求 :平成30年 2月14日

2.本願発明

平成29年9月11日付け手続補正によって補正された特許請求の範囲の請求項1(以下「本願発明」という。)は、以下のとおりである。

【請求項1】
ユーザ装置に表示させる広告対象の商品リストのデータであるリストデータを、前記ユーザ装置へ送信するリストデータ送信部と、
前記ユーザ装置で前記リストデータに基づいて表示された前記商品リストから一つの商品がユーザ注目商品として選択されたときに、当該ユーザ注目商品を示す注目商品データを前記ユーザ装置から受信する注目商品データ受信部と、
前記ユーザ注目商品を購入したことを示すレシート画像データを、前記ユーザ装置から受信するレシート画像データ受信部と、
前記レシート画像データに基づいて、前記ユーザ注目商品が購入されたか否かを判定する購入判定部と、
前記ユーザ注目商品が購入されたと判定された場合に、当該ユーザにポイントを付与するポイントバック処理を実行するポイントバック処理部と、
前記ユーザ装置から現金化要求を受信したときに、前記ユーザに付与されたポイントを現金化する現金化処理を実行する現金化処理部と、
を備えることを特徴とするサーバ装置。

3.査定
原審での査定の理由は、概略、以下のとおりである。

この出願の請求項1に係る発明は、下記引用文献に記載された発明および周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。


引用文献1.国際公開第2015/137065号
引用文献2.特開2003-288521号公報

4.引用文献の記載及び引用発明
(A)引用文献1
(A-1)引用文献1の記載
原査定の拒絶の理由に引用された国際公開第2015/137065号(以下、引用文献1という。)には、図面と共に次に掲げる事項が記載されている。(下線は当審で付与。以下同じ。)

[0021]
図1は、本実施形態に係る購買情報活用システム10のシステム構成図を示している。図1に示すように、購買情報活用システム10は、サーバ装置100、消費者端末200及び企業端末300を含む。サーバ装置100は、インターネットや専用線等のネットワーク400に接続されたサーバ用コンピュータである。また、このサーバ装置100と同じく、ネットワーク400に有線または無線で接続された端末装置である消費者端末200及び企業端末300が、互いに通信可能に設定されることにより、購買情報活用システム10を構成する。なお、本実施形態において、購買情報活用システム10は、サーバ装置100と消費者端末200と企業端末300とを含むものとして説明するが、これに限定されるものではない。例えば、購買情報活用システム10は、クラウドコンピューティング形式のシステムとして構成されてもよい。この場合、ユーザは、購買情報活用システム10のコンピュータ処理をネットワーク経由でサービスとして利用する。また、購買情報活用システム10は、ASPのサーバを含むシステムとして構成されてもよい。なお、本実施形態では、一例として、商品等を提供する供給者であって、購買情報活用システム10を利用して、商品等の評価を調査するユーザを、利用者(以下、利用者を企業ともいう)とし、商品等を購買し、購買情報活用システム10に購買情報や商品の評価を登録するユーザを消費者として呼ぶ。また、利用者は企業端末300を用いて購買情報活用システム10を利用し、消費者は消費者端末200を用いて購買情報活用システム10を利用するものとして説明とする。

[0024]
次に、図2を用いて、このような購買情報活用システム10を実現するための、サーバ装置100の各構成について説明する。図2は、サーバ装置100のブロック図である。図2に示すように、サーバ装置100は、制御部120と、入力部150と、記憶部130と、通信部110とを備えている。
[0025]
制御部120は、CPUやMPUなどの演算処理部121、RAMなどのメモリ122及び画像処理部(不図示)を備えている。演算処理部121は、各種入力に基づき、記憶部130に記録されたプログラムを実行することで、各種機能部を動作させるものである。このプログラムは、CD-ROM等の記録媒体に記憶され、もしくはネットワーク400を介して配布され、コンピュータにインストールされるものであってもよい。メモリ122は、サーバ用プログラム及びゲームプログラム、ならびに、これらのプログラムにおいて処理の実行中に、演算等に必要な各種データを、一時的に記憶するためのものである。

[0031]
購買情報テーブル133には、消費者が実際に行った購買に関する情報である、購買情報が蓄積されている。図5に示すように、購買情報テーブル133には、消費者が撮影した商品の識別情報であるバーコードやJANコード等の商品コード、消費者が撮影したレシート画像から抽出したレシート情報、消費者が撮影した買い物シーン画像が格納されている。本実施形態では、レシート画像と買い物シーン画像を、商品を購買したことを裏付けるための情報として用いているが、他の情報を利用するものとしてもよい。レシート情報は、本実施形態では、商品を購買した際のレシートの画像から、テキストデータを読み込んだ情報をいう。買い物シーン画像は購買した商品の画像のことを指す。また、その商品を購入した消費者の情報や購買情報を登録した際の消費者の位置情報も、商品コードと紐づけ、購買情報として格納することも可能である。

[0035]
通信部110は、サーバ装置100をネットワーク400に接続するように構成される。例えば、通信部110は、LANカード、アナログモデム、ISDNモデム等、及び、これらをシステムバス等の伝送路を介して処理部と接続するためのインタフェースから実現することができる。
[0036]
さらに、図2に示すように、演算処理部121は、機能部として、受信部1211と、判定部1212と、解析部1213と、通報部1214と、コード確認部1215と、コンテンツ提供部1216と、コンテンツ作成部1217と、検索部1218と、報酬付与部1219と、販売促進情報提供部1220とを備えている。
[0037]
受信部1211は、消費者端末200から、消費者が読み取った商品コードと、裏づけ情報として、撮影したレシート画像と、消費者が購買した商品の画像や当該商品の買い物シーンの画像とを受信する。受信部1211は、受信した商品コードと、裏づけ情報であるレシート画像から抽出されたレシート情報と買い物シーン画像とを、対応付けて購買情報として、購買情報テーブル133に登録する。受信部1211は、レシート画像も購買情報として商品コードと紐づけて購買情報テーブル133に登録することもできる。さらに、消費者端末200から、利用シーン画像や、商品に対するコメント、満足度を数値化した評価等を含む情報である評価情報を受信した場合には、これらの情報も商品コードと対応付けて購買情報テーブル133に登録することが望ましい。
[0038]
判定部1212は、受信部1211が、識別情報と裏付け情報であるレシート画像またはレシート情報と買い物シーン画像とを受信した際に、消費者が商品を購買したと判定する。判定部1212は、識別情報とレシート情報と買い物シーン画像とのうちのいずれかを受信部1211が受信していない場合、消費者が商品を実際には購買していないと判定し、当該購買情報を登録しないとしてもよい。
[0039]
解析部1213は、受信したレシート画像から当該レシートのテキストデータであるレシート情報を抽出し、解析することで、当該レシートに関する購買の情報を収集するとしてもよい。例えば、解析部1213は、レシートに記載された商品の種類と、受信した商品コードの種類とが一致するか否かを解析するものとしてもよい。また、解析部1213は、そのレシートが発行された店舗や時間、レシートに記載された商品の個数、合計金額等を解析するものとしてもよい。解析部1213は解析したこれらの情報を、さらに商品コードに紐づけて、購買情報テーブル133に格納することができる。
[0040]
さらに、解析部1213は、記憶部130に登録されたレシート情報と商品コードとの対応関係を用いて、読み取ったレシート情報をもとに特定の商品識別情報を推測するものとしてもよい。具体的には、レシート情報から抽出した商品名称と、商品コードから特定した商品との突合を繰り返すことで、レシート情報から商品を類推する。この解析部1213のレシート情報を解析する機能は、消費者端末200に持たせることも可能である。

[0046]
また、報酬付与部1219は、検索部1218が、検索要求に基づいて行った検索結果に含まれる購買情報を登録した消費者や、利用者が評価依頼やアンケートを送信し、これに応じた消費者に対して、報酬を付与する。また、報酬付与部1219は、消費者が、商品コードやレシート画像、買い物シーン画像を登録した際に、報酬を付与することもできる。報酬は例えば、所定の商品と交換できるポイントやクーポン、電子マネー、旅行券等が挙げられる。付与される報酬は、消費者のレベルやコメントの内容に応じて決定されるものとしてもよい。例えば、消費者はポイントを貯めることで購買情報活用システム10から提供される懸賞の中から、欲しいものに応募することができるとしてもよい。このとき、報酬付与部1219は、消費者が応募できる懸賞を、消費者のレベルに応じて決定することも可能である。

[0053]
なお、商品の購買情報や利用シーンを登録した消費者にポイントを付与することにより、消費者の登録を促してもよい。こうして、消費者が自主的に購買情報をサーバ装置100に登録していくことによって、サーバ装置100には、多くの購買情報が日々刻々と蓄積されていくことになる。

[0059]
このように、購買情報活用システム10では、購買情報を登録する際に、上述したように、商品コードと、レシート画像と、買い物したシーンの画像との3つを登録するため、消費者が虚偽の購買情報の登録を行うことを防ぐことができる。具体的には、商品コードを登録させることによって、サーバ装置100側で消費者が購買した商品を特定することができる。また、レシート画像を登録させることによって、購買した内容と消費者が登録した購買情報とが一致するか否か、サーバ装置100側でいつでも審査することが可能となるため、消費者に対して精神的に虚偽の報告がしづらくなるような抵抗を感じさせることができる。さらに、買い物シーン画像を登録するには、実際の商品が必要となるため、消費者にますます心理的な抵抗を感じさせることができ、虚偽の報告を防ぐことができる。さらに、心理的な抵抗だけでなく、レシート画像や買い物シーン画像を解析することで、登録された購買情報の真偽を確認することができる。

[0063]
まず、消費者は、商品を購入する前に、その商品の販売促進情報を入手することができる。消費者は、消費者端末200の撮影部を起動させ、商品コードを撮影し、サーバ装置100へ送信する。コード確認部1215は、受信した商品コードから、商品を特定する。特定された商品に応じて、販売促進情報提供部1220は、購買情報テーブル133に格納された購買情報に基づいて作成された商品への評価などの販売促進情報を消費者端末200に提供し、消費者端末200の表示部に表示させる。商品への評価は、購買情報テーブル133から他の消費者の評価情報を抽出して、提供することができる。たとえば、購買情報に基づいて商品の売れ筋ランキングを表示したり、他の消費者からのコメント・満足度等を表示したりできる。また、競合商品の広告を表示することも可能である。
[0064]
消費者は、実際に商品を購買した際に、その購買情報をサーバ装置100に登録する。具体的には、消費者端末200を操作し、撮影部を起動させる。そして、購買した商品の商品コードと、レシートと、実際の商品の画像を含む買い物シーン画像とを撮影する。そして、撮影した商品コードとレシート画像と買い物シーン画像とを購買情報として、サーバ装置100に送信する(S103)。サーバ装置100の受信部1211は、購買情報を受信する(S104)と、受信した購買情報に、商品コードとレシート画像と買い物シーン画像との3種類のデータが含まれているかを判断する(S105)。そして、3種類のデータが含まれていない場合には、受信部1211は、受信した購買情報が不正なデータであることを通報部1214に通報する(S151)。
[0065]
商品コードを受信することによって、サーバ装置100は、消費者が購買した商品を特定することができる。また、レシートの画像と商品の画像とを消費者に送信させることによって、虚偽の購買情報を登録することについて、消費者に心理的な抵抗を持たせることができる。なお、本実施形態においては、購買情報として商品コードとレシートの画像と買い物シーン画像との3つを必須とするが、これに限らない。例えば、商品コードとレシート画像、または商品コードと買い物画像、のようにいずれか2つだけを必須としてもよい。
[0066]
次に、解析部1213が、レシート画像からレシート情報としてテキストデータを読み取る。レシート情報は、消費者端末200側で、レシート画像から抽出され、サーバ装置100に送信されるものとしてもよい。解析部1213は、レシート情報を解析し(S106)、消費者が購買した商品を推測し、商品コードに対応する商品と一致するか否かを検査する(S107)。一致しない場合には、解析部1213は、通報部1214に対してこの購買情報が不正な情報であることを通知する(S151)。一方で一致する場合には、解析部1213は、受信部1211に一致した旨を通知し、受信部1211は、受信した商品コード、レシート情報、買い物シーン画像、さらにレシート情報を解析して得た情報を購買情報テーブル133に登録する(S108)。

(A-2)引用発明
以上の記載によれば、引用文献1には以下の発明(以下、引用発明という。)が記載されている。

購買情報活用システム10が備えるサーバ装置100であって、([0021])
サーバ装置100は、インターネットや専用線等のネットワーク400に接続されたサーバ用コンピュータであって、ネットワーク400に有線または無線で接続された端末装置である消費者端末200と互いに通信可能に設定され、([0021])
サーバ装置100は、制御部120と、入力部150と、記憶部130と、通信部110とを備え、([0024])
制御部120は、CPUやMPUなどの演算処理部121、RAMなどのメモリ122及び画像処理部を備え、演算処理部121は、各種入力に基づき、記憶部130に記録されたプログラムを実行することで、各種機能部を動作させるものであり、([0025])
通信部110は、サーバ装置100をネットワーク400に接続するように構成され、([0035])
演算処理部121は、機能部として、受信部1211と、判定部1212と、解析部1213と、通報部1214と、コード確認部1215と、コンテンツ提供部1216と、コンテンツ作成部1217と、検索部1218と、報酬付与部1219と、販売促進情報提供部1220とを備え、([0036])
消費者は、消費者端末200を操作し、撮影部を起動させ、購買した商品の商品コードと、レシートと、実際の商品の画像を含む買い物シーン画像とを撮影し、撮影した商品コードとレシート画像と買い物シーン画像とを購買情報として、サーバ装置100に送信し、([0064])
受信部1211は、消費者端末200から、消費者が読み取った商品コードと、裏づけ情報として、撮影したレシート画像と、消費者が購買した商品の画像や当該商品の買い物シーンの画像とを受信し、([0037])
判定部1212は、受信部1211が、識別情報と裏付け情報であるレシート画像またはレシート情報と買い物シーン画像とを受信した際に、消費者が商品を購買したと判定するものであって、判定部1212は、識別情報とレシート情報と買い物シーン画像とのうちのいずれかを受信部1211が受信していない場合、消費者が商品を実際には購買していないと判定し、([0038])
解析部1213が、レシート画像からレシート情報としてテキストデータを読み取り、レシート情報を解析し、消費者が購買した商品を推測し、商品コードに対応する商品と一致するか否かを検査し、一致しない場合には、解析部1213は、通報部1214に対してこの購買情報が不正な情報であることを通知し、一致する場合には、受信部1211に一致した旨を通知し、([0066])
受信部1211は、受信した商品コード、レシート情報、買い物シーン画像、さらにレシート情報を解析して得た情報を購買情報テーブル133に登録し、([0066])
報酬付与部1219は、消費者が、商品コードやレシート画像、買い物シーン画像を登録した際に、報酬(報酬は例えば、所定の商品と交換できるポイントやクーポン、電子マネー、旅行券等)を付与することもできる、([0046])
サーバ装置100。

(B)引用文献2
(B-1)引用文献2の記載
原査定の拒絶の理由に引用された特開2003-288521号公報(以下、引用文献2という。)には、図面と共に次に掲げる事項が記載されている。

【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インターネット広告、ダイレクトメール、チラシ等の広告を閲覧後に、来店及び/又は商品やサービスの購入をした顧客に対して、ポイントを優遇して自動付与するポイントシステム及びポイント付与方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ポイント事業者(主に商品やサービスの販売提供を行う事業者)とカード会社との契約によって、顧客がカード会社のクレジットカードを使用して商品等の購入を行った場合に、購入金額に応じてポイントを付与し顧客に還元するポイントシステムが存在する。
【0003】又、特開2001-331719号公開公報や特開2001-29103号公開公報に開示されているように、顧客がインターネット広告を閲覧しただけでポイントを付与するというサービスが存在し、ポイント付与効果による顧客の消費行動を促進する目的で利用されることが多い。
【0004】又、顧客がチラシを企業や店舗に持参すれば、店頭でポイントが付与されるというサービスもある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記のようなインターネット広告の閲覧だけでポイントを付与するサービスは、単に広告を発信するだけの方法よりも企業や店舗の認知度を高め、顧客を獲得する為に効率的ではあるが、ポイント獲得だけを目的とした形骸的な広告閲覧を繰り返し行う顧客が多いのが実状であり、顧客の消費行動の促進且つ企業や店舗の実質的利益を含む経済効果に結びついているとは必ずしも言えない。又、インターネット等の通信回線の不要なトラフィックを招く一因ともなっている。
【0006】又、チラシ等の持参によるポイント優遇サービスは、「広告を閲覧してから来店した顧客」に対してのみポイントを優遇出来るという点で優れているものの、チラシに来店した顧客名等を記入して企業や店舗で保管する訳ではないので、顧客が広告を閲覧したという履歴はどこにも残らない。すなわち企業や店舗にとって重要な顧客に関する情報を見落としていることになる。仮にチラシを保存し顧客情報を記録したとしても、チラシの保管場所を必要とする上に、複数種類チラシがあると顧客情報の整理にも時間を要する。
【0007】よって広告の形態を問わず、顧客がいつどこでどの広告を閲覧してから来店したかという情報をデータベース化して管理すれば、顧客へのポイント優遇付与のみならず、企業や店舗にとってより有効な広告作成や経営計画に役立つものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】そこで本発明者は上記問題点に鑑み、広告による情報収集、広告閲覧を行った顧客が企業や店舗に来店し、商品やサービスの購入に至った場合に、顧客の広告閲覧情報と来店情報や購入情報を照合して自動的に優遇ポイントを計算し、付与することにより、顧客が事前に情報収集を行ったという広告閲覧行動から、顧客が実際に企業や店舗に来店して商品やサービスを購入したという消費行動までの流れを円滑に連動させることで、いわば「広告を閲覧しただけではない、実購買者又は実購買者となる可能性のある実訪問顧客」に対してのみ優遇措置を享受することが出来るポイントシステム及びポイント付与方法を実現している。これにより、インターネット広告をクリックしてポイントを蓄積するだけの購入意思のない顧客に対する広告宣伝費の削減が可能となる。又、インターネット広告に限らず全ての形態の広告をポイントの自動優遇付与の対象に出来るので、企業や店舗はポイントをその都度計算して付与するわずらわしい手間がなくなり、更に広告作成予算や対象年齢層や広告規模に応じて広告形態を変えることが可能である。
【0027】
【発明の実施の形態】本発明の実施態様の一例を図を用いて詳細に説明する。図1は本発明のポイントシステム1のシステム構成の一例である。尚、本発明に於ける企業や店舗への来店及び/又は商品やサービスの購入は、実在する店舗への来店、購入及びインターネット等のネットワーク12を介してアクセス出来る仮想店舗に於ける電子商取引(来店、購入)も含むものとする。
【0028】ポイントシステム1は企業や店舗に来店及び/又は商品やサービスを購入した顧客に対しポイントを付与する等のサービスを提供するものであり、通常はポイント事業者、カード会社等が有するシステムである。
【0029】ポイントシステム1はネットワーク12を介して店舗端末2又はユーザ端末8からアクセスすることが出来るシステムであり、店舗端末2及びユーザ端末8の例としてはネットワーク12に接続可能なコンピュータ、携帯電話、PHS等が挙げられる。
【0030】店舗端末2及びユーザ端末8には、データ送受信手段10と表示手段11が備わっていれば良い。
【0031】データ送受信手段10は、ポイントシステム1からの要求に対するデータを送信したり、ポイントシステム1から得られたデータを受信する手段である。データとは、顧客情報、企業や店舗の情報、ポイントデータ、来店情報や購入情報等の情報のことである。
【0032】表示手段11は、データ送受信手段10のデータ送受信結果を表示する手段である。
【0033】更に店舗端末2には、データ送受信手段10及び表示手段11の他に、カード3に記録された情報を読み込む読み込み手段15等があると良い。
【0034】カード3は顧客がポイントシステム1のサービスを利用出来ることを証明するカードであり、ポイントシステムアクセス手段20を有するものである。
【0035】ポイントシステムアクセス手段20は、ポイントシステム1に加盟している企業や店舗に備えられた店舗端末2に於いて、ネットワーク12を介してポイントシステム1が提供するサービスを利用する為の顧客認証手続きに入る手段である。ポイントシステムアクセス手段20に於いて送信したカード3の登録番号等のカード情報をポイントシステム1に於いて受信し、認証許可を経て、ポイントシステム1のサービスを利用することが出来る。
【0036】又、カード3内にはクレジットカード機能やデビットカード機能等を複数有している場合もある。更に、ポイント情報や来店情報や購入情報を蓄積することも可能である。
【0037】ポイントシステム1は、広告閲覧証明データベース4と来店・購入管理データベース5と顧客ポイントデータベース6と広告情報データベース17の内少なくとも一つ以上のデータベースを有するデータベースサーバ13とのデータの送受信がネットワーク12を介して可能である。又、データベースサーバ13はポイントシステム1内にあっても良いことは言うまでもない。
【0038】広告閲覧証明データベース4は、顧客が広告を閲覧したという広告閲覧情報を格納しているデータベースである。広告閲覧情報の一例としては、顧客が広告を閲覧した日時や、閲覧した広告の名称や広告を特定する広告識別番号等が挙げられる。広告閲覧情報は、広告を閲覧した顧客の顧客情報(氏名、電話番号等)、カード情報(カード番号、カード有効期限等)等と関連付けて広告閲覧証明データベース4に格納することは当然である。尚、広告閲覧証明データベース4及び格納される広告閲覧情報の管理や、情報の格納方法等については、広告管理会社や広告制作会社や広告代理店に委ねられている場合もある。
【0039】来店・購入管理データベース5は、顧客が企業や店舗に来店及び/又は商品やサービスを購入した際の来店情報や購入情報を格納しているデータベースである。来店情報や購入情報の一例としては、来店した日時、購入した商品、購入金額、クレジットカード払いか現金払いかの情報等が挙げられる。来店情報や購入情報は、顧客情報(氏名、電話番号等)、カード情報(カード番号、カード有効期限等)等と関連付けて来店・購入管理データベース5に格納されることは当然である。
【0040】顧客ポイントデータベース6は、顧客のポイント情報を格納しているデータベースである。ポイント情報は現時点の合計ポイント数の他に、これまでのポイント獲得履歴、ポイント還元履歴も含んでいる。ポイント情報は、顧客情報(氏名、電話番号等)、カード情報(カード番号、カード有効期限等)等と関連付けて顧客ポイントデータベース6に格納されることは当然である。
【0041】広告情報データベース17は、顧客に送信した広告の情報を格納しているデータベースである。広告情報に広告識別番号を付与することによって、広告を特定することが可能である。広告情報データベース17には、インターネット広告の他に、ダイレクトメールや新聞や雑誌の折り込み広告等の情報も格納される。

【0056】まず、図3に企業や店舗等が顧客に送信した広告の情報を登録する際のプロセスの流れの一例を示す。
【0057】企業や店舗は、顧客に対し広告情報を送信する(S10)。広告情報と呼ばれるものには、ユーザ端末8をネットワーク12に接続して閲覧するインターネットのウェブ画面上に表示されている広告、ダイレクトメール(郵送と電子メールによる2種類の送信方法がある)、不特定顧客向けのチラシ、インターネットのホームページ上やチラシ上に隠されたキーワード等がある。これらの広告には、顧客が当該広告を閲覧してから来店した場合や、当該広告に記載されている対象商品をある一定額以上購入した等の条件を満足した場合に、ポイントを従来の購入金額によるポイントよりも何点加算する又は何倍にする等といった情報が含まれている。具体的な数値条件は、企業や店舗により異なり設定することが出来るのは当然である。
【0058】上記広告を識別する為に、企業や店舗又は広告代理店等は顧客に送信した広告情報を登録しておく必要がある。
【0059】広告情報を登録するに際し、企業や店舗は店舗端末2又はユーザ端末8を使用して企業や店舗自身の認証許可を受ける。
【0060】ポイントシステム1は店舗端末2又はユーザ端末8から送信された企業や店舗の情報を店舗情報受信手段32に於いて受信すると(S20)、店舗情報認証手段33に於いてポイントシステム1に加盟している正規の企業や店舗か否かの認証手続きに入り(S30)、認証不可能な場合はエラーメッセージを送信し(S40)、正規の企業や店舗の情報の再入力を促す。
【0061】認証許可された企業や店舗は、登録したい広告情報を店舗端末2又はユーザ端末8から送信し、ポイントシステム1は当該広告情報を受信し、登録する(S50)。
【0062】登録された広告情報は、広告識別番号を付与され(S60)、広告情報データベース17に格納される(S70)。
【0063】次に、図4にポイントシステム1が広告を閲覧した顧客の広告閲覧証明を行う際のプロセスの流れの一例を示す。
【0064】広告を閲覧したことによって、ポイントを優遇してもらうというサービスを受けたい顧客は、広告閲覧証明手続きを行う必要がある。広告閲覧証明手続きを行う場所を広告の種類により変えることが可能である(S110)。図4はあくまでその一例を示す。インターネット広告を顧客の持っているユーザ端末8上で閲覧した場合は(S120)、その場で広告閲覧証明手続きを行う(S130)。特定顧客に送信されたダイレクトメールの場合は(S140)、ダイレクトメールを送信した企業や店舗又は広告代理店等が、顧客の広告閲覧証明手続きを代行する(S150)。不特定顧客向けのチラシ、ダイレクトメールを顧客が企業や店舗に来店の際に持参したり、店頭でキーワードを言う場合は(S160)、広告閲覧証明手続きを企業や店舗に備えられた店舗端末2に於いて行う(S170)。尚、チラシやダイレクトメールの広告情報は既に広告情報データベース17に格納されており、識別可能である為、上記広告閲覧証明手続き場所に限らず顧客の持っているユーザ端末8上で行うことも可能である(S130)。
【0065】S150又はS170に於いて、企業や店舗又は広告代理店等が顧客の閲覧証明手続きを行う場合、店舗端末2又はユーザ端末8から企業や店舗自身の認証手続きを行う。尚、企業や店舗の認証手続きは、当日初めて店舗端末2又はユーザ端末8に電源を投入して動かす時にのみ行えば、以後は省略可能である。
【0066】ポイントシステム1は店舗端末2又はユーザ端末8から送信された企業や店舗の情報を店舗情報受信手段32に於いて受信すると(S180、S210)、店舗情報認証手段33に於いて、ポイントシステム1に加盟している正規の企業や店舗か否かの認証手続きに入り(S190、S220)、認証不可能な場合はエラーメッセージを送信し(S200、S230)、正規の企業や店舗の情報の再入力を促す。
【0067】認証許可された企業や店舗は、顧客の広告閲覧証明手続きを代行することが出来る。広告閲覧証明手続きに必要となる広告情報を広告情報データベース17から検索し、抽出する(S240、S250)。
【0068】特定顧客へのダイレクトメールの広告閲覧証明手続きを企業や店舗が代行する場合は、店舗端末2又はユーザ端末8から当該広告情報を送信した顧客の顧客情報とともに送信し、広告閲覧証明送受信手段37に於いて受信し(S260)、広告閲覧証明データベース4に格納する(S270)。
【0069】顧客が企業や店舗に来店し、企業や店舗に備えられた店舗端末2に於いて広告閲覧証明手続きを行う場合は、顧客はカード3を提出し、店舗端末2の読み込み手段15に於いて読み込んだカード3のカード情報を送信し(S280)、顧客情報受信手段30に於いて受信する(S290)。尚、カード3を忘れた場合は、カード3を提出する必要はなく、カード情報又は個人情報の受信によって認証手続きを行えることは当然である。
【0070】顧客情報受信手段30でカード情報を受信し(S290)、顧客情報認証手段31に於いて、ポイントシステム1のサービスを利用出来る正規の顧客か否か確認し(S300)、認証不可能な場合はエラーメッセージを送信し(S310)、正規のカード情報の再入力を促す。
【0071】顧客が認証された場合は、広告閲覧証明データベース4に、広告を閲覧した顧客の顧客情報とともに、閲覧した日時、閲覧した広告名等の広告閲覧情報を格納する(S320)。
【0072】顧客がインターネット広告を顧客の持っているユーザ端末8等に於いて閲覧した場合は、インターネット画面上で広告閲覧証明手続きを行う。
【0073】インターネット画面上に於いて、顧客情報又はカード情報の入力を促す画面が出るので、ユーザ端末8から顧客情報又はカード情報を送信し、ポイントシステム1は顧客情報又はカード情報を受信する(S330)。
【0074】顧客情報受信手段30で顧客情報又はカード情報を受信し(S330)、顧客情報認証手段31に於いて、ポイントシステム1のサービスを利用出来る正規の顧客か否か確認し(S340)、認証不可能な場合はエラーメッセージを送信し(S350)、正規の顧客情報又はカード情報の再入力を促す。
【0075】顧客が認証された場合は、広告閲覧証明データベース4に、認証された顧客の情報とともに、閲覧した日時、閲覧した広告名等の広告閲覧情報を格納する(S360)。
【0076】本プロセスの流れを実現する為の具体例を挙げる。インターネット広告の場合は、図10に例示するように広告表示画面の中又は傍に「広告閲覧証明ボタン」等が用意されており、このボタンをクリックすることによって、S330からのフローに入れるようにしても良い。
【0077】又はお気に入りの企業や店舗を集めて作成したインターネット上の仮想店舗にログインする場合は、ログイン認証手続き以降クリックした全ての広告を閲覧したと見なし、広告閲覧証明データベース4に広告閲覧情報を格納しても良い。お気に入りの企業や店舗を集めて作成したインターネット上の仮想店舗は、特願2001-352602号発明を利用して、顧客の属性及び好みに合った広告を出している店舗によって構成されたものでも構わない。
【0078】又、ポイント優遇に関連するインターネット広告を閲覧したことがあるにもかかわらず広告閲覧証明手続きを怠った場合は、図11に例示するように顧客は来店前に携帯電話等のユーザ端末8から広告閲覧証明ページにアクセスして、広告閲覧証明手続きを行うことも出来る。
【0079】次に、図5に広告閲覧証明を行った顧客が来店した際に、ポイントシステム1がポイントを付与する際のプロセスの流れの一例を示す。
【0080】図4に於いて顧客の持っているユーザ端末8によって広告閲覧証明手続きを行った場合、又は企業や店舗が広告閲覧証明を既に代行している場合は、顧客が企業や店舗に来店した際に図5のAに進み、企業や店舗がポイントシステム1に加盟しているか否かの認証手続きを経る(S410)。
【0081】ポイントシステム1は店舗情報受信手段32に於いて企業や店舗に備えられた店舗端末2から送信された企業や店舗の情報を受信すると(S410)、店舗情報認証手段33に於いて、ポイントシステム1に加盟している正規の企業や店舗か否かの認証手続きを行い(S420)、認証不可能な場合はエラーメッセージを送信し(S430)、正規の企業や店舗の情報の再入力を促す。
【0082】次に来店した顧客の認証手続きを行う。顧客は企業や店舗に対し、ポイントを付与される顧客本人であることを示す為にカード3を提出し、店舗端末2の読み込み手段15に於いて読み込んだカード3のカード情報を送信し(S440)、顧客情報受信手段30に於いて受信する(S450)。カード3の盗難等による第三者の不正使用防止や偽造防止の為には、暗証番号を顧客に入力してもらっても良い。尚、インターネット等に於ける電子商取引の場合や、企業や店舗に来店したがカード3を忘れた場合は、カード3を提出する必要はなく、カード情報又は個人情報の受信によって認証手続きを行えることは当然である。
【0083】顧客のカード情報を受信し(S450)、顧客情報認証手段31に於いて、ポイントシステム1のサービスを利用出来る正規の顧客か否か確認し(S460)、認証不可能な場合はエラーメッセージを送信し(S470)、正規のカード情報の再入力を促す。
【0084】図4に於いて顧客が来店時に企業や店舗に備えられた店舗端末2を使用して広告閲覧証明手続きを行った場合は、企業や店舗の認証手続き及び顧客の認証手続きが済んでいる為、図5のBに進む。図5のB以降のステップは企業や店舗に来店した全ての顧客に対し、同一のプロセスである。
【0085】認証許可された顧客の来店した日時、購入した商品名、購入金額等といった来店情報や購入情報を来店・購入情報送受信手段34に於いて、来店・購入管理データベース5に格納する(S480)。
【0086】データ分析手段35に於いて、広告閲覧証明データベース4内の検索を行い(S490)、当該顧客が広告を閲覧したという広告閲覧情報が見つかった場合(S500)、更にこの広告閲覧情報がポイント付与条件と一致するか否かを判断する(S510)。
【0087】ポイント付与条件と同じ広告閲覧情報が見つからなかった場合は、その顧客は広告を閲覧してから来店した顧客ではないと見なし、ポイント付与手段36に於いて、商品やサービスの購入によって与えられる通常のポイントを計算し、付与する(S550)。
【0088】ポイント付与条件に合致する広告閲覧情報が見つかった場合は、更に来店・購入管理データベース5に格納された顧客の来店情報や購入情報が、ポイント付与条件と合致するか否かをデータ分析手段35に於いて判断する(S520)。
【0089】広告閲覧情報とポイント付与条件及び来店情報や購入情報とポイント付与条件が一致した場合は、ポイント付与手段36に於いて優遇ポイントを計算する(S530)。来店情報や購入情報とポイント付与条件のみが一致する場合もあり、この場合もポイントを計算する(S550)。
【0090】ポイント付与手段36に於いて計算されたポイントは、顧客ポイントデータベース6に格納される(S540)。

【0128】次にポイントを付与する対象店舗の設定情報を送受信する(S1020)。対象店舗は、ポイント事業者やカード会社がポイント付与条件の設定を行う場合はポイントシステム1に加盟している全ての企業や店舗の中から任意に選択することが可能である。一方、ポイントシステム1に加盟している企業や店舗は自身のみを対象店舗として設定することが出来る。
【0129】次にポイントを付与する対象となる来店情報や購入情報に関する設定情報の送受信を行う(S1050)。例えば、ポイント付与対象となる商品の設定や購入金額の設定や現金かカード払いかの設定や来店回数の設定等が来店情報や購入情報に関する設定情報となり得る。対象となる来店情報や購入情報が複数ある場合は(S1070)、S1060のステップに戻り、設定を追加する。

【0137】ポイント付与条件の設定情報に関する内容は、企業や店舗に委ねられ自由に設定出来るものであり、例えばS1050に於いて購入金額の設定を0円とすれば、それは顧客が商品やサービスを購入しなくても、来店しただけで優遇ポイントを付与するという意味になる。又、ポイント付与条件は一つのカテゴリに対して、複数のOR条件を指定することも可能であり、例えばS1050に於いて、対象商品を複数指定することが可能である。

(B-2)引用文献2に記載された事項
以上の記載によれば、単に来店して商品やサービスを購入した顧客よりもインターネット広告を含む広告を閲覧後に来店して商品やサービスを購入した顧客に対して優遇ポイントを付与するポイントシステム(【0001】)であって、当該システムは、「企業や店舗は、顧客に対し広告情報を送信」(【0057】)し、「これらの広告には、顧客が当該広告を閲覧してから来店した場合や、当該広告に記載されている対象商品をある一定額以上購入した等の条件を満足した場合に、ポイントを従来の購入金額によるポイントよりも何点加算する又は何倍にする等といった情報が含まれ」(【0057】)、「広告閲覧証明データベース4に、広告を閲覧した顧客の顧客情報とともに、閲覧した日時、閲覧した広告名等の広告閲覧情報を格納」し、(【0071】)「認証許可された顧客の来店した日時、購入した商品名、購入金額等といった来店情報や購入情報を来店・購入情報送受信手段34に於いて、来店・購入管理データベース5に格納」し(【0085】)、「広告閲覧証明データベース4内の検索を行い、当該顧客が広告を閲覧したという広告閲覧情報が見つかった場合、更にこの広告閲覧情報がポイント付与条件と一致するか否かを判断」し(【0086】)、「広告閲覧情報とポイント付与条件及び来店情報や購入情報とポイント付与条件が一致した場合は、ポイント付与手段36に於いて優遇ポイントを計算」し(【0089】)、「ポイント付与手段36に於いて計算されたポイントは、顧客ポイントデータベース6に格納される」(【0090】)構成を有することが記載されている。
ここで、「お気に入りの企業や店舗を集めて作成したインターネット上の仮想店舗」(【0077】)に表示された複数の広告の広告表示画面中又はその傍らの「広告閲覧証明ボタン」等(【0076】)のクリックによるユーザによる選択やそのような仮想店舗へのログイン認証移行クリックした全ての広告を閲覧したとみなして広告閲覧情報を格納しても良い(【0077】)旨が明示されており、これらの記載によれば、引用文献2の「ポイントシステム」(「通常はポイント事業者、カード会社等が有するシステム【0028】」)は、複数の企業や店舗に対応して広告を表示するインターネット上の仮想店舗の提供者がポイント事業者として運営するポイントシステムを含むものである。
この点、顧客がユーザ端末8上で閲覧する広告(【0064】)を「企業や店舗」が顧客に送信する(【0057】)にあたってどのように送信するか明示されていないところ、ポイントシステムは、顧客による広告の閲覧以前に、広告情報を登録したい企業や店舗から送信された広告を広告情報データベースに広告識別番号を付与して格納するものであり(【0061】【0062】)、少なくとも上記した「仮想店舗」に表示する広告を仮想店舗の提供者による「仮想店舗」の画面の送信に伴って送信するにあたっては、ポイント事業者である仮想店舗の提供者の「ポイントシステム」を経由してユーザ端末8へ送信することになるから、引用文献2の「ポイントシステム」は、顧客に広告を送信する仮想店舗の提供者のポイントシステムを含むものである。

(B-3)まとめ(引用文献2記載の技術)
してみると、引用文献2には、次の技術が記載されている。

顧客に広告を送信する仮想店舗の提供者のポイントシステムにおいて、
企業や店舗を集めて作成したインターネット上の仮想店舗のそれぞれの企業や店舗の広告を、この仮想店舗を表示する顧客のユーザ端末に表示させるべくこのユーザ端末へ送信し、(【0075】?【0076】)
これらの広告には、顧客が当該広告を閲覧してから来店した場合や、当該広告に記載されている対象商品をある一定額以上購入した等の条件を満足した場合に、ポイントを従来の購入金額によるポイントよりも何点加算する又は何倍にする等といった情報が含まれており(【0057】)、
ユーザ端末での、広告表示画面中又はその傍らの「広告閲覧証明ボタン」等(【0075】)のクリックや仮想店舗へのログイン認証移行の広告のクリックによって行われる広告閲覧証明手続きによって、広告閲覧証明データベースに、顧客の情報とともに、閲覧した日時、閲覧した広告名等の広告閲覧情報を格納し(【0072】?【0075】)、
企業や店舗に来店した全ての顧客に対して、認証許可された顧客の来店した日時、購入した商品名、購入金額等といった来店情報や購入情報を来店・購入管理データベースに格納し(【0085】)、広告閲覧証明データベース内で当該顧客が広告を閲覧したという広告閲覧情報が見つかった場合、この広告閲覧情報がポイント付与条件と一致するか否かを判断し(【0086】)、ポイント付与条件に合致する広告閲覧情報が見つかり、来店・購入管理データベースに格納された顧客の来店情報や購入情報がポイント付与条件と一致した場合は、優遇ポイントを計算して、顧客ポイントデータベースに格納する(【0088】?【0090】)、技術。

5.対比
本願発明と引用発明とを対比する。
(A)サーバ装置について
引用発明のサーバ装置100は、消費者からレシートなどの画像を受信し、ポイントを付与する構成を備えているものであり、以下において検討する相違点を除き、本願発明のサーバ装置に対応する。

(B)レシート画像について
引用発明では、消費者端末200からサーバ装置100に送信された「商品コードとレシート画像と買い物シーン画像」は、サーバ装置100において受信されており、サーバ装置100では、以下で検討するように、当該「レシート画像」を、消費者(ユーザ)が商品を購入したか否かの判断に用いているから、本願発明の、(ユーザが)商品を購入したことを示すレシート画像データに相当する。

(C)画像データ受信部について
引用発明では受信の構成が、「受信部1211は、消費者端末200から、消費者が読み取った商品コードと、裏づけ情報として、撮影したレシート画像と、消費者が購買した商品の画像や当該商品の買い物シーンの画像とを受信し」とある。しかし、受信部1211は、演算処理部121が備える機能部であることから、サーバ装置100の受信部とはいえない。サーバ装置100における外部とのネットワークに接続される構成は、「通信部110」であるから、当該通信部110が、本願発明の「商品を購入したことを示すレシート画像データを、前記ユーザ装置から受信するレシート画像データ受信部」に相当することは明らかである。
もっとも、上記「商品を購入したことを示すレシート画像データ」が、本願発明では、「ユーザ装置に表示させる広告対象の商品リストのデータであるリストデータを、前記ユーザ装置へ送信するリストデータ送信部」、「前記ユーザ装置で前記リストデータに基づいて表示された前記商品リストから一つの商品がユーザ注目商品として選択されたときに、当該ユーザ注目商品を示す注目商品データを前記ユーザ装置から受信する注目商品データ受信部」の構成を有し、「前記ユーザ注目商品を購入したことを示すレシート画像データ」であるのに対して、引用発明では、「リストデータ送信部」、「注目商品データ受信部」の構成を有さず、「前記ユーザ注目商品」であることが特定されていない点で相違する。

(D)購入判定部について
引用発明では、判定部1212において、識別情報とレシート情報と買い物シーン画像とのうちのいずれかを受信部1211が受信していない場合、消費者が商品を実際には購買していないと判定し、解析部1213において、レシート画像からレシート情報としてテキストデータを読み取り、レシート情報を解析し、消費者が購買した商品を推測し、商品コードに対応する商品と一致するか否かを検査し購買情報が不正な情報であるか否かを解析している。これらの判定・解析により、ユーザが(正しく)商品を購入したか否かを判定しているから、引用発明の「判定部1212」及び「解析部1213」が、本願発明の「前記レシート画像データに基づいて、商品が購入されたか否かを判定する購入判定部」に相当する。
もっとも、「商品」が、本願発明では、「前記ユーザ注目商品」であるのに対し、引用発明では、「前記ユーザ注目商品」であることが特定されていない点で相違する。

(E)ポイントバック処理部について
引用発明では、報酬付与部1219において、消費者が、商品コードやレシート画像、買い物シーン画像を登録した際に、報酬を付与するのであるから、当該報酬付与部は「商品が購入されたと判定された場合に、当該ユーザにポイントを付与するポイントバック処理を実行するポイントバック処理部」に相当する。
もっとも、「商品」が、本願発明では、「前記ユーザ注目商品」であるのに対し、引用発明では、「前記ユーザ注目商品」であることが特定されていない点で相違する。

(F)現金化処理部について
引用発明は現金化処理部に相当する構成は有していない。

(G)まとめ(一致点・相違点)
以上を総合すると、本願発明と引用発明とは以下の一致点で一致し相違点で相違する。

(一致点)
商品を購入したことを示すレシート画像データを、前記ユーザ装置から受信するレシート画像データ受信部と、
前記レシート画像データに基づいて、商品が購入されたか否かを判定する購入判定部と、
前記商品が購入されたと判定された場合に、当該ユーザにポイントを付与するポイントバック処理を実行するポイントバック処理部と、
を備えることを特徴とするサーバ装置。

(相違点)
相違点1
本願発明では、「ユーザ装置に表示させる広告対象の商品リストのデータであるリストデータを、前記ユーザ装置へ送信するリストデータ送信部」及び「前記ユーザ装置で前記リストデータに基づいて表示された前記商品リストから一つの商品がユーザ注目商品として選択されたときに、当該ユーザ注目商品を示す注目商品データを前記ユーザ装置から受信する注目商品データ受信部」を備え、レシート画像データに基づいて購入判定される「商品」が「ユーザ注目商品」であるのに対して、引用発明では、「リストデータ送信部」、「注目商品データ受信部」の構成を有さず、「商品」が「ユーザ注目商品」であることが特定されていない点 。

相違点2
本願発明では、「前記ユーザ装置から現金化要求を受信したときに、前記ユーザに付与されたポイントを現金化する現金化処理を実行する現金化処理部」を備えているのに対し、引用発明は、「現金化処理部」を備えていない点。

6.判断
(A)相違点1について
(A-1)
「4.」の(B)で示したように、引用文献2には、
顧客に広告を送信する仮想店舗の提供者のポイントシステムにおいて、
企業や店舗を集めて作成したインターネット上の仮想店舗のそれぞれの企業や店舗の広告を、この仮想店舗を表示する顧客のユーザ端末に表示させるべくこのユーザ端末へ送信し、(【0075】?【0076】)
これらの広告には、顧客が当該広告を閲覧してから来店した場合や、当該広告に記載されている対象商品をある一定額以上購入した等の条件を満足した場合に、ポイントを従来の購入金額によるポイントよりも何点加算する又は何倍にする等といった情報が含まれており(【0057】)、
ユーザ端末での、広告表示画面中又はその傍らの「広告閲覧証明ボタン」等(【0075】)のクリックや仮想店舗へのログイン認証移行の広告のクリックによって行われる広告閲覧証明手続きによって、広告閲覧証明データベースに、顧客の情報とともに、閲覧した日時、閲覧した広告名等の広告閲覧情報を格納し(【0072】?【0075】)、
企業や店舗に来店した全ての顧客に対して、認証許可された顧客の来店した日時、購入した商品名、購入金額等といった来店情報や購入情報を来店・購入管理データベースに格納し(【0085】)、広告閲覧証明データベース内で当該顧客が広告を閲覧したという広告閲覧情報が見つかった場合、この広告閲覧情報がポイント付与条件と一致するか否かを判断し(【0086】)、ポイント付与条件に合致する広告閲覧情報が見つかり、来店・購入管理データベースに格納された顧客の来店情報や購入情報がポイント付与条件と一致した場合は、優遇ポイントを計算して、顧客ポイントデータベースに格納する(【0088】?【0090】)、技術(以下、「引用文献2記載の技術」という。)
が記載されている。

ここで、引用文献2記載の技術における「(顧客の)ユーザ端末」及び「ポイントシステム」は、本願発明の「ユーザ装置」及び「サーバ装置」に対応しており、引用文献2記載の技術における「広告」は、対象商品を明示したり当該広告を送信した企業や店舗の商品が優遇ポイントの対象商品であることをユーザに示すものであるところ、サーバ装置からユーザ装置にインターネット上の仮想店舗のそれぞれの企業や店舗の広告を表示するために送信されるデータは、本願発明の「ユーザ装置に表示させる広告対象の商品を示すデータ」に相当するといえる。
上記ユーザ装置に表示させる広告の表示の態様について検討するに、引用文献2の「次にポイントを付与する対象となる来店情報や購入情報に関する設定情報の送受信を行う(S1050)。例えば、ポイント付与対象となる商品の設定や購入金額の設定や現金かカード払いかの設定や来店回数の設定等が来店情報や購入情報に関する設定情報となり得る。」(【0129】)、「ポイント付与条件の設定情報に関する内容は、企業や店舗に委ねられ自由に設定出来るものであり、例えばS1050に於いて購入金額の設定を0円とすれば、それは顧客が商品やサービスを購入しなくても、来店しただけで優遇ポイントを付与するという意味になる。又、ポイント付与条件は一つのカテゴリに対して、複数のOR条件を指定することも可能であり、例えばS1050に於いて、対象商品を複数指定することが可能である。」(【0137】)の記載をみれば、引用文献2記載の技術における広告は、購入の対象となる商品についてのものであって、広告を閲覧したことによるポイントの付与は、商品単位を前提になされる(【0129】)ものの、複数の商品を一つの広告において指定することも可能(【0137】)とされている。つまりこれらの記載によれば、広告を閲覧したことによるポイントの付与は購入の対象となる商品単位で可能で単数でも複数でも構わないし、複数の商品についての広告を一つの広告として表示することも、一つの商品についての広告を一つの広告として複数表示することも、いずれも可能であることが示されている。
さらに、引用文献2記載の技術においては、「ユーザ装置に表示させる広告対象の商品を示すデータ」を受信して表示された、インターネット上の仮想店舗のそれぞれの企業や店舗の広告の広告表示画面中又はその傍らの「広告閲覧証明ボタン」等(【0075】)のクリックや仮想店舗へのログイン認証移行の広告のクリックによって行われる広告閲覧証明手続きによって広告閲覧証明データベースに閲覧した日時、閲覧した広告名等の広告閲覧情報を格納するために、この広告閲覧証明手続きに伴う広告とこれを閲覧した日時を特定するデータがユーザ装置からサーバ装置に送信される必要があり、このデータは、閲覧したことの証明を求める広告としてユーザが選択した広告に掲載された商品がユーザ注目商品であることを示しているといえるから、引用文献2記載の技術は、ユーザ装置で送信された広告対象の商品のデータに基づいて表示された広告対象の商品から選択されたユーザ注目商品を示す注目商品データをユーザ装置から受信するものである点で、本願発明と共通しているといえる。
つまり、引用文献2記載の技術は、いうなれば、ユーザ装置に表示させる広告対象の商品を示すデータを、前記ユーザ装置へ送信するデータ送信部と、前記ユーザ装置で前記データに基づいて商品単位で表示された前記広告から一つの広告がユーザ注目情報として選択されたときに、当該ユーザ注目商品を示す注目商品データを前記ユーザ装置から受信する注目商品データ受信部と、
ユーザ注目商品が購入されたと判定された場合に、ユーザにポイント(優遇ポイントから「従来の購入金額によるポイント」を差し引いた分のポイント)を付与するポイントバック処理を実行するポイントバック処理部と、
を備えたサーバ装置
であるということができる。

(A-2)
引用発明と引用文献2記載の技術は、いずれも、ユーザの商品購入に基づきポイントバックを行うための技術であって、技術分野や主要構成を共通にし、相互に組み合わせ可能な技術であって、組み合わせの阻害要因は見当たらない。また、上記引用文献2記載の技術における広告の表示の態様のうち、商品ごとに複数の広告を表示するものでは、表示される複数の広告は、商品のリストといいうるものであるから、「広告対象の商品」を「商品リスト」として示す点は、引用文献2において、記載されているに等しいといえ、またそうでないとしても、当業者による設計的事項といえるものである。
してみると、引用発明と引用文献2記載の技術とを組み合わせて、本願発明の相違点1に係る構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。

(B)相違点2について
商品を購入した際などに付与されるポイントを、現金化処理して使い勝手を向上させることは、下記の周知文献などにあるとおり、本願出願前普通に行われていたことであるから、引用発明において相違点2の構成を採用することは当業者が容易に為し得たことである。

周知例
特開2009-163437号公報(特に【0048】等参照)
特許第4246784号公報(特に【0033】、【0053】等参照)

(C)効果等
以上のように、上記相違点は、当業者が容易に想到し得たものと認められ、本願発明全体としてみても格別のものはなく、その作用効果も、上記相違点に係る構成の採用に伴って当然に予測される程度のものにすぎず、格別顕著なものがあるとは認められない。

(D)請求人の主張について
請求人は、審判請求書において「予め決められた商品としか交換できない「ポイント」という汎用性の低い価値を、いかなる商品とも交換できる「現金」という汎用性の高い価値と交換できるようにする、という技術的思想は、開示も示唆もされていません。」と主張する。
しかしながら、ポイントを「現金」に交換可能とすることは、上記(B)で判断したように、本願出願前普通に採用されていた構成であるから、この点が格別であるということはできない。

7.むすび
以上のとおり、本件補正発明は、引用文献1に記載された発明、引用文献2に記載された技術及び周知技術に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2019-04-23 
結審通知日 2019-05-07 
審決日 2019-05-20 
出願番号 特願2016-25439(P2016-25439)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06Q)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 関 博文  
特許庁審判長 佐藤 智康
特許庁審判官 渡邊 聡
相崎 裕恒
発明の名称 サーバ装置  
代理人 森田 耕司  
代理人 野本 裕史  
代理人 津田 理  
代理人 大野 聖二  
代理人 酒谷 誠一  
代理人 松野 知紘  

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