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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G02B
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 G02B
管理番号 1353032
審判番号 不服2018-7773  
総通号数 236 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-08-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-06-06 
確定日 2019-07-23 
事件の表示 特願2015-528503「視覚装置」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 2月27日国際公開、WO2014/031326、平成27年11月12日国内公表、特表2015-532728、請求項の数(5)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2013年(平成25年)8月6日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2012年(平成24年)8月21日、米国)にした国際出願であって、その手続の経緯は次のとおりである。
平成28年 6月 8日 :手続補正書
平成29年 6月13日付け:拒絶理由通知書(同年6月20日発送)
平成29年 9月20日 :意見書
平成30年 1月30日付け:拒絶査定(同年2月6日送達)
平成30年 6月 6日 :審判請求書
平成31年 2月26日付け:拒絶理由通知書(最初、同年3月5日
発送)
令和 元年 6月 4日 :意見書・手続補正書

第2 原査定の拒絶の理由及び平成31年2月26日付け当審拒絶理由の概要
1 原査定の拒絶の理由の概要は次のとおりである。
(1)引用文献1に記載された発明を主引用発明とする進歩性欠如
本願の請求項1及び2に係る発明は、引用文献1に記載された発明及び引用文献2に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
本願の請求項3に係る発明は、引用文献1に記載された発明、引用文献2に記載された技術的事項及び引用文献3に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
本願の請求項5に係る発明は、引用文献1に記載された発明、引用文献2に記載された技術的事項及び引用文献4に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
なお、本願の請求項4に係る発明は、この理由で拒絶されていない。

(2)引用文献5に記載された発明を主引用発明とする進歩性欠如
本願の請求項1及び4に係る発明は、引用文献5に記載された発明及び引用文献2に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
本願の請求項3に係る発明は、引用文献5に記載された発明、引用文献2に記載された技術的事項及び引用文献3に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
なお、本願の請求項2及び5に係る発明は、この理由で拒絶されていない。

引用文献等一覧
1.特開平6-51264号公報
2.特開2009-47819号公報
3.特開2005-148207号公報
4.特開2010-102077号公報
5.特開平9-96780号公報

2 平成31年2月26日付け当審拒絶理由(以下、単に「当審拒絶理由」という。)の概要は次のとおりである。
(1)本願の請求項1?5に記載された「有効画素解像度」が明確でないから、本願は特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

(2)本願の請求項1?5に係る発明は、出願時の技術常識に照らしても、この範囲にまで発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できるとはいえないから、本願は特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。

第3 本願発明の認定
本願の請求項1?5に係る発明(以下「本願発明1」?「本願発明5」という。)は、令和元年6月4日に提出された手続補正書(以下、この「手続補正書」による補正を「本件補正」という。)によって補正された特許請求の範囲の請求項1?5に記載された、次のとおりのものである。

[本願発明1]
「第1結像光を投影するプロジェクタと、
前記プロジェクタから投影された前記第1結像光を受光し、観者が見るための前記受光された第1結像光を反射する偏光ビームスプリッタプレートと、を含み、
前記偏光ビームスプリッタプレートは、第2画像を受光するとともに、前記観者が見るための前記第2画像を透過し、
第1基材と、
前記第1基材に接着された多層光学フィルム反射性偏光子であって、第1偏光状態の偏光を実質的に反射し、前記第1偏光状態に対して垂直な第2偏光状態の偏光を実質的に透過する、多層光学フィルム反射性偏光子と、
第1最外主表面と、
前記第1最外主表面と約20°未満の角度を形成する反対側の第2最外主表面と、を含み、
前記偏光ビームスプリッタプレートは、前記受光された第1結像光を前記観者に向かって反射し、前記反射された第1結像光は、12μm未満の有効画素解像度を有し、
前記多層光学フィルム反射性偏光子は、45nm未満の表面粗さRa又は80nm未満の表面粗さRqを有する、視覚装置。」

[本願発明2]
「前記第2画像は、周囲画像である、請求項1に記載の視覚装置。」

[本願発明3]
「前記偏光ビームスプリッタプレートの前記第1最外主表面と前記第2最外主表面との間の最大間隔に対する前記偏光ビームスプリッタプレートの最小横寸法の比が、10超である、請求項1に記載の視覚装置。」

[本願発明4]
「前記偏光ビームスプリッタプレートは、前記受光された第1結像光を前記観者又はスクリーンに向かって反射し、前記反射された第1結像光は、9μm未満の有効画素解像度を有する、請求項1に記載の視覚装置。」

[本願発明5]
「観者の頭部に装着されるように構成されたフレームと、
前記フレームが観者の頭部に装着されたとき、前記偏光ビームスプリッタプレートが前記観者の目の方を向くとともに、前記プロジェクタが前記観者の頭部の側部に配設されるように、前記フレームに取り付けられた、請求項1に記載の視覚装置と、を含む、頭部装着型投影ディスプレイ。」

第4 引用文献に記載された事項の認定
1 引用文献1(特開平6-51264号公報)について
(1)原査定が引用した引用文献1には、次の記載がある(下線は当審が付した。以下同じ。)。
ア 「【特許請求の範囲】」、
「映像を表示する液晶表示素子と、前記液晶表示素子からの映像と外界像とを合成する合成光学系を有する頭部装着型映像表示装置において、前記合成光学系が、前記液晶表示素子からの特定の偏光方向の光に対して偏光反射特性を持つように構成されていることを特徴とする頭部装着型映像表示装置。」(【請求項1】)

イ 「【実施例】」、
「以下、本発明の原理と実施例について図面を参照にして説明する。液晶表示素子から出る光は、通常特定方向に直線偏光している。液晶表示素子の1例を図5に図示する。これは、高解像アクティブマトリックス型液晶表示素子の構成の1例を示すもので、簡単に説明すると、液晶10が2枚のガラス基板11、12の間に封入されており、一方の基板11の内面にはカラーフィルター層13と共通電極14が、他方の基板12の内面にはデータ線15と走査線16がマトリックス状に配置され、それらの交点にTFT(薄膜トランジスター)17と透明駆動電極18が接続されており、両基板11、12の外側には相互に直交する偏光板19、20が配置された構造になっている。駆動電極18と共通電極14の間に電圧が印加されていない場合、偏光板20を通過した直線偏光は、その部分の例えばTNモード液晶10により偏光方向が90°回転され、他方の偏光板19を通過するが、両電極18、14間に電圧が印加されると、液晶10は旋光性を失い、偏光面が回転せず、他方の偏光板19でブロックされて通過できない。したがって、このような液晶表示素子の表示像は特定方向に直線偏光している。そのため、このような光と外界光を合成する合成光学系として、例えば偏光性干渉フィルターを用いる。これは、斜め入射の干渉フィルターからなる偏光子の一種で、例えばS偏光は100%反射し、P偏光は100%透過させるものである。このような合成光学系を用いると、液晶表示素子から発せられる光の偏光を全て反射させるよう設計でき、電子像の殆どが観察者の眼に入射し、明るい像を表示することができる。」(【0008】)、
「その第1の実施例を図1を参照にして説明する。従来のハーフミラーの代わりに用いられる偏光性干渉フィルター23は、ガラス21表面に設けられた誘電体多層膜の干渉フィルター22からなり、この場合、S偏光を全て反射し、P偏光を通過するように構成されている。光源9からの光はレンズ7により平行にされ、図5に例示したような液晶表示素子1を照明する。この液晶表示素子1からの光は、この場合、紙面に垂直なS偏光に偏光している。この光は、レンズ8を経て偏光性干渉フィルター23に入射し、全てその面で反射され、眼4に入射する。また、外界光5に関しては、自然偏光であるため、その中のP成分のみが透過し、眼4に達する。したがって、外界光5の一部と液晶表示素子1の電子像は、偏光性干渉フィルター23で重なって眼4に入射し、明るい電子像が観察される。このように、合成光学系として、偏光性干渉フィルター23を用いることによって、電子像を明るくすることができる。」(【0009】)


ウ 「以上、本発明の頭部装着型映像表示装置をいくつかの実施例に基づいて説明してきたが、本発明はこれら実施例に限定されず種々の変形が可能である。例えば、合成光学系系として、以上の実施例においては、何れも偏光性干渉フィルターを用いるものとしたが、これ以外に公知の偏光ビームスプリッター、例えば、複屈折結晶からなるプリズム等を用いることもできる。」(【0012】)

(2)上記(1)によれば、引用文献1には次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。なお、参考までに、引用発明の認定に用いた段落番号等を括弧内に記載してある(以下、同じ。)。
「映像を表示する液晶表示素子と、前記液晶表示素子からの映像と外界像とを合成する合成光学系を有する頭部装着型映像表示装置において、前記合成光学系が、前記液晶表示素子からの特定の偏光方向の光に対して偏光反射特性を持つように構成されている頭部装着型映像表示装置であって、(【請求項1】)
合成光学系として、偏光性干渉フィルターを用い、(【0008】)
偏光性干渉フィルター23は、ガラス21表面に設けられた誘電体多層膜の干渉フィルター22からなり、この場合、S偏光を全て反射し、P偏光を通過するように構成されている、(【0009】)
映像表示装置。」

2 引用文献2(特開2009-47819号公報)について
原査定が引用した引用文献2には、次の技術的事項が記載されていると認められる。
「DBEF-Dフィルムは高分子フィルムであり、通常使用されている多層膜よりはるかに厚く、それが入射光に対して斜めに配置されることになるので、非点隔差が発生してしまうこと。」(【0022】)、
「偏光分離機能を持つ第1平行平板層106Aが、ある程度の厚みを有するDBEF-Dフィルムであるとき、その第1平行平板層106Aを起因とする非点隔差が生じるので、その非点隔差を第2平行平板層108Aで補正できるように、ガラスプリズム、第1平行平板層、第2平行平板層の諸元を設定したこと。」(【0074】・【0082】)




3 引用文献5(特開平9-96780号公報)について
(1)原査定が引用した引用文献5には、次の技術的事項が記載されていると認められる。
ア 「【特許請求の範囲】」、
「可視光を発光する光源部と、
P偏光を円偏光に変換する1/4波長板と、透明電極、2次元アレー状電極、この2次元アレー状電極に接続されたスイッチおよびこれら2つの電極の間に密着して挿入された光変調層とを少なくとも有し前記スイッチに電気信号を加えて前記透明電極を透過して前記光変調層に入射する光を変調すると共にこの変調光を前記2次元アレー状電極で反射させ再び光変調層および透明電極を透過させて電気信号に応じた光画像を形成する空間光変調素子と、を具備したP偏光変調光学部と、
S偏光を円偏光に変換する1/4波長板と、透明電極、2次元アレー状電極、この2次元アレー状電極に接続されたスイッチおよびこれら2つの電極の間に密着して挿入された光変調層を少なくとも有し前記スイッチに電気信号を加えて前記透明電極を透過して前記光変調層に入射する光を変調すると共にこの変調光を前記2次元アレー状電極で反射させ再び光変調層および透明電極を透過させて電気信号に応じた光画像を形成する空間光変調素子と、を具備したS偏光変調光学部と、
前記可視光に含まれるP偏光とS偏光とを分離して各別の前記1/4波長板に出射すると共に、右眼用画像信号(または左眼用画像信号)で変調されたS偏光と、左眼用画像信号(または右眼用画像信号)で変調されたP偏光とを出射する偏光ビームスプリッタと、
この偏光ビームスプリッタから出射された右眼用画像信号(または左眼用画像信号)で変調されたS偏光と左眼用画像信号(または右眼用画像信号)で変調されたP偏光とを同時に拡大投射するアパーチャを持つ投射光学部と、
この投射光学部から出射される右眼用画像および左眼用画像の偏光方向を保持しつつ、反射または透過させるスクリーンと、
このスクリーンによって反射または透過された互いに偏光方向が異なる右眼用画像および左眼用画像を観察者の右眼、左眼に各々導く偏光眼鏡と、
を少なくとも具備することを特徴とする投射型立体画像表示システム。」(【請求項1】)

イ 「《光路分離・合成部8の変形例》図1に示した光路分離・合成部8は、プリズムを用いた偏光ビームスプリッタ16によって構成されていたが、この偏光ビームスプリッタ16の代わりに、図18に示すように、平面状の偏光ビームスプリッタ130によって構成することもできる。この偏光ビームスプリッタの両面には、それぞれ誘電体多層膜ミラー132、133が積層されている。」(【0102】)


ウ 図18及び【0102】によれば、平面状の偏光ビームスプリッタ130は、透明基板131の両面にそれぞれ誘電体多層膜ミラー132、133が積層されているものと認められる。

エ 図18によれば、平面状の偏光ビームスプリッタ130は、P偏光変調光学部10から出射された光を反射するとともに、S偏光変調部11から出射された光を透過するものと認められる。

(2)上記(1)によれば、引用文献5には次の発明(以下「引用発明5」という。)が記載されていると認められる。
「可視光を発光する光源部と、
P偏光を円偏光に変換する1/4波長板と、空間光変調素子と、を具備したP偏光変調光学部と、
S偏光を円偏光に変換する1/4波長板と、空間光変調素子と、を具備したS偏光変調光学部と、
前記可視光に含まれるP偏光とS偏光とを分離して各別の前記1/4波長板に出射すると共に、右眼用画像信号(または左眼用画像信号)で変調されたS偏光と、左眼用画像信号(または右眼用画像信号)で変調されたP偏光とを出射する偏光ビームスプリッタと、
この偏光ビームスプリッタから出射された右眼用画像信号(または左眼用画像信号)で変調されたS偏光と左眼用画像信号(または右眼用画像信号)で変調されたP偏光とを同時に拡大投射するアパーチャを持つ投射光学部と、
この投射光学部から出射される右眼用画像および左眼用画像の偏光方向を保持しつつ、反射または透過させるスクリーンと、
このスクリーンによって反射または透過された互いに偏光方向が異なる右眼用画像および左眼用画像を観察者の右眼、左眼に各々導く偏光眼鏡と、
を少なくとも具備する投射型立体画像表示システムであって、(【請求項1】)
前記偏光ビームスプリッタは、平面状の偏光ビームスプリッタ130であって、透明基板131の両面にそれぞれ誘電体多層膜ミラー132、133が積層されており、(上記(1)ウ)
平面状の偏光ビームスプリッタ130は、P偏光変調光学部10から出射された光を反射するとともに、S偏光変調部11から出射された光を透過する、(上記(1)エ)
投写型立体画像表示システム。」

第4 原査定における拒絶の理由に対する判断
1 引用文献1に記載された発明を主引用発明とする進歩性欠如について
(1)本願発明1について
ア 対比
(ア)本願発明1の「第1結像光を投影するプロジェクタと、」との特定事項について
a 引用発明1の「映像を表示する液晶表示素子」は、それ「からの映像」を「頭部装着型映像表示装置」たりうるように「表示」するためのものであるから、本願発明1でいう「第1結像光を投影するプロジェクタ」としての作用を奏するといえる。

b よって、引用発明1は、本願発明1の上記特定事項を備える。

(イ)本願発明1の「前記プロジェクタから投影された前記第1結像光を受光し、観者が見るための前記受光された第1結像光を反射する偏光ビームスプリッタプレートと、を含み、」との特定事項について
a 引用発明1の「ガラス21表面に設けられた誘電体多層膜の干渉フィルター22からな」る「偏光性干渉フィルター23」は、本願発明1の「偏光ビームスプリッタプレート」に相当する。

b 引用発明1の「前記合成光学系」、すなわち、「偏光性干渉フィルター」は、「前記液晶表示素子からの特定の偏光方向の光に対して偏光反射特性を持つ」のであるから、上記(ア)にも照らせば、本願発明1でいう「前記プロジェクタから投影された前記第1結像光を受光し、観者が見るための前記受光された第1結像光を反射する」ものといえる。

c よって、引用発明1は、本願発明1の上記特定事項を備える。

(ウ)本願発明1の「前記偏光ビームスプリッタプレート」に係る特定事項について
a 本願発明1の「第2画像を受光するとともに、前記観者が見るための前記第2画像を透過し、」との特定事項について
(a)引用発明1の「外界像」は、本願発明1の「第2画像」に相当する。

(b)引用発明1の「前記合成光学系」、すなわち、「偏光性干渉フィルター」は、「前記液晶表示素子からの映像と外界像とを合成する」ものであるとともに、「前記液晶表示素子からの特定の偏光方向の光に対して偏光反射特性を持つ」のであるから、「外界像」を透過するものであると認められる。そうすると、引用発明1の「偏光性干渉フィルター」(本願発明1の「偏光ビームスプリッタプレート」に相当。)は、本願発明1でいう「第2画像を受光するとともに、前記観者が見るための前記第2画像を透過」するものといえる。

(c)よって、引用発明1は、本願発明1の上記特定事項を備える。

b 本願発明1の「第1基材と、」との特定事項について
(a)引用発明1の「偏光性干渉フィルター」が有する「ガラス21」は、本願発明1の「第1基材」に相当する。

(b)よって、引用発明1は、本願発明1の上記特定事項を備える。

c 本願発明1の「前記第1基材に接着された多層光学フィルム反射性偏光子であって、第1偏光状態の偏光を実質的に反射し、前記第1偏光状態に対して垂直な第2偏光状態の偏光を実質的に透過する、多層光学フィルム反射性偏光子と、」との特定事項について
(a)引用発明1の「偏光性干渉フィルター23」は、「S偏光を全て反射し、P偏光を通過するように構成」されているとともに、「ガラス21表面に設けられた誘電体多層膜の干渉フィルター22からな」るから、本願発明1の上記特定事項とは、「前記第1基材」に設けられた「反射性偏光子」であって、「第1偏光状態の偏光を実質的に反射し、前記第1偏光状態に対して垂直な第2偏光状態の偏光を実質的に透過する」「反射性偏光子」である点で一致する。

(b)よって、引用発明1は、「前記第1基材に」設けられた「反射性偏光子であって、第1偏光状態の偏光を実質的に反射し、前記第1偏光状態に対して垂直な第2偏光状態の偏光を実質的に透過する、」「反射性偏光子」との特定事項を備える。
しかし、引用発明1の「偏光性干渉フィルター23」は、「ガラス21」(本願発明1の「第1基材」に相当。)に「接着」されているとはいえず、また、「多層光学フィルム反射性偏光子」ともいえない。

d 本願発明1の「第1最外主表面と、」との特定事項について
(a)引用発明1の「偏光性干渉フィルター23」が、本願発明1でいう「第1最外主表面」を備えることは明らかである。

(b)よって、引用発明1は、本願発明1の上記特定事項を備える。

e 本願発明1の「前記第1最外主表面と約20°未満の角度を形成する反対側の第2最外主表面と、を含み、」との特定事項について
(a)引用発明1の「偏光性干渉フィルター23」が、本願発明1でいう「前記第1最外主表面と」「反対側の第2最外主表面」を備えることは明らかである。

(b)しかし、引用発明1の「偏光性干渉フィルター23」の「第1最外主表面」と「第2最外主表面」とが「約20°未満の角度を形成」しているのかは、不明である。

(c)このように、引用発明1は、本願発明1でいう「前記第1最外主表面と」「反対側の第2最外主表面と、を含み、」との特定事項を備えるが、その「第1最外主表面」とその「第2最外主表面」とが「約20°未満の角度を形成」しているのかは、不明である。

f 本願発明1の「前記偏光ビームスプリッタプレートは、前記受光された第1結像光を前記観者に向かって反射し、前記反射された第1結像光は、12μm未満の有効画素解像度を有し、」との特定事項について
(a)上記(イ)によれば、引用発明1は、本願発明1の「前記偏光ビームスプリッタプレートは、前記受光された第1結像光を前記観者に向かって反射し、」との特定事項を備える。

(b)しかし、引用発明1が、本願発明1の「前記反射された第1結像光は、12μm未満の有効画素解像度を有し、」との特定事項を備えるのかは、不明である。

(エ)本願発明1の「前記多層光学フィルム反射性偏光子は、45nm未満の表面粗さRa又は80nm未満の表面粗さRqを有する、」との特定事項について
引用発明1が、本願発明1の上記特定事項を備えるのかは、不明である。

(オ)本願発明1の「視覚装置」との特定事項について
a 引用発明1の「映像表示装置」は、本願発明1の「視覚装置」に相当する。

b よって、引用発明1は、本願発明1の上記特定事項を備える。

イ 一致点及び相違点の認定
上記アによれば、本願発明1と引用発明1とは、
「第1結像光を投影するプロジェクタと、
前記プロジェクタから投影された前記第1結像光を受光し、観者が見るための前記受光された第1結像光を反射する偏光ビームスプリッタプレートと、を含み、
前記偏光ビームスプリッタプレートは、第2画像を受光するとともに、前記観者が見るための前記第2画像を透過し、
第1基材と、
前記第1基材に設けられた反射性偏光子であって、第1偏光状態の偏光を実質的に反射し、前記第1偏光状態に対して垂直な第2偏光状態の偏光を実質的に透過する、反射性偏光子と、
第1最外主表面と、
前記第1最外主表面と反対側の第2最外主表面と、を含み、
前記偏光ビームスプリッタプレートは、前記受光された第1結像光を前記観者に向かって反射する、
視覚装置。」である点で一致し、次の点で相違する。

[相違点1]
「前記第1基材に設けられた反射性偏光子」が、本願発明1は「前記第1基材に接着された多層光学フィルム反射性偏光子」であって、「45nm未満の表面粗さRa又は80nm未満の表面粗さRqを有する」のに対し、引用発明1は、ガラス21表面に設けられた誘電体多層膜の干渉フィルター22であって、表面粗さは不明である点。

[相違点2]
「前記第1最外主表面」と「反対側の第2最外主表面」とが形成する角度が、本願発明1は、「約20°未満の角度」であるのに対し、引用発明1は、そうであるのか不明である点。

[相違点3]
「前記反射された第1結像光」が、本願発明1は、「12μm未満の有効画素解像度を有し」ているのに対し、引用発明1は、そうであるのか不明である点。

ウ 相違点1及び3の判断
(ア)相違点1及び3は、関連していると解されるので、まとめて判断をする。
本願発明1は、多層光学フィルム反射性偏光子によって反射された第1結像光の「有効画素解像度」を改善させるものと解されるところ、かかる「有効画素解像度」は、本願明細書【0026】の「偏光子から反射した結像光116が歪まず、かつ、高有効解像度を有するように、反射偏光子106が平坦であることは非常に重要である。」との記載に照らせば、「多層光学フィルム反射性偏光子」の「表面粗さ」を小さくすることにより改善されると解される。
他方、上記3の2によれば、引用文献2は、高分子フィルムであるDBEF-Dフィルムを起因とする非点隔差を補正することを記載するけれども、DBEF-Dフィルムの表面粗さを小さくすることについて記載しない。そうすると、引用文献2に記載された技術的事項は、多層光学フィルム反射性偏光子によって反射された第1結像光の「有効画素解像度」を改善させるものではない。
よって、引用発明1に引用文献2に記載された技術的事項を適用できたとしても、相違点1及び3の構成に至らない。

(イ)原査定は、光学系が有限の解像度を有することは技術常識であり、当該光学系の用途に応じて解像度を設定することは、当業者が慣用的に行っているものであるところ、引用文献2には、所望の有効解像度を得るための解決方法が記載されているから、相違点3は格別ではない旨判断する。
しかしながら、上記(ア)で説示したとおり、引用文献2に記載された技術的事項は、あくまで、非点隔差を補正するにとどまるのであって、本願発明1でいう、多層光学フィルム反射性偏光子によって反射された第1結像光の「有効画素解像度」を改善するものではない。
よって、原査定の上記判断を維持することはできない。

エ 本願発明1についての小括
したがって、相違点2について判断するまでもなく、本願発明1は、引用発明1及び引用文献2に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
そして、この判断は、引用文献3及び4に記載された技術的事項を考慮しても、左右されない。

(2)本願発明2,3及び5について
本願発明2,3及び5は、本願発明1と同様に、相違点1及び3に係る構成を含むものであるから、上記(1)と同様の理由により、引用発明1及び引用文献2?4に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(3)引用文献1に記載された発明を主引用発明とする進歩性欠如についての小括
よって、原査定がした引用文献1に記載された発明を主引用発明とする進歩性欠如の判断は、維持できない。

2 引用文献5に記載された発明を主引用発明とする進歩性欠如について
(1)本願発明1について
ア 対比
(ア)本願発明1の「第1結像光を投影するプロジェクタと、」との特定事項について
a 引用発明5の「P偏光を円偏光に変換する1/4波長板と、空間光変調素子と、を具備したP偏光変調光学部」は、当該P偏光変調光学部から出射された光を「投射型立体画像表示システム」たりうるように表示するためのものであるから、本願発明1でいう「第1結像光を投影するプロジェクタ」としての作用を奏するといえる。

b よって、引用発明5は、本願発明1の上記特定事項を備える。

(イ)本願発明1の「前記プロジェクタから投影された前記第1結像光を受光し、観者が見るための前記受光された第1結像光を反射する偏光ビームスプリッタプレートと、を含み、」との特定事項について
a 引用発明5の「透明基板131の両面にそれぞれ誘電体多層膜ミラー132、133が積層されている」「平面状の偏光ビームスプリッタ130」は、本願発明1の「偏光ビームスプリッタプレート」に相当する。

b 引用発明5の「平面状の偏光ビームスプリッタ130」は、「P偏光変調光学部10から出射された光を反射する」から、上記(ア)にも照らせば、本願発明1でいう「前記プロジェクタから投影された前記第1結像光を受光し、観者が見るための前記受光された第1結像光を反射する」ものといえる。

c よって、引用発明5は、本願発明1の上記特定事項を備える。

(ウ)本願発明1の「前記偏光ビームスプリッタプレート」に係る特定事項について
a 本願発明1の「第2画像を受光するとともに、前記観者が見るための前記第2画像を透過し、」との特定事項について
(a)引用発明5の「平面状の偏光ビームスプリッタ130」は、「S偏光変調部11から出射された光を透過する」から、本願発明1でいう「第2画像を受光するとともに、前記観者が見るための前記第2画像を透過」するものといえる。

(b)よって、引用発明5は、本願発明1の上記特定事項を備える。

b 本願発明1の「第1基材と、」との特定事項について
(a)引用発明5の「透明基板131」は、本願発明1の「第1基材」に相当する。

(b)よって、引用発明5は、本願発明1の上記特定事項を備える。

c 本願発明1の「前記第1基材に接着された多層光学フィルム反射性偏光子であって、第1偏光状態の偏光を実質的に反射し、前記第1偏光状態に対して垂直な第2偏光状態の偏光を実質的に透過する、多層光学フィルム反射性偏光子と、」との特定事項について
(a)引用発明5の「平面状の偏光ビームスプリッタ130」は、「透明基板131の両面にそれぞれ誘電体多層膜ミラー132、133が積層され」たものであるから、本願発明1の上記特定事項とは、「前記第1基材」に設けられた「反射性偏光子であって、第1偏光状態の偏光を実質的に反射し、前記第1偏光状態に対して垂直な第2偏光状態の偏光を実質的に透過する」「反射性偏光子」である点で一致する。

(b)このように、引用発明5は、「前記第1基材」に設けられた「反射性偏光子であって、第1偏光状態の偏光を実質的に反射し、前記第1偏光状態に対して垂直な第2偏光状態の偏光を実質的に透過する、」「反射性偏光子」との特定事項を備える。
しかし、引用発明5の「平面状の偏光ビームスプリッタ130」は、「透明基板131」(本願発明1の「第1基材」に相当。)に「接着」されているとはいえず、また、「多層光学フィルム反射性偏光子」ともいえない。

d 本願発明1の「第1最外主表面と、」との特定事項について
(a)引用発明5の「平面状の偏光ビームスプリッタ130」が、本願発明1でいう「第1最外主表面」を備えることは明らかである。

(b)よって、引用発明5は、本願発明1の上記特定事項を備える。

e 本願発明1の「前記第1最外主表面と約20°未満の角度を形成する反対側の第2最外主表面と、を含み、」との特定事項について
(a)引用発明5の「平面状の偏光ビームスプリッタ130」は、本願発明1でいう「前記第1最外主表面と約20°未満の角度を形成する反対側の第2最外主表面と、を含」むものといえる。

(b)よって、引用発明5は、本願発明1の上記特定事項を備える。

f 本願発明1の「前記偏光ビームスプリッタプレートは、前記受光された第1結像光を前記観者に向かって反射し、前記反射された第1結像光は、12μm未満の有効画素解像度を有し、」との特定事項について
(a)上記(イ)によれば、引用発明5は、本願発明1の「前記偏光ビームスプリッタプレートは、前記受光された第1結像光を前記観者に向かって反射し、」との特定事項を備える。

(b)しかし、引用発明5が、本願発明1の「前記反射された第1結像光は、12μm未満の有効画素解像度を有し、」との特定事項を備えるのか不明である。

(エ)本願発明1の「前記多層光学フィルム反射性偏光子は、45nm未満の表面粗さRa又は80nm未満の表面粗さRqを有する、」との特定事項について
引用発明5が、本願発明1の上記特定事項を備えるのかは、不明である。

(オ)本願発明1の「視覚装置」との特定事項について
a 引用発明5の「投写型立体画像表示システム」は、本願発明1の「視覚装置」に相当する。

b よって、引用発明5は、本願発明1の上記特定事項を備える。

イ 一致点及び相違点の認定
上記アによれば、本願発明1と引用発明5とは、
「第1結像光を投影するプロジェクタと、
前記プロジェクタから投影された前記第1結像光を受光し、観者が見るための前記受光された第1結像光を反射する偏光ビームスプリッタプレートと、を含み、
前記偏光ビームスプリッタプレートは、第2画像を受光するとともに、前記観者が見るための前記第2画像を透過し、
第1基材と、
前記第1基材に設けられた反射性偏光子であって、第1偏光状態の偏光を実質的に反射し、前記第1偏光状態に対して垂直な第2偏光状態の偏光を実質的に透過する、反射性偏光子と、
第1最外主表面と、
前記第1最外主表面と約20°未満の角度を形成する反対側の第2最外主表面と、を含み、
前記偏光ビームスプリッタプレートは、前記受光された第1結像光を前記観者に向かって反射する、
視覚装置。」である点で一致し、次の点で相違する。

[相違点4]
「前記第1基材に設けられた反射性偏光子」が、本願発明1は「前記第1基材に接着された多層光学フィルム反射性偏光子」であって、「45nm未満の表面粗さRa又は80nm未満の表面粗さRqを有する」のに対し、引用発明5は、透明基板131の両面にそれぞれ誘電体多層膜ミラー132、133が積層されたものであって、表面粗さは不明である点。

[相違点5]
「前記反射された第1結像光」が、本願発明1は、「12μm未満の有効画素解像度を有し」ているのに対し、引用発明5は、そうであるのか不明である点。

ウ 相違点4及び5の判断
相違点4及び5は、先に検討した相違点1及び3と実質的に同じであり、上記1(1)ウと同様の議論が成り立つ。
よって、引用発明5に引用文献2に記載された技術的事項を適用できたとしても、相違点4及び5の構成に至らない。

エ 本願発明1についての小括
したがって、本願発明1は、引用発明5及び引用文献2に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
そして、この判断は、引用文献3に記載された技術的事項を考慮しても、左右されない。

(2)本願発明3及び4について
本願発明3及び4は、本願発明1と同様に、相違点4及び5に係る構成を含むものであるから、上記(1)と同様の理由により、引用発明5並びに引用文献2及び3に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(3)引用文献5に記載された発明を主引用発明とする進歩性欠如についての小括
よって、原査定がした引用文献5に記載された発明を主引用発明とする進歩性欠如の判断は、維持できない。

3 原査定における拒絶の理由に対する判断についての小括
以上のとおり、原査定を維持することはできない。

第5 当審拒絶理由に対する判断
1 特許法第36条第6項第2号について
(1)当審拒絶理由は、請求項1に記載された「有効画素解像度」が、どのようにして測定されるのかが不明である旨指摘した。より具体的には、当該「有効画素解像度」は、請求項1に係る「視覚装置」について観念されるべきものであるところ、本願明細書には、当該「有効画素解像度」を測定する方法として、同【0055】?【0059】等に記載された特定の「解像度試験用プロジェクタ」を用いて測定する方法のみが記載されている一方、その「解像度試験用プロジェクタ」によって得られた値は、請求項1に係る「視覚装置」についての「有効画素解像度」とはいえないから、請求項1に記載された「有効画素解像度」が、どのようにして測定されるのかが不明である旨指摘した。
これに対し、請求人は、令和元年6月4日に提出した意見書において、請求項1に係る「視覚装置」における「有効画素解像度」は、当該「視覚装置」における「プロジェクタ」にテストパターンを生成して測定する旨主張する。

検討するに、本願明細書は、請求人が主張する内容を明記していない。
しかし、当審拒絶理由においても指摘したとおり、請求項1の記載からみて、請求項1に係る「視覚装置」における「有効画素解像度」が、当該「視覚装置」において観念される量であることは明らかである。そして、本願明細書【0055】には、「・・・解像度試験用プロジェクタを用いて、画像の反射能力を評価した。」と記載されるとともに、同【0057】には、「前記システムにおいては、試験対象のこの領域内には、複数の解像度の画像の繰り返しがあった。」と記載されているから、本願明細書によれば、「有効画素解像度」を測定するに当たり、何らかの「プロジェクタ」にテストパターンを生成すればよいことは理解できる。以上を併せると、請求項1に係る「視覚装置」における「有効画素解像度」は、当該「視覚装置」における「プロジェクタ」にテストパターンを生成して測定されるものであると解するのが相当である。
よって、請求項1に記載された「有効画素解像度」が、どのようにして測定されるのかは、明確である。請求項2?5についても同様である。

(2)さらに、当審拒絶理由は、「有効画素解像度」を測定するに当たり、プロジェクタにテストパターンを生成するとしても、解像度を実際に測定するための位置である「上部左、底部左、中央部、上部右及び底部右」(本願明細書【0057】)の具体的位置が明確でないから、その測定結果に依存する「有効画素解像度」も明確でない旨指摘したところである。
この点、本件補正により、請求項1に「前記多層光学フィルム反射性偏光子は、45nm未満の表面粗さRa又は80nm未満の表面粗さRqを有する」との記載が追加されたところ、上記第4の1(1)ウ(ア)のとおり、「有効画素解像度」には、「多層光学フィルム反射性偏光子」の「表面粗さ」が関連すると認められる。そうすると、当該追加により、実質的には、「有効画素解像度」がより明確になったものということができる。
このような点を考慮すると、請求項1の「有効画素解像度」が、第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確であるとはいえないというべきである。請求項2?5についても同様である。

(3)よって、特許法第36条第6項第2号違反についての当審拒絶理由は、維持できない。

2 特許法第36条第6項第1号について
(1)当審拒絶理由は、本件補正前の請求項1には、「偏光ビームスプリッタプレートは、前記受光された第1結像光を前記観者に向かって反射し、前記反射された第1結像光は、12μm未満の有効画素解像度を有する」との発明特定事項が記載されているけれども、発明の詳細な説明に記載された課題解決手段である多層光学フィルム反射性偏光子の表面粗さについて何ら特定がないから、請求項1に係る発明の範囲まで、発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できるとはいえない旨指摘した。
しかし、本件補正により、請求項1に「前記多層光学フィルム反射性偏光子は、45nm未満の表面粗さRa又は80nm未満の表面粗さRqを有する」との記載が追加された。
したがって、本件補正後の請求項1の記載は、サポート要件を満たしている。請求項2?5についても同様である。

(2)よって、特許法第36条第6項第1号違反についての当審拒絶理由は、解消した。

第6 むすび
以上のとおり、原査定の拒絶の理由及び当審拒絶理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2019-07-08 
出願番号 特願2015-528503(P2015-528503)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G02B)
P 1 8・ 537- WY (G02B)
最終処分 成立  
前審関与審査官 山本 貴一  
特許庁審判長 森 竜介
特許庁審判官 野村 伸雄
山村 浩
発明の名称 視覚装置  
代理人 赤澤 太朗  
代理人 吉野 亮平  
代理人 野村 和歌子  
代理人 佃 誠玄  

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