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審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 B65G
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 B65G
管理番号 1353644
審判番号 不服2018-8072  
総通号数 237 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-09-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-06-12 
確定日 2019-08-06 
事件の表示 特願2015-551318号「ワーク移送システム」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 6月11日国際公開、WO2015/083239、請求項の数(6)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2013年12月3日を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は次のとおりである。
平成29年 8月 7日付け 拒絶理由通知
10月19日 意見書、手続補正書の提出
平成30年 3月 5日付け 拒絶査定
6月12日 審判請求書の提出
令和 元年 6月12日付け 拒絶理由通知
6月27日 意見書、手続補正書の提出

第2 本願発明
本願の請求項1?6に係る発明(以下、「本願発明1?6」という。)は、令和元年6月27日の手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1?6に記載された事項により特定されるものであり、本願発明1は次のとおりである。
「【請求項1】
ワークを支持する第1の支持部材と、
前記第1の支持部材から離間して配置され、ワークを支持する第2の支持部材と、
前記第2の支持部材から前記第1の支持部材とは反対側に離間して配置され、ワークを支持する第3の支持部材と、
ワークを把持して前記第1の支持部材と前記第2の支持部材との間で移送する第1の移送ヘッドと、
ワークを把持して前記第2の支持部材と前記第3の支持部材との間で移送する第2の移送ヘッドと、
前記第1の支持部材及び前記第2の支持部材に対し前記第1の移送ヘッドを昇降動作させる第1の昇降駆動部と、
前記第2の支持部材及び前記第3の支持部材に対し前記第2の移送ヘッドを昇降動作させる第2の昇降駆動部と、
前記第1の支持部材の上方位置と前記第2の支持部材の上方位置との間で前記第1の移送ヘッドを水平移動させるとともに、前記第2の支持部材の上方位置と前記第3の支持部材の上方位置との間で前記第2の移送ヘッドを水平移動させる水平駆動部と、
前記第1の移送ヘッド及び前記第2の移送ヘッドと前記水平駆動部との間で駆動力を解除可能に伝達する動力伝達部と、
を具備するワーク移送システム。」

なお、本願発明2?6は、本願発明1を減縮した発明である。

第3 原査定の拒絶理由について
1.原査定の概要
原査定は、請求項1?6に係る発明は、その出願前に日本国内において頒布された下記の引用文献1に記載された発明及び引用文献2に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、また、下記の引用文献3に記載された発明及び引用文献2に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないというものである。

引用文献1 特開2011-685号公報
引用文献2 特開昭62-249821号公報
引用文献3 特開2013-167474号公報

2.引用文献
(1)引用文献1に記載された事項及び引用発明1
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。
なお、下線は当審で付したものである。以下同様である。

「【0001】
本発明は、多数個の部品がばら積み状態に収容された部品収容箱から、ロボットにより、部品をピックアップして部品載置位置に最終確定姿勢で載置する作業を繰返し実行するビンピッキングシステムに関する。」

「【0018】
(1)第1の実施例
以下、本発明の第1の実施例について、図1ないし図6を参照しながら説明する。図1は、本実施例に係るビンピッキングシステム1の全体構成を概略的に示しており、このシステム1は、作業台2上に、例えば直角座標ロボットからなる4軸型のロボット3を備えて構成されている。前記作業台2は、ロボット3が作業を行う領域であり、その上面がX軸方向(左右方向)及びY軸方向(前後方向)に広がる水平な台状をなし、この場合X軸方向にやや横長に構成されている。
【0019】
前記作業台2上には、図で右端側に位置して、部品収容箱4が設置される部品供給部5が設けられている。前記部品供給箱4内には、多数個の部品Wがばら積み状態に収容されている。本実施例では、前記部品Wとして、直方体(六面体)形状を基本とし、その一面にピン状の凸を有した形態のものを例示している。また、前記部品供給部5の上方には、前記部品収容箱4内の部品Wを上方から撮影する視覚装置として、例えばCCDカメラからなるカメラ6が固定的に設けられている。
【0020】
前記作業台2には、図で左端側に位置して、前記部品Wを最終確定姿勢で整列させた状態で、次の作業設備に向けて搬送するためのコンベア装置7が設けられており、このコンベア装置7の基端部(図で右端部)が、部品Wが1個ずつ最終確定姿勢とされて載置される部品載置位置7aとされている。そして、本実施例では、前記部品供給部5と、前記部品載置位置7aとの間には、後述するように、部品Wが仮姿勢で載置される仮置き領域8が設けられている。

「【0053】
(2)第2、第3の実施例、その他の実施例
図7は、本発明の第2の実施例に係るビンピッキングシステム31の構成を概略的に示している。このビンピッキングシステム31においては、作業台2上に設けられる部品供給部5(部品収容箱4)、コンベア装置7(部品載置位置7a)、仮置き領域8については、上記第1の実施例と共通している。また、前記部品供給部5の上方には、部品収容箱4内の部品Wを上方から撮影する視覚装置たるカメラ6が固定的に設けられている。
【0054】
この実施例が上記第1の実施例と異なるところは、4軸型のロボットの構成にあり、ここでは、共にXR型ロボットからなる、第1のロボット32と第2のロボット33とを備えている。即ち、作業台2の上方の所定の高さ位置には、X軸方向(左右方向)に水平に延びて直線移動レール34が架設されている。前記第1のロボット32は、この直線移動レール34の右側の下面側に吊下げられた状態で、該直線移動レール13に沿ってX軸方向に移動可能に設けられ、前記第2のロボット33は、直線移動レール34の左側の下面側に吊下げられた状態で、やはり該直線移動レール13に沿ってX軸方向に移動可能に設けられている。
【0055】
そのうち第1のロボット32は、周知のように、直線移動レール34に沿って移動されるベース35、このベース35の下面側に設けられ垂直軸(R軸)を中心に回動(旋回)される旋回アーム36、この旋回アーム36の先端(図で前面)に設けられ上下動される直動アーム37、この直動アーム37の下面に設けられ垂直軸(T軸)を中心に同軸回転される手首部38、この手首部38に設けられ水平軸を中心に回動(角度変更)される吸着ノズル39を備えて構成されている。また、図示はしないが、この第1のロボット32には、各軸を駆動するためのモータや駆動機構等が組込まれている。
【0056】
また、第2のロボット33は、同様に、直線移動レール34に沿って移動されるベース35、このベース35の下面側に設けられ垂直軸(R軸)を中心に回動(旋回)される旋回アーム36、この旋回アーム36の先端に設けられ上下動される直動アーム37、この直動アーム37の下面に設けられ垂直軸(T軸)を中心に同軸回転される手首部38を備えると共に、その手首部38に、水平軸を中心に回動(角度変更)されるエア駆動式のチャック40を備えて構成されている。また、図示はしないが、この第2のロボット33には、各軸を駆動するためのモータや駆動機構等が組込まれている。更に、この第2のロボット33の直動アーム37には、仮置き領域8に仮姿勢で載置された部品Wを撮影する第2のカメラ41が設けられている。
【0057】
上記第1のロボット32及び第2のロボット33は、制御装置42により制御され、ビンピッキングの作業を実行する。また、制御装置42には、カメラ6及び第2のカメラ41の撮影画像のデータが入力される。
【0058】
このとき、制御装置42は、上記第1の実施例と同様に、前記カメラ6の撮影情報に基づいて、前記部品収容箱4内のピックアップすべき1個の部品Wを決定すると共に、当該部品Wの一つの面を第1のロボット32の有する吸着ノズル39を用いて吸着する第1のロボット32の位置及び姿勢を演算し、さらに、吸着ノズル39により当該部品Wを吸着した状態で当初姿勢から変更可能ないずれかの仮姿勢を求めるようになっている。そして、制御装置42は、その演算に基づいて、第1のロボット32を制御し、前記部品収容箱4内の1個の部品Wを、前記吸着ノズル39で吸着してピックアップし、いずれかの仮姿勢となるように前記仮置き領域8に載置する作業を実行させる。
【0059】
制御装置42は、これと共に、仮置き領域8にいずれかの仮姿勢で載置された部品Wを、第2のロボット33に設けられた第2のカメラ41で撮影し、その画像データから、前記チャック40を用いた動作により最終確定姿勢とすることができるように当該部品Wの把持すべき位置及び姿勢を演算するようになっている。そして、前記仮置き領域8に仮姿勢で載置されている部品Wを、前記チャック40により把持して最終確定姿勢となるように前記部品載置位置7aに載置する作業を実行させるようになっている。
【0060】
これにより、前記部品収容箱4内の1個の部品Wをピックアップして前記仮置き領域(にいずれかの仮姿勢となるように載置する作業と、前記仮置き領域8に仮姿勢で載置されている部品Wを把持して前記部品載置位置7aに最終確定姿勢で載置する作業とが、それら第1のロボット32及び第2のロボット33により分担して実行されるのである。つまり、第1のロボット32は、吸着ノズル39を用いて、部品収容箱4から仮置き領域8に1個の部品Wを搬送する作業を繰返し、第2のロボット33は、チャック40を用いて、仮置き領域8の部品Wを部品載置位置7aに最終確定姿勢で載置する作業を繰返し行うのである。このとき、2台のロボット32、33が互いに干渉することのないように制御されることは勿論である。」

上記イの段落【0020】の「前記部品供給部5と、前記部品載置位置7aとの間には、・・・部品Wが仮姿勢で載置される仮置き領域8が設けられている。」との記載及び【図7】の記載から、仮置き領域8から部品供給部5とは反対側に、部品載置位置7aが配置していると認められる。

【図7】から、部品供給部5、仮置き領域8、部品載置位置7aは、それぞれ離間していることを看取できる。

以上のア?オの事項及び【図7】の記載からみて、引用文献1には次の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。
〔引用発明1〕
「部品Wがばら積み状態に収容されている部品供給箱4が設置される部品供給部5と、
部品供給部5から離間して配置され、部品Wが仮姿勢で載置される仮置き領域8と、
仮置き領域8から部品供給部5とは反対側に離間して配置され、部品Wを最終確定姿勢とされて載置される部品載置位置7aと、
部品収容箱4から仮置き領域8に1個の部品Wを搬送する吸着ノズル39と、
仮置き領域8の部品Wを部品載置位置7aに最終確定姿勢で載置するチャック40と、
吸着ノズル39を備えた手首部38を上下動する直動アーム37と、
チャック40を備えた手首部38を上下動する直動アーム37と、
吸着ノズル39を直線移動レール34に沿って移動させるベース35と、チャック40を直線移動レール34に沿って移動させるベース35と、
を具備するビンピッキングシステム31。」

(2)引用文献3に記載された事項及び引用発明2
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献3には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【0028】
(第1の実施形態)
以下、本発明のハンドラー及び部品検査装置を具体化した第1の実施形態について、図1?図4を参照して説明する。なお、部品検査装置は、搬送対象である電子部品を搬送するハンドラーと、ハンドラーとは別体の装置であって電子部品の電気的特性を検査するテスターとを備えるものである。
【0029】
[ハンドラー及び部品検査装置の構成]
まず、ハンドラー、及び該ハンドラーを備える部品検査装置の全体構成について図1を参照して説明する。図1に示されるように、ハンドラー10の基台11には、各種ロボットの搭載される搭載面11aが上面として設けられ、・・・」

「【0031】
また、搭載面11aのうち、搬送空間の略中央には、搭載面11aを貫通する矩形状の開口部13が形成されている。この開口部13には、テスターのテストヘッド14が取り付けられている。テストヘッド14は、その上面に電子部品Tが嵌め込まれる検査用ソケット14aを有しており、該電子部品Tを検査するためのテスター内の検査回路に電気的に接続されている。
【0032】
さらに、搭載面11aのうち、X方向と直交するY方向では、開口部13の両側に、検査前及び検査後の電子部品Tが一時的に載置される第1シャトル15と第2シャトル16とが配設されている。・・・
【0033】
基台11の搭載面11a上には、検査用ソケット14a、供給用シャトルプレート15a,16a、及び回収用シャトルプレート15b,16bの各々に電子部品Tを搬送するロボット機構が搭載されている。そして、ロボット機構を構成する供給ロボット20、搬送ロボット30、及び回収ロボット40の動作に合わせて、上述のシャトル15,16はシャトルガイド15c,16cに沿って移動する。」

「【0036】
搬送ロボット30は、搬送空間の略中央に設置されたY方向に延びる固定軸である搬送ガイド31と、搬送ガイド31に対してY方向に往動及び復動可能に連結された第1搬送ユニット32及び第2搬送ユニット33とを有している。このうち、第1搬送ユニット32は、第1シャトル15上とテストヘッド14上との間を往復し、第2搬送ユニット33は、第2シャトル16上とテストヘッド14上との間を往復する。また、第1搬送ユニット32及び第2搬送ユニット33は、各々がその下端に電子部品Tを吸着する吸着部を有し、搭載面11aに対して下降及び上昇可能に搬送ガイド31に連結されている。
【0037】
そして、第1搬送ユニット32は、第1シャトル15上の供給用シャトルプレート15aに載置された検査前の電子部品Tを吸着部に吸着して搬送し、テストヘッド14の検査用ソケット14aに所定の押圧力で嵌め込む。検査用ソケット14aの底面には、電子部品Tの雄端子と嵌合可能な複数の雌端子が凹設されており、電子部品Tの有する雄端子が検査用ソケット14aの雌端子に嵌め込まれることによって、電子部品Tの電気的特性がテスターにより検査可能になる。テスターは、ハンドラー10から検査開始の指令を受けて電子部品Tの検査を開始し、その検査結果とともに検査の終了を示す信号をハンドラー10に出力する。こうして電子部品Tの検査が終了すると、第1搬送ユニット32は、検査後の電子部品Tをテストヘッド14の検査用ソケット14aから第1シャトル15上の回収用シャトルプレート15bへ搬送する。
【0038】
同様に、第2搬送ユニット33は、第2シャトル16上の供給用シャトルプレート16aに載置された検査前の電子部品Tを吸着部に吸着して搬送し、テストヘッド14の検査用ソケット14aに所定の押圧力で嵌め込む。そして、テスターによる電子部品Tの検査が終了すると、第2搬送ユニット33は、検査後の電子部品Tを、テストヘッド14の検査用ソケット14aから第2シャトル16上の回収用シャトルプレート16bへ搬送する。このような第1搬送ユニット32及び第2搬送ユニット33によるテストヘッド14への電子部品Tの搬送は交互に行われ、電子部品Tがテスターによって順次検査されていく。」

以上のア?ウの事項及び【図1】の記載からみて、引用文献3には次の発明(以下、「引用発明2」という。)が記載されていると認められる。
〔引用発明2〕
「電子部品Tが載置される第1シャトル15と、
第1シャトル15から離間して配置され、その上面に電子部品Tが嵌め込まれるテストヘッド14と、
テストヘッド14から第1シャトル15とは反対側に離間して配置され、電子部品Tが載置される第2シャトル16と、
下端に電子部品Tを吸着する吸着部を有し、搭載面11aに対して下降及び上昇可能に搬送ガイド31に連結され、搬送ガイド31に沿って第1シャトル15上とテストヘッド14上との間を往復し、電子部品Tを吸着部に吸着して第1シャトル15とテストヘッド14との間で搬送する第1搬送ユニット32と、
下端に電子部品Tを吸着する吸着部を有し、搭載面11aに対して下降及び上昇可能に搬送ガイド31に連結され、搬送ガイド31に沿って第2シャトル16上とテストヘッド14上との間を往復し、電子部品Tを吸着部に吸着して第2シャトル16とテストヘッド14との間で搬送する第2搬送ユニット33と、
を具備するハンドラー。」

(3)引用文献2に記載された事項
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている。

「本発明は、それぞれ独立して作動が可能な複数の可動体のうちから少なくとも1の可動体を選択して作動せしめる選択作動装置に関する。」(1頁左欄17?19行)

「以下、本発明の実施例を図面に基いて説明する。
第1図には可動体の選択作動装置1の全体構成が示されている。この選択作動装置1は、第1?第4の各可動体2a?2dを有していて、第2図に概略的に示すICパッケージ(ワーク)(FPP;フラット・プラスチック・パッケージ)4のエージング用着脱システムにおいて用いられる。」(2頁左下欄5?11行)

「さて、上記選択作動装置1について、具体的に説明するに、まず、移動方向に並設した第1?第4の各可動体2a?2dは棒状のもので、それぞれ第1?第4の筒体10a?10dに上下動可能に支持されている。この各筒体10a?10dは、移動方向と平行なガイドバー11に嵌挿した第1?第4の各スライダ12a?12dに固定され、かつ、第1?第4のリンク13a?13dで連結されている。」(2頁右下欄12?20行)

「本実施例の場合、上記第1?第4の可動体2a?2dには、第3図にも示す如くそれぞれ下端に真空引きによりICパッケージ4を吸付ける吸盤30をもち、案内用のロッド32とともに上下動するようになっている。この各可動体2a?2dと案内ロッド32は上端がL字状の上プレート33で、また、下部がプレート34で結合されている。そして、上プレート33は、支持台35上の上下動用モータ(駆動手段)36で駆動されるL字状の作動部材37にカムフロア(係合手段)38を介して先に述べた移動方向へ移動可能に係合できるようになっている。この作動部材37は、モータ36の出力軸に結合されたクランク39に連結ロッド40を介して連結されていて、かつ、第1図に示す如く移動方向の両端位置で支持プレート41,42に固定のガイド筒43,43に対しガイドロッド44,44を介して上下動可能に支持されている。
しかして、上記各可動体2a?2dの上プレート33には、それぞれ水平部をもつ第1?第4の逆L字状の掛止片45a?45dが設けられ、また、上記支持台35には各掛止片45a?45dをそれぞれ掛止せしめて各可動体2a?2dと作動部材37との係合を解除するための第1?第4の操作部材46a?46dが設けられている。すなわち、この各操作部材46a?46dは、上記各掛止片45a?45dを掛止せしめる水平部を各可動体2a?2dの移動可能距離の全長にわたって設けたものであり、それぞれ両端部が同軸に回動可能に支持された左右で対をなすブラケット47,48に固定されている。そして、第4図に示す如く支持台35の左側で第1と第3の操作部材46a,46cが固定されたブラケット47,47にそれぞれ第1と第3の電磁駆動手段49a,49cの作動ロッド50,50が、また、支持台35の右側で第2と第4の操作部材46b,46dが固定されたブラケット47,47にそれぞれ第2と第4の電磁駆動手段49b,49dの作動ロッド50,50が連結されている。この場合、いずれも作動ロッド50の突出により各操作部材46a?46dは各掛止片45a?45dの掛止を解除する位置に、また、作動ロッド50の引込みにより各掛止片45a?45dを掛止させる位置にそれぞれ回動するようになっている。」(3頁右上欄10行?同頁右下欄13行)

「上記可変送り装置1において、各可動体2a?2dは、第1図に実線で示す如く左端(第2図におけるトレーライン5側)にあるときは、トレー6に狭い間隔で載置されるICパッケージ4に各吸盤30が対応するように狭い間隔に、また、鎖線で示す如く右へ移動したいときは基板ライン7のエージング基板8に広い間隔で載置されるICパッケージ4に各吸盤30が対応するように広い間隔となるよう上下のサーボモータ27,28にて駆動制御される。
すなわち、各可動体2a?2dは、隣合うもの同志の間隔(ピッチ)が上記リンク13a?13dの連結によりすべて等間隔(等ピッチ)となり、かつ、リンク13a?13dの全長の伸縮に応じて隣合う可動体同志の各間隔が同じ比率で変化する。」(4頁左上欄12行?同頁右上欄7行)

「さて、ICパッケージ4のトレー6からエージング基板8への移載にあたって、すべての可動体2a?2dを作動させる場合は、まず、各可動体2a?2dをサーボモータ27,28でトレー側へ移動させておいて、第5図に示すようにすべての掛止片45a?45dを操作部材46a?46dに掛止した状態から、操作部材46a?46dの回動により掛止片45a?45dの掛止を外し、モータ36の作動により、作動部材37を下降せしめる。従って、各可動体2a?2dはカムフロア38を介して作動部材37に係合した状態で下降する。」(4頁右上欄13行?同頁左下欄4行)

「ICパッケージ4が検出されると、上下のサーボモータ27,28の作動により、各可動体2a?2dは互いの間隔を広くなるように変えてエージング基板8の上に移動し、モータ36の作動による作動部材37、つまりは可動体2a?2dの下降によりICパッケージ4は下降し、吸盤30の真空引きの解除によりエージング基板8のソケット3に載置される。そして、この載置後は、モータ36の作動により作動部材37を上昇せしめ、サーボモータ27,28を逆回転させて、可動体2a?2dをトレー6の上に戻すことになる。」(4頁左下欄13行?同頁右上欄3行)

「この移載にあたっては、第7図に示す如く第1?第3の操作部材46a?46cを掛止位置とし、第4操作部材46dのみを掛止解除位置とする。この状態で、作動部材37を下降せしめると、第4可動体2dのみが作動部材37に係合した状態で作動部材37とともに下降し、残りの第1?第3の可動体2a?2cは掛止片45a?45cの操作部材46a?46cに対する掛止により上昇位置に留まり、作動部材37に対する係合は解除される。つまり、この場合は第4可動体2dのみが選択されて作動することになる。」(4頁右下欄8?19行)

「また、上記実施例は可動体を上下動させる場合であるが、水平動、斜行あるいはそれらの組合わせで可動体を作動させる場合にも本発明は利用できる。」(5頁左上欄20行?同頁右上欄3行)

3.対比・判断
(1)本願発明1
ア 引用発明1を主引用発明とした場合
本願発明1と引用発明1とを対比する。
後者の「部品W」は、前者の「ワーク」に相当する。
後者の「部品Wがばら積み状態に収容されている部品供給箱4が設置される部品供給部5」は、前者の「ワークを支持する第1の支持部材」に相当する。
後者の「部品Wが仮姿勢で載置される仮置き領域8」及び「部品Wを最終確定姿勢とされて載置される部品載置位置7a」は、その位置関係からみて、前者の「ワークを支持する第2の支持部材」及び「ワークを支持する第3の支持部材」にそれぞれ相当する。
後者の「部品収容箱4から仮置き領域8に1個の部品Wを搬送する吸着ノズル39」は、その機能からみて、前者の「ワークを把持して第1の支持部材と第2の支持部材との間で移送する第1の移送ヘッド」に相当する。
後者の「仮置き領域8の部品Wを部品載置位置7aに最終確定姿勢で載置するチャック40」は、その機能からみて、前者の「ワークを把持して第2の支持部材と第3の支持部材との間で移送する第2の移送ヘッド」に相当する。
後者の「吸着ノズル39を備えた手首部38を上下動する直動アーム37」は、吸着ノズル39の動作からみて、吸着ノズル39を部品供給部5及び仮置き領域8に対し上下動することは明らかといえるので、前者の「第1の支持部材及び第2の支持部材に対し第1の移送ヘッドを昇降動作させる第1の昇降駆動部」に相当する。
同様に、後者の「チャック40を備えた手首部38を上下動する直動アーム37」は、チャック40の動作からみて、前者の「第2の支持部材及び第3の支持部材に対し第2の移送ヘッドを昇降動作させる第2の昇降駆動部」に相当する。
後者の「ビンピッキングシステム31」は、前者の「ワーク移送システム」に相当する。

そうすると、両者は、
「ワークを支持する第1の支持部材と、
前記第1の支持部材から離間して配置され、ワークを支持する第2の支持部材と、
前記第2の支持部材から前記第1の支持部材とは反対側に離間して配置され、ワークを支持する第3の支持部材と、
ワークを把持して前記第1の支持部材と前記第2の支持部材との間で移送する第1の移送ヘッドと、
ワークを把持して前記第2の支持部材と前記第3の支持部材との間で移送する第2の移送ヘッドと、
前記第1の支持部材及び前記第2の支持部材に対し前記第1の移送ヘッドを昇降動作させる第1の昇降駆動部と、
前記第2の支持部材及び前記第3の支持部材に対し前記第2の移送ヘッドを昇降動作させる第2の昇降駆動部と、
を具備するワーク移送システム。」
である点で一致、以下の点で相違する。
〔相違点1〕
本願発明1は、「第1の支持部材の上方位置と第2の支持部材の上方位置との間で第1の移送ヘッドを水平移動させるとともに、第2の支持部材の上方位置と第3の支持部材の上方位置との間で第2の移送ヘッドを水平移動させる水平駆動部」を備えているのに対し、引用発明1は、「吸着ノズル39を直線移動レール34に沿って移動させるベース35」と「チャック40を直線移動レール34に沿って移動させるベース35」とを備えている点。
〔相違点2〕
本願発明1は、「第1の移送ヘッド及び第2の移送ヘッドと水平駆動部との間で駆動力を解除可能に伝達する動力伝達部」を備えているのに対し、引用発明1は、そのような構成を備えていない点。

事案に鑑み、相違点2について検討する。
〔相違点2について〕
引用文献2には、
(ア) それぞれ独立して作動が可能な第1?第4の各可動体2a?2dのうちから少なくとも1の可動体を選択して作動せしめる選択作動装置1に関し(上記2.(3)ア、イを参照)、
(イ) 移動方向に並設した第1?第4の各可動体2a?2dは、それぞれ第1?第4の筒体10a?10dに上下動可能に支持され、各筒体10a?10dは、移動方向と平行なガイドバー11に嵌挿した第1?第4の各スライダ12a?12dに固定され、かつ、第1?第4のリンク13a?13dで連結されている(上記2.(3)ウを参照)、
(ウ) 第1?第4の可動体2a?2dは、それぞれ下端に真空引きによりICパッケージ4を吸付ける吸盤30をもち、案内用のロッド32とともに上下動するようになっている(上記2.(3)エを参照)、
(エ) 各可動体2a?2dの上端に設けられた上プレート33にはカムフロア38が設けられており、上プレート33は作動部材37にカムフロア38を介して移動方向へ移動可能に係合できるようになっており(上記2.(3)エ及び第5図を参照)、
(オ) 各可動体2a?2dの上プレート33には、それぞれ水平部をもつ第1?第4の逆L字状の掛止片45a?45dが設けられており、支持台5には各掛止片45a?45dをそれぞれ掛止せしめて各可動体2a?2dと作動部材37との係合を解除するための第1?第4の操作部材46a?46dが設けられ(上記2.(3)エを参照)、
(カ) 各可動体2a?2dは、隣合うもの同志(同士)の間隔(ピッチ)がリンク13a?13dの連結によりすべて等間隔(等ピッチ)となり、かつ、リンク13a?13dの全長の伸縮に応じて隣合う可動体同志(同士)の各間隔が同じ比率で変化し(上記2.(3)オを参照)、
(キ) 第1?第4の可動体2a?2dのうち、下端の吸盤30を動作させる可動体の逆L字状の掛止片45a?45dだけ第1?第4操作部材46a?46dとの掛止を解除することで、当該可動体のカムフロア38のみを作動部材37と係合させ、作動部材37とともに下降させる(上記2.(3)カ?クを参照)
ことが記載されている。
要するに、引用文献2には、水平移動する第1?第4の可動体2a?2dのうち、下端の吸盤30を動作させる可動体のみを下降させる機構が記載されているといえる。
ここで、第1?第4の可動体2a?2dはリンク13a?13dにより相互に接続されているので同時に水平移動するものであり、第1?第4の可動体2a?2dの水平移動に寄与するサーボモータ27,28と特定の可動体との間で駆動力の伝達を解除する機構は見あたらない。
また上述の、下端の吸盤30を動作させる可動体のみを下降させるための機構は、第1?第4の可動体2a?2dの各逆L字状の掛止片45a?45dと第1?第4操作部材46a?46dとの掛止の解除により実現するものであるが、両者の掛止は水平移動に係る駆動力の伝達に関わるものではないので、両者の掛止の解除が水平移動に係る駆動力の解除を示唆するものでもない。
さらに、引用文献2には、可動体を上下動させる場合のほかに、水平動させる場合にも利用できる旨の記載はあるものの(上記2.(3)ケを参照)、その具体的構造を示すものではなく、上記の機構を単に水平動に適用したものであれば、上述のとおり、駆動力の解除を示唆するとは認められない。
そうすると、引用文献2は、相違点2に係る本願発明1の構成を示唆するものとはいえない。
したがって、相違点2に係る本願発明1の構成は、引用文献2に記載された事項から当業者が容易に想到し得たこととはいえない。
また、他に相違点2に係る本願発明1の構成を示唆する証拠もない。
よって、相違点1について検討するまでもなく、本願発明1は、引用発明1及び引用文献2に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

イ 引用発明2を主引用発明とした場合
本願発明1と引用発明2とを対比する。
後者の「電子部品T」は、前者の「ワーク」に相当する。
後者の「電子部品Tが載置される第1シャトル15」は、前者の「ワークを支持する第1の支持部材」に相当する。
後者の「その上面に電子部品Tが嵌め込まれるテストヘッド14」及び「電子部品Tが載置される第2シャトル16」は、その位置関係からみて、前者の「ワークを支持する第2の支持部材」及び「ワークを支持する第3の支持部材」にそれぞれ相当する。
後者の「下端に電子部品Tを吸着する吸着部を有し」、「電子部品Tを吸着部に吸着して第1シャトル15とテストヘッド14との間で搬送する第1搬送ユニット32」は、その機能からみて、前者の「ワークを把持して第1の支持部材と第2の支持部材との間で移送する第1の移送ヘッド」に相当する。
後者の「下端に電子部品Tを吸着する吸着部を有し」、「電子部品Tを吸着部に吸着して第2シャトル16とテストヘッド14との間で搬送する第2搬送ユニット33」は、その機能からみて、前者の「ワークを把持して第2の支持部材と第3の支持部材との間で移送する第2の移送ヘッド」に相当する。
後者の搭載面11aには、第1シャトル15と第2シャトル16とが配設されるとともに、テストヘッド14が取り付けられる開口部13が形成されているので(上記2.(2)イの段落【0031】、【0032】を参照)、後者の「第1搬送ユニット32」が「搭載面11aに対して下降及び上昇可能に搬送ガイド31に連結され」た構成は、前者の「第1の支持部材及び第2の支持部材に対し第1の移送ヘッドを昇降動作させる第1の昇降駆動部」を備えているといえる。
同様に、後者の「第2搬送ユニット33」が「搭載面11aに対して下降及び上昇可能に搬送ガイド31に連結され」た構成は、前者の「第2の支持部材及び第3の支持部材に対し第2の移送ヘッドを昇降動作させる第2の昇降駆動部」を備えているといえる。
後者の「ハンドラー」は、その機能からみて、前者の「ワーク移送システム」に相当する。

そうすると、両者は、
「ワークを支持する第1の支持部材と、
前記第1の支持部材から離間して配置され、ワークを支持する第2の支持部材と、
前記第2の支持部材から前記第1の支持部材とは反対側に離間して配置され、ワークを支持する第3の支持部材と、
ワークを把持して前記第1の支持部材と前記第2の支持部材との間で移送する第1の移送ヘッドと、
ワークを把持して前記第2の支持部材と前記第3の支持部材との間で移送する第2の移送ヘッドと、
前記第1の支持部材及び前記第2の支持部材に対し前記第1の移送ヘッドを昇降動作させる第1の昇降駆動部と、
前記第2の支持部材及び前記第3の支持部材に対し前記第2の移送ヘッドを昇降動作させる第2の昇降駆動部と、
を具備するワーク移送システム。」
である点で一致、以下の点で相違する。
〔相違点3〕
本願発明1は、「第1の支持部材の上方位置と第2の支持部材の上方位置との間で第1の移送ヘッドを水平移動させるとともに、第2の支持部材の上方位置と第3の支持部材の上方位置との間で第2の移送ヘッドを水平移動させる水平駆動部」を備えているのに対し、引用発明2は、「第1搬送ユニット32」と「第2搬送ユニット33」の搬送ガイド31に沿った移動に関し、そのように特定されていない点。
〔相違点4〕
本願発明1は、「第1の移送ヘッド及び第2の移送ヘッドと水平駆動部との間で駆動力を解除可能に伝達する動力伝達部」を備えているのに対し、引用発明2は、そのような構成を備えていない点。

事案に鑑み、相違点4について検討する。
〔相違点4について〕
相違点4は、実質的に相違点2と同じ技術内容といえる。
そして、相違点2については、上記アの〔相違点2について〕で検討したとおり、引用文献2に記載された事項からは当業者が容易に想到し得たこととはいえないので、相違点4についても同様に、引用文献2に記載された事項からは当業者が容易に想到し得たこととはいえない。
よって、相違点3について検討するまでもなく、本願発明1は、引用発明2及び引用文献2に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

(2)本願発明2?6について
本願発明2?6は、本願発明1を減縮した発明であるから、本願発明1と同じ理由により、引用発明1または引用発明2及び引用文献2に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

4.まとめ
以上のとおりであるので、本願発明1?6は、引用発明1または引用発明2及び引用文献2に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえず、したがって、原査定を維持することはできない。

第5 当審拒絶理由について
令和元年6月12日付けで当審で通知した拒絶理由は、この出願は、特許請求の範囲の請求項6の記載が、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないというものである。
具体的には、請求項6の記載に関して、前段の「前記水平駆動部は、・・・前記第1の移送ヘッドの水平移動と同期して前記第2の移送ヘッドを水平移動させるように構成され」との記載は、第1の移送ヘッドの水平移動と第2の移送ヘッドの水平移動とが常に同期すると解されるが、後段の「前記動力伝達部は、・・・ワークを把持した一方の移送ヘッドへの前記駆動力の伝達を解除している間に、ワークを把持した他方の移送ヘッドを前記水平駆動部が水平移動できるようにする」との記載は、場合によって、一方の移動ヘッドが独立して水平移動できると解され、構成が明確といえない、というものであるが、令和元年6月 日の手続補正により、請求項6の前段の記載を「前記水平駆動部は、・・・前記第1の移送ヘッドの水平移動と同期して前記第2の移送ヘッドを水平移動させることができるように構成され」と補正されたことにより、当該拒絶の理由は解消した。

第6 むすび
以上のとおり、本願発明1?6は、引用発明1または2及び引用文献2に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2019-07-22 
出願番号 特願2015-551318(P2015-551318)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (B65G)
P 1 8・ 537- WY (B65G)
最終処分 成立  
前審関与審査官 川上 佳小金井 匠中田 誠二郎  
特許庁審判長 大町 真義
特許庁審判官 小関 峰夫
平田 信勝
発明の名称 ワーク移送システム  
代理人 青木 篤  
代理人 伊藤 公一  
代理人 三橋 真二  
代理人 伊藤 健太郎  
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