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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G09F
審判 査定不服 特36条4項詳細な説明の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G09F
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G09F
管理番号 1353764
審判番号 不服2018-7729  
総通号数 237 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-09-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-06-05 
確定日 2019-07-25 
事件の表示 特願2014-190719「情報処理装置、配信制御方法および配信制御プログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 4月25日出願公開、特開2016- 61987〕について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は,平成26年9月19日を出願日とする特願2014-190719号であって,平成29年7月20日付けで拒絶理由が通知され,同年9月15日に意見書及び手続補正書が提出されたが,平成30年2月23日付けで拒絶査定がなされ,同査定の謄本は同年3月6日に出願人に送達された。 これに対して,平成30年6月5日に拒絶査定不服審判の請求がなされ,当該請求と同時に手続補正書が提出されたものである。
その後,当審において,平成30年12月14日付けで拒絶理由が通知され,平成31年2月18日に意見書及び手続補正書の提出がされた。

第2 本願発明
本願の請求項1ないし9に係る発明は,平成31年2月18日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし9に記載された事項により特定されるとおりのものであって ,そのうち請求項1に係る発明(以下,「本願発明1」という。)はつぎのとおりのものである。
「【請求項1】
各端末の利用者が閲覧したコンテンツに関するコンテンツ情報を,前記各端末の位置情報および速度情報と共に,前記各端末のユーザがデジタルサイネージを閲覧可能な範囲のうち前記デジタルサイネージの前方位置とは異なる予め設定された位置で,前記各端末から取得する取得手段と,
前記取得手段によって取得された前記各端末の位置情報および速度情報に基づいて,前記デジタルサイネージの前方位置を通過する端末を予測する予測手段と,
前記予測手段によって前記デジタルサイネージの前方位置を通過すると予測された端末から前記取得手段によって取得された前記コンテンツ情報に基づいて,前記予測手段によって前記デジタルサイネージの前方位置を通過すると予測された端末の利用者の嗜好を特定する特定手段と,
前記特定手段によって特定された前記利用者の嗜好に基づいて前記デジタルサイネージに表示させる広告の配信を制御する配信制御手段と
を備えたことを特徴とする情報処理装置。」

第3 引用文献
1 特開2012-203650号公報(以下,「引用文献1」という。)
(1)平成30年12月14日付けの当審における 拒絶理由通知(以下,「当審拒絶理由通知」という。)において,引用文献1として引用され,本願出願前に出願公開がされた引用文献1には,つぎの事項が記載されている。
ア 「【0009】(実施の形態1)
図1は,本実施の形態の情報配信装置を備えた情報配信システムのネットワーク構成,及び情報配信装置,情報表示装置,及び携帯端末の各機能的構成を示すブロック図である。図2は,本実施の形態の情報配信システムが実際の環境に適用された場合を模式的に示した図である。
【0010】本実施の形態では,情報配信システム10は,情報配信装置12と,情報表示装置14と,携帯端末16と,を備え,これらがインターネット等の通信回線18に接続された構成となっている。
【0011】携帯端末16は,ユーザ52(利用者)によって携帯される端末である。本実施の形態では,携帯端末16は,携帯端末16の位置を示す位置情報と,携帯端末16を一意に識別するための識別情報である携帯端末IDと,を情報配信装置12に所定間隔で送信する。携帯端末16としては,例えば,スマートフォン(登録商標)等の携帯電話,iPad(登録商標)等のタブレット端末等が挙げられるが,これらに限られない。」
イ 「【0013】情報表示装置14は,情報配信装置12から配信されたコンテンツデータのコンテンツを再生する装置である。この情報表示装置14としては,電車やタクシーなどの移動体内や,駅や店舗の構内や街路やビル54等に固定して設置される表示装置が挙げられる。なお,この情報表示装置14は,具体的には,デジタルサイネージ装置と称される装置が該当するが,これに限定されない。」
ウ 「【0016】情報表示装置14は,詳細には,図1に示すように,通信部46,処理部48,及び表示部50を主に備えている。
【0017】通信部46は,情報配信装置12から配信されたコンテンツデータを受信する。また,通信部46は,情報表示装置14を一意に識別するための識別情報と,該情報表示装置14の位置を示す位置情報と,を情報配信装置12に送信する。
【0018】情報表示装置14の位置を示す位置情報としては,例えば,GPS機能によって計測された位置情報が用いられる。なお,情報表示装置14の位置情報は,情報表示装置14の設置されている位置を示す情報であればよく,GPSで計測した位置情報に限られない。
【0019】表示コンテンツ処理部48は,情報配信装置12から通信部46を介してコンテンツデータを受け付け,受け付けたデータを表示部50で表示可能な形式に変換し,表示部50に表示する。表示部50としては,LCD(Liquid Crystal Display)等の公知の表示装置が挙げられる。
【0020】次に,情報配信装置12について説明する。情報配信装置12は,コンテンツデータを,後述するコンテンツスケジュールに沿ったスケジュールで情報表示装置14に配信する装置である。なお,情報配信装置12は,複数の情報表示装置14に,各情報装置14の設置環境に応じたコンテンツデータを配信する装置である。本実施の形態では,一例として,1つの情報表示装置14に,コンテンツデータを配信する場合を説明する。」
エ 「【0028】図1に戻り,第3記憶部36は,ハードディスクドライブ装置(HDD)等の記憶媒体であり,ユーザ52の特徴情報を記憶する。特徴情報とは,携帯端末16の利用者であるユーザ52の嗜好,性別,年齢等の,ユーザ52の特徴を示す情報である。この特徴情報としては,例えば,嗜好を表すキーワード情報や,性別を示す情報や,年齢を示す情報等が挙げられるが,これに限られない。図5には,第3記憶部36に記憶される特徴情報を含むデータのデータ構成を示した。図5に示すように,第3記憶部36には,例えば,端末IDと,利用者を示す情報と,年齢と,性別と,嗜好を表すキーワードと,が対応づけて記憶される。
【0029】この第3記憶部36に記憶される特徴情報は,例えば,各携帯端末16から受信部20で受け付けて,第3記憶部36に記憶すればよい。この場合には,例えば携帯端末16に,特徴情報を取得するためのプログラムを予めインストールしておけばよい。そして,このプログラムとしては,携帯端末16の表示画面の特徴情報の入力画面を表示してユーザ52の携帯端末16の操作指示によって特徴情報の入力を可能とし,入力された特徴情報と携帯端末16の端末IDとを少なくとも含む情報を,情報配信装置12に送信するプログラムが挙げられる。また,この特徴情報を取得するためのプログラムとしては,例えば,携帯端末16に記憶されているユーザ52によるウェブサーバーへのアクセス履歴やメール内容等から所定時間毎に特徴情報を抽出し,抽出した特徴情報と端末IDとを含む情報を,情報配信装置12に送信するプログラムが挙げられる。また,この特徴情報を取得するためのプルグラム(当審注:プログラムの誤記と認める。)としては,例えば,携帯端末16に記憶されているアクセス履歴等の履歴情報と端末IDとを含む情報を,所定時間毎に情報配信装置12に送信するプログラムが挙げられる。携帯端末16から携帯端末16のアクセス履歴等の履歴情報と端末IDとを含む情報を受信した場合には,情報配信装置12において該履歴情報から特徴情報を抽出して第3記憶部36に記憶すればよい。」
オ 「【0040】 図1に戻り,特定部27は,複数の携帯端末16のうちの,情報表示装置14の表示部50に現在表示中のコンテンツの配信終了時刻(すなわち表示終了時刻)に,該情報表示装置14の位置から予め定められた領域内に位置する携帯端末16を,次のコンテンツの配信対象端末として特定する。
【0041】この情報表示装置14の位置から予め定められた領域としては,例えば,情報表示装置14の表示部50に表示されたコンテンツを,ユーザ52が視認することが可能な領域が定められる。例えば,上記図2に示すように,情報表示装置14に表示されたコンテンツを視認可能な予め定められた領域として,領域Aが定められる。この領域Aを示す情報は,情報表示装置14からの距離を示す情報であってもよいし,該領域の位置座標を示す情報であってもよい。以下,情報表示装置14の位置から予め定められた領域を,領域Aと称して説明する。」
カ 「【0043】 特定部27は,具体的には,第1特定部26と,第2特定部28と,を含んでいる。
【0044】 第1特定部26は,情報表示装置14の表示部50に表示されているコンテンツの配信終了時刻に,上記領域A内に位置されていると予測される携帯端末16を特定する。・・・
【0045】この第1特定部26における,情報表示装置14の表示部50に表示中のコンテンツの配信終了時に,領域A内に到る携帯端末16の特定方法について,図8を用いて具体的に説明する。なお,図8は,第1特定部26における,上記領域A内に携帯端末16が存在するか否かの特定方法を模式的に示した図である。
【0046】 まず,第1特定部26は,表示部50にコンテンツが表示されているときに,第2記憶部24から,情報表示装置14の装置IDと位置情報とを読み取る。
【0047】また,第1特定部26は,第1記憶部22に記憶されている端末IDの各々に対応する,受信時刻の異なる少なくとも2つの位置情報を読み取る。なお,本実施の形態では,一例として,第1記憶部22に記憶されている複数の端末IDの各々について,現在時刻(第1特定部26が第1記憶部22にアクセスする時刻)と同じ受信時刻(例えば,受信時刻t+mとする)に対応する位置情報と,該受信時刻より前の受信時刻(例えば,受信時刻tとする)に対応する位置情報と,を読み取る場合を説明する。すなわち,本実施の形態では,第1特定部26は,各携帯端末16における,現在時刻における位置情報と,過去のある時刻における位置情報と,を読み取る。
【0048】そして,この読み取った位置情報に基づいて,携帯端末16の移動距離と移動速度と移動角度(移動方向)を求める。」
キ 「【0057】そして,さらに,第1特定部26は,これらの移動距離D,移動速度v,移動角度αの算出結果に基づいて,表示部50に表示中のコンテンツの配信終了時刻(例えば,時刻t+kとする)に,領域A内に該携帯端末16が存在するか否かを特定する。」
ク 「【0059】 第2特定部28は,第1特定部26で特定された,情報表示装置14の表示部50に表示中のコンテンツの配信終了時刻に上記領域A内に到る携帯端末16の内の,少なくとも一部の携帯端末16を,次に配信するコンテンツの配信対象端末として特定する。
【0060】本実施の形態では,第1特定部26で特定された,情報表示装置14の表示部50に表示中のコンテンツの配信終了時刻に上記領域A内に到る携帯端末16のユーザ52の特徴情報に応じて,次に配信するコンテンツの配信対象端末を特定する。
・・・
【0062】
そして,第2特定部28は,読み取った特徴情報に基づいて,第1特定部26で特定された携帯端末16を複数のグループに分類する。例えば,第2特定部28は,該読み取った各携帯端末16(ユーザ52)の特徴情報から,少なくとも2つの携帯端末16に共通する共通情報を抽出し,抽出した各共通情報を有する携帯端末16毎に,第1特定部26で特定された携帯端末16を複数のグループに分類する。そして,第2特定部28は,分類した複数のグループの内の,属するユーザ52(携帯端末16)の数の最も多いグループに属する携帯端末16を,次に配信するコンテンツの配信対象端末として特定する。
【0063】 例えば,第1特定部26によって特定された携帯端末16の特徴情報として,第2特定部28が,図9に示す特徴情報を読み取ったとする。なお,図9は,第1特定部26が第3記憶部36から読み取った特徴情報を含むデータのデータ構成を示したものである。
【0064】この場合には,第2特定部28が,共通のキーワードを有するユーザ52の携帯端末16毎に携帯端末16を複数のグループに分類すると,属する携帯端末16の数の最も多いグループは,嗜好を表すキーワード「ファッション」を有するグループとなる。そして,このグループに属する携帯端末16のユーザ52である利用者A,B,Gの各々の端末IDの携帯端末16が,次に配信するコンテンツの配信対象端末として特定される。
・・・
【0066】次に,第2特定部28は,次に配信するコンテンツの配信対象端末の特徴情報から,該配信対象端末のユーザ52に共通する共通情報を作成する。この共通情報としては,該配信対象端末のユーザ52に共通するキーワードや,嗜好モデルが挙げられる。この作成結果である共通情報は,第6記憶部30に記憶される。
ケ 「【0069】決定部32は,次に第2特定部28によって特定された次に配信するコンテンツの配信対象端末を示す情報や,現在情報表示装置14に表示されているコンテンツの配信終了時刻等に基づいて,次に配信するコンテンツのコンテンツデータを決定する。すなわち,決定部32は,次に配信するコンテンツの配信対象端末のユーザ52の嗜好に応じたコンテンツのコンテンツデータを,次に配信するコンテンツデータとして決定する。
【0070】具体的には,決定部32は,第6記憶部30に格納されている,次に配信するコンテンツの配信対象端末の共通情報に対応する情報を含むメタデータを,第7記憶部34に記憶されているメタデータから特定する。そして,特定したメタデータに含まれるコンテンツIDのコンテンツデータを,次に配信するコンテンツデータとして決定する。」
コ 「【0072】更新部38は,決定部32で決定されたコンテンツデータのコンテンツIDと,情報表示装置14の表示部50に表示中のコンテンツの配信終了時刻と,に基づいて,第5記憶部40に記憶されている配信スケジュールを更新する。
【0073】具体的には,更新部38は,情報表示装置14の表示部50に表示中のコンテンツの配信終了時刻を「配信開始時刻」とし,該配信開始時刻から予め定めた所定時間経過した時間を「配信終了時刻」として,決定部32で決定されたコンテンツIDに対応づけて第5記憶部40に記憶することによって,配信スケジュールを更新する。」
サ 「【0101】以上説明したように,本実施の形態の情報配信システム10及び情報配信装置12では,特定部27が,複数の携帯端末16のうちの,情報表示装置14の表示部50に現在表示中のコンテンツの配信終了時刻(表示終了時刻)に,該情報表示装置14の位置から予め定められた領域A内に位置する少なくとも一部の携帯端末16を,次のコンテンツの配信対象端末として特定する。そして,決定部32が,特定した配信対象端末の特徴情報から,該配信対象端末のユーザ52に共通する共通情報に対応する情報を含むメタデータに対応するコンテンツデータを,次に配信するコンテンツデータとして決定する。さらに,更新部38が,決定部32で決定されたコンテンツデータのコンテンツIDと,情報表示装置14の表示部50に表示中のコンテンツの配信終了時刻と,を第5記憶部40に登録することによって配信スケジュールを更新する。配信部44は,配信スケジュールに沿って,コンテンツデータを情報表示装置14へ配信する。
【0102】このように,本実施の形態の情報配信システム10及び情報表示装置14では,情報表示装置14の表示部50にコンテンツが表示されているときに,該コンテンツの表示終了時に該情報表示装置14から予め定められた領域A内に位置する可能性のある携帯端末16を特定し,特定した携帯端末16のユーザ52の嗜好に応じたコンテンツが,該携帯端末16が領域A内に至ったときに情報表示装置14に配信されるように,配信スケジュールを動的に更新することができる。
【0103】従って,本実施の形態の情報配信システム10及び情報表示装置14では,情報配信装置12への小さい負荷で,ユーザ52に,該ユーザ52に応じたコンテンツを的確に提供することができる。
【0104】 また,本実施の形態の情報配信システム10及び情報表示装置14では,第1特定部26が,第1記憶部22に記憶されている端末IDの各々に対応する,受信時刻の異なる少なくとも2つの位置情報を読み取り,各携帯端末16の移動距離と移動速度と移動角度(移動方向)を求める。そして,これらの移動距離,移動速度,移動角度と,情報表示装置14の位置を示す位置情報と,に基づいて,表示部50に表示中のコンテンツの配信終了時刻における,情報表示装置14から所定距離以内の領域である領域A内に存在する携帯端末16を推定する。
【0105】このため,情報配信システム10及び情報表示装置14では,情報表示装置14の表示部50に現在表示されているコンテンツの配信終了時刻に,情報表示装置14から所定距離以内の領域に存在する携帯端末16を的確に特定することができる。また,コンテンツデータを効率的かつ効果的に配信することができる。」
シ 第1図


ス 第2図


セ 上記の記載によれば,引用文献1には,情報配信装置と,情報表示装置と,複数の携帯端末と,これらがインターネット等の通信回線に接続されて構成される情報配信システムが記載されているところ,ここでの,「情報配信装置」は,情報配信装置と情報表示装置及び複数の携帯端末とがインターネット等の通信回線に接続されて構成される情報配信システムを構成する「情報配信装置」と言い得るものである。

(2)引用文献1に記載された発明
上記(1)の記載を総合すると,引用文献1には,つぎの発明が記載されているものと認められる。
「情報配信装置と,情報表示装置と,複数の携帯端末とがインターネット等の通信回線に接続された情報配信システムにおいて用いられる情報配信装置であって,
情報配信装置は,携帯端末の各々に対応する受信時刻の異なる少なくとも2つの位置情報を読み取り各携帯端末の移動距離と移動速度と移動角度(移動方向)を求め,これらの移動距離,移動速度,移動角度と,情報表示装置の位置を示す位置情報とに基づいて,表示部に表示中のコンテンツの配信終了時刻における情報表示装置から所定距離以内の領域である領域内に存在する携帯端末を推定し,そのうちの少なくとも一部の携帯端末を次のコンテンツの配信対象端末として特定する特定部と,特定した配信対象端末に記憶されている所定時間毎のアクセス履歴等の履歴情報と端末IDとを含む情報から,該配信対象端末のユーザに共通する共通情報に対応する情報を含むメタデータに対応するコンテンツデータを,次に配信するコンテンツデータとして決定する決定部と,決定部で決定されたコンテンツデータのコンテンツIDと,情報表示装置の表示部に表示中のコンテンツの配信終了時刻とを記憶部に登録することによって配信スケジュールを更新する更新部と,配信スケジュールに沿って,コンテンツデータを情報表示装置へ配信する配信部とを備え,
情報表示装置の表示部にコンテンツが表示されているときに,該コンテンツの表示終了時に該情報表示装置から予め定められた領域内に位置する可能性のある携帯端末を特定し,特定した携帯端末のユーザの嗜好に応じたコンテンツが,該携帯端末が領域内に至ったときに情報表示装置に配信されるように,配信スケジュールを動的に更新することができる情報配信装置」の発明(以下,「引用発明1」という。)

第4 当審の判断
1 本願発明1と引用発明1との対比
(1)引用発明1の「情報配信装置」,「情報表示装置」,「複数の携帯端末」は,それぞれ,本願発明1の「情報処理装置」,「デジタルサイネージ」,「各端末」に相当する。

(2)引用発明1の「特定した配信対象端末に記憶されている所定時間毎のアクセス履歴等の履歴情報と端末IDとを含む情報」のアクセス履歴とは,上記第3の1(1)のエの段落【0029】によれば,「ウェブサーバへのアクセス履歴」のことであるから,引用発明1の「特定した配信対象端末に記憶されている所定時間毎のアクセス履歴等の履歴情報と端末IDとを含む情報」は,本願発明1の「各端末の利用者が閲覧したコンテンツに関するコンテンツ情報」に相当するものであることは明らかである。
そして,本願発明1の「前記各端末の位置情報および速度情報と共に,前記各端末のユーザがデジタルサイネージを閲覧可能な範囲のうち前記デジタルサイネージの前方位置とは異なる予め設定された位置で,前記各端末から取得する取得手段」と,引用発明1の「情報配信装置」が「携帯端末の各々に対応する受信時刻の異なる少なくとも2つの位置情報を読み取り各携帯端末の移動距離と移動速度と移動角度(移動方向)を求め」ることとは,「前記各端末の位置情報を各端末から取得」している点で共通するものといえる。
してみると,本願発明1と引用発明1とは,「各端末の利用者が閲覧したコンテンツに関するコンテンツ情報と前記各端末の位置情報とを前記各端末から取得する取得手段」を備えるものといえる点で共通するといえる。

(3)本願明細書の段落【0023】の「デジタルサイネージの前を通過すると予測されるユーザ端末1」との記載,同段落【0033】の「図4の場合,「DS01」で特定されるサイネージ50は,座標(X3,Y3)に位置し,ユーザは,(X1,Y1)から(X5,Y5)までの範囲に位置するときに,このサイネージ50を閲覧することができることを示す」との記載,及び,同【0037】の「図5の1行目は,「2014年9月11日12時」に,(X1,Y1)に位置する「UID01」のユーザ端末1から取得された履歴情報である。そして,このユーザ端末1は,「経済ニュース」を閲覧し,「Q1」の角速度で移動して,「DS01」のデジタルサイネージ50を通過すると予測される。また,このユーザ端末1のユーザの嗜好が「経済」と判定されたことを示す。」との記載に照らせば,本願発明1の「デジタルサイネージの前方位置」がデジタルサイネージの設置場所に相対する位置(X3,Y3)のことであり,「デジタルサイネージを閲覧可能な範囲のうち前記デジタルサイネージの前方位置とは異なる予め設定された位置」とは,(X1,Y1)や(X5,Y5)であるから,設置場所に向かう途中の位置のことを意味するものと解される。
そして,引用発明1は,「表示中のコンテンツの配信終了時刻における情報表示装置から所定距離以内の領域である領域内に存在する携帯端末を推定」するために,「携帯端末の各々に対応する受信時刻の異なる少なくとも2つの位置情報を読み取」っているのであるから,当然「そこでの受信時刻」は,コンテンツの配信終了時刻よりも前の時刻であることは自明のことであり,コンテンツの配信終了時刻に「領域内に存在している携帯端末」とは,ここでの「領域」が上記第3の1(1)オの段落【0040】などに「情報表示装置14の位置から予め定められた領域としては,例えば,情報表示装置14の表示部50に表示されたコンテンツを,ユーザ52が視認することが可能な領域が定められる。」と記載されており,同じく上記第3の1(1)スの図2に「領域A」として示されているものであることに照らせば,「それらの端末」は,「そこでの受信時刻」より前の時刻において所定領域Aに向かう途中の携帯端末であるものと理解できる。
してみると,本願発明1の「各端末の利用者が閲覧したコンテンツに関するコンテンツ情報を,前記各端末の位置情報および速度情報と共に,前記各端末のユーザがデジタルサイネージを閲覧可能な範囲のうち前記デジタルサイネージの前方位置とは異なる予め設定された位置で,前記各端末から取得する取得手段」と引用発明1の「情報配信装置は,携帯端末の各々に対応する受信時刻の異なる少なくとも2つの位置情報を読み取り各携帯端末の移動距離と移動速度と移動角度(移動方向)を求め」ることとは,「各端末の位置情報をデジタルサイネージが設置された場所に向かう途中の位置で,各端末から取得する取得手段」である点でも共通するものといえる。

(4)本願発明1の「前記取得手段によって取得された前記各端末の位置情報および速度情報に基づいて,前記デジタルサイネージの前方位置を通過する端末を予測する予測手段」と,引用発明1の「情報配信装置は,携帯端末の各々に対応する受信時刻の異なる少なくとも2つの位置情報を読み取り各携帯端末の移動距離と移動速度と移動角度(移動方向)を求め」,「これらの移動距離,移動速度,移動角度と,情報表示装置の位置を示す位置情報とに基づいて,表示部に表示中のコンテンツの配信終了時刻における情報表示装置から所定距離以内の領域である領域内に存在する携帯端末を推定」していることとは,上記(3)の検討に照らせば,共に「前記取得手段によって取得された前記各端末の位置情報に基づいて,前記デジタルサイネージの位置に向かう端末を予測する予測手段」である点で共通するものといえる。

(5)引用発明1の「該情報表示装置の位置から予め定められた領域内に位置する少なくとも一部の携帯端末を次のコンテンツの配信対象端末として特定する特定部と,特定した配信対象端末に記憶されている所定時間毎のアクセス履歴等の履歴情報と端末IDとを含む情報から,該配信対象端末のユーザに共通する共通情報に対応する情報を含むメタデータに対応するコンテンツデータを,次に配信するコンテンツデータとして決定する決定部」は,配信対象端末のユーザに共通する共通情報に対応する情報に基づいて,次に配信するコンテンツデータを決定しているところ,ここでの共通情報とは,各端末に記憶されているアクセス履歴等の履歴情報から抽出された共通情報であって,配信対象端末のユーザの嗜好を特定するものであるといえる。
してみると,本願発明1の「前記予測手段によって前記デジタルサイネージの前方位置を通過すると予測された端末から前記取得手段によって取得された前記コンテンツ情報に基づいて,前記予測手段によって前記デジタルサイネージの前方位置を通過すると予測された端末の利用者の嗜好を特定する特定手段」と,引用発明1の「該情報表示装置の位置から予め定められた領域内に位置する少なくとも一部の携帯端末を次のコンテンツの配信対象端末として特定する特定部と,特定した配信対象端末に記憶されている所定時間毎のアクセス履歴等の履歴情報と端末IDとを含む情報から,該配信対象端末のユーザに共通する共通情報に対応する情報を含むメタデータに対応するコンテンツデータを,次に配信するコンテンツデータとして決定する決定部」とは,「前記予測手段によって,前記デジタルサイネージの位置に向かうと予測された端末から前記取得手段によって取得された各端末の利用者が閲覧したコンテンツに関するコンテンツ情報から,当該端末の利用者の嗜好を特定する特定手段」である点で共通するものといえる。

(6)引用発明1は,「該配信対象端末のユーザに共通する共通情報に対応する情報を含むメタデータに対応するコンテンツデータを,次に配信するコンテンツデータとして決定する決定部」を備えているところ,上記(5)のとおり,ここでの「共通情報」とは,配信対象端末のユーザの嗜好を特定するものといえるのであるから,本願発明1の「前記特定手段によって特定された前記利用者の嗜好に基づいて前記デジタルサイネージに表示させる広告の配信を制御する配信制御手段」と,引用発明1の「該配信対象端末のユーザに共通する共通情報に対応する情報を含むメタデータに対応するコンテンツデータを,次に配信するコンテンツデータとして決定する決定部と,決定部で決定されたコンテンツデータのコンテンツIDと,情報表示装置の表示部に表示中のコンテンツの配信終了時刻とを記憶部に登録することによって配信スケジュールを更新する更新部と,配信スケジュールに沿って,コンテンツデータを情報表示装置へ配信する配信部」とは,「前記特定手段によって特定された前記利用者の嗜好に基づいて前記デジタルサイネージに表示させる広告の配信を制御する配信制御手段」という点で共通するものといえる。

2 一致点・相違点
上記1の検討を踏まえれば,本願発明1と引用発明1とは,つぎの一致点で一致し,各相違点で相違するものである。
<一致点>
「各端末の利用者が閲覧したコンテンツに関するコンテンツ情報と前記各端末の位置情報とを前記各端末から取得する取得手段であって,各端末の位置情報をデジタルサイネージが設置された場所に向かう途中の位置で各端末から取得する取得手段と,
前記取得手段によって取得された前記各端末の位置情報に基づいて,前記デジタルサイネージの位置に向かう端末を予測する予測手段と,
前記予測手段によって,前記デジタルサイネージの位置に向かうと予測された端末から前記取得手段によって取得された各端末の利用者が閲覧したコンテンツに関するコンテンツ情報から,当該端末の利用者の嗜好を特定する特定手段と,
前記特定手段によって特定された前記利用者の嗜好に基づいて前記デジタルサイネージに表示させる広告の配信を制御する配信制御手段と,
を備えたことを特徴とする情報処理装置」である点

<相違点1>
本願発明1の取得手段が「各端末の利用者が閲覧したコンテンツに関するコンテンツ情報を,前記各端末の位置情報と共に,各端末のユーザがデジタルサイネージを閲覧可能な範囲のうち前記デジタルサイネージの前方位置とは異なる予め設定された位置で,各端末から取得する」のに対して,引用発明1の「特定部」は,「携帯端末の各々に対応する受信時刻の異なる少なくとも2つの位置情報」を読み取り,かつ,「所定時間毎のアクセス履歴等の履歴情報」を取得しているものの,それらが,共に取得されることは特定されておらず,所定領域Aに向かう途中の位置で,各端末から取得されるものである点

<相違点2>
「前記取得手段によって取得された前記各端末の位置情報に基づいて,前記デジタルサイネージの位置に向かう端末を予測する予測手段」に関して,本願発明1が,「各端末の位置情報」とともに「速度情報」を取得し,「各端末の位置情報」および「速度情報」に基づいて,「前記デジタルサイネージの位置に向かう端末を予測」しているのに対して,引用発明1は「受信時刻の異なる少なくとも2つの位置情報を読み取り,各携帯端末の移動距離と移動速度と移動角度(移動方向)を求め,これらの移動距離,移動速度,移動角度と,情報表示装置の位置を示す位置情報とに基づいて,「情報表示装置の位置に向かう端末を推定」している点

<相違点3>
「前記予測手段によって,前記デジタルサイネージの位置に向かうと予測された端末から前記取得手段によって取得された各端末の利用者が閲覧したコンテンツに関するコンテンツ情報から,当該端末の利用者の嗜好を特定する特定手段」に関して,本願発明1が,「デジタルサイネージの前方位置を通過すると予測された端末から前記取得手段によって取得された前記コンテンツ情報に基づいて,前記予測手段によって前記デジタルサイネージの前方位置を通過すると予測された端末の利用者の嗜好を特定する」のに対して,引用発明1は「情報表示装置の表示部に現在表示中のコンテンツの配信終了時刻に,該情報表示装置の位置から予め定められた領域内に位置する少なくとも一部の携帯端末を次のコンテンツの配信対象端末として特定」し,「特定した配信対象端末に記憶されている所定時間毎のアクセス履歴等の履歴情報と端末IDとを含む情報から,該配信対象端末のユーザに共通する共通情報」を用いるものである点

3 各相違点についての当審の判断
(1)相違点1について
ア 引用発明1においては,上記第3の1(1)エの段落【0029】に記載されているように,「携帯端末に記憶されているアクセス履歴等の履歴情報」が,「端末ID」と共に「所定時間毎に情報配信装置に送信」されているものであり,段落【0025】に記載されているように,情報配信装置は,携帯端末の「位置情報」と「端末ID」とを,予め定めた所定時間毎に受信しているものであって具体的には,受信時刻の異なる少なくとも2つの時刻の情報を読み取っているものであるところ,これらの「履歴情報」及び「位置情報」には,共に「端末ID」が含まれることから,これら情報を同時に受信した場合には,「端末ID」の送信が一度で足りること,及び,インターネット等の通信回線を介して情報を伝達するにあたって,「情報配信装置」が同じ「携帯端末」から複数の情報を受信するタイミングを合わせた方が効率的であることに鑑みれば,情報配信装置が所定時刻毎に受信する「履歴情報」及び「位置情報」を情報配信装置が取得するタイミングを同じタイミングとすることは,当業者であれば当然考慮すべき要素であるといえる。
してみると,引用発明1の「特定部」において,「携帯端末の各々に対応する受信時刻の異なる少なくとも2つの位置情報を「アクセス履歴等の履歴情報」と共に各端末から取得するようにすることは,当業者が適宜なし得る程度のことにすぎない。
イ 上記1(3)において説示したように,本願発明1の「各端末の利用者が閲覧したコンテンツに関するコンテンツ情報を,前記各端末の位置情報および速度情報と共に,前記各端末のユーザがデジタルサイネージを閲覧可能な範囲のうち前記デジタルサイネージの前方位置とは異なる予め設定された位置で,前記各端末から取得する取得手段」と引用発明1の「情報配信装置は,携帯端末の各々に対応する受信時刻の異なる少なくとも2つの位置情報を読み取り各携帯端末の移動距離と移動速度と移動角度(移動方向)を求め」ることとは,「各端末の位置情報をデジタルサイネージが設置された場所に向かう途中の位置で,各端末から取得する取得手段」である点で共通するものといえ,本願発明1と引用発明1とは,情報表示装置のコンテンツが視認できる位置へと向かう途中で取得された情報に基づいて情報表示装置の設置場所に向かうユーザに適する広告を表示するという点でその技術的意義は共通するものである。
そして,本願発明1と引用発明1との携帯端末からの閲覧したコンテンツに関する情報の取得位置の相違は,制御対象とされるコンテンツの再生時間や,コンテンツを表示するデジタルサイネージの大きさや視認領域範囲に応じて決定すべきものであることは,情報表示装置のコンテンツが視認できる位置へと向かう途中の情報を端末から取得するにあたり,比較的長い再生時間のコンテンツを対象とする表示するにあたっては,情報表示装置の設置場所に向かっている途中の閲覧情報を取得するタイミングをより早いタイミングで取得しなければ再生するタイミングが間に合わないことが技術常識に照らして明らかであることからすれば,当業者であれば当然理解し得ることである。
してみると,引用発明1を比較的小さなデジタルサイネージの表示時間が短いコンテンツの配信スケジュールの決定に適用する場合には,閲覧情報の取得するタイミングをよりデジタルサイネージの近くの位置とできることは当業者であれば容易に想到し得ることであるといえるから,引用発明1において,閲覧情報を取得するタイミングを相違点1に係る本願発明1のようにすることは,当業者であれば適宜なし得ることというべきである。
ウ 以上のとおりであるから,引用発明1の「特定部」において,「携帯端末の各々に対応する受信時刻の異なる少なくとも2つの位置情報」を「アクセス履歴等の履歴情報」と共に各端末から取得し,その「取得位置」を「各端末のユーザがデジタルサイネージを閲覧可能な範囲のうち前記デジタルサイネージの前方位置とは異なる予め設定された位置」とすることにより,本願発明1の上記相違点1に係る構成とすることは,当業者が適宜なし得る程度のことにすぎない。

(2)相違点2について
引用発明1においては,異なる2つの時刻の位置情報を用いて,移動速度を求めているところ,本願出願時において,端末装置に内蔵されるGPS装置の情報に基づいて,端末装置の位置や速度の情報を取得するにあたって,「端末装置から,異なる2つの時刻の位置情報を取得して,当該情報により移動速度を計算して求める」ことや,「位置情報及び速度情報」を取得することは,共に周知の手法であって,どちらを選択するかは,当業者であれば適宜選択し得る程度の事項にすぎないというべきである。
してみると,引用発明1において,「受信時刻の異なる少なくとも2つの位置情報を読み取り,各携帯端末の移動距離と移動速度と移動角度(移動方向)を求め,これらの移動距離,移動速度,移動角度と,情報表示装置の位置を示す位置情報とに基づいて,「情報表示装置の位置に向かう端末を推定」することに代えて,「各携帯端末の位置情報」とともに「移動速度」を読み取り,これらの情報に基づいて,移動距離や移動速度,移動角度を求め,情報表示装置の位置を示す位置情報とに基づいて,情報表示装置の位置に向かう端末を推定するようにすることで,本願発明1の上記相違点2に係る構成とすることは,当業者が適宜選択し得る程度の事項にすぎない。

(3)相違点3について
ア 上記(1)のイにおいて説示したように,本願発明1と引用発明1とは,情報表示装置のコンテンツが視認できる位置へと向かう途中で取得された情報に基づいて情報表示装置の設置場所に向かうユーザに適する広告を表示するという点でその技術的意義は共通するものといえ,本願発明1と引用発明1との携帯端末からの閲覧したコンテンツに関する情報の取得位置の相違は,制御対象とされるコンテンツの再生時間や,コンテンツを表示するデジタルサイネージの大きさや視認領域範囲に応じて決定すべきものである。
イ そして,デジタルサイネージの設置場所へ向かう途中で端末の情報を取得し,当該取得した情報に基づいて,端末の利用者の嗜好を特定して当該利用者の嗜好に基づいてデジタルサイネージに表示させる広告の配信を制御するにあたって,デジタルサイネージの設置場所に対してどのような位置にある端末の利用者の嗜好に基づいて表示する広告を決定するかは,情報表示装置に表示されるコンテンツの視聴可能な範囲の大きさや,コンテンツの提供時間の長さなどに応じて適宜定めるべき要素であるところ,引用発明1においても表示中のコンテンツ終了時に情報表示装置の前方に位置する可能性のある携帯端末を特定するようにすれば,表示するコンテンツの内容を情報表示装置の近くに位置する端末の携帯端末のユーザの嗜好に応じたものとできることは,技術的に自明である。
ウ してみると,引用発明1において,「情報表示装置の表示部に現在表示中のコンテンツの配信終了時刻に,該情報表示装置の位置から予め定められた領域内に位置する少なくとも一部の携帯端末を次のコンテンツの配信対象端末として特定」することに代えて,本願発明1のように,「情報表示装置の表示部に現在表示中のコンテンツの配信終了時刻に,該情報表示装置の設置位置に位置する少なくとも一部の携帯端末を次のコンテンツの配信対象端末として特定」することにより, 本願発明1の上記相違点3に係る構成とすることは,当業者が適宜なし得る程度のことにすぎない。

4 小括
以上のとおりであるから,本願発明1は,引用発明1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。

第5 むすび
上記のとおり,本願発明1は,特許法第29条第2項の規定により特許受けることができないものであるから,その余の請求項及び同項に係る発明について論及するまでもなく,本願は拒絶すべきものである。
よって,上記の結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2019-05-21 
結審通知日 2019-05-28 
審決日 2019-06-10 
出願番号 特願2014-190719(P2014-190719)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (G09F)
P 1 8・ 536- WZ (G09F)
P 1 8・ 537- WZ (G09F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 大澤 元成  
特許庁審判長 藤本 義仁
特許庁審判官 尾崎 淳史
清水 康司
発明の名称 情報処理装置、配信制御方法および配信制御プログラム  
代理人 特許業務法人酒井国際特許事務所  

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