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審決分類 審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない。 H04N
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04N
管理番号 1353838
審判番号 不服2018-2822  
総通号数 237 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-09-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-02-28 
確定日 2019-07-29 
事件の表示 特願2014-550148「画像処理装置および方法」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 6月 5日国際公開、WO2014/084108〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 経緯
1 経緯
本件出願は、2013年(平成25年)11月21日(優先権主張2012年11月30日、日本国、2013年1月10日、日本国)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は、以下のとおりである。

平成27年 4月17日:特許協力条約19条補正の写し提出
平成29年 8月30日:拒絶理由の通知
平成29年10月23日:手続補正(1)・意見書
平成29年11月21日:拒絶理由の通知(最後)
平成30年 1月18日:手続補正(2)・意見書
平成30年 1月25日:補正の却下の決定(手続補正(2))
平成30年 1月25日:拒絶査定
平成30年 1月30日:拒絶査定の謄本の送達
平成30年 2月28日:拒絶査定不服審判の請求
平成30年 2月28日:手続補正(3)

2 査定の概要
原査定の理由は、概略、次のとおりである。

[査定の理由]
この出願の請求項1?14に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。


引用文献1:Wei Dai, Madhu Krihnan, Pankaj Topiwala, "In Support of a Still Image Profile of HEVC v1", Joint Collaborative Team on Video Coding (JCT-VC) of ITU-T SG16 WP3 and ISO/IEC JTC1/SC29/WG11 10th Meeting: Shanghai, CN, 10-19 October, 2012, [JCTVC-K0285]
引用文献2:Recommendation ITU-T H.264 (01/2012) Advanced video coding for generic audiovisual services, pp.287-288
引用文献3:特開2009-302786号公報

第2 補正却下の決定
平成30年2月28日付けの手続補正について次のとおり決定する。

[補正却下の決定の結論]
平成30年2月28日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1 補正の内容
平成30年2月28日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲についてする補正を含む補正である。

本件補正のうち、特許請求の範囲についてする補正は、
(補正前の請求項1?14)
「 【請求項1】
静止画像を符号化するためのプロファイルにより符号化されたビットストリームについて、サブレイヤの処理に使用される参照ピクチャに関するシンタクス要素の値が所定の値であると解析する解析部と、
前記解析部により解析された前記シンタクス要素を用いて、前記ビットストリームを復号する復号部と
を備える画像処理装置。
【請求項2】
前記シンタクス要素を含む前記ビットストリームを受け取る受け取り部をさらに備え、
前記解析部は、前記受け取り部により受け取られた前記ビットストリームに含まれる前記シンタクス要素の値が所定の値であると解析する
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記受け取り部により受け取られた前記ビットストリームに含まれる前記シンタクス要素の値が前記所定の値に限定されているかを判定する判定部をさらに備える
請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記判定部により前記シンタクス要素の値が前記所定の値に限定されていないと判定された場合、異常処理を行う異常処理部をさらに備える
請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記シンタクス要素は、前記ビットストリームのシーケンスパラメータセットに格納される
請求項4に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記シンタクス要素は、サブレイヤの最大数に関するシンタクスである
請求項5に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記所定の値とは0である
請求項6に記載の画像処理装置。
【請求項8】
静止画像を符号化するためのプロファイルにより符号化されたビットストリームについて、サブレイヤの処理に使用される参照ピクチャに関するシンタクス要素の値が所定の値であると解析し、
解析された前記シンタクス要素を用いて、前記ビットストリームを復号する
画像処理方法。
【請求項9】
前記シンタクス要素を含む前記ビットストリームを受け取り、
受け取られた前記ビットストリームに含まれる前記シンタクス要素の値が所定の値であると解析する
請求項8に記載の画像処理方法。
【請求項10】
受け取られた前記ビットストリームに含まれる前記シンタクス要素の値が前記所定の値に限定されているかを判定する
請求項9に記載の画像処理方法。
【請求項11】
前記シンタクス要素の値が前記所定の値に限定されていないと判定された場合、異常処理を行う
請求項10に記載の画像処理方法。
【請求項12】
前記シンタクス要素は、前記ビットストリームのシーケンスパラメータセットに格納される
請求項11に記載の画像処理方法。
【請求項13】
前記シンタクス要素は、サブレイヤの最大数に関するシンタクスである
請求項12に記載の画像処理方法。
【請求項14】
前記所定の値とは0である
請求項13に記載の画像処理方法。」

を、次のとおり補正後の請求項1?12に補正するものである(下線は補正箇所である。)。

(補正後の請求項1?12)
「 【請求項1】
静止画像を符号化するためのプロファイルにより符号化されたビットストリームについて、サブレイヤの処理に使用される参照ピクチャに関するシンタクス要素の値が前記サブレイヤの識別番号に応じた所定の値であると解析する解析部と、
前記解析部により解析された前記シンタクス要素を用いて、前記ビットストリームを復号する復号部と
を備える画像処理装置。
【請求項2】
前記シンタクス要素を含む前記ビットストリームを受け取る受け取り部をさらに備え、
前記解析部は、前記受け取り部により受け取られた前記ビットストリームに含まれる前記シンタクス要素の値が前記所定の値であると解析する
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記受け取り部により受け取られた前記ビットストリームに含まれる前記シンタクス要素の値が前記所定の値に限定されているかを判定する判定部をさらに備える
請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記判定部により前記シンタクス要素の値が前記所定の値に限定されていないと判定された場合、異常処理を行う異常処理部をさらに備える
請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記シンタクス要素は、前記ビットストリームのシーケンスパラメータセットに格納される
請求項4に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記サブレイヤの識別番号が0の場合、前記所定の値は0である
請求項5に記載の画像処理装置。
【請求項7】
静止画像を符号化するためのプロファイルにより符号化されたビットストリームについて、サブレイヤの処理に使用される参照ピクチャに関するシンタクス要素の値が前記サブレイヤの識別番号に応じた所定の値であると解析し、
解析された前記シンタクス要素を用いて、前記ビットストリームを復号する
画像処理方法。
【請求項8】
前記シンタクス要素を含む前記ビットストリームを受け取り、
受け取られた前記ビットストリームに含まれる前記シンタクス要素の値が前記所定の値であると解析する
請求項7に記載の画像処理方法。
【請求項9】
受け取られた前記ビットストリームに含まれる前記シンタクス要素の値が前記所定の値に限定されているかを判定する
請求項8に記載の画像処理方法。
【請求項10】
前記シンタクス要素の値が前記所定の値に限定されていないと判定された場合、異常処理を行う
請求項9に記載の画像処理方法。
【請求項11】
前記シンタクス要素は、前記ビットストリームのシーケンスパラメータセットに格納される
請求項10に記載の画像処理方法。
【請求項12】
前記サブレイヤの識別番号が0の場合、前記所定の値は0である
請求項11に記載の画像処理方法。」

2 新規事項
補正後の請求項7における「静止画像を符号化するためのプロファイルにより符号化されたビットストリームについて、サブレイヤの処理に使用される参照ピクチャに関するシンタクス要素の値が前記サブレイヤの識別番号に応じた所定の値であると解析」することは、願書に最初に添付した明細書(以下「出願当初の明細書」ともいう。)、特許請求の範囲又は図面に記載された事項の範囲内においてされたものとは認められない(下線は、補正前の請求項8に対する補正後の請求項7の補正箇所を明確にするために当審で付与した。)。
詳細は、以下のとおりである。

請求人は、上記補正の根拠として、例えば、出願当初の明細書の段落【0084】乃至【0092】の記載、図12等を挙げる(審判請求書の【本願発明が特許されるべき理由】(ロ))。
さらに、『例えば、出願当初の明細書の段落【0085】には、
「図5および図6のシーケンスパラメータセット(SPS)のシンタクスを、図12および図13の例のようにしても良い。」
と記載されている。
また、出願当初の図面中の図12には、シーケンスパラメータセット(SPS)のシンタクスが示され、第29行目には、sps_max_dec_pic_buffering[i]が記載されている。このsps_max_dec_pic_buffering[i]は、復号画像のバッファの最大サイズ、すなわち参照ピクチャの最大数を示し、iは、サブレイヤの識別IDである。つまり、このパラメータは、参照ピクチャに関するシンタクス要素であり、サブレイヤの識別番号(i)に応じた所定の値を持つ。』(審判請求書の【本願発明が特許されるべき理由】(ニ))と主張している。
しかしながら、出願当初の明細書の段落【0084】乃至【0092】には、「静止画像を符号化するためのプロファイルにより符号化されたビットストリームについて、サブレイヤの処理に使用される参照ピクチャに関するシンタクス要素の値が前記サブレイヤの識別番号に応じた所定の値であると解析」することは、記載されていない。
図12の29行目には、sps_max_dec_pic_buffering[i]が記載されているものの、「静止画像を符号化するためのプロファイルにより符号化されたビットストリームについて」sps_max_dec_pic_buffering[i]がどのような値になるかは、図12の29行目をみても、図12の他の行をみても読み取ることができない。
また、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲、図面をみても、「静止画像を符号化するためのプロファイルにより符号化されたビットストリームについて」sps_max_dec_pic_buffering[i]がどのような値になるかは読み取ることができない。
なお、静止画像を符号化する場合にはベースレイヤのIピクチャのみとしてサブレイヤを設けないとすることが、当業者が導くことができるものであったとしても、そのことを具体的にプロファイルに反映させて、sps_max_dec_pic_buffering[i]の値を決めることは、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲、図面には何ら記載されておらず、自明なことでもない。
したがって、補正後の請求項7における「静止画像を符号化するためのプロファイルにより符号化されたビットストリームについて、サブレイヤの処理に使用される参照ピクチャに関するシンタクス要素の値が前記サブレイヤの識別番号に応じた所定の値であると解析する」こととする補正は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された事項の範囲内においてされたものとは認められない。

よって、本件補正は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものでなく、特許法第17条の2第3項の規定に違反している。

3 まとめ
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第3項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、補正却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本願発明について
1 本願発明
平成30年2月28日付けの手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1?14に係る発明は、平成29年10月23日付け手続補正により補正された特許請求の範囲の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1?14に記載した事項により特定されるとおりのものであるところ、請求項8に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。

(本願発明)
「静止画像を符号化するためのプロファイルにより符号化されたビットストリームについて、サブレイヤの処理に使用される参照ピクチャに関するシンタクス要素の値が所定の値であると解析し、
解析された前記シンタクス要素を用いて、前記ビットストリームを復号する
画像処理方法。」

2 引用文献の記載事項及び引用文献に記載された発明
(1)引用文献1
ア 引用文献1の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、「In support of a Still Image Profile of HEVC v1」(タイトル、訳:HEVCv1の静止画プロファイルのサポート)に関し、図面と共に次に掲げる事項が記載されている(下線は当審で付与した。)。

「1 A Still Image Profile of HEVC v1

HEVC version 1 currently has one planned profile: Main. It also has various configuration presets in the reference software associated with this project (called HM; currently at version HM 8.0). Among these preset configurations, we provide evidence that one set of tools already stands out sufficiently to merit declaring a profile - the All Intra configuration, which, when applied to a single image, can provide a still image coding profile.

Effectively, all motion estimation, reference pictures, etc., would be dropped. We would, however, still have the overhead of working with a sequence (and sequence parameter sets, etc), only our sequence would have only one frame. While the overhead structure could be simplified to eliminate the unnecessary overhead, such a course would then create a profile and a bitstream structure that would not be compatible with Main. Such a scenario, while potentially useful in image coding in and of itself, is undesirable from other points of view, and not advocated herein.

In summary, we advocate leaving the syntax intact in Main Profile, use the configuration for All Intra, and limit the application to sequences with only one frame. Compatibility with Main then requires that no additional syntax be added, but perhaps only an SEI message to indicate a single-frame sequence. A specific mechanism for communicating this is not presented here, and can be safely entrusted to a breakout group as needed. We focus instead on presenting evidence that creating such a profile is worthwhile. For convenience, we will tentatively refer to such a profile as HEVC Still.」
[訳:1 HEVCv1の静止画プロファイル
HEVCバージョン1は、現在、1つの計画されたプロファイル:メインを有している。また、このプロジェクトに関連付けられた参照ソフトウェア(HMと呼ばれる、現在バージョンHM8.0)に種々の構成プリセットが設定される。これらのプリセットされた構成のうち、プロファイル-オールイントラ構成を宣言することに値するために、1組のツールが既に十分に優れているという証拠が提供される。ここで、オールイントラ構成は、単一の画像に適用されたとき静止画像符号化プロファイルを提供することができる。

効果的に、すべての動き推定、参照ピクチャ等はドロップされるだろう。しかしながら、我々は、シーケンス(およびシーケンスパラメータセットなど)で作動するオーバーヘッドを依然として有し、それらのシーケンスのみが1フレームのみを有することになる。オーバヘッド構造は、不必要なオーバヘッドを除去するために単純化され得るが、そのようなコースは、次に、メインと互換性がないプロファイルおよびビットストリーム構造を生成する。このようなシナリオは、画像符号化及びそれ自体の中で潜在的に有用であるが、他の観点からは望ましくなく、ここでは提案しない。

要約すると、我々は、シンタックスをメインプロファイルにそのまま残すことを提案し、オールイントラの構成を使用し、1フレームのみを有するシーケンスへ適用を制限する。次に、メインとの互換性は追加のシンタックスが追加されないことを必要とするが、ただ1つのフレームシーケンスを示すSEIメッセージのみを必要とする。これを伝達するための具体的な機構は、ここでは提示されていない。必要に応じてブレークアウトグループに安全に委託することができる。我々らは、代わりに、そのようなプロファイルを作成することが価値のある証拠を提示することに焦点を合わせる。便宜的に、HEVCスチルのようなプロファイルに仮に言及する。]

イ 引用文献1に記載された発明
上記アによると、静止画像を符号化するためのプロファイルにより符号化されたビットストリームについては、オールイントラ構成のプロファイルの設定を用いることができる。なお、HEVCにサブレイヤという概念が存在することは、明らかであり、その場合、参照ピクチャに関するシンタクス要素は不要であるといえる。

HEVC規格は、画像の符号化、復号に関する規格であるから、画像を符号化したビットストリームを復号する画像処理に関するものであることは明らかである。

以上より、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

(引用発明)
「静止画像を符号化するためのプロファイルにより符号化されたビットストリームについて、オールイントラ構成のプロファイルの設定を用い、サブレイヤの処理に使用される参照ピクチャに関するシンタクス要素は不要であり、
前記ビットストリームを復号する
画像処理方法。」

(2)引用文献2
ア 引用文献2の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2は、「Recommendation ITU-T H.264 (01/2012) Advanced video coding for generic audiovisual services」の一部分であり、次に掲げる事項が記載されている(下線は当審で付与した。)。





イ 引用文献2に記載された技術
上記アによると、ハイ10イントラプロファイルは、全てのピクチャがIDRであるから、オールイントラプロファイルである。
そして、ハイ10イントラプロファイルにおいては、参照ピクチャに関するシンタクス要素であるmax_num_ref_frames(参照ピクチャの枚数)を0に制限することが記載されている。
したがって、引用文献2には、「オールイントラプロファイルの設定の場合には、参照ピクチャに関するシンタクス要素であるmax_num_ref_frames(参照ピクチャの枚数)を0に制限する技術」が記載されている。

3 対比
本願発明と引用発明とを対比すると、本願発明と引用発明の一致点、相違点は次のとおりである。

(一致点)
静止画像を符号化するためのプロファイルにより符号化されたビットストリームについて、
前記ビットストリームを復号する
画像処理方法。

(相違点)
「前記ビットストリームを復号する」に関し、
本願発明においては、「サブレイヤの処理に使用される参照ピクチャに関するシンタクス要素の値が所定の値であると解析し、解析された前記シンタクス要素を用いて、」前記ビットストリームを復号するのに対し、
引用発明においては、「オールイントラ構成のプロファイルの設定を用い、サブレイヤの処理に使用される参照ピクチャに関するシンタクス要素は不要」であるものの、「サブレイヤの処理に使用される参照ピクチャに関するシンタクス要素の値が所定の値であると解析し、解析された前記シンタクス要素を用いて、」前記ビットストリームを復号するものではない点

4 相違点の判断
上記2(2)イのとおり、引用文献2には、「オールイントラプロファイルの設定の場合には、参照ピクチャに関するシンタクス要素であるmax_num_ref_frames(参照ピクチャの枚数)を0に制限する技術」が記載されている。
引用発明は、静止画像を符号化するためのプロファイルによって符号化されたビットストリームについて、前記ビットストリームを復号する画像処理方法であり、引用発明に、引用発明と同じ静止画像を符号化、復号する技術である引用文献2に記載された技術を適用することは当業者にとって容易に想到できることである。
引用発明において、静止画像を符号化するためのプロファイルにより符号化されたビットストリームについて、前記ビットストリームを復号する際に、ビットストリーム中のシンタックス要素を解析することは明らかであること、そして、引用発明におけるオールイントラ構成のプロファイル設定として、引用文献2に記載された技術を適用して、「参照ピクチャに関するシンタスク要素であるmax_num_ref_framesの値を0(所定の値)に制限する」ことは容易想到であるから、引用発明において、ビットストリーム中の「シンタスク要素であるmax_num_ref_framesの値が0(所定の値)であると解析し、シンタクス要素を用いて」ビットストリームを復号することは当業者が容易になし得ることである。

(3)そして、本願発明が奏する作用効果は、その容易想到である構成から当業者が容易に予測し得る範囲内のものであり、同範囲を超える顕著なものでもない。

(4)したがって、本願発明は、引用発明及び引用文献2に記載された技術に基づいて当業者が容易に発明することができたものと認められる。

5 むすび
以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、引用文献1に記載された発明及び引用文献2に記載された技術に基づいて、当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2019-05-30 
結審通知日 2019-06-04 
審決日 2019-06-17 
出願番号 特願2014-550148(P2014-550148)
審決分類 P 1 8・ 561- Z (H04N)
P 1 8・ 121- Z (H04N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 坂東 大五郎  
特許庁審判長 清水 正一
特許庁審判官 樫本 剛
小池 正彦
発明の名称 画像処理装置および方法  
代理人 西川 孝  
代理人 稲本 義雄  

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