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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H05B
管理番号 1353993
審判番号 不服2018-8876  
総通号数 237 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-09-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-06-27 
確定日 2019-08-08 
事件の表示 特願2014-115880号「半導体光源駆動装置及び投写型表示装置」拒絶査定不服審判事件〔平成27年2月5日出願公開、特開2015- 26604号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成26年6月4日(優先権主張平成25年6月18日)の出願であって、平成29年11月17日付けで拒絶理由が通知され、平成30年1月23日に意見書及び手続補正書が提出され、平成30年3月22日付けで拒絶査定がされ、これに対して、平成30年6月27日に拒絶査定不服審判が請求されたものである。

第2 本願発明
平成30年1月23日の手続補正によって補正された特許請求の範囲の請求項1(以下「本願発明」という。)は、以下のとおりである。
「制御信号により導通/非導通が制御されるスイッチング素子と、前記スイッチング素子と並列に接続された1つまたは直列接続された複数の光源素子とを含む光源モジュールが、複数個直列に接続されてなる光源ユニットと、
前記光源ユニットに直流電圧を供給する直流電源部と、
前記光源ユニットに流れる電流を検出する電流検出部と、
前記各光源モジュールのスイッチング素子の導通/非導通を駆動するスイッチング素子駆動部と、
記憶部と、
前記直流電源部と、前記スイッチング素子駆動部とを制御する制御部とを備え、
前記制御部は、
前記直流電源部の出力電圧が所定値以上であるときに前記電流検出部からの信号に基づき断線故障した光源素子を含む光源モジュールを特定し、その特定した光源モジュールを示す情報を前記記憶部に記憶し、
前記記憶部に記憶された情報に基づいて、断線故障した光源素子を含む光源モジュールのスイッチング素子を導通させることで前記断線故障を解消する、
半導体光源駆動装置。」

第3 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、この出願の請求項1-4、8、9に係る発明は、本願の優先権主張の日(以下「優先日」という。)前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1に記載された発明に基づいて、また、請求項5に係る発明は、下記の引用文献1?2に記載された発明に基づいて、請求項6、7に係る発明は、下記の引用文献1、3に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない、というものである。

引用文献1.特開2007-305929号公報
引用文献2.特表2012-509570号公報
引用文献3.特開2012-182010号公報

第4 引用文献の記載及び引用発明
1.引用文献1
上記引用文献1には、LED表示装置及びLED照明装置に関して、図面とともに、次の記載がある(なお、下線は当審で付与。以下同様。)。

(ア)「【0009】
すなわち、本発明の一観点によれば、複数のLEDが直列に接続された発光ダイオード(LED)列(以下「LED列」と称する。)を有するLED照明装置において、前記LED列を構成するLEDのそれぞれを独立に短絡する短絡部を有することを特徴とするLED照明装置が提供される。LEDの故障時に駆動電流を利用して故障判定することができる。尚、マイコンのポートが不足した場合などでも、DCによる”H”/”L”の制御になるため、エキスパンダーによるコントロールが容易に可能になる。」
(イ)「【0010】
前記短絡部は、前記LEDに並列接続されたスイッチであり、前記スイッチは、pチャネル電解効果トランジスタ又はpnpバイポーラトランジスタで構成される。上記制御回路はP-CH_MOSFET/PNP-TRで構成させる事により、PWM駆動の発光でも、定常駆動の発光でもどちらのモードにおいても故障したLEDをバイパス制御させることができる。(尚、後述する図1はMOSFETの構成例を示す図である。)」
(ウ)「【0011】
前記LEDのカソードと接地との間には電流検出の為の抵抗(電流-電圧変換し、電圧を一定に保つ様に帰還させて制御する)があり、該抵抗の両端の電位をコンパレータに入力する事により前記LEDの不灯を確認することもできる。また、前記LED列の近傍に光センサを設け、該光センサの読値により前記LED列の不灯を確認することもできる。更に、前記スイッチのうち短絡したスイッチを記憶する記憶部を有することにより、EEPROM等の記憶デバイスを用い故障判定したLEDに関して故障情報を記憶させ、この情報を元に次回からの動作に反映させることができる。前記LED列の不灯を検出すると、故障情報を報知する報知部を有することもできる。これにより、ユーザーに告知して、エマージェンシーモードで駆動していることを知らせることができる。」
(エ)「【0012】
尚、上記に記載のLED列において、n(nは2以上の整数)個のLEDのうちの1からn-1までのLEDを順番に短絡していくことにより、開放による不灯LEDを特定するステップを有することを特徴とするLED照明装置の不良検出方法が提供される。この方法により特定された不良LEDの短絡を継続することで、前記LED列の修復を行うことが可能である。」
(オ)「【0015】
図1は、本発明の一実施の形態によるLED表示装置の回路ブロックの一構成例を示す図である。図1に示す回路ブロックAにおいては、まず、LED3等の駆動に使用される電源回路(VCC)37としては LED3等を定電流駆動させる必要性から、LED3のカソードとGND間に抵抗Rを挿入し、その抵抗Rに流れた電流によって発生した電圧を見て、定電流に制御する方法が一般に使用され、その回路形式35は、昇降圧のスイッチングレギュレータである。或いは、シリーズレギュレータでも良い。」
(カ)「【0016】
さらに、本実施の形態による回路ブロックAでは、レギュレータ35の出力からLED3の間にSW回路11を付加した点を特徴とする。このSW回路11を付加することにより、SW回路11のオン/オフでパルス発光による調光が可能になる上に、オフ期間には完全に電流を切ることができるため、フィールドシーケンシャルに対応した光源にも使用することができるという利点がある。
(キ)「【0017】
図1においては、符号1で示される構成の繰り返し単位からもわかるように、全てのLED3…に対して並列にFET5を挿入しているが、これによりLED3が故障してオープンを検出した際にFET5がオンすることにより、故障したLEDをバイパスして電流を流すことができる。尚、LED3の故障検出は、LED3が故障し、オープンになるとLED3のカソードとGNDとの間に挿入した抵抗Rに電流が流れなくなることから、「L」レベルに落ちる。本実施の形態では、このレベルを検出し、ある一定以下(設定値)の電圧に下がると、抵抗RのGNDとは反対側の一端に入力が接続されているコンパレータ27により、「1」/「0」を判定し、LEDの不灯(LED Error31)を確認することができる。FET7は、LED3をスイッチングするFET5と、CPU41から供給される電圧を調整(レベルシフト)するために設けられている。符号17、21、23、25は、供給される電圧の極性を表している。」
(ク)「【0027】
次に、本実施の形態による動作アルゴリズムをについて図1及び図2を参照しながら説明する。図2は、本発明の一実施の形態によるLED表示のチェック処理の流れを示すフローチャート図である。まず、ステップS1において電源をオンし、ステップS2において電源投入後すぐにEEPROM33の確認を行う。これはLED3…が故障しているかどうか、どのLEDが故障しているかをチェックする処理である。EEPROM33の確認結果がNGであった場合には、メッセージを出して終了する(ステップS3)。LED3…の故障箇所が判明した場合には、そのLEDに並列に接続されているFET5を動作させて(ステップS4)、その後にLEDドライバーの駆動を開始する(ステップS5)。この処理と並行して故障である旨の通知もする。」
(ケ)「【0028】
LEDのエラーチェックを定期的に繰り返してLEDが消灯していないかをチェックする。この際、発光がパルス発光を用いる場合は、発光のON期間でLEDの消灯確認をする(ステップS6)。
【0029】
万が一、LED3の消灯が確認された場合は、LEDに並列に接続されているFETを順次ONさせて(ステップS7からステップS17)、LEDの点灯が復活するかどうかのチェックを行う。後述する図3に示す全ての組合せでLEDの点灯が確認されない場合は修復不能を通知する(ステップS18)。LEDの点灯が確認され、修復が確認できるとLEDが故障している旨通知する(ステップS19)。
【0030】
ユーザーからのパワーオフ命令(ステップS10)でパワーオフする処理(ステップS9)が開始されるが(ステップS8)、この時、現在EEPROMに記憶されている状態からLEDの故障状況が増えた場合は更にEEPROMに記憶させる(ステップS11)。」
(コ)「【0036】
上記EEPROM等の記憶デバイスを用いると、故障と判定されたLEDに関して、故障情報を記憶させておくことができる。」
(サ)図1には、「LED3と、LED3に対して並列に挿入しているFET5と、FET5のゲートにドレイン端子を接続したFET7を含む繰り返し単位1が、複数個直列に接続されてなるLED列と、
電源回路(VCC)37と、
レギュレータ35と、
SW回路11と、
GND側に位置する繰り返し単位1のLED3のカソードとGND間に挿入した抵抗Rと、
抵抗RのGNDとは反対側の一端に入力が接続されているコンパレータ27と、
EEPROM33と、
FET7のゲート、SW回路11、コンパレータ27、EEPROM33と接続されたCPU41とを備えるLED表示装置の回路ブロック。」(なお、符号に対応する用語は、明細書で使用されている表現を使用した。)が記載されている。
(シ)図1の「電源回路(VCC)37」及び「レギュレータ35」は、記載事項(オ)で「LED3等の駆動に使用される電源回路(VCC)37としては LED3等を定電流駆動させる必要性から、LED3のカソードとGND間に抵抗Rを挿入し、その抵抗Rに流れた電流によって発生した電圧を見て、定電流に制御する方法が一般に使用され、その回路形式35は、昇降圧のスイッチングレギュレータである。或いは、シリーズレギュレータでも良い。」とされたものであるので、「電源回路(VCC)37」と「レギュレータ35」とは、両者をあわせて「LED3等の駆動に使用されるレギュレータ35を有する電源回路37」といえる。
(ス)図1の「GND側に位置する繰り返し単位1のLED3のカソードとGND間に挿入した抵抗R」は、記載事項(キ)の「LED3が故障し、オープンになるとLED3のカソードとGNDとの間に挿入した抵抗Rに電流が流れなくなることから、「L」レベルに落ちる。本実施の形態では、このレベルを検出し、ある一定以下(設定値)の電圧に下がると、抵抗RのGNDとは反対側の一端に入力が接続されているコンパレータ27により、「1」/「0」を判定し、LEDの不灯(LED Error31)を確認することができる。」ことから、「LED3が故障し、オープンになると電流が流れなくなる抵抗R」といえる。
(セ)図1の「抵抗RのGNDとは反対側の一端に入力が接続されているコンパレータ27」は、記載事項(キ)の「LED3が故障し、オープンになるとLED3のカソードとGNDとの間に挿入した抵抗Rに電流が流れなくなることから、「L」レベルに落ちる。本実施の形態では、このレベルを検出し、ある一定以下(設定値)の電圧に下がると、抵抗RのGNDとは反対側の一端に入力が接続されているコンパレータ27により、「1」/「0」を判定し、LEDの不灯(LED Error31)を確認することができる。」ことから、「抵抗Rに電流が流れなくなることを検出し、LED3の不灯を確認するコンパレータ27」といえる。
(ソ)記載事項(ウ)において「抵抗の両端の電位をコンパレータに入力する事により前記LEDの不灯を確認する」とされたコンパレータは、上記(セ)の「抵抗Rに電流が流れなくなることを検出し、LED3の不灯を確認するコンパレータ27」であり、記載事項(ウ)の「故障判定」は、「該抵抗の両端の電位をコンパレータに入力する事により前記LEDの不灯を確認」し、「短絡したスイッチを記憶する記憶部を有することにより、EEPROM等の記憶デバイスを用い故障判定したLEDに関して故障情報を記憶させ」るものであって、記載事項(エ)の「LED列において、n(nは2以上の整数)個のLEDのうちの1からn-1までのLEDを順番に短絡していくことにより、開放による不灯LEDを特定する」ものであるので、「LEDの不灯を確認する」は、「コンパレータ27からの信号に基づき故障LEDを特定」するものといえる。
記載事項(ウ)の「EEPROM等の記憶デバイスを用い故障判定したLEDに関して故障情報を記憶」は、記載事項(コ)の「上記EEPROM等の記憶デバイスを用いると、故障と判定されたLEDに関して、故障情報を記憶させておくことができる」ものであるので、「故障と判定されたLED3の故障情報をEEPROMに記憶」といえる。
そうすると、記載事項(ウ)の「前記LEDのカソードと接地との間には電流検出の為の抵抗(電流-電圧変換し、電圧を一定に保つ様に帰還させて制御する)があり、該抵抗の両端の電位をコンパレータに入力する事により前記LEDの不灯を確認する・・・前記スイッチのうち短絡したスイッチを記憶する記憶部を有することにより、EEPROM等の記憶デバイスを用い故障判定したLEDに関して故障情報を記憶させ」は、「コンパレータ27からの信号に基づき故障LEDを特定し、故障と判定されたLED3の故障情報をEEPROMに記憶」するものといえる。
(タ)記載事項(イ)の「故障したLEDをバイパス制御させる」は、記載事項(ウ)の「EEPROM等の記憶デバイスを用い故障判定したLEDに関して故障情報を記憶させ、この情報を元に次回からの動作に反映させる」、記載事項(エ)の「不良LEDの短絡を継続することで、前記LED列の修復を行うことが可能である。」ものであるので、「EEPROMに記憶された情報に基づいて、故障したLED3をバイパス制御させLED列の修復を行う」といえる。
(チ)上記記載事項(イ)の「故障したLEDをバイパス制御させる」、記載事項(ウ)の「故障判定」は、記載事項(ア)の「LEDの故障時に駆動電流を利用して故障判定する」ものであって、記載事項(ケ)の「発光のON期間でLEDの消灯確認をする」ものとして具現化されるものであるので、発光のON期間にされるものといえる。

上記(ア)?(チ)から、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「LED3と、LED3に対して並列に挿入しているFET5と、FET5のゲートにドレイン端子を接続したFET7を含む繰り返し単位1が、複数個直列に接続されてなるLED列と、
LED3等の駆動に使用されるレギュレータ35を有する電源回路37と、
LED3が故障し、オープンになると電流が流れなくなる抵抗Rと、
抵抗Rに電流が流れなくなることを検出し、LED3の不灯を確認するコンパレータ27と、
EEPROM33と、
FET7のゲート、SW回路11、コンパレータ27、EEPROM33と接続されたCPU41とを備え、
LED3が故障してオープンを検出した際にFET5がオンすることにより、故障したLED3をバイパスして電流を流すことができるものであって、
発光のON期間にコンパレータ27からの信号に基づき故障LEDを特定し、故障と判定されたLED3の故障情報をEEPROMに記憶し、
EEPROMに記憶された情報に基づいて、故障したLED3をバイパス制御させLED列の修復を行う、
LED表示装置の回路ブロック。」

第5 対比
(a)引用発明の「FET5」は、「LED3が故障してオープンを検出した際にFET5がオンすることにより、故障したLED3をバイパスして電流を流すことができる」ものであって、オープンを検出していないときにオフしていること、ゲートに入力される制御信号により制御されることは自明であるので、本願発明の「制御信号により導通/非導通が制御されるスイッチング素子」に相当する。
本願発明の「スイッチング素子と並列に接続された1つまたは直列接続された複数の光源素子」は、「スイッチング素子と並列に接続された1つ」の光源素子を含むものである。そうすると、引用発明の「LED3」は、「LED3に対して並列に挿入しているFET5」によって「LED3をバイパスして電流を流すことができる」ものであるので、本願発明の「スイッチング素子と並列に接続された1つまたは直列接続された複数の光源素子」に相当する。
そして、引用発明の「LED3と、LED3に対して並列に挿入しているFET5と、FET5のゲートにドレイン端子を接続したFET7を含む繰り返し単位1」の「LED3と、LED3に対して並列に挿入しているFET5」の部分は、本願発明の「制御信号により導通/非導通が制御されるスイッチング素子と、前記スイッチング素子と並列に接続された1つまたは直列接続された複数の光源素子とを含む光源モジュール」に相当する。

(b)引用発明の「LED列」は、「繰り返し単位1が、複数個直列に接続されてなる」ものであって、上記(a)の「LED3と、LED3に対して並列に挿入しているFET5」の部分も複数個直列に接続されてなるものあるので、「繰り返し単位1が、複数個直列に接続されてなるLED列」の「LED3と、LED3に対して並列に挿入しているFET5」の部分は、本願発明の「光源モジュールが、複数個直列に接続されてなる光源ユニット」に相当する。

(c)引用発明の「LED3等の駆動に使用されるレギュレータ35を有する電源回路37」は、LEDの駆動に使用されるものであり、そのレギュレータが記載事項(オ)の「昇降圧のスイッチングレギュレータである。或いは、シリーズレギュレータでも良い」ものであり、実質的に直流電圧を供給するものであるので、本願発明の「前記光源ユニットに直流電圧を供給する直流電源部」に相当する。

(d)引用発明の「LED3が故障し、オープンになると電流が流れなくなる抵抗R」及び「抵抗Rに電流が流れなくなることを検出し、LED3の不灯を確認するコンパレータ27」は、本願発明の「前記光源ユニットに流れる電流を検出する電流検出部」に相当する。

(e)引用発明の「FET5のゲートにドレイン端子を接続したFET7」は、上記(a)の「FET5」の制御端子であるゲートに接続され、FET5をオンするものであるので、本願発明の「前記各光源モジュールのスイッチング素子の導通/非導通を駆動するスイッチング素子駆動部」に相当する。

(f)引用発明の「EEPROM33」は、本願発明の「記憶部」に相当する。

(g)引用発明の「FET5」の制御端子であるゲートは、FET7のドレイン端子が接続されており、図1において、FET7の制御端子であるゲートには、記載事項(キ)の「供給される電圧の極性を表している」記号「Q11 ON-H」等が付された線を介して「CPU41」が接続されているので、「CPU41」が「FET5」を制御するものと認められる。
そうすると、引用発明の「CPU41」と、本願発明の「前記直流電源部と、前記スイッチング素子駆動部とを制御する制御部」とは、「前記スイッチング素子駆動部を制御する制御部」である点で共通する。

(h)引用発明の「故障」は、「LED3が故障してオープンを検出した際にFET5がオンすることにより、故障したLED3をバイパスして電流を流す」とされたオープン故障であるので、本願発明の「断線故障」に相当するものである。
そして、引用発明の「LED3」は「繰り返し単位1」(本願発明の「光源モジュール」に相当するもの)に含まれるものであって、「故障LEDを特定」することは、繰り返し単位1を特定することでもあるので、引用発明の「コンパレータ27からの信号に基づき故障LEDを特定」することは、本願発明の「前記電流検出部からの信号に基づき断線故障した光源素子を含む光源モジュールを特定」することに相当する。

(i)引用発明の「故障と判定されたLED3の故障情報」は、「故障LEDを特定」するもの(具体的には、記載事項(ケ)の「LEDに並列に接続されているFETを順次ONさせて(ステップS7からステップS17)、LEDの点灯が復活するかどうかのチェックを行う。・・・LEDの点灯が確認され、修復が確認できるとLEDが故障している旨通知する」工程で特定され、記載事項(ク)の「どのLEDが故障しているかをチェックする処理」に使用される情報)であって、故障と判定されたLED3を示す情報であり、上記(b)を踏まえると繰り返し単位1を特定する情報といえるので、引用発明の「故障と判定されたLED3の故障情報をEEPROMに記憶」することは、本願発明の「特定した光源モジュールを示す情報を前記記憶部に記憶」することに相当する。

(j)引用発明の「EEPROMに記憶された情報に基づいて、故障したLED3をバイパス制御させLED列の修復を行う」ことは、本願発明の「前記記憶部に記憶された情報に基づいて、断線故障した光源素子を含む光源モジュールのスイッチング素子を導通させることで前記断線故障を解消する」ことに相当する。

(k)引用発明の「LED表示装置の回路ブロック」は、本願発明の「半導体光源駆動装置」に相当する。


したがって、本願発明と引用発明とは、
「制御信号により導通/非導通が制御されるスイッチング素子と、前記スイッチング素子と並列に接続された1つまたは直列接続された複数の光源素子とを含む光源モジュールが、複数個直列に接続されてなる光源ユニットと、
前記光源ユニットに直流電圧を供給する直流電源部と、
前記光源ユニットに流れる電流を検出する電流検出部と、
前記各光源モジュールのスイッチング素子の導通/非導通を駆動するスイッチング素子駆動部と、
記憶部と、
前記スイッチング素子駆動部を制御する制御部とを備え、
前記電流検出部からの信号に基づき断線故障した光源素子を含む光源モジュールを特定し、その特定した光源モジュールを示す情報を前記記憶部に記憶し、
前記記憶部に記憶された情報に基づいて、断線故障した光源素子を含む光源モジュールのスイッチング素子を導通させることで前記断線故障を解消する、
半導体光源駆動装置。」
の点で一致し、以下の点で相違する。

相違点1:制御部が、本願発明は「前記直流電源部と、前記スイッチング素子駆動部とを制御する」ものであるのに対して、引用発明は「直流電源部」を制御することが特定されていない点。

相違点2:本願発明は、電流検出部からの信号に基づき断線故障した光源素子を含む光源モジュールを特定する時期が「前記直流電源部の出力電圧が所定値以上であるとき」であるのに対して、引用発明は「発光のON期間」である点。

相違点3:本願発明は、「制御部」が、断線故障した光源素子を含む光源モジュールを特定し、その特定した光源モジュールを示す情報を前記記憶部に記憶し、記憶部に記憶された情報に基づいて、断線故障した光源素子を含む光源モジュールのスイッチング素子を導通させることで断線故障を解消するのに対して、引用発明は「発光のON期間にコンパレータ27からの信号に基づき故障LEDを特定し、故障と判定されたLED3の故障情報をEEPROMに記憶し、EEPROMに記憶された情報に基づいて、故障したLED3をバイパス制御させLED列の修復を行う」動作は、どの部材によりなされているか特定されていない点。


第6 判断
上記相違点について判断する。

1.相違点1、3について
(1)引用発明の「故障LEDを特定」、「故障と判定されたLED3の故障情報をEEPROMに記憶」、「EEPROMに記憶された情報に基づいて、故障したLED3をバイパス制御させLED列の修復を行う」動作は、「LED3が故障してオープンを検出した際にFET5がオン」し、「コンパレータ27からの信号に基づき故障LEDを特定」し、「EEPROMに記憶」し、「EEPROMに記憶された情報に基づ」くことで行われるものであって、コンパレータ27からの信号入力、FET5の制御、EEPROMへの記憶・読み出しを必要とするものである。
引用文献1において、LED表示装置の回路ブロックの具体的な構成例として開示されたものは、図1のみであり、図1において、コンパレータ27、FET5、EEPROMとの接続関係が存在する部材は、CPU41のみである。
そうすると、引用発明の「故障LEDを特定」、「故障と判定されたLED3の故障情報を記憶」、「EEPROMに記憶された情報に基づいて、故障したLED3をバイパス制御させLED列の修復を行う」動作は、実質的に「FET7のゲート、SW回路11、コンパレータ27、EEPROM33と接続されたCPU41」によりなされていると解するのが相当であるので、相違点3は、実質的に相違点ではない。
(2)引用発明の「LED3等の駆動に使用されるレギュレータ35を有する電源回路37」は、記載事項(オ)の「抵抗Rに流れた電流によって発生した電圧を見て、定電流に制御する方法が一般に使用され、その回路形式35は、昇降圧のスイッチングレギュレータである。或いは、シリーズレギュレータでも良い」ものであって、図1において、レギュレータ35が、抵抗RのGNDとは反対側の一端と直接接続され、CPU41とは接続されてないので、CPU41は「直流電源部・・・を制御する」ものではない。
(3)しかし、光源駆動装置において、複数の制御動作を一つの制御部で行うことは、周知慣用技術(例えば、特開2009-280157号公報【0029】【0033】のDC-DCコンバータ2の出力電圧を調整し、かつ、異常検知回路21が発光ダイオードの不具合を検出した場合に、不具合となっているLED3をバイパスするように指令も出す制御回路部6参照。)であり、引用発明の抵抗Rに流れた電流によって発生した電圧で制御される、「LED3等の駆動に使用されるレギュレータ35を有する電源回路37」(本願発明の「前記光源ユニットに直流電圧を供給する直流電源部」に相当するもの)、及び「FET5のゲートにドレイン端子を接続したFET7」(本願発明の「前記各光源モジュールのスイッチング素子の導通/非導通を駆動するスイッチング素子駆動部」に相当するもの)の制御を、一つの制御部で実行するものとして具現化して、本願発明の相違点1、3に係る構成とすることは当業者が容易になし得ることである。

2.相違点2について
(1)引用発明のLED表示装置の回路ブロックは、記載事項(ア)の「駆動電流を利用して故障判定する」ものであって、記載事項(ケ)の「発光のON期間でLEDの消灯確認をする」「LEDに並列に接続されているFETを順次ONさせて(ステップS7からステップS17)、LEDの点灯が復活するかどうかのチェックを行う。」ものである。
(2)LED点灯回路において、駆動電流が供給され、LEDの点灯が行われるためには、電源部から所定値以上の電圧(具体的には、順電圧Vf以上の電圧。必要があれば、特開2010-287611号公報図3参照。)が供給されている必要があることは技術常識である。
(3)そうすると、引用発明の「コンパレータ27からの信号に基づき故障LEDを特定」する動作が実行される「発光のON期間」は、実質的に電源部の出力電圧が所定値(具体的には、順電圧Vfの和)以上であるときであって、相違点2は、実質的な相違点ではない。
(4)請求人は、審判請求書4.(2)において「引用文献1のものは、直流電源が所定の電圧を供給する状態になったのを検出するという動作がないものであり、これでは断線故障の誤検出をする虞があります。」旨主張しているが、本願発明は「直流電源が所定の電圧を供給する状態になったのを検出する」ことを発明特定事項としたものではない。
さらに、仮に本願発明を「直流電源が所定の電圧を供給する状態になったのを検出する」構成を備えるものとしても、直流電源が所定の電圧を供給する状態になったのを検出した状態において、負荷電流が流れないことで断線を検出する手法は、従来周知慣用(例えば、特開昭55-103471号公報、特開2007-157423号公報参照)のものであり、引用発明のLED3が故障してオープンになったことを検出する構成を、当該周知慣用の手法を用いて具現化することは、当業者が適宜なしえる設計事項にすぎない。

3.作用効果について
相違点1?3を総合的に勘案しても、本願発明の奏する作用効果は、引用発明の奏する作用効果、及び周知慣用技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。

第7 むすび
以上のとおり、本件発明は、引用発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2019-06-07 
結審通知日 2019-06-11 
審決日 2019-06-24 
出願番号 特願2014-115880(P2014-115880)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H05B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 安食 泰秀  
特許庁審判長 島田 信一
特許庁審判官 中村 泰二郎
中川 真一
発明の名称 半導体光源駆動装置及び投写型表示装置  
代理人 川端 純市  
代理人 松谷 道子  
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