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審決分類 |
審判 一部申し立て 1項3号刊行物記載 A41D 審判 一部申し立て 2項進歩性 A41D |
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管理番号 | 1354065 |
異議申立番号 | 異議2018-700568 |
総通号数 | 237 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 2019-09-27 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2018-07-12 |
確定日 | 2019-06-27 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第6262785号発明「衣服」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第6262785号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-4〕について訂正することを認める。 特許第6262785号の請求項1、4に係る特許を維持する。 |
理由 |
第1 手続の経緯 特許第6262785号の請求項1?4に係る特許についての出願は、平成28年3月4日を出願日とする出願であって、平成29年12月22日にその特許権の設定登録がされ、平成30年1月17日に特許掲載公報が発行された。その特許についての本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。 平成30年7月12日:特許異議申立人藤本 美都起(以下「申立人」という。)による請求項1及び4に係る特許についての特許異議の申立て 平成30年9月7日付け:取消理由通知 平成30年11月12日:特許権者による意見書及び訂正請求書の提出 平成30年12月10日:申立人による意見書の提出 平成31年1月28日付け:取消理由通知(決定の予告) 平成31年4月1日:特許権者による意見書及び訂正請求書(以下「本件請求書」という。)の提出 令和元年5月9日:申立人による意見書の提出 なお、平成30年11月12日の訂正の請求は、平成31年4月1日の訂正の請求により、特許法第120条の5第7項の規定に従い、取り下げられたものとみなす。 第2 訂正の請求についての判断 1 訂正の内容 本件請求書による訂正の請求は、「特許第6262785号の特許請求の範囲を本件請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1?4について訂正することを求める。」ものであり、その訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は、訂正箇所に下線を付して示すと、以下のとおりである。 (訂正事項1) 本件特許の特許請求の範囲の請求項1に「衣服を構成する各部位のうち、少なくとも、切断されることが予定される切断予定部位は、前記切断予定部位の丈方向と、前記切断予定部位を構成する前記編地のコース方向とが沿うように縫製された衣服。」とあるのを、「前記衣服は、股下を備えており、 前記衣服を構成する各部位のうち、少なくとも、切断されることが予定される切断予定部位である前記股下は、前記切断予定部位の丈方向と、前記切断予定部位を構成する前記編地のコース方向とが沿うように脇線及び股下線において前記編地を縫製して形成された、衣服。」に訂正する。(請求項1を引用する請求項4についても同様に訂正する。) (訂正事項2) 本件特許の特許請求の範囲の請求項2に「請求項1に記載の衣服において、 前記切断予定部位には、切断が予定されている切断予定位置が設定され、前記切断予定位置から見て、前記切断予定部位が他の前記部位と接続される接続側であって、前記切断予定部位の巾方向のいずれか一端側に、前記切断予定部位の編地のほつれを抑制する閂止めが掛けられている衣服。」とあるのを、「天竺編みした編地で構成される衣服であって、 衣服を構成する各部位のうち、少なくとも、切断されることが予定される切断予定部位は、前記切断予定部位の丈方向と、前記切断予定部位を構成する前記編地のコース方向とが沿うように縫製され、 前記切断予定部位には、切断が予定されている切断予定位置が設定され、前記切断予定位置から見て、前記切断予定部位が他の前記部位と接続される接続側であって、前記切断予定部位の巾方向のいずれか一端側に、前記切断予定部位の編地のほつれを抑制する閂止めが掛けられている衣服。」に訂正する。(請求項2を引用する請求項3、4についても同様に訂正する。) ここで、訂正前の請求項1?4は、請求項2?4が、訂正の請求の対象である請求項1の記載を引用する関係にあるから、本件訂正は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項1?4について請求されたものである。 2 訂正の適否 (1)訂正事項1について ア 訂正の目的 上記訂正事項1は、請求項1の衣服について「股下」を備えること、及び切断予定部位が、当該「股下」であることを特定すると共に、衣服の縫製された箇所について、「編地」の「脇線及び股下線」であることを特定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと 上記訂正事項1は、上記アのとおりであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の5第9項の規定によって準用する同法第126条第6項に適合するものである。 ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 上記訂正事項1は、本件特許の特許請求の範囲の請求項1の「天竺編みした編地で構成される衣服」との記載及び本件特許明細書の段落【0017】?【0019】の記載に基づくものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、特許法第120条の5第9項の規定によって準用する同法第126条第5項に適合するものである。 (2)訂正事項2について ア 訂正の目的 上記訂正事項2は、本件特許の請求項2が請求項1の記載を引用する記載であったものを、当該請求項1の記載を引用しないものとするものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に規定する他の請求の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものである。 イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと 上記訂正事項2は、上記アのとおりであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第120条の5第9項の規定によって準用する同法第126条第6項に適合するものであることは明らかである。 ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 上記訂正事項2は、上記アのとおりであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、特許法第120条の5第9項の規定によって準用する同法第126条第5項に適合するものであることは明らかである。 (3)小括 以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項、並びに同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するので、訂正後の請求項〔1?4〕について訂正することを認める。 第3 本件特許発明 上記のとおり本件訂正は認められるから、本件特許の請求項1?4に係る発明(以下「本件発明1?4」という。)は、本件請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1?4に記載された事項により特定される、次のとおりのものである。 「【請求項1】 天竺編みした編地で構成される衣服であって、 前記衣服は、股下を備えており、 前記衣服を構成する各部位のうち、少なくとも、切断されることが予定される切断予定部位である前記股下は、前記切断予定部位の丈方向と、前記切断予定部位を構成する前記編地のコース方向とが沿うように脇線及び股下線において前記編地を縫製して形成された、衣服。 【請求項2】 天竺編みした編地で構成される衣服であって、 衣服を構成する各部位のうち、少なくとも、切断されることが予定される切断予定部位は、前記切断予定部位の丈方向と、前記切断予定部位を構成する前記編地のコース方向とが沿うように縫製され、 前記切断予定部位には、切断が予定されている切断予定位置が設定され、前記切断予定位置から見て、前記切断予定部位が他の前記部位と接続される接続側であって、前記切断予定部位の巾方向のいずれか一端側に、前記切断予定部位の編地のほつれを抑制する閂止めが掛けられている衣服。 【請求項3】 請求項2に記載の衣服において、 前記閂止めは、前記切断予定部位の編地とは異なる色の糸を用いて形成されている衣服。 【請求項4】 請求項1?3のいずれか1項に記載の衣服において、 前記各部位は、三本針オーバーロックにより縫製されている衣服。」 第4 当審の判断 1 取消理由(決定の予告)の概要 当審で通知した平成31年1月28日付けで通知した取消理由(決定の予告)の概要は、以下のとおりである。 (進歩性)本件発明1、4は、本件特許の出願前日本国内または外国において頒布された下記の甲第1号証に記載された発明及び周知の事項に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 記 <刊行物> 甲第1号証:特開2010-156071号公報 甲第2号証:特開2001-115358号公報 令和元年5月9日に申立人が提出した意見書に添付して以下の証拠が提出された。 甲第3号証:国際公開第2005/068698号公報 2 取消理由(決定の予告)についての判断 (1)本件発明1について ア 甲第1号証記載の事項及び発明について 甲第1号証には、以下の事項が記載されている。 (ア)「【請求項3】 一対の脚部と胴部とから成るニットパンツで、 編目列のコース方向がニットパンツの丈に平行で、 編出しラインでありかつ接合ラインでもあるラインが、各脚部の内側と、胴部の股から前部中央、もしくは股から後部中央とにある、ニットパンツ。」 (イ)「【技術分野】 【0001】 この発明はニットパンツの編成に関する。」 (ウ)「【背景技術】 【0002】 発明者は、丈方向が編成でのコース方向となるニットパンツの編成方法を提案した(特許文献1:WO2005/68698)。なおこの明細書での用語として、コース方向はキャリッジなどにより編目列を形成する方向を指す。ウェール方向はコース方向に直角な方向で、ウェール方向に隣接した編目は、別のステップで形成される。ニットパンツには胴部と2本の脚部があり、丈は脚部と胴部とを結ぶ方向を、周方向は胴部を周回する方向及び脚部を周回する方向を指す。脚部の内側は1対の脚部が互いに向き合うラインを指し、外側はその反対側を指し、脚部について外側と脇とは同じ意味である。股は胴部の底部から前部中央及び後部中央を結ぶラインである。そして脚部の内側と股は、胴部の底部でクロスする。 【0003】 特許文献1では、ニットパンツの脇からスタートして、丈に平行な方向に編成する。一対の給糸口で、一方の脚部の前と後、及び胴部の前後の左右半部を編成する。一方の脚部の前後の編成が完了すると、これらを接合し、一方の脚部を完成する。胴部の残りの前と後、及び他方の脚部の前後の編成を、一対の給糸口で続行し、他方の脇に達すると、これらを接合して、ニットパンツを完成する。 【0004】 しかしこのようにすると、一方の脇には編出しラインが、他方の脇には編目を接合した伏目のラインが残り、左右の脇は外観が異なる。また給糸口は少なくとも一対必要なので、糸の始末が必要な箇所が多い。 【特許文献1】WO2005/68698」 (エ)「【発明が解決しようとする課題】 【0005】 この発明の課題は、ニットパンツの編成で、給糸口の数を少なくでき、かつ編出しや伏目のラインが脇に現れないようにすることにある。」 (オ)「【0009】 またこの発明のニットパンツは、一対の脚部と胴部とから成り、編目列のコース方向がニットパンツの丈に平行で、編出しラインでありかつ接合ラインでもあるラインが、各脚部の内側と、胴部の股から前部中央、もしくは股から後部中央とにある。ニットパンツはいわゆるパンツ(ズボン)に限らず、下着や水着などでも良い。 この発明のニットパンツでは、脇には編出しや伏目のラインが無く、ニットパンツの外観を左右対称にできる。」 (カ)「 」 (キ)「 」 (ク)上記(ア)、(エ)、(オ)の記載及び図1及び4の図示から、甲第1号証に記載の「ニットパンツ」は、編地で構成されたといえるものであって、その編地が天竺編みであることは、明らかである。 そして、甲第1号証には、特に上記(ア)及び(ク)の記載に着目すると、以下の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されている。 「天竺編みした編地で構成され、一対の脚部と胴部とから成るニットパンツで、 編目列のコース方向がニットパンツの丈に平行で、 編出しラインでありかつ接合ラインでもあるラインが、各脚部の内側と、胴部の股から前部中央、もしくは股から後部中央とにある、ニットパンツ。」 イ 対比 (ア)本件発明1と甲1発明とを対比すると、甲1発明の「天竺編みした編地で構成され」た「ニットパンツ」は、本件発明1の「天竺編みした編地で構成される衣服」に相当する。 (イ)甲1発明の「ニットパンツ」が「一対の脚部」を有することは、本件発明1の「前記衣服は、股下を備え」ることに相当する。 (ウ)甲1発明の「一対の脚部と胴部」は、それぞれが本件発明1の「衣服を構成する各部位」に相当する。 そして、甲1発明の「編目列のコース方向がニットパンツの丈に平行で」あることは、「一対の脚部」の「丈」と「編目列のコース方向が」「平行で」あるといえるから、甲1発明の「編目列のコース方向がニットパンツの丈に平行で」あることと、本件発明1の「前記衣服を構成する各部位のうち、少なくとも、切断されることが予定される切断予定部位である前記股下は、前記切断予定部位の丈方向と、前記切断予定部位を構成する前記編地のコース方向とが沿うように脇線及び股下線において前記編地を縫製して形成された」こととは、「前記衣服を構成する各部位のうち、少なくとも、前記股下は、前記股下の丈方向と、前記股下を構成する前記編地のコース方向とが沿うように形成された」ことの限りで一致する。 そうすると、本件発明1と甲1発明とは、以下の点で一致し、相違する。 <一致点> 「天竺編みした編地で構成される衣服であって、 前記衣服は、股下を備えており、 前記衣服を構成する各部位のうち、少なくとも、前記股下は、前記股下の丈方向と、前記股下を構成する前記編地のコース方向とが沿うように形成された、衣服。」 <相違点1> 本件発明1は、「前記衣服を構成する各部位のうち、少なくとも、切断されることが予定される切断予定部位である前記股下は、前記切断予定部位の丈方向と、前記切断予定部位を構成する前記編地のコース方向とが沿うように脇線及び股下線において前記編地を縫製して形成され」たものであるのに対して、甲1発明は、脚部の丈方向と、脚部を構成する編地のコース方向とが沿うように形成されているものの、脚部が切断予定部位であること及び切断予定部位の丈方向と脚部を構成する編地のコース方向とが沿うように脇線及び股下線において編地を縫製するとは、特定されていない点。 ウ 判断 <相違点1について> 上記相違点1について検討する。 甲第1号証には、一対の脚部(股下)が切断されることが予定される切断予定部位として扱われること、そして、切断予定部位の丈方向と、切断予定部位を構成する編地のコース方向とが沿うように脇線及び股下線において編地を縫製して形成することについて記載や示唆はない。 甲1発明は、「編出しラインでありかつ接合ラインでもあるラインが、各脚部の内側と、胴部の股から前部中央、もしくは股から後部中央とにある」ものであるから、編地の接合手段として、縫製が周知(例えば、甲第2号証の【0002】、実願昭61-120950号(実開昭63-27408号)のマイクロフィルムの実用新案登録請求の範囲等、特開2005-290592号公報の【0001】等参照。)であって、接合手段として縫製を用いたとしても、少なくとも脇線において編地を縫製して形成されたものとはならない。 さらに、甲第1号証は、「編出しや伏目のラインが脇に現れないようにする」(【0005】)ものであるから、甲1発明において、脇線において編地を縫製することには、阻害要因があるといえる。 そして、本件発明1は、上記相違点1に係る事項を備えることにより、「以上説明したインナー3では、左股下32及び右股下34の巾方向D2がウェール方向d2に沿っている。天竺編みした編地は、コース方d1向に沿って切断するとほつれるが、ウェール方向d2に沿って切断するとほつれない。そのため、このインナー3は、左股下32及び右股下34の袖丈の調整をするため巾方向D2に沿って切断しても編地がほつれない。 したがって、インナー3は、左股下32及び右股下34を、袖丈を調整するために巾方向D2に沿って切断しても、製品の破損を抑制できる。」(【0020】、【0021】)という格別な効果を奏するものである。 そうすると、本件発明1は、甲1発明及び周知の事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 エ 申立人の令和元年5月9日提出の意見書での主張について 申立人は、令和元年5月9日提出の意見書において、甲第1号証の【0002】?【0005】及び【0009】の記載に基づけば、 「天竺編みした編地で構成され、一対の脚部と胴部とから成るニットパンツで、編目列のコース方向がニットパンツの丈に平行で、接合ラインでもある編出しライン又は伏目ラインが、各脚部の脇部と内側接合部とにある、ニットパンツ。」の発明が記載されており、当該発明において、接合手段を具体化するに際し、周知の接合手段である縫製によることは、当業者が容易に想到し得たことである旨主張する。 しかし、甲第1号証には、「特許文献1では、ニットパンツの脇からスタートして、丈に平行な方向に編成する。一対の給糸口で、一方の脚部の前と後、及び胴部の前後の左右半部を編成する。一方の脚部の前後の編成が完了すると、これらを接合し、一方の脚部を完成する。胴部の残りの前と後、及び他方の脚部の前後の編成を、一対の給糸口で続行し、他方の脇に達すると、これらを接合して、ニットパンツを完成する。」(【0003】)と記載されており、ニットパンツの脇のスタートする際の編出しラインは、「接合ラインでもある」とはいえず、ましてや、当該編出しラインから一方の脚部の前と後、及び胴部の前後の左右半部を編成するものであるから、編地が形成される前の編出しラインを縫製に置き換えることもできない。 したがって、申立人の上記主張は採用できない。 また、請求人は、甲第3号証を挙げて、本件発明1は、甲第3号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に想到し得た旨主張するが、甲第3号証は、甲第1号証の【0002】?【0005】の背景技術に挙げられた【特許文献1】であるから、上記と同様の理由により、申立人の主張は採用できない。 オ 小括 したがって、本件発明1は、甲1発明及び周知の事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえないから、本件発明1は、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものであるとはいえず、その特許は、特許法第113条第2項の規定に該当することを理由として取り消すことはできない。 (2)本件発明4について ア 対比 本件発明4は、本件発明1の発明特定事項を全て備え、更に限定を付したものであるから、本件発明4と甲1発明とを対比すると、少なくとも上記(1)の<相違点1>で相違する。 イ 当審の判断 上記<相違点1>については、上記(1)ウで検討したとおりであり、甲1発明及び周知の事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 3 取消理由(決定の予告)に採用しなかった異議申立理由について 申立人は、本件発明1は、本件特許の出願前日本国内または外国において頒布された甲第1号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない旨主張する。 しかし、本件発明1と甲1発明とを対比すると、上記2(1)イのとおり、<相違点1>で相違し、<相違点1>は、実質的な相違点であるから、本件発明1は甲1発明であるとはいえない。 第5 むすび 以上のとおり、取消理由通知(決定の予告)に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件発明1、4に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に本件発明1、4に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 天竺編みした編地で構成される衣服であって、 前記衣服は、股下を備えており、 前記衣服を構成する各部位のうち、少なくとも、切断されることが予定される切断予定部位である前記股下は、前記切断予定部位の丈方向と、前記切断予定部位を構成する前記編地のコース方向とが沿うように脇線及び股下線において前記編地を縫製して形成された、衣服。 【請求項2】 天竺編みした編地で構成される衣服であって、 衣服を構成する各部位のうち、少なくとも、切断されることが予定される切断予定部位は、前記切断予定部位の丈方向と、前記切断予定部位を構成する前記編地のコース方向とが沿うように縫製され、 前記切断予定部位には、切断が予定されている切断予定位置が設定され、前記切断予定位置から見て、前記切断予定部位が他の前記部位と接続される接続側であって、前記切断予定部位の巾方向のいずれか一端側に、前記切断予定部位の編地のほつれを抑制する閂止めが掛けられている衣服。 【請求項3】 請求項2に記載の衣服において、 前記閂止めは、前記切断予定部位の編地とは異なる色の糸を用いて形成されている衣服。 【請求項4】 請求項1?3のいずれか1項に記載の衣服において、 前記各部位は、三本針オーバーロックにより縫製されている衣服。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
異議決定日 | 2019-06-18 |
出願番号 | 特願2016-42069(P2016-42069) |
審決分類 |
P
1
652・
113-
YAA
(A41D)
P 1 652・ 121- YAA (A41D) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 藤井 眞吾 |
特許庁審判長 |
千壽 哲郎 |
特許庁審判官 |
佐々木 正章 久保 克彦 |
登録日 | 2017-12-22 |
登録番号 | 特許第6262785号(P6262785) |
権利者 | アイリン株式会社 |
発明の名称 | 衣服 |
代理人 | 名古屋国際特許業務法人 |
代理人 | 名古屋国際特許業務法人 |