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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 A61K
管理番号 1354527
審判番号 不服2019-514  
総通号数 238 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-10-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-01-16 
確定日 2019-09-03 
事件の表示 特願2014-216955「イソキサゾリン化合物が高分子化合物に分散した組成物」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 6月11日出願公開、特開2015-107959、請求項の数(11)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成26年10月24日の出願であって、平成30年5月15日付けで拒絶理由通知がされ、平成30年7月19日付けで手続補正がされ、平成30年8月27日付けで最後の拒絶理由通知がされ、平成30年10月18日付けで手続補正がされ、平成30年10月24日付けで拒絶査定(原査定)がされ、これに対し、平成31年1月16日に拒絶査定不服審判の請求がされたものである。

第2 原査定の概要
原査定(平成30年10月24日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

本願請求項1-11に係る発明は、以下の引用文献1-5に基いて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
1.特開2012-51877号公報
2.特開2013-173704号公報
3.薬剤学,1997年,Vol.57,No.2,pp.79-85
4.Chem.Pharm.Bull.,1996年,Vol.44,No.3,pp.568-571
5.Netsu Sokutei,2011年,Vol.38,No.1,pp.23-28

第3 本願発明
本願請求項1-11に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明11」という。)は、平成30年10月18日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-11に記載された事項により特定される以下のとおりの発明である。

「【請求項1】
式(I)

〔式中、Xはハロゲン原子またはC1-C3ハロアルキル基を表し、pは0?5の整数のいずれかを表し、
Qは下記のQ1乃至Q8から選ばれるいずれかの基を意味する。

{式中、
A^(1)はR^(11)-C(=O)-N(R^(12))-N(R^(13))-、R^(11)-C(=O)-N(R^(12))-CH_(2)-またはR^(11)-C(=O)-N(R^(12))-を表し、
R^(10)は水素原子、ハロゲン原子またはC1-C3アルキル基を表し、
R^(11)はC1-C6アルキル基、C1-C6ハロアルキル基、C3-C6シクロアルキル基または(C1-C6アルコキシ)C1-C6アルキル基を表し、
R^(12)は水素原子またはメチル基を表し、
R^(13)は水素原子またはメチル基を表し;
A^(2)はR^(21)-N(R^(22))-C(=O)-、R^(23)-N(R^(24))-C(=O)-CH(R^(25))-N(R^(22))-C(=O)-、R^(26)-N(R^(27))-N(R^(22))-C(=O)-、R^(28)-N=CH-N(R^(22))-C(=O)-、R^(29)-C(=O)-N(R^(30))-CH(R^(31))-、R^(32)-O-N=C(R^(33))-、R^(34)-NH-C(=O)-CH_(2)O-N=C(R^(33))-、R^(34)-NH-C(=O)-NH-N=C(R^(33))-またはR^(35)-NH-C(=NH)-NH-N=C(R^(33))-を表し、
R^(20)は水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、アセチルアミノ基またはC1-C3アルキル基を表し、
R^(21)はC1-C6アルキル基、C1-C6ハロアルキル基、(ヒドロキシ)C1-C6アルキル基、(C1-C6アルコキシ)C1-C6アルキル基、(C1-C6アルキルチオ)C1-C6アルキル基または下記群から選ばれるいずれか1種のヘテロ環基を表し、

(式中、mは0、1または2を表し、R^(36)は水素原子、塩素原子又はシアノ基を表し、R^(37)は水素原子、C1-C6アルキル基またはC1-C6ハロアルキル基を表す。)
R^(22)は水素原子、(C1-C6アルキル)カルボニル基または(C1-C6アルコキシ)カルボニル基を表し、
R^(23)はC1-C6アルキル基、C1-C6ハロアルキル基または(C1-C6アルコキシ)C1-C6アルキル基を表し、
R^(24)は水素原子またはC1-C3アルキル基を表し、
R^(25)は水素原子またはC1-C3アルキル基を表し、
R^(26)はフェニル基を表し、
R^(27)は水素原子またはC1-C3アルキル基を表し、
R^(28)はC1-C3アルコキシ基を表し、
R^(29)はC1-C6アルキル基、C1-C6ハロアルキル基、C3-C6シクロアルキル基、(C3-C6シクロアルキル)C1-C6アルキル基、(C1-C6アルコキシ)C1-C6アルキル基またはC1-C6アルコキシ基を表し、
R^(30)は水素原子またはC1-C3アルキル基を表し、
R^(31)は水素原子またはC1-C3アルキル基を表し、
R^(32)は水素原子、C1-C6アルキル基またはC1-C6ハロアルキル基を表し、
R^(33)は水素原子、シアノ基、C1-C3アルキル基、C1-C3アルコキシ基または(C1-C3アルキル)カルボニル基を表し、
R^(34)はC1-C6アルキル基、C1-C6ハロアルキル基または(C3-C6シクロアルキル)C1-C6アルキル基を表し、
R^(35)は水素原子、C1-C6アルキル基またはC1-C6ハロアルキル基を表し;
A^(4)はR^(42)-C(=O)-またはR^(42)-NH-C(=O)-を表し、
R^(40)は水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、アセチルアミノ基またはC1-C3アルキル基を表し、
R^(41)は水素原子、フッ素原子または水酸基を表し、
R^(42)はC1-C6アルキル基、C1-C6ハロアルキル基、シアノ(C1-C3アルキル)基、C3-C6シクロアルキル基、(C1-C6アルコキシ)C1-C6アルキル基、(C1-C6アルキルチオ)C1-C6アルキル基、(C1-C6アルキルスルフィニル)C1-C6アルキル基または(C1-C6アルキルスルホニル)C1-C6アルキル基を表し;
A^(5)はR^(51)-N(R^(52))-、R^(53)-C(=O)-N(R^(52))-、R^(51)-N(R^(52))-C(=O)-N(R^(52))-、R^(51)-O-C(=O)-N(R^(52))-またはR^(53)-C(=O)-を表し、
R^(51)はC1-C6アルキル基、C1-C6ハロアルキル基またはC3-C6シクロアルキル基を表し、
R^(52)は水素原子またはC1-C3アルキル基を表し、
R^(53)はC1-C6アルキル基、C1-C6ハロアルキル基、C3-C6シクロアルキル基、(ヒドロキシ)C1-C6アルキル基または(C1-C6アルコキシ)C1-C6アルキル基を表し;
A^(6)はR^(61)-N(R^(62))-C(=O)-またはR^(63)-N(R^(64))-C(=O)-CH(R^(65))-N(R^(62))-C(=O)-を表し、
R^(61)はC1-C6アルキル基、C1-C6ハロアルキル基、(ヒドロキシ)C1-C6アルキル基、(C1-C6アルコキシ)C1-C6アルキル基または(C1-C6アルキルチオ)C1-C6アルキル基を表し、
R^(62)は水素原子、(C1-C6アルキル)カルボニル基または(C1-C6アルコキシ)カルボニル基を表し、
R^(63)はC1-C6アルキル基、C1-C6ハロアルキル基または(C1-C6アルコキシ)C1-C6アルキル基を表し、
R^(64)は水素原子またはC1-C6アルキル基を表し、
R^(65)は水素原子またはC1-C6アルキル基を表し;
A^(7)はR^(71)-N(R^(72))-C(=O)-またはR^(73)-N(R^(74))-C(=O)-CH(R^(75))-N(R^(72))-C(=O)-を表し、
Tは窒素原子またはCR^(76)を表し、
R^(71)はC1-C6アルキル基、C1-C6ハロアルキル基、(ヒドロキシ)C1-C6アルキル基、(C1-C6アルコキシ)C1-C6アルキル基または(C1-C6アルキルチオ)C1-C6アルキル基を表し、
R^(72)は水素原子、(C1-C6アルキル)カルボニル基または(C1-C6アルコキシ)カルボニル基を表し、
R^(73)はC1-C6アルキル基、C1-C6ハロアルキル基または(C1-C6アルコキシ)C1-C6アルキル基を表し、
R^(74)は水素原子またはC1-C6アルキル基を表し、
R^(75)は水素原子またはC1-C6アルキル基を表し、
R^(76)は水素原子またはC1-C3アルキル基を表し、;
T^(2)は?CH_(2)=CH_(2)?、酸素原子または硫黄原子を表し、
A^(8)はR^(11)-C(=O)-N(R^(12))-N(R^(13))-、またはR^(11)-C(=O)-N(R^(12))-CH_(2)-を表し、
R^(80)は水素原子、ハロゲン原子またはC1-C3アルキル基を表し;
A^(9)は、R^(92)-C(=O)-またはR^(92)-NH-C(=O)-を表し、
R^(92)はC1-C6アルキル基、C1-C6ハロアルキル基、シアノ(C1-C3アルキル)基、C3-C6シクロアルキル基、(C1-C6アルコキシ)C1-C6アルキル基、(C1-C6アルキルチオ)C1-C6アルキル基、(C1-C6アルキルスルフィニル)C1-C6アルキル基または(C1-C6アルキルスルホニル)C1-C6アルキル基を表す。}〕
で示されるイソキサゾリン化合物が、非晶質状にてビニル系高分子化合物の固体媒体中に分散されている経口投与用組成物。
【請求項2】
該イソキサゾリン化合物と該高分子化合物との重量比が1:0.1?1:100である請求項1記載の経口投与用組成物。
【請求項3】
高分子化合物が、ビニルピロリドン・酢酸ビニル共重合体、ポリビニルピロリドン、またはメタクリル酸ジメチルアミノエチル・メタクリル酸ブチル・メタクリル酸メチル共重合体である請求項1または請求項2記載の経口投与用組成物。
【請求項4】
イソキサゾリン化合物が下記式(II)?(V)の化合物から選ばれる1種以上の化合物である請求項1から請求項3のいずれかに記載の経口投与用組成物。

【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の組成物を用いて得られる動物外部寄生虫防除剤。
【請求項6】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の組成物または請求項5に記載の動物外部寄生虫防除剤を、ヒトを除く宿主動物に経口投与することを特徴とする外部寄生虫の防除方法。
【請求項7】
防除対象の外部寄生虫がノミ目、シラミ目またはダニ目の外部寄生虫である請求項6記載の外部寄生虫の防除方法。
【請求項8】
宿主動物が産業動物または愛玩動物である請求項6または請求項7記載の外部寄生虫の防除方法。
【請求項9】
宿主動物がイヌ、ネコ、ウマまたはウサギである請求項6から請求項8のいずれかに記載の外部寄生虫の防除方法。
【請求項10】
式(I)で表されるイソキサゾリン化合物とビニル系高分子化合物との混合物を、該イソキサゾリン化合物の融点以上であって、且つ、該高分子化合物が溶融する温度以上である温度で、3分間以上混練する工程、及び、次いで該混合物を該イソキサゾリン化合物の融点未満、且つ、該高分子化合物のガラス転移点未満の温度まで冷却する工程を有することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の組成物の製造方法。
式(I)

〔式中、Xはハロゲン原子またはC1-C3ハロアルキル基を表し、pは0?5の整数のいずれかを表し、
Qは下記のQ1乃至Q8から選ばれるいずれかの基を意味する。

{式中、
A^(1)はR^(11)-C(=O)-N(R^(12))-N(R^(13))-、R^(11)-C(=O)-N(R^(12))-CH_(2)-またはR^(11)-C(=O)-N(R^(12))-を表し、
R^(10)は水素原子、ハロゲン原子またはC1-C3アルキル基を表し、
R^(11)はC1-C6アルキル基、C1-C6ハロアルキル基、C3-C6シクロアルキル基または(C1-C6アルコキシ)C1-C6アルキル基を表し、
R^(12)は水素原子またはメチル基を表し、
R^(13)は水素原子またはメチル基を表し;
A^(2)はR^(21)-N(R^(22))-C(=O)-、R^(23)-N(R^(24))-C(=O)-CH(R^(25))-N(R^(22))-C(=O)-、R^(26)-N(R^(27))-N(R^(22))-C(=O)-、R^(28)-N=CH-N(R^(22))-C(=O)-、R^(29)-C(=O)-N(R^(30))-CH(R^(31))-、R^(32)-O-N=C(R^(33))-、R^(34)-NH-C(=O)-CH_(2)O-N=C(R^(33))-、R^(34)-NH-C(=O)-NH-N=C(R^(33))-またはR^(35)-NH-C(=NH)-NH-N=C(R^(33))-を表し、
R^(20)は水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、アセチルアミノ基またはC1-C3アルキル基を表し、
R^(21)はC1-C6アルキル基、C1-C6ハロアルキル基、(ヒドロキシ)C1-C6アルキル基、(C1-C6アルコキシ)C1-C6アルキル基、(C1-C6アルキルチオ)C1-C6アルキル基または下記群から選ばれるいずれか1種のヘテロ環基を表し、

(式中、mは0、1または2を表し、R^(36)は水素原子、塩素原子又はシアノ基を表し、R^(37)は水素原子、C1-C6アルキル基またはC1-C6ハロアルキル基を表す。)
R^(22)は水素原子、(C1-C6アルキル)カルボニル基または(C1-C6アルコキシ)カルボニル基を表し、
R^(23)はC1-C6アルキル基、C1-C6ハロアルキル基または(C1-C6アルコキシ)C1-C6アルキル基を表し、
R^(24)は水素原子またはC1-C3アルキル基を表し、
R^(25)は水素原子またはC1-C3アルキル基を表し、
R^(26)はフェニル基を表し、
R^(27)は水素原子またはC1-C3アルキル基を表し、
R^(28)はC1-C3アルコキシ基を表し、
R^(29)はC1-C6アルキル基、C1-C6ハロアルキル基、C3-C6シクロアルキル基、(C3-C6シクロアルキル)C1-C6アルキル基、(C1-C6アルコキシ)C1-C6アルキル基またはC1-C6アルコキシ基を表し、
R^(30)は水素原子またはC1-C3アルキル基を表し、
R^(31)は水素原子またはC1-C3アルキル基を表し、
R^(32)は水素原子、C1-C6アルキル基またはC1-C6ハロアルキル基を表し、
R^(33)は水素原子、シアノ基、C1-C3アルキル基、C1-C3アルコキシ基または(C1-C3アルキル)カルボニル基を表し、
R^(34)はC1-C6アルキル基、C1-C6ハロアルキル基または(C3-C6シクロアルキル)C1-C6アルキル基を表し、
R^(35)は水素原子、C1-C6アルキル基またはC1-C6ハロアルキル基を表し;
A^(4)はR^(42)-C(=O)-またはR^(42)-NH-C(=O)-を表し、
R^(40)は水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、アセチルアミノ基またはC1-C3アルキル基を表し、
R^(41)は水素原子、フッ素原子または水酸基を表し、
R^(42)はC1-C6アルキル基、C1-C6ハロアルキル基、シアノ(C1-C3アルキル)基、C3-C6シクロアルキル基、(C1-C6アルコキシ)C1-C6アルキル基、(C1-C6アルキルチオ)C1-C6アルキル基、(C1-C6アルキルスルフィニル)C1-C6アルキル基または(C1-C6アルキルスルホニル)C1-C6アルキル基を表し;
A^(5)はR^(51)-N(R^(52))-、R^(53)-C(=O)-N(R^(52))-、R^(51)-N(R^(52))-C(=O)-N(R^(52))-、R^(51)-O-C(=O)-N(R^(52))-またはR^(53)-C(=O)-を表し、
R^(51)はC1-C6アルキル基、C1-C6ハロアルキル基またはC3-C6シクロアルキル基を表し、
R^(52)は水素原子またはC1-C3アルキル基を表し、
R^(53)はC1-C6アルキル基、C1-C6ハロアルキル基、C3-C6シクロアルキル基、(ヒドロキシ)C1-C6アルキル基または(C1-C6アルコキシ)C1-C6アルキル基を表し;
A^(6)はR^(61)-N(R^(62))-C(=O)-またはR^(63)-N(R^(64))-C(=O)-CH(R^(65))-N(R^(62))-C(=O)-を表し、
R^(61)はC1-C6アルキル基、C1-C6ハロアルキル基、(ヒドロキシ)C1-C6アルキル基、(C1-C6アルコキシ)C1-C6アルキル基または(C1-C6アルキルチオ)C1-C6アルキル基を表し、
R^(62)は水素原子、(C1-C6アルキル)カルボニル基または(C1-C6アルコキシ)カルボニル基を表し、
R^(63)はC1-C6アルキル基、C1-C6ハロアルキル基または(C1-C6アルコキシ)C1-C6アルキル基を表し、
R^(64)は水素原子またはC1-C6アルキル基を表し、
R^(65)は水素原子またはC1-C6アルキル基を表し;
A^(7)はR^(71)-N(R^(72))-C(=O)-またはR^(73)-N(R^(74))-C(=O)-CH(R^(75))-N(R^(72))-C(=O)-を表し、
Tは窒素原子またはCR^(76)を表し、
R^(71)はC1-C6アルキル基、C1-C6ハロアルキル基、(ヒドロキシ)C1-C6アルキル基、(C1-C6アルコキシ)C1-C6アルキル基または(C1-C6アルキルチオ)C1-C6アルキル基を表し、
R^(72)は水素原子、(C1-C6アルキル)カルボニル基または(C1-C6アルコキシ)カルボニル基を表し、
R^(73)はC1-C6アルキル基、C1-C6ハロアルキル基または(C1-C6アルコキシ)C1-C6アルキル基を表し、
R^(74)は水素原子またはC1-C6アルキル基を表し、
R^(75)は水素原子またはC1-C6アルキル基を表し、
R^(76)は水素原子またはC1-C3アルキル基を表し、;
T^(2)は?CH_(2)=CH_(2)?、酸素原子または硫黄原子を表し、
A^(8)はR^(11)-C(=O)-N(R^(12))-N(R^(13))-、またはR^(11)-C(=O)-N(R^(12))-CH_(2)-を表し、
R^(80)は水素原子、ハロゲン原子またはC1-C3アルキル基を表し;
A^(9)は、R^(92)-C(=O)-またはR^(92)-NH-C(=O)-を表し、
R^(92)はC1-C6アルキル基、C1-C6ハロアルキル基、シアノ(C1-C3アルキル)基、C3-C6シクロアルキル基、(C1-C6アルコキシ)C1-C6アルキル基、(C1-C6アルキルチオ)C1-C6アルキル基、(C1-C6アルキルスルフィニル)C1-C6アルキル基または(C1-C6アルキルスルホニル)C1-C6アルキル基を表す。}〕
【請求項11】
式(I)で表されるイソキサゾリン化合物とビニル系高分子化合物とを溶媒に溶解させて溶液を得る工程と、該イソキサゾリン化合物の融点未満、且つ、該高分子化合物のガラス転移点未満の温度にて該溶液から溶媒を留去させる工程とを有することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の組成物の製造方法。
式(I)

〔式中、Xはハロゲン原子またはC1-C3ハロアルキル基を表し、pは0?5の整数のいずれかを表し、
Qは下記のQ1乃至Q8から選ばれるいずれかの基を意味する。

{式中、
A^(1)はR^(11)-C(=O)-N(R^(12))-N(R^(13))-、R^(11)-C(=O)-N(R^(12))-CH_(2)-またはR^(11)-C(=O)-N(R^(12))-を表し、
R^(10)は水素原子、ハロゲン原子またはC1-C3アルキル基を表し、
R^(11)はC1-C6アルキル基、C1-C6ハロアルキル基、C3-C6シクロアルキル基または(C1-C6アルコキシ)C1-C6アルキル基を表し、
R^(12)は水素原子またはメチル基を表し、
R^(13)は水素原子またはメチル基を表し;
A^(2)はR^(21)-N(R^(22))-C(=O)-、R^(23)-N(R^(24))-C(=O)-CH(R^(25))-N(R^(22))-C(=O)-、R^(26)-N(R^(27))-N(R^(22))-C(=O)-、R^(28)-N=CH-N(R^(22))-C(=O)-、R^(29)-C(=O)-N(R^(30))-CH(R^(31))-、R^(32)-O-N=C(R^(33))-、R^(34)-NH-C(=O)-CH_(2)O-N=C(R^(33))-、R^(34)-NH-C(=O)-NH-N=C(R^(33))-またはR^(35)-NH-C(=NH)-NH-N=C(R^(33))-を表し、
R^(20)は水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、アセチルアミノ基またはC1-C3アルキル基を表し、
R^(21)はC1-C6アルキル基、C1-C6ハロアルキル基、(ヒドロキシ)C1-C6アルキル基、(C1-C6アルコキシ)C1-C6アルキル基、(C1-C6アルキルチオ)C1-C6アルキル基または下記群から選ばれるいずれか1種のヘテロ環基を表し、

(式中、mは0、1または2を表し、R^(36)は水素原子、塩素原子又はシアノ基を表し、R^(37)は水素原子、C1-C6アルキル基またはC1-C6ハロアルキル基を表す。)
R^(22)は水素原子、(C1-C6アルキル)カルボニル基または(C1-C6アルコキシ)カルボニル基を表し、
R^(23)はC1-C6アルキル基、C1-C6ハロアルキル基または(C1-C6アルコキシ)C1-C6アルキル基を表し、
R^(24)は水素原子またはC1-C3アルキル基を表し、
R^(25)は水素原子またはC1-C3アルキル基を表し、
R^(26)はフェニル基を表し、
R^(27)は水素原子またはC1-C3アルキル基を表し、
R^(28)はC1-C3アルコキシ基を表し、
R^(29)はC1-C6アルキル基、C1-C6ハロアルキル基、C3-C6シクロアルキル基、(C3-C6シクロアルキル)C1-C6アルキル基、(C1-C6アルコキシ)C1-C6アルキル基またはC1-C6アルコキシ基を表し、
R^(30)は水素原子またはC1-C3アルキル基を表し、
R^(31)は水素原子またはC1-C3アルキル基を表し、
R^(32)は水素原子、C1-C6アルキル基またはC1-C6ハロアルキル基を表し、
R^(33)は水素原子、シアノ基、C1-C3アルキル基、C1-C3アルコキシ基または(C1-C3アルキル)カルボニル基を表し、
R^(34)はC1-C6アルキル基、C1-C6ハロアルキル基または(C3-C6シクロアルキル)C1-C6アルキル基を表し、
R^(35)は水素原子、C1-C6アルキル基またはC1-C6ハロアルキル基を表し;
A^(4)はR^(42)-C(=O)-またはR^(42)-NH-C(=O)-を表し、
R^(40)は水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、アセチルアミノ基またはC1-C3アルキル基を表し、
R^(41)は水素原子、フッ素原子または水酸基を表し、
R^(42)はC1-C6アルキル基、C1-C6ハロアルキル基、シアノ(C1-C3アルキル)基、C3-C6シクロアルキル基、(C1-C6アルコキシ)C1-C6アルキル基、(C1-C6アルキルチオ)C1-C6アルキル基、(C1-C6アルキルスルフィニル)C1-C6アルキル基または(C1-C6アルキルスルホニル)C1-C6アルキル基を表し;
A^(5)はR^(51)-N(R^(52))-、R^(53)-C(=O)-N(R^(52))-、R^(51)-N(R^(52))-C(=O)-N(R^(52))-、R^(51)-O-C(=O)-N(R^(52))-またはR^(53)-C(=O)-を表し、
R^(51)はC1-C6アルキル基、C1-C6ハロアルキル基またはC3-C6シクロアルキル基を表し、
R^(52)は水素原子またはC1-C3アルキル基を表し、
R^(53)はC1-C6アルキル基、C1-C6ハロアルキル基、C3-C6シクロアルキル基、(ヒドロキシ)C1-C6アルキル基または(C1-C6アルコキシ)C1-C6アルキル基を表し;
A^(6)はR^(61)-N(R^(62))-C(=O)-またはR^(63)-N(R^(64))-C(=O)-CH(R^(65))-N(R^(62))-C(=O)-を表し、
R^(61)はC1-C6アルキル基、C1-C6ハロアルキル基、(ヒドロキシ)C1-C6アルキル基、(C1-C6アルコキシ)C1-C6アルキル基または(C1-C6アルキルチオ)C1-C6アルキル基を表し、
R^(62)は水素原子、(C1-C6アルキル)カルボニル基または(C1-C6アルコキシ)カルボニル基を表し、
R^(63)はC1-C6アルキル基、C1-C6ハロアルキル基または(C1-C6アルコキシ)C1-C6アルキル基を表し、
R^(64)は水素原子またはC1-C6アルキル基を表し、
R^(65)は水素原子またはC1-C6アルキル基を表し;
A^(7)はR^(71)-N(R^(72))-C(=O)-またはR^(73)-N(R^(74))-C(=O)-CH(R^(75))-N(R^(72))-C(=O)-を表し、
Tは窒素原子またはCR^(76)を表し、
R^(71)はC1-C6アルキル基、C1-C6ハロアルキル基、(ヒドロキシ)C1-C6アルキル基、(C1-C6アルコキシ)C1-C6アルキル基または(C1-C6アルキルチオ)C1-C6アルキル基を表し、
R^(72)は水素原子、(C1-C6アルキル)カルボニル基または(C1-C6アルコキシ)カルボニル基を表し、
R^(73)はC1-C6アルキル基、C1-C6ハロアルキル基または(C1-C6アルコキシ)C1-C6アルキル基を表し、
R^(74)は水素原子またはC1-C6アルキル基を表し、
R^(75)は水素原子またはC1-C6アルキル基を表し、
R^(76)は水素原子またはC1-C3アルキル基を表し、;
T^(2)は?CH_(2)=CH_(2)?、酸素原子または硫黄原子を表し、
A^(8)はR^(11)-C(=O)-N(R^(12))-N(R^(13))-、またはR^(11)-C(=O)-N(R^(12))-CH_(2)-を表し、
R^(80)は水素原子、ハロゲン原子またはC1-C3アルキル基を表し;
A^(9)は、R^(92)-C(=O)-またはR^(92)-NH-C(=O)-を表し、
R^(92)はC1-C6アルキル基、C1-C6ハロアルキル基、シアノ(C1-C3アルキル)基、C3-C6シクロアルキル基、(C1-C6アルコキシ)C1-C6アルキル基、(C1-C6アルキルチオ)C1-C6アルキル基、(C1-C6アルキルスルフィニル)C1-C6アルキル基または(C1-C6アルキルスルホニル)C1-C6アルキル基を表す。}〕」

第4 引用文献、引用発明等

1.引用文献1について
ア 原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献1には、次の事項が記載されている。

(ア)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)

〔式中、
Gは下記式G-1?G-3のいずれかで示される基

尚、点a及び点bは結合手を表し、点bはフェニル環との結合手を表す。)を表し、
R^(1)はC1-C4ハロアルキル基を表し、
Y^(1)は酸素原子、硫黄原子又はNR^(7)基を表し、
Y^(2)は酸素原子、硫黄原子、NR^(7)基又はメチレン基を表し、
Y^(3)は酸素原子、硫黄原子、NR^(7)基又はメチレン基を表し、
R^(7)はC1-C6アルキル基、C2-C6アルケニル基、C2-C6アルキニル基、C3-C6シクロアルキル基、C4-C7シクロアルキルアルキル基、C2-C6アルキルカルボニル基、C2-C6アルコキシカルボニル基、C2-C6アルキルアミノカルボニル基、C3-C9ジアルキルアミノカルボニル基、フェニル基、シアノ基、ホルミル基又は水素原子を表し、
Mは酸素原子又は硫黄原子を表し、
Q^(1)、Q^(2)、Q^(3)及びQ^(4)は同一又は相異なり、窒素原子又はCR^(3)基を表し、
R^(3)はハロゲン原子で置換されていてもよいC1-C6アルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1-C6アルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子又は水素原子を表し、
mは0から5の整数のいずれかを表し、
R^(2)はハロゲン原子で置換されていてもよいC1-C6アルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1-C6アルコキシ基、C1-C6アルキルチオ基、C1-C6アルキルスルフィニル基、C1-C6アルキルスルホニル基、ニトロ基、シアノ基又はハロゲン原子を表し(但し、mが2?5の整数のいずれかである場合、それぞれのR^(2)は同一又は相異なる。)、
R^(5)及びR^(6)は同一又は相異なり、群E1より選ばれる基で置換されていてもよいC1-C12鎖式炭化水素基、群E2より選ばれる基で置換されていてもよいベンゾイル基、C2-C6アルキルカルボニル基、C2-C6アルコキシカルボニル基、C3-C12シクロアルキル基、ホルミル基又は水素原子を表し、
R^(4)は群E1より選ばれる基で置換されていてもよいC1-C12鎖式炭化水素基、群E2より選ばれる基で置換されていてもよいC3-C12環式炭化水素基、群E2より選ばれる基で置換されていてもよい5?6員ヘテロ環基、OR^(8)基、N(R^(9))R^(10)基又は水素原子を表し、
R^(8)は群E1より選ばれる基で置換されていてもよいC1-C12鎖式炭化水素基、群E2より選ばれる基で置換されていてもよいC3-C12環式炭化水素基又は群E2より選ばれる基で置換されていてもよい5?6員ヘテロ環基を表し、
R^(9)は群E1より選ばれる基で置換されていてもよいC1-C12鎖式炭化水素基又は群E2より選ばれる基で置換されていてもよいC3-C12環式炭化水素基を表し、
R^(10)は群E1より選ばれる基で置換されていてもよいC1-C12鎖式炭化水素基又は水素原子を表すか、或いはR^(9)とR^(10)が末端で結合して、C2-C9アルカンジイル基を表し、
群E1は群E2より選ばれる基で置換されていてもよいC3-C12環式炭化水素基、群E2より選ばれる基で置換されていてもよい5?6員ヘテロ環基、群E2より選ばれる基で置換されていてもよいフェノキシ基、群E2より選ばれる基で置換されていてもよいフェニルアミノ基、C2-C6アルキルカルボニル基、C2-C6アルコキシカルボニル基、C1-C6アルコキシ基、C1-C6アルキルアミノ基、C2-C12ジアルキルアミノ基、ニトロ基、シアノ基、ホルミル基及びハロゲン原子からなる群を表し、
群E2はハロゲン原子で置換されていてもよいC1-C6アルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1-C6アルコキシ基、C2-C6アルキルカルボニル基、C2-C6アルコキシカルボニル基、C1-C6アルキルアミノ基、C2-C12ジアルキルアミノ基、ニトロ基、シアノ基、ホルミル基及びハロゲン原子からなる群を表す。〕
で示されるヒドラジド化合物と、
下記式(II)

〔式中、
X^(10)及びX^(20)は各々、ハロゲン原子、メチル基、シアノ基又は水素原子を表し、X^(30)は水素原子、メチル基、プロパルギル基、メトキシ基又はメトキシメチル基を表す。〕
で示されるエステル化合物とを含有する有害生物防除組成物。

(イ)
【0001】
本発明は、ヒドラジド化合物とエステル化合物とを含有する有害生物防除組成物に関する。

(ウ)
【0062】
(製造法1)
本ヒドラジド化合物は、化合物(2)と化合物(3)とを反応させることにより製造することができる。

〔式中、Q^(1)、Q^(2)、Q^(3)、Q^(4)、R^(2)、R^(4)、R^(5)、R^(6)、G、M及びmは前記と同じ意味を表し、Lは水酸基又は塩素原子を表す。〕
該反応は、通常溶媒中で行われる。
反応に用いられる溶媒としては、例えばテトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、tert-ブチルメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、1,4-ジオキサン等のエーテル類、N,N-ジメチルホルムアミド等の酸アミド類、アセトニトリル等のニトリル類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、酢酸エチル等のエステル類、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類、スルホラン;1,2-ジクロロエタン、クロロホルム、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類及びそれらの混合物が挙げられる。
Lが塩素原子である場合、該反応は通常塩基の存在下で行われる。
該反応に用いられる塩基としては、例えば水素化ナトリウム等のアルカリ金属水素化物類、炭酸カリウム等の炭酸塩類、カリウムtert-ブトキシド等のアルカリ金属アルコキシド類及びトリエチルアミン、ピリジン等の有機アミン類が挙げられる。
Lが水酸基である場合、該反応は縮合剤の存在下で行われる。
該反応に用いられる縮合剤としては、例えばジシクロヘキシルカルボジイミド及び1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩が挙げられる。
反応に用いられる試剤の量は、化合物(2)1モルに対して、化合物(3)が通常1?10モルの割合であり、塩基又は縮合剤が通常1?10モルの割合である。
該反応の反応温度は、通常0?100℃の範囲であり、反応時間は通常0.5?24時間の範囲である。
反応終了後は、反応混合物を有機溶媒抽出し、乾燥、濃縮する等の後処理操作を行うことにより、本ヒドラジド化合物を単離することができる。単離された本ヒドラジド化合物はクロマトグラフィー、再結晶等によりさらに精製することもできる。

(エ)
【0101】
本発明の有害生物防除組成物は、本ヒドラジド化合物及び本エステル化合物のみでもよいが、通常は固体担体、液体担体及び又はガス状担体と混合し、更に必要に応じて界面活性剤その他の製剤用補助剤を添加して、エマルジョン、油剤、油性液剤、水性液剤、溶解液、シャンプー、サスペンジョン等の液剤、粉剤、粒剤、ペースト状製剤、クリーム剤、軟膏剤、マイクロカプセル化製剤、泡沫剤、エアゾール製剤、炭酸ガス製剤、錠剤、チュアブル錠、ボーラス剤、カプセル剤、動物用飼料プレミックス、シロップ剤、シート製剤、フィルム状製剤、樹脂製剤、注射剤、埋め込み剤、坐剤等の形態に製剤化することができる。これらの製剤は、毒餌、蚊取り線香、電気蚊取りマット、燻煙剤、燻蒸剤、シートに加工されて、使用されることもある。
・・・(略)・・・
【0106】
その他の製剤用補助剤としては、固着剤、分散剤及び安定剤等、具体的には例えばカゼイン、ゼラチン、多糖類(澱粉、アラビアガム、セルロース誘導体、アルギン酸等)、リグニン誘導体、ベントナイト、糖類、合成水溶性高分子(ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸類等)、PAP(酸性リン酸イソプロピル)、BHT(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール)、BHA(2-tert-ブチル-4-メトキシフェノールと3-tert-ブチル-4-メトキシフェノールとの混合物)、植物油、鉱物油、脂肪酸及び脂肪酸エステルが挙げられる。
【0107】
樹脂製剤の基材としては、例えば塩化ビニル系重合体、ポリウレタン等を挙げることができ、これらの基材には必要によりフタル酸エステル類(フタル酸ジメチル、フタル酸ジオクチル等)、アジピン酸エステル類、ステアリン酸等の可塑剤が添加されていてもよい。樹脂製剤は該基材中に化合物を通常の混練装置を用いて混練した後、射出成型、押出成型、プレス成型等により成型することにより得られ、必要により更に成型、裁断等の工程を経て、板状、フィルム状、テープ状、網状、ひも状等の樹脂製剤に加工できる。これらの樹脂製剤は、例えば動物用首輪、動物用イヤータッグ、シート製剤、誘引ひも、園芸用支柱として加工される。

(オ)
【0113】
本ヒドラジド化合物と本エステル化合物とをウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ニワトリ等の家畜、イヌ、ネコ、ラット、マウス等の小動物の外部寄生虫防除に用いる場合は、獣医学的に公知な経口的または非経口的な投与方法にて、動物に使用することができる。具体的な使用方法としては、全身抑制を目的にする場合には、例えば錠剤(丸剤、糖衣錠、フィルムコーティング錠を含む)、チュアブル錠、カプセル剤、粒剤(顆粒剤、細粒剤、散剤など)、液剤(乳剤、サスペンジョンなど)、フィルム状製剤等の経口剤;および注射剤(例、皮下注射剤、静脈内注射剤、筋肉内注射剤、腹腔内注射剤、点滴剤、徐放性注射剤)、坐剤(例、直腸坐剤、膣坐剤)、埋め込み剤(埋め込み錠、生体内分解性ポリマーを基材として成形されたもの、チタン等の生体適合性金属のカプセルに封入され、一定速度で有効成分を放出するものを含む)等の非経口剤等が挙げられる。なお、経口投与の際には、上記の製剤を飼料に混入して用いることができる。
また、非全身的抑制を目的とする場合には、例えば油剤若しくは水性液剤を噴霧する、クリーム剤、軟膏剤などの外用剤をぬる、液剤をポアオン処理若しくはスポットオン処理する、シャンプー製剤で動物を洗う又は樹脂製剤を首輪やイヤータッグにして動物に付ける等の方法により用いられる。動物体に投与する場合の本ヒドラジド化合物及び本エステル化合物の合計量は、通常動物の体重1kgに対して、0.1?1000mgの範囲である。

(カ)
【0129】
製造例13
製造例12により得られたN’-シクロプロパンカルボニル-N-{2-クロロ-5-[5-(3,5-ジクロロフェニル)-5-トリフルオロメチル-4,5-ジヒドロイソオキサゾール-3-イル]フェニル}カルバジン酸tert-ブチル272mgに室温でトリフルオロ酢酸2mLを加え、同温で1時間撹拌した。反応混合物を減圧下濃縮し、残渣に酢酸エチルを加え,飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、N’-{2-クロロ-5-[5-(3,5-ジクロロフェニル)-5-トリフルオロメチル-4,5-ジヒドロイソオキサゾール-3-イル]フェニル}シクロプロパンカルボヒドラジド(本明細書において、本ヒドラジド化合物(13)と記す。)214mg
を得た。
本ヒドラジド化合物(13)

融点100℃

(キ)
【0229】
製剤例13
本ヒドラジド化合物(1)?(63)からなる群より選ばれる1種のヒドラジド化合物80mg、プロフルトリン20mg、ラクトース68.75mg、トウモロコシデンプン237.5mg、微結晶性セルロース43.75mg、ポリビニルピロリドン18.75mg、ナトリウムカルボキシメチルデンプン28.75mg、並びにステアリン酸マグネシウム2.5mgを完全に混合し、混合物を圧縮して適切な大きさの錠剤を得る。

(ク)
【0234】
製剤例18
本ヒドラジド化合物(1)?(63)からなる群より選ばれる1種のヒドラジド化合物2.5部と、プロフルトリン2.5部と、エチレンーメタクリル酸メチル共重合体(共重合体中のメタクリル酸メチルの割合:10重量%、アクリフトWD301、住友化学製)95部とを密閉式加圧ニーダー(森山製作所製)で溶融混練し、得られた混練物を押出し成型機から成型ダイスを介して押出し、長さ15cm、直径3mmの棒状成型体を得る。

(ケ)
【0336】
試験例2 フタトゲチマダニ(Haemaphysalis longicornis)に対するろ紙処理殺虫試験
本ヒドラジド化合物および本エステル化合物について、ろ紙に処理した際に表2に示すような薬量(mg/m^(2))となるようにアセトン溶液を調製した。アセトン溶液1mLを、ろ紙(TOYO No.2;5×10cm)の片面に均一に塗布した。乾燥後、該ろ紙を2つ折りにした後、側辺をクリップで留めて袋状にし、この中に供試ダニ(フタトゲチマダニ、未吸血若ダニ、1群10頭)を入れ、開放部をクリップで閉じて密封し、2日後に致死数を調査し、以下の計算式で死虫率を算出した。
死虫率(%)=100×(死亡マダニ数/供試マダニ数)
結果を、下記表2に記す。
【0337】
【表2】

【0338】
その結果、本発明の有害生物防除組成物は、高い防除効果を示した。

イ 摘記事項1.(ア)及び1.(イ)によれば、引用文献1には、ヒドラジド化合物を含有する有害生物防除組成物が記載されており、また、摘記事項1.(オ)には、当該組成物を経口的又は非経口的な投与方法にて、動物に使用することができ、経口剤として、錠剤、チュアブル錠、カプセル剤、粒剤、液剤、フィルム状製剤等が挙げられることが記載されている。
そして、ヒドラジド化合物の反応式や、反応終了後に単離した化合物をクロマトグラフィー、再結晶等によりさらに精製することができることが記載され(摘記事項1.(ウ))、製造例13において、反応後得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付してヒドラジド化合物(13)を得たことが記載されている(摘記事項1.(カ))。また、摘記事項1.(キ)には、製剤例13として、当該ヒドラジド化合物(13)を配合する錠剤が記載されていることから、上記引用文献1には次の発明(以下、「引用発明1-1」という。)が記載されていると認められる。

「ヒドラジド化合物(13)80mg、プロフルトリン20mg、ラクトース68.7mg、ラクトース68.75mg、トウモロコシデンプン237.5mg、微結晶性セルロース43.75mg、ポリビニルピロリドン18.75mg、ナトリウムカルボキシメチルデンプン28.75mg、並びにステアリン酸マグネシウム2.5mgを完全に混合し、混合物を圧縮した経口投与用の錠剤。」

ウ また、摘記事項1.(ク)には、製剤例18として、当該ヒドラジド化合物(13)を配合する棒状成型体が記載されていることから、上記引用文献1には次の発明(以下、「引用発明1-2」という。)が記載されていると認められる。

「ヒドラジド化合物(13)2.5部と、プロフルトリン2.5部と、エチレンーメタクリル酸メチル共重合体95部とを密閉式加圧ニーダーで溶融混練し、得られた混練物を押出し成型機から成型ダイスを介して押出し成型した、長さ15cm、直径3mmの棒状成型体。」

2.引用文献2について
ア 原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献2には、次の事項が記載されている。

(ア)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)

〔式中、Gは下記式G-1?G-3のいずれかで示される基

(尚、点a及び点bは結合手を表し、点bはフェニル環との結合手を表す。)を表し、R^(1)はC1-C4ハロアルキル基を表し、
Y^(1)は酸素原子、硫黄原子又はNR^(7)基を表し、
Y^(2)は酸素原子、硫黄原子、NR^(7)基又はメチレン基を表し、
Y^(3)は酸素原子、硫黄原子、NR^(7)基又はメチレン基を表し、
R^(7)はC1-C6アルキル基、C2-C6アルケニル基、C2-C6アルキニル基、C3-C6シクロアルキル基、C4-C7シクロアルキルアルキル基、C2-C6アルキルカルボニル基、C2-C6アルコキシカルボニル基、C2-C6アルキルアミノカルボニル基、C3-C9ジアルキルアミノカルボニル基、フェニル基、シアノ基、ホルミル基又は水素原子を表し、
Mは酸素原子又は硫黄原子を表し、
Q^(1)、Q^(2)、Q^(3)及びQ^(4)は同一又は相異なり、窒素原子又はCR^(3)基を表し、
R^(3)はハロゲン原子で置換されていてもよいC1-C6アルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1-C6アルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子又は水素原子を表し、
mは0から5の整数のいずれかを表し、
R^(2)はハロゲン原子で置換されていてもよいC1-C6アルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1-C6アルコキシ基、C1-C6アルキルチオ基、C1-C6アルキルスルフィニル基、C1-C6アルキルスルホニル基、ニトロ基、シアノ基又はハロゲン原子を表し(但し、mが2?5の整数のいずれかである場合、それぞれのR^(2)は同一又は相異なる。)、
R^(5)及びR^(6)は同一又は相異なり、群E1より選ばれる基で置換されていてもよいC1-C12鎖式炭化水素基、群E2より選ばれる基で置換されていてもよいベンゾイル基、C2-C6アルキルカルボニル基、C2-C6アルコキシカルボニル基、C3-C12シクロアルキル基、ホルミル基又は水素原子を表し、
R^(4)は群E1より選ばれる基で置換されていてもよいC1-C12鎖式炭化水素基、群E2より選ばれる基で置換されていてもよいC3-C12環式炭化水素基、群E2より選ばれる基で置換されていてもよい5?6員ヘテロ環基、OR^(8)基、N(R^(9))R^(10)基又は水素原子を表し、
R^(8)は群E1より選ばれる基で置換されていてもよいC1-C12鎖式炭化水素基、群E2より選ばれる基で置換されていてもよいC3-C12環式炭化水素基又は群E2より選ばれる基で置換されていてもよい5?6員ヘテロ環基を表し、
R^(9)は群E1より選ばれる基で置換されていてもよいC1-C12鎖式炭化水素基又は群E2より選ばれる基で置換されていてもよいC3-C12環式炭化水素基を表し、
R^(10)は群E1より選ばれる基で置換されていてもよいC1-C12鎖式炭化水素基又は水素原子を表すか、或いはR^(9)とR^(10)が末端で結合して、C2-C9アルカンジイル基を表し、
群E1は群E2より選ばれる基で置換されていてもよいC3-C12環式炭化水素基、群E2より選ばれる基で置換されていてもよい5?6員ヘテロ環基、群E2より選ばれる基で置換されていてもよいフェノキシ基、群E2より選ばれる基で置換されていてもよいフェニルアミノ基、C2-C6アルキルカルボニル基、C2-C6アルコキシカルボニル基、C1-C6アルコキシ基、C1-C6アルキルアミノ基、C2-C12ジアルキルアミノ基、ニトロ基、シアノ基、ホルミル基及びハロゲン原子からなる群を表し、
群E2はハロゲン原子で置換されていてもよいC1-C6アルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1-C6アルコキシ基、C2-C6アルキルカルボニル基、C2-C6アルコキシカルボニル基、C1-C6アルキルアミノ基、C2-C12ジアルキルアミノ基、ニトロ基、シアノ基、ホルミル基及びハロゲン原子からなる群を表す。〕
で示されるヒドラジド化合物を有効成分として含有する経口投与用外部寄生虫防除剤。

(イ)
【0001】
本発明は動物の経口投与用外部寄生虫防除剤および動物の外部寄生虫の防除方法に関する


(ウ)
【0020】
本ヒドラジド化合物は、例えば、特開2010-202643号公報に記載の方法により製造することができる。具体的な本ヒドラジド化合物としては、例えば以下の化合物が挙げられる。
・・・(略)・・・
【0034】
本ヒドラジド化合物(13)


(エ)
【0087】
本発明防除剤は、本ヒドラジド化合物のみからなるものであってもよいが、通常、本ヒドラジド化合物と製剤用助剤とを含有する。本発明防除剤は、通常、本ヒドラジド化合物に製剤用助剤を添加、混合し、造粒、加圧又はコーティングして得られる製剤である。製剤としては、例えばエマルジョン、油剤、油性液剤、水性液剤、溶解液、サスペンジョン、シロップ剤等の液剤、粉剤、水和剤、顆粒剤、ペレット剤、ペースト状製剤、マイクロカプセル化製剤、カプセル剤(例えば、ハードまたはソフトゼラチンカプセル剤)、錠剤(口腔内崩壊錠、チュアブル錠、フレーバー錠、糖衣錠、発泡錠、素錠またはコーティング錠等)、トリート状のチュアブル製剤、動物用飼料、動物用飼料濃縮物、動物用飼料プレミックス、が挙げられる。これらの製剤は、動物への投与に際して適宜好ましい製剤が選択される。
好ましい製剤としてはシロップ剤、ペースト状製剤、カプセル剤、錠剤、トリート状のチュアブル製剤、動物用飼料混合剤が挙げられ、より好ましくは錠剤、トリート状のチュアブル製剤、さらに好ましくは錠剤が挙げられる。
本発明防除剤は、本ヒドラジド化合物を、通常0.001?99.9重量%含有する。
・・・(略)・・・
【0096】
本発明防除剤は、本ヒドラジド化合物の塩を用いることもできる。本ヒドラジド化合物の塩は、通常、本ヒドラジド化合物と上記pH調整剤として記載の酸(有機酸及び無機酸)とを、必要により有機溶媒等の助剤を添加して、混合した後、沈殿、蒸発、減圧等により助剤を除去するか、または公知の技術を用いることにより、単離することができる。
助剤として用いられる有機溶媒としては、アセトン等のケトン類、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類、テトラヒドロフラン等のエーテル類、エステル、N-メチルピロリドン等のピロリドン、γ-ブチロラクトン、ヘキサラクトン等のラクトン及びそれらの混合物が挙げられる。
この助剤は、スプレー乾燥、本分野において許容される担体上への製剤のスプレーコーティングによる固体分散体の形成、固体分散体の摩砕による顆粒の形成等によって除去することもできる。また、この顆粒を篩過して(すなわち篩を通して)、上記に例示したような製剤用助剤と混合し、これを打錠等の工程を経て錠剤等に製剤化してもよい。
【0097】
本発明防除剤において、製剤用助剤としてカルボキシメチルスターチナトリウム、カルボキシビニルポリマー、クロスカルメロースナトリウム、ポリビニルアルコール、架橋ポリビニルピロリドン及びポリビニルピロリドンからなる群より選ばれる一種以上の結合剤又は崩壊剤を含有する場合には、これら結合剤又は崩壊剤の含有量は、通常0.1?99.999重量%、好ましくは0.1?80重量%である。

(オ)
【0200】
実施例1?22
表1?6に示す配合割合で、所定量の本ヒドラジド化合物と、カルボキシメチルスターチナトリウム、カルボキシビニルポリマー、クロスカルメロースナトリウム、ポリビニルアルコール、架橋ポリビニルピロリドン及びポリビニルピロリドンからなる群より選ばれる1種の崩壊剤または結合剤と、製剤助剤とを混合する。得られた混合物に、ステアリン酸マグネシウムを添加し、さらに混合する。得られた混合物を油圧プレス機を用いて適切な大きさに圧縮して、各々の錠剤を得る(打錠条件:5?50kN、1000mg/錠)。なお、表中の数値の単位は、重量部である。
・・・(略)・・・
【0206】
【表6】


(カ)
【0208】
試験例1
イヌ寄生フタトゲチマダニ(Haemaphysalis longicornis)に対する経口投与試験
経口投与前日、イヌ(ビーグル)に供試ダニ(フタトゲチマダニ、若ダニ)100頭ずつ接種する。経口投与前に、寄生マダニを数える。上記実施例1?22で得られる本発明防除剤の各々を、イヌ体重(kg)あたり、本ヒドラジド化合物の量で20mgの投与量となるように、強制経口投与する。これを、試験群とする。一方、プラセボ群は、本ヒドラジド化合物を含まない錠剤のみを経口投与する。投与後1日目、2日目にイヌに寄生している生存マダニ数を観察する。投与後2日目の観察終了時には全寄生マダニをイヌより除去する。
また、投与後14日目、28日目、42日目に供試ダニを100頭ずつ再接種する。それぞれ再接種後1日目、2日目にイヌに寄生している生存マダニ数を観察する。再接種後2日目の観察終了時には全寄生マダニをイヌより除去する。1群あたり3反復実施する。以下の計算式を用い、寄生率ならびに駆除率を求める。

イ 上記摘記事項2.(ア)及び2.(イ)によれば、引用文献2には、ヒドラジド化合物を含有する経口投与用外部寄生虫防除剤が記載されている。
そして、上記摘記事項2.(ウ)には、ヒドラジド化合物(13)が記載されており、上記摘記事項2.(エ)及び2.(オ)の記載によれば、実施例19には、ヒドラジド化合物(13)を配合する錠剤を製造したことが記載されており、上記摘記事項2.(カ)から、当該実施例19の錠剤はイヌ(ビーグル)に経口投与されるものであるから、上記引用文献2には次の発明(以下、「引用発明2」という。)が記載されていると認められる。

「ヒドラジド化合物(13)20重量部、スクロース23.2重量部、ポリビニルピロリドン(K25)50重量部、低置換ヒドロキシプロピルセルロース5.8重量部、及びステアリン酸マグネシウム1重量部を混合し、得られた混合物を圧縮した経口投与用の錠剤。」

3.引用文献3について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献3には、次の事項が記載されている。

(ア)
さきに著者らは、難溶性薬物であるAMB(合議体注:アムホテリシンB)をglycyrrhizinate(GLYK)と凍結乾燥することにより、AMBの溶解性と家兎での直腸吸収性が著しく改善され、GLYKを添加した坐剤がAMBの全身作用を期待できる有望な投与剤形になることを報告した^(9))。今回、AMBに各種の高分子化合物を添加して混合粉砕または凍結乾燥し、AMBを固体分散させ、AMBの溶解性と吸収性を改善する新たな方法の検討を行った。
(第80頁第6?10行)

(イ)
3.粉末X線回折
PVP中へのAMBの分散状態を調べるため、AMB:PVPの物理的混合物(1:9)およびその凍結乾燥物について粉末X線回折を測定した(Fig.5)。・・・(略)・・・一方、PVPとの凍結乾燥物ではAMB結晶の特徴的なピークが消失し、AMBは非結晶状態でPVP中に存在していることが確認された高分子化合物と凍結乾燥した試料は、いずれもAMBの溶出性が増大していたが(Figs.2,3)、これはAMBが非晶質になったことに起因していると考えられた。
(第83頁第2?9行)

(ウ)
4.凍結乾燥物の吸収性
凍結乾燥によって溶出性の改善が認められたので、AMB結晶、AMB:PVP(1:9)の物理的混合物およびAMB:PVP(1:9)の凍結乾燥物を家兎に経口投与し、吸収性を比較した(Fig.6)。
AMB:PVPの凍結乾燥物投与後のAUC_(0-24h)は、AMB単独に比べて3.7倍大きく、また物理的混合物の吸収性はAMB単独とほぼ同等であったことから、凍結乾燥による吸収性の増大は、難溶性薬物であるAMBを固体分散体にすることによって溶出性が改善された^(15))と考えられた。
(第84頁第1?6行)

4.引用文献4について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献4には、次の事項が記載されている。

(ア)
A new triazol antifungal agent, (+)-2-(2,4-difluorophenyl)-3-methyl-1-(1H-1,2,4-triazol-1-yl)-3-[6-(1H-1,2,4-triazol-1-yl)pyridazin-3-ylthio]butan-2-ol(MFB-1041), shows poor oral absorption and is practically insoluble in water (1.2 μg/ml). Solid dispersion systems with an enteric polymer such as hydroxypropylmethylcellulose phthalate (HP-55) and carboxymethylethylcellulose (CMEC^(○R))(合議体注:Rに丸を付した文字は「○R」と表記する。), and a nonenteric polymer, hydroxypropylmethylcellulose (Metolose^(○R)) were evaluated to improve drug absorption and solubility. The oral bioavailabilities of these solid dispersions in beagle dogs were over 6 times higher than that of a suspension system with increasing drug solubility in an alkaline medium. X-Ray powder diffraction measurement of the solid dispersion showed a complete drug phase change from a crystal to an amorphous state. Futher, from the results of a stability test, the preparations were stable in a desiccated condition and the absorption profiles also showed no change. From the results, it was suggested that the oral administrative preparation of MFB-1041 having a superior absorption profile and a high stability could be obtained by a drug phase change from a crystal to an amorphous state, especially in the spray-drying method using enteric polymers.
(第568頁要約欄)
(当審訳:
新規なトリアゾール抗真菌剤、(+)-2-(2,4-difluorophenyl)-3-methyl-1-(1H-1,2,4-triazol-1-yl)-3-[6-(1H-1,2,4-triazol-1-yl)pyridazin-3-ylthio]butan-2-ol(MFB-1041)は、乏しい経口吸収性を示し、水に対して実質的に不溶性である(1.2μg/ml)。薬物の吸収性及び溶解性を改善するために、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HP-55)およびカルボキシメチルエチルセルロース(CMEC^(○R))のような腸溶性ポリマーと、非腸溶性ポリマー、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(Metolose^(○R))とを有する固体分散系を評価した。ビーグル犬におけるこれらの固体分散物の経口生物学的利用能は、アルカリ性媒体中での薬物溶解度の増加を伴う懸濁系の6倍以上であった。固体分散物のX線粉末回折測定は、結晶状態から非晶質状態への完全な薬物相変化を示した。さらに、安定性試験の結果から、調製物は乾燥状態で安定であり、吸収プロフィールも変化を示さなかった。この結果から、特に腸溶性ポリマーを用いた噴霧乾燥法において、結晶から非晶質への薬物相変化により、吸収プロファイルに優れ、安定性の高いMFB1041の経口投与製剤を取得できることが示唆された。)

5.引用文献5について
原査定時に新たに引用された上記引用文献5には、次の事項が記載されている。

(ア)
薬物の溶解性は溶出性や経口吸収性に大きな影響を及ぼすが、昨今開発中の薬物においては難水溶性薬物の割合が増加し、このことが製剤開発における大きなハードルの一つとなっている。このため、難水溶性薬物の溶解性改善のために結晶のナノ粒子化やシクロデキストリンによる薬物の包接化など様々なアプローチが検討されているが、その中でも薬物の非晶質化は難水溶性薬物の溶出挙動や経口吸収性改善に有用なアプローチであることが広く一般に知られている。
しかしながら、非晶質は熱力学的に不安定であり、結晶に比較して高い吸湿性を有するため、再結晶化することにより、経口吸収性改善に対するアドバンテージが消失することがある。このため、非晶質薬物の再結晶化抑制に関する多くの研究がなされ、polyvinylpyrrolidone(PVP)^(6-8))やpolyethylene glycol(PEG)^(9-11)) hydroxypropylmethyl-cellulose(HPMC)^(12,13))といった水溶性高分子を担体とした固体分散体を形成することが非晶質の再結晶化阻害に有用であることが報告されている。^(14-18))ここでいう固体分散体は、非晶質薬物を担体中に分子レベル状態で分散させたものである。薬物の特性に応じて、溶融法、溶媒法等の種々の調製法を選択することができる。
(第23頁「1.はじめに」の左欄第1行?右欄第3行)


第5 対比・判断
1.本願発明1について
(1)引用発明1-1との対比
ア 本願発明1と引用発明1-1との対比

引用発明1-1の「ヒドラジド化合物(13)」は、本願発明1の式(I)において、Xが塩素原子であり、pが2であり、QがQ1である化合物であって、Q1のうちA^(1)がR^(11)-C(=O)-N(R^(12))-N(R^(13))-であり、R^(10) が塩素原子であり、R^(11)がC3シクロアルキル基であり、R^(12)及びR^(13)が水素原子である化合物であるから、本願発明1の「式(I)・・・(略)・・・で示されるイソキサゾリン化合物」に相当する。
また、引用発明1-1のポリビニルピロリドンは、本願発明1の「ビニル系高分子化合物」に相当する。

そうすると、本願発明1と引用発明1-1とは、
「式(I)・・・(略)・・・で示されるイソキサゾリン化合物及びビニル系高分子化合物を含む経口投与用組成物」
の点で一致し、次の点で相違する。

<相違点1>
本願発明1は、イソキサゾリン化合物が、非晶質状にてビニル系高分子化合物の固体媒体中に分散されているのに対し、引用発明1-1は、ビニル系高分子化合物を含有するものの、イソキサゾリン化合物が当該ビニル系高分子化合物の固体媒体中に分散されていることについて特定していない点。

イ 相違点についての検討
相違点1について検討する。

(ア)上記相違点1の「イソキサゾリン化合物が、非晶質状にてビニル系高分子化合物の固体媒体中に分散されている」について、本願明細書【0041】の記載によれば、組成物の粉末X線回折測定結果において、単純混合試料の測定結果で観測された結晶由来の回折ピークが確認されない場合、または、単純混合試料の測定結果で観測された回折ピーク面積に比べて組成物の回折ピーク面積が減少している場合、当該組成物は「本イソキサゾリン化合物が本高分子化合物の固体媒体中に分散されている」と定義することとされている。
また、本願発明1の組成物の代表的な製造方法として、溶融法及び溶媒法が記載されている。具体的工程は以下の通りである。

溶融法(本願明細書【0044】)
(工程1)本イソキサゾリン化合物の融点以上、且つ、本高分子化合物が溶融する温度以上の温度にて、混練機などの混合機を用いて、本イソキサゾリン化合物と本高分子化合物との混合物を混練して、略均一な混合物を調製する。本高分子化合物が溶融する温度とは、本高分子化合物が結晶性高分子の場合は該高分子の融点であり、本高分子化合物が非晶性高分子の場合は該高分子のガラス転移点である。本発明においては、混練温度は通常100?250℃の範囲であり、混練は3分以上行われる。
(工程2)次いで、該混合物を本イソキサゾリン化合物の融点未満、且つ、該高分子化合物のガラス転移点未満の温度まで冷却する。冷却は通常本イソキサゾリン化合物の融点よりも50℃以上低い温度まで急冷することが好ましい。得られた固形状の本発明組成物は、粉砕して使用することができる。
溶融法の1種である溶融押出法は、本イソキサゾリン化合物と本高分子化合物との混合物の混練を、1軸または2軸の押出機で行う方法であり、当該装置内にて加熱及び加圧することにより本イソキサゾリン化合物及び本高分子化合物を溶融させて、略均一の混合物を調製し、該混練物を一定の大きさの穴から押出しして、該混練物の温度を本イソキサゾリン化合物の融点未満、且つ、該高分子化合物のガラス転移点未満まで急冷することにより、一定形状の組成物を製造する方法である。

溶媒法(本願明細書【0045】)
(工程1)本イソキサゾリン化合物及び本高分子化合物を適当な溶媒に溶解させ、均一な溶液を調製する。本イソキサゾリン化合物及び本高分子化合物を溶解する適当な溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール系溶媒が挙げられ、好ましくはアセトン、メタノール、エタノールである。本イソキサゾリン化合物を溶媒に溶解させた溶液と、本高分子化合物を溶媒に溶解させた溶液とを混合して、均一な溶液を調製してもよい。
(工程2)次いで、本イソキサゾリン化合物の融点未満、且つ、該高分子化合物のガラス転移点未満の温度にて、当該溶液に貧溶媒を添加するか、当該溶液より溶媒を留去(必要により減圧条件下)させて、溶液中より固形状の組成物を生じさせる。得られた固形状の本発明組成物は乾燥させた後、粉砕して使用することができる。溶媒法の一種である噴霧乾燥法は、本イソキサゾリン化合物及び本高分子化合物の溶液を噴霧・乾燥(スプレードライ、流動層コーティング)することにより、粉状の組成物を得る方法である。

(イ)引用文献1には、ヒドラジド化合物(13)を含む式(1)で示されるヒドラジド化合物と、式(II)で示されるエステル化合物とを含有する有害生物防除組成物が開示され(摘記事項1.(ア))、当該ヒドラジド化合物の反応式や、反応終了後に単離した化合物をクロマトグラフィー、再結晶等によりさらに精製することができることが記載され(摘記事項1.(ウ))、製造例13において、反応後得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付してヒドラジド化合物(13)を得たことが記載されている(摘記事項1.(カ))。
また、当該有害生物防除組成物は、経口的又は非経口的な投与方法で動物に使用することができ、例えば、錠剤やチュアブル錠等の経口剤としたり、樹脂製剤を首輪にして動物に付ける等の方法により用いることができる旨が記載され(摘記事項1.(エ)及び1.(オ))、製剤例として、ヒドラジド化合物とプロフルトリンを、ラクトースやポリビニルピロリドン等と混合し圧縮した錠剤(摘記事項1.(キ))などが記載されている。
さらに、本ヒドラジド化合物と本エステル化合物のアセトン溶液を濾紙に塗布し、乾燥させたものを袋状にし、その中に供試ダニ(フタトゲチマダニ)を入れ、2日後に死虫率を測定したところ、高い防除効果を示したことが記載されている(摘記事項1.(ケ))。

しかしながら、引用文献1には、ヒドラジド化合物(13)について、安定性や溶解性などの物性は記載されておらず、ヒドラジド化合物の製剤例を動物に投与した試験も行われておらず、経口投与した場合のバイオアベイラビリティや防除効果についても確認されていない。
そうすると、引用文献1の記載に接した当業者が、ヒドラジド化合物(13)を経口投与する際に、その溶解性やバイオアベイラビリティを向上させる必要があることを直ちに認識することができたとはいえない。

(ウ)他方、本願出願当時、難水溶性薬物の割合が増加し、溶解性改善のために結晶のナノ粒子化、シクロデキストリンによる薬物の包接化など様々なアプローチがあり、その中でも薬物の非晶質化が有用なアプローチであることが広く一般に知られており(摘記事項5.(ア))、また、アムホテリシンB(摘記事項3.(ア)-(ウ))やトリアゾール抗真菌剤であるMFB-1041(摘記事項4.(ア))などの様々な難水溶性薬物について、セルロース系高分子やポリビニルピロリドン等の水溶性高分子を、非晶質薬物の担体として用いて固体分散体とすることが報告されている。
しかしながら、難水溶性薬物の溶解性改善のために、上記複数の選択肢のうち、薬物の非晶質体をポリビニルピロリドンなどの高分子化合物の固体媒体中に分散させる技術が、通常用いられるという技術常識があるとも認められない。

(エ)以上のことから、当業者が、引用発明1-1におけるヒドラジド化合物(13)の溶解性を改善したり、バイオアベイラビリティを向上させたりする必要があることを直ちに認識することができたとはいえず、また、溶解性改善やバイオアベイラビリティ向上のために、結晶のナノ粒子化、包接化、固体分散体による非晶質化等の複数の選択肢の中から、薬物の非晶質体をポリビニルピロリドンなどの高分子化合物の固体媒体中に分散させる技術を選択して、ヒドラジド化合物(13)に適用する動機付けがあったということはできない。

ウ 本願発明1の効果について
本願明細書【0110】【0111】には、溶融法又は溶媒法により製造したイソキサゾリン化合物及びビニル系高分子化合物を含む錠剤(試験区15-17、21-23)を、フタトゲチマダニを接種されたウサギに投与したところ、ビニル系高分子化合物を含まない錠剤(比較区5)及びイソキサゾリン化合物とビニル系高分子化合物を単純混合した錠剤(比較区6)を投与した場合に比して、マダニ駆除率が上昇したことを示す動物試験結果が記載されている。
当該試験結果は、製造方法として溶融法及び溶媒法を選択したこと、すなわち、イソキサゾリン化合物を非晶質状にてビニル系高分子化合物の固体媒体中に分散したことによる効果を示すものである。

エ 小括
したがって、本願発明1は、当業者であっても、引用発明1-1及び引用文献3-5に記載された技術的事項に基いて容易に発明できたものとはいえない。

(2)引用発明1-2との対比
ア 本願発明1と引用発明1-2との対比

上記(1)アで検討したとおり、引用発明1-2の「ヒドラジド化合物(13)」は、本願発明1の「式(I)・・・(略)・・・で示されるイソキサゾリン化合物」に相当する。
本願明細書【0039】には、「ビニル系高分子とは、二重結合を有するビニル化合物(モノマー)を重合して得られる合成高分子の1種」である旨記載されていることから、引用発明1-2の「エチレン-メタクリル酸メチル共重合体」は、本願発明の「ビニル系高分子化合物」に相当する。
また、引用発明1-2は、ヒドラジド化合物とエチレン-メタクリル酸メチル共重合体を溶融混練し、得られた混練物を押出し成型しており、当該製造方法は、上記(1)イ(ア)で述べた溶融法(本願明細書【0044】)に相当し、そのようにして製造された引用発明1-2は、非晶質状であるヒドラジド化合物(13)がエチレン-メタクリル酸メチル共重合体の固体媒体中に分散されているといえる。

そうすると、本願発明1と引用発明1-2とは、
「式(I)・・・(略)・・・で示されるイソキサゾリン化合物が、非晶質状にてビニル系高分子化合物の固体媒体中に分散されている組成物」
の点で一致し、次の点で相違する。

<相違点2>
本願発明1は、「経口投与用組成物」であるのに対し、引用発明1-2は、「長さ15cm、直径3mmの棒状成型体」である点。

イ 相違点についての検討
相違点2について検討する。
引用発明1-2の長さ15cm、直径3mmの棒状成型体は、ひも状の樹脂製剤であり、摘記事項1.(エ)及び1.(オ)を参照するに、当該樹脂製剤は、例えば動物用首輪、動物用イヤータッグ、シート製剤、誘導ひも、園芸用支柱として加工されるものといえる。
また、引用文献1には、錠剤、チュアブル錠などの経口剤についての記載もあるものの(摘記事項1.(オ))、溶融混練し、得られた混練物を押出し成型することで製造された樹脂製剤を、経口剤として用いることを示唆する記載はない。また、動物用首輪、動物用イヤータッグ等に用いられる樹脂性剤を経口剤に使用できるという技術常識があるとも認められない。
してみると、上記動物用首輪、動物用イヤータッグ、シート製剤、誘導ひも、園芸用支柱として加工される樹脂製剤を、経口剤として用いる動機付けがあったということはできない。

ウ 本願発明1の効果について
本願明細書【0110】【0111】には、溶融法又は溶媒法により製造したイソキサゾリン化合物及びビニル系高分子化合物を含む錠剤(試験区15-17、21-23)を、フタトゲチマダニを接種されたウサギに投与したところ、ビニル系高分子化合物を含まない錠剤(比較区5)及びイソキサゾリン化合物とビニル系高分子化合物を単純混合した錠剤(比較区6)を投与した場合に比して、マダニ駆除率が上昇したことを示す動物試験結果が記載されている。
当該試験結果は、イソキサゾリン化合物を非晶質状にてビニル系高分子化合物の固体媒体中に分散した組成物を経口剤としたことによる効果を示すものである。

エ 小括
したがって、本願発明1は、当業者であっても、引用発明1-2に基いて容易に発明できたものとはいえない。

(3)引用発明2との対比
ア 本願発明1と引用発明2との対比

引用発明2の「ヒドラジド化合物(13)」は、本願発明1の式(I)において、Xが塩素原子であり、pが2であり、QがQ1である化合物であって、Q1のうちA^(1)がR^(11)-C(=O)-N(R^(12))-N(R^(13))-であり、R^(10) が塩素原子であり、R^(11)がC3シクロアルキル基であり、R^(12)及びR^(13)が水素原子である化合物であるから、本願発明1の「式(I)・・・(略)・・・で示されるイソキサゾリン化合物」に相当する。
また、引用発明2のポリビニルピロリドンは、本願発明の「ビニル系高分子化合物」に相当する。

そうすると、本願発明1と引用発明2とは、
「式(I)・・・(略)・・・で示されるイソキサゾリン化合物及びビニル系高分子化合物を含む経口投与用組成物」
の点で一致し、次の点で相違する。

<相違点3>
本願発明1は、イソキサゾリン化合物が、非晶質状にてビニル系高分子化合物の固体媒体中に分散されているのに対し、引用発明2は、ビニル系高分子化合物を含有するものの、イソキサゾリン化合物が当該ビニル系高分子化合物の固体媒体中に分散されていることについて特定していない点。

イ 相違点についての検討
相違点3について検討する。

(ア)上記相違点3の「イソキサゾリン化合物が、非晶質状にてビニル系高分子化合物の固体媒体中に分散されている」の定義については、上記(1)イ(ア)を参照されたい。

(イ)引用文献2には、ヒドラジド化合物(13)を含む式(1)で示されるヒドラジド化合物を含有する経口投与用外部寄生虫防除剤が開示され(指摘事項2.(ア))、当該ヒドラジド化合物が公知の方法(例えば、特開2010-202643号公報)により製造することができること、及び、具体的な化合物として、ヒドラジド化合物(13)などが挙げられることが記載されている(摘記事項2.(ウ))。
また、経口投与用外部寄生虫防除剤は、本ヒドラジド化合物に製剤用助剤を添加し、錠剤等の製剤とすることができる旨が記載され(摘記事項2.(エ))、実施例では、ヒドラジド化合物と、スクロース、ポリビニルピロリドン、低置換ヒドロキシプロピルセルロース、及びステアリン酸マグネシウムを混合し圧縮した錠剤などが記載されている(摘記事項2.(オ))。
さらに、本ヒドラジド化合物を含む経口投与用外部寄生虫防除剤の、イヌ寄生フタトゲチマダニに対する経口投与試験方法についても記載されている(摘記事項2.(カ))。

しかしながら、引用文献2には、ヒドラジド化合物(13)について、安定性や溶解性などの物性について記載されておらず、ヒドラジド化合物の製剤例を動物に投与した試験も行われておらず、経口投与した場合のバイオアベイラビリティや防除効果についても確認されていない。
そうすると、引用文献2の記載に接した当業者が、ヒドラジド化合物(13)を経口投与する際に、その溶解性やバイオアベイラビリティを向上させる必要があることを直ちに認識することができたとはいえない。

(ウ)他方、本願出願当時、難水溶性薬物の割合が増加し、溶解性改善のために結晶のナノ粒子化、シクロデキストリンによる薬物の包接化など様々なアプローチがあり、その中でも薬物の非晶質化が有用なアプローチであることが広く一般に知られており(摘記事項5.(ア))、また、アムホテリシンB(摘記事項3.(ア)-(ウ))やトリアゾール抗真菌剤であるMFB-1041(摘記事項4.(ア))などの様々な難水溶性薬物について、セルロース系高分子やポリビニルピロリドン等の水溶性高分子を、非晶質薬物の担体として用いて固体分散体とすることが報告されている。
しかしながら、難水溶性薬物の溶解性改善のために、上記複数の選択肢のうち、薬物の非晶質体をポリビニルピロリドンなどの高分子化合物の固体媒体中に分散させる技術が、通常用いられるという技術常識があるとも認められない。

(エ)以上のことから、当業者が、引用発明2におけるヒドラジド化合物(13)の溶解性を改善したり、バイオアベイラビリティを向上させたりする必要があることを直ちに認識することができたとはいえず、また、溶解性改善やバイオアベイラビリティ向上のために、結晶のナノ粒子化、包接化、固体分散体による非晶質化等の複数の選択肢の中から、薬物の非晶質体をポリビニルピロリドンなどの高分子化合物の固体媒体中に分散させる技術を選択して、ヒドラジド化合物(13)に適用する動機付けがあったということはできない。

ウ 本願発明1の効果について
本願明細書【0110】【0111】には、溶融法又は溶媒法により製造したイソキサゾリン化合物及びビニル系高分子化合物を含む錠剤(試験区15-17、21-23)を、フタトゲチマダニを接種されたウサギに投与したところ、ビニル系高分子化合物を含まない錠剤(比較区5)及びイソキサゾリン化合物とビニル系高分子化合物を単純混合した錠剤(比較区6)を投与した場合に比して、マダニ駆除率が上昇したことを示す動物試験結果が記載されている。
当該試験結果は、製造方法として溶融法及び溶媒法を選択したこと、すなわち、イソキサゾリン化合物を非晶質状にてビニル系高分子化合物の固体媒体中に分散したことによる効果を示すものである。そして、上記(2)イ(イ)で述べたとおり、引用文献2には、ヒドラジド化合物(13)について、安定性や溶解性などの物性について記載されておらず、ヒドラジド化合物の製剤例を動物に投与した試験も行われておらず、経口投与した場合のバイオアベイラビリティや防除効果についても確認されていないことを鑑みるに、当該効果は、引用発明2から当業者が予測可能であったものとは認められない。

エ その他の事項について
なお、摘記事項2.(エ)の【0096】の第9?12行には、引用発明2の製造に際して、有機溶媒である助剤を用いること、及び、この助剤は、スプレー乾燥、許容される担体上への製剤のスプレーコーティングによる固体分散体の形成、固体分散体の摩砕による顆粒の形成等によって除去することもできることが記載されている。
しかしながら、【0096】の第1?8行には、ヒドラジド化合物の塩を単離する方法として、ヒドラジド化合物とpH調整剤である酸(有機酸及び無機酸)に、必要に応じて有機溶媒等の助剤を添加して、混合した後、当該助剤を除去する方法が記載されているのであるから、固体分散体に関する上記記載は、単に、当該有機溶媒を除去する方法の一例として記載されているものと認められる。また、同【0096】には、上記方法によって得られた顆粒を製剤用助剤(【0088】段落には、製剤用助剤として賦形剤、結合剤、崩壊剤等が記載されており、【0097】段落には、製造用助剤の具体例として、ポリビニルピロリドン等の結合剤又は崩壊剤が記載されている。)と混合し、これを打錠等の工程を経て錠剤等に製剤化する旨が記載されていることから、上記方法により固体分散体を形成した段階では、ポリビニルピロリドン等の結合剤又は崩壊剤などは当該固体分散体に含まれておらず、【0097】のポリビニルピロリドンは本件発明の固体分散体を構成するものとして記載されているとは認められない。
したがって、【0096】に記載の固体分散体に関する上記方法は、ヒドラジド化合物の塩と混合された有機溶媒を除去する方法に過ぎず、ポリビニルピロリドン等の結合剤又は崩壊剤が含まれるものではないことから、本願発明1に係る「非晶質状にてビニル系高分子化合物の固体媒体中に分散されている」組成物を製造し得るものとは認められない。

オ 小括
したがって、本願発明1は、当業者であっても、引用発明2及び引用文献3-5に記載された技術的事項に基いて容易に発明できたものとはいえない。

2.本願発明2-5について
本願発明2-5も、本願発明1と同じく、「式(I)・・・(略)・・・で示されるイソキサゾリン化合物が、非晶質状にてビニル系高分子化合物の固体媒体中に分散されている」という構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明1-1、引用発明1-2又は引用発明2及び引用文献3-5に記載された技術的事項に基いて容易に発明できたものとはいえない。

3.本願発明6-9について
本願発明6-9は、本願発明1-5をヒトを除く宿主動物に経口投与する外部寄生虫の防除方法の発明であり、本願発明1の「式(I)・・・(略)・・・で示されるイソキサゾリン化合物が、非晶質状にてビニル系高分子化合物の固体媒体中に分散されている」に対応する構成を備えるものであるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明1-1、引用発明1-2又は引用発明2及び引用文献3-5に記載された技術的事項に基いて容易に発明できたものとはいえない。

4.本願発明10-11について
本願発明10-11は、本願発明1-4の製造方法の発明であり、本願発明1の「式(I)・・・(略)・・・で示されるイソキサゾリン化合物が、非晶質状にてビニル系高分子化合物の固体媒体中に分散されている」に対応する構成を備えるものであるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明1-1、引用発明1-2又は引用発明2及び引用文献3-5に記載された技術的事項に基いて容易に発明できたものとはいえない。

第6 むすび
以上のとおり、本願請求項1-11に係る発明は、当業者が引用発明1-1、引用発明1-2又は引用発明2及び引用文献3-5に記載された技術的事項に基いて容易に発明をすることができたものではない。したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2019-08-19 
出願番号 特願2014-216955(P2014-216955)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (A61K)
最終処分 成立  
前審関与審査官 鶴見 秀紀  
特許庁審判長 藤原 浩子
特許庁審判官 長部 喜幸
穴吹 智子
発明の名称 イソキサゾリン化合物が高分子化合物に分散した組成物  
代理人 坂元 徹  
代理人 中山 亨  
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