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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A61B
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A61B
管理番号 1354535
審判番号 不服2018-7298  
総通号数 238 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-10-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-05-29 
確定日 2019-08-13 
事件の表示 特願2015- 34004「内視鏡撮像システム」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 7月23日出願公開、特開2015-131120〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯

本願は、2010年(平成22年)7月14日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2009年7月23日 米国)を国際出願日として出願した特願2012?521676号の一部を平成27年2月24日に新たな特許出願としたものであって、平成28年1月21日付けで拒絶理由が通知され、同年4月11日に意見書及び手続補正書が提出され、同年9月28日付けで拒絶理由が通知され、同年12月19日に意見書及び手続補正書が提出され、平成29年5月2日付けで拒絶理由が通知され、同年8月10日に意見書が提出されたが、平成30年1月23日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、同年5月29日に拒絶査定不服審判の請求がなされ、それと同時に手続補正がなされたものである。


第2 平成30年5月29日にされた手続補正についての補正の却下の決定

[補正の却下の決定の結論]

平成30年5月29日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。


[理由]

1 本件補正について

本件補正は、特許請求の範囲の請求項1に係る発明について、平成28年12月19日提出の手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載の、

「 【請求項1】
注目する領域を観察するための前端部を有する内視鏡と、
前記注目する領域を照明するために前記内視鏡に光を送出する光源アセンブリと、
前記内視鏡を前記光源アセンブリに結合する第1の結合手段と、
前記内視鏡によって形成された前記注目する領域の画像を受け取る撮像ユニットと、
前記光源アセンブリを前記撮像ユニットに結合する第2の結合手段と、
前記撮像ユニットおよび前記光源アセンブリに電力を供給するために前記撮像ユニットに結合された電力モジュールと、
前記撮像ユニットおよび前記光源アセンブリに結合された電気接触機構であって、前記電気接触機構が、前記電力モジュールによって供給される電力を前記光源アセンブリに送出するように前記電力モジュールに接続される、電気接触機構と
を備え、
前記第2の結合手段が取り外し可能な結合を可能にし、
前記撮像ユニットは、前記撮像ユニットが静止したままでありながら、前記内視鏡および前記光源アセンブリが一緒に回転することができるように前記光源アセンブリに結合される、内視鏡撮像システム。」

を、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる事項(特許請求の範囲のいわゆる限定的減縮)を目的として、

「 【請求項1】
注目する領域を観察するための前端部を有する内視鏡と、
前記注目する領域を照明するために前記内視鏡に光を送出する光源アセンブリと、
前記内視鏡を前記光源アセンブリに結合する第1の結合手段と、
前記内視鏡によって形成された前記注目する領域の画像を受け取る撮像ユニットと、
前記光源アセンブリを前記撮像ユニットに結合する第2の結合手段と、
前記撮像ユニットおよび前記光源アセンブリに電力を供給するために前記撮像ユニットに結合された電力モジュールと、
前記撮像ユニットおよび前記光源アセンブリに結合された電気接触機構であって、前記電気接触機構が、前記電力モジュールによって供給される電力を前記光源アセンブリに送出するように前記電力モジュールに接続される、電気接触機構と、
前記光源および前記撮像ユニットに接続された電子光制御回路とを備え、
前記光源アセンブリがLEDアセンブリを含み、
前記第2の結合手段が取り外し可能な結合を可能にし、
前記撮像ユニットは、前記撮像ユニットが静止したままでありながら、前記内視鏡および前記光源アセンブリが一緒に回転することができるように前記光源アセンブリに結合され、
前記光制御回路が前記撮像ユニットからの制御信号に応答して、前記LEDアセンブリにおけるLEDのデューティサイクルを調整することにより前記光源の光出力を調整する、内視鏡撮像システム。」

と補正することを含むものである。(下線は補正箇所を示す。)

2 独立特許要件についての検討

(1)そこで、次に、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下「本願補正発明」という。)が特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について検討する。

(2)引用文献の記載事項

ア 引用文献1の記載事項

(ア)原査定の拒絶の理由で引用され、本願の優先権主張日前に頒布された刊行物である特表2008-545449号公報(以下「引用文献1」という。)には、次の事項が記載されている(下線は当審において付加した。以下同様。)。

(引1-ア)「【技術分野】
【0002】
本発明は、内視鏡画像、特に、任意の内視鏡に適用可能で、より安価で、医師に利用可能な現在のシステムよりも可動性及び持ち運びに優れた内視鏡画像システムに関する。」

(引1-イ)「【0008】
幾つかの代替的なシステムは、携帯可能な構成部品で設計されてきた。これらの携帯可能な構成部品からなるシステムは、固定システムよりも小型であるが、なお、主要構成部品であるカメラ及び内視鏡に加えて、カメラ制御ユニット、モニタ、画像キャプチャ手段、及び光源を要する。これらのシステムは携帯型と分類されるものの、それらは、重く、扱い難く、そして高価である。Yarush他に発行された米国特許6,432,046号は、物体のビデオ画像を生成するハンドヘルド・ポータブル・カメラを開示しており、過度の量の熱を生成することなく、高輝度照明が可能な照明システムを特徴とするカメラを提供することを目的とする。Yarush他は、種々の明らかに特別注文のプローブを受け入れる固定レンズを開示するが、ある実施形態では、更に特定のプローブを受け入れるための数種のアダプタのうちの1つを要する。更に、前述の特許は、医療行為で使用される内視鏡の接眼レンズにおける標準的な取り付けに容易に適用することはできない。」

(引1-ウ)「【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、前述の問題及び他の問題を克服する内視鏡画像システムを含む。一実施形態では、本発明は、種々の内視鏡に互換使用可能に適用される携帯型ハンドヘルド内視鏡システム(portable hand-held endoscopy system)を提供する。このシステムは、第1端及び第2端を含み、第1端が接眼レンズを有し、第2端が観察端を有する内視鏡を備える。前記システムは、更に、光学的入力部、観察スクリーン、デジタル信号プロセッサ及び組み込みソフトウェアを有するメモリを含むバッテリ動作カメラを備え、埋め込みソフトウェアは、前記プロセッサからのデータを処理し、観察スクリーンに画像を表示する。前記システムは、更に、第1端及び第2端を含む連結器を備え、該第1端が、接眼レンズに取外可能に接続するコネクタを含み、該第2端が、デジタルカメラの光学的入力部に結合可能なコネクタを含む。」

(引1-エ)「【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明は、添付図面とともに、以下の詳細な説明を参照することにより、さらに完全に理解される。
図面、特に図1及び2を参照すると、本発明の第一実施形態を含む内視鏡画像システムが示されている。特に図1を参照すると、内視鏡画像システム24を使用して患者22の内視鏡検査を実行する医師20が示されている。内視鏡26は、患者22に挿入される。内視鏡26で見られる画像は、高速データ転送が可能な携帯型内視鏡デジタルカメラ28に受信され、次に、例えばUSBケーブルである高速データ転送接続ケーブル32によりコンピュータ30に伝送される。ケーブル32は多機能インターフェースカード34に接続され、また、該カード34はカメラ28に電力を供給する。代替的に、高速データ転送接続がコンピュータ・デバイスに組み込まれる場合には、多機能インターフェースカードなしに、高速データ転送接続ケーブルが直接コンピュータ又は類似のコンピュータ・デバイスに接続されることが可能である。本発明に係る高速データ転送の例は、IEEE1394,USB,BLUETOOTH(ブルートゥース)、802.11.b(又は類似の無線技術)のような各種のプロトコルを含む。更に代替的には、カメラ28は、バッテリ動作可能(電池で動作可能)でも良い。コンピュータ30によれば、医師20が、カメラ28を制御し、更に、検査中に受信したデータを操作することが可能になる。内視鏡画像36は、コンピュータスクリーン38上に表示される。コンピュータスクリーン38は、ノート型コンピュータ上のオンボード型スクリーンでも良いし、或いは、コンピュータ30にネットワーク接続された独立のモニタ、或いは、デスクトップのワークステーション・コンピュータでも良い。
【0016】
特に図2を参照すると、図1の内視鏡画像システム24の拡大図が示されている。図1の内視鏡26は、ステンレスのような剛体材料、又は医療用途での使用に対して承認された他の材料から構成される。図2に図示の内視鏡52は、医療用途での使用に対して承認された可撓性材料から構成される。内視鏡52は、連結器40により高速データ転送が可能な携帯型内視鏡デジタルカメラ28に連結されている。一実施形態では、連結器40は、標準的なC又はC/S連結器を含み、内視鏡26又は52をカメラ28に確実に保持するロッキング機構42を備えている。代替的に、C又はC/S連結器を含まない場合もある。連結器40は、内視鏡52から画像を受け取る。連結器40は、画像の焦点が送受波器(トランスデューサ)に合うように移動するレンズアセンブリ、又は、カメラ28内の他の類似の装置を含む。追加的に、画像連結器によって、画像のズーム及び拡大が可能になる。連結器40は、カメラ38(当審注:「カメラ38」は「カメラ28」の誤記と認める。)及びフォーカスリング44に連結する。フォーカスリング44により、医師は、画像の焦点を合わせ、よりクリアで質の高い画像を得ることができる。
【0017】
一実施形態では、高速データ転送が可能な携帯型デジタルカメラ28は、画像取得素子としてのシングル電荷結合素子(single CCD)(以下で更に説明する)を、高速データ転送入力/出力ポート46とともに、使用する。コンピュータ30でユーザにより選択されたカメラモードに基づいて、携帯型内視鏡デジタルカメラ28は、画像をコンピュータ30に送り、そこで画像を見たり、保存する。内視鏡画像システム24の使用のための、IEEE1394等に基づくデジタルカメラは、また、トリプル電荷結合素子(triple CCD)を備え、複数の高速データ転送入力/出力ポート46を有している。トリプルCCDに要求される追加のスループットのために、複数の高速ポートが有益である。更に、高速データ転送が可能な携帯型の内視鏡デジタルカメラは、また、画像取得のために相補型金属酸化膜半導体(CMOS)を備えることができる。図1及び図2に図示の実施形態は、内視鏡26,52及び連結器40に連結された光源50を含む。光源50は、内視鏡52で検査されている領域のより良好な像を得るために追加の照明を提供する。図示の光源50は、バッテリ動作可能である。しかし、光源は外部電源によって動作させても良い。代替的に、外部光源及び光ガイドケーブルが、光源として提供されても良い。更にまた、内視鏡が光源を備えても良い。」

(引1-オ)【図1】




(引1-カ)【図2】




(引1-キ)「【0027】
図12は、一実施形態に係る一体構成要素の概略図である。内視鏡連結器40は、フォーカスリング44に隣接して図示されており、フォーカスリング44はズームリング84に隣接している。ズームリング84は画像リング102に隣接している。肘関節部90は、本体94に連結されて図示されている。カメラユニットの本体94の末端部は、光学レンズ機構108を含み、この光学レンズ機構は、焦点制御機能及びズーム機能を収容し、画像をCCD又はCMOSチップ110に方向付けることができる。チップ110は、アナログ-デジタル・コンバータ112の入力にリボンワイヤ114を介して連結されている。A/Dコンバータ112の出力は、デジタル信号プロセッサ/カメラプロセッサ120に連結されている。ユーザ入力制御部82は、プロセッサ120に連結されるか、又は代替的に図13に示すようなコントローラ122に連結される。また、本体94の基端部部は、バッテリ124、及び外部DC電源用のコネクタ126を含む。また、本体94の基端部部は、I/O高速データ転送ポート128と、取り外し可能なフラッシュメモリカード130(図13参照)用のコネクタ86とを含む。また、本体94は、オンボード型フラッシュメモリ132を含む。最後に、データの無線ダウンロード、及び、カメラユニットの無線制御のための無線送受信機134が図示されている。電源投入・ペグ136が示されている。電源投入・ペグ136は、コントローラ122に連結されるスイッチ138(図13参照)を含む。メモリ132は、スリープモード、電源投入ルーチンのコード、又は同様のバッテリセービング機能を含む。当業者が理解するように、ユニットは、通常、スリープモードにある。連結器40が内視鏡に係合すると、電源投入・ペグ136が係合され、電源投入モードが起動する。図示されるように、リボンワイヤ114又は他の導体は、末端側の連結器端部から基端側の本体に向かって肘関節部90内を延びる。」

(引1-ク)【図12】




(イ)引用文献1に記載された発明の認定

a (引1-ウ)の段落【0009】の記載によれば、種々の内視鏡に互換使用可能に適用される携帯型ハンドヘルド内視鏡システムは、第1端が接眼レンズを有し第2端が観察端を有する内視鏡、光学的入力部を含むバッテリ動作カメラ、並びに第1端及び第2端を含む連結器を備え、該連結器の第1端が、接眼レンズに取外可能に接続するコネクタを含み、該連結器の第2端が、バッテリ動作カメラの光学的入力部に結合可能なコネクタを含むものであると解されるが、携帯型ハンドヘルド内視鏡システムが光源を備えることについては記載がない。
一方、(引1-エ)の段落【0017】の「図1及び図2に図示の実施形態は、内視鏡26,52及び連結器40に連結された光源50を含む。」との記載によれば、携帯型ハンドヘルド内視鏡システムに光源を設ける場合には、その実施態様として、光源を内視鏡及び連結器の双方に連結させる態様があることが理解できる。また、(引1-カ)の【図2】の記載から、内視鏡52と連結器40との間に光源50が配置されていることが見てとれる。
そうすると、(引1-ウ)の段落【0009】は、光源を備えることを前提としない態様について記載したものであり、光源を備える場合には、段落【0009】に記載された連結構造から、(引1-エ)の段落【0017】及び(引1-キ)の【図2】の記載から把握される連結構造の態様に変更されるものと解される。
よって、(引1-ウ)、(引1-エ)及び(引1-カ)の記載から、引用文献1には、携帯型ハンドヘルド内視鏡システムとして、内視鏡26,52に光源50が連結され、光源50に連結器40の第1端が連結され、連結器40の第2端が取外可能に接続するコネクタにより携帯型デジタルカメラ28に連結された態様が記載されていると認められる。

b (引1-ウ)の段落【0015】の記載から、携帯型内視鏡デジタルカメラ28が、機能インターフェースカード34から電力を供給されることなく、内視鏡画像システム24が備えるバッテリにより動作する態様が読み取れる。

c よって、(引1-ア)ないし(引1-カ)の記載から、引用文献1には、

「 種々の内視鏡に互換使用可能に適用される携帯型ハンドヘルド内視鏡システムであって、
第1端が接眼レンズを有し第2端が観察端を有する内視鏡26,52、光学的入力部を含む携帯型デジタルカメラ28、第1端及び第2端を含む連結器40、並びに光源50を備え、
さらに、バッテリを備え、携帯型デジタルカメラ28及び光源50はバッテリにより動作するものであり、
内視鏡26,52に光源50が連結され、光源50に連結器40の第1端が連結され、連結器40の第2端が取外可能に接続するコネクタにより携帯型デジタルカメラ28に連結され、
連結器40は、画像の焦点が送受波器(トランスデューサ)に合うように移動するレンズアセンブリを含むとともに、フォーカスリング44に連結され、
光源50は、内視鏡26,52で検査されている領域のより良好な像を得るために追加の照明を提供し、
連結器40は、内視鏡26,52から画像を受け取り、内視鏡26,52で見られる画像は、携帯型デジタルカメラ28に受信される、
携帯型ハンドヘルド内視鏡システム。」

の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。

イ 引用文献4の記載事項

(ア)原査定の拒絶の理由で引用され、本願の優先権主張日前に頒布された刊行物である特表2005-501639号公報(以下「引用文献4」という。)には、次の事項が記載されている。

(引4-ア)「【技術分野】
【0001】
この発明は、照明源付きの内視鏡システムに関する。」

(引4-イ)「【0021】
図1を参照すると、内視鏡システム10は、剛体の挿入部16を有する内視鏡42と、基端本体64とを備える。内視鏡システム10はまた、内視鏡42の基端本体64に接続される照明アセンブリイ26を備える。
以下に詳述するように、照明アセンブリイ26は、挿入部16を介して作業領域24へ搬送される白色光を生成するための固体光源アセンブリイ44(図2)を備える。照明アセンブリイ26はまた、焦点の合った画像を作業領域24からビデオカメラアセンブリイ48へ供給するために用いられる焦点合せアセンブリイ46(図2)を内蔵する。
照明アセンブリイ26は、作業領域24において内視鏡42を保持して操作するために外科医によって使用される、内視鏡システム10の一部として働く。ビデオカメラアセンブリイ48は、照明アセンブリイ26に接続され、作業領域24の画像を表わすビデオ信号をケーブル14を介してビデオモニタ18上に表示するために搬送する。
【0022】
図2を参照すると、固体光源アセンブリイ44は、照明光を複数のLED100から作業領域24へ一連の光ファイバー回路(例えば、光ファイバー束72、光ファイバーライン84)を介して供給する。作業領域24からの照明された画像は、カメラアセンブリイ48へ光路を介して搬送される。その光路は、先端22から内視鏡42内の一連の光学素子66と焦点合せアセンブリイ46内の一組の焦点合わせ光学素子32とを介してビデオカメラアセンブリイ48へ延びる。
焦点合せ光学部品を調整することによって、照明された画像は焦点が合う。
【0023】
内視鏡42は、他の形態の内視鏡と交換されうる内視鏡システム10の交換可能部品である。この実施態様では、挿入部16は剛性を有し、挿入部の縦軸34からずれた視界方向を有する。上述したように、内視鏡42は、固定された光学素子68を備え、その光学素子68はフィールドストップ(field stop)の後に位置する単一のレンズ又は一群のレンズからなる。内視鏡42はまた、経路67にハーメチックシールされて環境からの汚染物質等の導入を防止する基端窓70を備え、内視鏡システム10の残り部分(例えば、固体光源アセンブリイ44)を有する。
【0024】
光ファイバー束72は、内視鏡42を通って延び、光を固体光源アセンブリイ44から内視鏡の先端22へ搬送する。固体光源44の界面において、光ファイバー束72はブッシング78の中にエポキシ樹脂で接着され、それによってハーメッチックシールを形成する。また、ブッシング78は、ハーメッチックシールされた基端本体64に固定される。
【0025】
一連の光学素子66は、固定された光学素子68と、固体光源アセンブリイ44の近くに設置された基端窓70とを備える。同様に、固体光源アセンブリイ44は、両方がハウジング50にハーメチックシールされた前方窓47と光結合素子81とを備える。
従って、内視鏡42と固体光源アセンブリイ44とは独立してハーメッチックシールされ、他の内視鏡(例えば、フレキシブル内視鏡)を固体光源アセンブリイ44に離脱可能に取り付けることができる。
【0026】
固体光源アセンブリイ44は、縦軸34に整合する中空シャフト62を有するハウジング50内に設置された光源/光ファイバーアセンブリイ52を備える。
【0026】
固体光源アセンブリイ44は、縦軸34に整合する中空シャフト62を有するハウジング50内に設置された光源/光ファイバーアセンブリイ52を備える。
【0027】
図3Aと3Bを参照すると、光源/光ファイバーアセンブリイ52は、金属フレーム80と、光源アセンブリイ82と、光ファイバーライン84と、ファイバー出力取付部86を備える。フレーム80は、軸方向のリブ90とフランジ92とを有する中空シャフト88を備える。この実施態様では、中空シャフト88の周囲に沿って対称に配列された4つの軸方向のリブ90がある。リブ90の各々は、中空シャフト88の長さ方向に延びている。リブ90の各側面は、1リブ当り2つの光源アセンブリイが搭載されるように光源アセンブリイ82を設置するための搭載面を有する。
【0028】
各光源アセンブリイ82内に、発光ダイオード(LED)100がある。各LED100により出射される光は、対応するファイバーライン84に結合される。各LED100から、対応する光ファイバーライン84が光源/ファイバー補助アセンブリイ52の先端120にすべて集められて共通の束94になり、共通の束はファイバー出力取付部86に受入れられて接着される。
共通の束94の先端95は、内視鏡42内に設置される光ファイバーの束72へ光を搬送する界面を形成するために、鏡面研磨される。
後述するように、回転継手160を介しての電気回路により、電力がLEDSに供給される。電気回路は、ビデオカメラアセンブリイ48内の電源(図示しない)に接続される絶縁ワイヤ20を備える。その電気回路はまた、光源/ファイバー補助アセンブリイ52に接続されるワイヤリード線113を備える。
【0029】
リブ90とフランジ92間の軸方向の空間によって、異なるリブから来る光ファイバーライン84がシャフト88の先端の周りに巻きついて端部取付部86に接続することができる。光結合素子81が束94の研磨された先端に設置される。従って、光源/ファイバー補助アセンブリイ52が内視鏡42内に設置されると、光結合素子81は、光ファイバーの束72の研磨された基端に連結することができる。従って、固体光源アセンブリイ44から出射された光は、挿入部16を通って作業領域24へ達することができる。
【0030】
光源/ファイバー補助アセンブリイ52がハウジング50に挿入される時、補助アセンブリイの中空シャフト80の内径は中空シャフト62の外径上を摺動する。光結合素子81の端部は、光ファイバーの束72の基端面に接触する。光源/ファイバー補助アセンブリイ52は、ハウジング50の開放基端へ後方フランジ56をねじで取付けることによって、ハウジング50に固定される。絶縁リング58は、電気絶縁材料(例えば、セラミック、プラスチック)で作られ、後方フランジ56に(例えば、加圧嵌合、接着又は他の固定方法により)固着される。
接触リング60は、高導電体(例えば、銅)で作られ、絶縁リング58の中へ埋め込まれる。
絶縁ワイヤーリード線113は、接触リング60にはんだ付けされた一端と、光源アセンブリイ82の1つの正極バス114に接続された他端とを有する。光源アセンブリイ82の各々は、ワイヤ98によって全て相互接続された正極バス114を備える。光源アセンブリイの各々は、負極バス115を備え、負極バスの各々は共通アースとして働く金属フレーム80に接続される。」

(引4-ウ)「【0032】
図2を再び参照すると、焦点合せアセンブリイ46は、前方部36、焦点合せリング38、接触ピンアセンブリイ40、固定ナット125、ワッシャ124、焦点合せレンズ32付きレンズセル123、焦点合せスリーブ130、およびレンズ本体132を備える。固定ナット125は、ハウジング50の中空シャフト62にねじで固定される。低摩擦ワッシャ124は、ナット125と前方部36との間に配置される。
前方部36はシール159、例えば低抵抗ゴム状シールを備える。シール159はO-リング又はX形クワドリングの形態であってもよい。ナット125がシャフト62に螺合するとき、ナットは固体光源アセンブリイ44と焦点合せアセンブリイ46の前方部36とを共に支持する。前方部36の先端は後方フリンジ56の基端に当接し、それによって、回転継手160を形成する。
潤滑油(例えば、Dow Corning Corporationから入手可能な高真空グリス)がシール159に塗布され、その適当な機能を保証する。
【0033】
固体光源のハウジング50は、回転に便利な隆起部108を有する。使用時に、使用者が隆起部108に接線方向の力を加えると、固体光源アセンブリイ44の全体が、焦点合せアセンブリイ46の前方部36に対して回転する。固定ナット125とワッシャ124はまた、固体光源アセンブリイ46と共に回転する。固体光源アセンブリイ44と焦点合せアセンブリイ46間の軸方向の整合は、前方部36の内部支持面161と中空シャフト62の外部支持面162に公差を厳密に与えることによって維持される。
【0034】
好ましくは、前方部36とシャフト62は、その組合せが低摩擦を生成するような異なる材料から作られる。回転に必要なトルクは、シール159と後方フランジ56との間、内部支持面161と外部支持面162との間、ワッシャ124とナット125および前方部36のワッシャ接触面との間の摩擦力により決定される。その適当なトルク値は、ナット125がシャフト62に螺着されるときに適当な圧力を加えることによって設定される。
特定のトルク値に達すると、ナット125は、周知の方法(例えば、ねじに塗布されるLoktite Corpから入手できる固定コンパウンドによる方法)を用いて適所にロックされる。追加のO-リング(又は複数のO-リング)がトルク調整や追加シールのために備えられてもよい。
【0035】
内視鏡42が固体光源アセンブリイ44にロックされると、回転継手160により内視鏡42が軸34を中心に回転できる。焦点合せスリーブ130が焦点合せリング38によって取り囲まれ、例えばねじによってそれに固定される。レンズ本体132は、好ましくはねじによって前方部36に取り付けられる。
レンズ本体132の基端部分はビデオカメラアセンブリイ48の前方フランジとして働くことができる。焦点合せリング38の先端は、前方部36の基端に当接して密封される。
同様に、焦点合せリング38の基端はレンズ本体132の先端に当接して密封される。
動的シール126と127は、シール159と同様に構成される。レンズセル123は、焦点合せレンズ32を移動させて画像を撮像装置133の表面に投影させる。」

(引4-エ)「【0037】
前方部36は、電気絶縁材料で作られたスリーブ165を有する接触ピンアセンブリイ40を備える。
接触ピンアセンブリイ40は前方部36に固定され、接触ピンアセンブリイは、固体光源アセンブリイ44の接触リング60に対向するように配置される。小形圧縮スプリング167がスリーブ165の内側に(例えば、内へ広がるように)固定され、その圧縮スプリングは導通ピン166を加圧して接触リング60にピンをしっかりと接触させる。絶縁ワイヤリード線20は、ピン166の基端にはんだ付けされ、レンズセル123の中に作られたスロット138を通ってビデオカメラアセンブリイ148(当審注:「148」は「48」の誤記と認める。)へ入り、光源100へ適当なレベルの電圧を供給するための適当な回路に接続される。
【0038】
ビデオカメラアセンブリイ48は、撮像素子133(例えば、CCDやCMOSセンサ)、ハウジング168および電気ケーブル136を備える。動作時には、カメラヘッドは、通常は回転せず、撮像素子133が右側上の位置に維持されるように、保持される。
内視鏡の回転に関係なく右側上の位置を維持することによって、画像の適正な方向付けが常に行われる。
通常、カメラヘッドは突出部134(例えば、ボタンや隆起など)をその上側に有し、使用者に右側上の位置を触知させる。電気ケーブル136はカメラヘッドを、電源、カメラマザーボードおよび撮像用の種々の補助回路を含むカメラ制御ユニット(図示しない)へ接続する。他の実施様態では、ビデオカメラアセンブリイ48は、バッテリと、ビデオ画像をビデオモニタ18に搬送するために必要なすべての回路とを含む。」

(引4-オ)図1





(引4-カ)図2




(引4-キ)図3A




(イ)引用文献4に記載された技術事項の認定

(引4-ア)ないし(引4-キ)の記載から、引用文献4には、

「 剛体の挿入部16を有する内視鏡42、内視鏡42に接続される照明アセンブリイ26、及び照明アセンブリイ26に接続されるビデオカメラアセンブリイ48を備える内視鏡システム10であって、
照明アセンブリイ26は、挿入部16を介して作業領域24へ搬送される白色光を生成するための固体光源アセンブリイ44を備え、また、焦点の合った画像を作業領域24からビデオカメラアセンブリイ48へ供給するために用いられる焦点合せアセンブリイ46を内蔵し、
ビデオカメラアセンブリイ48は、撮像素子133を備え、また、バッテリを含み、
内視鏡42は、他の形態の内視鏡と交換されうる内視鏡システム10の交換可能部品であり、内視鏡42と固体光源アセンブリイ44とは独立してハーメッチックシールされ、他の内視鏡を固体光源アセンブリイ44に離脱可能に取り付けることができ、
固体光源アセンブリイ44は、縦軸34に整合する中空シャフト62を有するハウジング50内に設置された光源/光ファイバーアセンブリイ52を備え、光源/光ファイバーアセンブリイ52は光源アセンブリイ82を備え、光源アセンブリイ82内に発光ダイオード(LED)100があり、光源/ファイバーアセンブリイ52は、ハウジング50の開放基端へ後方フランジ56をねじで取付けることによって、ハウジング50に固定され、絶縁リング58が後方フランジ56に固着され、高導電体で作られた接触リング60が、絶縁リング58の中へ埋め込まれ、
焦点合せアセンブリイ46は、前方部36、接触ピンアセンブリイ40、固定ナット125を備え、固定ナット125は、ハウジング50の中空シャフト62にねじで固定され、ナット125がシャフト62に螺合するとき、ナットは固体光源アセンブリイ44と焦点合せアセンブリイ46の前方部36とを共に支持し、前方部36の先端は後方フランジ56の基端に当接し、それによって、回転継手160を形成し、
絶縁ワイヤーリード線113の一端が、接触リング60にはんだ付けされ、他端が、光源アセンブリイ82の1つの正極バス114に接続され、
接触ピンアセンブリイ40は前方部36に固定され、固体光源アセンブリイ44の接触リング60に対向するように配置され、圧縮スプリングが導通ピン166を加圧して接触リング60にピン166をしっかりと接触させ、ピン166の基端にはんだ付けされた絶縁ワイヤリード線20は、ビデオカメラアセンブリイ48へ入り、LED100へ適当なレベルの電圧を供給するための適当な回路に接続され、
固体光源アセンブリイ44のハウジング50は、回転に便利な隆起部108を有し、隆起部108に接線方向の力を加えると、固体光源アセンブリイ44の全体が、焦点合せアセンブリイ46の前方部36に対して回転し、
内視鏡42の挿入部16は剛性を有し、挿入部の縦軸34からずれた視界方向を有し、内視鏡42が固体光源アセンブリイ44にロックされると、回転継手160により内視鏡42が軸34を中心に回転でき、動作時には、カメラヘッドは、通常は回転せず、撮像素子133が右側上の位置に維持されるように、保持され、内視鏡の回転に関係なく右側上の位置を維持することによって、画像の適正な方向付けが常に行われ、
電気回路は、ビデオカメラアセンブリイ48内のバッテリに接続される絶縁ワイヤリード線20、絶縁ワイヤリード線20がはんだ付けされて接触リング60に接触させたピン166、一端が接触リング60にはんだ付けされ他端が光源/ファイバー補助アセンブリイ52に接続される絶縁ワイヤリード線113を備え、回転継手160を介しての電気回路により、電力がLED100に供給される、
内視鏡システム10。」(以下「引用文献4技術事項」という。)

が記載されている。

ウ 引用文献6の記載事項

(ア)本願の優先権主張日前に頒布された刊行物である特開2003-116783号公報(以下「引用文献6」という。)には、次の事項が記載されている。

(引6-ア)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、内視鏡装置に関し、特に電子撮像素子を有する電子内視鏡の改良に関する。」

(引6-イ)「【0039】次に、図3を用いて、本発明に係る内視鏡装置の第3の実施形態を説明する。内視鏡本体31の挿入部の先端には、被写体を撮像するCCDまたはC-MOSイメージセンサ等からなる撮像手段32と、被写体に照明光を投射する光源である複数のLED33a,33bと、前記撮像素子32を駆動制御すると共に、前記撮像素子32で光電変換された被写体映像信号を所定の映像信号に変換すると共に、その映像信号から輝度情報を生成する映像信号処理手段53と、前記LED33a,33bを点消灯制御すると共に、前記の映像信号処理手段53で生成された輝度情報から前記LED33a,33bを調光する調光手段52が1つの基板ウエハー51に搭載されて配置されている。」

(引6-ウ)「【0054】次に、図6乃至図9を用いて、本発明に係る内視鏡装置の第6実施例を説明する。
【0055】図6は、図2乃至図5に示した内視鏡本体31の先端に設けた撮像素子32と複数のLED33との関係を示している。前記内視鏡本体31の先端部正面中央には、前記撮像素子32が配置され、この撮像素子32の前面には、図示していないが対物レンズや保護ガラス等が設けられた撮像窓68が設けられている。この撮像窓68の周囲には、等間隔で中心から放射状に複数のLED33a?33hが配置されている。
【0056】この複数のLED33a?33hは、図7に示すように、調光手段52で点消灯と調光制御されるようになっている。この調光手段52は、マイクロプロセッサ(以下、CPUと称する)71と、前記LED33a?33hを個々に点灯及び調光制御するドライバ72a?72hからなっている。
【0057】前記CPU71は、前記撮像素子32を駆動させ、映像信号処理手段53で生成されたデジタル映像信号から前記LED33a?33hの照明エリア毎の輝度レベルを演算算出し、その輝度レベルから前記LED33a?33h個々の点消灯と調光制御値を求め、この点消灯と調光制御値の基で、前記ドライバ72a?72hを介して、前記LED33a?33hを点消灯と調光制御させるようになっている。
【0058】前記LED33a?33hの照明エリアは、図8に示すように、前記撮像素子32で撮像生成する被写体映像画面73の中心から前記LED3a?33hの配置方向へ放射状にエリアa?エリアhに区分設定し、そのエリアa?エリアh毎に前記CPU71で輝度値を算出し、そのエリアa?エリアh個々の輝度値と目標輝度値とを比較し、その比較結果を基に、前記ドライバ72a?72hを駆動制御させることにより、個々のLED33a?33hの点消灯と調光を行い、被写体部位に投射される照明光の光量を目標値となるように制御される。なお、前記目標輝度値は、映像画面全体の明るさの目標値である。
【0059】前記CPU71における各LED33a?33hの点消灯及び調光制御の動作について、図9を用いて説明する。
【0060】ステップS1で、前記映像信号処理手段53から取り込んだデジタル映像信号から予め設定された前記被写体映像画面73のエリアa?エリアh毎の輝度情報(明るさ情報)を求め取り込む。このステップS1で求められたエリアa?エリアhの輝度情報から、ステップS2で、エリアaの輝度情報は、目標輝度値よりも明るいか判定される。このステップS2の判定の結果、エリアaの輝度情報が目標輝度値よりも明るいと判定されると、ステップS3で、LED33aの点灯光量が適切となるように、LED33aのドライバ72aの駆動係数Kaを算出する。
【0061】前記ステップS2で、エリアaの輝度値が目標値よりも明るくないと判定されたり、または、ステップS3で、エリアaのLED33aを適切な光量で点灯するためのドライバ72aの駆動係数Kaが設定されると、ステップS4で、前記エリアaの輝度値が目標値よりも暗いか判定される。このステップS4で、目標値よりも暗いと判定されると、ステップS5で、エリアaのLED33aを適切な光量で点灯するためのドライバ72aの駆動係数Kaが設定される。
【0062】前記ステップS4で、エリアaの輝度値が目標値よりも暗くないと判定されたり、または、ステップS5で、エリアaのLED33aを適切な光量で点灯するためのドライバ72aの駆動係数Kaが設定されると、前記ステップS2?S5と以降同様にエリアb?エリアg毎に目標値と比較され、それぞれのドライバ72b?72gの駆動係数Kb?Kgを設定する。ステップS16で、エリアhの輝度情報は、目標輝度値よりも明るいか判定される。このステップS16の判定の結果、エリアhの輝度情報が目標輝度値よりも明るいと判定されると、ステップS17で、LED33hの点灯光量が適切となるように、LED33hのドライバ72hの駆動係数Khを算出する。
【0063】前記ステップS16で、エリアhの輝度値が目標値よりも明るくないと判定されたり、または、ステップS17で、エリアhのLED33hを適切な光量で点灯するためのドライバ72hの駆動係数Khが設定されると、ステップS18で、前記エリアhの輝度値が目標値よりも暗いか判定される。このステップS18で、目標値よりも暗いと判定されると、ステップS19で、エリアhのLED33hを適切な光量で点灯するためのドライバ72hの駆動係数Khが設定される。
【0064】前記ステップS18で、目標値よりも暗いと判定されたり、または、ステップS19で、エリアhのLED33hを適切な光量で点灯するためのドライバ72hの駆動係数Khが設定されると、ステップS20で、各ドライバ72a?72hの駆動係数Ka?Khにより駆動制御させて、前記ステップS1へと戻る。
【0065】このようにして、被写体映像画面を目標輝度となるように前記LED33a?33hを点消灯及び調光制御することで適切で均一の明るさの被写体映像による観察部位の表示映像が得られる。なお、前記LED33a?33hの調光制御は、ダイナミック点灯のデューティー比によって制御することも可能である。」

(引6-エ)【図3】




(引6-オ)【図7】




(引6-カ)【図9】




(イ)引用文献6に記載された技術事項の認定

(引6-ア)ないし(引6-カ)の記載から、引用文献6には、

「 内視鏡本体31の先端部正面中央には、撮像素子32が配置され、この撮像素子32の前面には撮像窓68が設けられ、この撮像窓68の周囲には、等間隔で中心から放射状に複数のLED33a?33hが配置されており、
この複数のLED33a?33hは、調光手段52で点消灯と調光制御されるようになっており、この調光手段52は、マイクロプロセッサ(以下、CPUと称する)71と、前記LED33a?33hを個々に点灯及び調光制御するドライバ72a?72hからなっており、
前記CPU71は、前記撮像素子32を駆動させ、映像信号処理手段53で生成されたデジタル映像信号から前記LED33a?33hの照明エリア毎の輝度レベルを演算算出し、その輝度レベルから前記LED33a?33h個々の点消灯と調光制御値を求め、この点消灯と調光制御値の基で、前記ドライバ72a?72hを介して、前記LED33a?33hを点消灯と調光制御させるようになっており、
前記LED33a?33hの調光制御は、ダイナミック点灯のデューティー比によって制御する、電子内視鏡。」(以下「引用文献6技術事項」という。)

が記載されている。

(3)本願補正発明と引用発明との対比

ア 引用発明の「観察端を有する」「第2端」は、本願補正発明の「注目する領域を観察するための前端部」に相当し、引用発明の「第1端が接眼レンズを有し第2端が観察端を有する内視鏡26,52」は、本願補正発明の「注目する領域を観察するための前端部を有する内視鏡」に相当する。

イ 引用発明の「光源50」が、内視鏡26,52を介して「検査されている領域の」「追加の照明を提供」することは明らかであるから、引用発明の「内視鏡26,52で検査されている領域のより良好な像を得るために追加の照明を提供」する「光源50」は、本願補正発明の「前記注目する領域を照明するために前記内視鏡に光を送出する光源アセンブリ」に相当する。

ウ 引用発明は、「内視鏡26,52に光源50が連結され」るものであるから、本願補正発明の「前記内視鏡を前記光源アセンブリに結合する第1の結合手段」に相当する構成を備えている。

エ 引用発明の「内視鏡26,52で見られる画像」を「受信」する「携帯型デジタルカメラ28」は、本願補正発明の「前記内視鏡によって形成された前記注目する領域の画像を受け取る撮像ユニット」に相当する。

オ 引用発明の「光源50に」「第1端が連結され」「第2端が」「携帯型デジタルカメラ28に連結され」る「連結器40」は、本願補正発明の「前記光源アセンブリを前記撮像ユニットに結合する第2の結合手段」に相当する。

カ 引用発明の「携帯型デジタルカメラ28及び光源50」を「動作」させる「バッテリ」と、本願補正発明の「前記撮像ユニットおよび前記光源アセンブリに電力を供給するために前記撮像ユニットに結合された電力モジュール」とは、「前記撮像ユニット及び前記光源アセンブリに電力を供給する電力供給手段」の点で共通する。

キ 引用発明の「連結器40の第2端が取外可能に接続するコネクタにより携帯型デジタルカメラ28に連結され」ることは、本願補正発明の「前記第2の結合手段が取り外し可能な結合を可能にし」ていることに相当する。

ク 引用発明の「携帯型ハンドヘルド内視鏡システム」は、本願補正発明の「内視鏡撮像システム」に相当する。

ケ 上記アないしクを踏まえると、本願補正発明と引用発明とは、

「 注目する領域を観察するための前端部を有する内視鏡と、
前記注目する領域を照明するために前記内視鏡に光を送出する光源アセンブリと、
前記内視鏡を前記光源アセンブリに結合する第1の結合手段と、
前記内視鏡によって形成された前記注目する領域の画像を受け取る撮像ユニットと、
前記光源アセンブリを前記撮像ユニットに結合する第2の結合手段と、
前記撮像ユニット及び前記光源アセンブリに電力を供給する電力供給手段とを備え、
前記第2の結合手段が取り外し可能な結合を可能にしている、内視鏡撮像システム。」

の発明である点で一致し、以下の点で相違する。

(相違点1)
本願補正発明は、「前記撮像ユニットは、前記撮像ユニットが静止したままでありながら、前記内視鏡および前記光源アセンブリが一緒に回転することができるように前記光源アセンブリに結合され」るのに対し、引用発明は、そのような特定がされていない点。

(相違点2)
撮像ユニット及び光源アセンブリに電力を供給する電力供給手段が、本願補正発明においては、「前記撮像ユニットに結合された電力モジュール」であり、「前記撮像ユニットおよび前記光源アセンブリに結合された電気接触機構であって、前記電気接触機構が、前記電力モジュールによって供給される電力を前記光源アセンブリに送出するように前記電力モジュールに接続される、電気接触機構」を備えているのに対し、引用発明においては、「バッテリ」であることが特定されているものの、その配置並びに「携帯型デジタルカメラ28及び光源50」への電力供給経路については特定されていない点。

(相違点3)
光源アセンブリが、本願補正発明は、「LEDアセンブリを含み」、「前記光源および前記撮像ユニットに接続された電子光制御回路」「を備え」、「前記光制御回路が前記撮像ユニットからの制御信号に応答して、前記LEDアセンブリにおけるLEDのデューティサイクルを調整することにより前記光源の光出力を調整する」のに対し、引用発明は、「内視鏡26,52で検査されている領域のより良好な像を得るために追加の照明を提供」するものであるものの、光源の種類及びその制御については特定がされていない点。

(4)判断

上記各相違点について検討する。

ア 相違点1について

引用文献4技術事項は、「固体光源アセンブリイ44のハウジング50は、回転に便利な隆起部108を有し、隆起部108に接線方向の力を加えると、固体光源アセンブリイ44の全体が、焦点合せアセンブリイ46の前方部36に対して回転し」、「内視鏡42が固体光源アセンブリイ44にロックされると、回転継手160により内視鏡42が軸34を中心に回転でき、動作時には、カメラヘッドは、通常は回転せず、撮像素子133が右側上の位置に維持されるように、保持され、内視鏡の回転に関係なく右側上の位置を維持することによって、画像の適正な方向付けが常に行われ」るものであるから、引用文献4技術事項は、上記相違点1に係る本願補正発明の「前記撮像ユニットが静止したままでありながら、前記内視鏡および前記光源アセンブリが一緒に回転することができる」という構成を備えている。

引用発明は、「種々の内視鏡に互換使用可能に適用される携帯型ハンドヘルド内視鏡システム」であるから、引用文献4技術事項の「挿入部の縦軸34からずれた視界方向を有」する「内視鏡42」を使用可能とすることには、十分な動機付けがあり、当該「内視鏡42」使用時の利便性を向上させるために、引用文献4技術事項の回転継手160に倣い、引用発明の光源50と携帯型デジタルカメラ28とを連結する連結器40に回転継ぎ手を設けることは、当業者が容易になし得ることである。
そして、引用発明の連結器40に回転継ぎ手を設けることにより、携帯型デジタルカメラ28は、前記携帯型デジタルカメラ28が静止したままでありながら、前記内視鏡26,52及び前記光源50が一緒に回転することができるように前記光源50に結合されることになり、上記相違点1に係る本願補正発明の発明特定事項が得られる。

イ 相違点2について

引用文献1の(引1-キ)及び(引1-ク)には、引用発明とは異なる実施形態において、カメラユニットの本体94の基端部部がバッテリ124を含むことが記載されており、当該記載は、引用発明のバッテリを携帯型デジタルカメラ28側に設けることを示唆するものである。
また、引用文献4技術事項は、「電気回路は、ビデオカメラアセンブリイ48内のバッテリに接続される絶縁ワイヤリード線20と、光源/ファイバー補助アセンブリイ52に接続される絶縁ワイヤリード線113を備え、回転継手160を介しての電気回路により、電力がLED100に供給される」ものであるから、上記相違点2に係る本願補正発明の構成である「前記撮像ユニットおよび前記光源アセンブリに結合された電気接触機構であって、前記電気接触機構が、前記電力モジュールによって供給される電力を前記光源アセンブリに送出するように前記電力モジュールに接続される、電気接触機構」と「前記撮像ユニットおよび前記光源アセンブリに結合された電気接触機構であって、前記電気接触機構が、前記撮像ユニット側に設けた電源によって供給される電力を前記光源アセンブリに送出するように前記電源に接続される、電気接触機構」の点で共通する。
そして、バッテリを使用する装置において、バッテリを装置本体に組み込んだ構造とするか、装置本体に取付け可能なモジュール構造とするかは、適宜選択し得る設計事項である。
そうすると、引用文献1の記載及び引用文献4技術事項に基づき、引用発明において、バッテリをモジュール構造として携帯型デジタルカメラ28に取付け、当該バッテリから携帯型デジタルカメラ28及び電源50に電力を供給すべく電力供給経路を構成することは、当業者が容易になし得ることである。

ウ 相違点3について

引用文献6技術事項は、電子内視鏡の光源であるLEDの調光制御を、映像信号処理手段で生成されたデジタル映像信号から算出した照明エリアの輝度レベルからLEDの調光制御値を求め、ダイナミック点灯のデューティー比によって制御するものである。
引用発明の光源50は、「内視鏡26,52で検査されている領域のより良好な像を得るために追加の照明を提供」するものであるから、適正な照明を提供するために、引用文献6技術事項におけるLEDのデューティー比制御による調光制御を採用することには、十分な動機付けがある。
そうすると、引用発明において、引用文献6技術事項に基づき、上記相違点3に係る本願補正発明の構成を得ることは、当業者が容易になし得ることである。

エ 本願補正発明の奏する作用効果

本願補正発明によってもたらされる効果は、引用文献1、4及び6の記載事項から当業者が予測し得る程度のものである。

オ まとめ

以上のとおりであるから、本願補正発明は、引用発明、引用文献1の記載事項、引用文献4技術事項及び引用文献6技術事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

したがって、本願補正発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

3 補正の却下の決定のむすび

以上のとおり、本願補正発明は特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるということができないから、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。


第3 本願発明について

1 本願発明

平成30年5月29日にされた手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、平成28年12月19日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし17に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、上記第2[理由]1に記載のとおりである。

2 原査定の拒絶の理由

原査定の拒絶の理由の概要は、以下のとおりである。

(進歩性)この出願の請求項1-4、6-17に係る発明は、本願の優先権主張の日前に頒布された下記の引用文献1に記載された発明及び引用文献4に記載された事項に基づいて、請求項5に係る発明は、本願の優先権主張の日前に頒布された下記の引用文献1に記載された発明並びに引用文献2及び4に記載された事項に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献1:特表2008-545449号公報
引用文献2:特開2005-237430号公報
引用文献4:特表2005-501639号公報

3 引用文献

原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1及び4、並びにそれらの記載事項は、前記第2[理由]2(2)ア及びイに記載したとおりである。

4 対比・判断

本願発明は、前記第2[理由]2で検討した本願補正発明から、「前記光源アセンブリがLEDアセンブリを含み」という限定事項、及び、「前記光源および前記撮像ユニットに接続された電子光制御回路」「を備え」、「前記光制御回路が前記撮像ユニットからの制御信号に応答して、前記LEDアセンブリにおけるLEDのデューティサイクルを調整することにより前記光源の光出力を調整する」という発明特定事項を削除したものである。
よって、本願発明と引用発明とは、上記相違点1及び2で相違し、その余の点で一致する。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本願補正発明が、前記第2[理由]2(3)及び(4)に記載したとおり、引用発明、引用文献1の記載事項、引用文献4技術事項及び引用文献6技術事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明(当審注:引用発明との間に上記相違点3は存在しない。)は、引用発明、引用文献1の記載事項及び引用文献4技術事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。


第4 むすび

以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

したがって、その余の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
別掲
 
審理終結日 2019-03-13 
結審通知日 2019-03-18 
審決日 2019-04-01 
出願番号 特願2015-34004(P2015-34004)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (A61B)
P 1 8・ 121- Z (A61B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 原 俊文田邉 英治  
特許庁審判長 福島 浩司
特許庁審判官 三木 隆
渡戸 正義
発明の名称 内視鏡撮像システム  
代理人 阿部 達彦  
代理人 実広 信哉  
代理人 村山 靖彦  

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