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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06Q
管理番号 1354561
審判番号 不服2018-12175  
総通号数 238 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-10-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-09-11 
確定日 2019-09-17 
事件の表示 特願2017-505985「コントローラ、電気料金表示方法、及びプログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 9月22日国際公開、WO2016/147391、請求項の数(10)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成27年3月19日を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
平成29年 5月12日:手続補正書の提出
平成30年 3月 7日:拒絶理由通知書
平成30年 5月 9日:意見書、手続補正書の提出
平成30年 6月14日:拒絶査定
平成30年 9月11日:審判請求書、手続補正書の提出
平成30年11月29日:上申書の提出

第2 原査定の概要
原査定(平成30年6月14日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
請求項1-2、4、9-10に係る発明は、以下の引用文献1-2、4-5に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。
また、請求項3に係る発明は、以下の引用文献1-5に基づいて、請求項5に係る発明は、以下の引用文献1-6に基づいて、請求項6に係る発明は、以下の引用文献1-6、9に基づいて、請求項7に係る発明は、以下の引用文献1-7、9に基づいて、請求項8に係る発明は、以下の引用文献1-9に基づいて、それぞれ、その出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。
引用文献等一覧
1.特開2013-97673号公報
2.特開2002-259706号公報
3.特開2004-94637号公報
4.特開2011-258020号公報
5.特開2010-44595号公報
6.特開2012-231554号公報
7.特開2010-259186号公報
8.特開2010-185596号公報
9.特開2014-117101号公報

第3 本願発明
本願請求項1-10に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明10」という。)は、平成30年9月11日の手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-10に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1は以下のとおりの発明である。
「【請求項1】
需要家に適用可能な複数の電力事業者の料金プランを取得する料金プラン取得部と、
前記取得した料金プラン毎に、前記料金プランを適用した場合の前記需要家の電気料金の試算結果を、前記料金プランの特徴を表す各種の属性情報とともに表示する料金表示部と、
前記需要家に設置されている電気機器の稼働時間を電力量料金単価のより安い時間帯にシフトした場合の電気料金を試算するシフト部と、を備え、
前記料金表示部は、前記シフト部による試算結果と、前記シフトをすることによって生じるユーザの生活の変化に関するアドバイスを表示し、
前記アドバイスには、前記シフトに際してのユーザへの注意を喚起するための情報が含まれ、
前記シフト部は、ユーザから指定された前記シフトの程度に基づいて前記シフトを行う、
コントローラ。」

なお、本願発明2-10の概要は以下のとおりである。
本願発明2-8は、本願発明1を減縮した発明である。
本願発明9は、本願発明1に対応する方法の発明であり、本願発明1とカテゴリ表現が異なるだけの発明である。
本願発明10は、本願発明1に対応するプログラムの発明であり、本願発明1の「コントローラ」を「コンピュータ」に「機能させ」る「プログラム」に置き換えた発明である。

第4 引用文献、引用発明等
1 引用文献1について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献1(特開2013-97673号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている。
(1)「【請求項1】
データの保持機能を有する電力量計に保持された消費電力量データを少なくとも取得する電力情報取得手段と、
前記電力情報取得手段により取得された消費電力量データを入力として、1又は複数の電力会社が提供する電力料金体系のうち選択された1又は複数の電力料金体系に基づいた電気料金をそれぞれ算出する算出手段と、
前記算出手段により算出された電気料金を出力する出力手段と、
を有することを特徴とする電気料金試算システム。
【請求項2】
各電力会社が提供する各電力料金体系に基づいた電気料金の計算方法を特定する電力料金体系情報を取得する電力料金体系情報取得手段を有し、
前記算出手段は、取得された電力料金体系情報に従って当該電力料金体系に基づいた電気料金を算出することを特徴とする請求項1記載の電気料金試算システム。」

(2)「【0019】
図1は、本発明に係る電気料金試算システムの一実施の形態を示したシステム全体構成図及びブロック構成図である。図1には、スマートメータ11とパーソナルコンピュータ(PC)12が設置された家庭10と、Webサーバ21が設置されたサービス提供会社20とが、示されている。なお、各家庭10には、同様の構成が設けられていればよいので、図1には一家庭のみの構成を図示した。」

(3)「【0022】
図1に戻り、本実施の形態におけるPC12は、機能ブロックとして、消費電力量データ取得部121、契約プラン選択部122、契約プラン情報取得部123、電気料金算出部124、表示処理部125、消費電力量データ記憶部126及び電気料金試算値記憶部127を有している。消費電力量データ取得部121は、電力情報取得手段として機能し、スマートメータ11に保持されたエネルギーデータのうち少なくとも消費電力量データを取得し、消費電力量データ記憶部126に蓄積する。各電力会社は、「従量電灯A」、「タイムプラン(時間帯別電灯)」などの電力料金体系(以下、「契約プラン」ともいう)を用意し、各家庭10は、その中からいずれかの契約プランに従った契約をしている。契約プラン選択部122は、1又は複数の電力会社が提供する契約プランの中から試算対象としてユーザにより選択された1又は複数の契約プランを受け付ける。契約プラン情報取得部123は、各電力会社が提供する各契約プランに基づいた電気料金の計算方法を特定する契約プラン情報のうち少なくともユーザにより選択された契約プランに対応する契約プラン情報をサービス提供会社20から取得する。電気料金算出部124は、算出手段として機能し、消費電力量データ取得部121により取得された消費電力量データを入力として、1又は複数の電力会社が提供する契約プランのうちユーザにより選択された1又は複数の契約プランに基づいた電気料金をそれぞれ算出する。この算出した結果は、試算値として電気料金試算値記憶部127に記録される。表示処理部125は、出力手段として機能し、電気料金算出部124により算出された電気料金をディスプレイ38に表示する。」

(4)「【0035】
続いて、所定のユーザ操作により電気料金試算プログラムが起動されると、あるいは起動後にユーザによって契約プラン選択部122が提供する機能が選択されると、契約プラン選択部122は、試算対象とする契約プランをユーザに選択させる(ステップ120)。具体的には、契約プラン選択部122は、所定の契約プラン選択画面(図示せず)をディスプレイ38に表示する。この契約プラン選択画面には、試算対象として選択可能な各電力会社の各契約プランの一覧がリスト表示され、ユーザは、この表示された契約プランの一覧の中から試算対象としたい契約プランを選択する。試算対象として選択可能な各電力会社の契約プランは、Webサーバ21において管理されているので、契約プラン選択部122は、契約プラン情報取得部123を介して選択可能な各電力会社の契約プランの一覧を取得して画面表示する。」

(5)「【0048】
以上のようにして、電気料金算出部124は、ユーザにより選択された契約プランそれぞれに基づいた、2010年11月から2011年4月までの6ヶ月という試算期間の電気料金を算出すると、その算出結果を電気料金の試算値として電気料金試算値記憶部127に記録する。」

(6)「【0050】
電気料金算出部124による電気料金の試算が終了すると、表示処理部125は、その試算結果を電気料金試算値記憶部127から読み出し、所定の形式にて試算結果をディスプレイ38に表示する(ステップ150)。この試算した電気料金の表示の一例を図6に示す。図6に示した表示例によると、比較対象の契約A,Bを月毎に並べて表示しているので、各月の電気料金の差異が一目瞭然である。契約中の契約プランの電気料金も合わせて表示するようにすれば、契約先や契約プランの変更の必要性を即座に認識できる。
【0051】
なお、本実施の形態では、出力手段として、試算結果をディスプレイ38に表示する表示処理部125を設けた例を示したが、これに限らず、例えば印字出力する印刷処理手段やネットワークを介して電気料金試算値データを送信する送信手段等を代わりに設けてもよい。あるいは、出力手段として複数の手段を設けてもよい。
【0052】
本実施の形態によれば、スマートメータ11から取得できる消費電力量の実績値に基づいて、1又は複数の電力会社における1又は複数の契約プランに基づいた電気料金を試算し、比較表示することができる。特に、スマートメータ11から取得できる同一の実績データを用いて各契約プランに基づいた電気料金を試算するので、その試算された各電気料金は正確な値となり、また、信頼性の高い契約プランの比較結果をユーザに提供することができる。」

【図6】


したがって、上記記載事項及び【図6】から、上記引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「各電力会社が提供する各契約プランに基づいた電気料金の計算方法を特定する契約プラン情報のうち少なくともユーザにより選択された契約プランに対応する契約プラン情報をサービス提供会社20から取得する契約プラン情報取得部123と、
スマートメータ11に保持されたエネルギーデータのうち少なくとも消費電力量データを取得し、消費電力量データ記憶部126に蓄積する消費電力量データ取得部121と、
1又は複数の電力会社が提供する契約プランの中から試算対象としてユーザにより選択された1又は複数の契約プランの選択を受け付ける契約プラン選択部122と、
消費電力量データ取得部121により取得された消費電力量データを入力として、1又は複数の電力会社が提供する契約プランのうちユーザにより選択された1又は複数の契約プランに基づいた電気料金をそれぞれ算出する電気料金算出部124と、
電気料金算出部124により算出された電気料金を表示するディスプレイ38と、
を有することを特徴とする電気料金試算システムであって、
契約プラン選択部122は、契約プラン情報取得部123を介して選択可能な各電力会社の契約プランの一覧を取得して画面表示する、
電気料金試算システム。」

2 引用文献2について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献2(特開2002-259706号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている。
(1)「【0028】次に、上述した「評価項目」、「重み付け」および「満たし度」、ならびにこれら「重み付け」および「満たし度」から算出される評価点数について説明する。保険加入希望者は、保険商品の補償やサービスの各内容に対して、どの評価項目に重きを置いて評価するということが、一人一人異なる。例えば、保険として「自動車保険」を一例に説明する。自動車保険では、「保険金支払い補償」以外の補償としては、「保険金以外の補償」、「条件割引き」、「事故後のサービス」、「付帯サービス」、「特約補償」に大別できる。これら「保険金支払い補償」以外の補償やサービスには、以下に述べるものがあり、それぞれ「評価項目」として設定可能である。保険加入希望者は、これら「評価項目」の中から自身の保険契約の内容として所望する「評価項目」を選択・提示して保険契約を行う。
【0029】(1)「保険金以外の補償」に含まれる「評価項目」「事故時のホテル宿泊費用」「タクシー、列車代等臨時帰宅費用」「レッカー車移動費用」「代車費用」「全損時諸費用」「新車取得差額費用」「他車運転優先支払い」「満期掛け金払い戻し」
【0030】(2)「条件割引き」に含まれる「評価項目」「走行距離割引き」「ゴールド免許所持者割引き」「安全運転者割引き」「早期契約割引き」「家族限定割引き」「エアバッグ割引き」「横滑り防止装置割引き」「安全ボディ割引き」「エコロジーカー割引き」「4WD割引き」
【0031】(3)「事故後のサービス」に含まれる「評価項目」「指定工場手配」「緊急メッセージサービス」「専任サポート制」「事故処理要員数」「事故処理センター数」「保険金支払い日数(車両)」「保険金支払い日数(対物)」
【0032】(4)「付帯サービス」に含まれる「評価項目」「パンク修理、キーとじ込み、高速道路上ガス給油など故障時対処」「バッテリ上りなど自宅急行修理」「道路地図FAXなどのロードアシスタント」「会社格付け」「インターネット契約の可否」「国内資本」
【0033】(5)「特約補償」に含まれる「評価項目」「1回目の事故に限り免責金額がゼロになる免ゼロ特約」「搭乗者傷害保険医療特約」「ファミリーバイク特約」「自損事故保険特約」「身の回り品特約」「1回目の事故に限り翌年の保険料が上がらないという特級プロテクト特約」「人身障害保険特約」」

(2)「【0035】一方、保険加入希望者は、各評価項目に対して、各保険がどのように対応してくれるかということも評価したい。そこで、各評価項目に対して、各保険がどのように対応してくれるかを表わす指標を「満たし方」とする。上述した保険会社サーバ1,2,3では、保険商品の補償やサービスの各内容を、1つの評価項目として取り扱い、保険加入希望者が設定した「評価項目」、「評価項目」に対する「重み付け」、および「申告事項」に従って、その保険商品の補償やサービスを評価し、「満たし方」としてクライアント端末10-1?10-nに提示するようになっている。該「満たし方」は、「重み付け」と同様に、数値で表わすことができる。これを、「満たし度値」とする。「満たし度値」は、各評価項目に対して十分に対応している保険に対しては、大きな値となり、それほどでもないという保険に対しては小さな値となるように、保険加入希望者自身により、上記「満たし方」を参照しながら決定される。
【0036】上述した「重み付け値」と「満たし度値」とを、次のようにして乗算することにより、各保険の各評価項目に対する対応度を、「評価点数」として数値化することができる。「評価点数」=「重み付け値」×「満たし度値」
【0037】すなわち、「評価点数」が大きな値となった保険ほど、その評価項目に関して、保険加入希望者の要求により合致する、補償やサービスを有していると言うことができる。ある保険商品の場合、第1の「評価項目」に対して、「重み付け値」がw1で、「満たし度値」がs1であるとすると、「評価点数」は、w1×s1となる。以下、第2の「評価項目」に対して、「重み付け値」がw2で、「満たし度値」がs2であるとすると、「評価点数」は、w2×s2となり、第3の「評価項目」について、「重み付け値」がw3で、「満たし度値」がs3であるとすると、「評価点数」は、w3×s3となる。
【0038】例えば、比較したい評価項目が8項目あったとき、「評価項目」、「重み付け値」、「満たし度値」および「評価点数」は、図2に示すようになる。
【0039】この保険商品に対する「評価点数」の合計は、(w1×s1)+(w2×s2)+(w3×s2)+……+(w8×s8)となる。該「評価点数」の合計を、該保険商品の「評価総点数」として「T」で表わす。」

(3)「【0053】保険情報サービスサーバ20は、クライアント端末10-iから提示される、保険商品を選択する際に重要視する「評価項目」、該「評価項目」の各々に対する重要視度を数値化した「重み付け値」、「申告事項」をネットワーク11を介して受け取り、複数の保険会社A,Bの保険会社サーバ1,2に提示する。また、保険情報サービスサーバ20は、複数の保険会社A,Bの保険会社サーバ1,2から補償やサービスの内容である、「満たし方」や保険金見積り金額などの条件とを受け、これら「満たし方」や条件を保険加入希望者のクライアント端末10-iに通知するようになっている。」

(4)「【0062】次に、図9は、図4に示す満たし度値入力画面に「ガイド値」を適用した場合の満たし度値入力画面を示す模式図である。図示の例では、評価項目3の「満たし度値」を入力する場合、「上」や「並」などの「満たし方」の下に、最高が10点の「満たし度値」が、「ガイド値」として示されている。保険加入希望者は、図示する「満たし方」および「ガイド値」とを参照しながら、自分なりの「満たし度値」を入力する。なお、図示の例では、「ガイド値」は、整数となっているが、「ガイド値」も「満たし度値」も小数などとしてもよい。」

(5)「【0070】上述した実施形態によれば、保険加入希望者は、自身が入力した数値評価に基づいて、保険会社および保険種類を絞り込むので、保険会社や保険選択サポート会社は、保険加入希望者に対して、保険の補償やサービスの内容を自己にとって最適であるということを、納得してもらえる。また、保険加入希望者にとって、二社択一的評価でなく、「重み付け」においても、「満たし度」においても、自分の感覚に合う評価ができる。
【0071】また、上述した実施形態によれば、保険選択サポート会社は、多くの保険加入希望者の入力値(重み付け値、満たし度値)を集計し、顧客情報との相関関係を調べることにより、個々の保険加入希望者対して効果的な「ガイド値」を提示することができる。したがって、保険加入希望者は、「ガイド値」を用いて、「重み付け値」および「満たし度値」を容易に入力することができ、かつ自己にとって最適な保険商品を知ることができる。ゆえに、保険加入希望者は、当該サービスを継続的に受けようとし、保険選択サポート会社は、多くの保険加入希望者を獲得することができる。」

【図9】


したがって、上記記載事項及び【図9】から、上記引用文献2には、「複数の保険商品から自己にとって最適な保険商品を知るために、各保険商品を各評価項目とともに画面表示する技術」という技術的事項が記載されていると認められる。

3 引用文献4について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献4(特開2011-258020号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている。
(1)「【0010】
実施の形態1 以下、実施の形態を図面を参照して具体的に説明する。本願に係る料金契約報知システムは、電力会社との間で電気料金に関する料金契約を交した複数の契約者夫々の住居に設置された送信装置と、当該送信装置との間で通信するサーバ装置とを有する電気料金算出システムである。送信装置は、各住居に供給された電力を使用する各機器の電力使用量及び電力使用時間帯を随時取得してサーバ装置に送信する。サーバ装置は、送信装置から送られてきた電力使用量及び電力使用時間帯を受信して、契約者が契約中の料金契約に従って契約者の住居での総電力使用量に応じた電気料金を算出する。
【0011】
また、サーバ装置は、各機器の電力使用時間帯を変更して算出した電気料金を比較することにより、契約者が契約している料金契約よりも電気料金が安価となる他の料金契約を契約者に報知する料金契約報知装置としても機能する。サーバ装置は、各家庭に配置されて料金契約の報知を行っても良い。また、サーバ装置の料金契約を報知する機能を各送信装置に内蔵してもよい。本実施の形態では、各家庭に配置された送信装置と、電力会社に配置されたサーバ装置とを含み、料金契約を報知する機能を有する電気料金算出システムを例に挙げて説明する。また、各種料金契約として後述の従量制料金契約、時間帯別料金契約及び季節別料金契約を例に挙げる。」

(2)「【0062】
図17は、料金契約報知画面の例を示す模式図である。料金契約報知画面は、料金算出処理のステップS20で契約中の料金契約よりも安価となる契約料金を報知すべく表示部44に表示される。契約報知画面には、契約者が契約中の料金契約の種類と、推奨時間帯で機器を使用した場合に契約中の料金契約よりも安価となる時間別料金契約とが報知される。また、決定した推奨時間帯が電力使用時間帯と異なる機器を、時間別料金契約が従量制料金契約よりも安価となるために電力使用時間帯の変更が必要となる機器として報知する。
【0063】
図17に示す例では、契約中の料金契約が従量制料金契約であることを示すメッセージ「現在の料金契約:従量電灯A」が表示されている。また、図17に示す例では、洗濯機及び電気自動車の電力使用時間帯を移動させた場合に契約中の従量制料金契約よりも時間帯別料金契約が安価となる旨のメッセージが表示されている。また、直近の受信月から1年間の割引時間帯及びそれ以外の時間帯における総電力使用量と、各料金契約に従って総電力使用量に応じて算出された電気料金が表示されている。
【0064】
また、洗濯機及び電気自動車を割引時間帯に使用した場合の割引時間帯及びそれ以外の時間帯夫々における総電力使用量、各料金契約に従って総電力使用量に応じて算出された電気料金が表示されている。各料金契約に従って算出された電気料金のうち、最も安価となる電気料金が太枠で囲まれて表示されている。」

【図17】


したがって、上記記載事項及び【図17】から、上記引用文献4には、「サーバ装置が、各住居に供給された電力を使用する各機器の電力使用量及び電力使用時間帯を取得して、契約者が契約中の料金契約に従って契約者の住居での総電力使用量に応じた電気料金を算出するとともに、各機器の電力使用時間帯を変更して算出した電気料金を比較することにより、契約者が契約している料金契約よりも電気料金が安価となる他の料金契約を、各機器の電力使用時間帯を変更した場合に他の料金契約の方が安価となる旨のメッセージや電力使用時間帯を変更する機器名、変更する電力使用時間帯とともに、ディスプレイに表示することで、契約者に報知する技術」という技術的事項が記載されていると認められる。

4 引用文献5について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献5(特開2010-44595号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている。
(1)「【0041】
図2は、第1の実施の形態にかかる電気料金計算システム1の機能ブロック図である。 本実施形態において、電気料金計算システム1を構成する管理サーバ10は、インターネット等のネットワーク2を介して、顧客A住宅4Aに設置された端末41A,顧客B住宅4Bに設置された端末41Bと接続する。さらにネットワーク2は、図示しない検針担当者が携帯するハンディターミナル5とも接続する。なお、図2では同じネットワーク2としたが異なるネットワークでもよい。」

(2)「【0045】
管理サーバ10は、ネットワーク2と接続する送受信部11,電気料金の計算に関する演算処理を行う中央演算処理部12,電気料金の計算に必要な情報を保持する記憶部13,データを入力するキーボード等の入力部14およびデータを出力する表示装置あるいはプリンタ等の出力部15から構成されている。」

(3)「【0077】
[第2の実施形態]
次に、本発明の電気料金計算システム1にかかる第2の実施の形態について説明する。
本実施形態の電気料金計算システム1では、管理サーバ10の中央演算処理部12に料金試算手段125を備える点で第1の実施の形態と異なる(図2)。
【0078】
本実施形態の料金試算手段125は、電気料金の算出に際して、電力使用の時間帯による割引が受けられる電気料金メニュー(以下「時間帯割引」という)が適用されなかった顧客に対し、顧客の生活スタイルを大きく変更することなく、時間帯割引の適用が可能か否かの試算を行う。試算の結果、時間帯割引の適用が可能な顧客に対しては、「電気料金のお知らせ」で試算結果を通知することで、電化製品の使用時間を変更するように誘導を図ることとする。
【0079】
具体的には、図6に示す請求DB133の料金メニューテーブルに基づいて説明する。本例において「従量電灯」の電気料金メニューは、電力を使用する時間帯にかかわらない基準で電力量単価が設定されている。一方、「時間帯別電灯(2段階)」「時間帯別電灯(3段階)」では、夜間等で大幅な割引が設定されており、顧客にとっては適用を受けることによる経済的な利益が生じる。また、たとえば夜間等における顧客の電力使用は、電気供給事業者にとっても、電力の余剰供給能力の観点からメリットが大きい。」

(4)「【0084】
本実施形態においても、第1の実施形態と同様に、顧客の当月の電力使用量を時間単位で算出すると(電力使用量算出手段123)、料金判定手段124により、それぞれの電気料金メニューに当てはめて電気料金の算出を行い(S201)、もっとも低価格な電気料金メニューを判定する(S202)。
【0085】
参考に図13に顧客Bの当月における料金メニュー計算テーブルの計算例を示す。本例では、時間帯による割引が設定された電気料金メニューは適用されず、料金判定手段124は「従量電灯」がもっとも低価格な電気料金メニューと判定する(S202において「NO」)。しかし、図13において網掛けの時間帯における電力使用量を、隣接する時間帯にシフトして(S203)、それぞれの電気料金メニューに当てはめて電気料金の判定を行った結果(S204)、「時間帯別電灯(2段階)」または「時間帯別電灯(3段階)」がもっとも低価格な電気料金メニューとなる場合には(S205において「YES」)、顧客の生活スタイルを大きく変更することなく、時間帯割引が設定された電気料金メニューの適用が可能であると判定する(料金試算手段125)。
【0086】
なお、電力使用量を隣接する時間帯にシフトさせるのに際して、冷蔵庫や空調設備等の継続して使用する機器を考慮することで実効性を高めることができる。具体的には、本例においては当月における時間単位の電力使用量がもっとも少ない時間帯の電力使用量を、継続して使用する機器の電力使用量として、隣接する時間帯にシフトさせる電力使用量から減じることとする。
【0087】
図14では、料金試算手段125により、顧客Bの当月における料金メニュー計算テーブル(図13)の試算を行った結果を例示する。」

(5)「【0091】
図14の例では、料金試算手段125による電力使用の時間帯をシフトした試算の結果、「時間帯別電灯(3段階)」がもっとも低価格な電力料金メニューと判定されるので、料金通知データ作成手段126により生成される「電気使用量のお知らせ」において(S207)、試算結果のデータを記載して(S206)、顧客Bの端末41Bに伝送される(S208)。」

(6)「【0111】
たとえば、顧客が昼間に自宅で家事を行う主婦等であって、夜間の時間帯における電力使用への変更が困難な場合に、過去の時間帯別の使用実績に基づき電化製品を使用した家事を行う生活パターンを分析して、個別に時間変更のアドバイスを行うようにすることもできる。ここで、生活パターンの分析の一例として、毎日の時間単位の電力使用量で定型的に増加する時間帯を抽出することで行う。また、個別に行う時間変更のアドバイスでは、顧客の生活スタイルに大きな変更を生じないよう、定型的に増加する時間を夜間または早朝に向けて、隣接する時間帯に移行させるようにアドバイスを行う。その後も計測を継続して、隣接する時間帯への移行がなされた場合に、さらに隣接する時間帯への移行のアドバイスを行う。これにより、顧客への負担を生ずることなくピーク時における電力使用を抑制することができる。なお、この場合において、隣接する時間帯への移行がなされた場合に、たとえば一時的に電気料金の割引を行うことで、顧客にインセンティブを付与することができる。」

(7)「【0114】
料金試算手段125は、シフトさせた後の時間帯を判定した結果、顧客が活動していない時間帯の場合にはシフトを行わないように設定する。
これにより、シフトさせた後の時間帯を顧客の活動時間に限ることができるので、顧客に対するアドバイスをより実現性の高いものとすることができる。」

【図2】


【図14】


したがって、上記記載事項、【図2】及び【図14】から、上記引用文献5には、「管理サーバが、顧客の電力使用量を算出すると、「従量電灯」、「時間帯別電灯(2段階)」、「時間帯別電灯(3段階)」といったそれぞれの電気料金メニューに当てはめて電気料金の算出を行い、もっとも低価格な電気料金メニューを判定し、また、電力使用の時間帯をシフトした試算の結果、もっとも低価格な電力料金メニューを判定し、「電気使用量のお知らせ」において試算結果のデータを記載して、顧客の端末に伝送する技術であって、顧客が活動していない時間帯の場合には、電力使用の時間帯のシフトを行わないように設定し、また、夜間の時間帯における電力使用への変更が困難な場合に、過去の時間帯別の使用実績に基づき電化製品を使用した家事を行う生活パターンを分析して、個別に時間変更のアドバイスを行う技術」という技術的事項が記載されていると認められる。

第5 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。
ア 引用発明における「契約プラン情報取得部」、「電気料金試算システム」は、本願発明1における「料金プラン取得部」、「コントローラ」に相当する。

イ また、「電気料金算出部124により算出された電気料金を表示するディスプレイ38」との記載によれば、引用発明における「ディスプレイ38」は、「電気料金算出部124により算出された電気料金を表示する」ものである。ここで、「1又は複数の電力会社が提供する契約プランのうちユーザにより選択された1又は複数の契約プランに基づいた電気料金をそれぞれ算出する電気料金算出部124」との記載によれば、「電気料金算出部124」は「1又は複数の契約プランに基づいた電気料金をそれぞれ算出する」ものであるから、「電気料金算出部124により算出された電気料金を表示する」ものである「ディスプレイ38」は、「1又は複数の契約プランに基づいた電気料金」を表示するものである。
よって、引用発明の「電気料金算出部124により算出された電気料金を表示するディスプレイ38」は、「前記取得した料金プラン毎に、前記料金プランを適用した場合の前記需要家の電気料金の試算結果を表示する料金表示部」ということができ、この点で、本願発明1と一致する。もっとも、本願発明1では、「料金表示部」は、「試算結果を、前記料金プランの特徴を表す各種の属性情報とともに表示」しているのに対し、引用発明では、属性情報の表示を行う構成を有していない点で相違する。

したがって、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。
(一致点)
「需要家に適用可能な複数の電力事業者の料金プランを取得する料金プラン取得部と、前記取得した料金プラン毎に、前記料金プランを適用した場合の前記需要家の電気料金の試算結果を料金表示部と、を備える、コントローラ。」
(相違点)
(相違点1)本願発明1が備える「料金表示部」は、「前記取得した料金プラン毎に、前記料金プランを適用した場合の前記需要家の電気料金の試算結果を、前記料金プランの特徴を表す各種の属性情報とともに表示する」という構成を備えるのに対し、引用発明は、「前記取得した料金プラン毎に、前記料金プランを適用した場合の前記需要家の電気料金の試算結果を表示する料金表示部」に相当する構成を備える一方、「前記料金プランの特徴を表す各種の属性情報」の表示を行う構成を備えていない点。
(相違点2)本願発明1は「前記需要家に設置されている電気機器の稼働時間を電力量料金単価のより安い時間帯にシフトした場合の電気料金を試算するシフト部」という構成を備えるのに対し、引用発明はそのような構成を備えていない点。
(相違点3)本願発明1が備える「料金表示部」は、「前記シフト部による試算結果と、前記シフトをすることによって生じるユーザの生活の変化に関するアドバイスを表示し、前記アドバイスには、前記シフトに際してのユーザへの注意を喚起するための情報が含まれ」るという構成を備えるのに対し、引用発明はそのような構成を備えていない点。
(相違点4)本願発明1が備える「シフト部」は、「ユーザから指定された前記シフトの程度に基づいて前記シフトを行う」という構成を備えるのに対し、引用発明はそのような構成を備えていない点。

(2)相違点についての判断
ア 相違点1について
引用文献2には、複数の保険商品から自己にとって最適な保険商品を知るために、各保険商品を各評価項目とともに画面表示する技術が記載されており、このように、複数の契約商品から自己にとって最適な契約商品を知るために、各商品を各評価項目とともに画面表示する技術自体は、情報処理技術分野において周知の技術にほかならない。
引用発明と、引用文献2に記載された技術とは、複数の契約商品から最適な契約商品を知るために支援する情報処理技術という点で共通するものであり、また、画面上で所定の条件を選択した場合に、当該選択した所定の条件に該当する結果の表示を、条件選択表示とともに同一画面上で表示することは、情報処理技術分野において一般的に行われている常套手段であることに鑑みれば、引用発明において引用文献2に記載された周知技術を採用し、選択可能な各電力会社の契約プランの一覧が各契約プランの各評価項目とともに画面表示され、この表示された契約プランの一覧の中から試算対象とする契約プランを選択すると、この選択された複数の契約プランに基づいた複数の電気料金を算出し、この算出された複数の電気料金を、各評価項目とともに画面表示された、選択可能な各電力会社の各契約プランの一覧とともに、ディスプレイに並べて表示する構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

イ 相違点2-4について
上記相違点3及び4は、上記相違点2で示される「前記需要家に設置されている電気機器の稼働時間を電力量料金単価のより安い時間帯にシフトした場合の電気料金を試算するシフト部」を備えることを前提とした相違点であり、上記相違点2とそれぞれ関連するものであることから、上記相違点2?4について、まとめて検討する。
引用文献4には、サーバ装置が、各住居に供給された電力を使用する各機器の電力使用量及び電力使用時間帯を取得して、契約者が契約中の料金契約に従って契約者の住居での総電力使用量に応じた電気料金を算出するとともに、各機器の電力使用時間帯を変更して算出した電気料金を比較することにより、契約者が契約している料金契約よりも電気料金が安価となる他の料金契約を、各機器の電力使用時間帯を変更した場合に他の料金契約の方が安価となる旨のメッセージや電力使用時間帯を変更する機器名、変更する電力使用時間帯とともに、ディスプレイに表示することで、契約者に報知する技術が記載され、また、引用文献5には、管理サーバが、顧客の電力使用量を算出すると、「従量電灯」、「時間帯別電灯(2段階)」、「時間帯別電灯(3段階)」といったそれぞれの電気料金メニューに当てはめて電気料金の算出を行い、もっとも低価格な電気料金メニューを判定し、また、電力使用の時間帯をシフトした試算の結果、もっとも低価格な電力料金メニューを判定し、「電気使用量のお知らせ」において試算結果のデータを記載して、顧客の端末に伝送する技術であって、顧客が活動していない時間帯の場合には、電力使用の時間帯のシフトを行わないように設定し、また、夜間の時間帯における電力使用への変更が困難な場合に、過去の時間帯別の使用実績に基づき電化製品を使用した家事を行う生活パターンを分析して、個別に時間変更のアドバイスを行う技術が記載されている。
これら引用文献4-5に記載されているように、住居における各機器の電力使用量及び電力使用時間帯を取得して、契約者が契約中の料金契約に従って契約者の住居での総電力使用量に応じた電気料金を算出するとともに、各機器の電力使用時間帯を変更して算出した電気料金を比較することにより、契約者が契約している料金契約よりも電気料金が安価となる他の料金契約をディスプレイに表示して、契約者に報知する技術自体は、情報処理技術分野において周知の技術にほかならない。
しかしながら、引用発明は、そもそも、スマートメータ11に保持されたエネルギーデータのうち少なくとも消費電力量データを入力として、ユーザにより選択された1又は複数の契約プランに基づいた電気料金をそれぞれ算出する構成であって、機器毎の消費電力量や電力使用時間帯を入力して電気料金を算出するものではない。このため、引用発明において、電気料金試算システムは家庭における各機器の消費電力量及び電力使用時間帯をそもそも取得していない以上、各機器の電力使用量や電力使用時間帯を取得して用いることが前提となっている、引用文献4-5に記載された上記周知の技術を、引用発明において採用することは困難である。したがって、当業者であっても、引用発明及び引用文献4-5に記載された技術的事項から、上記相違点2に係る本願発明1の「前記需要家に設置されている電気機器の稼働時間を電力量料金単価のより安い時間帯にシフトした場合の電気料金を試算するシフト部」という構成を容易に想到することはできない。
また、上記相違点2に係る本願発明1の「シフト部」を備えることを前提とする、上記相違点3に係る本願発明1の構成である、「料金表示部」が「前記シフト部による試算結果と、前記シフトをすることによって生じるユーザの生活の変化に関するアドバイスを表示し、前記アドバイスには、前記シフトに際してのユーザへの注意を喚起するための情報が含まれ」るという構成、及び、同様に上記相違点2に係る本願発明1の「シフト部」を備えることを前提とする、上記相違点4に係る本願発明1の構成である、「シフト部」が「ユーザから指定された前記シフトの程度に基づいて前記シフトを行う」という構成についても、同様に、当業者であっても、引用発明及び引用文献4-5に記載された技術的事項から、容易に想到することはできない。
したがって、当業者であっても、引用発明及び引用文献4-5に記載された技術的事項から、上記相違点2-4に係る本願発明1の上記各構成を、容易に想到することはできない。

なお、仮に、引用発明において引用文献4-5に記載された上記周知の技術を採用できたとしても、上記相違点3-4に係る本願発明1の上記各構成は、引用文献4-5には記載されておらず、したがって、当業者であっても、引用発明及び引用文献4-5に記載された技術的事項から、上記相違点3-4に係る本願発明1の上記各構成を、容易に想到することはできない。
すなわち、上記相違点3に係る本願発明1の上記構成に関し、引用発明において引用文献4-5に記載された上記周知の技術を採用したとしても、家庭における各機器の電力使用量及び電力使用時間帯を取得して、契約プラン選択部によって選択された1又は複数の契約プランに基づいた電気料金をそれぞれ算出するとともに、各機器の電力使用時間帯を変更して算出した電気料金を比較することにより、ユーザが契約している契約プランよりも電気料金が安価となる他の契約プランをディスプレイに並べて表示する構成に留まる。そして、各機器の電力使用時間帯の変更に際してのユーザへの注意を喚起するための情報が含まれた、当該変更をすることによって生じるユーザの生活の変化に関するアドバイスを、ユーザが契約している契約プランよりも電気料金が安価となる他の契約プランをディスプレイに並べて表示する際に、ともに表示することは、情報処理技術分野における常套手段ではなく、当業者にとって自明でもない。よって、当業者であっても、引用発明及び引用文献4-5に記載された技術的事項から、上記相違点3に係る本願発明1の上記構成を、容易に想到することはできない。
また、同様に、上記相違点4に係る本願発明1の上記構成に関し、引用発明において引用文献4-5に記載された上記周知の技術を採用したとしても、各機器の電力使用時間帯の変更を、ユーザからの指定による当該変更の程度に基づいて行うことは、情報処理技術分野における常套手段ではなく、当業者にとって自明でもない。よって、当業者であっても、引用発明及び引用文献4-5に記載された技術的事項から、上記相違点4に係る本願発明1の上記構成を、容易に想到することはできない。
したがって、仮に、引用発明において引用文献4-5に記載された上記周知の技術を採用できたとしても、当業者であっても、引用発明及び引用文献4-5に記載された技術的事項から、上記相違点3-4に係る本願発明1の上記各構成を、容易に想到することはできない。

ウ したがって、本願発明1は、当業者であっても、引用発明及び引用文献2、4-5に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

2 本願発明2-8について
本願発明2-8は、本願発明1を減縮したものであり、本願発明1の構成を全て備えるものであるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2、4-5に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

3 本願発明9について
本願発明9は、本願発明1に対応する方法の発明であって本願発明1とカテゴリ表現が異なるだけの発明であり、本願発明1に対応する構成を全て備えるものであるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2、4-5に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

4 本願発明10について
本願発明10は、本願発明1に対応するプログラムの発明であって本願発明1の「コントローラ」を「コンピュータ」に「機能させ」る「プログラム」に置き換えた発明であり、本願発明1に対応する構成を全て備えるものであるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2、4-5に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

第6 むすび
以上のとおり、本願発明1-10は、当業者が引用発明及び引用文献2、4-5に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものではない。したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2019-09-02 
出願番号 特願2017-505985(P2017-505985)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G06Q)
最終処分 成立  
前審関与審査官 田付 徳雄塩田 徳彦  
特許庁審判長 佐藤 聡史
特許庁審判官 相崎 裕恒
渡邊 聡
発明の名称 コントローラ、電気料金表示方法、及びプログラム  
代理人 美恵 英樹  
代理人 木村 満  
代理人 八島 耕司  

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