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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01L
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H01L
管理番号 1354816
審判番号 不服2018-14056  
総通号数 238 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-10-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-10-24 
確定日 2019-08-29 
事件の表示 特願2017-509196「太陽電池モジュール」拒絶査定不服審判事件〔平成28年10月 6日国際公開、WO2016/157684〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2016年(平成28年)2月15日(優先権主張 平成27年3月30日)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。

平成30年 5月24日付け:拒絶理由通知書
平成30年 7月24日 :意見書、手続補正書の提出
平成30年 8月16日付け:拒絶査定(原査定、同年8月21日送達)
平成30年10月24日 :審判請求書、手続補正書の提出

第2 平成30年10月24日にされた手続補正についての補正の却下の決定

[補正の却下の決定の結論]
平成30年10月24日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]

1 本件補正について(補正の内容)
(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載

本件補正により、特許請求の範囲の請求項1、3の記載は、次のとおり補正された(下線部は、補正箇所である。)。

「 【請求項1】
第1の太陽電池セルと、
前記第1の太陽電池セルの裏面側に配置され、前記第1の太陽電池セルの端部から張り出すように設けられた導電性光反射膜と、
前記第1の太陽電池セルの裏面と前記導電性光反射膜との間に設けられた絶縁部材と、
前記第1の太陽電池セルの裏面側から前記第1の太陽電池セル及び前記導電性光反射膜を覆うように形成された裏面側充填部材とを備え、
前記絶縁部材は、前記裏面側充填部材よりも硬い材料によって構成されており、
前記絶縁部材は、前記第1の太陽電池セル側の面とは反対側の面である第1面には凹凸が形成されており、前記第1面とは反対側の面である第2面には凹凸が形成されておらず、
前記導電性光反射膜は、前記絶縁部材を基材として当該絶縁部材の前記第1面側に形成されている
太陽電池モジュール。」

「 【請求項3】
前記導電性光反射膜の表面形状は、前記絶縁部材の前記第1面の表面の凹凸形状に倣って凹凸形状に形成されている
請求項1又は2に記載の太陽電池モジュール。」

(2)本件補正前の特許請求の範囲の記載

本件補正前の、平成30年7月24日の手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1、3の記載は次のとおりである。

「 【請求項1】
第1の太陽電池セルと、
前記第1の太陽電池セルの裏面側に配置され、前記第1の太陽電池セルの端部から張り出すように設けられた導電性光反射膜と、
前記第1の太陽電池セルの裏面と前記導電性光反射膜との間に設けられた絶縁部材と、
前記第1の太陽電池セルの裏面側から前記第1の太陽電池セル及び前記導電性光反射膜を覆うように形成された裏面側充填部材とを備え、
前記絶縁部材は、前記裏面側充填部材よりも硬い材料によって構成されており、
前記導電性光反射膜は、前記絶縁部材を基材として当該絶縁部材に形成されている
太陽電池モジュール。」

「 【請求項3】
前記導電性光反射膜は、前記絶縁部材の表面に形成されている
請求項1又は2に記載の太陽電池モジュール。」

2 補正の適否
本件補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「絶縁材料」について、「前記絶縁部材は、前記第1の太陽電池セル側の面とは反対側の面である第1面には凹凸が形成されており、前記第1面とは反対側の面である第2面には凹凸が形成されておらず、」と限定し、「導電性光反射膜」について、絶縁部材「の前記第1面側」に形成されていると限定し、本件補正前の請求項3に記載された発明を特定するために必要な事項である「導電性光反射膜」について、「前記導電性光反射膜は、前記絶縁部材の表面に形成されている」を「前記導電性光反射膜の表面形状は、前記絶縁部材の前記第1面の表面の凹凸形状に倣って凹凸形状に形成されている」と限定するものであって、本件補正前の請求項1、3に記載された発明と本件補正後の請求項1、3に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

そこで、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下「本件補正発明」という。)が特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下に検討する。

(1)本件補正発明
本件補正発明は、上記1(1)に記載したとおりのものである。

(2)引用文献の記載事項
ア 原査定の拒絶の理由で引用された本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である、特表2002-513210号公報(以下「引用文献1」という。)には、図面とともに、次の記載がある(下線は、当審で付した。以下同じ。)。

「【0020】
一実施形態において、光反射性シート材料は、単一方向に走る複数の溝によって形成されるが、材料片は太陽電池間のスペースに位置づけられ、複数の溝は太陽電池の横列の間で単一方向に且つ太陽電池の縦列の間で異なる方向に延びる。別の実施形態は、(1)互いに平行に走る複数の溝を有し、すべての太陽電池の下に敷かれ、太陽電池の間のスペースを横切って延びる光反射性材料の1枚のシートと、(2)太陽電池の横列(又は縦列)の間に配設されている同じ材料のストリップで、ストリップにおける複数の溝が太陽電池の下に敷かれているシートの複数の溝に対して直角に延びるように配設されているストリップと、を有することを特徴とする。別の実施形態において、テクスチャー材料は、少なくとも2の異なる方向に走る複数の溝が配されて作られている。本発明の他の実施形態、特徴及び利点は、以下の詳細な説明及び図面から明らかとなるであろう。図面において、全体を通して、同じ部品を識別するために、同じ符号が用いられている。」

「【0022】
図1及び図2は、複数の矩形太陽電池4からなる従来の太陽電池モジュール2を示す。モジュールに用いられる太陽電池の種類は、変えてもよい。必要ではないが、好ましくは、モジュールは、シリコン太陽電池からなる。図示されていないが、各太陽電池は、前面に、1以上の母線によって相互連結されている狭く細長い平行なフィンガを備えるグリッド形態の表接点を含むことは理解されるであろう。かような太陽電池は、上述の米国特許第4,751,191号明細書、第5,074,920号明細書、第5,118,362号明細書、第5,178,683号明細書、第5,320,684号明細書、第5,478,402号明細書に記載されている。モジュールはさらに、剛性でも可撓性であってもよく種々の材料から作ることができるシートすなわちプレート6の形態である背面保護部材、好ましくは、背面保護シート6は、ガラス、プラスチック、ガラス繊維強化プラスチック又はチップボードなどの電気絶縁性材料である。好ましい背面保護部材は、Tedlar(登録商標)である。太陽電池は、縦横に平行に配置され、通常は平坦な銅リボンの形態である電線8によって相互に連結されている。通常の太陽電池の製造は、各列における太陽電池を直列に相互連結してストリングを形成し、次いで、モジュールが組み込まれる電気系の電圧要求及び電流要求に従って、ストリングを直列又は並列に、あるいは直列/並列の組合せに、連結する。図2を参照すれば、ストリング内で隣接する太陽電池は、可撓性銅リボン8の一端部を1個の太陽電池の裏電極に半田付けすることによって、及び同じリボンの反対側の端部を次の連続する太陽電池の表電極の母線に半田付けすることによって、直列に連結されている。」

「【0024】
背面シート6及び透過性カバー部材10の間に介在し且つ太陽電池4及び電気接続用リボン8の回りを取り巻くのは、適切な光透過性非電導性材料から作られているカプセル材料14である。好ましくは、カプセル材料14は、EVAの商品名で知られているエチレンビニルアセテートコポリマー又はイオノマーである。一般的には、太陽電池の配列の下方及び上部に位置づけられている不連続のシートの形態であるカプセル材料を導入することである。これらの構成要素は、次いで、背面シート6及びカバー部材10の間にサンドイッチされる。続いて、サンドイッチは真空下で加熱され、カプセル材料シートは、カプセル材料の周囲に流れて、太陽電池を包囲し、同時に、空気の蒸発によって生じる前面カバー部材と背面支持体との間の空隙を充填するに十分なほど液化される。冷却時に、液化したカプセル材料は固化し、元の場所で凝固して透過性固体マトリックスを形成する。透過性固体マトリックスは、太陽電池を包囲し、背面シート6及びカバー部材10の間のスペースを完全に充填するが、互いに離隔している太陽電池及び電気的な相互接続を形成する構成成分によって占領されない。カプセル材料は、積層サブアセンブリを形成するように、前面シート10及び背面シート6に接着する。」
「【0026】
本発明は、機械加工され又は成形された溝を有するAmickの反射手段に比べて廉価であるが同等の性能の反射手段で置換することによって、Amickの発明を改良する。以下、便宜上、図1及び図2に示す従来のモジュール構造体に対して加えられた新規なテクスチャー反射性材料の内容について、本発明を説明する。テクスチャー材料は、隣接する太陽電池の間のスペース及び太陽電池の配列の境界を決めるスペースに沿って延びる。
【0027】
図3は、本発明による反射性手段として用いられるテクスチャー材料20の好ましい形態の側面立面図である。反射性材料は、通常、所定角度でモジュール内の太陽電池の間のランド領域及太陽電池を取り巻くランド領域に衝突する光を反射することができるように、後述する溝の存在によって表面形状が定められる(textured)。反射した光は、カバー部材の前面に到達すると、総合的に内部反射して太陽電池の配列に戻る。テクスチャー材料は、薄く可撓性熱可塑性フィルム22の形態である基板を備える。基板の一方の側面は、光反射性金属フィルム24で被覆されている。基板は、複数の連続するV字形溝26を有するように形成されていて、各溝26は、相互に収束する一対の平滑な表面27A、27Bによって規定される。一対の表面27A、27Bは、互いに110゜?130゜の範囲、好ましくは約120゜の所定角度で延び、結果として、表面27A、27Bの金属コーティングの部分24A及び24Bは、光反射性ファセットを形成する。ファセットの間の角度が110゜?130゜であるから、各ファセットは、カバー部材の平面に対して25゜?30゜の角度で延びる。
【0028】
テクスチャー材料20は、幾つかの工程で製造される。第一に、基板として作用するフィルム22が、前面及び背面を有する連続ウェブすなわち伸張ウェブとして製造される。次いで、この連続ウェブは、次の処理のために、ロール上に巻き取られるか、又は次の処理ステージに直接送られる。次の処理は、一方の側面にV字形溝を形成するようにフィルムをエンボス加工する第1のエンボス加工を含む。好ましくは、エンボス加工は、フィルムをピンチローラー及びエンボスローラーの間に通過させることによって達成される。ピンチローラーは、平滑な円筒状表面を有し、エンボスローラーは、円筒状表面に複数の連続するV字形隆起を有する。この隆起は、エンボスローラーの周辺に沿って延在する。エンボスローローラーの隆起は、所望の形状及び深さのV字形溝の反転(ネガ)イメージである。フィルムは、加熱されて、2個のローラーの間を通過するにつれて、エンボスローラー上の隆起によって形状化されるに十分なほど柔らかくなる。隆起によって形成された溝は、フィルムの冷却時に形状が固定する。溝26の形成後、プラスチックフィルムは、金属化処理されて、接着性金属フィルム24が形成される。必要ではないが好ましくは、この処理は、エンボス加工の第1ステージ及び比較的高速度で連続プラスチックフィルムを種々のステージを介して搬送する搬送手段を含む高速機械の第2のステージとしての連続的なベース上で、慣用の蒸着処理によってなされる。金属化されたフィルムは、本明細書に記載されているように光反射手段として次の工程で使用するために、ロール上に巻き取られる。続いて、本発明による光反射手段として使用するために、ロールに巻き取られた金属化されたフィルムは、複数の片にカットされる。
【0029】
図3を参照すれば、基板は、熱可塑性で、透明でも、半透明でも、非透明でもよいプラスチックフィルム材料から作られている。コスト及び使用の容易さという観点から、基板22としては、ロール形態で保存することができるほど十分に可撓性であって容易に入手可能なプラスチックフィルムが好ましい。一例として、適切な材料は、ポリエチレンテレフタレートであり、搬送可能なロール状に巻き付けられたフィルムの形態で商品名「Mylar(登録商標)」として販売されている。他のプラスチックフィルムも使用することができる。限定するものではなく単に例示として、基板は、ポリエチレン又はポリプロピレンなどの他のポリエステル又はポリオレフィンから作られたフィルムでもよい。さらに別のプラスチックフィルムも当業者には自明であろう。
【0030】
十分に可撓性のテクスチャー反射体シートを、基板として、4?10ミル(0.004?0.010インチ(0.010?0.025cm))の範囲の厚みを有するプラスチックフィルムを用いて作ることができる。好ましくは、基板は、約5ミル(0.013cm)の厚みを有する。現在のところ、反射性金属コーティングとして、コスト上の理由からアルミニウムが好ましいが、銀の反射性は、コスト差をオフセットする程度にアルミニウムの反射性よりも高いので、銀も好ましいコーティングとなるであろう。この点に関して、アルミニウムは約80?85%の反射率を有するが、銀は95?98%の反射率を有することに注意されたい。金属は、オングストローム単位で非常に薄く塗布される。好ましくは、300オングストローム?1000オングストロームの範囲、より好ましくは300オングストローム?500オングストロームの範囲の厚みである。例示として、厚み約0.005インチ(0.013cm)で110゜?130゜の間の囲み角を有するV字形溝を有する基板において、溝は、約0.002インチ(0.005cm)の深さと、約0.007インチ(0.018cm)の繰り返し(ピークとピークの間)スペースを有する。
【0031】
テクスチャー材料20は、モジュール内の太陽電池間のスペース(ランド領域)を占領するように配設される。上述の溝26の幾何学形状ゆえに、一つのファセットから反射した光は、隣接する他のファセットによって遮断されず、むしろ複数のファセットから反射して透過性カバー部材に通過する光が、臨界角を越える角度でカバー部材の前面に当たり、その結果、反射した光のほぼすべてが内部反射して太陽電池に戻る。こうして、モジュールの電流出力を実質的に改良する。
【0032】
図4は、図3のテクスチャー積層反射体材料が、モジュール内でどのように用いられるかを示す。基本的に、積層シート材料20は、隣接する太陽電池の横列の間の領域30A及び隣接する太陽電池の縦列の間の領域30B、さらには太陽電池の配列の境界30C及び30Dに配設される。テクスチャー材料は、例えば図4において、溝26が領域30A及び30Cに水平に延在し、領域30Bに垂直に延在するように配設される。簡略化するために、図4には幾つかの溝26だけ、つまり全長の一部だけを示す。しかし、溝は、ランド領域30A、30B、30C及び30Dの全体にわたって延在することを理解されたい。
【0033】
図5は、図4に示す配置を達成する一つの手法を示す。この場合、図3の積層反射性フィルム材料のシート20Aは、太陽電池の配列の下方に置かれ、シートは配列の周辺を越えて突出するほど十分に大きく、シートの溝はランド領域30A、30B及び30Cにおける方向と同じ方向に延在する。同じ積層反射性フィルム材料の追加の長さがストリップ20Bにカットされる。ストリップ20Bは、ストリップの長さ方向に走る溝を有する。これらのストリップは、隣接する領域30Bの間及び領域30Bと30Cとの間の領域30Aの部分並びに領域30Cの間における領域30Dの部分においてシート20の上方に置かれて、部材20A及び20Bの溝は、図4に示すようなパターンを提供する。特に、複数の溝が太陽電池の縦列の間に平行に延びて配設され、追加の溝は太陽電池の横列の間に平行に延びて配設される。この配列は、テクスチャー可能な反射体シートのただ一つの形態が使用するために必要となるだけであり、隣接する横列の間の溝が縦列の間の溝に直角に方向付けられているので太陽電池の間の領域から内部反射して太陽電池の前面に戻る光の量を改良するという利点がある。」

「【0036】
図8は、積層プラスチックフィルム20Dの別の形態を示す。この場合、フィルムは、溝32A及び32Bのヘリンボーンパターンにエンボス加工される。この材料は、シート20Aの代わりに使用されてもよく、この場合には、ストリップ20Bは図5の実施形態から省略されるか又は複数のストリップにカットされて図6の実施形態におけるストリップ20Bの代わりに用いられてもよい。」

「【0041】
本発明は、さらに、透過性プラスチックフィルム基板及びその溝付表面上の金属コーティングからなる積層反射材料を組み込むことを意図する。金属コーティングは、透過性カバーシートから離隔する方向に面していて、金属フィルムの太陽電池を短絡する可能性を排除する。」

「【図面の簡単な説明】
・・・略・・・
【図3】
図3は、本発明により与えられるテクスチャー反射性積層フィルム材料の好ましい形態の拡大スケールでの一部側面立面図である。」

図3の記載から、基板22の第1面には、V字形溝26が形成されており、前記第1面とは反対側の面である第2面にはV字形溝26が形成されておらず、光反射性金属フィルム24は、基材22の前記第1面側に形成されていると見て取れる。


イ 上記アから、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「太陽電池と、
太陽電池の裏電極と、
薄く可撓性熱可塑性フィルム22の形態である基板を備え、基板の一方の側面は、光反射性金属フィルム24で被覆されているテクスチャー反射性積層フィルム材料と、
基板22として、適切な材料は、ポリエチレンテレフタレートであり、
太陽電池の配列の下方及び上部に位置づけられている不連続のシートの形態であり、EVAで知られているエチレンビニルアセテートコポリマー又はイオノマーであるカプセル材料と、からなり、
テクスチャー反射性積層フィルム材料のシート20Aは、太陽電池の配列の下方に置かれ、シートは配列の周辺を越えて突出するほど十分に大きく、シートの溝はランド領域30A、30B及び30Cにおける方向と同じ方向に延在し、
同じテクスチャー反射性積層フィルム材料の追加の長さがストリップ20Bにカットされ、シート20の上方に置かれ、
基板22の第1面には、V字形溝26が形成されており、前記第1面とは反対側の面である第2面にはV字形溝26が形成されておらず、光反射性金属フィルム24は、基材22の前記第1の面側に形成されており、
金属コーティングは、透過性カバーシートから離隔する方向に面していて、金属フィルムの太陽電池を短絡する可能性を排除する、
太陽電池モジュール。」

(3)対比
ア 本件補正発明と引用発明とを対比する。

(ア)引用発明の「太陽電池」は、本件補正発明の「第1の太陽電池セル」に、引用発明の「光反射性金属フィルム24」は、本件補正発明の「導電性光反射膜」に、引用発明の「『ポリエチレンテレフタレートであ』る『基板22』」は、本件補正発明の「絶縁部材」に、引用発明の「『太陽電池の配列の下方』『に位置づけられている不連続のシートの形態であり、EVAで知られているエチレンビニルアセテートコポリマー又はイオノマーであるカプセル材料』」は、本件補正発明の「前記第1の太陽電池セルの裏面側から前記第1の太陽電池セル及び前記導電性光反射膜を覆うように形成された裏面側充填部材」に、引用発明の「太陽電池モジュール」は、本件補正発明の「太陽電池モジュール」に、それぞれ相当する。

(イ) 引用発明では「テクスチャー反射性積層フィルム材料のシート20Aは、太陽電池の配列の下方に置かれ、シートは配列の周辺を越えて突出するほど十分に大きく、シートの溝はランド領域30A、30B及び30Cにおける方向と同じ方向に延在し」ていることから、テクスチャー反射性積層フィルム材料の光反射性金属フィルム24も同様に、「太陽電池の配列の下方に置かれ、シートは配列の周辺を越えて突出するほど十分に大きく、シートの溝はランド領域30A、30B及び30Cにおける方向と同じ方向に延在し」ている。
そうすると、引用発明の「『太陽電池の配列の下方に置かれ、シートは配列の周辺を越えて突出するほど十分に大きく、シートの溝はランド領域30A、30B及び30Cにおける方向と同じ方向に延在し』ている『テクスチャー反射性積層フィルム材料』の『光反射性金属フィルム24』」は、本件補正発明の「前記第1の太陽電池セルの裏面側に配置され、前記第1の太陽電池セルの端部から張り出すように設けられた導電性光反射膜」に、相当する。

(ウ)「ポリエチレンテレフタレート」は、「EVAで知られているエチレンビニルアセテートコポリマー又はイオノマー」よりも硬い材料であることは、技術常識である。
また、本願明細書の【0040】には「本実施の形態において、絶縁部材32は、透明なPETシートである。」、【0076】には「ラミネート処理前の裏面側充填部材62は、例えばEVA又はポリオレフィン等の樹脂材料によって構成された樹脂シートであり、複数の太陽電池セル10と裏面保護部材50との間に配置される。裏面側充填部材62は、ラミネート処理によって主に太陽電池セル10と裏面保護部材50との間の隙間を埋めるように充填される。」、【0077】には「本実施の形態における太陽電池モジュール1は片面受光方式であるので、裏面側充填部材62は、透光性材料に限るものではなく、黒色材料又は白色材料等の着色材料によって構成されていてもよい。一例として、ラミネート処理前の裏面側充填部材62としては、EVAからなる白色樹脂シートを用いている」と記載され、本願の明細書では、具体的な材料として、絶縁部材はPET、裏面側充填部材はEVAが挙げられている。
そうすると、引用発明の「『基板22として、適切な材料は、ポリエチレンテレフタレートであり、』『太陽電池の配列の下方』『に位置づけられている不連続のシートの形態であり、EVAで知られているエチレンビニルアセテートコポリマー又はイオノマーであるカプセル材料と、からなり』」は、本件補正発明の「前記絶縁部材は、前記裏面側充填部材よりも硬い材料によって構成されており」に相当する。

(エ)引用発明の「基板22の第1面には、V字形溝26が形成されており、前記第1の面とは反対側の面である第2面にはV字形溝26が形成されておらず、光反射性金属フィルム24は、基材22の前記第1の面側に形成されており」は、本件補正発明の「前記絶縁部材は、前記第1の太陽電池セル側の面とは反対側の面である第1面には凹凸が形成されており、前記第1面とは反対側の面である第2面には凹凸が形成されておらず、前記導電性光反射膜は、前記絶縁部材を基材として当該絶縁部材の前記第1面側に形成されている」と、「前記絶縁部材は、第1面には凹凸が形成されており、前記第1面とは反対側の面である第2面には凹凸が形成されておらず、前記導電性光反射膜は、前記絶縁部材を基材として当該絶縁部材の前記第1面側に形成されている」の点で一致する。

イ 以上のことから、本件補正発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。

【一致点】
「第1の太陽電池セルと、
前記第1の太陽電池セルの裏面側に配置され、前記第1の太陽電池セルの端部から張り出すように設けられた導電性光反射膜と、
絶縁部材と、
前記第1の太陽電池セルの裏面側から前記第1の太陽電池セル及び前記導電性光反射膜を覆うように形成された裏面側充填部材とを備え、
前記絶縁部材は、前記裏面側充填部材よりも硬い材料によって構成されており、
前記絶縁部材は、第1面には凹凸が形成されており、前記第1面とは反対側の面である第2面には凹凸が形成されておらず、
前記導電性光反射膜は、前記絶縁部材を基材として当該絶縁部材の前記第1面側に形成されている
太陽電池モジュール。 」

【相違点】
絶縁部材について、本件補正発明では「前記第1の太陽電池セルの裏面と前記導電性光反射膜との間に設けられ」、「前記第1の太陽電池セル側の面とは反対側の面である第1面には凹凸が形成され」ているのに対し、引用発明では、そのような配置なのか明らかでない点。

(4)判断
以下、上記相違点について検討する。
ア 引用発明において、太陽電池には裏電極が設けられている。そして、引用発明の太陽電池モジュールは、金属フィルムの太陽電池を短絡する可能性を排除している。

イ そうすると、太陽電池の配列の下方に置かれているテクスチャー反射性積層フィルム材料のシート20Aの光反射性金属フィルム24と太陽電池の裏電極との短絡する可能性も排除しているものと、考えるのが自然であり、その場合に、太陽電池の裏面と光反射性金属フィルム24は直接接するよりも、間にポリエチレンテレフタレートの基板22を設けるほうが、短絡する可能性も排除できる。

ウ したがって、引用発明のポリエチレンテレフタレートである基板22は、太陽電池の裏面とテクスチャー反射性積層フィルム材料のシート20Aの光反射性金属フィルム24との間に設けるようになすこと、ポリエチレンテレフタレートである基板22は、太陽電池側の反対側の面である第1面には、V字形溝26が形成されており、前記第1面とは反対側の面である第2面にはV字形溝26が形成されておらず、光反射性金属フィルム24は、基材22の前記第1面側に形成されるようになすことは、当業者が容易に想到し得たことである。

エ そして、相違点を総合的に勘案しても、本件補正発明の奏する作用効果は、引用発明の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。

オ したがって、本件補正発明は、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(5)請求人の主張について
ア 本件請求人は、平成30年10月24日付けで提出された審判請求書において、
(ア)「本願発明と引用文献1-3、5-9に記載された発明とを対比しますと、本願発明は、少なくとも、『前記絶縁部材は、前記第1の太陽電池セル側の面とは反対側の面である第1面には凹凸が形成されており、前記第1面とは反対側の面である第2面には凹凸が形成されておらず、前記導電性光反射膜は、前記絶縁部材を基材として当該絶縁部材の前記第1面側に形成されている』という構成を有する点で、引用文献1-3、5-9に記載された発明と相違します。
引用文献1-3、5-9には、この本願発明の構成及びこの構成による上記の格別の作用効果については記載も示唆すらもされていません。」、
(イ)「なお、引用文献1について付言いたしますと、引用文献1には、本願発明における『前記第1の太陽電池セルの裏面側に配置され、前記第1の太陽電池セルの端部から張り出すように設けられた導電性光反射膜』についても開示されていません。引用文献1では、図5及び[0033]に示されるように、シート20Aは、複数の矩形太陽電池4の背面全体に配置されており、また、図5、図6及び[0033]に示されるように、ストリップ20Bは、矩形太陽電池4の縦列の間の領域30B等に丁度隙間なく挿入されています。
また、引用文献1のように、隣り合う矩形太陽電池4の間に丁度隙間なくストリップ20Bを挿入して配置しようとすると、製造工程において複雑な製造装置が必要になったり、ストリップ20Bを配置する際に高度な位置合わせ精度が要求されたりします、これに対して、本願発明は、絶縁部材における凹凸が形成されてない第2面側(受光面側)を太陽電池セルの裏面に対向させて、導電性光反射膜が形成された絶縁部材を隣り合う太陽電池セルの裏面に跨って配置した構成になっていますので、引用文献1に記載された発明と比べて高度な位置合わせ精度が要求されず、より簡易な製造装置によって導電性光反射膜が形成された絶縁部材を太陽電池セルに取り付けることができます。
このように、引用文献1に記載された発明と本願発明とでは、光を反射する反射部材を用いる点では共通していますが、前提となる太陽電池セルに対する反射部材の取り付け構造が異なっており、両発明は一線を画すものであると考えます。 」、
旨主張している。

イ 上記主張について以下検討する。
(ア)上記ア(ア)については、上記(4)で判断したとおり、当業者が容易に想到し得たことである。

(イ)本願発明における「前記第1の太陽電池セルの裏面側に配置され、前記第1の太陽電池セルの端部から張り出すように設けられた導電性光反射膜」について

a 本願の明細書には、「【0048】
図2及び図3に示すように、光反射部材30は、少なくとも一部が太陽電池セル10の側方に位置するように、太陽電池セル10の裏面の端部に設けられる。つまり、光反射部材30は、太陽電池セル10の端部から太陽電池セル10間に向かって張り出すように設けられる。」、
「【0178】
(その他の変形例等)
以上、本発明に係る太陽電池モジュールについて、実施の形態1?4に基づいて説明したが、本発明は、上記実施の形態1?4に限定されるものではない。
【0179】
例えば、上記の各実施の形態において、光反射部材30及び30A(導電性光反射膜31)は、太陽電池セル10の裏側集電極12に重ならないように配置したが、これに限らない。具体的には、図21A及び図21Bに示すように、光反射部材30(又は30A)は、太陽電池セル10の裏側集電極12の端部(フィンガー電極の端部)と重なるように配置してもよい。図21Aは、変形例1に係る太陽電池モジュールを裏面側から見たときの拡大平面図であり、図21B、図21AのXXIB-XXIB線における断面図である。
【0180】
図21A及び図21Bに示すように、光反射部材30(又は30A)を裏側集電極12の端部に重ねることで、光反射部材30(又は30A)と太陽電池セル10との密着度を向上させることができる。つまり、銀等からなる裏側集電極12の表面粗さ(微小凹凸)によるアンカー効果によって光反射部材30(又は30A)が裏側集電極12に強固に固着される。この結果、光反射部材30(又は30A)と太陽電池セル10との密着度が向上する。
【0181】
これにより、ラミネート処理時において、裏面側充填部材62が、光反射部材30(又は30A)と太陽電池セル10との間を介して表面側充填部材61が形成される領域に侵入して太陽電池セル10の受光面の上に回り込んだり、逆に、表面側充填部材61が、光反射部材30(又は30A)と太陽電池セル10との間を介して裏面側充填部材62が形成される領域に回り込んだりすることを抑制できる。また、光反射部材30(又は30A)と太陽電池セル10との密着度の低下による外観不良等を抑制できる。特に、表面側充填部材61が透明材料で裏面側充填部材62が着色材料であるような場合に裏面側充填部材62が太陽電池セル10とオモテ面側に回り込んでしまうと、外観不良が目立つことになる。」 と記載されている。

b まず、本願明細書の【0048】、図3から、太陽電池セル10の裏面の端部に光反射部材30が設けられており、当該太陽電池セル10の裏面の端部には、裏側集電極12は設けられていないことが把握できる。
次に、本願明細書の【0178】-【0181】には、光反射部材30(又は30A)は、太陽電池セル10の裏側集電極12の端部(フィンガー電極の端部)と重なるように配置するものが記載されている。
そうすると、本件補正発明において、「導電性光反射膜」が、「第1の太陽電池セルの端部から張り出すように」は、第1の太陽電池セルの端部よりも奥まったところを起点として端部を経由して張り出すものも含んでいる。
また、第1の太陽電池セルの端部よりも奥まったところ(裏側集電極12)にも光反射部材を配置した方が、太陽電池セルとの密着度を向上させる等の効果がある旨、上記のように本願明細書に記載されている。

c したがって、本件補正発明を明細書の記載を参酌して考えたとしても、テクスチャー反射性積層フィルム材料のシート20Aが、複数の矩形太陽電池4の背面全体に配置されているものは、第1の太陽電池の裏面側に配置され、前記第1の太陽電池セルの端部から張り出すように設けられた導電性光反射膜に相当するから、相違点にならない。

(ウ)引用文献1が、隣り合う矩形太陽電池4の間に丁度隙間なくストリップ20Bを挿入して配置する点について

a まず、本件補正発明は、隣り合う太陽電池セルの間に丁度隙間なくストリップを挿入するものを、排除していない。

b また、引用文献1の【0036】に「積層プラスチックフィルム20Dの別の形態を示す。この場合、フィルムは、溝32A及び32Bのヘリンボーンパターンにエンボス加工される。この材料は、シート20Aの代わりに使用されてもよく、この場合には、ストリップ20Bは図5の実施形態から省略される」と記載されているように、引用文献1は、ストリップ20Bは省略される対応についても示唆している。

c したがって、ストリップ20Bの有無は、本件補正発明と引用発明の相違点にならない。
仮に、相違点だとしても、ストリップ20Bを省略することは、当業者が適宜なし得る事項にすぎない。

以上から、請求人の上記主張は、採用することができない。

3 本件補正についてのむすび
よって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本願発明について
1 本願発明
平成30年10月24日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、平成30年7月24日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし16に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、前記第2[理由]1(2)に記載のとおりのものである。

2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。

記 (引用文献等については引用文献等一覧参照)

・請求項 1
・引用文献等 1

・請求項 2-6
・引用文献等 1-3

・請求項 11
・引用文献等 1、5

・請求項 12-13
・引用文献等 1-3、6

・請求項 14-15
・引用文献等 1-3、5-7

・請求項 16
・引用文献等 1-3、8-9

<引用文献等一覧>

1.特表2002-513210号公報
2.特開2013-98496号公報(周知技術を示す文献)
3.特開2014-207305号公報(周知技術を示す文献)
5.特開2012-79772号公報
6.特開2012-204596号公報(周知技術を示す文献)
7.国際公開第2012/176516号(周知技術を示す文献)
8.国際公開第2013/140623号(周知技術を示す文献)
9.特開2014-192395号公報(周知技術を示す文献)

3 引用文献
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1及びその記載事項は、前記第2の[理由]2(2)に記載したとおりである。

4 対比・判断
本願発明は、前記第2の[理由]2で検討した本件補正発明の「絶縁材料」について、「前記絶縁部材は、前記第1の太陽電池セル側の面とは反対側の面である第1面には凹凸が形成されており、前記第1面とは反対側の面である第2面には凹凸が形成されておらず、」の限定事項、「導電性光反射膜」について、絶縁部材「の前記第1面側」に形成されているとの限定事項を削除したものである。

そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本件補正発明が、前記第2の[理由]2(3)、(4)に記載したとおり、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2019-06-28 
結審通知日 2019-07-02 
審決日 2019-07-16 
出願番号 特願2017-509196(P2017-509196)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H01L)
P 1 8・ 575- Z (H01L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 河村 麻梨子小林 幹島田 英昭  
特許庁審判長 森 竜介
特許庁審判官 野村 伸雄
山村 浩
発明の名称 太陽電池モジュール  
代理人 寺谷 英作  
代理人 道坂 伸一  
代理人 新居 広守  
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