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審決分類 |
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載 G07G 審判 全部申し立て 2項進歩性 G07G |
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管理番号 | 1354911 |
異議申立番号 | 異議2018-700272 |
総通号数 | 238 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 2019-10-25 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2018-04-02 |
確定日 | 2019-07-16 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第6215183号発明「商品販売データ処理装置及びその制御プログラム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第6215183号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1?5〕、6について訂正することを認める。 特許第6215183号の請求項1、2、5、6に係る特許を維持する。 特許第6215183号の請求項3、4に係る特許について特許異議申立てを却下する。 |
理由 |
第1 手続の経緯 特許第6215183号の請求項1?6に係る特許についての出願は、平成26年11月20日に出願され、平成29年9月29日にその特許権の設定登録がされ、同年10月18日に特許掲載公報が発行された。その後、平成30年4月2日に特許異議申立人 中島 健(以下「異議申立人」という。)により特許異議の申立てがされ、同年6月29日付けで取消理由が通知され、同年9月3日に訂正請求書及び意見書が提出され、同年9月25日付けで訂正請求があった旨の通知(特許法第120乗の5第5項)がされ、同年10月31日に異議申立人より意見書が提出され、平成31年1月21日付けで取消理由(決定の予告)が通知され、同年3月25日に訂正請求書及び意見書が提出され、同年4月26日付けで訂正請求があった旨の通知(特許法第120乗の5第5項)がされ、令和1年6月5日に異議申立人より意見書が提出されたものである。 第2 訂正の適否 1 訂正の内容 平成31年3月25日になされた訂正請求の趣旨は、本件特許第6215183号の願書に添付した特許請求の範囲を、訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1?5、6について訂正することを求めるものであり、その訂正の内容は、以下のとおりである(下線部は訂正箇所を示す。)。 なお、特許法第120条の5第7項の規定により、平成30年9月3日にされた訂正請求は取り下げられたものとみなす。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に 「店員に対する画面を表示する店員用表示デバイスと、 客の属性により分類される客層の入力を受け付ける客層入力手段と、 この客層入力手段により前記客層の入力を受け付けたことを条件に、前記店員用表示デバイスの画面を商品登録画面として前記客が買い上げる商品の登録を受け付ける登録受付手段と、 前記登録を受け付けた商品の販売データを処理して商取引を決済する処理手段と、 を具備したことを特徴とする商品販売データ処理装置。」 と記載されているのを、 「店員に対する画面を表示する店員用表示デバイスと、 客に対する画面を表示する客用表示デバイスと、 客の属性により分類される客層の入力を前記店員用表示デバイスに表示された客層受付画面から受け付ける客層入力手段と、 各客層にそれぞれ関連付けて推奨するコンテンツを記憶する記憶デバイスと、 前記客層入力手段により前記客層の入力を受け付けたことを条件に、その入力を受け付けた客層に関連付けられたコンテンツを前記記憶デバイスから検出する検出手段と、 前記検出されたコンテンツの画像を前記客用表示デバイスに表示させることで顕在化する顕在化手段と、 前記客層入力手段により前記客層の入力を受け付けたことを条件に、前記店員用表示デバイスに表示されている前記客層受付画面を商品登録画面に変更し、前記客が買い上げる商品の登録を受け付ける登録受付手段と、 前記登録を受け付けた商品の販売データを処理して商取引を決済する処理手段と、 を具備し、 前記客層の入力を受け付けたことを条件に、前記客用表示デバイスには前記コンテンツを、前記店員用表示デバイスには前記客層受付画面に変えて前記商品登録用画面を、それぞれ表示することを特徴とする商品販売データ処理装置。」 に訂正する。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項2に 「前記客層入力手段は、商取引の決済後に客層別のアイコンを配置した客層受付画面を前記店員用表示デバイスに表示させて、次の客の前記客層の入力を受け付けることを特徴とする請求項1記載の商品販売データ処理装置。」 と記載されているのを、 「前記客層受付画面は客層別のアイコンを複数配置したものであって、前記客層入力手段は、商取引の決済後に前記店員用表示デバイスの画面を前記客層受付画面に変更し、次の客の客層の入力を受け付けることを特徴とする請求項1記載の商品販売データ処理装置。」 に訂正する。 (3)訂正事項3 特許請求の範囲の請求項3を削除する。 (4)訂正事項4 特許請求の範囲の請求項4を削除する。 (5)訂正事項5 特許請求の範囲の請求項5に 「前記客用表示デバイスは、タッチパネルであり、 前記コンテンツの画像は、推奨商品を特定する画像と注文ボタンの画像とを含み、 前記登録受付手段は、前記注文ボタンの画像がタッチ入力された場合に当該注文ボタンとともに表示されている画像によって特定される推奨商品の登録を受け付けることを特徴とする請求項4記載の商品販売データ処理装置。」 と記載されているのを、 「前記客用表示デバイスは、タッチパネルであり、 前記コンテンツの画像は、推奨商品を特定する画像と注文ボタンの画像とを含み、 前記登録受付手段は、前記注文ボタンの画像がタッチ入力された場合に当該注文ボタンとともに表示されている画像によって特定される推奨商品の登録を受け付けることを特徴とする請求項1または2記載の商品販売データ処理装置。」 に訂正する。 (6)訂正事項6 特許請求の範囲の請求項6に 「店員に対する画面を表示する店員用表示デバイスを備えた商品販売データ処理装置」 と記載されているのを、 「店員に対する画面を表示する店員用表示デバイス及び客に対する画面を表示する客用表示デバイスを備えた商品販売データ処理装置」 に訂正する。 (7)訂正事項7 特許請求の範囲の請求項6に 「コンピュータに、 客の属性により分類される客層の入力を受け付ける機能、 前記客層の入力を受け付けたことを条件に、前記店員用表示デバイスの画面を商品登録画面として前記客が買い上げる商品の登録を受け付ける機能、及び、 登録を受け付けた商品の販売データを処理して商取引を決済する機能、 を実現させるための制御プログラム。」 と記載されているのを、 「コンピュータに、 客の属性により分類される客層の入力を前記店員用デバイスに表示された客層受付画面から受け付ける機能、 前記客層の入力を受け付けたことを条件に、各客層にそれぞれ関連付けて推奨するコンテンツを記憶する記憶デバイスから、その入力を受け付けた客層に関連付けられた前記コンテンツを検出する機能、 前記検出されたコンテンツの画像を前記客用表示デバイスに表示させることで顕在化させる機能、 前記客層の入力を受け付けたことを条件に、前記店員用表示デバイスに表示されている前記客層受付画面を商品登録画面に変更し、前記客が買い上げる商品の登録を受け付ける機能、及び、 登録を受け付けた商品の販売データを処理して商取引を決済する機能、 を実現させ、 前記客層の入力を受け付けたことを条件に、前記客用表示デバイスには前記コンテンツを、前記店員用表示デバイスには前記客層受付画面に変えて前記商品登録用画面を、それぞれ表示させるための制御プログラム。」 に訂正する。 なお、訂正前の請求項1?5は、請求項2?5が、訂正の請求の対象である請求項1の記載を直接的ないし間接的に引用する関係にあるから、本件訂正のうち訂正事項1?5に係る訂正は、一群の請求項1?5について請求されている。 2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否 (1)訂正事項1について 訂正事項1に係る訂正は、訂正前の請求項3、4及び願書に添付された明細書(以下「本件特許明細書」という。)の段落【0036】の記載に基づき、商品販売データ処理装置は、店員用表示デバイスと、客用表示デバイスと、客層入力手段と、記憶デバイスと、検出手段と、顕在化手段と、登録受付手段と、処理手段とを具備することを具体的に特定し、限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 (2)訂正事項2について 訂正事項2に係る訂正は、本件特許明細書の段落【0033】、【0045】、【0049】、【0051】の記載に基づき、店員用表示デバイスの画面に客層受付画面を表示させるだけでなく、画面を客層受付画面に変更することを具体的に特定し、限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 (3)訂正事項3について 訂正事項3に係る訂正は、請求項3を削除するというものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 (4)訂正事項4について 訂正事項4に係る訂正は、請求項4を削除するというものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 (5)訂正事項5について 訂正事項5に係る訂正は、訂正前の請求項5が訂正前の請求項4を引用するものであり、訂正前の請求項4は訂正前の請求項3を引用するものであったところ、訂正前の請求項3、4の発明特定事項は訂正後の請求項1に包含され、それに伴う訂正事項3、4による請求項3、4の削除に伴い、請求項5の引用請求項を訂正するものであって、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 (6)訂正事項6について 訂正事項6に係る訂正は、訂正前の請求項4の記載に基づき、商品販売データ処理装置は、店員用表示デバイス及び客用表示デバイスを備えたものであることを具体的に特定し、限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 (7)訂正事項7について 訂正事項7に係る訂正は、訂正前の請求項2、3及び本件特許明細書の段落【0036】の記載に基づき、制御プログラムが、客層の入力を受け付ける機能、コンテンツを検出する機能、顕在化させる機能、商品の登録を受け付ける機能、決済する機能、及び、客層の入力を受け付けたことを条件に、客用表示デバイスにはコンテンツを、店員用表示デバイスには客層受付画面に変えて商品登録画面を、それぞれ表示させる機能を備えることを具体的に特定し、限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 3 小括 以上のとおり、訂正事項1?7に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号又は第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 したがって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1?5〕、6について訂正することを認める。 第3 訂正後の本件発明 本件訂正請求により訂正された請求項1、2、5、6に係る発明(以下「本件発明1」等という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1、2、5、6に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。 「【請求項1】 店員に対する画面を表示する店員用表示デバイスと、 客に対する画面を表示する客用表示デバイスと、 客の属性により分類される客層の入力を前記店員用表示デバイスに表示された客層受付画面から受け付ける客層入力手段と、 各客層にそれぞれ関連付けて推奨するコンテンツを記憶する記憶デバイスと、 前記客層入力手段により前記客層の入力を受け付けたことを条件に、その入力を受け付けた客層に関連付けられたコンテンツを前記記憶デバイスから検出する検出手段と、 前記検出されたコンテンツの画像を前記客用表示デバイスに表示させることで顕在化する顕在化手段と、 前記客層入力手段により前記客層の入力を受け付けたことを条件に、前記店員用表示デバイスに表示されている前記客層受付画面を商品登録画面に変更し、前記客が買い上げる商品の登録を受け付ける登録受付手段と、 前記登録を受け付けた商品の販売データを処理して商取引を決済する処理手段と、 を具備し、 前記客層の入力を受け付けたことを条件に、前記客用表示デバイスには前記コンテンツを、前記店員用表示デバイスには前記客層受付画面に変えて前記商品登録用画面を、それぞれ表示することを特徴とする商品販売データ処理装置。 【請求項2】 前記客層受付画面は客層別のアイコンを複数配置したものであって、前記客層入力手段は、商取引の決済後に前記店員用表示デバイスの画面を前記客層受付画面に変更し、次の客の客層の入力を受け付けることを特徴とする請求項1記載の商品販売データ処理装置。 【請求項5】 前記客用表示デバイスは、タッチパネルであり、 前記コンテンツの画像は、推奨商品を特定する画像と注文ボタンの画像とを含み、 前記登録受付手段は、前記注文ボタンの画像がタッチ入力された場合に当該注文ボタンとともに表示されている画像によって特定される推奨商品の登録を受け付けることを特徴とする請求項1または2記載の商品販売データ処理装置。 【請求項6】 店員に対する画面を表示する店員用表示デバイス及び客に対する画面を表示する客用表示デバイスを備えた商品販売データ処理装置のコンピュータに、 客の属性により分類される客層の入力を前記店員用表示デバイスに表示された客層受付画面から受け付ける機能、 前記客層の入力を受け付けたことを条件に、各客層にそれぞれ関連付けて推奨するコンテンツを記憶する記憶デバイスから、その入力を受け付けた客層に関連付けられた前記コンテンツを検出する機能、 前記検出されたコンテンツの画像を前記客用表示デバイスに表示させることで顕在化させる機能、 前記客層の入力を受け付けたことを条件に、前記店員用表示デバイスに表示されている前記客層受付画面を商品登録画面に変更し、前記客が買い上げる商品の登録を受け付ける機能、及び、 登録を受け付けた商品の販売データを処理して商取引を決済する機能、 を実現させ、 前記客層の入力を受け付けたことを条件に、前記客用表示デバイスには前記コンテンツを、前記店員用表示デバイスには前記客層受付画面に変えて前記商品登録用画面を、それぞれ表示させるための制御プログラム。」 第4 平成31年1月21日付け取消理由(決定の予告)について 1 取消理由の概要 訂正前の請求項1?6に係る特許に対して、当審が平成31年1月21日付けで通知した取消理由(決定の予告)の要旨は、次のとおりである。 本件の下記の請求項に係る発明は、下記の引用文献に記載された発明、周知慣用技術、周知技術及び下記の引用文献に記載の技術的事項に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。 記 請求項1、2、6に対して 引用文献1、及び周知慣用技術 引用文献1、周知慣用技術、及び周知技術 請求項3?5に対して 引用文献1、引用文献3または4、及び周知慣用技術 引用文献1、引用文献3または4、周知慣用技術、及び周知技術 〔引用文献一覧〕 引用文献1:特開平10-63955号公報 引用文献3:特開2003-6748号公報 引用文献4:特開2000-194938号公報 上記引用文献1、3、4は、それぞれ異議申立人が提出した甲第1、3、4号証である。 2 引用文献の記載等 (1)引用文献1 ア 記載事項 引用文献1には次の記載がある。 (1a)「【請求項9】 顧客からの商品の受注業務を行なう際に操作される複数のキーにより構成されるタッチパネルを表示する表示部と、該タッチパネルを介して登録された注文情報を一旦保持するメモリと、該タッチパネルからの操作に応じてメモリ内容及び表示部の表示態様を制御する制御部とをそなえ、 且つ、該表示部を構成するタッチパネルが、該顧客との取引が完了する前の注文情報を該制御部を介して該メモリに一旦保持するためのメモリキーと、該メモリに格納されている取引完了前の注文情報を表示するためのメモリ呼出キーとを有することを特徴とする、商品受注用POS端末。」 (1b)「【請求項12】 顧客からの商品の受注業務を行なう際に操作される商品受注用POS端末を構成するコンピュータに、 該顧客からの商品の受注業務を行なう際に操作される複数のキーにより構成されるタッチパネルを表示部に表示させる機能と、 商品の受注の際に付随して選択可能な品目に対応したキーにより構成されるタッチパネルを該表示部にてポップアップ表示させる機能とを実現させるためのプログラムが記録されたことを特徴とする、商品受注用POS端末を構成するコンピュータが読取可能な記憶媒体。」 (1c)「【0002】 【発明の属する技術分野】本発明は、例えばファーストフード店舗における顧客からの商品の受注業務において用いて好適な、商品受注用POS端末のパネル表示方法及び商品受注用POS端末に関する。」 (1d)「【0032】(b)本実施形態にかかるPOS端末による表示態様の説明 以下において、本実施形態にかかるPOS端末による表示態様について、サーバ2-1に収容されたPOS端末4-1を例として説明するが、他のPOS端末4-2?4-nについても同様の表示態様を有している。また、POS端末4-1は、図9に示すように、顧客からの商品の受注業務を行なう際に操作する(指を接触させる)複数のキーにより構成されるタッチパネルを表示する表示部としてのディスプレイ5をそなえている。なお、6は登録された注文情報あるいは清算金額等を顧客に表示する顧客表示用ディスプレイである。 【0033】ここで、POS端末4-1のディスプレイ5上には、オペレータの操作(オペレータがディスプレイ画面上の所定の位置を指で触れること)を検出するタッチセンサ(図11における符号51参照)が設けられており、後述するように、オペレータがディスプレイ5の所定の画面位置を操作すると、その画面位置に対応するタッチパネルに従って、POS端末4-1が動作するようになっている。 【0034】また、POS端末4-1は、機能的には図10に示すように、上述のディスプレイ(表示部としてのもの及び顧客表示用のもの)5,6をそなえるとともに、メモリ7及び制御部8をそなえて構成されている。ここで、メモリ7は、ディスプレイ5に表示されたタッチパネルを介して登録された注文情報のほか、このPOS端末4-1における各種機能(タッチパネル表示機能,選択可能品目表示機能,基本商品表示機能,選択可能商品表示機能,ポップアップ解除機能,同一種類商品表示機能,商品一覧表示機能,時間帯切替商品表示機能,明細表示機能,メモリ処理キー表示機能,登録/清算処理画面表示機能及び注文情報消去機能)を実現するためのプログラムを記憶するものである。」 (1e)「【0036】さらに、制御部8は主としてCPU(Central Processing Unit) 等により構成され、メモリ7又は制御部8自身の内部に記憶されたプログラムによって動作されて、タッチパネルからの操作に応じてメモリ7の内容及びディスプレイ5,6の表示態様を制御するものであり、この制御部8による動作を介して、本実施形態にかかる商品受注用POS端末(POS端末4-1)としての各種機能を実現するようになっている。 【0037】・・・ところで、POS端末4-1のディスプレイ5には、顧客からの商品の受注業務を行なう際には、オーダ入力画面40として、例えば図2に示すような、複数のキーにより構成されるタッチパネルを表示するようになっている。」 (1f)「【0070】従って、上述のメモリキー12iが、顧客との取引が完了する前(商品と代金との引換えを行なっていない状態)の注文情報を制御部8を介してメモリ7に一旦保持するためのメモリキーとしての機能を有し、会計済メモリ呼出キー12c及び未会計メモリ呼出キー12dが、メモリ7に格納されている取引完了前の注文情報を表示するためのメモリ呼出キーとしての機能を有している(メモリ処理キー表示機能)。」 (1g)「【0084】なお、オペレータがPOS端末4-1?4-nを用いて接客を行なう際には、上述の顧客からの商品の受注業務に先行して、例えば図11に示すような、商品を受注する顧客の客層を入力するための複数のキーにより構成されるタッチパネル34をオーダ入力画面40にポップアップ表示することができる。・・・」 (1h)「【0115】即ち、初期起動部59により、画面定義体54aのボタン属性に関する情報が、キー定義体54b及びメニューマスタ55aから組み込まれる一方、ディスプレイ5における初期画面として、例えば図11に示すように、オーダ入力画面40とともに商品を受注する顧客の客層を入力するための複数のキーにより構成されるタッチパネル34をポップアップ表示される(図20のフローチャートにおけるステップA1)。」 (1i)「【0120】ここで、顧客からの注文に対する受け付けを行なう場合には、まず当該顧客の客層について、図11に示すタッチパネル34から選択して入力する(ステップA3,ステップA31,ステップA32)。なお、タッチパネル34を介して客層が入力されると、ポップアップされたタッチパネル34は解除され、POS端末4-1は商品登録処理(オーダ受け付け)を行なうことができる状態となるが、クリアキー12kが操作されると直前に行なった客層入力は無効となる。 【0121】上述の如く客層が入力された後においては、オーダ入力待ち状態となる。・・・」 (1j)「【0134】ここで、イートイン小計キー12m又はテイクアウト小計キー12nが操作されると、前述の図5に示すような会計画面41が表示され、処理は商品登録処理から図23,図24のフローチャートに示す会計処理に移行する(図23のステップB1)。・・・」 (1k)「【0142】ここで、顧客による代金の支払いが、現金のみによる支払いである場合には、当該支払いを受けた金額を入力する(図24のステップB61)。なお、このときクリアキー12kが操作されると直前に行なった金額入力は無効となる。その後、オペレータは現計キー12A-14を押下することにより、取引の現計を行なう(ステップB62)。・・・」 (1l)「【0149】上述の如く、オペレータがドロアを閉じた時点で、現金,GC/クーポン券,クレジットカード又は外貨により商品の代金の支払いが完了し、ディスプレイ5は自動的に図2に示すオーダ入力画面40に戻る(ステップB14)。・・・」 (1m)「【0165】また、メモリ呼出キー12c,12dの操作により、取引完了前の注文情報が呼び出されると、制御部8によりメモリ7に保持されている当該注文情報を消去することができるので、オペレータによる特別な操作を行なうことなく不要なデータを消去することができ、処理済のデータを処理途中のデータと誤認することもなくなり、オペレータに対する便宜を図ることができる利点がある。」 イ 認定事項 【図23】及び【図24】に示される「会計処理」(段落【0134】?【0149】)のフローチャートにおいて、会計処理が完了した後、【図24】の最下方に「ステップA2へ」と記載されており、【図20】に示される起動後のフローチャートにおいて、「A2」からは「A3」の顧客の客層の入力(段落【0120】(記載事項(1f))に移行することが示され、段落【0115】(記載事項(1h))の「ディスプレイ5における初期画面として、・・・オーダ入力画面40とともに商品を受注する顧客の客層を入力するための複数のキーにより構成されるタッチパネル34をポップアップ表示される」という記載も併せてみると、最初の顧客の会計が終了し、次の顧客の注文に対する受け付けを行う際には、「商品の代金の支払いが完了し、ディスプレイ5はタッチパネル34をオーダ入力画面40にポップアップ表示する画面に戻る」処理が行われていることがいえる。 ウ 記載された発明 上記ア、イ及び【図2】、【図11】の記載から、引用文献1には以下の発明(以下「甲1A発明」という。)が記載されていると認められる。 「顧客からの商品の受注業務を行なう際にオペレータにより操作される複数のキーにより構成されるタッチパネルを表示する表示部としてのディスプレイ5と、 顧客表示用のディスプレイ6と、 該タッチパネルを介して登録された注文情報を一旦保持するメモリ7と、該タッチパネルからの操作に応じてメモリ内容及び表示部の表示態様を制御する制御部8とをそなえ、 且つ、該ディスプレイ5を構成するタッチパネルが、該顧客との取引が完了する前の注文情報を該制御部8を介して該メモリ7に一旦保持するためのメモリキー12iと、該メモリ7に格納されている取引完了前の注文情報を表示するためのメモリ呼出キー12c、12dと、イートイン小計キー12m及びテイクアウト小計キー12nを有し、 商品を受注する顧客の客層を入力するための複数のキーにより構成されるタッチパネル34をオーダ入力画面40にポップアップ表示し、 顧客からの注文に対する受け付けを行なう場合には、まず当該顧客の客層について、該タッチパネル34から選択して入力し、タッチパネル34を介して客層が入力されると、ポップアップされたタッチパネル34は解除され、商品登録処理(オーダ受け付け)を行なうことができる状態となり、 イートイン小計キー12m又はテイクアウト小計キー12nが操作されると、会計画面41が表示され、処理は商品登録処理から会計処理に移行し、 商品の代金の支払いが完了し、ディスプレイ5はタッチパネル34をオーダ入力画面40にポップアップ表示した画面に戻る、 商品受注用POS端末。」 また、以下の発明(以下「甲1B発明」という。)も記載されているといえる。 「顧客からの商品の受注業務を行なう際にオペレータにより操作される複数のキーにより構成されるタッチパネルを表示する表示部としてのディスプレイ5及び顧客表示用のディスプレイ6を備えた商品受注用POS端末を構成するコンピュータに、 タッチパネルからの操作に応じてディスプレイ5、6の表示態様を制御し、 該顧客からの商品の受注業務を行なう際に操作される複数のキーにより構成されるタッチパネルを該ディスプレイ5に表示させる機能と、 商品の受注の際に付随して選択可能な品目に対応したキーにより構成されるタッチパネル44?46を該ディスプレイ5にてポップアップ表示させる機能とを実現させ、 商品を受注する顧客の客層を入力するための複数のキーにより構成されるタッチパネル34をオーダ入力画面40にポップアップ表示させる機能と、 顧客からの注文に対する受け付けを行なう場合には、まず当該顧客の客層について、該タッチパネル34から選択して入力し、タッチパネル34を介して客層が入力されると、ポップアップされたタッチパネル34は解除され、商品登録処理(オーダ受け付け)を行なうことができる状態とする機能と、 イートイン小計キー12m又はテイクアウト小計キー12nが操作されると、会計画面41が表示され、処理は商品登録処理から会計処理に移行する機能、 とを実現させるためのプログラム。」 (2)引用文献3 ア 記載事項 引用文献3には次の記載がある。 (3a)「【請求項1】 店舗の各テーブルに配置され、メニュー情報を表示する表示部と、主に客の操作により注文データを入力する入力部と、入力された前記注文データを送信する通信部とを有する複数の入力端末装置と、 前記注文データを受信し、管理するデータ制御装置と、を備えた注文管理システムであって、 前記入力部から入力された客層情報に基いて、前記表示部に表示するメニューの配置を決定することを特徴とする注文管理システム。」 (3b)「【0011】 【課題を解決するための手段】店舗の各テーブルに配置され、メニュー情報を表示する表示部と、主に客の操作により注文データを入力する入力部と、入力された前記注文データを送信する通信部とを有する複数の入力端末装置と、前記注文データを受信し、管理するデータ制御装置と、を備えた注文管理システムにおいて、前記入力部から入力された客層情報に基いて、前記表示部に表示するメニューの配置を決定することを特徴とする。また、前記注文管理システムにおいて、入力された客層情報に基いて、当該客層において特に売上が期待できるメニューを、前期表示部に表示する注文メニュー入力画面の先頭近くに表示するようにしても良い。」 (3c)「【0017】図2は入力端末装置11として使用される機器の概観図である。 【0018】図示するように筐体の前面に表示部21としての液晶カラーディスプレイと、タッチパネルが設けられており、客が画面にタッチすることによって、メニューの注文ができるようになっている。・・・」 (3d)「【0020】図示のように、入力端末装置11は 制御部本体としてのCPU31、プログラムやデータを記憶する記憶部としてのROM32,RAM33、データ制御装置と通信を行うための通信部34、画像や文字を表示するためのカラー液晶ディスプレイ35、入力手段となるタッチパネル36、ブザーや音声出力を行うためのスピーカ37から構成される。」 (3e)「【0031】客もしくは客を客席に案内してきた給仕人が、注文入力の開始ボタン52に触れると、入力端末装置11は、データ制御装置12と通信を行い、データ制御装置12の記憶部に登録されている注文データを確認し、該当テーブルの客が新規の注文入力か追加の注文入力かを確認する。ここで、新規注文の入力と判断した場合には、注文メニューの入力の前に、図6に図示するような、人数の入力61や客層入力62など注文情報に付随する識別情報を入力するための識別情報入力画面が表示される。一方、追加注文の場合は、このような識別情報の入力画面は表示されず、そのまま注文メニューの入力画面が表示される。 【0032】識別情報入力画面において、人数情報や客層情報を入力した後、画面上に配された決定ボタンにタッチすることによって、人数情報や客層の情報が取り込まれ、このデータは、即座にデータ制御装置12に送られる。 【0033】客層は、人数情報としての『男性』、『女性』、『お子様』の入力有無や、客層情報、たとえば、『高校生』、『大学生』、『会社員』、『OL』、『主婦』、『ファミリー』、『カップル』等の選択項目が表示されており、その選択入力によって判別が行われる。 【0034】データ制御装置12は、この人数、客層情報を受け取った場合に、記憶部に格納されている集計情報のうち、過去約1ヶ月程度の客層別の集計情報を参照し、かつ、同じ曜日には重み付け等をおこなって、各メニューの時間帯あたりの平均売り上げ数量を把握し、表示メニューのランク付けをおこなう。 【0035】このランク付けの並び順において、当該の客層において、平均売り上げ数量の上位にランクされるメニューを『お薦めメニュー』分類とし抽出し、かつ、その売り上げ順において、入力端末装置11に表示されるメニューの画面配置を決定する。表示画面の例を図8に示す。」 (3f)「【0040】このようにして抽出された『お薦めメニュー』や、各分類のインデックス、および、各分類毎のメニュー一覧の表示位置について、メニュー表示位置マスタの更新データとして形成され、入力端末装置11に送られる。 【0041】入力端末装置11では、客層等の情報を送信し、データ制御装置12から応答されたこのメニュー表示位置マスタにしたがって、注文メニューの入力画面を構築する。」 (3g)【図8】に示される「お薦めメニューの表示」には画像が含まれていることが看取できる。 イ 記載された技術的事項 上記アから、引用文献3には以下の技術的事項(以下「甲3技術」という。)が記載されていると認められる。 「店舗の各テーブルに配置され、メニュー情報を表示する表示部21と、主に客の操作により注文データを入力する入力手段となるタッチパネル36と、入力された前記注文データを送信する通信部34とを有する複数の入力端末装置11と、 前記注文データを受信し、管理するデータ制御装置12と、を備えた注文管理システムであって、 前記タッチパネル36から入力された客層情報は、前記データ制御装置12に送られ、前記データ制御装置12は、客層情報を受け取った場合に、記憶部に格納されている集計情報のうち、過去約1ヶ月程度の客層別の集計情報を参照し、かつ、同じ曜日には重み付け等をおこなって、各メニューの時間帯あたりの平均売り上げ数量を把握し、表示メニューのランク付けを行い、このランク付けの並び順において、当該の客層において、平均売り上げ数量の上位にランクされるメニューを『お薦めメニュー』分類とし抽出し、かつ、その売り上げ順において、入力端末装置11に表示されるメニューの画面配置を決定し、抽出された『お薦めメニュー』や、各分類のインデックス、および、各分類毎のメニュー一覧の表示位置について、メニュー表示位置マスタの更新データとして形成され、入力端末装置11に送られ、入力端末装置11では、客層等の情報を送信し、データ制御装置12から応答されたこのメニュー表示位置マスタにしたがって、画像を含む注文メニューの入力画面を構築する、 注文管理システム。」 (3)引用文献4 ア 記載事項 引用文献4には次の記載がある。 (4a)「【請求項1】 商品登録された商品販売データをオペレータ用表示器および客用表示器に表示可能な商品販売データ処理装置において、 前記オペレータ用表示器を参照するオペレータまたは前記客用表示器を参照する客がその場で手にすることができ得るその場商品の画像を記憶可能かつ記憶されたその場商品の画像を前記客用表示器に表示可能に形成した商品販売データ処理装置。」 (4b)「【0016】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。本商品販売データ処理装置は、図1に示す如く、基本的構成が電子キャッシュレジスタ10とされ、かつオペレータ用表示器61を参照するオペレータまたは客用表示器65を参照する客がその場で手にすることができ得るその場商品の画像をその場商品ファイル41Bに記憶可能かつ記憶されたその場商品の画像をその場商品ボタン65Bの形式で客用表示器65に表示可能に形成されている。 【0017】また、客が客用表示器65に表示されたその場商品ボタン65Bをタッチ操作することにより、当該その場商品を客自らが追加登録可能に形成されている。 【0018】図1において、電子キャッシュレジスタ10は、標準入力装置(キーボード43)を含むパソコン20に、外部入出力装置を接続してなる。外観を図3および図4に示す。 【0019】パソコン20は、CPU31,ROM32,RAM33および時計回路等(図示省略)を含み制御部を構成するマザーボード30に、HDD(ハードディスク装置)41,FDD(フロッピーディスク装置)42,データ入力手段としてのキーボード43,入出力ポート(I/O)46・47および外部(例えば、ストアコントローラ80や、これの上位機たる本部ホストコンピュータ)とデータ通信回線網45を介してデータ通信するための通信用インターフェイス(I/F)44等を接続してなる。」 (4c)「【0022】タッチパネル66(62)は、客用表示器65(オペレータ用表示器61)に表示(図6参照)されたその場商品ボタン65B(61B)を客(または、オペレータ)がタッチ操作することにより、その場商品を追加登録の対象商品として選択(入力)可能とするために設けられている。なお、この発明では、当該1取引内で一番はじめに商品登録された場合も追加登録と定義する。つまり、その場商品ボタン65B(61B)を用いた商品登録を言う。 【0023】HDD41には、表示器(61,65)の画面に表示するための客層別に区分されたその場商品ボタンデータ(その場商品名,その場商品画像番号)を記憶する図2に示すその場商品ボタンファイル41Bの他に、図1に示すコマーシャルファイル41IGと,このコマーシャルファイル41IGに記憶されたコマーシャル画像番号(例えば、G001,G002,…)に対応する各画像データ(例えば、圧縮されたビットマップデータ)を記憶するコマーシャル画像ファイル41Gとが形成されている。」 (4d)「【0028】ここに、その場商品ボタン表示制御手段(CPU31,ROM32)は、その場商品ボタンファイル41B(およびコマーシャル画像ファイル41G)に記憶されている商品ボタン65B群を客用表示器65に図6に示すように表示される(ST13のNO,ST17)。 【0029】なお、オペレータが次客についての客層(例えば、青年男性)を客層キー(キーボード43)を用いて選択(宣言)している場合(ST14のYES)には、その場商品ボタン群抽出制御手段(CPU31,ROM32)がその場商品ボタンファイル41B(およびコマーシャル画像ファイル41G)から抽出(ST16)した選択客層に対応するその場ボタン65B(61B)群が表示(ST17)される。客層が選択されていない場合(ST14のNO)は、全てのその場商品ボタン群が表示される(ST15,ST17)。 【0030】因みに、図6に示す客用表示器65の表示領域65A3の上段側には客層(青年男性)に対応するその場商品ボタン65Bが表示されている。各その場商品ボタン65Bは、その場商品が“タバコA”,“ライター”,“替刃”,“つまみ”である。また、各その場商品ボタン65Bには当該各その場商品画像(“タバコA”,“ライター”,“替刃”,“つまみ”の各写真やイラスト)Gおよび当該各その場商品名(“タバコA”,“ライター”,“替刃”,“つまみ”)Iが表示される。また、この実施形態では、当該各単価(“250”,“90”,“500”,“200”円)も表示可能に形成してある。その場商品(“タバコA”)のボタン65B(61B)は、図7に示す如く表示される。 【0031】さらに、この実施形態では、例えば客層(青年男性)が選択されている場合でも、表示領域65A3の下段側に各客層に共通な商品(例えば、“電池”,“ガム”)に対応するその場商品ボタン65Bを併表示可能に形成してある。 【0032】そして、客が客用表示器65に表示されたその場商品ボタン(例えば、“タバコA”)65Bをタッチ操作(ST18のYES)すると、当該商品(“タバコA”)が追加登録(ST20)される。なお、1回のタッチ操作で追加登録個数が“1”で、2回目のタッチ操作後には当該個数が“2”に歩進(N=N+1=1+1)される。この追加登録個数は、図6に示す確定ボタンKをタッチ操作することにより、確定する。」 (4e)「【0037】なお、その場商品ボタン群の客用表示器65への表示は、任意のタイミングで表示開始するように形成することができる。例えば、常時的に,客用表示器65(オペレータ用表示器61)を立ち上げたときから、あるいは会計処理直前にその場商品ボタン65B(61B)を表示する。」 (4f)「【符号の説明】 ・・・ I その場商品名 G その場商品画像」 (4g)【図5】は次のとおりである。 イ 記載された技術的事項 上記アから、引用文献4には以下の技術的事項(以下「甲4技術」という。)が記載されていると認められる。 「商品登録された商品販売データをオペレータ用表示器61および客用表示器65に表示可能な電子キャッシュレジスタ10である商品販売データ処理装置において、 前記オペレータ用表示器61を参照するオペレータまたは前記客用表示器65を参照する客がその場で手にすることができ得るその場商品の画像を記憶可能かつ記憶されたその場商品の画像をその場商品ボタン65Bの形式で前記客用表示器65に表示可能に形成し、 電子キャッシュレジスタ10のパソコン20のHDD41には、客用表示器65の画面に表示するための客層別に区分されたその場商品ボタンデータ(その場商品名I,その場商品画像G番号)を記憶するその場商品ボタンファイル41Bが形成され、 オペレータが次客についての客層(例えば、青年男性)を客層キー(キーボード43)を用いて選択(宣言)している場合には、その場商品ボタン群抽出制御手段(CPU31,ROM32)がその場商品ボタンファイル41Bから抽出した選択客層に対応するその場商品ボタン65B群が客用表示器65に表示され、 客が客用表示器65に表示されたその場商品ボタン65Bをタッチ操作すると、当該商品が追加登録される、 電子キャッシュレジスタ10である商品販売データ処理装置。」 3 対比・判断 (1)本件発明1について ア 対比 本件発明1と甲1A発明とを対比する。 (ア)後者の「オペレータ」は前者の「店員」に相当し、以下同様に、「表示部としてのディスプレイ5」は「店員用表示デバイス」に、「顧客」は「客」に、「顧客表示用のディスプレイ6」は「客用表示デバイス」に、「客層」は「客層」にそれぞれ相当する。 また、前者の「商品販売データ処理装置」は、具体的には「POS(Point Of Sales)端末、電子式キャッシュレジスタ等の商品販売データ処理装置」(本件特許明細書の段落【0001】)というものであるから、後者の「商品受注用POS端末」は、前者の「商品販売データ処理装置」に相当する。 (イ)後者の「顧客からの商品の受注業務を行なう際にオペレータにより操作される複数のキーにより構成されるタッチパネルを表示する表示部としてのディスプレイ5」は、前者の「店員に対する画面を表示する店員用表示デバイス」に相当するといえる。 (ウ)後者の「顧客表示用のディスプレイ6」は、顧客に対する画面を表示するものであることは明らかである。そうすると、後者の「顧客表示用のディスプレイ6」は、前者の「客に対する画面を表示する客用表示デバイス」に相当するといえる。 (エ)後者の「商品を受注する顧客の客層を入力するための複数のキーにより構成されるタッチパネル34をオーダ入力画面40にポップアップ表示し、顧客からの注文に対する受け付けを行なう場合には、まず当該顧客の客層について、該タッチパネル34から選択して入力し、タッチパネル34を介して客層が入力されると、ポップアップされたタッチパネル34は解除され、商品登録処理(オーダ受け付け)を行なうことができる状態となり」という事項について、客層についてタッチパネル34から入力するものであるから、「客層入力手段」といえるものを有していることは明らかであり、また、タッチパネル34が解除されて商品登録処理を行うことができる状態となるものであるから、「登録受付手段」といえるものを有していることも明らかであり、そして、「商品登録処理(オーダ受け付け)を行なうことができる状態」の画面は「商品登録画面」といえるものである。 そうすると、後者の上記事項と、前者の「客の属性により分類される客層の入力を前記店員用表示デバイスに表示された客層受付画面から受け付ける客層入力手段と、各客層にそれぞれ関連付けて推奨するコンテンツを記憶する記憶デバイスと、前記客層入力手段により前記客層の入力を受け付けたことを条件に、その入力を受け付けた客層に関連付けられたコンテンツを前記記憶デバイスから検出する検出手段と、前記検出されたコンテンツの画像を前記客用表示デバイスに表示させることで顕在化する顕在化手段と、前記客層入力手段により前記客層の入力を受け付けたことを条件に、前記店員用表示デバイスに表示されている前記客層受付画面を商品登録画面に変更し、前記客が買い上げる商品の登録を受け付ける登録受付手段」とは、「客の属性により分類される客層の入力を前記店員用表示デバイスに表示された客層受付画面から受け付ける客層入力手段と、客の属性により分類される客層の入力を前記店員用表示デバイスに表示された客層受付画面から受け付ける客層入力手段と、前記客層入力手段により前記客層の入力を受け付けたことを条件に、前記客が買い上げる商品の登録を受け付ける登録受付手段」の限度で一致するといえる。 (オ)後者の「イートイン小計キー12m又はテイクアウト小計キー12nが操作されると、会計画面41が表示され、処理は商品登録処理から会計処理に移行し」という事項について、会計処理を行うということは「処理手段」といえるものを有していることは明らかである。 そうすると、後者の上記事項は、前者の「前記登録を受け付けた商品の販売データを処理して商取引を決済する処理手段」に相当するといえる。 (カ)したがって、両者の一致点、相違点は次のとおりである。 〔一致点1〕 「店員に対する画面を表示する店員用表示デバイスと、 客に対する画面を表示する客用表示デバイスと、 客の属性により分類される客層の入力を前記店員用表示デバイスに表示された客層受付画面から受け付ける客層入力手段と、 前記客層入力手段により前記客層の入力を受け付けたことを条件に、前記客が買い上げる商品の登録を受け付ける登録受付手段と、 前記登録を受け付けた商品の販売データを処理して商取引を決済する処理手段と、 を具備した商品販売データ処理装置。」 〔相違点1〕 「登録受付手段」に関し、本件発明1が、「前記店員用表示デバイスに表示されている前記客層受付画面を商品登録画面に変更し」ているのに対し、甲1A発明は、「ポップアップされたタッチパネル34は解除され、商品登録処理(オーダ受け付け)を行なうことができる状態と」している点。 〔相違点2〕 本件発明1が「各客層にそれぞれ関連付けて推奨するコンテンツを記憶する記憶デバイスと、前記客層入力手段により前記客層の入力を受け付けたことを条件に、その入力を受け付けた客層に関連付けられたコンテンツを前記記憶デバイスから検出する検出手段と、前記検出されたコンテンツの画像を前記客用表示デバイスに表示させることで顕在化する顕在化手段と」、「前記客層の入力を受け付けたことを条件に、前記客用表示デバイスには前記コンテンツを、前記店員用表示デバイスには前記客層受付画面に変えて前記商品登録用画面を、それぞれ表示する」という事項を有するのに対し、甲1A発明は、当該事項を有していない点。 イ 判断 事案に鑑み相違点2について検討する。 (ア)甲3技術の適用について 甲3技術における「当該の客層において、平均売り上げ数量の上位にランクされるメニューを『お薦めメニュー』分類とし抽出し、かつ、その売り上げ順において、入力端末装置11に表示されるメニューの画面配置を決定し、抽出された『お薦めメニュー』や、各分類のインデックス、および、各分類毎のメニュー一覧の表示位置について、メニュー表示位置マスタの更新データとして形成され、入力端末装置11に送られ、入力端末装置11では、客層等の情報を送信し、データ制御装置12から応答されたこのメニュー表示位置マスタにしたがって、注文メニューの入力画面を構築する」という事項と、本件発明1における「前記客層入力手段により前記客層の入力を受け付けたことを条件に、その入力を受け付けた客層に関連付けられたコンテンツを前記記憶デバイスから検出する検出手段と、前記検出されたコンテンツの画像を前記客用表示デバイスに表示させることで顕在化する顕在化手段」という事項とは、「客層入力手段により客層の入力を受け付けたことを条件に、その入力を受け付けた客層に関連付けられたコンテンツを記憶デバイスから検出する検出手段と、検出されたコンテンツの画像を表示デバイスに表示させることで顕在化する顕在化手段」という事項の限度で一致するといえる。 しかしながら、甲3技術は、商取引を決済する処理手段を有する「商品販売データ処理装置」ではなく、具体的には飲食店の「注文管理システム」に係るものである上、「客もしくは客を客席に案内してきた給仕人」(記載事項(3e)の段落【0031】)により操作されるものであるから、本件発明1及び甲1A発明の前提構成である「店員用表示デバイス」及び「客用表示デバイス」の2種類を有するものではない。 したがって、甲1A発明に甲3技術を適用する動機付けがあるとはいえない。また、仮に、甲1A発明への甲3技術の適用を想定したとしても、上記相違点2に係る本件発明1の発明特定事項(特に「前記客層の入力を受け付けたことを条件に、前記客用表示デバイスには前記コンテンツを、前記店員用表示デバイスには前記客層受付画面に変えて前記商品登録用画面を、それぞれ表示する」)を有するものには至らない。 (イ)甲4技術の適用について 甲4技術における「電子キャッシュレジスタ10のパソコン20のHDD41には、客用表示器65の画面に表示するための客層別に区分されたその場商品ボタンデータ(その場商品名I,その場商品画像G番号)を記憶するその場商品ボタンファイル41Bが形成され、オペレータが次客についての客層(例えば、青年男性)を客層キー(キーボード43)を用いて選択(宣言)している場合には、その場商品ボタン群抽出制御手段(CPU31,ROM32)がその場商品ボタンファイル41Bから抽出した選択客層に対応するその場商品ボタン65B群が客用表示器65に表示され」るという事項と、本件発明1の「各客層にそれぞれ関連付けて推奨するコンテンツを記憶する記憶デバイスと、前記客層入力手段により前記客層の入力を受け付けたことを条件に、その入力を受け付けた客層に関連付けられたコンテンツを前記記憶デバイスから検出する検出手段と、前記検出されたコンテンツの画像を前記客用表示デバイスに表示させることで顕在化する顕在化手段と」を具備するという事項とは、「各客層にそれぞれ関連付けて推奨するコンテンツを記憶する記憶デバイスと、前記客層入力手段により前記客層の入力を受け付けている場合、その入力を受け付けた客層に関連付けられたコンテンツを前記記憶デバイスから検出する検出手段と、前記検出されたコンテンツの画像を前記客用表示デバイスに表示させることで顕在化する顕在化手段と」を具備するという限度で一致するといえる。 しかしながら、甲4技術において「選択客層に対応するその場商品ボタン65B群が客用表示器65に表示」することに関し、記載事項(4f)の「ST14」の「客層が選択されているか?」で「N」の場合、「ST15」の「全てのその場商品ボタンを抽出」になるということから明らかなように、そもそも甲4技術は「客層」の入力を必須とするものではない。すなわち、甲4技術において、入力される「客層」のデータは「選択客層に対応するその場商品ボタン65B群が客用表示器65に表示」することに用いられるものであり、「客層」のデータの入力を必須とする甲1A発明とは、そのデータの技術的な位置付けが異なるものであるから、甲4技術を甲1A発明に適用する動機付けがあるとはいえない。 また、甲4技術において、「選択客層に対応するその場商品ボタン65B群が客用表示器65に表示」するのは、記載事項(4f)の「ST16」のタイミングであって、本件発明1のような「前記客層入力手段により前記客層の入力を受け付けたことを条件に、前記店員用表示デバイスに表示されている前記客層受付画面を商品登録画面に変更し」、「前記客層の入力を受け付けたことを条件に、前記客用表示デバイスには前記コンテンツを、前記店員用表示デバイスには前記客層受付画面に変えて前記商品登録用画面を、それぞれ表示する」もの、すなわち、「客層入力手段」への「客層の入力」により「オペレータ用表示器61」(「店員用表示デバイス」に相当)の「商品登録画面」への変更、及び、「客用表示器65」(「客用表示デバイス」に相当。)に「選択客層に対応するその場商品ボタン65B群」(「客層に関連付けられたコンテンツ」に相当。)を表示するものではない。 したがって、仮に、甲1A発明への甲4技術の適用を想定したとしても、上記相違点2に係る本件発明1の発明特定事項を有するものには至らない。 なお、記載事項(4e)に変形例の説明として、「その場商品ボタン群の客用表示器65への表示は、任意のタイミングで表示開始するように形成することができる。」との記載があるが、具体的には「常時的に,客用表示器65(オペレータ用表示器61)を立ち上げたときから、あるいは会計処理直前」というものを開示するにすぎず、上記相違点2に係る本件発明1の発明特定事項を示唆するものではない。 また、上記相違点2に係る「前記客層の入力を受け付けたことを条件に、前記客用表示デバイスには前記コンテンツを、前記店員用表示デバイスには前記客層受付画面に変えて前記商品登録用画面を、それぞれ表示する」という事項は、異議申立書に添付されたいずれの証拠にも記載がなく、当該事項は周知慣用技術でもない。 ウ まとめ したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1A発明、甲3技術ないし甲4技術、及び、取消理由通知(決定の予告)で指摘した周知慣用技術ないし周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 (2)本件発明2、5について 本件発明2、5は、本件発明1の発明特定事項を全て含み、さらに限定を加えたものであるので、本件発明1と同様の理由により、甲1A発明、甲3技術ないし甲4技術、及び、取消理由通知(決定の予告)で指摘した周知慣用技術ないし周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 (3)本件発明6について ア 対比 本件発明6と甲1B発明とを対比する。 (ア)後者の「オペレータ」は前者の「店員」に相当し、以下同様に、「表示部としてのディスプレイ5」は「店員用表示デバイス」に、「顧客」は「客」に、「顧客表示用のディスプレイ6」は「客用表示デバイス」に、「客層」は「客層」に、「プログラム」は「制御プログラム」にそれぞれ相当する。 また、前者の「商品販売データ処理装置」は、具体的には「POS(Point Of Sales)端末、電子式キャッシュレジスタ等の商品販売データ処理装置」(本件特許明細書の段落【0001】)というものであるから、後者の「商品受注用POS端末」は、前者の「商品販売データ処理装置」に相当する。 (イ)後者の「顧客表示用のディスプレイ6」は、顧客に対する画面を表示するものであることは明らかである。そうすると、後者の「顧客表示用のディスプレイ6」は、前者の「客に対する画面を表示する客用表示デバイス」に相当するといえる。 (ウ)後者の「顧客からの商品の受注業務を行なう際にオペレータにより操作される複数のキーにより構成されるタッチパネルを表示する表示部としてのディスプレイ5及び顧客表示用のディスプレイ6を備えた商品受注用POS端末を構成するコンピュータ」は、前者の「店員に対する画面を表示する店員用表示デバイス及び客に対する画面を表示する客用表示デバイスを備えた商品販売データ処理装置のコンピュータ」に相当するといえる。 (エ)後者の「商品を受注する顧客の客層を入力するための複数のキーにより構成されるタッチパネル34をオーダ入力画面40にポップアップ表示させる機能と、顧客からの注文に対する受け付けを行なう場合には、まず当該顧客の客層について、該タッチパネル34から選択して入力し、タッチパネル34を介して客層が入力されると、ポップアップされたタッチパネル34は解除され、商品登録処理(オーダ受け付け)を行なうことができる状態とする機能」という事項について、客層についてタッチパネル34から入力するものであるから、「客層入力手段」といえるものを有していることは明らかであり、また、「商品登録処理(オーダ受け付け)を行なうことができる状態」の画面は「商品登録画面」といえるものである。 そうすると、後者の上記事項と、前者の「客の属性により分類される客層の入力を前記店員用表示デバイスに表示された客層受付画面から受け付ける機能、前記客層の入力を受け付けたことを条件に、各客層にそれぞれ関連付けて推奨するコンテンツを記憶する記憶デバイスから、その入力を受け付けた客層に関連付けられた前記コンテンツを検出する機能、前記検出されたコンテンツの画像を前記客用表示デバイスに表示させることで顕在化させる機能、前記客層の入力を受け付けたことを条件に、前記店員用表示デバイスに表示されている前記客層受付画面を商品登録画面に変更し、前記客が買い上げる商品の登録を受け付ける機能」とは、「客の属性により分類される客層の入力を前記店員用表示デバイスに表示された客層受付画面から受け付ける機能、前記客層の入力を受け付けたことを条件に、前記客が買い上げる商品の登録を受け付ける機能」の限度で一致するといえる。 (オ)後者の「イートイン小計キー12m又はテイクアウト小計キー12nが操作されると、会計画面41が表示され、処理は商品登録処理から会計処理に移行する機能」は、前者の「登録を受け付けた商品の販売データを処理して商取引を決済する機能」に相当するといえる。 (カ)したがって、両者の一致点、相違点は次のとおりである。 〔一致点2〕 「店員に対する画面を表示する店員用表示デバイス及び客に対する画面を表示する客用表示デバイスを備えた商品販売データ処理装置のコンピュータに、 客の属性により分類される客層の入力を前記店員用デバイスに表示された客層受付画面から受け付ける機能、 前記客が買い上げる商品の登録を受け付ける機能、及び、 前記客層の入力を受け付けたことを条件に、登録を受け付けた商品の販売データを処理して商取引を決済する機能、 を実現させる制御プログラム。」 〔相違点3〕 「客が買い上げる商品の登録を受け付ける機能」に関し、本件発明6が、「前記店員用表示デバイスに表示されている前記客層受付画面を商品登録画面に変更し」ているのに対し、甲1B発明は、「ポップアップされたタッチパネル34は解除され、商品登録処理(オーダ受け付け)を行なうことができる状態と」している点。 〔相違点4〕 本件発明6が「前記客層の入力を受け付けたことを条件に、各客層にそれぞれ関連付けて推奨するコンテンツを記憶する記憶デバイスから、その入力を受け付けた客層に関連付けられた前記コンテンツを検出する機能」、「前記検出されたコンテンツの画像を前記客用表示デバイスに表示させることで顕在化させる機能」、「前記客層の入力を受け付けたことを条件に、前記客用表示デバイスには前記コンテンツを、前記店員用表示デバイスには前記客層受付画面に変えて前記商品登録用画面を、それぞれ表示させる」という事項を有するのに対し、甲1B発明は、当該事項を有していない点。 イ 判断 事案に鑑み、相違点4について検討する。 相違点4は、実質的に上記相違点2と同様内容であり、その判断についても、上記「(1)イ」で述べたのと同様である。 ウ まとめ したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明6は、甲1B発明、甲3技術ないし甲4技術、及び、取消理由通知(決定の予告)で指摘した周知慣用技術ないし周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 第5 平成30年6月29日付け取消理由について 1 取消理由の概要 訂正前の請求項1?6に係る特許に対して、当審が平成30年6月29日付けで通知した取消理由の要旨は次のとおりである。 〔理由1〕本件特許の下記の請求項に係る発明は、下記の引用文献に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。 〔理由2〕本件特許の下記の請求項に係る発明は、下記の引用文献に記載された発明、下記の引用文献に記載された技術的事項及び周知慣用技術に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。 記 〔理由1〕について 請求項1、6に対して 引用文献1または2 請求項2に対して 引用文献1 〔理由2〕について 請求項1、6に対して 引用文献1または2、及び周知慣用技術 請求項2に対して 引用文献1または2、及び周知慣用技術 引用文献2及び1 引用文献2、1、及び周知慣用技術 請求項3?5に対して 引用文献1、及び引用文献3または4 引用文献1、引用文献3または4、及び周知慣用技術 引用文献2、及び引用文献3または4 引用文献2、引用文献3または4、及び周知慣用技術 引用文献2、引用文献3または4、引用文献1、及び周知慣用技術、 〔引用文献一覧〕 引用文献1:特開平10-63955号公報 引用文献2:特開2005-352973号公報 引用文献3:特開2003-6748号公報 引用文献4:特開2000-194938号公報 上記引用文献1?4は、それぞれ異議申立人が提出した甲第1?4号証である。なお、引用文献1、3、4は、平成31年1月21日付け取消理由(決定の予告)で通知した引用文献1、3、4とも同一文献である。 以下、当審が平成30年6月29日付け取消理由で通知した理由のうち、平成31年1月21日付け取消理由(決定の予告)で通知しなかった理由について検討する。 2 引用文献の記載等 (1)引用文献1、3、4 引用文献1、3、4については、上記「第4 2」のとおりである。 (2)引用文献2 ア 記載事項 引用文献2には次の記載がある。 (2a)「【請求項1】 入力された商品データに基づいて1顧客が買上げた商品の販売データを処理し、この1顧客との商品売買取引の締めが宣言されると、当該顧客が買上げた商品の金額やその合計等の取引明細データを印字したレシートを発行する商品販売データ処理装置において、 1顧客が買上げた商品の販売データを表示する登録画面の表示部と、 前記レシートに印字される取引明細データを電子データ化して蓄積する電子ジャーナルファイルと、 前記電子ジャーナルファイルに蓄積された電子データの確認を要求するジャーナル確認要求手段と、 このジャーナル確認要求手段により電子データの確認が要求されると、前記電子ジャーナルファイルに蓄積された発行済レシートの取引明細データを呼出して前記表示部の登録画面に表示させる直前ジャーナル表示制御手段と、 を具備したことを特徴とする商品販売データ処理装置。」 (2b)「【0009】 図1は本実施の形態におけるPOS端末の要部構成を示すブロック図であり、このPOS端末は、制御部本体としてCPU(Central Processing Unit)1を搭載している。また、プログラム等の固定的データが予め格納されたROM(Read Only Memory)2、データを書換え自在に記憶するための各種メモリエリアが形成されたRAM(Random Access Memory)3、HDD(Hard Disk Drive)装置等の不揮発性の大容量記憶装置によって構成された電子ジャーナルファイル4、現在の日付及び時刻を計時する時計部5、当該POS端末の上位機であるストアコンピュータと通信回線を介して行うデータ通信を制御する通信インターフェイス6、モードスイッチ7からの信号が入力されるとともにドロワ8に対する開放指令信号が出力されるI/Oポート9、商品データ等を入力するための各種キーが配設されたキーボード10から操作キーに対応したキー信号を取り込むキーボードコントローラ11、オペレータ用の表示器であるタッチパネル12への画面表示を制御するとともにタッチ操作に対応した位置座標信号を取り込むタッチパネルコントローラ13、客用表示器14へのデータ表示を制御する表示コントローラ15、プリンタ16によるレシート印字及び発行を制御するプリンタコントローラ17、スキャナ18で読み取られたバーコードデータを取り込むスキャナコントローラ19等を搭載している。CPU1と、ROM2,RAM3,電子ジャーナルファイル4,時計部5,通信インターフェイス6,I/Oポート9及び各種入出力機器のコントローラ11,13,15,17及び19とは、アドレスバス,データバス等のバスライン20で接続されている。」 (2c)「【0014】 図6に上記商品登録画面60の一例を示す。この画面60には、サインオンしたキャッシャの氏名と、当該キャッシャが客層キーを操作して選択入力した顧客の客層情報とを表示するヘッダエリア61と、当該顧客が買い上げた商品の販売データである商品名,単価,販売点数,販売金額(単価×販売点数)を表示する明細エリア62と、当該顧客が買い上げた商品の合計金額が表示される請求金額エリア63とが形成されている。また、サインオフボタン64や、ジャーナル確認要求手段として機能するジャーナル確認ボタン65等のタッチボタンが表示されている。 【0015】 CPU1は、上記商品登録画面を表示させた後、ST2として客層コードが入力されるのを待機する。ここで、キーボード10に配置されたいずれかの客層キーが操作されて買上商品の代金支払いを申し出た顧客の客層(性別及び年齢)が入力されると、CPU1は、ST3として時計部5にて計時されている現在の日付及び時刻を取得する。そしてこの日付及び時刻データを、入力された客層を特定する客層コードとともに取引明細メモリ21の先頭行エリアと直前入力メモリ22とに格納する。また、客層コードをタッチパネル12の商品登録画面60に表示させる。 【0016】 次に、CPU1は、ST4として当該顧客が買い上げる商品の登録、つまりは商品コードや販売点数等の商品データが入力されるのを待機する。そして、商品データが入力されたならば、CPU1は、ST5としてこの商品データに基づいて商品名,単価,販売点数及び販売金額の商品販売データを処理する。そして、ST6としてこの商品販売データと合計金額をタッチパネル12の商品登録画面60と客用表示器14とに表示させる。また、ST7として直前入力メモリ22のデータを電子ジャーナルファイル4に保存して直前入力メモリ22をクリアした後、ST8として商品販売データを取引明細メモリ21と直前入力メモリ22とにそれぞれ格納する。」 (2d)「【0020】 しかる後、CPU1は、ST14として直前入力メモリ22のデータを電子ジャーナルファイル4に保存して直前入力メモリ22をクリアする。次いで、ST15として合計金額データ及び代金支払データの決済データと、新規の取引番号,買上点数及び責任者名の登録締めデータとを電子ジャーナルファイル4に保存したならば、1顧客との商品売買取引を終了する。そして、タッチパネル12の画面を商品登録画面60に戻して、次の客の客層入力を待機する。」 (2e)「【0032】 なお、本発明は上記実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。 例えば前記実施の形態では、表示部をタッチパネル12とし、ジャーナル確認要求手段をこのタッチパネル12上のタッチボタン(ジャーナル確認ボタン65)としたが、ジャーナル確認要求手段はタッチボタンに限定されるものではなく、例えばキーボード10に設けられ、商品データの入力に使用しない1つのキーを使用してもよい。この場合、表示部はタッチパネル12である必要はない。」 イ 記載された発明 上記ア及び【図4】、【図6】の記載から、引用文献2には以下の発明(以下「甲2A発明」という。)が記載されていると認められる。 「入力された商品データに基づいて1顧客が買上げた商品の販売データを処理し、この1顧客との商品売買取引の締めが宣言されると、当該顧客が買上げた商品の金額やその合計等の取引明細データを印字したレシートを発行する、CPU1を搭載したPOS端末である商品販売データ処理装置において、 1顧客が買上げた商品の販売データを表示する商品登録画面60のオペレータ用の表示部であるタッチパネル12と、 客用表示器14と、 前記レシートに印字される取引明細データを電子データ化して蓄積する電子ジャーナルファイル4と、 前記電子ジャーナルファイル4に蓄積された電子データの確認を要求するジャーナル確認要求手段として機能するジャーナル確認ボタン65と、 このジャーナル確認ボタン65により電子データの確認が要求されると、前記電子ジャーナルファイル4に蓄積された発行済レシートの取引明細データを呼出して前記タッチパネル12に表示させる前記CPU1による直前ジャーナル表示制御手段と、を具備し、 前記CPU1は、上記商品登録画面60を表示させた後、客層コードが入力されるのを待機し、キャッシャが客層を入力すると、顧客が買い上げる商品の登録を待機し、1顧客との商品売買取引を終了すると、タッチパネル12の画面を商品登録画面60に戻して、次の客の客層入力を待機する、 POS端末である商品販売データ処理装置。」 また、記載事項(2b)の段落【0009】の「プログラム等の固定的データが予め格納されたROM(Read Only Memory)2」という記載、及び、POS端末の技術常識を考慮すると、引用文献2には以下の発明(以下「甲2B発明」という。)も記載されていると認められる。 「入力された商品データに基づいて1顧客が買上げた商品の販売データを処理し、この1顧客との商品売買取引の締めが宣言されると、当該顧客が買上げた商品の金額やその合計等の取引明細データを印字したレシートを発行する、CPU1を搭載したPOS端末である商品販売データ処理装置におけるプログラムにおいて、 前記商品販売データ処理装置は、 1顧客が買上げた商品の販売データを表示する商品登録画面60のオペレータ用の表示部であるタッチパネル12と、 客用表示器14と、 前記レシートに印字される取引明細データを電子データ化して蓄積する電子ジャーナルファイル4と、 前記電子ジャーナルファイル4に蓄積された電子データの確認を要求するジャーナル確認要求手段として機能するジャーナル確認ボタン65と、 このジャーナル確認ボタン65により電子データの確認が要求されると、前記電子ジャーナルファイル4に蓄積された発行済レシートの取引明細データを呼出して前記タッチパネル12に表示させる前記CPU1による直前ジャーナル表示制御手段と、を具備し、 前記CPU1は、上記商品登録画面60を表示させた後、客層コードが入力されるのを待機し、キャッシャが客層を入力すると、顧客が買い上げる商品の登録を待機し、1顧客との商品売買取引を終了することを実現するためのプログラム。」 3 対比・判断 (1)本件発明1、2について(引用文献1を主引例とした場合;理由1) 本件発明1と甲1A発明との一致点、相違点は、上記「第4 3(1)ア(カ)」のとおりである。 そして、少なくとも上記相違点2は実質的な相違点であることから、本件発明1は甲1A発明とはいえない。また、本件発明2は、本件発明1の発明特定事項を全て含み、さらに限定を加えたものであるので、同様に本件発明2は甲1A発明とはいえない。 (2)本件発明6について(引用文献1を主引例とした場合;理由1) 本件発明6と甲1B発明との一致点、相違点は、上記「第4 3(3)ア(カ)」のとおりである。 そして、少なくとも上記相違点4は実質的な相違点であることから、本件発明6は甲1B発明とはいえない。 (3)本件発明1について(引用文献2を主引例とした場合;理由1、2) ア 対比 本件発明1と甲2A発明とを対比する。 (ア)後者の「キャッシャ」は前者の「店員」に相当し、以下同様に、「商品登録画面60の表示部であるタッチパネル12」は「店員用表示デバイス」に、「顧客」は「客」に、「客用表示器14」は「客用表示デバイス」に、「客層」は「客層」にそれぞれ相当する。 また、前者の「商品販売データ処理装置」は、具体的には「POS(Point Of Sales)端末、電子式キャッシュレジスタ等の商品販売データ処理装置」(本件特許明細書の段落【0001】)というものであるから、後者の「POS端末である商品販売データ処理装置」は、前者の「商品販売データ処理装置」に相当する。 (イ)後者の「タッチパネル12」は、キャッシャに対し表示するものであるから、後者の「1顧客が買上げた商品の販売データを表示する商品登録画面60の表示部であるタッチパネル12」は、前者の「店員に対する画面を表示する店員用表示デバイス」に相当するといえる。 (ウ)後者の「客用表示器14」は、顧客に対する画面を表示するものであることは明らかである。そうすると、後者の「客用表示器14」は、前者の「客に対する画面を表示する客用表示デバイス」に相当するといえる。 (エ)後者の「前記CPU1は、上記商品登録画面60を表示させた後、客層コードが入力されるのを待機し、キャッシャが客層を入力すると、顧客が買い上げる商品の登録を待機し」という事項について、客層について客層コードを入力するのであるから、「客層入力手段」といえるものを有していることは明らかであり、客層を入力すると商品の登録が可能となるものであるから、「登録受付手段」といえるものを有していることは明らかである。 そうすると、後者の上記事項と、前者の「客の属性により分類される客層の入力を前記店員用表示デバイスに表示された客層受付画面から受け付ける客層入力手段と、各客層にそれぞれ関連付けて推奨するコンテンツを記憶する記憶デバイスと、前記客層入力手段により前記客層の入力を受け付けたことを条件に、その入力を受け付けた客層に関連付けられたコンテンツを前記記憶デバイスから検出する検出手段と、前記検出されたコンテンツの画像を前記客用表示デバイスに表示させることで顕在化する顕在化手段と、前記客層入力手段により前記客層の入力を受け付けたことを条件に、前記店員用表示デバイスに表示されている前記客層受付画面を商品登録画面に変更し、前記客が買い上げる商品の登録を受け付ける登録受付手段」とは、「客の属性により分類される客層の入力を前記店員用表示デバイスに表示された客層受付画面から受け付ける客層入力手段と、前記客層入力手段により前記客層の入力を受け付けたことを条件に、前記客が買い上げる商品の登録を受け付ける登録受付手段」の限度で一致するといえる。 (オ)後者の「入力された商品データに基づいて1顧客が買上げた商品の販売データを処理し、この1顧客との商品売買取引の締めが宣言されると、当該顧客が買上げた商品の金額やその合計等の取引明細データを印字したレシートを発行する」及び「1顧客との商品売買取引を終了する」という事項について、販売データを処理し、商品売買取引を終了するということは「商取引を決済する処理手段」といえるものを有していることは明らかである。 そうすると、後者の上記事項は、前者の「前記登録を受け付けた商品の販売データを処理して商取引を決済する処理手段」に相当するといえる。 (カ)したがって、両者の一致点、相違点は次のとおりである。 〔一致点3〕 「店員に対する画面を表示する店員用表示デバイスと、 客に対する画面を表示する客用表示デバイスと、 客の属性により分類される客層の入力を前記店員用表示デバイスに表示された客層受付画面から受け付ける客層入力手段と、 前記客層入力手段により前記客層の入力を受け付けたことを条件に、前記客が買い上げる商品の登録を受け付ける登録受付手段と、 前記登録を受け付けた商品の販売データを処理して商取引を決済する処理手段と、 を具備した商品販売データ処理装置。」 〔相違点5〕 「登録受付手段」に関し、本件発明1が、「前記店員用表示デバイスに表示されている前記客層受付画面を商品登録画面に変更し」ているという事項を有するのに対し、甲2A発明は、当該事項の特定がない点。 〔相違点6〕 本件発明1が「各客層にそれぞれ関連付けて推奨するコンテンツを記憶する記憶デバイスと、前記客層入力手段により前記客層の入力を受け付けたことを条件に、その入力を受け付けた客層に関連付けられたコンテンツを前記記憶デバイスから検出する検出手段と、前記検出されたコンテンツの画像を前記客用表示デバイスに表示させることで顕在化する顕在化手段と」、「前記客層の入力を受け付けたことを条件に、前記客用表示デバイスには前記コンテンツを、前記店員用表示デバイスには前記客層受付画面に変えて前記商品登録用画面を、それぞれ表示する」という事項を有するのに対し、甲2A発明は、当該事項を有していない点。 イ 判断 (ア)新規性について(理由1) 少なくとも上記相違点6は実質的な相違点であることから、本件発明1は甲2A発明であるとはいえない。 (イ)進歩性について(理由2) 事案に鑑み、相違点6について検討する。 相違点6は、実質的に上記相違点2と同様内容であり、その判断についても、上記「第4 3(1)イ」で述べたのと同様である。 したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲2A発明、甲3技術ないし甲4技術、及び、取消理由通知で指摘した周知慣用技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 (4)本件発明2、5について(引用文献2を主引例とした場合;理由2) 本件発明2、5は、本件発明1の発明特定事項を全て含み、さらに限定を加えたものであるので、本件発明1と同様の理由により、甲2A発明、甲3技術ないし甲4技術、及び、取消理由通知で指摘した周知慣用技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 (5)本件発明6について(引用文献2を主引例とした場合;理由1、2) ア 対比 本件発明6と甲2B発明とを対比する。 (ア)後者の「キャッシャ」は前者の「店員」に相当し、以下同様に、「商品登録画面60の表示部であるタッチパネル12」は「店員用表示デバイス」に、「顧客」は「客」に、「客用表示器14」は「客用表示デバイス」に、「客層」は「客層」に、「プログラム」は「制御プログラム」にそれぞれ相当する。 また、前者の「商品販売データ処理装置」は、具体的には「POS(Point Of Sales)端末、電子式キャッシュレジスタ等の商品販売データ処理装置」(本件特許明細書の段落【0001】)というものであるから、後者の「POS端末である商品販売データ処理装置」は、前者の「商品販売データ処理装置」に相当する。 (イ)後者の「タッチパネル12」は、キャッシャに対し表示するものであるから、後者の「1顧客が買上げた商品の販売データを表示する商品登録画面60の表示部であるタッチパネル12」は、前者の「店員に対する画面を表示する店員用表示デバイス」に相当するといえる。 (ウ)後者の「客用表示器14」は、顧客に対する画面を表示するものであることは明らかである。そうすると、後者の「客用表示器14」は、前者の「客に対する画面を表示する客用表示デバイス」に相当するといえる。 (エ)後者の「CPU1を搭載したPOS端末である商品販売データ処理装置」であって「前記商品販売データ処理装置は、1顧客が買上げた商品の販売データを表示する商品登録画面60の表示部であるタッチパネル12」と「客用表示器14」と「を具備」することは、前者の「店員に対する画面を表示する店員用表示デバイス及び客に対する画面を表示する客用表示デバイスを備えた商品販売データ処理装置のコンピュータ」に相当するといえる。 (オ)後者の「前記CPU1は、上記商品登録画面60を表示させた後、客層コードが入力されるのを待機し、キャッシャが客層を入力すると、顧客が買い上げる商品の登録を待機し」ということと、前者の「客の属性により分類される客層の入力を前記店員用表示デバイスに表示された客層受付画面から受け付ける機能、前記客層の入力を受け付けたことを条件に、各客層にそれぞれ関連付けて推奨するコンテンツを記憶する記憶デバイスから、その入力を受け付けた客層に関連付けられた前記コンテンツを検出する機能、前記検出されたコンテンツの画像を前記客用表示デバイスに表示させることで顕在化させる機能、前記客層の入力を受け付けたことを条件に、前記店員用表示デバイスに表示されている前記客層受付画面を商品登録画面に変更し、前記客が買い上げる商品の登録を受け付ける機能」とは、「客の属性により分類される客層の入力を前記店員用表示デバイスに表示された客層受付画面から受け付ける機能、前記客層の入力を受け付けたことを条件に、前記客が買い上げる商品の登録を受け付ける機能」の限度で一致するといえる。 (カ)後者の「入力された商品データに基づいて1顧客が買上げた商品の販売データを処理し、この1顧客との商品売買取引の締めが宣言されると、当該顧客が買上げた商品の金額やその合計等の取引明細データを印字したレシートを発行する」及び「1顧客との商品売買取引を終了する」という事項は、前者の「登録を受け付けた商品の販売データを処理して商取引を決済する機能」に相当するといえる (キ)したがって、両者の一致点、相違点は次のとおりである。 〔一致点4〕 「店員に対する画面を表示する店員用表示デバイス及び客に対する画面を表示する客用表示デバイスを備えた商品販売データ処理装置のコンピュータに、 客の属性により分類される客層の入力を前記店員用デバイスに表示された客層受付画面から受け付ける機能、 前記客が買い上げる商品の登録を受け付ける機能、及び、 登録を受け付けた商品の販売データを処理して商取引を決済する機能、 を実現させる制御プログラム。」 〔相違点7〕 「客が買い上げる商品の登録を受け付ける機能」に関し、本件発明6が、「前記店員用表示デバイスに表示されている前記客層受付画面を商品登録画面に変更し」ているという事項を有するのに対し、甲2B発明は、当該事項の特定がない点。 〔相違点8〕 本件発明6が「前記客層の入力を受け付けたことを条件に、各客層にそれぞれ関連付けて推奨するコンテンツを記憶する記憶デバイスから、その入力を受け付けた客層に関連付けられた前記コンテンツを検出する機能」、「前記検出されたコンテンツの画像を前記客用表示デバイスに表示させることで顕在化させる機能」、「前記客層の入力を受け付けたことを条件に、前記客用表示デバイスには前記コンテンツを、前記店員用表示デバイスには前記客層受付画面に変えて前記商品登録用画面を、それぞれ表示させる」という事項を有するのに対し、甲2B発明は、当該事項を有していない点。 イ 判断 (ア)新規性について(理由1) 少なくとも上記相違点8は実質的な相違点であることから、本件発明1は甲2B発明であるとはいえない。 (イ)進歩性について(理由2) 事案に鑑み、相違点8について検討する。 相違点8は、実質的に上記相違点4と同様内容であり、その判断についても、上記「第4 3(3)イ」で述べたのと同様である。 したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明6は、甲2B発明、甲3技術ないし甲4技術、及び、取消理由通知で指摘した周知慣用技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 第6 むすび 以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由によっては、本件請求項1、2、5、6に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に本件請求項1、2、5、6に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 そして、訂正により請求項3、4は削除されたため、請求項3、4に係る申立ての対象が存在しなくなった。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 店員に対する画面を表示する店員用表示デバイスと、 客に対する画面を表示する客用表示デバイスと、 客の属性により分類される客層の入力を前記店員用表示デバイスに表示された客層受付画面から受け付ける客層入力手段と、 各客層にそれぞれ関連付けて推奨するコンテンツを記憶する記憶デバイスと、 前記客層入力手段により前記客層の入力を受け付けたことを条件に、その入力を受け付けた客層に関連付けられたコンテンツを前記記憶デバイスから検出する検出手段と、 前記検出されたコンテンツの画像を前記客用表示デバイスに表示させることで顕在化する顕在化手段と、 前記客層入力手段により前記客層の入力を受け付けたことを条件に、前記店員用表示デバイスに表示されている前記客層受付画面を商品登録画面に変更し、前記客が買い上げる商品の登録を受け付ける登録受付手段と、 前記登録を受け付けた商品の販売データを処理して商取引を決済する処理手段と、 を具備し、 前記客層の入力を受け付けたことを条件に、前記客用表示デバイスには前記コンテンツを、前記店員用表示デバイスには前記客層受付画面に変えて前記商品登録用画面を、それぞれ表示することを特徴とする商品販売データ処理装置。 【請求項2】 前記客層受付画面は客層別のアイコンを複数配置したものであって、前記客層入力手段は、商取引の決済後に前記店員用表示デバイスの画面を前記客層受付画面に変更し、次の客の客層の入力を受け付けることを特徴とする請求項1記載の商品販売データ処理装置。 【請求項3】 (削除) 【請求項4】 (削除) 【請求項5】 前記客用表示デバイスは、タッチパネルであり、 前記コンテンツの画像は、推奨商品を特定する画像と注文ボタンの画像とを含み、 前記登録受付手段は、前記注文ボタンの画像がタッチ入力された場合に当該注文ボタンとともに表示されている画像によって特定される推奨商品の登録を受け付ける ことを特徴とする請求項1または2記載の商品販売データ処理装置。 【請求項6】 店員に対する画面を表示する店員用表示デバイス及び客に対する画面を表示する客用表示デバイスを備えた商品販売データ処理装置のコンピュータに、 客の属性により分類される客層の入力を前記店員用表示デバイスに表示された客層受付画面から受け付ける機能、 前記客層の入力を受け付けたことを条件に、各客層にそれぞれ関連付けて推奨するコンテンツを記憶する記憶デバイスから、その入力を受け付けた客層に関連付けられた前記コンテンツを検出する機能、 前記検出されたコンテンツの画像を前記客用表示デバイスに表示させることで顕在化させる機能、 前記客層の入力を受け付けたことを条件に、前記店員用表示デバイスに表示されている前記客層受付画面を商品登録画面に変更し、前記客が買い上げる商品の登録を受け付ける機能、及び、 前記登録を受け付けた商品の販売データを処理して商取引を決済する機能、 を実現させ、 前記客層の入力を受け付けたことを条件に、前記客用表示デバイスには前記コンテンツを、前記店員用表示デバイスには前記客層受付画面に変えて前記商品登録用画面を、それぞれ表示させるための制御プログラム。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
異議決定日 | 2019-07-04 |
出願番号 | 特願2014-235600(P2014-235600) |
審決分類 |
P
1
651・
121-
YAA
(G07G)
P 1 651・ 113- YAA (G07G) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 渡邉 洋 |
特許庁審判長 |
中川 真一 |
特許庁審判官 |
一ノ瀬 覚 中村 泰二郎 |
登録日 | 2017-09-29 |
登録番号 | 特許第6215183号(P6215183) |
権利者 | 東芝テック株式会社 |
発明の名称 | 商品販売データ処理装置及びその制御プログラム |
代理人 | 飯野 茂 |
代理人 | 森川 元嗣 |
代理人 | 峰 隆司 |
代理人 | 森川 元嗣 |
代理人 | 飯野 茂 |
代理人 | 蔵田 昌俊 |
代理人 | 蔵田 昌俊 |
代理人 | 峰 隆司 |