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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H01L
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 H01L
管理番号 1355183
審判番号 不服2018-9647  
総通号数 239 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-11-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-07-12 
確定日 2019-10-01 
事件の表示 特願2017-525649「円板状ヒータ及びヒータ冷却板アセンブリ」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 7月 6日国際公開,WO2017/115758,請求項の数(6)〕について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は,特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は,2016年(平成28年)12月26日(パリ条約による優先権主張2015年(平成27年)12月28日(以下「本願優先日」という。)。米国。)を国際出願日とする出願であって,その手続の経緯は,概略,以下のとおりである。
平成30年 1月11日:拒絶理由通知(起案日)
平成30年 3月14日:意見書,手続補正書
平成30年 4月20日:拒絶査定(起案日)(以下「原査定」という。)
平成30年 7月12日:手続補正書,審判請求
平成30年 8月 3日:前置報告(起案日)
平成31年 4月 9日:拒絶理由通知(最後)(起案日)
平成31年 4月22日:意見書,手続補正書(以下,この手続補正書による手続補正を「本件補正」という。)

第2 原査定の概要
原査定の概要は次のとおりである。
1 (理由2として)本願請求項1ないし8に係る発明は,本願優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった以下の引用文献1ないし4に記載された発明に基づいて,本願優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献等一覧
1.特開2015-220368号公報
2.特開2015-109139号公報
3.特開2015-207765号公報
4.実願平2-61583号(実開平4-20230号)のマイクロフィルム

第3 当審拒絶理由の概要
平成31年4月9日付け拒絶理由通知(最後)(以下「当審拒絶理由」という。)の概要は次のとおりである。
1 この出願は,特許請求の範囲の請求項1ないし6の記載が,特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

第4 本願発明
1 本願請求項1ないし6に係る発明(以下,それぞれ「本願発明1」ないし「本願発明6」という。)は,平成31年4月22日付けの手続補正書で補正された特許請求の範囲の請求項1ないし6に記載された事項により特定される発明であり,本願発明1は以下のとおりの発明である(下線は補正箇所である。)。
「【請求項1】
円板状の基体の上面が多数のゾーンに区切られ,一対の端子を備えた発熱体がゾーンごとに前記基体に埋設された円板状ヒータであって,
前記基体の下面に前記発熱体の総数より少ない数の端子集約領域
を備え,
すべての前記発熱体の前記一対の端子は,前記基体の内部を通っていずれかの端子集約領域に配線されており,
前記一対の端子は,プラス極端子とマイナス極端子であり,
前記端子集約領域には,1つのアース集約端子が設けられ,
前記端子集約領域に配線される複数の前記発熱体の前記マイナス極端子は,一括して前記アース集約端子に接続されており,
すべての前記端子集約領域は,前記基体の外周円と同心円となる複数の円上に円弧状に設けられているか,前記複数の円の接線方向に長方形状に設けられている,
円板状ヒータ。」

2 本願発明2ないし6の概要は以下のとおりである。
(1)本願発明2ないし5は,本願発明1を減縮した発明である。
(2)本願発明6は,本願発明1の構成を全て含むヒータ冷却板アセンブリの発明である。

第5 引用文献,引用発明等
1 引用文献1について
(1)引用文献1の記載
拒絶査定に引用された引用文献1(特開2015-220368号公報,平成27年12月7日出願公開)には,図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審で付した。以下,同じ。)。
「【技術分野】
【0001】
本発明は,ヒータ給電機構に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウェハ(以下,「ウェハ」と称呼する)をエッチング等により微細加工する半導体製造装置では,ウェハが載置されるステージの温度がエッチングレート等のプロセス結果に影響を与える。そこで,ステージの内部にヒータを埋設し,ヒータを加熱してステージを温度制御することが提案されている(例えば,特許文献1を参照)。特許文献1では,一つのヒータに対して一つのヒータ給電部が設けられている。
<<途中省略>>
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで,ステージの内部に複数のヒータを埋め込み,ヒータ毎にゾーン化してステージの温度をゾーン毎に制御する「マルチゾーン制御」を行うことで,ステージ上のウェハ温度の面内均一性を高めることができる。しかしながら,ゾーンが増えるほど,これに比例してヒータの給電部の数が増え,ヒータの給電機構が複雑になる。例えば,ステージを40ゾーンに分けてマルチゾーン制御するためには少なくとも40個のヒータ給電部が必要になる。よって,ヒータ配線が非常に多くなって,半導体製造装置に設けられた他の部材と干渉し,半導体製造装置の組み立て時やメンテナンス時に不具合が生じたり,取り付け時の作業が増大したりする。
【0005】
上記課題に対して,一側面では,他の部材との干渉を抑制するヒータ給電機構を提供することを目的とする。」
「【0010】
[半導体製造装置の全体構成]
まず,本発明の一実施形態に係る半導体製造装置1の全体構成について,図1を参照しながら説明する。図1は,本発明の一実施形態に係る半導体製造装置1の縦断面を示す。本実施形態では,半導体製造装置1の一例として容量結合型プラズマエッチング装置を挙げる。
【0011】
半導体製造装置1は,例えば表面がアルマイト処理(陽極酸化処理)されたアルミニウムからなる円筒形のチャンバ10を有している。チャンバ10は,接地されている。チャンバ10の内部にはステージ12が設けられている。ステージ12は,静電チャック(ESC:Electrostatic Chuck)40を有し,静電チャック40(ステージ12)は,保持プレート13により保持される。
【0012】
静電チャック40は導電膜からなる電極40aを一対の絶縁層40b(又は絶縁シート)の間に挟み込んだものである。直流電圧源42は,スイッチ43の制御に応じて給電線49を介して電極40aに電流を供給する。静電チャック40は,直流電圧源42からの電圧により,クーロン力によってウェハWを静電チャック上に吸着して保持する。
【0013】
静電チャック40には,ヒータ75a,75b,75c,75d(以下,総称して「ヒータ75」ともいう。)が埋め込まれている。ヒータ75は,静電チャック40内に埋め込む替わりに静電チャック40の裏面に貼り付けるようにしてもよい。ヒータ75にはヒータ給電機構100が接続され,給電線47を介して交流電源44に接続されている。交流電源44から出力された電流は,給電線47及びヒータ給電機構100を通ってヒータ75a,75b,75c,75dに供給される。
【0014】
ヒータ給電機構100は,ステージ12を複数のヒータ75にゾーン化して,ステージ12の温度をマルチゾーン制御することが可能である。静電チャック40の周縁部には,エッチングの面内均一性を高めるために,例えばシリコンや石英から構成されたフォーカスリング18が配置されている。
【0015】
ステージ12の内部には図示しない冷媒管が形成されている。図示しないチラーユニットから供給された冷媒は冷媒管を循環する。かかる構成により,ヒータ75がそれぞれ埋め込まれた静電チャック40の各ゾーンは独立して温度制御され,これにより,ウェハWが所望の温度に調整される。
【0016】
ヒータ給電機構100は,複数のヒータ用端子71と,複数のヒータ配線72と,複数のヒータ配線72をオフセットするオフセット構造73とを有する。複数のヒータ用端子71は,複数のヒータ75に接続される。複数のヒータ用端子71は,ステージ12を保持する保持プレート13上の外周部に配置される。複数のヒータ配線72は,給電線47を介して交流電源44に接続される。
【0017】
本実施形態では,保持プレート13は,絶縁性部材から構成されている。ただし,保持プレート13は,たとえばアルミニウム(Al)やチタン(Ti),炭化ケイ素(SiC)等の金属から構成されてもよい。保持プレート13は,絶縁性の支持部14及びベースプレート15に支持されている。これにより,ステージ12は,チャンバ10の底部に固定される。
<<途中省略>>
【0025】
以上,本実施形態に係る半導体製造装置1の全体構成について説明した。なお,上記実施形態では5つのヒータ75が静電チャック40内に埋設されたが,これに限らず,ヒータ75はステージ12のいずれに設けられてもよい。また,ヒータ75の個数は,2以上であれば,いくつでもよい。
【0026】
通常,分割されたヒータ75数が増えるほどヒータ配線が多くなって,半導体製造装置1に設けられた他の部材と干渉し,半導体製造装置1の組み立て時やメンテナンス時に不具合が生じやすくなり,取り付け時の作業効率が悪くなる。これに対して,本実施形態にかかるヒータ給電機構100によれば,ヒータ75数が増えても半導体製造装置1に設けられた他の部材と干渉せず,組み立て時やメンテナンス時の不具合を回避し,作業効率を向上させる効果を得られる。以下,本実施形態にかかるヒータ給電機構100の構成について,図2及び図3を参照しながら詳細に説明する。
【0027】
[ヒータ給電機構]
図2は,一実施形態に係るヒータ給電機構100の縦断面の一例を示す。図3(a)は,一実施形態に係る保持プレート13の上面,図3(b)は,一実施形態に係る保持プレート13の下面を示す。図3(c)及び図3(d)は,一実施形態に係るヒータ給電機構100が有する給電アセンブリAs1,As2を示す。
【0028】
図2及び図3に示すように,ヒータ給電機構100は,複数個のヒータ用端子71と,複数個のヒータ用端子71に接続される複数本のヒータ配線72と,複数本のヒータ配線72をオフセットするオフセット構造73とを一組としてアセンブリ化されている。図3(a)は,図2のA-A面であり,保持プレート13の上面を示す。これによれば,複数個の端子を一組として,温度制御に必要な個数のヒータ用端子71と電極用端子76とからなる端子群が保持プレート13の外周部に配置されている。
【0029】
上記の端子群が配置される保持プレート13上の外周部は,ステージ12上のウェハWが載置されない領域に対応する。これにより,本実施形態では,ヒータ75の給電位置及び静電チャック40の電極の給電位置は,ヒータ配線72等が這うラインよりも外側に配置される。よって,本実施形態では,ヒータ配線72等の給電ラインは,各給電端子の位置の真下にはなく,各給電端子の位置からずれた位置にある。このように静電チャック40上のウェハWが載置される面よりも外側にヒータ用端子71及び電極用端子76を配置することで,ヒータ用端子71等からのジュール熱がウェハWに影響を及ぼさない構造とすることができ,ウェハWの温度の面内均一性を高めることができる。これにより,静電チャック40の温度をマルチゾーン制御する際にヒータ用端子71の数が増加しても,ウェハW温度の面内均一性を保持することができる。
【0030】
オフセット構造73は,ヒータ配線72をずらしながら各ヒータ配線72を所望の位置に配置する(オフセット)。ヒータ配線72は,複数個を一組としたヒータ用端子71に接続されている。オフセットされたヒータ配線72は,保持プレート13の下部に設けられた集約部80(図3(b)参照)で集約される。集約部80は,各オフセット構造73のヒータ配線を集約し,コネクタに接続するための樹脂のケースである。集約部80で纏められたヒータ配線群は,コネクタ74に接続される。コネクタ74は,給電線47と接続される。コネクタ74の上部74aは,ヒータ配線群と接続されていて,コネクタ74の上部74aとコネクタ74の下部74bとを連結することで,コネクタ74の下部74bに設けられた各端子74b1がコネクタ74の上部74aに挿入される。これにより,静電チャック40の脱着と同時に結線を行うことができる。コネクタ74の数は,1個以上設けられていればいくつであってもよい。また,コネクタ74は,図3(b)に示した位置に限られず,集約部80周辺のいずれの位置に配置してもよい。
【0031】
(給電アセンブリAs)
ヒータ給電機構100は,図3(c)及び図3(d)に示すように,2種類の給電アセンブリAs1,As2(以下,総称して「給電アセンブリAs」ともいう。)を有する。図3(c)に示すように,給電アセンブリAs1は,複数個のヒータ用端子71,複数本のヒータ配線72及びオフセット構造73を一単位としたアセンブリである。複数個のヒータ用端子71は,ヒータ用端子71に接続された複数本のヒータ配線72とそれぞれ接続されている。複数本のヒータ配線72は,ケース73aの内部でオフセットされる。ケース73aは,例えば,樹脂で構成されてもよい。
【0032】
上記給電アセンブリAs1におけるオフセット構造73では,図2に示すように,複数個のヒータ用端子71がケース73aの上部から突出する。複数本のヒータ配線72はケース73aの内部にてずらして配線され(オフセット),ケース73aの底部の所望の位置から外部に出力される。ヒータ配線72は,集約部80,コネクタ74を介して給電線47に接続される。これにより,交流電源44からの電流は,給電線47,コネクタ74及びヒータ配線72を介してヒータ用端子71からヒータ75に供給される。
【0033】
図3(d)に示すように,給電アセンブリAs2は,一つの電極用端子76,電極用端子76を除いた個数のヒータ用端子71,1本の直流電流用の配線77,ヒータ用端子71に接続された複数本のヒータ配線72及びオフセット構造73を一単位としたアセンブリである。電極用端子76は,直流電流用の配線77と接続する。各配線72,77は,ケース73bの内部でオフセットされる。ケース73bは,例えば,樹脂で構成されてもよい。
【0034】
上記給電アセンブリAs2におけるオフセット構造73では,図4に示すように,一つの電極用端子76と電極用端子を除いた個数のヒータ用端子71がケース73bの上部から突出する。1本の直流電流用の配線77及び複数本のヒータ配線72はケース73bの内部にてずらして配線され(オフセット),ケース73bの底部の所望の位置から外部に出力される。直流電流用の配線77は,集約部80を介して給電線49に接続される。これにより,直流電圧源42からの電流は,給電線49及び直流電流用の配線77を介して電極用端子76に供給される。また,複数本のヒータ配線72は,集約部80,コネクタ74を介して給電線47に接続される。
【0035】
図3(b)は,図2のB-B面であり,保持プレート13の下面を示す。本実施形態では,11個の給電アセンブリAs1及び1個の給電アセンブリAs2が組み立てられた状態で溶接等によって保持プレート13内に固定される。これにより,給電アセンブリAs1,As2は,保持プレート13内の所定位置に収められる。このようにして保持プレート13の下面には,11個の給電アセンブリAs1と1個の給電アセンブリAs2とから温度制御に必要な個数のヒータ用端子71に接続されたヒータ配線72と,電極用端子76に接続された直流電流用の配線77とが出力され,保持プレート13下の集約部80にて纏められる。集約部80は,略環状に形成され,各配線を樹脂のケース内に集約してコネクタ74まで這わせ,コネクタ74に接続させる。
【0036】
例えば,図2及び図4に示すように,保持プレート13とベースプレート15との間は空間になっている。この空間には,搬入及び搬出時にウェハWを昇降して保持するプッシャーピンや温度計等の部材(例えば,図4に部材Ptとして示す。)が収められている。
【0037】
静電チャック40の温度を独立制御するゾーンが増えると,ゾーン毎に1又は2以上のヒータを設置する必要が生じ,これに応じてヒータ配線72が非常に多くなる。ヒータ配線72が多数本になると,半導体製造装置1に設けられた他の部材と干渉し,半導体製造装置1の組み立て時やメンテナンス時に不具合が生じたり,取り付け時の作業が増大したりする。
【0038】
これに対して,本実施形態に係るヒータ給電機構100によれば,給電アセンブリAs1,As2毎にヒータ配線72及び直流電流用の配線77をオフセットする。また,オフセットされたヒータ配線72及び直流電流用の配線77は集約部にて集約させて,コネクタ74等に接続させる。
【0039】
これにより,ヒータ配線72及び直流電流用の配線77と他の部材Ptとの干渉を減らし,半導体製造装置1の組み立て時やメンテナンス時に不具合が生じることを回避することができる。
【0040】
また,予め給電アセンブリAs1,As2を組み立てた状態で,給電アセンブリAs1,As2を保持プレート13の所定位置に下方から装着する。これにより,ヒータ給電機構の組立工程を短縮化し,簡易的に配線の接続ができる。これにより,ヒータ給電機構の組み立て時やメンテナンス時の作業効率を向上させることができる。
【0041】
さらに,ヒータ用端子71は,静電チャック40上のウェハWが載置される面よりも外側に配置される。これにより,ヒータ用端子71からのジュール熱がウェハWに影響を及ぼさないようにすることができ,ウェハW温度の面内均一性を高めることができる。特に,静電チャック40温度のマルチゾーン制御により,ヒータ用端子71の数が飛躍的に増えた場合においても,ウェハW温度の面内均一性を保持することができる。
【0042】
以上,ヒータ給電機構を上記実施形態により説明したが,本発明にかかるヒータ給電機構は上記実施形態に限定されるものではなく,本発明の範囲内で種々の変形及び改良が可能である。また,上記実施形態を矛盾しない範囲で組み合わせることができる。
【0043】
例えば,上記実施形態にかかるヒータ給電機構100は,静電チャック40をヒータ毎にゾーン化して温度制御した。しかしながら,本発明に係るヒータ給電機構は,これに限らず,静電チャック40以外の部材(例えば,保持プレート13)に複数のヒータを埋設し,ヒータ毎にゾーン化して保持プレート13の温度をマルチゾーン制御してもよい。
【0044】
また,本発明に係るヒータ給電機構100の給電アセンブリAs1,As2は,複数個のヒータ用端子71と,複数本のヒータ配線72と,複数本のヒータ配線72をオフセットするオフセット構造73とを有した。しかしながら,本発明に係るヒータ給電機構の給電アセンブリは,これに限らず,2以上のヒータ用端子71と,2以上のヒータ配線72と,2以上のヒータ配線72をオフセットするオフセット構造73とを有していればよい。」

「【図1】


「【図2】


「【図3】


「【図4】



ア 上記図1ないし4より,保持プレート13が円板状であるので,その上部に保持される静電チャック40も円板状であることが読み取れる。
イ 図3より,保持プレート13の外周部において,複数の給電アセンブリAs1が配置され,かつ,図2ないし4より,保持プレート13の上部に保持される静電チャック40の下面側(特に,図2の静電チャック40の下面を示すA-A面)に,ヒータ用端子71を受ける凹部(A-A面より上部においてヒータ用端子71が挿入されている箇所)があることが読み取れる。

(2)引用発明
上記(1)の記載から,引用文献1には,次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。
「ステージ12は,静電チャック40を有し,静電チャック40は,保持プレート13により保持され,
円板状の静電チャック40は導電膜からなる電極40aを一対の絶縁層40b(又は絶縁シート)の間に挟み込んだものであり,
静電チャック40には,ヒータ75が埋め込まれ,
ヒータ給電機構100は,ステージ12を複数のヒータ75にゾーン化して,ステージ12の温度をマルチゾーン制御することが可能であって,静電チャック40が多数のゾーンに区切られ,各ゾーンが独立して温度制御されウェハWが所望の温度に調整でき,
ヒータ給電機構100は,複数のヒータ用端子71と,複数のヒータ配線72と,複数のヒータ配線72をオフセットするオフセット構造73とを有し,複数のヒータ用端子71は,複数のヒータ75に接続され,複数のヒータ用端子71は,静電チャック40を保持する保持プレート13上の外周部に配置され,複数のヒータ配線72は,給電線47を介して交流電源44に接続され,
静電チャック40の下面側に,ヒータ用端子を受ける凹部を備えているステージ12。」

2 その他の引用文献について
(1)引用文献2について
拒絶査定に引用された引用文献2(特開2015-109139号公報,平成27年6月11日出願公開)には,図面とともに以下の記載がある。
「【0020】
セラミック焼結体22のうちウエハ載置面22aとは反対側の表面22bには,ヒータ電極26が張り巡らされている。このヒータ電極26は,表面22bの全体にわたって一筆書きの要領でパターン形成された抵抗線であり,中心に配置された一方の端部26aから外周付近に配置された端部26bまで渦巻き状に形成されている。両方の端部26a,26bには,それぞれ給電端子28a,28bがはんだ又はAl-Cuにより接合されている。ヒータ電極26は,AlとMgを含む金属接合材を該金属接合材の固相線温度以下の温度に加熱した状態でセラミック焼結体22に加圧接合したものである。こうした接合方法を,TCB接合(Thermal compression bonding)と称する。金属接合材中に含まれる活性の高いMgによって,セラミック焼結体22の表面22bに存在する酸化物層が除去され,セラミック焼結体22と金属接合材との接合強度が高くなる。また,ヒータ電極26の接合界面には,MgOが存在する。AlとMgを含有する金属接合材としては,Al-Si-Mg系接合材やAl-Mg系接合材などが好ましい。例えば,Al-Si-Mg系接合材として,88.5重量%のAl,10重量%のSi,1.5重量%のMgを含有し,固相温度が約560℃,液相温度が約590℃の接合材を用いる場合,TCB接合は,液相線温度以下である約520?580℃に加熱した状態で,20?140kg/mm^(2),好ましくは30?60kg/mm^(2) の圧力で3?6時間加圧して行われる。TCB接合は,真空雰囲気か不活性ガス雰囲気で行うのが好ましい。ヒータ電極26は,厚みが数100μmの金属接合材をTCB接合したあと,厚みが10?50μm(好ましくは10?20μm)に研削する。こうすれば,金属接合材の導電性が高い場合であっても,金属接合材の断面積が小さくなるため電気抵抗が大きくなり発熱しやすくなる。
【0021】
冷却板30は,金属製(例えばアルミニウム製とかアルミニウム合金製)の円盤である。この冷却板30は,セラミック焼結体22のウエハ載置面22aとは反対側の表面22bに絶縁樹脂製の接着層40を介して接着されている。また,冷却板30は,図示しない外部冷却装置で冷却された冷媒が循環する冷媒通路32を有している。冷却板30は,ヒータ電極26に取り付けられた一対の給電端子28a,28bを挿通するための貫通孔34a,34bを備えている。貫通孔34a,34bの内面はセラミック絶縁層で覆われている。そのほかに,冷却板30は,静電電極24に電力を供給する図示しない給電端子を挿通するための図示しない貫通孔も有している。」

(2)引用文献3について
拒絶査定に引用された引用文献3(特開2015-207765号公報,平成27年11月19日出願公開)には,図面とともに以下の記載がある。
「【0038】
<冷却ベース部>
冷却ベース部50は,静電チャック部20を所望の温度に調整するためのもので,厚みのある円板形状を有する。
冷却ベース部50としては,例えば,内部に冷媒を循環させる流路(図示略)が形成された液冷ベース等が好適である。
冷却ベース部50を構成する材料としては,熱伝導性,導電性,加工性に優れた金属,またはこれらの金属を含む複合材であれば特に制限はなく,例えば,アルミニウム(Al),アルミニウム合金,銅(Cu),銅合金,ステンレス鋼(SUS) 等が好適に用いられる。冷却ベース部50の少なくともプラズマに曝される面は,アルマイト処理が施されているか,あるいはアルミナ等の絶縁膜が成膜されていることが好ましい。
また,冷却ベース部50の静電チャック部20と対向する第1の面50aに,ポリイミドなどの絶縁性樹脂シートを張り付け耐電圧特性を向上させても良い。
【0039】
冷却ベース部50には,第1,第2の貫通孔51,52が設けられ,それぞれ絶縁管15が取り付けられている。第1の貫通孔51には,加熱部材7に給電する第1の給電構造部30が挿通されている。第2の貫通孔52には,内部電極端子24に給電する第2の給電構造部40が挿通されている。
またその他に,冷却ベース部50には,板状試料Wの処理工程でウエハを押し上げるリフトピンを挿通させるための貫通孔,並びに板状試料Wと静電チャック部20との間に供給する冷却ガスを供給するための貫通孔,等の目的に応じて複数の貫通孔が設けられている。」

(3)引用文献4について
拒絶査定に引用された引用文献4(実願平2-61583号(実開平4-20230号)のマイクロフィルム,平成4年2月20日出願公開)には,図面とともに以下の記載がある。
「 前記した様に各ヒータユニットに対して端子が2個必要であり,ヒータユニットが複数となると端子の数が多くなってしまうと共にヒータへ電力を供給する為の電力供給用のケーブルが端子の数に比例して多くなってしまう。その為,コスト面,占有スペース,メンテナンスの点で問題があった。」(第3ページ第4ないし10行目)
「 又,各隣接するヒータ端のうちアース側端を結線してリード線17aによってアース端子4aに接続する。ヒータ端のうち電源側端は,リード線17bにより電源端子4bにそれぞれ個別に接続する。
前記各アース端子4aはそれぞれアースに接続し,各電源端子4bはそれぞれ各ヒータ5,6,7,8に対応して設けられる,第1サイリスタ13,第2サイリスタ14,第3サイリスタ15,第4サイリスタ16を介して電源と接続する。
而して,アース端子4aについては第4図?第6図に示した従来のものより,半数でよい。」(第5ページ第4ないし15行目)

(4)引用文献5について
前置報告に引用された特開2009-182139号公報(平成21年8月13日出願公開。以下,「引用文献5」という。)には,図面とともに以下の記載がある。
「【0027】
図2にも示すように,上記発熱体68は加熱手段64として例えばカーボンワイヤヒータ等よりなり,この発熱体68は載置台60の略全面に亘って所定のパターン形状にして設けられている。そして,ここではこの発熱体68の接続端子は,載置台60の中心部に集合されないで中心部以外に分散されている(図3参照)。
【0028】
図3に示すように,上記発熱体68は,載置台60の略全面に一筆書き状に略均等に配設されている。尚,図3中では,発熱体68は線図で示している。そして,この発熱体68の長さの略中心部には,グランド用の上部端子70Cが設けられ,また発熱体68の両端部にはヒータ用の上部端子70A,70Bが設けられている。また,図3中に示すように,この載置台60には後述する電極用の上部端子70Dが設けられる。そして,上記各上部端子70A?70Dは,ここでは載置台60の中央部に集中されるのではなく,載置台60の中央部以外の周辺部において略同一円周上に略等間隔で分散して配置されている。
<<途中省略>>
【0073】
また,ここでは本発明の理解を容易にするために,4つの上部端子70A?70Dを同一円周上に均等に等間隔で配置した場合を例にとって説明したが,これに限定されず,本発明は,上部端子が2つ以上の場合において全て適用でき,例えば上部端子が2つの場合には,上部端子は支柱56の中心部を中心として点対称に配置すればよく,上部端子が3つ以上の場合には,上部端子は支柱56の中心部を中心とする1つ或いは複数の同心円上に等間隔で配置するようにすればよい。いずれにしても,載置台60に横ズレが生ずるような力が付与されないような配置ならば,上記上部端子をどのように配置してもよい。この場合にも,上部端子を載置台60の中央部には設けないのは,前述した通りである。」
「【図2】


「【図3】



(5)引用文献6について
前置報告に引用された特開2006-127883号公報(平成18年5月18日出願公開。以下,「引用文献6」という。)には,図面とともに以下の記載がある。
「【0004】
このヒータ71は,板状体72,金属ケース79,を主要な構成要素としたもので,アルミニウム等の金属からなる有底状の金属ケース79の開口部に,窒化物セラミックスや炭化物セラミックスからなる板状体72を樹脂製の断熱性の接続部材74を介してボルト80で固定され,その上面をウェハWを載せる加熱面73とするとともに,板状体72の下面に,例えば図9に示すような同心円状の抵抗発熱体75を備えるようになっていた。
【0005】
さらに,抵抗発熱体75の給電部には,給電端子77がロウ付けされており,この給電端子77が金属ケース79の底部79aに形成されたリード線引出用の孔76に挿通されたリード線78と電気的に接続されるようになっていた。
【0006】
ところで,このようなヒータ71において,ウェハWの表面全体に均質な膜を形成したり,レジスト膜の加熱反応状態を均質にするためには,ウェハの温度分布を均一にすることが重要である。その為,これまでウェハの面内の温度差を小さくするため,抵抗発熱体75を分割し独立して温度を制御することが行われている。
【0007】
特許文献4には,温度制御しやすい抵抗発熱体ブロックを複数備えたヒータが開示されている。この抵抗発熱体は図6に示すように中心から放射状に4等分されたブロックを形成している。また,図7に示すように,外周部の抵抗発熱体は4つのブロックに分かれ,中心部の抵抗発熱体は円形のブロックに分かれたヒータが開示されている。」
「【図5】


「【図6】



第6 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1(上記第4の1)と,引用発明(上記第5の1(2))とを対比すると,以下のとおりとなる。
ア 引用発明においては「複数のヒータ用端子71は,複数のヒータ75に接続され,複数のヒータ用端子71は,ステージ12を保持する保持プレート13上の外周部に配置され,複数のヒータ配線72は,給電線47を介して交流電源44に接続され」ているので,引用発明の「ヒータ75」は,「交流電源44」に接続するために一対の端子を備えることは自明である。したがって,引用発明の「ヒータ75」は,本願発明1の「一対の端子を備えた発熱体」に相当する。
イ 引用発明の「静電チャック40」は「多数のゾーンに区切られ,各ゾーンが独立して温度制御されウェハWが所望の温度に調整でき」るものであり,ウェハWは静電チャック40の上面に載置されるものであり,さらに,「静電チャック40には,ヒータ75が埋め込まれ」たものであるので,引用発明の「静電チャック40」は本願発明1の「基体」に相当する。
ウ 「ステージ12」は「ヒータ75」が埋め込まれた「円板状の静電チャック40」を有するものであるので,上記ア,イより,引用発明の「ステージ12」は本願発明1の「円板状の基体の上面が多数のゾーンに区切られ,一対の端子を備えた発熱体がゾーンごとに前記基体に埋設された円板状ヒータ」に相当する。
エ 引用発明においては,「静電チャック40の下面側に,ヒータ用端子を受ける凹部を備えている」ものであるので,引用発明と本願発明1とは「『前記基体の下面に』『端子集約領域』」を有する点で共通する。
オ 引用発明の「ヒータ75」の一対の端子は,「ヒータ用端子を受ける凹部」を介して「複数のヒータ用端子71」と接続されているものであるので,「静電チャック40」の内部を通って「凹部」に配線されていることは自明である。したがって,本願発明1の「すべての前記発熱体の前記一対の端子は,前記基体の内部を通っていずれかの端子集約領域に配線されて」いるという構成を満たす。
オ したがって,本願発明1と,引用発明とは,下記カの点で一致し,下記キの点で相違する。
カ 一致点
「円板状の基体の上面が多数のゾーンに区切られ,一対の端子を備えた発熱体がゾーンごとに前記基体に埋設された円板状ヒータであって,
前記基体の下面に端子集約領域
を備え,
すべての前記発熱体の前記一対の端子は,前記基体の内部を通っていずれかの端子集約領域に配線されている,
円板状ヒータ。」
キ 相違点
(ア)相違点1
本願発明1においては「前記基体の下面に前記発熱体の総数より少ない数の端子集約領域を備え」ているのに対して,引用発明においては,静電チャック40の下面側に,ヒータ用端子を受ける凹部を備えているものの,ヒータ75の総数より少ない数の凹部であるのか特定されていない点。
(イ)相違点2
本願発明1においては「前記一対の端子は,プラス極端子とマイナス極端子であり,前記端子集約領域には,1つのアース集約端子が設けられ,前記端子集約領域に配線される複数の前記発熱体の前記マイナス極端子は,一括して前記アース集約端子に接続されて」いるのに対して,引用発明においてはヒータ75は交流電源44に接続されている点。
(ウ)相違点3
本願発明1においては「すべての前記端子集約領域は,前記基体の外周円と同心円となる複数の円上に円弧状に設けられているか,前記複数の円の接線方向に長方形状に設けられている」のに対し,引用発明においてはそのような構造が採用されていない点。

(2)相違点についての判断
ア 相違点3について
事案に鑑みて,相違点3(上記(1)キ(ウ))について検討をする。
(ア)引用文献1において,「複数のヒータ用端子71」が,「ステージ12を保持する保持プレート13上の外周部に配置され」(段落【0016】)ている主たる理由は,引用文献1に記載された発明のそもそもの目的である「他の部材との干渉を抑制するヒータ給電機構を提供すること」(【0005】)を実現するためであって,「静電チャック40の温度を独立制御するゾーンが増えると,ゾーン毎に1又は2以上のヒータを設置する必要が生じ,これに応じてヒータ配線72が非常に多くなる。ヒータ配線72が多数本になると,半導体製造装置1に設けられた他の部材と干渉し,半導体製造装置1の組み立て時やメンテナンス時に不具合が生じたり,取り付け時の作業が増大したりする。これに対して,本実施形態に係るヒータ給電機構100によれば,給電アセンブリAs1,As2毎にヒータ配線72及び直流電流用の配線77をオフセットする。また,オフセットされたヒータ配線72及び直流電流用の配線77は集約部にて集約させて,コネクタ74等に接続させる。これにより,ヒータ配線72及び直流電流用の配線77と他の部材Ptとの干渉を減らし,半導体製造装置1の組み立て時やメンテナンス時に不具合が生じることを回避することができる。」(【0037】ないし【0039】)という効果を奏するためのものである。
(イ)さらに,上記構成によれば,「上記の端子群が配置される保持プレート13上の外周部は,ステージ12上のウェハWが載置されない領域に対応する。これにより,本実施形態では,ヒータ75の給電位置及び静電チャック40の電極の給電位置は,ヒータ配線72等が這うラインよりも外側に配置される。よって,本実施形態では,ヒータ配線72等の給電ラインは,各給電端子の位置の真下にはなく,各給電端子の位置からずれた位置にある。このように静電チャック40上のウェハWが載置される面よりも外側にヒータ用端子71及び電極用端子76を配置することで,ヒータ用端子71等からのジュール熱がウェハWに影響を及ぼさない構造とすることができ,ウェハWの温度の面内均一性を高めることができる。これにより,静電チャック40の温度をマルチゾーン制御する際にヒータ用端子71の数が増加しても,ウェハW温度の面内均一性を保持することができる」(【0029】),「さらに,ヒータ用端子71は,静電チャック40上のウェハWが載置される面よりも外側に配置される。これにより,ヒータ用端子71からのジュール熱がウェハWに影響を及ぼさないようにすることができ,ウェハW温度の面内均一性を高めることができる。特に,静電チャック40温度のマルチゾーン制御により,ヒータ用端子71の数が飛躍的に増えた場合においても,ウェハW温度の面内均一性を保持することができる」(【0041】)という効果も奏するものである。
(ウ)ところで,前置報告にて相違点3の構成が開示されている周知文献であるとして挙げられている引用文献5(上記第5の2(4))には,「上部端子が3つ以上の場合には,上部端子は支柱56の中心部を中心とする1つ或いは複数の同心円上に等間隔で配置するようにすればよい」(段落【0073】)と記載され,引用文献6(上記第5の2(5))には,板状体72の下面に同心円状の抵抗発熱体75を備え,抵抗発熱体75の給電部には,給電端子77がロウ付けされており,抵抗発熱体75は独立して温度を制御するために分割されており,抵抗発熱体を中心から放射状に4等分されたブロックにより形成されたヒータ(段落【0004】,【0006】,【図5】,【図6】)が記載されている。
しかしながら,引用文献5,6に記載された技術的事項を参酌しても,ヒータへと給電をするための「端子」が「前記基体の外周円と同心円となる複数の円上に円弧状に設けられているか,前記複数の円の接線方向に長方形状に設けられている」態様は記載されているとはいえない。
(エ)また,引用文献2ないし4の記載を検討しても,上記技術的事項が周知な設計変更とも認められない。
(オ)してみれば,引用発明において,本願発明1のように「すべての前記端子集約領域は,前記基体の外周円と同心円となる複数の円上に円弧状に設けられているか,前記複数の円の接線方向に長方形状に設けられている」構成へと凹部の位置を設計変更することには動機付けもなく,また周知の技術であるとも認められず,引用発明において,上記相違点3の構成を備えることは当業者が容易になし得たこととはいえない。
イ そして,本願発明1は,上記相違点1ないし3に係る構成を備えることによって,本願の発明の詳細な説明に記載された,「この円板状ヒータでは,ゾーン数の増加に伴って発熱体が増加してその端子数が増加したとしても,端子集約領域の数は端子の総数より少ない。そのため,円板状ヒータの端子集約領域の直上部分は温度特異点となるものの,温度特異点の数を減らすことができる。その結果,発熱体を発熱させたときの円板状ヒータの上面全体の温度を比較的容易に均一にすることができる。」(本願明細書,段落【0034】)という顕著な効果を奏するものと認められる。
ウ したがって,相違点1,2についての検討をするまでもなく,本願発明1は,引用発明,引用文献2ないし6に記載された技術的事項に基づいて,当業者が容易に発明できたものであるとはいえない。

2 本願発明2ないし6について
(1)本願発明2ないし5は円板状ヒータの発明であって,本願発明1の発明特定事項を全て有するものであるので,本願発明2ないし5もまた,本願発明1と同じ理由により,引用発明,引用文献2ないし6に記載された技術的事項に基づいて,当業者が容易に発明できたものであるとはいえない。
(2)本願発明6は,ヒータ冷却板アセンブリの発明であって,本願発明1の発明特定事項を全て有するものであるので,本願発明6もまた,本願発明1と同じ理由により,引用発明,引用文献2ないし6に記載された技術的事項に基づいて,当業者が容易に発明できたものであるとはいえない。

第7 当審拒絶理由について
1 特許法第36条第6項第2号(明確性)について
当審では,当審拒絶理由においてこの出願は,特許請求の範囲の請求項1ないし6の記載が,特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない旨の拒絶の理由を通知しているが,本件補正により,請求項1の誤記が補正された結果,この拒絶の理由は解消した。

第8 原査定についての判断
原査定は,請求項1ないし8について上記引用文献1ないし4に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないというものである。
しかしながら,本件補正後の請求項1ないし6はそれぞれ,上記第6の1(2),第6の2にて検討したように,引用文献1に記載された発明,引用文献2ないし4に記載された技術的事項に基づいて,当業者が容易に発明できたものであるとはいえないものであるので,本願発明1ないし6は,上記引用文献1ないし4に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであったとは認められない。
したがって,原査定を維持することはできない。

第9 むすび
以上のとおり,原査定の理由によっては,本願を拒絶することはできない。
また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
 
審決日 2019-09-18 
出願番号 特願2017-525649(P2017-525649)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (H01L)
P 1 8・ 537- WY (H01L)
最終処分 成立  
前審関与審査官 中田 剛史  
特許庁審判長 加藤 浩一
特許庁審判官 鈴木 和樹
小田 浩
発明の名称 円板状ヒータ及びヒータ冷却板アセンブリ  
代理人 特許業務法人アイテック国際特許事務所  

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