• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 A47L
管理番号 1355190
審判番号 不服2018-14211  
総通号数 239 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-11-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-10-26 
確定日 2019-10-01 
事件の表示 特願2017-58604「掃除具」拒絶査定不服審判事件〔平成30年10月18日出願公開、特開2018-161161、請求項の数(4)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成29年3月24日の出願であって、平成30年5月29日付けの拒絶理由の通知に対し、平成30年7月9日に意見書が提出されるとともに手続補正がされたが、平成30年8月16日付けで拒絶査定がされ、これに対して平成30年10月26日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がされたものである。

第2 原査定の概要
原査定(平成30年8月16日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
本願請求項1、2に係る発明は、以下の引用文献1に記載された発明及び引用文献2に記載された周知技術に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

また、本願請求項3、4に係る発明は、以下の引用文献1に記載された発明及び引用文献2-4に記載された周知技術に基づいて、その出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
1.特開2006-239174号公報
2.特開2006-271570号公報
3.米国特許第5864914号明細書
4.特開昭51-81457号公報

第3 本願発明
本願の請求項1-4に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明4」という。)は、平成30年10月26日に手続補正された特許請求の範囲の請求項1-4に記載された事項により特定される発明であり、以下のとおりの発明である。

「【請求項1】
清掃用部材を取り付けるためのヘッド部と、使用者が把持するための柄部と、前記ヘッド部と前記柄部とを接続するジョイント部と、を有し、
前記ジョイント部は、前記ヘッド部上面に備えられた第1ヨーク部と、前記柄部の下端に備えられた第2ヨーク部と、軸心が直交するよう配置された第1回動軸心部と第2回動軸心部とを有し、前記第1回動軸心部において前記第1ヨーク部を回動可能に支持し、前記第2回動軸心部において前記第2ヨーク部を回動可能に支持する連結部と、を有し、
前記第1ヨーク部は、2つの突起部を有し、前記突起部は、一の方向に沿って並ぶように配置され、
前記ヘッド部は、前記一の方向の両端部付近に、前記一の方向の中央部付近と比較して上面が高くなる隆起部を備え、
前記突起部は、対向面部で向かい合うように配置され、前記対向面部の水平方向両側から連続して形成される側面部は、前記ヘッド部の上面に対し略垂直に立設する平面状に形成され、
前記隆起部は、前記一の方向の中央部付近から、前記一の方向の両端部付近に向けて徐々に高くなるように形成されていることを特徴とする掃除具。

【請求項2】
前記ヘッド部は平面視略矩形状に形成され、
前記一の方向は前記ヘッド部の長手方向であることを特徴とする請求項1に記載の掃除具。

【請求項3】
前記柄部は、下端部付近において、前記ヘッド部に対し垂直に立てた状態における前記一の方向と直交する方向の厚みが、前記一の方向の厚みよりも薄くなる断面形状を有するように形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の掃除具。

【請求項4】
前記ヘッド部は清掃用部材を取り付けるための取付部を有し、前記取付部は、前記隆起部に形成されていることを特徴とする請求項1?3のいずれか1項に記載の掃除具。」

第4 引用文献の記載及び引用発明
1 引用文献1について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。

ア 「【0001】
本発明は清掃具に関するものであり、更に詳しくは、柄の先端に取り付けられた拭布保持用ヘッドに拭布を装着して使用するタイプの清掃具に関するものである。」(下線は、理解の一助のために当審で付した。以下同様。)

イ 「【0011】
各図は、本発明に係る清掃具をフローリングワイパーとして構成した場合の実施形態を示すもので、この清掃具は、図1に示すように、柄2の先端に拭布保持用のヘッド3を取り付けてなる清掃具本体1と、上記ヘッド3に着脱自在に装着される拭布4とから構成されるもので、床面等の清掃に使用されるものである。」

ウ 「【0012】
上記清掃具本体1において、上記柄2は伸縮自在に形成され、上端部にグリップ2aが取り付けられると共に、下端部にジョイント部材2bが取り付けられていて、このジョイント部材2bを介して上記ヘッド3の上面中央部に連結され、前後、左右、斜めの全方向に旋回自在かつ任意の角度に起倒自在となっている。」

エ 「【0013】
一方、上記ヘッド3は、ポリエチレン等の合成樹脂素材からなる基板6と、該基板6の下面(裏面)に適宜手段で取り付けられた柔軟性のパッド7とで構成されている。・・・。」

オ 「【0014】
上記基板6は、横に細長い矩形の平面形状をなしていて、図2及び図3からも分かるように、長さ方向両端部寄りの位置に、該基板6の上下面方向即ち表裏面方向に湾曲する湾曲部9,9が、該基板6の幅全体にわたり延在するように形成されている。具体的に説明すると、上記湾曲部9は、基板6の上面側に向けて滑らかな凸形に湾曲していて、その凸状部は基板6の幅方向の一端側から他端側まで連続して延びており、この湾曲部9の位置に、後で詳述する拭布を係止させるための係止部10が形成されている。」

カ 「【0015】
また、上記各湾曲部9の形成位置において基板6の幅方向の両側端部には、図4からも分かるように、補強用の側壁11が該湾曲部9の両端を塞ぐように形成されている。
更に、上記基板6の上面の幅方向の中間位置には、上記各湾曲部9からそれぞれ基板6の中央に向けて軸線方向に延びる補強用と軸受用とを兼ねる突壁部12が形成され、該基板6のほぼ中央部においてこれらの突壁部12,12間に連結軸13が設けられ、この連結軸13に上記柄2がジョイント部材2bを介して連結されている。」

キ 清掃具の柄2が、使用者が把持するためのものであることは技術常識から明らかである。

ク 上記エの記載によれば、ヘッド3は、基板6とその下面のパッド7で構成されており、上記カの記載によれば、基板6の上面に突壁部12が形成されているから、突壁部12は、ヘッド3の上面に備えられていることが理解できる。

ケ 上記ウの記載によれば、柄2は、下端部にジョイント部材2bが取り付けられていて、このジョイント部材2bを介してヘッド3の上面中央部に連結されるものであり、また、上記カの記載によれば、突壁部12,12間に連結軸13が設けられ、この連結軸13に柄2がジョイント部材2bを介して連結されているものであるところ、図1-3の記載をあわせみると、ジョイント部材2bは、図1において「2b」と示されている柄2の先端に取り付けられた上部分と、該上部分の下方にあり、連結軸13に対して回動可能に取り付けられた下部分よりなることが看取できる。
そして、上記ウの「(柄2は)このジョイント部材2bを介して上記ヘッド3の上面中央部に連結され、前後、左右、斜めの全方向に旋回自在かつ任意の角度に起倒自在となっている。」の記載及び図1-3の記載をあわせみると、ジョイント部材2bの下部分は、中心軸が立体交差する形で交わることなく直交する上側回動軸心部と下側回動軸心部とを有すること、及び、突壁部12は、下側回動軸心部においてジョイント部材2bの下部分に対して連結軸13を介して回動することが看取できるから、下側回動軸心部において突壁部12を回動可能に支持していることが理解でき、さらに、ジョイント部材2bの下部分は、上側回動軸心部においてジョイント部材2bの上部分を回動可能に支持することが理解できる。

コ 図1-図3の記載から、突壁部12は、2つの突壁部12,12を有し、これらの突壁部12,12は、ヘッド3の長さ方向に沿って並ぶように配置されており、加えて、これらの突壁部12,12は、対向面部で向かい合うように配置されていることが看取でき、また、図4の記載から、これらの突壁部12,12は、ヘッド3の長さ方向に直交する方向の断面形状が略半円形状であることが看取できる。

サ 図1及び図3の記載から、ヘッド3は、ヘッド3の長さ方向の両端部付近に、ヘッド3の長さ方向の中央部付近と比較して上面が高くなる湾曲部9,9を備えていること、及び、湾曲部9,9は、ヘッド3の長さ方向の両端部付近のみが隆起するように形成されていることが看取できる。

シ したがって、上記アないしシを総合すると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「拭布4を装着するヘッド3と、使用者が把持するための柄2と、
前記ヘッド3の上面に形成された突壁部12と、前記柄2の下端部に取り付けられたジョイント部材2bの上部分と、軸心が直交するよう配置された下側回動軸心部と上側回動軸心部とを有し、前記下側回動軸心部において前記突壁部12を回動可能に支持し、前記上側回動軸心部において前記ジョイント部材2bの上部分を回動可能に支持するジョイント部材2bの下部分と、を有し、
前記突壁部12は、2つの突壁部12,12を有し、前記突壁部12,12は、ヘッド3の長さ方向に沿って並ぶように配置され、
前記ヘッド3は、前記ヘッド3の長さ方向の両端部付近に、前記ヘッド3の長さ方向の中央部付近と比較して上面が高くなる湾曲部9,9を備え、
前記突壁部12,12は、対向面部で向かい合うように配置され、ヘッド3の長さ方向に直交する方向の断面形状が略半円形状であり、
前記湾曲部9,9は、ヘッド3の長さ方向の両端部付近のみが隆起するように形成されている清掃具。」

2 引用文献2について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている。

ア 「【0001】
本発明は、清掃用具本体に対してハンドルを回動することが可能とともに、清掃用具本体に対してハンドルの回動を阻止することが可能な清掃用具に関するものである。」

イ 「【0040】
・・・。図1に示すように、第1実施形態の清掃用具は、清掃用具本体1が左右の把持片2a、2bを有する把持部2で構成されている。・・・。」

ウ 「【0041】
把持部2の上面には左右一対の受部5、5が突設されており、この受部5、5に、ハンドル6の下端に設けられた継手7が回動可能に嵌合されている。・・・。」

エ 「【0042】
・・・。従って、ハンドル6が清掃用具本体1の把持部2に対して前後方向及び左右方向に回動可能な状態となっている。・・・。」

3 引用文献3について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献3には、図面とともに次の事項が記載されている。

ア 「The mop holders shown in the drawings have an elongated frame 1 e.g. of plastic for accommodating a mop cover 2. Each frame 1 has two plate-like folding wings 3, 3' forming wiping surfaces which are to face the floor to be cleaned, and a hinged plate member 4 at whose free longitudinal end 12 a handle holder 7 for a handle 16 is connected by means of a hinged connection 17 e.g. of the universal joint type. At their longitudinal edges 8, 8', the two folding wings 3, 3' have thinner edge sections 5, 5' for accommodation in pockets 6, 6' of said mop cover 2. In the embodiments according to FIGS. 1 to 12, folding wings 3, 3' and hinged plate member 4 are hingedly connected together via one and the same longitudinal axis L.」(第4欄第16-28行)
(当審仮訳:図面に示されているモップホルダーは、モップカバー2を収容するための例えばプラスチック製の細長いフレーム1を有する。各フレーム1は、清掃する床に対向される払拭面を形成する2枚の板状の折り曲げ翼3、3′を有し、かつ自由長手方向端部12にハンドル16用のハンドルホルダー7がユニバーサルジョイントタイプのヒンジ接続の手段17によって接続されるヒンジ付きプレート部材4とを有する。それらの長手方向の縁部8、8′において、2枚の折り曲げ翼3、3′は、前記モップカバー2のポケット6、6′中に収容するためより薄い縁部5、 5′を有している。図1?図12に示す実施形態では、折り曲げ翼3、 3′およびヒンジ付きプレート部材4は同一の長手方向軸Lを介して互いにヒンジ連結されている。)

4 引用文献4について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献4には、図面とともに次の事項が記載されている。

ア 「上述のように本発明は下端を開口した取付枠1を形成し,その開口端縁1’は搾少して前記取付枠1に挿入した刷毛体3を挾持して本体を構成し,更に本体の取付枠1には先端部を屈折し,他端に平坦部を形成した一対の挾持片5,5’を取付枠1を間にして相対させ,更にこの挾持片5,5’の平坦部5a,5’aを把柄7を装着した取付金具8からの相対する当接片9,9’間に介在して,当接片9,9’と挾持片5,5’に穿つた透孔を通した締付ねじ杆14とナツト13により,前記取付枠1に挾持片5,5’を圧接固定すると共に把柄7も固定できるようにしたものであつて,ナツト13を緊締又は弛めることによつて把柄7を備えた金具8と挾持片5,5’とを所望の位置に移動して装着できるので清掃時に隅部まで完全に清掃することができ便利である。」(第2ページ右上欄第19行-左下欄第14行)

5 その他の文献について
前置報告書において周知技術を示す文献として引用された引用文献5(特開2011-183153号公報)の段落【0017】には、「清掃ヘッド14の開口面となった下面とは反対側の面である、清掃ヘッド14の天面部14aによる上面には、これの中央部分を隆起させて、ハンドル支持ジョイント部22が一体として設けられている。このハンドル支持ジョイント部22に、ハンドル部16の下端部に設けられた回転ジョイント部23を回転可能に接合することで、当該ハンドル部16を清掃具本体11に対して上下方向のみならず左右方向にも回動させながら、清掃具10による清掃作業を行うことが可能になる。」との記載がある。

第5 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
以下、本願発明1と引用発明とを対比する。
ア 引用発明の「ヘッド3」は、その機能、構成及び技術的意義からみて、本願発明1の「ヘッド部」に相当し、以下同様に、「拭布4を装着するヘッド3」は「清掃用部材を取り付けるためのヘッド部」に、「柄2」は「柄部」に、「形成された」は「備えられた」に、「突壁部12」は「第1ヨーク部」に、「下端部」は「下端」に、「ジョイント部材2bの上部分」は「第2ヨーク部」に、「下側回動軸心部」は「第1回動軸心部」に、「上側回動軸心部」は「第2回動軸心部」に、「ジョイント部材2bの下部分」は「連結部」に、「突壁部12,12」は「突起部」に、「ヘッド3の長さ方向」は「一の方向」に、「湾曲部9,9」は「隆起部」に、「清掃具」は「掃除具」にそれぞれ相当する。

イ 引用発明の「前記突壁部12,12は、対向面部で向かい合うように配置され、ヘッド3の長さ方向に直交する方向の断面形状が略半円形状であ」ることと、本願発明1の「突起部は、対向面部で向かい合うように配置され、対向面部の水平方向両側から連続して形成される側面部は、ヘッド部の上面に対し略垂直に立設する平面状に形成され」ることとは、「突起部は、対向面部で向かい合うように配置される」ことという限りにおいて一致する。

ウ 引用発明の「前記ヘッド3の上面に形成された突壁部12と、前記柄2の下端部に取り付けられたジョイント部材2bの上部分と、軸心が直交するよう配置された下側回動軸心部と上側回動軸心部とを有し、前記下側回動軸心部において前記突壁部12を回動可能に支持し、前記上側回動軸心部において前記ジョイント部材2bの上部分を回動可能に支持するジョイント部材2bの下部分」を構成する部分は、「ヘッド3」と「柄2」とを接続するものであって、本願発明1の「ジョイント部」に相当する。

したがって、本願発明1と引用発明とは、
「清掃用部材を取り付けるためのヘッド部と、使用者が把持するための柄部と、前記ヘッド部と前記柄部とを接続するジョイント部と、を有し、
前記ジョイント部は、前記ヘッド部上面に備えられた第1ヨーク部と、前記柄部の下端に備えられた第2ヨーク部と、軸心が直交するよう配置された第1回動軸心部と第2回動軸心部とを有し、前記第1回動軸心部において前記第1ヨーク部を回動可能に支持し、前記第2回動軸心部において前記第2ヨーク部を回動可能に支持する連結部と、を有し、
前記第1ヨーク部は、2つの突起部を有し、前記突起部は、一の方向に沿って並ぶように配置され、
前記ヘッド部は、前記一の方向の両端部付近に、前記一の方向の中央部付近と比較して上面が高くなる隆起部を備え、
前記突起部は、対向面部で向かい合うように配置されている掃除具。」
である点で一致し、以下の点で相違する。

[相違点1]
「突起部」に関して、本願発明1では、「突起部」は、「対向面部の水平方向両側から連続して形成される側面部は、ヘッド部の上面に対し略垂直に立設する平面状に形成されている」のに対し、引用発明では、突壁部12,12は、ヘッド3の長さ方向に直交する方向の断面形状が略半円形状である点。

[相違点2]
「隆起部」に関して、本願発明1では、「隆起部は、一の方向の中央部付近から、一の方向の両端部付近に向けて徐々に高くなるように形成されている」のに対し、引用発明では、湾曲部9,9は、ヘッド3の長さ方向の両端部付近のみが隆起するように形成されている点。

(2)判断
事案に鑑み、先ず相違点2について検討する。
引用文献1において、ヘッド3の長さ方向の両端部付近のみが隆起するように形成されている湾曲部9,9に関して、これをヘッド2の長さ方向の中央部付近から、ヘッド2の長さ方向の両端部付近に向けて徐々に高くなるように変更し得る旨の記載も示唆もなく、かかる構成を採用する動機づけは見あたらない。
また、かかる構成は、引用文献2-5にも記載も示唆もない。
一方、本願発明1は、当該相違点2に係る発明特定事項を採用することにより、「例えば、図7(a)に示すような、一の方向と直交する方向に倒されたも最も低くなる状態からその回転に伴って、隆起部によって徐々に持ち上げられていくこととなりますので、隆起部が回転の妨げとなり難く、柄部のスムーズな回転が実現されます。(審判請求書6ページ19-22行)」という引用発明が奏しない効果を奏するものである。
そうすると、引用発明を当該相違点2に係る発明特定事項のように構成することは、いずれの文献にも記載も示唆もされておらず、当業者が容易になし得たものとは認められない。

したがって、本願発明1は、上記相違点1について検討するまでもなく、当業者であっても、引用発明及び引用文献2-5に記載された事項に基づいて、容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

2 本願発明2-4について
請求項2-4は請求項1を引用するものであり、本願発明2-4はいずれも、本願発明1の前記相違点2に係る発明特定事項である「隆起部は、一の方向の中央部付近から、一の方向の両端部付近に向けて徐々に高くなるように形成されている」という事項を備えるものである。
したがって、本願発明2-4は、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2-5に記載された事項に基づいて、容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

第6 原査定について
審判請求時の補正により、本願発明1-4は「隆起部は、一の方向の中央部付近から、一の方向の両端部付近に向けて徐々に高くなるように形成されている」という事項を有するものとなっており、当業者であっても、拒絶査定において引用された引用発明及び引用文献2-4に記載された事項に基づいて、容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
したがって、原査定の理由を維持することはできない。

第7 むすび
以上のとおり、本願発明1-4は、引用発明及び引用文献2ないし5に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2019-09-17 
出願番号 特願2017-58604(P2017-58604)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (A47L)
最終処分 成立  
前審関与審査官 大内 康裕大光 太朗長清 吉範  
特許庁審判長 久保 竜一
特許庁審判官 窪田 治彦
佐々木 芳枝
発明の名称 掃除具  
代理人 荒船 良男  
代理人 荒船 博司  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ